忍「隠し事、しちゃってましたね……」 アリス「……シノ」
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254: ◆jOsNS7W.Ovhu[saga]
2013/12/16(月) 17:51:35.77 ID:wwKpbdsW0
「カレン、焦ってる……」


 ただ、アリスにはわかったらしい。
 付き合いの長さがそうさせるのか、感覚で掴んだのかもしれない。


「――」


 一言も漏らさずに、じっと見つめるシノの姿もとても印象的で。
 私は、移動教室のこともすっかり忘れてしまっていたような気がする。


「……」


 一瞬の間を置いて、


「……」


 カレンが、ペコリと頭を下げた。


 対する男子生徒は、頭を掻くと、手を振って駆け出した。
 昇降口の方向だろう。
 ……つまりそういうこと、なのかな?


「――いやー、カレンもやるねぇ」


 いつもなら調子のいい陽子の声も、なんだか震えてるように感じた。


「はぁ……カレンが遠くに行っちゃったような気がするよ」


 ため息をつくアリスも、今の光景に心奪われているようだった。
 まあ、無理もない。


 一緒にいると忘れてしまいがちだけれど、カレンはとびきり可愛い。
 けどまぁ、今日みたいなことは経験したことはなかったのかもしれない。
 顔を上げても、ずっとその場から動かないのだから……。


「――青春だねえ」


 陽子は、無理して声を出さなくてもいいと思う。
 あなた少し、恥ずかしそうよ?


「……シノ」
「……」
「シノ!」
「――あ」


 私はというと、もう一人の友人が気がかりだった。
 ぼーっとした表情を浮かべるシノは、まるで……本当に、こけしのように動かなかった。


「ごめんなさい、綾ちゃん」
「……大丈夫?」
「はい」


 私に向かって笑顔を作ってみせると、再びカレンを見つめ直した。
 ……全く、大丈夫じゃなさそうだった。

 その笑顔が作り物だってことくらい、私にだってわかる。


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