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やる夫が正史を書くようです６１

461 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:06:55.57 ID:uKT+9upQ0: 　　　　　　　 ,　'´￣￣｀ｰ-､
　　　　　／　　Ｕ　　　　　　＼
　　　　　/　/ 　 {/ 〃　ヽヽl ｌ|
　　　　 ,'　.│.　ﾘ十八評ﾊ十}.人
. 　　　ん　 |　　! ●　Ｖ　●{ﾍｌ　　　　　　　　　こうなったら、
.　　／／（|　⊂⊃　､_,､_, ⊂!ハ　　　　　　　　　私たちの故郷へ逃げるしかなさそうね。
　／／.　　i⌒ヽ.＼　　　　ﾉゝ_／⌒)
　{.　{　　　ﾍ　∧ .} ､ __,　イ　＼ﾍ／　　　　　 .さすがに追って来ないでしょう
　}.　}.　　 ∧｀´ ｜.!:::::Y Y::::) 　／ﾍ
／／.　／:::::ヾ_..ﾉ八:::::∨:::( 　人／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.,Å､　　
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .o|　ｏ!　.ｏ　 i ｏ　!o
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |l l　/〃　ヽヽ} | 　､　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ljﾊ　!イﾊ暐从＼j 　│ 　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l∧}●　Ｖ　● !　　|、ハ
　　　　　　どうせ死ぬのなら、父祖の墓の前で死んでやるわよ　　　　　　　　　　ﾊ.ﾉ⊃ ､_,､_,　⊂⊃ .|ﾉ　ヽ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /⌒ヽ_.ﾘ人　　ゝ._）　./" ./⌒i　　ヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ /／"　＞,､ __　イ{.　ﾍ　 /!　　}　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 /　＼　 (::::::::Y Y:::::.!｜｀´/ﾍ　{ 　{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ／ﾉ　　):::::::∨:::::ﾉ. ヾ..ノ.::::::＼＼丶

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　同じく『晋書』『慕容暐載記』に曰く。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　慕容暐と慕容評ら数十騎は昌黎へ逃走した。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .恐らく父祖の墳墓のある
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　旧都龍城へ逃げようとしたのだろう
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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462 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:08:17.27 ID:uKT+9upQ0: 【紀元３７０年１１月　前燕　冀州　高陽】
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　龍城○　○棘城　○襄平
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　盛楽　　　　　　　　凡城○　　　､-' ﾍ
　　　 ,r'｀ｰ-､_;＿,　　　○　　　　平城　　　薊令支○　　/´　　/
　　 r'´　　　　　　￣ヽ,　　　　　　○　　　　 ◎　　　 ,r'´　　　r'　 r‐
　　 }　　　　　　　　　　{　　　　　　　　　　　　　　 ,.､＿ﾉ　　　　_"7 /　＼_人＿人∧从＿人_∧_人_从_/／
　　/　　　　　　　　　 r'　　晋陽　　太　　●高陽　　　　　　　 'ｰ'´　　)　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
　 ./　　　　　　　　　ﾉ　　　　○　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　＜　燕の皇帝を捕らえたぞ！　＞
　 '　　　　　　　　　　{　　　陽邑○行　　魯口　　　ｰ､　　　 r'‐-,_,_ｨ_　<　　　　　　　　　　　　　　　　　(
　　　　　　　　　　　 } 　　　　　　　　　　　　○　　　／ヽ＿r'　　　 _r'´ 　／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^YY^^Y^
　　　　　　　　　　　 {　平陽　　　山鄴　○　r-'´　〇○広固　r' ' 　
　　　　　　｀ヽ　　　}　○　壺関○　◎広宗ノ　　　臨淄　　}'ｰ'　
　　　　　　　　{　　 {　　　　　　　脈○　 r○廩丘　　　　r'　
　 '´｀ー-,　　　ヽ　 /　　　野王○ 枋頭　　　　　　　 r'　　
　　　　　＼　　 'ｴ＿,.-‐'｀ー―‐'―= ‐'　　　　　　　　　 .,　　　
　￣￣｀ー‐'―'´　　　　　○　石門○○倉垣　　　　〇　　>
　　　　　　　◎長安　　洛陽　　　○許昌　　　　　下邳,_,　' ヽ　
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　'´￣￣｀ｰ-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　u.　　　u.　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　─────────　　　　　　　　　/　/ u. {/ 〃　ヽヽl ｌ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'　.│.　ﾘ／八評ﾊ＼}.人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　─────────　　　　　ん　 |　　! ◎　Ｖ　◎{ﾍｌ
　　　　　　　　　　　あばばばば！　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 .／／（|　⊂⊃　､_,､_, ⊂!ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　─────────　　／／.　　i⌒ヽ.＼u. 　　 u. ﾉゝ_／⌒)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 {.　{　　　ﾍ　∧ .} ､ __,　イ　＼ﾍ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　─────────　　　　　　}.　}.　　 ∧｀´ ｜.!:::::Y Y::::) 　／ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　／／.　／:::::ヾ_..ﾉ八:::::∨:::( 　人／

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　しかし、前秦軍の追撃により、慕容暐は高陽で捕らえられた
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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463 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:10:13.11 ID:uKT+9upQ0: 　　　　　　　　　　.,Å､　　　　　
　　　　　　　 r-‐i'''''''''''i''-'‐-､　
　　　　　　 .o|　ｏ!　.ｏ　 i ｏ　!o
　　　　　 |＼___|｀‐´ ｀‐´|___／.| 　
　　　　|____＿＿＿＿＿＿___|
　　　　　/　/ 　 {/ 〃　ヽヽl ｌ|
　　　　 ,'　.│.　ﾘトk八暐ﾊイ} 人.
. 　　　ん　 |　　! ●　Ｖ　●{ﾍｌ. 　　　　　　　　　あんたたちは小人のくせに天子を縛るのかしら？
.　　／／（|　⊂⊃　､_,､_, ⊂!ハ
　／／.　　i⌒ヽ.＼　　　　ﾉゝ_／⌒)
　{.　{　　　ﾍ　∧ .} ､ __,　イ　＼ﾍ／
　三三三三三三三三三三三三三三
　三三三三三三三三三三三三三三
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ﾆＹﾆヽ　　　　　　　　　　　 /ﾆＹﾆヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/（ﾟ )( ﾟ）ヽ　　　　　　　　　 ./（ﾟ )( ﾟ）ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／::::⌒｀´⌒::::＼　　　　　　　／::::⌒｀´⌒::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　,-）＿＿＿（-、|　　　　　　　|　,-）＿＿＿（-、|
　　　　　俺たちは詔勅を受けて　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.| l　　 |-┬-|　　l |　　　　　　　| l　　 |-┬-|　　l |
　　　　　賊を縛ったに過ぎないっていうwww　　　　　　　　　　　　＼　 `ー'´ 　／　　　　　　　＼　 `ー'´ 　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_, ‐'´　＼　 /　`ｰ､_　　　　　_, ‐'´　＼　 /　`ｰ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ '￣｀Y´￣｀Y´￣｀レ⌒ヽ　　/ '￣｀Y´￣｀Y´￣｀レ⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　何が天子だっていうwwwwww　　　　.{　､　ﾉ､　　 |　　_,,ﾑ,_　ﾉl　　.{　､　ﾉ､　　 |　　_,,ﾑ,_　ﾉl
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'い　ヾ`ー～'´￣__っ八　ﾉ　　'い　ヾ`ー～'´￣__っ八　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ヽ､　　ー　／　ー　　〉　　＼ヽ､　　ー　／　ー　　〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼｀ヽ-‐'´￣｀冖ｰ-く　　　　　＼｀ヽ-‐'´￣｀冖ｰ-く

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　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　慕容暐は苻堅の下へ送られたが、そこでこんなやりとりをしている
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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464 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:11:17.86 ID:uKT+9upQ0: 【紀元３７０年１１月　前燕　首都　鄴】

　　／￣:::'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ
　／,..::‐:::::　　...l.....:::::l::::::::::::::::::::::::::＼ヽ
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　 /:::/::::::::::l::::ハ::::::::::::､:::､ヽ:::::::',::::::',:::',
　 l:/l:::::::::ｰl::/＿,､::::::::::l-､:l´_､-:l::::::::l::::l　　　　　　　　　慕容暐。
　 l　l::::l:::::::lﾘ＿___ヽ:＼::',-t‐,┐::!:::l::::lヾ!
　　　l::::l:::::::ｲ∨､/!　＼＼:､^ﾊ! ',!:/l::::!　　　　　　　　　　仮にも天子なのに何故逃げた？
　　　ヽ::l､:::::l 弋＞　　　｀￣　 /,ｲ::::l
　　　　ヾ!＼ゝ　　　　'　　　　　ﾊ'/:l'/
　　　　　　ﾊ､　　　＿　　　 ,.ｲ::/ ﾘ
　　　　　　 _,...-ﾞヽ- ‐,-｀-- ´､l/
　　　　　 <: : : : : : : : :||: : : : : : :｀丶､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.,Å､
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |____＿＿＿＿＿＿___|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |l l　/〃　ヽヽ} | 　､　ヽ
　　　　狐は死ぬ時に己の首を元々住んでいた方向へ向けるわ。　　　　　　　 ljﾊ　!イﾊ暐从＼j 　│ 　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l∧}●　Ｖ　● !　　|、ハ
　　　　どうせ死ぬなら、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ.ﾉ⊃ ､_,､_,　⊂⊃ .|ﾉ　ヽ＼
　　　　先人の墳墓の前で死にたかったのよ　　　　　　　　　　　　　　　　 ./⌒ヽ_.ﾘ人　　ゝ._）　./" ./⌒i　　ヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ /／"　＞,､ __　イ{.　ﾍ　 /!　　}　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　三三三三三三三三三三三三三三
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　三三三三三三三三三三三三三三

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　苻堅が慕容垂を説き伏せたのと同じ言葉だ。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　鮮卑の慕容暐に漢籍の素養があったのが分かる
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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465 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:12:36.02 ID:uKT+9upQ0: 　　／_-,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
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　 /／,::::::::,:::::/!:::::::::l:::::l::::::::::､::::::::',　ヽ
　　/ｲ:::::::::l:::/ .l::::::::::',:::::l_､',＿l:::l::::',
　　{::::::::::´!/｀ヽ':,::::::::',´､!＿!:::l:::l::',:l　　　　　　　　　よく言った。
　　 ',::::l::::ィ l´<ヽヽ:､::ヾ!´<,lｵ!:/::lﾞ}
　　　',::lヽ::', 辷ｿ　　　｀`辷ﾂ/;:' }::l　　　　　　　　　今後鮮卑は関中へ移すつもりだが、
　　　ヾヽ､ゝ　　　 '　　　　ﾊ'´l:/　　　　　　　　　お前にも官爵を与えて処遇したいと思っている。
　　　　　　ﾊ､　　ー一　 ,.ｲ::/ /
　　　　　　_　',:lュ､　　イ:/l/_　　　　　　　　　　　 .どうだ？
　　　　 <: : ｀ヽ.l､｀_´, ┴'"´ ｀丶､
　　　　　,}: : : : : :ll ´: : : : : : : : :_:,../
　　,/"´　｀丶､: : ll: : : : : :_,..-'"　　｀ヽ､

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -‐ '´￣￣｀ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |l l　/〃　ヽヽ} | 　､　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ljﾊ　!イﾊ暐从＼j 　│ 　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l∧}●　Ｖ　● !　　|、ハ
　　　　　　　　べ、別に嬉しいなんて思ってないんだからね！　　　　　　　　　　ﾊ.ﾉ⊃ ､_,､_,　⊂⊃ .|ﾉ　ヽ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /⌒ヽ_.ﾘ人　　ゝ._）　./" ./⌒i　　ヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ /／"　＞,､ __　イ{.　ﾍ　 /!　　}　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 /　＼　 (::::::::Y Y:::::.!｜｀´/ﾍ　{ 　{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ／ﾉ　　):::::::∨:::::ﾉ. ヾ..ノ.::::::＼＼丶、

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　翌月、苻堅は慕容暐及び鮮卑四万戸を長安へ移した。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　慕容暐は尚書に任じられ、新興侯に封じられている
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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466 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:13:16.59 ID:uKT+9upQ0: 【紀元３７０年１１月　高句麗】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　u.　　　u.　＼
　　　─────────　　　　　　　　　/　/ u. {/ 〃　ヽヽl ｌ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'　.│.　ﾘ／八評ﾊ＼}.人
　　　　　　─────────　　　　　ん　 |　　! ◎　Ｖ　◎{ﾍｌ　　　　　　　　助けて頂戴！
　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　／／（|　⊂⊃　､_,､_, ⊂!ハ
　　　　　　─────────　　／／.　　i⌒ヽ.＼u. 　　 u. ﾉゝ_／⌒)　　　　.何でもするから！！
　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 {.　{　　　ﾍ　∧ .} ､ __,　イ　＼ﾍ／
　　─────────　　　　　　}.　}.　　 ∧｀´ ｜.!:::::Y Y::::) 　／ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　／／.　／:::::ヾ_..ﾉ八:::::∨:::( 　人／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_rﾆXﾆXﾆXﾆx､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.:'´ﾆﾆﾆﾆﾆ`ヽ、　`ﾆL
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　ﾞ:,　　`ﾆL
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　高　　　　　 |　　 `ﾆL
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　、___　　　 |　　　 `ﾆL
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　￣,　　、　　　｜　　　　〉ﾆ|
　　　　　　　　貴様、慕容部の人間か。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　「/￣￣}｀ｉ　　　|＿　　 [><]　＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／l　/￣二｀}´ 　　 |　｀`ヽ---／::, -
　　　　　　　　何でもすると言ったな？　　　　　　　　　　　　　　　_,　 -‐ '´　　i　　　　ﾞ:,　　　 i　　　　 /:::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,:'´　　　　　　 l ,′　　　　ﾞ:,　　/　　　　 /:::::/
　　　　　　　　秦への手土産になってもらおう　　　　　　　　　 {　　　　　　　　乂　　　　 }_／　　　　　 |::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　　　　　　　＼　￣￣￣￣　 _､‐''゛_､‐''゛::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　　　ヽ　　　｀`～､、　_､‐''゛_､‐''゛ﾆﾆ-ﾍ::::∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　 :,　　　　　_,,..　-‐　'' "´ﾆﾆ＞'ﾞ´ ／＼:＼_

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　高句麗人

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　冀州・幽州・平州の平定は順調に進み、十一月中には終わった模様。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　慕容評は高句麗まで逃げたが、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　高句麗人に捕らえられて前秦へ送られた。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　慕容垂が誅殺するよう苻堅に進言したが、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　結局朝廷から出されて范陽郡太守に任じられている
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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467 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:16:37.04 ID:uKT+9upQ0: 【紀元３７０年１１月　前燕　首都　鄴】

　　　＼_ _ _＿ _ _／　ｲ　　　ﾊ .ゝ　 V
　　　 {　　 _{　　∠~"''～　　　 |iﾍ .ﾍ. 　ﾑ
　　　 i　　 |i／／i/　　|i ヽ,　 _,,....,,ﾏ |i　　|i
　　　 |i　　 |　 |i-弓芍 ',　.',　/　/　.寸　}
　　 ∠､　　 {　 {　ヒツｱ　　V弓芍ｱ/|i 　 !　　　　　　王猛殿。
　　　 1　　 |i 圦　　　　　ヒツ /从　|i
　　　 / 　　 1 λ,' 　　　　, 　　ﾑ/ / 　}　　　　　　 .これが御希望の我が国の戸籍だよ
　　 ∠斗彳八 .ﾍ　　r＿、　 /ﾄ /　　|i
　　　　　　　V .圦　|＼　　　.＜ .K 　　j|
　　　＜:::::::::.|ﾑ .i 　｀ T ´:::::::∧ .|i 　./
　　　 |: : ￣≧ー＼ーi。｡*''ﾟ: : :》.!　./　　　　　　　　　　　　　　　　:::::ｉ::::::::::::::::::::,:::::::/:::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ:::::|::::::::::::::::::/:::::/:::::::::::|:::::::::::::::ｉ::::::::::::::::::|:::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::::|::::::::::::::i/:::::/i:::::::::::八:::::::::::::|::::::::::::::::::|:::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::::|::::::::--i::::::/i i:::::／--ミ､:::::::|::::::::::::::::::|:::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人::V｣抖弐ﾐｘ　ﾉ／　抖弐ミxＬ|::::::::::::::::::|:::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ] ﾑ　ﾄう心　　　　　ﾄう心　ﾒ|::::::::::::::::::|:::::::::::|
　　　　　　　ありがとうございます。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l, 沁 ∨)ツ　　　　　Vこツ　 |::::::::::::::::::|::::::::::人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |ｉ:::i圦　　　　　　　　　　　　 .|::::::::::::::::::| i:::::::::::ｉ
　　　　　　　しかし、随分と細分化し過ぎでは？　　　　　　　　　　　 |i::::ｉ爪　　　　　　　　　　　　 |::::::::::::::::::ｉ i:::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |':::ｉ公､　　ヽ　　 '　　　　ｨ|:::::::::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::｀ /介:.,_　　　　　　,. イり::::::::::::::::::::i::::::::::ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::|,::::::::::::::::≧=--t=≦　ﾉｱ::::::::::::::}　ｉﾉ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::|ｉ:::::::: i人__ア　ｱ　],　　 /:::::::::::::厶イ　＾- ,__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　八ﾞ'や __孑ｱ　 /　　　　 /::::::/　　ｲ＾　|　　　ｱ⌒丶､

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　慕容廆が挙兵した太康六年（二八五年）から数え、
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　慕容暐まで四代八十五年で前燕は滅びたと『晋書』『慕容暐載記』は記す。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　『晋書』『苻堅載記』に載る前燕の名籍によれば、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　１５７郡・１,５７９県・２,４５８,４６９戸・９,９８７,９３５人を治めていたとされる。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　このような記録が残る事自体、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　前燕領の接収が平和裏に進んだ証と言えるだろう
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
468 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:18:33.17 ID:uKT+9upQ0: 　　　　　　　　 /:::::::::::::::::::: ′::::::::::::::::::::::::::::::::::.
　　　　　　　　　′::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|::::::::: |::::::::::.
　　　　　　　　 .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::: |::::::: ∧:::::::::.
　　　　　　　　 ::::::::::::::::::::::: |:::::::／／ﾉ:::::::/-‐:::::::::.
　　　　　　 |:::/ ::::::::::::::: |,ｨぅう巧 ─ ´ｨI笊〉 ::: |　　
　　　　　　　 |/:::::::::::::::::::::|乂∨ソ　　　 ∨ｿ:::::::::|　　　　　ところで話は変わりますが、
　　　　　　　 /::::::::::::|::::::::: |　　　　　　､　　.:::::::::|　　　　　昨日皇甫真殿は私の馬首を望んで拝礼していました。
.　　　　　　 .:::::::::::::::|::::::::: |　　　　　　　　 /:::::::: |
　　　　　　人:::::::::::::|::::::::: |　　　　　‐‐'　...::::::::::::::|　　　　 .ですが、今日の皇甫真殿の打ち解けた態度はいったい？
　　　 ._-=ﾆ二＼:::::::И:::::从 )hs。　　／::::::::|/:::√
　　　 /-=ﾆ二二- ＼~人:::::::::ヽ　　 √:::::/:::::::/::::√　
　　_ -=ﾆ二二二二二⌒^^＼「　　:{:::ｨi〔::::ｨi〔:::::ﾑ __　
　/-=ﾆ二二二二二二/-=二＼　乂⌒⌒二二=- 〉
../-=二 >────= /( )-=ﾆ二㍉､x > 二二ﾆ=-/ 　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : ,: : : : :ヽ＼: >,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:, ': : : : l: : : : : :i: : : : : : ',: f: : .,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i／: : : : /.l:l: : : : : i V: : : : : :Vi:i i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,-'/: : : :／　i:l: : : : : :i　＼: : : : Vi:i:i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-" , <: :,　": l:l　,, -: : : : :-- ,,,,＼: : :Vi:i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , <-"l i: : ,,-'''"　 ii＼: : : } ,ｭｪ,~"'': : ﾘ:i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　li: : l: iｨ''代々', ＼: }灯u:} ,': :',: i!:{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{: : :l l ii. 廸ノ　'　ヽl 乂:ノ }: : vi!:i
　　　　　　　　　王猛殿は昨日は賊だったけど、　　　　　　　　　　　　　　　　,<: : :ﾊ:l ii　　　　　, 　 '　　　i: : : : i:>、
　　　　　　　　　朝になったら国士になっていたわけだ　　　　　　　　　　　-=/l: : :i i i ∧ ｸ" 　。　　 ∧: : : i-,,　-"
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ｌ: :i 　ﾘ"- ＞ ,,　　　＜-/: : : i''-_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　"~　i: i　　',　"''- ,l,,,,,,, -"~　/: : >　 /-、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／', i::: ',　＼　　　　　　 / >'　／::: :::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::: :::＼:::ヽ>、　　　--匕~/'" ／ﾆｌ::: ::: ::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ::: ::: ::: ::: ::l＞,,_ ,,,,,,__　　"／iﾆﾆ l::: ::: :::l

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　さて、ここからしばらく、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　前燕滅亡に際しての逸話をいくつか紹介したい
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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469 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:19:06.39 ID:uKT+9upQ0: 　　　　　　　　　　　　　 /　　／　　　　／　　　　ヾ　　＼
　　　　　　　　　　　　　　/　　／　　　　 /　　　　　　　',　　　＼
　　　　　　　　　　　　　 ,' 　 ,:'　　　　　　/　,　 i　　　 i　 l　　　{⌒`
　　　　　　　　　　　　 l　 /　/　　　　 /　 l　/|　　　 l　 | i　　ヽ
　　　　　　　　　　　 | :/　/　　　　 /_.∠L」_|　　 ,AL」_! i　　＼
　　　　　　　　　　　　-=彡彳　,i　 ,　 l／　 |,ﾉ｜　　/ 　 | | l!　i　ト､)
　　　　　　　　　　　 /ﾍ ,厶イ:|　 l　,k斧芯k　lﾊ　/ｨ竓ミｫ l|　 V
　　　　　　　　　　　　　 ∧ 　 l.:|　ﾍ,ﾞｉ弋:::ソ　　 }/ 弋:ｿ仆!ﾄ､　∨
　　　　　　　　　　　　　〉　:l.:|　i　_」L　　　　　　 ,　　 /.::从:.ヽﾄ!
　　　　　　　　　　　　 /ｲ　r‐| .ﾊ/:r‐､V!　　　　　　ｲ.:i: ﾄ､: :{　　　　.私は賊に拝礼するけど、
　　　　　　　　　　　　　　厶y仁|//:::七>く　｀　　´ ,∠∧ﾊﾉ　ヽ!　　　　王猛殿は国士だから、何もおかしくはないよ
　　　　　　　　　　　　　　　/;';';';';'ﾍ:::::::／::}≧s｡...イ.:.:.:.｀ヾ:､
　　　　　　　　　　　　　　 ,ｌ;';';';';';';'∧::::::::V: : `〈:.:.:.:.:_;,:.:イ:/
　　　　　　　　　　　　／λ;';';';';';';ﾞ∧:::::::::): : : :￣: : : : :∧_
　　　　　　　　　／.:.:/;'ﾍ;';';';';';';';'/:::::::〈: : :.`ｰ-==:匕.:/;';ヽ
　　　　　　　　　／.:.:.::/;';';';';｀ヾ;';';ﾞ/::::::::::::ヽ`￢―--=イ{;';';';'∨ /
　　　　　　　　／.:.:.::／;';';';';';';';';';';';人:::::::::::::::}`ー----彳,ﾍ;';';';';∨: /
　　　　　／;:斗匕;';';';';';';';';';';';';';';';';'}`ー:匕//////////∧;';';'λ/ /
　　　／.:.:ゞイ／７=zzz=斗千三7: : : :ﾄ､'///////////ﾊ;';";八/ /
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　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　　　＾" ＜;/;∧:7.: : : : :|/L∨'/////////;';';';'/ /;'`ｰｧ
　./|.:.:.:.:.:.::／　　　　　　｀ヾﾍ{: : : : : :|　ヾ|´￣￣`ｰ=ｲ;';'／／｀ヾ,/
　l: |:.:.:.:／　　　　　　　　　　　八: : : : :.ﾊ　　　　　 ∧ ∠｀ヾ ,ｲ
　|八::/　　　　　　　　　　　　 }ヾ: : /　　　　　　 ∥ﾍヾ:､〉＾:∥

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　『晋書』『慕容暐載記』に曰く。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　王猛は皇甫真の態度が
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　昨日と今日で異なるのを不思議に思い、彼に理由を尋ねた。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　皇甫真は昨日までの王猛は賊で、今日の王猛は国士だからと述べた
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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470 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:21:37.30 ID:uKT+9upQ0: 　　　:::::ｉ::::::::::::::::::::,:::::::/:::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::ｉ
　　ｉ:::::|::::::::::::::::::/:::::/:::::::::::|:::::::::::::::ｉ::::::::::::::::::|:::::::::::|
　　 |:::::|::::::::::::::i/:::::/i:::::::::::八:::::::::::::|::::::::::::::::::|:::::::::::|
　　 |:::::|::::::::--i::::::/i i:::::／--ミ､:::::::|::::::::::::::::::|:::::::::::|
　　人::V｣抖弐ﾐｘ　ﾉ／　抖弐ミxＬ|::::::::::::::::::|:::::::::::|
　　　ヽ] ﾑ　ﾄう心　　　　　ﾄう心　ﾒ|::::::::::::::::::|:::::::::::|　　　　　　　　　　これはこれは。
　　　　l, 沁 ∨)ツ　　　　　Vこツ　 |::::::::::::::::::|::::::::::人
　　　　|ｉ:::i圦　　　　　　　　　　　　 .|::::::::::::::::::| i:::::::::::ｉ　　　　　　　　　光栄です皇甫真殿
　　　　|i::::ｉ爪　　　　　　　　　　　　 |::::::::::::::::::ｉ i:::::::::::|
　　　　|':::ｉ公､　　ヽ　　 '　　　　ｨ|:::::::::::::::::::::::::::::::::|
　　　　|:::::｀ /介:.,_　　　　　　,. イり::::::::::::::::::::i::::::::::ﾉ
　　　　|:::|,::::::::::::::::≧=--t=≦　ﾉｱ::::::::::::::}　ｉﾉ／
　　　　|:::|ｉ:::::::: i人__ア　ｱ　],　　 /:::::::::::::厶イ　＾- ,__　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , --──-､
　　　八ﾞ'や __孑ｱ　 /　　　　 /::::::/　　ｲ＾　|　　　ｱ⌒丶､　　　　　　　　　　　　 , イ /　　　　　　ﾍ　ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　!ー､〉　__ j　j __〉-ﾉ　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ＿,,;;》 `-"::: `-"l＿.ジ　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　ヽ　' ＿ ` ｲ　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　l　　´＝｀　l　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　ヽ＿,､__ノ　　
　　　　　　　　皇甫真殿は大器と言えるでしょう　　　　　　　　　　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　王猛は大いに喜んだ。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　権翼はその場に居合わせたのか、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　話を聞いて皇甫真を大器と評している。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　この王猛の皇甫真の会話には、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　彼らの間に他国という意識がなかったように感じられる
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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471 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:24:24.91 ID:uKT+9upQ0: 【元々雍州の名族】

　　　　　　　＼　 X、　　 _ -　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　>、_　`ーイ　　　　　　　j　ヽ　　　　　　.ヽ
　　　　　　ー_イ-┴ "_／/　　　　　　　ﾊ　　i,　　　　　　　.':,
　　　　　　／, /￣/_./j ./　　　　　　　　　　 .|　　　　.i,　　　.i,
　　　　　/ ,.イi　　//＼i　　　　　　　　　　　 .|　　　　 .|　　　.|
　　　　 // /:.:|　/.i/　| ﾄ、　　 ./ ,.ｲ　,　　　 .|　　　　 j　　　 j
　　　　　 /:.i i| ./-irﾐｘﾄ|　　　/ｒ/ナ.ﾄ、　　　.j.　　　　j　　　 j
　　　　　/.:.| |i .|: _|!.ら}i,|i　 .// _.| /　|:　　 i.ﾉ　j　　./:　　 ..ﾉ
　　　　 /.:.:.| |r|.i´ }.弋リ.|　 |/ __ ﾚヽ　|:　　/　/　 ./: :　.:: /
　　　　i : : ﾊ.| .`　 }""　 .＼.|　´"ら≧=|- / ./　　/: : . :／
　　　　|: ./　i|　　 .{:　 ,　　　　　 ..ヒリ_℡/　　　 /: :. .r′　　　　慕容部に仕えた時は
　　　　|./　　i|　　 ,Ｖ　、　　　　 ,,,,,　／,　　　／.}: : :ﾊ　　　　　　どうなるかと思ったけど、故郷に近い地で死ねそうだ。
　　　　ﾚ′　　　 /ゞﾐ:_. ゞ .ツ　　 .／,.イ　　./-=ﾆi、.{ﾆ-._
　　　　　　　　 .rｲ:i/＼J、　　 _.ニジ　　 .／: :. . . . ＼!. . .:＼　　長生きしてみるもんだね
　　　　　　　 .r' 、＼r=yﾆ≧"／ｒ==-,.イ: :_._:_:_:_:_: . . . : : : : >
　　　　　　 .r: :＼:＼イｒ" ,rﾆ-／: : : : : :二ﾆ-._＼: :ヽ:_:_:_.／＿＿＿___
　　　　 _..,.ｲ: -ﾆ二ｲジ.＼ _..r{: : : : : :/-―┴┴=ニ￣￣ニ-´: : : :_.-ﾆ≧i
　　　 /: ｲ: : : : Vｲジ _.-ｒ" .( ﾄ、: : : : : : : : : : : : : : _.-ﾆ´: : : : :_-ﾆ:.:.:.:.:.:.:ﾉ
　　 ./: : :ー--ｲ　_.-,..'　　　.. ＼二ﾆ-_: : : : : : : :／／: : : : .／:.:.:.:.:.:.:.:.:ノ
　　/: : :.:.:.:.:.:.:.>r´く　　 . . . ._..-.i,. . . . ..`ーニ／／: : : : ／二_:.:.:.:.,...く
　 .{: : .:.:.:.:._.-ﾆ. . ..:|i,. : . ..,r' . . . .＼. . . . . . . .＼-:_:_:_／: : : : :`ー=イj
　　V:.:.:.／,:'....:.:.:.:.:.:.:ﾆ=-x:...._. . . . . 'i,: : 　　　 : :.V::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ジ′
　　 ..Y:{.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.二-._: : 'i,: .　　　　　..V:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／: ﾆ-._
　　　.| {:.{:.:.:.:.:.:.:.,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾆ-_:.'i,: .　　　　_,,,,V:.:.:.:.:.:.／: : : : : . . ヽ、

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　皇甫真は苻堅に従って関中へ入り、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　奉車都尉に任命されて数年後に死んだ。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .何気に永嘉の乱から前燕の滅亡まで見届けた人物である
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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472 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:25:58.02 ID:uKT+9upQ0: 　　／_-,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　/:::,::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::＼＼
　 /／,::::::::,:::::/!:::::::::l:::::l::::::::::､::::::::',　ヽ
　　/ｲ:::::::::l:::/ .l::::::::::',:::::l_､',＿l:::l::::',　　　　　　 .梁琛。
　　{::::::::::´!/｀ヽ':,::::::::',´､!＿!:::l:::l::',:l
　　 ',::::l::::ィ l´<ヽヽ:､::ヾ!´<,lｵ!:/::lﾞ}　　　　　　投獄されていたとは、難儀な目に遭っていたな。
　　　',::lヽ::', 辷ｿ　　　｀`辷ﾂ/;:' }::l
　　　ヾヽ､ゝ　　　 '　　　　ﾊ'´l:/　　　　　　　お前は長安へ来た時、
　　　　　　ﾊ､　　ー一　 ,.ｲ::/ /　　　　　　　慕容評と慕容垂が奇才だと言っていたが、どうしてこうなったんだ？
　　　　　　_　',:lュ､　　イ:/l/_　　　
　　　　 <: : ｀ヽ.l､｀_´, ┴'"´ ｀丶､
　　　　　,}: : : : : :ll ´: : : : : : : : :_:,../
　　,/"´　｀丶､: : ll: : : : : :_,..-'"　　｀ヽ､　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´:::::::::::::::::::::::::::/ ヽ::::::::::::::::::::'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::／::/　　 ' ::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　{::::/:::::::::::: / /::/　　　 '::::::::::::::: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　 i:/|::::::::::::::}ミｘ′ 　　 _j::::::::::::::ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ..　　　　　{N::::::::「ｒ=tzﾐ｝i{ztﾁフ }:::::::::|
　　　　　天命の興廃がたった二人で決まるとでも？　　　　　　　　　 .L:::「ヾ. ｀"´　i　｀"´　/＾ヽノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　｀ｰ’ 　　ｊ__ノ ×;｀⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__」ト　　｀ﾆ´　彡＾ｰ=-　　__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-‐=ﾆ　　 / }　ﾐミミ彡＾/　ヽ　　　　　　　ﾆ=‐-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´　　　　　　　　ト　　　　　　　　　〉　　　　　　　　　　/-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､＼　　 '　　｀ヾ､_　〃´　′　　　　　　　 ′　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　＼＼　　　,　　　　　 /　　　　　／　　　 i　ミﾐ　 ,

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　梁琛は苻堅が鄴へ入ると、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　釈放されて中書著作郎に任命された。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .そこで改めて、苻堅は梁琛を引見している
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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473 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:26:29.05 ID:uKT+9upQ0: 　　　　　／:::::／-――-- - ､_
　　　　　l:::::／´::::::::::::::::::::::::::::ヽ､二ﾆ-'
　　／￣:::'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ
　／,..::‐:::::　　...l.....:::::l::::::::::::::::::::::::::＼ヽ
./,ｲ/　/..:::::::::::/!::::::::::l:::::l:::::::::::::::::::::::::', ＼
　 /:::/::::::::::l::::ハ::::::::::::､:::､ヽ:::::::',::::::',:::',
　 l:/l:::::::::ｰl::/＿,､::::::::::l-､:l´_､-:l::::::::l::::l　　　　　　　お前は亡国の兆しが分からないまま、
　 l　l::::l:::::::lﾘ＿___ヽ:＼::',-t‐,┐::!:::l::::lヾ!　　　　　　燕の美忠を言いふらして、返って身に禍を招いた。
　　　l::::l:::::::ｲ∨､/!　＼＼:､^ﾊ! ',!:/l::::!
　　　ヽ::l､:::::l 弋＞　　　｀￣　 /,ｲ::::l　　　　　　　これを智と言えるのか？
　　　　ヾ!＼ゝ　　　　'　　　　　ﾊ'/:l'/
　　　　　　ﾊ､　　　＿　　　 ,.ｲ::/ ﾘ
　　　　　　 _,...-ﾞヽ- ‐,-｀-- ´､l/
　　　　　 <: : : : : : : : :||: : : : : : :｀丶､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´:::::::::::::::::::::::::::/ ヽ::::::::::::::::::::'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::／::/　　 ' ::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　{::::/:::::::::::: / /::/　　　 '::::::::::::::: |
　　　　俺が聞くには、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.i:/|::::::::::::::}ミｘ′ 　　 _j::::::::::::::ﾘ
　　　　ほとんどの奴は吉凶の僅かな兆しを見て動く。　　　　　　　　{N::::::::「ｒ=tzﾐ｝i{ztﾁフ }:::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 L:::「ヾ. ｀"´　i　｀"´　/＾ヽノ
　　　　俺みたいなバカはそこまで及ばない　　　　　　　　　　　　　　｀ｰ’ 　　ｊ__ノ × ;｀⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__」ト　　｀ﾆ´　彡＾ｰ=-　　__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-‐=ﾆ　　 / }　ﾐミミ彡＾/　ヽ　　　　　　　ﾆ=‐-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´　　　　　　　　ト　　　　　　　　　〉　　　　　　　　　　/-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､＼　　 '　　｀ヾ､_　〃´　′　　　　　　　 ′　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　＼＼　　　,　　　　　 /　　　　　／　　　 i　ミﾐ　 ,
474 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:28:30.52 ID:uKT+9upQ0: 　　斗r七////////////////////≧x,__,斗rィ
　　／/////////////////////////////(,,__
　.ﾊ//////////////////////////////////ﾒ､
　i/////////////////////ﾐ////､/////ﾐ＜/,ム
　 !///////////////',、///v:,ヾ///!V////ﾊ｀ﾒ/ﾊ
　 .!//////////ﾊヽ//,'! ヽ//,| ',　ヾ/!zヾ////', ':, ヾ|
　　!//////////,ﾊ　V/i　ハ/,i　':,　ﾑ|ｱ''}///＞　ヽ '　　ただ、俺にとっての忠は、子にとっての孝と同じで、
　　!///////ム＼ﾊ　V,|〃　V|　 } //`　{,ア´　　　　　　.一つの心を極めないと忠孝を貫く事はできないだろう。
　　!////////ム　∨三≧ｓ,､j'　 j,ｱ' o} {'|
　　V/////////ﾊ　丁￣￣~まﾐ_ﾉ{,／_ iﾉ　　　　　　　　古の烈士は危難に臨んでも改めず、
　　 V////////ﾑヽ　ゝr‐ '"~´_,　､'"´　V　　　　　　　　死を見ても避けずに君臣に殉じていった。
　　　V///＞く　ヾ:、 j/ '"´ 　　　ﾌ　Ｘ'
　　　｀⌒ヾ:.、ヽ--v j'　　　　　　,　-　/.八　　　　　　　だが、ほとんどの奴は、
　　　　　　｀＜≧s,ヽ、　　　　　　 r　,.ｨ　　　　　　　　　.安全か危険かに心を動かし、去就を選んで家と国を顧みない
　　　　　　　　　｀ヾ}　 ≧ss。,　　　 /.:!vメ、
　　　　　　　,斗r≦,j　　':、　　　｀￣}.: :i V//ﾐｘ,
　　　　 ,ィ／/////j　　　 :、　　　　ﾉ　 ', ｀' ー-ミ:≧＜￣": : : : : : : :.
　　　／ィ////斗-ﾉ　　　　、　　　j　　　　　　　ヾ: : :｀: : : : : : : : : :.
　　/,ｲ/＞r'ﾌ: ＞'　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　／}: : : : : : : : : : : : : :
　,.斗r≦: : ／: {　　　　　　　　　　　　　　　　　／　,.:: : : : : : : : : : : : : :.

　
475 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:30:31.14 ID:uKT+9upQ0: .　　　　　　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'　　
　　　　　 ´:::::::::::::::::::::::::::/ ヽ::::::::::::::::::::' 　
　　　　 /::::::::::::::::::::::／::/　　 ' ::::::::::::::::::i　
.　　　{::::/:::::::::::: / /::/　　　 '::::::::::::::: |　
.　　　 i:/|::::::::::::::}ミｘ′ 　　 _j::::::::::::::ﾘ　　　　　　俺はそうした機微を知っていても、そんな真似をするつもりはない。
..　　　　　{N::::::::「ｒ=tzﾐ｝i{ztﾁフ }:::::::::|　
　　　　　 L:::「ヾ. ｀"´　i　｀"´　/＾ヽノ　　　　　　 .バカだからな
.　　　　　｀ｰ’ 　　ｊ__ノ × ;｀⌒　　　
　　　　　　　　__」ト　　｀ﾆ´　彡＾ｰ=-　　__　　　
　　　-‐=ﾆ　　 / }　ﾐミミ彡＾/　ヽ　　　　　　　ﾆ=‐-　
´　　　　　　　　ト　　　　　　　　　〉　　　　　　　　　　/-
　　　､＼　　 '　　｀ヾ､_　〃´　′　　　　　　　 ′　　ヽ
.　　　＼＼　　　,　　　　　 /　　　　　／　　　 i　ミﾐ　 ,　 /./ |:.|:.:.:./:.:/:.∧:.:!:.:.:.:.:.:.ﾊ:.:.: ﾊ::.:.ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.::.:.ヽ.:..:ヽ、
.　　　　　＼　丶　　ｉ{:　　/　　　　／　　　　i|　|　　　　　　|:.|　|:.|:.:.:|:.,.ィＴｆヽ.:!:.:.:.:.:.:|_｣ ⊥⊥._.:|.:.:.:.:.:ヽ.:.:|:.::.:.:.:Ｎ.:.:.:.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ　 |ﾊ.:.∧| |,≠ミ|ﾊ,:.:.:.:.:| ヽ:|　ヽ.:.`ﾄ､:.:.:.:.:!:.:|.:.:.:.:.:|.:.＼:.:.:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 |:.:Ｎ|:.ﾊ.ヽ {::::::ﾄヽ.:.:.:.| 　≠テト､|:.ｉ:.:/.:.|:.:|.:.:.:.:.:|.:.:|　＼|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 |/　Ｖ:.|　 |Ｖｒ|　＼:|　　ﾄﾊ:::ｒ } 〉Ｖ:.:.:.|_.|:.:.:.:.:.:|.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ｖ　 .ゝ‐' 　　　　∨こｿ　　!.:.:.:| ヽ:.:.:.:.:|.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　｀｀｀　'　　　　　 ' ' '｀　　　|:.:/　八:.:.:.:|ヽ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　 ',　　　　､._ ＿　　　　　　|/／.:.:.:/|.:.|
　　　　　　　　　　　　　　違いない　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　Ｙ　　 }　　　　 __ //¨.:.:.:.:.:/　Ｖ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　ｰ　',　-＜ ´: : : ￣＞くﾘ_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _＞＜´ : : : : : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒ＜´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨: : : : _,.　- ――- ､--: ､: : : : : : : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼／―‐　､　　　　　｀＜: :ヽ: : : : __/

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　苻堅は梁琛の言葉に満足した。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　『十六国春秋』『前燕録』によると、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　この後、梁琛は王猛の要請により、彼の主簿・記室督になっている。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　慕容恪に見出され、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　苻堅と王猛に一目置かれた男のその後は不明である
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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476 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:31:04.51 ID:uKT+9upQ0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (二二二ﾆ/二二ﾆ/二｜二二ヽ二ヽ二ニニ)　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //＿/__//＿/__//＿/| |ヽ＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//＿/__//＿/__//＿/_| |__ヽ＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //＿/__//＿/__//＿/__| |＿ヽ＿ヽヽ＿_ヽヽ＿ヽヽ
　　　二二二ﾆ/二二ﾆ/二二二//＿/__//＿/__//＿/＿| |＿_ヽ＿ヽヽ＿_ヽヽ＿ヽヽヽ二二ヽ二二ヽ二二ヽ二二ヽ
　　 //＿/__//＿/__//＿/__///＿/＿//＿/__//＿/＿ | |＿_＿ヽ＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ
　　//＿/__//＿/__//＿/__//○====○====○======.○=====○===○===○===○ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ
　 //＿/__//＿/__//＿/__//＿|　　　|┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬|＿＿|＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽ
　○====○====○====○===.|　　　|││││││││││││││││||　　.||===○===○===○===○===
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　|││││││││││││││││||.慕 ||
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　|┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴||　　.||
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　|┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬||　　.||
　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿|　　　|││││││││││││││││||.容..||＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　＼／＼／＼／＼／＼／＼|　　　|││││││││││││││││||　　.||＼／＼／＼／＼／＼／＼／
　　／＼／＼／＼／＼／＼／|　　　|││││││││││││││││|￣￣|／＼／＼／＼／＼／＼／＼
　　"""￣￣￣'''''''''''''''"""""￣"""￣￣''''''''''"""""""""""""""""""""""""""￣￣'''''''''""""￣￣￣￣"""""""""
　　　　　　　　　　／ﾆﾆﾆﾆニY
　　　　　　　　　／ﾆﾆ＞――┴＜
.　　　　　　　　 /ニ／:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　　　　 /ニ/:.:.:.:./:.:.:|:. |:.:.:.:.|...l.:.',
　　　　　　　　 {ﾆ/:.:.:. : |:.:.メ.:.｣:.:.:斗:｣:.:.l
.　　　　　　　 /i|:.:.:.:.:.:.|　∩　￣∩|:.:.:|
.　　　　　　　〉i|:.:.:.:.:.:.|　∪　　 ∪{:.:.:|　　　　　　　　ただいまー
　　　　　　ヾﾑ:.:.:.:.: |　／＾ｰ┐　）:.:|
.　　　　　　　　 , -ヽ:.:.人_(:::::::::::ｿ.イ/:./
.　　　　　　　 /ﾆ＼ﾆ=‐:＼∨￣|x/イ
　　　　　　　　 /ﾆﾆﾆ.|ﾆﾆ}￣:冂:￣}!ニl
　　　　　　　　 |-ﾆﾆﾆ|ﾆニ／|　|ヽ.ハﾆl
477 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:32:57.43 ID:uKT+9upQ0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _　-‐-　_
　　　　　　　　　　　　　　　／ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ＼　　　　　　＼＿_人＿人从＿人＿人从／
　　　　　　　　　　　　　　 -ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ}､、　　　　＿）　　　　　　　　　　　　（＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　 ,-ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ/:.:.:ヽ　　　　）　　　　　父上ッ！　　　　（
　　　　　　　　　　　　　　 {‐ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ／:.:.:.:.:.:∨　￣￣）　　　　　　　　　　　　　　(￣￣
　　　　　　　　　　　　　乂‐ﾆﾆﾆﾆﾆイ:.:.:.:. : |:|:::|　　　　／⌒Y⌒Y⌒⌒Y⌒Y⌒Y⌒＼
　　　　　　　　　　　　　　　／ｉ:[]ｉ:＼:.:.:.:.:|:.:.:|:.:.:.:|:|从
　　　　　　　　　　　〈:i:i:i:| :|:i:i:<:.:.:.:.|:.:.:|:.:.:.:|:|　　　　　　　　　　おお我が子よ！
　　　　　　　　　　　　　　　　 |i:i:i|-l:i／⌒＞――＜　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　斗zzzz≦ﾆﾆﾆ/ﾆﾆﾆ=‐ ＿　　　　　　　長い間留守にして悪かったわね！！
　　　　　　　　　　　　　 _,, イﾆﾆﾆﾆ二二二/ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ=‐　
　　　　　　　　　　　　　 /ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ二二{ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ　＼ヽ人_从人__从_人__从_从人__从_人__从_从人_人／
　　　　　　　　　　　 /|ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ⌒＞ﾆﾆﾆﾆ　≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜
.　　　　　　　　　　 l-|ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ二二二ト≧　　　　　　　お帰りなさいませ！！！　　　　　　　　ニ=-
　　　　　　　　　　 _|ﾆ|ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ二二二|　 ≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≦
　　　　　　　　　　　/ﾆﾆ|ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ二二二|　／Y⌒YWW⌒W⌒Y⌒WW⌒W⌒Y⌒W⌒Y⌒WW⌒Y＼
　　　　　　　　　 /-ﾆﾆ|ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ=―――‐=ﾆﾆﾆ|　　　　　　｀''＜ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ//　　　　　〈￣￣
　　　　　　　 -ﾆﾆﾆﾆ|＞''´ _　-=ﾆ:::::::::::::::::::ﾆ=-､ | 　　　　　　　｀'＜ﾆﾆニ//.､　　　　　　~ ‐ _
　　　　　　 -ﾆﾆﾆﾆ/.|／{::::::ﾆ=-------=ﾆ:::::::::/ｲ　　　　　　　　　　　　　｀`寸|_|／＼　　　 ┌-　_''＜
　　　　　 -ﾆﾆﾆﾆﾆ/　＼]　　＿　　＿＿　　Ｙ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼｣ヽー＼　　｀''┘
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　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　『晋書』『慕容垂載記』に曰く。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　苻堅が慕容暐を捕虜にすると、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　慕容垂は苻堅に随行して鄴へ入り、自身の諸子を収集した。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　久方ぶりの親子の対面を果たした彼らは大声で泣き叫んだ
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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478 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:33:28.28 ID:uKT+9upQ0: 　　　　　　 |::::::＼／￣￣￣￣/::::. ｀`　､、
　　　　　八‐z:::::＼　　　　　 /::::::::::,　　　＼
　　　　　　＼>:::::::)　　　　　￣＼_|　　　 }
　　　　　　　 /　　￣　　　　　　　　　　　　　_ノ
　　　　　　　＼＿＿__(￣￣)＿ﾆ=――｡_´}
　　　　　　　　 |＿＿＿＼／＿_〈ﾆl__}／: :|: ＼
　　　　　　　 /　　　　　　　＞'-|: : : |: |⌒
　　　　　　 __{／ヽ＿＿＿___＞'ィｯ灯|: : : |: |
　　　　　 r┴ヽヽ}｣7 /: |､､､从{　　､､|: : : |:/
　　　c 　 | r_]_｣_」/|/: 公　　　　　　イ: : /´
　⊂　　八　ﾉ_ノ　从: : |´＞´｀＜|z/: :/
　　　　　 r{＿_}ァ　　r＼|´..rﾉ　　　|/:／s｡_
　　　　／|////,ﾉ /...{ ........ |　　　／........ |::＼
　　　|......￣￣} /......| |........|======|............|::|.....,

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (~)　　　　(~)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(~)　　γ´⌒｀ヽγ´⌒｀ヽ　　(~)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.γ´⌒｀ヽ {i:i:i:i:i:i:i:i:} {i:i:i:i:i:i:i:i:}γ´⌒｀ヽ　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {i:i:i:i:i:i:i:i:}（　´・ω・)(・ω・｀　）{i:i:i:i:i:i:i:i:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（　　´・ω)（::::：::Ｕ）（つと:::::）(ω・｀　　）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（::::::Ｕ::：)（　　　´・) (・｀　　　）(：::Ｕ::::::）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　し─Ｊ　（l::::○::::）（:::::○::::l）　し─Ｊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　し─Ｊ　　し─Ｊ　　　　　　

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　この場には慕容垂の故吏たちも居合わせていた。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　『十六国春秋』『後燕録』によると、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .故吏以外にも公卿・大夫も集まっていたらしい
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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479 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:35:38.56 ID:uKT+9upQ0: 　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　／ﾆﾆﾆﾆニY
　　　　／ﾆﾆ＞――┴＜
.　　　　 /ニ／:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
　　　 /ニ/:.:.:.:./:.:.:|:. |:.:.:.:.|...l.:.',
　　　 {ﾆ/:.:.:. : |:.:.メ.:.｣:.:.:斗:｣:.:.l
.　　　　/i|:.:.:.:.:.:.|　∩　￣∩|:.:.:|　　　　　　.ちょっとあんたたち！
.　　　　〉i|:.:.:.:.:.:.|　∪　　 ∪{:.:.:|
　　　ヾﾑ:.:.:.:.: |　／＾ｰ┐　）:.:|　　　　　　久しぶりの家族団欒の邪魔をしないでよ！！
.　　　　 , -ヽ:.:.人_(:::::::::::ｿ.イ/:./
.　　　　/ﾆ＼ﾆ=‐:＼∨￣|x/イ　　　　　　　帰った帰った！！
　　　 /ﾆﾆﾆ.|ﾆﾆ}￣:冂:￣}!ニl
　　　 |-ﾆﾆﾆ|ﾆニ／|　|ヽ.ハﾆl
　　　/ﾆﾆﾆﾆ|ニ<　ﾊ,ﾊ　 l-|ﾆl

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (~)　　　　(~)　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(~)　　γ´⌒｀ヽγ´⌒｀ヽ　　(~)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.γ´⌒｀ヽ {i:i:i:i:i:i:i:i:} {i:i:i:i:i:i:i:i:}γ´⌒｀ヽ　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {i:i:i:i:i:i:i:i:}（　´・ω・)(・ω・｀　）{i:i:i:i:i:i:i:i:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（　　´・ω)（::::：::Ｕ）（つと:::::）(ω・｀　　）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（::::::Ｕ::：)（　　　´・) (・｀　　　）(：::Ｕ::::::）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　し─Ｊ　（l::::○::::）（:::::○::::l）　し─Ｊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　し─Ｊ　　し─Ｊ　　　　　　

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　彼らを見た慕容垂は不悦の色を見せた
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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480 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:37:33.60 ID:uKT+9upQ0: 　　　　　 , '´￣￣｀ｰ-､
　　　／: : : r‐r==========、
　　 /: : /├l‐１ ―――――|
　　,': :∧〉}‐ヒL二二二二二.｣
　 .{: :ｉ: ｉ /ゝﾉｲﾉ　l/　―　ｌ :}　　　　　　　大王。
　　| :ﾚ　| 　　●　　　●　ｌ :|
　　|: i: （|.⊂⊃　､_,､_,　⊂ l:/　　　　　　　あなたが英傑でありながら艱難に遭ったのは承知していますが、
　i⌒ヽ: :ゝ　　　　　　　　ﾙ|_／⌒)　　　.天から与えられたこの会合では、皆に慈悲深く接するよう高弼は希望します
　ヽ　ヽ从ヽ,､　 __,　イ从/ ヽ／
　　∧___,ﾍｉ.ｉ:.:＼__八__／:ｉ.ｉ　　ﾊ　
　　ヾ　　 .}.}:.:.:.ヽゝoi|.|:.:.:}.}　　ｿ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　∥　　　　∥　　　　　　　　　　　　　＼三三
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∥　　　　　 ∥　　　　 ii　　　　　　　　　　　　 ',　　　ヽ三
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∥　 ∥　　 ∥ 　　　 i i　　　 i　　i　　　　　 ',　　　 ∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i|　 .∥　　 ∥i 　　　 i　i 　　 i　　i　　　　　 ',　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i| . ∥　　 ∥ i＿＿　　i　.i.　　　i ',　',ヽ　　　.i　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i| .∥　　　''´　',　　　｀''.　 i　　　i　´￣￣　　　.i 　 i　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧∥　　 ∥　　＿＿　┘　＼,,,,,,,i　ヽヽ　ヽ　　i 　..i　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∥∥　　 ∥,、-‐=‐- ｀ヽ　ヽ　　　 ''´,,ｨ＝=‐-、 i　　i　　.i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{i ∥ iヽ∨/ノi/ヽ:::::::::}｀ヽ　　　／f::::::::::::::i¨''ヽ　　i　　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ii∥　iJ .j/　∥-j""''''ー-　　　　　　乂;;;;;;;ノ _,,/ ｨ　.i　　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∨　 i　∥ .∥ ∥　 ,r、　　　　　　　　　　￣　// i　 i　 .i j}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {i 　 i ∥ .∥ ∥:::::/-.}　　　　　　　　　　　　ノ'':/ i　 i　 j∥
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞―-----', 　 i∥ .∥ ∥:::/　 /　　　　　　　　　　　　　 /　i　 i　,'∥
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/三三三三三＼ﾍ　 { 　 {:/　 /　　　　　　　　　　　　 /　 .j　j / /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./三三三三三三ﾐ＼ﾍ　 }　 {i　〈　　 "''‐-　　,,_ 　　　／　　∥∥ /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　../三∧三三三三三ミi　ﾍヽ　｀　＼　　　　　　　　　／ Ⅶ＼/ /　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/三三∧三三三三三i　{　ﾍ　　　　　＞、　　　 ,,｡s≦　　Ⅶ./　　./

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　郎中令の高弼曰く
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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481 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:39:55.48 ID:uKT+9upQ0: 　　　　　 , '´￣￣｀ｰ-､
　　　／: : : r‐r==========、
　　 /: : /├l‐１ ―――――|
　　,': :∧〉}‐ヒL二二二二二.｣
　 .{: :ｉ: ｉ /ゝﾉｲﾉ　l/　―　ｌ :}　　　　　　 .今、燕が滅びましたが、再興できないとは限りません。
　　| :ﾚ　| 　　●　　　●　ｌ :|
　　|: i: （|.⊂⊃　､_,､_,　⊂ l:/　　　　　　　大器を養い、一門や遺臣を集めて結束しないといけないのに、
　i⌒ヽ: :ゝ　　　　　　　　ﾙ|_／⌒)　　　一時の怒りでそれを放棄するのはよくありませんと高弼は意見を述べます
　ヽ　ヽ从ヽ,､　 __,　イ从/ ヽ／
　　∧___,ﾍｉ.ｉ:.:＼__八__／:ｉ.ｉ　　ﾊ　　
　　ヾ　　 .}.}:.:.:.ヽゝoi|.|:.:.:}.}　　ｿ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　////////////////// l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//////////////////ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//// ＞二二二二二≦
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞ "..... |...l... |.....|.....|....|..∨/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼../../ |...l... |.....|.....|....|i....∨/,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..../..ー‐|...l..........―..l‐ |ｌ......∨/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r　⌒ヽﾉ...l../／r⌒ヽﾉ|....|...|i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l:::::::::::l l　 U_　 l::::::: l　|....|...||
　　　　　　　　　　　　　　　！！？　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂:::::ﾉﾉu　三　乂:::ﾉ　|....|...||ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―‐　　￣'　 ―‐　 |....|...|||
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒v⌒v.:ｌ　 u　|....|...|||
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　u　/.:::::::::::::::::::|　u　.......|...ｌ||
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .:::::::::::::::::::::l　 ..ｲ.......|/ |}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≧　|:::::::::::::::::::ノ／)ノ.... ﾉ丿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　――‐匕 ≦.....／／

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　慕容垂は高弼の進言を納めた。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　これまで紹介してきた逸話もそうだが、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　慕容垂が我儘放題に生きてきたのが察せられる逸話だ。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　だが、そんな彼に前燕の再興を期待する人々もいたのである
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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482 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:41:42.90 ID:uKT+9upQ0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (二二二ﾆ/二二ﾆ/二｜二二ヽ二ヽ二ニニ)　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //＿/__//＿/__//＿/| |ヽ＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//＿/__//＿/__//＿/_| |__ヽ＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //＿/__//＿/__//＿/__| |＿ヽ＿ヽヽ＿_ヽヽ＿ヽヽ
　　　二二二ﾆ/二二ﾆ/二二二//＿/__//＿/__//＿/＿| |＿_ヽ＿ヽヽ＿_ヽヽ＿ヽヽヽ二二ヽ二二ヽ二二ヽ二二ヽ
　　 //＿/__//＿/__//＿/__///＿/＿//＿/__//＿/＿ | |＿_＿ヽ＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ
　　//＿/__//＿/__//＿/__//○====○====○======.○=====○===○===○===○ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ
　 //＿/__//＿/__//＿/__//＿|　　　|┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬|＿＿|＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽヽ＿ヽ
　○====○====○====○===.|　　　|││││││││││││││││||　　.||===○===○===○===○===
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　|││││││││││││││││||.慕 ||
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　|┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴||　　.||
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　|┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬||　　.||
　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿|　　　|││││││││││││││││||.容..||＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　＼／＼／＼／＼／＼／＼|　　　|││││││││││││││││||　　.||＼／＼／＼／＼／＼／＼／
　　／＼／＼／＼／＼／＼／|　　　|││││││││││││││││|￣￣|／＼／＼／＼／＼／＼／＼
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／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/　　　　　　　　　何故なら、慕容垂は戦に強かった。
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/　　　　　　　　　　　.戦乱の時代における
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:′　　　　　　　　　　　最も重要な資質を持っていたからだ
　∧＼　ﾏ三ｿ| .＼　　
./: : ＼＼ヾ-〃 ..∧
ｌ; : : : : ＼＼.り／: : :i
483 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:42:41.15 ID:uKT+9upQ0: 【紀元３７０年１２月　前秦　冀州　鄴】

　　／_-,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　/:::,::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::＼＼
　 /／,::::::::,:::::/!:::::::::l:::::l::::::::::､::::::::',　ヽ
　　/ｲ:::::::::l:::/ .l::::::::::',:::::l_､',＿l:::l::::',　　
　　{::::::::::´!/｀ヽ':,::::::::',´､!＿!:::l:::l::',:l　　　　　　　　　　　王猛。
　　 ',::::l::::ィ l´<ヽヽ:､::ヾ!´<,lｵ!:/::lﾞ}　　
　　　',::lヽ::', 辷ｿ　　　｀`辷ﾂ/;:' }::l　　　　　　　　　　　後は任せたぞ
　　　ヾヽ､ゝ　　　 '　　　　ﾊ'´l:/　　　
　　　　　　ﾊ､　　ー一　 ,.ｲ::/ /　　　　
　　　　　　_　',:lュ､　　イ:/l/_　　　　　
　　　　 <: : ｀ヽ.l､｀_´, ┴'"´ ｀丶､
　　　　　,}: : : : : :ll ´: : : : : : : : :_:,../　　　　　　　　　　　　　　　　　　::::::ｉ::::::::::::::::::::,:::::::/:::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ:::::|::::::::::::::::::/:::::/:::::::::::|:::::::::::::::ｉ::::::::::::::::::|:::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::::|::::::::::::::i/:::::/i:::::::::::八:::::::::::::|::::::::::::::::::|:::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::::|::::::::--i::::::/i i:::::／--ミ､:::::::|::::::::::::::::::|:::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人::V｣抖弐ﾐｘ　ﾉ／　抖弐ミxＬ|::::::::::::::::::|:::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ] ﾑ　ﾄう心　　　　　ﾄう心　ﾒ|::::::::::::::::::|:::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l, 沁 ∨)ツ　　　　　Vこツ　 |::::::::::::::::::|::::::::::人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |ｉ:::i圦　　　　　　　　　　　　 |::::::::::::::::::| i:::::::::::ｉ
　　　　　　　なるべく早く後任を送って下さい　　　　　　　　　　　　　 |i::::ｉ爪　　　　　　　　　　　　 |::::::::::::::::::ｉ i:::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |':::ｉ公､　　ヽ　_ア　　　　ｨ|:::::::::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::｀ /介:.,_　　　　　　,. イり::::::::::::::::::::i::::::::::ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::|,::::::::::::::::≧=--t=≦　ﾉｱ::::::::::::::}　ｉﾉ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::|ｉ:::::::: i人__ア　ｱ　],　　 /:::::::::::::厶イ　＾- ,__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　八ﾞ'や __孑ｱ　 /　　　　 /::::::/　　ｲ＾　|　　　ｱ⌒丶

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　十二月。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　苻堅は王猛を鄴に留め置いて、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　都督関東六州諸軍事・車騎大将軍・開府儀同三司・冀州牧に任命した。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　そして、王猛に戦後処理を任せ、自身は長安へ帰還している
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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484 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:45:14.54 ID:uKT+9upQ0: 【紀元３７０年１２月　前秦　司隷　枋頭】

_,..､-''"~""''';,‐-..,
　　　　　　　　　　｀ﾞ''ｰ-､,__,,..-‐''"'''- ．_,,..-‐''~"~"'''''‐-
　　　　　　,__,,..．-‐　'''""　　　　　 , -'"　　　　　　　　　｀`丶､.
::.;;'' ;;:;: :::''::.;;'' ;;:;: :::''::.;;'' ;;:;: :::''::.;;''.:i;;:;: :::∧二ヽ;;:;:.∧二ヽ;;:i;;:;:..
　　　　　　　　 ...::..:..:..::::..:..::.:..:...::..:.il.::::::::::l:ｌl＝ｌll:::::::l:::l:::::::l::.:il::.:....
　　　　　　　　　　　...::..:..:..::::..:..::.:..幵幵幵||:::.:||幵幵幵幵幵:::..:...
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　', "ﾞ　　　　　　＿|￣|＿|￣|　 |￣|_|￣|＿_|￣|_|￣| 　 |￣|_|￣|＿|￣|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,.-‐''"_,,ﾞ　　　　　　　|＿　＿||　 |￣　　 |　 |　　　　 |　 |￣　　　|　 |　　　￣|
　　　　　　　　　　　__,,.. ．-‐'''""~　,,.. '''　　　　　　　　　ｒ┘└へ|　 |二ｺ ┌'| 　|二ｺ ┌|　 |二ｺ ┌'|　 |二ｺ ┌┘
　　　　　　　_,,.-‐''"　　　　＿,,.. '　　　　　　　　　　　〈〈]　ﾟ,、〈|　 |　o　ヽ|　｜ o　ヽ|　 |　o　ヽ|　 |　o　└「￣＼
　　　　　　　　　　　　 ┌─┴┴─┐　　　　　　　　　　ヽ-ﾍ_>ﾉ_ﾉ|＿|､＿ハ/|＿|､＿八ﾉ|＿|､＿ハ/|＿|､＿ハ/｀⊇.ノ
　　　　　　　　　　　　 │　枋　頭　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／
　　　　　　　　　　　　 └─┬┬─┘　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／
　　　　　　　　　　　　　　　 ││　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒ…―-　..,,_／ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: イ
　　　　　　　　　　　　　　　"''ﾞ"''ﾞ"　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ :::::::::::''´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _＞､_::::::ヽ､ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣i　｀丶､:::｀丶､_: :::::::::::::::::::::::: ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ! iﾊト､ i､丶､___` ー--::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 lﾊﾉ!ｲ仄ゝヽ　ﾅアi`ー-=....,,,___＿,,.ゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|'、`┘　 '^i下心!ﾊj　 ,ﾊ!
　　　　　　　　その道中。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.|/＼　､　　ゞ-イ　/／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.☆ '　ｒ‐ｉ＞ ‐ｒｧ='7.イ´
　　　　　　　　枋頭で諸父老と宴を催し、群臣を饗応している　　　　　　　　　＼ ⌒ヽ､,.ヘ.::´:::ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ｒイ　,.ｨﾍ.:::::ハー- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 └攵ｱﾄ=ヘ、::::ヽ ::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／〈::::::::::::＼:::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉―ｧi'´ ＼ :::::::: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　　　 /_ア^'┘　　｀ヽ､::j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 └ ′　　　　　｀
485 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:46:52.04 ID:uKT+9upQ0: 　　　　　　　　 ,;: '';..,　,..,'' :,
　　　　　　 ,;:'';, ,;　 ;　　;　 ;　''':,
　　　　　,;'':.:.　 ;　　;　　 ;　 ;　　'';,
　　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
　　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',　　　　　　おや？
　　　　 ,iﾞ　／　　　　　　　＼　ﾞi!
　　　　i!　　　●　　　　●　　　,l　　　　　　.あなたも関中へ？
　　　　ﾞi,,＊　　（__人__）　　＊,/
　　　　　ヾ､,,　　　　　　　　 ,／
　　　　　　 /::::::::::::::::・:::::::::::::::::ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,;:'';, ,;　 ;　　;　 ;　''':,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,;'':.:.　 ;　　;　　 ;　 ;　　'';,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　',ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;　　／　　　　　　　＼　　::::;
　　　　　　　ええ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;　　　●　　　　　●　　　:::;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;　　　　（__人__）　　　　 ::,;
　　　　　　　もう何十年も冀州暮らしだったのに。　　　　　　　　　　　　　　｀: : 　　　　 ,丶‐､､_　::::::､′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､''"｀｀｀゛''':､;.　: : .,:'　　:::::ヽ
　　　　　　　いい迷惑ですよ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,:'　｀ヽ､、　　｀｀'｀｀　　　　:::::;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（　　　　_｀丶　　　　　　　、　::::'．
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 : "-､- ‐″: ｀'、、: : : .,,.．｀　　::::.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,:'　　　 ,:'｀　　｀｀｀｀｀　　、　　:::';､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,:'　　　..,:'　　　　　、　　　　　　:::::.ﾞ;、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､": 　　　,′　　　　 r、　　　　　　　:::::ﾞ;

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　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
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./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　前秦軍の帰還に伴い、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　慕容鮮卑以外にも関東の豪傑及び諸雑夷十万戸が関中へ移された。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .他に烏丸の雑類は馮翊郡・北地郡へ、丁零は司隷の新安へ移されている
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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486 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:48:15.74 ID:uKT+9upQ0: 【紀元３７０年１２月　前秦　青州　広固】

　　　　　　　　　　　　　　　　陳留から来ました
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　東阿から来ました

　　　 '';';';;'';;';'';';';;;'';;'';;;;'';';';;'';;';'';';';;;'';;'';;;;'';';';;'';;';'';';';;;'';;'';;;;'';';';;'';;';'';';';;;'';;'';;;;'';';';;'';;';'';';';;;'';;'';;;;'';';';;'';;';'';';';;;'';;'';;;;'';';';;'';;';'';';';;;'';;'';
　　　 '';';';;'';;';'';';';;;'';;'';;;;'';';';;'';;';'';';';;;'';;'';;;;'';';';;'';;';'';';';;;'';;'';;;;'';';';;'';;';'';';';;;'';;'';;;;'';';';;'';;';'';';';;;'';;'';;;;'';';';;'';;';'';';';;;'';;'';;;;'';';';;'';;';'';';';;;'';;'';
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　　　几几几几几几几几几几几几几几几几几几几几几几几几几几几几几几几几几
　　　 |＼＿／￣￣＼＿／||＼＿／￣￣＼＿／|.|＼＿／￣￣＼＿／||＼＿／￣￣＼＿／||＼＿／￣￣＼＿／|
　　　 |＼＿／￣￣＼＿／||＼＿／￣￣＼＿／|.|＼＿／￣￣＼＿／||＼＿／￣￣＼＿／||＼＿／￣￣＼＿／|
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　　　 |＼＿／￣￣＼＿／||＼＿／￣￣＼＿／|.|＼＿／￣￣＼＿／||＼＿／￣￣＼＿／||＼＿／￣￣＼＿／|
　　　＼＿|　▼　▼　|＿／＼＿|　▼　▼　|＿／＼＿|　▼　▼　|＿／＼＿|　▼　▼　|＿／＼＿|　▼　▼ .|＿／
　　　　　　＼　皿　／　　　　　　.＼　皿　／　　　　　　＼　皿　／　　　　　　＼　皿　／　　　　　 .＼　皿　／　　　
　　　　　　／　　　.＼　　　　　　／　　　.＼　　　　　　／　　　.＼　　　　　　／　　　.＼　　　　　　／　　　.＼　　　

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　陳留・東阿の一万戸は青州を充実させるために同地へ移住させられた。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　また、かつての戦乱で遠隔地へ移った者は、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　希望すれば以前住んでいた地へ戻る事が認められている。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　王猛が鄴に残ったのは
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　こうした政務に追われていたのだろう
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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487 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:50:06.11 ID:uKT+9upQ0: ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__ｨ‐'￣｀ヽ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::ヽ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::＼
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|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::f ＼::::::::}
|　　　　　　　　話を戻そう　　　　　　　　 |:::::::::::::|　　ゝ::::|
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::ヽ　　∨
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ー:､::::::::::ﾍ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::::ヘ＿
|________＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ |:::::::::::::::::::::::::::::::::｀丶、
　　　　　　　　＼::::| |:::::::::ィ !{　ﾊ T tｰr ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、
　　　　　　　　　` | |ー--ﾚﾘﾙ|rfiﾃヽl ｲﾃz rr----――― ' " ´
　　　　　　　　　　　 | |　　　ヾN ゞｿ　　ゞｿ//　
　　　　　　　　　　　 | |　　　　＞:´|､　 -　　,|`:＜
　　　　　　　　　　　 | | 　　　 |::::::::| ＞　イ |::::::::|　　　　　　　　　　さて、東晋では袁真の乱がまだ続いていた
　　　　　　　　　　　 | |　　　＞-､＼!　 !／::,-＜
　　　　　　　　　　　 | |　　　＞-､＼!　 !／::,-＜
　　　　　　　　　　　 | |　　/´:::::::::::::{二{}二}´::::::::ゝ-､
　　　　　　　　　　　 | | 　ｌ:::::,:-:::::::://::|ヽヽ::::::::::::::::::!
　　　　　　　　　　　 | |　 /‐'´::::::::,::V:::::!::∨::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　, ' ﾆ}く::／::::::::/:::::／|::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　 |　ｰjヽ＼::::::'"::／ヾ !::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　ヽﾆj　} 　＼:／＼　|:::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　〈:| |Ｖ　　　 }>､___..>!:::j::::::::::::::::|:::::|
　　　　　　　　　　　|:!.|:＼　　ﾉ::L.. , __.!::::!::::::::::::::::!:::::|
　　　　　　　　　　　|:!.|::::::`ー':::/　 /　 |::::|:::::::::::::::::!:::::!
　　　　　　　　　　 |:|_!:::::::::::::::/　 /　　|:::::!::::::::::::::::|::::::|
　　　　　　　　　　 |::::::::::::::::::/　 /　　.!:::::!::::::::::::::::|::::::l
　　　　　　　　　　|::::::::::::::::/　 /　　　 !:::::|::::::::::::::::|:::::::!
　　　　　　　　　　　!:::::::::::／　 /　　　　|::::::|::::::::::::::::|::::::::!
488 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:51:01.60 ID:uKT+9upQ0: 【紀元３７１年１月　晋　揚州　寿春】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　し'⌒;;;;;(　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{:;:;ｿ;;;;;;::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Y;;;;;;;ノｿ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(;;;;;;;;;):;;;;):;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∫ι＿＿':::(:;:;;;):;;:;:;;;):;;＿＿＿ ./丁了
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾｰ─ｰ─ｰ──ｰ──ｰ──ｰ─ｰ,ィ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　||;　|;　|i　|;　|;　|;　|i　|;　|;　|;　|i　|　||
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　||i　|;　|;　|;　|i　|;　|;　|;　|i　|;　|;　|　||　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　弋┼i‐‐l!‐i!‐‐i──i‐‐l─i‐ l‐ l‐il┼‐ ﾌ　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　弋ｪｪt┼┬┌───────┐ ,‐i┼t'ｪ,ｨﾌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　iｌ＿,└───────┘ ,　 i!　　　　
　　　　　　　　　（ ;;;;(　　　　　　　　　　　　|￣￣||　|￣￣|i　|￣￣||　|￣￣|l　　　　　（ ;;;;(
　　　　　　　　　 ) ;;;;)　　　　　　　　　　||￣￣|￣￣ｌ￣￣|￣￣!￣￣|￣￣|￣||　　　　 ) ;;;;)　　　　　　　（ ;;;;(
　　　　　　　　　/;;／　　　　　　　　　　.ｌ|￣|￣￣ｉ￣￣|￣￣ｌ￣￣|￣￣!￣￣|ｌ　　　 /;;／　　　　　　　 ) ;;;;)
　|￣￣|i　　　|￣￣|ｌ　　　|￣￣||　　　||￣￣|￣￣|￣￣ｉ￣￣|￣￣|￣￣|￣||　　　|￣￣||　　　|￣￣|i/;;／　|￣￣||
￣|￣`~|i￣￣|￣￣￣i￣￣|ﾞ ''￣i￣　||￣!￣￣/ ￣￣￣￣￣￣ﾞヾ￣|￣￣.|ｉ￣|￣`~|i￣￣|￣￣￣|￣`~|i￣￣|￣￣
|￣￣i￣″|￣￣|i ￣￣|￣￣i`~￣|￣ｉ|￣￣|￣|: : : : : : : : : : : : : : : |￣￣|￣||￣￣i￣″|￣￣|i￣|￣￣i￣″|￣￣|i￣
|￣i￣￣|￣￣i￣~￣|￣;ﾞ|i￣￣l ￣￣||￣|￣￣|: : : : : : : : : : : : : : : |￣ｉ￣￣||￣i￣￣|￣￣i￣~`|￣i￣￣|￣￣i￣~`ll`l
ｌ￣￣|￣｀~|i￣″| ￣￣i￣￣|￣￣i､ ;||￣￣|￣|: : : : : : : : : : : : : : : |￣￣|￣|ｌ￣￣|￣｀~|i￣″|￣ｌ￣￣|￣｀~|i￣″|￣
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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　袁真の乱の終結は前燕滅亡より後になる。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　太和五年（三七〇年）二月に袁真は死んだが、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　反乱軍は袁真の息子の袁瑾を立て抵抗を続けた。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　太和五年八月以降、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　桓温は寿春を包囲して袁瑾を攻め立てていた
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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489 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:51:49.59 ID:uKT+9upQ0: 　　　＼ヽ人_从人__从_人__从_从人__从_人__从_从人_人／
　　　≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜
-=ニ　　　桓伊将軍が秦の援軍を撃破しました！！　　　≦
　　　≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≦
　　／Y⌒YWW⌒W⌒Y⌒WW⌒W⌒Y⌒W⌒Y⌒WW⌒Y＼
　　　　　　　　　＼ヽ人_从人__从_人__从_从人__从_人__从_从人_人／
　　　　　　　　　≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜
　　　　　　 -=ニ　　　　寿春城内で袁瑾を捕らえました！！！　　　 ≦
　　　　　　　　　≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≦
　　　　　　　　／Y⌒YWW⌒W⌒Y⌒WW⌒W⌒Y⌒W⌒Y⌒WW⌒Y＼　　　　　＿_,. -‐　￣｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ ／: : : : : : : : : : : : : :｀⌒＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／^´´ `＜:.:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:／:.:.:／:／｝／　　　＿__,,ヾ:.:.:.:.:.:.';
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/／/:／ /|:,/　イ　　 y≦=ﾆ二､_｝:.:.:.:.:.:.｝
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |/|:.:/斗≧===>=く::::::::::::::::::}}¨ﾄ､:／⌒'.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|八 {{::::::::::::::j´　ヽﾆﾆ二ノ　L//⌒) {
　　　　　よくやった！　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　代二ﾆイ､:::::_.ﾉ　　　　 ′Y/ ,ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ|　　　　｀　＿＿ _,ヽ　　（／
　　　　　袁瑾と反乱に関わった連中は都で処刑する！！　　　　　　　　　　　　`t彡- 一￢^ﾌ　　　j/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、／／----／　　　/ |
　　　　　すぐに連行しろ！！　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,;;<x'´　｀こ二　　　,　′|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ／ rﾄ､＿＿_.... イ　/ ∧､　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_／　∨ ｀丶、　　　　　／　 | ＼＿　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣￣〈　　　　　　　　　￣¨フ=弋,　 ∧　＼　＞―-　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧　　　　ヽ　　　　 /　　　}　　　、　　ヽ　　　

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　太和六年（三七一年）一月。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　苻堅に派遣された前秦軍が将軍桓伊が撃破し、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　桓温が寿春を陥落させて袁瑾を捕らえた事で乱は終結。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　袁瑾及び彼の宗族数十人は建康で斬られ、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　反乱軍に与した乞活数百人は坑に処され、彼らの妻子は褒賞とされた
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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490 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:54:06.33 ID:uKT+9upQ0: 　　　　　　　ゝ/´/////彡∧i‐-､
　　　　　／////＞≦_フ´ﾞﾞ‐-､∧
　　　　／///／{::::::::::::::::ヽ=γ￣＞､
　　　 ////／ゝ､ヽ:::::::::::::::ﾉ　＼::::::::::ヽ
　　　,//／／　　｀￣￣　〈⌒´i‐‐､´　
　　γ⌒ヽ' 　　　　　 ,, 　　ヽノ　　 i　　　　　　　　　郗超よ。
　　 i |i､｀)　　　　　　'ゝ二二二二７　,　　
　　　､` ヽ　　　　　　　　｀‐-==-　　i　　　　　　　　　　枋頭の恥は雪いだと思うか？
　　　　､ゝλ　　　　　　　　　　　 i
　　　　 ∨i　､　　　　　．＜三ヽ　ノ
　　　　　∨ 　＼‐‐ ´////////／
　　　　　　〉　　　＼/////////,i
　　　　／ {｀､　＼､｀　ヽ////,i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-‐ ´‐― 　　　　　　☆八　　＼
　　ゝ´:::::::∧､　￣　　 ‐-,-ヽ-‐iヽ　　　　　　　　　　　　　　　　 ′　　　　　　　　　　　〉／　　　　　＼
´::/::::::::::://∧:.　　　　　 /‐-‐∨ i∧､　　　　　　　　　　　　　　.ｌ　　　　　　　　　_　 ¨　／　　　＼.　　　ﾄ､　}＼
::/:::::::::::////∧　　　　 ∧:::::::::::∨i/∧｀....､　　　　　　　　　　　|　　　　 _　-　¨._. イ／　　＼　　 i| ､＿＿_ノ　ﾉ
/､:::::::ノ/////∧　　／　ヽ::::::::::iヽ///､::::::ヽ::.‐-　　　　　　　八¨¨¨¨ﾟ　　 _ 　¨／､　　　　∧.　 |　 }＼　＼¨´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.′ー―‐ ≦　／　ﾄ､|｀　､　　∧　|. j　ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　　　　　　　　／.　八　芹竿ミ､{　| ,ﾍ　　,へ　’｡
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　　| 　　　　　／. ト､　　＼乂　ﾉ　八. ｌ.ﾉ　 i| |.∧.　Ⅴ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｲ.　　　|.　　　／ﾍ　八. ￣￣￣　　　/|　八{　八{　∧　Ⅴ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　夂､＿＿｣.　　イ　 |八` ム　　, 　　　　 |. / 从.　　Ⅴ. ∧　Ⅴ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀¨¨¨¨´￣/へ八　　ﾊ　　　, -　　　　八ト　_　　　＼ ∧　Ⅴ
　　　　　有識者は厭わなくなるだろうね　　　　　　　　　　　　　′.　＼{　＿_≧o｡　__　イ　/　 /ﾆﾆﾆ＞-　_.＼.}　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i |　ﾉ` Y　　　　 Yr--ﾆ /_ノ／ﾆﾆ｡ ’　___.　| 　＼.八
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i | /.ヽ-.|.　　　　八lﾆ／　／ﾆ｡. ’　 ´　　Ⅴ　ノ.ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　从　 }.八　　　 /　ﾉｲ　／｡. ’　　/.　　　　 Ⅴﾄ　　 Ⅴ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　ﾊ､___＞-イ　′イ｡. ’　　　　 |　　　　　　} 　＼　Ⅴ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.′　,へ｀¨¨¨´| /　′. 　　　　　　 |　　＿_　　|　 Ⅴ.　 Ⅴ

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　桓温は袁真の乱鎮圧を枋頭の雪辱の機会と捉えていた。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　腹心の郗超に向かって、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .雪辱できたか同意を求める逸話が『晋書』『郗鑒伝』にある
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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491 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:55:36.74 ID:uKT+9upQ0: 　　　　　i　　　　　　　　　＿　／　　　　＼　　　ヽ＼ }ヽ
　　　　　{　　　　＿　- ﾆ--／　　　＼　　　　　　ﾊノノ
　　　　　ゝﾆﾆﾆﾆ　--　イ/　　　_,,. -‐-　　　 } ヽ　　<
　　　　　/ ｀　　　　　　　/　i匕　＼　　ヽ　　ﾄ　＼　＼
　　　　　i　　　　　　　／　　 } ,ｨfﾓ云艾7ヽ　 l }　　{ ﾄ、＼
　　　　　l　　　　　／ﾄ　、　ゝ、弋,ソ　l ﾘ　.lﾉ　　 l i　　　ヽ
　　　　　l　　　／ﾄ　ヽ、 `　=-　　　　/i　　i　l　　　l　　　　　　　　　　ところで大司馬は、
..ゞ _　彡 i 　 , イ　 {ヽﾄ k=ｨ　　　　　　/ l　　i　l　　　　　＼　ヽ　　　　都に思いを巡らしているのかい？
　　　　　￣ /ハ　i　　 .ﾑ　 '　 _　　　　　l　　l-= _　　ﾑ　　　　 }
　　　　　　　//　＼ﾑ　＿ ≧　 _　　イ / 　 /:::::::::::≧-　、　　　i
　　　　　　　{ l　　r-f ´　　　　ヽィ:::::/ /　 /:::::::::／　　　　 }　　 {
　　　　　　　i .i　ﾊ-'|　　　　　 |　l::::／　／::::::／　／　　　/　　八
　　　　　　　ヽ{/　〈　ゝ　　　　ﾉ .／　／:::, イ　　/　　　　　ゝ　　　 ',　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::ミi::::::::::::::::::::::::::::.
　　　　　　 /　 <ﾊ_ ﾆ=--イ /　ﾊ<::／　　　　 l　　　　　　 }　ゝ、ヽ　　　　′::::::::::::::::::::::::::::::::Y::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　/ ヾ三彡l　/　/　　　　　　　　l　　　　　　 {l　　　　　,　　　　i::::::::::::::::::::／::::::::::r=ぅ:::::::::::::_:::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_|:::::::::::::::::::::::::::_彡:/^7::::彡'　ミ:::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/r V::/:::::::::::::::::::::/j::j　""　　　　ﾐ::::ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　八{ﾊ.V {::/:::::::::::／/:/　　　　　　　}:/　′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽｰi ﾚ __彡 ' _.／　　　　_,,,...=ぇ |i /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　込ト-r≧====x ＿r≦====x〃「
　　　　　　　　　　　　　　何が言いたい？　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 ‘，　辷=-///￣ヽﾆ=-///j /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　，　`ー一'　i　　 `ー一'　′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 ∧　　　 :..　　ﾉ　　　　 ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣｀7　iヽ　　＿　二....＿_　　/ ⌒ヽ￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 /　 .＼へ　　こ二ヽ＼〃　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　｀ヽ＞　＿,　＼> 厂￣｀＞＼

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　『晋書』『郗鑒伝』は、同日の夜の話として別の逸話を載せている
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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492 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:57:11.54 ID:uKT+9upQ0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ＼
　　　　　　　　　　　　　　_　　 ---　　_　_　 -=　ノ
　　　　　　　　　_,　 -‐'´　　　　　　/　}　　≦ ´
　　　　　　,ｨ　　　　　　　　　　　 , ☆/　　　＼
　　　　　/　　　　　　　　　　　 |ナ／　＼　　　　ヽ
　　　　　i　　　　　　　　　＿　／　　　　＼　　　ヽ＼ }ヽ
　　　　　{　　　　＿　- ﾆ--／　　　＼　　　　　　ﾊノノ
　　　　　ゝﾆﾆﾆﾆ　--　イ/　　　_,,. -‐-　　　 } ヽ　　<
　　　　　/ ｀　　　　　　　/　i匕　＼　　ヽ　　ﾄ　＼　＼
　　　　　i　　　　　　　／　　 } ,ｨfﾓ云艾7ヽ　 l }　　{ ﾄ、＼
　　　　　l　　　　　／ﾄ　、　ゝ、弋,ソ　l ﾘ　.lﾉ　　 l i　　　ヽ　　　　　　　　.大司馬は重任にあり、
　　　　　l　　　／ﾄ　ヽ、 `　=-　　　　/i　　i　l　　　l　　　　　　　　　　　　天下の責は大司馬に帰している。
..ゞ _　彡 i 　 , イ　 {ヽﾄ k=ｨ　　　　　　/ l　　i　l　　　　　＼　ヽ
　　　　　￣ /ハ　i　　 .ﾑ　 '　 _　　　　　l　　l-= _　　ﾑ　　　　 }　　　　　 .廃立の大事を行わず、
　　　　　　　//　＼ﾑ　＿ ≧　 _　　イ / 　 /:::::::::::≧-　、　　　i　　　　　　伊尹・霍光のような動きをしないと、
　　　　　　　{ l　　r-f ´　　　　ヽィ:::::/ /　 /:::::::::／　　　　 }　　 {　　　　　　四海を鎮圧して天下を威圧するには不足。
　　　　　　　i .i　ﾊ-'|　　　　　 |　l::::／　／::::::／　／　　　/　　八
　　　　　　　ヽ{/　〈　ゝ　　　　ﾉ .／　／:::, イ　　/　　　　　ゝ　　　 ',　　　　何故気付かないのかな？
　　　　　　 /　 <ﾊ_ ﾆ=--イ /　ﾊ<::／　　　　 l　　　　　　 }　ゝ、ヽ
　　　　　　　　　　/ ヾ三彡l　/　/　　　　　　　　l　　　　　　 {l　　　　　,
　　　　　　　l　/ /　　　　　|　{　 {　[]　　　　　　 > ||イ⌒jk.._i　　　　　l
　　　　　　　i .{/　　　　　　l八　　ゝ、　　　　　/ ヽ|/　/ ヽ:::ヽ　　　　}
　　　　　　　　 |　　　　　　 j, ｲ　　　　　＼　　　ゝ、 l_ /　　}:::::l　　　//
　　　　　　　l l八　　　　／　ﾉ　　 []　- 、ヽ　　　 {八7／ｲ::ﾉl　　／
　　　　　　　l i.l　≧--イ────── ヽ　l─　,,,;;;;;;;;;ﾊ-イ──────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}ﾉ　　ゞ＿,ノ
493 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:59:00.04 ID:uKT+9upQ0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_＿＿___
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／〃〃:::::::::::::::::::::::::::｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::／.ｨ//:／"´｀`ヾ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:::::::::: ///／ ///　　　　　ﾐ:::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ|::::::, /// 　 / ハ　　　　　ミ:::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　从:j// 乂､､,,,,,,ノ　_,,,,,､彡⌒　Ｙ:::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂:::{_仁三三三}⌒{三三三气_}::｛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /⌒ＹV三三三/ 　∨三三三ｊＹ'＾ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｛ {⌒j `ー─＜/　　､`ー─＜ } し'｝
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼｀ﾊ　　　　ヾ.:.::ノ　　　　　ﾊ. /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｰ:.　　　 __＿__ 　　　 /／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ヽ　　 ´　＿,, 　｀　　ｲﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣｀ヽ　　　　　　　／ﾍ:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　圭二二ニ＝─-､_）､_＿＿__／　　 ∨::＼、
　　　　　　　　　　　　　　　／, ′／´￣￣｀ヽ八　　/　　　　 ',::::::∧｀:::...､、
　　　　　　　　　　　 _ .． ´.::/　　 , -―- ､__ソ /二∧　　　　　 j!:::::: ∧:::::.:.:.:｀ . . 、
　　　　　　　　　　　　　　 . : :.:.::::/　　／　, -―- ､__ソ'///∧　　　　ハ:::::::::∧:::::.:.:.:. . . . .
　　　　　　　　　　　 . . : :.:.:.:::{　　　／　＿　｀ヽ∧////∧　　　/　 ! ::::::: ∧:::::.:.:.:. . . . .
　　　　　　　　　　 . . : : :.:.:.::::::::l　　　／///｀ヽ丿 ∨/V〃＼　/　　! :::::::::: ∧:::::.:.:.:. . . . .
　　　　　　　　　 . . . : : :.:.:.::::::::l　　　　｀Ｙ////／ヽ　}//{　　　　′　 ! ::::::::::::: ∧:::::.:.:.:. . . . .
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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　郗超の言葉を聞いた桓温は、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　平素よりこの計を有していたため、発言を受け入れた
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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494 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/18(日) 23:59:32.06 ID:uKT+9upQ0: ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__ｨ‐'￣｀ヽ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::ヽ
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|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::f ＼::::::::}
|　　　　『晋書』『桓温伝』に曰く　　　　 .|:::::::::::::|　　ゝ::::|
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::ヽ　　∨
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ー:､::::::::::ﾍ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::::ヘ＿
|________＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ |:::::::::::::::::::::::::::::::::｀丶、
　　　　　　　　＼::::| |:::::::::ィ !{　ﾊ T tｰr ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、
　　　　　　　　　` | |ー--ﾚﾘﾙ|rfiﾃヽl ｲﾃz rr----――― ' " ´
　　　　　　　　　　　 | |　　　ヾN ゞｿ　　ゞｿ//　　
　　　　　　　　　　　 | |　　　　＞:´|､　 -　　,|`:＜　　　　　桓温は己の自負して異志を抱き、
　　　　　　　　　　　 | | 　　　 |::::::::| ＞　イ |::::::::|　　　　　先に河朔で功を立てんと欲し、帰還後に九錫を受けたかった。
　　　　　　　　　　　 | |　　　＞-､＼!　 !／::,-＜　
　　　　　　　　　　　 | |　　　＞-､＼!　 !／::,-＜　　　　 .すでに覆敗に逢い、名実は急速に減っていた
　　　　　　　　　　　 | |　　/´:::::::::::::{二{}二}´::::::::ゝ-､
　　　　　　　　　　　 | | 　ｌ:::::,:-:::::::://::|ヽヽ::::::::::::::::::!
　　　　　　　　　　　 | |　 /‐'´::::::::,::V:::::!::∨::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　, ' ﾆ}く::／::::::::/:::::／|::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　 |　ｰjヽ＼::::::'"::／ヾ !::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　ヽﾆj　} 　＼:／＼　|:::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　〈:| |Ｖ　　　 }>､___..>!:::j::::::::::::::::|:::::|
　　　　　　　　　　　|:!.|:＼　　ﾉ::L.. , __.!::::!::::::::::::::::!:::::|
　　　　　　　　　　　|:!.|::::::`ー':::/　 /　 |::::|:::::::::::::::::!:::::!
　　　　　　　　　　 |:|_!:::::::::::::::/　 /　　|:::::!::::::::::::::::|::::::|
　　　　　　　　　　 |::::::::::::::::::/　 /　　.!:::::!::::::::::::::::|::::::l
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　　　　　　　　　　　!:::::::::::／　 /　　　　|::::::|::::::::::::::::|::::::::!
495 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:01:40.20 ID:mhNi/aO+0: 【紀元３７１年１月　晋　揚州　寿春】

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／〃〃:::::::::::::::::::::::::::｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::／.ｨ//:／"´｀`ヾ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:::::::::: ///／ ///　　　　　ﾐ:::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ|::::::, /// 　 / ハ　　　　　ミ:::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　从:j// 乂､､,,,,,,ノ　_,,,,,､彡⌒　Ｙ:::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂:::{_仁三三三}⌒{三三三气_}::｛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /⌒ＹV三三三/ 　∨三三三ｊＹ'＾ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｛ {⌒j `ー─＜/　　､`ー─＜ } し'｝
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼｀ﾊ　　　　ヾ.:.::ノ　　　　　ﾊ. /　　　　　　　……やってみるか
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｰ:.　　　 __＿__ 　　　 /／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ヽ　　 ´　＿,, 　｀　　ｲﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣｀ヽ　　　　　　　／ﾍ:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　圭二二ニ＝─-､_）､_＿＿__／　　 ∨::＼、
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/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　ここにおいて、郗超は廃立の計を進言した
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
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　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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496 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:02:21.72 ID:mhNi/aO+0: 　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　/`、
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　　　ノ　　　　　　　　　／ {/:::::＼＼::^''冖''^｢　/　　　　从
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　　　　｀'＜＿　　／八　　　　　　　　／|/ 　 .:　　　 | ＼
.　　　　　　 /Τ"´　　＞　　ヽ　,.ア　イ　八　/: : .　　 |　　＼
　　　　　　 / 八　　　＼＼　＞　　＜　　　/　　/ : : : : 　 |ト　　＼
.　　　　　 /　　＼　　　＼＞-}　　　　　　/　　/ Λ:: : : . 八　　＼＼　　　　 }
　　　　　 /　　／　.|＼　　ト＼　　　　　　/　　/ニニ＼:: : .　ﾞ､　　　＼＼　　 /
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/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　遂に廃立が定まったのは、郗超の謀が始まりである
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
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　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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497 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:05:03.25 ID:mhNi/aO+0: 【紀元３７１年１１月　晋　首都　建康】

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/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　桓温は建康の宮殿へ出向いた
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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498 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:07:30.74 ID:mhNi/aO+0: 　　　　　　　/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : /: : : :／:::.:／　ヾ:.:.::./:.:.＼
　　　　　　 ,': : : : : : : : : : , -‐ ､:.:.:./ィ/:.::.／:.:.:.／　　　 }:.:./::.:.:.:.:.i
.　　　　 i: : : : : : : : ::／／⌒ヽ:.:.:.:/::／/.:ィ' 　￣三ミ､/:.∧:.:}.:l
　　　　　　{: : : : ::.:.:.:.:.:{　{　 ,ハ .}三≧二ﾆﾆ==─┬┬弌:/　}:/}′
　　　　　　',: : :.:.:.:.:.::.:.:.:',　 ./ヽj　}　　　　　　　　￣|////{j　 .|′
　　　　　　 ',:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.', 〈ノヽ　　　　　　　　　 |////ヽ
　　　　　　　',:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::j､乂ﾉ　　　　　　　　 {/// 　',　　　　　　　さて、皆の衆。
　　　　　　　 i:.:.:.:.:.::.:.:，＜ヽ_|　　　　　　　　　 `ｰ′ 　V
.　　　　　　 }:.:.:.，＜　　　　|　　　　　　　　　 /　_ 　〉　　　　　今日俺が都に来たのは他でもない。
　　　　　　　/¨¨　　　　　　　|　　　　　　ｒ_､_　　　　ｒ''¨
.　　　　＿/　　　　　　　　i　{　　　　　　　＼ﾆ=‐-′　　　　　　 .今上を廃立する
　　　／　　＞，. 　　　　i　＼　　　　　　　　　　￣)､＼
　／　　　　　　＞，.　　　 i　　＼　　　　　　 /　＼. ＼
／　　　　　　　　　　＞，　 i　　　　＞，.　　　　　 /　　　 ""
＼　　　　　　　　　　　　＞，　　　　　＿＞，＿/　　　　　　　　　(ヽ、００　　∩
　＼　　　　　　　　　　　　　＞，　／　　　　　　　　　　　　　　⊂ニ、ﾆ⊃　⊂　⊃
　　　＼　　　　　　　　　　　＞，　　　　　　　　　　　　　　 ,, -‐- ＼　　　| |／⌒ヽ　〇　〇
　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　（ ⊂ニニ　　 /　／⌒) ）
　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　｀ｰ――'′　し∪　（ノ
　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(ヽ、００　　∩
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⊂ニ、ﾆ⊃　⊂　⊃
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,, -‐- ＼　　　| |／⌒ヽ　〇　〇
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（ ⊂ニニ　　 /　／⌒) ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ｰ――'′　し∪　（ノ

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　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　そこで、皇帝司馬奕の廃立を謀って誣告を行った
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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499 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:09:49.02 ID:mhNi/aO+0: 　　　　/＼＿＿_／ヽ　　　　　　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　／''''''　　　'''''':::::::＼　　　　　　／''''''　　　'''''':::::::＼
. 　 |（●）,　　　､（●）､.:|　　　　. 　 |（●）,　　　､（●）､.:|　
　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|　　　　　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|　　　　　　　　いったい何故？
. 　 |　　｀-=ﾆ=- '　.:::::::|　　　　. 　 |　　｀-=ﾆ=- '　.:::::::|　
　　＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／　　　　　　＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／　
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-､　　　 ,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-､　　　　　　　　　　　　　理由をお聞かせ下さい
:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i　　　:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|　　　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|
　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜　　　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:::.:.:.:.:.ヽ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.::.:.:::.:.:.:.:.:.（＿. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.／:／:／:.:.:.:.::.:.:.:.:.ｒ‐=j　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::／:／:／/:.:.:／ﾉ.:./:/＼　＼　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {:.:.／⌒刈:/{:／乂_,ノ.:／_/.:／{:| 　 ;:Y　ヽ　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:.:{ { ツヽ}ﾉ　＼７７斥ｭ二ヽ　 |!　　i:.|　　 ', }
　　　今上は琅邪王だった頃から、　　　　　　　　　　　　 .|:.:', いｒ''　　　　 {//////７　　／ミ､}:.}ヽ.　　{
　　　痿疾を患っていたらしいんだよ。　　　　　　　　　　　.i:.:.ヽ i　　　　　弋/////ﾉ⌒!升≧.ﾚ′　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i:.:./ 〉　　　　　　￣￣　　.!/////}　　　　|
　　　これが何を意味するかは分かるよな？　　　　　　　　}/　{　　　　　　　　　ｒ _　　 }////ノ　　　　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　，ィ　　ヽ　　　　　＿　　　`ｰ‐′/　ヽ　　　　 }､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ _ ，＜　{　＼　 ',＼　　 '´　￣｀""　.／＼_　 -‐ ''''　　 }7Tヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣　　 /　　　　|　　＼}　＼　　　 `ｰ '　.／　　　　ヽヽ　　.／/ .|.　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　|　　　　＞．_ ＼　　　／　　　　　　＼　.／　/　 !　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 /　　　　　 |､　　　　　　¨ﾆ７`┬'＜¨ヽ　　　　　　/／　　/　　!　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　　　 /　　　　　.| ＼　　　　　　/ィ７７7 } 　＼＿＿_/　　　 /　 ./　　　　　＼

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　廃立の理由の第一は、皇帝司馬奕が痿疾だった事。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　痿疾というのは、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　日本語では痺れ病を指すが、中国語では男性器の勃起不全も指す。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　現代風に言えばインポテンツとなる
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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500 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:12:01.03 ID:mhNi/aO+0: 　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::ミi::::::::::::::::::::::::::::.
. 　　 ′::::::::::::::::::::::::::::::::Y::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　 i::::::::::::::::::::／::::::::::r=ぅ:::::::::::::_:::::::::::::i
　　　_|:::::::::::::::::::::::::::_彡:/^7::::彡'　ミ:::::::::
　　/r V::/:::::::::::::::::::::/j::j　""　　　　ﾐ::::ハ　　　　　　　問題はそれだけじゃない。
.　八{ﾊ.V {::/:::::::::::／/:/　　　　　　　}:/　′
　　ヽｰi ﾚ __彡 ' _.／　　　　_,,,...=ぇ |i /　　　　　　　 .それに付け込んだ側仕えの連中が
　　　込ト-r≧====x ＿r≦====x〃「　　　　　　　　 .今上の二人の妃を寝盗って子供を三人生ませた。
.　　　　 ‘，　辷=-///￣ヽﾆ=-///j /
　　　　　　，　`ー一'　i　　 `ー一'　′　　　　　　　　 .連中は子供が成長したら諸侯にしたいと望んでいるらしい
.　　　　　 ∧　　　 :..　　ﾉ　　　　 ∧
￣￣￣｀7　iヽ　　＿　二....＿_　　/ ⌒ヽ￣￣
.　　　 /　 .＼へ　　こ二ヽ＼〃　　　＼
　　　 /　　　｀ヽ＞　＿,　＼> 厂￣｀＞＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/＼＿＿_／ヽ　　　　　　　　 /＼＿＿_／ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／''''''　　　'''''':::::::＼　　　　　　／''''''　　　'''''':::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　 |（○）,　　　､（○）､.:|　　　　　 .|（○）,　　　､（○）､.:|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|　　　　　 .|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　 |　　｀ﾄｪｪｪｲ '　 .::::::|　　　 . 　 |　　｀ﾄｪｪｪｲ '　 .::::::|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／　　　　　　＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-､　　　,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i　　　　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|　　　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜　　　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　廃立の理由の第二は、皇帝司馬奕の寵臣が妃と密通した事だ。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　嬖人の相龍・計好・朱霊宝らは、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　司馬奕の妃である美人の田氏・孟氏と密通して三人の男子を儲けた。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　彼らが成長した暁には諸侯にしようと欲し、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　当時の人々を惑わせたと『晋書』『海西公紀』に記されている
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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501 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:14:37.70 ID:mhNi/aO+0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ叉7
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　　　　　　　　　　　　　　　,､r''"´. :.: .:. :. . :. :. :. :.: .: .:`ヽ､　　
　　　　　　　　　　　　,､r'"´.:.::;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;:.:γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　　　　　　｀`ヾr＝=;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;::.:.:. :.|　　廃帝司馬奕は東海王として邸に帰還させる　　 |
　　　　　　　　　　　　　　 `ヾ::.:.:;;;;;;;;;;:.:.:.:.:.:. :. :.ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂
　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ､:;:;;;;;;;;:;:.:.:::＝=.:.::::::.:.:.:.:／　
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヾ.:;;;;;;;＝=.::.::.:.:..:.::r'´　　　　　γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,」;;:;:;:;;;:;::.:.:. :. :.:. j　　　　　　　|　　全て漢王朝の昌邑王の如くせよ　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀`ヾ;:;:; :;::;;: ;r＝=.:.j　　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi:;:;:.:. :.: .:. :.:.:.:,!　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l;:;: .:.: .: ..:;;;:;;;!
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　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　この二日後。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　康帝の皇后だった褚太后の令により、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　皇帝司馬奕は廃位され、桓温の命で散騎侍郎劉享に璽綬を没収された。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　一旦東海王に落とされた後、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　翌年の一月に海西県公に降格、四月には呉県に居を移されている
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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502 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:16:42.89 ID:mhNi/aO+0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_...._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,.-':::::::::::::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,..-':::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　＿＿　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::ﾍ
　　　　 l:::::::::::::::::::￣::::::ー...／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　ヽ::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;ｨ::ﾆ'::::l
　　　　　　ヽ:::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ ｀ヽ:::::::l
　　　　　　　＼::::::::::::::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:､　　';::::::|
　　　　　　　　 ,ﾝ､:::::::::::::::::::::｀:-..._:::::::::::::::::::::::/::::::＼　';:::|
　　　　　　 / | |｀ﾄ､_:::::::::::::::::::::｀:::ｰ-......__/::::::::::::::＼ヾl
　　　　　　　　　l ﾄﾄ. ﾄ､ヽ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　｀ﾊ_|ヾ弋弍f'ｰ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　 '´く.　　 'ーｲ　l j､7ァt､__:::::::::::::::::::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　 rヽ､　lー'-'ノ_ﾉ∠Lゝト弋ー--　　:::＿:ﾉ
　　　　　　　　　　ﾍヽ--j..-＜}::::::::::::〈.｀　　　　　　　　　　　　　後世、司馬奕は廃帝海西公と呼ばれるが、
　　　　　　　　　　　 ,ﾚ-'⌒:､　ヽ:::::::::::ヽ- 、　　　　　　　　　　彼の廃位は東晋にとって深刻な問題を引き起こした
　　　　 ,. -‐､　　　ヽﾆ.:::::;r‐　'´ l::::::::::::::::::::ﾍ　　
　　　,r'::::.,.-'　　ｒ'´ ::::ヽ　　 __'Jノヽ::::::::::::::::::ﾊ
　　 /:::::/　　　　|　　 l::: ｀ヽ､_　ヽ_,ｌ:::::::::::::::::::::l　
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　　 l.　 l　　　　ヽl.　..|::::／::::::::::´:::::::::::::::::::::::::::::::|::::l.
　　ヽ　ヽ．__ ノ |　::|:'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
　　　　｀ｰ-　一ﾍ　|::::ｰ-､.._:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::|ヽ
　　　　　　　　　　　7ﾊ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::|:::ヽ
　　　　　　　　　／::|::|:ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::|::::::ヽ
　　　　　　／::::::|:::|:::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::|:::::::::ヽ
　　　　　　　／::::::::::{:::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::|:::::::::::｀
503 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:17:40.00 ID:mhNi/aO+0: ┌─────────────────────────────────────────────┐
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　①司馬睿（元帝）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.│
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..│
│　 ┌─────────┬─────────┤　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
│司馬昱（会稽王）　　　司馬晞（武陵王）　　　　 ②司馬紹（明帝）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..│
│　　　　　　　　　　　　　　 ┌──────────┴────────┐　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
│　　　　　　　　　　　 ④司馬岳（康帝）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　③司馬衍（成帝）　　　　　　　　　　　　　......│
│　　　　　　　　　　　　　　 │　　　　　　　　　　　　　　.　　　┌──────┴───────┐　　　　　　　　　│
│　　　　　　　　　　　 ⑤司馬聃（穆帝）　　　　　　　⑦司馬奕（廃帝海西公）　　　　　　　　　⑥司馬丕（哀帝）　　....│
└─────────────────────────────────────────────┘

／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/　　　　　　　　帝位を継ぐべき元帝→明帝の血筋が、事実上断絶したのである。
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/　　　　　　　　　 .上の図を見ての通り、
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:　　　　　　　　　　　成帝の系統は勿論、分家筋である康帝の系統も断絶してしまった
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿__
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/
504 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:19:54.73 ID:mhNi/aO+0: 　　　＼ヽ人_从人__从_人__从_从人__从_人__从_从人_人／
　　　≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜
-=ニ　　　　　　桓温が今上を廃位しただと！？　　　　　 ≦
　　　≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≦
　　／Y⌒YWW⌒W⌒Y⌒WW⌒W⌒Y⌒W⌒Y⌒WW⌒Y＼

　　　　　　　　　　　＼ヽ人_从人__从_人__从_从人__从_人__从_从人_人／
　　　　　　　　　　　≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜
　　　　　　　　-=ニ　　　　　　今に思い知らせてくれよう！！！　　　　　≦
　　　　　　　　　　　≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≦
　　　　　　　　　　／Y⌒YWW⌒W⌒Y⌒WW⌒W⌒Y⌒W⌒Y⌒WW⌒Y＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 --=´::::::::::::::::::::::::::::::::: : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:: ,': : ／i:::::::::::::::i:::i::::::::::::::ヽ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 /i::: {:: /.　 '::::::::{::::ﾊ_|ゝ::::::::::::::',
　　　　　　次の皇帝候補となりえたのは明帝の弟二人だった。　　　　　　　　　{: : i..,' ￣ ':::::::i!::,'. ヾ￣ヽ::::::',::}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.|',:: ',{====＼ {｀=====. i::::::::}/
　　　　　　ただ、年長の太宰・武陵王司馬晞は、　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ⅵ　|;;;;;;|　｀　|;;;;;;|　 |::: : ,'
　　　　　　無学で武勇に優れる人物で、桓温を毛嫌いしていた。　　　　　　　　　　i　｀"´　　　｀"´　 i:: : ,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀i＞　　＿＿　　＜|:: /
　　　　　　こうなると、桓温が取りうる選択肢は一つである　　　　　　　　　　　　　　ｌ/／: :ヽ＝/: :＼/／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ｀ﾞ＜ヽ/＞彳/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ. ⊂只⊃　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }　〃ヾ　 {
505 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:22:00.98 ID:mhNi/aO+0: 【紀元３７１年１１月　晋　首都　建康】

　　　 ,:.':/:〃ﾉ:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.::.∥:.:.:.:.:.､.:.:.､　
　　　 :.:.:!:.i!,:y:.::ヽ:.:.:.:｀ヾﾐ:.:.::i:!:i:.:.:,:::.:!.:.:.:.;　
　　　ヾ:ツ:./:.:.:＼::.:.｀ヽ:.:.:.:v:.!'!:.:l:!,:.:!:.:.:.:!
　　　　　~´7:.:.:..,:.:.:.:.:.:.:.:.:.／!:iヾwj !:.!:.!:ﾉ!
　　　　　　,:.:.:.:./:.:.:r　ヽ:,ﾞ　 i:.! -笹ﾞ ´Y!.!　　　　　　　　私が皇帝になるとは……
　　　　　 ,.:.:.:.:,:.:.:.:丶⌒ }!　 l.:!　 ~´　ヾ!
　　　　　,.:.:/:.:!:.:.:.:.:.ﾉｰ ''　　l:.!　　　　､′
　　　　 .:.:./:.:.:!::.:.:l:.i!＿ , ､　i:.!　　　 ‐ｨ､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:`:.:::'´:.:.:.:.:.::.:.:.:ヽ
　　　　..:./:.:.∧:.:.:､:!r‐ ､_ ー!:! _ iヽ／ｨ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.'，
　　　 .:.:/:.:.:/∧:.:.:.:.､ｌ‐!_|7zｊゞ:､ﾌ７､　 1　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.::.:.:.／{|^¨⌒~¨''¨￣ヾ.:.:.::.:.＼
　　　,':/:..:.:.ｲj_｀ヾ:.:.:..､‐_i_!‐|_| ,〃/_/_>ﾑ　　　　　　　　　　　　　　 .　 ∠:.:.:.|:.:./::／　 |!　__,.．-‐　　　}.:.:.::.:.:.:.:.ヽ
　　,.:./:.:.:. ,'!‐!_/_!‐､.:.:＼_!ニ Y―‐/_/_ｲ　　　　　　　　　　　　　　　　　 {:/{:/{:/_,__〈ィ云斥心､＿＿_{.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:i　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |'Y////ﾉ¨{///////}７￣￣ヽ.:.:.::.:.:.:.:.:.:.}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　{//／　　ヽ///少'　　　　　 }:Y⌒ヽ:.:.:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｰ{　　　〉￣　　　　　　　 .V ,ハ .}:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　ｒ､ {　`ｰ　　　　　　　　　　　　　ﾉ心 /:.:./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＼　　　　　　　　　　　　　　し' /:.:./
　　　　　　　　　他にいねえんだよ。　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 { ⌒¨''ヽ､　　　　　　　　　ｒ''{¨:.:.:./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 }　　　　　　　　　　　　　/　 |:.:.:/
　　　　　　　　　俺たちで支えるからさ　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 |　　　　　　　　　 /　　 !:.:{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　　　　　　　　　 _ -‐′　__|从__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､＿_,,.. ．-‐≦　_　，＜　　〉　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _}＿_　_ ，＜　　　　　 .／　　　 |`ｰ─
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／}ﾊ　ｒ､　　　　　　　　／　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ //{￣￣}　　　　　／. 　　　　 |

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　海西公廃位と同日。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　会稽王司馬昱が皇帝に即位。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .桓温が宮中に宿泊し、
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　彼の軍勢に守られての即位だった
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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506 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:23:41.64 ID:mhNi/aO+0: 　　　　　　　ゝ/´/////彡∧i‐-､
　　　　　／////＞≦_フ´ﾞﾞ‐-､∧
　　　　／///／{::::::::::::::::ヽ=γ￣＞､
　　　 ////／ゝ､ヽ:::::::::::::::ﾉ　＼::::::::::ヽ
　　　,//／／　　｀￣￣　〈⌒´i‐‐､´　　　　　ところで陛下。
　　γ⌒ヽ' 　　　　　 ,, 　　ヽノ　　 i
　　 i |i､｀)　　　　　　'ゝ二二二二７　,　　　　　.近頃の武陵王は王の決まりに従わないばかりか、
　　　､` ヽ　　　　　　　　｀‐-==-　　i　　　　　軽々しく賄賂を納め、反逆した袁真と通じていたと報告があった。
　　　　､ゝλ　　　　　　　　　　　 i
　　　　 ∨i　､　　　　　．＜三ヽ　ノ　　　　　猜疑に固まって謀叛の兆しがあるから、武陵王親子の官職を免じたい
　　　　　∨ 　＼‐‐ ´////////／
　　　　　　〉　　　＼/////////,i
　　　　／ {｀､　＼､｀　ヽ////,i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 γ:i:i乂:_｣L二L｣ﾑ::::〃::r=ミヾ'
　　ゝ´:::::::∧､　￣　　 ‐-,-ヽ-‐iヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {i:i:＞`｀::::／::::::::::∨{l|:::込ｲ:)ii}
´::/::::::::::://∧:.　　　　　 /‐-‐∨ i∧､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　У'"ﾟ~￣"ヽ::::::::::人込,,_ニ彡′
::/:::::::::::////∧　　　　 ∧:::::::::::∨i/∧｀....､　　　　　　　　　　　　　 /:/::::::::′::::::∨／:/:}:::}:::l:汽:｀'..､
/､:::::::ノ/////∧　　／　ヽ::::::::::iヽ///､::::::ヽ::.‐-　　　　　　　　　　　 ′::::::::::|:::::::}::::} ヽ:'::/::::'::::}:'，ヽ:::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{:::|:::|::::::|:::l:::}ﾙ|　 ∨:::/::::/:::} 　 ,:::::::::'，
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　从{xzﾐ､:ﾄ､リzz|ミ　彡::／∥」_　 }::::::::::}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l 杙ﾂ　　　ヒ|ﾂ　√:}::::: 〈(⌒_,ﾉ::::::: ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ﾊ" '　　　""|　 .:{-ｲ:::∥:≧==-‐ ゛
　　　　　　まさか。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .| 沁､丶　　ﾉイ:_{／::/::::::::}＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　 /＞‐.rfvYV_Y ::::/:::/::∧､::＼
　　　　　　さすがに兄上も　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{＿/:/ :::://|/|/|∧／／::/: ∧＼::＼
　　　　　　そのような真似をするとは……　　　　　　　　　＞‐…‐＜__///／｡s≦'/| ＞`｀::::´::／､: : ∧　＼::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′::‐:／　＼｀寸:|ﾏ￣∥／:::::::_｡s≦||/||:､: :∧　　＼:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ::'⌒/込_ ＼､＼}::|__ヽ／:, ィ升=^|/|/||/||: :＼∧　　＼:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::ｌ:_{_ﾆ=-＼)≧ｲｱ≧/:／_と¨ヽ./|/|/||/||: : : : :∧　　　 .＼:::＼

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　数日後。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　元号が太和六年から咸安元年に改められたのと同日、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .桓温は武陵王司馬晞に難癖をつけ、彼の党派の粛清に乗り出した
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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507 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:26:03.60 ID:mhNi/aO+0: 　　　　　　　　　-＝ -　　　　　ゝ ) ヽ
　　　　　　　/　　　　　　　　〃 ' - く
　　　,ｲ/　　l_　　　　　☆ -)／　　　､ヽ
　　//　　　ゞミﾐ三三ﾆヲ´　i　　　､ﾊﾑ＼　　
　 ( (　　　/　　　￣ ∠l＿　 l ＿＿i　ﾄ h｀　ー　　　　大司馬。
　　ー- ´/　　　ィ　　l i弋　 l=＼ﾑ｀ l ﾑi　
　　　　　ー-t ｲ　ir-t―, Vメ ,t―r-ｧｰﾑ　　　　　　新蔡王が武陵王と共に謀反を計画していたと白状した。
　　　　　 //l　 N 弋_.ﾉ　　弋_.ﾉﾘ i　ﾄﾊ　
　　　　　　 i l　N　iﾑ　　　' 　　　 ,,l　lNヽi　　　　　　武陵王と長男の司馬綜及び
　　　　　　 V, l　iゝ lゝ　　 -　　ィ l　l'i l　i　　　　　　著作郎殷涓・太宰長史庾倩・太宰掾曹秀・舍人劉彊が関与したと
　　　　　　　ヾl　l　il l　r｀j - 千､ ji　l　il　
　　　　　　　　,' ,'l　lメ､　i´⌒y　｀,'　,'_　il
　　　　　　　 // r', ﾑヽﾑ⌒/　　l　lへ, ﾑ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::ミi::::::::::::::::::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　　 ′::::::::::::::::::::::::::::::::Y::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::::::::::::::::::::／::::::::::r=ぅ:::::::::::::_:::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_|:::::::::::::::::::::::::::_彡:/^7::::彡'　ミ:::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/r V::/:::::::::::::::::::::/j::j　""　　　　ﾐ::::ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　八{ﾊ.V {::/:::::::::::／/:/　　　　　　　}:/　′
　　　　　　今名前が出た連中、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽｰi ﾚ __彡 ' _.／　　　　_,,,...=ぇ |i /
　　　　　　新蔡王以外は全員誅殺しちまおう。　　　　　　　　　　　　　　　込ト-r≧====x ＿r≦====x〃「
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 ‘，　辷=-///￣ヽﾆ=-///j /
　　　　　　情報提供者（）の新蔡王は庶民に落とせ　　　　　　　　　　　　　　 .，　`ー一'　i　　 `ー一'　′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 ∧　　　 :..　　ﾉ　　　　 ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣｀7　iヽ　　＿　二....＿_　　/ ⌒ヽ￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 /　 .＼へ　　こ二ヽ＼〃　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　｀ヽ＞　＿,　＼> 厂￣｀＞＼

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　筋書きはこうだ。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　宗族の新蔡王司馬晁が桓温に脅され、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　武陵王と長男の司馬綜が謀反を謀ったと誣告させられた。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　武陵王親子の他に
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　著作郎殷涓・太宰長史庾倩・太宰掾曹秀・舍人劉彊が関与していたとも
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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508 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:28:12.08 ID:mhNi/aO+0: 　　　 ,:.':/:〃ﾉ:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.::.∥:.:.:.:.:.､.:.:.､　
　　　 :.:.:!:.i!,:y:.::ヽ:.:.:.:｀ヾﾐ:.:.::i:!:i:.:.:,:::.:!.:.:.:.;　
　　　ヾ:ツ:./:.:.:＼::.:.｀ヽ:.:.:.:v:.!'!:.:l:!,:.:!:.:.:.:!
　　　　　~´7:.:.:..,:.:.:.:.:.:.:.:.:.／!:iヾwj !:.!:.!:ﾉ!　　　　　　　　待ちなさい。
　　　　　　,:.:.:.:./:.:.:r　ヽ:,ﾞ　 i:.! -笹ﾞ ´Y!.!
　　　　　 ,.:.:.:.:,:.:.:.:丶⌒ }!　 l.:!　 ~´　ヾ!　　　　　　　　 .武陵王は我が兄。
　　　　　,.:.:/:.:!:.:.:.:.:.ﾉｰ ''　　l:.!　　　　､′
　　　　 .:.:./:.:.:!::.:.:l:.i!＿ , ､　i:.!　　　 ‐ｨ､　　　　　　　　 .弟が兄を殺したとあっては、
　　　　..:./:.:.∧:.:.:､:!r‐ ､_ ー!:! _ iヽ／ｨ　　　　　　　　　我が大晋から大運が去ってしまいます
　　　 .:.:/:.:.:/∧:.:.:.:.､ｌ‐!_|7zｊゞ:､ﾌ７､　 1
　　　,':/:..:.:.ｲj_｀ヾ:.:.:..､‐_i_!‐|_| ,〃/_/_>ﾑ
　　,.:./:.:.:. ,'!‐!_/_!‐､.:.:＼_!ニ Y―‐/_/_ｲ　　　　　　　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／〃〃:::::::::::::::::::::::::::｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::／.ｨ//:／"´｀`ヾ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:::::::::: ///／ ///　　　　　ﾐ:::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ|::::::, /// 　 / ハ　　　　　ミ:::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　从:j// 乂､､,,,,,,ノ　_,,,,,､彡⌒　Ｙ:::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂:::{_仁三三三}⌒{三三三气_}::｛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /⌒ＹV三三三/ 　∨三三三ｊＹ'＾ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｛ {⌒j `ー─＜/　　､`ー─＜ } し'｝
　　　　　　　　　　……善処しよう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼｀ﾊ　　　　ヾ.:.::ノ　　　　　ﾊ. /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｰ:.　　　 __＿__ 　　　 /／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ヽ　　 ´　＿,, 　｀　　ｲﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣｀ヽ　　　　　　　／ﾍ:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　圭二二ニ＝─-､_）､_＿＿__／　　 ∨::＼、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／, ′／´￣￣｀ヽ八　　/　　　　 ',::::::∧｀:::...､、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ .． ´.::/　　 , -―- ､__ソ /二∧　　　　　 j!:::::: ∧:::::.:.:.:｀ . . 、

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　最初、桓温は謀反に関与した面々を
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　新蔡王を除いて全員誅殺するつもりでいた。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　だが、皇帝司馬昱は兄武陵王と彼の諸子の誅殺は断固拒否した。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　 .『晋書』『簡文帝紀』によると、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　桓温が再三武陵王親子の誅殺を求めても応じなかったので相当である
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
509 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:30:23.66 ID:mhNi/aO+0: 【紀元３７１年１１月　晋　揚州　新安郡】
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　寿春　　　　　　　　　　広陵　　｀ヽ
　　　　　○　　　　　　　　　　｀´○　　　　　｀ヽ
　　　　合肥　　　　　　,-､ ,-‐‐､　　　　　　｀i,
　　　　　○　　　　　/´◎ ~　　ヽ,-‐‐-､　_,､｀ヽ,
　　　　　 ,-,_, ､,　　/´建康　【晋陵郡】　　　く,!~｀=,-｀
　　　　　｀ヽ‐´　 i 　 ,~ﾉ　【義興郡】　○　ヽ｀ヽ,~!
　　　　　　　　,､,i｀~○　ﾟo陽羨○（,　 {,_呉【呉国】ヽ,　　
　　　皖○　_,|　　牛渚　　　【呉興郡】~　　　 ,--｀　　
　　　　_,i‐´　　　　　　　　　　　〇　　　　 ,-‐´　　　　　
　　　i´　○虎林　　　　　　　　武康　　　,=,‐-´,--､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【会稽国】

　　　　　　　　　　　【新安郡】　　　　○信安
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【東陽郡】　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,. :-:.' ｰ ' ¨ :.ゝ.､
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.:´: : : : : : : : : : : : : ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.': : : : : : : : : : : ',: : : : : : ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,':.:;':.:.:;'.:.:.;'.:./.:;'.:.:|i:';:.:.:.:.:.:.::`､｀ゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,':.:.i:.:.:.i:.:/i:.:/i:.:ﾊ:.:l:i:.:.i:.:i:.:.:.';.:.:',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ｲﾊ:!:.:.:l:/ i/ ﾉノﾉリﾘハﾘ:!:i:.:.!:.l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i/!:.:!:.:.;;;;;;;;;;;;;;;;　　 ;;;;;;;;;;;;;;l:.!:ﾊ!
　　　結局、武陵王司馬晞と三人の息子は廃位の上で新安郡へ移された。　　　　∨|:.:.!　　　　　　　　　ﾉ/i/ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ!:|　　　　　　　　　ﾉ!/′　
　　　以前に殷浩が流された　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ!＞ｰ- 　 -- ＜ｲﾘ
　　　東陽郡と似たり寄ったりな会稽国の奥にある山地である　　　　　　　　　　　　　　（;;;;;ｿ⌒)￣｀´￣(⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ;;=;;/＿_,,､＿/;;｀ソ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉;;;;;;;;ｿ:/Ａ.i:ｌ;;;;;;!′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ｀;;;;;;;;;;i;!＿__i;!;;;;;ゝ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_;;;;;;;;;;;7;;;;;;;;;;;;;;;;ヾ;;;;;;;;）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀￣￣￣´｀￣￣￣´
510 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:32:05.82 ID:mhNi/aO+0: 【紀元３７１年１１月　晋　首都　建康】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:,:　　　　　　　　　　 :(::)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/⌒''⌒) :,,゜　　　　　 '　　　　　　　　 ,,,,,,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(:::::::::::::::!'　　　　　　　　　　　　　　　　 (::::::)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ::::::::';'''　　　　　　　　　　　　　　　　　''~~　　。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 τ'::/ .;:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 )/
　　　　　　　　　　　。　　　　　　　　　　　　'　　、　　　　　　　;:　。
　　　　　　　f''`⌒(　　　　　,,,,　　　　　　　　　　　　　　　!:(',,,,　　　　　　　　　　　　　　::,,,,,、...
　　　　　　　,!,,,、(　　　　　/::　　　　　　　　　　　　　　ノ:::::::::::::::::)　　　　　　　　　。　!::::::::::`!　、
　　　:.、　　　　　　　　　　!:::(　　　　　ﾉ::`!　　o　　(::::::::::::::::::　　　　　　　　　　　　　(:::,,;,;,、; 。
　　　　　　　　゜　　　　　(/　　　　　　⌒ 、　　　　;::::::::::::;;.;~~''
　　　　　　　,,、..　　　／/　　　ノ'　　　　　　　　　/／'''~~　　　　　 ..,,.. _,,,.、　　　　　　　　　　,, ...:　..
　　　　　 /;::::::::(,.,.(;;;::::(　　 ,,.,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;,;;( ):::::;.　　　　c::── '＾'''::::::::::;'
　　　　　):::::::::::::::::::::::::::/　　'''''　　　　　　　　　　　　　'`　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒　; !.:::τ''　
　　　　　!::::::::::::::::::::::::::::)／,,,,,　　　　　　　　　　　　　　　　　 :'~~~:
　　　　　(::::::::::::::::::::::::::::冫 ~~~　　　、,:'::::::`:::,,,,　　　　　　　 !:::::ノ
　　　　　::::::::::::::::::::::::::::;(,,,,,,,、:::::::-ｰ''''　''''''''"
　　　　　　　　　　　　ヽ::::::::';''

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　新蔡王司馬晁は荊州の衡陽へ放逐。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　著作郎殷涓・太宰長史庾倩・太宰掾曹秀・舍人劉彊は誅殺された。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .なお、著作郎殷涓は殷浩の息子、
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　太宰長史庾倩は庾冰の息子である
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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511 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:32:37.08 ID:mhNi/aO+0: 　　　　／ :. ィ.;:.:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　ｲ:.:.:.:/-|/|∧:;､:.:.〈
　　　　　ﾘ:.:./ ● 　　く!:,:.:..、
　　　　　 l:.:.l　　　　●/:./￣　
　　　　　　vﾍ　 - 　ノ:./　　　　　　　　なお、どさくさに紛れて、
　　　　　　_,-+　匸ﾍ/V　　　　　　　　 .件の海西公の妃二人と彼女らが生んだ子も殺害された。
　　　　　,《　ﾋ⌒j　》、　
　　　　　l::＼ l　/∥::l　　　　　　　　　　この機に潜在的な反桓温分子を一掃しようという意志を感じる
　　　　　|:::::::ﾄ,Ｖイ:::::|　　　
　　　　 |:::::::l介l:::::::|
　　　　l::::::|人|:::::::l　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　/`、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　＿Λ＿ / /Λ　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 j　　　　　　　　⌒)＼>　く / //　`、　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {∨　　　　　　　　　こﾆ　　〉⌒／ //　　 |　　　| ＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Λ ＼　　　　　　　　　　)／ "´ ＞'" 　　 |　　　|　　＼ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　＼＼__　　＿　-- ｣｢＞''~| 　 |　　 | |　　　|　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 /　　　　ﾞ'～　＿　ﾆ=- ''"´ |　　 |　 _|＿　| |　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　／　ｰ ''"二,,__|___　| |　　　|　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 /　　　　　　　　　　／八＼ｱ癶芯fﾌｱ　.八　　 ⅱ　
　　　　　　全ては大司馬のために　　　　　　　　　ノ　　　　　　　　　／ {/　＼＼ ^''冖''^｢　/　　　　从
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　／八ト＼　、＼　　　　 | /　　　　 /　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀'＜＿　　／八　　　　　　　　／|/ 　 .:　　　 | ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 /Τ"´　　＞　　''　丶　イ　八　/: : .　　 |　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 八　　　＼＼　＞　　＜　　　/　　/ : : : : 　 |ト　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 /　　＼　　　＼＞-}　　　　　　/　　/ Λ:: : : . 八　　＼＼　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　／　.|＼　　ト＼　　　　　　/　　/ニニ＼:: : .　ﾞ､　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ /　 /| | ﾊ　j二ニ=-__　　 /　　∥ﾆﾆニ/_:＼ .　ﾞ､　　　　
512 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:35:25.39 ID:mhNi/aO+0: 【紀元３７２年１月　晋　首都　建康】

　　　　　　　∧__∧ 　 ________
　　　　　　　<丶｀Д´>/￣/￣/
　　　　　　　（二二二つ /　と）　　　　　我々百済の民は大晋の皇帝陛下に貢物を献上するニダ
　　　　　　　　| 　　　/　 / 　/
　　　　　　　 | 　　￣|￣￣

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂:.:/:／:.:.:.:｀ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:ー彡､:.:.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.ゞ:./:.:.:.:.:',:.:.:.:.:∨:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾊ＼:.:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/／/:.:,:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:∨ミﾐ.:.:.:.:.:.:.:.:.:　　､:.:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃　 :.:.:{:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.::',ミ:.:.ー―:.:.:.i　　_｀ヽ:.:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{!　　{:.:.:|:.:.:.:.:.:.:｜:.:.:.i:.:.::}　ミ:.:ー=:.:.::|　/(__ノ:./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂_j)|:.:.:.',.:.:.:.:.:.:.;.:.:.:./:.:./　　ﾐ:.:. -､.:.:.　乂:.:／
　　　　　　　　　百済？　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|､:.:.:ﾄ､:.:.:.:/:.:./}斗七＿ V ﾊ Vﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:.:.ヽ!-＼:.:／　ｨ乏ナ´ 　r　ﾉ:!:.:.
　　　　　　　　　初めて聞く名前ですね　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,:.:.:.:.:ﾍ杙_ナ　　　　　　　 _.rｆ:.:.:|:.:.',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,:.:.:.:.:.:.:.:ヽ　 '　　　　　　 /|:.:.:|:.:.:|:.:.:.',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:./:.:.:.:.:.込　　　_ 　　ｲ .ﾄ}:.:!:.:.:!.:.:.:.:,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:./:.:.:.:./:.:.:.:.:≧= -=≦　_ノﾆﾆ!:.:.:!:.:.:.:.V
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.;:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾉ^Y^Y^ニﾆﾆV:.:.:.;.:.:.:.:.:∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:_/:.:.:./_-=ニニｲﾆ/ニニニニ/:.:.:/:.:.:.:.:.:.:∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／_-=ﾆ/:.:／ニニニﾆ＞rニニニﾆ／:.:.:/ﾆ=- _:.:.:.',

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　年が変わって咸安二年（三七二年）一月。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　『晋書』『簡文帝紀』によれば、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　.初めて朝鮮半島の百済が東晋へ貢物を納めている。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　百済は前年に高句麗王を敗死させ、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　朝鮮半島南西部を中心に勢力を拡大させていた
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
513 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:37:40.18 ID:mhNi/aO+0: 【紀元３７２年１月　百済】

　　　　/＼＿＿_／ヽ　　　
　　／''''''　　　'''''':::::::＼　　
. 　 |（●）,　　　､（●）､.:|　
　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|　
. 　 |　　｀-=ﾆ=- '　.:::::::|　　　　　　　　　　百済王余句を鎮東将軍・楽浪郡太守に任命する
　　＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／　
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-､　
:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|
　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /＼_＿＿/＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／⌒　　 ⌒　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　＼　　／　　　　ヽ
　　　　　　　　百済王は晋王朝の鎮東将軍でもあるニダ　　　　　　　　　　〈　⌒（__人__）⌒　　　冫
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　｀⌒ ´　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　＼

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　六月。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　使者を派遣して、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　百済王余句を東晋から鎮東将軍・楽浪郡太守に任命。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　百済王余句は百済の近肖古王を指す
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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514 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:39:41.82 ID:mhNi/aO+0: 【紀元３７２年６月　晋　　徐州　海陵】
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　寿春　　　　　　　　　　広陵　　｀ヽ
　　　　　○　　　　　　　　　　｀´○　　　　　｀ヽ
　　　　合肥　　　　　　,-､ ,-‐‐､　　●海陵　｀i,
　　　　　○　　　　　/´◎ ~　●ヽ,-‐‐-､　_,､｀ヽ,
　　　　　 ,-,_, ､,　　/´建康京口【晋陵郡】　く,!~｀=,-｀
　　　　　｀ヽ‐´　 i 　 ,~ﾉ　【義興郡】　○　ヽ｀ヽ,~!
　　　　　　　　,､,i｀~○　ﾟo陽羨○（,　 {,_呉【呉国】ヽ,　　
　　　皖○　_,|　　牛渚　　　【呉興郡】~　　　 ,--｀　　
　　　　_,i‐´　　　　　　　　　　　〇　　　　 ,-‐´　　　　　　＼＿_人＿人从＿人＿人从／
　　　i´　○虎林　　　　　　　　武康　　　,=,‐-´,--､　　　＿）　　　　　　　　　　　　（＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【会稽国】　　　　）　　　桓温を討て！　　　（
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣）　　　　　　　　　　　　　　(￣￣
　　　　　　　　　　　【新安郡】　　　　○信安　　　　　　　　／⌒Y⌒Y⌒⌒Y⌒Y⌒Y⌒＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【東陽郡】　　　　　　　
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ヽ人_从人__从_人__从_从人__从_人__从_从人_人／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ≧　　　　庾氏一門の意地を見せるのだ！！　　　　　ニ=-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≦
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／Y⌒YWW⌒W⌒Y⌒WW⌒W⌒Y⌒W⌒Y⌒WW⌒Y＼

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　同じ月。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　護軍将軍庾希が
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　海陵で反乱を起こし、長江を渡って京口へ進軍。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　この庾希も庾冰の息子で先程殺された庾倩の兄に当たり、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　武陵王の事件後に海陵へ逃走し、同地の人々を集めて反乱を起こした
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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515 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:42:25.70 ID:mhNi/aO+0: 【紀元３７２年７月　晋　首都　建康】

　　　　/＼＿＿_／ヽ　　　
　　／''''''　　　'''''':::::::＼　　
. 　 |（●）,　　　､（●）､.:|　
　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|　　　　　　　大司馬。
. 　 |　　｀-=ﾆ=- '　.:::::::|　
　　＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／　　　　　　　周少孫様が庾希を捕縛したとの事
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-､　
:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|
　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::ミi::::::::::::::::::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　　 ′::::::::::::::::::::::::::::::::Y::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::::::::::::::::::::／::::::::::r=ぅ:::::::::::::_:::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_|:::::::::::::::::::::::::::_彡:/^7::::彡'　ミ:::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/r V::/:::::::::::::::::::::/j::j　""　　　　ﾐ::::ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　八{ﾊ.V {::/:::::::::::／/:/　　　　　　　}:/　′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽｰi ﾚ __彡 ' _.／　　　　_,,,...=ぇ |i /
　　　　　　　　　　建康へ連行して市で斬れ　　　　　　　　　　　　　　　　　　込ト-r≧====x ＿r≦====x〃「
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　 ‘，　辷=-///￣ヽﾆ=-///j /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　，　`ー一'　i　　 `ー一'　′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 ∧　　　 :..　　ﾉ　　　　 ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣｀7　iヽ　　＿　二....＿_　　/ ⌒ヽ￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 /　 .＼へ　　こ二ヽ＼〃　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　｀ヽ＞　＿,　＼> 厂￣｀＞＼

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　七月。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　桓温が派遣した
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　東海国内史周少孫が庾希を討伐・捕縛した。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　庾希は建康の市で斬られた
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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516 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:45:13.47 ID:mhNi/aO+0: 　　　　　　　　 γ:i:i乂:_｣L二L｣ﾑ::::〃::r=ミヾ'
　　　　　　　　　　　 {i:i:＞`｀::::／::::::::::∨{l|:::込ｲ:)ii}
　　　　　　　　　　　　У'"ﾟ~￣"ヽ::::::::::人込,,_ニ彡′
　　　　　　　　 /:/::::::::′::::::∨／:/:}:::}:::l:汽:｀'..､
　　　　　　　　 ′::::::::::|:::::::}::::} ヽ:'::/::::'::::}:'，ヽ:::::＼
　　　　　　　　　　　{:::|:::|::::::|:::l:::}ﾙ|　 ∨:::/::::/:::} 　 ,:::::::::'，
　　　　　　　　从{xzﾐ､:ﾄ､リzz|ミ　彡::／∥」_　 }::::::::::}
　　　　　　　　　　 l 杙ﾂ　　　ヒ|ﾂ　√:}::::: 〈(⌒_,ﾉ::::::: ﾉ　　　　　　　　　　　　　…………
　　　　　　　　　　 | ﾊ" '　　　""|　 .:{-ｲ:::∥:≧==-‐ ゛
　　　　　　　　　　 | 沁､丶　　ﾉイ:_{／::/::::::::}＼
　　　　　　　　　　 | 　 /＞‐.rfvYV_Y ::::/:::/::∧､::＼
　　　　　　　　　 {＿/:/ :::://|/|/|∧／／::/: ∧＼::＼
　　　＞‐…‐＜__///／｡s≦'/| ＞`｀::::´::／､: : ∧　＼::＼　　　　　　　　　　　　ゝ/´/////彡∧i‐-､
　　　.′::‐:／　＼｀寸:|ﾏ￣∥／:::::::_｡s≦||/||:､: :∧　　＼:::＼　　　　　　　　　／////＞≦_フ´ﾞﾞ‐-､∧
　　ｌ::'⌒/込_ ＼､＼}::|__ヽ／:, ィ升=^|/|/||/||: :＼∧　　＼:::＼　　　　　　／///／{::::::::::::::::ヽ=γ￣＞､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ////／ゝ､ヽ:::::::::::::::ﾉ　＼::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,//／／　　｀￣￣　〈⌒´i‐‐､´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　γ⌒ヽ' 　　　　　 ,, 　　ヽノ　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i |i､｀)　　　　　　'ゝ二二二二７　,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､` ヽ　　　　　　　　｀‐-==-　　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､ゝλ　　　　　　　　　　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨i　､　　　　　．＜三ヽ　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　よう謝安　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∨ 　＼‐‐ ´////////／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉　　　＼/////////,i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ {｀､　＼､｀　ヽ////,i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ´:::::::∧､　￣　　 ‐-,-ヽ-‐iヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´::/::::::::::://∧:.　　　　　 /‐-‐∨ i∧､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　::/:::::::::::////∧　　　　 ∧:::::::::::∨i/∧｀....､

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　『晋書』『桓温伝』に曰く。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　当時桓温の威勢は盛んだった
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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517 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:46:06.27 ID:mhNi/aO+0: 　　　　　　　ゝ/´/////彡∧i‐-､
　　　　　／////＞≦_フ´ﾞﾞ‐-､∧
　　　　／///／{::::::::::::::::ヽ=γ￣＞､
　　　 ////／ゝ､ヽ:::::::::::::::ﾉ　＼::::::::::ヽ
　　　,//／／　　｀￣￣　〈⌒´i‐‐､´
　　γ⌒ヽ' 　　　　　 ,, 　　ヽノ　　 i
　　 i |i､｀)　　　　　　'ゝ二二二二７　,　　　　　　　　　　そんな所で遙拜なんかしてどうしたんだ？
　　　､` ヽ　　　　　　　　｀‐-==-　　i
　　　　､ゝλ　　　　　　　　　　　 i
　　　　 ∨i　､　　　　　．＜三ヽ　ノ
　　　　　∨ 　＼‐‐ ´////////／
　　　　　　〉　　　＼/////////,i
　　　　／ {｀､　＼､｀　ヽ////,i
　　ゝ´:::::::∧､　￣　　 ‐-,-ヽ-‐iヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　 ,.　　　　 |　　　　　ヽ
´::/::::::::::://∧:.　　　　　 /‐-‐∨ i∧､　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　|　　　　　　 ′　　　 |　　　　　　 ,
::/:::::::::::////∧　　　　 ∧:::::::::::∨i/∧｀....､　　　　　　　　　　　　　　 /　ｌ　　 |、　　　　　　|　|　　　　|　　　　　　 ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .′ :|.　　　| ＼　　│ :ｌ│ |　　　　| 　　　　　　 ;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,,.. イ　 :|:　　 │／＼　|　:|│ |　　　　|　　 |　　　　　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　 |ｉ:　　／　　 .斗ミ|│ |　　　　|＼　 |　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　 ||ｉ　Ｎィr引　｢人|　|　　　　|　 ∨|　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ドミ　|　　Ｌﾉ　|/　 |　ｌ　　　　|　　|│　　　　　 |
　　　未だ君主がいるのだから、前で拝礼したまでの事。　　　　　＼rイr引　　　　　 !　;　　　　|　 ∧|　　 |:　　￤
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ソ　　　　　　 :　　　　　トく　＼　 |ｉ　　 |
　　　臣は後ろにいるのが礼でしょう？　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　＼　　　　　ﾉイ　　　八/＼　＼｣|　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人　y .ノ　　　　|　　　　′∨/＾　　＼　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .′|:＼　　　　ｌ　　　仏三＼　｢￣※￣||
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:..　＼__. イ＼!　　 /′ 　　ヽｰ:介介ぐｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣￣￣￣l　／ ,　　 .′　／￣￣＼｝l ｝|　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　 |￣|　|个‐/ 　 /　／　/ /￣￣^＼_!　│

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　ある時、桓温が侍中の謝安を見ると、彼は遥拝していた。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　遙拜とは遠くから拝礼する事だが、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　それを見た桓温は驚いて謝安へ遥拝の理由を尋ねた。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　調子に乗っている桓温と
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　釘を刺す謝安といった構図になっている
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
518 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:49:00.31 ID:mhNi/aO+0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _{::＼::::::ﾉ　 {:ゝ／_-=ミ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 γ:i:i乂:_｣L二L｣ﾑ::::〃::r=ミヾ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {i:i:＞`｀::::／::::::::::∨{l|:::込ｲ:)ii}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　У'"ﾟ~￣"ヽ::::::::::人込,,_ニ彡′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:/::::::::′::::::∨／:/:}:::}:::l:汽:｀'..､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′::::::::::|:::::::}::::} ヽ:'::/::::'::::}:'，ヽ:::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{:::|:::|::::::|:::l:::}ﾙ|　 ∨:::/::::/:::} 　 ,:::::::::'，
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　从{xzﾐ､:ﾄ､リzz|ミ　彡::／∥」_　 }::::::::::}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l 杙ﾂ　　　ヒ|ﾂ　√:}::::: 〈(⌒_,ﾉ::::::: ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ﾊ" '　　　""|　 .:{-ｲ:::∥:≧==-‐ ゛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 沁､丶　　ﾉイ:_{／::/::::::::}＼　　　　　　　　　　　…………
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　 /＞‐.rfvYV_Y ::::/:::/::∧､::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {＿/:/ :::://|/|/|∧／／::/: ∧＼::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　＞‐…‐＜__///／｡s≦'/| ＞`｀::::´::／､: : ∧　＼::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　 ′::‐:／　＼｀寸:|ﾏ￣∥／:::::::_｡s≦||/||:､: :∧　　＼:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ::'⌒/込_ ＼､＼}::|__ヽ／:, ィ升=^|/|/||/||: :＼∧　　＼:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::ｌ:_{_ﾆ=-＼)≧ｲｱ≧/:／_と¨ヽ./|/|/||/||: : : : :∧　　　 .＼:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　＞::`｀: : -‐: : : _:＞`｀: :/:{:::{ へ`マ }./|/|/||/||: : : : : :∧　　＿_.＼:::＼
　　　　　　　　　　　　　ｧ'´ : :／: _:-:＞:'':´:／: /: 乂と⌒＿､イ〉∥,ヾ_＼＼: : : : :∧.／:::::::::＼＼:::＼
　　　　　　　＞‐…‐-ミ.{: : : ﾞ : : ´ ｧ´/: :／: : / : : /: :|¨/:./:／/∥//| ﾏ∧∨, : : : :/:::／￣＼∨ ＼::
　　　　　　／::::/´ _＿　∧: {: :/: : ∥: : /: : : : ﾞ__　-=ﾆ|: |: |/ //∥// |　|_∧∨, :＼{:::::{ 　　 ∧∨　|::
　　　　　　 :::::::/　/::/=ミ{ﾆ＼: {: : : i{:{ : {: _ -=ﾆニニニ}: |: |{///.ｉ{///.|　|//} |/}: : : ＼:＼　 {､__}::|　 |::
　　　　　　 :::::::{　＼::≧ 寸ニ≧s｡,,ヽ:／ﾆニニニニニ{: |: |∨_//ﾏ／／／ノ/ﾉ: : : ∧＼:＼＼_ノ　/::
　　　　　　＼:::＼_　｀''ｰ=〉≧=-―彳7≧s｡ニニニィｉ「|: |: | :∨).￣＼イ,,｡s≦: }∨: : :∧: :＼: ー‐‐:::::::

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　とはいえ、桓温と仲の良かった謝安だから言えたのかもしれない。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　このような謝安ですら、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　今や桓温の腹心となった郗超を憚っていた様子が見られる。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　次に紹介するのはそんな逸話だ
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
519 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:49:37.08 ID:mhNi/aO+0: 　　　　/＼＿＿_／ヽ　　　
　　／''''''　　　'''''':::::::＼　　
. 　 |（●）,　　　､（●）､.:|　
　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|　　　　　　　　郗超様。
. 　 |　　｀-=ﾆ=- '　.:::::::|　
　　＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／　　　　　　　　侍中の謝安様と王坦之様が面会を求めています
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-､　
:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|
　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／.　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　／_　--ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ-　 _　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ-　 ¨　　　　　　　 ¨　　¨　_　☆ ∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｡s升　　　　　　　　_　　-―――　　___
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`ー―‐―――　¨　　　　　　　　　　　ヽ　l.____ノ}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .′.　　　　|.　/Ⅴ　ﾄ､. 　　　ｌ|　　 |.乂＿__ノ
　　　　　　　今日は職務が溜まっていて忙しい。　　　　　　　　　　　　| /　　　　　| / 　Ⅴ. |　＼　ﾄ､ i|　　 |　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |ハ.　　　　i|T　 T ＼|　T　 T ﾘ　　　|　|
　　　　　　　二人は待たせておいてほしい　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|＼. i|乂ノ　　　乂ノ /　　八,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　　　　＼|　| 从　　　　　　　　/.　　/　.′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　 /　　＞　＿＿　イ　　, ′　{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　′　/γ´ﾆ |-／/　　.イ. 　　八
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／.　　 /.　| ＼ .|ﾆﾆ′　/-＼　　　＼

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　『晋書』『郗鑒伝』に曰く。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　郗超は中書侍郎になった
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
520 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:52:00.45 ID:mhNi/aO+0: 　　　　　　　　　　　 , --──-､
　　　　　　　　 , イ /　　　　　　ﾍ　ﾄ､
　　　　　　　　 i　!ー､〉　__ j　j __〉-ﾉ　i
　　　　　　ヾ＿,,;;》 `-"::: `-"l＿.ジ
　　　　　　　　 |　ヽ　' ＿ ` ｲ
　　　　　　　　　l　l　　´＝｀　l　　　　　　　　　　　　まさか夕方になっても会えぬとはな。
　　　　　　　　　　ﾉ　ヽ＿,､__ノ
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､　　　　　　　　　　　また出直すとしよう
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_　　　
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､　
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|　　　　　　　　　　　　　 /::::/::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::　　　　　　　　　　　　 ./::::/:::::::::::: | ::::::::::::::::::| :::::::::| ::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .::::::::::| ::::::::::| ::::::::: |::::/＼|::: | ::::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::::|:::| ::::::::::| ::::::::: |::イ　 ∨:|::::::::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::::|:::|:::::::::/|ﾊ:::::::::|/_x折ﾊ汁 :::::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:|:: |:::|:::::::: イ∧::: ﾘ　　Vツ´|:::| ::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:|:: |:::| ::::::|斗折ﾄ/　　　　　 |/|::::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ八:|从|:::弌Ｖツ　　､　　　　│::::|::∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∨|:::＼|＼　　　　，　 /|::::::|∧:|＼
　　　　　　　　　　　　　王坦之　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::| :::::个ｰ_>､　　｀　　/ :|::::::|:》≪》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |八 :::::∨::::::: ≧=ｧr一　　 |:::::［_〉::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::: ＼:::::≪_》__〈＼＼　　 |:::::[∧ト---=ミ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::: ＼:>､::::＼　||＼丶 >＜|:::::|‐ ||　　　　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .:::::::::: |　＼::::V||　＞=二 |:::::[＼|　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /.::::::::::::|　　　':::::.||／　　 /|:::::|　〈＼____　　 |

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　侍中の謝安と王坦之が共に郗超に会いに行ったが、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　夕方になっても会う事ができず、王坦之はその場を去ろうとした。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .それを見た謝安曰く
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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521 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:53:00.88 ID:mhNi/aO+0: 　　　　　　　　／::::::／ :::::::::::::::::::::::: ＼:::::＼
　　　　　　　　　 /::::/::/::::::/::::::::::::::/ ::::::::: ﾄ::::::::::.
　　　　　　 / :::::::/::::::/:::::::::::／}::::::::::::::|∧:::::::::..
　　　　　　　　 ;:::::::::::::::::: |_彡＜　/::::::::/::/　 i:::::::::::＼
　　　　　　　 |::::::|:::|::::;斗=ｧミ_ /::::::::/::/‐￢ト:::::|::::::::＼
.　　　　　　　 ,::::::八|:弌 r公ﾘ /∨／}斗ｧ=ミ|:::::::|::|¨¨⌒
　　　　　　　 /i ::::| :::::::::ゝ　　　　　 r公ﾘ　》:::::|::|
.　　　　　 /:::i ::::|:::::ｉ::::|　　　　　　/ 　　　 7 :::::: |
　　　　　 / ::::i ::::|:::人::|　　　　　　　　　　 / ::::::|リ　　　　　　　　　　　　我慢しないと死ぬわよ
.　　　　 / ::::: i ::::| ::::::仆 . 　　 '　ヽ　　 /|:::::::::|
　　　　 / ::i ::: |:::::::::::::::|个ﾄ　　　　　　　イ´| ::::|::|
.　　　 / ::: i:: 八::::/| ::::|::Ｌ|　　　ｰ=≦::::::::i::::| ::::|::|
　　　/:::::::::i::::＿V:::| ::::|/　≧=- ,,_　/ ::::: i::::| ::::|::|
　　 .::::::::::: i:ｉ《二》《| ::::|＼　　　 └片i ::::i::::| ::i:|::|
　　 :::::::_,,::斗匕＼_| ::::|　　　　／∨_,丈::ﾉ::;;| ::i]八_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , --──-､
　　|::: /　　　　　 | ::i:|　　 ∨＼∧　}}＼《＾| ::|ﾆ二》　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , イ /　　　　　　ﾍ　ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　!ー､〉　__ j　j __〉-ﾉ　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ＿,,;;》 `-"::: `-"l＿.ジ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　ヽ　' ＿ ` ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　l　　´＝｀　l　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　ヽ＿,､__ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　…………　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|　
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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　当時、郗超の権力の重さはこのようであった。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　ちなみに、謝安と王坦之は侍中であり、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　官職の上では郗超よりも格上だったりする。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　さながら、司馬兄弟の時の鍾会を思い起こさせる
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
522 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:53:46.07 ID:mhNi/aO+0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _{::＼::::::ﾉ　 {:ゝ／_-=ミ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 γ:i:i乂:_｣L二L｣ﾑ::::〃::r=ミヾ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {i:i:＞`｀::::／::::::::::∨{l|:::込ｲ:)ii}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　У'"ﾟ~￣"ヽ::::::::::人込,,_ニ彡′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:/::::::::′::::::∨／:/:}:::}:::l:汽:｀'..､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′::::::::::|:::::::}::::} ヽ:'::/::::'::::}:'，ヽ:::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{:::|:::|::::::|:::l:::}ﾙ|　 ∨:::/::::/:::} 　 ,:::::::::'，
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　从{xzﾐ､:ﾄ､リzz|ミ　彡::／∥」_　 }::::::::::}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l 杙ﾂ　　　ヒ|ﾂ　√:}::::: 〈(⌒_,ﾉ::::::: ﾉ　　　　星の巡りどうにも悪い。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ﾊ" '　　　""|　 .:{-ｲ:::∥:≧==-‐ ゛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 沁､丶　　ﾉイ:_{／::/::::::::}＼　　　　　　　 .今日は宮中に郗超がいたはず。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　 /＞‐.rfvYV_Y ::::/:::/::∧､::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {＿/:/ :::://|/|/|∧／／::/: ∧＼::＼　　　　私の下へ来るよう伝えなさい
　　　　　　　　　　　　＞‐…‐＜__///／｡s≦'/| ＞`｀::::´::／､: : ∧　＼::＼
　　　　　　　　　　　　 ′::‐:／　＼｀寸:|ﾏ￣∥／:::::::_｡s≦||/||:､: :∧　　＼:::＼
　　　　　　　　　　　　　ｌ::'⌒/込_ ＼､＼}::|__ヽ／:, ィ升=^|/|/||/||: :＼∧　　＼:::＼
　　　　　　　　　　　　 |:::ｌ:_{_ﾆ=-＼)≧ｲｱ≧/:／_と¨ヽ./|/|/||/||: : : : :∧　　　 .＼:::＼
　　　　　　　　　　　＞::`｀: : -‐: : : _:＞`｀: :/:{:::{ へ`マ }./|/|/||/||: : : : : :∧　　＿_.＼:::＼
　　　　　　　　　ｧ'´ : :／: _:-:＞:'':´:／: /: 乂と⌒＿､イ〉∥,ヾ_＼＼: : : : :∧.／:::::::::＼＼:::＼
　　　＞‐…‐-ミ.{: : : ﾞ : : ´ ｧ´/: :／: : / : : /: :|¨/:./:／/∥//| ﾏ∧∨, : : : :/:::／￣＼∨ ＼::
　　／::::/´ _＿　∧: {: :/: : ∥: : /: : : : ﾞ__　-=ﾆ|: |: |/ //∥// |　|_∧∨, :＼{:::::{ 　　 ∧∨　|::
　　 :::::::/　/::/=ミ{ﾆ＼: {: : : i{:{ : {: _ -=ﾆニニニ}: |: |{///.ｉ{///.|　|//} |/}: : : ＼:＼　 {､__}::|　 |::
　　 :::::::{　＼::≧ 寸ニ≧s｡,,ヽ:／ﾆニニニニニ{: |: |∨_//ﾏ／／／ノ/ﾉ: : : ∧＼:＼＼_ノ　/::
　
───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　皇帝司馬昱は憂鬱な日々を送っていたと想像される。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　桓温の狙い次第では
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .自分もいつ廃立されるか分かったものではない
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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523 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:54:38.67 ID:mhNi/aO+0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　----
　　　　　　　　　　　　　　 ´　　　　　　　｀
　　　　　　　　　　　 ./　_____〃========= ､Ⅴ
　　　　　　　　　　　/≦´￣￣￣≧o｡＿＿_ ＼
　　　　　　　　　／　/.　 /　ハ. ,ｲ　　 /　 Ⅴ＼
　　　　　　　　　イ　 ′ /　 ′ }/　j|　 /　/ 从ー‐　　　　　　陛下。
　　　　　　　　　/　/　 / ′|　　　 }／　､ /　＼
　　　　　　　　 /　/.　从i}　|､　　､_　　／/　　　　　　　　　　.お呼びと聞いて参上したよ
　　　　　　　　′　　, --ﾊ八＞-- ≦/ /
　　　　　　,　　　　 /　　　ﾊ Ⅴﾍ　′　{
　　　　／　　, ≦/　　　 /　} Ⅴ ＼ |　|
　　／　　〈ﾆﾆ/　　　 /.　 |ノ｀¨¨Ⅵ　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂:.:/:／:.:.:.:｀ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:ー彡､:.:.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.ゞ:./:.:.:.:.:',:.:.:.:.:∨:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾊ＼:.:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/／/:.:,:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:∨ミﾐ.:.:.:.:.:.:.:.:.:　　､:.:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃　 :.:.:{:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.::',ミ:.:.ー―:.:.:.i　　_｀ヽ:.:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{!　　{:.:.:|:.:.:.:.:.:.:｜:.:.:.i:.:.::}　ミ:.:ー=:.:.::|　/(__ノ:./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂_j)|:.:.:.',.:.:.:.:.:.:.;.:.:.:./:.:./　　ﾐ:.:. -､.:.:.　乂:.:／
　　　　　　　郗超。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |､:.:.:ﾄ､:.:.:.:/:.:./}斗七＿ V ﾊ Vﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:.:.ヽ!-＼:.:／　ｨ乏ナ´ 　r　ﾉ:!:.:.
　　　　　　　命の長短は分かりようがなく、　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,:.:.:.:.:ﾍ杙_ナ　　　　　　　 _.rｆ:.:.:|:.:.',
　　　　　　　近日再び事が起こるのではないでしょうか　　　　　　　　　　　,:.:.:.:.:.:.:.:ヽ　 '　　　　　　 /|:.:.:|:.:.:|:.:.:.',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:./:.:.:.:.:.込　　　_ 　　ｲ .ﾄ}:.:!:.:.:!.:.:.:.:,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:./:.:.:.:./:.:.:.:.:≧= -=≦　_ノﾆﾆ!:.:.:!:.:.:.:.V
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.;:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾉ^Y^Y^ニﾆﾆV:.:.:.;.:.:.:.:.:∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:_/:.:.:./_-=ニニｲﾆ/ニニニニ/:.:.:/:.:.:.:.:.:.:∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／_-=ﾆ/:.:／ニニニﾆ＞rニニニﾆ／:.:.:/ﾆ=- _:.:.:.',

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　『晋書』『簡文帝紀』に曰く。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　中書侍郎郗超が宮中にいた時、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .皇帝司馬昱は彼を呼んで胸中を打ち明けた
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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524 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:55:58.62 ID:mhNi/aO+0: 　　　　　　／＼　　`ー――――　 _　 - "
.　　　　／. , 7　｀"""""" _　　"""　　　　　Ⅴ ､
.　　／　／/　　　_　-　"　　　　|　, 　　 |　Ⅴー―
　／＿./　／＼".　i|　　　|､.　　 | ハﾄ､　|　 Ⅴ　,
　　　　′ ／／＼.ﾊ.　λ.| ′ 　|′ i|. Ⅴ ､.　Ⅴ.′　　　　　大司馬は内に社稷を固め、外に経略を広めている。
　　　 |　　　　　/'从Ⅴ|　i|　　　 |　ﾉ　　〉| ＼ Ⅴ.，
　　　 |.　　　　八ﾄ､八| 　　 ,＼|　　　 /ｲ.　/ λ ’　　　　　非常の事については、
.　　　｣　　　　ｲ　i|.八　　　　　　　　　　′ / 　|八　　　　　 .私が言葉を尽くして事を保つと約束しよう
.　　 ,≧o｡.___.ﾄ､ハ　　＞　｀　　´　＜　　ハ　|　　,
　　/ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ７ ´　　|ﾆ , 　￣　　/ﾆ|.　 |从､′.　′
.　/≧o｡ﾆﾆﾆﾆｌﾆﾆ∨.|ﾆ ′ 　　　′ |.　 |ﾆ7. ＼
　l　　　｀¨¨¨¨7ﾆ./　八ﾆ.’ 　　 .′ﾆ|　八/ 　　Ⅴ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂:.:/:／:.:.:.:｀ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:ー彡､:.:.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.ゞ:./:.:.:.:.:',:.:.:.:.:∨:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾊ＼:.:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/／/:.:,:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:∨ミﾐ.:.:.:.:.:.:.:.:.:　　､:.:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃　 :.:.:{:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.::',ミ:.:.ー―:.:.:.i　　_｀ヽ:.:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{!　　{:.:.:|:.:.:.:.:.:.:｜:.:.:.i:.:.::}　ミ:.:ー=:.:.::|　/(__ノ:./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂_j)|:.:.:.',.:.:.:.:.:.:.;.:.:.:./:.:./　　ﾐ:.:. -､.:.:.　乂:.:／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |､:.:.:ﾄ､:.:.:.:/:.:./}斗七＿ V ﾊ Vﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:.:.ヽ!-＼:.:／　ｨ乏ナ´ 　r　ﾉ:!:.:.
　　　γ￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,:.:.:.:.:ﾍ杙_ナ　　　　　　　 _.rｆ:.:.:|:.:.',
　　　|　　　失礼します　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,:.:.:.:.:.:.:.:ヽ　 '　　　　　　 /|:.:.:|:.:.:|:.:.:.',
　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿乂　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./:.:./:.:.:.:.:.込　　　_ 　　ｲ .ﾄ}:.:!:.:.:!.:.:.:.:,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:./:.:.:.:./:.:.:.:.:≧= -=≦　_ノﾆﾆ!:.:.:!:.:.:.:.V
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.;:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾉ^Y^Y^ニﾆﾆV:.:.:.;.:.:.:.:.:∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:_/:.:.:./_-=ニニｲﾆ/ニニニニ/:.:.:/:.:.:.:.:.:.:∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／_-=ﾆ/:.:／ニニニﾆ＞rニニニﾆ／:.:.:/ﾆ=- _:.:.:.',
525 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:57:29.79 ID:mhNi/aO+0: 　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　／''''''　　　'''''':::::::＼
. 　 |（●）,　　､（●）､.:|
　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　u::|　　　　　　　　　郗超殿。
. 　 |　 u ｀-=ﾆ=- '　.::::::|
　　＼　　｀ﾆﾆ´　.u ::／　　　　　　　　　御父上から使いの者が来て、
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ーーノﾞ -　　　　　　　　　急ぎ邸に帰って来るようにと言っていました
:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|
　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _　　--　､　ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-＝ -　　　　　ゝ ) ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　〃 ' - く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲ/　　l_　　　　　☆ -)／　　　､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//　　　ゞミﾐ三三ﾆヲ´　i　　　､ﾊﾑ＼　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ( (　　　/　　　￣ ∠l＿　 l ＿＿i　ﾄ h｀　ー　-　､＞､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ー- ´/　　　ィ　　l i弋　 l=＼ﾑ｀ l ﾑi　　　　　　　）ﾊ
　　　　　父上が？　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ー-t ｲ　ir-t―, Vメ ,t―r-ｧｰﾑ　　　　　　 Z ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //l　 N 弋_.ﾉ　　弋_.ﾉﾘ i　ﾄﾊ
　　　　　陛下には申し訳ないけど、今日はこれで失礼する　　　　　　　　 .i l　N　iﾑ　　　' 　　　 ,,l　lNヽi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .V, l　iゝ lゝ　　 -　　ィ l　l'i l　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾl　l　il l　r｀j - 千､ ji　l　il
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,' ,'l　lメ､　i´⌒y　｀,'　,'_　il
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 // r', ﾑヽﾑ⌒/　　l　lへ, ﾑ

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　郗超は桓温と共に司馬昱の治世を支えると述べたが、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　この時、急いで父親の郗愔の下へ帰らなければならなくなった。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .司馬昱は郗超に言った
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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526 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:58:44.76 ID:mhNi/aO+0: 　　　 ,:.':/:〃ﾉ:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.::.∥:.:.:.:.:.､.:.:.､　
　　　 :.:.:!:.i!,:y:.::ヽ:.:.:.:｀ヾﾐ:.:.::i:!:i:.:.:,:::.:!.:.:.:.;　
　　　ヾ:ツ:./:.:.:＼::.:.｀ヽ:.:.:.:v:.!'!:.:l:!,:.:!:.:.:.:!
　　　　　~´7:.:.:..,:.:.:.:.:.:.:.:.:.／!:iヾwj !:.!:.!:ﾉ!　　　　　　　 .御父上によろしく伝えて頂戴。　　　　
　　　　　　,:.:.:.:./:.:.:r　ヽ:,ﾞ　 i:.! -笹ﾞ ´Y!.!　
　　　　　 ,.:.:.:.:,:.:.:.:丶⌒ }!　 l.:!　 ~´　ヾ!　　　　　　　　家国の事が遂にここに至ったのは、　
　　　　　,.:.:/:.:!:.:.:.:.:.ﾉｰ ''　　l:.!　　　　､′　　　　　　　.私が道を正して守る事ができなかったからです。
　　　　 .:.:./:.:.:!::.:.:l:.i!＿ , ､　i:.!　　　 ‐ｨ､　
　　　　..:./:.:.∧:.:.:､:!r‐ ､_ ー!:! _ iヽ／ｨ　　　　　　　　嘆きと悲しみは深くて言い表せません
　　　 .:.:/:.:.:/∧:.:.:.:.､ｌ‐!_|7zｊゞ:､ﾌ７､　 1
　　　,':/:..:.:.ｲj_｀ヾ:.:.:..､‐_i_!‐|_| ,〃/_/_>ﾑ
　　,.:./:.:.:. ,'!‐!_/_!‐､.:.:＼_!ニ Y―‐/_/_ｲ　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＼　　`ー――――　 _　 - ¨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　／. , 7　｀¨¨¨¨¨¨ _　　¨¨¨　　　　　Ⅴ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　／　／/　　　_　-　¨　　　　|　, 　　 |　Ⅴー―
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＿./　／＼¨.　i|　　　|､.　　 | ハﾄ､　|　 Ⅴ　,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　′ ／／＼.ﾊ.　λ.| ′ 　|′ i|. Ⅴ ､.　Ⅴ.′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　/'从Ⅴ|　i|　　　 |　ﾉ　　〉| ＼ Ⅴ.，
　　　　　　　　　　　　　　それでは　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|.　　　　八ﾄ､八| 　　 ,＼|　　　 /ｲ.　/ λ ’
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　｣　　　　ｲ　i|.八　　　　　　　　　　′ / 　|八
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 ,≧o｡.___.ﾄ､ハ　　＞　｀　　´　＜　　ハ　|　　,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ７ ´　　|ﾆ , 　￣　　/ﾆ|.　 |从､′.　′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　/≧o｡ﾆﾆﾆﾆｌﾆﾆ∨.|ﾆ ′ 　　　′ |.　 |ﾆ7. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　　｀¨¨¨¨7ﾆ./　八ﾆ.’ 　　 .′ﾆ|　八/ 　　Ⅴ

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　この言葉。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　ここにいない郗愔への伝言だが、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .目の前にいる郗超の態度に何か察したのかもしれない
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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527 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 00:59:31.38 ID:mhNi/aO+0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_...._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,.-':::::::::::::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,..-':::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　＿＿　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::ﾍ
　　　　 l:::::::::::::::::::￣::::::ー...／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　ヽ::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;ｨ::ﾆ'::::l
　　　　　　ヽ:::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ ｀ヽ:::::::l
　　　　　　　＼::::::::::::::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:､　　';::::::|
　　　　　　　　 ,ﾝ､:::::::::::::::::::::｀:-..._:::::::::::::::::::::::/::::::＼　';:::|
　　　　　　 / | |｀ﾄ､_:::::::::::::::::::::｀:::ｰ-......__/::::::::::::::＼ヾl
　　　　　　　　　l ﾄﾄ. ﾄ､ヽ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　｀ﾊ_|ヾ弋弍f'ｰ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　 '´く.　　 'ーｲ　l j､7ァt､__:::::::::::::::::::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　 rヽ､　lー'-'ノ_ﾉ∠Lゝト弋ー--　　:::＿:ﾉ　　　しかし、天命というものがあるとしたら、
　　　　　　　　　　ﾍヽ--j..-＜}::::::::::::〈.｀　　　　　　　　　　　　　それは驚くほど気紛れなのだろうと思わされる。
　　　　　　　　　　　 ,ﾚ-'⌒:､　ヽ:::::::::::ヽ- 、　
　　　　 ,. -‐､　　　ヽﾆ.:::::;r‐　'´ l::::::::::::::::::::ﾍ　　　　　　　　　　歴史は学べば学ぶほど、そうした想いは強くなる
　　　,r'::::.,.-'　　ｒ'´ ::::ヽ　　 __'Jノヽ::::::::::::::::::ﾊ
　　 /:::::/　　　　|　　 l::: ｀ヽ､_　ヽ_,ｌ:::::::::::::::::::::l　
. 　 |　:::|　　　 |　　 lヽ､__,. ､　';::::::::::::::::::::::::::::::l.、
.　　|　｜　　　 |　　 |:::::::::::::::ヽ. l::::::::::::::::::::::::::::::|:ヽ
　　 l.　 l　　　　ヽl.　..|::::／::::::::::´:::::::::::::::::::::::::::::::|::::l.
　　ヽ　ヽ．__ ノ |　::|:'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
　　　　｀ｰ-　一ﾍ　|::::ｰ-､.._:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::|ヽ
　　　　　　　　　　　7ﾊ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::|:::ヽ
　　　　　　　　　／::|::|:ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::|::::::ヽ
　　　　　　／::::::|:::|:::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::|:::::::::ヽ
　　　　　　　／::::::::::{:::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::|:::::::::::｀
528 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 01:00:17.67 ID:mhNi/aO+0: 【紀元３７２年７月　晋　揚州　姑孰】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣○ｰ､　　　 {　　　　　　　　　＿,.-‐'´　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　項　　｀}_　　 }　　　　＿_／　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　葛陂　　　　　　　｀ｰ-{ 　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　涂中
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○ 新蔡　　　　　　　｀ｰr‐'￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　○ ,.--
　　　　　　 ○宛　　　　　　　　　　　　　○安城　　○【新蔡国】　　r―'´○寿春　　　　　　　　　　　　　　　　　,「◎建康
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【汝南国】　　　　　　,.----'´￣　　　　　　　　　　　　　　○東城　　　　　 .／　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ○新息　 _/　【安豊郡】　　　　　　　　　　　　　　　　　歴陽　／●姑孰
　　　　　　　　｀ー――､＿＿/￣￣￣￣￣￣￣　　　○安豊　　　　　　　 ○合肥　　　　　　　○＿_{　
　　　　　　○新野　　　　　　　　　　　　　　　　○弋陽　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○六安　　　　　　　　　　横江○.|○牛渚
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【弋陽郡】　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.}￣ｰ'￣}　　　　　|
ヽ　　○樊城　　　　　　　　　　∧　　　　　　　　　 ∧∧∧∧　　　　　　　　　　　　　　｀ｰv'○東興　.／○于湖
　￣○}　　　　　　　　　i　　　　　　　　∧∧　　　∧∧∧∧∧∧　　　　　　　　　　　　　　｀ーr―'○"○蕪湖
　襄陽｀}　　　　　　　　｀ヽ　　　　　　　　　　　　　∧∧∧∧∧∧　　　　　　　　　濡須口○}　　赭圻
　　　　}　　　　　　　　'ｰ,　　　　　　　　　　　　　　∧∧∧∧　　　　　　　　　　　　　　　r'　
　　　　 }　　　　　　南新市ヽ_,_【江夏郡】　　　　　　　 ∧∧∧∧∧∧　　　　　　　　　　_ノ　
　　　　　|○石城　　　 .○ 　　ヽ○安陸　　　　　　　　　∧∧∧∧　　　　　　　　　r―'
　　　　　 .|＿_　　　　　　　石陽○ ｀ー-,　　　　　　　　　　　∧∧∧　皖城○　　 _,.-‐'
.長坂○　　　　|　　　　　　　＿＿＿＿＿＞-―‐､　　　　　　∧∧∧∧　　　　　 |
　　　　○当陽ヽ_　　　　　　|　　　　　 ○| 　　　○＼_　　　　　　　　　　　　　　 |　
.　　　　　　　　￣￣ヽ＿ﾉ　　　　夏口|　　　武昌　.￣|　　　　○尋陽　　＿r‐'´　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿_/　　　　　　ヽ　　　　　　　＿/　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.￣7　　　　　　　　　　　 'ｰ-､＿＿＿イ　　　　　　　
-― -―‐_ ○江陵　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
. ○楽郷__）　　_,.__　　　　　＿r‐'○陸口
　　　 ○'ー'´￣　 |　　　／　　　　　　
　　　公安　　　　｀ヽ　r'　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　＞'○巴丘　　　

／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/　
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　　　　　　　　　　桓温は武陵王一派粛清の後、
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/　　　　　　　　　　 .以前からの駐屯地である姑孰に戻っていた
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:　
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼　
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿__　
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/
529 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 01:01:48.37 ID:mhNi/aO+0: 　　//　　　ゞミﾐ三三ﾆヲ´　i　　　､ﾊﾑ＼　
　 ( (　　　/　　　￣ ∠l＿　 l ＿＿i　ﾄ h｀　
　　ー- ´/　　　ィ　　l i弋　 l=＼ﾑ｀ l ﾑi　　
　　　　　ー-t ｲ　ir-t―, Vメ ,t―r-ｧｰﾑ　
　　　　　 //l　 N 弋_.ﾉ　　弋_.ﾉﾘ i　ﾄﾊ　　　　　　　　足の調子が悪いと聞いた。
　　　　　　 i l　N　iﾑ　　　' 　　　 ,,l　lNヽi
　　　　　　 V, l　iゝ lゝ　　 -　　ィ l　l'i l　i　　　　　　　　大丈夫かい？
　　　　　　　ヾl　l　il l　r｀j - 千､ ji　l　il
　　　　　　　　,' ,'l　lメ､　i´⌒y　｀,'　,'_　il
　　　　　　　 // r', ﾑヽﾑ⌒/　　l　lへ, ﾑ　　　
　　　　　　 /ｲ　{　V ﾄ　　ﾑ/　／Vﾑ/ l　ﾑ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -‐....￣￣...ヽ__ 　
　　　　_ ,／ / /l　 lヾヽ｀　-<　　　 X　l　i ヾ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.::.:.:.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ:.:.:.:.:.::.:./}:.:./⌒~¨¨¨ヽ:.:.:.::.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:从{ 从:{, -‐=ﾆミ､ ',.:.:..::.:i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ィ:.:.:.:.／_,ノ　　}! 　＿_＿__}:.:.:.::.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , - ､　　　　　 |:.:.:./≦ _＿_ｒ=ミ///////}¨込-‐､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　 ',　　　　　|/{:{,ｲ//////　　V/////ﾉ　V/~} }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　i　　　　　　{ }V/////　　　￣￣　　　〉y/
　　　　六十を過ぎると悪い所も出てくるさ。　　　　　　 /⌒}　}　　　|　　　　　　ｉ | ￣￣ヽ　　　　　_　　　ﾉノ:＼　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿∠＿_|_/＿__.｜　　　　　　ヽ　　ｒ _　-‐ ─''７　　　}‐{: : : :∨＿　
　　　　で、何の用だ？　　　　　　　　　　　　 {}＿＿＿, -‐''¨￣}＿_|.{　　　　　　／ヽ　＼＿___ ,ノ　　　ﾉ　V: : : :∨.:.:.:.:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　_,. ィ　　　ヽ＿＿＿／: : : :.＼　　 ─　　　　／　 /}: : : : :.∨.:.:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　／　　　　　 i: : : : ／ : : ::.:.:.:.:.:/ヽ　　　　　／　　ノ /: : : : : : ∨.:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　､＿＿＿＿＿_|＿／_: : : ::.:.:.:.:.:/ヽ_ `ｰ─'' ¨__,. ＜　/: : : ／⌒ヽV
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }　　　　　　　　　　　　　　}: : : ::.:.:.:./　　＞，__ｒﾆ_　　　　|: : :./　 |.:.:.:.:.
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./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　この頃の桓温は脚の病を患っていたと『晋書』『桓温伝』は記す
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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530 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 01:03:01.75 ID:mhNi/aO+0: 　　　　　i　　　　　　　　　＿　／　　　　＼　　　ヽ＼ }ヽ
　　　　　{　　　　＿　- ﾆ--／　　　＼　　　　　　ﾊノノ
　　　　　ゝﾆﾆﾆﾆ　--　イ/　　　_,,. -‐-　　　 } ヽ　　<
　　　　　/ ｀　　　　　　　/　i匕　＼　　ヽ　　ﾄ　＼　＼
　　　　　i　　　　　　　／　　 } ,ｨfﾓ云艾7ヽ　 l }　　{ ﾄ、＼
　　　　　l　　　　　／ﾄ　、　ゝ、弋,ソ　l ﾘ　.lﾉ　　 l i　　　ヽ
　　　　　l　　　／ﾄ　ヽ、 `　=-　　　　/i　　i　l　　　l　　　　　　　　　　　母が亡くなったので喪に服したい
..ゞ _　彡 i 　 , イ　 {ヽﾄ k=ｨ　　　　　　/ l　　i　l　　　　　＼　ヽ　
　　　　　￣ /ハ　i　　 .ﾑ　 '　 _　　　　　l　　l-= _　　ﾑ　　　　 }
　　　　　　　//　＼ﾑ　＿ ≧　 _　　イ / 　 /:::::::::::≧-　、　　　i
　　　　　　　{ l　　r-f ´　　　　ヽィ:::::/ /　 /:::::::::／　　　　 }　　 {
　　　　　　　i .i　ﾊ-'|　　　　　 |　l::::／　／::::::／　／　　　/　　八
　　　　　　　ヽ{/　〈　ゝ　　　　ﾉ .／　／:::, イ　　/　　　　　ゝ　　　 ',　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::ミi::::::::::::::::::::::::::::.
　　　　　　 /　 <ﾊ_ ﾆ=--イ /　ﾊ<::／　　　　 l　　　　　　 }　ゝ、ヽ　　　　′::::::::::::::::::::::::::::::::Y::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　/ ヾ三彡l　/　/　　　　　　　　l　　　　　　 {l　　　　　,　　　　i::::::::::::::::::::／::::::::::r=ぅ:::::::::::::_:::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_|:::::::::::::::::::::::::::_彡:/^7::::彡'　ミ:::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/r V::/:::::::::::::::::::::/j::j　""　　　　ﾐ::::ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　八{ﾊ.V {::/:::::::::::／/:/　　　　　　　}:/　′
　　　　　　分かった。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽｰi ﾚ __彡 ' _.／　　　　_,,,...=ぇ |i /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　込ト-r≧====x ＿r≦====x〃「
　　　　　　都には謝安や王坦之もいるから大丈夫だろう。　　　　　.　　　　 ‘，　辷=-///￣ヽﾆ=-///j /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　，　`ー一'　i　　 `ー一'　′
　　　　　　気にせず喪に服せ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧　　　 :..　　ﾉ　　　　 ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣｀7　iヽ　　＿　二....＿_　　/ ⌒ヽ￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 /　 .＼へ　　こ二ヽ＼〃　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　｀ヽ＞　＿,　＼> 厂￣｀＞＼

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　『晋書』『郗鑒伝』に曰く。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　同じ頃、郗超は母の死によって職を去った
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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531 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 01:03:34.08 ID:mhNi/aO+0: 【紀元３７２年７月　晋　首都　建康】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,､丶`:}
　　　　　　　　　､― ､　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:/
　　　　　　　　　　ヽ:.:.:.:.:｀ヽ　　　_＿_ 　 {:.:.:.:.:.:.:/
　　　　　　　　　　　ヽ:.:.:.:.:.:.∨''´:.:.:.:.:.:.:｀''V.:.ｧﾍ　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＿_人＿人从＿人＿人从／
.　　　　　　　　　　 i{ヽ:.:.,ｲ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ヽ.　}!　　　　　　　　　　　　　　　　　＿）　　　　　　　　　　　　（＿＿
.　　　　　　　　　八　7.ﾊ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ∨、　　　　　　　　　　　　　　　　　）　　　　陛下！？　　　　（
　　　　　　　　　 >l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.＼　　　　　　　　　　　　　　￣￣）　　　　　　　　　　　　　　(￣￣
　　　　　　　　　／ｱl:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : :l`'く.:.＼　　　　　　　　　　　　　　／⌒Y⌒Y⌒⌒Y⌒Y⌒Y⌒＼
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.　　　　　　 /:.:.:.(_,,ｨ'l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:-=彡ノ-''
.　　　　　　　乂;,;彡' /:.:.:.:/.:.:/.:.:.:.:.:.:ﾍ.:.:.ﾍ.:.:.:.:.ﾍ　　　　　　　　　　　　　　　うっ……
　　　　　　　　　 /:.:.:.:/.:.:./ :.:.:.:.:.:.: ﾍ.:.:.ﾍ.:.:.:.:.ﾍ
　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾍ
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　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　咸安二年（三七二年）七月。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　桓温が都を離れ、郗超が喪に服した間に……
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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532 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 01:04:27.75 ID:mhNi/aO+0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ叉7
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　　　　　　,,． '"´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.`''ヽ､,,
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　　　｀`ヾ､;:;:;:;:;;:;:;:;;:;:;:;:;r＝=;:;:;r＝=､;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;;:;r＝=;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;:r''"´　.
　　　　　　｀`ヾ;:;:;;:;:::::;;;:;:;:;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;=＝=;;;;;;;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;.:.:.:.:.:.:.:.:,r'ﾞ
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　　　　　　　　　　　　　　　｀¨`ヾ.:.: .: .:.:::::::::;:;:;:;:::::::::;:;:.:.:.:.:＼_人＿人∧从＿人_∧_人_从_/／´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀＞;:;:,';: .,':;:;:; :;:; :＜´　　　)　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
　　　　　　　　　　　　　　　,､r''"´. :.: .:. :. . :. :. :. :.: .: .:`　＜　　　　皇帝陛下ッ！！　　　　＞
　　　　　　　　　　　　,､r'"´.:.::;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;:.:.:.: .:. . .:.::::::｀<　　　　　　　　　　　　　　　　　(
　　　　　　　　　　　　｀`ヾr＝=;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;::.:.:. :.: .: . :.: .: . ::.:,／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^YY^^Y^
　　　　　　　　　　　　　　 `ヾ::.:.:;;;;;;;;;;:.:.:.:.:.:. :. :.: ; :; :.: .:.:.::r'　　
　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ､:;:;;;;;;;;:;:.:.:::＝=.:.::::::.:.:.:.:／　　　　　　　　　　　　＼＿_人＿人从＿人＿人从／
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヾ.:;;;;;;;＝=.::.::.:.:..:.::r'´　　　　　　　　　　　　　＿）　　　　　　　　　　　　（＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,」;;:;:;:;;;:;::.:.:. :. :.:. j　　　　　　　　　　　　　　　　）　お気を確かに！！！（
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀`ヾ;:;:; :;::;;: ;r＝=.:.j　　　　　　　　　　　　　　￣￣）　　　　　　　　　　　　　　(￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi:;:;:.:. :.: .:. :.:.:.:,!　　　　　　　　　　　　　　　　／⌒Y⌒Y⌒⌒Y⌒Y⌒Y⌒＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l;:;: .:.: .: ..:;;;:;;;!　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'i;;;;;:.:.:.:.:;;;;;;;;;!　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 1;:;:;:;:r＝:.::{　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゞ;;;;;;:.:,r'´.:.:｀`;:ｰ-..､,,_

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/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　……皇帝司馬昱は病に倒れたのである
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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533 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 01:05:08.87 ID:mhNi/aO+0: ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__ｨ‐'￣｀ヽ
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|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::＼
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|　　　　　　　　　　続く　　　　　　　　　　 .|:::::::::::::|　　ゝ::::|
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　　　　　　　　　` | |ー--ﾚﾘﾙ|rfiﾃヽl ｲﾃz rr----――― ' " ´
　　　　　　　　　　　 | |　　　ヾN ゞｿ　　ゞｿ//　　　　　　　　　　　　　　続きは日を改めて。
　　　　　　　　　　　 | |　　　　＞:´|､　 -　　,|`:＜
　　　　　　　　　　　 | | 　　　 |::::::::| ＞　イ |::::::::|　　　　　　　　　　　　　.お疲れ様
　　　　　　　　　　　 | |　　　＞-､＼!　 !／::,-＜　
　　　　　　　　　　　 | |　　/´:::::::::::::{二{}二}´::::::::ゝ-､
　　　　　　　　　　　 | | 　ｌ:::::,:-:::::::://::|ヽヽ::::::::::::::::::!
　　　　　　　　　　　 | |　 /‐'´::::::::,::V:::::!::∨::::::::::::::::::|　
　　　　　　　　　　, ' ﾆ}く::／::::::::/:::::／|::::::::::::::::::::::::::|　
　　　　　　　　　　 |　ｰjヽ＼::::::'"::／ヾ !::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　ヽﾆj　} 　＼:／＼　|:::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　〈:| |Ｖ　　　 }>､___..>!:::j::::::::::::::::|:::::|
　　　　　　　　　　　|:!.|:＼　　ﾉ::L.. , __.!::::!::::::::::::::::!:::::|
　　　　　　　　　　　|:!.|::::::`ー':::/　 /　 |::::|:::::::::::::::::!:::::!
　　　　　　　　　　 |:|_!:::::::::::::::/　 /　　|:::::!::::::::::::::::|::::::|
　　　　　　　　　　 |::::::::::::::::::/　 /　　.!:::::!::::::::::::::::|::::::l
　　　　　　　　　　|::::::::::::::::/　 /　　　 !:::::|::::::::::::::::|:::::::!
　　　　　　　　　　　!:::::::::::／　 /　　　　|::::::|::::::::::::::::|::::::::!
534 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/19(月) 01:06:52.92 ID:mhNi/aO+0: 　　　　　　　　　　　　　- - ──ー - -､
　　／i　　　　 ,.-‐''"´ 　　　　　　　　　＼　　　　 i＼
　　l　＼＿／　　　＿,,　　　　 ,,＿　　　ヽ､＿／　 l
　　l　　::::::/　　　　━━　　　　　━━ 　　　ヽ:::　　 l　　　　　　続きは次の土日を予定しています。
　　ヾ＿,;;;l　　　, , ,　　　　　　　　　　　　　　 l;;;__ジ
　　　　　 |　　　　　　i￣i￣i￣i　　"""　　　　 |　　　　　　　　　次の投下で事実上の桓温編が終わるかな？
　　　　　l　　　　　 .￣￣￣￣￣　　　　　　　 .l
　　　　　 ` ､　　/⌒⌒i　　　/⌒ヽ　　　　　 /　
　　　　　　　　`/　　　　| 　　| 　　　＼　　　／
535 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/19(月) 01:28:39.89 ID:9CVMSbRU0: 乙
後から振り返ると、ドツボにはまってるなあ
536 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/19(月) 07:29:19.12 ID:1vc+w70R0: 乙
桓温も迷走し出してるなあ
537 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/19(月) 09:00:03.64 ID:oV7dYls90: 乙です
桓温さん、このままだと憧れの劉コンさんより主人公感ないぞ
538 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/19(月) 09:26:10.55 ID:us2G2CKqo: 司馬家の場合
自業自得とか因果応報とかいう言葉がどうしても出てきてしまう
539 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/19(月) 13:53:34.75 ID:xQPxaQgCO: 乙
皇帝すげ替えとか、んな何時の時代でもやべぇ事してるから
曹操はおろか諸葛亮にも姜維にもなれなかったんだぞ桓温
540 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/19(月) 14:42:21.78 ID:us2G2CKqo: ちょっと司馬昭になろうとしただけなのに…
541 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/19(月) 17:40:46.97 ID:EFtX2WcWo: せめて景文の臭くらいは残そうとした結果がこれ
542 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/19(月) 18:06:01.03 ID:n2i/qMos0: 乙です～
最後の詰めは寿命との闘いかー
543 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/19(月) 19:15:06.01 ID:cPThh7K00: >>1さん乙です。

>>433
>意外な事に、前燕の朝廷では依然として前秦を低く見る者が多かった。
南北朝時代の北斉と北周みたいに
山東王朝（前燕・北斉）から見ると山西王朝（前秦・北周）は「田舎」「弱小」みたいなイメージ持ってたのかな？
544 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/19(月) 23:03:26.21 ID:vkKYsx2U0: 乙でした。
>>424
ここで言ってる王猛のウソって何のことを指してるんだろう？
545 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/20(火) 19:40:09.12 ID:YqDarJ3d0: 　　　　　　　　　　　　　- - ──ー - -､
　　／i　　　　 ,.-‐''"´ 　　　　　　　　　＼　　　　 i＼
　　l　＼＿／　　　＿,,　　　　 ,,＿　　　ヽ､＿／　 l　
　　l　　::::::/　　　　━━　　　　　━━ 　　　ヽ:::　　 l
　　ヾ＿,;;;l　　　, , ,　　　　　　　　　　　　　　 l;;;__ジ　　　　　　 >>535-542
　　　　　 |　　　　　　i￣i￣i￣i　　"""　　　　 |　　　　　　　　　思ってた以上にボロクソで吹いた
　　　　　l　　　　　 .￣￣￣￣￣　　　　　　　 .l
　　　　　 ` ､　　/⌒⌒i　　　/⌒ヽ　　　　　 /　　　　
　　　　　　　　`/　　　　| 　　| 　　　＼　　　／

>>543
人口や生産力の面から見れば、後漢から魏晋南北朝期は冀州＞関中なのでそう思うのも無理はないかなと。

>>544
>>412-413は王猛が使者を介して勝手に慕容垂の言葉として命令しているのですよ。

『晋書』『慕容垂載記』や『十六国春秋』『後燕録』通りなら
王猛は最初から慕容垂親子を消す気でやってる事になるので苻堅が慕容垂を許したら立場なくね？というね
546 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/20(火) 19:41:36.52 ID:YqDarJ3d0: 【>>419修正】
【紀元３７０年１月　前秦　首都　長安】

　　　　　　　　　／ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ＼
　　　　　　　　　　 /ﾆﾆﾆﾆﾆ⌒＞xﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾊ
　　　　　　　　　 |ﾆﾆﾆﾆ＞''´:.:.:.:.:.:｀''＜ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆノ
　　　　　　　　　　／ヽ＞''´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : :∨
　　　　　　　　　 /i:i:i:i/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨
　　　　　　　　　 /i:i/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: / :.:.: / :.:.:.:.:.:.:.γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　 /i:i/:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:/ :.:.: /:.:.:.:.:.:.:.:.:.|　　　どうしてこんな真似をしたんだ？　　　|
　　　　　　 ⌒/:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:/ :.:.: /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂
.　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:/:.:.:/:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
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　　　　　　　人/:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:. : :,ｨｆう竿ミh､/|:.:.:.｣:.:./:.:.:/:.:.:. |
.　　　　／⌒＼:.＼:. |:.:.:.:.:.:.:.:|:.乂ｚソ::::::::⌒ｨｆう笏》:.:.:.:.: |
　　　　　/.-ﾆﾆﾆ-＼:.从:.:.:.:.:.:.:.|:. 厂　　　:::::::ゞ‐'＿__/:.:.: |
　　　　 |-ﾆﾆニﾆﾆ-＼:.:.:.:.:.:.:. |:./　　　　 ` ／.―‐/:.:/:.:|
　　　　 |‐ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆヽ从:.:.:ﾍ_　― ､～／二￣　/:.:/ |:.|＼
　　　　 ∧-ﾆﾆﾆﾆ-＼.ﾆ-Ｙ＼.:.ﾍ　　　　ヽ′　ヽ/:.:,ﾞ　|:.|　　Ｙ
　　　　 |-|-ﾆﾆニﾆﾆ-＼ﾆ}　　｀''ミ=-　　　 , 　　 {.:.:{｀¨|:.|ｲ　 |
　　　　/-ﾍｰﾆﾆﾆニﾆﾆ-＼　　　, 　　　　 ':: 　　从:{　 Ⅵ　　|
　　　　|ﾆﾆ|＼-ﾆﾆﾆニﾆﾆ-〉　　〉　　　　　　ｌ:　　　　　　 |＼　|
　　　　|-ニ＼-ﾆﾆﾆニﾆﾆ-{.　　 ,　　　　　　ｌ: 　　　　 |h､￣]
.　　　｣‐ﾆﾆ∧‐ﾆﾆﾆ-＼.ニ7 　 ′　　　　　　ｌ　　　　　　 |ﾆﾆﾆ-|
　　　〈-ﾆﾆニ∧‐ﾆﾆﾆﾆ‐＼{.　　|.　　　　　　 |　　　　　　 |ﾆﾆ-./
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　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
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./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　苻堅が慕容垂を引見して曰く
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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547 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/20(火) 20:27:01.57 ID:8i5/V4m20: 乙
Vやねん！の後は劉裕と拓跋硅と
お騒がせ野郎の赫連勃勃のここからが本当の地獄だの時代かあ
548 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/20(火) 20:53:25.74 ID:fEW8YT4M0: 乙
有能が集うオールスターな時代だけど一代限りでその人が死ぬとその後が続かない印象
549 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/21(水) 10:18:46.00 ID:yXVvYmZZ0: 乙
そろそろぐう畜の拓跋珪が生まれてる頃か
550 ：544 [sage]：2024/08/22(木) 22:55:51.55 ID:RS3ajB+Z0: >>545
そういうことでしたか。説明ありがとうございます。お手数おかけしてすみません。
551 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/25(日) 19:57:28.25 ID:0qjyqR4K0: 　　　　　　　　　　　　　- - ──ー - -､
　　／i　　　　 ,.-‐''"´ 　　　　　　　　　＼　　　　 i＼
　　l　＼＿／　　　＿,,　　　　 ,,＿　　　ヽ､＿／　 l
　　l　　::::::/　　　　━━　　　　　━━ 　　　ヽ:::　　 l　　　　　　ごめんなさい。
　　ヾ＿,;;;l　　　, , ,　　　　　　　　　　　　　　 l;;;__ジ
　　　　　 |　　　　　　i￣i￣i￣i　　"""　　　　 |　　　　　　　　　ちょっと無理っぽいので、
　　　　　l　　　　　 .￣￣￣￣￣　　　　　　　 .l　　　　　　　　　８/２８（水）の２２：００からでお願いします
　　　　　 ` ､　　/⌒⌒i　　　/⌒ヽ　　　　　 /　
　　　　　　　　`/　　　　| 　　| 　　　＼　　　／
552 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/08/27(火) 07:35:57.19 ID:0/8b07I0o: はーい
553 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 21:54:13.97 ID:a2oXpfsX0: ※２２：３０から投下開始します
554 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 22:33:47.05 ID:a2oXpfsX0: 【>>532続き】
【紀元３７２年７月　晋　揚州　姑孰】

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　　　　　|（○）,　　　､（○）､ :|
　　　　　|　⌒,,ﾉ(､_, )ヽ⌒ u.::|
　　　　　|u　{,｀ﾄ===ｲ ,} 　::::::|　　　　　　　　　　　　　　 /＼＿＿_／ヽ
　　　　　＼　　ヾﾆノ　　.::::/"''=-　　　　　　　　　　　／ ,,,,,,,ﾉiヽ,,,,,,:::i|li:＼
　　／::ノ"''ﾌ:ﾉ|ﾞ x ''|ヽ!:::_,,,L,,ﾉ,,ﾉ_ノﾞ>i、　　　　　　　|（○）,　　　､（○）､ :|
.　　i／ﾍ"　ﾑﾉ:::::| i::::! |-''"::::/　　　ﾞヾノヽ　　　　　　|　⌒,,ﾉ(､_, )ヽ⌒ u.::|
　 /（:::::::ﾞソ"_;;;;;;ﾉ: :V: :ヽ　''"ヽi、　をノ　　　　　　　|u　{,｀ﾄ===ｲ ,} 　::::::|
　（::::ヽ,ノ"!,,_::;／: :i: :i: : :ヽ_;;:::::"ヽi、　　　　　　　　　＼　　ヾﾆノ　　.::::/"''=-
　 ^ﾞ''" ／::::;ｼ: : : : i , -ii !、＼::;;ノ::::）　　　　　　／::ノ"''ﾌ:ﾉ|ﾞ x ''|ヽ!:::_,,,L,,ﾉ,,ﾉ_ノﾞ>i、
　　　（::::ヽへ、: : : i　　　 i/　ﾞ''ヽ,/　　　　　.　　i／ﾍ"　ﾑﾉ:::::| i::::! |-''"::::/　　　ﾞヾノヽ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ^ﾞ''" ／::::;ｼ: : : : i , -ii !、＼::;;ノ::::）
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　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　『晋書』『桓温伝』に曰く。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　皇帝司馬昱は
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　不豫になるに及び、桓温へ詔勅を下した。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　不豫とは貴人の病気を指す
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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555 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 22:34:33.38 ID:a2oXpfsX0: 【陛下の詔勅＠『晋書』『桓温伝』（大意）】
┏────────────────────────────┓
　我は遂に病に身を委ねる状態であり、
　足下にすぐ宮中へ入ってもらい、対面したいと乞い願うばかりである。

　すぐ来るように、すぐ来るように。
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　　　（::::ヽへ、: : : i　　　 i/　ﾞ''ヽ,/　　　　　.　　i／ﾍ"　ﾑﾉ:::::| i::::! |-''"::::/　　　ﾞヾノヽ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ^ﾞ''" ／::::;ｼ: : : : i , -ii !、＼::;;ノ::::）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（::::ヽへ、: : : i　　　 i/　ﾞ''ヽ,/

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　一日一夜で四度詔勅が下ったため、桓温は詔勅に対する上奏を行った
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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556 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 22:36:56.11 ID:a2oXpfsX0: 【桓温さんの上奏文＠『晋書』『桓温伝』】
┏───────────────────────────────────────┓
　聖体が不和のまま積日を経て、愚心は恐れ慄くばかりで情を寄せる所がありません。

　人の盛衰は理の常であり、過ぎた備えに害は無く、
　漢の高祖が病に臥せると呂后は宰相を問い、武帝が不豫になると、霍光が後嗣を導きました。
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　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::}:::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ:::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::::::::::::::::::::::::::::.::,-‐──､ ::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::::::::/::/:／}::i:i:/　　　　　 V::::::}
　　　　　　　　　　　　　　　 jヽ:::/// 　./ ハ　　　　　　 V⌒i
　　　　　　　　　　　　　　　，＜.{　Y ‐‐=ﾆﾍ　　　 _,.．-‐≧ .}　.,'ヽ_
　　　　　　　　　　　，＜///////ヽ　ｒ=====ミ＿ｒ=====ミ　　 /ﾊ//≧=‐-　_
　　　　　　　，＜//////////////ﾊ∨////ﾉ⌒Y/////ﾉ　,'ィ/,,ﾊ/////////＞，　　　　　　 .悪いが陛下には
　　　　　／////////////////////ﾊ￣￣〈　〉￣￣　 / }///,ﾊ////////////＞，　　　　参内できないと伝えてくれ
　　　　////////////////////////|ヽ　　　　＿　　　　/ /////,ﾊ//////////////ﾊ
　　　 ,'////////////////////////{ -‐　'' ¨　　 `ｰ─ ､///////ﾊ//////////////ﾊ
　　　.////////////////{//// -‐''¨ 　　　　　　　ー─-､＼,//////〉/////////////,ﾊ
　.　 i////////////////,|/／　　　　　　　　　　　＼─､＼─‐-　く///////,///////,ﾊ
　　 ////////////////／ {　　　　　　　　　＿, ヘ　＼　ー′　　　} ＼/////////////,
　　 ;////////////＞’ﾍ　　ヽ　　　ｒ──''¨〉//弋_ヽノ　　　　　／　　 }＼///////////,
　　 i////////＞’/////ﾍ　　｀､／//|　　 .{////}　ヽ＿＿＿__／　　　////＼/////////,
　　 |/////＞’/////////ﾍ　　 .ﾍ///|　　 |////|　　　|////７　　　／//////＼///////j
　　 |///／/////////////ﾍ　　　〉//|　　 |////|　　　|////　　.／//////////,＼/////,i
　　 |// {////////////////ﾍ／///,|　　 |////|　　　|///＼／//////////////,＼////}
557 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 22:37:56.99 ID:a2oXpfsX0: ┏────────────────────────────────────┓
　泣き咽ぶ身に死後の事を問われますが、思うに優れた者であるべきです。

　今、皇子は幼稚であり、
　朝廷の賢士はただ謝安と王坦之のみ才識が煩雑でなく、天子の鑑識に叶うでしょう。

　内に幼君を補佐し、外に強寇を防ぎ、誠に群情を大いに恐れ、ここに理を尽くしました。

　陛下には便宜に応じて群臣を尊重すれば、
　謝安らは命を奉じ力を合わせるので、公私に間違いはないでしょう。
┗────────────────────────────────────┛

　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　／''''''　　　'''''':::::::＼
. 　 |（●）,　　､（●）､.:|　
　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　u::|
. 　 |　 u ｀-=ﾆ=- '　.::::::|　　　　　　　　　　　　　本当によろしいのですか？
　　＼　　｀ﾆﾆ´　.u ::／　
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ーーノﾞ -､
:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|
　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::ミi::::::::::::::::::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . 　　 ′::::::::::::::::::::::::::::::::Y::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::::::::::::::::::::／::::::::::r=ぅ:::::::::::::_:::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_|:::::::::::::::::::::::::::_彡:/^7::::彡'　ミ:::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/r V::/:::::::::::::::::::::/j::j　""　　　　ﾐ::::ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　八{ﾊ.V {::/:::::::::::／/:/　　　　　　　}:/　′
　　　　　　　この足ではな。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽｰi ﾚ __彡 ' _.／　　　　_,,,...=ぇ |i /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　込ト-r≧====x ＿r≦====x〃「
　　　　　　　何かあれば、謝安に伝えてくれ　　　　　　　　　　　　　　　　　 ‘，　辷=-///￣ヽﾆ=-///j /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　，　`ー一'　i　　 `ー一'　′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　 ∧　　　 :..　　ﾉ　　　　 ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣｀7　iヽ　　＿　二....＿_　　/ ⌒ヽ￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　 /　 .＼へ　　こ二ヽ＼〃　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　｀ヽ＞　＿,　＼> 厂￣｀＞＼
558 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 22:40:27.71 ID:a2oXpfsX0: ┏───────────────────────────────────────┓
　臣桓温の位は将相を兼ねるに至り、
　加えて陛下には布衣の身を顧みて頂きましたが、
　ただ疾病に老衰しており、久しく支えられないのを恐れ、再び後事を託されても堪えられません。
┗───────────────────────────────────────┛

　　　　　　__,,,..::-ｰｰｧ''
　　　　,r‐´.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ヽ､　
　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ.　
　　 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:lヾ､
　　/ｲ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i.:l　　
　　　l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:fﾞi:.:|ﾘ!　
　　　l∧:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,人l:.l ﾉ　　
　　　　　ヽﾄ::;i､:／　,ゝ!'　　　__　　　　　　　　　　　　.果たして桓温は何がしたかったのか？
　　　　r:r'''ﾞﾞ'ﾞ'''ｰ-<ﾆ,y''ﾞﾞﾞ￣l.||
　　　.l i　　　　　 //:.｀ヽ　　l||　　　
　　　 | l　　　　i l: : : : :l　r-'｀､　　
　　　.| l　　　　　 l l : : : : :l　〉　}　
　　　l. ﾞｰ‐-- .__,,j .|: : : : :.ヾ⌒〈
　　　｝ｰ──---=': : : : : : :ヽ.:ﾉ
559 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 22:41:14.96 ID:a2oXpfsX0: ／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/　　　　　　　　普通こうした場合は参内して遺言を受けるのが常だ。
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/　　　　　　　　　 .魏の明帝の今際の詔勅を受けて、
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:　　　　　　　　　　　洛陽へすっ飛んできた司馬懿などが分かりやすい例だろう
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼　
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿__　
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿　_
　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　 , .:':{＠}:::..ヾヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ ´ ~￣~ ｀ヾ::.ヽ＼　　　　　　　　　────────
　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　r.//, 'ハ　　ﾊiﾚ7〃ヾ::.､ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　Ｌl ! { ノヽノ　｀ヽ l/|　!:厶l　　　　　 ────────
　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 /Vi 小●　　　 ●　ﾉｌ下､_〕
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 j||l⊃　､_,､_,　⊂⊃　i !__ﾄ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /⌒ヽ__|ﾍ　　ヽ._）　　j /⌒i !＿　　　　────────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ /:::::|　l＞,､ __,　イァ/　 /│;; ::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 /:::::/|　|:: :: ::{ 薔 }:{ﾍ､__∧ |⌒⌒　　　　　────────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼< ＼|:: :: :: ∨:::/ヾ::: :: > |

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　魏　太傅　司馬懿
560 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/08/28(水) 22:41:47.40 ID:a2oXpfsX0: 【紀元３７２年７月　晋　揚州　姑孰】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {: : : : : : : : : :./ : : : : : : : : : : : : : : : : :_／/: : : : : : : :／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | : : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : :, -‐ ''　./: : : ..／:／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 V: : : : : : :/: : : : : : : : : : : : :／　 ,-‐､/ : . ／/:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　V: : : :　.|: : : : : :／/ :.／/　　〈;';';';'＼／ /:./　　　　　　__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, -‐ミ: : : : |: : : :／ ./:／ ./　　　　〉､;';'ノ＼ {: |　　　　_／ノ　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / .,‐､　ヽ: :||: : :/　 /:/　　　　　／ィ＼　　.＼|　-‐''¨ ￣　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　 / ./　ﾍ　.}: ||: :/　　{/　　　 -‐'' 　　　＼　　.＼　　　，＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -‐/ ./　 .／ヽ{: } Y,彡'ミ三三三ミ､_　　　　　／＼　　＼＜　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／　　{　{　　{　　.Ⅳ∧　＿＿＿≧ミ三三ミ､／　　　 .＼　　＼　　＿_,.．-''三三三
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　ﾍ　',　 iヽ _j　Ⅳ∧　 ////////// ＞''　　　　　　/ ＼　__＼三三三彡＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ　　　　{　｜ⅵ| .//////////／　　　，''￣￣￣￣￣　./　　　ノ　}/////
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　ﾍ　　　}　.|　　|/////////／　，'' 　　　　　　　　　　　￣￣ _ ノ-‐ミ///
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　ﾍ　　/ヽ.|　　|//////,／_ ，'' 　　　　　　_ ＿,.．-‐──‐≦　　　　 }//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＼ }.|　　V///／'´　　　　　　　　ィ’ i　　　|　　|///＼_ノ＼　／//
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ゛ |　　＼/　　　　　　　　，''¨ヽ　 i　　｜　 .V//,/ ＼　 .＼///
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞ !　　　 |　　　　　　ｒ''　　　　 }　i　　 .|　　￣/　　＼／￣

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　それを踏まえると、あれこれ名目をつけて都へ戻らないのは奇妙と言える。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　自身の足の具合が悪かったのかもしれないが、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .帝位を狙う人物とは思えない消極的な行動に映ってしまう
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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