774: ◆A0cfz0tVgA[sage saga]
2016/12/05(月) 00:10:50.52 ID:FyUFA4MH0
上条「はぁっ、はぁっ……!」
荒く息を切らしながら、上条当麻はその場に膝をついた。
地面の砂利が手の平を小さく突き刺し、泥水が指の隙間を流れていく。
頭を流れ落ちる雨水が眼に入るが、それを拭う気力すら今は起きなかった。
脇腹を蹴り飛ばされ、全身を瓦礫で打ち付けられ――――最早痛くない場所など何処にもない。
その中でも特に激痛なのが、つい先ほど千切り飛ばされた右耳。まるで赤熱した火鋏で挟まれたかのようである。
更には未だに降り続く雨が傷を痛めつけ、思わず悲鳴を上げてしまいそうだ。
手で押さえたい衝動にも駆られるが、還って悪化させることは眼に見えているので、歯を食いしばりながら我慢した。
見やると5メートル程離れたところに、レミリアが仰向けに倒れ伏している。
気絶しているようだ。全力で顔面を殴ったのだから、当たり前のことであるが。
いや、それは些か希望的観測か。レミリアの肉体の半分は吸血鬼。未だに意識が残っていることも十分にあり得る話だ。
だが今すぐに起き上がるということはないと思いたい。こちらも相当無理をしているのだ。
戦えないことはないが、動きに精彩を欠くことになるのは目に見えている。
このまま終わってくれるのであれば、それに越したことはない。
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