忍「隠し事、しちゃってましたね……」 アリス「……シノ」
1- 20
22:1[saga]
2013/09/01(日) 17:04:57.47 ID:ECufGEjL0
「シノ!」

「――アリス?」

 私は、目をパチクリとさせてしまいました。
 スイッチに指をかけた私は、その姿勢のまま、突然の「闖入者」に呆然の体です。
 そこには、金髪少女がいました。
 もちろん、雑誌の切り抜きの金髪少女とは、一味も二味も違います。

 だって、アリスは――

「……シノ!」
「へ?」

 ついついそんな感慨に耽っていると、アリスは私にズイッと近づいてきました。
 すぐ近くに、アリスの顔があります。
 その目はどこか、潤んでいるようにも見えて――

「――泣いてた、の?」
「アリス?」

 いやいや、むしろ泣いていたのはアリスでは、と返そうとしたところで気づいてしまいます。
 アリスの目が潤んでいるように見えたのは、もしかすると……

「……ちょっと、目にゴミが入っただけですよ」
「嘘。それ、よくある言い訳だって、勉強したもん」

 アリスには、全くごまかしがききません。
 自分の手で目に触れてみれば――ははあ、なるほど。

「ちょっと、塩辛そうな水ですね」
「――シノ!」

 私が手で目を擦り、顔を上げると――






 ……私は、何をしているんだろう?
 気づいたら、シノに深く抱きついていた。

 どこか冷静な私の頭は、顔が触れている箇所の平坦っぷりに気づいてしまう。
 そうだ、胸板こそ柔らかいけれど――シノは。

「ア、アリス……?」

 その声に、ハッとする。
 顔を上げれば、そこにはシノの顔があった。
 2年前より、ちょっとだけ伸びた髪。
 大きな目も優しそうな顔つきも、あの時と全く変わらない。

「――わ、私は」

 再び抱きつく時、少しためらった。
 そして、そんな自分がちょっと嫌いになりそうになる。

 けれど、今は――


 シノが、泣いてる。


「……シノと、一緒に、いたい」

 再び抱きついた私は、一つ一つ区切るように、言葉を重ねる。

「でも、でもですよ」

 するとシノは、いつものほんわかとした口調を少し崩しながら、私に言葉を返す。

「私、は……私は」


「――本当の『女の子』じゃ、ありません」


 知っていた。
 そんなことは承知の上で、私はこうしてシノに抱きついている。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
713Res/681.14 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice