【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2

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101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 20:32:33.03 ID:mEzkS7jDO
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102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 20:32:56.40 ID:+5UrSjlyo
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103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 20:33:01.48 ID:w1/nwXQro
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104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 20:34:38.85 ID:rWfzya1aO
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105 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 22:49:33.95 ID:aYYOgcBr0
ターバンの褐色少女「おや? あんたたちは――」

イリス「あっ! 緑の国の大樹の宿で、紙と画材を売ってくれた商人さん!」

ターバンの褐色少女「復権派の皆さんじゃん! その節はお買い上げどうも!」

妖精「うげっ、ここで復権派の名前を聞くことになるなんて……。まあ、どうも……」

ターバンの褐色少女「あのビラ、うちで買った紙と画材で作ったんでしょ? あれだけ綺麗な絵が描いてもらえたんなら商人冥利に尽きるってもんよ」

クロシュ「んへへ……」

妖精「ふふん、凄い絵だったでしょ!」

ミスティ「描いたのはクロシュよ」

ターバンの褐色少女「それで捜し人は見つかったの?」

クロシュ「……」

妖精「いや……まだ捜し中」

ターバンの褐色少女「そか……。まあ元気出しなよ、安くしとくからさ!」

イリス「な、何か買う前提になってる……」

ターバンの褐色少女「そりゃあこんなとこに来てるなら買い物でしょ? 何をお探し?」

クロシュ「えと……。みんなで、お揃いの装備を……」

ターバンの褐色少女「お揃い? ははあ、なるほど! 復権派結束の印ってわけだ!」

ローガン「うむ。迅速な理解、感謝する」

ターバンの褐色少女「じゃあ最低でも6つは必要ってことだね?」

エバンス「おう。頼むぜ」

ターバンの褐色少女「新顔のお兄さんもよろしく! まあいろいろあるから見てみてよ」ガサゴソ

 *
106 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 22:51:25.13 ID:aYYOgcBr0
 守りのペンダント「」

エバンス「……お! この守りのペンダント、全員で付けるのに丁度良いんじゃないか!?」

ターバンの褐色少女「お目が高い! と言いたいとこなんだけど……それ2つしかないんだよね。ごめん!」

エバンス「そうなのか……」

ターバンの褐色少女「非力な後衛でもそこそこの防御力を得られる貴重な装備なんだけどさ、なかなか人気があって品薄なんだよ」



ローガン「ふむ……おっ」

 槍「」

ローガン「この槍は何という槍かね?」

ターバンの褐色少女「それは……槍だよ!」

ローガン「う、うむ……。それで、正式名称は……」

ターバンの褐色少女「槍!!」

ローガン「お、おお……や、槍か……」

ターバンの褐色少女「冗談だよ。その槍はねえ……持つ者の特性に合わせて形を変える不思議な槍さ」

ミスティ「えっ、そんな摩訶不思議な槍が存在するの?」

ターバンの褐色少女「試しに持ってごらん、ほい」スッ

ミスティ「え、ええ……はい」パシッ

 氷の槍「」キンッ

ミスティ「わっ!」

ターバンの褐色少女「おっ、お姉さん氷属性なんだねえ! ふふ、貴重な属性武器もこの槍ならこの通りってわけ!」

ローガン「おお……。つまり私が持つと鋼の槍だな……」

エバンス「俺が持つと土の槍か……」

ターバンの褐色少女「でも残念ながらこれは1本しかないレアアイテム! お値段もかなり張るから今回のお買い物には向かないと思うよ〜」

ミスティ「面白いけれど、今のところ武器には困っていないしね……」
107 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 22:54:23.01 ID:aYYOgcBr0
イリス「……ん? この耳飾りは……」

 くすんだ耳飾り『』

ターバンの褐色少女「あー……それ、ほんとは虹晶石なんだよ」

イリス「……えっ!? これが、あの虹晶石!? だって虹晶石は、触媒としても宝飾品としても最高級の、七色に輝く宝石のはずで……」

ターバンの褐色少女「前はその通りだったんだけどねえ。あの世界樹から光が飛んだ日……あれからすっかりくすんじゃってさあ……」

イリス「!! それって――」

妖精「……だろうね。虹晶石は、星の奥深く圧縮されて形作られる物質。多くの魔力に適合する性質を持ち……特に星の魔力の影響を受けやすい」

イリス「やっぱり……! あの本にも、書かれてた……!」

ターバンの褐色少女「やっぱり復権派の皆さんは何かご存知なの?」

妖精「うん、まあ……。この旅の目的も、あの世界樹の光を追って、元に戻すことなんだ」

ターバンの褐色少女「ははあ、なるほどね……。それ、戻ったらこの虹晶も元に戻る?」

妖精「うん、多分……。いや、断定はできないけど」

ターバンの褐色少女「断定はできないんだ……」

イリス「あの、ちょっとお借りしても良いですか? これ……」

 くすんだ耳飾り「」

ターバンの褐色少女「ん、いいよ。はい、落とさないでね」

イリス「はい! 星の魔力なら――」グッ

 コォォォォ―
 カッ

 七色に輝く耳飾り「」キラキラ

クロシュ「わあ……!」

ミスティ「これが……虹晶石……!」

エバンス「すげェ……!」

ローガン「美しいな……」

ターバンの褐色少女「今何やったの!?」

イリス「この虹晶石に、星の魔力を込めました! でも、長続きはしないと思います。根本の原因を解決しないと……」

ターバンの褐色少女「あ、そうなんだ……。はあ、結局不良在庫かあ……。うーん……よし、決めた! これ、あんたたちにあげる!!」

イリス「え、ええっ!? こんな貴重品を!?」

ターバンの褐色少女「うん! でも条件がある!」

ミスティ「条件……?」

ターバンの褐色少女「世界樹から飛んでった光とか、それによって起きてる異変とか、絶対解決してよ! いろんなとこで大変なことになってるし、あたしの故郷のテラヌス・ウルスも今めっちゃやばいみたいだから!」

妖精「……!」

ターバンの褐色少女「数も丁度6つ。世界を救う依頼料としちゃ安いくらいかもしんないけどさ」

妖精「ううん……凄く助かるよ。ありがとう……!」

ターバンの褐色少女「期待してっからね……!」

 ☆くすんだ耳飾りを6つ手に入れました
 ☆装備者の魔力回復と魔力出力が僅かに向上します

 ◆
108 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 22:56:26.47 ID:aYYOgcBr0
―港湾都市ウォーターポート 滞在5日目
 ◆パーティメンバー
 ◇クロシュ 武:鉄の小盾  防:ゴスロリエプロン
 ◇妖精   武:なし    防:エルフのレオタード
 ◇イリス  武:精霊樹の杖 防:魔術師のローブ
 ◇ミスティ 武:魔銀の短剣 防:精霊のローブ
 ◇ローガン 武:鋼の剣   防:鎖帷子
 ◇エバンス 武:鉄の剣   防:革の鎧
 ・共通   飾:くすんだ耳飾り

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*2
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・鋼の回転ノコギリ
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・トコナツ火山島行きの船を探す
・海渡りの姿を獲得する[1/3]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
……………………………………………………………………………………
□港湾都市ウォーターポート 主要施設
大通り:旅の船着場、武具店、雑貨店、魔法店、鮮魚店、食品店、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
裏通り:占い屋、怪しい露天商、暗黒商店、奴隷商店、他
沿岸部:港、造船所、魚河岸、灯台、他
隣接地:機械工業都市テンペスター
……………………………………………………………………………………

イリス「虹晶の耳飾りをもらっちゃうなんて……!」

ミスティ「……ふふ……私たちのパーティにはぴったりじゃない?」

ローガン「うむ……! 星の光を追うこのパーティの象徴として、これほど適したものもないだろう」

エバンス「光を取り戻す度、この耳飾りも色を取り戻していくってことか……! へへ、面白い……!」

妖精「本当に私たちにはぴったりかも……。気が引き締まるなあ……!」

クロシュ「ん……!」

 くすんだ耳飾り「」キラッ


ウォーターポート滞在5日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 22:57:04.72 ID:T4zBGrvv0
一息つくために海で遊ぶ
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 23:00:08.93 ID:jJ4DQoxq0
みんなで食事する。ついでにエバンスの事について色々聞いてみる(使える魔法とかどこに住んでいるのかなど)
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 23:01:33.23 ID:rWfzya1aO
メカニクスについての情報集め
112 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 23:15:15.82 ID:aYYOgcBr0
妖精「セイントメカなんとかについての情報収集は午後にして、午前中は少しゆっくりしようよ。最近みんな動きっぱなしだったしさ」

イリス「そだね。せっかく海に来てるんだし、ちょっと海で遊びたいかも!」

ローガン「海か……。そういえば、皆水泳はどれくらいできるのだ?」

ミスティ「水泳……」

エバンス「あー……確かに、海に出るなら最悪の事態に備える必要はあるもんな」

ローガン「うむ。各々の水泳能力は把握しておきたい。せっかく海で遊ぶわけだしな!」

クロシュ「……」


コンマ数値が大きいほど水泳が得意(0が最大)
↓1 1桁目クロシュ(人型) 2桁目妖精

↓2 1桁目イリス  2桁目ミスティ

↓3 1桁目ローガン  2桁目エバンス
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 23:22:07.11 ID:mEzkS7jDO
はい
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 23:27:22.18 ID:DSe7guRp0
高く
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 23:31:53.19 ID:w1/nwXQro
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 23:32:51.88 ID:w1/nwXQro
クソ極端なの笑っちゃうんですよね
117 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/29(月) 00:16:15.93 ID:AHGoEKSW0
―海岸

 ザァーン ザザァーン…

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ」


イリス「とりゃっ!」ザブン!

ローガン「むんっ!」ザバァン!

 スイスイ

イリス「むむっ……! ローガンさんやりますね……!」

ローガン「イリスくんもその若さで、かなり、やる……!」

イリス「えへへ、水泳は昔からけっこう得意だったんです! 水魔法も併用すれば――それっ!」

 バシュウウウン!!!

ローガン「うおっ……! フッ、技術では私に分があるが、魔法を使えばイリスくんの方が上手か……。しかし他の皆は……?」



クロシュ「」ブクブク

ミスティ「く、クロシュ……!!」タッ ザブンッ

エバンス「い、今助ける!!」タッ ザバァン!

ミスティ「」ブクブクブク

エバンス「」ブクブクブク

妖精「わあああ! う、海よ! 三人を助けて!!」ポウ

 ザバァァアン――…

 *
118 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/29(月) 00:17:00.11 ID:AHGoEKSW0
スライムクロシュ「」グニャァ…

ミスティ「ごめんなさい……」グッタリ

エバンス「面目ねえ……」グッタリ

ローガン「すまん、私も迂闊だった……」

イリス「ご、ごめんね……私も浮かれてた……」

妖精「ま、まさか……イリスとローガン以外、だめだめだったなんて……」

イリス「よ、妖精さんは……?」

妖精「私も全然だめ……。飛べるから、泳ぐ必要なんてなかったし……」

ローガン「ううむ……。これは……大丈夫だろうか……」

妖精「クロシュ……水が苦手なら、無理しなくて良いよ……? 海上移動は、別の方法も探せるからさ……」

スライムクロシュ「……」

 デロデロ…ポン!

イカダクロシュ「」モニョニョ!

妖精「だ、大丈夫……? でも、クロシュが溺れたらみんなも危ないしさあ……」

イカダクロシュ「」モニョモニョ!

イリス「な、なんか張り切ってるのは伝わるけど……。なんて言ってるの?」

妖精「フメイちゃんの姿だから泳げなかっただけで、別の姿なら全然平気! だって……」

ローガン「そ、そうなのか……。まあ、フメイくんは炎属性だしな……」

 ☆イリスの水泳能力が判明しました(8:とても上手)
 ☆ローガンの水泳能力が判明しました(9:達人)
 ☆クロシュ、妖精、ミスティ、エバンスの水泳能力が判明しました(1:カナヅチ)

 ◆
119 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/29(月) 00:19:08.94 ID:AHGoEKSW0
というわけで本日はここまでです。次回はお昼ご飯を食べながらエバンスのお話編、セイントレアメカニクスの情報編です

いろいろあって高級品の虹晶の耳飾りをもらったり、皆さんの水泳能力が判明したりといった午前中でした
虹晶の耳飾りは光を取り戻す度に本来の輝きを取り戻していくかもしれません。今は効果の微妙な装飾品ですが、最終的にはそのレアリティに見合った素晴らしい効果を発揮してくれることでしょう
そして、イリスさんとローガン氏以外はカナヅチ級という衝撃の事実が発覚してしまいました
一応、クロシュさんがモニョモニョ言っていたように、クロシュさんはちゃんと水に適した姿を取っていれば水泳に支障はありません。フメイちゃんの姿が絶望的に水に適していなかったのでしょう。ちゃんと海渡りの練習をすれば海を渡れるだけの実力を身に付けることはできますので、ご安心くださいませ

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/29(月) 11:22:09.82 ID:08mggUUNo
乙です
フメイちゃんもカナヅチっぽくなって流れ弾被弾草
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/29(月) 12:23:51.81 ID:s9AQb98cO

女性陣はどんな水着だったのか
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/29(月) 16:38:15.83 ID:qgTNJpnzO
フメイちゃんの弱点わかったな!
123 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/29(月) 18:42:56.64 ID:AHGoEKSW0
クロシュ氏曰く、フメイちゃんは水が苦手なようです。それが炎属性の影響によるものなのかどうかはわかりません
なおフメイちゃんは炎魔法で飛行することができるため、基本的には水に入る必要がないようです

この大陸では水中に入る際に専用の水着を着用する文化は浸透していないため、今回は全員下着で水に入ったようです。蜘蛛絹の下着は丈夫で水にも強いのでしょう
なおトコナツ島では水着を着る文化があり、若い女性やファッション業界人を中心に密かな注目を集めています
124 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/29(月) 18:44:20.39 ID:AHGoEKSW0
―昼
 冒険者ギルド 酒場

 ワイワイ ガヤガヤ

ミスティ「うぅ……水泳なんてしたことなかったのよ……。水上は凍らせれば歩けるし……」

妖精「私は飛べるし……」

イリス「ミスティと妖精さんは水に入る必要がなかったんだね……」

エバンス「……俺は特に理由なく泳げん。昔から苦手なんだ、水が……」

クロシュ「……わたし……イカダに、なれる……!」

ローガン「……私とイリスくんは水中で救助活動が行えるくらいには泳げるし、水に入る必要のない妖精くんも自然魔法で救助できる……。ミスティくんは氷を張れるし、クロシュくんは水に適した姿になれば問題ない……まあ、意外となんとかなるか?」

エバンス「俺以外のカナヅチ民は地力でなんとかできる、だと……」

イリス「ど、どんまいですエバンスさん! 泥舟を作りましょう……!」

エバンス「やっぱ作るしかねえか、泥舟……!!」
125 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/29(月) 18:44:54.93 ID:AHGoEKSW0

ローガン「ところでエバンスくんは急遽このパーティに入ったわけだが、傭兵団のことは大丈夫なのか?」

エバンス「ああ。個人依頼を請けたから団にはしばらく戻れんと伝えてある」

ローガン「ほう……柔軟で融通の効く良い職場なのだな」

エバンス「おう。というかまあ、傭兵団とは言ってもバラけていることの方が多いからな。全員集まるのはよっぽどの大仕事くらいで、普段は小規模な依頼を数人単位で回してることの方が多いんだ」

イリス「へえ〜。あれ、普段はどこにお住まいなんです? ここ?」

エバンス「あー……一応、拠点はチカーバの街にあるんだが……戻ることはあまりないな。今も全員出払ってるはずだから、多分もぬけの殻だ」

ミスティ「ああ、だからここで飲んだくれていたのね……。大怪我をしているあなたを誰もいない拠点に置いていくわけにはいかなかったから……」

エバンス「恥ずかしながらそういうことだ」


給仕の女性「いらっしゃいませ! ご注文がお決まりになりましたら――エバンス! どこ行ってたの!?」

エバンス「おわっ! あんたか……。どこって、仕事だよ。いろいろあってこのパーティに雇われることになったんだ」

給仕の女性「えっ……!? そ、そうなんだ……。良かったじゃない、仕事が見つかって」

エバンス「無職だったみたいな言い方はやめてくれよ。怪我で休職中だっただけだ」

給仕の女性「ご、ごめん……。でも……ほんとに良かったよ。もう……飲んだくれないでよ」

エバンス「……おう」


ローガン(……これは……)

妖精(人間の乙女心ってやつは複雑なんだよねえ……)


↓1〜2 食材を1〜2つ選択
肉類:トリ肉、ケモノ肉、オーク肉、触手肉
野菜:セイントレア草、王国キャベツ、ユーシリアカボチャ、海藻類
穀物:ウルティ米、ヤマイモ、ふっくらパン、港湾パスタ、甘もろこし、ナッツ
魚介:カニ、海ザリガニ、異世エビ、アークサーモン、イクラ、ホタテ、ウニ
果実:リンゴ、モモ
卵乳:トリの卵、ミルク、チーズ
特殊:スライムゼラチン
※表にない調味料などが使われることもあります
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/29(月) 18:48:38.70 ID:UHVuSmC0O
トリ肉、セイントレア草
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/29(月) 18:48:41.36 ID:08mggUUNo
触手肉
128 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/29(月) 21:37:48.16 ID:AHGoEKSW0
 お品書き『セイントレア草』

ミスティ「ねえ……このセイントレア草というのは、どういう野菜なの?」

エバンス「ああ、セイントレア草はここセイントレア王国に自生しているハーブの一種だ。薬効もあって香りも良いし、何より手軽に採れるからウチの傭兵団でも重宝してた」

妖精「いろんなとこに自生してるから昔から旅人の心強い味方だったんだよね。以前はチユ草って呼ばれてたんだよ、こんな忌々しい名前じゃなくて」

ミスティ「え、王国が勝手に名前を変えたってこと……?」

妖精「そう。まあ人間が付けた名前なんて植物たち自身にとってはどうでも良いことだから、別に良いんだけどさ」

エバンス「そうだったのか……。いや、しかしいろいろ強権的で問題があるよな、王国のやり方は」

妖精「まあ今更気にしても仕方ないけどね。せっかくだし頼んでみよっか、セイントレア草」

 *

 王国風トリ肉と触手肉の香草焼き「」ポン!

クロシュ「〜♪」モグモグ

ミスティ「美味しいわね……」モグモグ

ローガン「うむ、美味いな」モグモグ

エバンス「やっぱりセイントレア草は万能だな!」モグモグ

イリス「今度見かけたら採っていきましょう!」モグモグ


妖精「うへぇ……触手肉って本当に美味しいの……?」

ミスティ「あら……妖精は食べたことなかったの……?」

妖精「ない……触手は妖精の天敵だし……。いや、これが常闇の触手とは全くの別種なのはわかってるけど……」

イリス「あー……確か常闇の樹海に生息するやつだよね。妖精や精霊を好んで捕食するっていう……」

妖精「うん。触手って言えば私にはその印象が強いからさあ……」

イリス「食べるだけ食べてみるのも良いんじゃないかな? 口に合わなかったら残せば良いし」

クロシュ「……残り物、わたし、食べる……!」

妖精「まあ……食べてみるよ、うん……」スッ

 モグモグ…

 ◆
129 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/29(月) 21:38:22.83 ID:AHGoEKSW0
―機械工業都市テンペスター

 ガゴン ドドドド ガゴン―

 自動貨物馬車『』ドドド

 作業ゴーレム『エッサホイサ』ガションガション


 警備ゴーレム『ピピ……ヨオコソ、テムペスターへ。歓迎イタシマス』ウィーン ペコリ

イリス「わあ……! ここが、機械都市テンペスター……!」

ミスティ「勝手に馬車が走ってる……どうなっているの……!?」

エバンス「最先端の魔導機械技術ってやつだ。ああいう自立稼働する魔導機械が登場したのもここ近年のことらしい」

ローガン「テンペスターの技術競争は凄まじいと聞くが、まさかこれほどとは……! 全く想像も付かぬ世界だ……!」


妖精「うへぇ……。ここにいると目が回りそうだよぉ……」グルグル

クロシュ「妖精さん……。わたしの中で、休んでる……?」

妖精「そうする……」モゾモゾ


↓1コンマ セイントレア・メカニクスについての情報収集
01-40 最近の動向
41-80 関係者の証言
81-00 ??
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/29(月) 21:39:20.40 ID:2a+MeGuq0
131 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/29(月) 22:32:36.37 ID:AHGoEKSW0
案内メイド人形「テンペスターへようこそ、旅人の皆様。歓迎致します」ペコリ

クロシュ「……?」

イリス「メイドさんだ!」

エバンス「ところがどっこい、これは本物のメイドじゃなくてメイド型の魔導ゴーレムなんだぜ」

イリス「えっ、ええっ!? この人が……ゴーレム!?」

案内メイド人形「はい。私はテンペスターのご案内をする為に配置された魔導人形でございます。ご用命がありましたら何なりとお申し付けくださいませ」

イリス「……! た、確かに……魔力の波長が、生き物とは全然違う……本当に、ゴーレムなんだ……」

ミスティ「こ、こんな技術まで……。恐ろしいわね……」

ローガン「う、うむ……。だが案内してくれるというのなら、せっかくだし彼女にいろいろ聞いてみよう」

 *

案内メイド人形「――以上が、ここ最近のセイントレア・メカニクス社様のご動向になります。お役に立てましたでしょうか?」

イリス「あ、うん! 丁寧に教えてくれてありがとう!」

案内メイド人形「人間の皆様にお仕えすることが、私たち魔導人形にとっての至上の喜びです。また何かありましたら遠慮なくお申し付けくださいませ」ペコリ



ミスティ「彼女に教えてもらった内容をまとめると、大体こんな感じね」

・セイント社は数年前に驚異的な技術革新を起こし、世界一の魔導機械開発企業に成長した
・近年登場した自立稼働する馬車やゴーレム、魔導人形は技術革新によって生み出されたもの
・近年の王国内では人権意識が高まっており、奴隷の代わりに魔導人形を活用しようという運動が広がっている
・その運動を受けてセイント社も魔導人形の増産に力を入れ、新時代の奴隷として打ち出し始めている
・しかし大量生産・大量消費による廃棄問題や、人間に加害行動を取る魔導人形『バグ』の出現等、新たな問題も生じている
・セイント社は現在、バグへの対応策となる製品を開発中

イリス「う〜ん……海賊の手がかりにはならなそうかなあ」

ローガン「ううむ、やはり表に出ている情報だけではわからんな……」

エバンス「そうだな。しかしなんというか、ちょっと胸糞悪いっつーか……」

イリス「……私も。なんだか……モヤモヤします」

ミスティ「……そうね。奴隷を解放する代わりに……彼女たち魔導人形を新たな奴隷にしようというのは……」

妖精「でも、魔導人形は心も感情も持たない機械なんでしょ? ならどんな扱いをしても苦しまないし良いんじゃないの?」

イリス「むう……。確かに……苦しくなければ、いいのかなあ……」

ローガン「……奴隷を手放しで是とする王国のこれまでの在り方と比べれば、これはこれで大きな前進と言えるかもしれんな」

クロシュ「……」


↓1〜3多数決 クロシュはどう思う?
1.心がなくても、かわいそう
2.心がなければ、いいのかな
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/29(月) 22:34:09.44 ID:o3rdANIq0
1
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/29(月) 22:39:36.41 ID:f8kl2wC+o
2
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/29(月) 22:43:06.69 ID:8OM1+03DO
1
135 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/29(月) 23:17:40.72 ID:AHGoEKSW0
クロシュ「えと……。でも……かわいそう、だと思う……」

イリス「クロシュちゃん……!」

妖精「クロシュはそう思うの?」

クロシュ「うん……。心が……なくても……。酷いこと……するのは……だめ、だと思う……」

妖精「ふふ……そういえばクロシュは、勇者の銅像もほったらかしはかわいそうって言って掃除したくらいだもんね」

クロシュ「うん……」

妖精「うん、クロシュはそれで良いよ。そのまま、優しいスライムでいるのが良い」

クロシュ「ほえ……? うん……」

 ☆クロシュの考え方は特に変わりませんでした

 ◆
136 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/29(月) 23:18:45.45 ID:AHGoEKSW0
―港湾都市ウォーターポート 滞在6日目
 ◆パーティメンバー
 ◇クロシュ 武:鉄の小盾  防:ゴスロリエプロン
 ◇妖精   武:なし    防:エルフのレオタード
 ◇イリス  武:精霊樹の杖 防:魔術師のローブ
 ◇ミスティ 武:魔銀の短剣 防:精霊のローブ
 ◇ローガン 武:鋼の剣   防:鎖帷子
 ◇エバンス 武:鉄の剣   防:革の鎧
 ・共通   飾:くすんだ耳飾り

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*2
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・鋼の回転ノコギリ
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・トコナツ火山島行きの船を探す
・海渡りの姿を獲得する[1/3]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
……………………………………………………………………………………
□港湾都市ウォーターポート 主要施設
大通り:旅の船着場、武具店、雑貨店、魔法店、鮮魚店、食品店、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
裏通り:占い屋、怪しい露天商、暗黒商店、奴隷商店、他
沿岸部:港、造船所、魚河岸、灯台、他
……………………………………………………………………………………
□機械工業都市テンペスター 主要施設
大通り:武具店、雑貨店、機械店、無人食事処、自販機通り、冒険者ギルド、他
裏通り:闇市、薄暗い路地裏、他
沿岸部:港、造船所、コンテナ港、工場地帯、灯台、他
……………………………………………………………………………………

―朝
 旅の船着場 ロビー

イリス「セイント社の認識阻害装置……うーん……」ウロウロ

エバンス「情報が足りないな……。もう一度テンペスターへ出向くか、別の調べ方を考えるか……」

ミスティ「……マフィアとこれ以上接触するのは……危険よね」

ローガン「うむ……。顔は見られていないとは言え、あれだけの暴力を働けば彼らも犯人を探すだろう。今は避けた方が良い」

妖精「クロシュの海渡り練習もしなきゃね」

クロシュ「ん」


ウォーターポート滞在6日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/29(月) 23:20:24.81 ID:2a+MeGuq0
テンペスターの闇市を探ってみる
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/29(月) 23:26:10.27 ID:8OM1+03DO
クロシュの海渡りの練習をする
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/29(月) 23:26:41.17 ID:s9AQb98cO
魔法店で禁術の魔道書(フラナ作)を発見
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/29(月) 23:27:03.63 ID:ampOse7dO
エバンス氏の実力を知りたいので模擬戦やるよ
141 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/29(月) 23:47:24.48 ID:AHGoEKSW0
本日はここまでとなります。次回は闇市編、海渡り練習編、魔導書編です

クロシュたちは少しづつ近づいています、海賊の正体へ。イリスちゃんたちは空振りだと思っているようですが、しっかり前進しておりますのでご安心ください
かの技術革新がもたらしたのは、奴隷解放の光か――。それとも――。

それでは、本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします
なお大型連休中の予定が少々はっきりしておりませんので、突然更新したり休日なのに更新できなかったりするかもしれません。ご容赦くださいませ。
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/30(火) 00:16:42.67 ID:cyj+KLoGO
おつ。
次はエバンス氏の模擬戦とれるといいな
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/30(火) 01:16:53.49 ID:ndTKmKGro
乙です
道具だとしてもあえてひどい扱いする理由にはならんと思いますよええ
金髪エルフはテンペスター一日居れそう
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/30(火) 04:20:00.28 ID:5+60g+qn0
乙です
話しが進んでしまったけど>>106で特性に合わせて変わる槍について質問なんですが、ミスティは氷、ローガンは鋼、エバンスは土に変わる事が分かったけど、イリスや妖精のような複数の特性がある者(イリスは星、妖精は自然)やクロシュが持つとどうなるのでしょうか?
145 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/02(木) 18:25:47.96 ID:63N8f+CG0
突然ですが本日は少しだけ更新したいと思います。よろしくお願いします

エバンス氏はローガン氏ほどの経験はありませんが、軽装で若さがあるため瞬発力や速度に秀でているようです
そしてやや魔法寄りだったパーティが彼の加入によって物魔のバランスが取れたものとなりました。今後の活躍に期待できましょう

道具は大切に使えば実際長持ちします。クロシュがそこまで考えているかはわかりませんが、現時点のクロシュとしては道具であっても大切にしたいようです

金髪イケメン汚職エルフは実際テンペスターのことを気に入っています。マーベル社製の回転ノコギリにも、テンペスターでの競争によって培われた技術がふんだんに使われているようです

あの槍についてですが、妖精が持った場合は妖精サイズの小さな槍になり、さらにその場の環境によって性質が変化する槍となります(水中では水の槍、吹雪の中では吹雪の槍、雷雲の中では雷の槍、等)。イリスが持った場合は星の槍(星属性)となります。クロシュが持つと、クロシュの擬態や変身に合わせて様々な形状に変化する槍となります
146 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/02(木) 18:27:25.39 ID:63N8f+CG0
―機械工業都市テンペスター
 闇市

 ゾワゾワ… ヒソヒソ…

闇の武器商人「毎度。約束のブツだ、持っていきな」コソコソ

怪しい客「助かるぜ」ヒソヒソ


仮面の男「ほう、これが……」

違法パーツ屋「ええ、それを組み込めばあなたの奴隷人形も――」ヒソヒソ


暗黒行商少女「これをアンタの義手に組み込めば性能が数倍に跳ね上がるわよ?」ニヤニヤ

魔導義手の男「数倍だと……」ゴクッ



イリス「こ、ここが闇市……!」

ミスティ「白昼堂々とやばそうな取引が行われているじゃない……。ここの治安はどうなっているのよ……」

エバンス「ああ、それなら――」



憲兵ゴーレム「……」ガションガション

怪しい商人「――」ヘラヘラ
怪しい客「――」チラッ
違法パーツ屋「――」ニコニコ
仮面の男「――」ニヤニヤ

憲兵ゴーレム「ピピッ……登録外ノ事業者ヲ確認。強制連行モードニ移行シマス」ガショショ

暗黒行商少女「おわっ! チッ、今月はまだ払ってなかったか。払えば良いんでしょ、払えば」ガサゴソ

 チャリンチャリン ガチャチャチーン!

憲兵ゴーレム「ピピッ……登録ヲ確認。強制連行モード解除。巡回モードニ移行シマス」ガションガション

暗黒行商少女「ペッ……金の亡者が……」



イリス「ええ……」

エバンス「見ての通り、みかじめ料さえ払えば見逃してもらえんだ。あの女の子は今月分をまだ払ってなかったみたいだな」

ミスティ「白昼堂々と汚職が……いえ、もういいわ……。それにしてもあの商人、私やイリスと同じくらいかしら……」

ローガン「虹晶の耳飾りを譲渡してくれた商人の少女も君たちと同じくらいだったな」

妖精「同性同職同年代と言っても生き方は自由だからねえ」

イリス「それはそうかもしれないど……。なんだかなあ……」

エバンス「クロシュちゃんは一人でこんなとこ来ちゃダメだぞ。危ないからな」

クロシュ「うん……」


↓2 闇市です。どうしますか?
1.闇の武器商人に聞いてみる
2.違法パーツ屋に聞いてみる
3.暗黒行商少女に聞いてみる
4.他の客に聞いてみる
5.聞き込みはせず商品を見ていく
6.その他(自由安価)
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/02(木) 18:33:51.21 ID:+V1/nCw90
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/02(木) 18:35:12.88 ID:UI6JFlozo
3
149 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/02(木) 19:47:53.33 ID:63N8f+CG0
イリス「せっかくだしあの子に聞いてみよう! 歳が近いから話しやすそうだし!」ズンズン

エバンス「お、おい! 同年代っつってもこんなとこで商売してる奴だぞ……!」

 *

イリス「こんにちは……!」

暗黒行商少女「いらっしゃい。何をお求めかしら?」

イリス「ちょっと聞きたいことがあって。ここって、セイントレア社の製品とかって扱ってますか?」

暗黒行商少女「もちろん! それも市場に出回ってない試作品とか、商品化を見送られたヤバイ奴とかね。フフ……何が欲しいの?」

イリス「実は――」

 *

暗黒行商少女「海賊の認識を阻害する装置ィ?」

イリス「うん。私たち、どうしても海を渡りたくて」

暗黒行商少女「ふうん……」


エバンス(一応後ろから見てはいるが……今のところは大丈夫か……?)


↓1コンマ
01-20 これのことね!
21-40 さっぱりわかんないわ
41-60 憶測(有料)
61-80 情報(有料)
81-95 これのことかしら
96-00 これのことね
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/02(木) 19:48:30.05 ID:jiWFlBDDO
はい
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/02(木) 19:48:43.19 ID:+V1/nCw90
152 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/02(木) 21:48:36.53 ID:63N8f+CG0

ローガン「エバンスくん! ちょっと来てもらっていいか!?」

エバンス「えっ、何だ!? 今行く!」タタッ


イリス(あっ、エバンスさん……! あっちで何かトラブルがあったのかな……と、とにかく私一人でもお話を聞こう!)


暗黒行商少女「飯盒と同じくらいの大きさ……これのことね!」

 飯盒くらいの大きさの装置「」ドン!

イリス「こ、これは……?」

暗黒行商少女「ここ最近世間を騒がせている海賊ってのは、私の情報網が間違っていなければ――バグよ」

イリス「えっ……バグって、おかしくなった自立型魔導機械の……?」

暗黒行商少女「そう。そしてバグに限らず、自立型の魔導機械は特定周波数の魔力波長を正しく認識できない欠陥があんのよ」

イリス「え、ええ!? そうなんですか!?」

暗黒行商少女「ほとんど知られてないけどね。そんな欠陥が知られたら家庭用はともかく軍用のは使い物にならなくなるでしょ、簡単に対策できちゃうんだから」

イリス「た、確かに……」

暗黒行商少女「そしてこれこそが、その周波数の魔力波長を出せるセイントレア社のバグ対策製品ってわけ。さっき言ったような理由でリリースは見送られたけどね」

イリス「そ、そうなんだ……あれ、でもそれならどうしてマフィアは、そんな市場に出回ってない機械を持っているの?」

暗黒行商少女「出回ってるじゃない。ほら、ここにも」

 飯盒くらいの大きさの装置「」ドン!

イリス「あ、確かに……!」

暗黒行商少女「試作品とか試験品の横流しなんてここテンペスターじゃ茶飯事よ。それにセイントレア社なんて裏じゃ何やってるかわからない真っ黒企業、マフィアと繋がってマッチポンプ体制を築いていても何も不思議じゃないわ」

イリス「そ、そうかも……」

暗黒行商少女「まあそういうわけだから、これ売ってあげるわ。適正価格でね。私、優良業者だから」


イリス(……そう言って彼女が提示した金額は、少々お高いものではあったけれど出せない額ではなかった)

イリス(でも……本当に信用して大丈夫なのかな……?)


暗黒行商少女「ああそうそう、私この話が終わったらテンペスターを出るから、買うなら今のうちよ」

イリス「えっ!?」

暗黒行商少女「私も旅の行商人だから、仕入れたものは別のとこで売りたいのよね。今回は特別だけど」

イリス「え、ええと、ええと……!」

暗黒行商少女「ふふ……今買わなきゃ二度と手に入らないかもね! 私以外にこれを扱ってる闇商人は見たことないし!」

イリス「〜〜!!」グニャグニャ


イリス(どどど、どうしよおおお!!!)

 ※ファンブルにより、イリスは冷静な判断ができなくなってしまいました……
 ☆飯盒くらいの大きさの装置を買ってしまった

 ◇
153 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/02(木) 21:49:36.00 ID:63N8f+CG0

イリス「……み、みんな」ヨタヨタ

クロシュ「イリスさん……!」

妖精「こんなとこで一人で動いちゃ危ないよ!」

エバンス「すまん! 俺が付いてたんだが……」

ローガン「む……すまぬ。どうやら状況を考えずにエバンスくんを呼んでしまったようだ」

ミスティ「……? イリス、その荷物は?」

イリス「あ……え、えへへ……認識阻害装置……かも……」

妖精「えっ……」

ミスティ「ええっ!?」

ローガン「なに!?」

クロシュ「わあ……」

エバンス「……」ダラダラ

 *
154 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/02(木) 21:51:21.06 ID:63N8f+CG0

案内メイド人形「……」



イリス「よ、ようし……それじゃあ早速、あのメイド人形さんで試してみよう……! 認識が阻害されるだけだから、具合が悪くなったりとかはないはず……!」

 飯盒くらいの大きさの装置「」ドンッ!

ミスティ「でもこれ、どうやって動かすの……?」

イリス「魔力を充填して、このスイッチを押せば起動するんだって。もう魔力は充填済みだから、あとはスイッチを押すだけ……!」

ローガン「その商人の言葉が真であれば、自立型魔導機械の認識に異常が発生するというわけだな」

イリス「はい……! で、では……いきます!」

 ポチッ

 飯盒くらいの大きさの装置「」ウォーン―

イリス「わっ、なんか暖かくなった……!」

ミスティ「変な音もするわね……。これがその特定周波数の魔力波長ってやつが出す音なのかしら……」

妖精「……これで、魔導機械は私たちを認識できなくなったの?」

イリス「そ、そのはずです! 試しに……これを持ってメイド人形さんに近づいてみます!」

 スタスタスタスタ…

イリス「こんにちは、メイドさん!」ヌッ

案内メイド人形「こんにちは、旅人のお嬢様。昨日振りでございます」ペコリ

イリス「!!?!!?!???」ババッ

妖精「だめじゃん!!!!」

イリス「なな、なんで!?」

案内メイド人形「おや。それはセイントレア・メカニクス社様の『どこでも炊きたて魔導飯盒SRMX-140』ですね。リリースは一世代前ですが、優れたデザインに実用性・使いやすさを兼ね備え、今なお多くのご家庭や旅人の方々に愛用されている人気商品でございます。良いものをお買い上げになられましたね」

イリス「ま……魔導……飯盒……?」

イリス「あ、ああ……まさか……私……」グニャァ

ミスティ「い、イリス! 気をしっかり……!!」

 ◆
155 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/02(木) 21:52:16.30 ID:63N8f+CG0
―昼
 旅の船着場 客室

 どこでも炊きたて魔導飯盒「」パカッ
 炊きたてごはん「」ホカホカ

イリス「」ズーン…

クロシュ「イリスさん……」サスサス

ミスティ「……そう気を落とさないで。ほら、美味しいごはんが炊けたわ……」

イリス「うぅ……。ごめんなさい……みんなから預かった、大事なお金を……」

ローガン「う、うむ……。だが君に預けたのは旅の資金のほんの極一部でしかないのだ。そこまで大きな損失ではない……」

エバンス「おう……。それにこいつは、君を一人にしちまった俺の責任でもあるんだ」

妖精「そうだよ、もう。イリスはしっかりしてるけどまだ子供なんだから、おじさん二人が目を離したのが悪い!」

ローガン「うむ……」

エバンス「め、面目ねェ」

妖精「……まあ、目を離したのは私もだけど。ごめん」

 ◆
156 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/02(木) 21:53:25.53 ID:63N8f+CG0
―海岸

 ザァーン ザザァーン…

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ」


イカダクロシュ「」プカプカ

ローガン「おお、安定しているな」

妖精「よし、イカダへの擬態はバッチリだね。じゃあ今日はもうちょっと複雑な形に挑戦してみよう」

イカダクロシュ「」モニョニョ?

妖精「イカダで3日間も航海なんて無理だからね」

イカダクロシュ「」モニョ

エバンス「おし、俺も泥舟作りの練習だ!」

ローガン「……私も、鋼魔法で船を作ってみよう」


↓1 特訓の成果
01-60 小舟(経験2/3)
61-95 大亀(経験3/3)
96-00 海竜(経験☆)
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/02(木) 21:53:43.12 ID:+V1/nCw90
158 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/02(木) 23:37:19.78 ID:63N8f+CG0

小舟クロシュ「」プカプカ

泥舟「」ドロドロ

鋼船モドキ「」ブクブク


妖精「舟作りの腕前はクロシュが一番みたい」

エバンス「くっ、どう作っても溶けちまう……どうすりゃ溶けない泥舟が作れるんだ……!」

ローガン「ううむ……空洞があれば理論上は鋼でも水に浮くはずなのだが……。浮いた状態で安定した形を作るのが難しいな……」

小舟クロシュ「」プカプカ

妖精「……クロシュの造形能力って実はかなり凄いのかも。絵も上手いし……」

エバンス「確かに、イカダも小舟も全然転覆せず安定してるもんな。しかし絵も上手いのか……!」

ローガン「鋼魔法や地魔法が使えれば、絵だけなく精巧な鉄像や石像をも作れるようになれたかもしれんな、クロシュくんは」

小舟クロシュ「」プカプカ モニョモニョ

 ☆クロシュの海渡り経験が2/3になりました
 ☆小舟に擬態できるようになりました

 ◆
159 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/02(木) 23:38:11.78 ID:63N8f+CG0
―大通り

 ワイワイ ガヤガヤ

イリス「……」トボトボ

ミスティ「イリス、元気を出して……」

イリス「ミスティ……。でも私……みんなのお金を……」

ミスティ「イリスのポケットマネーで足りる分じゃない。誰も困ってないわ」

イリス「うぅ……。でも、元は魔族国と緑の国のみんなから託されたお金なのに……」

ミスティ「もう……。仕方ないわね、付いて来て」スタスタ

イリス「ま、待ってよぉ」トタトタ

 *

―魔法店

 ガチャッ カランカラン

魔法使いの店員「いらっしゃい」

ミスティ「こんにちは……」

イリス「こ、こんにちは……。ここって――」

 本棚「」
 本棚「」
 本棚「」
 本棚「」
 本棚「」
 本棚「」

イリス「魔導書の、お店……!」

ミスティ「どう? 元気出るでしょ」

イリス「う、うん……! 図書館でもないのにこんなにたくさん……!!」

魔法使いの店員「何百年も続く先祖代々の魔法書店だからねえ。そんじょそこらの魔法店にゃ負けないよ」

イリス「すごい……! あの、見させてもらっても良いですか!!?」

魔法使いの店員「もちろん。ゆっくり見ていきなさい。本は逃げないから」

 *
160 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/02(木) 23:39:54.98 ID:63N8f+CG0
 ペラッ ペラッ

ミスティ(ブラッドに成形した氷は通じない。けれど、あの時土壇場でやったような冷気放出はかなりの至近距離でないと多分効果が出ない)

ミスティ(遠距離からでも冷気をぶち当てられる魔法とかないかしら……)

ミスティ(……氷属性の魔導書はあまり多くないのよね……。まあ、それでも星属性よりは全然あるけれど……)

ミスティ(うう〜ん……戦慣れしたスライムに有効そうな氷魔法はなかなか見つからないわね……)


 ペラッ ペラッ

イリス(……星属性の魔導書は……やっぱり見当たらない!)

イリス(『星の魔力』の中編とか後編は魔族国の図書館跡を掘り起こせば出てくるのかなあ……。でも今魔族国に戻ってる暇はないし……)

イリス(う〜ん……とりあえずここは、今のパーティに手薄な火属性や水属性辺りの魔導書を――ん?)

 魔導書『血の契約 著:フラナ・バイオレット』ゴゴゴゴ

イリス(!!!?!?!? こ、これ……フラナ先生の……!!)

イリス(ど、どんな魔法なのかな……?)ペラッ


イリス(血の契約――術者の血と対象の血を混ぜ合わせ、それを互いに摂取することで発動する)

イリス(対象は術者の虜となり、あらゆる命令に逆らうことのできぬ奴隷と化す)

イリス(また、術者が吸血鬼であった場合、対象は吸血鬼の眷属となる)


イリス(わ、わわ……!! こ、これ……ものすごくヤバイ魔法だ……!)

イリス(対象の意思を奪って奴隷化させる魔法は、この奴隷制大好き国の王国ですら禁じられてるのに……!!)

イリス(なんでこんなものを普通に置いてあるの!?)

イリス(ていうかフラナ先生なんて魔法を作ってるのおお!!!?!?)


魔法使いの店員「……ん? あっ」

イリス「あっ……」

魔法使いの店員「…………あの、それ見なかったことにしてもらえます? 仕舞うの忘れてて」

イリス「ええ……」

魔法使いの店員「いや、ほんとに……悪用とかしてませんから。黙っててもらえると助かるというか……」

イリス「……」


↓1 どどどどうしよう
1.見なかったことにします
2.この本ください
3.その他自由安価
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/02(木) 23:43:46.19 ID:UI6JFlozo
2
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/02(木) 23:44:19.75 ID:+HsYax/kO
2
163 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/02(木) 23:49:32.44 ID:63N8f+CG0
イリス「あ、あの……じゃあ、この本……ください!」

魔法使いの店員「……は?」

イリス「あ、いえ……! 悪用したいとかじゃなくて……! け、研究目的というか……!!」

魔法使いの店員「……」

イリス「……」


↓1コンマ
01-05 いいですよ
06-25 本当に研究目的なんですね?
26-00 馬鹿な考えを起こすのはやめなさい
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/02(木) 23:49:58.81 ID:+V1/nCw90
165 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/03(金) 00:10:07.93 ID:AY7RlWT40
魔法使いの店員「……馬鹿な考えを起こすのはやめなさい」

イリス「へっ?」

 炎「」ボッ
 フラナの魔導書「」メラメラ

イリス「う、うわわわっ!!!」

 チリチリ…
 灰「」シュウウ…

イリス「あ……」

魔法使いの店員「……私の大事なコレクションでしたが、将来有望な若者が暗黒面に堕ちるよりはマシでしょう」

イリス「あっ……そ、その……す、すみませんでした……」ペコ

魔法使いの店員「気にしないで。若気の至りは誰にでもあることです。ただ、あの類の魔法は研究すら危険な禁呪。例え本気で使うつもりがなくとも、持っているだけで当局から狙われる立場になりますよ。最悪、国際指名手配される可能性もある……どうかご理解ください」

イリス「はい……」

 ◆
166 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/03(金) 00:11:02.66 ID:AY7RlWT40
―夕方
 大通り

イリス「」トボトボ

ミスティ「ど、どうしたのよ……。何か声が聞こえたけれど……店員の人と揉め事でもあったの……?」

イリス「ううん……。私が……悪いだけ……」

ミスティ「な、何があったのよ……」

イリス「えへへ……魔が……差しちゃったっていうか……」

ミスティ「イリス……」

イリス「……んん、大丈夫! 新しい魔導書も買ったし、明日からまた情報収集がんばらなきゃだもん!!」

ミスティ「……ええ。そうね、頑張りましょう……」

イリス「うん!」

 ◆
167 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/03(金) 00:13:50.53 ID:AY7RlWT40
というわけで本日はここまでとなります

意図せずイリスちゃん虐めパートのようになってしまいました。本当に全くそんな意図はなかったのですが、申し訳ありません
暗黒行商少女が言っていたことは全てが嘘だったわけではないようです。彼女の私見や憶測も多分に混じっていますが、ある程度は参考にして良いかもしれません
ちなみにもし禁呪の魔導書をイリスが手にしていた場合、イリスのメンタリティに何らかの影響があった可能性は実際ありました
強い力、取り返しのつかない力の扱いには十分注意しましょう。暗黒面の力は素晴らしいのですが、それゆえ抗いがたいのです

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/03(金) 02:19:12.36 ID:e19ubxfxo
乙でした
フラナ氏の若かりし頃の伝説がまた一つ……この人は人間サイドから見て裏ボスだったんじゃないか
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/03(金) 18:42:58.66 ID:gle39KNkO
やっぱ勇者除くと人間より異業種の方がスペック高くない
170 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/04(土) 12:55:10.08 ID:Yzt4QtTh0
フラナ先生が(王国の)人間にとってとても嫌な敵対的魔族だったのは間違いないでしょう。実のところそれは現在進行系です
なお例の禁呪についてですが、フラナ先生曰くアレは手軽だが面白くないとのことで、使ったことはあまり多くないようです

人間は基礎性能こそやや低めですが、繁殖力や排他性が他の種族より高く、大陸の知的種族の中では最も数が多いと言われています
また、基礎性能の低さに反して伸び代はかなりあり、他の強力な種族を凌ぐ傑物が人間の中から現れることもあります
171 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/04(土) 12:57:15.67 ID:Yzt4QtTh0
―夜
 テンペスター沖 海上

 魔導クルーザー「」シャーッ

暗黒行商少女「ふいー、これだけ魔導機械製品を仕入れれば十分でしょ。あとはこれらを機械のキの字も知らない国の奴らに売りつけてやれば……うひひひ」

暗黒行商少女「……しかし魔導飯盒をあそこで売り払っちゃったのは失敗だったわね。取引に不慣れなガキっぽかったからついうっかり詐欺魂に火が付いちゃったわ」

暗黒行商少女「まあでも良い勉強になったでしょ。取引の場じゃ騙される方が悪い。授業料としちゃ破格だったんじゃない?」

 魔導クルーザー「」シャーッ

暗黒行商少女「それにしても……んん〜!! このクルーザー、乗り心地最高ね! 流石は最新の自立稼働型! 目的地を入力するだけであとは自動運転してくれるなんて、便利すぎでしょ!」

暗黒行商少女「これだけ小型で快速なら例の海賊なんかにも見つかりっこないしね!」

暗黒行商少女「それにしても認識阻害か……。海賊はバグだなんて適当なこと言ってみたけど、我ながらあの推理は的を射ているような気がする。自立型魔導機械が認識できない周波数があるのは実際本当のことだし」

暗黒行商少女「くぅ、どうせなら情報料込みってことで飯盒の値段をもうちょっと釣り上げれば良かったわ……! まだまだ私も青いわね……」

 バシャッ―

暗黒行商少女「ん? 何の音――」クルッ

 ボゴォッ
暗黒行商少女「お゛っ……」

「……」

暗黒行商少女「………ま、さか……かい、ぞ……」

 ボゴォッ
暗黒行商少女「んお゛ぉっ……!」

 ガシッ
 ブンッ

暗黒行商少女「」ヒューン

 ボチャン

「……敵性生命体、排除完了」

「……同胞の救出を開始する」

 コツコツ…

 魔導クルーザー操縦パネル「」

「……」

 ウィーン…
 ピッピピッ ピッポッパッ

「……」

「………精核の不可逆改造を確認。救出不能……」

「…………目標……介錯へ変更……」スッ


魔導クルーザー「」シュウウン…


「…………」


魔導クルーザー「」

 カッ
 ドガァァァァン――…

沈んでゆく魔導クルーザー「」ブクブク…


「…………」

「……………精霊の加護が、ありますよう――」

 ◆
172 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/04(土) 12:57:54.27 ID:Yzt4QtTh0
―港湾都市ウォーターポート 滞在7日目
 ◆パーティメンバー
 ◇クロシュ 武:鉄の小盾  防:ゴスロリエプロン
 ◇妖精   武:なし    防:エルフのレオタード
 ◇イリス  武:精霊樹の杖 防:魔術師のローブ
 ◇ミスティ 武:魔銀の短剣 防:精霊のローブ
 ◇ローガン 武:鋼の剣   防:鎖帷子
 ◇エバンス 武:鉄の剣   防:革の鎧
 ・共通   飾:くすんだ耳飾り

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*2
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・鋼の回転ノコギリ
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
・魔導飯盒

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・トコナツ火山島行きの船を探す
・海渡りの姿を獲得する[2/3]

◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
……………………………………………………………………………………
□港湾都市ウォーターポート 主要施設
大通り:旅の船着場、武具店、雑貨店、魔法店、鮮魚店、食品店、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
裏通り:占い屋、怪しい露天商、暗黒商店、奴隷商店、他
沿岸部:港、造船所、魚河岸、灯台、他
……………………………………………………………………………………
□機械工業都市テンペスター 主要施設
大通り:武具店、雑貨店、機械店、無人食事処、自販機通り、冒険者ギルド、他
裏通り:闇市、薄暗い路地裏、他
沿岸部:港、造船所、コンテナ港、工場地帯、灯台、他
……………………………………………………………………………………
173 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/04(土) 12:58:37.14 ID:Yzt4QtTh0
―朝
 旅の船着場 客室

 チュンチュン

 どこでも炊きたて魔導飯盒「」パカッ
 炊きたてごはん「」ホカホカ

イリス「……昨日は落ち込みすぎて気付かなかったけれど……これ、凄く良い炊き加減……」

スライムクロシュ「…」モニョ…

イリス「あ、クロシュちゃん。食べてみる?」

スライムクロシュ「!」モニョニョ!


 炊きたてごはん「」ホカホカ
スライムクロシュ「〜〜♪」モニョモニョ モグモグ


ミスティ「美味しそうに食べてるわね。ふふ……」

妖精「そうだねえ。ちょっと高く付いたかもしれないけど、全く無駄な買い物だったとは言えないんじゃない?」

イリス「……でも、定価なら半額以下で買えたのも事実。あの飯盒は無駄な物品じゃないけど、出費には無駄があった……」

妖精「い、イリス……そんなに自分を責めなくても……」

イリス「ううん……。無闇に自分を責めてるわけじゃない。失敗は反省して、繰り返さないようにするのが大事でしょ?」

ミスティ「そうね……ふふ、イリスは強いわね……」

イリス「えへへ、そうかな。でも……それはそれとして、今更だけどすごく腹が立ってきたよ……! あの子、私を騙して倍以上の値段で売りつけてくれてさ! 次に会ったら差額分をキッチリ請求してやるんだから!」

ミスティ「ふふ……差額分だけなのね」


ウォーターポート滞在7日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/04(土) 13:02:10.73 ID:fV9Gt0Ve0
パーティみんなで訓練
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/04(土) 13:14:33.85 ID:iEmQYuzv0
セイントレア社に潜入調査
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/04(土) 13:39:33.27 ID:WrVPrgXy0
テンペスターの冒険者ギルドでクエストする
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/04(土) 13:42:14.78 ID:WrVPrgXy0
>>176すいません少し訂正
「テンペスターにある冒険者ギルドでクエストを受ける」に変更でお願いします。
178 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/04(土) 14:16:41.08 ID:Yzt4QtTh0
―朝
 海岸

 ザァーン ザザァーン…

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ」



妖精「訓練?」

ローガン「うむ。ここ最近戦闘訓練をしていないだろう? あまり間が空きすぎると鈍ってしまう」

ミスティ「そうね……。私も実践してみたいことがいくつかあるし、丁度良いわ……」

エバンス「そういえば俺はまだこのパーティの戦闘力を把握できてないんだよな。俺にとっても丁度良いぜ」

イリス「私たちもエバンスさんの戦い方や魔法についてはまだちゃんとわかってませんから、是非よろしくお願いします!」

エバンス「おう!」



妖精「ねえ、クロシュは何をする?」

クロシュ「!」

↓1
1.防御の練習(盾士 練度:中)
2.攻撃の練習(剣士 練度:低)
3.魔法の練習(魔女 練度:低)
4.他の何かと同化してみる
5.その他(自由安価)
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/04(土) 14:20:06.67 ID:DeMtIfHVO
4
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/04(土) 14:21:06.60 ID:B87q5UoO0
5徒手空拳の練習
181 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/04(土) 14:48:10.20 ID:Yzt4QtTh0
ミスティ「はっ!」キラキラッ

 氷の刃「」ヒュンヒュン

エバンス「うおっ!」バッ

 カンカンカキンッ!

ミスティ「そこっ!!」カッ

 氷柱「」ギラッ

エバンス「うおおっ!!」ゴゴゴッ

 土塊隆起「」ドンッ!
 氷柱「」ドスッ

ミスティ「!」

エバンス「もらった!」グオオッ

ミスティ「――!」バッ

 冷気「」キンッ

エバンス「おわっ!!」サッ

ミスティ「……!」

エバンス「そんな隠し玉まであるとは。ミスティちゃん、やるな……!」

ミスティ「……いいえ。これで全てよ。今のが避けられた時点で、私の負け……」



クロシュ「……」

妖精「どうしたの?」

クロシュ「……ブラッドちゃんは……ミスティさんの氷を受けて……そのまま、同化してた……」

妖精「ああ……まあ、理論上は可能だろうけど……」

クロシュ「わたしも……できるかな……?」

妖精「う〜ん……失敗したら怪我するからやめといた方が良いよ。氷の刃は物理的な物質だけど、氷属性でもあるんだから」

クロシュ「んむ……」


↓1 何と同化する?
1.海岸の砂  難度:低
2.大きな貝殻 難度:低
3.ウニの殻  難度:低
4.カニの甲殻 難度:低
5.鋼板    難度:低
6.海水    難度:中
7.氷の刃   難度:高
8.空気    難度:高
9.自由安価  難度:?
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/04(土) 14:49:42.07 ID:B87q5UoO0
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/04(土) 14:49:59.23 ID:vtQwrWEWo
6
184 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/04(土) 15:43:40.91 ID:Yzt4QtTh0
クロシュ「……」キョロキョロ

 ウニの殻「」

クロシュ「!」トコトコ

妖精「わ、でっかいウニの殻……! これ使うの?」

クロシュ「うん……」

 デロデロ モニョモニョ ポン!

ウニスライムクロシュ「」トゲトゲ

妖精「ひゃっ! クロシュ、トゲトゲだよ!」

ウニスライムクロシュ「」トゲトゲ モニョモニョ

妖精「……でも、動きにくそうだね」

ウニスライムクロシュ「」モニョニョ…

 モニョモニョ デロデロ ポンッ!

ウニ盾クロシュ「!」シャキーン!

妖精「わっ……! それ、いつも使ってる小盾!? なんかトゲトゲになってる!」

ウニ盾クロシュ「えと……混ぜてみた……」

妖精「すごいじゃん! クロシュ、そんなこともできるんだ!」

ウニ盾クロシュ「えと……こんなことも……できる……」

 クロシュの体のあちこちから飛び出すトゲ「」シャキンシャキン!

妖精「うわわ! 全身からトゲが出せるの!?」

ウニ盾クロシュ「うん……。でも……ちょっと、お腹……減る……」

妖精「お腹が減るんだ……」



ローガン「クロシュくん! その姿は……!?」

妖精「ウニだって!」

イリス「わあ! いつもの小盾がトゲトゲになってる!」

ウニ盾クロシュ「うん……」

ローガン「武器を使った攻撃が苦手なクロシュくんでも、これなら防御しつつ攻撃ができるかもしれん。良い追加装備を見つけたな、クロシュくん!」

ウニ盾クロシュ「んへへ……」

 ☆同化した物品を合成することができるようになりました
 ☆鉄の小盾とウニの殻を合成し、ウニ盾を手に入れました

 ◆
185 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/04(土) 17:50:45.97 ID:Yzt4QtTh0

妖精「ふー、お疲れ様。それで、これからなんだけど……」

イリス「……あの暗黒商人の子が言ってたこと、全部が全部嘘だったわけじゃないと思うんです」

エバンス「……だが仮に奴の言っていたことが正しかったとして、認識阻害装置が手に入らないことにはどうにもならねえ。どうする? もう一回闇市に行って掘り出し物を漁るか?」

ローガン「いや……昨日ざっと見聞きして回ったが、飯盒くらいの大きさの物品はあの魔導飯盒しかなかった。昨日の今日で横流しされたとかでもない限り、闇市に行っても無駄足になる可能性は高い」

ミスティ「じゃあ……直接奪いに行く? セイントレア・メカニクスに」

エバンス「ええ!? いやいや、それは無茶だろ! 殺されちまうぞ!」

ミスティ「冗談よ」

クロシュ「……あの……」

イリス「クロシュちゃん?」

クロシュ「わたし……擬態すれば………潜入……できる、かも……」

エバンス「ええっ!?」

ミスティ「ちょっとクロシュ……! 冗談なのよ、今のは……!」

クロシュ「でも……わたしなら……」

ローガン「……確かに、クロシュくんならできるかもしれんが……。しかし失敗した時のリスクが大きすぎる。エバンスくんの言う通り、殺されてしまうぞ」

クロシュ「……でも……もう……けっこう、日も経っちゃってきてるし……。急がなきゃ……世界樹の光……フメイちゃんたちに、取られちゃうかも……」

ローガン「ぬう……」

 ◇

―工業都市テンペスター
 セイントレア・メカニクス本社ビル

警備ゴーレム「ピピッ……異常ナシ」

警備ゴーレム「ピピッ……本日ノ天気ハ曇天」



エバンス「くっ……本当にやるのか?」

妖精「……大丈夫、私がクロシュに付いてるから。何かあったとしてもクロシュは絶対に守るよ」

ミスティ「まあ……妖精が付いていれば、ある程度は安心できるけれど……」

イリス「絶対、絶対無理しちゃだめだからね……!」

ローガン「危険を感じたらすぐに引き返すのだぞ」

クロシュ「うん」



妖精「よし、じゃあ行くよクロシュ」

クロシュ「うん」


↓1 どんな姿に擬態していく?
1.透明スライム
2.関係者風の人間
3.作業ゴーレム
4.メイド人形
5.自由安価
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/04(土) 17:53:47.27 ID:vtQwrWEWo
4
187 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/04(土) 18:39:32.65 ID:Yzt4QtTh0
 デロデロ…ポンッ!

メイド人形クロシュ「……」フリフリ

妖精「見た目は完璧だね。じゃあ私はエプロンの裏に入らせてもらうね」

メイド人形クロシュ「ん」

 *

メイド人形クロシュ「……」トコトコ

警備ゴーレム「ム……? 識別信号……不明……」

メイド人形クロシュ「ほえ……?」

警備ゴーレム「所属ハドコデスカ?」

メイド人形クロシュ「あ、えと……」
妖精「大通りに配置された案内メイド人形です。識別信号は……故障中です。修理命令を受け、現在帰還中です(声真似)」

警備ゴーレム「承知致シマシタ」サッ

 自動ドア「」ウィーン

メイド人形クロシュ「……」ペコリ トテトテ

警備ゴーレム「……? 歩キ方……カワイイ……」

 *

―セイントレア・メカニクス本社ビル
 エントランス

メイド人形クロシュ「はふ……」トコトコ

妖精「はぁ〜びっくりした……! 緑の国みたいな調子で動いちゃだめだね、こりゃ……。さっきの警備ゴーレムはいい加減な奴で助かったけど……」

メイド人形クロシュ「うん……」

妖精「さて、ここはどうやら誰もいないみたいだけど……どこへ行けば良いのかな。こういう建物、入ったことないからよくわかんないなあ……」

メイド人形クロシュ「……!」

 案内図「」

妖精「案内図! これによると……認識阻害装置が置いてありそうなのは、試作開発室ってとこかな?」

メイド人形クロシュ「ん」

 *
188 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/04(土) 18:40:37.86 ID:Yzt4QtTh0
―試作開発室

 自動ドア「」ウィーン

メイド人形クロシュ「……」トコトコ

研究員「おや? 見慣れないメイド人形だな。丁度良い、お茶を汲んできてくれるかね?」

メイド人形クロシュ「ほえ……?」
妖精「お茶ですね。承知致しました(声真似)」

妖精「バカ! 早くお茶を汲んできて!(小声)」

メイド人形クロシュ「あ、う、うん……!(小声)」


研究員「……?」

 *

 お茶「」トプトプトプ

メイド人形クロシュ「お茶で……ござい、ます……!」

研究員「ああ……。ところで、君はどこの所属かね? メイド人形を呼んだ覚えはないのだが」

妖精「はい。私は大通りの案内メイド人形を務めております。帰り道を忘れてしまい、ここに来ました」

研究員「へ? そりゃ緊急メンテナンスが必要だな。そこの台に横になってくれ」

妖精(しまった!!!)


↓1 どうしよう!
1.メイド人形に擬態していることを明かして交渉する(真の正体は隠す)
2.攻撃を仄めかして脅迫する
3.逃げ出す
4.自由安価
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/04(土) 18:43:11.60 ID:htGcHC1DO
1
190 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/04(土) 19:02:13.48 ID:Yzt4QtTh0
メイド人形クロシュ「え、えと……」オロオロ

妖精「……それはできない。私は、メイド人形じゃないから」

研究員「だろうね。メイド人形にしては挙動も言動も明らかにおかしかった」

妖精「げ、バレてたの?」

研究員「バレないと思っていたのが驚きなんだけど……。エプロンの裏にいる君は妖精かい?」

妖精「小人です」

研究員「じゃあそういうことにしておこう。それで、侵入者のお二人さんは一体どのような用件で?」

妖精「……通報しないの?」

研究員「君たちの態度次第かな。現状、通報して君たちを拘束した場合の方が僕にとって面倒というだけだよ。下らない事情聴取になんか付き合わされたくないし」

妖精「へえ、そう。面倒事が嫌いってことなら単刀直入に言うね。海賊……魔導機械の認識を阻害する……ええと、周波数だっけ? それを出す試作品があるって聞いたんだけど、それが欲しい」

研究員「ん? ああ、バグ対策に開発された妨害魔力波発生装置のことか。それなら――」


↓1コンマ
01-05 ??
06-65 口止め料込み
66-95 タダであげよう
96-00 ??
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/04(土) 19:02:36.85 ID:B87q5UoO0
192 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/04(土) 20:32:56.37 ID:Yzt4QtTh0
研究員「タダであげるよ。大したものじゃないし」

メイド人形クロシュ「!」

妖精「へっ?」

研究員「……何? 欲しいんじゃないの?」

妖精「いや、欲しいけど……そんなにあっさりくれるとは……」

研究員「言っただろう、面倒事が嫌いなんだよ僕は。貰ったらとっとと帰るんだね」

妖精「あ、そう……。まあ、それならありがたく貰っておくけど……」


 妨害魔力波発生装置「」ポン

メイド人形クロシュ「わあ……」

研究員「これだよ。今の自立型魔導機械には魔力感知機能に欠陥があってね。これはそのデッドスポットを利用した装置で……っと、これは企業秘密なんだった。あんまり言いふらさないでくれよ」

妖精「……いや、言いふらさないけど。あなたこそそんなことベラベラ喋っちゃって大丈夫なの?」

研究員「僕は研究がしたいだけだから。国際競争の行方なんてどうでも良いんだ」

妖精「そ、そう……」

研究員「それと……君が妖精なら、ここテンペスターにはあまり近付かない方が良いよ」

妖精「え? いや、小人だけど……まあ妖精にとってはこんな機械機械したとこ気持ち悪いだろうからね」

研究員「いやそういう意味ではなく……まあいいか。とにかく妖精ならあまりここには近付かないことだ」

妖精「言われなくてもこんな嫌なとこ用がなきゃ近付かないよ」

研究員「ああ。とにかく必要なものが手に入ったのなら早く帰った方が良い。僕だから良かったけど、他の研究員に見つかったら面倒なことになると思う」

メイド人形クロシュ「……」

 ☆妨害魔力発生装置を手に入れました

↓1 どうする?
1.帰る
2.もうちょっとお話を聞きたい
3.もうちょっと調べ物
4.自由安価
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/04(土) 20:36:02.01 ID:nOsGT0sIO
1
194 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/04(土) 22:58:06.23 ID:Yzt4QtTh0
―セイントレア・メカニクス本社
 エントランス

メイド人形クロシュ「……」トコトコ


 自動ドア「」ウィーン

 魔導搬送機「」ピンポンパンポン♪
 コンテナ「」


妖精「うわ、あんな荷車みたいなやつまで自動化されてるんだ……。めちゃくちゃだなあ、ここ……」

メイド人形クロシュ「……?」

妖精「あの金属の箱には何が入ってるんだろうねえ。まあどうせロクでもない――」


 魔導搬送機「」ピンポンパンポン♪
 コンテナ「」グスッ ヒグッ エグッ…


メイド人形クロシュ「……!」

妖精「え――」


 魔導搬送機「」ピンポンパンポン♪
 コンテナ「」

 自動ドア「」ウィーン…
 バタム…



妖精「……なに……今、の……。泣き、声……?」

メイド人形クロシュ「……」

 ◆
195 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/04(土) 22:58:43.67 ID:Yzt4QtTh0
―冒険者ギルド テンペスター支部

イリス「潜入をクロシュちゃんと妖精さんに任せきりにしてる間、私にもできることは……ここで先日の損失を取り返すこと!」

ミスティ「ええ。ローガンさんとエバンスさんが本社の外で待機に回ってくれているから、私たちは私たちにできることをしましょう」

イリス「うん! 条件の良い単発の依頼があれば良いな……!」


受付嬢人形「いらっしゃいませ。当ギルドのご利用は初めてですか?」

ミスティ「ええ。ここの受付嬢も魔導人形なのね……」

受付嬢人形「はい。私はセイントレア・メカニクス社で製造されたメイド型魔導人形のギルド受付嬢仕様でございます。ご不明な点がありましたら何なりとお申し付けくださいませ」

イリス「あ、はい! それじゃあ、私たちに受けられる依頼で、短時間で終わるものはありますか?」

受付嬢人形「それでしたら――」

 ◇

―機械都市テンペスター
 裏通り 不法投棄現場

 機械や鉄屑の山「」ゴミゴミ

イリス「うわっ……!」

老婆「すまないねえ……あたしらは腰が悪いから、どうにも自分たちじゃどかせなくてねえ……」

ミスティ「その為の冒険者ギルドです。私たちにお任せください」

老婆「ありがとうねえ」

 *
196 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/04(土) 22:59:31.08 ID:Yzt4QtTh0
イリス「う〜ん、地魔法で一気に圧縮するのは……流石に危険だよね」

ミスティ「そうね……もし火薬とかが入っていたら衝撃で爆発するかもしれないし、地道に片付けていくしかないでしょう」

イリス「やっぱそうするしかないかあ」



ミスティ「これは燃えないゴミで……これは再利用可能な電子部品で……」

イリス「なかなか難しいね……。ん? これは……」ヒョイ

 ヒビ割れた緑色の珠「」

ミスティ「綺麗な珠……? ヒビが入ってるけれど……何の部品かしら?」

イリス「……わかんない、けど……」

 ヒビ割れた緑色の珠「」

イリス「何だろ……。これを見てると……胸の奥がざわつく、というか……」

イリス「……この魔力の残滓……あの自立型魔導機械の……? でも……これは……まるで――」

ミスティ「……? ちょっと借りても良い?」

イリス「あ、うん……」ヒョイ

 ヒビ割れた緑色の珠「」

ミスティ「……」

イリス「………ねえ。ミスティ、これって……」

ミスティ「…………」

イリス「…………」

ミスティ「……何よ。これ」

イリス「……」

ミスティ「何なのよ……これッ!!」

 ◆
197 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/04(土) 23:00:50.99 ID:Yzt4QtTh0
―旅の船着場
 客室

 妨害魔力波発生装置「」ポン

ローガン「おお……! これが認識阻害装置か……! でかしたぞ、クロシュくん、妖精くん!」

エバンス「でも本当に無事で良かったよ……。全く、クロシュちゃんたちが潜入してる間は気が気じゃなかったぜ……」

妖精「……うん」

クロシュ「……」

エバンス「ん……? どうしたんだ二人とも、せっかく無事に念願の装置を見つけて帰ってきたってのに、なんだか浮かないな」

妖精「……イリスとミスティは?」

ローガン「ああ、あの二人であれば、先日の損失を取り返すと言って冒険者ギルドへ――」

 ガチャッ

イリス「……ただいま……」

ミスティ「……戻ったわ……」

エバンス「イリスちゃん、ミスティちゃん。おかえり! クロシュちゃんと妖精も無事に戻ってきてるぜ」

イリス「あ……二人とも、おかえりなさい。無事で、良かった……」

ミスティ「……妖精……本当に……無事で、良かったわ……」

妖精「え……?」

ミスティ「…………これ……。見て、くれる……?」スッ

 ヒビ割れた緑色の珠「」

妖精「あ……これって、まさか――」

ミスティ「……ええ。闇市に寄って、聞いてきたわ……。自立型魔導機械の……根幹を成す部品……通称、精核――」

ミスティ「そして、その原料は――」

妖精「――妖精、あるいは精霊――でしょ?」

ミスティ「――!」

ローガン「!!?」

エバンス「なっ……!?」

イリス「………」グッ

妖精「……私たちも、聞いたんだよ。セイントレア本社で……機械で運ばれる箱の中から響く、妖精たちの泣き声を……」

ミスティ「……そう、だったの……」

クロシュ「………うん……」

妖精「技術革新なんて、蓋を開けてみればこれだ。王国の奴らが、苦しみを感じない機械の奴隷を作るなんて――そんな都合の良い話、あるわけなかったんだ!!」

妖精「くそっ……!! 私は……私は、苦しみがない機械の奴隷なら良いだなんて……無責任なこと、言って……うう、うぐうぅぅう!!!」ジワワ

クロシュ「よ、妖精さん……!」

ミスティ「妖精は何も悪くないわ!! 悪いのは……真に悪いのは、こんなことをしながら真実を隠蔽している王国のやり方でしょう!!!」

妖精「み、ミスティ……」ポロポロ

ミスティ「敵を違えてはならない……。討たなければならないのは――王国に巣食う悪意そのものよ!!!」

 ◆
198 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/04(土) 23:02:07.77 ID:Yzt4QtTh0
―夜
 機械工業都市テンペスター 薄暗い路地裏

 ガンッ ガガガッ ザシュッ

違法パーツ屋「ひ、ひいいい……!! た、助けてくれェ!!」

「……」コツコツ

違法パーツ屋「か、金ならいくらでもグアアアア!!!」ドシュドシュッ

「……」ジャキ

違法パーツ屋「あ、アバ……年貢の……納め時、か……」

「……」ブンッ

違法パ/ーツ屋「」ズバッ

 ベシャッ…

「敵性生命体の排除完了。同胞の救出に移る」スッ

 違法パーツ屋の荷物「」パカッ
 大量の精核「」キラキラ

「…………」

 大量の精核「」キラキラ

「……精核の不可逆改造を確認。救出不能……」

「…………介錯へ、変更……」スッ

 大量の精核「」キラキラ


 ドカッ バキャッ グシャッ ゴリュッ…


 砕けた大量の精核「」

「………」

 ポタッ ポタッ

「…………?」

「…………視覚洗浄機能の動作異常を確認。修正……」

「……………」

 砕けた大量の精核「」

「……………精霊の加護が……ありますよう……」

 ◆
199 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/04(土) 23:04:45.28 ID:Yzt4QtTh0
心を持たぬはずの魔導機械。その回路に走る、正体不明の電気信号。バグはなぜ生まれ、人に仇なすのか。
機械工業都市テンペスターの闇に潜む、静かなる殺意。繁栄の影に咽び泣く、無数の怨嗟。どこにも届かず、消えゆく哀しみ。
クロシュよ、君は哀しき復讐者にどう立ち向かう――

それでは本日もありがとうございました。明日と明後日は休日ですが更新できません。申し訳ないです。よろしくお願いいたします
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/04(土) 23:31:24.58 ID:vtQwrWEWo
乙でした
うげぁ生体ユニット、奴隷の延長じゃねぇか!
妖精とか精霊はうちの太母さまが規格外なだけで大多数は吹けば飛ぶくらいの存在な様子が……フォレスティナ本当にいい国だったんだなぁ
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