忍「隠し事、しちゃってましたね……」 アリス「……シノ」
1- 20
356: ◆jOsNS7W.Ovhu[saga]
2014/11/29(土) 02:48:48.58 ID:Kn2Q0xzu0
「前よりずっと、仲良さそう」
「昔から仲良いだろ? だからイサ姉も、私にシノの保護者役みたいなものを任せたんだし」
「何だか、心から信頼し合ってるような……」
「――漫画の読み過ぎだって」


 溜息をつくと、外から「お客様一名!」の声がした。
 それがまたいかにも男子って感じで、またしてもさっきのシノの表情が脳裏をよぎる。
 いけないいけない、これじゃ接客が出来ないって。
 

「それじゃ私、お客さんの所に行かないと……」
「へぇ、あなたが『陽子ちゃん』ね?」


 へ? なんだなんだ?
 声のした方を見れば、そこにはイサ姉のお友達の姿が。
 興味深そうに私を見つめながら、彼女は言う。


「いつも勇から聞かされてるわ。『かっこいい、けれど凄く可愛い子なのよ』ってね」
「……」


 おいおい。
 困ったな。
 動揺するようなことでも、何でもないはずなのに。
 どうして顔が熱いんだろうね?


「あ、ええと――ありがとう、ございます?」


 なんだこの尻切れトンボな挨拶は!
 内心で自分を罵倒する私は、フラフラと新規のお客さんの元へと向かおうとする。


「ちょっと猪熊さん! 足、フラついてるわよ!」
「あ、ああ、ごめん……委員長」
「顔も赤いわね? 大丈夫?」
「……な、なんとか」


 ああ、もう……。
 イサ姉だけでも大変だってのに、お友達まで――!
 これじゃ、綾のことを励ます権利なんて……ない、のかな?






「……なかなか性悪ね?」
「勇ほどじゃないわよ。あんた、いつも年下をあんな風にからかってるの?」
「まぁ、程々に?」
「――はぁ」


 つい、ため息をついてしまった。
 目の前のモデル兼友人は、どこまでも飄々としている。
 この子と話してると、いつも「狐につままれた」ような気がするのは何故だろう。
 私のことはともあれ、今しがた話していたあの子は不憫だ。
 というか、この子の「きょうだい」って――


「……あの子が」
「そう、『妹』よ」
「世の中って、広いねぇ……」


 メイド喫茶側へと目を転じれば、そこでは喜色満面といった風に接客に励む少女の姿が。
 ……うん、どう見ても立派な女の子だ。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
713Res/681.14 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice