412: ◆yyODYISLaQDh[sage saga]
2017/05/27(土) 20:58:39.64 ID:iQ7XYMi0O
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銀子に依頼を断られてから一週間。
真九郎は他の情報屋をいくつか当たってみたが、成果は微々たるものだった。
《星?》製の義肢が売買されているという情報は得られず、そういった人物の目撃情報も無かった。
そもそも、《星?》の技術は門外不出。仮に市場に出回れば同じ重さの宝石で取引されるとまで言われていて、それだけの金が動けば当然、なにかしらの情報は得られるはずなのだ。
しかし、絶奈は知らないと言い、切彦は無関心。銀子には袖にされて、真九郎の頼る筋はほとんど残されていない。
信頼できて、かつ、裏世界の情報に詳しい人物。
「真九郎さん、動きが悪いです。無意識に左腕を使うのを躊躇っていては、いつまでたっても馴染みませんよ」
汗だくの真九郎とは違い、涼しい顔で稽古後の指南を欠かさない夕乃。
ようやく終わった稽古に、真九郎は内心で苦笑する。
とっくに高校も卒業した身としてはいつまでも厄介になるのは気が引けるのだが、崩月家の人々はそんなものお構いなしとばかりに真九郎を招きたがる。
特に夕乃は、月に一度は必ず顔を見せるように繰り返し約束させ、それを破るとかなり怒る。
もちろん怒鳴りつけたりはしないが、稽古と称して激しくしごかれるのだ。
真九郎も成長したとはいえ、姉弟子である夕乃には未だに敵わない。
ここは崩月家の道場。
真九郎は夕乃と向かい合って礼をし、汗を流すために井戸へ向かった。
「お兄ちゃん、お疲れ様」
「ん、ありがと、ちーちゃん」
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