【艦これ】まるゆ「隊長が鎮守府に着任しました」
1- 20
136: ◆UeZ8dRl.OE[saga sage]
2017/01/04(水) 22:34:16.14 ID:E47M0gUb0
 艦娘は、元々不安定に肉体と精神を得ている。
 そうでなければ、解体という最終手段は使えない。
 故に、様々な面で不安定になりやすく、それを深海棲艦との戦いの中で管理・調整するのが、公式に明言されることのない提督の責務である。
 ――つまり、仮に過去に何も無かったとしても狂う可能性もあるのだ。




「シオイ、俺はどう見えてる」

「真っ赤」

「明石はどうだ?」

「一緒だよ?」

「……どう思う」

「色覚異常、という線はありません。彼女の精神がそういうフィルターをかけているのだと思われます」

「セルフ血みどろスプラッターか、需要は無いだろうな」

 冗談混じりに返してはいるが、提督の表情はとても険しい。
 今もシオイの手にはウェットティッシュが握られており、腕を拭いている。
 明石の見解では、初期はところどころ染みが見える程度だったのが徐々に悪化し、今の状態に至ったというものだった。
 潔癖症に見えていたのは、彼女自身も自分の異常を正しく認識出来ていなかった故だ。

「提督、明石さん、ちょっとお風呂行ってきてもいい?」

「あぁ、構わん」

「じゃあシオイ、どぼーんしてきます!」

 普段通り、シオイは元気に風呂へと駆けていく。
 それを見送った後、提督は明石へと視線を向けぬまま問いかける。

「アレは、正常と言っていいのか?」

「……気が触れてないのが不思議なくらいの異常さです」

「……そうか」




 異常を異常と気付かなければ、それはきっと幸せなのだ。
 しかし、それはずっと命綱の無い綱渡りをしているだけで、平穏は無い。
 ――だから、彼はその身を削ることを選んだ。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
194Res/133.24 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice