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【浮かれた】幼なじみのお部屋で寝落ち・・・13回目【大学生】

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264 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/04/23(木) 23:00:16.02 ID:YhfBPA0To
>>263
その辺りの話になりますw
決して楽しい話ではありませんが…(^^;;
直に冬を迎える夜長の季節。

ありがとうございますw
265 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/04/25(土) 20:01:42.59 ID:uBJVzt6Ro
こんばんは。

粗方続き出来ましたので、ぼちぼち投稿していきます。
はっきり楽しくない話です…w
266 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/04/25(土) 20:05:46.94 ID:uBJVzt6Ro
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10月某日


昼休みが終わる15分前。
前席では、今日も変わらず賑やかな会話が広がっている。

前野くんを始め彼ら男子グループに加えて、最も賑やかな女子グループの何人かも混ざり、一層盛り上がっていた。
彼女らは前野くんと仲がよく、休み時間にこうして話に来るのも珍しいことではない。
ていうかしょっちゅう来ている。
ちなみに前期で私と同じグループだった子たちは、たまに来る程度。今は来ていない。

大勢の男女で仲良く語らう様は、実に充実した大学生らしい光景である。
うむ。


とか頷いて傍観者を気取ってみたりしているけど、私自身もその中に含まれていたりするのだ。

267 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/04/25(土) 20:09:34.76 ID:uBJVzt6Ro

「つーか、◯◯のレポートだるくない?」

言葉通り気怠そうに毛先を弄りながら、彼女は前野くんに話題を投げかける。
派手目な彼女、とりあえず明るいし明野さんとでもしておこう。

「それなー。いちさんは終わった?」
「え…うん、一応…お」

振り向いて問いかけられた言葉に逡巡しながら返事をする。
「終わってるけど…」と続ける途中で、言葉を遮られた。

「そりゃあ、いちさんは終わってんでしょー」
「だよねー」
「ねー」

どうやら決定事項だったらしい。いや実際終わってるけどさ…。

明野さんは、先ほどの気怠そうな顔とは打って変わって、にーっと口角を上げて明るい声で周囲に笑いかけている。
そして、よく似た笑顔で同意する取り巻きのような彼女たち。
いやはや、仲良きことは美しきかな。

「そうなんだ。偉いね」

振り向いて私に笑いかけてくる彼の笑顔は、彼女たちのそれとは種類が違う。

「い、いや…別に…そん」
「つーかさー、レポートの話とかやめようよー」
「だねー」

またも私の言葉は続かなかった。
明野さんが出した話題は、彼女自身のお気に召さなかったようだ。
話しかけられてしまって申し訳ない。

「ねーねー、それよりさー」

まだこちらに振り向いたままだった前野くんは、軽いボディタッチを伴った明野さんの呼びかけで前に向き直った。

切り出された別の話題で、彼女らは盛り上がっている。
先ほどの笑顔とは別のきらきらした笑顔だ。


実に大学生らしい光景である。
268 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/04/25(土) 20:13:20.83 ID:uBJVzt6Ro

とまあ、こうしてキャンパスライフを送っていた。

もちろん何も気づいてないわけではない。
これでも3年間、高度な空中戦を間近で見てきているのだ。
これくらいの真意ならわかる。…誰にでもわかるのかな。


単純な話、明野さんは私が気に入らないのだ。

彼に話しかけられておきながら、好意的に返したりもしない、適当に誤魔化したり、困ったような態度をとるだけ。
何様のつもりだ、と。
「男の人とか苦手だし…」なんて、彼氏がいては通用しないし、通用したとしても、それはそれでかまととぶってるとか思われるまでだ。
詰んでいる。

別に彼に対して特別な好意があるというわけでもないとは思う。
でも、仲がいいお気に入りの男子が、私のような女子に話しかけているということが気に食わないのだろう。

端的に言えば嫉妬だ。

私の身近にいる素敵な彼女たち。
彼女たちと一緒にいれば当然目立つ。
だからこう言った注目を集めることも珍しくない。
けれどこのクラスに彼女たちはいない。
もう自覚している。私もそれなりに目立つのだろう。
あれだけ「世界一…」とか言われたらさすがに自覚する。…これはまた違うか。

それゆえの嫉妬。
女の嫉妬は複雑で簡潔なのである。

それだけわかっていても、私はどうこうするつもりはなかった。
絶対に仲良くしたくないなんてことはないけど、大変だろうし私に上手くできるとも思えない。
これから4年同じクラスだ。
何もしなければその内収まって、表面上はなんとなく付き合っていける。
それが女世界というものだ。…たぶん。


高校の頃は恵まれていたなぁ…。
と、自分のコミュ症を痛感するばかり。



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269 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/04/25(土) 20:16:54.33 ID:uBJVzt6Ro
一旦区切ります。

暗いですね…性格が(ーー;)
270 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/04/25(土) 21:43:11.35 ID:Ot47CJ43o
さやちゃんこんばんは

まあみんな仲良くとは行かないからね
おっさんの様に年をとってくると色々と割り切れるんだろうけど
271 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/04/25(土) 23:06:32.71 ID:uBJVzt6Ro
>>270
こんばんは。

みんな仲良くなんてできませんよね。
陰口叩きながら表面上で付き合っていくのでしょう…。
272 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/04/25(土) 23:14:07.95 ID:uBJVzt6Ro
続き投稿しますね。
273 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/04/25(土) 23:15:23.92 ID:uBJVzt6Ro
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10月某日


日付変わって、今日は前から決まっていたクラス会の日。
後期が始まってすぐに予定されたこの会に、その時は誘われるがままとりあえず出席すると返事していた。
別に私はアンチクラスではない。
そう答えた以上、参加しないわけにもいかない。
正直気乗りしないけど….。


「夜までどうする?」
「地味に時間あるしねー」

前野くんとその隣の彼が、こちらに尋ねてくる。
飽く迄尋ねてきているのであって、誘いではない。

「えと……研究室行こうかなと…」
「そうかー。がんばって」
「うん。また後で」

いつも通り答えて、隣の彼女にも軽く挨拶して席を立った。
ちなみに彼女はクラス会には参加しない。

ドア付近の席で賑わう明野さんたちを横目に、教室を後にした。
274 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/04/25(土) 23:17:31.93 ID:uBJVzt6Ro




某居酒屋にて絶賛クラス会中である。
とりあえず私は参加している。

クラスの大半は、頬を赤らめて普段よりも幾らか気分がよさそうだ。
楽しい空気に酔っているのかな?(すっとぼけ)

会話は嗜む程度におつまみを堪能していると、どうやら話題の矛先を向けられたらしいことに気づく。

「いちさんって、研究室通ってるんでしょ?」
「すごいよなー。テスト以外勉強したくねーわ」

隣の彼が出した話題に、近くの前野くんが便乗する形で会話を広げた。

「い、いやいや…」

私なんて滅相もないです、とまた食事に戻る。
この和え物おいしいな。


「うんうん!まじすごいよねー!」

どうやらまだ続くらしい。
続きを拾ったのは、明野さんだった。普段より一層声が明るい。

「うちらにはできないわー!」
「ねー!」
「い、いや…」

随分と好意的に言ってくれることに驚く。
実はツンデレで、これが素直な感想なのかしら?

しかしその表情はにやついていた。
275 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/04/25(土) 23:21:37.23 ID:uBJVzt6Ro


「あとー、なんか企業のバイト?とかもしてるよね」
「違うってー、仕事だよ仕事!大学生だけど」
「仕事かー!えらいよねー。なんつーの?意識高い系みたいな」
「それなー!」

あはは…褒めてないよね、それ。最初からそうか。
語尾に(笑)が見える。

そこも目についてたんだ…。いや鼻についていたのか。
別にアピールしていたわけじゃないんだけどな…「仕事」も他のバイトと区別して言ってただけだし。
ていうか貴女たちには言ってないけど…ああ、前のグループの子たちか。
あっ…(察し)

でもまあ、その辺りのことはそう思われても仕方ないのかもしれない。
こうして私のように活動している子はそういない。普通はしないのだ。
人と違うことをしていれば目立つし、そこに嫉妬が加われば尚のこと。
普通の人と違うとか、まるで中二病。

いいじゃないの…意識高い系上等。
やりたいからやっているのだ。
何を言われても気にしない。

「でもさー、研究室行くとか、あからさまじゃない?」
「1年から教授に媚びるとか、ねー?」
「就職意識高い」

…どうやら普段より素直なのは間違ってなかったらしい。ストレートだ。
それとその意識高いの使い方はたぶん違うよ。

なるほど、そう思われていたのね…。まあ気にしない。

「でもそういうの、彼氏がかわいそー」
「あー、かも。男は嫌だよねー?」
「いや…俺は…」

話を振られた前野くんは、困ったように誤魔化している。

「あれじゃない?最近流行ってるあれ」
「…寝取られ?」
「それそれ!」


…ちりっと、空気が擦れるような音が聞こえた気がした。
主に私の中で。
276 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/04/25(土) 23:24:59.72 ID:uBJVzt6Ro


さすがにしょうちゃんのことを言われては黙っていられない。

そう思ったが、やめた。
前野くんが苦笑いで彼女らを諌めている。
流石に巻き込むのはかわいそうだ。
もう遅いか…申し訳ない。

ヒートアップした彼女らの言葉には、さすがに何人かは引き気味だ。
対して私は飽く迄クールに繕う。
周囲の視線にも応えずぐっと堪えて、静かに急ぎめでグラスとお皿を片付けた。


「先に帰るね。…こういうの、彼がいい顔しないから」


そう告げて、彼女たちを見下ろしながら店を後にした。



277 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/04/25(土) 23:33:46.57 ID:uBJVzt6Ro


店を出てしばらく歩いていると、胸中のわだかまりも薄れていく。
それと同時に罪悪感が湧いてくる。

当然、彼女らにではない。
しょうちゃんに対してだ。

最後の言い方はよくなかった…しょうちゃんの心象を悪くしてしまっただろう。
それ以上に酷いことを思われていたわけだけど、私が言っていいことにはならない。
結局訂正もできてないし…。
全然クールじゃない。


罪悪感とその他の色々な感情を混ぜながら、しょうちゃんに電話する。

今はしょうちゃんも飲み会のはずだ。
それなのにかけてしまった。
かけらもクールじゃない。

そりゃ出ないよね…と、5コール目くらいで切ろうとすると、繋がった。

「あ、もしも」
「愛してるよー!」
「…」

………。
色々と吹き飛ばされてしまった。


電話の奥で色めき立つ声が聞こえてくる。
ああ、言わされたのね…。

そちらは楽しそうで何よりだ。


ごめんごめんと言いながら、静かなところに移動してくれたらしい。
電話口からは、落ち着いた彼の声だけが響いて聞こえる。

「それで、どうし」
「愛してるよ」


お返しに、私は小声でそう言った。


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278 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/04/25(土) 23:37:22.55 ID:uBJVzt6Ro
以上になります。

まあ今はほとぼりも冷めて、上手くやっております。
上辺だけですが。
279 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/04/25(土) 23:57:41.37 ID:Ot47CJ43o
女同士って怖いな、、、w
負けず嫌いか変な方向に向いているというか

とりあえずしょうちゃんです仲良さそうで安心したわw
280 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/04/26(日) 00:20:42.61 ID:3/OCbir4O
やぁさやちゃん元気そうだね
くだらない人と付き合うと自分もくだらない人になるから適当に距離を置くのがいいね
対立する価値もないからなあ

281 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/04/26(日) 00:21:09.30 ID:oVmusKtqo
>>279
人を蹴落としてでも1番でいたい乙女心()ですね(ーー;)
中学の時も女世界ではいろいろありましたけど、ここまでは…。
本当に高校は恵まれてましたねw

こういう時のしょうちゃんの癒し効果と言ったらもう。
282 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/04/26(日) 00:26:32.49 ID:oVmusKtqo
>>280
こんばんは。
まあ実習班とかもあるので、ただのクラスメイトという形で適当にやっております(^^;;
仰る通り、対立してもね…。
私も非がありますし、お互い様ということで。
283 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/04/29(水) 00:51:14.18 ID:aQXChhRYO
アルバイトも立派な仕事だよね。
どんな仕事や立場でも、真剣に本気で取り組んでる人はそれだけで尊敬できるよ。
仕事に優劣を付ける人は信用ならねえww

しかし、しょうちゃんww
流石だねww
もうそれしか言えないww
2828できました(・∀・)
284 : 【ピョン吉】 [sage]:2015/05/01(金) 11:17:55.10 ID:eL2GAeNDO
しょうちゃんのイケメンぶりに寸分のブレなし
285 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/04(月) 21:19:46.78 ID:vJPGWFgmo
>>283
働いてる私偉いアピール、みたいに見えたんですかね…もう開き直ってます(^^;;
好きでやっていますが、それなりに責任は持っているつもりですw
意識高いんで…!

まあ、よっぱ…気分よくなった勢いで言っただけでしょうけどねー(¬_¬)
全部持っていかれました。
タイミングよすぎですよ…まったくもう…w


>>284
無意識にこういことしちゃう辺りがですね…w
286 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/05/05(火) 20:55:34.17 ID:k6NXyxhcO
大学なんて、いろんな人がいて当然なんだけどね〜

自分の同期生には実家に仕送りしている人もいたし、
一度就職してお金をためてから入学した人もいたし
寮生では仕送りが無くて自分で生計をたてている
なんて珍しくもないし
地方大学で車の所有率は高かったけど、自分を含め
仲間の半分以上はバイト代で買ってた

中にはお嬢様でバイトや労働に嫌悪している人も
いたけど、あまり好かれて無かったよ…
287 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/05/05(火) 20:56:40.68 ID:k6NXyxhcO
それにしても、しょうちゃんカッケーよ!
288 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/05/05(火) 21:07:36.10 ID:D31RkFyeo
しょうちゃんかっこいいな〜〜
男だけど抱かれても良い、、、、けどその役はさやにゃんに任せようw
289 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/06(水) 21:08:08.26 ID:2RFUlAsWo
こんばんは。


>>286
いろんな人がいますよね。
年の違う人ももちろんいますし、そもそも大学とは広く自由なところじゃないのかと…まあ実際そうではあるのですが。

彼女たちは、バイトについては悪く思ってないですよ。
大学生にとってアルバイトは、ある意味ステータスとも言えますしね。
私がしているちょっと違う「仕事」に対して…というか単に私が気に食わなかったのでしょう(^^;;


>>287>>288
なんだかしょうちゃんが意外と高評価…
飲みの場でたまたま言わされただけですよ!
私は救われましたけど!嬉しかったですけど!
290 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/08(金) 02:45:48.06 ID:/ps8wCLXo
深夜の投稿です。
時間空いてすみません…。

それでは、少し長いですがお願いします。
291 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/08(金) 02:48:46.13 ID:/ps8wCLXo
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10月某日


「おかえりなさいませ、お嬢様」

いつも通りの熱いおもてなしを受けて、店内へと入る。
普通の喫茶店である。メイドはいないし、一緒に写真を撮ったりもできない。

「ただいま、ごきげんよう」
「…こんにちは」
「ご主人様もいるんだけど?」

いや、しょうちゃん突っ込むところはそこじゃないから。
まあ今更誰も突っ込みはしない。
いーちゃんなんてノリノリ。

「つーちゃん今日も可愛い」
「いえいえ、私なんて滅相もありません」

奥ゆかしく否定するけど、制服姿のつぐみさんはいつ見ても可愛い。

この喫茶店は、つぐみさんの勤め先である。
つぐみさんが働き始めて、最初に遊びに来てからみんな気に入り、よく集まるようになった。

私たちにだけは、こうして特別メイド待遇をしてくれる。
もちろん彼女の趣味だ。

落ち着いた雰囲気のこのお店につぐみさんがいるこの世の中は、きっと正しい。

292 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/08(金) 02:50:28.38 ID:/ps8wCLXo


席についた私たち3人は、会話に花を咲かせていた。
実際は花が咲くなんて表現できるような内容ではなかったわけだけど…。

「うーん…まあ、そういうのはしょうがないよねー」

少しうんざりした表情で、けれどなんでもないことのようにいーちゃんはそう言った。
私としても同じ気持ち。さすがよくわかってくれている。


私はいーちゃんとしょうちゃんに、先日のクラス会の話をした。
相談だとか愚痴というわけではなく、…いや愚痴る気持ちはあったけど、まあ話題の1つとして、といったところ。
あれから数日経って落ち着いてもいたので、「こんなことがあってさー」くらいに軽く伝えた。

そんな私の様子もあってだろうか、いーちゃんは軽く答えてくれた。
そのたった一言に救われる。
話題とは裏腹に、こうしてわかってくれる彼女が居てくれることを嬉しく思う。

さらに言えば、窓際の席で紅茶を嗜む彼女を間近で見られる私は世界一の幸せ者である。(眼福)

293 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/08(金) 02:52:21.06 ID:/ps8wCLXo


彼女とは対照的に、隣で話を聞いていたしょうちゃんはといえば、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
当然と言えば当然かもしれない。

「そっか…それは嫌だね」
「え…うん、まあ…」

嫌なことではあったけど、私はそれほど深刻に考えていなかった。
彼の表情のように。
それでも、私にも心残りはある。

「…ごめんね。しょうちゃんのこと、言い返せなくて…」
「いや、それは言わなくてよかったと思うけど」

…確かに、言い返していたら口論になって、もっと面倒くさいことになっていたかもしれない。
そもそも訂正したところで、聞いてもらえる気もしない。

「…ちゃんと話して、さやのことわかってもらえたらいいね」

弱々しくも励ますように、私に笑いかけてくれる。
その笑顔に、私はどう答えていいかわからなかった。
「いやー、うーん…」と困っていると、代わりにいーちゃんが、横からため息混じりで答えた。

「なんでそういうこと言っちゃうかなー。わかってないなー」

やれやれと、大袈裟に手振りを加える。
その言い方が癇に障ったのか、しょうちゃんは低い声で短く返した。
それでもいーちゃんは態度を変えない。

「…なにが」
「女心。ていうかさやちゃんのこと」
「なんで」
「なんでって。さっきの言葉がわかってない証拠でしょ」
「ちょ、ちょっと、いーちゃん…」

私の止める声も聞いてはもらえなかった。
294 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/08(金) 02:54:31.36 ID:/ps8wCLXo


「嫌われてる相手にわかってもらいたいなんて、思うわけないじゃん」
「いやでも、嫌われたままでいいことはないだろ」
「だからー、しょうがないんだって。嫉妬っていうのはそうなくならないよ」
「…さやが嫌われててもいいって言うの?」
「それより大事なことがあると思うけど?」

「やめてー!私のために争わないでー!」なんて言えるヒロイン力でもあればよかったのかな…。
いや、それはなくていい。
いやいや、どうしてこうなっちゃうの…この2人はもう…。
もう一度私が止めに入ろうとすると、横から救いの手が差し伸べられる。

「お嬢様。他のお客様のご迷惑になりますので、口を塞がせていただきますね」

唐突にそう告げたメイドことウェイトレスの彼女は、彼女の頬に手を添えて顔を近づけていき…。

「…ごめん」
「止めちゃいや」

いーちゃんの手で制止されたつぐみさんは、残念そうに顔を離していく。
休憩をもらったらしく、着ていたエプロンを脱いで、4人席の空いている席に腰を掛けた。
救いの女神(仮)。
295 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/08(金) 02:55:25.60 ID:/ps8wCLXo


つぐみさんが止めてくれたことで、その場は一先ず静まった。
…止め方はさて置くとして。

私からつぐみさんに「ありがと」と言うと、いーちゃんから「ごめんね」と謝られてしまった。
首を横に振って答える。

「怒り顏のいーも、慌て顔のさやちゃんもとっても魅力的」

そんな発言はスルーして、考えを巡らせる。

いーちゃんも、きっとこうした嫉妬を孕んだ敵意を向けられることはよくあったのだろう。
昔の彼女なら尚更…というのも知っている。今でも少なからずはあるのかもしれない。
だからよくわかっている。わかってくれる。
それらを踏まえて、「しょうがない」と言ったのだ。


ちなみにつぐみさんには、前にこの話をしていた。

「怒ったさやちゃんもいいのはわかるけど、もっといい表情があるのに…自ら離れるなんて愚かだわ」

…ちょっと何言ってるかわからなかった。
斜め上な考え方である。
まあそれが彼女の、何があっても揺るがない包容力なのはよく知っている。


対してしょうちゃんはと言うと、やはりまだ納得いかない顔をしていた。

296 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/08(金) 02:57:51.32 ID:/ps8wCLXo


しっかり顔を上げて、宣言する。

「彼氏として、さやがよく思われてないのを良しとするわけにはいかないよ」

…い、いきなりなんてことを…。
もちろんその気持ちはとんでもなく嬉しい。

たじろぐ私を他所に、はぁーと深くため息を吐いていーちゃんが答えた。

「あのねー、そういうとこ惚れちゃうくらい大好きだけどね。そういう話してるんじゃないの」
「いや、でも…」

いーちゃんに言ってもらってばかりじゃいけない。
自分のことは自分で言わないと。
…別に対抗して言うわけじゃないんだからね。

「…私も大好きだけど。…でも、ほんとに大丈夫だから。ありがとね」
「…そう」
「その…こうしてみんながいるし、それに……しょうちゃんがいてくれるから…」

こんな言い方しかできないけど、上手く伝わったかな。

わかってくれる貴女たちと、貴方がいるから。
誰にどう思われても構わない。
だから、自信を持って自分の道を進める。

297 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/08(金) 02:59:14.80 ID:/ps8wCLXo


「…そういうのは家で言ってくれない?ちょっとどう抑えていいかわかんないんだけど」

…たぶん伝わったのだろう。
真顔でも、少しだけ口角が上がった、いつもからかってくる時の顔をしている。

「えっ?ごめんね…」
「頭撫でていい?とまらなくなるかもだけど」
「や、やめて…」

よかったけど…自分で言っといてなんだけど、めちゃくちゃ恥ずかしい。

ちょっと店員さん、このお店暖房効きすぎじゃないですかね。
そう訴えかけた店員さんはと言うと、しらーっと冷ややかな目をこちらに向けていた。

「私は大っ嫌いだけどね。大体独り占めしないでよ。2人ともちょうだい」

その隣の彼女も先ほどとは違う冷めた目をしている。

「なにこれー。私ただの当て馬じゃん。しっかり発情してるし」
「仕方ないよ、優秀なのだから。ほら、私だってこんな風に」

明るいうちからやめてください。
と、人の事は言えない私たちだった。


居心地のいい彼と彼女たちとの時間に、私はただただ浮かれるばかり。

ずっと続いていくこの時間を、今までと変わらず、手放しで楽しんでいた。
298 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/08(金) 03:01:50.85 ID:/ps8wCLXo



つぐみさんの休憩は終わり、3人だけの席となった。
改めて、私は2人に謝った。

「…変な話してごめんね」

本当はこんなつもりじゃなかった。
と、自分の中だけで言い訳をする。

「ううん。変な空気にしたのはしょうちゃんだし」
「いーちゃんもだろ」
「まあそういうことにしといてあげる」
「…腹立つ言い方だな」

これくらいならただの予定調和。
先ほどの言い争いとは違う。
にやにやと、挑発するようにキャッチボールをしているだけである。

だけどいーちゃんの言葉に含みがあるように思えたのは、私がどこか違和感を感じていたからかもしれない。
彼女も同じものを感じていたのではないだろうか。
そう思えたからだ。

そもそも、なぜ言い争いになったのか。
普段のしょうちゃんなら、こうはならなかったように思える。

そこには、彼が言ったように彼氏として譲れない気持ちがあったのかもしれないし、別の気持ちもあったのかもしれない。

詰まる所、私は男心も彼の事もわかっていなかった。


--------------------
299 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/08(金) 03:04:53.95 ID:/ps8wCLXo
以上です。

制服姿のつぐみさんに会えるのは◯◯だけ!


深夜に失礼いたしましたm(_ _)m
300 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/05/08(金) 08:04:54.70 ID:hamXW3/PO
おはよう
つい宵っ張りになるのが大学生っぽいや

「うーん、まあ…いーちゃんはしょうがないよねー」
という展開を予測してたんだけど
ちょっと違う気もしてきたなー

301 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/05/08(金) 09:10:00.66 ID:Aayhvbg3O
いー様とつぐみさんとしょうちゃんになら抱かれてもいい(真顔)
大切な人が貶されて平気な人はいないよね。
しょうちゃんの気持ちもわかるな(´ω`)
302 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/13(水) 20:35:17.74 ID:NQ6tM4gHo
こんばんは。

>>300
連休明けはどうも崩れてしまいますね…(^^;;

「いーちゃんになら…」という思いは、きっぱり否定しておきますw
別の意味での熱い思いならいつでも…!(爛々)


>>301
いーちゃんとつぐみさんはだめです(ジト目)
もちろんそうですよね。
その気持ちはすごく嬉しくて、なのにいつも一緒ないーちゃんの意見と違ったのは、
男心でしょうか。
303 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/13(水) 20:53:22.40 ID:NQ6tM4gHo
短めなのを1つ投稿します。

出来ればもう1個したいところ…。
304 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/13(水) 20:55:31.84 ID:NQ6tM4gHo

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11月某日


吹き荒ぶ木枯らしが窓を叩き、がたがたと揺れていた。
やがて揺れは治まり、代わりに風音だけが聞こえてくる。
晩秋の夜は身に染みるように寒いのだろう。


その寒さを嘲笑うかのように、この部屋はいつも暖かい。
仄かな香りが微睡みを誘い、何度誘惑に負けたか数え切れない。
きっと魔法がかかっているんだ。
一生かかっていたい幸せな魔法か。


「大好き」

聞こえるか聞こえないかくらいの小声で囁いた。
たぶん聞こえていない。
こんなに近くにいるのに。

静かに身体を動かして、そっと彼に重ね合わせる。
触れ合う肌は体温以上の温もりを感じ、首すじにかかる吐息が少しくすぐったい。
深く息を吸い込めば、彼の香りに身体中が満たされていく。
どれもが心地よくて、このままいつまでも溺れていたいなんて、つい自堕落に考えてしまう。

だけど、もうすぐ終わりが来る。

305 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/13(水) 20:57:26.60 ID:NQ6tM4gHo


最後に思いっきり吸い込んで、彼でいっぱいにする。

「んっ…」

静かな寝息のリズムを乱してやった。
いつもの仕返しだから、いいよね。

「んむ……」

寝ぼけ眼で口を開けた間抜け顏。
そんな顔されたら我慢できないから….。

「ん…んぷ……んー!」

溺れてしまえ!
なんて、仕返しのつもりじゃないけど。

「んー……むふ」
「…おはよ」

お返しにはなったのかなー…。
名残惜しそうな彼に、私もまた名残惜しそうに告げる。

「…そろそろ帰らないと…」

起き上がろうとすると、ぐっと抱き寄せられた。
やっとの思いで決意したのに…寝起きのくせに生意気だ。

彼の大きな器は、私が溺れるには十分すぎる。

「……もうちょっと」

思い違いなんかじゃないから。
不安な顔をしないでほしい。


「もう…しょうがないなー」

お返しに溺れさせてあげる。


--------------------
306 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/13(水) 20:59:07.45 ID:NQ6tM4gHo
以上です。

だいぶあれです。攻めました。
307 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/05/13(水) 21:19:27.84 ID:2q+ZrMe/o

何かがヤバイんですがww
308 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/13(水) 22:54:24.49 ID:NQ6tM4gHo
>>307
ありがとうございますw
私も何かとやばいです…。
ようやく本題に入ろうかというところでして。
309 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2015/05/16(土) 19:27:08.34 ID:uYfvjSZs0
おまんこしたのけ?
310 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(三重県) [sage]:2015/05/16(土) 21:11:04.75 ID:gXR6Lx2No
>>309
清々しいほどスケベおじさん臭剥き出しだなぁ。
311 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/16(土) 22:36:50.40 ID:Sbw0rAVBo
こんばんは。


こういう言葉は変換されたりしないんですねー…。
まあ内容もわりとあれでしたし、致し方ないですね…。


>>310
お気遣いありがとうございますm(_ _)m
312 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2015/05/16(土) 23:34:41.06 ID:4H+RJGEGO
さやちゃんこんばんは

あれ、さやちゃんって料理は得意なんだっけ?
313 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/16(土) 23:45:25.54 ID:Sbw0rAVBo
>>312
こんばんは。
人並み程度には…一応今でもしてますのでw
314 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/16(土) 23:55:16.75 ID:Sbw0rAVBo
続きできましたので、投稿していきます。
315 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/16(土) 23:57:19.23 ID:Sbw0rAVBo

--------------------


言うまでもなく、彼は私にとって特別な存在である。
それは、彼が彼であることは元より、共に過ごしてきた時間があるから。
特別長い時間を、色々な時間を過ごしてきた。
そうして積み重ねてきた時間が、お互いを特別な存在にしたのだろう。

出会ったことは偶然かもしれない。
一緒に過ごせたことは偶然かもしれない。

だけど、その偶然が彼でよかったと思う。
彼の近くで、出会える場所で生まれたことをこの上なく幸せに感じる。
彼だったから、過ごした時間が特別になったのだ。

もし、他の人だったら、なんてことは関係ない。
他の人を知らないし、そもそももっといい人がいるかも、なんて考えすら及ばない。
だから、そう思わせてくれた彼はやっぱり特別で、私にとって彼以外にいない。

時間を積み重ねたから、彼を知っている。
私を知ってもらえている。
そうして至ったこの気持ちは、きっと、間違ってなどいない。


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316 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/16(土) 23:59:26.64 ID:Sbw0rAVBo

--------------------


12月某日


遅めに学校を終えた私は、まっすぐしょうちゃんの家へと向かっていた。
気分は憂鬱だ。

言いづらいことがある。
それでも言わないわけにはいかない。

思わず吐いたため息は一層白く、より寒さを感じさせる。
こんな寒い夜ほど、彼の温もりが恋しい。
だけど今夜ばかりは縋れない。
そのことが何より、私の心を寒くさせていた。


口元をマフラーで覆い隠し、俯きながらもゆっくり一歩ずつ、彼の家へと足を運んだ。

317 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/17(日) 00:02:05.14 ID:mGDpkORTo


どうしてこの部屋はこんなに暖かいのだろう。

あるのはこたつだけでエアコンも付いていないのに、この部屋に入ると身体の芯から温まっていく。

「つめたっ。早くあっためないと…」
「っ…。だ、大丈夫…」

かかる吐息は温かいのに、ぞくっと鳥肌が立つのは一体どういう仕組みなのか…。

「んむ…」
「ひゃっ…ちょっ、やめて!」

耳元から彼を引き離して、こたつに座らせる。
今日は微睡んでいる場合じゃないのだ。
…許されるのなら、また後でにしてほしい。


「それで、どうしたの?」

しょうちゃんから切り出してくれた。
ただ「今日行くね」とだけ言っていたけど、何か話があるのはわかっていたのだろう。

不安など微塵もない彼の表情から、私は思わず顔をそらしてしまう。
自分の手元に視線を向け、言い淀みながらもなんとか私は告げた。



「あの…クリスマス、なんだけどね……24と25、仕事が入っちゃって…」

…この言い方はずるい。自分でもわかっている。
それに、嘘もついているのだから尚更悪い。

「…そっか。残念だけど…まあ、しょうがないよね」

ほら。
こういう言い方をすれば、こう言うしかないのだ。

「ごめんね…。約束してたのに、ほんとに…ごめんね」
「ううん。まだちゃんと決めてなかったし。仕事頑張ってね」

優しい言葉をかけてくれる彼に、私はただ謝るしか出来なかった。
目も合わせられない。
見れないけど、きっと優しく微笑みかけてくれているのだろう。

私の大好きで愛おしくてたまらない笑顔がすぐ近くにあるのに、
私は後ろめたさから見ることが出来なかった。

暖かい彼の部屋なら、どんな事でも溶かしてくれる気がしていた。


318 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/17(日) 00:04:57.29 ID:mGDpkORTo


優しく撫でられると、つい縋り付きたくなってしまう。
だから、自分からその手を止めた。

「ごめん……本当のこと言うね」

掴む力が強張っていく私の手を、彼が優しく包んでくれる。
その手で続きを促されて、ゆっくり言葉にした。


「本当は、…私から、言い出したの…。私が、自分で…どうしても、やりたかったから…」

急遽入った仕事なのは本当だ。
でも、まるで仕方なく入れられたかのように言った言い方は、嘘だった。
卑怯で打算的な言い方を、思わずではあるけど、意図的にした。

彼から言葉を待たずに、私は話を続けていた。
何の言い訳か、何を言いたいのか、その仕事についての話をまくし立てるようにしている。
彼はそんな話が聞きたいわけじゃないなんてこと、わかっているのに…。

「わかった。わかってるから…気にしなくていいって」
「……ごめん」

宥めるように止めてくれて、またさっきみたいに優しく撫でてくれる。

「…はは。かわいいなー。言ってくれてありがとね」
「……うん」

ほんとにもう…。
言って欲しい言葉を、きっちり言ってくれる。
優しい声音で笑いかてくれる彼の表情は、きっといつもの温かい笑顔なのだろう。

そう信じて顔を上げると、彼は力ない笑顔をしていた。

319 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/17(日) 00:08:26.84 ID:mGDpkORTo

ただ繰り返し謝る私に、宥め続ける彼。
きっと彼はもう謝ってほしくないのだろう、というのはわかっていた。
それでも私には、それしかできることが思い浮かばなかった。

弱々しい笑顔を、彼自身は見つけてほしくなかったのかもしれない。
見てないふりをしてほしかったのかもしれない。
それでも見てしまったから。
何かをせずにはいられない。
そんな、自己満足な謝罪。

それを彼の言葉が止めてくれた。


「…頑張ってるさやを、俺がとめられるわけないだろ」


ゆっくり、諭すように告げられた言葉は、私の中にすっと入っていく。
そして、それはすぐに消えず、火が燻るようにいつまでも微かに残っていた。

彼の本心であり、本意ではない言葉。
きっとそれは、私にとっても…

「…じゃあ、譲歩案」

彼の言葉が考えを遮った。
黙っていた私の顎を持ち上げ、しかめた顔をぐっと寄せてくる。

そして、しょうちゃんは耳打ちで素敵な提案をしてきたのだった。

「…………」
「なっ…!?」

………ど変態か!
もちろん、それをするであろう私がである。

いや、いやいや、いやいやいや。
いやいや、悪いのは私だけど…でもさすがに…でもそれで許してくれるのなら……。

数度の押し問答の末。

「できない?」
「…………わ、わかった」

こうしてサンタクロースは、クリスマスの幾日か前にやってくる約束をした。
…不本意ながら。



結果から言えば、その日が訪れることはなかった。

320 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/17(日) 00:11:56.51 ID:mGDpkORTo


彼の部屋は暖かい。

その部屋に向かう途中、私は何に対して憂鬱を覚えていたのだろう。
その気持ちはきっと受け入れるべきもので、
これから先いくらでもあることなのかもしれない。

それでも、私自身はそれが許せなかった。


--------------------
321 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/17(日) 00:13:45.51 ID:mGDpkORTo
以上です。

昨年のクリスマスは寒い日でしたね。(時期外れ)
322 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2015/05/17(日) 01:00:00.39 ID:T9l0H4n8O
うええ、、、
何とも不安になるじゃないの、、、
323 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage]:2015/05/17(日) 01:32:46.13 ID:QIfRP30J0
だいぶ前の伏線がどう効いてくるかね〜
予想してた展開と違うからどうなっても受け入れるぞ
324 :さや ◆0j8YIq7DEniB :2015/05/17(日) 01:47:09.20 ID:mGDpkORTo
>>322
もうあまり隠さず書いてますからね…(^^;;
ようやく本題というか、主軸の話です。


>>323
気づけばずいぶん経ってしまいましたね…欲張って中々進まずすみませんm(_ _)m
受け入れて下さいましたら幸いです。
…あんまり上手くまとまらないかもしれませんが…。
325 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2015/05/17(日) 02:25:28.44 ID:gw8JCx6i0
週何回くらいやってるの?
326 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/05/17(日) 02:53:45.67 ID:lSuiVQUDO
sageないと、やっぱり変なのが紛れ込んでくるな…
327 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/05/19(火) 20:59:47.34 ID:Raa7XZbDO
>>315
これはリアルに今の心境を綴ったもの?
一見冷静なように見えるが、内容はかなり胸熱w
328 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/05/22(金) 09:21:25.07 ID:+FaFG6AfO
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄"\
          /  ノ^ヽノノノノ^ヽ、 ヽ
          | / へ    へ  ヽ |
          (|─[ ‐ ]ー[ ‐ ]─|ノ 
          |    (、_, )、   |  >>1 で、ヤったの?
          |   ,r=ニ=、ヽ   |  
          \    ー   /
      ../⌒\〆⌒ヽ"ーー" ⌒ヽ/⌒ヽ
     ../  ノつ\ ・     ・ /_人. ヽ
  o0○/  /( 3  \  ∩  / `-と ) ○0o
  (  ` /、_ノヽ     (:::)(:::)    /_ノ' '!   )゜
   \_)    |   : : : *   : : :|   (_ノ
           ヽ___ノ、__.ノ
      |                        i    !
                l      
        i       |!. .  _       |   ,|
       ,i -─ '''"" /\`""'''ー- i,、   !
     |/____/ δ \____\ ,|  フォン
    /.  \  ξ/  ̄   ̄ ̄\ σ /  ヘ!
    |  |  \/   ;゙ ,.'"゙':     \/     |
    ヘ  i  ,/\    、`,. '゙    /\  !  /
     \|/ ο \i____/ α \i!/
         ̄ ̄ ̄ ̄\i η / ̄ ̄ ̄ ̄
        `"'' ‐- ..,_|\/,,.. -‐ ''"´
329 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/05/23(土) 17:14:29.76 ID:sT0rmoqvO
さやにゃんこんにちは

エッチ覚えたての頃はやりたくてやりたくて仕方ないでしょうけど
避妊はしっかりしてくださいませ

フェラやクンニなどは危険が伴いますので
おやめくださいませ
https://doctors-me.com/doctor/infection/11/column/563
330 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/05/24(日) 18:11:00.37 ID:9nAoSYBDO
>>328
いー様になんてことを
331 :さや ◆0j8YIq7DEniB [sage]:2015/05/24(日) 19:21:08.81 ID:yawhz8DHo
すっかりsageるの忘れておりました…。
すみません。


>>327
今も昔も、ずっと思っていますよw
本気でこんなことを考えているわけです。
332 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/05/24(日) 20:13:01.98 ID:uKq16n1g0
お、さやにゃんこんばんは
大学2年時は取得しなくちゃいけない単位数が大学4年間のうちで一番多かった記憶があるので(自分が行ってた大学だからかもしれないけど)、勉学は今が踏ん張りどころかな?
333 :さや ◆0j8YIq7DEniB [sage]:2015/05/25(月) 01:20:45.37 ID:3SpdXUmGo
>>332
1年の頃よりは増えましたけど、そこまで多くはないですね。
私の学科は3年が一番多いみたいです。
余裕がある今のうちに、色々頑張ろうと思っています!
334 : 【吉】 [sage]:2015/06/01(月) 00:58:46.75 ID:iyg1HutDO
>>331
>>315 を見て既視感を覚えたので、似たのを探してみた(懐かしい)
http://ex14.vip2ch.com/part4vip/kako/1326/13260/1326039704.html#a240
335 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/06/01(月) 03:14:55.33 ID:gbHW/BTSo
そういや女装デートとかしてたなあ

いやー懐かしいわ
336 :さや ◆0j8YIq7DEniB [sage]:2015/06/04(木) 20:57:48.10 ID:AB67JJRqo
こんばんは。

>>334
ほんと懐かしいですw
こう、込み上げてくるものがあります。…恥ずかしさとか(。_。;

いろいろ変化していく中でも、変わらない気持ちもあるんですよね。


>>335
それも懐かしい…w
いやあの時は考えなしでしたねぇ…それもいい思い出になってよかったです(^^;;
337 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/06/05(金) 01:35:30.78 ID:8MXb0Pmy0
ところで浮気されたらどうする?
やっぱすぐ許す?
338 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/06/05(金) 09:13:32.47 ID:ZIbh50oDO
そういえばさやちゃん、父親の浮気で両親が離婚した後は中卒で働くことも当時は想定していたんだっけ。
その頃と今の状況とは雲泥の差かと思われ(誰のおかげですかね〜)
339 :さや ◆0j8YIq7DEniB [sage]:2015/06/05(金) 18:31:33.52 ID:m1P9ebN2o
>>337
しょうちゃんは浮気なんかしません。
と言うだけでは答えにならないので、一応お答えしますけど…許さないです。
でも、嫌いにはなれないんだろうなぁと思います。


>>338
そうですね、色んな人の助けがあってこそだと思っていますw
大学まで行かせてもらえてるなんて、当時は考えられません。
だから無駄にしないようにと意固地になっていたんだなぁ、と今では考えたり。
340 :さや ◆0j8YIq7DEniB [sage]:2015/06/05(金) 20:48:03.24 ID:m1P9ebN2o
長らく空いてしまいましたが…続きです。
投稿していきますね。
341 :さや ◆0j8YIq7DEniB [sage]:2015/06/05(金) 20:51:44.67 ID:m1P9ebN2o
--------------------


12月某日


ブラインドの隙間から外を覗くと、既に陽が落ちて辺りは薄暗くなっていた。
一方ブラインドで隠された室内では、華やかな光景が広がっている。
清楚系の淑女な方々が、可憐なティーカップを傾けながら会話に花を咲かせ、時折顔を綻ばせている。

「今週の◯◯、神回だったわー」
「ねー!超捗るし」
「わかります!今期豊作ですよねー」

…その微笑みはどれも、少々はしたないものだった。


講義を終えて特に予定のなかった私は、つぐみさんとさくらさんに誘われて彼女の所属するサークルに参加していた。
彼女言うところの、オタサーである。

本来は文学系とか芸術系とかのサークルで、実際にその活動もしている。
名称も至って普通…とは言えないけど、いわゆる現代視覚なんちゃらとかではない。
オタサーの部分は、飽く迄集まった人達の趣味なのである。
明らかにメインはそっちみたいだけど…。
まあ、サークルとは本来そういうものなのかもしれない。

だから、所属していない私がこうして顔を出しても、歓迎してくれる。
余所者の私が言えたことではないけど、私は結構この空間を気に入っていた。

「さやちゃんは◯◯見てるんだっけ?」
「うん。あ、でも新しいのはまだ…」
「じゃあネタバレ禁止ねー」

ここの方々は、同じ趣味を持つ人に等しく優しい。もちろん、元々優しいのだけれど。
つぐみさんやしょうちゃんの影響で、今では私も(いーちゃんも)そちらの趣味を持つようになった。
それでも当然、彼女たちに比べればまだまだである。そもそも嗜む程度でしかない。
そんな私でも、同士として受け入れてくれるのだ。

「ネタバレじゃないけどー、最近◯◯×△△でこういうのがあって…」
「っ、い、いえ、私はそちらの方面は…」

…こうした布(腐)教には困るけど…。
ホ◯が嫌いな女子もいるのである。
嫌悪感を感じるほどじゃないけど。


まあ、そんなことがあろうとも、とにかくここは居心地がいい。
それはきっと、下の立場や部外者であるからこその気楽さも合間っている。

どこかの教室とは違って、しがらみも、妬み嫉みもない。


「だめですよ。さやちゃんは、女の子同士で仲良くしてるのが好きなんですから。ね?」

そして何より、絶対的に味方で居てくれるつぐみさんがここにはいる。
たとえ世間では少数派であっても、彼女が味方でいてくれるなら、私は迷わず進んでいけるのだ。

「え、あ、うん…まあその、はい…」
「仲良く、よろしくしてるのが好きなんだよね?」
「その言い方、意味変わってきてるよね…」


…いや、貴女の影響でこうなったんですけどね。

342 :さや ◆0j8YIq7DEniB [sage]:2015/06/05(金) 20:58:29.22 ID:m1P9ebN2o


しばしの間、きゃっきゃぐふ腐と談笑を楽しんでいた。
いや、はしたない話ばかりではなく、何気ない世間話もあったし、忘年会の日取りも話し合っていた。
私も是非にと誘っていただき、お言葉に甘えて参加することにした。

そんな話をしていると、コンコンとドアをノックする音が鳴る。
先輩の「どうぞー」という声に招かれて入ってきたのは、1人の男の子だった。

彼は眼鏡が似合った私のよく知る男の娘で…勿体つけなくてもいいや。しょうちゃんである。
少し前に連絡を取り合い、待ち合わせをしていた。

しょうちゃんもサークルメンバーではないけど、この部屋には何度か来たことがあり、皆さんとも顔見知りだ。私との関係も知っている。

「どうもー」など挨拶を交わしながらこちらに歩いてくるしょうちゃんに、さくらさんが席を立ちたたっと近寄っていく。
しかし目的は彼ではないのか、その後ろをきょろきょろ眺めていた。

「うーす。…え、なに」
「いーちゃんは?」
「いないけど…」
「えー!そっかぁ…」
「…なんかすんません」

どうやらいーちゃんが目的だったらしいさくらさんは、がっかりしながら戻ってくる。いつも一緒に来てたもんね。
本当に、心底がっかりしている。いーちゃん好きすぎでしょ。気持ちはわかるけど。

複雑な表情をしていたしょうちゃんもぱっと笑顔になり、こちらに向かってきた。

「お待たせ」
「ううん。お疲れ様」

軽く言葉を交わしながら、しょうちゃんは近くの空いていた椅子に座る。
待ち合わせていたとはいえ、すぐに帰ることもない。
それに、皆さんに許してもらえないし。

「先輩方、燃料が来ましたよ。どうぞ」
「…あの、別に俺燃えないんだけど」

つぐみさんが先輩方にしょうちゃんを献上する。
「超燃えるよ!燃え上がるよー!」などと、先輩方は正に燃え上がっていた。
萌えではないのがポイントである。

年下で童顔なしょうちゃんは、腐女子な方々には滅法人気なのであった…。

「ねえ、こういうの着てみない?」
「絶対似合うよ!」
「いや、カップリングの画像で言われても困るんですけど…」

辟易しながらも、いつも一緒の誰かさんの影響でしょうちゃんは割と耐性がある。
オープンに弄られても平気な顔をして、ネタで返したりもしていた。
…私の前でも容赦ないですね…。

まあ、かくいう私も同じ誰かさんのせいで慣れているわけですが。

343 :さや ◆0j8YIq7DEniB [sage]:2015/06/05(金) 21:10:23.86 ID:m1P9ebN2o


そんな談笑にもきりがついた所で、私たちは先にお暇することにした。
燃え上がっていた室内とは違い、外は一段と冷え込んでいる。
これは早く手を温めないと…なんて、あざといと言われそうな考えを思案していると、話題を振られた。

「忘年会行くんだってね」
「あ、うん。誘ってもらえて」

ぱぁっと晴れやかな笑顔になり、実感のこもった声で彼は言う。

「そっか。安心した」
「…?」

何に対して安心なのかわからなかったけど、私の事で笑顔になる彼を見ると、気恥ずかしくなって顔を背けた。

そんな温かい気持ちもすぐに冷めてしまう。

「クラスの方は?」
「…あー、うん、あるみたいだけど…」
「…行かないの?」
「行かないよ…」

一応誘われはしたけど、断っていた。
もうああいうのは懲り懲りだし…。

答えると、先ほどのいい笑顔は消えてしまった。
安心とは反対の、心配した表情をしている。
やはり、しょうちゃんはまだ納得できていなかったらしい。
そんなに心配することなんかないのに。

「あの…別に、心配いらないからね」
「けど…」
「サークルの人みたいによくしてくれる人もいるし、仕事も楽しいし、それに…。だから、十分だよ」

クラス1つなんて些細な事で、恵まれすぎなくらいに多くのものを私は持っている。
すべてをうまくやる器用さもない私には、多すぎるほどだ。

「…でも、さやには普通にしててほしいんだよ」
「普通って言われても…」

そう答えながらも、先日感じた違和感が少しわかった気がした。
人間関係について、しょうちゃんは結構弁えた考え方をしている。達観しているとも言える。
そのしょうちゃんが、みんな仲良くなんて言ったのは、そういうことだったのだ。
普通に仲良く、浮かないように、人と違わないように。

普通でいて欲しいと言うのなら、私にとっての普通とは。

「……じゃあ、ずっと一緒にいるのが普通って言うのは、だめ?」

そっと手を握り、そんなことを代わりに言ってみせる。
これこそあざといのだろう。
意識して、わざと話をすり替えている。

「…恥ずかしい事言うなぁ」

そうして手を握り返してくる彼の表情は、顔を背けていて私からは見えなかった。



普通にしてほしいという願いは、私の事を考えてくれた彼の気持ち。
それは、ともすれば彼自身の切実な願いでもあり、2人にとって目を逸らしてはいけないことだった。


--------------------
344 :さや ◆0j8YIq7DEniB [sage]:2015/06/05(金) 21:12:42.85 ID:m1P9ebN2o
以上です。

1つ話を挟みました。
でも関係ない話ではありませんので…。
345 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/06/05(金) 22:14:36.18 ID:WGP05xWC0
いよいよ次回、核心に? なんだか週刊誌を読んでいるような感覚(゜_゜)
346 :さや ◆0j8YIq7DEniB [sage]:2015/06/05(金) 22:49:07.78 ID:m1P9ebN2o
>>345
その予定です。
週一くらいですもんね…そう思っていただけると気楽です(^^;;
なるべく早く書きたいんですけどなかなか…お待たせしてすみません。
347 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/06/05(金) 23:45:02.24 ID:KVgCLiNSO
続きはよ、続きはよ、


うわぁ〜早く来週になんないかなっ!
348 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/06/06(土) 05:49:23.18 ID:MpS7C/nh0
>>339
過去ログ探したら、こんなくだりを発見
http://ex14.vip2ch.com/part4vip/kako/1328/13284/1328451567.html#a929

当時「ぞっこん」だと言っていたご本人の、今の気持ちもあらためて拝聴したいところですがw
349 :さや ◆0j8YIq7DEniB [sage]:2015/06/09(火) 21:00:32.03 ID:wz63sM+Uo
こんばんは。

>>347
ありがとうございます。
いえ、絶対週に1回ということはないんですよ(^^;;
早めにできるかもしれないし、その逆も…その時はすみません。。
絶賛執筆中ですので!


>>348
これもまた懐かしいですねw
ところで、この自分に酔ってる痛いやつは誰でしょうか(すっとぼけ)
いやいや見返すとかなり痛々しい…今もでしたね(。_。;
350 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(岡山県) [sage]:2015/06/09(火) 21:17:11.13 ID:Fv5Dyjr9o
>>348
懐かしいなー
>>349
痛々しくないぞ!むしろキュンキュンするwwwwwwww
351 :さや ◆0j8YIq7DEniB [sage]:2015/06/09(火) 22:37:27.47 ID:wz63sM+Uo
>>350
それは何よりで…ま、まあ全然恥ずかしくはないですけどね!
ベッドにダイブしてうあああってなる程度です(黒歴史)
ともかく、後悔はしてないです。
352 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/06/09(火) 23:00:16.67 ID:BZXZUbGLO
長い
3行で頼むわ
353 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/06/10(水) 00:10:00.79 ID:D3odXBMDO
>>352
ドジっ子寝子にゃん
大学生生活にも慣れ
少し前の事を振り返る(多少盛りつつw)
354 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/06/10(水) 00:31:00.48 ID:2yqCQ6i60
>>351
この時しょうちゃんいなかったら、さやちゃんダークサイドに堕ちてたかもしれないし
355 :さや ◆0j8YIq7DEniB [sage]:2015/06/14(日) 23:10:47.05 ID:f1pvqKEMo
こんばんは。

>>354
そうですね、この時だけじゃなく高校で出会ってなかったら…と考えると怖くなります。
中学の時にもう堕ちてたと言えますので(^^;;
356 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/06/14(日) 23:51:29.64 ID:v4MReWXUO
>>355
ダークさやちゃんと、黒いーちゃん…
なかなかそそるコンビと思っちゃうのは
Mの素質ありかな…
357 :さや ◆0j8YIq7DEniB [sage]:2015/06/15(月) 00:26:25.30 ID:XRWaCHFco
>>356
いえ、そんないいものじゃないですよたぶん(^^;;
まあいーちゃんはともかく、私は根本は変わってないんですけどね…。
それは置いておくとしても、私は実はSな所もいえなんでもないです。
358 :さや ◆0j8YIq7DEniB [sage]:2015/06/15(月) 00:31:17.75 ID:XRWaCHFco
さて、懲りずに無駄に長くなってしまいましたが…
続き投稿します。

読んで頂けましたら恐悦至極でございます。
359 :さや ◆0j8YIq7DEniB [sage]:2015/06/15(月) 00:32:31.19 ID:XRWaCHFco

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きっかけは些細なことだった。
或いは、きっかけすらなかったのかもしれない。

その日その時に大きな意味はなくて、けれど起きるべくして起きたこと。
偶然なんかどこにもなく、すべては必然だった。

1つ偶然があるとすれば。
だけどそれをなかったことにしてしまえば、今までのどれもがなくなってしまう。
だから、そこには偶然も間違いもない。
正しい道順を辿ったが故の末路だったのだろう。

どんなに大きな器でも、水を注ぎ続ければやがて一杯になって溢れ出る。

3年かけて、或いはもっと前、物心ついた頃から積もった溢れんばかりの想いは、今にも限界に達そうとしていた。


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360 :さや ◆0j8YIq7DEniB [sage]:2015/06/15(月) 00:33:54.54 ID:XRWaCHFco

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12月17日


世間一般では、ただの平日である。

それでも、クリスマス一週間前という見方をすれば、よいこのみんなはサンタさんからのプレゼントを心待ちにし、
お父様方はおもちゃ屋にゲーム屋にと慌ただしいアフター5を過ごす日になるのだろう。
受験生にとっては、もう何日しかないと焦り出し、妖怪アレモコレモヤッテナイがそろそろ出てくる頃だ。
年の瀬の繁忙期とするなら、妖怪がよう出る職場から出られんけんな社員様にとって、正念場と言えるのかもしれない。
大学生はきっと忘年会とか飲み会とか打上げとかあちこちでしているし、
あるいは、有明海に臨むための綿密な予定を立てる夢見心地な日だったり…

つまりはありふれた1日でも見方によっては意味を持ち、過ごす人それぞれでまったく違った日にもなる。
人によっては特別な日であったりもするのだ。

などと年端もいかない私がご高説()を垂れたい訳ではなくて…。
要するに、この日は私にとっては特別な日だということを言いたかっただけである。
正確には次の日になる。


あの日彼との交際が始まってから、早3年が経とうとしていた。

361 :さや ◆0j8YIq7DEniB [sage]:2015/06/15(月) 00:37:20.12 ID:XRWaCHFco


私事の特別な日を控えた私は、それを除けば、クリスマスの一週間前という日を過ごしていることになる。

正確には、クリスマスの日にある仕事の準備である。
そこで使う資料を大急ぎで仕上げにかかっていた。
今日に限っては急がなければいけない理由があるのだ。
まあ普通に時間の猶予もないんだけど…。

そんなこんなで集中して取り組み、なんとか21時前には完了した。
為せば成る。手も抜いてない…はず。
再度チェックして、職場の方に添付メールを送信、今度こそ完了である。

ほんの一息ついて、スマホから別の相手に一言メールを送信する。

返事も待たず、はやる気持ちをそのままに立ち上がった。
鏡の前で軽く髪を整え、用意した小袋を手に家を後にした。


緩んだ頬に冷たい風が吹き付ける。
こんな寒さを感じるのも、ほんのわずかな間だけ。
身体が冷える前には、格別に温かい部屋にたどり着く。
それに、今夜は冷める気がしない。


そんなことを考えている間に早くも扉の前にいる。
浮ついた気持ちのまま、その扉に手をかけた。


362 :さや ◆0j8YIq7DEniB [sage]:2015/06/15(月) 00:39:03.00 ID:XRWaCHFco


慣れ親しんだというのも憚れる程に、当たり前に過ごした部屋。
今年もとっくに冬仕様になっている。
多少の模様替えはあれど、落ち着く雰囲気は昔と少しも変わらない。

幾度の四季を過ごしてきたけれど、冬のこの部屋は一段と落ち着く。
その温かさのためなのか、私たちにとっての始まりの季節だからなのか。
思い出の場所と言えば、1番はこの部屋になるだろう。
それくらい思い出で溢れている。
きっと今日だって、その思い出の1つになるのだ。


「おつかれさま」

定位置に座り、身体を少しこちらに向けて迎え入れてくれる。

「ありがと。ごめんね、遅くなって…」

言いながら、私も自分の定位置に着く。

「言ってたより早かったじゃん」
「うん。…がんばった」

隠さず正直に伝えると、柔らかく笑いかけてくれた。

「はは、よかった。疲れてない?」
「大丈夫。……楽しみにしてたから…」

座っていた場所から少しずれて、彼に寄り添っていく。
胸の奥から湧き上がる気持ちと、触れ合って落ち着く気持ちが共存する、例えようのない幸福感に包まれる。

「…ん、そう」
「うん…」

子供を寝かしつけるような優しい手つきで、頭を撫でてくれる。
蕩けそうな心地良さに包まれ、促されるままに私はゆっくり目を閉じた。



特別な日を迎えようとしている今日、特に何かをする約束はしていない。

何もしなくたっていい。
ただ一番近くでその時を迎えたい。
こうして寄り添っているだけでいいのだ。
それだけという幸福な時間が確かにある。
側にいるだけでいい。

363 :さや ◆0j8YIq7DEniB [sage]:2015/06/15(月) 00:41:10.09 ID:XRWaCHFco


会話も少なめに、テレビを眺めながら穏やかな時間を過ごしていた。
時折手を握ったり、くすぐったりしてじゃれ合い、2人でくすくす笑う。
まるで初々しいこんな触れ合いがいつまでも楽しい。

側にいる彼だってきっと同じ。
体温を通して伝わってくる、なんて幻覚にも似た共感を、私は妄信している。
肌で感じるこの想いは、間違ってなんかいない。



ふとスマホに目をやると、メールの受信を知らせていた。
仕事の連絡だったので、一言謝って確認させてもらう。
内容は、件の資料を受領したという旨と、お褒めの言葉まで書き添えられていた。

「仕事?」
「うん。資料、ばっちりだって」

簡単に返信して、すぐにスマホを手放した。
代わりに彼の手を握る。

「そっかー。えらいえらい」
「へへ…」

まるで子供を褒めるように、いい子いい子と撫でてくれる。
こんな時には、私はあざとく幼稚に笑ってみせるのだ。
彼の他には誰にも見せない。…恥ずかしいし。


一連のおままごとを楽しんで、今度は真面目にお礼を言う。

「…ありがとう」

こうして頑張れるのも、貴方がいてくれるからなんだよ。
いつも通り、そんな気持ちを込めて伝えた言葉。
これまで何度もこうして伝えてきた。
言葉にして伝えることはきっと大切だ。


そうして、私は最後の一滴を注いだ。

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