224: ◆c4YEJo22yk[sage saga]
2016/03/27(日) 20:28:52.88 ID:qZYUd6et0
「……何やってるの、二人とも?」
部屋に入ってきたのは、のり子だった。
彼女は、もつれ合ったまま横たわる俺たちに冷ややかな視線を向けている。
「いや、関節技の練習だよ!? 百合子に頼まれたんだ!」
変な誤解をされたんじゃないかと思い、俺は必死で弁明した。
しかし、のり子はまだ怪しんでいる様子で、百合子に問いただす。
「百合子、プロデューサーに変なことされなかった? 大丈夫?」
「いえいえ、何もされてないですよ」
「でも、プロデューサーがすごくいやらしい顔してたよー?」
「ええっ!?」
百合子は驚いて声を上げると、ぱっと俺から身体を離した。
そして、恥ずかしそうに顔を赤らめて言う。
「れ、冷静に考えると私、なんて大胆なことをっ……!」
恥ずかしがっている百合子はかわいいなあ……。
思わずそんなことを考えていると、のり子が素早く俺に近づいてきて、
「百合子、十字固めは簡単そうに見えるけどコツがいるんだよ♪」
と言いながら、あっという間に俺の右腕を掴んで関節を極めた。
次の瞬間、引き裂かれるかのような痛みが肘の辺りに走る。
「ぎゃああああああああ!! ギブ、ギブ!」
「ポイントは自分の脚で相手の腕を締め付けて固定することなんだー」
「の、のり子さんっ、プロデューサーさんが苦しそうですよっ……」
おろおろする百合子をよそに、のり子は楽しそうに技をかけ続けた。
「担当アイドルといかがわしいことをするプロデューサーにはこうだああああ!」
「もうしないから許してええええええ!!」
俺の悲鳴が事務所中に響く。
いつもより騒々しい、午後のひとときだった。
おわり
417Res/229.87 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20