らき☆すたSSスレ 〜そろそろ二期の噂はでないのかね〜
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46:ひよりの旅 82/112[saga sage]
2013/02/11(月) 21:06:51.17 ID:W145K4B60
 公園の一角に私達とみなみちゃんは場所を確保した。人通りが少なく思いのほか静かだったからだ。
ひより「此処なら問題なさそう」
みなみ「ごめん……私、ひよりに全部押し付けてしまった……」
みなみちゃんは私に深く頭を下げた。
ひより「ふふ、今更そんな事言われてもね……でも、今ならまだ代われるよ、代わってくれるなら喜んで代わるよ」
みなみちゃんは慌てて頭を上げ、驚いた表情をした。
ひより「ははは、じょうだん、冗談だってば」
みなみ「……こんな時に冗談が言えるなんて、やっぱりひよりが適任……」
みなみちゃんは驚いた表情のまま答えた。
ひより「冗談でも言わなきゃこんな事出来ないよ、かがみさんは覚悟を決めているみたいだけど、やっぱりそれでも生きたいと思っているに違いない、
    一人の体じゃないからね……」
みなみ「……ひより、今、何て……」
みなみちゃんの携帯電話が鳴った。私を見ながら携帯電話を手に持った。
みなみ「……そう、橋を抜けて暫く歩くと私達がいる……」
みなみちゃんは私に向かって頷いた。合図だ。彼が、たかしが来る……みなみちゃんは携帯体電話を耳に当てながら私から離れて迎えに行った。

私一人広い公園に立っている。
みなみちゃんにかがみさんの赤ちゃんの話しをするのは少しフライングだったかな。結果がどうであれたかしと会った後にみんなに話すつもりだった。
空を見上げると夏の青空が広がっている。さて、覚悟を決めるか……私の覚悟なんてかがみさんに比べたら取るに足らないものかもしれないけど……
みなみちゃんは随分遠くに迎えに行った。小さく見える。どんどんみなみちゃんが近づいてくるのが分かった。そのすぐ後ろにゆーちゃん。またその後ろにまなぶが居た。
まなぶの後ろに男性が付いて来ている。彼がたかしだろうか。人間と距離を置いて住んでいるお稲荷さんの一人。はたして彼はどんなお稲荷さんなのだろう。
まなぶや佐々木さん以外のお稲荷さんは話しに聞いた真奈美さんしか知らない。緊張とプレッシャーが私を襲う。
彼はまなぶと一緒にどんどん私に近づいてきた。ゆーちゃんとみなみちゃんは途中で止まり私を見ている。
男「……彼女か、俺に用があると言う人間は」
ぶっきらぼうな話し方、ここに来るのが余り良く思っていないみたい。
まなぶ「そうだ」
男「あまり時間がない、手短に頼む……俺はたかしだ」
まなぶは私達から離れてゆーちゃん達の所に移動した。自己紹介か。それなら私も。ただの自己紹介じゃ私が誰か分からない。
ひより「わ、私は田村ひより、柊かがみの友人と言えば分かってもらえるでしょうか……」
たかしは少し驚いた顔になった。
たかし「柊かがみの友人、それで、その友人が俺に何の用だ?」
ここからが勝負、お願い。うまく行って……
ひより「い、今、柊かがみは不治の病に侵されています……残念ながら私達人間の力では彼女を治す事ができません、はるか彼方の惑星の、進んだ文明の知識を貸していただけませんか、
    私にとって彼女は掛け替えのない友人です……お願いです」
私は深々と頭を下げた。たかしは暫く私を見て大きく息を吐いた。
たかし「……まなぶが居たとは言え、よく俺を探し当てたな……俺が彼女、柊かがみにした事を知っていて、それでも俺に救えと頼むのか……」
ひより「はい、救えるお稲荷さんは貴方しかいないと伺っています……」
たかし「彼女の病名は何だ」
ひより「悪性脳腫瘍……」
たかし「そうか、それは残念だ……その病気を治す薬に必要な物質はトカゲの尻尾……野草……更に二年の発酵期間が必要だ……」
ひより「に、二年……」
私の頭の中が真っ白になった。
ひより「かがみさんの余命はあと半年……間に合いません、ど、どうすれば良いですか、何でもします、お願いです……なんとかなりませんか……」
私の目から涙が出てきた。わたしはたかしの目を見ながら懇願した。たかしは私の目をじっとみていた。
たかし「不思議だな、ホテルの会議室で君と同じように頼んだ人間が二人いた……」
ひより「えっ?」
たかし「ふ、ふふふ、はははは、これは傑作だはははは……田村ひより、遅い、遅すぎるぞ……」
急に笑い出した……何故、それに私と同じって……誰……理解出来ない……
たかしは笑い終わると真面目な顔になった。
たかし「二年前……柊つかさと言う人間が既に薬を作っている……昨夜、もう柊かがみに飲ませた、もうその話は終わっている」
ひより「へ、あれ……ど、ど、どう言う事ですか……」
まさに狐につままれるとはこの事なのか。何がなんだか分からない。
たかし「二年前、俺は人間の銃に撃たれた、その時通りかかった柊つかさに助けられた……彼女は俺を恋人のひろしと勘違いしていたがな……俺は彼女を試した、
    彼女は寸分狂わず俺の指示通り薬を調合した、薬を俺に使いたいが為に……俺がたかしと分かっていても彼女は同じ事をした、違うか、田村ひより」
ひより「あ、は、はい……つかさ先輩ならしたと思います」
たかしは微笑んだ。
たかし「俺はもう必要ないだろう、帰るぞ……」
ひより「待ってください、ホテルに居た二人って、柊つかさと高良みゆきですか?」
たかし「……そんな名前だったか」
ひより「あ、ありがとうございます」
たかし「何故礼を言う、薬を作ったのも飲ませたのも柊つかさだ、礼は彼女に言え……」
ひより「でも、その方法を教えたのは……」
たかし「教えさせたのも柊つかさだ……」
たかしは私に背を向けてきた道を戻って行った。




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