らき☆すたSSスレ 〜そろそろ二期の噂はでないのかね〜
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266:こなたの旅Q 1/4[saga sage]
2013/11/23(土) 06:40:05.15 ID:u3YGD9hd0
Q

 駐車場に向かう途中、つかさの店を横切る。もう辺りはすっかり暗くなっている。街灯がつかさの店を微かに照らし出す。そこを通り過ぎようとした時だった。
つかさの店の入り口に人影があった。店は臨時休業なのに、いや、普段だったとしてもとっくに閉店時間。あやしい。怪しすぎる。もしかして泥棒……留守なのをいいことに。
これは見逃せないな。
私は店にゆっくりと近づいていった。人影は立ち止まって動く気配はなかった。
近づいていくと目が慣れてきたのか人影の姿が見えてきた。どうやら店の入り口の臨時休業の張り紙を読んでいるみたいだった。
肩を落としため息をついた様に見える。後姿だからはっきりは分からない。つかさの店のお菓子目当てのお客さんなのかな。こんな時間に来るなんてよっぽどのファンだな。
人影が突然振り返った。私が店の前に立っていたのでバッタリと目が合った。
人影「うぁ!!」
こなた「ひぃ!!」
二人とも奇声を上げた。突然だったのでお互いに驚いてしまった。振り返って顔がはっきりと見えた。初老の男性だ。どこかで見たことがあるような……
男性「び、びっくりした……ん、あ、貴女は……?」
こなた「すぐ隣のレストランの店員ですけど……こんな時間に何かあったの?」
男性「こ、これは済まない、いつ再開するのか確認しにきましてね……帰り道だったもので……」
こなた「ここの店主は私の店で臨時に手伝ってもらっていて……」
男性「臨時……ですか?」
こなた「うちの店の店長が入院しちゃって……」
男性「入院ですか……それは大変ですね」
紳士的な対応だな……まてよ……この人……思い出した。まなみちゃんの演奏会前、つかさの店に行った時最初に来たお客さんだ。つかさがチケットを渡したから覚えている。
こなた「入院って言っても病気じゃなくて妊娠してちょっと調子を悪くしただけなので……もうすぐ退院するかな、それまでは休業すると思いますよ」
男性「そうですか……」
肩を落として残念そうな顔をした。
つかさ「どうしたの、こなちゃん?」
私の後ろからつかさの声がした。つかさが日直の仕事を終えて店から出てきたのか。私は振り返ろうとした。
男性「あ、あぁ、久しぶりですね!」
男性がつかさに駆け寄った。
つかさ「あ、どうもです……ご無沙汰しています」
やっぱりつかさと男性は顔見知りのようだ。この男性はつかさの店の常連客だな。
男性「いやぁ〜もう店仕舞いをしてしまうんじゃないかって心配しましたよ」
つかさ「すみません、知り合いの店の手伝いをしていますのでもう暫く休ませて頂きます」
男性「あぁ、さっきこの方から聞きました、すぐ隣の店なのですね、安心しました」
男性は何かつかさに会うのを待ちかねていたように喜んでいる。常連客にしては少しテンションが高すぎる。つかさのファンなのか……ま、まさか不倫なんて……ことは……
男性「ところで、演奏会、聴きましたよ、素晴らしかった……」
つかさ「あ、ありがとうございます」
つかさはこの時になって初めて笑った。
男性「貴女のお子さん……まなみさんって言いましたね……」
男性は胸ポケットから何かを出してつかさに差し出した。名刺だ。つかさはそれを受け取った。つかさは名詞を見た。
つかさ「……芸術大学……え……大学の先生?」
男性「この店から奏でるピアノの音……素晴らしい、是非私達の小学部に編入していただけませんか、私が特別推薦します、本格的にピアノを、音楽を学ばせたいと思いませんか?」
……凄い、みなみの言う通りになった。みなみはもうまなみちゃんを教えられないって言っていたし。いい機会かもしれない。
つかさは喜びながらも戸惑いの表情をした。
男性「……失礼しました、こんな夜遅くする話ではありません……つい興奮してしまって……即答できないですよね、日を改めてお伺いいたします」
男性は深々と頭を下げると店を離れて行った。つかさは名詞を胸に当てて男性が見えなくなるまで見ていた。




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