【艦これ】まるゆ「隊長が鎮守府に着任しました」
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190: ◆UeZ8dRl.OE[sage saga]
2018/07/31(火) 22:39:34.92 ID:vyfDryph0
 時は流れる川の如し。流されるままにいれば瞬く間に流れ、一歩ずつ踏み締めて歩くのは困難だ。
 故に、彼女達は“今”を尊び慈しむ。そこにずっと留まれないことを、誰よりも知っているから。



「――作戦目標は現在攻略中の海域で進行を妨害している鬼級、姫級の撃破、若しくは無力化だ」

「隊長、一つ確認してもいいですか?」

「別にうちだけでどうにかしろというわけではない、何隊かで修復の暇を与えず一気に押し通る作戦だ」

「聞きたいのはそういうことじゃなくて、敵の“艦隊”のことなんです」

 チラリ、と提督はハチへと視線を向けるが、静かに彼女は首を横に振る。それが意味するのは、もう隠し通せる状況ではないということだ。

「昔ならいざ知らず、前線で戦ってるお前達が気づかない訳もなかったか。――察しの通りだ、深海棲艦は学習し、進化してる。初期は数の暴力による劣勢、艦娘が重要視され始めた頃に均衡、最近までは制海権を徐々に拡げて優勢、今はまた均衡……いや、劣勢に傾きかけてる」

「あの地獄のしごきを受けたゴーヤ達の練度でも偵察すら難しくなってきてるでち」

「一度だけ、魚雷が直撃しても全然効いてないのに遭遇したこともあったのね」

「自分の手足みたいに自由自在に動かせないと、晴嵐さん達だってすぐ落とされちゃうよ」

「司令官、何か具体的な手はあるの?」

「その“打つ手”を探すための作戦だ。現状を打破するには、決定的な何かが必要なんだ」

「つまり、早くそれが見つからないと……」

「いずれは均衡が完全に崩れて一気に押し込まれる」

「――なら、まるゆ達は是が非でも作戦を成功させないといけませんね!」

「……おぅ、その通りだ」

「提督、確認されてる敵の艦種と編成を教えて。索敵である程度敵の編成が絞り込めたら無駄に消耗しないで済むと思う」

「分かった。ハチ以外もある程度頭に入れておいてくれ。艦種は――」



 深海棲艦の手は恐怖に震えない。それが深い闇であり、希望でもある。


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