デジタルモンスター研究報告会 season3

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91 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/10/08(火) 22:52:40.87 ID:cc3C5b5wO
この男のコードネームは『JJ』。
スパイウェア型のズルモン・ゲレモンを使った情報窃盗や、ダルクモンの世話などを担当している。

この男はデジモン出現以前からやり手のクラッカーだった。
動画や漫画、アダルトコンテンツを違法に複製して無料で公開するサイトを運営している。
インターフェースの利便性故か、毎日のアクセス数は凄まじいことになっているようだ。

まあ、そんないかがわしいサイトを何の利益もなく運営するはずもなく。
当然ながらサイトにはスパイウェアが仕込まれている。
動画や漫画などを閲覧しに来たユーザーのパソコンにウィルスを送り込み、情報窃盗をしているのである。

『ぐふふ、AAA氏ぃ、ぼくって悪党だと思うかお?』

そうだな、大悪党だ。

『まぁねぇ』

だが、本来有料であるはずのコンテンツをタダで違法に閲覧しようとするユーザー共も悪党だ。
小悪党が大悪党の餌になっているだけだ。一種の食物連鎖だな。

『どぅふふww』

…こうは言っているが、デジモン発生以前のJJはやや困っていたようだ。近年ではウィルスセキュリティ技術が格段に向上しており、なかなかユーザーのパソコンにマルウェアを送り込めずに四苦八苦していたようだ。

そんなコイツに…
私はデジモンを与えた。

結果JJは、物凄く狡猾にズルモンやゲレモンを活用し、多大な成果を出した。
自身が運営するサイトへゲレモン達を仕込み、違法アダルトコンテンツを閲覧しに来たユーザーが画像や動画データをダウンロードする際に、ユーザーのパソコンへデジモン伝送路を繋げてゲレモンを送り込むのだ。

人間が開発したファイヤウォールなど、伝送路が繋がった状態でのデジモンの前では無力だ。
そうしてJJは大勢のユーザーから情報窃盗に成功し、我々の組織の運営資金を稼ぐことに大いに貢献しているのだ。
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/08(火) 23:01:16.82 ID:hi28C1WTo
デジモン見つけてしまったことで生じる被害エグいな
経済傾きそう
93 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/10/08(火) 23:10:16.62 ID:IBnujYOxo
まあそういうわけだ。
貴様の働きには期待しているぞ、JJ。

『ほめられたww承認欲求満たされるゥ〜
www』

…ところでだ、JJ。
貴様には以前から、類人猿デジモンの傾向進化の調整を任せていたな。

『ういッスw』

このプロジェクトを最初に始めたのは私だ。
ほぼ猿同然の姿だったジャングルモジャモンを品種改良し、人の姿に近づけるというプロジェクトだ。

医療研究機関から盗んだ様々な人体計測データを類人猿デジモンへ食わせ、パッチ進化を促した。

それに加えて、我々がアブラハムの宗教観をベースにして単純化してでっち上げたインチキ宗教における『天使』のイメージを、集会の演説にて伝え…、
そして『天使の姿に近いほど清く正しく、獣の姿に近いほど穢れている』という固定観念を植え付け、差別を煽ることで、猿デジモン達へ『天使の姿へ近づきたい』というストレスを与え続けた。

結果、当初は猿のようだったジャングルモジャモン達が、セピックモンやゴリモン、ハヌモンなどを経て少しずつ人の姿へ近づいていき…、ついに原人型デジモンのフーガモンが誕生した。

そこまでは、私がやったことだ。
後はその延長線上のことを繰り返すだけだから、JJにタスクを引き継いだ。
(ニセシャッコウモンを使った演説のときだけは私が担当したが…)

結果、フーガモンの子孫は、女性型のキンカクモンへ進化し…
キンカクモンの子孫はほぼ人間の、それもアングロサクソン系の少女そっくりなシスタモンへ進化した。

そしてそのシスタモンが、天使型のダルクモンへと至った。

我々の計画が大きく前進したわけだ。
よくやった。

『あざっすww』

して…気になることが一点あるのだが、JJ。

『なんスか?』

…フーガモンの子のキンカクモンから、なぜいきなり女性型になった?
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/08(火) 23:17:18.32 ID:lXNtk/s9o
さすがに何か理由はあったか
95 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/10/08(火) 23:25:03.40 ID:IBnujYOxo
『そ、それは、えーっとっすねwwなんででしょww…あ、そうだ、哺乳類型デジモンだから授乳できるようにボインちゃんになったんじゃないですかねwwきっとそうだおww』

…正直に答えろ、JJ。
貴様が運営しているサイトに掲載している、卑猥なコンテンツのデータを食わせてパッチ進化を促したな?

『ギクッ』

どうなんだ。

『…なんでばれたんだおww』

分からんわけがなかろうが!
キンカクモンといいシスタモンといいダルクモンといい、姿に貴様の趣味が出すぎているんだよ!

類人猿が聖職者の姿に近づくのはいい。天使や神を崇拝する存在だからな。
女性型に近い容姿になるのもまあいいだろう。

だがなんだあのデザインは?
https://i.imgur.com/5JgsyRv.jpeg

聖職者…というパブリックイメージには随分遠くないか?
ええ?

『う、おうぉ…』

ダルクモンだってそうだ。
天使…というには布が足りないように見えるが。
https://i.imgur.com/4NZBHFr.jpeg

『どぅ、ドゥフフwwwぼくこういうの好きなんスよww』

やっぱりじゃないか!!貴様!
これでモヤモヤがハッキリした。
なぜこんな姿に…と思ったが!貴様の仕業か、JJ!!
96 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/10/08(火) 23:34:50.63 ID:IBnujYOxo
『うぅ…なんかペナルティがあるかお?』

…クソ!なんというか…気分的には何か裁きを下してやりたいところだが。
奇しくも貴様は、私が命じた要件をしっかり満たした成果を出している。

聖職者型デジモンを経由し、天使型デジモンへの進化を誘発する。
この私以外にこのような傾向進化を促せる手腕を持つ者がいるだろうかと不安だったが、貴様はそのミッションをやり仰せた。
随分趣味に寄せたようだがな。

『だって、ゴリマッチョなんか育ててもつまらんおwwどうせやるなら楽しくやんなきゃモチベ上がらねえおwww』

…JJにとやかく言うのはここまでにしておこう。
我々の組織はアウトローのならず者の集団だ。そこにまるで健全な会社のように規律や秩序を求めるのはお門違いというものだ。

それに合わない社会不適合だからこそ、我々の犯罪者集団に流れ着いたのだから。
ある程度好き勝手にやらせるのも、このろくでなし共をまとめ上げるための一つの手だ。

だが…JJ。
なんだ、その、あまり卑猥な姿にしすぎるなよ。
今の路線のまま全裸とかにしたらさすがに何らかの処罰を下すからな。

『…AAA氏ィ』

なんだ。

『…コスプレ物で、途中で脱ぐのってクソだと思わないかお?www』

知るか!
97 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/10/08(火) 23:35:18.01 ID:IBnujYOxo
続く
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/08(火) 23:38:10.35 ID:sGWWKrz+o
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/08(火) 23:38:29.48 ID:4D14mOhvo
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/09(水) 00:13:52.95 ID:IEsYKmYW0
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/09(水) 08:52:59.72 ID:MmJaI68K0
法律や世間体や倫理観気にしない勢力は際限なく何でも出来てしまうのが厄介だなあ
102 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/10/09(水) 14:28:48.69 ID:Uilm7vzvO
〜バイオシミュレーション研究所視点〜

『して セキュリティよ 余のタマゴは 孵るのか』
我々はベーダモンからデジタマを託された。
曰く、ベーダモンがデジタマを産んでみたはいいものの、全く孵化しないのだそうだ。

それ故に、我々に託して孵化を試みてほしいと頼んできたのである。
しかし、全く孵化の気配はない。

仮説はある。
ベーダモンは海のタコ型デジモン、オクタモンが苦しみながら淡水に適応し、陸上へ適応して進化したレベル5デジモンだ。
そんな無茶なほど急激な進化をしすぎた故に、デジタマがまだ陸上での孵化に適応していないのではないだろうか。

…ねえ、ベーダモン。
やっぱり水中で孵化させた方がいいんじゃない?

『断る 余は陸に居を移したのだ 今更水中になど戻る気はない 二度と言わせるな 空け者が』
チャットの返信が辛辣だ!
うーん…、そうはいっても、上陸したてのデジモンは水中でデジタマを孵化させることが多いんだよ。

ナメクジ型デジモンのヌメモンも、昔は沼なんかの水中にタマゴ産んでたし。
カエル型デジモンのフロッグモンもタマゴは水中で産む。

ベーダモンも無理せずそれらに倣ってみたら?
主な住処は陸上でいいだろうけど、子供を育てる時だけ川や湖にしてみたらどうだろう?
『水中には戻らぬと言っておろうが たわけが』

…頑なにこうだ。
ベーダモンはなぜか水中をひどく嫌っている。何故なんだろうか…。
103 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/10/09(水) 14:35:34.38 ID:Uilm7vzvO
クルエが何か思いついたようだ。
「もしかして…、ホエーモンに追い回されたトラウマがあるからじゃないの?」

可能性はある。
オクタモンはかつて海中の頂点捕食者のひとつといっていいほどのニッチにいた。

だが部下のシェルモン、ゲソモンと共にルカモンを襲った時、獲物のルカモンは突如レベル5の巨大なクジラ型デジモン…ホエーモンへと進化したのだ。

命からがら必死に逃げたオクタモンは、死ぬほど苦労して淡水へ、そして陸上へと適応し今の姿になった。

…正直、こういうケースは前例がない。
環境への適応力が高いのは成長期の特徴だ。
成熟期になるとふつうはもう生き方を変えられないのだ。

シンがマイクを握り、ベーダモンに問いかけた。
「もしかしてホエーモンが怖いからッスか?」

し…シン!
プライドが高いベーダモンに、そんなセンシティブなことをド直球で聞くやつがあるか!!
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/09(水) 14:41:24.50 ID:SukzUQwHo
よく見ると顔怖いもんなあいつ
105 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/10/09(水) 14:44:48.20 ID:Uilm7vzvO
『ホエーモンとは なんだ』

「あれ、見せたことなかったっけか こいつッスよ」

そう言いシンは、オクタモンがホエーモンに追い回されていたときの録画映像をベーダモンへ見せた。

デジドローンからホログラムで映像が映し出される。

するとベーダモンは…
「ヒ、ヒイイィィ!!」
声を出して驚いた。
ベーダモンは人語を喋れるほど声帯が発達していないため、意思疎通はチャットで行うが、いちおう鳴き声くらいは出せるようだ。

「ヒイィィイィ!!」
ベーダモンは光線銃をホログラム映像へ向け、洗脳光線を放った。
録画映像だから意味はない。

こ…ここまで取り乱すとは!
シン、映像を止めて!
「ウィッス」

「ゼー…ゼー…」
ベーダモンは汗だくになっている。
「ベーダモンさん、やっぱ今でもホエーモンが怖いんスね」
シン…君ちょっと無敵の人すぎない?
「いや忖度してたら話進まないっしょ」
それはそうだけどさ。

『恐れている だと 違う まだ倒す準備が整っていないだけだ まだな』

むむ?
倒す準備とは?
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/09(水) 14:46:16.13 ID:4XiA5nu50
そら怖いわ
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/09(水) 14:55:06.73 ID:KtRNVR5Ho
海底は神秘だ
108 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/10/09(水) 14:55:11.10 ID:Uilm7vzvO
『余は この光線銃で 下僕を増やしている 見たことはあるか 余の軍勢を』

軍勢?
そういや見たことないな。

『ならばついてこい 見せてやる』
そうチャットを送ったベーダモンは、ウニョウニョという奇声を発し始めた。

すると…
蛾と蜂を足して二で割ったような姿の昆虫型成熟期デジモン、フライモンが舞い降りた。
ベーダモンのお気に入りの手駒だそうだ。

『乗れ』
私はデジドローンをフライモンの上に移動させた。
ベーダモンもフライモンに乗り、奇声を発した。

すると、ベーダモンとデジドローンを乗せたフライモンは飛び立った。

やがて…
ベーダモンの拠点が見えてきた。

なんと言えばよいだろうか…
土でできた、大きな砦である。

そこに十数体のデジモンがいた。
ガジモン、グルルモン、セピックモン、などなど…。

これら全員ベーダモンの洗脳光線で操られた下僕か。

『こいつらには 食糧調達や 砦の建設を命じている 驚いたであろう 汝ら』

…正直あんま驚いてないけど黙っておこう。
機嫌損ねたら嫌だし。

『これぞベーダモン文明だ』
ベーダモンは誇らしげに言う。

「いや…これ別に文明じゃないッスよね?」
し…シン!何を!?
109 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/10/09(水) 15:03:11.28 ID:Uilm7vzvO
『其の方 たしかシンといったか 余の文明にケチをつける気か 大した度胸ではないか』

し…シン!謝って!
機嫌を損ねて敵に回られたらダメだぞ!
「あ、すんませんッス。そっすね文明ッスね
〜」

『フン…』

ふぅ、危ない…
我々セキュリティ最大のリスクは「ベーダモンに敵に回られること」だ。

はっきり言って洗脳光線をもつベーダモンは、他のデジモン達とは別格の存在だ。
制圧力が高すぎる。
その上、DPはかなり低い。肉体の強度を捨てているためだ。

もしもベーダモンがクラッカーの味方についたら、はっきりって詰む。
こいつ一体だけで我々のセキュリティデジモン達すべてが無力化されかねないほどだ。

だからリーダーは、「無理に味方につけなくていいので、せめてクラッカーの味方にはつけさせなうようにしろ」とカリアゲ及びクルエに指令を出した。

その結果、今の関係を築けているのである。
…台無しになったら大変だった。

シンが平謝りした後…
カリアゲがマイクを握った。

「ベーダモン。今のはシンにも一理あると思うぞ」

か…カリアゲ!
何を!?

『カリアゲ 汝まで 余を見下すというのか 余の築いた文明を否定するというのか』

ベーダモンに怒りの表情が見える。
オイオイオイオイ…カリアゲ何を言うんだ!せっかくベーダモンの怒りを鎮めたとこなんだぞ!?
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/09(水) 15:04:12.57 ID:sNR2AW5f0
ただの上下関係なら機嫌を損ねないことだけすれば正解だけどねえ
111 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/10/09(水) 15:14:23.48 ID:Uilm7vzvO
「否定はしねーよ、ベーダモン。お前のこの軍勢は凄いよ。仮に蛮族達が生き残っていたとしても、それと戦って負けないくらいに戦力がある」

『そうだろうな』

「それに、ちゃんとデジモン達はベーダモンの言うことを聞いて、集団生活してる。どんどん発展し、群れの仲間が増えて、土地が広がってる。その頂点にベーダモンがいる。…スゲェと思う。だけど文明かというと違うんじゃねーか?」

『どういうことだ』

「だってさ、たとえば…、ベーダモンが一ヶ月くらいここを離れたとしたら。こいつらは今と同じように発展できるのか?」

『…不可能だろうな 余が新たな指示を与えぬ限り こやつらは同じ命令に従い続けるだけだ 自分でものを考えることはこやつらにはできぬ』

「ベーダモン、人類史の資料は前に渡したことあったな。そこで読んだヒトの文明はどうだった?」

『…支配者が反乱によって打倒され、幾度となく世が変わっていた。それでも人類は発展し続けた』

「そうだろ?ベーダモンの軍勢は別にヒトの文明より劣ってるわけじゃない。絶対逆らわず、自分からはものを考えない支配体制。それはそれで強い。けど『文明』とは別物だ。だからさ、実態と違った呼び方すんのはややこしくねえか?ってことだ」

『…ふむ』

カリアゲとベーダモンの会話を聞いたシンがぼそりと呟いた。
「カリアゲパイセンって、ベーダモンと話す時だけIQ上がってないッスか?」

だけってなんだだけって。さすがに失礼だぞ。
カリアゲは私達と得意分野が違うだけだよ。
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/09(水) 15:17:22.21 ID:tpHrRQrN0
インテリなはずなんだカリアゲ
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/09(水) 15:21:31.68 ID:ZKvxPWq6o
指示役が1人しかいないと脆いよね
114 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/10/09(水) 15:23:32.79 ID:Uilm7vzvO
『ならなんと呼べば良い 他に適切な言葉を余は知らぬ』

「まあ人の世界には『なんでも言うことを聞かせられる洗脳光線銃』なんて無えからな。今のベーダモンの群れを言い表す言葉…なんだろ?」

カリアゲが悩んでいると、リーダーが来た。
「『コロニー』が近いんじゃないか?」

「コロニーか。確かにそれなら近いかもな、リーダー」

…外来語に置き換えて誤魔化してません?

『ふむ 気に入った 余のコロニーと呼ぶことにしよう 確かに以前から不満だった こやつらは余の言いなりにこそなるが 現場判断を全くせず融通が利かぬ 文明の一員と呼ぶにはあまりに能が足りぬと腹立たしかったのだ』

…丸く収まったみたいだ。
でも危ない綱渡りだったな…。

『やはり汝は面白いな カリアゲ もし汝らがただ太鼓打ちをするだけの輩ならば とっくに飽きていたところだ』

…むしろファインプレーか!?
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/09(水) 15:24:19.75 ID:BzUoW19xo
太鼓打ちって言葉は知ってるのね
116 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/10/09(水) 15:32:54.93 ID:Uilm7vzvO
…えーと。
それでだ、ベーダモン。
いろいろ話が変わったけど、元はベーダモンのタマゴが孵化しないからどうにかしてほしいって話だったよね?

『そうだ よ 余は覚えていたぞ 忘れていないぞ 本題を うむ』

その原因は…その。
ホエーモンへのトラウマに由来する、水中回帰への本能的恐怖心だと。

『』

ベーダモン?
なんか空の文章でチャットが送られてきたけど…

『違うが? ホエーモンを倒す準備を進めるため軍備拡張している最中だが? 怖くないが?』

…まあともかく、あのホエーモンを倒すまでは不安だから水中でデジタマを育てられない。

あのホエーモンがいなくなれば、安心してデジタマを産める。そういうことだね?ベーダモン。

『どうする気だ 汝らの軍勢ではまだヤツに敵わぬぞ』

…一緒に見てみよう、ベーダモン。今の海の状況を。
久々の海中観察だ。

『ふむ よ 余に危険はないのだな』

デジドローンで観察するだけだから危険は無いよ。

『で では 見てやろうではないか』
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/09(水) 15:33:39.29 ID:tdTdrfSZo
久しぶりのデジタルワールド観察だ
118 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/10/09(水) 15:35:15.45 ID:Uilm7vzvO
つづく
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/09(水) 15:38:02.89 ID:4VnZ1/47o
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/09(水) 15:42:09.58 ID:jFpRu3Fc0
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/09(水) 15:45:32.83 ID:7Ff7Xhivo

そろそろ色んな地形に対応できるデジモン欲しいね
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/09(水) 18:14:45.25 ID:IEsYKmYW0
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/11(金) 14:43:20.69 ID:0OYUBjWxo
デジモンみたいにドローンも強くできれば色々楽になりそうなのになあ
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2024/10/12(土) 15:47:26.15 ID:IXvP/FVMo
確か前は海中は危険だとかであまり深く観察できなかったんだっけな
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/16(水) 01:16:02.50 ID:SIK6+l730
今どれだけデジモンやデジタマ保有してるんだろう?
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/16(水) 23:36:16.18 ID:KA3STSGx0
研究所の現在の所属デジモンは成熟期がクラフトモン、シュリモン、デジタマモン、エクスブイモンの4体
成長期がマッシュモン、オタマモン(赤)、ティンカーモンの3体
幼年期がクラフトモンのデジタマから生まれたコロモン1体
デジタマがガルルモン、オウルモン、イビルモン等のはず
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/16(水) 23:41:19.81 ID:KA3STSGx0
後プレイリモンとベーダモンのデジタマも研究所の管理下かな
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/18(金) 20:38:18.35 ID:ypEIHNf60
今になって再開していたことを知ったがやっぱりメチャクチャ面白い
1年だろうが半年だろうが待つ意味がある 引き続き応援し続けてるよ
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/19(土) 23:41:31.07 ID:RrQoBVxq0
まだかな
130 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/10/24(木) 11:03:32.83 ID:AVO9/pFAO
我々は寒冷地帯にデジドローンを飛ばした。
かつてアイスモンやユキダルモン、トゲモグモンがシードラモン達と死闘を繰り広げた土地だ。
ここは今どうなっているのだろうか。

ツンドラ気候の土地には、真っ白な美しいヘラジカに似た偶蹄類型デジモンがいた。
命名ムースモンである。

ムースモンは小さな草をモリモリ食べている。
蹄があることから、おそらくボアモンの子孫だ。

そのボアモンの兄弟であるトゲモグモンは、寒冷地帯でシードラモン軍団と戦って死亡した。
その後、トゲモグモンの子孫はどうなっているのだろうか。

寒冷地を観察していると…
懐かしいデジモンがいた。アザラシに似た姿の成長期デジモン、ゴマモンたちだ。

海でプカモンを捕獲し、食べるゴマモン達。
そこへ、大きな水影が近づいてきた。

海から飛び出してきたのはシードラモンだ!
口を開け、ゴマモン達に向かって氷の槍を発射しようとしている…!

そこへ…
なにか2つの物体が飛んできた。

一つは、角のような尖った物体だ。
ロケット砲のようなジェット噴射により高速で打ち上げられたそれは、多数の細かいトゲに分裂してシードラモンへ降り注いだ!

トゲの雨に打たれるシードラモンは悲鳴を上げた。

もう一つの飛来物は…
両刃の斧だ!

斧はシードラモンの胴体へ深々と突き刺さり、血飛沫を上げた。
131 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/10/24(木) 11:05:50.73 ID:AVO9/pFAO
ゴマモン達を助けに来たのは…
白い体毛に覆われた、大きな一本角と鋭い牙を持つ、セイウチに似た?海獣型デジモン、命名イッカクモン。

そして鋭い両刃斧を持った、シロクマに似た?獣型デジモン、命名ブリザーモンだ。

現在はこの2体の獣型成熟期が、ゴマモン達の親玉らしい。
トゲモグモンの子孫であろう。

背を向けて逃げようとするシードラモンに、ブリザーモンがふたつめの両刃斧を投擲する!
シードラモンの後頭部に斧が突き刺さり…
シードラモンは体を横にして水面にぷかぁと浮いた。

どうやらあれから陸上のデジモン達は力を増し、シードラモンに打ち勝つ力を手に入れたようだ。
132 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/10/24(木) 11:08:40.76 ID:AVO9/pFAO
一旦ここまで
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/24(木) 11:10:12.59 ID:SiLbWbcHo
海中は海中でも寒冷地帯の海中を見に行くのかな?
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/24(木) 11:12:16.93 ID:tCs7suNY0
自分の進化前食べちゃうんだゴマモン…
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/24(木) 14:04:39.59 ID:fF76EzLEO
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/24(木) 20:11:21.48 ID:4+996khYo
てっきり海中のホエーモン見に行くのかと
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/26(土) 10:40:05.27 ID:Fgc0EY+io
寒冷地とそうじゃないとこの境目はどんなデジモンが生息しているのか
138 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/10/29(火) 11:15:04.59 ID:HgNlIvf6O
ブリザーモンはシードラモンを陸に引き上げ、斧で切り刻んだ。

そしてゴマモンや、群れの幼年期デジモン達に断片を与えた。

幼年期レベルT、パフモン。
全身が深い体毛で覆われた哺乳類型デジモンだ。
体毛の断熱効果のおかげで寒冷地でも平気なようだ。
https://i.imgur.com/EgOCc1z.jpeg

幼年期レベルU、プスリモン。
以前はゴマモン進化前の幼年期はトコモンだったが、しばらく見ない間に幼年期の姿も寒冷地に適応したようだ。
トコモンよりも全身が毛深い。ところどころにトゲが見えるのは、雪に埋まった時にスパイクの役割をして何かに役立つのかもしれない。
https://i.imgur.com/YCVYIi3.jpeg

そしてプスリモンが成長するとゴマモンになる…という進化系統を辿っているらしい。

ゴマモン達の巣は、雪や氷でできた構造物だ。
見ようによっては集団生活だ。デジタマを採取しておけば役に立つかも…

『おい』

ん?
ベーダモンから通信が入った。

『さっきから何を観察している たわけが 余はホエーモンの様子を見せろといったのだ 聞こえなかったのか』

うっ…そうだった。つい。
しばらくぶりに観るから夢中になっちゃって。

クルエさんがジトッとした目でこちらを見ている。
「なんか…前にもこういうことなかったっけ?」

リーダーは腕組みしている。
「サラマンダモンから元の主の情報を聞き出そうとしたときだな。本来の目的を忘れて体表の炎のオーラの解析に夢中になっていた」

ごめんて!
でもガッチモンの検索能力は水中には届かないから、大海原の中から地道にホエーモンを探すとなるとけっこう大変なんだよ。
なら陸上を見てホエーモンの痕跡を探すのは悪いアプローチじゃないでしょ?

『面倒だな 見つかった時にまた連絡しろ』
そう言い、ベーダモンは去ろうとした…。

「なあベーダモン。さっき見た中に、コロニーに加えたい奴はいたか?」
カリアゲがそう言うと、ベーダモンはピタっと止まった。
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/29(火) 11:22:54.50 ID:z+CnJnf6o
お久しぶり
140 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/10/29(火) 11:24:13.93 ID:HgNlIvf6O
『先ほどの 名前はなんだったか そう イッカクモンか 優れた遠隔攻撃能力がある あれは欲しい』

「ツノのミサイル飛ばすやつか!強そうだなあれ!砦を守るのにいいんじゃないか?」

『移動は遅そうだが 拠点防衛には最適だ』

おお、ベーダモンが機嫌を直した。
ナイスだカリアゲ!

シンがこっそり耳打ちしてきた。
「やっぱカリアゲパイセンってベーダモン関連になると普段の50倍くらい頼りになるッスね」

まるで普段は今の50分の1しか頼りにならないみたいな言い方だ…

「ああすまんッス」

我々が研究に勤しんでる間、カリアゲはフローティア島の開拓計画を練ったり、デジモン達とのコミュニケーションや教育・トレーニングをやってくれてるんだよ。

我々のパートナーデジモン達が、指示がなくともうまく現場判断できるのは、カリアゲの教育の賜物だ。

「俺も見習わないといけないッスね。…ところでホエーモンの痕跡は陸上で見つかったッスか?」

あ、いけね。
まだ見つかってないや。
141 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/10/29(火) 11:27:03.05 ID:HgNlIvf6O
ベーダモンから通信が来た。
『まあいい 痕跡が見つかり ホエーモンが見つかったら その時教えろ』

アッハイ。そうします。

今度こそベーダモンは通信を切ろうとした…
その時。

「キュイーーー!!」
寒冷地を映しているデジクオリアから、聞いたことのない鳴き声が聞こえた。
な、なんだ?

画面を見ると…
海から陸上に、奇妙な姿のデジモンが大慌てで上がってきたところだった。
https://i.imgur.com/0twwEXF.jpeg
142 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/10/29(火) 11:27:36.30 ID:HgNlIvf6O
つづく
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/29(火) 11:30:06.02 ID:YEWOYfPXo

装飾とかが明らかに人工なデジモンだ
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/29(火) 11:30:45.24 ID:z+CnJnf6o
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/29(火) 15:03:47.70 ID:7a/td5pj0
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/29(火) 21:51:37.32 ID:82sovMyoo
色が青なら某キモイルカさんだ
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/30(水) 09:02:48.79 ID:X1fPFieo0
何故ホークモンから急にイルカになるのか不思議なデジモン
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/31(木) 22:39:31.69 ID:+BNzfW+Fo
確か公募デジモンだったな
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/03(日) 16:08:51.41 ID:gQR0Q0nio
三連休でも来そうにないか
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/06(水) 23:33:09.31 ID:BLjlxEfKo
やっぱ中々来れないか
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/07(木) 19:48:12.17 ID:GWTVKbt/0
ワクワクを思い出すんだ!って言ってきそうなイルカ
152 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/11/10(日) 22:22:36.54 ID:3Pj4f47dO
現在探しているデジモン…それはクジラ型デジモンのホエーモン。

我々が最初に発見した個体は、イルカ型成熟期デジモンであるルカモンが、オクタモン一味に襲われている最中に進化したレベル5の個体だった。

凄まじい高出力の戦闘能力と、莫大な消費カロリーを持つ。
これまでにデジタルワールドで観測された中で最大のDPと巨体をもち、ジャガモンやシューティングスターモンを遥かに上回る。

ホエーモンはオクタモン一味のゲソモンとシェルモンを瞬殺した。
オクタモンも危うく殺されかけたが、浅瀬へ逃げ、そのまま汽水域まで進み…、そこでホエーモンが岩場へ座礁したことで、どうにかオクタモンは生き延びた。

だがオクタモンは二度と海に戻らなかった。
本来、成熟期デジモンは個体としての成長が完成しているが故に、成長期デジモンに比べて環境への適応能力に乏しい。
だからオクタモンは定説通りならば海水から出られない…はずだった。
だが、オクタモンは汽水域へ、やがて淡水へ、進出した。
身体から塩分が抜けていく地獄の苦しみを味わい続けていたが、『戻ってホエーモンに食われたくない』という一心でその苦しみに耐え、淡水に耐えるトレーニングを続け、身体を適応させていった。
そうしているうちに、やがてオクタモンはレベル5へ進化し、陸上へ進出した。それが今我々の目の前にいるベーダモンである。

こんな無茶で急激な進化をしたせいか、産んだデジタマが陸上では孵化しないようだ。だから我々にデジタマを預けてきたのだ。
無理のない話だ。両生類型デジモンや、初期のヌメモンだってデジタマは水中に産んでいた。ベーダモンもそうすればいいのではないかと提案したのだが…
ホエーモンへの強い恐怖心から水中生活にトラウマがあるらしく、頑なに水中にデジタマを産むのを恐れている。湖や池でもダメらしい。
このままでは埒が明かない。無理に陸上での孵化を目指すプランよりも、ベーダモンのトラウマを払拭させるプランの方がよほど現実的だ。

だからホエーモンが現状でも海で暴れているかどうかを確かめるために、今デジドローンでホエーモンを探しているのだ。

しかし、広い海のどこかへやみくもにデジドローンを潜航させてもホエーモンがピンポイントで見つかるとは限らない。
ガッチモンの検索能力は水中には未対応である。

そのため、まずは寒冷地の陸上で、ホエーモンの痕跡を(半ばダメ元で)探しているのだ。

そうしている我々(のデジドローン)の目の前に現れたのが、この奇妙な姿のデジモン。
シャチに二足歩行の手足が生え、浮き輪とライフジャケットを着用したような姿のデジモンである。
命名オルカモン。

…その容姿には、明らかにルカモンやホエーモンの面影があった。

エレキモンが一度海に進出したのがルカモン、そしてホエーモン。
おそらくこのオルカモンは、その系統が再び陸上への適応能力を取り戻した形態だ。

我々の世界にこのようなニッチの生物は存在していない。
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/10(日) 22:27:34.25 ID:qmWEwF5do
自然界にしては色々と不自然なビジュアルだよね
154 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/11/10(日) 22:46:10.16 ID:3Pj4f47dO
「クエエエーーーー!!」
オルカモンは上陸し、そのまま陸上をドテドテと走って逃げた。

…何から逃げていたんだ?強力なデジモンだろうか?
我々は、オルカモンが向かってきた方へデジドローンを飛ばす。

やがて霧の中から、オルカモンを追っていたものの正体が見えてきた。

それは…まったく想定外の物体だった。

船だ。

全長20mを超える巨大な船である。
船体の左右からはオールが100本近く突き出ており、絶えずオールを漕ぎ続けている。
帆は畳んでいるようだ。

船は既にオルカモンを狙っておらず、引き返すために旋回している最中であった。

なんだこの船は…!?
誰かが作ったのか?あるいはこういうデジモンなのか?

カリアゲは食い入るように船を見ている。
「でけー船だな…それにしてもスピードがすげーぞ!なんだこりゃ!」

ピンと来ないけど、そんなに速いの?
「エンジンで動く現代の船のスピードに慣れてると遅く見えるかもしれないけどな。オールで漕ぐ船としてはかなりの速さに見えるぞ!」

メガは映像を見て分析している。
「航行速度は約15ノット。時速30kmだ。帆を畳んだ船がこれだけのスピードを出せるのか…」
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/10(日) 22:48:34.74 ID:6zjSK9Re0
環境のインフレがやばい
156 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/11/10(日) 22:56:03.76 ID:3Pj4f47dO
リーダーは驚くような表情で船を見ている。
「これは…ガレー船だ!なぜこんなものがデジタルワールドに!」

ガレー船!?なんですかそれ!?

「大量の乗組員が手でオールを漕ぎ、自由自在に操舵ができる船だ。帆船と異なり風向きに左右されずに航行できるが、乗組員の疲労が蓄積される上に大量の飲食物を消耗するため長期航海には向かないものだ」

長期航海には向かない船…?
何に使うんですか?

「海戦だ」

戦…!

「紀元前3000年頃、古代ギリシャの時代に開発された軍船だが、18世紀に至るまで使われ続けた。構造を見るに、その末期頃のモデルのようだ」

そ、それが今なぜ、ここに…?

「デジドローンを船へ近付けて、乗組員の顔を拝みたいところだが…、嫌な予感がする。デジドローンがあちらに見つかった時、攻撃されなければいいが」
157 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/11/10(日) 23:03:37.64 ID:3Pj4f47dO
そうして見ていると、船の甲板に何かが現れた。

https://i.imgur.com/URZ5NHz.jpeg
…なんだこいつは!?
その姿は、まるでマンガに出てくるようないかにもな海賊のデザインだった。

右手がフックに、左手が大砲になっている。
なんなんだこいつは…!

「ムゥーン!もう雑魚はいい!大物はどこだ!」

し、喋った!
人語を喋ったぞコイツ!
何らかの形で『人間と関わり、言語教育を施されたデジモン』だ…!
こいつが船長か!?

デジドローンが映すその光景を、ベーダモンは食い入るように見ている。
『これは なんと文明的だ 驚いた カリアゲよ 汝の言う通り 文明とは このようなものを造り上げる力をいうのかもしれぬな』

なんなんだこの海賊っぽいデジモンは…!
この船で何をしようとしているんだ?
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/10(日) 23:04:44.44 ID:kGXy+ncAo
セキュリティ側が知らないとなるとクラッカー側のデジモンって線も
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/10(日) 23:13:01.25 ID:IL8pacMQ0
デジタルワールドはやっぱり進化スピード速いね
160 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/11/10(日) 23:15:58.27 ID:3Pj4f47dO
我々が食い入るようにガレー船を見ている時、クルエが苦々しい表情で呟いた。

「ねえ、なんか今私達、ホエーモンを探してるけどさ…。前にホエーモンの子供達のこととか色々動画に撮ってたよね?ベーダモンにそれは見せないの?」

あ、そういえばあった。映像資料が。

『なんだと あるのか 録画が うぬら何故それを最初に言わぬのだ この空け者共が』

空け者…そらけ?なんて読むんだこれ。
ベーダモンのチャットに知らない単語がある。

クルエがジトッとした目で答えた。
「うつけもの、だよ。おバカとかそういう意味」

なんでそんな言葉教えたんだ!?まあいいけど…。
でも、そりゃそうだ。過去の映像資料をさっさとベーダモンに見せたほうがいいね。
その方が、現状とのつながりが見えやすい。
…先程のオルカモンが何者なのか、なぜあんな進化をしたのかも理解しやすくなるだろう。

『さっさと見せろ』

オーケー。
私はベーダモンの要請通りに、ホエーモンに関する過去の映像資料を再生した。
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/10(日) 23:17:14.54 ID:Ff572pP2o
なんか色々観測したいもの増えてくよね
162 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/11/10(日) 23:30:37.47 ID:3Pj4f47dO
ざっくりかいつまんで説明すると…

レベル5のホエーモンは確かに強かったし、運動能力も高かった。
超音波の反射によってソナーのように遠距離のデジモンを探知し、それらを丸呑みにした。
海でホエーモンと戦って勝てる者はいなかった。次々に大量のデジモン達がホエーモンの餌になった。

だが、30m近い巨体ゆえに一日に大量の餌を必要とした。
海を荒らしている最中に、海に住むデジモンのほぼ全てが、ホエーモンを常に警戒し、本能的に避けるように進化したのである。

これによりレベル5ホエーモンは、大量に餌を確保し続けることが困難になる。

その後、ホエーモンは子供を産んだ。
その子供達であるオタマモンはレベル4…成熟期で、ルカモンではなく15mくらいにスケールダウンしたホエーモンへと進化したのだ。

レベル4のホエーモンは親よりDPが低かったが、基礎代謝量が減ったため、親ほど大量の餌を常に必要とするわけではなくなった。
無駄に巨大で、無駄に強大すぎたオーバースペックな親と異なり、飢えに苦しまずに済む適切なサイズと戦闘能力へと最適化されたのだ。

『レベル5デジモンが産んだ子孫が、成熟期で親と同じ姿かつスケールダウンしたデジモンになる』という進化。
ジュレイモンやドクグモン、カブテリモンなどでも見られた『レベルダウン進化』の先駆けであった。
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/10(日) 23:33:54.34 ID:qmWEwF5do
完全体のホエーモンはもう絶滅しちゃったかな
164 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/11/10(日) 23:49:10.75 ID:3Pj4f47dO
やがて親であるレベル5のホエーモンは姿を消した。
生死は不明。死骸は発見されていないが、生きている姿も発見されていない。デジドローンの耐圧力では潜れない深海で活動しているのか、未探索エリアで生きているのか…。

姿を消した親の代わりに、第2世代型ホエーモン…レベル4のホエーモン達が海を荒らし尽くした。
何者もホエーモンに敵わなかった。

しかしながら、海のデジモン達は死に絶えはしなかった。
『ホエーモンがいる環境』に適応する進化をしたのだ。

それは、ホエーモンの鳴き声…
特に、獲物の位置を反響で調べるための超音波ソナー音を、海のデジモン達は聴き取り、猛スピードで逃げるようになったのだ。

ゆえにレベル4のホエーモン達は、獲物を捕まえることができなくなった。
そして、子孫である第三世代型ホエーモンを残し…、第2世代型ホエーモンは全て餓死したのだ。

第三世代型ホエーモンは、相変わらず15mほどの巨体だ。しかし、それまでの祖先とは全く異なる食性をとっていた。
所謂プランクトン食である。
大食いではあるが、祖先たちに比べればDPは五分の一ほどだ。

ホエーモンのソナー音は、海のデジモン達にすっかり警戒され攻略されてしまったようだが…、それでも尚捕獲できる獲物がいた。

それは、ピチモンやポヨモン等のプランクトンデジモン。
『海流に逆らわずに漂っているデジモン』達である。

自力で泳いで逃げることができないのだから、超音波が聴こえるとか聴こえないとか関係ない。

第三世代型ホエーモンは、超音波によってプランクトンデジモンの位置を捉え、ゆっくり泳いでそれらを飲み込む。
海水の中から喉の毛で濾し取って消化するのだ。

その巨体がもつ機能は、筋肉の塊というよりは、獲物のプランクトンをたくさん取り込むための巨大な袋のようであった。

第三世代型ホエーモンは白兵戦闘能力が乏しいのだが…、その大声とソナー音は海のデジモン達の本能に、根源的恐怖として刻み込まれている。
故にどんなに非力でも、その巨体から大声を響かせれば、どんな相手も逃げていくので襲われることはない。
祖先が暴れた恩恵を受け、虚仮威しによって無敵の存在になったのである。

…我々が過去に観察したホエーモンに関する記録はこれが全てだ。

どうだった?ベーダモン。
少しは安心した?第一〜第二世代型の強いやつがいなくなって。

『ここから 随分時が 経ったようだが 今はどうなっている』

それを今調べようとしているんだよ。

『ということは 第三世代型ホエーモンの子孫が また先祖返りして 強くなっている可能性も あるか』

あるね。

『引き続き 調査を進めよ 余の下僕共よ』

了解。
165 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/11/10(日) 23:49:37.98 ID:3Pj4f47dO
つづく
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/10(日) 23:51:45.08 ID:Am5JH5dF0
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/10(日) 23:52:29.24 ID:Ff572pP2o
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/10(日) 23:54:57.99 ID:qmWEwF5do
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/10(日) 23:55:06.09 ID:ik7pP6e60

なるほどなあ ソナーからも逃げるようになってたんだ
食う側も食われる側も進化してくねえ
170 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/11/11(月) 20:32:17.08 ID:Kq9IhjJ4O
我々はガレー船を観察した。
ホエーモンの調査も大事だが、その前にこの船がなんなのかを確かめておきたい。

オールを漕いでいるのはなんだ…?
デジドローンでこっそり観察したところ、やはりデジモンが漕いでいるようだ。
https://i.imgur.com/EuCRlSO.jpeg

それは蛮族の類人猿型成長期デジモン、シャーマモンによく似たデジモンだった。オールの数だけいるとしたら100体はいる計算になる。
仮称スノーゴブリモンとしよう。

スノーシャーマモンではないのか?とツッコまれるかもしれないが、シャーマモン達のようにシャーマニズム信仰しているか分からないので今はこう呼ぶことにする。

スノーゴブリモン達の腕は筋肉ムッキムキである。かつて戦ったシャーマモン達よりも腕が太い。
デジモンはトレーニングを積むことで戦闘力が飛躍的に向上する。おそらくこのスノーゴブリモン達は、日頃からオールを漕ぎまくっていることで腕力が鍛えられているのであろう。

…まさか蛮族の生き残り?
AAAの配下だろうか。
だとしたら不気味だ。なぜこんな長期航海に向かない軍船で航海を…?
クラッカーとしての活動に関係あるのか?

カリアゲは首を傾げている。
「これは漁船かなんかか?プカモンをたくさん捕まえるためか?」

リーダーは腕を組んでいる。
「漁船ならばこんなに船員はいらないだろう。船を軽くして、帆船で風に乗って漁をしたほうが効率的だ。航路を開拓していればの話だが…」

スノーゴブリモン達が漕ぐガレー船は、しばらく速度を落として進んでいた。

しかし、突如船長デジモンが号令を出した。
「ムム!見つけたぞォ!七時の方向!取り舵いっぱい!ヨーソロー!」

大声でそう叫んだ後、舵輪を勢いよく回した。

「オォーッ!」
スノーゴブリモン達は返事をすると、オールを漕ぐスピードを上げた。
船が進路を変え、スピードを上げ始めた。

我々とベーダモンは、デジドローンの映像越しにこの集団の行動を観察した。
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/11(月) 20:38:18.17 ID:ExIJP9iOo
未知過ぎて怖いな
172 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/11/11(月) 20:52:49.55 ID:Kq9IhjJ4O
「ヒョーガモン!上がってこいやァ!」

船長デジモンがそう声を張り上げると、やがて甲板にもう一体、大柄なデジモンが上がってきた。

「うーっし!やるぞフックモォォン!ガァッハッハ!」

https://i.imgur.com/my3P0c3.jpeg
ヒョーガモンと呼ばれて現れたデジモン。その姿は、今は亡き蛮族の王フーガモンによく似た、青い肌の類人猿型デジモンだ。

ヒョーガモンは、フックモンと呼ばれた船長デジモンの側に立った。

フックモンは、じっくりと海を眺めている。
「ここだァーーーッ!!」

突如、フックモンは勢いよく右手のフックを伸ばし、海中に飛ばした!

真っ直ぐに飛んだフックはほとんど水飛沫を上げずに水中へ入射した。

そしてフックモンは、自分の右腕を勢いよく引っ張った。
ヒョーガモンは自らの足を特殊な器具で甲板に固定し、フックモンを支えた。

やがて、海面に大きな水飛沫があがった。

「オォオォオォ〜〜〜!!!」
…ホエーモンだ!
ホエーモンにフックが突き刺さっている!
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/11(月) 20:55:34.12 ID:pXV3+uoY0
流暢すぎる日本語…
174 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/11/11(月) 20:59:53.27 ID:Kq9IhjJ4O
フックモンはホエーモンを力いっぱい引っ張っている。
フックが突き刺さったホエーモンは、ガレー船のパワーに引っ張られた。

「オォオォオォンン!!」
ホエーモンはじたばたと暴れている。

ホエーモンは、甲板のフックモンを見つけると、頭部の呼吸孔をそちらへ向けた。

だがフックモンはすかさず叫んだ。
「面舵一杯!かわせ!」

そう言うと、フックモンの代わりにスノーゴブリモンが舵輪を回し、船を旋回させた。

直後、ホエーモンの呼吸孔が広がり、勢いよく水流が噴射された!

フックモンは先周りして船を旋回させていたため、すんでのところで水流を回避した。

だが水流は甲板に直撃。
木製の板が砕け、船に大きな穴が空いた。
凄まじい威力だ!思った以上にこのホエーモンの戦闘能力は高いようだ。

やがて水流が止んだ。
ホエーモンは広げていた呼吸孔を縮めようとした。

「ハッハァーーッ!バカめ!勝負ありだ!」
フックモンは、ホエーモンの呼吸孔めがけて左腕の砲身を構え…
砲撃した!

ボンッという轟音とともに、フックモンの左腕から硝煙が上がる。

「ギャアアァァーーーーー!!」
ホエーモンの頭部の呼吸孔が破裂し、凄まじい血飛沫が上がった。

どうやら砲弾は見事に呼吸孔に直撃し、内部で爆発したらしい。

「ハアァァーーーッ!!」
フックモンは二度、三度と砲撃し、ホエーモンの頭部の傷口を広げた。

「オォ…ゴォ…」
やがてホエーモンは海水を血で染めながら、ぷかぁと浮かび上がった。

「ハッハァーーーーー!!獲ッたぞォォーーーーッ!!ウオオォーーーッ!!」
フックモンは大声で雄叫びを上げる。

「ウオオォーーーッ!!フックモン様ァーーーー!!」
船員のスノーゴブリモン達が歓声を上げ、フックモンを讃えた。
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/11(月) 21:03:43.80 ID:I0L9dJuro
大した戦闘力だ
176 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/11/11(月) 21:05:44.54 ID:Kq9IhjJ4O
カリアゲは口を大きく開けている。
「ホエーモンが…仕留められた!そうか、これが『海戦』か…!この船はこのための…!」

メガは汗をかいている。
「…軍船じゃない…これは、捕鯨船だったのか…!」

クルエは困惑している。
「あ、あれ?でもおかしくない?海のデジモンはホエーモンの声を聞いたら逃げていくから、ホエーモンは無敵なんじゃなかったの?」

リーダーは映像の中のフックモンを睨んでいる。
「怖がるはずがない。何故ならこいつらは海のデジモンじゃないからだ。見ろ、片腕が砲身になっている。こいつはおそらく…!蛮族であるゴリモンの子孫だ!」

ベーダモンは大きく目を見開いている。
『おぉ これが 余の仇敵の 今の姿だというのか』

ベーダモンは…
涙を流していた。
177 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/11/11(月) 21:06:12.42 ID:Kq9IhjJ4O
つづく
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/11(月) 21:08:05.95 ID:U71+ZusW0
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/11(月) 21:08:42.31 ID:wazbyUU9o
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/11(月) 21:09:23.63 ID:d9NBN6KWo

涙を流す機能あるのか
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/11(月) 22:40:28.07 ID:xeT7eqY10

おお……かつての成熟期達も子孫が残っている
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/13(水) 14:18:29.16 ID:8EtPfJyyo
オルカモンの浮き輪とライフジャケットはどこから生えてきたのか
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/18(月) 21:10:51.70 ID:/hjz+dVko
完全な水中型は飼育めんどくさそうだけど出来る環境あるのか
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/23(土) 07:15:09.08 ID:jo0iBIflo
中々来ない
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/24(日) 23:56:04.43 ID:GzhUnD0N0
まだかな
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/30(土) 09:10:29.92 ID:8tBn0vmwo
時間かかるな
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/12/01(日) 21:42:49.03 ID:0beIdfOv0
もう12月か
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/12/06(金) 12:38:42.17 ID:b96uU80q0
デジカでアプモン来たね
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2024/12/15(日) 02:03:27.12 ID:pQFyvYxGo
確かに亀更新だ
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/12/15(日) 10:06:20.27 ID:1neywtNn0
せっつくのはまだいいとしても攻撃的な読者になるのはやめないか?
これまでのスレでも思ってたけど何も良い効果ないよ
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