柔沢ジュウ「雨か」 堕花雨「お呼びですか?」
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113: ◆yyODYISLaQDh[sage saga]
2015/05/13(水) 12:10:02.20 ID:8C56zXWXO

昔よりもあからさまな言葉を使うようになったので、流石の真九郎も好意には薄々気付いているが、自分のような人間には3人とも勿体無いと感じているのだ。
そのくせ明確に拒絶もしないのだからタチが悪いとも言えるが、拒絶したところでこの3人が諦めるはずもない。
隣の部屋の住人は、権力でも金でも使って法改正するか、重婚できる国に移住しろなどと無責任なことを言うが、真九郎は無視している。

「(それこそ、いつまでこのアパートにいるんだあの酔っ払いは……。)」

早くいい相手を見つけて出て行って欲しいと真九郎は思っているが、本人は「晩婚が流行ってるから大丈夫ー」などとどこ吹く風で焼酎を煽っている。
もう一人の酔っ払いは……まあ、アレのことは放っておこう。
そういえば、二日酔いのための薬が切れかけていた。
事務所に顔を出すついでに買っておこうかな、などと真九郎が呑気に考えていると、膝の上に温い塊がのしかかってきた。
見てみると、黒猫が丸くなっていた。

「女難の相が日に日に強くなるようだな、少年」

いつの間に入ったきたのか、喪服のように全身を黒で彩った美女が窓の淵に座っていた。
黒猫の名前はダビデ、美女の名前は闇絵という。
真九郎がこの五月雨荘に来た10年ほど前からずっとこの見た目を保っている。
今が中世なら、とっくに火炙りにされているだろう。



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