忍「隠し事、しちゃってましたね……」 アリス「……シノ」
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◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]
2014/09/19(金) 06:15:01.31 ID:6tdc02e90
「……」
「変われたんですね。綾ちゃん」
私が黙りこくっていると、これまた優しい声が聞こえてくる。
さっきの「男子」と比べると、全く声のトーンが違う。声変わり、という現象がシノには起こらなかったとしか思えない。
そう。だから私は、この子をある意味で「女の子」と見なすことが出来ている。
「私、初めて見ました。綾ちゃんが勇気を出して、踏みだそうってした所……そして、実際に踏み出した所も。凄いです」
私も、考えないといけないのかもしれませんね――
シノはそう言った後で、ポツリと意味深なことを呟いた。
この子は何を「考える」のだろうか?
私たちのグループは、今のところ良好な関係としか考えられないけれど……。
「もうっ、猪熊さん! 早く来ないと、話し合いが出来ないわよ!」
「あ、ごめん委員長!」
あっ、陽子の手が頭から離れる。
何も感触が無くなった頭は、熱を帯びていることが感じられた。
陽子の手は、太陽のように温かい――名は体を表すというのは本当らしい。
「そんじゃな、二人とも! 楽しもう!」
そう言うと、ピューッと甘味処班へと向かっていくのだった。
「……」
「ねぇ、シノ?」
私は、どこかボンヤリとしている「彼女」に呼びかけた。
どういうことなんだろう? もしかして、見えない所で軋轢が生じていたとか?
……まさか、ねぇ。
「――メイド喫茶班の所、行かなきゃ」
「……あっ」
何か考え込んでいたようなシノは、パッと顔を上げた。
「そうですね、ありがとうございます綾ちゃん!」
そう言うと彼女もまた淑やかに、メイド喫茶班に合流した。
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