362: ◆yyODYISLaQDh[sage saga]
2017/04/17(月) 23:19:49.07 ID:bASNl0Z+O
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『猫を見ませんでしたか?』
『あぁ?』
『……でぃぢゅーしーあきゃっと?』
舌足らずな英語でガラの悪い若者達に質問を繰り返す少女が一人。
深夜の出来事である。
端から見れば危険極まりない行為であり、コンビニ店中から不良たちを鬱陶しそうに見ていた店員は顔を引きつらせている。
少女――斬島切彦の雇い主、紅真九郎も少女の行動を心配していた。
ただし、切彦が不良四人組を半殺しにしてしまわないか、という心配だが。
「切彦ちゃん、どんなにムカついても殺さないように。彼らは一般人だからね」
小型のインカムから聞こえる真九郎の声に、切彦は内心舌打ちをする。
夜中であたりが暗いこともあって不良たちには気づかれていないが、そのこめかみには青筋が浮かんでいた。
真九郎は今、少し離れたアパートの屋上からその様子を観察していた。
夜に紛れるため全身黒で固めた服装にインカムと双眼鏡。
近所の人に見つかれば真九郎が通報されかねないが、これも依頼の為である。
今回の依頼は事務所近くのコンビニ店主からのもので、最近店の前で夜中にたむろする不良どもを追い払ってほしいというありふれたもの。
前金代わりに張り込み用の牛乳とあんパンを押し付けられてしまったため、できれば今日中に片づけたいところだ。
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