モバP・佐久間まゆ「エブリデイドリーム」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ saga]:2017/11/04(土) 16:12:14.98 ID:rtZejcWWO
暗い話が嫌な方はブラウザバック推奨です。
ゆっくり投下です。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1509779534
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ saga]:2017/11/04(土) 16:12:36.87 ID:rtZejcWWO
飛行機のタラップを上り始めると、ポツポツと雨が降り始めた。
もうすぐ7月になるがまだ梅雨は明けそうにない。

そういえば彼女に会ったのもこんな季節だった。

強烈な自己紹介。
当時呆気に取られたのを思い出して笑ってしまう。

今はちょうどテレビの生放送に出演している頃だ。
ちゃんとやれているだろうか?
彼女なら問題ないだろうがやはり少し心配だ。
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ saga]:2017/11/04(土) 16:13:06.49 ID:rtZejcWWO
P「女々しいな・・・」

未だにこんな事を考えている自分に辟易する。
なんて安っぽい感傷なのだろう。
わかっている。全ては自分で考え決めた事だ。
もう後戻りはできない。
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ saga]:2017/11/04(土) 16:17:29.87 ID:rtZejcWWO
席ついて少し経つと機内放送が流れ、シートベルト着用ランプが点灯する。
動き始めた飛行機は徐々に加速していき、一瞬の浮遊感とともに地上から飛び立った。

窓から外を覗くと雲間から彼女が今いる場所が見える。
段々と小さくなっていく明かりが、もうこれで本当に終わりだと言う事実を突きつけてくる。
捨てるのだ。築き上げてきた何もかもを。

隣の席に聞こえないよう小さな声で呟いた。

P「さよなら・・・まゆ」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ saga]:2017/11/04(土) 16:30:22.26 ID:rtZejcWWO
エブリデイドリーム Pの場合

「まゆ、貴方にプロデュースしてもらうために来たんですよ。うふ……ステキですよね……これって運命?ねぇ、貴方も運命……感じますよね? ねぇ? うふ……まゆの事、可愛がってくれますか?」

妖艶な微笑を浮かべ、瞳を鈍く光らせながら少女は言った。

先日スカウトした佐久間まゆの初日でいきなり度肝を抜かれる。
衝撃的な自己紹介にしばらく事務所の時が止まった。
ちひろさんの顔を見るのが怖い。
後でドリンクを何本買わされるのだろう。
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ saga]:2017/11/04(土) 16:31:19.95 ID:rtZejcWWO
その場はなんとか取り繕ったが、この先の未来に対して不安しかなかった。
そしてそれは大抵の場合的中してしまうものだ。

彼女は素晴らしい才能の持ち主だった。
容姿は言うに及ばずダンスや歌だけでなくトークも人並み以上にこなした。

知名度と人気もぐんぐん上昇し、アイドルとしてはこの上ないくらい順風そのものだった。

俺に対する態度を除いてはだが。
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ saga]:2017/11/04(土) 16:32:20.07 ID:rtZejcWWO
彼女は俺に対して前言通りの気持ちをぶつけてきた。
弁当を作ってきたり、二人きりの時に距離が近すぎるなんてことは当たり前。

まだ話していない俺の情報を知っていたり、どう考えても不自然なレベルで「偶然」遭遇することが多くあった。

そのことを問い詰めてみても、
「愛の力ですよぉ」
の一言で全て片付けてくる。

そこまでならまだいい、いやよくないが、もっとまずい事がある。
それは俺に近づこうとする女性に対してあからさまな敵意を持って接する事だ。

流石にそれは困ってしまう。仕事に支障が出る。
なぜ俺にそこまで執着するのだと聞いても
「それはまゆとPさんが運命の赤いリボンで結ばれてるからです・・・うふっ」
この始末だ。
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ saga]:2017/11/04(土) 16:35:45.35 ID:rtZejcWWO
とは言え人気急上昇のcuteアイドル、ここまで人気が出た担当は俺も初めてのことだし邪険にはできない。

日々の業務に加え、まゆをいなしつつご機嫌をとる。
忙しいのはありがたいが、流石にこの時期は参ってしまった。
スキャンダルに気も揉む俺の心配をよそに人気はさら上がっていく。
疲労と不安と重圧で頭がクラクラする。
まるで白昼夢を見ているような日々が続いた。
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