穂乃果「バトル・ロワイヤル」

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38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/22(火) 11:45:53.69 ID:3z+KFSmPO
>>34-37
レス感謝です、励みになります!
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/24(木) 11:49:08.86 ID:oMTuYALqO
『協力し合おうとしているのは私達だけじゃないはずだ』

数時間前の自分の言葉がメイの頭に浮かぶ。

続いてμ’sとAqoursのメンバー全員の顔、顔、顔、そこに、合同ライブの知らせを受けて可可と手を取り合って喜んだ時の記憶が混ざり込み、次に浮かんできたのはピアノの鍵盤に向かう自分と恋の姿、メイの隣にいる恋が目を細めてこちらに笑いかけ─


「……っ」

メイはぐちゃぐちゃになった思考を振り払うようにぎゅっと目を閉じた。一呼吸置いて再び目を開けて、四季を見つめる。

「四季は…大丈夫なんだよな。そこ以外、怪我してないんだよな?」

メイは包帯が巻かれた四季の左腕に目をやった。話にあった、絵里に輸血するために使った左腕。

四季はメイが言及した事について少し驚いたのか、僅かに目を見開いた後、おずおずと頷いた。

「……そっか」

メイは立ち上がり、四季の方へ歩き出した。戸惑っている本人をよそに、そのまま四季の顔を自分の胸へと抱き寄せる。

「怖かったよな。辛かったよな」
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/24(木) 17:11:01.29 ID:PRpO4vOiO
メイの胸に顔をうずめたまま、四季の両手がメイの背へ回った。くぐもった声が聞こえ、やがてそれが嗚咽に変わっていく。

「可可先輩も、恋先輩も、まだ会えていない皆も─今、どうしているかは分からないけど」

四季を抱きしめながら、メイが呟いた。

「私はここにいるよ。私も四季も、まだ生きてるよ」

四季の泣き声が徐々に大きくなっていく。それが止むまで、メイは四季の事を抱きしめ続けた。

(そうだ、まだ生きてる。私たちはまだ──)



部屋の外、扉の前から僅かに床が軋む音が響いた。メイも四季もそれには気がつくことはなかった。
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/24(木) 17:21:08.68 ID:Fh16SnzfO
03:04 黒澤ルビィ




ルビィは出来るだけ音を立てないようその場から離れるつもりだったが、年季を感じさせる変色した木製の床はルビィの思いを裏切った。

ぎしっ、という音が響き、飛び上がりそうになるのを何とか堪える。

そのまま数秒間、じっと身を縮こまらせていたが、幸い、中の二人が扉の外を確認しに来る事はなく、ほっと胸を撫で下ろした。
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/26(土) 23:36:41.31 ID:yhi4WOuR0
今度こそ音を立てないよう、慎重に脚を移動させる。目指すのは通路の突き当たり、扉が開け放たれた部屋だ。

足を忍ばせて歩くうち、ルビィの脳裏に姉のアイスを盗み食いした記憶が蘇った。あの時も見つからないよう夜中にこっそり起き出して、こうして歩いたものだった。緊張感は比べものにならないけれど。

扉が開け放たれた部屋に、滑り込ませるように身体を入れる。開閉の際に音が出る事を危惧して開けたままにしておいたのはやはり正解だったようだ。何事もなかったように、ゆっくりと扉を閉める。

中では善子がベッドに身を横たえて、小さく寝息を立てていた。
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/29(火) 15:00:30.94 ID:f7zEkbY6O
血塗れの四季の姿を見た衝撃よりルビィに会えた安心感が勝ったのか、善子は眠りにつく事が出来たようだった。つまりは─ルビィとは正反対だった。

ルビィはそっと善子の側に腰を下ろした。目を閉じて、先ほど盗み聞いた話を思い返す。

μ’s、Liella!……話に出てくる人達は姉と何度も語り合った名前だった。怪我をしたという絢瀬絵里は姉が大好きなスクールアイドルだ。その怪我を負わせたという唐可可の事だってルビィは知っている。四季達を殺そうとしたμ’sのメンバーの事も─


「……ぅゅっ…」


ルビィは声を上げて泣き出しそうになるのを何とか堪えた。

どうしても信じられなかった。自分の大好きなスクールアイドルがそんな事をするはずはないと。
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/29(火) 17:58:24.06 ID:L3y+UHGKO
「………ん…………ルビィ…?」

善子が僅かに身じろぎをした後ルビィの姿を認め、ゆっくりと身体を起こした。

「……泣いてるの?」

善子は俯いたままのルビィを抱き寄せて頭を撫でる。

「大丈夫、大丈夫よ。きっと何とかなるから…」

善子の体温を意識しながら、ルビィは自分の頭の中にある恐ろしい考えが形作られていくのを感じた。

さっきの話は─本当に…本当なんだろうか?

もしもあの血が、誰かを襲って付いた物だとしたら──?
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/29(火) 22:19:36.71 ID:70RexKYd0
03:26 嵐千砂都





千砂都はイメージトレーニングは得意だった。ダンスを踊る前、身体が思い通りに動くイメージを固めるのは大切だと教わっていたからだ。

今、自分が行なっているイメージトレーニングも非常に大切なものだと断言出来る。もしも想像通りにこなせなければ、そこで全てが終わりになってしまうかもしれないのだから。


もう一度、最初からやってみよう。

呼吸を整える、目の前の目標をよく見る、両手でしっかりと構える、無心で、右手の指先に力を込める──


「千砂都先輩…」

何百回目かのイメージトレーニングは途中で終わり、千砂都は声のした方へ顔を向けた。夏美が怖いものでも見るかのような引き攣った顔でこちらを見ている。
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/29(火) 22:44:40.49 ID:70RexKYd0
「交代、の時間ですの…」

夏美はほとんど卑屈といってもいいくらいの表情で千砂都に告げた。

もうそんな時間か、と千砂都は思った。イメージトレーニングに没頭しすぎて時間の感覚が狂っていたようだった。

「じゃあお願いしようかな。大丈夫だと思うけど、逃げ出そうとしたらすぐ撃つんだよ?」

千砂都がクロスボウを手渡すと、夏美は「ひっ」と声を上げた後、こくこくと頷いた。

無理だろうな、と千砂都は思った。しかし、人質(人生でこんな単語を使う事になるとは夢にも思わなかった)は逃げないだろうという確信があったので、気にはしなかった。

念のため──仮眠を取る前に、もう一度釘を刺しておく事にしよう。

千砂都は腰からダガーナイフを抜き出し、冷たく光る抜き身の刃を地面に横たわる人質の首筋にぴたりと当てた。

死んだように身動き一つしていなかった花丸の身体が、びくっと反応した。
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/29(火) 23:04:00.54 ID:70RexKYd0
「花丸ちゃん、もう一回言うね。勝手に動いたり、声を上げたりしたらダメだからね?」


ささやくように伝えると、かたかたと奥歯が触れ合う音が聞こえてきた。返答としてはそれで充分だった。

千砂都は満足そうに微笑むと、ナイフを鞘に収めた。その様子を見る夏美は、千砂都の姿がどんどん遠くに離れていくような錯覚を覚えていた。
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/29(火) 23:44:35.49 ID:X5BkKlhd0
文体が原作っぽくてイイネ
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/30(水) 08:02:18.94 ID:l+ESoA/N0
>>48
めっちゃ嬉しいお言葉です、ありがとうございます!
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/31(木) 01:31:22.67 ID:XaP8baMK0
03:38 桜小路きな子




ここに来てどれくらい経ったろう?

きな子はふと作業をする手を止めた。左手で握っていた細長い枝と、右手に持ったナタ(可可の武器だ、付着していた血は洗い流した)を傍らに置いた。周囲には細かい木屑と木片が散らばり、まるで彫刻家が傑作を生み出そうと苦心した後のようだった。

可可と出会い、ここ─南側の拠点エリアに着いてから現在に至るまでの事を、きな子は思い返した。
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/10(日) 23:03:31.03 ID:9tHw0lZno
期待
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/20(水) 21:42:29.40 ID:2ooPd97V0
まだかな
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/12/22(日) 13:12:38.71 ID:bA3xK+rbo
楽しみ
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2024/12/24(火) 21:57:30.59 ID:ex24dinQO
いつまでも待ってます
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2024/12/24(火) 22:05:53.77 ID:ex24dinQO
いつまでも待ってます
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/12/29(日) 07:26:22.61 ID:GiZ+r+rYO
こいつはもうダメだ。諦めろ。
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/12/29(日) 08:14:36.41 ID:GiZ+r+rYO
ノリスケ「いいじゃないですかw減るもんじゃあるまいしwね?ね?」クチュクチュ

サザエ「んあっ!あっ」ジワァ...

ノリスケ「おっと、声抑えないとタラちゃんが起きちゃいますよ?w」クチュクチュ 

サザエ「そんな事...あっ...言ったって...!あんっ!」ビチャビチャ! 

ノリスケ「ほらすごい濡れてますよwマスオさんとはだいぶご無沙汰みたいですねw」ギュッ! 

サザエ「ひっ!」ビクッ! 

ノリスケ「タイコにも飽きてきたし、今夜はサザエさんのサザエさんを開拓してあげますよw」ズププ..... 

サザエ「あぁぁぁん!」ヌプ....
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/02(木) 23:24:47.69 ID:WW7g5EsZ0
あけおめことよろ
今年も明るく元気にコロコロし合いましょう
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/05(日) 21:50:23.09 ID:IWv9mAZwO
〜翌朝〜

ノリスケ「いやー申し訳ないです!一晩泊めてもらった上に朝食までご馳走になって!」

波平「まったく、我が家の夕飯がスキヤキと見るや嗅ぎつけてきおって」

ノリスケ「いえいえそんな!飲んで帰った事がバレると家内がおっかないからここに逃げ込んだだけですよ!」

カツオ「家庭を持つと色々と苦労をする事になるんだねぇ、結婚するべきかどうか迷っちゃうよ」

波平「バカモン、今の成績のままで結婚相手が見つかる訳がなかろう」

カツオ「父さん〜!」

一同「ハハハハハ!」

サザエ「...........」

マスオ「おや?サザエどうかしたのかい?具合でも悪いのかい?」

サザエ「い、いえ、何でもないわ!さて、食器を片付けてお買い物に行かなくちゃ!」スッ

ピッ!

サザエ「あんっ!!」ビクンッ!

一同「!!」
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/11(土) 18:07:40.99 ID:IEH03mDU0
禁止エリアの方向へふらふらと歩いていく可可を引き留めてから、二人はずっと共に行動してきた。

可可の身に何が起きたのか、きな子は本人に何度も確認したが、可可は何も話してはくれなかった。ただただ、目を見開いて、頬を痙攣したように引き攣らせ、きな子を見つめるばかりだった。

それが笑っているつもりだったんだと気づいた時、きな子は背筋が寒くなった。およそ自分の記憶の中にある可可の笑顔とはかけ離れていたので。


可可の様子が変わったのは、μ’sの星空凛の声を聞いた時だった。

拡声器を通して島内に響いた声。μ’sの絢瀬絵里が怪我という事と、Liella!の若菜四季と一緒にいる事を伝えていた声。
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/11(土) 18:41:00.77 ID:dzUlU86Z0
>>60訂正
μ’sの絢瀬絵里が怪我という事と、

μ’sの絢瀬絵里が怪我をしたという事と
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/11(土) 18:59:09.24 ID:dzUlU86Z0
『絢瀬絵里』という単語が聞こえた時、それまで奇妙な笑みを浮かべていた可可の顔から表情が消え、みるみる青ざめていった。

両手で耳を覆い、がたがたと震える可可は、きな子の問いかけにも答える事なく、「对不起」と繰り返し続けた。

そこできな子は可可の持つナタと、全身に付着した血が誰のものなのかを悟った。

四季の名前を聞き、指定された場所まで行ってみようという考えはすぐに打ち消した。

行けるはずがなかった。行けばどうなるか、考えたくもなかった。
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/11(土) 19:22:57.82 ID:dzUlU86Z0
結果的に、出来るだけ声のした方角から離れるように歩き続けるうち━━ここ、南側の拠点エリアへたどり着いていた。

可可以外には、まだ誰にも遭遇していない。それでも時折聞こえてくる不吉な音は、自分が殺し合いの渦中にいる事をイヤでも思い知らせてくる。

きな子は小さく息を吐くと、手元に向けていた目を僅かにずらし、床の上に無造作に置かれたそれに向かって呟いた。


「皆……きっと大丈夫っすよね?」
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/11(土) 21:05:26.19 ID:RIJMqBdg0
更新ありがたい
今年もよろしくな
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/11(土) 21:55:06.94 ID:+DjpiOYh0
更新来ててウレシイ…ウレシイ…
可可がずっと心配だな
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/12(日) 08:56:25.13 ID:HAfLQSuzO
サザエ「..........!」

ワカメ「お姉ちゃん今の声何??」

サザエ「い、いや、何でもないわよ!ちょっとくしゃみが出そうになっただけよ!」

フネ「おや、風邪でも引いたのかねぇ、今日は横になってた方がいいんじゃないかい?」

サザエさん「だ、大丈夫よ母さん!母さん一人に任せっぱなしにするのも悪.......」

ピッ!

サザエ「ん.....ぐ......!」

マスオ「おいおいサザエ、本当に横になって休んだ方がいいんじゃないかい?今日は日曜日だし家事は僕がするよ」

サザエ「そ....そうね.....んあっ.....お言葉に...甘えっ.....ようっ!あん.....かしら!」

タラオ「今日のママ変でーす!」
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/12(日) 10:27:24.27 ID:LwnYQJNn0
>>64-65
レス感謝です!

何とか今年中には書ききりたい気持ちです
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/12(日) 17:30:23.73 ID:dUt7EmXE0
きな子が声をかけたのは、きな子に武器として支給された物だ。当然、言葉は返ってこない。

それはぬいぐるみだった。

全体的に茶色っぽい色で、口にあたる所から伸びる白い部分は牙を表しているのだろう、黒いつぶらな目とは対照的な印象を受ける。

バックパックの中からこれが出てきた時は何の冗談かと思ったものだが、今のきな子にとってはそれに話しかける事が精神を安定させる手段となっていた。

「四季ちゃんもメイちゃんも夏美ちゃんも先輩達も、みんなと一緒に、無事に帰れるっすよね…?」

もちろん言葉は返ってこない。

Aqoursのメンバーであれば名前まで知っているであろうそのぬいぐるみ。動物の気持ちが分かるきな子にも、ぬいぐるみの気持ちまでは分からなかった。
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