567: ◆S0mvz1PntgQY[sage saga]
2016/08/16(火) 01:06:52.10 ID:Hnrzybny0
人遣いの荒いことだ。数年前を思い出す。礼子さんと二人であっちへ行ってこっちへ行って、言われるまま仕事をこなす。
「アヤ、志保、伊吹。入るよ」
でも、あの時とは違って、ここには私の意思があり、別に誰に押し付けられているわけではない。
「お疲れ様でーす」
「お疲れ。すまんが、私はオープニング終わるまで第三控えにいる。君たちの出番にはステージ裏に付くから安心していい」
手短に用件を伝える。伊吹はドリンクを片手に。アヤと志保はプリンをつついて。
ふむ。三人とも思ったより緊張してないな(ところで、そのプリンは私もまだ食べていないぞ)。
「ありゃ。まあ、こっちは大丈夫っすよ」
「もぐもぐ。ごくん」
まあ、安心したよ。
「もっと青い顔でもしているかと思ったが、出来そうかな」
「どんなに緊張したって焦ったって、舞台が変わるわけじゃないですよ。……やれます、大丈夫です」
「うふふふふ。そうだよね♪」
「ん、そうか。そうだな。君たちが……うん、楽しんでくれれば。何よりだ」
今回はチャンスだ。呑まれるんじゃないぞ。……とは、言わない。そう。どうやるか、どうしたいかなんて、究極的には己のものだ。
そう、誰に押し付けられるものでもないんだ。
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