忍「隠し事、しちゃってましたね……」 アリス「……シノ」
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343: ◆jOsNS7W.Ovhu[saga]
2014/09/19(金) 06:15:01.31 ID:6tdc02e90


「……」


「変われたんですね。綾ちゃん」


 私が黙りこくっていると、これまた優しい声が聞こえてくる。
 さっきの「男子」と比べると、全く声のトーンが違う。声変わり、という現象がシノには起こらなかったとしか思えない。
 そう。だから私は、この子をある意味で「女の子」と見なすことが出来ている。


「私、初めて見ました。綾ちゃんが勇気を出して、踏みだそうってした所……そして、実際に踏み出した所も。凄いです」


 私も、考えないといけないのかもしれませんね――
 シノはそう言った後で、ポツリと意味深なことを呟いた。
 この子は何を「考える」のだろうか?
 私たちのグループは、今のところ良好な関係としか考えられないけれど……。


「もうっ、猪熊さん! 早く来ないと、話し合いが出来ないわよ!」
「あ、ごめん委員長!」


 あっ、陽子の手が頭から離れる。
 何も感触が無くなった頭は、熱を帯びていることが感じられた。
 陽子の手は、太陽のように温かい――名は体を表すというのは本当らしい。


「そんじゃな、二人とも! 楽しもう!」


 そう言うと、ピューッと甘味処班へと向かっていくのだった。


「……」
「ねぇ、シノ?」


 私は、どこかボンヤリとしている「彼女」に呼びかけた。
 どういうことなんだろう? もしかして、見えない所で軋轢が生じていたとか?
 ……まさか、ねぇ。


「――メイド喫茶班の所、行かなきゃ」
「……あっ」


 何か考え込んでいたようなシノは、パッと顔を上げた。


「そうですね、ありがとうございます綾ちゃん!」


 そう言うと彼女もまた淑やかに、メイド喫茶班に合流した。


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