このスレッドは1000レスを超えています。もう書き込みはできません。次スレを建ててください

やる夫が正史を書くようです６１

522 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:53:46.07 ID:mhNi/aO+0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _{::＼::::::ﾉ　 {:ゝ／_-=ミ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 γ:i:i乂:_｣L二L｣ﾑ::::〃::r=ミヾ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {i:i:＞`｀::::／::::::::::∨{l|:::込ｲ:)ii}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　У'"ﾟ~￣"ヽ::::::::::人込,,_ニ彡′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:/::::::::′::::::∨／:/:}:::}:::l:汽:｀'..､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′::::::::::|:::::::}::::} ヽ:'::/::::'::::}:'，ヽ:::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{:::|:::|::::::|:::l:::}ﾙ|　 ∨:::/::::/:::} 　 ,:::::::::'，
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　从{xzﾐ､:ﾄ､リzz|ミ　彡::／∥」_　 }::::::::::}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l 杙ﾂ　　　ヒ|ﾂ　√:}::::: 〈(⌒_,ﾉ::::::: ﾉ　　　　星の巡りどうにも悪い。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ﾊ" '　　　""|　 .:{-ｲ:::∥:≧==-‐ ゛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 沁､丶　　ﾉイ:_{／::/::::::::}＼　　　　　　　 .今日は宮中に郗超がいたはず。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　 /＞‐.rfvYV_Y ::::/:::/::∧､::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {＿/:/ :::://|/|/|∧／／::/: ∧＼::＼　　　　私の下へ来るよう伝えなさい
　　　　　　　　　　　　＞‐…‐＜__///／｡s≦'/| ＞`｀::::´::／､: : ∧　＼::＼
　　　　　　　　　　　　 ′::‐:／　＼｀寸:|ﾏ￣∥／:::::::_｡s≦||/||:､: :∧　　＼:::＼
　　　　　　　　　　　　　ｌ::'⌒/込_ ＼､＼}::|__ヽ／:, ィ升=^|/|/||/||: :＼∧　　＼:::＼
　　　　　　　　　　　　 |:::ｌ:_{_ﾆ=-＼)≧ｲｱ≧/:／_と¨ヽ./|/|/||/||: : : : :∧　　　 .＼:::＼
　　　　　　　　　　　＞::`｀: : -‐: : : _:＞`｀: :/:{:::{ へ`マ }./|/|/||/||: : : : : :∧　　＿_.＼:::＼
　　　　　　　　　ｧ'´ : :／: _:-:＞:'':´:／: /: 乂と⌒＿､イ〉∥,ヾ_＼＼: : : : :∧.／:::::::::＼＼:::＼
　　　＞‐…‐-ミ.{: : : ﾞ : : ´ ｧ´/: :／: : / : : /: :|¨/:./:／/∥//| ﾏ∧∨, : : : :/:::／￣＼∨ ＼::
　　／::::/´ _＿　∧: {: :/: : ∥: : /: : : : ﾞ__　-=ﾆ|: |: |/ //∥// |　|_∧∨, :＼{:::::{ 　　 ∧∨　|::
　　 :::::::/　/::/=ミ{ﾆ＼: {: : : i{:{ : {: _ -=ﾆニニニ}: |: |{///.ｉ{///.|　|//} |/}: : : ＼:＼　 {､__}::|　 |::
　　 :::::::{　＼::≧ 寸ニ≧s｡,,ヽ:／ﾆニニニニニ{: |: |∨_//ﾏ／／／ノ/ﾉ: : : ∧＼:＼＼_ノ　/::
　
───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　皇帝司馬昱は憂鬱な日々を送っていたと想像される。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　桓温の狙い次第では
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .自分もいつ廃立されるか分かったものではない
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
523 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:54:38.67 ID:mhNi/aO+0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　----
　　　　　　　　　　　　　　 ´　　　　　　　｀
　　　　　　　　　　　 ./　_____〃========= ､Ⅴ
　　　　　　　　　　　/≦´￣￣￣≧o｡＿＿_ ＼
　　　　　　　　　／　/.　 /　ハ. ,ｲ　　 /　 Ⅴ＼
　　　　　　　　　イ　 ′ /　 ′ }/　j|　 /　/ 从ー‐　　　　　　陛下。
　　　　　　　　　/　/　 / ′|　　　 }／　､ /　＼
　　　　　　　　 /　/.　从i}　|､　　､_　　／/　　　　　　　　　　.お呼びと聞いて参上したよ
　　　　　　　　′　　, --ﾊ八＞-- ≦/ /
　　　　　　,　　　　 /　　　ﾊ Ⅴﾍ　′　{
　　　　／　　, ≦/　　　 /　} Ⅴ ＼ |　|
　　／　　〈ﾆﾆ/　　　 /.　 |ノ｀¨¨Ⅵ　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂:.:/:／:.:.:.:｀ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:ー彡､:.:.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.ゞ:./:.:.:.:.:',:.:.:.:.:∨:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾊ＼:.:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/／/:.:,:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:∨ミﾐ.:.:.:.:.:.:.:.:.:　　､:.:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃　 :.:.:{:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.::',ミ:.:.ー―:.:.:.i　　_｀ヽ:.:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{!　　{:.:.:|:.:.:.:.:.:.:｜:.:.:.i:.:.::}　ミ:.:ー=:.:.::|　/(__ノ:./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂_j)|:.:.:.',.:.:.:.:.:.:.;.:.:.:./:.:./　　ﾐ:.:. -､.:.:.　乂:.:／
　　　　　　　郗超。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |､:.:.:ﾄ､:.:.:.:/:.:./}斗七＿ V ﾊ Vﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:.:.ヽ!-＼:.:／　ｨ乏ナ´ 　r　ﾉ:!:.:.
　　　　　　　命の長短は分かりようがなく、　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,:.:.:.:.:ﾍ杙_ナ　　　　　　　 _.rｆ:.:.:|:.:.',
　　　　　　　近日再び事が起こるのではないでしょうか　　　　　　　　　　　,:.:.:.:.:.:.:.:ヽ　 '　　　　　　 /|:.:.:|:.:.:|:.:.:.',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:./:.:.:.:.:.込　　　_ 　　ｲ .ﾄ}:.:!:.:.:!.:.:.:.:,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:./:.:.:.:./:.:.:.:.:≧= -=≦　_ノﾆﾆ!:.:.:!:.:.:.:.V
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.;:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾉ^Y^Y^ニﾆﾆV:.:.:.;.:.:.:.:.:∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:_/:.:.:./_-=ニニｲﾆ/ニニニニ/:.:.:/:.:.:.:.:.:.:∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／_-=ﾆ/:.:／ニニニﾆ＞rニニニﾆ／:.:.:/ﾆ=- _:.:.:.',

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　『晋書』『簡文帝紀』に曰く。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　中書侍郎郗超が宮中にいた時、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .皇帝司馬昱は彼を呼んで胸中を打ち明けた
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
524 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:55:58.62 ID:mhNi/aO+0: 　　　　　　／＼　　`ー――――　 _　 - "
.　　　　／. , 7　｀"""""" _　　"""　　　　　Ⅴ ､
.　　／　／/　　　_　-　"　　　　|　, 　　 |　Ⅴー―
　／＿./　／＼".　i|　　　|､.　　 | ハﾄ､　|　 Ⅴ　,
　　　　′ ／／＼.ﾊ.　λ.| ′ 　|′ i|. Ⅴ ､.　Ⅴ.′　　　　　大司馬は内に社稷を固め、外に経略を広めている。
　　　 |　　　　　/'从Ⅴ|　i|　　　 |　ﾉ　　〉| ＼ Ⅴ.，
　　　 |.　　　　八ﾄ､八| 　　 ,＼|　　　 /ｲ.　/ λ ’　　　　　非常の事については、
.　　　｣　　　　ｲ　i|.八　　　　　　　　　　′ / 　|八　　　　　 .私が言葉を尽くして事を保つと約束しよう
.　　 ,≧o｡.___.ﾄ､ハ　　＞　｀　　´　＜　　ハ　|　　,
　　/ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ７ ´　　|ﾆ , 　￣　　/ﾆ|.　 |从､′.　′
.　/≧o｡ﾆﾆﾆﾆｌﾆﾆ∨.|ﾆ ′ 　　　′ |.　 |ﾆ7. ＼
　l　　　｀¨¨¨¨7ﾆ./　八ﾆ.’ 　　 .′ﾆ|　八/ 　　Ⅴ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂:.:/:／:.:.:.:｀ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:ー彡､:.:.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.ゞ:./:.:.:.:.:',:.:.:.:.:∨:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾊ＼:.:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/／/:.:,:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:∨ミﾐ.:.:.:.:.:.:.:.:.:　　､:.:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃　 :.:.:{:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.::',ミ:.:.ー―:.:.:.i　　_｀ヽ:.:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{!　　{:.:.:|:.:.:.:.:.:.:｜:.:.:.i:.:.::}　ミ:.:ー=:.:.::|　/(__ノ:./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂_j)|:.:.:.',.:.:.:.:.:.:.;.:.:.:./:.:./　　ﾐ:.:. -､.:.:.　乂:.:／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |､:.:.:ﾄ､:.:.:.:/:.:./}斗七＿ V ﾊ Vﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:.:.ヽ!-＼:.:／　ｨ乏ナ´ 　r　ﾉ:!:.:.
　　　γ￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,:.:.:.:.:ﾍ杙_ナ　　　　　　　 _.rｆ:.:.:|:.:.',
　　　|　　　失礼します　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,:.:.:.:.:.:.:.:ヽ　 '　　　　　　 /|:.:.:|:.:.:|:.:.:.',
　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿乂　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./:.:./:.:.:.:.:.込　　　_ 　　ｲ .ﾄ}:.:!:.:.:!.:.:.:.:,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:./:.:.:.:./:.:.:.:.:≧= -=≦　_ノﾆﾆ!:.:.:!:.:.:.:.V
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.;:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾉ^Y^Y^ニﾆﾆV:.:.:.;.:.:.:.:.:∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:_/:.:.:./_-=ニニｲﾆ/ニニニニ/:.:.:/:.:.:.:.:.:.:∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／_-=ﾆ/:.:／ニニニﾆ＞rニニニﾆ／:.:.:/ﾆ=- _:.:.:.',
525 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:57:29.79 ID:mhNi/aO+0: 　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　／''''''　　　'''''':::::::＼
. 　 |（●）,　　､（●）､.:|
　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　u::|　　　　　　　　　郗超殿。
. 　 |　 u ｀-=ﾆ=- '　.::::::|
　　＼　　｀ﾆﾆ´　.u ::／　　　　　　　　　御父上から使いの者が来て、
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ーーノﾞ -　　　　　　　　　急ぎ邸に帰って来るようにと言っていました
:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|
　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _　　--　､　ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-＝ -　　　　　ゝ ) ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　〃 ' - く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲ/　　l_　　　　　☆ -)／　　　､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//　　　ゞミﾐ三三ﾆヲ´　i　　　､ﾊﾑ＼　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ( (　　　/　　　￣ ∠l＿　 l ＿＿i　ﾄ h｀　ー　-　､＞､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ー- ´/　　　ィ　　l i弋　 l=＼ﾑ｀ l ﾑi　　　　　　　）ﾊ
　　　　　父上が？　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ー-t ｲ　ir-t―, Vメ ,t―r-ｧｰﾑ　　　　　　 Z ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //l　 N 弋_.ﾉ　　弋_.ﾉﾘ i　ﾄﾊ
　　　　　陛下には申し訳ないけど、今日はこれで失礼する　　　　　　　　 .i l　N　iﾑ　　　' 　　　 ,,l　lNヽi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .V, l　iゝ lゝ　　 -　　ィ l　l'i l　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾl　l　il l　r｀j - 千､ ji　l　il
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,' ,'l　lメ､　i´⌒y　｀,'　,'_　il
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 // r', ﾑヽﾑ⌒/　　l　lへ, ﾑ

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　郗超は桓温と共に司馬昱の治世を支えると述べたが、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　この時、急いで父親の郗愔の下へ帰らなければならなくなった。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .司馬昱は郗超に言った
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
526 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:58:44.76 ID:mhNi/aO+0: 　　　 ,:.':/:〃ﾉ:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.::.∥:.:.:.:.:.､.:.:.､　
　　　 :.:.:!:.i!,:y:.::ヽ:.:.:.:｀ヾﾐ:.:.::i:!:i:.:.:,:::.:!.:.:.:.;　
　　　ヾ:ツ:./:.:.:＼::.:.｀ヽ:.:.:.:v:.!'!:.:l:!,:.:!:.:.:.:!
　　　　　~´7:.:.:..,:.:.:.:.:.:.:.:.:.／!:iヾwj !:.!:.!:ﾉ!　　　　　　　 .御父上によろしく伝えて頂戴。　　　　
　　　　　　,:.:.:.:./:.:.:r　ヽ:,ﾞ　 i:.! -笹ﾞ ´Y!.!　
　　　　　 ,.:.:.:.:,:.:.:.:丶⌒ }!　 l.:!　 ~´　ヾ!　　　　　　　　家国の事が遂にここに至ったのは、　
　　　　　,.:.:/:.:!:.:.:.:.:.ﾉｰ ''　　l:.!　　　　､′　　　　　　　.私が道を正して守る事ができなかったからです。
　　　　 .:.:./:.:.:!::.:.:l:.i!＿ , ､　i:.!　　　 ‐ｨ､　
　　　　..:./:.:.∧:.:.:､:!r‐ ､_ ー!:! _ iヽ／ｨ　　　　　　　　嘆きと悲しみは深くて言い表せません
　　　 .:.:/:.:.:/∧:.:.:.:.､ｌ‐!_|7zｊゞ:､ﾌ７､　 1
　　　,':/:..:.:.ｲj_｀ヾ:.:.:..､‐_i_!‐|_| ,〃/_/_>ﾑ
　　,.:./:.:.:. ,'!‐!_/_!‐､.:.:＼_!ニ Y―‐/_/_ｲ　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＼　　`ー――――　 _　 - ¨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　／. , 7　｀¨¨¨¨¨¨ _　　¨¨¨　　　　　Ⅴ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　／　／/　　　_　-　¨　　　　|　, 　　 |　Ⅴー―
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＿./　／＼¨.　i|　　　|､.　　 | ハﾄ､　|　 Ⅴ　,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　′ ／／＼.ﾊ.　λ.| ′ 　|′ i|. Ⅴ ､.　Ⅴ.′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　/'从Ⅴ|　i|　　　 |　ﾉ　　〉| ＼ Ⅴ.，
　　　　　　　　　　　　　　それでは　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|.　　　　八ﾄ､八| 　　 ,＼|　　　 /ｲ.　/ λ ’
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　｣　　　　ｲ　i|.八　　　　　　　　　　′ / 　|八
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 ,≧o｡.___.ﾄ､ハ　　＞　｀　　´　＜　　ハ　|　　,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ７ ´　　|ﾆ , 　￣　　/ﾆ|.　 |从､′.　′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　/≧o｡ﾆﾆﾆﾆｌﾆﾆ∨.|ﾆ ′ 　　　′ |.　 |ﾆ7. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　　｀¨¨¨¨7ﾆ./　八ﾆ.’ 　　 .′ﾆ|　八/ 　　Ⅴ

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　この言葉。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　ここにいない郗愔への伝言だが、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .目の前にいる郗超の態度に何か察したのかもしれない
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
527 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:59:31.38 ID:mhNi/aO+0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_...._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,.-':::::::::::::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,..-':::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　＿＿　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::ﾍ
　　　　 l:::::::::::::::::::￣::::::ー...／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　ヽ::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;ｨ::ﾆ'::::l
　　　　　　ヽ:::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ ｀ヽ:::::::l
　　　　　　　＼::::::::::::::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:､　　';::::::|
　　　　　　　　 ,ﾝ､:::::::::::::::::::::｀:-..._:::::::::::::::::::::::/::::::＼　';:::|
　　　　　　 / | |｀ﾄ､_:::::::::::::::::::::｀:::ｰ-......__/::::::::::::::＼ヾl
　　　　　　　　　l ﾄﾄ. ﾄ､ヽ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　｀ﾊ_|ヾ弋弍f'ｰ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　 '´く.　　 'ーｲ　l j､7ァt､__:::::::::::::::::::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　 rヽ､　lー'-'ノ_ﾉ∠Lゝト弋ー--　　:::＿:ﾉ　　　しかし、天命というものがあるとしたら、
　　　　　　　　　　ﾍヽ--j..-＜}::::::::::::〈.｀　　　　　　　　　　　　　それは驚くほど気紛れなのだろうと思わされる。
　　　　　　　　　　　 ,ﾚ-'⌒:､　ヽ:::::::::::ヽ- 、　
　　　　 ,. -‐､　　　ヽﾆ.:::::;r‐　'´ l::::::::::::::::::::ﾍ　　　　　　　　　　歴史は学べば学ぶほど、そうした想いは強くなる
　　　,r'::::.,.-'　　ｒ'´ ::::ヽ　　 __'Jノヽ::::::::::::::::::ﾊ
　　 /:::::/　　　　|　　 l::: ｀ヽ､_　ヽ_,ｌ:::::::::::::::::::::l　
. 　 |　:::|　　　 |　　 lヽ､__,. ､　';::::::::::::::::::::::::::::::l.、
.　　|　｜　　　 |　　 |:::::::::::::::ヽ. l::::::::::::::::::::::::::::::|:ヽ
　　 l.　 l　　　　ヽl.　..|::::／::::::::::´:::::::::::::::::::::::::::::::|::::l.
　　ヽ　ヽ．__ ノ |　::|:'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
　　　　｀ｰ-　一ﾍ　|::::ｰ-､.._:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::|ヽ
　　　　　　　　　　　7ﾊ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::|:::ヽ
　　　　　　　　　／::|::|:ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::|::::::ヽ
　　　　　　／::::::|:::|:::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::|:::::::::ヽ
　　　　　　　／::::::::::{:::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::|:::::::::::｀
528 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 01:00:17.67 ID:mhNi/aO+0: 【紀元３７２年７月　晋　揚州　姑孰】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣○ｰ､　　　 {　　　　　　　　　＿,.-‐'´　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　項　　｀}_　　 }　　　　＿_／　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　葛陂　　　　　　　｀ｰ-{ 　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　涂中
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○ 新蔡　　　　　　　｀ｰr‐'￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　○ ,.--
　　　　　　 ○宛　　　　　　　　　　　　　○安城　　○【新蔡国】　　r―'´○寿春　　　　　　　　　　　　　　　　　,「◎建康
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【汝南国】　　　　　　,.----'´￣　　　　　　　　　　　　　　○東城　　　　　 .／　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ○新息　 _/　【安豊郡】　　　　　　　　　　　　　　　　　歴陽　／●姑孰
　　　　　　　　｀ー――､＿＿/￣￣￣￣￣￣￣　　　○安豊　　　　　　　 ○合肥　　　　　　　○＿_{　
　　　　　　○新野　　　　　　　　　　　　　　　　○弋陽　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○六安　　　　　　　　　　横江○.|○牛渚
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【弋陽郡】　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.}￣ｰ'￣}　　　　　|
ヽ　　○樊城　　　　　　　　　　∧　　　　　　　　　 ∧∧∧∧　　　　　　　　　　　　　　｀ｰv'○東興　.／○于湖
　￣○}　　　　　　　　　i　　　　　　　　∧∧　　　∧∧∧∧∧∧　　　　　　　　　　　　　　｀ーr―'○"○蕪湖
　襄陽｀}　　　　　　　　｀ヽ　　　　　　　　　　　　　∧∧∧∧∧∧　　　　　　　　　濡須口○}　　赭圻
　　　　}　　　　　　　　'ｰ,　　　　　　　　　　　　　　∧∧∧∧　　　　　　　　　　　　　　　r'　
　　　　 }　　　　　　南新市ヽ_,_【江夏郡】　　　　　　　 ∧∧∧∧∧∧　　　　　　　　　　_ノ　
　　　　　|○石城　　　 .○ 　　ヽ○安陸　　　　　　　　　∧∧∧∧　　　　　　　　　r―'
　　　　　 .|＿_　　　　　　　石陽○ ｀ー-,　　　　　　　　　　　∧∧∧　皖城○　　 _,.-‐'
.長坂○　　　　|　　　　　　　＿＿＿＿＿＞-―‐､　　　　　　∧∧∧∧　　　　　 |
　　　　○当陽ヽ_　　　　　　|　　　　　 ○| 　　　○＼_　　　　　　　　　　　　　　 |　
.　　　　　　　　￣￣ヽ＿ﾉ　　　　夏口|　　　武昌　.￣|　　　　○尋陽　　＿r‐'´　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿_/　　　　　　ヽ　　　　　　　＿/　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.￣7　　　　　　　　　　　 'ｰ-､＿＿＿イ　　　　　　　
-― -―‐_ ○江陵　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
. ○楽郷__）　　_,.__　　　　　＿r‐'○陸口
　　　 ○'ー'´￣　 |　　　／　　　　　　
　　　公安　　　　｀ヽ　r'　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　＞'○巴丘　　　

／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/　
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　　　　　　　　　　桓温は武陵王一派粛清の後、
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/　　　　　　　　　　 .以前からの駐屯地である姑孰に戻っていた
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:　
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼　
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿__　
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/
529 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 01:01:48.37 ID:mhNi/aO+0: 　　//　　　ゞミﾐ三三ﾆヲ´　i　　　､ﾊﾑ＼　
　 ( (　　　/　　　￣ ∠l＿　 l ＿＿i　ﾄ h｀　
　　ー- ´/　　　ィ　　l i弋　 l=＼ﾑ｀ l ﾑi　　
　　　　　ー-t ｲ　ir-t―, Vメ ,t―r-ｧｰﾑ　
　　　　　 //l　 N 弋_.ﾉ　　弋_.ﾉﾘ i　ﾄﾊ　　　　　　　　足の調子が悪いと聞いた。
　　　　　　 i l　N　iﾑ　　　' 　　　 ,,l　lNヽi
　　　　　　 V, l　iゝ lゝ　　 -　　ィ l　l'i l　i　　　　　　　　大丈夫かい？
　　　　　　　ヾl　l　il l　r｀j - 千､ ji　l　il
　　　　　　　　,' ,'l　lメ､　i´⌒y　｀,'　,'_　il
　　　　　　　 // r', ﾑヽﾑ⌒/　　l　lへ, ﾑ　　　
　　　　　　 /ｲ　{　V ﾄ　　ﾑ/　／Vﾑ/ l　ﾑ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -‐....￣￣...ヽ__ 　
　　　　_ ,／ / /l　 lヾヽ｀　-<　　　 X　l　i ヾ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.::.:.:.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ:.:.:.:.:.::.:./}:.:./⌒~¨¨¨ヽ:.:.:.::.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:从{ 从:{, -‐=ﾆミ､ ',.:.:..::.:i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ィ:.:.:.:.／_,ノ　　}! 　＿_＿__}:.:.:.::.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , - ､　　　　　 |:.:.:./≦ _＿_ｒ=ミ///////}¨込-‐､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　 ',　　　　　|/{:{,ｲ//////　　V/////ﾉ　V/~} }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　i　　　　　　{ }V/////　　　￣￣　　　〉y/
　　　　六十を過ぎると悪い所も出てくるさ。　　　　　　 /⌒}　}　　　|　　　　　　ｉ | ￣￣ヽ　　　　　_　　　ﾉノ:＼　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿∠＿_|_/＿__.｜　　　　　　ヽ　　ｒ _　-‐ ─''７　　　}‐{: : : :∨＿　
　　　　で、何の用だ？　　　　　　　　　　　　 {}＿＿＿, -‐''¨￣}＿_|.{　　　　　　／ヽ　＼＿___ ,ノ　　　ﾉ　V: : : :∨.:.:.:.:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　_,. ィ　　　ヽ＿＿＿／: : : :.＼　　 ─　　　　／　 /}: : : : :.∨.:.:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　／　　　　　 i: : : : ／ : : ::.:.:.:.:.:/ヽ　　　　　／　　ノ /: : : : : : ∨.:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　､＿＿＿＿＿_|＿／_: : : ::.:.:.:.:.:/ヽ_ `ｰ─'' ¨__,. ＜　/: : : ／⌒ヽV
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }　　　　　　　　　　　　　　}: : : ::.:.:.:./　　＞，__ｒﾆ_　　　　|: : :./　 |.:.:.:.:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　　　, -‐──────': : : ::.:.:./ヽ　　　　///∧　　 ./.l: :./ i　｜.:.:.:.:

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　この頃の桓温は脚の病を患っていたと『晋書』『桓温伝』は記す
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
530 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 01:03:01.75 ID:mhNi/aO+0: 　　　　　i　　　　　　　　　＿　／　　　　＼　　　ヽ＼ }ヽ
　　　　　{　　　　＿　- ﾆ--／　　　＼　　　　　　ﾊノノ
　　　　　ゝﾆﾆﾆﾆ　--　イ/　　　_,,. -‐-　　　 } ヽ　　<
　　　　　/ ｀　　　　　　　/　i匕　＼　　ヽ　　ﾄ　＼　＼
　　　　　i　　　　　　　／　　 } ,ｨfﾓ云艾7ヽ　 l }　　{ ﾄ、＼
　　　　　l　　　　　／ﾄ　、　ゝ、弋,ソ　l ﾘ　.lﾉ　　 l i　　　ヽ
　　　　　l　　　／ﾄ　ヽ、 `　=-　　　　/i　　i　l　　　l　　　　　　　　　　　母が亡くなったので喪に服したい
..ゞ _　彡 i 　 , イ　 {ヽﾄ k=ｨ　　　　　　/ l　　i　l　　　　　＼　ヽ　
　　　　　￣ /ハ　i　　 .ﾑ　 '　 _　　　　　l　　l-= _　　ﾑ　　　　 }
　　　　　　　//　＼ﾑ　＿ ≧　 _　　イ / 　 /:::::::::::≧-　、　　　i
　　　　　　　{ l　　r-f ´　　　　ヽィ:::::/ /　 /:::::::::／　　　　 }　　 {
　　　　　　　i .i　ﾊ-'|　　　　　 |　l::::／　／::::::／　／　　　/　　八
　　　　　　　ヽ{/　〈　ゝ　　　　ﾉ .／　／:::, イ　　/　　　　　ゝ　　　 ',　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::ミi::::::::::::::::::::::::::::.
　　　　　　 /　 <ﾊ_ ﾆ=--イ /　ﾊ<::／　　　　 l　　　　　　 }　ゝ、ヽ　　　　′::::::::::::::::::::::::::::::::Y::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　/ ヾ三彡l　/　/　　　　　　　　l　　　　　　 {l　　　　　,　　　　i::::::::::::::::::::／::::::::::r=ぅ:::::::::::::_:::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_|:::::::::::::::::::::::::::_彡:/^7::::彡'　ミ:::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/r V::/:::::::::::::::::::::/j::j　""　　　　ﾐ::::ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　八{ﾊ.V {::/:::::::::::／/:/　　　　　　　}:/　′
　　　　　　分かった。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽｰi ﾚ __彡 ' _.／　　　　_,,,...=ぇ |i /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　込ト-r≧====x ＿r≦====x〃「
　　　　　　都には謝安や王坦之もいるから大丈夫だろう。　　　　　.　　　　 ‘，　辷=-///￣ヽﾆ=-///j /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　，　`ー一'　i　　 `ー一'　′
　　　　　　気にせず喪に服せ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧　　　 :..　　ﾉ　　　　 ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣｀7　iヽ　　＿　二....＿_　　/ ⌒ヽ￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 /　 .＼へ　　こ二ヽ＼〃　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　｀ヽ＞　＿,　＼> 厂￣｀＞＼

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　『晋書』『郗鑒伝』に曰く。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　同じ頃、郗超は母の死によって職を去った
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
531 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 01:03:34.08 ID:mhNi/aO+0: 【紀元３７２年７月　晋　首都　建康】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,､丶`:}
　　　　　　　　　､― ､　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:/
　　　　　　　　　　ヽ:.:.:.:.:｀ヽ　　　_＿_ 　 {:.:.:.:.:.:.:/
　　　　　　　　　　　ヽ:.:.:.:.:.:.∨''´:.:.:.:.:.:.:｀''V.:.ｧﾍ　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＿_人＿人从＿人＿人从／
.　　　　　　　　　　 i{ヽ:.:.,ｲ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ヽ.　}!　　　　　　　　　　　　　　　　　＿）　　　　　　　　　　　　（＿＿
.　　　　　　　　　八　7.ﾊ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ∨、　　　　　　　　　　　　　　　　　）　　　　陛下！？　　　　（
　　　　　　　　　 >l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.＼　　　　　　　　　　　　　　￣￣）　　　　　　　　　　　　　　(￣￣
　　　　　　　　　／ｱl:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : :l`'く.:.＼　　　　　　　　　　　　　　／⌒Y⌒Y⌒⌒Y⌒Y⌒Y⌒＼
.　　　　　　　／:.ｱ　l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ﾊ　).:.:.:.:Ｙ
.　　　　　　 /:.:.:.(_,,ｨ'l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:-=彡ノ-''
.　　　　　　　乂;,;彡' /:.:.:.:/.:.:/.:.:.:.:.:.:ﾍ.:.:.ﾍ.:.:.:.:.ﾍ　　　　　　　　　　　　　　　うっ……
　　　　　　　　　 /:.:.:.:/.:.:./ :.:.:.:.:.:.: ﾍ.:.:.ﾍ.:.:.:.:.ﾍ
　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾍ
.　　　　　　／.:.:.:.:.／.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　／.:.:.:.:.／:.:.:.:. /.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾍ.:.:.ﾍ:.:.:.:.:.:.:.＼
. 　　　／.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾍ.:.:.ﾍ:.:.＼:.:.:.:.＼
　　　／.:.:.:.:.／.:.:.:.／:.:./.:.:.:/. : :ｌ:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:ﾍ.:.:.ﾍ.:.:.:.:＼:.:.:.:.＼
.　／.:.:.:.:.／.:.:.:.／:. : :/.:.:.:/:.:. : :|:.:.:.:|:.:.:.:ｌ:.:.:.:.:ﾍ.:.:.ﾍ:.:.:.:.:.:.＼:.:.:.:＼
／.:.:.:.:.／.:.:.:.／:.:.:.:.:.:/.:.:.:/:.:.:.::.:.:|:.:.:.:|:.:.:.:|:.:.:.:.:. ﾍ.:.:.ﾍ:.:.:.:.:.:.:.:＼:.:.:.:＼

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　咸安二年（三七二年）七月。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　桓温が都を離れ、郗超が喪に服した間に……
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
532 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 01:04:27.75 ID:mhNi/aO+0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ叉7
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ⅲL_,, ,. _
　　　　　　　　　　　　　　 ,,､､-‐'''""´: .: .: .:::::::::.:.:.:. : :｀`ヾ､､､
　　　　　　　　　　,,． '"´. .:.: .:.: : .:r＝=.: :. :.: .:. :. :. :..: .: :. .::. :.｀ゞｰ-､､
　　　　　　,,． '"´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.`''ヽ､,,
　　　,r'"´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;;;;;:;:;:;:.;:.:.:.:;;;;;;;;;;;;;;:.:.:.:.:.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;:;:;:;;;;;;;;:;:;:;:;;;;;;;;;;:;:;:;:;;:＞
　　　｀`ヾ､;:;:;:;:;;:;:;:;;:;:;:;:;r＝=;:;:;r＝=､;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;;:;r＝=;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;:r''"´　.
　　　　　　｀`ヾ;:;:;;:;:::::;;;:;:;:;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;=＝=;;;;;;;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;.:.:.:.:.:.:.:.:,r'ﾞ
　　　　　　　　　　￣｀¨`ヾr＝=.: .: .: .: .:. :. :. ::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. :r＝z,;,;,;::／
　　　　　　　　　　　　　　　｀¨`ヾ.:.: .: .:.:::::::::;:;:;:;:::::::::;:;:.:.:.:.:＼_人＿人∧从＿人_∧_人_从_/／´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀＞;:;:,';: .,':;:;:; :;:; :＜´　　　)　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
　　　　　　　　　　　　　　　,､r''"´. :.: .:. :. . :. :. :. :.: .: .:`　＜　　　　皇帝陛下ッ！！　　　　＞
　　　　　　　　　　　　,､r'"´.:.::;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;:.:.:.: .:. . .:.::::::｀<　　　　　　　　　　　　　　　　　(
　　　　　　　　　　　　｀`ヾr＝=;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;::.:.:. :.: .: . :.: .: . ::.:,／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^YY^^Y^
　　　　　　　　　　　　　　 `ヾ::.:.:;;;;;;;;;;:.:.:.:.:.:. :. :.: ; :; :.: .:.:.::r'　　
　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ､:;:;;;;;;;;:;:.:.:::＝=.:.::::::.:.:.:.:／　　　　　　　　　　　　＼＿_人＿人从＿人＿人从／
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヾ.:;;;;;;;＝=.::.::.:.:..:.::r'´　　　　　　　　　　　　　＿）　　　　　　　　　　　　（＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,」;;:;:;:;;;:;::.:.:. :. :.:. j　　　　　　　　　　　　　　　　）　お気を確かに！！！（
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀`ヾ;:;:; :;::;;: ;r＝=.:.j　　　　　　　　　　　　　　￣￣）　　　　　　　　　　　　　　(￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi:;:;:.:. :.: .:. :.:.:.:,!　　　　　　　　　　　　　　　　／⌒Y⌒Y⌒⌒Y⌒Y⌒Y⌒＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l;:;: .:.: .: ..:;;;:;;;!　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'i;;;;;:.:.:.:.:;;;;;;;;;!　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 1;:;:;:;:r＝:.::{　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゞ;;;;;;:.:,r'´.:.:｀`;:ｰ-..､,,_

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　……皇帝司馬昱は病に倒れたのである
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
533 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 01:05:08.87 ID:mhNi/aO+0: ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__ｨ‐'￣｀ヽ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::ヽ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::＼
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::＼
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::f ＼::::::::}
|　　　　　　　　　　続く　　　　　　　　　　 .|:::::::::::::|　　ゝ::::|
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::ヽ　　∨
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ー:､::::::::::ﾍ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::::ヘ＿
|________＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ |:::::::::::::::::::::::::::::::::｀丶、
　　　　　　　　＼::::| |:::::::::ィ !{　ﾊ T tｰr ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、
　　　　　　　　　` | |ー--ﾚﾘﾙ|rfiﾃヽl ｲﾃz rr----――― ' " ´
　　　　　　　　　　　 | |　　　ヾN ゞｿ　　ゞｿ//　　　　　　　　　　　　　　続きは日を改めて。
　　　　　　　　　　　 | |　　　　＞:´|､　 -　　,|`:＜
　　　　　　　　　　　 | | 　　　 |::::::::| ＞　イ |::::::::|　　　　　　　　　　　　　.お疲れ様
　　　　　　　　　　　 | |　　　＞-､＼!　 !／::,-＜　
　　　　　　　　　　　 | |　　/´:::::::::::::{二{}二}´::::::::ゝ-､
　　　　　　　　　　　 | | 　ｌ:::::,:-:::::::://::|ヽヽ::::::::::::::::::!
　　　　　　　　　　　 | |　 /‐'´::::::::,::V:::::!::∨::::::::::::::::::|　
　　　　　　　　　　, ' ﾆ}く::／::::::::/:::::／|::::::::::::::::::::::::::|　
　　　　　　　　　　 |　ｰjヽ＼::::::'"::／ヾ !::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　ヽﾆj　} 　＼:／＼　|:::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　〈:| |Ｖ　　　 }>､___..>!:::j::::::::::::::::|:::::|
　　　　　　　　　　　|:!.|:＼　　ﾉ::L.. , __.!::::!::::::::::::::::!:::::|
　　　　　　　　　　　|:!.|::::::`ー':::/　 /　 |::::|:::::::::::::::::!:::::!
　　　　　　　　　　 |:|_!:::::::::::::::/　 /　　|:::::!::::::::::::::::|::::::|
　　　　　　　　　　 |::::::::::::::::::/　 /　　.!:::::!::::::::::::::::|::::::l
　　　　　　　　　　|::::::::::::::::/　 /　　　 !:::::|::::::::::::::::|:::::::!
　　　　　　　　　　　!:::::::::::／　 /　　　　|::::::|::::::::::::::::|::::::::!
534 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 01:06:52.92 ID:mhNi/aO+0: 　　　　　　　　　　　　　- - ──ー - -､
　　／i　　　　 ,.-‐''"´ 　　　　　　　　　＼　　　　 i＼
　　l　＼＿／　　　＿,,　　　　 ,,＿　　　ヽ､＿／　 l
　　l　　::::::/　　　　━━　　　　　━━ 　　　ヽ:::　　 l　　　　　　続きは次の土日を予定しています。
　　ヾ＿,;;;l　　　, , ,　　　　　　　　　　　　　　 l;;;__ジ
　　　　　 |　　　　　　i￣i￣i￣i　　"""　　　　 |　　　　　　　　　次の投下で事実上の桓温編が終わるかな？
　　　　　l　　　　　 .￣￣￣￣￣　　　　　　　 .l
　　　　　 ` ､　　/⌒⌒i　　　/⌒ヽ　　　　　 /　
　　　　　　　　`/　　　　| 　　| 　　　＼　　　／
535 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/19(月) 01:28:39.89 ID:9CVMSbRU0: 乙
後から振り返ると、ドツボにはまってるなあ
536 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/19(月) 07:29:19.12 ID:1vc+w70R0: 乙
桓温も迷走し出してるなあ
537 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/19(月) 09:00:03.64 ID:oV7dYls90: 乙です
桓温さん、このままだと憧れの劉コンさんより主人公感ないぞ
538 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/19(月) 09:26:10.55 ID:us2G2CKqo: 司馬家の場合
自業自得とか因果応報とかいう言葉がどうしても出てきてしまう
539 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/19(月) 13:53:34.75 ID:xQPxaQgCO: 乙
皇帝すげ替えとか、んな何時の時代でもやべぇ事してるから
曹操はおろか諸葛亮にも姜維にもなれなかったんだぞ桓温
540 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/19(月) 14:42:21.78 ID:us2G2CKqo: ちょっと司馬昭になろうとしただけなのに…
541 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/19(月) 17:40:46.97 ID:EFtX2WcWo: せめて景文の臭くらいは残そうとした結果がこれ
542 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/19(月) 18:06:01.03 ID:n2i/qMos0: 乙です～
最後の詰めは寿命との闘いかー
543 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/19(月) 19:15:06.01 ID:cPThh7K00: >>1さん乙です。

>>433
>意外な事に、前燕の朝廷では依然として前秦を低く見る者が多かった。
南北朝時代の北斉と北周みたいに
山東王朝（前燕・北斉）から見ると山西王朝（前秦・北周）は「田舎」「弱小」みたいなイメージ持ってたのかな？
544 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/19(月) 23:03:26.21 ID:vkKYsx2U0: 乙でした。
>>424
ここで言ってる王猛のウソって何のことを指してるんだろう？
545 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/20(火) 19:40:09.12 ID:YqDarJ3d0: 　　　　　　　　　　　　　- - ──ー - -､
　　／i　　　　 ,.-‐''"´ 　　　　　　　　　＼　　　　 i＼
　　l　＼＿／　　　＿,,　　　　 ,,＿　　　ヽ､＿／　 l　
　　l　　::::::/　　　　━━　　　　　━━ 　　　ヽ:::　　 l
　　ヾ＿,;;;l　　　, , ,　　　　　　　　　　　　　　 l;;;__ジ　　　　　　 >>535-542
　　　　　 |　　　　　　i￣i￣i￣i　　"""　　　　 |　　　　　　　　　思ってた以上にボロクソで吹いた
　　　　　l　　　　　 .￣￣￣￣￣　　　　　　　 .l
　　　　　 ` ､　　/⌒⌒i　　　/⌒ヽ　　　　　 /　　　　
　　　　　　　　`/　　　　| 　　| 　　　＼　　　／

>>543
人口や生産力の面から見れば、後漢から魏晋南北朝期は冀州＞関中なのでそう思うのも無理はないかなと。

>>544
>>412-413は王猛が使者を介して勝手に慕容垂の言葉として命令しているのですよ。

『晋書』『慕容垂載記』や『十六国春秋』『後燕録』通りなら
王猛は最初から慕容垂親子を消す気でやってる事になるので苻堅が慕容垂を許したら立場なくね？というね
546 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/20(火) 19:41:36.52 ID:YqDarJ3d0: 【>>419修正】
【紀元３７０年１月　前秦　首都　長安】

　　　　　　　　　／ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ＼
　　　　　　　　　　 /ﾆﾆﾆﾆﾆ⌒＞xﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾊ
　　　　　　　　　 |ﾆﾆﾆﾆ＞''´:.:.:.:.:.:｀''＜ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆノ
　　　　　　　　　　／ヽ＞''´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : :∨
　　　　　　　　　 /i:i:i:i/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨
　　　　　　　　　 /i:i/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: / :.:.: / :.:.:.:.:.:.:.γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　 /i:i/:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:/ :.:.: /:.:.:.:.:.:.:.:.:.|　　　どうしてこんな真似をしたんだ？　　　|
　　　　　　 ⌒/:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:/ :.:.: /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂
.　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:/:.:.:/:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
.　　　　　　　 /:./:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:/:.:.:/:.:.:/:.:. |:.:.:./:.:.:./:.: |
　　　　　　　人/:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:. : :,ｨｆう竿ミh､/|:.:.:.｣:.:./:.:.:/:.:.:. |
.　　　　／⌒＼:.＼:. |:.:.:.:.:.:.:.:|:.乂ｚソ::::::::⌒ｨｆう笏》:.:.:.:.: |
　　　　　/.-ﾆﾆﾆ-＼:.从:.:.:.:.:.:.:.|:. 厂　　　:::::::ゞ‐'＿__/:.:.: |
　　　　 |-ﾆﾆニﾆﾆ-＼:.:.:.:.:.:.:. |:./　　　　 ` ／.―‐/:.:/:.:|
　　　　 |‐ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆヽ从:.:.:ﾍ_　― ､～／二￣　/:.:/ |:.|＼
　　　　 ∧-ﾆﾆﾆﾆ-＼.ﾆ-Ｙ＼.:.ﾍ　　　　ヽ′　ヽ/:.:,ﾞ　|:.|　　Ｙ
　　　　 |-|-ﾆﾆニﾆﾆ-＼ﾆ}　　｀''ミ=-　　　 , 　　 {.:.:{｀¨|:.|ｲ　 |
　　　　/-ﾍｰﾆﾆﾆニﾆﾆ-＼　　　, 　　　　 ':: 　　从:{　 Ⅵ　　|
　　　　|ﾆﾆ|＼-ﾆﾆﾆニﾆﾆ-〉　　〉　　　　　　ｌ:　　　　　　 |＼　|
　　　　|-ニ＼-ﾆﾆﾆニﾆﾆ-{.　　 ,　　　　　　ｌ: 　　　　 |h､￣]
.　　　｣‐ﾆﾆ∧‐ﾆﾆﾆ-＼.ニ7 　 ′　　　　　　ｌ　　　　　　 |ﾆﾆﾆ-|
　　　〈-ﾆﾆニ∧‐ﾆﾆﾆﾆ‐＼{.　　|.　　　　　　 |　　　　　　 |ﾆﾆ-./
. 　　 }/ﾆﾆﾆﾆ∧-ﾆﾆﾆﾆﾆ-＼　|_＿＿＿＿ノ|ｰ―――''^|ニ-/
　　　 /-ﾆﾆﾆニ∧-ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ-＼.　　　　　 |　　　　　　 |ﾆ-/|

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　苻堅が慕容垂を引見して曰く
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
547 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/20(火) 20:27:01.57 ID:8i5/V4m20: 乙
Vやねん！の後は劉裕と拓跋硅と
お騒がせ野郎の赫連勃勃のここからが本当の地獄だの時代かあ
548 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/20(火) 20:53:25.74 ID:fEW8YT4M0: 乙
有能が集うオールスターな時代だけど一代限りでその人が死ぬとその後が続かない印象
549 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/21(水) 10:18:46.00 ID:yXVvYmZZ0: 乙
そろそろぐう畜の拓跋珪が生まれてる頃か
550 ：544 [sage]：2024/08/22(木) 22:55:51.55 ID:RS3ajB+Z0: >>545
そういうことでしたか。説明ありがとうございます。お手数おかけしてすみません。
551 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/25(日) 19:57:28.25 ID:0qjyqR4K0: 　　　　　　　　　　　　　- - ──ー - -､
　　／i　　　　 ,.-‐''"´ 　　　　　　　　　＼　　　　 i＼
　　l　＼＿／　　　＿,,　　　　 ,,＿　　　ヽ､＿／　 l
　　l　　::::::/　　　　━━　　　　　━━ 　　　ヽ:::　　 l　　　　　　ごめんなさい。
　　ヾ＿,;;;l　　　, , ,　　　　　　　　　　　　　　 l;;;__ジ
　　　　　 |　　　　　　i￣i￣i￣i　　"""　　　　 |　　　　　　　　　ちょっと無理っぽいので、
　　　　　l　　　　　 .￣￣￣￣￣　　　　　　　 .l　　　　　　　　　８/２８（水）の２２：００からでお願いします
　　　　　 ` ､　　/⌒⌒i　　　/⌒ヽ　　　　　 /　
　　　　　　　　`/　　　　| 　　| 　　　＼　　　／
552 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/27(火) 07:35:57.19 ID:0/8b07I0o: はーい
553 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 21:54:13.97 ID:a2oXpfsX0: ※２２：３０から投下開始します
554 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 22:33:47.05 ID:a2oXpfsX0: 【>>532続き】
【紀元３７２年７月　晋　揚州　姑孰】

　　　　　　 /＼＿＿_／ヽ
　　　　　／ ,,,,,,,ﾉiヽ,,,,,,:::i|li:＼
　　　　　|（○）,　　　､（○）､ :|
　　　　　|　⌒,,ﾉ(､_, )ヽ⌒ u.::|
　　　　　|u　{,｀ﾄ===ｲ ,} 　::::::|　　　　　　　　　　　　　　 /＼＿＿_／ヽ
　　　　　＼　　ヾﾆノ　　.::::/"''=-　　　　　　　　　　　／ ,,,,,,,ﾉiヽ,,,,,,:::i|li:＼
　　／::ノ"''ﾌ:ﾉ|ﾞ x ''|ヽ!:::_,,,L,,ﾉ,,ﾉ_ノﾞ>i、　　　　　　　|（○）,　　　､（○）､ :|
.　　i／ﾍ"　ﾑﾉ:::::| i::::! |-''"::::/　　　ﾞヾノヽ　　　　　　|　⌒,,ﾉ(､_, )ヽ⌒ u.::|
　 /（:::::::ﾞソ"_;;;;;;ﾉ: :V: :ヽ　''"ヽi、　をノ　　　　　　　|u　{,｀ﾄ===ｲ ,} 　::::::|
　（::::ヽ,ノ"!,,_::;／: :i: :i: : :ヽ_;;:::::"ヽi、　　　　　　　　　＼　　ヾﾆノ　　.::::/"''=-
　 ^ﾞ''" ／::::;ｼ: : : : i , -ii !、＼::;;ノ::::）　　　　　　／::ノ"''ﾌ:ﾉ|ﾞ x ''|ヽ!:::_,,,L,,ﾉ,,ﾉ_ノﾞ>i、
　　　（::::ヽへ、: : : i　　　 i/　ﾞ''ヽ,/　　　　　.　　i／ﾍ"　ﾑﾉ:::::| i::::! |-''"::::/　　　ﾞヾノヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /（:::::::ﾞソ"_;;;;;;ﾉ: :V: :ヽ　''"ヽi、　をノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（::::ヽ,ノ"!,,_::;／: :i: :i: : :ヽ_;;:::::"ヽi、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ^ﾞ''" ／::::;ｼ: : : : i , -ii !、＼::;;ノ::::）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（::::ヽへ、: : : i　　　 i/　ﾞ''ヽ,/

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　『晋書』『桓温伝』に曰く。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　皇帝司馬昱は
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　不豫になるに及び、桓温へ詔勅を下した。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　不豫とは貴人の病気を指す
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
555 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 22:34:33.38 ID:a2oXpfsX0: 【陛下の詔勅＠『晋書』『桓温伝』（大意）】
┏────────────────────────────┓
　我は遂に病に身を委ねる状態であり、
　足下にすぐ宮中へ入ってもらい、対面したいと乞い願うばかりである。

　すぐ来るように、すぐ来るように。
┗────────────────────────────┛

　　　　　　 /＼＿＿_／ヽ
　　　　　／ ,,,,,,,ﾉiヽ,,,,,,:::i|li:＼
　　　　　|（○）,　　　､（○）､ :|
　　　　　|　⌒,,ﾉ(､_, )ヽ⌒ u.::|
　　　　　|u　{,｀ﾄ===ｲ ,} 　::::::|　　　　　　　　　　　　　　 /＼＿＿_／ヽ
　　　　　＼　　ヾﾆノ　　.::::/"''=-　　　　　　　　　　　／ ,,,,,,,ﾉiヽ,,,,,,:::i|li:＼
　　／::ノ"''ﾌ:ﾉ|ﾞ x ''|ヽ!:::_,,,L,,ﾉ,,ﾉ_ノﾞ>i、　　　　　　　|（○）,　　　､（○）､ :|
.　　i／ﾍ"　ﾑﾉ:::::| i::::! |-''"::::/　　　ﾞヾノヽ　　　　　　|　⌒,,ﾉ(､_, )ヽ⌒ u.::|
　 /（:::::::ﾞソ"_;;;;;;ﾉ: :V: :ヽ　''"ヽi、　をノ　　　　　　　|u　{,｀ﾄ===ｲ ,} 　::::::|
　（::::ヽ,ノ"!,,_::;／: :i: :i: : :ヽ_;;:::::"ヽi、　　　　　　　　　＼　　ヾﾆノ　　.::::/"''=-
　 ^ﾞ''" ／::::;ｼ: : : : i , -ii !、＼::;;ノ::::）　　　　　　／::ノ"''ﾌ:ﾉ|ﾞ x ''|ヽ!:::_,,,L,,ﾉ,,ﾉ_ノﾞ>i、
　　　（::::ヽへ、: : : i　　　 i/　ﾞ''ヽ,/　　　　　.　　i／ﾍ"　ﾑﾉ:::::| i::::! |-''"::::/　　　ﾞヾノヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /（:::::::ﾞソ"_;;;;;;ﾉ: :V: :ヽ　''"ヽi、　をノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（::::ヽ,ノ"!,,_::;／: :i: :i: : :ヽ_;;:::::"ヽi、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ^ﾞ''" ／::::;ｼ: : : : i , -ii !、＼::;;ノ::::）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（::::ヽへ、: : : i　　　 i/　ﾞ''ヽ,/

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　一日一夜で四度詔勅が下ったため、桓温は詔勅に対する上奏を行った
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
556 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 22:36:56.11 ID:a2oXpfsX0: 【桓温さんの上奏文＠『晋書』『桓温伝』】
┏───────────────────────────────────────┓
　聖体が不和のまま積日を経て、愚心は恐れ慄くばかりで情を寄せる所がありません。

　人の盛衰は理の常であり、過ぎた備えに害は無く、
　漢の高祖が病に臥せると呂后は宰相を問い、武帝が不豫になると、霍光が後嗣を導きました。
┗───────────────────────────────────────┛

　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::}:::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ:::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::::::::::::::::::::::::::::.::,-‐──､ ::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::::::::/::/:／}::i:i:/　　　　　 V::::::}
　　　　　　　　　　　　　　　 jヽ:::/// 　./ ハ　　　　　　 V⌒i
　　　　　　　　　　　　　　　，＜.{　Y ‐‐=ﾆﾍ　　　 _,.．-‐≧ .}　.,'ヽ_
　　　　　　　　　　　，＜///////ヽ　ｒ=====ミ＿ｒ=====ミ　　 /ﾊ//≧=‐-　_
　　　　　　　，＜//////////////ﾊ∨////ﾉ⌒Y/////ﾉ　,'ィ/,,ﾊ/////////＞，　　　　　　 .悪いが陛下には
　　　　　／////////////////////ﾊ￣￣〈　〉￣￣　 / }///,ﾊ////////////＞，　　　　参内できないと伝えてくれ
　　　　////////////////////////|ヽ　　　　＿　　　　/ /////,ﾊ//////////////ﾊ
　　　 ,'////////////////////////{ -‐　'' ¨　　 `ｰ─ ､///////ﾊ//////////////ﾊ
　　　.////////////////{//// -‐''¨ 　　　　　　　ー─-､＼,//////〉/////////////,ﾊ
　.　 i////////////////,|/／　　　　　　　　　　　＼─､＼─‐-　く///////,///////,ﾊ
　　 ////////////////／ {　　　　　　　　　＿, ヘ　＼　ー′　　　} ＼/////////////,
　　 ;////////////＞’ﾍ　　ヽ　　　ｒ──''¨〉//弋_ヽノ　　　　　／　　 }＼///////////,
　　 i////////＞’/////ﾍ　　｀､／//|　　 .{////}　ヽ＿＿＿__／　　　////＼/////////,
　　 |/////＞’/////////ﾍ　　 .ﾍ///|　　 |////|　　　|////７　　　／//////＼///////j
　　 |///／/////////////ﾍ　　　〉//|　　 |////|　　　|////　　.／//////////,＼/////,i
　　 |// {////////////////ﾍ／///,|　　 |////|　　　|///＼／//////////////,＼////}
557 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 22:37:56.99 ID:a2oXpfsX0: ┏────────────────────────────────────┓
　泣き咽ぶ身に死後の事を問われますが、思うに優れた者であるべきです。

　今、皇子は幼稚であり、
　朝廷の賢士はただ謝安と王坦之のみ才識が煩雑でなく、天子の鑑識に叶うでしょう。

　内に幼君を補佐し、外に強寇を防ぎ、誠に群情を大いに恐れ、ここに理を尽くしました。

　陛下には便宜に応じて群臣を尊重すれば、
　謝安らは命を奉じ力を合わせるので、公私に間違いはないでしょう。
┗────────────────────────────────────┛

　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　／''''''　　　'''''':::::::＼
. 　 |（●）,　　､（●）､.:|　
　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　u::|
. 　 |　 u ｀-=ﾆ=- '　.::::::|　　　　　　　　　　　　　本当によろしいのですか？
　　＼　　｀ﾆﾆ´　.u ::／　
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ーーノﾞ -､
:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|
　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::ミi::::::::::::::::::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . 　　 ′::::::::::::::::::::::::::::::::Y::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::::::::::::::::::::／::::::::::r=ぅ:::::::::::::_:::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_|:::::::::::::::::::::::::::_彡:/^7::::彡'　ミ:::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/r V::/:::::::::::::::::::::/j::j　""　　　　ﾐ::::ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　八{ﾊ.V {::/:::::::::::／/:/　　　　　　　}:/　′
　　　　　　　この足ではな。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽｰi ﾚ __彡 ' _.／　　　　_,,,...=ぇ |i /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　込ト-r≧====x ＿r≦====x〃「
　　　　　　　何かあれば、謝安に伝えてくれ　　　　　　　　　　　　　　　　　 ‘，　辷=-///￣ヽﾆ=-///j /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　，　`ー一'　i　　 `ー一'　′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　 ∧　　　 :..　　ﾉ　　　　 ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣｀7　iヽ　　＿　二....＿_　　/ ⌒ヽ￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　 /　 .＼へ　　こ二ヽ＼〃　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　｀ヽ＞　＿,　＼> 厂￣｀＞＼
558 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 22:40:27.71 ID:a2oXpfsX0: ┏───────────────────────────────────────┓
　臣桓温の位は将相を兼ねるに至り、
　加えて陛下には布衣の身を顧みて頂きましたが、
　ただ疾病に老衰しており、久しく支えられないのを恐れ、再び後事を託されても堪えられません。
┗───────────────────────────────────────┛

　　　　　　__,,,..::-ｰｰｧ''
　　　　,r‐´.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ヽ､　
　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ.　
　　 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:lヾ､
　　/ｲ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i.:l　　
　　　l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:fﾞi:.:|ﾘ!　
　　　l∧:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,人l:.l ﾉ　　
　　　　　ヽﾄ::;i､:／　,ゝ!'　　　__　　　　　　　　　　　　.果たして桓温は何がしたかったのか？
　　　　r:r'''ﾞﾞ'ﾞ'''ｰ-<ﾆ,y''ﾞﾞﾞ￣l.||
　　　.l i　　　　　 //:.｀ヽ　　l||　　　
　　　 | l　　　　i l: : : : :l　r-'｀､　　
　　　.| l　　　　　 l l : : : : :l　〉　}　
　　　l. ﾞｰ‐-- .__,,j .|: : : : :.ヾ⌒〈
　　　｝ｰ──---=': : : : : : :ヽ.:ﾉ
559 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 22:41:14.96 ID:a2oXpfsX0: ／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/　　　　　　　　普通こうした場合は参内して遺言を受けるのが常だ。
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/　　　　　　　　　 .魏の明帝の今際の詔勅を受けて、
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:　　　　　　　　　　　洛陽へすっ飛んできた司馬懿などが分かりやすい例だろう
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼　
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿__　
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿　_
　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　 , .:':{＠}:::..ヾヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ ´ ~￣~ ｀ヾ::.ヽ＼　　　　　　　　　────────
　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　r.//, 'ハ　　ﾊiﾚ7〃ヾ::.､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　Ｌl ! { ノヽノ　｀ヽ l/|　!:厶l　　　　　 ────────
　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 /Vi 小●　　　 ●　ﾉｌ下､_〕
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 j||l⊃　､_,､_,　⊂⊃　i !__ﾄ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /⌒ヽ__|ﾍ　　ヽ._）　　j /⌒i !＿　　　　────────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ /:::::|　l＞,､ __,　イァ/　 /│;; ::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 /:::::/|　|:: :: ::{ 薔 }:{ﾍ､__∧ |⌒⌒　　　　　────────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼< ＼|:: :: :: ∨:::/ヾ::: :: > |

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　魏　太傅　司馬懿
560 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 22:41:47.40 ID:a2oXpfsX0: 【紀元３７２年７月　晋　揚州　姑孰】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {: : : : : : : : : :./ : : : : : : : : : : : : : : : : :_／/: : : : : : : :／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | : : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : :, -‐ ''　./: : : ..／:／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 V: : : : : : :/: : : : : : : : : : : : :／　 ,-‐､/ : . ／/:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　V: : : :　.|: : : : : :／/ :.／/　　〈;';';';'＼／ /:./　　　　　　__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, -‐ミ: : : : |: : : :／ ./:／ ./　　　　〉､;';'ノ＼ {: |　　　　_／ノ　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / .,‐､　ヽ: :||: : :/　 /:/　　　　　／ィ＼　　.＼|　-‐''¨ ￣　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 / ./　ﾍ　.}: ||: :/　　{/　　　 -‐'' 　　　＼　　.＼　　　，＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -‐/ ./　 .／ヽ{: } Y,彡'ミ三三三ミ､_　　　　　／＼　　＼＜　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／　　{　{　　{　　.Ⅳ∧　＿＿＿≧ミ三三ミ､／　　　 .＼　　＼　　＿_,.．-''三三三
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　ﾍ　',　 iヽ _j　Ⅳ∧　 ////////// ＞''　　　　　　/ ＼　__＼三三三彡＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ　　　　{　｜ⅵ| .//////////／　　　，''￣￣￣￣￣　./　　　ノ　}/////
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　ﾍ　　　}　.|　　|/////////／　，'' 　　　　　　　　　　　￣￣ _ ノ-‐ミ///
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　ﾍ　　/ヽ.|　　|//////,／_ ，'' 　　　　　　_ ＿,.．-‐──‐≦　　　　 }//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＼ }.|　　V///／'´　　　　　　　　ィ’ i　　　|　　|///＼_ノ＼　／//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ゛ |　　＼/　　　　　　　　，''¨ヽ　 i　　｜　 .V//,/ ＼　 .＼///
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞ !　　　 |　　　　　　ｒ''　　　　 }　i　　 .|　　￣/　　＼／￣

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　それを踏まえると、あれこれ名目をつけて都へ戻らないのは奇妙と言える。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　自身の足の具合が悪かったのかもしれないが、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .帝位を狙う人物とは思えない消極的な行動に映ってしまう
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
561 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 22:44:05.81 ID:a2oXpfsX0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_...._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,.-':::::::::::::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,..-':::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　＿＿　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::ﾍ
　　　　 l:::::::::::::::::::￣::::::ー...／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　ヽ::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;ｨ::ﾆ'::::l
　　　　　　ヽ:::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ ｀ヽ:::::::l
　　　　　　　＼::::::::::::::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:､　　';::::::|
　　　　　　　　 ,ﾝ､:::::::::::::::::::::｀:-..._:::::::::::::::::::::::/::::::＼　';:::|
　　　　　　 / | |｀ﾄ､_:::::::::::::::::::::｀:::ｰ-......__/::::::::::::::＼ヾl
　　　　　　　　　l ﾄﾄ. ﾄ､ヽ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　｀ﾊ_|ヾ弋弍f'ｰ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　 '´く.　　 'ーｲ　l j､7ァt､__:::::::::::::::::::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　 rヽ､　lー'-'ノ_ﾉ∠Lゝト弋ー--　　:::＿:ﾉ　　いずれにせよ、
　　　　　　　　　　ﾍヽ--j..-＜}::::::::::::〈.｀　　　　　　　　　　　　『晋書』『桓温伝』はこの上奏文についてこう述べている。
　　　　　　　　　　　 ,ﾚ-'⌒:､　ヽ:::::::::::ヽ- 、　　
　　　　 ,. -‐､　　　ヽﾆ.:::::;r‐　'´ l::::::::::::::::::::ﾍ　　　　　　　　　上奏は皇帝の崩御に及ばなかったと
　　　,r'::::.,.-'　　ｒ'´ ::::ヽ　　 __'Jノヽ::::::::::::::::::ﾊ
　　 /:::::/　　　　|　　 l::: ｀ヽ､_　ヽ_,ｌ:::::::::::::::::::::l　
. 　 |　:::|　　　 |　　 lヽ､__,. ､　';::::::::::::::::::::::::::::::l.、
.　　|　｜　　　 |　　 |:::::::::::::::ヽ. l::::::::::::::::::::::::::::::|:ヽ
　　 l.　 l　　　　ヽl.　..|::::／::::::::::´:::::::::::::::::::::::::::::::|::::l.
　　ヽ　ヽ．__ ノ |　::|:'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
　　　　｀ｰ-　一ﾍ　|::::ｰ-､.._:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::|ヽ
　　　　　　　　　　　7ﾊ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::|:::ヽ
　　　　　　　　　／::|::|:ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::|::::::ヽ
　　　　　　／::::::|:::|:::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::|:::::::::ヽ
　　　　　　　／::::::::::{:::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::|:::::::::::｀
562 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 22:45:02.96 ID:a2oXpfsX0: 【紀元３７２年７月　晋　首都　建康】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ叉7
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ⅲL_,, ,. _
　　　　　　　　　　　　　　 ,,､､-‐'''""´: .: .: .:::::::::.:.:.:. : :｀`ヾ､､､
　　　　　　　　　　,,． '"´. .:.: .:.: : .:r＝=.: :. :.: .:. :. :. :..: .: :. .::. :.｀ゞｰ-､､
　　　　　　,,． '"´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.`''ヽ､,,
　　　,r'"´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;;;;;:;:;:;:.;:.:.:.:;;;;;;;;;;;;;;:.:.:.:.:.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;:;:;:;;;;;;;;:;:;:;:;;;;;;;;;;:;:;:;:;;:＞
　　　｀`ヾ､;:;:;:;:;;:;:;:;;:;:;:;:;r＝=;:;:;r＝=､;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;;:;r＝=;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;:r''"´　.
　　　　　　｀`ヾ;:;:;;:;:::::;;;:;:;:;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;=＝=;;;;;;;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;.:.:.:.:.:.:.:.:,r'ﾞ
　　　　　　　　　　￣｀¨`ヾr＝=.: .: .: .: .:. :. :. ::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. :r＝z,;,;,;::／
　　　　　　　　　　　　　　　｀¨`ヾ.:.: .: .:.:::::::::;:;:;:;:::::::::;:;:.:.:.:.:､､-‐''"´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀＞;:;:,';: .,':;:;:; :;:; :＜´
　　　　　　　　　　　　　　　,､r''"´. :.: .:. :. . :. :. :. :.: .: .:`ヽ､
　　　　　　　　　　　　,､r'"´.:.::;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;:.:.:.: .:. . .:.::::::｀'ヽ､　　　γ￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ　　
　　　　　　　　　　　　｀`ヾr＝=;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;::.:.:. :.: .: . :.: .: . ::.:,r'´　　　 |　　　……王坦之　　　.|　
　　　　　　　　　　　　　　 `ヾ::.:.:;;;;;;;;;;:.:.:.:.:.:. :. :.: ; :; :.: .:.:.::r'　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿乂　　
　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ､:;:;;;;;;;;:;:.:.:::＝=.:.::::::.:.:.:.:／　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヾ.:;;;;;;;＝=.::.::.:.:..:.::r'´　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,」;;:;:;:;;;:;::.:.:. :. :.:. j
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀`ヾ;:;:; :;::;;: ;r＝=.:.j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi:;:;:.:. :.: .:. :.:.:.:,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l;:;: .:.: .: ..:;;;:;;;!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'i;;;;;:.:.:.:.:;;;;;;;;;!　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 1;:;:;:;:r＝:.::{　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゞ;;;;;;:.:,r'´.:.:｀`;:ｰ-..､,,_

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　.つまり、桓温の上奏文が届く前に事は全て終わっていたのである
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
563 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 22:47:49.13 ID:a2oXpfsX0: 　　　 ,:.':/:〃ﾉ:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.::.∥:.:.:.:.:.､.:.:.､　
　　　 :.:.:!:.i!,:y:.::ヽ:.:.:.:｀ヾﾐ:.:.::i:!:i:.:.:,:::.:!.:.:.:.;　
　　　ヾ:ツ:./:.:.:＼::.:.｀ヽ:.:.:.:v:.!'!:.:l:!,:.:!:.:.:.:!
　　　　　~´7:.:.:..,:.:.:.:.:.:.:.:.:.／!:iヾwj !:.!:.!:ﾉ!　
　　　　　　,:.:.:.:./:.:.:r　ヽ:,ﾞ　 i:.! -笹ﾞ ´Y!.!　　　　　　　私の余命はもうありません。
　　　　　 ,.:.:.:.:,:.:.:.:丶⌒ }!　 l.:!　 ~´　ヾ!　
　　　　　,.:.:/:.:!:.:.:.:.:.ﾉｰ ''　　l:.!　　　　､′　　　　　　.桓温が間に合わないようなら、こちらの詔勅を渡して下さい
　　　　 .:.:./:.:.:!::.:.:l:.i!＿ , ､　i:.!　　　 ‐ｨ､　　
　　　　..:./:.:.∧:.:.:､:!r‐ ､_ ー!:! _ iヽ／ｨ　　
　　　 .:.:/:.:.:/∧:.:.:.:.､ｌ‐!_|7zｊゞ:､ﾌ７､　 1
　　　,':/:..:.:.ｲj_｀ヾ:.:.:..､‐_i_!‐|_| ,〃/_/_>ﾑ
　　,.:./:.:.:. ,'!‐!_/_!‐､.:.:＼_!ニ Y―‐/_/_ｲ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , --──-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , イ /　　　　　　ﾍ　ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　!ー､〉　__ j　j __〉-ﾉ　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ＿,,;;》 `-"::: `-"l＿.ジ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　ヽ　' ＿ ` ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　l　　´＝｀　l　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　ヽ＿,､__ノ
　　　　　　　　　　　　　　　拝見致しましょう　　　　　　　　　　　　　　　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::　

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　王坦之、字を文度。本籍は并州太原郡晋陽。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　西晋の王渾の弟に当たる王湛の曾孫で、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　若い頃から郗超と共に名声を有し、江東独歩と評された。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　放蕩な時勢に迎合せず、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　儒教を尊ばず、刑名学を尊重して『廃荘論』を著わしている
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
564 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 22:51:04.33 ID:a2oXpfsX0: 【陛下の詔勅＠『晋書』『王湛伝』】
┏─────────────────────┓
　大司馬桓温は周公旦が居摂した故事に依るように。
┗─────────────────────┛

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , --──-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , イ /　　　　　　ﾍ　ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　!ー､〉　__ j　j __〉-ﾉ　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ＿,,;;》 `-"::: `-"l＿.ジ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　ヽ　' ＿ ` ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　l　　´＝｀　l　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　！　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　ヽ＿,､__ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::　

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　会稽王時代の司馬昱、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　桓温の属官などを歴任し、この時点では侍中・左衛将軍を務めていた
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
565 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 22:51:45.83 ID:a2oXpfsX0: 　　　 ,:.':/:〃ﾉ:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.::.∥:.:.:.:.:.､.:.:.､　
　　　 :.:.:!:.i!,:y:.::ヽ:.:.:.:｀ヾﾐ:.:.::i:!:i:.:.:,:::.:!.:.:.:.;　
　　　ヾ:ツ:./:.:.:＼::.:.｀ヽ:.:.:.:v:.!'!:.:l:!,:.:!:.:.:.:!
　　　　　~´7:.:.:..,:.:.:.:.:.:.:.:.:.／!:iヾwj !:.!:.!:ﾉ!　
　　　　　　,:.:.:.:./:.:.:r　ヽ:,ﾞ　 i:.! -笹ﾞ ´Y!.!　
　　　　　 ,.:.:.:.:,:.:.:.:丶⌒ }!　 l.:!　 ~´　ヾ!　　　　　　　　　　　　　何をするのです？
　　　　　,.:.:/:.:!:.:.:.:.:.ﾉｰ ''　　l:.!　　　　､′
　　　　 .:.:./:.:.:!::.:.:l:.i!＿ , ､　i:.!　　　 ‐ｨ､　
　　　　..:./:.:.∧:.:.:､:!r‐ ､_ ー!:! _ iヽ／ｨ　　
　　　 .:.:/:.:.:/∧:.:.:.:.､ｌ‐!_|7zｊゞ:､ﾌ７､　 1
　　　,':/:..:.:.ｲj_｀ヾ:.:.:..､‐_i_!‐|_| ,〃/_/_>ﾑ
　　,.:./:.:.:. ,'!‐!_/_!‐､.:.:＼_!ニ Y―‐/_/_ｲ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/l　　.,ｲ,ｲ .,ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //　　ﾚﾚ //　　/７
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ ﾆﾆ= 　　//　　//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //　　　　 /'　　//　,ｲ,ｲ ,ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､二二ヽ　　　　// 　ﾚﾚ //
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /'　　　　/'

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/l　　.,ｲ,ｲ .,ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //　　ﾚﾚ //　　/７
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ ﾆﾆ= 　　//　　//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //　　　　 /'　　//　,ｲ,ｲ ,ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､二二ヽ　　　　// 　ﾚﾚ //
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /'　　　　/'

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　『晋書』『王湛伝』に曰く。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　司馬昱は崩じるに臨み、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　桓温へ周公旦の居摂の故事に従うよう詔勅を下した。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　王坦之は詔勅を自ら持つと、皇帝の前で破り捨ててしまった
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
566 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 22:55:11.46 ID:a2oXpfsX0: 　　　 ,:.':/:〃ﾉ:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.::.∥:.:.:.:.:.､.:.:.､　
　　　 :.:.:!:.i!,:y:.::ヽ:.:.:.:｀ヾﾐ:.:.::i:!:i:.:.:,:::.:!.:.:.:.;　
　　　ヾ:ツ:./:.:.:＼::.:.｀ヽ:.:.:.:v:.!'!:.:l:!,:.:!:.:.:.:!
　　　　　~´7:.:.:..,:.:.:.:.:.:.:.:.:.／!:iヾwj !:.!:.!:ﾉ!　
　　　　　　,:.:.:.:./:.:.:r　ヽ:,ﾞ　 i:.! -笹ﾞ ´Y!.!　　　　　　　　　天下は党来の運。
　　　　　 ,.:.:.:.:,:.:.:.:丶⌒ }!　 l.:!　 ~´　ヾ!　
　　　　　,.:.:/:.:!:.:.:.:.:.ﾉｰ ''　　l:.!　　　　､′　　　　　　　　.あなたは何を嫌っているのです
　　　　 .:.:./:.:.:!::.:.:l:.i!＿ , ､　i:.!　　　 ‐ｨ､　
　　　　..:./:.:.∧:.:.:､:!r‐ ､_ ー!:! _ iヽ／ｨ　　
　　　 .:.:/:.:.:/∧:.:.:.:.､ｌ‐!_|7zｊゞ:､ﾌ７､　 1
　　　,':/:..:.:.ｲj_｀ヾ:.:.:..､‐_i_!‐|_| ,〃/_/_>ﾑ
　　,.:./:.:.:. ,'!‐!_/_!‐､.:.:＼_!ニ Y―‐/_/_ｲ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , --──-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , イ /　　　　　　ﾍ　ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　!ー､〉　__ j　j __〉-ﾉ　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ＿,,;;》 `-"::: `-"l＿.ジ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　ヽ　' ＿ ` ｲ
　　　　　　この天下は宣帝と元帝の天下ですぞ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .l　l　　´＝｀　l　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　ヽ＿,､__ノ
　　　　　　陛下が勝手にどうこうできるものではありません　　　　　　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::　

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　党来の運とは偶然・意外といった意味がある。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　天下は偶然手に入るものと捉えていた司馬昱に対し、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　天下は宣帝と元帝による天下だと王坦之は言い返したわけだ。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　だから、司馬昱一人の勝手にはできないと
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
567 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 22:55:42.33 ID:a2oXpfsX0: 　　　 ,:.':/:〃ﾉ:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.::.∥:.:.:.:.:.､.:.:.､　
　　　 :.:.:!:.i!,:y:.::ヽ:.:.:.:｀ヾﾐ:.:.::i:!:i:.:.:,:::.:!.:.:.:.;　
　　　ヾ:ツ:./:.:.:＼::.:.｀ヽ:.:.:.:v:.!'!:.:l:!,:.:!:.:.:.:!
　　　　　~´7:.:.:..,:.:.:.:.:.:.:.:.:.／!:iヾwj !:.!:.!:ﾉ!　
　　　　　　,:.:.:.:./:.:.:r　ヽ:,ﾞ　 i:.! -笹ﾞ ´Y!.!　
　　　　　 ,.:.:.:.:,:.:.:.:丶⌒ }!　 l.:!　 ~´　ヾ!　　　　　　　　　　では、あなたが詔勅を改めなさい
　　　　　,.:.:/:.:!:.:.:.:.:.ﾉｰ ''　　l:.!　　　　､′
　　　　 .:.:./:.:.:!::.:.:l:.i!＿ , ､　i:.!　　　 ‐ｨ､　
　　　　..:./:.:.∧:.:.:､:!r‐ ､_ ー!:! _ iヽ／ｨ　　
　　　 .:.:/:.:.:/∧:.:.:.:.､ｌ‐!_|7zｊゞ:､ﾌ７､　 1
　　　,':/:..:.:.ｲj_｀ヾ:.:.:..､‐_i_!‐|_| ,〃/_/_>ﾑ
　　,.:./:.:.:. ,'!‐!_/_!‐､.:.:＼_!ニ Y―‐/_/_ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , --──-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , イ /　　　　　　ﾍ　ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　!ー､〉　__ j　j __〉-ﾉ　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ＿,,;;》 `-"::: `-"l＿.ジ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　ヽ　' ＿ ` ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .l　l　　´＝｀　l　　
　　　　　　　　　　　　　　　　分かりました　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　ヽ＿,､__ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::　

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　司馬昱は王坦之へ詔勅を改めるよう命じた
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
568 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 22:57:28.30 ID:a2oXpfsX0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ叉7
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ⅲL_,, ,. _
　　　　　　　　　　　　　　 ,,､､-‐'''""´: .: .: .:::::::::.:.:.:. : :｀`ヾ､､､
　　　　　　　　　　,,． '"´. .:.: .:.: : .:r＝=.: :. :.: .:. :. :. :..: .: :. .::. :.｀ゞｰ-､､
　　　　　　,,． '"´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.`''ヽ､,,
　　　,r'"´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;;;;;:;:;:;:.;:.:.:.:;;;;;;;;;;;;;;:.:.:.:.:.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;:;:;:;;;;;;;;:;:;:;:;;;;;;;;;;:;:;:;:;;:＞
　　　｀`ヾ､;:;:;:;:;;:;:;:;;:;:;:;:;r＝=;:;:;r＝=､;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;;:;r＝=;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;:r''"´　.
　　　　　　｀`ヾ;:;:;;:;:::::;;;:;:;:;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;=＝=;;;;;;;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;.:.:.:.:.:.:.:.:,r'ﾞ
　　　　　　　　　　￣｀¨`ヾr＝=.: .: .: .: .:. :. :. ::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. :r＝z,;,;,;::／
　　　　　　　　　　　　　　　｀¨`ヾ.:.: .: .:.:::::::::;:;:;:;:::::::::;:;:.:.:.:.:､､-‐''"´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀＞;:;:,';: .,':;:;:; :;:; :＜´
　　　　　　　　　　　　　　　,､r''"´. :.: .:. :. . :. :. :. :.: .: .:`ヽ､
　　　　　　　　　　　　,､r'"´.:.::;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;:.:.:.: .:. . .:.::::::｀'ヽ､　
　　　　　　　　　　　　｀`ヾr＝=;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;::.:.:. :.: .: . :.: .: . ::.:,r'´　
　　　　　　　　　　　　　　 `ヾ::.:.:;;;;;;;;;;:.:.:.:.:.:. :. :.: ; :; :.: .:.:.::r'　
　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ､:;:;;;;;;;;:;:.:.:::＝=.:.::::::.:.:.:.:／　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヾ.:;;;;;;;＝=.::.::.:.:..:.::r'´　　　　　　γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,」;;:;:;:;;;:;::.:.:. :. :.:. j　　　　　　　　|　　いやあ、危ない所だった　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀`ヾ;:;:; :;::;;: ;r＝=.:.j　　　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi:;:;:.:. :.: .:. :.:.:.:,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l;:;: .:.: .: ..:;;;:;;;!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'i;;;;;:.:.:.:.:;;;;;;;;;!　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 1;:;:;:;:r＝:.::{　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゞ;;;;;;:.:,r'´.:.:｀`;:ｰ-..､,,_

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　大胆な真似をしたものである。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　ただ、後で紹介する逸話を見る限り、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .王坦之単独でそのような暴挙に出られる胆力があったとは考え難い
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
569 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:00:23.30 ID:a2oXpfsX0: 　　　　　　　　　　　 , --──-､
　　　　　　　　 , イ /　　　　　　ﾍ　ﾄ､
　　　　　　　　 i　!ー､〉　__ j　j __〉-ﾉ　i
　　　　　　ヾ＿,,;;》 `-"::: `-"l＿.ジ　　　　　　 .居摂はいかんぞ居摂は。
　　　　　　　　 |　ヽ　' ＿ ` ｲ　　
　　　　　　　　　l　l　　´＝｀　l　　　　　　　　　　前漢の孺子嬰の元号であると共に、
　　　　　　　　　　ﾉ　ヽ＿,､__ノ　　　　　　　　　　それを定めた後に帝位を奪った王莽を想起させる。
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､　
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_　　　　　　.こう言っては申し訳ないが、陛下はすっかり御心が弱くなられた
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::/.../::::::....../,:.　　　|:　　ﾞ．　.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .':::::,':::/::: /:::::/..| : : . . .!ﾊ:ヽ　ﾞ． l!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::::!::,'::: /::／|: :|: !:::::|:::!　∨:....|　|l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,':::::::::|::|:::/,'─‐|:‐!､|::::,':!:|　　|::::::!.. |ﾞ．
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,':::::::::::|: Vzxﾆ二!| |:/:://|'⌒ヽ!:::::|::..|..|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, ::::::::::::|::::|ヽ赱うヾ〃//二二__,ﾘﾊ|::::|::ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::::::::::::::!､:::、　　　　　ヽ赱ぅﾇ':::::!::::!::ﾊヾ:､__,
　　　　　　　　恵帝の仲間。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :::::::::::::::|::l＼:、　　　,　　　　 /l!:::,'::::ﾊﾄ::ﾞ．｀´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :::::::::::::::::!::|ﾊ、　　、　　　　 ,.'ィ:::/:./:.,'| ﾞ::!
　　　　　　　　清談の差で勝っているだけ　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ::|::::::::::::|:::!::::!　　　￣　 ..ィ::::::::/../../.:| }ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/,'|:::!:::{≧t≦}:_|　｀ｰ　≦::/ ::::::/../.:ｲ: :.!/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,':,' |:::l|:::::::{:::}::У{　＿....-'´ト'! :::::/..//||><ゝi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::{　V:|ヽ:::::/::/ ∧/ﾍ　　 /ﾆ||:>'...//_,'ﾊ_|_|::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !:::|＿ゝゝ-/::/.∧!_|／}.　 /ニ:||／//ノﾆﾆフﾆ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !:ﾊﾆﾆﾆﾆ,':::,'|'／|::/<´ヽ./ﾆニ/!.,ｲ/ﾆﾆ／ニﾆﾆ

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　共犯者、ないし黒幕がいたはずだ
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
570 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:02:36.86 ID:a2oXpfsX0: 　　　　　　　　　　　 , --──-､
　　　　　　　　 , イ /　　　　　　ﾍ　ﾄ､
　　　　　　　　 i　!ー､〉　__ j　j __〉-ﾉ　i
　　　　　　ヾ＿,,;;》 `-"::: `-"l＿.ジ
　　　　　　　　 |　ヽ　' ＿ ` ｲ　　　　
　　　　　　　　　l　l　　´＝｀　l　　　　　　　　　　　　　　　……で、陛下は詔勅を書き改めよと仰せだった
　　　　　　　　　　ﾉ　ヽ＿,､__ノ　　　　　　　
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､　　　　　　
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､　
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|　　　　　　　　　　　　　　　 ,′:::/:::::::::::/:::::::::::::::::::::{:::::::::::|: |:::::::::::|:::::::::::}:::.
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::　　　　　　　　　　　　　　　　| ::::/:::::::::::/::::::::::::::::::::/| ::::::::::|: |:::::::::::|:::::::::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .::::::,′:::::／/::::::::::::::::/ i| ::::::::::|: |:::::::::::|:::::::::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:{::::{::::／｀:{|:::::::::::/:/　!| ::::::::::|: |:::::::::::|:::::::::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿,,.イ::ｲ乂::《⌒x |:| ::::::::::_,斗-- ::::::::,:::/ :::::::: |:::::::::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ⌒　|:::::::}　ぅ:ﾑ　＼::::{　　　　Ⅳ/:/::::::::::::::|:::::::::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:ﾊ:::|　 Vｿ　　　＼斗=ミx Уｲ|::::::::::::::′ :::: |::∧
　　　　　　　　　　そう。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|{ ,乂　　　　　　　　　rノj才く´j ::::::::::::′ ::::::,'::|　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂　 {＼　/　　　　　夂ン　'"/ ::::::::::,' }::::::::, :::|
　　　　　　　　　　なら、こうしましょう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　　　　　　　　　　　　/ｲ:::::::::::}'′ :::::::: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_},=ゝ、　　　　　　　／r‐:::::::::::,::::::::::::::r‐､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,.=‐'"¨´ | 丶　　　　　　ーイ　　|:::::::::,::::::__,ノ__ノ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}^!¨´　　　　 }i:::::::ー―i 77´丶　　　 .::::::::, ト( ,/ |:ヽ, |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /,/,-､　　　　　ﾉ |::::::::::::::,/,/　　　}　　 :::::::　′＼ i!:::::}::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / {ノ　}　　　　　 |:ﾊ:::::::/ / {　　　　　　|::::::' {　　　丶 ::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y　ー‐'､　　　　　　 i|{　 ::/ /　 ',　　　　　 ,::::

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　吏部尚書・中護軍の謝安。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　この時点で侍中からは外されたが、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .官吏の任免を担当すると共に、宮中の軍勢の一角を握っていた
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
571 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:04:12.84 ID:a2oXpfsX0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _＿__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　ヽ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿/ 　　　　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　　　　　/
　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　　　　　/
　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ　　
　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　文章というものは不思議だな　　　 |　
　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂　　
　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　　　　　/
　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ 　　　　　/
　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　受ける印象がまるで違ってくる　　 |
　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂
　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　弋ゝ＿_ノﾘ
　　　　　　　　ー―――――――――――――――――――――――ヾ＝一"

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　『晋書』に彼が詔勅を書き改めたとは記されていない。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　後の東晋を代表する勢族の当主、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　かつ救国の英雄が詔勅を改竄したとは史書に書けないからだ。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　ただ、『晋書』は司馬昱の死の前後の記述で、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　詔勅を改めたのは謝安以外にいないと匂わせる書き方をしている
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
572 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:05:45.82 ID:a2oXpfsX0: ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__ｨ‐'￣｀ヽ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::ヽ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::＼
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::＼
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::f ＼::::::::}
|　　　　『晋書』『簡文帝紀』に曰く　　　 .|:::::::::::::|　　ゝ::::|
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::ヽ　　∨
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ー:､::::::::::ﾍ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::::ヘ＿
|________＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ |:::::::::::::::::::::::::::::::::｀丶、
　　　　　　　　＼::::| |:::::::::ィ !{　ﾊ T tｰr ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、
　　　　　　　　　` | |ー--ﾚﾘﾙ|rfiﾃヽl ｲﾃz rr----――― ' " ´
　　　　　　　　　　　 | |　　　ヾN ゞｿ　　ゞｿ//　　
　　　　　　　　　　　 | |　　　　＞:´|､　 -　　,|`:＜　　　　　
　　　　　　　　　　　 | | 　　　 |::::::::| ＞　イ |::::::::|　　　　　
　　　　　　　　　　　 | |　　　＞-､＼!　 !／::,-＜　
　　　　　　　　　　　 | |　　　＞-､＼!　 !／::,-＜　　　　 .
　　　　　　　　　　　 | |　　/´:::::::::::::{二{}二}´::::::::ゝ-､
　　　　　　　　　　　 | | 　ｌ:::::,:-:::::::://::|ヽヽ::::::::::::::::::!
　　　　　　　　　　　 | |　 /‐'´::::::::,::V:::::!::∨::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　, ' ﾆ}く::／::::::::/:::::／|::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　 |　ｰjヽ＼::::::'"::／ヾ !::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　ヽﾆj　} 　＼:／＼　|:::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　〈:| |Ｖ　　　 }>､___..>!:::j::::::::::::::::|:::::|
　　　　　　　　　　　|:!.|:＼　　ﾉ::L.. , __.!::::!::::::::::::::::!:::::|
　　　　　　　　　　　|:!.|::::::`ー':::/　 /　 |::::|:::::::::::::::::!:::::!
　　　　　　　　　　 |:|_!:::::::::::::::/　 /　　|:::::!::::::::::::::::|::::::|
　　　　　　　　　　 |::::::::::::::::::/　 /　　.!:::::!::::::::::::::::|::::::l
　　　　　　　　　　|::::::::::::::::/　 /　　　 !:::::|::::::::::::::::|:::::::!
　　　　　　　　　　　!:::::::::::／　 /　　　　|::::::|::::::::::::::::|::::::::!
573 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:07:35.53 ID:a2oXpfsX0: 【紀元３７２年７月　晋　首都　建康】

　　　　／=ミ>'´￣｀´￣｀丶､
　　　（.:::::／　　　　　　　＼
.　　 /｀７ / .::　|　　.::∧
. 　　ﾚ::..| :|.:/|::∧ .:|/⌒∨ .::i　: |
　　　∨|八ﾚf)心∨ ｨ)心}.::/|::...:|
　　　　 |:（ﾊ　Vｿ　　 Vソ|厶|::::::|
　　　　ﾚ|::人'' 　､　,　 '' ｲ::ﾘ ::八
　　　　　ﾚﾍ介:::vr-r:＜/|厶l/
　　　　　　　 ∨{{不::{{ ∨
　　　　　　　　/7:::::::::::トく
　　　　　　　/丿:::::::::::{＼ヽ
　　　　　　 ,ﾞﾏ=====ﾑ　ヽ,)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , --──-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , イ /　　　　　　ﾍ　ﾄ､
　　　　　晋　皇太子　司馬曜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.i　!ー､〉　__ j　j __〉-ﾉ　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ＿,,;;》 `-"::: `-"l＿.ジ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　ヽ　' ＿ ` ｲ　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　l　　´＝｀　l　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　ヽ＿,､__ノ　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::! 　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::　　

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　七月。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　会稽王司馬曜が皇太子に立てられ、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　皇子司馬道子が琅邪王・会稽国内史とされた。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　なお、司馬昱には七人の息子と三人の娘を儲けたが、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　司馬曜と司馬道子以外の息子は廃嫡・早世してしまっている
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
574 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:09:04.57 ID:a2oXpfsX0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ叉7
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ⅲL_,, ,. _
　　　　　　　　　　　　　　 ,,､､-‐'''""´: .: .: .:::::::::.:.:.:. : :｀`ヾ､､､
　　　　　　　　　　,,． '"´. .:.: .:.: : .:r＝=.: :. :.: .:. :. :. :..: .: :. .::. :.｀ゞｰ-､､
　　　　　　,,． '"´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.`''ヽ､,,
　　　,r'"´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;;;;;:;:;:;:.;:.:.:.:;;;;;;;;;;;;;;:.:.:.:.:.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;:;:;:;;;;;;;;:;:;:;:;;;;;;;;;;:;:;:;:;;:＞
　　　｀`ヾ､;:;:;:;:;;:;:;:;;:;:;:;:;r＝=;:;:;r＝=､;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;;:;r＝=;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;:r''"´　.
　　　　　　｀`ヾ;:;:;;:;:::::;;;:;:;:;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;=＝=;;;;;;;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;.:.:.:.:.:.:.:.:,r'ﾞ
　　　　　　　　　　￣｀¨`ヾr＝=.: .: .: .: .:. :. :. ::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. :r＝z,;,;,;::／
　　　　　　　　　　　　　　　｀¨`ヾ.:.: .: .:.:::::::::;:;:;:;:::::::::;:;:.:.:.:.:､､-　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀＞;:;:,';: .,':;:;:; :;:; :＜´　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　,､r''"´. :.: .:. :. . :. :. :. :.: .: .:`ヽ､　　 -
　　　　　　　　　　　　,､r'"´.:.::;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;:.:.:.: .:. . .:.::::::｀'ヽ　
　　　　　　　　　　　　｀`ヾr＝=;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;::.:.:. :.: .: . :.: .: . ::.:,r'´　　　　　　γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 `ヾ::.:.:;;;;;;;;;;:.:.:.:.:.:. :. :.: ; :; :.: .:.:.::r'　　　　　　　　|　　　陛下千秋万歳です　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ､:;:;;;;;;;;:;:.:.:::＝=.:.::::::.:.:.:.:／　　　　　　　　　.ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヾ.:;;;;;;;＝=.::.::.:.:..:.::r'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,」;;:;:;:;;;:;::.:.:. :. :.:. j　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀`ヾ;:;:; :;::;;: ;r＝=.:.j　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi:;:;:.:. :.: .:. :.:.:.:,!　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l;:;: .:.: .: ..:;;;:;;;!　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'i;;;;;:.:.:.:.:;;;;;;;;;!　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 1;:;:;:;:r＝:.::{　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゞ;;;;;;:.:,r'´.:.:｀`;:ｰ-..､,,_

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　同じ日、皇帝司馬昱は東堂において崩じた。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　享年五十三。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .後日高平陵に葬られ、
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　廟号は太宗、諡号は簡文帝とされた
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
575 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:10:36.66 ID:a2oXpfsX0: 　　　　／=ミ>'´￣｀´￣｀丶､
　　　（.:::::／　　　　　　　＼
.　　 /｀７ / .::　|　　.::∧
. 　　ﾚ::..| :|.:/|::∧ .:|/⌒∨ .::i　: |
　　　∨|八ﾚf)心∨ ｨ)心}.::/|::...:|
　　　　 |:（ﾊ　Vｿ　　 Vソ|厶|::::::|
　　　　ﾚ|::人'' 　､　,　 '' ｲ::ﾘ ::八
　　　　　ﾚﾍ介:::vr-r:＜/|厶l/
　　　　　　　 ∨{{不::{{ ∨
　　　　　　　　/7:::::::::::トく　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／::::::／ :::::::::::::::::::::::: ＼:::::＼
　　　　　　　/丿:::::::::::{＼ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::/::/::::::/::::::::::::::/ ::::::::: ﾄ::::::::::.　
　　　　　　 ,ﾞﾏ=====ﾑ　ヽ,)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / :::::::/::::::/:::::::::::／}::::::::::::::|∧:::::::::..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;:::::::::::::::::: |_彡＜　/::::::::/::/　 i:::::::::::＼　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::::|:::|::::;斗=ｧミ_ /::::::::/::/‐￢ト:::::|::::::::＼　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　 ,::::::八|:弌 r公ﾘ /∨／}斗ｧ=ミ|:::::::|::|¨¨⌒　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /i ::::| :::::::::ゝ　　　　　 r公ﾘ　》:::::|::|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 /:::i ::::|:::::ｉ::::|　　　　　　/ 　　　 7 :::::: |　
　　　　　まずは新たに即位された陛下の名で大赦を。　　　　　　　　　　/ ::::i ::::|:::人::|　　　　　　　　　　 / ::::::|リ　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 / ::::: i ::::| ::::::仆 . 　　 '　ヽ　　 /|:::::::::|　
　　　　　次に先帝の詔勅があるから読み上げるわよ　　　　　　　　　./ ::i ::: |:::::::::::::::|个ﾄ　　　　　　　イ´| ::::|::|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 / ::: i:: 八::::/| ::::|::Ｌ|　　　ｰ=≦::::::::i::::| ::::|::|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::::::i::::＿V:::| ::::|/　≧=- ,,_　/ ::::: i::::| ::::|::|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .::::::::::: i:ｉ《二》《| ::::|＼　　　 └片i ::::i::::| ::i:|::|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :::::::_,,::斗匕＼_| ::::|　　　　／∨_,丈::ﾉ::;;| ::i]八_　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::: /　　　　　 | ::i:|　　 ∨＼∧　}}＼《＾| ::|ﾆ二》　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::|⌒丶　　　　| ::i:|　　　∨/　厂[＼＼| i:|《 ::|::＼　

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　即日司馬曜が皇帝になったと『晋書』『孝武帝紀』にある。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　また、『晋書』『簡文帝紀』によれば、司馬昱の遺詔は次のようであった
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
576 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/28(水) 23:12:26.55 ID:ciF8JWGd0: 詔勅破り捨てるなんて、本来なら処刑ものの行為なのでは。よくやったもんだなあ。
577 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:14:19.36 ID:a2oXpfsX0: 【先帝の詔勅＠『晋書』『簡文帝紀』】
┏────────────────────┓
　桓温の輔政は諸葛亮・王導の故事に依るように。
┗────────────────────┛

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　＼　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　 ,.　　　　 |　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　|　　　　　　 ′　　　 |　　　　　　 ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　ｌ　　 |、　　　　　　|　|　　　　|　　　　　　 ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .′ :|.　　　| ＼　　│ :ｌ│ |　　　　| 　　　　　　 ;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,,.. イ　 :|:　　 │／＼　|　:|│ |　　　　|　　 |　　　　　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　 |ｉ:　　／　　 .斗ミ|│ |　　　　|＼　 |　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　 ||ｉ　Ｎィr引　｢人|　|　　　　|　 ∨|　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ドミ　|　　Ｌﾉ　|/　 |　ｌ　　　　|　　|│　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼rイr引　　　　　 !　;　　　　|　 ∧|　　 |:　　￤
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ソ　　　　　　 :　　　　　トく　＼　 |ｉ　　 |
　　　この詔勅を姑孰にいる大司馬へ届けて頂戴　　　　　　　　　＼　　　　　ﾉイ　　　八/＼　＼｣|　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人　y .ノ　　　　|　　　　′∨/＾　　＼　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .′|:＼　　　　ｌ　　　仏三＼　｢￣※￣||
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:..　＼__. イ＼!　　 /′ 　　ヽｰ:介介ぐｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣￣￣￣l　／ ,　　 .′　／￣￣＼｝l ｝|　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　 |￣|　|个‐/ 　 /　／　/ /￣￣^＼_!　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　 │ |／ｌ　|人/ 　 /／　 / /　　　　　＼　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '　　　　！ |,ノ　└个/　　/＿＿_/ /　/￣￣￣＼〉 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │　　个ミ.　∨　/厂￣7 　 ∧二二二′.′　　　　　　Ⅵ

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　これが改められた司馬昱の詔勅となる。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　「周公旦が居摂した故事」「諸葛亮・王導の故事」では
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .託される後事の意味が大きく異なるのがお分かり頂けよう
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
578 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:15:23.06 ID:a2oXpfsX0: 　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　／''''''　　　'''''':::::::＼
. 　 |（●）,　　､（●）､.:|
　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　u::|　　　　　　　　謝安殿。
. 　 |　 u ｀-=ﾆ=- '　.::::::|
　　＼　　｀ﾆﾆ´　.u ::／　　　　　　　　大司馬から
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ーーノﾞ -､　　　　　　　先帝の詔勅に対する返事の上奏文が届きました
:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|
　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _/::厶＜⌒::::::::::::::｀丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:/::/:::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::/::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::/:::::::::::: | ::::::::::::::::::| :::::::::| ::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .::::::::::| ::::::::::| ::::::::: |::::/＼|::: | ::::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::::|:::| ::::::::::| ::::::::: |::イ　 ∨:|::::::::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::::|:::|:::::::::/|ﾊ:::::::::|/_x折ﾊ汁 :::::::|::::|　
　　　　どれどれ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:|:: |:::|:::::::: イ∧::: ﾘ　　Vツ´|:::| ::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:|:: |:::| ::::::|斗折ﾄ/　　　　　 |/|::::::|::::|
　　　　……思うに優れた者であるべきです。　　　　　　　　　　　.ﾉ八:|从|:::弌Ｖツ　　､　　　　│::::|::∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨|:::＼|＼　　　　，　 /|::::::|∧:|＼
　　　　……謝安と王坦之のみ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.|::| :::::个ｰ_>､　　｀　　/ :|::::::|:》≪》
　　　　才識が煩雑でなく、天子の鑑識に叶うでしょう　　　　　　　　　|八 :::::∨::::::: ≧=ｧr一　　 |:::::［_〉::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::: ＼:::::≪_》__〈＼＼　　 |:::::[∧ト---=ミ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::: ＼:>､::::＼　||＼丶 >＜|:::::|‐ ||　　　　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .:::::::::: |　＼::::V||　＞=二 |:::::[＼|　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /.::::::::::::|　　　':::::.||／　　 /|:::::|　〈＼____　　 |

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　『晋書』『謝安伝』に曰く。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　簡文帝の病が篤くなると、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　桓温は謝安に顧命を受けさせるのが良いと上奏して薦めた。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　内容的に先程紹介した
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　間に合わなかった桓温の上奏文の事だろう
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
579 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:17:19.79 ID:a2oXpfsX0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　／':::／:::::::::／:;;／::;;;;／::::::::::::::::;;;;;;;::::::::::::::::::::::::::/::::|::::::::::|:::::＼
　　　　　　　　　　　　　　／ｲ::::/::::::::::,:':::;;;;,'::::;;;;,:':::::::::::::;;;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::::／/:::::,':::::::::::!::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　,..:'／,'::::,'::::::::::,:':::;;;;;/::;;;;;:::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::イ:::::::/:::::/:::::::::::::!ヽ:::::::::::.
　　　　　　　　　　　　／"　 ,:::::/:::::::::/__:;;;;/:;;;;;;;::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::;;;::::::,:::':::::::;;;／:::::/,':::::::::::∧::ﾞ．::::::l::.
　　　　　　　　　　／　_..-彡ニニ=／　ヽ＞-､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::;;;;;:::, :'::::::;;;;;;／:::::::,:'::,'::::::::::/;;;;;l:::::.　:::| l
　　　　　　　　／　／:;;;;彡/´_.／__,.У"　ﾉ |:＿;;;;;;;;;;;;;;;;::;;;;;;;;;;;;;;;::;:イ::::::::／:::/::::::／|;;l;;;;!:;;:::.. 　 |
　　　　　　／　／;;;;;;/ , ' ／　／　　─‐'‐'"´　, 〉＿＿＿彡イ:::::::::::::／::::／:::／､　!;,|;;;|:;;::::::.　:.!
　　　　　／　／;;／;/ /　　　/　　　　　　／/＿__:::.-:''":::::::::;;;;;;;'彡'／:ィ´i!　　＼|;;;|;;::::::;;./,'
　　　　／　／;;／;;, 'lノ　　　　　　　　　　 r‐'ヽ/ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;彡イ／'" !i≧i!､.､/::/ !;;;;;:::::;;/::
　　　／　 /;;;／/;;/, '　　　　　　　　　　　/ゝ''"´;;;TTヽ￣{￣/;;;::::/::/ 　　 |i!　ヾﾒX､ /;;;;;:::;;/ｲ|
　　／　　 ,';;/　 |;//　　　　　　　　　　　,ｲ{;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ．＼! '　/;;:::::/::/　　　　_|　　,小ﾘY;;;;;;;,,;;// ||
,／　　　　l;;,'　　ﾚ'　　　　　　　　　　　,ｲ;;＼､;;;;;;;;;;;;;;;;;>､_,　/;;::／':/　　　　　ﾞ､ /／ |/;;／,ｲ/　 i!
　　　　　ﾊ;| ／'　　　　　　　　　　／;;;;;;／;＼､;;;;;;;彡'　 l/:／　,:,'　　　　　　　Y　／{彡ﾁ／　　ヽ
　　　　　l! ﾚ';;;,'　　　　　　　　　／;;;;;;／;;;;;;;;;;;／ﾐ:､_.ｨ彡'|'´　　,::|　　　　　　　　　＼:|　　　　　＼
　　　　／;|;;;;;　　　　　　　　,イ;;;;;;;;／;;;;;;;;;;／　　　　　　、　 |::!　　　　　　　　／:|
　　_..イ;;;|;;;;;;;;　　　　　　 /;;;彡;';;;;;;;彡'"　　　　　　　　　 |'|l　　　　　　 ,.イ;;|::|:!
-彡;;;;;;;;;;;;;;;;;;　　　　　　　 ,＿彡''"´　＼　　　　　　　　　　　　ヽﾞ．　　　 _　　,ｲ;;;;|;;;|:::ヾ:､
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'　　　　　　　 ∧　　　　　　　＼　　　　　　　 ,r'^;,,、　＼　　　｀ィ::ﾊ;;;;ヽ;;,...:､＼、
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'　　　　　　　　ﾊヽ.　　　　　＼　　　　／;;;;;;;;;;;;;;;,,,,,　　　　ｲ´:::::l　ヽ;;;;;;;;,....:..　＼､＿＿＿,
;;;;;;r≦￣,　　　　　　　　 ,'　⌒ﾞ．　　　　　＼　／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＞､ノ;;;|;;;:::/! 　ﾞ．;;;;;;,::::＼　｀￣￣´
／⌒ヽ./　　　　　　　　ﾊ　　＿､　　　　　　　／/,'＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,';;;:,'! |　　ヽ;;;;;;;;;,::::::＼
　　　 /　　　　　　　　 ,　ヽ、　　ｌ　　　　　／　/,'　　ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;ﾊ;;;;;;;;;;;;;;;;/;;/ |::|　　　＼;;;;;;;;,,:::::::＼
　　 ,'　　　　　　　　　 ,　　ヽ　=|　　　／　 / {　　　　ﾊ;;;;;;;/　|;;;;;;;;;;;;;/;;,'.　|::|　　　　　ヽ;;;;;;;;;;;,,::::::＼

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　傍目にはこう見える。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　信じて送り出した謝安が自分の意向に背く詔勅を送り付けてくるなんて
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
580 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:18:10.52 ID:a2oXpfsX0: 【紀元３７２年７月　晋　揚州　姑孰】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣○ｰ､　　　 {　　　　　　　　　＿,.-‐'´　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　項　　｀}_　　 }　　　　＿_／　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　葛陂　　　　　　　｀ｰ-{ 　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　涂中
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○ 新蔡　　　　　　　｀ｰr‐'￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　○ ,.--
　　　　　　 ○宛　　　　　　　　　　　　　○安城　　○【新蔡国】　　r―'´○寿春　　　　　　　　　　　　　　　　　,「◎建康
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【汝南国】　　　　　　,.----'´￣　　　　　　　　　　　　　　○東城　　　　　 .／　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ○新息　 _/　【安豊郡】　　　　　　　　　　　　　　　　　歴陽　／●姑孰
　　　　　　　　｀ー――､＿＿/￣￣￣￣￣￣￣　　　○安豊　　　　　　　 ○合肥　　　　　　　○＿_{　
　　　　　　○新野　　　　　　　　　　　　　　　　○弋陽　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○六安　　　　　　　　　　横江○.|○牛渚
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【弋陽郡】　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.}￣ｰ'￣}　　　　　|
ヽ　　○樊城　　　　　　　　　　∧　　　　　　　　　 ∧∧∧∧　　　　　　　　　　　　　　｀ｰv'○東興　.／○于湖
　￣○}　　　　　　　　　i　　　　　　　　∧∧　　　∧∧∧∧∧∧　　　　　　　　　　　　　　｀ーr―'○"○蕪湖
　襄陽｀}　　　　　　　　｀ヽ　　　　　　　　　　　　　∧∧∧∧∧∧　　　　　　　　　濡須口○}　　赭圻
　　　　}　　　　　　　　'ｰ,　　　　　　　　　　　　　　∧∧∧∧　　　　　　　　　　　　　　　r'　
　　　　 }　　　　　　南新市ヽ_,_【江夏郡】　　　　　　　 ∧∧∧∧∧∧　　　　　　　　　　_ノ　
　　　　　|○石城　　　 .○ 　　ヽ○安陸　　　　　　　　　∧∧∧∧　　　　　　　　　r―'
　　　　　 .|＿_　　　　　　　石陽○ ｀ー-,　　　　　　　　　　　∧∧∧　皖城○　　 _,.-‐'
.長坂○　　　　|　　　　　　　＿＿＿＿＿＞-―‐､　　　　　　∧∧∧∧　　　　　 |
　　　　○当陽ヽ_　　　　　　|　　　　　 ○| 　　　○＼_　　　　　　　　　　　　　　 |　
.　　　　　　　　￣￣ヽ＿ﾉ　　　　夏口|　　　武昌　.￣|　　　　○尋陽　　＿r‐'´　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿_/　　　　　　ヽ　　　　　　　＿/　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.￣7　　　　　　　　　　　 'ｰ-､＿＿＿イ　　　　　　　
-― -―‐_ ○江陵　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
. ○楽郷__）　　_,.__　　　　　＿r‐'○陸口
　　　 ○'ー'´￣　 |　　　／　　　　　　
　　　公安　　　　｀ヽ　r'　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　＞'○巴丘　　　

／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/　
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　　　　　　　　　　桓温の真意ははっきりしないが、
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/　　　　　　　　　　 .簡文帝の遺詔に腹を立てていたのは確からしい
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:　
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼　
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿__　
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/
581 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:19:40.09 ID:a2oXpfsX0: 　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::}:::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　 i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ:::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::::::::::::::::::::::::::::.::,-‐──､ ::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::::::::/::/:／}::i:i:/　　　　　 V::::::}
　　　　　　　　　　　　　　 jヽ:::/// 　./ ハ　　　　　　 V⌒i
　　　　　　　　　　　　　　，＜.{　Y ‐‐=ﾆﾍ　　　 _,.．-‐≧ .}　.,'ヽ_
　　　　　　　　　　，＜///////ヽ　ｒ=====ミ＿ｒ=====ミ　　 /ﾊ//≧=‐-　_
　　　　　　，＜//////////////ﾊ∨////ﾉ⌒Y/////ﾉ　,'ィ/,,ﾊ/////////＞，
　　　　／////////////////////ﾊ￣￣〈　〉￣￣　 / }///,ﾊ////////////＞，
　　　////////////////////////|ヽ　　　　＿　　　　/ /////,ﾊ//////////////ﾊ
　　 ,'////////////////////////{ -‐　'' ¨　　 `ｰ─ ､///////ﾊ//////////////ﾊ
　　.////////////////{//// -‐''¨ 　　　　　　　ー─-､＼,//////〉/////////////,ﾊ
.　 i////////////////,|/／　　　　　　　　　　　＼─､＼─‐-　く///////,///////,ﾊ
　 ////////////////／ {　　　　　　　　　＿, ヘ　＼　ー′　　　} ＼/////////////,
　 ;////////////＞’ﾍ　　ヽ　　　ｒ──''¨〉//弋_ヽノ　　　　　／　　 }＼///////////,
　 i////////＞’/////ﾍ　　｀､／//|　　 .{////}　ヽ＿＿＿__／　　　////＼/////////,
　 |/////＞’/////////ﾍ　　 .ﾍ///|　　 |////|　　　|////７　　　／//////＼///////j
　 |///／/////////////ﾍ　　　〉//|　　 |////|　　　|////　　.／//////////,＼/////,i
　 |// {////////////////ﾍ／///,|　　 |////|　　　|///＼／//////////////,＼////}

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　『晋書』『桓温伝』に曰く。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　桓温は最初簡文帝の臨終の際に己に禅位させようとしたが、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　すなわち周公居摂とはならず、もう望みが叶わないと甚だ憤怨した。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　弟の桓沖への書に曰く
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
582 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:20:22.73 ID:a2oXpfsX0: 【桓温さんの御手紙＠『晋書』『桓温伝』】
┏────────────────────────┓
　遺詔が届いたが、俺は武侯・王公の故事に依れとあった。
┗────────────────────────┛

／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/　　　　
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　桓沖は桓温の末弟で、当時江州の武昌にいた
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/　　　　　　
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:　　　　　　　　
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼　
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿__　
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　 { ∧　　 !|　　　 |　　 |l　　 / ∧
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　∧　＼ /　　　 !|　　 ∧　 /／ l}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 j{　{　　　￣＼　 |　／￣￣　　∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{ }　{　　　　　　＼」／　　　　　　//ｈ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ||　}　　＿＿　　 ||　　＿＿　　/ |ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ト､|ｌi　＼,＿＞　|　＜＿,／　/　ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　」「ト､　　　　　||　　　＿､-,イ7/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ||∨∧￣`-､　 |　､／　　７/,〈
　　　　　　兄上の考えはよく分からん　　　　　　　　　　　　/ // ∧　　、＼_／_,　　,人　:∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _　　　 / // /}＾℡ 　￣¨ﾟ￣　／＾{∧ ',∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _.,ィ７ム　 / //ノ∧二≧ｓ、＿,.ィ７仁.八.∧ ',∧ｒ――ュ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〔ﾍ∨//∧＜＿／/-∧「―∧ＴＹ/∠__//―「「＞-/////
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿ｒ―ｲ∨//∧―､　/:.:.:.:∧＾―∧∨/―.//:.:.:.:.∨―/////＼＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　〔二ﾆ=―＜ｊへ＼＼// ＼　/:.:.:.:.:.:.:.∨二℡:| |二ｦ/:.:.:.:.:.:.　／//／　 // //〉`ー―― ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/＞''´＞''´二／へ＼＼//∧ .:.:.:.:.:.:.:.:.∨二|: | |二/:.:.:.:.:.:.:. /////{ 　 // //〉`ー―― ､_７
583 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:23:02.62 ID:a2oXpfsX0: 【紀元３７２年７月　晋　揚州　姑孰】

　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::}:::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　 i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ:::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::::::::::::::::::::::::::::.::,-‐──､ ::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::::::::/::/:／}::i:i:/　　　　　 V::::::}
　　　　　　　　　　　　　　 jヽ:::/// 　./ ハ　　　　　　 V⌒i
　　　　　　　　　　　　　　，＜.{　Y ‐‐=ﾆﾍ　　　 _,.．-‐≧ .}　.,'ヽ_
　　　　　　　　　　，＜///////ヽ　ｒ=====ミ＿ｒ=====ミ　　 /ﾊ//≧=‐-　_
　　　　　　，＜//////////////ﾊ∨////ﾉ⌒Y/////ﾉ　,'ィ/,,ﾊ/////////＞，
　　　　／////////////////////ﾊ￣￣〈　〉￣￣　 / }///,ﾊ////////////＞，
　　　////////////////////////|ヽ　　　　＿　　　　/ /////,ﾊ//////////////ﾊ
　　 ,'////////////////////////{ -‐　'' ¨　　 `ｰ─ ､///////ﾊ//////////////ﾊ
　　.////////////////{//// -‐''¨ 　　　　　　　ー─-､＼,//////〉/////////////,ﾊ
.　 i////////////////,|/／　　　　　　　　　　　＼─､＼─‐-　く///////,///////,ﾊ
　 ////////////////／ {　　　　　　　　　＿, ヘ　＼　ー′　　　} ＼/////////////,
　 ;////////////＞’ﾍ　　ヽ　　　ｒ──''¨〉//弋_ヽノ　　　　　／　　 }＼///////////,
　 i////////＞’/////ﾍ　　｀､／//|　　 .{////}　ヽ＿＿＿__／　　　////＼/////////,
　 |/////＞’/////////ﾍ　　 .ﾍ///|　　 |////|　　　|////７　　　／//////＼///////j
　 |///／/////////////ﾍ　　　〉//|　　 |////|　　　|////　　.／//////////,＼/////,i
　 |// {////////////////ﾍ／///,|　　 |////|　　　|///＼／//////////////,＼////}

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　王坦之と謝安が
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　大事の分かれ目を決めた事に、日々僅かながら憤りを抱いていた
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
584 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:24:05.86 ID:a2oXpfsX0: 　　　　／ :. ィ.;:.:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　ｲ:.:.:.:/-|/|∧:;､:.:.〈
　　　　　ﾘ:.:./ ● 　　く!:,:.:..、
　　　　　 l:.:.l　　　　●/:./￣　
　　　　　　vﾍ　 - 　ノ:./　　　　　だったら、一も二もなく建康に行くべきだった。
　　　　　　_,-+　匸ﾍ/V
　　　　　,《　ﾋ⌒j　》、　　　　　　 .後悔先に立たずではあるが、
　　　　　l::＼ l　/∥::l　　　　　　　このあたり、『晋書』『桓温伝』の記述と実際の桓温の行動がどうにも噛み合わない
　　　　　|:::::::ﾄ,Ｖイ:::::|
　　　　 |:::::::l介l:::::::|
　　　　l::::::|人|:::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:::.:.:.:.:.ヽ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.::.:.:::.:.:.:.:.:.（＿. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.／:／:／:.:.:.:.::.:.:.:.:.ｒ‐=j　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::／:／:／/:.:.:／ﾉ.:./:/＼　＼　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {:.:.／⌒刈:/{:／乂_,ノ.:／_/.:／{:| 　 ;:Y　ヽ　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:.:{ { ツヽ}ﾉ　＼７７斥ｭ二ヽ　 |!　　i:.|　　 ', }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:.:', いｒ''　　　　 {//////７　　／ミ､}:.}ヽ.　　{
　　どいつもこいつも気楽に言ってくれるぜ。　　　　　　　i:.:.ヽ i　　　　　弋/////ﾉ⌒!升≧.ﾚ′　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:.:./ 〉　　　　　　￣￣　　.!/////}　　　　|
　　俺の気持ちなんざ、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.}/　{　　　　　　　　　ｒ _　　 }////ノ　　　　 !
　　どうせ誰も分かってくれないのさ　　　　　　　　　.，ィ　　ヽ　　　　　＿　　　`ｰ‐′/　ヽ　　　　 }､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ _ ，＜　{　＼　 ',＼　　 '´　￣｀""　.／＼_　 -‐ ''''　　 }7Tヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣　　 /　　　　|　　＼}　＼　　　 `ｰ '　.／　　　　ヽヽ　　.／/ .|.　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　|　　　　＞．_ ＼　　　／　　　　　　＼　.／　/　 !　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　 /　　　　　 |､　　　　　　¨ﾆ７`┬'＜¨ヽ　　　　　　/／　　/　　!　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . 　　　 /　　　　　.| ＼　　　　　　/ィ７７7 } 　＼＿＿_/　　　 /　 ./　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　 |.　＼　　　　/{/////} {　　　＼　　 {＼／　／　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　 /　　　　　　 |　　　＼　　/　V///,{ヽ＼　　　＼　ヽ＿_／　　　
585 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:24:59.40 ID:a2oXpfsX0: ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__ｨ‐'￣｀ヽ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::ヽ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::＼
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::＼
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::f ＼::::::::}
|　　　　『晋書』『簡文帝紀』に曰く　　　 .|:::::::::::::|　　ゝ::::|
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::ヽ　　∨
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ー:､::::::::::ﾍ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::::ヘ＿
|________＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ |:::::::::::::::::::::::::::::::::｀丶、
　　　　　　　　＼::::| |:::::::::ィ !{　ﾊ T tｰr ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、
　　　　　　　　　` | |ー--ﾚﾘﾙ|rfiﾃヽl ｲﾃz rr----――― ' " ´
　　　　　　　　　　　 | |　　　ヾN ゞｿ　　ゞｿ//　　
　　　　　　　　　　　 | |　　　　＞:´|､　 -　　,|`:＜
　　　　　　　　　　　 | | 　　　 |::::::::| ＞　イ |::::::::|　　　　　　　　　さらに不思議なのは、
　　　　　　　　　　　 | |　　　＞-､＼!　 !／::,-＜　　　　　　　　　その後桓温が建康へ出向かなかった事だ
　　　　　　　　　　　 | |　　　＞-､＼!　 !／::,-＜　
　　　　　　　　　　　 | |　　/´:::::::::::::{二{}二}´::::::::ゝ-､
　　　　　　　　　　　 | | 　ｌ:::::,:-:::::::://::|ヽヽ::::::::::::::::::!
　　　　　　　　　　　 | |　 /‐'´::::::::,::V:::::!::∨::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　, ' ﾆ}く::／::::::::/:::::／|::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　 |　ｰjヽ＼::::::'"::／ヾ !::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　ヽﾆj　} 　＼:／＼　|:::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　〈:| |Ｖ　　　 }>､___..>!:::j::::::::::::::::|:::::|
　　　　　　　　　　　|:!.|:＼　　ﾉ::L.. , __.!::::!::::::::::::::::!:::::|
　　　　　　　　　　　|:!.|::::::`ー':::/　 /　 |::::|:::::::::::::::::!:::::!
　　　　　　　　　　 |:|_!:::::::::::::::/　 /　　|:::::!::::::::::::::::|::::::|
　　　　　　　　　　 |::::::::::::::::::/　 /　　.!:::::!::::::::::::::::|::::::l
　　　　　　　　　　|::::::::::::::::/　 /　　　 !:::::|::::::::::::::::|:::::::!
　　　　　　　　　　　!:::::::::::／　 /　　　　|::::::|::::::::::::::::|::::::::!
586 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:25:45.18 ID:a2oXpfsX0: 【紀元３７２年７月　晋　揚州　姑孰】

　　　-''":::::::::::::｀''-､
　　　ヽ::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　|::::::;ノ´￣＼:::::::::::＼_,. -‐ｧ　
　　　　|::::ﾉ　　　ヽ､ヽr-r'"´　　（.__
　　　_,.!イ_　　_,.ﾍｰｧ'二ﾊ二ヽ､へ,_7　
_..,,-":::::rｰ''7ｺ-‐'"´　　 ;　 ',　｀ヽ/｀7　　　　　　陛下は先帝より、
"-..,,_r-'ｧ'"´/　 /!　ﾊ　ハ　 !　　iヾ_ﾉ　　　　　 .大司馬に仕える事は私と同じようにせよと命じられたと。
　　`!イ´ ,' |　/__,.!/　V　､!__ﾊ　 ,'　,ゝ
　　　`! 　!/ﾚi'　(ﾋ_] 　　　ﾋ_ﾝﾚ'i　ﾉ　　　　　　ですので、どうか入朝してもらいたいと仰せでした
　　　,'　ﾉ　 !'"　　 ,＿__,　 "' i .ﾚ'　
　　ノﾉ（　　,ﾊ.　　　ヽ _ﾝ　　人!　　
　（ ,.ﾍ ,）､　　）＞,､ _____,　,.イ　ハ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::ミi::::::::::::::::::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　　 ′::::::::::::::::::::::::::::::::Y::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::::::::::::::::::::／::::::::::r=ぅ:::::::::::::_:::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_|:::::::::::::::::::::::::::_彡:/^7::::彡'　ミ:::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/r V::/:::::::::::::::::::::/j::j　""　　　　ﾐ::::ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　八{ﾊ.V {::/:::::::::::／/:/　　　　　　　}:/　′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽｰi ﾚ __彡 ' _.／　　　　_,,,...=ぇ |i /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　込ト-r≧====x ＿r≦====x〃「
　　　　　　ゆっくりも俺をゆっくりさせてくれないのか　　　　　　　　　.　　　　　‘，　辷=-///￣ヽﾆ=-///j /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　，　`ー一'　i　　 `ー一'　′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 ∧　　　 :..　　ﾉ　　　　 ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣｀7　iヽ　　＿　二....＿_　　/ ⌒ヽ￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 /　 .＼へ　　こ二ヽ＼〃　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　｀ヽ＞　＿,　＼> 厂￣｀＞＼

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　『晋書』『桓温伝』を見ると、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　桓温は皇帝司馬曜の詔勅を三度に渡って姑孰で受けている
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
587 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:27:02.84 ID:a2oXpfsX0: 【紀元３７２年冬　晋　揚州　姑孰】

　　　　　　　 /::::/::/::::::/::::::::::::::/ ::::::::: ﾄ::::::::::.
　　　　　 / :::::::/::::::/:::::::::::／}::::::::::::::|∧:::::::::..
　　　　　　 ;:::::::::::::::::: |_彡＜　/::::::::/::/　 i:::::::::::＼
　　　　　 |::::::|:::|::::;斗=ｧミ_ /::::::::/::/‐￢ト:::::|::::::::＼
.　　　　　 ,::::::八|:弌 r公ﾘ /∨／}斗ｧ=ミ|:::::::|::|""⌒
　　　　　 /i ::::| :::::::::ゝ　　　　　 r公ﾘ　》:::::|::|
.　　　　 /:::i ::::|:::::ｉ::::|　　　　　　/ 　　　 7 :::::: |　　　　　　　　入朝の件はひとまず置くとして、
　　　 / ::::i ::::|:::人::|　　　　　　　　　　 / ::::::|リ　　　　　　　　先帝の棺は無事に高平陵に埋葬したわよ
.　　　/ ::::: i ::::| ::::::仆 . 　　 '　ヽ　　 /|:::::::::|
　　 / ::i ::: |:::::::::::::::|个ﾄ　　　　　　　イ´| ::::|::|
.　 / ::: i:: 八::::/| ::::|::Ｌ|　　　ｰ=≦::::::::i::::| ::::|::|
　/:::::::::i::::＿V:::| ::::|/　≧=- ,,_　/ ::::: i::::| ::::|::|
...::::::::::: i:ｉ《二》《| ::::|＼　　　 └片i ::::i::::| ::i:|::|　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::ミi::::::::::::::::::::::::::::.
:::::::::_,,::斗匕＼_| ::::|　　　　／∨_,丈::ﾉ::;;| ::i]八_　　　　　　　　　　　　　. 　　 ′::::::::::::::::::::::::::::::::Y::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::::::::::::::::::::／::::::::::r=ぅ:::::::::::::_:::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_|:::::::::::::::::::::::::::_彡:/^7::::彡'　ミ:::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/r V::/:::::::::::::::::::::/j::j　""　　　　ﾐ::::ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　八{ﾊ.V {::/:::::::::::／/:/　　　　　　　}:/　′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽｰi ﾚ __彡 ' _.／　　　　_,,,...=ぇ |i /
　　　　　　　　そうか。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .込ト-r≧====x ＿r≦====x〃「
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 ‘，　辷=-///￣ヽﾆ=-///j /
　　　　　　　　近々挨拶に伺わねえとな　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　，　`ー一'　i　　 `ー一'　′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 ∧　　　 :..　　ﾉ　　　　 ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣｀7　iヽ　　＿　二....＿_　　/ ⌒ヽ￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 /　 .＼へ　　こ二ヽ＼〃　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　｀ヽ＞　＿,　＼> 厂￣｀＞＼

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　三度目などは謝安が派遣され、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　入朝するよう促されたが、やはりこれも拒否している。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .なお、この際に例の詔勅が問題になった様子は見られない
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
588 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:28:39.39 ID:a2oXpfsX0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　．　　　　　　　　　 ,','
　　_　_　_　_　：_　：_　　　　_　_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,','
　　　　　　　_　_　_　_　：_　：_　　　　_　_　　　　　　　　　　　　　 ,','
　　　　　_　_　_　_　：_　：_　　　　_　_　　　　　　　　　　　　　,','　　　　　　　　　‥∴
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,','　　　　　　　　‥∴
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,､､-‐=＝‐- ,,　　　　　　,','　．
　　　　　　　　　　　　　　　 ,.　. :"´ .: .: .¨¨¨｀｀´.: .｀`ヽ､　　,','
　　　　　　　　　　　　,.　-'´　 .: .:. .:'´　.:｀`ヽ .: . .: ノ .: .｀`ヽ‐ ､　　　　　　　　　　　　　　　：　．
　　　　　　　　　,. .ィ´　.:.;:.:; 'ﾞ´ . :;;　　. . 　..:.｀`Y´ .: .:. : .:. :`ヽ｀`ヽ
　　　　　　 ,.ィ´.:, ｲ;:; :; :;;'′.:;:;:;;,'′.: ;:; :; .: .: .:. .: .'"´　　｀`ヾ .:.: :..｀ヽ
　　　　　,.ｲ.:.:;,'´. :.!;:.:.:.:.;'　.:;:;:;;:;j!;;:.::;;.:.:　. : .: .: .: .:...　　　...,,;:;; ji､;:;:;i!.:..',
　　　　｛{;;;:'.:′;;;:;{;;;:;:;,′.:.:;;:.:.j;;;:;:;:..:;:,;.:. . ..: .: .:. :. :. :. :.:.;;:.:.:;:､;.:.:.:.ji!;;:.:}
　　　　　ﾞ;.､;:; .:.;;:;:;'､;;:;',.　.:;;:;:;:i!;:;:.　.:.:..　. :. :. :. :. :. :. :;;::;:;;;:;:;:;:j!;;:.:.:j!;;:;;!............................................
　　　　　　 `ヽヾ;;:.:.;;;;;;;;;;;;;:;;;::;:;;;', .: .:;;:.: .: .: .: .: .: .;.:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;:;ﾉ;;;:;:;ﾉ;;:;ﾉﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ
　　　　　　　　　｀¨`ヽヾ;;:;:;:;;;;;;:;: ;　.:.:;;　.: .: .: ;;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'ﾞ.:;:;:ィ;;:;ｲ
　　　：　．　　　　　,',　　｀¨''''ｰ-､.:;:;.:.:. .: .: .:;;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:イ;;;:;ィ'´.:'´
　　：　．　　　　 ,　′　　　　　　　　｀`''ｰ-………-‐'''ﾞﾞﾞ´　　　　：　　_ _ _ 　　　　_ _ 　　：　．　　　　　　：
　　　　　　　　　,　,′　　∴∵　　　　　　　　　::　　　　　　　　　：　　　　　：　　　　：　　　　_ _　　　　　　：
　　　　　　　 ,　　,′　　　　　　　　　　　　　　 ::　　　　　　　：　　_ _ _ 　　　　_ _ 　　：　．　　　　　　：
　　　　　 ,　　 ,′　　　　　　_ _ 　　：　．　　::　　　　　　　　　　　　　　　∴∵∴∵
　　　　 ,　　　　,′　　　　　　　　　　　　　　 ::　　　　　　‥∴
　　　,　　　　　,　　　　　　　　　　　　　　　 ::　　　　　　　　　　　：　　　　　：　　　　：　　　　_ _

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　禅譲を狙っていたとされるのに、
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　皇帝の身辺を警戒せずに謝安と王坦之の独断を許す。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　かといって彼らを処罰せず、いたずらに時を浪費する。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　これが簒奪を狙う者の姿なのだろうか？
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
589 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:30:01.66 ID:a2oXpfsX0: 【紀元３７３年２月　晋　揚州　姑孰】

　　　／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
　　 .::::::::::::::::::::::::: --ミ::::::::::::::::::::::::／:::／:::::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
　　::::::::::::::::::::／　⌒ヽ＼:::::::::::::: /):／:::::::／:::／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉
　　|:::::::::::::::/　/: :/: : :}.　}-=-　_{ /／)／):／⌒＞-――-ミ ::::::::::/
　　|::::::::::::::{　/: : }: : ノ　 }彡'　~"''-=-　_/　￣＼:::.　　　　　＼::/::|
　　|:::::::::: 八　: : : :(　　　　　　　　　　 ~"''-=＞- ＼:､　　　　 }::::::|
　　|::::::::::::::::}　: : : : )　　　　　　　　　　 ::::/ニニﾆ-＼　　　从:/
　　|::::::::::::::::{　　ー　　　　　　　　　　　　 ∥ニニﾆﾆ-_＼　　/:／
　　|::::::::: ／⌒ヽ　　　　　　　　　　　　 {ニニニニニ〉　　∥
　　|::::／. . . . . . 〉　　　　　　　　　　　　　 -ニニニニ/ヽへ{　　　　　　　　　　　おう俺だ。
　　／. . . . . . .∥　　　　　　　　　　　　　　＼.ニニ／　|ニニ〉
_／　 . . . . . . . {　　　　　　　　　　　　　　￣　　　 |二 /　＼　　　　　　　　 .二月某日に都へ行くぞ。
　　　　　　　　 {　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |_／⌒＼}_
.￣￣＼......... 人　　　　　　　　　　⌒＼丶、　　{::::......　|......................〕　　　　　　　軍勢を連れてな
.　　　　　＼...........＼　　　　　　　　　＼＼　:::::r' "´ ／￣￣￣＼
　　　　　　＼...........＼　　　　　　　　　　 `ー.::イ......／　　＿___　 |
　　　　　　　　＼...........＼　　　　　　　　　＼__/|￣／　　／|..＼　　 |
　　　　　　　　　　＼...........＼　　　　　　　/.......l//ゝ--＜//|.. .. 　　 |
　　　　　　　　　　　＼.......... ＼　　　　　 /..........|///////／.|.. 　　 /
',　　　　　　／⌒ |.......... ／＼＿＿ノ＼........＼///／／....　　 /
∧ 　　　　／　　　 |＼／￣￣￣＼　　人...........＼__／.........　　/
/∧ 　　　／ニニ=- _| /　　　　　／￣￣＼＼.......ノ............ .　　/
//∧　／＼　　 -ニニニ-　_　／{　 {.　　　＼＼........................ .{＼

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　桓温がようやく重い腰をあげたのは、翌年に入ってからだった。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　『晋書』『桓温伝』によれば、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .入朝に及んで、簡文帝の眠る山陵へ赴くつもりだったらしい
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
590 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:30:40.79 ID:a2oXpfsX0: 【紀元３７３年２月　晋　首都　建康】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ叉7
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ⅲL_,, ,. _
　　　　　　　　　　　　　　 ,,､､-‐'''""´: .: .: .:::::::::.:.:.:. : :｀`ヾ､､､
　　　　　　　　　　,,． '"´. .:.: .:.: : .:r＝=.: :. :.: .:. :. :. :..: .: :. .::. :.｀ゞｰ-､､
　　　　　　,,． '"´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.`''ヽ､,,
　　　,r'"´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;;;;;:;:;:;:.;:.:.:.:;;;;;;;;;;;;;;:.:.:.:.:.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;:;:;:;;;;;;;;:;:;:;:;;;;;;;;;;:;:;:;:;;:＞
　　　｀`ヾ､;:;:;:;:;;:;:;:;;:;:;:;:;r＝=;:;:;r＝=､;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;;:;r＝=;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;:r''"´　.
　　　　　　｀`ヾ;:;:;;:;:::::;;;:;:;:;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;=＝=;;;;;;;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;.:.:.:.:.:.:.:.:,r'ﾞ
　　　　　　　　　　￣｀¨`ヾr＝=.: .: .: .: .:. :. :. ::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. :r＝z,;,;,;::／
　　　　　　　　　　　　　　　｀¨`ヾ.:.: .: .:.:::::::::;:;:;:;:::::::::;:;:.:.:.:.:､､-‐''"´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀＞;:;:,';: .,':;:;:; :;:; :＜´
　　　　　　　　　　　　　　　,､r''"´. :.: .:. :. . :. :. :. :.: .: .:`ヽ､
　　　　　　　　　　　　,､r'"´.:.::;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼ヽ人_从人__从_人__从_从人__从_人__从_从人_人／;　
　　　　　　　　　　　　｀`ヾr＝=;;;;;;;;;;;;;;;:;:;;;;;;;≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜
　　　　　　　　　　　　　　 `ヾ::.:.:;;;;;;;;;;:.:.:-=ニ　　　　近々大司馬が都へ来るそうだ！！　　　　　≦
　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ､:;:;;;;;;;;:;:.:.;;;;;;;≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≦
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヾ.:;;;;;;;;;;;;;;;／Y⌒YWW⌒W⌒Y⌒WW⌒W⌒Y⌒W⌒Y⌒WW⌒Y＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,」;;:;:;:;;;:;::.:.:. :. :.:. j　　　　　　　　＼ヽ人_从人__从_人__从_从人__从_人__从_从人_人／
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀`ヾ;:;:; :;::;;: ;r＝=.:.j　　　　　　　 .≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi:;:;:.:. :.: .:. :.:.:.:,!　　　　　 -=ニ　　　姑孰には兵が集まっているらしい！！！　　 ≦
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l;:;: .:.: .: ..:;;;:;;;!　　　　　　　　 ≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≦
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'i;;;;;:.:.:.:.:;;;;;;;;;!　　　　　　　　／Y⌒YWW⌒W⌒Y⌒WW⌒W⌒Y⌒W⌒Y⌒WW⌒Y＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 1;:;:;:;:r＝:.::{　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゞ;;;;;;:.:,r'´.:.:｀`;:ｰ-..､,,_

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　寧康元年（三七三年）二月。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　桓温が入朝したと『晋書』『孝武帝紀』は記している
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
591 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:32:45.20 ID:a2oXpfsX0: 　　　　γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　|　　何のために軍勢を？　　|
　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂

　　　　　　　　　　　　　　　　 .γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　王坦之と謝安を討つと聞いたぞ　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂

γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
|　　その二人が詔勅を改竄したんだって？　　|　　γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂　　|　　桓温は先帝からの禅譲を狙ってたんだと　　 |　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　戦が始まる　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂

==lｭ、　　rl========lｭ、
　　rl=========ｭ　　　　ヽrl==========lｭ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､＿＿_ノl_
　 /　　　　　 ∧　　　/　　　　　　　　　ヽ　rl========lｭ　 rl=======lｭ　　　rl=========lｭ､;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;rl==
. /　　　　　　 /　 ',rl===============lｭ　/　　　　　　　ヽ/　　　　　　ヽ　 /　　　　　　　ヽ　rl=========lｭ、/
/＿＿＿＿＿/＿_/　　　　　　　　　　　　 ∧＿＿rl====================lｭ　　　 rl========================lｭ＿
三三　三三三|三/　　　　　　　　　　 / 　', 三/　　　　　　　　　　　　　 ∧ 　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',=
三三　三三三|::/＿＿＿＿＿＿＿＿__/＿＿, /　　　　　　　　　　　　　　　 /　 ', /＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿　 ',
三三　三三三|'|三三三三三三三三三|::::::::::::/＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿/＿＿,|三三三三三三三三三三三三三三|
592 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:33:41.35 ID:a2oXpfsX0: 　　　　／::::〃〃::::::::ヾ/::｝:::!::::ヾ:ヽ＼
　　　 ,:′〃〃:::::::::/ヾﾒﾍ:::/::::::ｲ::::}:::ヘ
　　　//:::::::::::::::i::::::::!　　 !/ !::/ j::/:::::::::ﾍ
　　 /ｲ:::::::::::::::::ﾄ､::::|_,ノ /ムｊ/ｰ/ﾊ::}::::::::ヾ、
　￤i::: |:::i:::!ﾍ√∨ﾍ　　 ,/　/｀ﾘソﾉ::!::}　ヽ　　　　　　陛下の詔勅が下ってよ。
　　　|::::|:::ﾄﾘ_ﾘ廾ﾍミ　　ゝ_/__/_/ｲ:::::/
　　　ヾﾘ::::ﾍゝ__f;j__　　　　__f;j__ゝｲ:::/　　　　　　　　　謝尚書初め百官は新亭で大司馬を出迎えろとさ。　
　　　｛ |::::! ＼　　　　 j　　　　　　 j:::!｝
　　　｀|::::',　　　　　　　　　　　 /!:::!　　　　　　　　　 .本当にドンパチになるのかね？.
　　　　!:::::ﾄ、　　　　　　　　 / ｊ::::!
　　　　!:::::| ゝ　　r ── ､　　,'　ﾘ:::|
　　　　　!::::|／:＞､´ ￣￣｀イ　　ｊ:::j
　　＿__ノｊ:::|::::::::::ﾚi＞､　イ;;;;l 　　!/　　　　　　　　　　　　　　　　 / .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.:::::::::::::::::::ト､:::::::.＼
　　　／;イ::::::::ノｲ　　ヾ;;;;;;;;;;;;i、　/　　　　　　　　　　　　　.　　　 /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|::::::::ﾊ:::::ハﾄ､:::::::::.⌒ヽ
　　　/´/::::＞ｿﾉﾉ八　　 / 　ヽ､、＿　　　　　　　　　　　　　　 /.::::::::::::/.::::::::::/.:::::::::::::/|:::::;　 l::::|　|:!ヽ::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :::::::::::::::ｌ::::::::::/:::::::::/::/　|::厶　l::::|　|厂{:::∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::l::/.::/.::::::i:::i::::ｉ／厂　　|:八ﾑ、 Ⅵ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::/:::∧::::::::Ⅵ:::| ／,二、/　　ﾋﾌ_, {
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::八{::ﾊ:::::::| 八|.ィ:::厂, ,;　　　Ｖ　　、
　　　　バカ言うな。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .|::::::::::::::::::_::::::::l＼| 　^===彡　　　　　＼　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ:::::::::::/　｀ヽ:|　　　　　　　　　 , ノ　|
　　　　あいつがその気なら、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.＼::::{ (　く_　　　　　　　　　　　 |
　　　　とっくに王坦之と謝安は首と胴が離れている。　　　　　　　＼ヽ　　｝　　　　　　　　　 ,_-ｘく|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　＼＞―ﾍ　　　　　　　　 /こ´个＼
　　　　そういう男だよ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　＼　　　　　　　　　　丿　ﾞﾞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／|　　　　｀ニ＝=‐―┬=≦ ＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　＼　　　　＼:::::::::::::::::|　　　　　 ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　｀　　ー-=ﾆ二::＿::::| 　　　 //∧

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　『晋書』『桓温伝』に曰く。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　詔勅が下って、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　尚書謝安らが新亭で桓温を奉迎し、百官は道端において拝礼させられた。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　当時位にあった者は恐怖に色を失い、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　ある者は桓温が王坦之・謝安を殺すためだと言った
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
593 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:36:46.93 ID:a2oXpfsX0: 　　　　　　　　 _　　 -――-　 _
　　　　　　,. ＜/////////////＞､
.　　　, イ'///////////////////∧　　　　　　　　＼_人＿人∧从＿人_∧_人_从_/／
. 　 ,ｲ///////////////////////∧　　　　　　　　　)　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
.　/,イ'////////////////////////!　　　　　　　＜　　　とにかく行ってくる！　　＞
　/　l///////////////／'' "l'lヽ///!　　　　　　　　<　　　　　　　　　　　　　　　　　(
　　 l///////////,ｲ'"　　　ﾘヾ//l　　　　　　　　　／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^YY^^Y^
　　.l/ｌ////l'/// !/ l 　　　　　 l//、
　　/'.l/l//‐l//'-|'　 !　--――‐- .l/; !
　　　 ! l'{.'　l{-ｔｰﾃヽ　　' ｰtｰﾃ　 !ﾉ/
　　　 `ヽ! `　　 ´i　　｀　　　　 ,'､
.　　　　　、　　　 .!　　　　　　 ,:::.. ヽ
　　　　　　/ i 、　＿´　　　　 /l:::::}　!
-‐　　￣　 }　./ヽ .!_!―｀　 .／ .!:ノ　 !￣ヽ-　_　　　　　　　　　気をつけてな
.　　　　ヽ / /　.ﾉ､| |　　　　　／　　 !./
　　　　　　l,.' ／　￣｀ヽ´　　 /- ､　　l
　　　　 / .　‐ '"￣　 ‐-ｒ‐､ //ﾊ　.!　／
　　　　 /　'　　-‐＝―‐--.ｊ.　ヽ/　ヽ!
　　　　,　　　　　_,..　-‐T　￣｀ヽ',
　　　　i　　　　　､. -f'"￣￣　　、
　　　　j　　　　　 l.l/("'' ー　　丶　i
　　／　　　　　 /.!/( 'ｰ-　　　　 !
- '" 　　　 ._,.ノ　!//＞、　　　　, ｀　 .._

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　内外は恐れを抱いた
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
594 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:39:15.62 ID:a2oXpfsX0: 　　　　　　　　 _　　 -――-　 _
　　　　　　,. ＜/////////////＞､
.　　　, イ'///////////////////∧
. 　 ,ｲ///////////////////////∧
.　/,イ'////////////////////////!
　/　l///////////////／'' "l'lヽ///!
　　 l///////////,ｲ'"　　　ﾘヾ//l
.　　l/ｌ////l'/// !/ l 　　　　　 l//、
　　/'.l/l//‐l//'-|'　 !　--――‐- .l/; !
　　　 ! l'{.'　l{-ｔｰﾃヽ　　' ｰtｰﾃ　 !ﾉ/
　　__,ｎ__00 `　　 ´i　　｀　　　　 ,'､　
　└┐r┘ .、　　　 .!　　　　　　 ,:::.. ヽ　　　　　　　　　　昔から酒宴のツマミに茶果しか出さない男だが、
　 <ﾌＬｌ<>./ i 、　＿´　　　　 /l:::::}　!　　　　　　　　　 .一方で英雄が好きで派手な壮図を好む男でもある。
-‐　　￣　 }　./ヽ .!_!―｀　 .／ .!:ノ　 !￣ヽ-　_
.　　 [][]「l./ /　.ﾉ､| |　　　　　／　　 !./　　　　　　　　贅を尽くし、清談にかまける連中には理解できんだろうな
.　　　くノl,.' ／　￣｀ヽ´　　 /- ､　　l
　　　　 / .　‐ '"￣　 ‐-ｒ‐､ //ﾊ　.!　／
　　　　 /　'　　-‐＝―‐--.ｊ.　ヽ/　ヽ!
　　　　,　　　　　_,..　-‐T　￣｀ヽ',
　　　　i　　　　　､. -f'"￣￣　　、
　　　　j　　　　　 l.l/("'' ー　　丶　i
　　／　　　　　 /.!/( 'ｰ-　　　　 !
- '" 　　　 ._,.ノ　!//＞、　　　　, ｀　 .._

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　後世の我々ですら理解に苦しむのだ。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　当時の人々が恐怖を抱くのも当然ではある
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
595 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:40:19.03 ID:a2oXpfsX0: 【紀元３７３年２月　晋　揚州　新亭】

　　　　　　　　　　　　r--─‐i　　　　　 .r--─‐i　　　　　　　　r--─‐i　　　
　　　　. 　┌─┐　　|　晋　.|　　　　　 |　桓　 |　　　　　　　 .|　晋　 |　　　.┌─┐
　　 .　　　├─┘　　|--─‐'' 　　　　　|--─‐''.　　　　　　　 |--─‐''.　　　├─┘
∧二ヽ: :::''::.∧二ヽ:'::∧二ヽ:::∧二ヽ;::::∧二ヽ;;:;:.∧二ヽ;;:∧二ヽ;;: ;;:;:.∧二ヽ;;:∧二ヽ
l :ｌl＝ｌll ...::..:.l:ｌl ＝ｌll:..:.l:ｌl＝ｌll::::l:ｌl＝ｌll:::::::l:::l:::::::l::.:::.l:::l:::::::l:::::l:::l:::::::l:....:.:::.l:::l:::::::l:::::l:::l:::::::l:.
幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵||:::.:||幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , --──-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , イ /　　　u　　ﾍ　ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　!ー､〉　__ j　j __〉-ﾉ　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ＿,,;;》 `-"::: `-"l＿.ジ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　ヽ　' ＿ ` ｲ　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　l　　´＝｀u.l　
　　　　　　　　　　　　ほ、本当に大丈夫なのか　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　ヽ＿,､__ノ　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::　

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　『晋書』『謝安伝』に曰く。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　簡文帝が崩じるに及び、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　桓温は山陵に赴き入ろうとして新亭で止まり、大いに兵を連ねた。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　晋室を移して
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　謝安及び王坦之を呼び、この場で彼らを殺害しようと欲していた
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
596 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:43:03.91 ID:a2oXpfsX0: 　　　　　　　　　　　 , --──-､
　　　　　　　　 , イ /　　　　　u ﾍ　ﾄ､
　　　　　　　　 i　!ー､〉　__ j　j __〉-ﾉ　i
　　　　　　ヾ＿,,;;》 `-"::: `-"l＿.ジ
　　　　　　　　 |　ヽ　' ＿ ` ｲ　　
　　　　　　　　　l　l　　´＝｀　l　　　　　　　　　　 .噂では大司馬が我ら二人を殺そうとしているとか。
　　　　　　　　　　ﾉu ヽ＿,､__ノ　
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､　　　　　　　　　何か良い策はないものか
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､　
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::/.../::::::....../,:.　　　|:　　ﾞ．　.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .':::::,':::/::: /:::::/..| : : . . .!ﾊ:ヽ　ﾞ． l!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::::!::,'::: /::／|: :|: !:::::|:::!　∨:....|　|l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,':::::::::|::|:::/,'─‐|:‐!､|::::,':!:|　　|::::::!.. |ﾞ．
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,':::::::::::|: Vzxﾆ二!| |:/:://|'⌒ヽ!:::::|::..|..|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, ::::::::::::|::::|ヽ赱うヾ〃//二二__,ﾘﾊ|::::|::ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::::::::::::::!､:::、　　　　　ヽ赱ぅﾇ':::::!::::!::ﾊヾ:､__,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :::::::::::::::|::l＼:、　　　,　　　　 /l!:::,'::::ﾊﾄ::ﾞ．｀´
　　　　　　　　晋の皇祚は、この一行に在り　　　　　　　　　　　　　　　　 :::::::::::::::::!::|ﾊ、　　、　　　　 ,.'ィ:::/:./:.,'| ﾞ::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ::|::::::::::::|:::!::::!　　　￣　 ..ィ::::::::/../../.:| }ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/,'|:::!:::{≧t≦}:_|　｀ｰ　≦::/ ::::::/../.:ｲ: :.!/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,':,' |:::l|:::::::{:::}::У{　＿....-'´ト'! :::::/..//||><ゝi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::{　V:|ヽ:::::/::/ ∧/ﾍ　　 /ﾆ||:>'...//_,'ﾊ_|_|::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !:::|＿ゝゝ-/::/.∧!_|／}.　 /ニ:||／//ノﾆﾆフﾆ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !:ﾊﾆﾆﾆﾆ,':::,'|'／|::/<´ヽ./ﾆニ/!.,ｲ/ﾆﾆ／ニﾆﾆ

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　王坦之は大変恐れ、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　謝安へ取るべき計を質問した。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .謝安は神色不変であり、一言だけ述べた
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
597 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:44:42.30 ID:a2oXpfsX0: 　　　　　　　　　　　　r--─‐i　　　　　 .r--─‐i　　　　　　　　r--─‐i　　　
　　　　. 　┌─┐　　|　晋　.|　　　　　 |　桓　 |　　　　　　　 .|　晋　 |　　　.┌─┐
　　 .　　　├─┘　　|--─‐'' 　　　　　|--─‐''.　　　　　　　 |--─‐''.　　　├─┘
∧二ヽ: :::''::.∧二ヽ:'::∧二ヽ:::∧二ヽ;::::∧二ヽ;;:;:.∧二ヽ;;:∧二ヽ;;: ;;:;:.∧二ヽ;;:∧二ヽ
l :ｌl＝ｌll ...::..:.l:ｌl ＝ｌll:..:.l:ｌl＝ｌll::::l:ｌl＝ｌll:::::::l:::l:::::::l::.:::.l:::l:::::::l:::::l:::l:::::::l:....:.:::.l:::l:::::::l:::::l:::l:::::::l:.
幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵||:::.:||幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒ…―-　..,,_／ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: イ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ :::::::::::''´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _＞､_::::::ヽ､ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣i　｀丶､:::｀丶､_: :::::::::::::::::::::::: ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ! iﾊト､ i､丶､___` ー--::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 lﾊﾉ!ｲ仄ゝヽ　ﾅアi`ー-=....,,,___＿,,.ゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|'、`┘　 '^i下心!ﾊj　 ,ﾊ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|/＼　､　　ゞ-イ　/／
　　　　　　　　　　　　　　　会見が始まった　　　　　　　　　　　　　　　　　　　☆ '　ｒ‐ｉ＞ ‐ｒｧ='7.イ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ ⌒ヽ､,.ヘ.::´:::ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ｒイ　,.ｨﾍ.:::::ハー- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 └攵ｱﾄ=ヘ、::::ヽ ::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／〈::::::::::::＼:::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉―ｧi'´ ＼ :::::::: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　 /_ア^'┘　　｀ヽ､::j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 └ ′　　　　　｀
598 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:45:22.33 ID:a2oXpfsX0: 　　　　　　　ゝ/´/////彡∧i‐-､
　　　　　／////＞≦_フ´ﾞﾞ‐-､∧
　　　　／///／{::::::::::::::::ヽ=γ￣＞､
　　　 ////／ゝ､ヽ:::::::::::::::ﾉ　＼::::::::::ヽ
　　　,//／／　　｀￣￣　〈⌒´i‐‐､´
　　γ⌒ヽ' 　　　　　 ,, 　　ヽノ　　 i　　　　　　　　　　王坦之。
　　 i |i､｀)　　　　　　'ゝ二二二二７　,
　　　､` ヽ　　　　　　　　｀‐-==-　　i　　　　　　　　　　.笏を落っことしているぞ
　　　　､ゝλ　　　　　　　　　　　 i
　　　　 ∨i　､　　　　　．＜三ヽ　ノ
　　　　　∨ 　＼‐‐ ´////////／
　　　　　　〉　　　＼/////////,i
　　　　／ {｀､　＼､｀　ヽ////,i
　　ゝ´:::::::∧､　￣　　 ‐-,-ヽ-‐iヽ
´::/::::::::::://∧:.　　　　　 /‐-‐∨ i∧､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , --──-､
::/:::::::::::////∧　　　　 ∧:::::::::::∨i/∧｀....､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , イ /　　　u　　ﾍ　ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　!ー､〉　__ j　j __〉-ﾉu.i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ＿,,;;》 `-"::: `-"l＿.ジ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　ヽ　' ＿ ` ｲ　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　l　　´＝｀u.l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉu .ヽ＿,､__ノ　
　　　　　　　　　　　　　お、おっと、失礼を　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::　

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　王坦之は流れる汗で衣を濡らし、手に持っていた笏を倒してしまった
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
599 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:48:36.10 ID:a2oXpfsX0: 　　 /::::/::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　/::::/:::::::::::: | ::::::::::::::::::| :::::::::| ::::::::::::.
　 .::::::::::| ::::::::::| ::::::::: |::::/＼|::: | ::::::::::::::.
　 |::::::|:::| ::::::::::| ::::::::: |::イ　 ∨:|::::::::::|::::|
　 |::::::|:::|:::::::::/|ﾊ:::::::::|/_x折ﾊ汁 :::::::|::::|
　 |:|:: |:::|:::::::: イ∧::: ﾘ　　Vツ´|:::| ::::|::::|
　 |:|:: |:::| ::::::|斗折ﾄ/　　　　　 |/|::::::|::::|　　　　　　　　　　　　　　ところで大司馬
　ﾉ八:|从|:::弌Ｖツ　　､　　　　│::::|::∧
　　　∨|:::＼|＼　　　　，　 /|::::::|∧:|＼
　　　 |::| :::::个ｰ_>､　　｀　　/ :|::::::|:》≪》
　　　 |八 :::::∨::::::: ≧=ｧr一　　 |:::::［_〉::::＼
　　　 |:::: ＼:::::≪_》__〈＼＼　　 |:::::[∧ト---=ミ
　　　 |:::: ＼:>､::::＼　||＼丶 >＜|:::::|‐ ||　　　　｀ヽ
　　　 .:::::::::: |　＼::::V||　＞=二 |:::::[＼|　　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::ミi::::::::::::::::::::::::::::.
　　 /.::::::::::::|　　　':::::.||／　　 /|:::::|　〈＼____　　 |　　　　　　　　　　　 . 　　 ′::::::::::::::::::::::::::::::::Y::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::::::::::::::::::::／::::::::::r=ぅ:::::::::::::_:::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_|:::::::::::::::::::::::::::_彡:/^7::::彡'　ミ:::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/r V::/:::::::::::::::::::::/j::j　""　　　　ﾐ::::ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　八{ﾊ.V {::/:::::::::::／/:/　　　　　　　}:/　′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽｰi ﾚ __彡 ' _.／　　　　_,,,...=ぇ |i /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　込ト-r≧====x ＿r≦====x〃「
　　　　　　　　　　　　　　どうした？　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ‘，　辷=-///￣ヽﾆ=-///j /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　，　`ー一'　i　　 `ー一'　′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 ∧　　　 :..　　ﾉ　　　　 ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣｀7　iヽ　　＿　二....＿_　　/ ⌒ヽ￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 /　 .＼へ　　こ二ヽ＼〃　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　｀ヽ＞　＿,　＼> 厂￣｀＞＼

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　謝安は従容と席に就いていた。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　座が定まると、桓温へ語りかけた
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
600 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:49:21.29 ID:a2oXpfsX0: 　　　　　　　／::::::／ :::::::::::::::::::::::: ＼:::::＼
　　　　　　 /::::/::/::::::/::::::::::::::/ ::::::::: ﾄ::::::::::.
　　　　　/ :::::::/::::::/:::::::::::／}::::::::::::::|∧:::::::::..
　　　　　 ;:::::::::::::::::: |_彡＜　/::::::::/::/　 i:::::::::::＼
　　　　　 |::::::|:::|::::;斗=ｧミ_ /::::::::/::/‐￢ト:::::|::::::::＼　
　　　　　.,::::::八|:弌 r公ﾘ /∨／}斗ｧ=ミ|:::::::|::|¨¨⌒　　　　　私が聞くには
　　　　 /i ::::| :::::::::ゝ　　　　　 r公ﾘ　》:::::|::|　　　　　　　　諸侯は有道で、四隣に守りはある
　　　 ./:::i ::::|:::::ｉ::::|　　　　　　/ 　　　 7 :::::: |　
　　　/ ::::i ::::|:::人::|　　　　　　　　　　 / ::::::|リ　　　　　　　　なのに、何故大司馬は壁の後ろに人を置くのかしら？
　　./ ::::: i ::::| ::::::仆 . 　　 '　ヽ　　 /|:::::::::|
　../ ::i ::: |:::::::::::::::|个ﾄ　　　　　　　イ´| ::::|::|
　/ ::: i:: 八::::/| ::::|::Ｌ|　　　ｰ=≦::::::::i::::| ::::|::|
　:::::::::i::::＿V:::| ::::|/　≧=- ,,_　/ ::::: i::::| ::::|::|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -‐....￣￣...ヽ__
　::::::::: i:ｉ《二》《| ::::|＼　　　 └片i ::::i::::| ::i:|::|　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.::.:.:.＼
　::::_,,::斗匕＼_| ::::|　　　　／∨_,丈::ﾉ::;;| ::i]八_　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ:.:.:.:.:.::.:./}:.:./⌒~¨¨¨ヽ:.:.:.::.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:从{ 从:{, -‐=ﾆミ､ ',.:.:..::.:i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ィ:.:.:.:.／_,ノ　　}! 　＿_＿__}:.:.:.::.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , - ､　　　　　 |:.:.:./≦ _＿_ｒ=ミ///////}¨込-‐､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　 ',　　　　　|/{:{,ｲ//////　　V/////ﾉ　V/~} }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　i　　　　　　{ }V/////　　　￣￣　　　〉y/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/⌒}　}　　　|　　　　　　ｉ | ￣￣ヽ　`　　　 _　　　ﾉノ:＼　
　　　　　　　そりゃお前　　　　　　　　　　＿＿＿∠＿_|_/＿__.｜　　　　　　ヽ　　ｒ _　-‐ ─''７　　　}‐{: : : :∨＿　 -‐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{}＿＿＿, -‐''¨￣}＿_|.{　　　　　　／ヽ　＼＿___ ,ノ　　　ﾉ　V: : : :∨.:.:.:.:.:: :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　_,. ィ　　　ヽ＿＿＿／: : : :.＼　　 ─　　　　／　 /}: : : : :.∨.:.:.:.:.::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　／　　／　　　　　 i: : : : ／ : : ::.:.:.:.:.:/ヽ　　　　　／　　ノ /: : : : : : ∨.:.:.:.:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　､＿＿＿＿＿_|＿／_: : : ::.:.:.:.:.:/ヽ_ `ｰ─'' ¨__,. ＜　/: : : ／⌒ヽV.:.:.:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }　　　　　　　　　　　　　　}: : : ::.:.:.:./　　＞，__ｒﾆ_　　　　|: : :./　 |.:.:.:.:.＼:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　　　, -‐──────': : : ::.:.:./ヽ　　　　///∧　　 ./.l: :./ i　｜.:.:.:.:..:.:

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　謝安の言う人は軍勢を指すのだろう。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　桓温が笑って曰く
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
601 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:51:28.40 ID:a2oXpfsX0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ::::::::::::: : //:::,イ::i::|::::/""""⌒ヾ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ::::::::::::::: //:://::::;ｲ::|::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧:::::::::::: /_,＞ ´７　}::|/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /／:::::::／´　　_,ノ　 //
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::::::／　／:{//≧/ｲ､　 :| }　厶斗
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{ｲ:／　　∠:从―――- ､＿　 -―
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 .ｆ､,f三三三三三ヾｒ￢ｆ三三
　　　　　　　　　　　そうせずにはいられんからだ　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 ∧{ 三三三三三ｦ-― ､三三
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ　　厶斗七⌒∨三三／{　　　}＼三
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 ´　　　＿_/＿∨≧´￣　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　　　　　￣　　　　　 }　　　{　|　　}　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :ィ}　　　　　　　―――‐〈　　　　｀ヽノ '
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　 _,． ≦ニニ:′　　　　　　　　　　 :}　｀ヾ三三三三≠
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . 　 _,． ≦ニニニニﾆ′　　　　　　　　≠一 ./＼　　　ー
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ニニ|ニニニニニニ {　　　　　　　　 f　　ノ　　:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ニニ{ニニニニ＿__」＿_　　　　　　　├≦{　　　　　≧ ー― ≦
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ニニ|ニ＿＿__/＿＿　　＼　　　　　ノ:ニ∧　　　　　＞= ＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ニニ∨ニニニニニﾆ≧､　　ヽ　,. ィニニﾆ∧　　　 /　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ニニ/ニニニニニニニニ＼　∨ﾆ7:ニニニ ∧　　 /　　　　　　:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ニ=/ニニニニニニニニニﾆ＼ヽ={:ニニニニ∧　∧　　　　　 /
602 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:52:02.15 ID:a2oXpfsX0: 　　　　　　＿|￣|＿|￣|　 |￣|_|￣|＿_|￣|_|￣| 　 |￣|_|￣|＿|￣|
　　　　　　|＿　＿||　 |￣　　 |　 |　　　　 |　 |￣　　　|　 |　　　￣|
　　　　　　ｒ┘└へ|　 |二ｺ ┌'| 　|二ｺ ┌|　 |二ｺ ┌'|　 |二ｺ ┌┘
　　　　　〈〈]　ﾟ,、〈|　 |　o　ヽ|　｜ o　ヽ|　 |　o　ヽ|　 |　o　└「￣＼
　　　　　　ヽ-ﾍ_>ﾉ_ﾉ|＿|､＿ハ/|＿|､＿八ﾉ|＿|､＿ハ/|＿|､＿ハ/｀⊇.ノ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , --──-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , イ /　　　u　　ﾍ　ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　!ー､〉　__ j　j __〉-ﾉ　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ＿,,;;》 `-"::: `-"l＿.ジ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　ヽ　' ＿ ` ｲ　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　l　　´＝｀u.l　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ .uヽ＿,､__ノ　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::　

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　遂に笑って語り合って時を過ごした。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　王坦之と謝安は最初名を等しくしたが、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .ここに至って方々の知者は王坦之が劣っているとした
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
603 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:54:04.28 ID:a2oXpfsX0: 　　　　　　　　　　　　r--─‐i　　　　　 .r--─‐i　　　　　　　　r--─‐i　　　
　　　　. 　┌─┐　　|　晋　.|　　　　　 |　桓　 |　　　　　　　 .|　晋　 |　　　.┌─┐
　　 .　　　├─┘　　|--─‐'' 　　　　　|--─‐''.　　　　　　　 |--─‐''.　　　├─┘
∧二ヽ: :::''::.∧二ヽ:'::∧二ヽ:::∧二ヽ;::::∧二ヽ;;:;:.∧二ヽ;;:∧二ヽ;;: ;;:;:.∧二ヽ;;:∧二ヽ
l :ｌl＝ｌll ...::..:.l:ｌl ＝ｌll:..:.l:ｌl＝ｌll::::l:ｌl＝ｌll:::::::l:::l:::::::l::.:::.l:::l:::::::l:::::l:::l:::::::l:....:.:::.l:::l:::::::l:::::l:::l:::::::l:.
幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵||:::.:||幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒ…―-　..,,_／ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: イ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ :::::::::::''´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _＞､_::::::ヽ､ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣i　｀丶､:::｀丶､_: :::::::::::::::::::::::: ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ! iﾊト､ i､丶､___` ー--::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 lﾊﾉ!ｲ仄ゝヽ　ﾅアi`ー-=....,,,___＿,,.ゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|'、`┘　 '^i下心!ﾊj　 ,ﾊ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|/＼　､　　ゞ-イ　/／
　　　　　　　　　　　　　　人を喰った話である　　　　　　　　　　　　　　　　　　☆ '　ｒ‐ｉ＞ ‐ｒｧ='7.イ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ ⌒ヽ､,.ヘ.::´:::ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ｒイ　,.ｨﾍ.:::::ハー- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 └攵ｱﾄ=ヘ、::::ヽ ::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／〈::::::::::::＼:::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉―ｧi'´ ＼ :::::::: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　 /_ア^'┘　　｀ヽ､::j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 └ ′　　　　　｀
604 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:56:09.70 ID:a2oXpfsX0: 【紀元３７３年２月　晋　首都　建康】

　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　／''''''　　　'''''':::::::＼
. 　 |（●）,　　　､（●）､.:|
　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|
. 　 |　　｀-=ﾆ=- '　.:::::::|　　　　　　　　　この奥が先帝の墓陵となります
　　＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-､
:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　| 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:`:.:::'´:.:.:.:.:.::.:.:.:ヽ
　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.'，
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.::.:.:.／{|^¨⌒~¨''¨￣ヾ.:.:.::.:.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　 ∠:.:.:.|:.:./::／　 |!　__,.．-‐　　　}.:.:.::.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {:/{:/{:/_,__〈ィ云斥心､＿＿_{.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |'Y////ﾉ¨{///////}７￣￣ヽ.:.:.::.:.:.:.:.:.:.}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　{//／　　ヽ///少'　　　　　 }:Y⌒ヽ:.:.:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｰ{　　　〉￣　　　　　　　 .V ,ハ .}:.:.:|
　　　　　　　何か化けて出てこないだろうな？　　　　　　　　　　　.　　　ｒ､ {　`ｰ　　　　　　　　　　　　　ﾉ心 /:.:./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＼　　　　　　　　　　　　　　し' /:.:./
　　　　　　　棺の中の遺体が蘇ったとかよ　　　　　　　　　　　　　　　　　. { ⌒¨''ヽ､　　　　　　　　　ｒ''{¨:.:.:./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 }　　　　　　　　　　　　　/　 |:.:.:/
　　　　　　　干宝の『捜神記』にあっただろうそんな話　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　 /　　 !:.:{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　　　　　　　　　 _ -‐′　__|从__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､＿_,,.. ．-‐≦　_　，＜　　〉　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _}＿_　_ ，＜　　　　　 .／　　　 |`ｰ─
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／}ﾊ　ｒ､　　　　　　　　／　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ //{￣￣}　　　　　／. 　　　　 |

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　『晋書』『桓温伝』によると、桓温は十四日間建康に滞在した。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　なお、簡文帝の陵墓に参詣した際、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　武陵王の事件で死んだ殷涓の亡霊を見て病になったという話も伝える。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　ここまでの記述を見ると、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　すでに重態であり、建康へ来る時点で小康状態だった気もしなくもない
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
605 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:56:54.91 ID:a2oXpfsX0: 　　　　／=ミ>'´￣｀´￣｀丶､
　　　（.:::::／　　　　　　　＼
.　　 /｀７ / .::　|　　.::∧
. 　　ﾚ::..| :|.:/|::∧ .:|/⌒∨ .::i　: |
　　　∨|八ﾚf)心∨ ｨ)心}.::/|::...:|　　　　　　　　桓温。
　　　　 |:（ﾊ　Vｿ　　 Vソ|厶|::::::|
　　　　ﾚ|::人'' 　､　,　 '' ｲ::ﾘ ::八　　　　　　　体の調子はどうかな？
　　　　　ﾚﾍ介:::vr-r:＜/|厶l/
　　　　　　　 ∨{{不::{{ ∨
　　　　　　　　/7:::::::::::トく　　　　　
　　　　　　　/丿:::::::::::{＼ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ﾉ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ　　
　　　　　　 ,ﾞﾏ=====ﾑ　ヽ,)　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.i　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : :.:.:. .:.::.:.:.:.:.:: : : : : :|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　/ｲ: : : : : : : :.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:: : :.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {! |:ﾊ : : : : :.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.}_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　 |! }ヽ＼:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:; }　
　　　　　おかげさまで　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { {　　}:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::::.//　
　　　　　日々療養に努めていますが、よくはありませんな。　　　　　　　　　.ヽ､ﾉ {:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.//　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }　i＼:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:{′　　
　　　　　しばらくの間、政務は謝安と王坦之にお任せを　　　　　　　　　　　 _,.．-'''"￣￣￣￣￣￣￣￣＼　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣`‐-≦⌒ヽ　　　　　_　　 -‐──────-　､　　,ィ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　ﾞ¨'' ‐≪　_　　　　　　　　＿＿__,.．-‐ ''　　

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　実際、『晋書』『桓温伝』にある
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　皇帝司馬曜の詔勅に、桓温が風患だと言及しているものがある。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .風患とは中風の事
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
606 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 23:57:47.62 ID:a2oXpfsX0: 【紀元３７３年２月　晋　揚州　姑孰】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　．　　　　　　　　　 ,','
　　_　_　_　_　：_　：_　　　　_　_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,','
　　　　　　　_　_　_　_　：_　：_　　　　_　_　　　　　　　　　　　　　 ,','
　　　　　_　_　_　_　：_　：_　　　　_　_　　　　　　　　　　　　　,','　　　　　　　　　‥∴
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,','　　　　　　　　‥∴
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,､､-‐=＝‐- ,,　　　　　　,','　．
　　　　　　　　　　　　　　　 ,.　. :"´ .: .: .¨¨¨｀｀´.: .｀`ヽ､　　,','
　　　　　　　　　　　　,.　-'´　 .: .:. .:'´　.:｀`ヽ .: . .: ノ .: .｀`ヽ‐ ､　　　　　　　　　　　　　　　：　．
　　　　　　　　　,. .ィ´　.:.;:.:; 'ﾞ´ . :;;　　. . 　..:.｀`Y´ .: .:. : .:. :`ヽ｀`ヽ
　　　　　　 ,.ィ´.:, ｲ;:; :; :;;'′.:;:;:;;,'′.: ;:; :; .: .: .:. .: .'"´　　｀`ヾ .:.: :..｀ヽ
　　　　　,.ｲ.:.:;,'´. :.!;:.:.:.:.;'　.:;:;:;;:;j!;;:.::;;.:.:　. : .: .: .: .:...　　　...,,;:;; ji､;:;:;i!.:..',
　　　　｛{;;;:'.:′;;;:;{;;;:;:;,′.:.:;;:.:.j;;;:;:;:..:;:,;.:. . ..: .: .:. :. :. :. :.:.;;:.:.:;:､;.:.:.:.ji!;;:.:}
　　　　　ﾞ;.､;:; .:.;;:;:;'､;;:;',.　.:;;:;:;:i!;:;:.　.:.:..　. :. :. :. :. :. :. :;;::;:;;γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　　 `ヽヾ;;:.:.;;;;;;;;;;;;;:;;;::;:;;;', .: .:;;:.: .: .: .: .: .: .;.:;:;:;;;;;;;;;;;|　　　しかし、本当によかったので？　　.|
　　　　　　　　　｀¨`ヽヾ;;:;:;:;;;;;;:;: ;　.:.:;;　.: .: .: ;;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂
　　　：　．　　　　　,',　　｀¨''''ｰ-､.:;:;.:.:. .: .: .:;;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:イ;;;:;ィ'´.:'´
　　：　．　　　　 ,　′　　　　　　　　｀`''ｰ-………-‐'''ﾞﾞﾞ´　　　　：　　_ _ _ 　　　　_ _ 　　：　．　　　　　　：
　　　　　　　　　,　,′　　∴∵　　　　　　　　　::　　　　　　　　　：　　　　　：　　　　：　　　　_ _　　　　　　：
　　　　　　　 ,　　,′　　　　　　　　　　　　　　 ::　　　　　　　：　　_ _ _ 　　　　_ _ 　　：　．　　　　　　：
　　　　　 ,　　 ,′　　　　　　_ _ 　　：　．　　::　　　　　　　　　　　　　　　∴∵∴∵
　　　　 ,　　　　,′　　　　　　　　　　　　　　 ::　　　　　　‥∴
　　　,　　　　　,　　　　　　　　　　　　　　　 ::　　　　　　　　　　　：　　　　　：　　　　：　　　　_ _

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　建康から姑孰へ帰還した後、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　遂に桓温は病で起き上がれなくなったと『晋書』『桓温伝』は記す
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
607 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/29(木) 00:00:17.44 ID:3s2rJNPI0: 　　　　　　　　　　　　　　　／／　／　,　'.　/!ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 / ﾊ　 ./　　./　 l^　l　'.
　　　　　　　　　　　　　　.' / {／　　/　　l　　{　!
　　　　　　　　　　　　　 l '　_ ＼　 /　　 { 　／j
　　　　　　　　　　　　／{ﾄ. ヽ`､ヽ' ──` ' / }
　 _ ィ7ィヶ-　.＿＿／_,ィﾊ＼｀′'　ｒ-ッ　 / /'
ィ彡7' , /　　　　　　／: :|ﾄ.　_`､'_. -`´─ィ7′　　　　　　　　　　政務を謝安殿と王坦之殿に任せて？
／ィ' .l/　＿＿____／. : :/::V､｀＞　 _ ィ' V l
彡ｨl　／´　　￣7/　: : :l:::rﾍ＞r.ィ´=:ｲ　ﾄ､!
//ﾊｒく__　　　＜'___ _: :l::::＼7≧´:::::/　 l.!　＼
'"fj l　　ﾍ　 _　　／'´ ヽ:::::77::::::::／　　 |l､　　　＼
. : l | ト､＼-_ﾊ「　　　|:://::::／ヽ　　　|.|丶､　　　`
: : V |　　｀＞､ﾊ'.: : .　j/'／´ 　　|l ＝ 'ﾉ　　＼}　/　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::ミi::::::::::::::::::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　　 ′::::::::::::::::::::::::::::::::Y::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::::::::::::::::::::／::::::::::r=ぅ:::::::::::::_:::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_|:::::::::::::::::::::::::::_彡:/^7::::彡'　ミ:::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/r V::/:::::::::::::::::::::/j::j　""　　　　ﾐ::::ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　八{ﾊ.V {::/:::::::::::／/:/　　　　　　　}:/　′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽｰi ﾚ __彡 ' _.／　　　　_,,,...=ぇ |i /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　込ト-r≧====x ＿r≦====x〃「
　　　　　　　　あいつらはお前が処分する所じゃない　　　　　　　　　　　　　　 ‘，　辷=-///￣ヽﾆ=-///j /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　，　`ー一'　i　　 `ー一'　′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 ∧　　　 :..　　ﾉ　　　　 ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣｀7　iヽ　　＿　二....＿_　　/ ⌒ヽ￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 /　 .＼へ　　こ二ヽ＼〃　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　｀ヽ＞　＿,　＼> 厂￣｀＞＼

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　兄の下に駆けつけて来たのか、
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　弟の桓沖が謝安と王坦之の処遇について尋ねた事がある。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　桓温は自身の存命中には二人が異を唱えず、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .桓沖が二人を殺害しても無益な上、時望を失うとして謀を止めさせた。
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　弟へ出過ぎた真似をしないよう釘を刺したのだろう
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
608 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/29(木) 00:03:11.56 ID:3s2rJNPI0: 　　　　　　　　　　　　　　　／／　／　,　'.　/!ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 / ﾊ　 ./　　./　 l^　l　'.
　　　　　　　　　　　　　　.' / {／　　/　　l　　{　!
　　　　　　　　　　　　　 l '　_ ＼　 /　　 { 　／j
　　　　　　　　　　　　／{ﾄ. ヽ`､ヽ' ──` ' / }　　　　　　　　.もう一つ確認したい事が。
　 _ ィ7ィヶ-　.＿＿／_,ィﾊ＼｀′'　ｒ-ッ　 / /'
ィ彡7' , /　　　　　　／: :|ﾄ.　_`､'_. -`´─ィ7′　　　　　　　　跡目をどうするので？
／ィ' .l/　＿＿____／. : :/::V､｀＞　 _ ィ' V l
彡ｨl　／´　　￣7/　: : :l:::rﾍ＞r.ィ´=:ｲ　ﾄ､!　　　　　　　　　　すでに騒ぎ立てている者もいます
//ﾊｒく__　　　＜'___ _: :l::::＼7≧´:::::/　 l.!　＼
'"fj l　　ﾍ　 _　　／'´ ヽ:::::77::::::::／　　 |l､　　　＼
. : l | ト､＼-_ﾊ「　　　|:://::::／ヽ　　　|.|丶､　　　`
: : V |　　｀＞､ﾊ'.: : .　j/'／´ 　　|l ＝ 'ﾉ　　＼}　/　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::ミi::::::::::::::::::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　　 ′::::::::::::::::::::::::::::::::Y::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::::::::::::::::::::／::::::::::r=ぅ:::::::::::::_:::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_|:::::::::::::::::::::::::::_彡:/^7::::彡'　ミ:::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/r V::/:::::::::::::::::::::/j::j　""　　　　ﾐ::::ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　八{ﾊ.V {::/:::::::::::／/:/　　　　　　　}:/　′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽｰi ﾚ __彡 ' _.／　　　　_,,,...=ぇ |i /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　込ト-r≧====x ＿r≦====x〃「
　　　　　　　　　　　　　　　頭が痛いな　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .‘，　辷=-///￣ヽﾆ=-///j /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　，　`ー一'　i　　 `ー一'　′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 ∧　　　 :..　　ﾉ　　　　 ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣｀7　iヽ　　＿　二....＿_　　/ ⌒ヽ￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 /　 .＼へ　　こ二ヽ＼〃　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　｀ヽ＞　＿,　＼> 厂￣｀＞＼

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　以下私見。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　桓温が禅譲に消極的だったのは、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .自身の病状以外に後継者問題を抱えていたためかもしれない
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
609 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/29(木) 00:05:14.84 ID:3s2rJNPI0: 【桓温の諸子（男子）＠『晋書』『桓温伝』】
┌─────────────────────────────┐
│●桓熙　→　世子　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .│
│●桓済　→　臨賀県公　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..│
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .│
│●桓歆　→　後の臨賀県公　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　......│
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .│
│●桓禕　→　兄弟中最愚、愚昧無知的な事を『晋書』に書かれる　　　 │
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .│
│●桓偉　→　後の安西将軍・荊州刺史・西昌侯　　　　　　　　　　　　　　│
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .│
│●桓玄　→　後の南郡公　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　....│
└─────────────────────────────┘

／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/　　　　　桓温には息子が六人いたが、
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　　　　　　本来世子の桓熙は才弱であるとして、率いる兵を桓沖預かりにされていた。
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/　
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:　　　　　　　　幼少だった下の二人を除いて、凡庸・愚昧といった人物が目立つ
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼　
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿__　
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／　／　,　'.　/!ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ﾊ　 ./　　./　 l^　l　'.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.' / {／　　/　　l　　{　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l '　_ ＼　 /　　 { 　／j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／{ﾄ. ヽ`､ヽ' ──` ' / }　
　しかも悪い事に兄上の病中に、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ ィ7ィヶ-　.＿＿／_,ィﾊ＼｀′'　ｒ-ッ　 / /'
　桓熙は弟の桓済や叔父の桓秘と共に私の暗殺を謀った。　　ィ彡7' , /　　　　　　／: :|ﾄ.　_`､'_. -`´─ィ7′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ィ' .l/　＿＿____／. : :/::V､｀＞　 _ ィ' V l
　一網打尽にして長沙郡へ配流したがね　　　　　　　　　　　　　 .彡ｨl　／´　　￣7/　: : :l:::rﾍ＞r.ィ´=:ｲ　ﾄ､!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //ﾊｒく__　　　＜'___ _: :l::::＼7≧´:::::/　 l.!　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '"fj l　　ﾍ　 _　　／'´ ヽ:::::77::::::::／　　 |l､　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . : l | ト､＼-_ﾊ「　　　|:://::::／ヽ　　　|.|丶､　　　`
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 : : V |　　｀＞､ﾊ'.: : .　j/'／´ 　　|l ＝ 'ﾉ　　＼}　/　
610 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/29(木) 00:06:57.32 ID:3s2rJNPI0: 【紀元３７３年２月　晋　揚州　姑孰】

　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::ミi::::::::::::::::::::::::::::.
. 　　 ′::::::::::::::::::::::::::::::::Y::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　 i::::::::::::::::::::／::::::::::r=ぅ:::::::::::::_:::::::::::::i
　　　_|:::::::::::::::::::::::::::_彡:/^7::::彡'　ミ:::::::::　　　　　　　　　 .しょうがねぇ。
　　/r V::/:::::::::::::::::::::/j::j　""　　　　ﾐ::::ハ
.　八{ﾊ.V {::/:::::::::::／/:/　　　　　　　}:/　′　　　　　　　　俺の跡目は敬道に継がせよう。
　　ヽｰi ﾚ __彡 ' _.／　　　　_,,,...=ぇ |i /
　　　込ト-r≧====x ＿r≦====x〃「　　　　　　　　　　　あれは出来がいいと思いたい
.　　　　 ‘，　辷=-///￣ヽﾆ=-///j /
　　　　　　，　`ー一'　i　　 `ー一'　′
.　　　　　 ∧　　　 :..　　ﾉ　　　　 ∧
￣￣￣｀7　iヽ　　＿　二....＿_　　/ ⌒ヽ￣￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //　　Ｙ　　 :||　＼/　　 .∧
.　　　 /　 .＼へ　　こ二ヽ＼〃　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧　　　 |　　　 |　　 |　　　 ∧
　　　 /　　　｀ヽ＞　＿,　＼> 厂￣｀＞＼　　　　　　　　　　　　　　　　　 { ∧　　 !|　　　 |　　 |l　　 / ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧　＼ /　　　 !|　　 ∧　 /／ l}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 j{　{　　　￣＼　 |　／￣￣　　∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{ }　{　　　　　　＼」／　　　　　　//ｈ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ||　}　　＿＿　　 ||　　＿＿　　/ |ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ト､|ｌi　＼,＿＞　|　＜＿,／　/　ﾘ
　　　　　　　　しかし、あの子は七歳ですよ　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .」「ト､　　　　　||　　　＿､-,イ7/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ||∨∧￣`-､　 |　､／　　７/,〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ // ∧　　、＼_／_,　　,人　:∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _　　　 / // /}＾℡ 　￣¨ﾟ￣　／＾{∧ ',∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _.,ィ７ム　 / //ノ∧二≧ｓ、＿,.ィ７仁.八.∧ ',∧ｒ――ュ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〔ﾍ∨//∧＜＿／/-∧「―∧ＴＹ/∠__//―「「＞-/////

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　ここで登場するのが末子の桓玄である
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
611 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/29(木) 00:09:28.56 ID:3s2rJNPI0: 　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::ミi::::::::::::::::::::::::::::.
. 　　 ′::::::::::::::::::::::::::::::::Y::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　 i::::::::::::::::::::／::::::::::r=ぅ:::::::::::::_:::::::::::::i
　　　_|:::::::::::::::::::::::::::_彡:/^7::::彡'　ミ:::::::::　
　　/r V::/:::::::::::::::::::::/j::j　""　　　　ﾐ::::ハ
.　八{ﾊ.V {::/:::::::::::／/:/　　　　　　　}:/　′
　　ヽｰi ﾚ __彡 ' _.／　　　　_,,,...=ぇ |i /
　　　込ト-r≧====x ＿r≦====x〃「　　　　　　　　　　　　あれが育つまでは、お前が代わりになれ
.　　　　 ‘，　辷=-///￣ヽﾆ=-///j /
　　　　　　，　`ー一'　i　　 `ー一'　′
.　　　　　 ∧　　　 :..　　ﾉ　　　　 ∧
￣￣￣｀7　iヽ　　＿　二....＿_　　/ ⌒ヽ￣￣　
.　　　 /　 .＼へ　　こ二ヽ＼〃　　　＼　　
　　　 /　　　｀ヽ＞　＿,　＼> 厂￣｀＞＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／　／　,　'.　/!ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ﾊ　 ./　　./　 l^　l　'.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.' / {／　　/　　l　　{　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l '　_ ＼　 /　　 { 　／j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／{ﾄ. ヽ`､ヽ' ──` ' / }　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ ィ7ィヶ-　.＿＿／_,ィﾊ＼｀′'　ｒ-ッ　 / /'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ィ彡7' , /　　　　　　／: :|ﾄ.　_`､'_. -`´─ィ7′
　　　　　　　　内外に忙しくなりそうですね　　　　　　　　　　　　　／ィ' .l/　＿＿____／. : :/::V､｀＞　 _ ィ' V l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　彡ｨl　／´　　￣7/　: : :l:::rﾍ＞r.ィ´=:ｲ　ﾄ､!　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//ﾊｒく__　　　＜'___ _: :l::::＼7≧´:::::/　 l.!　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'"fj l　　ﾍ　 _　　／'´ ヽ:::::77::::::::／　　 |l､　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. : l | ト､＼-_ﾊ「　　　|:://::::／ヽ　　　|.|丶､　　　`
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : V |　　｀＞､ﾊ'.: : .　j/'／´ 　　|l ＝ 'ﾉ　　＼}　/

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　 .とはいえ、七歳では幼少過ぎるため、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　叔父桓沖の庇護下に置かれたようである。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .桓温の死後十年ほど、桓沖が実質的な桓氏当主として扱われる
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
612 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/29(木) 00:10:17.75 ID:3s2rJNPI0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　．　　　　　　　　　 ,','
　　_　_　_　_　：_　：_　　　　_　_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,','
　　　　　　　_　_　_　_　：_　：_　　　　_　_　　　　　　　　　　　　　 ,','
　　　　　_　_　_　_　：_　：_　　　　_　_　　　　　　　　　　　　　,','　　　　　　　　　‥∴
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,','　　　　　　　　‥∴
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,､､-‐=＝‐- ,,　　　　　　,','　．
　　　　　　　　　　　　　　　 ,.　. :"´ .: .: .¨¨¨｀｀´.: .｀`ヽ､　　,','
　　　　　　　　　　　　,.　-'´　 .: .:. .:'´　.:｀`ヽ .: . .: ノ .: .｀`ヽ‐ ､　　　　　　　　　　　　　　　：　．
　　　　　　　　　,. .ィ´　.:.;:.:; 'ﾞ´ . :;;　　. . 　..:.｀`Y´ .: .:. : .:. :`ヽ｀`ヽ
　　　　　　 ,.ィ´.:, ｲ;:; :; :;;'′.:;:;:;;,'′.: ;:; :; .: .: .:. .: .'"´　　｀`ヾ .:.: :..｀ヽ
　　　　　,.ｲ.:.:;,'´. :.!;:.:.:.:.;'　.:;:;:;;:;j!;;:.::;;.:.:　. : .: .: .: .:...　　　...,,;:;; ji､;:;:;i!.:..',
　　　　｛{;;;:'.:′;;;:;{;;;:;:;,′.:.:;;:.:.j;;;:;:;:..:;:,;.:. . ..: .: .:. :. :. :. :.:.;;:.:.:;:､;.:.:.:.ji!;;:.:}
　　　　　ﾞ;.､;:; .:.;;:;:;'､;;:;',.　.:;;:;:;:i!;:;:.　.:.:..　. :. :. :. :. :. :. :;;::;:;;;:;:;:;:j!;;:.:.:j!;;:;;!............................................
　　　　　　 `ヽヾ;;:.:.;;;;;;;;;;;;;:;;;::;:;;;', .: .:;;:.: .: .: .: .: .: .;.:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;:;ﾉ;;;:;:;ﾉ;;:;ﾉﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ
　　　　　　　　　｀¨`ヽヾ;;:;:;:;;;;;;:;: ;　.:.:;;　.: .: .: ;;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'ﾞ.:;:;:ィ;;:;ｲ
　　　：　．　　　　　,',　　｀¨''''ｰ-､.:;:;.:.:. .: .: .:;;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:イ;;;:;ィ'´.:'´
　　：　．　　　　 ,　′　　　　　　　　｀`''ｰ-………-‐'''ﾞﾞﾞ´　　　　：　　_ _ _ 　　　　_ _ 　　：　．　　　　　　：
　　　　　　　　　,　,′　　∴∵　　　　　　　　　::　　　　　　　　　：　　　　　：　　　　：　　　　_ _　　　　　　：
　　　　　　　 ,　　,′　　　　　　　　　　　　　　 ::　　　　　　　：　　_ _ _ 　　　　_ _ 　　：　．　　　　　　：
　　　　　 ,　　 ,′　　　　　　_ _ 　　：　．　　::　　　　　　　　　　　　　　　∴∵∴∵
　　　　 ,　　　　,′　　　　　　　　　　　　　　 ::　　　　　　‥∴
　　　,　　　　　,　　　　　　　　　　　　　　　 ::　　　　　　　　　　　：　　　　　：　　　　：　　　　_ _

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　思いの外に桓温の話も長くなったが、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　最後に『世説新語』『品藻篇』から彼の人柄を示す逸話を紹介したい
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
613 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/29(木) 00:12:24.41 ID:3s2rJNPI0: 　　　　　 , '´￣￣｀ｰ-､
　　　／: : : r‐r==========、
　　 /: : /├l‐１ ―――――|
　　,': :∧〉}‐ヒL二二二二二.｣
　　{: :ｉ: ｉ /ゝﾉｲﾉ　l/　―　ｌ :}　　　　　　　　　世間では謝安殿が王坦之殿より優れていると言われています。
　　| :ﾚ　| 　　●　　　●　ｌ :|
　　|: i: （|.⊂⊃　､_,､_,　⊂ l:/　　　　　　　　　.是非大司馬の御意見をお聞きしたいと士大夫Aは問いかけます
　i⌒ヽ: :ゝ　　　　　　　　ﾙ|_／⌒)
　ヽ　ヽ从ヽ,､　 __,　イ从/ ヽ／
　　∧___,ﾍｉ.ｉ:.:＼__八__／:ｉ.ｉ　　ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::｀ヽ
　　ヾ　　 .}.}:.:.:.ヽゝoi|.|:.:.:}.}　　ｿ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／〃〃:::::::::::::::::::::::::::｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::／.ｨ//:／"´｀`ヾ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:::::::::: ///／ ///　　　　　ﾐ:::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ|::::::, /// 　 / ハ　　　　　ミ:::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　从:j// 乂､､,,,,,,ノ　_,,,,,､彡⌒　Ｙ:::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂:::{_仁三三三}⌒{三三三气_}::｛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /⌒ＹV三三三/ 　∨三三三ｊＹ'＾ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｛ {⌒j `ー─＜/　　､`ー─＜ } し'｝
　　　　　　　　　謝安と王坦之か。　　　　　　　　　　　　　　＼｀ﾊ　　　　ヾ.:.::ノ　　　　　ﾊ. /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｰ:.　　　 __＿__ 　　　 /／
　　　　　　　　　そうだな　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ヽ　　 ´　＿,, 　｀　　ｲﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣｀ヽ　　　　　　　／ﾍ:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　圭二二ニ＝─-､_）､_＿＿__／　　 ∨::＼、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／, ′／´￣￣｀ヽ八　　/　　　　 ',::::::∧｀:::...､、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ .． ´.::/　　 , -―- ､__ソ /二∧　　　　　 j!:::::: ∧:::::.:.:.:｀ . . 、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . : :.:.::::/　　／　, -―- ､__ソ'///∧　　　　ハ:::::::::∧:::::.:.:.:. . . . .
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . . : :.:.:.:::{　　　／　＿　｀ヽ∧////∧　　　/　 ! ::::::: ∧:::::.:.:.:. . . . .

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　ある人が桓温へ謝安と王坦之の優劣を質問した
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
614 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/29(木) 00:13:05.63 ID:3s2rJNPI0: 　　　　　　　ゝ/´/////彡∧i‐-､
　　　　　／////＞≦_フ´ﾞﾞ‐-､∧
　　　　／///／{::::::::::::::::ヽ=γ￣＞､
　　　 ////／ゝ､ヽ:::::::::::::::ﾉ　＼::::::::::ヽ
　　　,//／／　　｀￣￣　〈⌒´i‐‐､´
　　γ⌒ヽ' 　　　　　 ,, 　　ヽノ　　 i　　　　　　　　　　いや、やめておこう。
　　 i |i､｀)　　　　　　'ゝ二二二二７　,
　　　､` ヽ　　　　　　　　｀‐-==-　　i　　　　　　　　　　.お前は人の言葉を好んで言いふらす。
　　　　､ゝλ　　　　　　　　　　　 i
　　　　 ∨i　､　　　　　．＜三ヽ　ノ　　　　　　　　　　答えるわけにはいかん
　　　　　∨ 　＼‐‐ ´////////／
　　　　　　〉　　　＼/////////,i
　　　　／ {｀､　＼､｀　ヽ////,i
　　ゝ´:::::::∧､　￣　　 ‐-,-ヽ-‐iヽ
´::/::::::::::://∧:.　　　　　 /‐-‐∨ i∧､
::/:::::::::::////∧　　　　 ∧:::::::::::∨i/∧｀....､
/､:::::::ノ/////∧　　／　ヽ::::::::::iヽ///､::::::ヽ::.‐-　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , -‐ '´￣￣｀ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒ===========r‐、: : ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |.―‐――‐―丨‐l┤、 :ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ｌ二二二二二」.ﾆ|‐{ﾐi : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {/ /ゝ､ﾉｲﾉl/ ＼　ﾄl!: : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |l:/|/● 　　　●　　ト、: :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|/!:ll⊃　､_,､_,　⊂⊃ﾉ: : ｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/⌒ヽ__|ﾍ　丶_ノ　　 ..ｲ:i : :/⌒i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . ＼ /:ノ从ヽ,､　 __,　イﾄ:}ﾉ/　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　//ヾゝ八__／:.:.//ﾍ､__∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、.{ {:.:.:.|.|oi//:.:.:.:.{.{ ;_、_　,'

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　桓温は答えかけたのを止め、後悔して相手に言い渡した。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　以前に桓温は朋党雷同・私議沸騰の抑制を訴えた事があるが、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　党派を形成して無闇に他者の言動に同調する類の行為が嫌いなのだろう。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　自分もそうした経験で苦労したかのような言いまわしだ
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
615 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/29(木) 00:16:18.71 ID:3s2rJNPI0: 　　　　　　　/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : /: : : :／:::.:／　ヾ:.:.::./:.:.＼
　　　　　　 ,': : : : : : : : : : , -‐ ､:.:.:./ィ/:.::.／:.:.:.／　　　 }:.:./::.:.:.:.:.i
.　　　　 i: : : : : : : : ::／／⌒ヽ:.:.:.:/::／/.:ィ' 　￣三ミ､/:.∧:.:}.:l
　　　　　　{: : : : ::.:.:.:.:.:{　{　 ,ハ .}三≧二ﾆﾆ==─┬┬弌:/　}:/}′
　　　　　　',: : :.:.:.:.:.::.:.:.:',　 ./ヽj　}　　　　　　　　￣|////{j　 .|′
　　　　　　 ',:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.', 〈ノヽ　　　　　　　　　 |////ヽ
　　　　　　　',:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::j､乂ﾉ　　　　　　　　 {/// 　',
　　　　　　　 i:.:.:.:.:.::.:.:，＜ヽ_|　　　　　　　　　 `ｰ′ 　V
.　　　　　　 }:.:.:.，＜　　　　|　　　　　　　　　 /　_ 　〉　　　　　　　　九錫をもらってきたら教えてやるよ
　　　　　　　/¨¨　　　　　　　|　　　　　　ｒ_､_　　　　ｒ''¨
.　　　　＿/　　　　　　　　i　{　　　　　　　＼ﾆ=‐-′
　　　／　　＞，. 　　　　i　＼　　　　　　　　　　￣)､＼
　／　　　　　　＞，.　　　 i　　＼　　　　　　 /　＼. ＼
／　　　　　　　　　　＞，　 i　　　　＞，.　　　　　 /　　　 ¨¨¨
＼　　　　　　　　　　　　＞，　　　　　＿＞，＿/
　＼　　　　　　　　　　　　　＞，　／
　　　＼　　　　　　　　　　　＞，
　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　＼

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　寧康元年（三七三年）七月。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　桓温は六十二歳で死んだ。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .死の間際まで自身に九錫を加えるよう
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　朝廷へ働きかけたが、結局死後に丞相を追贈されている
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
616 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/29(木) 00:18:12.30 ID:3s2rJNPI0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|7,.ｲ　　|7,.ｲ　　 |7,.ｲ　　　|7,.ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ-'' イ　　ﾄ-'' イ　　ﾄ-'' イ　　ﾄ-'' イ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　し'/ :|　　し'/ :|　　し'/ :|　　し'/ :|　　＿ﾄ,ｨ　　　　　　　　,ｨ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､//| |　　.､//|｜　.､//|｜　.､//|｜　７「　　ﾄイ　,ﾍﾉ|　ｲ |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　し' :|/ 　　し' :|/ 　　し' :|/ 　　し' :|/　　/,ｲ」　　し'　ヽノ　し'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,､､-‐=＝‐- ,,　　　　　　,','　
　　　　　　　　　　　　　　　 ,.　. :"´ .: .: .¨¨¨｀｀´.: .｀`ヽ､　　,','
　　　　　　　　　　　　,.　-'´　 .: .:. .:'´　.:｀`ヽ .: . .: ノ .: .｀`ヽ‐ ､　
　　　　　　　　　,. .ィ´　.:.;:.:; 'ﾞ´ . :;;　　. . 　..:.｀`Y´ .: .:. : .:. :`ヽ｀`ヽ
　　　　　　 ,.ィ´.:, ｲ;:; :; :;;'′.:;:;:;;,'′.: ;:; :; .: .: .:. .: .'"´　　｀`ヾ .:.: :..｀ヽ
　　　　　,.ｲ.:.:;,'´. :.!;:.:.:.:.;'　.:;:;:;;:;j!;;:.::;;.:.:　. : .: .: .: .:...　　　...,,;:;; ji､;:;:;i!.:..',
　　　　｛{;;;:'.:′;;;:;{;;;:;:;,′.:.:;;:.:.j;;;:;:;:..:;:,;.:. . ..: .: .:. :. :. :. :.:.;;:.:.:;:､;.:.:.:.ji!;;:.:}
　　　　　ﾞ;.､;:; .:.;;:;:;'､;;:;',.　.:;;:;:;:i!;:;:.　.:.:..　. :. :. :. :. :. :. :;;::;:;;;:;:;:;:j!;;:.:.:j!;;:;;!............................................
　　　　　　 `ヽヾ;;:.:.;;;;;;;;;;;;;:;;;::;:;;;', .: .:;;:.: .: .: .: .: .: .;.:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;:;ﾉ;;;:;:;ﾉ;;:;ﾉﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ
　　　　　　　　　｀¨`ヽヾ;;:;:;:;;;;;;:;: ;　.:.:;;　.: .: .: ;;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'ﾞ.:;:;:ィ;;:;ｲ
　　　：　．　　　　　,',　　｀¨''''ｰ-､.:;:;.:.:. .: .: .:;;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:イ;;;:;ィ'´.:'´
　　：　．　　　　 ,　′　　　　　　　　｀`''ｰ-………-‐'''ﾞﾞﾞ´　　　　：　　_ _ _ 　　　　_ _ 　　：　．　　　　　　：
　　　　　　　　　,　,′　　∴∵　　　　　　　　　::　　　　　　　　　：　　　　　：　　　　：　　　　_ _　　　　　　：
　　　　　　　 ,　　,′　　　　　　　　　　　　　　 ::　　　　　　　：　　_ _ _ 　　　　_ _ 　　：　．　　　　　　：
　　　　　 ,　　 ,′　　　　　　_ _ 　　：　．　　::　　　　　　　　　　　　　　　∴∵∴∵
　　　　 ,　　　　,′　　　　　　　　　　　　　　 ::　　　　　　‥∴
　　　,　　　　　,　　　　　　　　　　　　　　　 ::　　　　　　　　　　　：　　　　　：　　　　：　　　　_ _

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　果たして、晩年の桓温の事績はどこまでが真実なのだろう？
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
617 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/29(木) 00:19:08.76 ID:3s2rJNPI0: 　　　　　　　　　　　　 ´:::::／:::::::::::::::::::: ｀丶、
　　　　　　　　／::::::／ :::::::::::::::::::::::: ＼:::::＼
　　　　　　　　　 /::::/::/::::::/::::::::::::::/ ::::::::: ﾄ::::::::::.
　　　　　　 / :::::::/::::::/:::::::::::／}::::::::::::::|∧:::::::::..
　　　　　　　　 ;:::::::::::::::::: |_彡＜　/::::::::/::/　 i:::::::::::＼
　　　　　　　 |::::::|:::|::::;斗=ｧミ_ /::::::::/::/‐￢ト:::::|::::::::＼
.　　　　　　　 ,::::::八|:弌 r公ﾘ /∨／}斗ｧ=ミ|:::::::|::|¨¨⌒
　　　　　　　 /i ::::| :::::::::ゝ　　　　　 r公ﾘ　》:::::|::|
.　　　　　 /:::i ::::|:::::ｉ::::|　　　　　　/ 　　　 7 :::::: |
　　　　　 / ::::i ::::|:::人::|　　　　　　　　　　 / ::::::|リ
.　　　　 / ::::: i ::::| ::::::仆 . 　　 '　ヽ　　 /|:::::::::|
　　　　 / ::i ::: |:::::::::::::::|个ﾄ　　　　　　　イ´| ::::|::|
.　　　 / ::: i:: 八::::/| ::::|::Ｌ|　　　ｰ=≦::::::::i::::| ::::|::|
　　　/:::::::::i::::＿V:::| ::::|/　≧=- ,,_　/ ::::: i::::| ::::|::|
　　 .::::::::::: i:ｉ《二》《| ::::|＼　　　 └片i ::::i::::| ::i:|::|
　　 :::::::_,,::斗匕＼_| ::::|　　　　／∨_,丈::ﾉ::;;| ::i]八_
　　|::: /　　　　　 | ::i:|　　 ∨＼∧　}}＼《＾| ::|ﾆ二》
　　|::::|⌒丶　　　　| ::i:|　　　∨/　厂[＼＼| i:|《 ::|::＼　　　　　　　　　　　　　　　　 , --──-､
　　|::::|　　　　　　| :从ﾆﾆﾆ7/　 /| i |＼∨| i:｢＼|::::::::＼　　　　　　　　　　　, イ /　　　　　　.ﾍ　ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　!ー､〉　__ j　j __〉-ﾉ　i
　　　|7,.ｲ　　|7,.ｲ　　 |7,.ｲ　　　|7,.ｲ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.ヾ＿,,;;》 `-"::: `-"l＿.ジ
　ﾄ-'' イ　　ﾄ-'' イ　　ﾄ-'' イ　　ﾄ-'' イ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　ヽ　' ＿ ` ｲ　　
　し'/ :|　　し'/ :|　　し'/ :|　　し'/ :|　　＿ﾄ,ｨ　　　　　　　　,ｨ　　　　　　　　　　l　l　　´＝｀　l　
　､//| |　　.､//|｜　.､//|｜　.､//|｜　７「　　ﾄイ　,ﾍﾉ|　ｲ |　　　　　　　　　ﾉ　.ヽ＿,､__ノ　
　し' :|/ 　　し' :|/ 　　し' :|/ 　　し' :|/　　/,ｲ」　　し'　ヽノ　し'　　 _, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::　
618 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/29(木) 00:21:28.75 ID:3s2rJNPI0: 　　　　　／: :./: : : : : : : : : : : : :: : : : : : : : : : : : : i
.　　　　/ : : ./: : : : : : : : : :/: : : : : : : : : :: : : : : : :.!
.　　　 / :.／|: : : : : : : : .M〃''''''气ミ.: : : : : : : : . .|
　　　/／　 .!: : : : :/:/ :.|　　　　　　ミ: : : : : : : : :|
.　　　　　　|.: : : ./:/,ハ!　　　　　　　|: : : : : : : : :|　　　　　　　あれが桓温の後継ぎか？
.　　　　　　|:从:.{≧　　　　　　　　　 |: : : : : : : : :|
.　　　　　　 iハハfう　 `≦-- ．　　　|: : : : : : : :,'　　　　　　　.親父の若い頃より立派じゃないか。
.　　　　　　 !　.! !.`¨j　　f うﾄ､　｀ヽ　し'´ヽ: : /
　　　　　　　　　|　/　　　弋ｿ〉　　　　/い〉/_　　　　　　　　.お前も見習え
.　　　　　　　　　!/　　　　　　　　　　ｲノ/∧: :ヽ
　　　　　　　　　ﾊヾ　　　　　　　　　しｲ/.:...〉: : }
.　　　　　　　,ィ'' ﾊ ‐ ､　　　　　　ｒ　　　{／: : : }:＼　　　　　　　　　　　　　　　　　__ ,.､＜´￣∨￣ヽ＜ヽ､、
　　　　　　　{: : :{:.ﾍ　ヽ　　　　 ,ｲ.　　　_.ﾉ: : : : ﾉ.ヽ:.＼　　　　　　　　　　　　　　／::::〃〃::::::::ヾ/::｝:::!::::ヾ:ヽ＼
.　　　　　　/.|: : :{:.:.ﾍ　　　　 ,ィ　　 ,.‐'"／: : : : /:.:.:.}: : :.!　　　　　　　　　　　　 ,:′〃〃:::::::::/ヾﾒﾍ:::/::::::ｲ::::}:::ヘ
.　　　　　 /: :|: : :.}:.:.:.:｀二¨ 　__,.‐'" .／: : : : : ./:.:.:./: : : |　　　　　　　　　　 //:::::::::::::::i::::::::!　　 !/ !::/ j::/:::::::::ﾍ
　　　　　/: : : !: : :}:.:.:.:|.　|　.f 　　.／: : : : : _,ノ:.:.:../: : : : :＼　　　　　　　 /ｲ:::::::::::::::::ﾄ､::::|_,ノ /ムｊ/ｰ/ﾊ::}::::::::ヾ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￤i::: |:::i:::!ﾍ√∨ﾍ　　 ,/　/｀ﾘソﾉ::!::}　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::|:::ﾄﾘ_ﾘ廾ﾍミ　　ゝ_/__/_/ｲ:::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾﾘ::::ﾍゝ__f;j__　　　　__f;j__ゝｲ:::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｛ |::::! ＼　　　　 j　　　　　　 j:::!｝
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀|::::',　　　　　　　　　　　 /!:::!
　　　　　　　　　　　　　　　うるせえよ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!:::::ﾄ、　　　　　　　　 / ｊ::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !:::::| ゝ　　r ── ､　　,'　ﾘ:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!::::|／:＞､´ ￣￣｀イ　　ｊ:::j
　　　|7,.ｲ　　|7,.ｲ　　 |7,.ｲ　　　|7,.ｲ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿__ノｊ:::|::::::::::ﾚi＞､　イ;;;;l 　　!/
　ﾄ-'' イ　　ﾄ-'' イ　　ﾄ-'' イ　　ﾄ-'' イ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／;イ::::::::ノｲ　　ヾ;;;;;;;;;;;;i、　/
　し'/ :|　　し'/ :|　　し'/ :|　　し'/ :|　　＿ﾄ,ｨ　　　　　　　　,ｨ　　　　　　　/´/::::＞ｿﾉﾉ八　　 / 　ヽ､、＿
　､//| |　　.､//|｜　.､//|｜　.､//|｜　７「　　ﾄイ　,ﾍﾉ|　ｲ |　　　　　　　　/／//ノ　　　ゝ　 <　　　ヽ:::::::::::｀ヽ
　し' :|/ 　　し' :|/ 　　し' :|/ 　　し' :|/　　/,ｲ」　　し'　ヽノ　し'
619 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/29(木) 00:22:07.60 ID:3s2rJNPI0: 　　　　　　　　　　　 , -‐ '´￣￣｀ヽ､
　　　　　　ｒ===========r‐、: : ＼
　　　　　　 |.―‐――‐―丨‐l┤、 :ヽ
　　　　　　Ｌ二二二二二」.ﾆ|‐{ﾐi : : |
　　　　　　　　 {/ /ゝ､ﾉｲﾉl/ ―　ﾄl!: : :|
　　　　　　　　 |l:/|/● 　　　●　　ト、: :|
　　　　　　　|/!:ll⊃　､_,､_,　⊂⊃ﾉ: : ｜
　　　　　　/⌒ヽ__|ﾍ　　　　　　 ..ｲ:i : :/⌒i
　　　　 . ＼ /:ノ从ヽ,､　 __,　イﾄ:}ﾉ/　 /
　　　　　　/　　//ヾゝ八__／:.:.//ﾍ､__∧
　　　　　　ヽ、.{ {:.:.:.|.|oi//:.:.:.:.{.{ ;_、_　,'　　　|7,.ｲ　　|7,.ｲ　　 |7,.ｲ　　　|7,.ｲ　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ-'' イ　　ﾄ-'' イ　　ﾄ-'' イ　　ﾄ-'' イ　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　し'/ :|　　し'/ :|　　し'/ :|　　し'/ :|　　＿ﾄ,ｨ　　　　　　　　,ｨ　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､//| |　　.､//|｜　.､//|｜　.､//|｜　７「　　ﾄイ　,ﾍﾉ|　ｲ |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　し' :|/ 　　し' :|/ 　　し' :|/ 　　し' :|/　　/,ｲ」　　し'　ヽノ　し'

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/＼＿＿_／ヽ　　　　　　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／''''''　　　'''''':::::::＼　　　　　　／''''''　　　'''''':::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　 |（●）,　　　､（●）､.:|　　　　. 　 |（●）,　　　､（●）､.:|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|　　　　　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　 |　　｀-=ﾆ=- '　.:::::::|　　　　. 　 |　　｀-=ﾆ=- '　.:::::::|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／　　　　　　＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-､　　　 ,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-､　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i　　　:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|　　　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜　　　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　『晋書』『桓玄伝』によると、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　桓温の葬儀には文武の諸官が桓沖の下へ別れの挨拶にやって来た
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
620 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/29(木) 00:24:08.55 ID:3s2rJNPI0: 　　　|7,.ｲ　　|7,.ｲ　　 |7,.ｲ　　　|7,.ｲ
　ﾄ-'' イ　　ﾄ-'' イ　　ﾄ-'' イ　　ﾄ-'' イ
　し'/ :|　　し'/ :|　　し'/ :|　　し'/ :|　　＿ﾄ,ｨ　　　　　　　　,ｨ
　､//| |　　.､//|｜　.､//|｜　.､//|｜　７「　　ﾄイ　,ﾍﾉ|　ｲ |
　し' :|/ 　　し' :|/ 　　し' :|/ 　　し' :|/　　/,ｲ」　　し'　ヽノ　し'

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,才⌒ｱ弐z_　　　　　　　　　　　.ハ　.ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｨく{{才≦＝才_　　　　　　f＜　　∧ ∨.{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_斗f个'"´气=ミ≦　　　　　＞ .｀ヽ　}　}. {
　　　　　　　ﾊ　　　　　　　　　　　　　　乂匕　　ノ才ｵ=ミ　　　　　　　＼ヾﾊ｀Y
　　　　　　 j　} ./ }　　　　　　　　　　　　ハ岩.彳豺　:_ﾉ{.　　　　　 fﾆニ｀ヽ　　 :}
　　　　　　 _}　ﾚ ./　　　　　　　　　　　　　∧　j　　_　,ﾊﾘ　_ 　　　　　 .∨　　　!
　　　　　〈 :} .ﾞ f＞ーｧ　　　　　　　　　＼≠ｧ /才ｱｲハ_　-==ミ　　　乂_　　|
　　　　　　}ﾉ　 /　/´-ァ　　　　　　　＞ー＝ｭ才ｱ{f. . ./ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ_＼才ﾆ}＿　}二ﾆ=-　 _
　　　　　ハ　　ｲｨ´　　　　　　　才 {:! /八／　 {∨. . }ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆハ. ｲ}＿彡ﾘﾄﾆﾆﾆﾆ=＼
.　　　　　　∧　　　{ﾊ　　　　　　/ 才从{ーｭ⌒ヽ_}ハ__ハﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ/ /ル__彡ｲ: 〉ﾆﾆﾆﾆﾆ{
　　　　　　　∧　　 }: :＼　　　 /_/彡人ゞ才イ　i｝_乂　}ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ=.∧ ∨　／. : /ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ}
　　　　　　　{:::ゞ-　}: : o}}､　　 .イｲﾊﾘハ｀ー-r|z._ __　∨＠ﾆﾆﾆﾆ才ﾆﾆﾆﾊ :＼{: :才{ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ7
　　　　　　　∨:ゝ-.: : :o{{ .∨(_乂. .// l.八　　　|　　￣弋三二ﾆ=-=ﾆ二三_≧=≦イ∨ﾆﾆﾆ_￣＼
.　　　　　　 ∨::ｲ: : : o}} . . ハ.ー-. . .lハo　　 |　　　o ／. . . . . }ーｧ-　. .〈. .∨. }. . ./.::::::::::::::.＼ﾆ∨
　　　　　　　 ∨ﾘ: : : :oﾊ . . . } . . . . . ' .丶　　 !　　 . ｲ . . . . . . ,. ./三二ﾆ＝ﾐ∨}. ./.::::::::::::::::::::ハﾆ}
　　　　　　　　　}/ : : : o乂. . . . ,. ／イ l .{ o＼｜／o }. . . . . . ,.../.::::::::::::::::::::::::::≧く::::::::::::::::::::::::::::}/　←七歳
　　　　　　　　　￣￣　　｀ヾ/彳　　 '. . ｀Yo.| o f´ . . . . . . /./.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::乂
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧. . }.o.! o { . . . . . . .:ﾞｨ.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::{⌒

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　晋　桓温の末子　桓玄

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　桓玄の涙は面を覆い、人々はこれを異とした
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
621 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/29(木) 00:25:00.79 ID:3s2rJNPI0: 　　　　　　　　　　　　　　　／／　／　,　'.　/!ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 / ﾊ　 ./　　./　 l^　l　'.
　　　　　　　　　　　　　　.' / {／　　/　　l　　{　!
　　　　　　　　　　　　　 l '　_ ＼　 /　　 { 　／j
　　　　　　　　　　　　／{ﾄ. ヽ`､ヽ' ──` ' / }　　　　　　　　敬道。
　 _ ィ7ィヶ-　.＿＿／_,ィﾊ＼｀′'　ｒ-ッ　 / /'
ィ彡7' , /　　　　　　／: :|ﾄ.　_`､'_. -`´─ィ7′　　　　　　　　.彼らは君の家の故吏だったのだ
／ィ' .l/　＿＿____／. : :/::V､｀＞　 _ ィ' V l
彡ｨl　／´　　￣7/　: : :l:::rﾍ＞r.ィ´=:ｲ　ﾄ､!
//ﾊｒく__　　　＜'___ _: :l::::＼7≧´:::::/　 l.!　＼
'"fj l　　ﾍ　 _　　／'´ ヽ:::::77::::::::／　　 |l､　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　／. : :ー-ミメ: .
. : l | ト､＼-_ﾊ「　　　|:://::::／ヽ　　　|.|丶､　　　`　　　　　　　　　　　　　 /. : : : :_刈ﾊ}/ﾉノﾊ
: : V |　　｀＞､ﾊ'.: : .　j/'／´ 　　|l ＝ 'ﾉ　　＼}　/　　　　　　　　　　　　　」-‐=彳　/:f^ｰ-弌{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_j　_彡ｲ､__{{八　　 jﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　爻{　i{　气-芸ﾐ .ｨｱ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ　　　　　　:{ i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ⅵﾍ　　､__　jﾚ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}:.:.＼_rへ　￣ ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　八:.:.:.f==7≧≠,
　　　　　　父は九州の伯であったのだな　　　　　　　　　　　　　　　_rf斗x＜:.:r=7　i　」{乂f二ﾆfvﾍ___
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r==气x　.乂7. : : ￣ : ::才｀＜: : :oヽ　}}ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　77i r､＼.{. o: :__ ＞ ´　　 ∨　｀＜:V}}川
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//| ! iﾊV }_／. :/　　　　　　∨　　 o{ :弌乢
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｲ: !」_|L!i {: : : : :＼o　　　　　V 　 o{ :i: : : .＼　←七歳
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : : : ,^: : : : : : : :＼o　　　　 ',　 o{:.:| : : : : . ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : : 7. : : : : : : : : : : ＼　　　 ′ 7. ,. : : : : : :　.＼

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　桓玄、字を敬道。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　寧康元年（三七三年）の時点で七歳であり、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　父桓温から大変寵愛され、父の死後に遺命で南郡公の爵位を継いでいる。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　桓温自身の爵位を継がせる事で、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　末子の桓玄が桓氏の嫡流と内外に示したわけだ
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────

2655.52 KB Speed:4.4 ↑ VIP Service SS速報VIP 更新専用ブラウザ検索全部前100 次100 最新50 続きを読む

スポンサードリンク

Check

荒巻＠中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)