忍「隠し事、しちゃってましたね……」 アリス「……シノ」
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220: ◆jOsNS7W.Ovhu[saga]
2013/12/10(火) 00:24:25.91 ID:bZBTqQiJ0
 向けられた目線と、その言葉の意味するもの。
 「男子」にそんなことをされたら、普通なら顔を赤くして、少し嫌な気分になるだろう。
 嫌な思い出として、記憶のくず箱にでも放り込んでしまうはずだ。


 けれど私は、その時のシノの表情を忘れられそうにない。


「そうだな、きっとまだまだ――」


 当時、何の恥じらいも躊躇もなく、大真面目にそんなことを言えていた。
 シノ相手だと、普通の男子や女子相手とは、全く違う会話になるから。


「……ボクとは、違うんですね」


 自分の目線を下に向けて、シノは呟いた。
 「違う」。そうだ。私とシノは、違う。

 

 胸に付けるための、女子特有の「アレ」を、親と連れ立って買いに行ったのはいつだっけ。
 さっぱり記憶に無いけれど、初めて「それ」を付けて学校に行った時のシノの表情だけは、とてもよく覚えていた。


 残念そうでいて、何だか嬉しそうな、本当に複雑そうな表情。
 それを見て、私は「どうしてだろう?」と、純粋に疑問に思った。
 どうしてシノは、「違う」のだろう、と。


 髪は短かったものの、正直な話、他の誰よりもシノは女の子らしかった。
 見た目からしても、初めて会った時に感じた「可愛い子」そのもので。
 今日の授業みたいにシノが男子と話すことがあっても、やっぱりそんな男子とはどうも違う。

 
「陽子ちゃん……」


 だから。
 そんな上目遣いで、頼るような声を出されると、返答に困った。
 いも……弟をこよなく愛するイサ姉の気持ちが、凄くよく分かる気がした。


 そんなポーズのまま発せられた言葉は、声も含めて、今でも私の脳裏に焼き付いている。


「――ボクも、大きくなれない、でしょうか?」


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