586: ◆S0mvz1PntgQY[saga]
2016/09/20(火) 04:36:41.59 ID:hFhRzfxk0
「……ねえ、奏」
「何?」
「“Monochrome Memory”と“Nobody Knows”。どのくらい好き?」
私たち二人のユニット、モノクロームリリィの代表曲。今日の演目にももちろん含まれている。そんな二曲への思い入れを問うなんて。唐突な質問に、思わず口から言葉が洩れる。
「……変な質問」
苦笑してから、目を伏せて、心の中から言葉を摘み取る。嘘にならないように、大事に、大事に。
「どっちも、大事な。私たち二人の歌よ」
視線を、加蓮の双眸に絡ませて。
「それ以上の意味が必要?」
「……要らない」
しばしの無言。恐らく、私の言葉を待っている。同じ質問を。儀式みたいなもの、なのかしら。
「加蓮は?」
「比べたくないよ」
「“Trancing Palse”も。私は、好きよ」
さっ、と加蓮の頬に紅が挿す。
「……それは、アタシのほうが好きだよ」
「解ってる」
私は視線を外して、ボトルのストローから水を一口。
「比べないでいてくれて、ありがとう」
椅子を立って、加蓮に手を差し出す。手を取って立ち上がる加蓮に寄り添って、脚の負担を助ける。
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