提督「劇をしたい」龍驤「あのさぁ、さっきからなんなの」
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206: ◆zqJl2dhSHw[sage saga]
2016/01/10(日) 22:41:01.34 ID:Vl0atwsQ0

――射撃訓練場――

加賀「失礼……げほっ。はぁ……はぁ。失礼……します」

瑞鶴「ちょっと、大丈夫!? どうしたのよ!」

加賀「なんでも、はぁ……はぁ。ないわ。けほっ。ただ走りこみを……していただけよ」

瑞鶴「……艤装付けたまま走りこみをする艦娘なんていないわよ。鳳翔さんだって長門さんだって、走りこみをするときは体操服に着替えているじゃない」

加賀「……私くらいになると行住坐臥よ。心配いらないわ」

瑞鶴「えぇ……。赤城さんだってちゃんと体操服に着替えているのに?」

加賀「……ところで稽古は終わったのかしら」

瑞鶴「まだ続けてるわ」

加賀「そう」

瑞鶴「……」

加賀「……」

瑞鶴「ねぇ、加賀」

加賀「何かしら」

瑞鶴「稽古、付けてくれない?」

加賀「別に、構いませんが」

瑞鶴「ん。ありがと」

流星改を一手取り、射位に立つ。

件の胴造りも素晴らしいの一言だった。

質実剛健。

容姿凛然たる姿。

言葉は何でもよいが、中身が伴ったものはかくも美しい。

甲矢は残念ながら上にそれたようだ。

2本目も同様に素晴らしい射だったが、残念ながら上にそれてしまった。

加賀は瑞鶴の成長を喜ぶ。わずかな時間であれ、艦娘というものは突然成長してしまうものだ。

成長のきっかけは鳳翔による指導であった。

できれば加賀自身が指導して気づかせてやりたかったが、それは慢心であると理解している。

自己満足の域をでることはなく、本当に大切なことは後輩の成長だからだ。

今回は的を外してしまった。これは実は良い外し方だった。

同じ狙いのまま艦体が振れることなく艦載機が発艦したため、勢いが落ちることなく的に到達したからだ。

小手先の的中とは一線を画するものだった。

及第点どころか、本質的な所で満点だった。

加賀は何も言わない。

弓倒しを終えた瑞鶴が加賀に話しかける。

瑞鶴「今もそうだけど、加賀は何も言ってくれないよね。たまに一言二言はあったけど」

加賀は怪訝な顔をする。指摘を出す必要がない素晴らしい射だったのだ、何を言う必要があるのだろうか。

瑞鶴「加賀は私のことを何も期待していないからだとずっと思っていた。だからさ、昨日よくやっているって言ってくれた時はすごく嬉しかった。少なくとも見てくれているってわかったから」

加賀は自身を振り返る。昨日の稽古では、五航戦の2人を手放しで賞賛したはずだった。

瑞鶴「今朝だって直接稽古を付けてもらえて嬉しかった。指導内容はよくわかんなかんなくて怒鳴り散らしちゃったけど本当は感謝してる。まぁ、鳳翔さんがあんたの意図を教えてくれてようやくわかったんだけど」

加賀は訝る、瑞鶴は素直に指導に従いより良くなっていた。他に指摘できる箇所が見当たらなかったので、しかたなく高難度の指摘を続けてしまった。流石に難度が高すぎたため瑞鶴は焦燥感を加賀にぶつけて来たが、当然の反応だと思い気にしていなかった。

瑞鶴「別に甘やかして欲しいわけじゃないんだ。ほんの少しでもいいから加賀に褒めて欲しかった。さっき四立分皆中したのも初めてだったんだよ?」




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