364: ◆yyODYISLaQDh[sage saga]
2017/04/17(月) 23:20:42.63 ID:bASNl0Z+O
その手慣れた所作に真九郎は虫唾が走るが、ここは我慢だ。
切彦は男に肩を抱かれたまま動けずにいるが、怖がっているわけではなく自分の腕が革ジャンの内ポケット――カッターナイフに向かないように堪えているからだ。
切彦が我慢しているのに、自分が台無しにするわけにもいかない。
「今のところ順調だよ。そのまま連中に合わせて」
冷静に指示を出す真九郎。
切彦はぎこちない動きで男たちに誘導され、そのぎこちない動きが嗜虐欲をそそるのか男たちが下卑た笑いを浮かべているのが見える。
オフィス街にある少し古めのビルの一室を拠点にしているようで、この四人組は下っ端らしい。
この四人以外にも人の出入りがあり、合計で18人。
不良グループかどこかの暴力団の傘下組織かの二択で迷っていたが、前者で決まりのようだ。
暴力団であれば、根城に獲物を連れて行けば下っ端がおこぼれにあずかれるはずもない。
今夜、あのビルの中に全員がいることは既に分かっている。
報復を避けるためにも、全員を説得した方が幾分早いだろう。
「……っと、俺もそろそろ行かないと」
真九郎は身を起こして屋上から非常階段に飛び移る。
今回の作戦はこうだ。
まず切彦を不良たちのもとに向かわせて声をかける。
不良たちが釣れればそのまま連中の拠点へ向かわせる。
真九郎はそれが確認できれば拠点へ先回りしてグループを潰しておく。
そこへ切彦と不良たちが到着。後は切彦に拘束させて説得。
我ながら一網打尽の良い作戦だと思う。
「不良たちが釣れなかったらどうするんですか」
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