【安価コンマ】オリウマ娘と共に season2

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232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/02/05(水) 23:30:03.26 ID:oXyJN9Dxo
あぁ^〜
猫やんけ!
堪能しきってから怒るの微笑ましいっ

おつー
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/02/06(木) 11:31:23.08 ID:FoOnaRfZO
猫にそってけないのは自分が猫みたいに扱って欲しいからだった……
234 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2025/02/07(金) 00:17:04.24 ID:pCEmZD580
――OP戦、芙蓉ステークス。当日。

【貴方】は担当ウマ娘の控室にいた、担当ウマ娘――キリシロユメノツキに今回のレースについての情報を共有するためだ。

『ユメノツキ、以前にも話したが今回のレースは8人立てだ。1番のウマ娘から簡単に説明をするが――』

ユメノツキ「しつこいですよトレーナーさん?興味ないって言ってるじゃないですか」

『……聞くだけ聞いてくれよ』

しかし当の担当ウマ娘は全くその話には興味がないようで、体操服姿のままめんどくさそうにスマホをいじいじと触っていた。

……これがこれからレースで走るウマ娘の姿だろうか?殆どの人間は首を傾げるだろうが――一番人気の実力は伊達ではない。

キリシロユメノツキ、デビュー前から界隈を沸かせる今世代の中心になりうる存在――と、噂されるウマ娘である。

ユメノツキ「はいはい、三冠ウマ娘のボクが余裕で一着。他のウマ娘がそれより下、ですよね?」

『ユメちゃんいつか本気で怒られるからな』

【貴方】がこの我儘ウマ娘を担当した時から決めていることが一つある、それは絶対にSNSをさせないということだ。

……炎上対応なんかがやりたくてトレーナーになったわけではないのだ。

ユメノツキ「あの???ですからその呼び方は止めてくださいと何度も言っていますよね?ユメちゃんユメちゃんと、ボクをそんな子供みたいな呼び方で呼んで、流石に温厚なボクでもこれ以上は」

オウカ「――ユメちゃんユメちゃんユメちゃん!!!三!冠!ウマ娘の!この私が!応援に来ましたよ!!!」

『うわびっくりした!』
235 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2025/02/07(金) 00:17:53.99 ID:pCEmZD580
――その声の主はユメノツキの親戚にあたるウマ娘であり――三冠の称号を持つウマ娘、オウカソウジョウだった。

その小さな体に似合わない大音声が、控室に響き渡る。元気に、溌剌と、やる気満点自信満々なウマ娘である彼女。

ユメノツキ「……んんっ。オウカさん、うるさいです止めてください」

オウカ「あっ、ごめんごめんユメちゃん!ちょっとうるさかったね声」

と、申し訳なさそうに気持ち小さな声で謝る三冠ウマ娘。しゅん……と、その体がより一層小さく見える。

『お疲れ様です、オウカさん。すみませんわざわざ応援に来てもらって』

オウカ「いいんですよトレーナーさん!私が応援したいと思ったから応援しに来ただけですし――それに!三!冠!ウマ娘!はこういうのを大事にします!」

ユメノツキ「……ボクのメイクデビューには来てくれませんでしたよね?」

オウカ「あうっ。ごめっ、ごめんねぇユメちゃん……!その、本当に応援に行きたかったんだけど、テレビの取材が断れなくて……!」

ユメノツキ「別に、気にしてませんけど?まあデビューくらいオウカさんの応援がなくても余裕でしたけどね?応援があったから勝てたなんて思われたくないですし」

『……』

こういうのをツンデレと呼ぶのだろうか。声に出して指摘してしまっても良いが、なんだか蹴られそうだから口を真一文字に結ぶ【貴方】。

オウカ「あ!私知ってるよユメちゃん!そういうのツンデレって――ひぃん!!!」

デコピンだった。

ユメノツキ「……はぁああ。全く、三冠ウマ娘のレース前ですよ?ほらトレーナー、そんな変な資料捨てて地下バ道にレッドカーペットとか敷いてきてください、それかソフトクリーム買ってきてください、食べたいので」

『……まあ、緊張とかはしてないようで安心してるよ、担当トレーナーとしてはね』

思えばこのウマ娘は緊張とは程遠いウマ娘だった。"三冠ウマ娘"という折れない軸が存在する彼女にとって、レースの一つや二つの重圧がメンタルに与える影響なんて些細なものなのだ。

ユメノツキ「――三冠ウマ娘は緊張なんてしません、ただただ走り、圧倒し、魅了して――勝利を獲るだけですから」

――そうだ、このウマ娘はこれが強い。【貴方】は確信する。
236 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2025/02/07(金) 00:19:07.97 ID:pCEmZD580
オウカ「んー、ユメちゃんはメンタル凄い強いねぇ、これは私も安心しちゃうかも!」

よしよし、頭を撫でてあげようお姉ちゃんが。と嬉しそうにユメちゃんの頭に手を伸ばす――が、その手は届かない。

ユメノツキ「撫でようとしないでください、子供じゃないんですから」

『……ユメノツキ、そろそろ時間だぞ』

ユメノツキ「はいはい分かっていますよ。それじゃあトレーナー、レースが終わったら」

『……スイーツだろ』

ユメノツキ「ふふっ、三歩歩けば忘れる頭でなくて安心しましたよ!では、クレープですからねクレープ!」

そして、そのスイーツウマ娘はご機嫌に控室を去っていった。その勢いでレース場を飛び出しクレープ屋に突撃していくんじゃないかと心配になるが、そこまでではないと【貴方】は信じていた。

オウカ「ユメちゃんは相変わらずですね、大丈夫ですか?レース」

『大丈夫ですよ、あの子は』

――彼女の強さは誰よりも分かっているつもりだ。彼女はこんなところで躓くウマ娘じゃない。

しかし――何が起きるか分からないのがレースというものだ。絶対はない――が、三冠ウマ娘が言った。

オウカ「ユメちゃんは信じてますよね、絶対があるって」

『前にもそんなことを話していましたよ、では行きましょうか」

オウカ「はい!!!この三冠ウマ娘が!!!精一杯応援しますよ!!!ユメちゃん!!!」

『声を、声をもう少しだけ小さく……』
237 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2025/02/07(金) 00:25:13.05 ID:pCEmZD580
OP芙蓉ステークス――結果は?:コンマ直下

1-3:世代の中心
4-8:一着一着!
9:あ……
0:おおっと
238 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2025/02/07(金) 00:27:44.27 ID:pCEmZD580
寝ます!

コンマは下にずらして下さい!
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/02/07(金) 00:39:18.86 ID:22d1hL27o
コンマが暴君
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/02/07(金) 12:45:31.52 ID:x8HaQRDLo
初戦に比べぶっちぎりじゃないのでこの世代中々強い子おるね?
241 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2025/02/09(日) 01:26:43.02 ID:6200hFZJ0
ユメノツキ「んっ……しょっ」

"――4番手の位置からインコースを突いてキリシロユメノツキがやってくる!3番手、2番手のウマ娘を躱し一気に駆け抜ける!"

"7番○○逃げる!それを2番キリシロユメノツキが追う!○○逃げ切ることが出来るか!キリシロユメノツキ!キリシロユメノツキが今並んだ!並んだ並んだ――追い越した!追い越した!"

"――そして今一着でキリシロユメノツキがゴール!!!二着に7番、そしてその後ろから三着に○○――デビュー戦で圧倒的な勝利を見せつけたキリシロユメノツキが芙蓉ステークスを制しました!!!"

『…………』

OP戦でも彼女の強さは変わらない。内を突くレース展開にはなったものの、キリシロユメノツキの実力はそんなこと関係なしに発揮された。

ぐっ、と脚に力を込めてターフを蹴り飛ばせば――それだけで他のウマ娘を圧倒する。天賦の才を持ったウマ娘。

――だが、なんだろう、あのレース展開は。一着は取っていて、しっかりとそれを周りに見せつけはしたが……。

オウカ「……トレーナーさん?」

『ん、ああ。どうしましたかオウカさん?』

隣で一緒にレースを見ていたオウカさんに話しかけられる。

オウカ「いえ、なんだかとても言いたいことがあるみたいな顔をしていたので!ちょっと、大丈夫かなーって、思いまして!」

『言いたいこと……言いたいこと、ですか』

……俺はキリシロユメノツキのトレーナーだ。三冠を自称する彼女に、三冠を――三冠以上を提供すると約束したトレーナーだ。

だったら……もっともっと。求めるべきかもしれない。

貪欲に、強欲に。名誉と称号と、それにふさわしい実力を身に付けさせるためにも。
242 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2025/02/09(日) 01:30:35.83 ID:6200hFZJ0
――――――――――――――――

――――――――

――――

――

ユメノツキ「はい、ただいま戻りましたよ。さ、早くライブも終わらせて――」

『今回のレースしっかりと見てたよ。お疲れ様、ユメノツキ』

レース終了後、控室に戻ってきたユメノツキに対して声を掛ける。

2000mを走り終えたばかりだというのに、まったく疲れた様子も見せない彼女に、言ってやらなければならない。

ユメノツキ「……当然でしょう?トレーナーとして、貴方はボクの走りを見る責任があります。そんな当たり前のことを――」

『――俺は言ったな。キミにプラスアルファを提供すると。三冠だけじゃなくて……凱旋門も獲らせると』

誰よりも高みを目指す。そのためにレースに出走し、己の強さを世間に見せつけてやれと――伝説の第一歩ももちろん重要だが、それ以降の過程も十分に重要なのだ。

『今回の走り、勿論普通のウマ娘にとっては最高の走りだったと思うが――三冠ウマ娘を名乗るのならば、今回のレース展開は――物足りないと思った』

ユメノツキ「……あ?」

――彼女から一気に圧を感じる。いつもと違う雰囲気の彼女が、こちらに近づいてくる。

ユメノツキ「どういうことですか、このボクの走りに文句があると?』

『ああそうだ。キミも前に言っていただろう』

――勝利は当たり前で、どれだけ圧倒的な勝利をするかが大事になってきますと。メイクデビュー前に彼女が言った言葉。

圧倒的な勝利がどのような勝利かは具体的には分からない。ハナ差圧勝という言葉があるように、どれだけの着差を付けて勝利したかはあまり重要ではない。

『三冠ウマ娘のキリシロユメノツキは――もっともっと強い走りをするはずだ。だからそれを見せて欲しい……キミの思う三冠ウマ娘が、どんな走りをするのか』

ユメノツキ「……求めるんですか?三冠ウマ娘であるこのボクに?』

『だからキミのトレーナーになったんだよ俺は』
243 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2025/02/09(日) 01:33:45.48 ID:6200hFZJ0
ユメノツキ「…………あ〜〜〜。はいはい、分かりましたよ、三冠ウマ娘ですから当然です。ええ、はい」

なにやらブツブツ小さな声で独り言を呟いた後。ユメノツキはバツの悪そうな顔をしながらそう言った。

ユメノツキ「……あのレースで物足りないなんて、我儘なトレーナーですね。ですがそんな我儘な人にも優しくするのが……このボクです」

『はは、なんせキミのトレーナーだからな』

ユメノツキ「……どういう意味ですか、それ?」

オウカ「――失礼しまーす!三!冠!ウマ娘!である私が入りますよ!」

ドアが勢いよく開くと、とてもいい笑顔をしたオウカさんが部屋に入ってきた。

オウカ「ユメちゃん!レース見てましたよ!とってもいい走りでした!」

ユメノツキ「オウカさん、何度も言ってますけどその呼び方は」

オウカ「さあさあそろそろウイニングライブですよ!早く着替えてこないとユメちゃん!!!」

ユメノツキ「わ、分かってますよ。はあ……全く、いつもボクを子ども扱いして……」

オウカさんにぐいぐい押されユメノツキが控室を出ていく。部屋に、オウカさんと自分の二人だけが残る。

『……聞いてましたよね?さっきの話』

オウカ「え、何がですか?私には何の話だか」

『ユメノツキが来るまで一緒に部屋にいたのに、いつの間にかいなくなっていましたし……お気遣いありがとうございます』

オウカ「……ふふっ。三!冠!ウマ娘!は空気も読めるんですよ。覚えて帰ってくださいね!」

……つくづく思うけどユメノツキのあの口調、結構オウカさんに影響されてるよな……。
244 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2025/02/09(日) 02:09:14.83 ID:6200hFZJ0
後日。控室にて。

『で、ユメノツキの次のレースだが――』

ユメノツキ「ホープフルステークス、ですよね?このボクに相応しいレースだと思いますが?」

前にも名前を出したレース――G1ホープフルステーク、年末に行われるジュニア期のウマ娘が出走することのできるレース。

ユメノツキならば適性的にも勿論出走できるし、戦績でも実力でも申し分ない――が。

『ホープフルステークには、ユメノツキも知ってるアオゾラノキセキも出走する可能性があるんだよな』

ユメノツキ「あ、へー。アオゾラさんも……ふふっ、良いですね。ファンの彼女にようやくボクの走る姿を間近で見せてあげられます」

『……ああ、そうだな』

正直、ユメノツキはアオゾラノキセキに対してとても深い誤解をしているような気がする……じゃなくてだ、それにしなくても彼女の走りは俺もユメノツキも未経験だ。

――大逃げ。同期の中でもおそらく一人しかいない走りをするウマ娘、だからこそ他のウマ娘はペースを崩され、スタミナぐちゃぐちゃにかき回されて、負けてしまう。

ユメノツキ「ふぅむ、どういうファンサをしてあげましょうか?あ、アオゾラさんがレース中に感動で倒れてしまわないように注意をしないといけませんね?」

『キミはいったいどういう認識で彼女を見ているんだ……?』

とにかく、ユメノツキの次走は――。


次走:安価直下
1 G1ホープフルステーク(VSアオゾラノキセキ)
2 まだ大逃げ対策が不十分だ、別のレースを……




お疲れ様です、今日はこれでおしまいです。

おやすみなさい。
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/02/09(日) 03:28:31.46 ID:Gu9L/AkeO
1
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/02/09(日) 06:13:09.09 ID:4q/3CHT9o
おつ

次レースは最初のライバル対決か!
247 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2025/02/09(日) 21:15:00.09 ID:6200hFZJ0
『……いや』

何を弱気になっている、オレは彼女の……キリシロユメノツキの担当トレーナーだぞ?

彼女が歩くその道筋をトレーナー自身が邪魔をすることなんて……あってはならないはずだ。

『そうだな、行こう。ホープフルステークス』

ユメノツキ「ふふっ、当然でしょう?G1においても――いえ、このボクは三冠ウマ娘なのですから」

見せつけてやりましょう、この世代最強のウマ娘はこのボク――キリシロユメノツキなのだと。

『……それでこそだ、ユメノツキ』

絶対に勝つという自信、最強は自分だという確信が――彼女の強さの根幹だ。

それを崩してはならないし、勿論それがこの先一度でも――危ぶまれてはならないのだ。

『……因みにキミの目から見てどうなんだ?アオゾラノキセキは』

ユメノツキ「アオゾラさんはそうですね?……勿論!ボクのファンであるという点は大いに加点されるべきことですが……ちょっと最近、ムカついてます」

『え?なんだ、喧嘩とかしたのか?』

ユメノツキ「なにもかもがデカすぎるんですよなんですかあの体は猫と戯れながら見せつけてきて……はぁ、やだやだあんな邪魔なものを嬉しそうにしてレースにおいてはあんなものただの飾りで」

……あー……なるほどなぁ……。

――キリシロユメノツキの次のレースが決定した!次走はG1ホープフルステークス、クラシック路線に入る前の大きな一歩を踏み出してやろう――!
248 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2025/02/09(日) 21:19:18.15 ID:6200hFZJ0
ホープフルステークス前イベント:自由安価下2まで。



募集イベント後に追加ウマ娘遭遇イベントと、勝負服安価を行いたいと思っています。
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2025/02/10(月) 01:10:27.18 ID:xhRDY5Fco
正直申し訳ないです。

ちょっと考えてから書くので、一旦自由安価取り消しでお願いします。おやすみなさい。
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/02/10(月) 01:24:51.53 ID:JsMEjnFjo
遅れたすまん
取り消すなら了解
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/02/10(月) 20:48:20.20 ID:jyBs3WzpO
待ってるから納得いくようにやってくれー
252 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2025/02/10(月) 23:10:45.17 ID:xhRDY5Fc0
『ほらペースが遅くなってきてるぞ!もう一周!』

ユメノツキ「はいはい分かってますよ。はー、めんどくさいですね」

『聞こえてるからな!』

うるさいですね、いちいちそんなこと伝えなくていいんですけど???と、ブツブツ文句を言いながらターフを走る。

今日は珍しく真面目に練習をしてくれるようなので、こちらとしても気合が入る。ダイエットが目的なのかそれともただの気まぐれなのか、理由はなんにせよ真面目にやってくれるのなら大助かりだ。

『トレーニングを始めてから、もうそこそこ走ってるはずなんだがな』

俺の近くを通るたびに文句を言いながら走る、これを何セット繰り返しただろうか。彼女の息はいまだに切れてすらいない。

今回の目的としてはスタミナが切れた状態からどれだけスピードを維持して走ることが出来るか――それを記録するためにもまずユメノツキのスタミナを枯らす必要があったわけだが……。

『……このやり方は失敗だったか』

ただただ走らせて負担をかけてしまった。しょうがない、根性を鍛えるために使用するタイヤを使って今度は――ん?

?「…………」

『……』

木陰から顔を覗かせたウマ娘が、こちらのトレーニングをじーっと見つめていた。

遠目から見ても目立つ、あちこちにぴょこぴょこと毛が跳ねているくせっ毛の金髪ロング、そして少し大きめの丸眼鏡。

……どこかで見た記憶はあるんだがな、あの姿は……ええっと確か未勝利戦だったか……?

?「……!」

あ、目が合った。
253 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2025/02/10(月) 23:11:30.92 ID:xhRDY5Fc0
?「す、すみません……!ぬ、盗み見をするわけじゃなかったんですけど……!」

『いやいや、そんなに謝らなくても大丈夫ですよ』

目が合うと彼女はこちらに向かって小走りで近づいてきて、大きく頭を下げて謝り始めた。

……ええっと、この子は確かユメノツキの同期の……あ!

『ええっと、もし間違えていたら申し訳ないんだが……エクラドゥソレイユさん、かな?』

ソレイユ「へっ……?え、は、はい。エクラドゥソレイユと申します。私の名前、知ってたんですか……?」

『ああよかった。いや、自分の担当ウマ娘の同期のレースは出来るだけ見るようにはしてるんだ。と言っても、思い出すまでに時間がかかってしまって申し訳ない』

ソレイユ「そ、そんなしょうがないですから!わ、私……まだ未勝利ですし、むしろ覚えてくれている方が凄いです!」

申し訳なさそうに喋り始めるソレイユ。いやいや、トレーナーならばウマ娘の名前くらいすぐに出て来るべきで。

ユメノツキ「トレーナーさん?このボクのトレーニングを放置して仲良くお喋りとはいい御身分ですね?」

『うおわぁ!?あぁ、ユメノツキか……悪い、もう終わったか?』

ユメノツキ「とっくに終わっていますよ?ボクは三冠ウマ娘なんですけど?ところで……」

ソレイユ「……三冠ウマ娘」

トレーニングを終えたばかりだというのに余裕そうな表情で、ユメノツキはちらりとソレイユの方を見る、何とも興味のなさそうな顔で。

ユメノツキ「……なんですか?ボクの顔に何か付いていますか?それとも……ふふっ、もしかしてボクのファンだったりするんでしょうか。最近はボクのファンクラブが秘密裏に結成されているとも聞きますしね」

『初めて聞いたな、それ』
254 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2025/02/10(月) 23:12:19.82 ID:xhRDY5Fc0
ソレイユ「は、初めまして。キリシロユメノツキさん……私、エクラドゥソレイユと申します」

ユメノツキ「……そうですか、こちらこそよろしくお願いします――――トレーナーさん、この人ボクの同期ですか?」

『キミはもっと同期に興味を持て……!』

こそこそと小さな声で聞いてくるな!

ソレイユ「あ、あの。ユメノツキさん……同じ同期として、貴女にお聞きしたいことがあるんですけど……大丈夫、ですか?」

ユメノツキ「えっ……ふむふむ、ボクに質問ですか。強さの秘訣やあふれ出る三冠のオーラに関してはお答えできませんが?」

ソレイユ「あっ、その、そうじゃなくて……ごめんなさい。えっと……ですね」

本当に聞いてしまっても良いんだろうか、という葛藤が見える。もじもじと少しの時間が経過して、ソレイユがゆっくりと口を開く。

ソレイユ「ユメノツキ、さんは……どうして、三冠を目指そうと思ったんですか?」

ユメノツキ「……はあ、なるほど?貴女もまた、このボクの三冠を疑いの目で見ているわけですね?」

ソレイユ「え?」

ユメノツキ「ボクが三冠を獲るのは確定した出来事なんですよ?なので三冠路線を進むことは目指すとかそういうのじゃなくて……当たり前、なんです」

この世代の三冠はボクのためのものなんですから、当然出場しますよね?最初から勝ちが決まっているんですから出走しない理由がありません。

ソレイユ「――――は、?」

ユメノツキ「ですからボクは三冠ウマ娘なんです。最強の実力で、王道を突き進み、輝く三つの冠を戴冠する……ふふっ。まあこの世代はパっとしないのでなにをどうしても――」

ソレイユ「ふざけないでください!!!」
255 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2025/02/10(月) 23:12:49.74 ID:xhRDY5Fc0
――瞬間。ソレイユが吠える。

シーン……と、その場が静まり返る。俺も、そしてユメノツキもギョッとした目で彼女を見つめる。

ソレイユ「ええ、ええ!そうなんですねそうなんですか!嘘だと思いたかった、思いたかったのに……!ユメノツキさんはそんな……軟派な気持ちで……!」

ユメノツキ「軟派とは失礼ですね?ボクは――」

ソレイユ「三冠はそんな軽々しく口にするものじゃない!!!なんですか、三冠は当たり前、獲って当然って……三冠という名誉に、どれだけのウマ娘が思い焦がれて……!他のウマ娘の気持ちとか、考えないんですか!?」

ユメノツキ「……はぁ」

この人は何を言っているんですか?という視線をこちらに向けてくるユメノツキ。そんな彼女に目もくれず、ソレイユはまくし立てる。

ソレイユ「貴女なんかが三冠を獲れるわけがない!三冠はもっと色んなウマ娘の夢であって、貴女みたいな軽々しいふざけた理由で挑もうとするべきじゃない!!!」

ユメノツキ「……えっと。あー、その?いったん落ち着いてもらえますか?三冠って――別に夢とか想いとか理由で獲れるものでもないでしょう?」

ソレイユ「!」

ユメノツキ「強いウマ娘が勝つんです、強くて速くて運が良い――つまりボクですね?そこまでは理解できますか?ソレイユさん。それとも――――走りますか?ボクと?」

『えっ』

ソレイユ「……っ」

ユメノツキ「やっぱり疑いの眼でしか見れないウマ娘もいますからね、そういう人には――一発分からせてあげるのが一番なんですよ。その身をもって体験すれば分かるでしょう。三冠に必要なのはただただ実力だと――ウマ娘なら、レースで決着をつけるべきですよね?」

ソレイユ「わっ……!分かりました、分かりましたよ!やってやります!私が……私が貴女の――壁になってあげます!」

――喧嘩を売るとはまさにこういうシーンを言うんだろう。途中からなんと声を掛けてあげればいいのか分からなくなってしまった。
……キリシロユメノツキとエクラドゥソレイユ。ソレイユの方の走りはビデオでみただけだが――だが。

…………いや、まずは見よう。ウマ娘二人が走るのだから、まずは――その走りを。

ソレイユ「…………っ!」
256 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2025/02/10(月) 23:14:39.00 ID:xhRDY5Fc0
エクラドゥソレイユの脚質は:コンマ直下
1-2 逃げ
3-5 先行
6-8 差し
9-0 追い込み
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/02/10(月) 23:15:01.45 ID:fuU5CwFRo
ヌッ
258 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2025/02/10(月) 23:16:37.39 ID:xhRDY5Fc0
先行だ先行だ、同じ脚質でですね。



レースの結果は――:

コンマ0でエクラドゥソレイユが良い所見せる。
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/02/10(月) 23:42:16.73 ID:JsMEjnFjo
やー!
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/02/10(月) 23:47:58.31 ID:OCrkAwEIO
さすがにこんな所で負けないよなユメちゃんは
261 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2025/02/11(火) 01:07:16.58 ID:pfdEJz4b0
――――――――――――――――

――――――――

――――

――

ソレイユ「っやぁあああああああああ!!!!!」

最初に仕掛けたのはソレイユだった。最終コーナーでスパートを掛け、一気にユメノツキとの差を広げに行こうとする。

見事なスパートだった。走りのフォームも、コーナリングも。脚の動かし方も、一つ一つが丁寧で彼女の性格を表しているようだった――が。

ユメノツキ「あ、今行くんですね。じゃあボクも一緒に行きます」

ソレイユ「――っ!?」

――それだけだった。一つ一つの丁寧な動きも、しっかりとトレーニングをしてきたと誰が見ても分かる走りも――キリシロユメノツキには何も関係のない話だった。

レースの勝敗には、何も関係のない要因だった。

ソレイユ「っな、んでぇ……!っ、ぁ、ああああああああああ!!!」

ユメノツキ「っと」

先にスパートを掛けたのはソレイユの方だったはず、しかしその差は一気に縮まり。当然のようにユメノツキはソレイユを躱して先頭に躍り出る。

一バ身、二バ身と……明確に差が露になる。そして、最初にゴールをしたのは当たり前のようにキリシロユメノツキだった。

ユメノツキ「ふぅ……――お疲れ様でした。ソレイユさん」

ソレイユ「っはぁ、はぁ……はぁ……っ!くっ、ぅうううううう……!!!」

少し遅れてゴールするソレイユに手を差し伸ばす。その手のひらを強く睨みつけて、歯ぎしりのような音を響かせてソレイユは……。

ソレイユ「まだ、負けていませんから!絶対、絶対分からせてあげますから……!余裕で勝てますみたいな面した貴女の壁になって……全部全部拒んであげますから……!レースありがとうございましたっ!」

手の甲で汗を拭い、ソレイユはぺこりと挨拶だけして行ってしまった……。
262 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2025/02/11(火) 01:08:13.06 ID:pfdEJz4b0
『レースお疲れ様、大丈夫か?』

ユメノツキ「全然大丈夫ですよ?それにしても……なんだったんですかねあの人、ボクのファンでもないですし」

全く、この三冠ウマ娘であるこのボクと走れたんですからもっと喜ぶべきでしょうに……。

……エクラドゥソレイユの言っていたことは理解できる。実際ユメノツキの三冠への想いは……傍から見たらめちゃくちゃだ。親戚に三冠がいるからと言う理由で、ならば自分も三冠だと信じ切っているウマ娘。

そんなウマ娘に怒るのも無理はない……が、三冠は結果にのみ付いてくる。

夢も想いも信念も努力も――全部ひっくるめて、結果を出さなければいけない。

『……とりあえず今日はこれで終わりにしよう、お疲れ様ユメノツキ』

ユメノツキ「はい、お疲れさまでした。次はもう少し良いトレーニングを持ってきてくださいね。さて、ボクはこの前制覇できなかった分のクレープを……」

『あんまり食べ過ぎるなよ本当に』

……エクラドゥソレイユ。彼女については、もう少し調べておこうかな……。
263 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2025/02/11(火) 01:13:43.07 ID:pfdEJz4b0
改めまして、ホープフルステークス前イベント:自由安価下2まで。



結局もっかいやることにします。エクラドゥソレイユちゃん追加したかっただけです。

今日はこれで終わりです。お疲れさまでした、おやすみなさい。
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/02/11(火) 05:43:50.71 ID:Zi2E3v3Wo
ユメちゃん、アオゾラとソレイユと食堂同席になって胸囲の格差社会を目の当たりにする

おつおつ
三冠三冠!!!ってなってる娘がログインしました
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/02/11(火) 10:21:18.47 ID:WbZe833VO
ユメノツキのカロリーコントロールのため、ヘルシースイーツ作りに調整するトレーナー
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/02/11(火) 16:02:47.92 ID:eRnpbR5NO
よく見たら誰選ばれててもお胸が大きいっぽくてなんか芝
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256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
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