らき☆すたSSスレ 〜そろそろ二期の噂はでないのかね〜
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「こなたの旅」 33 12/14 12/12でした
[saga sage]
2015/06/08(月) 00:11:32.38 ID:b7iGww1s0
言えなかった。冗談でも言えなかった。
みゆきさんの言うとおり。みゆきさんの前で言えなければ本人の前でなんて言えるわけない。
そんなのは分っている。解っているけど……言えなかった。
これじゃこの前と全く同じ。何も変わっていない。
まさかこんな事って……
有り得ない。
だけどこれは現実だ。夢じゃなかった。
こなた「は、はは、はははは……」
みゆき「い、泉さん?」
笑うしかないこれは笑うしかなかった。
こなた「こりゃ傑作だね、笑っちゃうよね〜」
私は帰り支度を始めた。
みゆき「泉さん、ですから私の前で……」
こなた「いいから、もう」
みゆき「いいから……とは?」
こなた「お邪魔しちゃったね、もう帰るから」
私は部屋を出ようとした。そうしたらみゆきさんは立ち上がって素早く私の前に回り込んでドアの前に立ちはだかった。
みゆき「まだ終わっていません、このままでは本番で失敗します」
こなた「本番はもうないから……」
みゆき「無とはどう言う意味です?」
こなた「言ったままの意味だよ……もう終わり、これじゃ何をしても無駄だよ」
みゆき「……どうしてです、まだ諦めるのは早すぎます、何かの落ち度があるのでしたらかがみさんともう一度作戦を練り直す時間くらいは……」
こなた「もう何をしても同じだよ」
みゆき「いいえ、違います」
こなた「……同じだよ、もう帰るからそこを退いてくれるかな……」
みゆき「これまで協力してくれた方々の想いが……分っているのですか、つかささん、かがみさん、まなみさん、田村さん……
……それに、此処に来たは泉さん自身の意思ではなかったのですか」
いつになく真剣なみゆきさんだった。
こなた「うんん、かがみが行けって言うから来ただけだから……」
私はみゆきさんの向こうにあるドアのノブに手を伸ばした。
みゆきさんは私のその腕を掴んだ。
みゆき「終わりとは、そのまま神崎さんを故郷の星に帰していいと言うのですか」
私はノブの方に向けて少し力を加えた。みゆきさんの腕はは押し返す力が加わった。
みゆき「本当にそれで良いのですか、私の目を見て言って下さい」
みゆきさんの手が更に強く握る。
みゆきさんに言われなくてもそんなのは解っている。分っているけど、身体が言う事を聞かない。
私は更に力を入れてドアを握ろうとした。
みゆき「このまま帰っても何も変わりません……」
変わらない。そう何も変わらない。私は腕の力を抜いた。それに気付いたみゆきさんは腕を放した。
こなた「そう、そうだよ、何も変わっていない……可笑しい、可笑しいよね……」
みゆき「い、泉さん?」
こなた「実はね……以前にも告白しようとしたんだよ……全くその時と同じ……うんん、言い出そうしただけ
その時の方がよかったかもしれない……まったく変わっていない」
私は顔を上げてみゆきさんの目を見た。
こなた「全く変わっていない、つかさにまなみちゃんにかがみ、ひよりにみゆきさんまで勇気を貰ったのに……
これじゃ何をしたって同じだよ……つかさの様な勇気があれば私は今此処に居ないよ……
まなみちゃんの様にピアノが弾けたら想いを全て音楽にできるのに……何もできない私は直接話すしかないから、
どうしようもないよ……言えないものは言えない、弱虫って言われてもしょうがないよ、言えない、
言いたくても言えない……言えない」
みゆき「例えそこで諦めたとして、何れ来る別れの時、泉さんはどうするのですか、会わずにそのままお別れするのですか
その時も何もしないつもりですか」
そう、そうだった。かがみもそんな事を言っていたし今回の作戦もそれが肝になっている。
そんな事は分ってた。いずれにせよ別れの時が来る。
つかさは別れの時に会えなかった。だけどそれが結果的に再会の切欠になった。
でもつかさは必死になっていた。
私だって必死だよ。つかさ以上にやっているつもり……つもりじゃ駄目なのかな……
私の場合会えない訳じゃない。会わない……会わないのか。
こなた「考えれば考えるほど言えなくなるよ……神崎さんが好きなんて……」
みゆきさんは一歩横に移動してドアを開けた。
みゆき「……確かに聞きました、本番はその調子で行けば大丈夫です」
こなた「え?」
みゆき「しっかり聞こえました、告白」
こなた「い、いやあれは独り言みたいなものでみゆきさんに言ったわけでも神崎さんに言った訳でも……」
みゆきさんは笑った。
みゆき「どちらでも良いではありませんか、泉さん自身の口から出たのは間違えないのですから」
こなた「みゆきさん……」
みゆき「ファイトです」
みゆきさんは小さくガッツポーズを取った。
みゆき「私に出来るのはこのくらいですが」
こなた「うんん、なんかすっごく勇気が湧いた様なきがした、ありがとう」
みゆき「いいえ、勇気をくれたのは泉さん、貴女ですよ……お互い頑張りましょう」
そしてみゆきさんと別れた。
今思えばあれは誘導だったかもしれない。だけどそれで私はこうして此処に居る。神崎さんと待ち合わせまで漕ぎ着けた。
もうそろそろ時間かな。
『ピピ』
頭の中で神崎さんの気配を感じた。メモリー板の機能が働いたみたいだ。もう彼はすぐ近くにいる。
もう後戻りは出来ない。
もうやるしかないんだ。
つづく
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