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社畜兄と義妹 高校編
- 84 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/16(月) 06:32:30.32 ID:Ey+h7ShQo
- 義妹「私の推理が正しければ、さっき登ってきた道をいまから下るんですね、コレで?」
オレ「その通り。そのためにわざわざ押して上がってきたんだから。つかまった?」
義妹「ゆ、ゆっくりですよ。あくまで、ゆっくりと!」
両脚で地面を蹴ってマイ自転車をスタートさせる。最初の数メートルこそフラついたものの、緩やかな傾斜の助力を得た愛機は徐々にスピードに乗っていく。
オレはこの浮翌遊感が堪らなく好きだ。曲がりくねった道を身体を傾けて、向かい風の抵抗をはらみながら滑空してい…
義妹「無理! もー無理! 背中がフワフワしてる! ダメ! ダメだってー!!」
オレ「わっ、ちょ、あぶな、引っ張ったら危ないって」
リアシートがやたらと賑やかしい。必死にしがみついてくるから、余計にハンドルがブレる。この素敵な浮翌遊感は万人と共有出来るものではないらしい。
仕方なく、しぶしぶハンドブレーキと足ブレーキを併用してお楽しみを中断する。ズルズルズル。舞い上がる砂埃。
義妹「え、なんで足擦ってるんですか。そこのレバー、もっと握りましょうよ。ほら、ギュッて」
オレ「あー いや、コレね、あんまり効かないんだよね。足を突っ張る方がよく止まるくらい。ブレーキパッドの摩耗とワイヤーの弛緩が原因だね。ただ、あんまりやると靴の底が減るから足ブレーキは極力使いたくない」
義妹「…そんな乗り物にいま乗ってるんですね、私。次の目的地まで、あとどれくらい?」
オレ「ん。いま、山の上のお宮から渓谷の河原まで降りてくとこだから。まだしばらく掛かるよ」
ヒュー…ズルズルズル…を繰り返すオレ。後ろで絶望に打ちひしがれているらしい義妹を乗せて、いつもより控え目ペースで下り坂を楽しむ。
- 85 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/16(月) 06:53:14.92 ID:KwBlbYkho
- おっす
(二人乗りよくない)
- 86 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/16(月) 16:54:54.43 ID:Ey+h7ShQo
- >>85
おっす
(ごめんなさい)
思いの外、現在の私と義妹のやり取りへの需要が高いみたいですね。
では、今後は朝に本編を、夜にはその日あったリアルタイムのエピソードをアップすることにしましょうか。
と言っても、過去の出来事からピックアップして書く高校編と違って、いまの私の日常に他人様に聞かせる程のエピソードがそんなにポコポコ都合良く発生する訳もなく。
実際、今日は義妹はも不在なので、今のところ極めて平穏な一日です。ってことで、こんな日は正月以降にあった出来事から何かピックアップして乗せることにします。
今夜は、少し前にあった仕事ネタになる予定です。また後で。
- 87 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/16(月) 22:24:35.00 ID:Ey+h7ShQo
- 義妹「おかえりなさい。わ、スーツ姿、ちょっと久し振り。今日の仕事って何でしたっけ?」
オレ「妙な仕事だったよ。春をひさいできた」
義妹「春をひさ… 何してきたんですか?」
オレ「コーヒー飲みたい」
義妹「座っててください」
鞄から今日の資料一式を取り出し、バインダーに綴じてラックへ放り込む。もう使うことはないだろう。
ジャケットを椅子の背に掛けて、ネクタイを緩めながらどかっと腰を降ろす。こういう仕事のモチベーション低下作用は半端ない。
義妹「お待たせしました。濃い目にしときましたよ」
オレ「ん。美味しい」
義妹「…で?」
オレ「あ、やっぱり話さないとダメ?」
義妹「コーヒー返してもらいますよ」
オレ「…この前、食事した人、覚えてるよね。そこそこ大きな会社の専務さん」
義妹「はい。ダンディな方でした」
オレ「食事の翌日、あの人から仕事の依頼があった」
義妹「え、あれってそういう趣旨の席だったんですか。どんな仕事?」
オレ「あの人の会社、営業利益はぼちぼちプラスなんだけど経常利益ではマイナスに転じる。原因は創業社長の息子の投機癖。会社の金でギャンブルしてる」
義妹「そんなこと出来るんですか」
オレ「創業一族が役員に名前を連ねる組織ではよくある話。財務活動の営業外費用が嵩んで本業の利益を食い潰してた。あの専務さんはメインバンクに呼び出されて、これを何とかしないと融資条件を引き締めるって言われた」
義妹「えーっと、損益計算書の話ですよね。何となくわかります。でも、どうしてそれが兄さんに関係するんですか?」
オレ「昔、お世話になったことがあったから、退職挨拶のメール送ったんだよ。そしたら、一つ相談に乗って欲しいって。オレに求められたロールは、外資系投資銀行出身でいまはフリーだから所属組織に縛られず金融商品を公正に評価出来るコンサルタント」
義妹「なんかすごーく胡散臭いです」
オレ「事前に受け取った資料は、そのオレなんか比べ物にならないくらい胡散臭い金融商品のオンパレード。専門家としてオレは取締役会の席でそれをクソ味噌にぶった切った…と言っても、ありのままの時価評価額を伝えただけなんだけど。こんな20代の若造の話を役員のオッサンどもが雁首揃えてご静聴。その後、別室で小切手受け取って帰ってきた」
義妹「わ、結構な金額ですよ、コレ」
オレ「いまのオレの一時間の値段らしい。安く見られたものだね」
義妹「でも、どうしてこう…お金のこと担当してる役員というか、CFO?みたいな人が説明しなかったんですか?」
オレ「社長の息子がいわゆるCFO的ポジションなんだよ。凄い顔で睨んでた。あの専務は社長の息子に改心を促す気なんてない。追い出す気かもね」
義妹「なんか社会に出るのが不安になってきました、私」
オレ「心配しなくていい。こんなのまだまだ序の口だから」
義妹「うげげ。春が待ち遠しいですねぇ…」
- 88 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/16(月) 22:26:52.52 ID:Ey+h7ShQo
- 22:15の米国指標は予想を微妙に下回ってきました。ドル円98.70付近… 微妙…
義妹も就職を控えて、最近は純粋なウフアハイチャコラではなくこういう仕事絡みの質疑応答的やり取り比率が高くなってきてます。
しかし、需要あるのかな、これ。社会人じゃない人が読んでもチンプンカンプンなんじゃね?
いや、スレに社畜って文言入ってるから見てくれてる人も社会人層だろうしオケか、とか思いつつ今夜はコーヒー飲んで寝ます。おやすみ。
- 89 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/16(月) 22:30:25.05 ID:7NeLQ6Gyo
- 私は大学生だから全然大丈夫だよん
おやすみなさい
- 90 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/16(月) 23:29:43.94 ID:v4+CAEC4o
- 需要あるよーもっと細かいネタでもいいぞー
おやすみ
- 91 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/17(火) 04:00:13.69 ID:kTuLn4Wpo
- あ、籍入れたのか
遅ればせながらおめでとう
- 92 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/17(火) 05:01:57.06 ID:uPu8sR09o
- 目覚ましより先に起きてしまった。
コーヒー淹れよう…
>>89
おや。社会人じゃない人が〜の箇所は私の失言でした。謝ります。
しかし、最近の義妹とはこういうやり取りが多いのです。新しいキャリアをスタートさせる不安からか、彼女なりに色んな情報を求めてるんだと思う。例えそれがオレみたいな標準偏差から乖離した経歴の人間の口から出るものであっても。
身内はともかく、会ったこともない学生にとって価値ある話とかオレに出来るんだろうか… なんかプレッシャー感じてきたw
>>90
おぉ、ここにも需要が。ありがと。でも、あまり具体的に書くと関係者に迷惑掛かるかもなので、これ以上のディテールは勘弁。
>>91
…え? あれ? 参照 >>35
あ、それから。こんなタイトルのスレとトリつけといて今更感ありまくりなんだけど、私は自分が「社畜」だったとは今も全く思ってません。
この文言を使っているのは、正月の時に別スレ立ててくれた人への私なりの礼儀です。外銀のフロントに自分を「社畜」だと捉えている人なんていない。全員が「狼」です。ミドルやバックは割りと普通の業種で報酬も控え目だったりするので、いるだろうだけど。
あの環境に飛び込まなければ得られなかった知識、経験、能力、そして報酬を私は自らの意思で求め、幸運なことにそれらを手に入れた。最後のは民主党が敗れて以降のアベノミクスに繋がる一連の上昇気流に、組織における私のキャリアの終盤が重なったのが大きいけど。稼いだ者が正義の世界。
私が心血注いだこの数年間のディールはペイするものだった、と個人的に結論付けています。
では、本編を一つ。
- 93 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/17(火) 05:02:59.17 ID:uPu8sR09o
- オレ「流石にまだ早かったかな」
義妹「唇、震えてますよ」
オレ「オレとしたことが、判断を誤った」
義妹「誤判断と思われる行動がこの一週間で何回あったか、私が知る範囲で良ければ教えてあげましょうか?」
普段よりも多用した足ブレーキのせいで熱を持った足の裏を、浅瀬に浸して冷やす。
頭上から注ぐ春の光が、水面をランダムに輝かせている。日本屈指の清流指定を受けている河川。ここはそのさらに上流にあたる。かなり深い部分でも、底に沈む石の模様まで鮮明に見通せる。
子どもの頃によく遊んだ河原が見えてくると、重力との戦いに惨敗して荷台で投げやりになっていた義妹がようやく明るい声を上げた。
ポイポイと放り投げられるスニーカーと靴下。浅瀬に向かって走り始めようとした義妹の顔が途端に歪む。当たり前だ。この辺りの石はまだまだ角が取れていない。下手すれば足を切る。
見ればわかるだろうに…という言葉を呑み込みながら、義妹の為に持参したサンダルをバッグから取り出す。それを認めて、パッと輝く義妹の顔。
手を伸ばしながら無造作に足を踏み出し、またすぐに眉を顰める。オレを見る彼女の表情に、初めて懇願の色が滲む。苦笑いしながら、義妹に近付いてサンダルを手渡す。
河原を埋め尽くす鋭角の石と、足の裏の痛みをリンクさせる経験が彼女には欠けている。さっきのヘビにしたって同じ。異なる環境で育つのがどういうことなのか、オレはようやく理解し始めていた。
ここで暮らしていくにあたって、彼女に欠けてそうな経験をリストアップするが、多過ぎてすぐに諦める。アンカウンタブル。
義妹「あの、物凄く気持ち良い場所ですけど、さっきから身体の震えが止まりません」
オレ「オレのお気に入りの場所なんだけど、流石にまだ水が冷たかったか。引き揚げよう」
義妹「暖かくなったら、また来たいです」
滞在時間15分。当初の綿密な計画には既に綻びが見られるが、オレの脳内OSには土地勘という最強アプリがインストールされている。
- 94 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/17(火) 07:20:13.93 ID:qYqppyJP0
- ワロタ
- 95 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/17(火) 09:57:43.41 ID:D7C2jtGno
- 良いエピソードだ
- 96 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/17(火) 12:03:18.52 ID:rl+R0cXho
- >>92
特定した。
- 97 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/17(火) 17:27:32.02 ID:c+1A6JHUo
- 最初はトトロのパクリかと思ってたのにだんだん面白くなってきた。なぁ、この前みたいな激しい感情のやり取りねーの? ああいうの読みたいんだけど?
- 98 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/17(火) 18:21:55.74 ID:uPu8sR09o
- 今日は朝早くにリアルタイムのやり取りがあったので、早めに乗せます。
弓道ネタでわからない用語多いと思うから、注釈つけた。
コーヒー淹れよかな。
>>94
>>95
オレの失敗談だけ高評価とかw
>>96
あぁ、町の人とか読んだら一発でわかるだろうなと思ってた。「あの家の小倅か」って感じで。
同僚とはプライベートの話なんてほとんどしなかったし、仕事関係じゃないよね。考えられるとしたら町民、高校、大学あたり? 誰だかわかんないけど、番号知ってたら携帯鳴らして。
>>97
んー 高校編はないかなぁ。お互いにまだ遠慮もあったし。くだらないことで口喧嘩とかはよくあったけど。
大学入ってからはかなり衝突もあったけど、いまは高校編で手一杯。
- 99 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/17(火) 18:23:30.57 ID:uPu8sR09o
- 義妹「今朝の日経、もう読みました?」
オレ「あぁ、春秋(注1)の掴みが弓道関係だったね」
(注1)日経の春秋とは一面左下部に掲載されるコラム。今朝の日経朝刊が手元にある人は目を落としてみてください。
手元にない人の為に説明。弓道で用いる矢の末端には「筈」と呼ばれる円筒形の小さな部品がついてます。「はず」と読み、「こんなはずじゃなかった」とかの「はず」の語源らしい。この部品には幅数mmの溝が切ってあって、ここに弓の弦をつがえます。これがキッチリはまらないとちゃんと飛ばない。
法科大学院修了生の司法試験合格率が奮わないことと絡めて、そもそも最初の設計が間違っていたのだ、いつまで「はず」の合わないまま矢を射続けるのか、と問い掛ける内容でした。
義妹「あー 久し振りに弓引きたくなってきたなぁ」
オレ「引けばいい」
義妹「あ、何ですか、その冷たい言い方」
オレ「…そーか。電車乗れば割りと近くにあるよ、弓道場」
義妹「え!? そーなの?」
オレ「…いいかも知れない。オレも久し振りに的に向かってみたいかも」
義妹「ね、行こ行こ!」
オレ「急にテンション上がったね」
義妹「だって! 弓ですよ、弓! いざ!」
オレ「道着も弓具もないよ」
義妹「私が実家帰った時に、兄さんの分も取ってきます!」
オレ「張り切り過ぎ。でも、何年も弓触ってない人が行っても、いきなり的前(まとまえ 注2)は立たせて貰えないんでしょ、フツー」
義妹「そっか… 危ないですもんね」
オレ「それに、学生時代の弓も引けないと思うよ、重過ぎて」
義妹「ってことは…?」
オレ「新入部員と同じ。まずはゴム(注3)で八節(はっせつ 注4)、次にやっと軽い弓。板前さん(いたまえさん 注5)で巻藁(まきわら 注6)」
義妹「ぷぷぷ」
オレ「…なに、その笑い」
義妹「伝説の落(おち 注7)が! ゴム!」
オレ「む。基本を侮るな。あ、義妹だって最強の大前(おおまえ 注8)とか呼ばれてたし」
義妹「うわー 恥ずかし。ヤバいですね」
オレ「若い時のこと思い出して恥ずかしいってことは、良い青春過ごしたってことだと思う、たぶん」
義妹「きっと貸出用の道具ありますよね。まずは見学行きましょうよ、伝説の落」
オレ「だからやめろって、最強の大前」
(注2)そのまま的の前、道場において弓を構える位置のこと。
(注3)太幅ゴムを輪っかにしたもの。誰でも最初はこれを弓に見立てて型の練習をする。
(注4)弓を引く基本動作、8つの動作に分かれてるから八節
(注5)袴を穿かずに道着の上だけで練習すること。練習時間があまり取れない時(昼休み練習とか)に許される軽装。板前さんっぽいからこんな呼び方してたけど、うちの学校以外では通じないかも。
(注6)藁を円筒状に束ねたもの。直径50cm前後。最初はいきなり的に矢を射るのではなく、これに向かって練習する。
(注7)試合などでは4人とか5人が並んで、前から順番に矢を射る。その順番が一番最後の人のこと。前の人が的に中(あた)らなくても、とりあえずこの人が最後に中てれば、イヤな流れを止めて先頭に良い流れを繋げる。よって、必中が期待される。うちの学校では、副将のポジションだった。つまり、オレ。
(注8)落とは違って、一番最初に矢を射る人。試合の流れを作る重要なポジション。中らないと恥ずかしい。ってか、許されない。うちの学校では、主将のポジションだった。つまり、義妹。
- 100 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/17(火) 21:37:29.12 ID:XZqVyG2U0
- 4人立の記述があるってことは大学でもやってた?
高校の頃は4人立の記憶がない…
- 101 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/18(水) 05:14:03.60 ID:WSiKpheYo
- おはよー
>>100
おぉ、弓引き発見。オレのテキトーな説明、そんなに精読しないでw
大学でも引いてたよ。だから四段持ってる。弓引いてる人って、左手を見ればすぐにわかるよね。虎口と天紋筋。
ってか、前も思ったんだけどここってホントに色んな人が見てる。今夜こそ「はぁ? ナニコレわけわかんね」みたいな反応返ってくるかと思ってたのに。
では、本編です。
- 102 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/18(水) 05:15:16.09 ID:WSiKpheYo
- 義妹「あ、ここ、母から話を聞いて来てみたいと思ってた」
オレ「あぁ、身体冷えたからね」
義妹「へー なんか情緒溢れるっていうか、ひなびてるっていうか…秘湯って感じですね」
オレ「この町唯一の観光資源だよ。知名度低いからあまりお客さん来ないけど、一応泊まれるようにもなってる」
義妹「お湯、白くてヌルヌルするって聞きました」
オレ「親父はなぜかあまりこの温泉来ないから、ホラ」
義妹「わ、無料入浴券?」
町民には一定枚数の無料入浴券が配布される。
オレは親父の分も貰えるから、入浴料を払ったことはない。
オレ「あ、一つだけ注意点が」
義妹「はい?」
オレ「ここ、露天風呂あるんだけど」
義妹「わ、良いですね、露天風呂!」
オレ「女湯は男湯よりも高い位置に作られてて、基本的に男湯からは覗けない構造になってます」
義妹「ふむふむ」
オレ「ただ、浴槽の端っこで立ちあがると男湯から丸見えになる場所があります。川に面した方ね」
義妹「え… ダメじゃないですか」
オレ「それを楽しみに温泉来てる地元のオジィちゃんもいます。注意されたし」
義妹「なるほど。それは有益な情報です」
受付のオバちゃん(当然、ご近所さん)に入浴券を渡す。
「あら、オレ君の新しい家族だね?」というオバちゃんに丁寧に挨拶する義妹。
男湯の前でカバンからタオルと手拭いを取り出して、義妹に渡す。自分の分が用意されてたことを知った義妹が「フフッ」と小さく笑う。
- 103 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/18(水) 08:53:29.66 ID:MFPnjn4po
- おはよ。アンタ、こんなのマッタリしたのも書けるんだな。全く違うテイストだが、毎日楽しみにしてる。
- 104 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/18(水) 16:47:43.89 ID:rmSGDwU3o
- ここは主がひたすら長文垂れ流す静かなスレだな。
- 105 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/18(水) 17:18:39.97 ID:WUZOyJSAo
- いま義妹は何してる?
- 106 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/18(水) 18:46:29.90 ID:7QidzvvAo
- なんか俺らも地元の観光紹介されてる気分になるスレだな
- 107 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/18(水) 21:56:23.14 ID:WSiKpheYo
- >>103
いまのオレがマターリした状態にあるっていうのもあるが、何よりも当時のオレの周囲全てがマターリしてたんだ。
>>104
そーだね。フツーはもうちょい賑やかなものなのか。自分でスレ立てるの初めてだからわかんね。まぁ、落ち着いて書けるのは助かる。
>>105
ベッドでゴロゴロしながら本読んでる。と言っても、Kindleだが。オレがダウンロードした葉室 麟。兄妹揃って時代小説好きになったのは、やはり親父の影響か。
>>106
この日の趣旨は義妹に町を見せることだったからさ。もうちょいしたらこの日の描写終わって、学校通い出すから。
- 108 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/18(水) 22:01:02.48 ID:WSiKpheYo
- 義妹「スーパー行ったら野菜が凄い高いんです。思わず買い控えてしまいました」
オレ「台風の影響か」
義妹「日本中凄い被害ですね。雨漏りくらいで済んで良かったです、実家」
オレ「ん。川に面してるからね。昔は床下浸水したこともあったらしいけど、護岸工事してからは大丈夫になった」
義妹「お義父さん、あの工事のせいで川に降りにくくなったって怒ってましたね」
オレ「あぁ、暑い夜、好きな時に降りて行って水浴びできなくなったからでしょ」
義妹「…いつから義父さんと兄さんの家を実家って呼ぶ様になったんだろ、私」
オレ「あそこは君の実家だよ」
義妹「いつか、帰りたいとか思いますか?」
オレ「そうだね。都会に出て、なおさらそう思う。子供にあの町の記憶をプレゼントしたい」
義妹「…え?」
オレ「子育てはあの環境でって、最近思うんだ。都市だけじゃなくて、ああいう場所もあるんだっていう評価軸を持たせてやりたい。中学までしかないから、高校進学のタイミングで寮に入れるか、家族で引っ越すことになるだろうけど」
義妹「それって…」
オレ「あんなに安全で、善意に満ちてて、長閑な場所なんて、この日本ですら珍しいと思う。だからこそ、子供の頃くらいはそこで呑気に過ごさせてやりたい。その後、どうするかは子供が勝手に決めればいい」
ペッチン…
オレ「…え? なんでいま叩かれたの、オレ?」
- 109 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/18(水) 22:07:55.07 ID:WSiKpheYo
- ってことで、今夜のリアルタイムやり取りは以上。
炭酸水ウマー。おやすみ。
- 110 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/18(水) 22:25:36.27 ID:JD6rd7OEo
- ( ゚д゚)
( #°д°)
- 111 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/18(水) 22:29:40.29 ID:WTIMOghj0
- 今夜もマッタリ読ませてもらった。おやすみー
俺も地元は田舎だったから子供ができたら友達と川や山で遊んだ思い出を作るのがいいんじゃないかと思うときがあるなぁ
>>101
一応伊勢で引ける日を夢見て学生弓道やってたからこの時期に弓の話題があるとね…
秋の風でいまだに押手とか勝手の肘とかが疼くわww
- 112 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/18(水) 23:32:54.13 ID:pRsA25D2o
- 思わず笑みがこぼれるね。
いいな、って思う。
- 113 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/19(木) 03:59:32.02 ID:Cmda1IVOo
- わからなくて文句言う人はここあまりいないと思う
ただ解説は非常にありがたい
弓道高校のときやってたから大前とかなつかしい単語だったww
うちは板前じゃなく寿司屋スタイル言われてたけど似たようなもんだな
- 114 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/19(木) 05:43:28.58 ID:ZqNB3U/Ho
- みんな、おはうぃ。なんか急に人が増えた? 「フツーはもうちょい賑やかなものなのか」とか書いたから、気を遣ってくれたのか? かたじけない。
>>110
えっと、なんか腹立ててるならスマン。
>>111
まぁ、恐ろしく閉鎖的だったり、人間関係も間違いなく面倒だし、良い面ばかりでもないけどね。それでも「自然の中に人間がお邪魔して暮らしてる」みたいな田舎特有の感覚は得難いと思って。(これはオレのとこが僻地だからっていうのもあるけど)
オレは「弓手(ゆんで)」「妻手(めて)」って呼ぶよ。用語のバラつきは地域と指導者にも寄るよね。打ち起こしは正面? 斜面?
手頃な太さの棒状の物を左手に握ると、反射的に手の内作ってしまうオレガイル…
>>112
ありがと。読んだ人にそういう気持ちになってもらえると、オレもここに書く意義を見出せる。
>>113
おぉ、二人目の弓引き発見。「用語説明の方が本文より長くないか?」とか思いながら書いた甲斐があったw 寿司屋か。なるほど。参拝の仕方にも各校の特色が出るよね。
では、本日の本編です。この第二章的なものも、今週末あたりに終わりそうな見込み。
- 115 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/19(木) 05:49:09.13 ID:ZqNB3U/Ho
- 男湯ののれんをくぐった瞬間に、どっと疲れが襲ってきた。世の中の兄貴というのは、こんなタスクを涼しい顔して毎日こなしているというのか。尊敬するわ。
脱衣場でシャツとジーンズを脱ごうとするが、冷えた指先が細かい作業を拒む。お陰で近所のジィさんの世間話にガッツリ付き合わされながら、ノロノロと服を籠に入れていく。
備え付けのシャンプーと石鹸で素早く身体を洗って、浴槽に身体を沈める。白濁した湯が、冷えた身体にジワッと浸透してくる様な錯覚。
思わず長い吐息が洩れる。これだけでもこの国に生まれた元を十分に取ってると言えるだろう。日本人で良かった。
露天風呂への引き戸をカラカラと開く。春の日中とはいえ、山間の空気はまだ冷たい。
浴槽に素早く身体を沈め、浴壁の手頃な大きさの岩を枕にして山向うの空を眺める。ぼーっと。浮翌力に任せてたゆたう俺の身体からは「ぷかぷか」という擬態語が聞こえてきそうだ。
あー 疲れたなぁー
和弓を引く時には普段使ってない筋肉を使うらしいけど、今日のオレも普段使ってない心の筋肉を酷使したぞ、たぶん。
朧雲が描くパターンを視線で無為にたどりながら、顔をゆっくり左へ倒し…
視界の隅に、何かがサッと隠れるのが映った。それも複数。兄貴というのは入浴中も息が抜けないものなのか。
そちらに向かって「先に出てるからー!」と声を張り上げると、白い手がヒラヒラするのが見えた。
- 116 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/19(木) 06:19:39.43 ID:IJFN4U6+o
- おはよー
朝早くから乙です。
いつも楽しみにしてるよ
- 117 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/19(木) 08:45:14.22 ID:+J0CQ5pMo
- どこかで見たタイトルだと思ったら656だと? しかも、初々しい中学生なのに義妹はちゃんと義妹じゃねーか。
朝から仕事が手につかねー ふざけんなよおい続けろください。
- 118 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/19(木) 19:13:54.48 ID:ZqNB3U/Ho
- 日経夕刊、消費税8%決定と米国の緩和縮小見送りのコンボですね。
今夜は米国置き去りにして欧州リスクオンですかそうですか…
>>116
そちらこそ、朝からありがと。
>>117
ここはいつでも読めるから、仕事してオケw
今日は平穏な一日だった。すなわち、話のネタがない。
ってことで、少し前の話。書き上がったから載せます。
- 119 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/19(木) 19:14:41.37 ID:ZqNB3U/Ho
- 義妹「兄さん、デスクの上のアレ、新しいタブレット端末?」
オレ「買った。前から購入検討してたんだ」
義妹「触ってもいいですか?」
オレ「どぞ」
義妹「あれ、Windowsなんですね」
オレ「そ。Microsoft Surfaceってモデルだよ。Windows 8 Proが入ってるから、いままでのWindows機でできたことは、基本的に全部できる」
義妹「へー 良いですねぇ、お金の心配から解放されてる人は? …って、あれ? え? デスクの下に置いてたパソコン…」
オレ「アレは手放したよ。足元がスッキリひろびろ」
義妹「…え?」
オレ「これからは2台のバックアップ用ノートPCとそのタブレットでやってく。それぞれに拡張ディスプレイ繋いで6画面トレード環境の出来上がり。安くなったもんだね。もはや液晶モニターにCPUが付属してる感覚…」
義妹「ええええーー!? あの中に私の卒論とか入ってたのに!!」
オレ「あぁ、内蔵ハードディスクなら…ほら、そこに取り出して置いてある。後でケースに入れてデータ抜くから大丈夫。その後、PCショップに持ち込んで、ドリルで穴開け処理してもらって廃棄」
義妹「…訳がわからないんですけど。つまり、その銀色の弁当箱みたいな中に私の卒論の最新版が入ってるってことですよね?」
オレ「そだよ」
義妹「じゃ、なんで上にコーヒーカップが乗ってるんですか?」
オレ「えっと、それは慣れというか、バラす作業してたら手頃な置き場所がなかったというか… 基板と接続端子さえ濡れなければ多少こぼれても大丈夫だと思うよ?」
バッチン!
義妹「その素晴らしいタブレット端末で、私の卒論データ取り出して。いますぐ!」
オレ「最近あまりキツく叩かれてなかったのになぁ…」
- 120 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/19(木) 20:02:53.21 ID:ZPaSds9po
- あれからもう半年以上経つんだな。
ネタの貯蓄は十分か、義妹王?
- 121 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/20(金) 00:06:49.08 ID:ujbBLWGz0
- 今日もお疲れ〜万が一HDD壊れてたらどうやったことやらww
>>114
用語は確かに地域や指導者に依存するねー。
指導された時の言葉が残るというか…
斜面を考慮に入れるとは斜面引き?
うちは基本的には正面だけど、斜面の流派でもあるから人によってまちまちだったかな。
俺は体作りこみたい時とか状態確認するのに斜面で練習もしてたけど、試合はほとんど正面だった。
斜面の体が絞られる?感覚は気持ちがいい…
- 122 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/20(金) 05:31:47.64 ID:NVZMk/o4o
- おっは。
>>120
ネタは9ヶ月分の貯蓄がタンマリあるんだが、そのセリフへの上手い返し方がネット調べてもわからない。義妹王ってなんだw
>>121
おつかれー。オレは正面オンリーです。
初めて試合で斜面見た時は「なにアレ、カッケぇ!」ってビビったわ。見様見真似でやったこともあるけど、射が崩れそうな感じして辞めといた。不器用なんでw
斜面の「身体が絞られる」って感覚はわからんわ。師範が「均等に身体を開いていく正面に比べて、斜面は心臓への負担が大きい」って言ってた。ホントかよwって感じだけど。
しかし、何のスレかわからなくなってきたなw もうちょいしたら義妹が弓に興味持ち始めて、オレがちょびっと手ほどきする話とかあるんだけど、いい加減なこと書けねぇw
では、本編です。
- 123 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/20(金) 05:32:59.81 ID:NVZMk/o4o
- オレ「おばぁちゃん、もしオレが同じことしたら、お巡りさん呼ばれるんだからね」
おばぁ「アンタ、まぁ、何言うてはるの。そないに見たいんならな、なんぼでも見せたるさかい、今度ウチ来んさいな」
オレ「いえ、遠慮します」
おばぁ「…ちょっとアンタ、おばぁの遺言や思て、よう聞きんさいよ。ソレな、はよ使う相手見つけな。20歳過ぎたらね、どんどん萎んでしまうんよ? ウチの死んだじぃさんなんかもう小指の先くらいに…」
義妹「そうなんですか!?」
オレ「そこの共犯者、老人の誇張された話を間に受けるな」
(注 上記のおばぁちゃんのしゃべり方は、ローカル感を出す為にテキトーに書いた方言です。特定の地方を示唆するものではないので、悪しからず)
この後、定食屋「千葉」ではない方の食事処(味は「千葉」と似たり寄ったり)で昼食を取り、商店街と町の施設を案内。
家路に着く頃には、空が茜色に染まっていた。山へ帰ってゆくカラスの鳴き声を聞きながら、家の前の橋を二人で渡る。
義妹「兄さんに露天風呂のレイアウトを説明された時、ふと思い付いたことがあったんです。それを確かめたくって、あのおばぁさんに尋ねてみたらこっちこっちって手招きされて…」
オレ「そんなことだろうと思った」
義妹「おばぁさんの老後の楽しみだそうです。どうか寛大なご采配を…」
オレ「君は見たのか」
義妹「良い身体してますね。肩幅っていうか、上半身が特に。弓引いてるからですか?」
オレ「じっくり見過ぎだろ。やっぱり許さない」
義妹「あ、ケチ。じゃ、こうしましょう」
ピタリと立ち止まる義妹。
口角がクッと上がった。
オレ「…なに?」
義妹「あのションベンくせぇガキが誰に似てようと興味ねーんだよ」
- 124 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/20(金) 07:44:42.39 ID:3XWQLTXho
- ( ゚д゚)
- 125 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/20(金) 08:56:19.01 ID:p9hMF2mbO
- ( ゚д゚)
- 126 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/20(金) 12:16:06.93 ID:QEuNp/aHo
- ( ゚д゚)
- 127 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/20(金) 15:00:11.78 ID:hsMvA/vrP
- ( ゚д゚)
- 128 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/20(金) 15:18:11.39 ID:xTc+Py7iO
- ( ゚д゚)
- 129 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/20(金) 16:19:21.66 ID:WnGIpl46o
- ( ゚д゚)
- 130 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/20(金) 18:39:26.33 ID:g6ZhFoQrO
- ( ゚д゚)
- 131 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/20(金) 19:13:19.36 ID:4+l90myKo
- >>123の最後の会話のやりとり見てて、よく今も会話のリードを握ってるなあと感心する
書き込まれたレスから自分なりに考えたから実際もそうとまでは限らんけどね
- 132 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/20(金) 20:33:26.45 ID:dUJYvdF+0
- これ根に持ってるのか?
- 133 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/20(金) 20:55:58.24 ID:NVZMk/o4o
- >>124
〜
>>130
何かしゃべってwww
>>131
しゃべってくれて、ありがとw
会話のリードを…っていうのは、オレとの会話時に義妹が主導権を握ってるって解釈でオケ? 違う?
まぁ、ぶっちゃけ単純な頭の良さでは義妹の方が上なんだよ。かなわない。オレのアドバンテージは数年長く生きてることによる経験の多さと、蛮勇に限りなく近いチャレンジスピリッツくらい。これは義妹にはない。ただし、諸刃の剣なんだけど、それは前回の話。
>>132
ノーコメントってことで。
空気読まずに夕方のやり取り載せときます。
- 134 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/20(金) 20:56:44.62 ID:NVZMk/o4o
- 義妹「あ、兄さん、ホラ! 土竜返し!(もぐらがえし 彼岸花をオレの町の年寄りはこう呼ぶ。根っからの農村だ)」
オレ「あぁ、今年ももうそんな季節か」
義妹「思い出すなぁ。田んぼとか三昧(さんまい 墓場のこと)にいっぱい生えてて綺麗だったなぁ」
オレ「ん。毒があるからモグラ除けになるんだね。でも、この前の雨で墓地も大変だったんじゃないかな(注)」
義妹「初めて目にした時、流石にカルチャーショックでしたよ。土葬って」
オレ「だろうね。土が崩れたらフツーに出てくるからね。当たり前だけど」
義妹「何て言うか、死が突然目の前に現れた感じがした」
オレ「この前まで隣に住んでた人だったりするもんな」
義妹「そーですよー 都会育ちには異文化でした」
オレ「…小学校行く前だったかな。台風の後に三昧の側を通ったら、白いのがあちこちに見えてたんだ。それを年上の子供達が橋の欄干の上に並べてね、みんなで遠くから石投げて遊んだ」
義妹「…えええええ!?」
オレ「近所のおばぁちゃんに見つかってね、あの時は怒られたなぁ」
義妹「なんて罰当たりな。当たり前ですよ」
オレ「土竜返し見ると思い出すんだよ。最近は火葬も増えてきたみたいだけど」
義妹「それ、ついでに手も合わせて拝んでおいた方が良いと思いますよ…」
(注)オレが生まれた町では土葬の風習がありました。墓場へ行くとアーモンド型に盛った土が並ぶエリアがあって、そこは最近亡くなった人がそのまま眠ってる。で、数年経過したら掘り出して、骨壷に入れて墓に納める。
だから、大雨が降った後はその土が崩れて、白い物が地表に…
- 135 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/20(金) 20:57:40.29 ID:NVZMk/o4o
- http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4513598.jpg
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4513600.jpg
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4513603.jpg
撮ってみた。最後の一枚、ナウシカにこんなシーンがあったような…
おやすみ。
- 136 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/20(金) 21:03:37.76 ID:b1FfiVl2o
- きれいだなあ
- 137 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/20(金) 22:12:04.63 ID:4+l90myKo
- >>133
会話の主導権自体はお兄さんのほうだと思ってる
ただ123の最後みたいな仕返しの仕方を若年ながらに知っていた義妹さんによく丸め込まれたりしてなくて
今もなおそうであるってのは兄の威厳を保ててるんだろうなあって感じただけです
- 138 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/21(土) 05:09:41.22 ID:/AMpjuOWo
- おはうぃ。
>>137
え、そーなの? 意外。威厳とかそういう意識はほとんどないかなぁ。ってか、男と女になった時点で、そんなのなくなってるんじゃないかな。
では、本編。ヤマ場ですよ。
- 139 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/21(土) 05:10:37.83 ID:/AMpjuOWo
- スッと背筋が冷たくなり、オレは思わず義妹の顔から目線を外してしまう。
義妹「おかしいなぁ。同年代では落ち着いて見られる方なのになぁ」
オレ「いや、あれは…」
義妹「本心でないことぐらい、私だってわかってます。でも、あの時はホント腹が立った。引っ叩いて、お弁当投げつけて帰ってやろうかって真剣に考えた」
教室に入ってきた時の妙な迫力は、そのせいだったのか。いまならわかる。この性格だとやりかねない。
オレ「謝る。悪かった」
義妹「素直でよろしい。じゃ、これでおあいこってことにしてあげる」
オレ「ふぅー…」
義妹「あ、なんですか、その溜息?」
オレ「いや、なんか気が抜けないっていうか、スゴいのが妹になったなぁって、つい…」
義妹は空に視線を向ける。彼女の視線の先を追うと、既に細い月が山の上に掛かっている。いや、この町ではどの方角を向いても、どうせ山しか見えないんだけど。
橋の上を湿気を含んだ川風が吹き抜ける。しばらく月を見つめながら揺らいでいた視線が、再びオレを見据える。その瞳には、昼間はしゃいでいた時の年相応の無邪気さとは打って変わって、怜悧な鋭さが宿っていた。
義妹「私が妹だと…イヤなんですか」
- 140 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/21(土) 05:53:28.57 ID:fYq+RYzNo
- おはよー
早く続きお願いします
- 141 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/21(土) 08:19:31.36 ID:QkUf3CiBo
- >>139
千葉「そんなことはない。むしろ嫁に来ないか?」
- 142 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/21(土) 12:24:25.32 ID:EAEMrDqno
- まだかな
- 143 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/21(土) 13:28:22.83 ID:rKVLMQbiO
- ここの主は早朝と夜しか来ないスタンスなんだろ。
つ >>86
今週末に二章終わるって言ってたし、明朝でこのシーン終わりか。wktkしながら一日過ごすさ。
- 144 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/21(土) 22:33:56.07 ID:/AMpjuOWo
- >>140
>>142
ちょっと待ってね。仕上げ中だから。
>>141
ちょw 千葉自重ww
>>142
いま書いてるんだけど、あと1回では終わらなかった。もう1日掛かります。祝日だし許して。
以下、仕事辞めてすぐの頃のやり取りってゆーか、議論的なもの。いまの私の状態が多少なりともわかってもらえるかと。
では、おやすみー
- 145 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/21(土) 22:38:05.90 ID:/AMpjuOWo
- 義妹「さっきヘンな電話ありましたよ。なんか凄い訛りのある英語で。えーっと、こういうスペルの名前の人。なんて発音するんですか、コレ。あと、FAXも届いてます」
オレ「あぁ、了解」
義妹「チラッと見たら、会社の登記書類みたいだったけど…」
オレ「そだよ」
義妹「何しようとしてるんですか」
オレ「内緒」
義妹「えーっ もう私に隠し事しないって約束した!」
オレ「まぁ、見たままだよ。投資会社を作ろうと… って、もう登記完了したのか。仕事早いな」
義妹「これって噂に聞く租税回避地にペーパーカンパニー作って脱税ってヤツなのでは…」
オレ「脱税なんて知恵のない馬鹿がやることだよ。これは節税」
義妹「ある日、突然お巡りさんがやって来て、書類やパソコンを根こそぎダンボール箱に…とかなりませんか?」
オレ「あれは警官じゃなくて国税専門官。悪質な脱税とか資金洗浄してたら摘発されるだろうけど。オレは自分で稼いだ収益から報酬を得て、残った利益から法律に則ってちゃんと税金を納めるよ」
義妹「それなら、良いけど…」
オレ「ただし、税法が定める以上に税金を払ってやる気もないけど。1円でもイヤだ」
義妹「…兄さんって、ひょっとしてお金大好きなんですか」
オレ「いや、金はただの数字だよ。好きも嫌いもない。義妹はどう思ってるの、金について」
義妹「んー 生きていくのに必要なのはわかりますが、あんまり大きな額は怖いというか…」
オレ「金の本質は、言うまでもなく価値だよ。この世の大抵のモノやサービスと交換できて、人生の可能性と選択肢を増やしてくれる。それで幸せが保証されるわけではないけど、金で回避出来る不幸の数も決して少なくない」
義妹「でも、兄さんはもう十分に稼いだと思いますけど。まだやるんですか」
オレ「一人で生きていくなら十分かもね。でも、オレだけじゃなくて、君や両親、これからの家族の人生も考慮すると必ずしも十分とは言えない。これまでのオレは自分だけの為に闘ってきた。次のステージでは既存のステークホルダーと将来のステークホルダーの為に闘う。だから、利益を少しでも多く内部留保する為に支払税額は抑えたい」
義妹「んー 前みたいにボロボロになるのはイヤですよ? それに母はともかくとして、お義父さんは退職を控えた公務員だし、私ももうすぐ働き始めます。兄さんにそんなに稼いでもらう必要ないと思う」
オレ「あぁ、だから少なくとも今年中はもう働かない。流石に休養が必要だと自分でも感じる。来年に向けてポジションを仕込みながら、勘を鈍らせない程度には相場に関わるけど」
義妹「ホントに大丈夫? 無理しない?」
オレ「義妹にはオレのブレーキになって欲しい。ブレイカーでもいい」
義妹「わ、そーゆーことですか。了解です。でも、具体的にはどーやって?」
オレ「基本的には一緒にいてくれるだけでいい。君の存在はオレにとって抑止力になる」
義妹「ふむふむ」
オレ「あと、男の猛る感情を静める古典的な手法もある。女性ならではの」
義妹「ふむふ… なんか話が突然卑近になったけど?」
オレ「他の人には頼めない」
義妹「承知。望むところです」
- 146 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/22(日) 05:22:05.79 ID:6KgGy0Kxo
- おはよ。
では、本編です。
このシーンはあと1回で終わり。
- 147 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/22(日) 05:23:36.06 ID:6KgGy0Kxo
- シンプルな問い掛けなのに、彼女の口からポツリと出た言葉を咀嚼するのに数秒掛かってしまう。
オレ「待った。誰もそんなことは言ってない」
義妹「じゃあ、どうして? 今日まで私は貴方を「兄さん」と呼ぶようにしてきました。私なりに既成事実を作ろうという努力です。気付いてますよね?」
オレ「…あぁ」
義妹「でも、貴方はそれを受け入れようとしてくれない」
オレ「オレと君が一緒に暮らすようになって、まだ1週間しか…」
義妹「その1週間をあと50回繰り返す頃には、きっと貴方はこの町にいません」
オレ「そんな大袈裟な…」
義妹「大袈裟なんかじゃない。私達は二人とも進学を控えた受験生です。お義父さんとの時間はこれからたくさんあるけど、貴方と私の時間は短い。いま、ちゃんと兄妹にならないまま別れたら、私達はきっとこの先ずっと家族なのか他人なのか、よくわからない中途半端な関係のまま。そんなのはイヤです。貴方とそんな関係になるのはイヤなんです」
確かに親父には家を出ると公言していた。だけど、オレは目先の勉強と部活ばかりに意識を向けて、その後の具体的なイメージを描くことを避けていた。
言葉を切ったまま、彼女はオレを睨んだまま。川風が長い髪をなぶっているが、整える気もないらしい。半身を夕陽が淡い紫色に染める。陰になった方の瞳が微かに濡れた輝き放つ。
義妹「私が父を亡くしたこと、知ってますよね。どうしようもない人だった。でも、それでもたった一人の大好きな父だった。あの日以来、父のことを思わない日はない。でも、今日は…少しの間だったけれど、父のことを忘れている自分がいた。こんなにはしゃいだのは久しぶり。ホントに楽しかった」
フッと頬を緩めた瞬間、目尻に留まっていた最初の雫が重力に負けて滴り落ちる。その透明度が、足下を流れる雪融け水を連想させる。
義妹なりにこの一週間溜め込んだ思いがあったのだろう。夕暮れを浴びながらそれを一気に放出しようとする彼女の迫力を前にして、オレは無防備なまま突っ立っている。
義妹「まだあります。これは言わないでおくつもりだったけど」
彼女が数歩、オレとの距離を詰めてくる。近い。ほぼ真下から見上げられてる状態。川の音と、彼女の呼吸しか聞こえない。オレのシャツの袖をつかむと、キッと睨み上げてくる。
その唇からほとんど囁く様な早口が迸った。
義妹「兄さん見てると腹が立つのよ」
- 148 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/09/22(日) 08:59:16.39 ID:3duFPkeWo
- ぉぅ…
- 149 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/09/22(日) 12:22:13.39 ID:NEvpdYfDo
- こわい
- 150 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/09/22(日) 12:34:09.35 ID:lOSsXxvNO
- なんだこれ。高校編はまさかの鬱展開なのか。
- 151 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/09/22(日) 16:02:49.82 ID:DH4yMGeGo
- こわ。頭良い子って、たまにこういうタイプいるよね。
- 152 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/22(日) 18:59:28.77 ID:6KgGy0Kxo
- >>148
ぅぃ…
>>149
>>151
こういう時はかなり怖い子です。
>>150
鬱展開ではないはず。
最近のやり取り一つアップ。
一緒に暮らし始めて、しばらく経った頃。
- 153 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/22(日) 19:01:37.28 ID:6KgGy0Kxo
- オレ「ん… 何してるの…」
義妹「あ、やっと起きた」
オレ「いま…何時…?」
義妹「時間なんか気にしたら、噛み切るから」
オレ「…ワインの匂いがするよ。飲んでるの? いつから…いや、どうしてそこに?」
義妹「あ、こっち見るの禁止。原因は兄さんにあります」
オレ「覚えがない」
義妹「これが物的証拠」
オレ「…それはいわゆる拡大解釈とか既成事実と呼ばれるヤツでは」
義妹「まさかいまさら文句ですか。女に恥をかかせるなんて、見損なった」
オレ「オレが文句言える余地って、この状況で残されてるの?」
義妹「兄さんの為に一体何人振ったと思ってるんですか。私が相手なのにそもそも文句言うとかあり得ない」
オレ「凄い自信だね」
義妹「履歴と努力に裏付けられた自己評価です」
オレ「それ、少しずつ巧くなってる」
義妹「むか。一つ言っときますけど」
オレ「二つ以上になるともう我慢出来ない」
義妹「兄さんの遺伝子を残す相手は、この私です。他の選択肢はあり得ないし、絶対に認めない」
オレ「傲慢な直球。でも、アルコールの勢いを借りるのは感心しない」
義妹「本心には変わりありません。少なくとも、二人。男の子と女の子がいい。私とその子達を愛することが、兄さんを破滅から遠ざけます」
オレ「…そんなこと考えてたの」
義妹「自己破滅型の男に対して女が取り得る、最も有効な戦略かと。いますぐじゃなくていい。でも、中期計画で。約束するなら、楽にしてあげます」
オレ「必達目標、確認」
義妹「…なんか、あっさり過ぎて信じられない。目先の欲望に負けてないという証拠は?」
オレ「相場の神に誓う」
義妹「それなら、いいでしょう。お好きにしてください」
オレ「寝起きでセーブ出来ない」
義妹「用意は出来てます」
オレ「後ろ、自分でひらいて」
義妹「叩いて欲しい。いっぱい」
- 154 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/09/22(日) 19:09:54.67 ID:0w4MIziBo
- 何したんだよ…
- 155 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/09/22(日) 19:13:45.86 ID:Vdc3p0fdo
- なんかこの二人ってずーっと脳味噌と理屈だけで恋愛してる感じするよなー…って、読んでたらそんなこと全くなかった件。
直接的表現一切ないのにこのエロさかよ。
- 156 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) [sage]:2013/09/22(日) 19:19:39.24 ID:v3k4ttz6o
- 義妹に愛されてるねー
高校時代からどんな経緯で今に至るのか
楽しみだ
- 157 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2013/09/22(日) 22:41:18.35 ID:eS4df8mQ0
- ひえー良いお二人だ
羨ましい
- 158 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [sage]:2013/09/22(日) 22:47:20.91 ID:XJNKJp0F0
- ・・・後ろ?
- 159 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(京都府) [sage]:2013/09/22(日) 22:54:21.38 ID:7RsMhubSo
- 突っ込みどころ満載で困る
- 160 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/23(月) 05:49:09.18 ID:HMpuh9Qfo
- >>154
〜
>>159
ちょっとエロくしたら反応良いとかw
あと、書き込み元の都道府県がいつの間にか表示される様になってる。色んなとこの人が読んでくれてたんだって驚いた。
では、本編です。
- 161 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/23(月) 05:49:33.28 ID:HMpuh9Qfo
- オレ「…え?」
義妹「こんな長閑な場所で呑気にのびのび育って? 周りの人もあり得ないくらい親切で? そこら中、花と虫と動物だらけ。夜空とかプラネタリウムみたいだし。ご飯も水も空気まで美味しい。私の育った場所と全然違う。なんなの、ここ。ムカつく。おまけに兄さん本人も腹が立つくらいお人好しで優しくて無防備。なんかちょっとドンくさいけど、頭が悪いわけじゃない。実際、学校の勉強も出来るし、弓引いてるところとか集中してる時はカッコいい。そういうとこ全部まとめてムカつくって言ってんのよ」
オレ「えっと… よくわからないんだけど。オレ、いま怒られてるの、ひょっとして?」
義妹「それすら判断つかないんでしょう、このお人好し。いいから黙ってて。でも、勘違いしないで。私なりに自分の気持ちを見つめてみた。腹立つけど」
そこでいったん言葉を切って、うつむく義妹。なんだ、モジモジして。さっきまでの勢いはどこへ行った。なんか目を閉じて、深呼吸してる。そんなに川風が美味いのか。ヘンな生き物。
義妹「…いいですか。これはネガティブな感情じゃないんです。兄さんの人柄は私にとって…とても好ましい。今日、確信した。一緒にいるとなぜか凄く安心。プライド捨てて、本能がそう感じるって言ってあげてるんです。あー、もうムカつく。わかりました? この一週間を一緒に過ごして、私なりにそう感じちゃってるって話です。以上」
そこまで一気にまくしたてて、額をオレの胸に押し付ける義妹。ゴツっ。押し付けるってゆーか、頭突きに近いわけだが。ゴツ、ゴツっ。
いつも澄ましてて感情をあまり見せない端正な顔が、涙と鼻水でいよいよヤバいことになってる。なんだ、面白い子じゃないか。
オレ「ププッ。それで?」
義妹「それでって… つまり、そういうことです。なんで笑ってんの?」
オレ「ぜんっぜんどういうことなのかわからない! ワハハッ!」
パッチン!
橋の上に響く鈍い音。なんか左肩のあたりがじわっと痛いんだけど。え、オレ、叩かれた?
義妹「たったいま兄さんの評価に鈍感の二文字も加わりましたよ。もういいです。さっき言った通り、ちゃんと兄妹になりたい。家族として、兄さんって呼びたい。妹って呼ばれたい。いまはそれだけです」
オレ「オーケーオーケー。じゃ、いまから兄妹スタートね」
義妹「…なんですか、その軽い感じ」
オレ「妹的にはこういう時に何て言って欲しいものなんだ?」
義妹「私の兄貴になるんでしょ。それくらい自分で考えて」
オレ「あのさ」
義妹「はい」
オレ「腹減ったんだけど。あと、ここ川風で寒いし」
パッチン!
義妹「…はぁー こんな人に泣かされるなんて。なんでこんなとこで、こんなことしてるんだろ、私。もうホントあり得ない」
ブツブツ言ってる義妹を橋の上に置いて、サッサと家に足を向ける。わざと速足で。左肩をさする。中三女子の力とはいえ、それなりに痛い。後ろから、慌ててついてくる気配。「ちょっと!」という声と足音が耳に届く。
振り向きざま、頭を上から掴んでガシガシしてやる。髪サラサラ。頭ちぃせーな。こんな頭蓋骨であんなこと考えてたのか。妙なことに感心してる自分が可笑しくて、さらに笑ってしまう。
義妹「あ、兄さん、それナシ! 子どもじゃないんだから!」
オレ「ははっ! そーだな、ヘンな妹!」
義妹「ヘンってなんですか、ヘンって! 年頃の女子に失礼です、そーゆーの!」
薄闇に包まれた橋の上で、オレと義妹の何だかよくわからない関係が始まった。
- 162 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/23(月) 05:50:02.48 ID:HMpuh9Qfo
- 社畜兄と義妹 高校編
終
- 163 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/09/23(月) 06:00:19.65 ID:K9FTwN3oo
- おはよう。
義妹は初めから好意持ってたんだなぁ…
なんかニヨニヨした。
- 164 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/09/23(月) 06:00:40.08 ID:uL2y3mcPo
- なん…だと…
- 165 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/09/23(月) 06:49:52.72 ID:B64DLGLKo
- 中学生ですでにこの感じだったのか
- 166 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/09/23(月) 10:32:59.99 ID:5EwB16Iro
- え… せっかく丁寧に作り上げたこの舞台、もう使わないの? 弓道は? スカイラインは?
- 167 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/23(月) 19:21:16.43 ID:HMpuh9Qfo
- >>163
どうやらそうらしい。最近になってやっと白状したんだけど。
>>164
これで…終わりだーーー
>>165
普段はもっとあどけない感じだったけど、要所要所は既に完全体になってた。
>>166
物語のピークがここなので、ぶった切る様になってしまった。
橋の上のシーンを文字に落とし込みながら「あ、コレが書きたかったのか、オレ」って気付いた。オレと義妹の原点。
後は学校生活始まって、義妹がちょいイジめられてブチ切れたり、弓触り始めたり、夏祭りで花火見たり、図書館で一緒に受験勉強したり。色々あると言えばあるんだけど惰性なんだよ、オレの中では。
また何か書きたいと思ったり、報告することが出来たらスレ立てます。
付き合ってくれて、有り難う。
最後にリアルタイムのエピソードを一つ。
- 168 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/23(月) 19:23:07.72 ID:HMpuh9Qfo
- 義妹「お義父さん、誕生日の贈り物喜んでましたよ」
オレ「ん。それは良かった」
義妹「やっぱり時計は世界のセイコーだって」
オレ「カメラはニコン、車は日産。わかりやすい親父だ。でも、あれはただのセイコーじゃなくてグランセイコーなんだけど。わかってくれてるのかな、あの人」
義妹「それって凄いんですか?」
オレ「んー 一般の日産車とインフィニティみたいな関係…かな。ちょっと違うけど、要するにフラグシップ」
義妹「寝る時は枕元に大事に置いてるそうですよ」
オレ「今回はオレの自己資金の運用益から出した。初任給で贈ったのは突き返されたからなぁ」
義妹「あぁ、凄かったですよ、あの時の剣幕。アイツは他人から預かった金でギャンブルして親に贈り物だと! 何様のつもりだ!って」
オレ「いまだにその点は相入れないなぁ」
義妹「母と私がいなかったら、今頃絶縁してるんじゃないですか」
オレ「有り得る」
義妹「リーマンショックのすぐ後でしたもんね、入社。わざわざあんなタイミング選ばなくても…」
オレ「青臭いけれど、オレは金融の可能性を信じてる。想像してた以上に、内部から見ても欲望まみれの世界だったけど、それだけは未だに変わらない。確かにサブプライムは世界を危機に叩き込んだ。でも、その力は諸刃の剣なだけであって、ポジティブな方向にも同じだけのポテンシャルを秘めてる。誤解を恐れずに言えば、いまの原発に似た構図だ。確かに恐ろしい。でも、誰かが向き合わなくてはいけない。だから世間から叩かれまくってた投資銀行に飛び込んだ」
義妹「でも、それを兄さんがやらなくてはならないっていう理由は…って、言っても無駄か」
オレ「さすが。オレのこと、よくわかってくれてる」
義妹「パートナーですから」
オレ「義妹からパートナーに昇格したんだ?」
義妹「昇格なのかな、これって。でも、あと何段階か変身残してますから覚悟しておいてください」
オレ「ふーん」
義妹「あ、なんですか、その他人事っぽい相槌」
オレ「最終形態はなに? 肝っ玉母ちゃん?」
義妹「うわ! 孕ます気満々ですね。やらしぃ」
オレ「いや、自分で宣言してたし」
義妹「まぁ、私以外には無理でしょう、兄さんの相手」
オレ「あー、ハイハイ。いっぱいしようねー」
バッチン!
- 169 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/09/23(月) 19:27:10.54 ID:gUsDFAr+o
- いっぱいしようねーwwwwwwwwwwwwwwww
- 170 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/09/23(月) 19:44:13.96 ID:+AqGUam+o
- >>168
グランセイコー…。
俺が親父に送ったら親父大喜びの代物だなww
- 171 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) :2013/09/23(月) 21:06:37.93 ID:ulvy5+9Ao
- いきなりだが義妹さんの上と下のお口の初めて聞いたことある?
- 172 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/09/23(月) 21:27:08.10 ID:uaubXr4BO
- >>171
どっちも兄相手が初めてという描写があったと思うぞ、前回。
今時そんなことが…って思ってたが、相当なツンデレ変態Mっぽいしな、義妹。あるのかもね、周囲にいないからわかんねーけど。
- 173 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2013/09/23(月) 22:32:26.69 ID:u4n8/WWU0
- なんかもう本当に楽しそうだなwwww
- 174 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/09/24(火) 00:40:26.47 ID:eEuQRJ47o
- まるで小説みたいに楽しめました。
また機会があればエピソード紹介して下さい。
- 175 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/09/24(火) 08:37:08.59 ID:LLG3TSqeO
- 身長180cmくらい?
僻地的田舎出身
高校時代は弓道部副将
元外資系投資銀行ディーラー
いまは2chしながらマターリデイトレイダー
愛車は青いロータスエリーゼ
色々とモノにこだわりを持っている
20代半ばにして金にはもう困ってない?
文章もそこそこ巧い。特に会話文
ツンデレM気質な義妹に一途に愛されている
どんだけチートキャラなんだ、656兄…
- 176 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/09/24(火) 15:03:47.37 ID:1zLF2j4MO
- 後ろ開く
いっぱい叩いて
気になってしゃーないんだがwww
- 177 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage]:2013/09/24(火) 16:45:22.11 ID:8WCLtWfro
- うしろ開通kwsk
- 178 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2013/09/24(火) 17:09:59.05 ID:LLG3TSqeO
- 更新がマジでない。オレの毎日のささやかな楽しみ、どーしてくれるんだ…
まぁ、この書き手はなんだかんだ言いながら途中で放り出さないのと、すっきりハッピーエンドだから好きだ。
褒めたから、うしろ開通kwsk
- 179 :社畜辞めた656兄 ◆6t8ZTevFm6 [sage]:2013/09/24(火) 18:48:03.29 ID:8hpp+iano
- オマエラ、「後ろ」に興味持ち過ぎw
エロエピソードだけピックアップして話した方が良かったのかも知れないwww
本スレなくなってしまって姉や妹とのやり取り書く場所もないし、付き合ってくれたお礼に残り雑談にしようと思うけど、どう? 書き込み減って自然消滅するまで。
あ、「後ろ」は期待しないでくれ。オレにはそういう趣味がない。
- 180 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(千葉県) [sage]:2013/09/24(火) 19:01:48.70 ID:TLlmMdr/o
- 追いついた
それでいいけど、「後ろ」と「叩く」のワードの解説は必須なww
- 181 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2013/09/24(火) 19:17:40.40 ID:jTnJJeV0o
- 楽しみに待ってるぞ
- 182 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮城県) [sage]:2013/09/24(火) 20:46:22.02 ID:yfMcFhQD0
- 「姉」や妹とのやり取り・・・??
まぁ、ともかく、後ろと叩くは詳しくお願いするぜ!
- 183 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/09/24(火) 21:03:46.98 ID:jz6vRH8ro
- 初出が「姉や妹とのやりとり晒してけ」スレだからじゃ?
それはともかく妹は「後ろ」に興味あるかもという可能性にかけて菊だけ聞いてほしい
んで「お前の身体は全部俺のものだ」とか囁いてほすぃ
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