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やる夫が正史を書くようです61
- 101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/05(水) 01:31:10.97 ID:I46guXRx0
- 乙
遺言が守られない、よくあるよくある
- 102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/05(水) 12:18:20.81 ID:YMQdfxgu0
- >>1乙―。
東晋のスーパーヒーロー(マジで)の朱序さん登場かー。
- 103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/05(水) 19:25:10.68 ID:1xbxGBHK0
- 乙
桓温もここから段々冴えなくなってくるのが悲しい
- 104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/05(水) 21:43:37.07 ID:kdZF3zBO0
- 乙です
アレに向かってニョキニョキと登場人物が生えてきたー
- 105 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/06/06(木) 03:00:57.73 ID:MpOE6xTo0
- 【>>87修正】
l ,′ l / / / i ',
| i ー=彡< / i l
| ! i :i / X! l!:|
l:l l | r 、| ! ./ィィイ | i 从 ああ、それともうひとつ。
从 | l { ( l | 仔"'ネ、:| |:./
/イl ∧/.:l i | jリ ∧ハト′ 五行説に従い、
八 i | / 厶イ ∧ | V 我が国では木徳を奉じるべきという意見があるわ。
ヾ } l| i / ノイ: : ヽ! 、 /
ノヘ__」L⊥∠.,_ |:i | > 石虎は水徳だったからね
>.:' :´: : : : : : : : : :`ヽ,lハ |_/ |
Y: : : : : : : : : : : : : : : : : : :.`从!L」ハ!
..〈: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :: : :`ーォ .,Å、
r-‐i'''''''''''i''-'‐-、
.o| o! .o i o !o
|\___|`‐´ `‐´|___/.|
|_____________|
|l l /〃 ヽ ヽ} | 、 ヽ
難しい事はよく分からないけれど、 ljハ トkハ暐从斗j. | ',
我が国は晋の後を継いだ趙の後を継ぐ国家って事よね? l∧}● V ● ! |、 ハ
ハ.ノ⊃ 、_,、_, ⊂⊃ .|ノ ヽ \
そのまま進めて頂戴 /⌒ヽ_.リ人 ゝ._) ./". /⌒i ヽ ヽ
\ //" >,、 __ イ{. ヘ /! } }
. / \ (::::::::Y Y:::::.!| `´/ヘ { {
ヽ/ノ ):::::::∨:::::ノ. ヾ..ノ.::::::\\丶
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/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー また、この頃に前燕は王朝の徳を木徳とした。
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } これは『呂氏春秋』にある五行説を用いて王朝の徳を定め、
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j 木徳・火徳・土徳・金徳・水徳の巡りで王朝交代の正統性の根拠となった。
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/ 後漢以降に用いられるようになり、
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/ 漢が火徳、魏が土徳、晋が金徳、後趙が水徳、前燕が木徳を称している
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
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- 106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/06(木) 22:04:51.70 ID:QBxXMbFC0
- 桓温、慕容恪、慕容垂とそれぞれ一人でも物語の主役になれそうな人たちだよなー。
- 107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/07(金) 19:31:50.70 ID:/+sC7t0R0
- そして中国史上最大のVやねん!が来る・・・!
- 108 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/06/09(日) 01:05:38.16 ID:ZSwbqsQf0
-
- - ──ー - -、
/i ,.-‐''"´ \ i\
l \_/ _,, ,,_ ヽ、_/ l >>100
l ::::::/ ━━ ━━ ヽ::: l .恐縮ですー。
ヾ_,;;;l , , , l;;;__ジ
| i ̄i ̄i ̄i """ | よろしければ、
l . ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ .l .今後もお付き合い下さいませー
` 、 /⌒⌒i /⌒ヽ /
`/ | | \ /
- 109 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/06/09(日) 03:21:13.64 ID:ZSwbqsQf0
- 【>>80修正】
【紀元365年7月 晋 首都 建康】
/\___/ヽ
/'''''' '''''':::::::\
. |(●), 、(●)、.:|
| ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::| 会稽王殿下。
. | `-=ニ=- ' .:::::::|
\ `ニニ´ .:::::/ このような事態になった以上、
,,.....イ.ヽヽ、ニ__ ーーノ゙-、 沈勁の働きは忘れるべきではないと大司馬は仰せでした
: | '; \_____ ノ.| ヽ i
| \/゙(__)\,| i |
> ヽ. ハ | || _{::\::::::ノ {:ゝ/_-=ミ、
γ:i:i乂:_」L二L」ム::::〃::r=ミヾ'
{i:i:>``::::/::::::::::∨{l|:::込イ:)ii}
У'"゚~ ̄"ヽ::::::::::人込,,_ニ彡′
/:/::::::::′::::::∨/:/:}:::}:::l:汽:`'..、
′::::::::::|:::::::}::::} ヽ:'::/::::'::::}:',ヽ:::::\
{:::|:::|::::::|:::l:::}ル| ∨:::/::::/:::} ,:::::::::',
从{xzミ、:ト、リzz|ミ 彡::/‖」_ }::::::::::}
そうですね。 l 杙ツ ヒ|ツ √:}::::: 〈(⌒_,ノ::::::: ノ
| ハ" ' ""| .:{-イ:::‖:≧==-‐ ゛
これで褒賞がなければ、 | 沁、丶 ノイ:_{/::/::::::::}\
誰もこの国のために働こうとしなくなります | />‐.rfvYV_Y ::::/:::/::∧、::\
{_/:/ :::://|/|/|∧//::/: ∧\::\
>‐…‐<__////。s≦'/| >``::::´::/、: : ∧ \::\
′::‐:/ \`寸:|マ ̄‖/:::::::_。s≦||/||:、: :∧ \:::\
l::'⌒/込_ \、\}::|__ヽ/:, ィ升=^|/|/||/||: :\∧ \:::\
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/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー 『晋書』『沈勁伝』に曰く。
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 東晋の朝廷は沈勁の働きを称え、
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j 東陽郡太守の位を追贈し、息子の沈赤黔を大長秋に任命した。
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/ 沈赤黔は東晋末期の義熙年間に益州刺史になっており、
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/ そういう意味では、沈勁が命を懸けて洛陽に残った事は報われた
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/09(日) 07:13:52.80 ID:jfqc5dk50
- 沈叔任ですか?
- 111 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/06/09(日) 09:49:18.40 ID:ZSwbqsQf0
- 【>>80再修正】
【紀元365年7月 晋 首都 建康】
/\___/ヽ
/'''''' '''''':::::::\
. |(●), 、(●)、.:|
| ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::| 琅邪王殿下。
. | `-=ニ=- ' .:::::::|
\ `ニニ´ .:::::/ このような事態になった以上、
,,.....イ.ヽヽ、ニ__ ーーノ゙-、 沈勁の働きは忘れるべきではないと大司馬は仰せでした
: | '; \_____ ノ.| ヽ i
| \/゙(__)\,| i |
> ヽ. ハ | || _{::\::::::ノ {:ゝ/_-=ミ、
γ:i:i乂:_」L二L」ム::::〃::r=ミヾ'
{i:i:>``::::/::::::::::∨{l|:::込イ:)ii}
У'"゚~ ̄"ヽ::::::::::人込,,_ニ彡′
/:/::::::::′::::::∨/:/:}:::}:::l:汽:`'..、
′::::::::::|:::::::}::::} ヽ:'::/::::'::::}:',ヽ:::::\
{:::|:::|::::::|:::l:::}ル| ∨:::/::::/:::} ,:::::::::',
从{xzミ、:ト、リzz|ミ 彡::/‖」_ }::::::::::}
そうですね。 l 杙ツ ヒ|ツ √:}::::: 〈(⌒_,ノ::::::: ノ
| ハ" ' ""| .:{-イ:::‖:≧==-‐ ゛
これで褒賞がなければ、 | 沁、丶 ノイ:_{/::/::::::::}\
誰もこの国のために働こうとしなくなります | />‐.rfvYV_Y ::::/:::/::∧、::\
{_/:/ :::://|/|/|∧//::/: ∧\::\
>‐…‐<__////。s≦'/| >``::::´::/、: : ∧ \::\
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/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー 『晋書』『沈勁伝』に曰く。
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 東晋の朝廷は沈勁の働きを称え、
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j 東陽郡太守の位を追贈し、息子の沈赤黔を大長秋に任命した。
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/ 孫の沈叔任は東晋末期の義熙年間に益州刺史になっており、
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/ そういう意味では、沈勁が命を懸けて洛陽に残った事は報われた
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
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- 112 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/06/09(日) 09:59:04.11 ID:ZSwbqsQf0
-
- - ──ー - -、
/i ,.-‐''"´ \ i\
l \_/ _,, ,,_ ヽ、_/ l >>110
l ::::::/ ━━ ━━ ヽ::: l 他にも間違いがあったんですが、
ヾ_,;;;l , , , l;;;__ジ 息子と孫の話がごちゃごちゃになってましたね。
| i ̄i ̄i ̄i """ |
l . ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ .l すみませぬ
` 、 /⌒⌒i /⌒ヽ /
`/ | | \ /
- 113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/10(月) 14:45:46.33 ID:uJEf4fng0
- この頃の東晋皇帝は若死にが相次いで、ほんと影薄いなと思ってたけど、
もう会稽王さんがこの時代の実質君主みたいなもんだったのかね。
会稽王+褚太后政権と考えれば、30年続いた長期政権ともいえるのかな?
- 114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [age]:2024/06/14(金) 16:52:50.37 ID:jb0p6AqHO
- 『VCJ 2024 SP2 Main Stage Day9
MRG 応援配信』
▽PC, PS4+5,XBOXシリーズS/X(β版)
VALORANT/Tier.2 VCJ SP2 MS/Day9
ノーセプションVSリジェクト
ムラゲVSリドル/ウォッチパーティー
(16:24〜)
https://www.twitch.tv/kato_junichi0817
- 115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [age]:2024/06/16(日) 23:41:37.43 ID:J3g+bjyfo
- 『明日の配信予告(イナイレGO)とフルパVALO』
(22:48〜)
https://www.twitch.tv/kato_junichi0817
- 116 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/01(月) 02:43:10.79 ID:KS1g2BBL0
-
- - ──ー - -、
/i ,.-‐''"´ \ i\
l \_/ _,, ,,_ ヽ、_/ l 御無沙汰しております。
l ::::::/ ━━ ━━ ヽ::: l
ヾ_,;;;l , , , l;;;__ジ 仕事で多忙だったり桓温将軍の圧力だったりで、
| i ̄i ̄i ̄i """ | なかなか投下できませんが、今週後半の投下予定です。
l . ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ .l
` 、 /⌒⌒i /⌒ヽ / .ほぼ坊頭の戦いで終わりそうですが
`/ | | \ /
- 117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/01(月) 12:59:04.52 ID:8hC/hsGm0
- 投下予告!待ってました!
- 118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/04(木) 01:39:23.06 ID:4DWkUO8l0
- 投下楽しみに待ってます
>>1のスレッタが誰役なのかも楽しみ
- 119 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/06(土) 23:57:41.19 ID:ntstzp/S0
- 【>>118登場まではまだ時間かかりそうです】
- - ──ー - -、
/i ,.-‐''"´ \ i\
l \_/ _,, ,,_ ヽ、_/ l
l ::::::/ ━━ ━━ ヽ::: l
ヾ_,;;;l , , , l;;;__ジ 明日の21:30頃から始めます。
| i ̄i ̄i ̄i """ |
l . ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ .l 結局日曜になってしまったorz
` 、 /⌒⌒i /⌒ヽ /
`/ | | \ /
- 120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/07(日) 00:44:48.68 ID:3OTdRWbR0
- はーい
- 121 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 21:44:22.80 ID:ZWtiMOHx0
- 【>>96の続き】
////////////: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 、
////////////: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
///////////: : : : : : : : : : : : : : : : ': : : : : : :l: : : :l : : : : : : : : : : : : ,
////////// : : : : : : : : : : : : : : : : /: : : : : : : |: : : :|: : : : : : : :.l : : : : : ,
{/////////: /|: : : : : : : : : : : : : /: : : : : : : :.l : : : l l: : : |: : : :l : : : : : :.
V////////i:i:i:|: : : : : : : : : /: : / : : : : : : : : l: : : ::l |: : : |: : : :l : : : : : : ,
≧=--=<i:i:i:i:i:i:i| : : : : : : :/ : :/: : :/ : / : : /: : : : :l |: : : | : : ::l : : : : : : :
/i:i:i:i:i/i:i:Vi:i:i:i:i::|: : : : : : : :_ /: :}/ : /: :__/,:j/: :j / |:_ l:+--:lミ : : : : : :
Vi:i:i:i:i/i:i:|i:∨: : : : : : : : : : l: : / ̄/ ̄// /: : / /: : /: :| : /|: :}: : : : :
\i:i:i:i:i|l:i:i:∨ : : : : : : : :| :/--/ー/‖ ̄  ̄  ̄_,,云云ミ l:/: : : : .'
/i:i:i:i:| V:i:iV: : : : : : : : |/ァ彡云芯癶弌 '''行/ V Y:.|: : : :/ 太后の差し金かしら?
\i:i:i| V/: : : : : : : : l 弋z,,ソ_, ゞ--' 从イ: : :イ
\l: : : : : : : : : : : : :l `""  ̄ `"""´ i : l: : : l あのクソBBAが
|: : : : : : : : : : : : :l __ ヽ {: ::| : : |
l: : : : : : : : : : : : :l / i _ /: : i : : l
人: : : : : : : : : : : :l/  ̄ > 、 ,,..-ャ . : : : :l: : : l
> : :八: : : l: :l  ̄ ̄ ) )  ̄ /: : : : /: :j:/
=ニニ > ゝ: :| :l|  ̄ ̄\ /__:--<ノイニ= _
-=ニニニニニニ=i|: :l \ 人 _ ...イ_ 7/二二二二二二= _
-=ニニニニニニニ= 八::l Y ::::::::::://二二二二二二二 =_
-ニニニニニニニニニニ乂 }⌒(v /7::::://二二二二二二二二二
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ 遺言が守られなかった理由を考えるに、
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 呉王慕容垂が一族内で微妙な立場にいた点が挙げられる。
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .それに至った経緯については『十六国春秋』『前燕録』と『後燕録』に詳しい
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
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- 122 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 21:46:17.83 ID:ZWtiMOHx0
-
/.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li、:.:.∧:.:.:.::ヽ.
: :: !.:.:. ||/--l/ |ノ--l:.: .:.lヾ、
: ::(|:.:.:.:| ‐‐ ‐-│::.:/ 慕容垂の妻の段氏は段末波の娘で気性が激しく、
Yヘ.:.:.:l _ _ /.:.ノ .自らが貴姓であるのを恃みに慕容儁の妻の可足渾氏を尊ばなかった。
\ヽ、 _ , イ!::/
/ ヽ{ ト、ヽ l: なお、可足渾氏は前燕の尚書令可足渾翼の従姉と伝わっている
∧\ マ三ソ| \
./: : \\ ヾ-〃 _ !_____
l; : : : : \\」リ/ /
i: : : :::\::\i../ /
.,Å、
r-‐i'''''''''''i''-'‐-、
.o| o! .o i o !o
|\___|`‐´ `‐´|___/.|
そもそもね。 |_____________|
.|l l /〃 ヽ ヽ} | 、 ヽ
お爺様もお父様も段部から妃を迎えたのに、 .ljハ トkハ儁从斗j. | ',
私の代だけこんな事になっているのがおかしいのよ。 l∧}● V ● ! |、 ハ
ハ.ノ⊃ 、_,、_, ⊂⊃ .|ノ ヽ \
お父様に可愛がられたからって夫婦揃って調子に乗り過ぎ /⌒ヽ_.リ人 ゝ._) ./". /⌒i ヽ ヽ
\ //" >,、 __ イ{. ヘ /! } }
. / \ (::::::::Y Y:::::.!| `´/ヘ { {
ヽ/ノ ):::::::∨:::::ノ. ヾ..ノ.::::::\\丶
- 123 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 21:48:54.78 ID:ZWtiMOHx0
- 【紀元358年頃 前燕 首都 鄴】
\__人_人从_人_人从/
_) (__
) 呉王王妃段氏! (
 ̄ ̄) ( ̄ ̄ \ヽ人_从人__从_人__从_从人__从_人__从_从人_人/
/⌒Y⌒Y⌒⌒Y⌒Y⌒Y⌒\ ≧ <
-=ニ 巫蠱の疑いにより連行する!!! ≦
≧ ≦
(二二二ニ/二二/Y⌒YWW⌒W⌒Y⌒WW⌒W⌒Y⌒W⌒Y⌒WW⌒Y\
//_/__//_/__//_/| |ヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
//_/__//_/__//_/_| |__ヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
//_/__//_/__//_/__| |_ヽ_ヽヽ__ヽヽ_ヽヽ
二二二ニ/二二ニ/二二二//_/__//_/__//_/_| |__ヽ_ヽヽ__ヽヽ_ヽヽヽ二二ヽ二二ヽ二二ヽ二二ヽ
//_/__//_/__//_/__///_/_//_/__//_/_ | |___ヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
//_/__//_/__//_/__//○====○====○======.○=====○===○===○===○ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
//_/__//_/__//_/__//_| |┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬|__|_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽ
○====○====○====○===.| |││││││││││││││││|| .||===○===○===○===○===
| |││││││││││││││││|| 慕 ||
| |┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴|| .||
| |┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬|| .||
___________| |││││││││││││││││||.容..||____________
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/\/\/\/\/\/| |││││││││││││││││| ̄ ̄|/\/\/\/\/\/\
/.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li、:.:.∧:.:.:.::ヽ 東晋の升平二年(三五八年)。
: :: !.:.:. ||/--l/ |ノ--l:.: .:.lヾ
: ::(|:.:.:.:| ‐‐ ‐-│::.:/ .段氏と呉王典書令高弼が
Yヘ.:.:.:l _ _ /.:.ノ 巫蠱を行ったとして捕縛され廷尉に引き渡された。
\ヽ、 _ , イ!::/
/ ヽ{ ト、ヽ l:′ 中常侍が慕容儁に密告したというが、
∧\ マ三ソ| .\ これを疑わなかったあたり、可足渾氏どころか慕容儁の意志だったのだろう
./: : \\ ヾ-〃 ..∧
l; : : : : \\.り/: : :i
- 124 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 21:50:58.32 ID:ZWtiMOHx0
- 【紀元358年頃 前燕 冀州 信都】
(~)
,へ,__ γ´⌒ヽ 一大事です!
_| i `ヽ{i:i:i:i:i:i:i:i:}
.//| 〇__(`・ω・´) .奥方様が巫蠱の容疑で捕らえられました!!
(/./⌒)___,>、_ ) (´⌒(´⌒;;≡
.|/ //、 ヽ、_ノ (´⌒(´≡≡≡ 黙秘を貫き、
/ //^ヽ、i |≡≡≡(´⌒;;;≡≡≡ 連日激しい拷問を受けておられます!!!.
(___./ ̄`⌒ヽ、 丿(´⌒(´⌒;;
/三ニ>:´: : : `‐: <ニヽ
/ニ./: : : : : : : : : ヾ: :ヽ ヘ.
{=/: : : :/: : :.: i: : :.l:.ヘ: : ∨l
l/.: : :.:/: : :/: l: :i: l!: ::',: : 'リ.
,': : : :/:/: /:.:リ: :l:.:l.レ: l: : :l
はァっ!? . :: : : /:ナメ_:ノi:ノl:イl: :.リ: : :l
l: : : /ィ芹示, u ィ芹示l: : :.|.
人生死ぬのは一度きりなのに、 l: : :∧ V汐 V汐 l: l:.:l
どうして酷刑に堪える必要があるのよ! l: : ,'ミヘ u __`_.,, ル:l: !.
. l: ::lミミ\ l:::::::::::l ,イ : l!:l
責を取るには及ばないわ!! l:.l:lミミ从::>ゝ____.'イ:/:/./:.!
..,,,=--‐l:.l:ゝ‐.〈 .Y_ ::::::_斗:イ /.l:.l_
__,,.-==ニ三三三Ν三f:∧ /|/^i 彡イニ lリ三ニヽ
.=ニ二二三三三三三三三{:::__V_YY⌒| /三三三ニ.∨
ニ三三三三三三三/.ニ三|::‐=‐::H〈:=l/:ノ三三三三ニ.\
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー 当時、慕容垂は軍勢を率いて冀州の信都に駐屯していた。
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 妻が拷問を受けていると聞いた彼は、
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j 彼女を憐れみ、人を送って罪を認めるよう説かせた。
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/ とはいえ、巫蠱は重罪であり、慕容垂も連座する可能性は充分にあった
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
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- 125 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 21:51:33.19 ID:ZWtiMOHx0
- 【紀元358年頃 前燕 首都 鄴】
,;:'';, ,; ; ; ; ''':,
,;'':.:. ; ; ; ; '';,
,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
',ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii,'
';:.:.:.:.. / \ ':,
';::.:.:.:. . ● ● ;' そう殿下は仰せでした
';:::.::.:. (__人__) ;'
'':;,:.:.:.:.:. . 、:'
,;:'':.:.:. '':,
\ヽ人_从人__从_人__从_从人__从_人__从_从人_人/
≧ <
≧ どうして死ぬ事を惜しむのか! ニ=-
≧ ≦
/Y⌒YWW⌒W⌒Y⌒WW⌒W⌒Y⌒W⌒Y⌒WW⌒Y\
\ヽ人_从人__从_人__从_从人__从_人__从_从人_人/
≧ <
≧ 悪逆によって誣告された以上!! ニ=-
≧ ≦
/Y⌒YWW⌒W⌒Y⌒WW⌒W⌒Y⌒W⌒Y⌒WW⌒Y\
\ヽ人_从人__从_人__从_从人__从_人__从_从人_人/
≧ <
≧ 祖宗を辱めず、殿下にも累を及ぼさない!! ニ=-
≧ ≦
/Y⌒YWW⌒W⌒Y⌒WW⌒W⌒Y⌒W⌒Y⌒WW⌒Y\
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/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 夫の言葉に段氏は嘆息し、最期まで罪を認めなかった
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
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- 126 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 21:54:13.56 ID:ZWtiMOHx0
- 【紀元358年頃 前燕 冀州 信都】
____
_ ‐=ニニニニ\
. , /ニニニニニニニニ二}
. ‘/ニニニニニ二二二二};
/ニニニニニニニニニニニ二人 ,
. ‐ニニニニニニニニニニニ_ - ~: : :ヽ’
. /ニニニニニニニニニ_ - ~: : : : : : : :.∨/
;{ニニニニニニニ>''´: : :ヽ: : : :\ : : : V
\ニニ‐:.ァ┐:|:|:. : : :.<\‐ 、: : : : : |/
. /i:i|: :/ /.: :|:|: : :.(\\\ヽヽ: : :.|/
〈_|i:i|:/ /: /)ァ┐ : ヽヽ} } }/: : :.|/
. , |i:i|:| l// /┐'ミ: :} } } }: : : :.|=-_ ああああああああああっ!!!
‘/|i:i|:! .イ / ∨ ./|:|.: .:.|ニニ‐ヽ. /
/‐ニニ/ , イ u ./ ./:/:. :. :.|ニニニ‐V ./
. l‐ニニ,′ /:. __/ ./:/:/:/:ノニ./ニ-∨ /
l‐ニ「l| /{\(ァ.:.:{ ∨:/:/ {ニ/ニニニ-∨ /
l‐ニ/‐.乂__「}从:_(:><\__/ニ\ { ∧ニニニニ-∨ /
;l‐ニ/‐ニニ‐/ Vニニニニニ{-ニニニニ‐\ニ∧ニニニニ-∨ /
. lニ/‐ニ二‐} Vニニニニニ.\ーニニニニ‐\ ヘニニニニ-∨ /
lニ/‐ニニニ‐} \ニニニニニニ\ーニニニニ‐\.ニニニニ-∨ /
. {ニ/-ニニニ-∧  ̄ ̄ ̄ \ーニニニニ‐\.ニニニ-∨ /
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ そのおかげで、
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 慕容垂は禍を免れたが、段氏は獄中で死んでしまった。
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .彼が一時遼東へ赴任したのはこの後であるらしい
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
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- 127 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 21:54:54.27 ID:ZWtiMOHx0
-
/.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li、:.:.∧:.:.:.::ヽ.
: :: !.:.:. ||/--l/ |ノ--l:.: .:.lヾ、
: ::(|:.:.:.:| ‐‐ ‐-│::.:/ ところが慕容垂、後妻も段氏から迎えている。
Yヘ.:.:.:l _ _ /.:.ノ
\ヽ、 _ , イ!::/ さすがに慕容儁の死後、
/ ヽ{ ト、ヽ l: .遼東から帰って来た後の話だと思うが
∧\ マ三ソ| \
./: : \\ ヾ-〃 _ !_____
l; : : : : \\」リ/ /
i: : : :::\::\i../ / ___
/ニニニニニY
/ニニ>――┴<
. /ニ/:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
/ニ/:.:.:.:./:.:.:|:. |:.:.:.:.|...l.:.',
{ニ/:.:.:. : |:.:.メ.:.」:.:.:斗:」:.:.l
. /i|:.:.:.:.:.:.| ∩  ̄∩|:.:.:|
. 〉i|:.:.:.:.:.:.| ∪ ∪{:.:.:|
太后の妹を妻にしろですって!? ヾム:.:.:.:.: | /^ー┐ ):.:|
. , -ヽ:.:.人_(:::::::::::ソ.イ/:./
絶対にお断わりよ!! /ニ\ニ=‐:\∨ ̄|x/イ
/ニニニ.|ニニ} ̄:冂: ̄}!ニl
|-ニニニ|ニニ/| |ヽ.ハニl
/ニニニニ|ニ< ハ,ハ l-|ニl
. /ニニニニ/ニ〈 l:::::::l |ニ|ニl
. /ニニニニ/ニニ∧/::::::::レ()-|ニl
一応妻には迎えた→ /ニニニニ/ニニ/ /::::::::: |└-|ニl
/ニニニニ/―― '二二└_彡ニ|
. /ニニニニ/ ∨ / '/.ニニ|
- 128 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 21:55:26.78 ID:ZWtiMOHx0
-
_...._
_,.-':::::::::::::`ヽ、
,..-':::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
__ /:::::::::::::::::::::::::::::\:::::::ヘ
l::::::::::::::::::: ̄::::::ー.../::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ
ヽ::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;ィ::ニ'::::l
ヽ:::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ `ヽ:::::::l
\::::::::::::::::::::::\::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:、 ';::::::|
,ン、:::::::::::::::::::::`:-..._:::::::::::::::::::::::/::::::\ ';:::|
/ | |`ト 、_:::::::::::::::::::::`:::ー-......__/::::::::::::::\ヾl
l ト ト. ト、ヽ、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
`ハ_|ヾ 弋弍f'ー、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
'´く. 'ーイ l j、7ァt、__:::::::::::::::::::::::::::::::::::l この話。
rヽ 、 lー'-'ノ_ノ∠Lゝト弋ー-- :::_:ノ
ヘ ヽ--j..-<}::::::::::::〈.` .慕容垂夫婦にとっては悲劇なのだが、
,レ-'⌒:、 ヽ:::::::::::ヽ- 、 .発端は段氏が兄嫁に不敬な態度を取った事にある。
,. -‐、 ヽニ.:::::;r‐ '´ l::::::::::::::::::::ヘ
,r'::::.,.-' r'´ ::::ヽ __'Jノヽ::::::::::::::::::ハ 夫婦揃って相当な跳ねっ返りだったと思われる
/:::::/ | l::: ` ヽ、_ ヽ_,l:::::::::::::::::::::l
. | :::| | lヽ、__,. 、 ';::::::::::::::::::::::::::::::l.、
. | | | |:::::::::::::::ヽ. l::::::::::::::::::::::::::::::|:ヽ
l. l ヽl. ..|::::/::::::::::´:::::::::::::::::::::::::::::::|::::l.
ヽ ヽ.__ ノ | ::|:'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
` ー- 一 ヘ |::::ー-、.._:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::|ヽ
7ハ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::|:::ヽ
/::|::|:ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::|::::::ヽ
/::::::|:::|:::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::|:::::::::ヽ
/::::::::::{:::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::|:::::::::::`
- 129 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 21:58:25.10 ID:ZWtiMOHx0
- 【紀元367年頃 前燕 首都 鄴】
.,Å、
r-‐i'''''''''''i''-'‐-、
.o| o! .o i o !o
, '´ ̄ ̄` ー-、 |\___|`‐´ `‐´|___/.|
/ \ .|_____________|
/ / U l l| / / U l l|
,' .│. {/ 〃.可ヽ ヽ 人 ,' .│. {/ 〃暐ヽ ヽ 人 呉王はそう言っていたけれど……
. ん | リノ八 ハ\}ヘl . ん | リノ八 ハ\}ヘl
. // (| ! ● V ●!ハ . // (| ! ● V ●!ハ
// ,イ.⊂⊃ 、_,、_, ⊂ノゝ // ,イ.⊂⊃ 、_,、_, ⊂ノゝ 嫌よあんな礼儀知らず
{. { lV .} 、 __, イ \ {. { lV .} 、 __, イ \
}. }. //.\ !:::::Y Y::::) / }. }. //.\ !:::::Y Y::::) /
// ./::{( ⌒ ) 八::::::V:::::( ( ⌒ ) // ./::{( ⌒ ) 八::::::V:::::( ( ⌒ )
-‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
/ U \
|l l /〃 ヽヽ} | 、 ヽ
ljハ 十ハ.評从十j. │ ',
l∧}● V ● ! |、 ハ
さすがにちょっと、ねえ ハ.ノ⊃ 、_,、_, ⊂⊃ .|ノ ヽ \
リ人 /" ト、 ヽ ヽ
/"./⌒l、 __ イ{. Vl } }
. \ /  ̄/:::Y Y:::::!. ヽヘ { {
ノ |. l::::::∨:::::ノ. }::::\.\丶、
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ そんな慕容垂に対する忌避感が残っていたのだろう。
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l }
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j 皇帝慕容暐は慕容儁と可足渾氏の子で、
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .慕容評は慕容皝・慕容儁に近い人物なのだから
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 130 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 21:59:12.33 ID:ZWtiMOHx0
-
_________________ィ‐' ̄`ヽ
| |::::::::::::::::ヽ
| |::::::::::::::::::::\
| |:::::::::::::::::::::::::\
| |:::::::::::::f \::::::::}
| いつもの .|:::::::::::::| ゝ::::|
| |::::::::::::::ヽ ∨
| |ー:、::::::::::ヘ
| |::::::::::::::::::::::ヘ_
|_____________________ |:::::::::::::::::::::::::::::::::`丶、
\::::| |:::::::::ィ !{ ハ T tーr 、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、
` | |ー--レリル|rfiテ ヽl イテz rr----――― ' " ´
| | ヾN ゞソ ゞソ// しかし、後年慕容垂が皇帝になったためか、
| | >:´|、 - ,|`:< 史書はおよそ次のような論調に終始するようになる。
| | |::::::::| > イ |::::::::|
| | >-、\! !/::,-< .慕容垂の不遇ぶり、
| | /´:::::::::::::{二{}二}´::::::::ゝ-、 .前燕滅亡の原因は可足渾氏と慕容評にある、と
| | l:::::,:-:::::::://::|ヽヽ::::::::::::::::::!
| | /‐'´::::::::,::V:::::!::∨::::::::::::::::::|
, ' ニ}く::/::::::::/:::::/|::::::::::::::::::::::::::|
| ーjヽ\::::::'"::/ヾ !::::::::::::::::::::::::::|
ヽニj } \:/ \ |:::::::::::::::::::::::::::|
〈:| |V }>、___..>!:::j::::::::::::::::|:::::|
|:!.|:\ ノ::L.. , __.!::::!::::::::::::::::!:::::|
|:!.|::::::`ー':::/ / |::::|:::::::::::::::::!:::::!
|:|_!:::::::::::::::/ / |:::::!::::::::::::::::|::::::|
|::::::::::::::::::/ / .!:::::!::::::::::::::::|::::::l
|::::::::::::::::/ / !:::::|::::::::::::::::|:::::::!
!:::::::::::/ / |::::::|::::::::::::::::|::::::::!
- 131 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:00:49.74 ID:ZWtiMOHx0
-
/.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li、:.:.∧:.:.:.::ヽ.
: :: !.:.:. ||/--l/ |ノ--l:.: .:.lヾ、
: ::(|:.:.:.:| ‐‐ ‐-│::.:/ そうした論調は慕容恪の死後から顕著になる。
Yヘ.:.:.:l _ _ /.:.ノ
\ヽ、 _ , イ!::/ 例えば慕容評は、
/ ヽ{ ト、ヽ l: .数々の戦で活躍した重鎮だが、これを境に無能描写が露骨に増える
∧\ マ三ソ| \
./: : \\ ヾ-〃 _ !_____
l; : : : : \\」リ/ /
i: : : :::\::\i../ /
-‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
/ \
|l l /〃評ヽ ヽ} | 、 ヽ
ljハ トkハ 从斗j. | ',
はいはい! l∧}● V ● ! |、 ハ
ハ.ノ⊃ 、_,、_, ⊂⊃ .|ノ ヽ \
全部私のせいよ!! /⌒ヽ_.リ人 ゝ._) ./". /⌒i ヽ ヽ
\ //" >,、 __ イ{. ヘ /! } }
. / \ (::::::::Y Y:::::.!| `´/ヘ { {
ヽ/ノ ):::::::∨:::::ノ. ヾ..ノ.::::::\\丶、
- 132 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:01:24.04 ID:ZWtiMOHx0
-
/.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li、:.:.∧:.:.:.::ヽ.
: :: !.:.:. ||/--l/ |ノ--l:.: .:.lヾ、
: ::(|:.:.:.:| ‐‐ ‐-│::.:/ また、皇太后可足渾氏が
Yヘ.:.:.:l _ _ /.:.ノ 政治に口出ししたとあるが、これに関しても具体的な例に乏しい。
\ヽ、 _ , イ!::/
/ ヽ{ ト、ヽ l: 皇帝慕容暐に関しても、
∧\ マ三ソ| \ .『十六国春秋』に庸弱と評されたが、可足渾氏や慕容恪の言いなりでもなかった
./: : \\ ヾ-〃 _ !_____
l; : : : : \\」リ/ /
i: : : :::\::\i../ /
.,Å、
r-‐i'''''''''''i''-'‐-、
.o| o! .o i o !o
|\___|`‐´ `‐´|___/.|
|_____________|
|l l /〃 ヽ ヽ} | 、 ヽ
ljハ トkハ暐从斗j. | ',
まだ二十歳前だけどね l∧}● V ● ! |、 ハ
ハ.ノ⊃ 、_,、_, ⊂⊃ .|ノ ヽ \
/⌒ヽ_.リ人 ゝ._) ./". /⌒i ヽ ヽ
\ //" >,、 __ イ{. ヘ /! } }
. / \ (::::::::Y Y:::::.!| `´/ヘ { {
ヽ/ノ ):::::::∨:::::ノ. ヾ..ノ.::::::\\丶
- 133 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:03:54.56 ID:ZWtiMOHx0
-
/ :. ィ.;:.:.:.:.:.:.:ヽ
イ:.:.:.:/-|/|∧:;、:.:.〈
リ:.:./ ● く!:,:.:..、
l:.:.l ●/:./ ̄
vヘ - ノ:./ このあたりは史書編纂に当たって、
_,-+ 匸ヘ/V .慕容垂の意向が反映された疑いがある
,《 ヒ⌒j 》、
l::\ l /‖::l
|:::::::ト,Vイ:::::|
|:::::::l介l:::::::|
l::::::|人|:::::::l _-ニニ /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
_-ニニ/ : : : : /: : : : : : : : : : : : : : |: : |: : :|: : :', : : ':,
|ニニ ,:' : : : : : / : : : : : |: : : : :|: : : : |: : |: : :|: : : |: : : :',
|ニ .' : : |: : : : : : : : : : | : : : /: : : :/|: :/ : : |: : : |: : : : |
丶,': : : :|: : :| : : : : :|: ノ/|: :/|//: /: :/:/: : : :|: : : : |
,ィ|: : : : |: : : | : : : : : : |/´  ̄_ー'ー' /〈 : : /|: : : :ノ
// |: : : :|: :|: : : : : |:| ミzzzェ彡 _ ̄/ノノレ'
兄上の十倍強い天才武将! .{///|: : : : :|: : : | : : : : : |:| `"辷''| : : ',
寸//|: : : : :|: : :|: : |: : :|:| ` |: : : :',
これでいきましょう!! 7八 : : : |: : :|: : |: : :|:| r─ - 、 从: : |:',
|//∧ : : ',: : : ',: : :|: : : :| マニヽ:.:/ ,.イ7┐:.|',:',
可足渾氏と慕容評は |///∧: : : :、: : :、: :',: : : ', `'ー'゙ ,ィ| |' / : | }:}
慕容部を滅亡に追いやった無能でおk!! .∨⌒ ',\: : : : : :、.:',: : : ', > _ ィ'^Ii| V: : :|//
( ̄丶\: 〔\: :', : : ', r≧='゙ | |i:i} |┐: /
\ \ 圦 }、',:、: :', |)、 / |ノ/丿:/
_ -==\ \}/ ̄)、\VTTI ト-/ / //
-ニニニニニ ', _/ / )'⌒)| | | ハ { ノ| | ニニ\
/ニニニ\ニニ } ‐'゙ / / | | |/ 〉'´ ノ ニニ|ニ\
- 134 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:04:29.58 ID:ZWtiMOHx0
-
_...._
_,.-':::::::::::::`ヽ、
,..-':::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
__ /:::::::::::::::::::::::::::::\:::::::ヘ
l::::::::::::::::::: ̄::::::ー.../::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ
ヽ::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;ィ::ニ'::::l
ヽ:::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ `ヽ:::::::l
\::::::::::::::::::::::\::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:、 ';::::::|
,ン、:::::::::::::::::::::`:-..._:::::::::::::::::::::::/::::::\ ';:::|
/ | |`ト 、_:::::::::::::::::::::`:::ー-......__/::::::::::::::\ヾl
l ト ト. ト、ヽ、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
`ハ_|ヾ 弋弍f'ー、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
'´く. 'ーイ l j、7ァt、__:::::::::::::::::::::::::::::::::::l
rヽ 、 lー'-'ノ_ノ∠Lゝト弋ー-- :::_:ノ ただし、こういった要因を差し引いても、
ヘ ヽ--j..-<}::::::::::::〈.` 慕容恪を失った前燕は難しい状況に直面していた。
,レ-'⌒:、 ヽ:::::::::::ヽ- 、
,. -‐、 ヽニ.:::::;r‐ '´ l::::::::::::::::::::ヘ 例を二つばかり紹介したい
,r'::::.,.-' r'´ ::::ヽ __'Jノヽ::::::::::::::::::ハ
/:::::/ | l::: ` ヽ、_ ヽ_,l:::::::::::::::::::::l
. | :::| | lヽ、__,. 、 ';::::::::::::::::::::::::::::::l.、
. | | | |:::::::::::::::ヽ. l::::::::::::::::::::::::::::::|:ヽ
l. l ヽl. ..|::::/::::::::::´:::::::::::::::::::::::::::::::|::::l.
ヽ ヽ.__ ノ | ::|:'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
` ー- 一 ヘ |::::ー-、.._:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::|ヽ
7ハ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::|:::ヽ
/::|::|:ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::|::::::ヽ
/::::::|:::|:::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::|:::::::::ヽ
/::::::::::{:::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::|:::::::::::`
- 135 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:06:50.56 ID:ZWtiMOHx0
- 【紀元367年9月 前秦 司隷 蒲阪】
盛楽 令支 、-' ヘ
,r'`ー-、_;_, ○ 薊 ○ ./´ /
r'´  ̄ヽ, ○ ,r'´ r' r‐
} { ,.、_ノ _"7 /
/ r' 晋陽 太 / 'ー'´
./ ノ ○ ヽ
' { 陽邑○行 ○平棘 厭次、 r'‐-,_,_ィ_
} ○襄国 ○ /ヽ_r' _r'´
{ 平陽 山 鄴 ○ r-'´ 〇○広固 r' '
`ヽ } ○ 壺関○ ◎広宗ノ 臨淄 }'ー'
{ { 脈 r○廩丘 r \ヽ人_从人__从_人__从_从人__从_人__从_从人_人/
'´`ー-, ヽ /●蒲阪 ノ r' ≧ <
\ 'エ_,.-‐'`ー―‐'―= ‐' ., -=ニ 同族殺しの簒奪者苻堅を許すな! ≦
 ̄ ̄`ー‐'―'´ ● ○洛陽 ○倉垣 〇 > ≧ ≦
○長安 陝城 ○許昌 下邳,〇 /Y⌒YWW⌒W⌒Y⌒WW⌒W⌒Y⌒W⌒Y⌒WW⌒Y\
×武関 宛○ r-v'γ泗口 ハ_
南郷 ィ-v○寿春 __ゝ、 `{_,、
○ 襄陽 ,、_ r'◎建康 -、
○ `' r' {__'ィ }
,. -――'´`ヽ 江陵 ,、 , _,.r' __/`
_/ ヽ ○ ,/○ヽ ノ `^ー'`>
_ィvー'´ Z,、 /武昌 `ー-,r' }
r-‐'´} {`ヘ
'ー'`" `ー'
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー 東晋の太和二年(三六七年)九月。
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 前秦領の蒲阪において、
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j 前秦の晋公・征東大将軍の苻柳が反乱を起こした。
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/ 反乱は陝城・上邽・安定の苻氏一族も呼応する大規模なものとなった
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 136 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:07:40.10 ID:ZWtiMOHx0
- 【>>135修正】
【紀元367年9月 前秦 司隷 蒲阪】
盛楽 令支 、-' ヘ
,r'`ー-、_;_, ○ 薊 ○ /´ /
r'´  ̄ヽ, ○ ,r'´ r' r‐
} { ,.、_ノ _"7 /
/ r' 晋陽 太 / 'ー'´
./ ノ ○ ヽ
' { 陽邑○行 ○平棘 厭次、 r'‐-,_,_ィ_
} ○襄国 ○ /ヽ_r' _r'´
{ 平陽 山 鄴 ○ r-'´ 〇○広固 r' '
`ヽ } ○ 壺関○ ◎広宗ノ 臨淄 }'ー'
{ { 脈 r○廩丘 r \ヽ人_从人__从_人__从_从人__从_人__从_从人_人/
'´`ー-, ヽ /●蒲阪 ノ r' ≧ <
\ 'エ_,.-‐'`ー―‐'―= ‐' ., -=ニ 同族殺しの簒奪者苻堅を許すな! ≦
 ̄ ̄`ー‐'―'´ ● ○洛陽 ○倉垣 〇 > ≧ ≦
○長安 陝城 ○許昌 下邳,〇 /Y⌒YWW⌒W⌒Y⌒WW⌒W⌒Y⌒W⌒Y⌒WW⌒Y\
×武関 宛○ r-v'γ泗口 ハ_
南郷 ィ-v○寿春 __ゝ、 `{_,、
○ 襄陽 ,、_ r'◎建康 -、
○ `' r' {__'ィ }
,. -――'´`ヽ 江陵 ,、 , _,.r' __/`
_/ ヽ ○ ,/○ヽ ノ `^ー'`>
_ィvー'´ Z,、 /武昌 `ー-,r' }
r-‐'´} {`ヘ
'ー'`" `ー'
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/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー 東晋の太和二年(三六七年)九月。
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 前秦領の蒲阪において、
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j 前秦の晋公・征東大将軍の苻柳が反乱を起こした。
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/ 反乱は陝城・上邽・安定の苻氏一族も呼応する大規模なものとなった
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
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- 137 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:09:11.22 ID:ZWtiMOHx0
- 【紀元368年2月 前燕 首都 鄴】
__
∫ι__________/丁了
丿;;;;;;;::::::::::::::::::::::::::. ,.,.,.,.,.,.,.,.,.,.ヾ.ヽ.
ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::::::::::: ,.,.,.,,.,.,.;; .ヾヽ
.ヘ. ..ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;;::;:::::::::::::::::::::::::::: ::::,.,.,.,.,.,. ヾ.ゝヘ
ゝ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::::::::: :::::::::,.,:::::::λヘ
ヘ ,,__ノヾ ~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~ゞ,ノヘ
ゞ;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;ノゞゞ
U/⌒ヽU/⌒ヽU/⌒ヽU/⌒...U/⌒ヽU/⌒ヽU/⌒..U三|
U三三,U,,三三U三三,U三三U,三三U,三三U三三U/|
_ ├┼┼┼┼┐___┌┼┼┼┐ ___┌┼┼┼┼┤/|_
‖ミミ│ /,,;;;;;;;; /]ミ;;,, /,,;;;;;;;;;/]ミ;;,, .. │ミミ‖
┌凹凹凹凹凹凹凹凹凹___.凹凹凹凹凹 ___ 凹凹凹凹凹凹凹凹凹凹凹┐
ミミミミミミミミミミミミミミミミミミミ/,,;;;;;;;;;/]ミミミミミミミミミミ/,,;;;;;;;;;/]ミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミ
┌凹凹凹凹________凹凹凹凹凹凹凹凹凹凹________ 凹凹凹凹凹┐
. . 彳/三三三三三三彳/.|ミミミミミミミミミミミミミミミミミミ彳/三三三三三三彳./|ミミミミミミミミミミミ
. 彳/三三三三三三彳/.. |ミミミミミミミミミミミミミミミミ彳/三三三三三三彳/ |ミミミミミミミミミミミ
. 彳/三三三三三三彳/ .. |ミミミミミミミミミミミミミミ彳/三三三三三三彳/ . |ミミミミミミミミミミミ
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ 翌太和三年(三六八年)二月。
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l }
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j 陝城で反乱に呼応した魏公・洛州刺史苻庾が前燕に援軍を要請した
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 138 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:10:55.41 ID:ZWtiMOHx0
-
.,Å、
r-‐i'''''''''''i''-'‐-、
.o| o! .o i o !o
|\___|`‐´ `‐´|___/.|
|_____________|
/ / U l l|
,' .│. {/ 〃 ヽ ヽ 人
. ん | リノ八 暐ハ\}ヘl ちょっと。
. // (| ! ● V ●!ハ
// ,イ.⊂⊃ 、_,、_, ⊂ノゝ .これどうするのよ?
{. { lV .} 、 __, イ \
}. }. //.\ !:::::Y Y::::) /
// ./::{( ⌒ ) 八::::::V:::::( ( ⌒ )
-‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
/ U \
先帝はいないし、 .|l l /〃 ヽヽ} | 、 ヽ
私たちの知略は太原王には及ばない。 .ljハ 十ハ.評从十j. │ ',
l∧}● V ● ! |、 ハ
関を閉じて辺境の守備を固めましょう。 ハ.ノ⊃ 、_,、_, ⊂⊃ .|ノ ヽ \
リ人 .γ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
秦の内乱は私たちには関わりないし /"./⌒l、 __ イ{| あのー .|
. \ /  ̄/:::Y Y::::ヽ________乂
ノ |. l::::::∨:::::ノ. }::::\.\丶、
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー この時。
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 前燕の朝議が
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j 援軍派遣に消極的だった様子が『十六国春秋』『前燕録』に見える。
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/ 『晋書』『慕容暐載記』もほぼ同じ内容だ
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 139 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:12:32.05 ID:ZWtiMOHx0
-
|::. /|
|::::\ /::::::|
|::::::::::\''"~ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
|\:::::::::| \ ̄ ̄/ } __
| く:::// ̄ ̄ __\t/__-=ニニニニ)ヘヘヘ-、
/ヽ_//_―――=二二二二二( ̄\)_)_) ヽ
/ _―――  ̄: : : : : :\: :\  ̄\_` ノ-_
__―‐: : :/ /|/: : : : : : : |: : : :\ 〈二二二}ヽ
―〈/: /: : / /:. :./: : : : : : :|: : : <⌒ |\___/ |
/: : /: : / /| : / \: : : : |\: : \ 人 、
. /: : /: |: :| ./: | /――|: : : :ハ|- ハ: :}⌒ \ '、
/: : /: : |: :| /:I斗===ミ |: : :/ィ=ォ: : / |.\ '、 氐の逆賊が悪業を積んだ結果、
: : /: : : |: :| ハ圦乂ツ |:/(ツ/ : :八_ | '、 秦が四分した天が与えた好機に応じないんですか?
: /从 : :|: :| |: : :| "" / |:\| : /_,.。s≦⌒\ ,
/ ヽ:.|: :| |\:|:. _ 八: :\} ノ これに応じなければ呉越の故事が待っています。
\:| | : :| \ ´ イ:.\.: : :\ _。s≦
. ∨| : :| ≧r―‐く⌒V( \: : : \ _,.。s≦ .天に応じて牧野に旗を立てましょう
八: : \ \:::::::\ \: : : |
/∨\:\ \:::::::\≦ }:ノV
/::::::::::::::\:\/´\::::::::\ ´
ノ⌒\:::::::::::::: ̄ ̄\::::\___/ノ\
/⌒\ニ≧s、:::::::::::::::::::>( < 、>__>
| \ニニ\::::::::::// \>\  ̄\
| \ニニ\/く_ノ } \\ }_〉
| }二二二二\__/ }.....}ノ}
| |二二二二二二|__/......../
| |二二二二二/.................../|
前燕 范陽王 慕容徳
- 140 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:13:13.87 ID:ZWtiMOHx0
-
/ヽ_//_―――=二二二二二
/ _―――  ̄: : : : : :\: :\  ̄\_`
__―‐: : :/ /|/: : : : : : : |: : : :\
―〈/: /: : / /:. :./: : : : : : :|: : : <⌒
/: : /: : / /| : / \: : : : |\: : \
. /: : /: |: :| ./: | /――|: : : :ハ|- ハ: :}⌒
/: : /: : |: :| /:I斗===ミ |: : :/ィ=ォ: : /
: : /: : : |: :| ハ圦乂ツ |:/(ツ/ : :八_ 皇甫真殿に并州と冀州の兵を率いて蒲阪へ進軍してもらい……
: /从 : :|: :| |: : :| "" / |:\| : /
/ ヽ:.|: :| |\:|:. _ 八: :\}
\:| | : :| \ ´ イ:.\.: : :\
. ∨| : :| ≧r―‐く⌒V( \: : : \
八: : \ \:::::::\ \: : : |
/∨\:\ \:::::::\≦ }:ノV 、乂_/................................................... \
/::::::::::::::\:\/´\::::::::\ ´ _>.. ̄ ̄/.......................´_....................ヽ
. ィnニニ二二/................................´,......................',
/, /......... /......................................i.......................}!
///..... i.../ヘ........../................... |.......................|!
〈//..i....../|/ 」i ...... /斗-- ト、.........}......................j!
/... |.../ イ了k...... i./ |.../^|...........;..................... ′
;..... 乂辷j ヒソ.......{′|/ |....... /............,′./
i......./ l \j 了ぅk、V /............/... /
|..../ { ' Vrソ )/ ......... /... /
|./ ,へイ 、__ __ /........ /ノi....{___
|' _/ ^r、\ "´ ‐<..........イニニ乂{ ニニ\
/ 、\`¨>‐匕了}__/ニニニニニニニニニ〉
/ \ ソ〈(ニニ/´ ̄ ̄ ̄`ヽ、_____/
_イ ^''ァ ノ / >-{.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
- 141 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:15:10.29 ID:ZWtiMOHx0
-
/ヽ_//_―――=二二二二二
/ _―――  ̄: : : : : :\: :\  ̄\_
__―‐: : :/ /|/: : : : : : : |: : : :\
―〈/: /: : / /:. :./: : : : : : :|: : : <⌒
/: : /: : / /| : / \: : : : |\: : \
. /: : /: |: :| ./: | /――|: : : :ハ|- ハ: :}⌒
/: : /: : |: :| /:I斗===ミ |: : :/ィ=ォ: : /
: : /: : : |: :| ハ圦乂ツ |:/(ツ/ : :八_ ……兄上には、許・洛の兵を率いて陝城の包囲を解いてもらいます
: /从 : :|: :| |: : :| "" / |:\| : /
/ ヽ:.|: :| |\:|:. _ 八: :\}
\:| | : :| \ ´ イ:.\.: : :\
. ∨| : :| ≧r―‐く⌒V( \: : : \
八: : \ \:::::::\ \: : : |
/∨\:\ \:::::::\≦ }:ノV
/::::::::::::::\:\/´\::::::::\ ´ |-ニニニニニニニニニニニニニニニニ-
|-ニニニニニニ二二ニニニニニニニ-}
∧-ニニニニニニニニニニニニニニニ-/
. ,:.:.:.ヽ-ニニニニニニニニニニニニニ-/
':.:.:.:./ `''<ニニニニニニニニ>''´:l
. |:.:.:./:.:.:.:.:./i:i:i:i:i:i{i:i:i}i:i:i:i:\:.: |
. |:.:.:l:.:.:.:.:.〈i:i:i:i:i:i:i:i:i|^|i:i:i:i:i:i:i:i〉.:|
. |:.:.:| :.:.:.:.:. \:i:i:i:i/|: |i:i:i:i:i:iア :.:.|
. |:.:.:| :.:.:.:.:.:.:.: /i:i:i:i:|: |i:i:i:i∧:.:.:. |
. ∧:.:|\w''⌒/i:i:i:i:i:|-|i:i:i:i:i:∧:.从
/ ∧:| / ̄ ^⌒寸 |/^ヽ~)/ノ
. ヽ_,.、'zzzzzzzzzzzzzzz'x,,_
_ -=ニニニニニニニニニニニニニニニニニ=- _
/ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニヽ
- 142 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:16:35.46 ID:ZWtiMOHx0
-
/ヽ_//_―――=二二二二二
/ _―――  ̄: : : : : :\: :\  ̄\_
__―‐: : :/ /|/: : : : : : : |: : : :\
―〈/: /: : / /:. :./: : : : : : :|: : : <⌒
/: : /: : / /| : / \: : : : |\: : \
. /: : /: |: :| ./: | /――|: : : :ハ|- ハ: :}⌒
/: : /: : |: :| /:I斗===ミ |: : :/ィ=ォ: : /
: : /: : : |: :| ハ圦乂ツ |:/(ツ/ : :八_ .太傅には京師において後継となり、
: /从 : :|: :| |: : :| "" / |:\| : / 三輔に檄を飛ばしてもらいたく思います。
/ ヽ:.|: :| |\:|:. _ 八: :\}
\:| | : :| \ ´ イ:.\.: : :\ そうすれば覇上に集結し、関隴を一気に併合できるでしょう
. ∨| : :| ≧r―‐く⌒V( \: : : \
八: : \ \:::::::\ \: : : |
/∨\:\ \:::::::\≦ }:ノV
/::::::::::::::\:\/´\::::::::\
-‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
/ U \
|l l /〃 ヽヽ} | 、 ヽ
ljハ 十ハ評从十j. │ ',
l∧}● V ● ! |、 ハ
ハ.ノ⊃ 、_,、_, ⊂⊃ .|ノ ヽ \
リ人 /" ト、 ヽ ヽ
/"./⌒l、 __ イ{. Vl } }
. \ /  ̄/:::Y Y:::::!. ヽヘ { {
ノ |. l::::::∨:::::ノ. }::::\.\丶、
- 143 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:17:54.11 ID:ZWtiMOHx0
-
|\ ∧
|::::::\ / ̄ ̄ ̄ ̄/::::. `` 、、
八‐z:::::\ /::::::::::, \
\>:::::::)  ̄\_| }
/  ̄ _ノ
\____( ̄ ̄)_ニ=――。_´} \__人_人从_人_人从/
|___\/__〈ニl__}/: :|: \ _) (__
/ >'-|: : : |: |⌒ ) よく言ったわ! (
__{/ヽ______>'ィッ灯|: : : |: |  ̄ ̄) ( ̄ ̄
r┴ヽヽ}」7 /: |、、、从{ 、、|: : : |:/ /⌒Y⌒Y⌒⌒Y⌒Y⌒Y⌒\
c | r_]_」_」/|/: 公 イ: : /´
⊂ 八 ノ_ノ 从: : |´>´` <|z/: :/
r{__}ァ r\|´..rノ |/:/s。_
/|////,ノ /...{ ........ | /........ |::\
|...... ̄ ̄} /......| |........|======|............|::|.....,
|...............イ´...... | |........|//////|............|::|.....|
|................|...........| |.........\'///........../::/.....|
|................|........./\____V____/::::、......| \_人_人∧从_人_∧_人_从_//
|............../..../{::::( ̄ ̄`{∩}´ ̄ ̄):::::}......\ ) >
\.........../ 人::::Y ̄ ̄ハ ̄ ̄Y:::::/............| < その通りだ!! >
\/ }::::{_/|.....|\_}:::/............. | < (
{:::::/___|.....|__〉:::〈 |..............| /^Y ̄∨ ̄∨^Y^⌒Y^YY^^Y^
/::::::::{......................}::::::゛|..............|
/\:::〈.......................}:::/|..............|
/::::/::≧========≦:|:::|..............|
/::::/:::::::|::::::::|::::::::|::::::|:::|:::|..............|
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー 慕容徳、字を字を玄明。
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 慕容皝の末子で、雄偉な容貌をしており、
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j 群書に通じ多くの才芸に秀でた慎み深い人柄をしていた。
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/ 慕容垂と仲が良く、共に軍国大謀を論じる間柄だった
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 144 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:18:28.93 ID:ZWtiMOHx0
-
.,Å、
r-‐i'''''''''''i''-'‐-、
.o| o! .o i o !o
|\___|`‐´ `‐´|___/.|
|_____________|
/ / {/ 〃 ヽ ヽl l|
,' .│. リトk八暐ハイ} 人
. ん | ! ● V ●{ヘl 私もその意見に賛成よ!
. // (|ミ.⊂⊃ 、_,、_, ⊂!ハ ミ
//. i⌒ヽ.\ (_.ノ ノゝ_/⌒)
{. { ヘ ∧ .} 、 __, イ \ヘ/
}. }. ∧人l||l .!::::Y Y::::) l||l 从
// . /:::{( ⌒ ) :::::::V::::( ( ⌒ )
-‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
/ \
|l l /〃 ヽ ヽ} | 、 ヽ
いやいや。 ljハ トkハ評从斗j. | ',
.l∧}● V ● ! |、 ハ
私たちの強さを過大評価し過ぎでしょう。 ハ.ノ⊃ 、_,、_, ⊂⊃ .|ノ ヽ \
/⌒ヽ_.リ人 ゝ._) ./". /⌒i ヽ ヽ
太原王抜きで大きい戦に勝った試しがないんだから \ //" >,、 __ イ{. ヘ /! } }
. / \ (::::::::Y Y:::::.!| `´/ヘ { {
ヽ/ノ ):::::::∨:::::ノ. ヾ..ノ.::::::\\丶
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ 慕容徳の上奏に皇帝慕容暐は大いに喜び、
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 群臣からも前秦領へ進軍すべきという声が多く出た。
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .だが、慕容評はこれを許さなかった
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 145 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:19:57.06 ID:ZWtiMOHx0
-
__
∫ι__________/丁了
丿;;;;;;;::::::::::::::::::::::::::. ,.,.,.,.,.,.,.,.,.,.ヾ.ヽ.
ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::::::::::: ,.,.,.,,.,.,.;; .ヾヽ
.ヘ. ..ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;;::;:::::::::::::::::::::::::::: ::::,.,.,.,.,.,. ヾ.ゝヘ
ゝ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::::::::: :::::::::,.,:::::::λヘ
ヘ ,,__ノヾ ~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~ゞ,ノヘ
ゞ;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;ノゞゞ
U/⌒ヽU/⌒ヽU/⌒ヽU/⌒...U/⌒ヽU/⌒ヽU/⌒..U三|
U三三,U,,三三γ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
_ ├┼┼┼┼┐_| 苻庾から、私と呉王殿下宛に手紙が届いたわ .|
‖ミミ│ /,,;;;;;ヽ______________________乂
┌凹凹凹凹凹凹凹凹凹___.凹凹凹凹凹 ___ 凹凹凹凹凹凹凹凹凹凹凹┐
ミミミミミミミミミミミミミミミミミミミ/,,;;;;;;;;;/]ミミミミミミミミミミ/,,;;;;;;;;;/]ミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミ
┌凹凹凹凹________凹凹凹凹凹凹凹凹凹凹________ 凹凹凹凹凹┐
. . 彳/三三三三三三彳/.|ミミミミミミミミミミミミミミミミミミ彳/三三三三三三彳./|ミミミミミミミミミミミ
. 彳/三三三三三三彳/.. |ミミミミミミミミミミミミミミミミ彳/三三三三三三彳/ |ミミミミミミミミミミミ
. 彳/三三三三三三彳/ .. |ミミミミミミミミミミミミミミ彳/三三三三三三彳/ . |ミミミミミミミミミミミ
/.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li、:.:.∧:.:.:.::ヽ
: :: !.:.:. ||/--l/ |ノ--l:.: .:.lヾ
: ::(|:.:.:.:| ‐‐ ‐-│::.:/
Yヘ.:.:.:l _ _ /.:.ノ 慕容評が脈なしと見た苻庾は、
\ヽ、 _ , イ!::/ .司空皇甫真と呉王慕容垂へ手紙を送って説得を続けたとされる
/ ヽ{ ト、ヽ l:′
∧\ マ三ソ| .\
./: : \\ ヾ-〃 ..∧
l; : : : : \\.り/: : :i
- 146 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:20:40.33 ID:ZWtiMOHx0
-
/_ _/_,,.、丶´ { ヽ丶 V
\_ _ __ _ _/ イ ハ .ゝ V
{ _{ ∠~"''〜 |iヘ .ヘ. ム
i |i//i/ |i ヽ, _,,....,,マ |i |
|i | |i-弓芍 ', .', / / .寸 }
..∠、 { { ヒツア V弓芍ア/|i ! 苻堅と王猛は人傑です。
1 |i 圦 ヒツ /从 |i
./ 1 λ,' , ム/ / } .この機を逃せば、
.∠斗彳 八 .ヘ r_、 /ト / |i 燕の君臣は呉王夫差の如く後悔するでしょうって事が書いてある
V .圦 |\ .< .K j|
<:::::::::.|ム .i ` T ´:::::::∧ .|i ./
|: :  ̄≧ー\ーi。。*''゚: : :》.! ./
三~"''〜、: : : : : : : : : : : : : / j/ _-.::/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\.:.:.:.:.\ニ=-_
_-: /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./,.:.:.:.:. \ニ _
7 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ヤ.:.:.:.:.:.:∨]
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. /,.:.:、.:.:.:\.:.ヤ.:.:.:.:.:.:.:ヤ\
.:.:.:.:.:.:.|L.:.:.:.:.:.:\\ィzzzx .:.:.:.:.:.:.:.ヤ/ 〉
.:.:.:.:.:八从乂.:.:.:.: > んノリ |.:.:.:.:.:.:.:.:./ノ
私たちを煩わせるのは絶対に秦なのにね。 | .:.:.:.: 〈ィ扞芍`⌒ 乂 少 |.:.:.:.:.:.:.:.:「
|.:.:.:.:. ハ乂少 、 |.:.:.:|.:.:.:.:.
陛下は若くて政治を心に留めなくて、 |.:.:.:.:.:.:.込 小.:.:|.:.:: /
太傅の見識は苻堅と王猛に遠く及ばない |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:> ⌒ / i|.:.:/.:. /
八.:.:.:.:.: /⌒ > _ ィi〔 ノ/:/
⌒∨.:.: ′ f´ハs≦⌒⌒〈
∨:乂 ⌒ヽ jI斗==ミニニ\
`⌒ -{ _{- 〉 jI斗:\
/ √〉 7/ニニニニ ヽ
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 手紙を得た慕容垂は私的な席で皇甫真へ言った
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
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- 147 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:22:02.69 ID:ZWtiMOHx0
-
, ′ / / ヾ ゛
/ / l l ',
i/ /| l l
/ ./ / ∧ /ヽ |
-=≦孑 ´ / :i/ ヘ i / :l i l |
./ / l }: |: / | l l |
/ , イ / 丁`ヽ l i |/>' ´丁 /| |
ー=≦:七爪|:.:/ l / | ,ハ l |/ | |
|/ l ,xtf'斧ミk′} / ,ィ斧芯ミx, | i |
/ ,′伐 ノ:;;::::} | / ノ:;;::::} 刈 l l
i l: |i, ` 乂:::ソ j/ 乂:::ソ " ,i| |/ 私たちがそれを知っていても、
/| |: |ム , /:l ト、 献策が用いられなかったらどうしようもない
/: :| | トム イ / ;′ ! \
<; : : :.| ,ハ, l 圦 // , 、 イ:./ ′ ,>
` 7| / ∧ !、/:`:x′ イ:.:У /`寸¨´
∠;_| ,' //∧:l: \:.:./`:ts。 .,_ ィ:_;>:'7 , /¨⌒`、
l ! x// ヘ!ヾ: :`:<:;}___/:.:.:.:.:/ / /.: : : :ノ.:)
yヘ |ニム: : : : :.\: : : : : : : : : : : .:.:.:./ / /.: : :∠三`ヾ
/ニム マニム: : : : : : ヾ: : : : : : .:.:.:.:.:.:./ィ /.:.:/|ニニニニム
/ニニニニ\寸ニム:ヾ: : : : : `:.:.:.:.:.:ー-=匕/ /.:.:///|ニニニニ二l
/ニニニニニニニ≧`ニ}\\: : : : : : : : : : : : :./イ.:.:.; イ////|ニニニニニニ|
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 結局、前燕は前秦の内乱に介入しなかった
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 148 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:23:41.18 ID:ZWtiMOHx0
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/ :. ィ.;:.:.:.:.:.:.:ヽ
イ:.:.:.:/-|/|∧:;、:.:.〈
リ:.:./ ● く!:,:.:..、
l:.:.l ●/:./ ̄ この話。
vヘ - ノ:./
_,-+ 匸ヘ/V 慕容垂の言葉については後世の創作の疑いが残る。
,《 ヒ⌒j 》、
l::\ l /‖::l 皇帝慕容暐は出兵自体には賛成だったし、
|:::::::ト,Vイ:::::| この時点で苻堅と王猛の力を見切っていたらほぼ超能力者だろう
|:::::::l介l:::::::|
l::::::|人|:::::::l
___
/ニニニニニY
/ニニ>――┴<
. /ニ/:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
/ニ/:.:.:.:./:.:.:|:. |:.:.:.:.|...l.:.',
{ニ/:.:.:. : |:.:.メ.:.」:.:.:斗:」:.:.l
. /i|:.:.:.:.:.:.| ∩  ̄∩|:.:.:|
うっさいわね! . 〉i|:.:.:.:.:.:.| ∪ ∪{:.:.:|
ヾム:.:.:.:.: | /^ー┐ ):.:|
最後に勝った者が正義なのよ!! , -ヽ:.:.人_(:::::::::::ソ.イ/:./
. /ニ\ニ=‐:\∨ ̄|x/イ
/ニニニ.|ニニ} ̄:冂: ̄}!ニl
|-ニニニ|ニニ/| |ヽ.ハニl
/ニニニニ|ニ< ハ,ハ l-|ニl
. /ニニニニ/ニ〈 l:::::::l |ニ|ニl
. /ニニニニ/ニニ∧/::::::::レ()-|ニl
- 149 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:24:22.70 ID:ZWtiMOHx0
- 【紀元368年8月 前燕 首都 鄴】
__
∫ι__________/丁了
丿;;;;;;;::::::::::::::::::::::::::. ,.,.,.,.,.,.,.,.,.,.ヾ.ヽ.
ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::::::::::: ,.,.,.,,.,.,.;; .ヾヽ
.ヘ. ..ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;;::;:::::::::::::::::::::::::::: ::::,.,.,.,.,.,. ヾ.ゝヘ
ゝ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::::::::: :::::::::,.,:::::::λヘ
ヘ ,,__ノヾ ~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~ゞ,ノヘ
ゞ;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;ノゞゞ
U/⌒ヽU/⌒ヽU/⌒ヽU/⌒...U/⌒ヽU/⌒ヽU/⌒..U三|
U三三,U,,三三U三三,U三三U,三三U,三三U三三U/|
_ ├┼┼┼┼┐___┌┼┼┼┐ ___┌┼┼┼┼┤/|_
‖ミミ│ /,,;;;;;;;; /]ミ;;,, /,,;;;;;;;;;/]ミ;;,, .. │ミミ‖
┌凹凹凹凹凹凹凹凹凹___.凹凹凹凹凹 ___ 凹凹凹凹凹凹凹凹凹凹凹┐
ミミミミミミミミミミミミミミミミミミミ/,,;;;;;;;;;/]ミミミミミミミミミミ/,,;;;;;;;;;/]ミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミミ
┌凹凹凹凹________凹凹凹凹凹凹凹凹凹凹________ 凹凹凹凹凹┐
. . 彳/三三三三三三彳/.|ミミミミミミミミミミミミミミミミミミ彳/三三三三三三彳./|ミミミミミミミミミミミ
. 彳/三三三三三三彳/.. |ミミミミミミミミミミミミミミミミ彳/三三三三三三彳/ |ミミミミミミミミミミミ
. 彳/三三三三三三彳/ .. |ミミミミミミミミミミミミミミ彳/三三三三三三彳/ . |ミミミミミミミミミミミ
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 続いて紹介するのは、内政面での話である
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 150 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:29:03.97 ID:ZWtiMOHx0
-
, --──-、
, イ / ヘ ト 、
i !ー、〉 __ j j __〉-ノ i
ヾ_,,;;》 `-"::: `-"l_.ジ
| ヽ ' _ ` イ
l l ´=` l 現在、王公貴戚の多くが民を占有して蔭戸としています。
ノ ヽ _,、__ノ
_, 、 -― ''"::l:::::::\ー-..,ノ,、.゙,i 、 国家の戸口が私家に入って減少すれば、
/;;;;;;::゙:':、::::::::::::|_:::;、>、_ l|||||゙!:゙、-、_ 倉庫は空となって財源の不足を招くでしょう
丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::/:::::::\゙'' ゙||i l\>::::゙'ー、
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::\::::::::::\ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::\:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::\:::::゙、|||:::/::::::::::|:::
.,Å、
r-‐i'''''''''''i''-'‐-、
.o| o! .o i o !o
|\___|`‐´ `‐´|___/.|
|_____________|
えーと、つまり…… |l l u. 、 ヽ
.ljハ /〃暐ヽ ヽ} | │ ',
うちの一族や士大夫たちが、 l∧!イハ 从|\j |、 ハ
国の財源を掠めて私腹を肥やしていると? .ハ..ノ● V ● ! |ノ ヽ \
リ ⊃ 、_,、_,⊂⊃ .ト、 ヽ ヽ
どうしてそうなったのかしら? /"./⌒l、 __ イ{. Vl } }
. \ /  ̄/:::Y Y:::::!. ヽヘ { {
ノ |. l::::::∨:::::ノ. }::::\.\丶、
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー 太和三年(三六八年)八月。
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 前燕尚書左僕射の悦綰が皇帝慕容暐に進言を行った。
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .進言の内容は、
`ヘ:ゝ .' 小/ 西晋以来問題となっていた民の私有化の是正である
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 151 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:29:41.54 ID:ZWtiMOHx0
-
, --──-、
, イ / ヘ ト 、
i !ー、〉 __ j j __〉-ノ i
ヾ_,,;;》 `-"::: `-"l_.ジ
| ヽ ' _ ` イ 太宰、太原王の政治は寛容を重んじていました。
l l ´=` l
ノ ヽ _,、__ノ それが、百姓が多く隠附される状況を招いたのでしょう。
_, 、 -― ''"::l:::::::\ー-..,ノ,、.゙,i 、
/;;;;;;::゙:':、::::::::::::|_:::;、>、_ l|||||゙!:゙、-、_ .ここで今一度法令を明らかにして、四海を清めるべきと考えます
丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::/:::::::\゙'' ゙||i l\>::::゙'ー、
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::\::::::::::\ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::\:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::\:::::゙、|||:::/::::::::::|:::
.,Å、
r-‐i'''''''''''i''-'‐-、
.o| o! .o i o !o
|\___|`‐´ `‐´|___/.|
|_____________|
|l l /〃 ヽ ヽ} | 、 ヽ
ljハ !イハ暐从\j │ ',
なるほど。 .l∧}● V ● ! し.|、 ハ
ハ.ノ⊃ 、_,、_, ⊂⊃ .|ノ ヽ \
すぐに実行に移しましょう /⌒ヽ_.リ人 ゝ._) ./" ./⌒i ヽ ヽ
\ //" >,、 __ イ{. ヘ /! } }
. / \ (::::::::Y Y:::::.!| `´/ヘ { {
ヽ/ノ ):::::::∨:::::ノ. ヾ..ノ.::::::\\丶
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 慕容暐はこれを受け入れた
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 152 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:31:39.38 ID:ZWtiMOHx0
-
, --──-、
, イ / ヘ ト 、
i !ー、〉 __ j j __〉-ノ i
ヾ_,,;;》 `-"::: `-"l_.ジ
| ヽ ' _ ` イ
l l ´=` l 蔭戸の問題について、陛下のお許しを得ました。
ノ ヽ _,、__ノ
_, 、 -― ''"::l:::::::\ー-..,ノ,、.゙,i 、 .太傅にもよろしく御協力の程を
/;;;;;;::゙:':、::::::::::::|_:::;、>、_ l|||||゙!:゙、-、_
丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::/:::::::\゙'' ゙||i l\>::::゙'ー、
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::\::::::::::\ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::\:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::\:::::゙、|||:::/::::::::::|:::
-‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
./ u. \
|l l /〃評ヽ ヽ} | 、 ヽ
ljハ !イハ 从\j │ ',
l∧}○ V ○ ! |、 ハ
も、勿論協力するわよ .ハ.ノ⊃ 、_,、_, ⊂⊃ .|ノ ヽ \
/⌒ヽ_.リ人 ゝ._) ./". /⌒i ヽ ヽ
\ //" >,、 __ イ{. ヘ /! } }
. / \ (::::::::Y Y:::::.!| `´/ヘ { {
ヽ/ノ ):::::::∨:::::ノ. ヾ..ノ.::::::\\丶、
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 悦綰が制度を定めると、朝野は震駭した
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 153 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:33:19.25 ID:ZWtiMOHx0
-
, --──-、
, イ / ヘ ト 、
i !ー、〉 __ j j __〉-ノ i
ヾ_,,;;》 `-"::: `-"l_.ジ
| ヽ ' _ ` イ 陛下。
l l ´=` l
ノ ヽ _,、__ノ 先日の件なのですが、
_, 、 -― ''"::l:::::::\ー-..,ノ,、.゙,i 、 .戸籍を整理し直した所、二十万人以上を新たに編入できました
/;;;;;;::゙:':、::::::::::::|_:::;、>、_ l|||||゙!:゙、-、_
丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::/:::::::\゙'' ゙||i l\>::::゙'ー、
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::\::::::::::\ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::\:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::\:::::゙、|||:::/::::::::::|:::
.,Å、
r-‐i'''''''''''i''-'‐-、
.o| o! .o i o !o
|\___|`‐´ `‐´|___/.|
|_____________|
|l l /〃 ヽ ヽ} | 、 ヽ
ちょっと待って。 ljハ トkハ暐从斗j. | ',
l∧}● V ● ! |、 ハ
どれだけ不正行為が横行しているのよ? ハ.ノ⊃ 、_,、_, ⊂⊃ .|ノ ヽ \
/⌒ヽ_.リ人 ゝ._) ./". /⌒i ヽ ヽ
\ //" >,、 __ イ{. ヘ /! } }
. / \ (::::::::Y Y:::::.!| `´/ヘ { {
ヽ/ノ ):::::::∨:::::ノ. ヾ..ノ.::::::\\丶、
- 154 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:34:11.51 ID:ZWtiMOHx0
-
.,Å、
r-‐i'''''''''''i''-'‐-、
.o| o! .o i o !o
|\___|`‐´ `‐´|___/.|
|_____________|
/ / {/ 〃 ヽ ヽl l|
,' .│. リトk八暐ハイ} 人
. ん | ! ● V ●{ヘl どうなっているのかしら?
. // (| ⊂⊃ 、_,、_, ⊂!ハ
//. i⌒ヽ.\ ノゝ_/⌒)
{. { ヘ ∧ .} 、 __, イ \ヘ/
}. }. ∧`´ |.!:::::Y Y::::) / ヘ
//. /:::::ヾ_..ノ八:::::∨:::( 人/
-‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
/ \
|l l /〃 ヽ ヽ} | 、 ヽ
ljハ !イハ評从\j │ ',
l∧}○ V ○ ! |、 ハ
い、遺憾の意を表明させてもらうわ ハ.ノ⊃ 、_,、_, ⊂⊃ .|ノ ヽ \
/⌒ヽ_.リ人 ゝ._) ./" ./⌒i ヽ ヽ
\ //" >,、 __ イ{. ヘ /! } }
. / \ (::::::::Y Y:::::.!| `´/ヘ { {
ヽ/ノ ):::::::∨:::::ノ. ヾ..ノ.::::::\\丶
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 結果、二十余万人が解放された旨が『十六国春秋』『前燕録』にある
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 155 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:35:02.18 ID:ZWtiMOHx0
-
, --──-、
, イ / ヘ ト 、
i !ー、〉 __ j j __〉-ノ i
ヾ_,,;;》 `-"::: `-"l_.ジ
| ヽ ' _ ` イ
l l ´=` l
ノ ヽ _,、__ノ
_, 、 -― ''"::l:::::::\ー-..,ノ,、.゙,i 、
/;;;;;;::゙:':、::::::::::::|_:::;、>、_ l|||||゙!:゙、-、_
丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::/:::::::\゙'' ゙||i l\>::::゙'ー、
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::\::::::::::\ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::\:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::\:::::゙、|||:::/::::::::::|:::
-‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
/ )└\
|l l /〃 ヽ ヽ}⌒ 、. ヽ
ljハ トkハ評从斗j. | ',
l∧}@::::V:::::@ ! |、 ハ
ハ.ノ⊃ r‐‐v ⊂⊃ .|ノ ヽ \
/⌒ヽ_.リ人 ヽ ノ ./" ./⌒i ヽ ヽ
\ //" >,、 __ イ{. ヘ /! } }
. / \ (::::::::Y Y:::::.!| `´/ヘ { {
ヽ/ノ ):::::::∨:::::ノ. ヾ..ノ.::::::\\丶
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ 『晋書』『慕容暐載記』によれば、
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 慕容評は大いに不平な様子を見せたという。
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .話を見る限り、不正行為に励んでいたのは慕容評ばかりではなさそうだが
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 156 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:37:11.76 ID:ZWtiMOHx0
- 【紀元368年11月 前燕 首都 鄴】
__
∫ι__________/丁了
丿;;;;;;;::::::::::::::::::::::::::. ,.,.,.,.,.,.,.,.,.,.ヾ.ヽ.
ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::::::::::: ,.,.,.,,.,.,.;; .ヾヽ
.ヘ. ..ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;;::;:::::::::::::::::::::::::::: ::::,.,.,.,.,.,. ヾ.ゝヘ
ゝ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::::::::: :::::::::,.,:::::::λヘ
ヘ ,,__ノヾ ~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~ゞ,ノヘ
ゞ;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;ノゞゞ
U/⌒ヽU/⌒ヽU/⌒ヽU/⌒ γ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
U三三,U,,三三U三三,U三三| 悦綰殿が亡くなられたそうだ |
_ ├┼┼┼┼┐___┌┼┼┼.ヽ_______________乂
‖ミミ│ /,,;;;;;;;; /]ミ;;,, /,,;;;;;;;;;/]ミ;;,, .. │ミミ‖
┌凹凹凹凹凹凹凹凹凹___.凹凹凹凹凹 ___ 凹凹凹凹凹凹凹凹凹凹凹┐
ミミミミミミミミミミミミミミミミミミミ/,,;;;;;;;;;/]ミミミミミミミミミミ/,,;;;;;;;;γ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
┌凹凹凹凹________凹凹凹凹凹凹凹凹凹凹_| 慕容評の配下に殺されたのでは? |
. . 彳/三三三三三三彳/.|ミミミミミミミミミミミミミミミミミミ彳/三ヽ_________________乂
. 彳/三三三三三三彳/.. |ミミミミミミミミミミミミミミミミ彳/三三三三三三彳/ |ミミミミミミミミミミミ
. 彳/三三三三三三彳/ .. |ミミミミミミミミミミミミミミ彳/三三三三三三彳/ . |ミミミミミミミミミミミ
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー 十一月。
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 悦綰は病死したと『十六国春秋』『前燕録』と『資治通鑑』『晋紀』は記す。
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .一方、『晋書』『慕容暐載記』は、
`ヘ:ゝ .' 小/ 悦綰が賊に殺害されたとしている
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 157 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:39:06.64 ID:ZWtiMOHx0
-
/.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li、:.:.∧:.:.:.::ヽ.
: :: !.:.:. ||/--l/ |ノ--l:.: .:.lヾ、
: ::(|:.:.:.:| ‐‐ ‐-│::.:/ 悦綰殺害説は当時から信じられていたらしい。
Yヘ.:.:.:l _ _ /.:.ノ
\ヽ、 _ , イ!::/ .これより三十年以上後に、
/ ヽ{ ト、ヽ l: 南燕で戸籍調査を実施した際、担当官吏が悦綰が殺害されたと言及している
∧\ マ三ソ| \
./: : \\ ヾ-〃 _ !_____
l; : : : : \\」リ/ /
i: : : :::\::\i../ / _,.、‐''゛::::::::::::::)/,.:'´:::::::\/:::::::::::::::::\
;'´::::::::_、‐''ア゙/ /::::::::::::::/::::::::::_、<⌒:::\
`¨¨¨´ /::/ /:::::::::::::/:::::,,<::::::::::::::::::::::::\
. /:::::::l /::::::::::::::  ̄ ̄: |::::::::::::::::::::::::::::::::::.
/::::::::l :|:::::::::::::::::::::|:::::::::|:::::::::::::::::::::::\::::::|
/:::::::::l //|::::::::::::: | |八:::::::::::::::::::::::::::::::::::::\|
|::|:::::|l /T大:::::::''7Tナ‐-ミ::::::::::::::::::::::::::::|::::_>
あれ? .|::|:::::|: /し'f刈::::::/|/'Tケゥ+ミ:::::::::::::::::::: ∧ |:::::|
|∧:::|/:::込乂)人| 乂_ソ ノ::::::::::|/|/:::::::|:::::|
悦綰殿って殺されていたっけ? (⌒ |/|:::人::{:': , :':':':':': /:::::::::::::::::::::: /^|:::/
 ̄´ |::し-‐‐‐- u /:::|:::::::::::/|:/ /:/
まあ、この種の改革への風当たりは強いよね と ノ'´ ̄ ̄`丶、 \ ^7::::|::::::: / /
_;'´ \\ :|个 /^7:::::::/、 /
ノ__) xく\_j ./::::::/\\
{_______\ ___/^\\} /:::::://⌒.:.:\
〈 ,、‐‐' ┘ /::::::〈 ) \{_,/::::::/.:.:/ ̄ ̄^\
- 158 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:40:20.39 ID:ZWtiMOHx0
- 【紀元368年9月 前秦 首都 長安】
/:::::::::::::::::::: ′::::::::::::::::::::::::::::::::::.
′::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|::::::::: |::::::::::.
.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::: |::::::: ∧:::::::::.
::::::::::::::::::::::: |::::::://ノ:::::::/-‐:::::::::. 蒲阪を陥落させ、
|:::/ ::::::::::::::: |,ィぅう巧 ─ ´ィI笊〉 ::: | .苻柳を討ち取りました。
|/:::::::::::::::::::::|乂∨ソ ∨ソ:::::::::|
/::::::::::::|::::::::: | 、 .:::::::::| 陝城・上邽・安定についても同様に
.:::::::::::::::|::::::::: | /:::::::: |
人:::::::::::::|::::::::: | - - ..::::::::::::::|
._-=ニ二\:::::::И:::::从 )hs。 /::::::::|/:::√ /. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :``ヽ
/-=ニ二二- \~人:::::::::ヽ √:::::/:::::::/::::√ /. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 〃: : : : : : :: : : : : : ヽ
_ -=ニ二二二二二⌒^^\「 :{:::ィi〔::::ィi〔:::::ム __ ``ヽ. : : : : : : : : : : : : : : /〃: : : : :: :/:/: : : : :ト、|
/-=ニ二二二二二二/-=二 \ 乂⌒⌒二二=- 〉 /. : : : : : :/ : : ::/:/ /: : : :/.://.:.:.:.:.:.:.:.| !
/. : /: : : :/: : /:/ /: : / /ハ.:.:.:.:.:.:.:.:.|
/.:.:.:/.:.:.:.:./.:.イ ー--- /:./ /イハ.:.:.:.ハ.:.l
/.:.:.:/.:.:.:.:./.:.:.:.:l ┯┯z= ┏┯ .:.:./ V
 ̄/.:.:.:.:./.:.:.:.:. | Lりノ りノ レ'.
御苦労。 //.:.:.::/⌒ヽ::| u , |
/.::ハヽ ___ _ , ノ
もう戦もお前に任せて良さそうだな ,r─……┴‐- 、 「 __ノ /
!: : : : : : : : : : : : :\ 、 /
!: : : : : : : : : : : : : : :.\` ー r‐く.
ノ. : : : : : : : : : : : : : : : : .\ _」: : : l
/. :,. -─- 、: : : : : : : : : : : : 7: __」
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 慕容恪を失った前燕、国内に不安を抱える前秦
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 159 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:40:52.74 ID:ZWtiMOHx0
- 【紀元368年頃 晋 揚州 姑孰】
 ̄ ̄○ー、 { _,.-‐'´
項 `}_ } __/
葛陂 `ー-{ ノ 涂中
○ 新蔡 `ーr‐' ̄ ○ ,.--
○宛 ○安城 ○【新蔡国】 r―'´○寿春 ,「◎建康
【汝南国】 ,.----'´ ̄ ○東城 ./
○新息 _/ 【安豊郡】 歴陽 /●姑孰
`ー――、__/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ○安豊 ○合肥 ○__{
○新野 ○弋陽 |
○六安 横江○.|○牛渚
【弋陽郡】 .} ̄ー' ̄} |
ヽ ○樊城 ∧ ∧∧∧∧ `ーv'○東興 ./○于湖
 ̄○} i ∧∧ ∧∧∧∧∧∧ `ーr―'○"○蕪湖
襄陽`} `ヽ ∧∧∧∧∧∧ 濡須口○} 赭圻
} 'ー, ∧∧∧∧ r'
} 南新市ヽ_,_【江夏郡】 ∧∧∧∧∧∧ _ノ
|○石城 .○ ヽ○安陸 ∧∧∧∧ r―'
.|__ 石陽○ `ー-, ∧∧∧ 皖城○ _,.-‐'
.長坂○ | _____>-―‐、 ∧∧∧∧ |
○当陽 ヽ_ | ○| ○\_ |
.  ̄ ̄ヽ_ノ 夏口| 武昌 . ̄| ○尋陽 _r‐'´
___/ ヽ _/
. ̄7 'ー-、___イ
-― -―‐_ ○江陵 /
. ○楽郷__) _,.__ _r‐'○陸口
○'ー'´ ̄ | / γ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
公安 `ヽ r' | 去年は慕容部と苻堅の軍勢が荊州に侵入してきたが…… |
>'○巴丘 ヽ__________________________乂
/.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li、:.:.∧:.:.:.::ヽ.
: :: !.:.:. ||/--l/ |ノ--l:.: .:.lヾ、
: ::(|:.:.:.:| ‐‐ ‐-│::.:/
Yヘ.:.:.:l _ _ /.:.ノ これを見逃す桓温ではなかった
\ヽ、 _ , イ!::/
/ ヽ{ ト、ヽ l:
∧\ マ三ソ| \
./: : \\ ヾ-〃 _ !_____
l; : : : : \\」リ/ /
i: : : :::\::\i../ /
- 160 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:43:06.17 ID:ZWtiMOHx0
-
/::::::::::::::::::::::::::::::::ミi::::::::::::::::::::::::::::.
. ′::::::::::::::::::::::::::::::::Y::::::::::::::::::::::::::::ハ
i::::::::::::::::::::/::::::::::r=ぅ:::::::::::::_:::::::::::::i
_|:::::::::::::::::::::::::::_彡:/^7::::彡' ミ:::::::::
/r V::/:::::::::::::::::::::/j::j "" ミ::::ハ
. 八{ハ.V {::/::::::::::://:/ }:/ ′
ヽ ーi レ __彡 ' _./ _,,,...=ぇ |i /
込ト-r≧====x _r≦====x〃「 . ……今年はそんな余裕はなさそうだ
. ‘, 辷=-/// ̄ヽニ=-///j /
, `ー一' i `ー一' ′
. ∧ :.. ノ ∧
 ̄ ̄ ̄`7 iヽ _ 二....__ / ⌒ヽ ̄ ̄
. / .\へ こ二ヽ\ 〃 \ _ -- 、 ト、
/ `ヽ> _, \> 厂 ̄`> \ -= - ゝ ) ヽ
/ 〃 ' - く
,イ/ l_ ☆ -)/ 、ヽ
// ゞミミ三三ニヲ´ i 、ハ ム\ __
( ( /  ̄ ∠l_ l __i ト h` ー - 、>、
ー- ´/ ィ l i弋 l=\ム` l ムi )ハ
ー-t イ ir-t―, Vメ ,t―r-ァー ム Z ノ
//l N 弋_.ノ 弋_.ノリ i トハ
攻めるかい? i l N iム ' ,,l lNヽi
V, l iゝ lゝ - ィ l l'i l i
ヾl l il l r`j - 千 、 ji l il
,' ,'l lメ、 i´⌒y `,' ,'_ il
// r', ム ヽム⌒/ l lへ, ム
/イ { V ト ム/ /Vム/ l ム
_ ,/ / /l lヾヽ` -< X l i ヾ
晋 散騎侍郎 郗超
- 161 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:43:49.63 ID:ZWtiMOHx0
-
/::::::::::::::::::::::::::::::::ミi::::::::::::::::::::::::::::.
. ′::::::::::::::::::::::::::::::::Y::::::::::::::::::::::::::::ハ
i::::::::::::::::::::/::::::::::r=ぅ:::::::::::::_:::::::::::::i
_|:::::::::::::::::::::::::::_彡:/^7::::彡' ミ:::::::::
/r V::/:::::::::::::::::::::/j::j "" ミ::::ハ
. 八{ハ.V {::/::::::::::://:/ }:/ ′ 親父さんからは、
ヽ ーi レ __彡 ' _./ _,,,...=ぇ |i / 配下の軍勢を率いて黄河へ出たいと申し出があった。
込ト-r≧====x _r≦====x〃「
. ‘, 辷=-/// ̄ヽニ=-///j / 徐州の連中は勁悍だ。
, `ー一' i `ー一' ′
. ∧ :.. ノ ∧ 京口で酒が飲めるなら、兵を用いる事ができる
 ̄ ̄ ̄`7 iヽ _ 二....__ / ⌒ヽ ̄ ̄
. / .\へ こ二ヽ\ 〃 \
/ `ヽ> _, \> 厂 ̄`> \
/\ `ー―――― _ - ¨
. /. , 7 `¨¨¨¨¨¨ _ ¨¨¨ X 、
. / // _ - ¨ | , | Xー―
/_./ /\¨. i| |、. | ハ ト、 | X ,
′ //\.ハ. λ.| ′ |′ i|. X 、. X.′
ああ。 .| /'从X| i| | ノ 〉| \ X.,
|. 八ト、八| ,\| /イ. / λ ’
その件なんだけど、父から手紙が届いてね .」 イ i|.八 ′ / |八
. ,≧o。.___.ト、ハ > ` ´ < ハ | ,
/ニニニニニニ7 ´ |ニ ,  ̄ /ニ|. |从、′. ′
. /≧o。ニニニニlニニ∨.|ニ ′ ′ |. |ニ7. \
l `¨¨¨¨7ニ./ 八ニ.’ .′ニ| 八/ X
- 162 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:46:09.32 ID:ZWtiMOHx0
-
____
/ ヽ,
______________________/ }
/ / /
/ / /
/ / /
/ / /
/ / /
/ / /
/ / /
γ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
| 私は帥才に非ず、老病の身で軍旅に堪えられないので職を解いてほしいと |
ヽ________________________________乂
/ |l「 ,ィ=ヽ|/
/ 弋ゝ__ノリ
ー―――――――――――――――――――――――ヾ=一"
- 163 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:47:11.74 ID:ZWtiMOHx0
-
----
´ `
./ _____〃========= 、X
/≦´ ̄ ̄ ̄≧o。___ \
/ /. / ハ. ,イ / X\
イ ′ / ′ }/ j| / / 从ー‐ どうだろう?
/ / / ′| }/ 、 / \
/ /. 从i} |、 、_ // 大司馬が北府も統べてみては
′ , --ハ 八>-- ≦/ /
, / ハ Xヘ ′ {
/ , ≦/ / } X \ | |
/ 〈ニニ/ /. |ノ`¨¨Y | ゝ/´/////彡∧i‐-、
/ `¨/ /. { | | /////>≦_フ´゙゙‐-、∧
/////{::::::::::::::::ヽ=γ ̄>、
/////ゝ、ヽ:::::::::::::::ノ \::::::::::ヽ
,//// `  ̄ ̄ 〈⌒´i‐‐、´
γ⌒ヽ' ,, ヽ ノ i
i |i、`) 'ゝ二二二二7 ,
、` ヽ `‐-==- i
、ゝλ i
∨i 、 .<三ヽ ノ
∨ \‐‐ ´/////////
〉 \/////////,i
/ {` 、 \ 、` ヽ////,i
ゝ´:::::::∧、  ̄ ‐-,-ヽ-‐iヽ
´::/::::::::::://∧:. /‐-‐∨ i∧、
::/:::::::::::////∧ ∧:::::::::::∨i/∧`....、
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ この頃、北府軍の総帥は郗超の父親の郗愔だった。
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l }
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j 前年の太和二年(三六七年)に、
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .平北将軍・徐州刺史・都督徐兗青幽四州諸軍事となっていた
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 164 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:48:36.03 ID:ZWtiMOHx0
-
/.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li、:.:.∧:.:.:.::ヽ.
: :: !.:.:. ||/--l/ |ノ--l:.: .:.lヾ、
: ::(|:.:.:.:| ‐‐ ‐-│::.:/ .徐州・兗州の事情に通じていたために、
Yヘ.:.:.:l _ _ /.:.ノ 桓温の口添えで就任したと『晋書』『郗鑒伝』にある。
\ヽ、 _ , イ!::/
/ ヽ{ ト、ヽ l: 姉の夫の王羲之の影響を受けたのか、黄老の術を修めていたという
∧\ マ三ソ| \
./: : \\ ヾ-〃 _ !_____
l; : : : : \\」リ/ /
i: : : :::\::\i../ /
, --──-、
, イ / ヘ ト 、
i !ー、〉 __ j j __〉-ノ i
ヾ_,,;;》 `-"::: `-"l_.ジ
| ヽ ' _ ` イ
御紹介に預かった郗愔です。 .l l ´=` l
ノ ヽ _,、__ノ
桓温殿と共に王室を補佐し、園陵を修復したく思います _, 、 -― ''"::l:::::::\ー-..,ノ,、.゙,i 、
/;;;;;;::゙:':、::::::::::::|_:::;、>、_ l|||||゙!:゙、-、_
丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::/:::::::\゙'' ゙||i l\>::::゙'ー、
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::\::::::::::\ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::\:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::\:::::゙、|||:::/::::::::::|:::
- 165 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:50:17.29 ID:ZWtiMOHx0
- 【紀元368年頃 晋 揚州 姑孰】
----
´ `
./ _____〃========= 、X
/≦´ ̄ ̄ ̄≧o。___ \
/ /. / ハ. ,イ / X\
イ ′ / ′ }/ j| / / 从ー‐
/ / / ′| }/ 、 / \
/ /. 从i} |、 、_ //
′ , --ハ 八>-- ≦/ /
, / ハ Xヘ ′ {
/ , ≦/ / } X \ | | ゝ/´/////彡∧i‐-、
/ 〈ニニ/ /. |ノ`¨¨Y | /////>≦_フ´゙゙‐-、∧
/ `¨/ /. { | | /////{::::::::::::::::ヽ=γ ̄>、
/////ゝ、ヽ:::::::::::::::ノ \::::::::::ヽ
,//// `  ̄ ̄ 〈⌒´i‐‐、´
γ⌒ヽ' ,, ヽ ノ i
i |i、`) 'ゝ二二二二7 ,
、` ヽ `‐-==- i
、ゝλ i
親父さんによろしく伝えておいてくれよ ∨i 、 .<三ヽ ノ
∨ \‐‐ ´/////////
〉 \/////////,i
/ {` 、 \ 、` ヽ////,i
ゝ´:::::::∧、  ̄ ‐-,-ヽ-‐iヽ
´::/::::::::::://∧:. /‐-‐∨ i∧、
::/:::::::::::////∧ ∧:::::::::::∨i/∧`....、
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー ところが、『晋書』『郗鑒伝』はこう続ける。
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 桓温の北伐に際し、
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j 郗愔は配下を率いて河上へ出たいと要請した。
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/ 息子の郗超が計を用い、
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/ 将帥の才がなく、軍旅に堪えられないとして職を固辞して桓温へ譲った
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 166 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:52:01.19 ID:ZWtiMOHx0
-
/ _Λ_ / /Λ \
j ⌒)\> く / // `、 \
{∨ こニ 〉⌒/ // | | \\
Λ \ )/ "´ >'" | | \ヽ
/ \ \__ _ -- 」 「>''::| | | | | \
. / ゙'〜 _ ニ=- ''"´| :::::::::| _|_ | | |
/ / ー ''"二,,__|___ | | | \
. / /八 \::7癶芯fフア .八 A \
ノ / {/:::::\ \::^''冖''^「 / 从
\ /八ト\:::、:: \ | / / ヽ そうしよう。
`'<_ /八 /|/ .: | \
. /Τ"´ > ヽ ,.ア イ 八 /: : . | \ 父も喜ぶと思うよ
/ 八 \\ > < / / : : : : |ト \
. / \ \>-} / / Λ:: : : . 八 \ \ }
/ / .|\ ト\ / /ニニ\:: : . ゙、 \\ /
/ / /| | ハ j二ニ=-__ / ‖ニニニ/_:\ . ゙、 \ ./ /
/ / / {=| |ニ/ /二二ニニ- _′ ‖ニニ二{ ヾ::.\ ゙、\ \ /
. / / j Λ:| |/ /Λニニニ/ニニ| |二二/ ∨: :\ ゙、 \ )〉 ゙、
/ / 八 | | //ニV../ニニ=| |二/ }: : : \ \ Λ \
/ \ | /-=二く二二二八 | |: :| : | 〉 `''< _ \
/ \ | |::: ⌒\ ヽ | | |: :| : | Λ \  ̄
{( | ∨::: C } ` | | ,j :八 | `、 \`''〜---
丶 j .|::::::::: / | 八 // } j `、 ゙、
\ / {:: / |∨ :::.. /} / / `、 ゙、
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー 『晋書』『郗鑒伝』の郗超の伝には次のようにある。
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 郗愔は事を行う機会に暗く、
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j .桓温へ手紙を出して共に王室を助けて園陵を修復しようと持ち掛けた。
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/ 郗超は父の手紙を見るや破り捨てて別の手紙を書き、
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/ 老病で任に堪えられないので後方で養生したいという内容で桓温に渡した
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 167 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:54:22.30 ID:ZWtiMOHx0
-
-‐.... ̄ ̄...ヽ__
_ /:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.::.:.:.\
ノ:.:.:.:.:.::.:./}:.:./⌒~¨¨¨ヽ:.:.:.::.ヽ
/:.:.:.:.:.:从{ 从:{, -‐=ニミ、 ',.:.:..::.:i
/ィ:.:.:.:./_,ノ }! _____}:.:.:.::.:|
, - 、 |:.:.:./≦ ___r=ミ///////}¨込-‐、
i ', |/{:{,イ////// V/////ノ V/~} }
| i { }V/////  ̄ ̄ 〉y/
/⌒} } | i |  ̄ ̄ ヽ _ ノ ノ:\ __
___∠__|_/___.| ヽ r _ -‐ ─''7 }‐{: : : :∨_ -‐: : : : : : : :¨''
{}___, -‐''¨ ̄}__|.{ /ヽ \____ ,ノ ノ V: : : :∨.:.:.:.:.:: : : : : : : : : : :ヽ: : :
/ _,. ィ ヽ___/: : : :.\ ─ / /}: : : : :.∨.:.:.:.:.:: : : : : : : : : : }: : :
. / / i: : : : / : : ::.:.:.:.:.:/ヽ / ノ /: : : : : : ∨.:.:.:.:.:: : : : : : : : :.| : : : :
ヽ 、 ______|_/_: : : ::.:.:.:.:.:/ヽ_ `ー─'' ¨__,. < /: : : /⌒ヽV.:.:.:.:.:: : : : : : : : }: : : :
} }: : : ::.:.:.:./ >,__rニ_ |: : :./ |.:.:.:.:.\: : : : : : :i : : :/ : : :
{ , -‐──────': : : ::.:.:./ヽ ///∧ ./.l: :./ i |.:.:.:.:..:.:ヽ: : : : :.i : :/ : : : :
/:.ヽ __,.ノヽ: : : :/ \ .//// ', ./ |:./. i |.:.:.:.:.:.:: : : : : : : :i :/ : : : :.:.
/: :/} __,..-''  ̄{: : : / 〉: : | \/ 〉〈 ∨ |∧. i !.:.:.:.:: : : : : : : : :.i | : : :.:.:.:.:.
. /: : :| | \ 〉: :/ /: : :.| //,ハ |: :∧ ! |.:.:.: : : : : : : : : : i.| : :.:.:.:.:...
/: : : :| | /: :./ /: : : :| ////ハ |: : :∧ |: : : : : : : : : : : : :|.:.:.:.:...:.:.:.:..
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー 手紙を得た桓温は大いに喜んだ。
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } ただ、『晋書』『郗鑒伝』をそのまま信じると、
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j 桓温は自分で任命した郗愔を僅かな間に排除するという奇妙な話になる。
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/ 郗愔の転任に関しては、息子郗超の独断だったのかもしれない
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 168 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:56:28.68 ID:ZWtiMOHx0
- 【紀元369年春 晋 揚州 京口】
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
寿春 広陵 `ヽ
○ `´○ `ヽ
合肥 ,-、 ,-‐‐、 `i,
○ /´◎ ~ ● ヽ,-‐‐-、 _,、`ヽ,
,-,_, 、, /´建業 京口 ,、 `く,!~`=,-`
`ヽ‐´ i○姑孰 ~´‐,‐~=, ○ ヽ`ヽ,~!
,、,i`~○ ゚o (, {,_呉 ヽ,
皖○ _,| 牛渚 烏程○‐´~ ,--`
_,i‐´ ,-‐´
i´ ,=,‐-´,--、
【会稽国】
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
, --──-、
, イ / ヘ ト 、
i !ー、〉 __ j j __〉-ノ i
ヾ_,,;;》 `-"::: `-"l_.ジ
私を冠軍将軍・会稽国内史にして、後任は桓温殿が就任すると? | ヽ ' _ ` イ
l l ´=` l
まあ、元々藩鎮にいるのは好きじゃないし、 ノ ヽ _,、__ノ
会稽国は前任地でもあるから、悪い話ではないのか。 _, 、 -― ''"::l:::::::\ー-..,ノ,、.゙,i 、
/;;;;;;::゙:':、::::::::::::|_:::;、>、_ l|||||゙!:゙、-、_
天師道の教えを奉じて隠居暮らしを洒落込むとしよう .丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::/:::::::\゙'' ゙||i l\>::::゙'ー、
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::\::::::::::\ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::\:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::\:::::゙、|||:::/::::::::::|:::
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ 太和四年(三六九年)。
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l }
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j 郗愔は平北将軍等の職を解かれ、冠軍将軍・会稽国内史に任命された
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 169 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:57:35.38 ID:ZWtiMOHx0
- 【紀元369年春 晋 首都 建康】
/\___/ヽ
/'''''' '''''':::::::\
. |(●), 、(●)、.:|
| ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::| 殿下。
. | `-=ニ=- ' .:::::::|
\ `ニニ´ .:::::/ 大司馬がいよいよ北伐を
,,.....イ.ヽヽ、ニ__ ーーノ゙-、
: | '; \_____ ノ.| ヽ i
| \/゙(__)\,| i |
> ヽ. ハ | ||
γ:i:i乂:_」L二L」ム::::〃::r=ミヾ'
{i:i:>``::::/::::::::::∨{l|:::込イ:)ii}
У'"゚~ ̄"ヽ::::::::::人込,,_ニ彡′
/:/::::::::′::::::∨/:/:}:::}:::l:汽:`'..、
′::::::::::|:::::::}::::} ヽ:'::/::::'::::}:',ヽ:::::\
{:::|:::|::::::|:::l:::}ル| ∨:::/::::/:::} ,:::::::::',
从{xzミ、:ト、リzz|ミ 彡::/‖」_ }::::::::::}
l 杙ツ ヒ|ツ √:}::::: 〈(⌒_,ノ::::::: ノ
国運を賭けた戦になりそうですね | ハ" ' ""| .:{-イ:::‖:≧==-‐ ゛
| 沁、丶 ノイ:_{/::/::::::::}\
| />‐.rfvYV_Y ::::/:::/::∧、::\
{_/:/ :::://|/|/|∧//::/: ∧\::\
>‐…‐<__////。s≦'/| >``::::´::/、: : ∧ \::\
′::‐:/ \`寸:|マ ̄‖/:::::::_。s≦||/||:、: :∧ \:::\
l::'⌒/込_ \、\}::|__ヽ/:, ィ升=^|/|/||/||: :\∧ \:::\
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 桓温は全軍による北伐を上奏し、
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j 自身が平北将軍・徐兗二州刺史を兼任したと『晋書』『桓温伝』は記す
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 170 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:58:59.03 ID:ZWtiMOHx0
- 【紀元369年4月 晋 揚州 姑孰】
''';;';';;'';''';;';';;'';;''';;';';;'';;;,.,;''';;';';;'';;''';;';';;'';;;,.,'';;''';;';';;'';;;,''';;';';;'';''';;';';;'';;''';;'''';;';';;'';''';;';';;'';;''';;';';
';;';'';';''''';;';'';';''';;'';;;,.';'';';''''';;';'';';''';;'';;;,.';;';'';';''';''';;';'';';'''';;';'';';''''';;';'';';'';';''';''';;';'';';'''';;';'';';''''';;';'';';''';;
';;''';;';'';';;;''';;';'';';';;;'';;'';;;;'';';;;''';;';'';';';;;'';;'';;;'';;';'';';;;'''';';;;''';;';'';';';;;'';;'';;;'';;';'';';;;''';;';'';';';;''';;';'';';;;''';;';'';';';;;
;';';;'';;;;'';';';;'';;';'';';';;;'';;';';;'';';';;'';;;;'';';';;'';;';'';';';;;'';;'';;';';';;'';;';'';';';;;'';;'';;;;;';'';''';';';;';;'';';';;'';;;;'';';';;'';;';'';';';;;'';;'';
vymy vymyvvvymy vymyvvvymyvwymyvymyvyvymy vymyvvvymy vymyvvymyvy
MVvvMVvvMMVvvMvyvMVvvMvyMVvvMMVvvMVvvMMVvvMvyvMVvvMvyvMVvv、
Λ_ヘ^−^Λ_ヘ^−^Λ_ヘ^Λ_ヘΛ_ヘ^−^Λ_ヘ^−^Λ_ヘ^Λ_ヘΛ_ヘ^−^
ヘ__Λ ヘ__Λ ヘ__Λ ヘ__Λヘ__Λ ヘ_ヘ__Λ ヘ__Λ ヘ__Λ
__,/ヽ_ /ヽ__,.ヘ /ヽ__,.ヘ _,.ヘ ,.ヘ /__,/ヽ_ /ヽ__,.ヘ /ヽ__,.ヘ
/\___/ヽ /\___ /\___/ヽ _/ヽ /\___/ヽ /\___/ヽ
/'''''' '''''':::::::\/'''''' '''/'''''' '''''':::::::\ /'''''' '''''':::::::\/'''''' '''''':::::::\
. |(●), 、(●)、.:|(●), |(●), 、(●)、.:|、( |(●), 、(●)、.:|(●), 、(●)、.|
| ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::| ,,ノ(、_, )| ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::|_, )| ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::| ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::|
. | `-=ニ=- ' .:::::::| `-=ニ= | `-=ニ=- ' .:::::::|ニ=| `-=ニ=- '.....:::::::| `-=ニ=- ' :::::::|
\ `ニニ´ .:::::/\ `ニニ \ `ニニ´ .:::::/ニ´ \ `ニニ´ .:::::/\ `ニニ´.....:::::/
/`ー‐--‐‐―´\ /`ー‐- /`ー‐--‐‐―´\-‐‐ /`ー‐--‐‐―´\ /`ー‐--‐‐―´\
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ 四月。
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l }
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j 大司馬桓温を大将とする軍勢が
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .慕容暐討伐に向かったと『晋書』『海西公紀』にある
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 171 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 22:59:42.67 ID:ZWtiMOHx0
-
// / , '. /!ヽ
/ ハ ./ ./ l^ l '.
.' / {/ / l { !
l ' _ \ / { /j
/{ト. ヽ`、 ヽ' ──` ' / }
_ ィ7ィヶ- .__/_,ィハ \`′' r-ッ / /'
ィ彡7' , / /: :|ト. _`、'_. -`´─ィ7′
/ィ' .l/ ______/. : :/::V、 `> _ ィ' V l
彡ィl /´  ̄7/ : : :l:::rヘ>r.ィ´=:イ ト、!
//ハrく__ <'___ _: :l::::\7≧´:::::/ l.! \
'"fj l ヘ _ /'´ ヽ:::::77::::::::/ |l、 \
. : l | ト 、 \-_ハ 「 |:://::::/ヽ |.|丶、 `
: : V | `> 、ハ'.: : . j/'/´ |l = 'ノ \} /
晋 南中郎将 桓沖 , -‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
r===========r‐、: : \
|.―‐――‐―h‐l┤、 :ヽ
L二二二二二」.ニ|‐{ミi : : |
{/ /ゝ、ノイ ノl/ ― トl!: : :|
|l:/|/● ● ト、: :|
|/!:ll⊃ 、_,、_, ⊂⊃ノ: : |
/⌒ヽ__|ヘ ..イ:i : :/⌒i
. \ /:ノ从ヽ,、 __, イト:}ノ/ /
/ //ヾゝ八__/:.:.//ヘ、__∧
ヽ、.{ {:.:.:.|.|oi//:.:.:.:.{.{ ;_、_ ,'
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー 兵力は歩騎五万。
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 桓温の弟の南中郎将桓沖、
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j 寿春に駐屯していた西中郎将袁真。
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/ 蜀の反乱鎮圧で活躍した朱序らが付き従っていた
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 172 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:01:00.43 ID:ZWtiMOHx0
-
/: : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:::.:.:.:',
/: : : : : : : : : : : ::.:.:.:....:.:.:.:.:.:.:.:',
//: : : : : : : : : :.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.',
/|::!: : : : : : :./: :./}.:rヘ:.} ̄¨''ミ:.:..:}
|八: : : :|: /|: :/ .|:| .}:| ',:.:斥 おお、謝安殿。
|从: :|斗抃ト、|! /, -‐─X }
! {Y 艾テ / 艾テ ! / .久しぶりだな。
ヽ } i r‐'、
/.|ヘ 」 / .| 乂 あんたは従軍しないのかい?
イ | 、 ` ー─ イ | ' ,
, ’ | > _ イ/ ! ' ,
,イ | \ / . >、
..,ハ ! rそ厶 ′ ,ハ
/ . ' / ∨// \ / .
/⌒ :. :. :. :. :. :. :\
晋 秘書監 孫盛 / :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :.
. ,:. :.| :. /| :. :. :|\:.:.:.|: :. :.
|:. :.| :∧|:. :. :リ⌒∨:| :. :.|
| : ルf伉|/|/ィ伉 }: ト :. :|
先日弟が亡くなったのよ。 ∨ハ Vソ Vソリ: |ノ:. :|
ト 人'' _ ''厶:.|:. /:|
葬儀の手配があるから離れられないわ |/:《|:≧:.ァ‐z:._´:.|:.《X》 |
. ノ:. : |:.|:./ 不 い :|:. |:.|:.│
;. :. :.:|:.i// / ' V|:. |:.|:.│
. | :. :.人i〈__匕_,,} {.:.人|:.│
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ 百官は皆出発の際の宴に出席した。
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l }
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j なお、謝安は弟の謝万が死に、
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .その葬儀を執り行うために従軍しなかった
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 173 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:02:20.94 ID:ZWtiMOHx0
-
_________________ィ‐' ̄`ヽ
| |::::::::::::::::ヽ
| |::::::::::::::::::::\
| |:::::::::::::::::::::::::\
| |:::::::::::::f \::::::::}
| 推測も入りまーす |:::::::::::::| ゝ::::|
| |::::::::::::::ヽ ∨
| |ー:、::::::::::ヘ
| |::::::::::::::::::::::ヘ_
|_____________________ |:::::::::::::::::::::::::::::::::`丶、
\::::| |:::::::::ィ !{ ハ T tーr 、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、
` | |ー--レリル|rfiテ ヽl イテz rr----――― ' " ´
| | ヾN ゞソ ゞソ//
| | >:´|、 - ,|`:< 以下、『晋書』と『十六国春秋』から、
| | |::::::::| > イ |::::::::| 桓温の第三次北伐の経過を紹介していきたい
| | >-、\! !/::,-<
| | /´:::::::::::::{二{}二}´::::::::ゝ-、
| | l:::::,:-:::::::://::|ヽヽ::::::::::::::::::!
| | /‐'´::::::::,::V:::::!::∨::::::::::::::::::|
, ' ニ}く::/::::::::/:::::/|::::::::::::::::::::::::::|
| ーjヽ\::::::'"::/ヾ !::::::::::::::::::::::::::|
ヽニj } \:/ \ |:::::::::::::::::::::::::::|
〈:| |V }>、___..>!:::j::::::::::::::::|:::::|
|:!.|:\ ノ::L.. , __.!::::!::::::::::::::::!:::::|
|:!.|::::::`ー':::/ / |::::|:::::::::::::::::!:::::!
|:|_!:::::::::::::::/ / |:::::!::::::::::::::::|::::::|
|::::::::::::::::::/ / .!:::::!::::::::::::::::|::::::l
|::::::::::::::::/ / !:::::|::::::::::::::::|:::::::!
!:::::::::::/ / |::::::|::::::::::::::::|::::::::!
- 174 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:03:18.05 ID:ZWtiMOHx0
- 【紀元369年4月 晋 揚州 寿春】
∫ι__________ ./丁了
ヾー─ー─ー──ー──ー──ー─ー,ィ
||; |; |i |; |; |; |i |; |; |; |i | ||
||i |; |; |; |i |; |; |; |i |; |; | ||
弋┼i‐‐l!‐i!‐‐i──i‐‐l─i‐ l‐ l‐il┼‐ フ
弋ェェt┼┬┌───────┐ ,‐i┼t'ェ,ィフ
il_,└───────┘ , i!
| ̄ ̄|| | ̄ ̄|i | ̄ ̄|| | ̄ ̄|l
|| ̄ ̄| ̄ ̄l ̄ ̄| ̄ ̄! ̄ ̄| ̄ ̄| ̄||
l| ̄| ̄ ̄i ̄ ̄| ̄ ̄l ̄ ̄| ̄ ̄! ̄ ̄|l
| ̄ ̄|i | ̄ ̄|l | ̄ ̄|| || ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄i ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄|| | ̄ ̄|| | ̄ ̄|i | ̄ ̄||
 ̄| ̄`~|i ̄ ̄| ̄ ̄ ̄i ̄ ̄|゙ '' ̄i ̄ || ̄! ̄ ̄/  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ゙̄ヾ ̄| ̄ ̄.|i ̄| ̄`~|i ̄ ̄| ̄ ̄ ̄| ̄`~|i ̄ ̄| ̄ ̄
| ̄ ̄i ̄″| ̄ ̄|i  ̄ ̄| ̄ ̄i`~ ̄| ̄i| ̄ ̄| ̄|: : : : : : : : : : : : : : : | ̄ ̄| ̄|| ̄ ̄i ̄″| ̄ ̄|i ̄| ̄ ̄i ̄″| ̄ ̄|i ̄
| ̄i ̄ ̄| ̄ ̄i ̄~ ̄| ̄;゙|i ̄ ̄l  ̄ ̄|| ̄| ̄ ̄|: : : : : : : : : : : : : : : | ̄i ̄ ̄|| ̄i ̄ ̄| ̄ ̄i ̄~`| ̄i ̄ ̄| ̄ ̄i ̄~`ll`l
l ̄ ̄| ̄`~|i ̄″|  ̄ ̄i ̄ ̄| ̄ ̄i、 ;|| ̄ ̄| ̄|: : : : : : : : : : : : : : : | ̄ ̄| ̄|l ̄ ̄| ̄`~|i ̄″| ̄l ̄ ̄| ̄`~|i ̄″| ̄
| ̄| ̄ ̄i| ̄ ̄| ̄  ̄i ̄`~| ̄ヾl; ̄ ̄l| ̄| ̄ ̄|: : : : : : : : : : : : : : : | ̄| ̄ ̄|| ̄| ̄ ̄i| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄| ̄ ̄i| ̄ ̄| ̄ ̄
| ゙̄ ゙i ̄ ̄| ̄ヾ| ̄`.. ̄| ̄ ̄i ̄ ̄| ̄|| ̄ ̄| ̄|: : : : : : : : : : : : : : : | ̄ ̄! ̄|| ゙̄ ゙i ̄ ̄| ̄ヾi| ゙̄ ゙i ̄ ̄| ̄ヾi| ̄
| ̄i ̄ ̄| ̄ ̄i ̄ ̄ | ̄ ̄ | ̄!,, ̄ ̄i| ̄! ̄ ; :|: : : : : : : : : : : : : : : i ̄| ̄ ̄|| ̄i ̄ ̄| ̄ ̄i ̄ ̄| ̄i ̄ ̄| ̄ ̄i ̄ ̄ll
| ̄゛| ̄ ̄|i ̄ ̄| ̄| ̄~~i ̄ ̄| ̄ i; ̄|| ̄ ̄| ̄|: : : : : : : : : : : : : : : | ̄ ̄| ̄|| ̄゛| ̄ ̄|i ̄ ̄| ̄| ̄゛| ̄ ̄|i ̄ ̄| ̄___
''- .._ ~""''' ‐- ...,,__ _,,..-‐''~""''' ‐- ...,,___,,.-‐'
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 最初に、北伐開始から三ヶ月の間、桓温軍の動静は全く不明である
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 175 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:05:34.74 ID:ZWtiMOHx0
-
/::::::::::::::::::::::::::::::::ミi::::::::::::::::::::::::::::.
. ′::::::::::::::::::::::::::::::::Y::::::::::::::::::::::::::::ハ
i::::::::::::::::::::/::::::::::r=ぅ:::::::::::::_:::::::::::::i
_|:::::::::::::::::::::::::::_彡:/^7::::彡' ミ:::::::::
/r V::/:::::::::::::::::::::/j::j "" ミ::::ハ 袁真。
. 八{ハ.V {::/::::::::::://:/ }:/ ′
ヽ ーi レ __彡 ' _./ _,,,...=ぇ |i / .お前は豫州の諸郡県の平定に当たれ。
込ト-r≧====x _r≦====x〃「
. ‘, 辷=-/// ̄ヽニ=-///j / その間に俺たちは兗州へ出るつもりだ
, `ー一' i `ー一' ′
. ∧ :.. ノ ∧
 ̄ ̄ ̄`7 iヽ _ 二....__ / ⌒ヽ ̄ ̄
. / .\へ こ二ヽ\ 〃 \
/ `ヽ> _, \> 厂 ̄`> \
, -‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
r===========r‐、: : \
|.―‐――‐―h‐l┤、 :ヽ
L二二二二二」.ニ|‐{ミi : : |
{/ /ゝ、ノイ ノl/ ― トl!: : :|
|l:/|/● ● ト、: :|
お任せ下さいと袁真は命令に応じます |/!:ll⊃ 、_,、_, ⊂⊃ノ: : |
/⌒ヽ__|ヘ 丶_ノ ..イ:i : :/⌒i
. \ /:ノ从ヽ,、 __, イト:}ノ/ /
/ //ヾゝ八__/:.:.//ヘ、__∧
ヽ、.{ {:.:.:.|.|oi//:.:.:.:.{.{ ;_、_ ,'
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ ただ、『晋書』『桓温伝』によると、
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 西中郎将袁真はどこかの段階で譙・梁の平定に派遣されたとある。
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .恐らく、桓温は袁真が豫州を平定するのを待っていたと思われる
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 176 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:06:49.99 ID:ZWtiMOHx0
-
○壺関 ト、_ ◎鄴 〉
并 州 | ``ヽ、_ 【魏郡】 ,/
○長子 / ``ヽ、 内黄 _,/ 〇
`‐-、 _,,ノ′ 蕩陰× `, ○ _,,,-‐´ 東武陽
l 「 【汲郡】 ,' / ○ 【東平国】
,! 【上党郡】 l 枋頭 /黎陽/ 頓丘 【東郡】
( 〉 黄橋〇 ○ i´ ○/河 ○鄄城
`ヽ、 / ヽ/ ○ ○濮陽 〇廩丘 【山陽郡】
`ヽ、 _,,,,,,-‐'′ 【河内郡】 / 白馬
`‐-‐´ ,-‐'´○東燕 昌邑
司 ○野王 隷 _,-‐'i´ ○延津 【済陰郡】 ○ ○
,_ 河橋 温 ○懐_,,,-‐'´黄 `-、 定陶
```‐-,, _○ ○ _,,,-一'´ ×官渡 ○封丘 兗 州
 ̄`゙~~~´ ○滎陽 石門○!倉垣 【陳留国】 ,-、
○洛陽 【滎陽郡】 ○ `○、 陳留 ○外黄 / / _,,,_ ●湖陸
○ 【河南尹】 中牟 / ○ / (_,/ `ヽ
河南 _,,..-‐- 、,_ ,,-一´ ○雍丘 ,,-‐′○蒙城
○ ('´ ○輪氏 `、 ,/ ヽ 【梁国】
新城 ``'''‐-、,,_ `‐-‐'''´´ `~~`ヽ、 ,,_○圉_,,-‐′
梁○ _,,) 〇陽翟 ×洧倉.--′`´○陽夏 蕭
,,,_ ,ィ´【襄城郡】 ○許昌 【陳郡】 ○
,/ `~´ ヽ ○ 【潁川郡】 譙
,/ 魯陽 ) 襄城 ○寧平 ○ 【沛国】
,,/ ○ ``'''i 豫 州 ○陳
ゝ,
荊 州 )
【南陽郡】 / 南頓
〇宛 ○ ○項
/.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li、:.:.∧:.:.:.::ヽ.
: :: !.:.:. ||/--l/ |ノ--l:.: .:.lヾ、
: ::(|:.:.:.:| ‐‐ ‐-│::.:/
Yヘ.:.:.:l _ _ /.:.ノ 七月に入って、桓温軍本隊は兗州南東の湖陸に進軍
\ヽ、 _ , イ!::/
/ ヽ{ ト、ヽ l:
∧\ マ三ソ| \
./: : \\ ヾ-〃 _ !_____
l; : : : : \\」リ/ /
i: : : :::\::\i../ /
- 177 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:08:39.89 ID:ZWtiMOHx0
- 【紀元369年7月 前燕 兗州 湖陸】
ヽ, / ̄ヽ ィzztzzy'iミz
≧ / /7_ | _r'Yi|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i
で は. 朱 お l . 〈/7/ Wi|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i
す や . | | i 〈/ li|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|
| く 序 .| | | rっ,ィ7 li|i|i|il/`ヾ i|i|i/`
| も .| | ヽ <_/ッ/i|iイ i|l __ ̄ , -‐
| .敵 .将 .っ | rー\_ノ`il| i|_||li_zzy、`´ ,ィz
っ の と ≧-─zュ、_.ィ<___ , ヾ爻yt升
!!将 軍!! ///// 〈 ( ___ 〈__,:j.ィzt7l
を ///// y(___ ノi|{ー‐‖j
捕 ! .////〈 { `ー-r' 、`  ̄ / ,
縛 ./////∧_, イl|ヽ 〈、 ヽ _/_/
/////////////l {⌒ }\⌒ヽr' -イ
_____ 、〈///////////// ヽ ノ . ->r_{r'¨ヽ
`ヽ////////////\イ < /小、>
-‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
/ \
|l l /〃 ヽ ヽ} | 、 ヽ
ljハ !イハ忠从\j │ ',
l∧}× V × ! |、 ハ
ハ.ノ⊃ 、_,、_, ⊂⊃ .|ノ ヽ \
/⌒ヽ_.リ人 ゝ._) ./" ./⌒i ヽ ヽ
\ //" >,、 __ イ{. ヘ /! } }
. 三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 前燕の慕容忠の軍勢を攻め、彼を捕虜にしている
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 178 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:09:20.93 ID:ZWtiMOHx0
-
○壺関 ト、_ ◎鄴 〉
并 州 | ``ヽ、_ 【魏郡】 ,/
○長子 / ``ヽ、 内黄 _,/ 〇
`‐-、 _,,ノ′ 蕩陰× `, ○ _,,,-‐´ 東武陽
l 「 【汲郡】 ,' / ○ 【東平国】
,! 【上党郡】 l 枋頭 /黎陽/ 頓丘 【東郡】
( 〉 黄橋〇 ○ i´ ○/河 ○鄄城
`ヽ、 / ヽ/ ○ ○濮陽 〇廩丘
`ヽ、 _,,,,,,-‐'′ 【河内郡】 / 白馬 【山陽郡】
`‐-‐´ ,-‐'´○東燕 昌邑 ●金郷
司 ○野王 隷 _,-‐'i´ ○延津 【済陰郡】 ○ ○
,_ 河橋 温 ○懐_,,,-‐'´黄 `-、 定陶
```‐-,, _○ ○ _,,,-一'´ ×官渡 ○封丘 兗 州
 ̄`゙~~~´ ○滎陽 石門○!倉垣 【陳留国】 ,-、
○洛陽 【滎陽郡】 .○ `○、 陳留 ○外黄 / / _,,,_ ●湖陸
○ 【河南尹】 中牟 / ○ / (_,/ `ヽ
河南 _,,..-‐- 、,_ ,,-一´ ○雍丘 ,,-‐′○蒙城
○ ('´ ○輪氏 `、 ,/ ヽ 【梁国】
新城 ``'''‐-、,,_ `‐-‐'''´´ `~~`ヽ、 ,,_○圉_,,-‐′
梁○ _,,) 〇陽翟 ×洧倉.--′`´○陽夏 蕭
,,,_ ,ィ´【襄城郡】 ○許昌 【陳郡】 ○
,/ `~´ ヽ ○ 【潁川郡】 譙
,/ 魯陽 ) 襄城 ○寧平 ○ 【沛国】
,,/ ○ ``'''i 豫 州 ○陳
ゝ,
荊 州 )
【南陽郡】 / 南頓
〇宛 ○ ○項
/.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li、:.:.∧:.:.:.::ヽ.
: :: !.:.:. ||/--l/ |ノ--l:.: .:.lヾ、
: ::(|:.:.:.:| ‐‐ ‐-│::.:/
Yヘ.:.:.:l _ _ /.:.ノ 続いて金郷へ北上
\ヽ、 _ , イ!::/
/ ヽ{ ト、ヽ l:
∧\ マ三ソ| \
./: : \\ ヾ-〃 _ !_____
l; : : : : \\」リ/ /
i: : : :::\::\i../ /
- 179 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:11:00.36 ID:ZWtiMOHx0
- 【紀元369年7月 前燕 兗州 金郷】
.:.:.... ... ┌へ、
_,/.::/.:::::;>‐''゙ ̄ ̄ハ . ‐''゙ ̄ ̄ハ .r─r--::;:-.:.、_::
_/`yヽ√\ヘヘ:/ ..:::. ...::/ ,::',ノ.::.:::':::.:.:..;;.;;:;::.:./.::、:/´ ̄`\:-:ー:┴- -─'゙7´ ̄ ̄ハ─
─'ー─´ー─----‐'ー-─'´ー-==;;:;'__,:::".::;';:.:;:べ、___,,/ ̄`ヾ;:::.:..:;.:...::.:::;:.:/ /.:: .::./....::/ ,::'.ソ;:::::::::;;;;
rュ、. . . . . ..。. . .. .^
^ 。 ゚ . . ' : '', . ' : '', ; ' ' ; ' ' ; . . ; . ; ' :
. . ' : ' , ; ' , ; ' ' ' ; . . ' :
::;__;; ^ . :. . :. ; ; . ; __' : ; ~
:.......∠二ヽ.... . ゚ . ' ' , . ' ' , . . ' . ' /ヽ _ /ヽ ' ' ;
^ 。 ゚ . . ' : '', ; '' : '', ; ' ' ; ' ; . / ..:::'l ::.: .:.::\ ' :
. . ' : ' , ; ' , ; ' ' ' "'"''"'  ̄ "''"''" . ' :
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 『晋書』『桓温伝』によると、
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j この年は亢旱、日照りが続いていたため、金郷で水道が不通になっていた
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 180 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:13:21.94 ID:ZWtiMOHx0
-
/\___/ヽ
/'''''' '''''':::::::\
. |(●), 、(●)、.:|
| ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::| 物見の報告によれば、
. | `-=ニ=- ' .:::::::| ここから北西に行った鉅野に清水という川があります。
\ `ニニ´ .:::::/
,,.....イ.ヽヽ、ニ__ ーーノ゙-、 .その川から黄河へ出られるとの事
: | '; \_____ ノ.| ヽ i
| \/゙(__)\,| i |
> ヽ. ハ | ||
/::::::::::::::::::::::::::::::::ミi::::::::::::::::::::::::::::.
. ′::::::::::::::::::::::::::::::::Y::::::::::::::::::::::::::::ハ
i::::::::::::::::::::/::::::::::r=ぅ:::::::::::::_:::::::::::::i
_|:::::::::::::::::::::::::::_彡:/^7::::彡' ミ:::::::::
/r V::/:::::::::::::::::::::/j::j "" ミ::::ハ
仕方がない。 . 八{ハ.V {::/::::::::::://:/ }:/ ′
ヽ ーi レ __彡 ' _./ _,,,...=ぇ |i /
鉅野まで運河を掘り進めるか .込ト-r≧====x _r≦====x〃「
. ‘, 辷=-/// ̄ヽニ=-///j /
, `ー一' i `ー一' ′
. ∧ :.. ノ ∧
 ̄ ̄ ̄`7 iヽ _ 二....__ / ⌒ヽ ̄ ̄
. / .\へ こ二ヽ\ 〃 \
/ `ヽ> _, \> 厂 ̄`> \
- 181 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:14:07.11 ID:ZWtiMOHx0
-
○壺関 ト、_ ◎鄴 〉
并 州 | ``ヽ、_ 【魏郡】 ,/
○長子 / ``ヽ、 内黄 _,/ 〇
`‐-、 _,,ノ′ 蕩陰× `, ○ _,,,-‐´ 東武陽
l 「 【汲郡】 ,' / ○ 【東平国】
,! 【上党郡】 l 枋頭 /黎陽/ 頓丘 【東郡】
( 〉 黄橋〇 ○ i´ ○/河 ○鄄城
`ヽ、 / ヽ/ ○ ○濮陽 〇廩丘 ●鉅野
`ヽ、 _,,,,,,-‐'′ 【河内郡】 / 白馬 【山陽郡】
`‐-‐´ ,-‐'´○東燕 昌邑 ●金郷
司 ○野王 隷 _,-‐'i´ ○延津 【済陰郡】 ○ ○
,_ 河橋 温 ○懐_,,,-‐'´黄 `-、 定陶
```‐-,, _○ ○ _,,,-一'´ ×官渡 ○封丘 兗 州
 ̄`゙~~~´ ○滎陽 石門○!倉垣 【陳留国】 ,-、
○洛陽 【滎陽郡】 .○ `○、 陳留 ○外黄 / / _,,,_ ●湖陸
○ 【河南尹】 中牟 / ○ / (_,/ `ヽ
河南 _,,..-‐- 、,_ .,,-一´ ○雍丘 ,,-‐′○蒙城
○ ('´ ○輪氏 `、 ,/ ヽ 【梁国】
新城 ``'''‐-、,,_ `‐-‐'''´´ `~~`ヽ、 ,,_○圉_,,-‐′
梁○ _,,) 〇陽翟 ×洧倉.--′`´○陽夏 蕭
,,,_ ,ィ´【襄城郡】 ○許昌 【陳郡】 ○
,/ `~´ ヽ ○ 【潁川郡】 譙
,/ 魯陽 ) 襄城 ○寧平 ○ 【沛国】
,,/ ○ ``'''i 豫 州 ○陳
ゝ,
荊 州 )
【南陽郡】 / 南頓
〇宛 ○ ○項
/.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li、:.:.∧:.:.:.::ヽ.
: :: !.:.:. ||/--l/ |ノ--l:.: .:.lヾ、
: ::(|:.:.:.:| ‐‐ ‐-│::.:/ そこで金郷から鉅野までの
Yヘ.:.:.:l _ _ /.:.ノ 三百余里を掘削して舟運を通した。
\ヽ、 _ , イ!::/
/ ヽ{ ト、ヽ l: 鉅野からは同地を流れる清水を下って黄河へ出る算段だった
∧\ マ三ソ| \
./: : \\ ヾ-〃 _ !_____
l; : : : : \\」リ/ /
i: : : :::\::\i../ /
- 182 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:15:02.18 ID:ZWtiMOHx0
- 【紀元369年7月 前燕 兗州 金郷】
-= - ゝ ) ヽ
/ 〃 ' - く
,イ/ l_ ☆ -)/ 、ヽ
// ゞミミ三三ニヲ´ i 、ハ ム\ _
( ( /  ̄ ∠l_ l __i ト h` ー - .清水から黄河へ入る通運には理がない。
ー- ´/ ィ l i弋 l=\ム` l ムi
ー-t イ ir-t―, Vメ ,t―r-ァー ム もし、賊と戦わなくても、
//l N 弋_.ノ 弋_.ノリ i トハ 道に難所があれば、それによって物資が不足する危険がある
i l N iム ' ,,l lNヽi
V, l iゝ lゝ - ィ l l'i l i
ヾl l il l r`j - 千 、 ji l il
,' ,'l lメ、 i´⌒y `,' ,'_ il /::::::::::::::::::::::::`ヽ
// r', ム ヽム⌒/ l lへ, ム /〃〃:::::::::::::::::::::::::::` 、
/イ { V ト ム/ /Vム/ l ム /:::::::::::::::/.ィ//:/"´``ヾ`ヽ
i:::::::::: //// /// ミ:::::::',
i|::::::, /// / ハ ミ:::::::',
从:j// 乂、、,,,,,,ノ _,,,,,、彡⌒ Y:::/
乂:::{_仁三三三}⌒{三三三气_}::{
/⌒YV三三三/ ∨三三三jY'^ヽ
{ {⌒j `ー─</ 、`ー─< } し'}
何か策があるのか? \`ハ ヾ.:.::ノ ハ. /
`ー:. _____ //
/ヽ ´ _,, ` イリ
/ ̄ ̄`ヽ /ヘ:\
圭二二ニ=─-、_)、_____/ ∨::\、
/, ′/´ ̄ ̄`ヽ 八 / ',::::::∧`:::...、、
_ .. ´.::/ , -―- 、__ソ /二∧ j!:::::: ∧:::::.:.:.:` . . 、
. : :.:.::::/ / , -―- 、__ソ'///∧ ハ:::::::::∧:::::.:.:.:. . . . .
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } この時期に郗超が桓温へ進言した事が『晋書』『郗鑒伝』にある
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 183 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:16:40.34 ID:ZWtiMOHx0
-
/\ `ー―――― _ - ¨
. /. , 7 `¨¨¨¨¨¨ _ ¨¨¨ X 、
. / // _ - ¨ | , | Xー― 今は盛夏だ。
/_./ /\¨. i| |、. | ハ ト、 | X ,
′ //\.ハ. λ.| ′ |′ i|. X 、. X.′ 全力で鄴を突けば、
| /'从X| i| | ノ 〉| \ X., .大司馬の威略の前に賊は幽州へ逃げるに違いない。
|. 八ト、八| ,\| /イ. / λ ’
. 」 イ i|.八 ′ / |八 もし、決戦になっても短い間で平定できるだろう
. ,≧o。.___.ト、ハ > ` ´ < ハ | ,
/ニニニニニニ7 ´ |ニ ,  ̄ /ニ|. |从、′. ′
. /≧o。ニニニニlニニ∨.|ニ ′ ′ |. |ニ7. \ ./::::::::::::::::::::::::`ヽ
l `¨¨¨¨7ニ./ 八ニ.’ .′ニ| 八/ /〃〃:::::::::::::::::::::::::::` 、
/:::::::::::::::/.ィ//:/"´``ヾ`ヽ
i:::::::::: //// /// ミ:::::::',
i|::::::, /// / ハ ミ:::::::',
从:j// 乂、、,,,,,,ノ _,,,,,、彡⌒ Y:::/
乂:::{_仁三三三}⌒{三三三气_}::{
/⌒YV三三三/ ∨三三三jY'^ヽ
{ {⌒j `ー─</ 、`ー─< } し'}
\`ハ ヾ.:.::ノ ハ. /
`ー:. _____ //
/ヽ ´ _,, ` イリ
/ ̄ ̄`ヽ /ヘ:\
圭二二ニ=─-、_)、_____/ ∨::\、
/, ′/´ ̄ ̄`ヽ 八 / ',::::::∧`:::...、、
_ .. ´.::/ , -―- 、__ソ /二∧ j!:::::: ∧:::::.:.:.:` . . 、
. : :.:.::::/ / , -―- 、__ソ'///∧ ハ:::::::::∧:::::.:.:.:. . . . .
- 184 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:17:13.99 ID:ZWtiMOHx0
-
/\ `ー―――― _ - ¨
. /. , 7 `¨¨¨¨¨¨ _ ¨¨¨ X 、
. / // _ - ¨ | , | Xー― 鄴を維持したいのなら功とするのは難しい。
/_./ /\¨. i| |、. | ハ ト、 | X ,
′ //\.ハ. λ.| ′ |′ i|. X 、. X.′ 百姓を移住させて全て官有にすれば、
| /'从X| i| | ノ 〉| \ X., 易水以南は互いに命令を請うようになる
|. 八ト、八| ,\| /イ. / λ ’
. 」 イ i|.八 ′ / |八 .ただし、これは軽々しく決めるには不安だから慎重に
. ,≧o。.___.ト、ハ > ` ´ < ハ | ,
/ニニニニニニ7 ´ |ニ ,  ̄ /ニ|. |从、′. ′
. /≧o。ニニニニlニニ∨.|ニ ′ ′ |. |ニ7. \ ./::::::::::::::::::::::::`ヽ
l `¨¨¨¨7ニ./ 八ニ.’ .′ニ| 八/ /〃〃:::::::::::::::::::::::::::` 、
/:::::::::::::::/.ィ//:/"´``ヾ`ヽ
i:::::::::: //// /// ミ:::::::',
i|::::::, /// / ハ ミ:::::::',
从:j// 乂、、,,,,,,ノ _,,,,,、彡⌒ Y:::/
乂:::{_仁三三三}⌒{三三三气_}::{
/⌒YV三三三/ ∨三三三jY'^ヽ
{ {⌒j `ー─</ 、`ー─< } し'}
\`ハ ヾ.:.::ノ ハ. /
`ー:. _____ //
/ヽ ´ _,, ` イリ
/ ̄ ̄`ヽ /ヘ:\
圭二二ニ=─-、_)、_____/ ∨::\、
/, ′/´ ̄ ̄`ヽ 八 / ',::::::∧`:::...、、
_ .. ´.::/ , -―- 、__ソ /二∧ j!:::::: ∧:::::.:.:.:` . . 、
. : :.:.::::/ / , -―- 、__ソ'///∧ ハ:::::::::∧:::::.:.:.:. . . . .
- 185 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:18:34.35 ID:ZWtiMOHx0
-
----
´ `
./ _____〃========= 、X
/≦´ ̄ ̄ ̄≧o。___ \
/ /. / ハ. ,イ / X\
イ ′ / ′ }/ j| / / 从ー‐ この計に従わないのなら、
/ / / ′| }/ 、 / \ 軍勢を黄河の向こうに駐屯させ、兵站を確保して充足させよう。
./ /. 从i} |、 、_ //
′ , --ハ 八>-- ≦/ / 時間はかかるだろうけど、来年の夏が来るまでには勝てるはず
, / ハ Xヘ ′ {
/ , ≦/ / } X \ | |
/ 〈ニニ/ /. |ノ`¨¨Y |
`¨/ /. { | | /::::::::::::::::::::::::`ヽ
/〃〃:::::::::::::::::::::::::::` 、
/:::::::::::::::/.ィ//:/"´``ヾ`ヽ
i:::::::::: //// /// ミ:::::::',
i|::::::, /// / ハ ミ:::::::',
从:j// 乂、、,,,,,,ノ _,,,,,、彡⌒ Y:::/
乂:::{_仁三三三}⌒{三三三气_}::{
/⌒YV三三三/ ∨三三三jY'^ヽ
{ {⌒j `ー─</ 、`ー─< } し'}
\`ハ ヾ.:.::ノ ハ. /
`ー:. _____ //
/ヽ ´ _,, ` イリ
/ ̄ ̄`ヽ /ヘ:\
圭二二ニ=─-、_)、_____/ ∨::\、
/, ′/´ ̄ ̄`ヽ 八 / ',::::::∧`:::...、、
_ .. ´.::/ , -―- 、__ソ /二∧ j!:::::: ∧:::::.:.:.:` . . 、
. : :.:.::::/ / , -―- 、__ソ'///∧ ハ:::::::::∧:::::.:.:.:. . . . .
. . : :.:.:.:::{ / _ `ヽ∧////∧ / ! ::::::: ∧:::::.:.:.:. . . . .
- 186 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:20:08.34 ID:ZWtiMOHx0
-
/ ∨
,': : : : : . . . 。イ/`>。
Y≦。_: : : : : : : : : -=≦> ´ }!
,′ /  ̄¨¨r===≦zzzzzzzzzzr ´ .この二策によって軍勢を西進させる場合、
| | { , ,N==} リ r≦尓∨∨∨ 進軍は早く決めるべきだし、撤退する時に軍勢は疲弊している。
| |∧∨ ,≦兀:|/' 乂ノ } '∨|ヽ∨
| |ヽ∨ :{ 乂ノ:′ ' ,′}! | ` 秋冬は水路が通行しにくい上、北方の冬の到来は早い。
| |人 ∨ム ,、 ,イ / !
'イノ ∨≧ミ 。 __ _ ィ: ノ:イ| :|\ 軍中に備えもないし、冬の行軍はするべきではないね
/ !イ :|∨∧ ∨: : : : :≧。、__|| !∧ヽ
:ノイ ! 。r≦ 、\ \ニ7 \∨ム \
/ . ! ノ' \ニ\ `<ニム{ ヽ∨} /::::::::::::::::::::::::`ヽ
/〃〃:::::::::::::::::::::::::::` 、
/:::::::::::::::/.ィ//:/"´``ヾ`ヽ
i:::::::::: //// /// ミ:::::::',
i|::::::, /// / ハ ミ:::::::',
从:j// 乂、、,,,,,,ノ _,,,,,、彡⌒ Y:::/
乂:::{_仁三三三}⌒{三三三气_}::{
/⌒YV三三三/ ∨三三三jY'^ヽ
{ {⌒j `ー─</ 、`ー─< } し'}
……誰か \`ハ ヾ.:.::ノ ハ. /
`ー:. _____ //
/ヽ ´ _,, ` イリ
/ ̄ ̄`ヽ /ヘ:\
圭二二ニ=─-、_)、_____/ ∨::\、
/, ′/´ ̄ ̄`ヽ 八 / ',::::::∧`:::...、、
_ .. ´.::/ , -―- 、__ソ /二∧ j!:::::: ∧:::::.:.:.:` . . 、
. : :.:.::::/ / , -―- 、__ソ'///∧ ハ:::::::::∧:::::.:.:.:. . . . .
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 郗超は撤退の困難さと冬の到来を恐れていた
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 187 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:20:43.60 ID:ZWtiMOHx0
-
/\___/ヽ
/'''''' '''''':::::::\
. |(●), 、(●)、.:|
| ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::|
. | `-=ニ=- ' .:::::::| はっ!
\ `ニニ´ .:::::/
,,.....イ.ヽヽ、ニ__ ーーノ゙-、
: | '; \_____ ノ.| ヽ i
| \/゙(__)\,| i |
> ヽ. ハ | ||
/::::::::::::::::::::::::::::::::ミi::::::::::::::::::::::::::::.
. ′::::::::::::::::::::::::::::::::Y::::::::::::::::::::::::::::ハ
i::::::::::::::::::::/::::::::::r=ぅ:::::::::::::_:::::::::::::i
_|:::::::::::::::::::::::::::_彡:/^7::::彡' ミ:::::::::
/r V::/:::::::::::::::::::::/j::j "" ミ::::ハ
. 八{ハ.V {::/::::::::::://:/ }:/ ′
豫州にいる袁真に石門を攻略するよう伝えろ。 ヽ ーi レ __彡 ' _./ _,,,...=ぇ |i /
込ト-r≧====x _r≦====x〃「
あそこを抑えれば、 . .‘, 辷=-/// ̄ヽニ=-///j /
荊州や揚州からの兵糧輸送が容易になるはずだ ., `ー一' i `ー一' ′
. ∧ :.. ノ ∧
 ̄ ̄ ̄`7 iヽ _ 二....__ / ⌒ヽ ̄ ̄
. / .\へ こ二ヽ\ 〃 \
/ `ヽ> _, \> 厂 ̄`> \
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ 『晋書』『郗鑒伝』によると、
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 桓温は郗超に従わなかったとある。
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .だが、作戦に修正を加えた
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 188 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:22:08.29 ID:ZWtiMOHx0
-
○壺関 ト、_ ◎鄴 〉
并 州 | ``ヽ、_ 【魏郡】 ,/
○長子 / ``ヽ、 内黄 _,/ 〇
`‐-、 _,,ノ′ 蕩陰× `, ○ _,,,-‐´ 東武陽
l 「 【汲郡】 ,' / ○ 【東平国】
,! 【上党郡】 l 枋頭 /黎陽/ 頓丘 【東郡】
( 〉 黄橋〇 ○ i´ ○/河 ○鄄城
`ヽ、 / ヽ/ ○ ○濮陽 〇廩丘 ●鉅野
`ヽ、 _,,,,,,-‐'′ 【河内郡】 / 白馬 【山陽郡】
`‐-‐´ ,-‐'´○東燕 昌邑 ●金郷
司 ○野王 隷 _,-‐'i´ ○延津 【済陰郡】 ○ ○
,_ 河橋 温 ○懐_,,,-‐'´黄 `-、 定陶
```‐-,, _○ ○ _,,,-一'´ ×官渡 ○封丘 兗 州
 ̄`゙~~~´ ○滎陽 石門●!倉垣 【陳留国】 ,-、
○洛陽 【滎陽郡】 .○ `○、 陳留 ○外黄 / / _,,,_ ●湖陸
○ 【河南尹】 中牟 / ○ / (_,/ `ヽ
河南 _,,..-‐- 、,_ .,,-一´ ○雍丘 ,,-‐′○蒙城
○ ('´ ○輪氏 `、 ,/ ヽ 【梁国】
新城 ``'''‐-、,,_ `‐-‐'''´´ `~~`ヽ、 ,,_○圉_,,-‐′
梁○ _,,) 〇陽翟 ×洧倉.--′`´○陽夏 蕭
,,,_ ,ィ´【襄城郡】 ○許昌 【陳郡】 ○
,/ `~´ ヽ ○ 【潁川郡】 譙
,/ 魯陽 ) 襄城 ○寧平 ○ 【沛国】
,,/ ○ ``'''i 豫 州 ○陳
ゝ,
荊 州 )
【南陽郡】 / 南頓
〇宛 ○ ○項
/.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li、:.:.∧:.:.:.::ヽ.
: :: !.:.:. ||/--l/ |ノ--l:.: .:.lヾ、
: ::(|:.:.:.:| ‐‐ ‐-│::.:/
Yヘ.:.:.:l _ _ /.:.ノ
\ヽ、 _ , イ!::/ .別動隊として豫州を転戦していた袁真の軍勢に石門の攻略を命令
/ ヽ{ ト、ヽ l:
∧\ マ三ソ| \
./: : \\ ヾ-〃 _ !_____
l; : : : : \\」リ/ /
i: : : :::\::\i../ /
- 189 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:23:05.58 ID:ZWtiMOHx0
- 【紀元369年7月 晋 豫州 譙】
/\___/ヽ
/'''''' '''''':::::::\
. |(●), 、(●)、.:|
| ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::| 袁真殿には石門を攻略してもらいたいと大司馬は仰せでした
. | `-=ニ=- ' .:::::::|
\ `ニニ´ .:::::/ 石門を落とした上で、
,,.....イ.ヽヽ、ニ__ ーーノ゙-、 .揚州・荊州から冀州へ兵糧を運び入れたいお考えのようで
: | '; \_____ ノ.| ヽ i
| \/゙(__)\,| i |
> ヽ. ハ | ||
, -‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
r===========r‐、: : \
|.―‐――‐―h‐l┤、 :ヽ
L二二二二二」.ニ|‐{ミi : : |
{/ /ゝ、ノイ ノl/ ― トl!: : :|
|l:/|/● ● ト、: :|
豫州の平定が終わり次第着手しますと袁真は命令を承ります |/!:ll⊃ 、_,、_, ⊂⊃ノ: : |
/⌒ヽ__|ヘ 丶_ノ ..イ:i : :/⌒i
. \ /:ノ从ヽ,、 __, イト:}ノ/ /
/ //ヾゝ八__/:.:.//ヘ、__∧
ヽ、.{ {:.:.:.|.|oi//:.:.:.:.{.{ ;_、_ ,'
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー 石門は豫州から黄河へ注ぐ水運の要地である。
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 桓温の第二次北伐時は
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j 東晋領だったが、この当時は前燕領となっていた。
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/ ここを攻略すれば、
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/ 揚州・荊州から兵糧輸送が容易となり、持久戦も可能という判断だろうか
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 190 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:24:35.26 ID:ZWtiMOHx0
- 【紀元369年7月 前燕 兗州 金郷】
______
/::::::::::::::::::::::::`ヽ
/〃〃:::::::::::::::::::::::::::` 、
/:::::::::::::::/.ィ//:/"´``ヾ`ヽ
i:::::::::: //// /// ミ:::::::',
i|::::::, /// / ハ ミ:::::::',
从:j// 乂、、,,,,,,ノ _,,,,,、彡⌒ Y:::/
乂:::{_仁三三三}⌒{三三三气_}::{
/⌒YV三三三/ ∨三三三jY'^ヽ
{ {⌒j `ー─</ 、`ー─< } し'}
\`ハ ヾ.:.::ノ ハ. /
`ー:. _____ //
/ヽ ´ _,, ` イリ
/ ̄ ̄`ヽ /ヘ:\
圭二二ニ=─-、_)、_____/ ∨::\、
/, ′/´ ̄ ̄`ヽ 八 / ',::::::∧`:::...、、
_ .. ´.::/ , -―- 、__ソ /二∧ j!:::::: ∧:::::.:.:.:` . . 、
. : :.:.::::/ / , -―- 、__ソ'///∧ ハ:::::::::∧:::::.:.:.:. . . . .
. . : :.:.:.:::{ / _ `ヽ∧////∧ / ! ::::::: ∧:::::.:.:.:. . . . .
. . : : :.:.:.::::::::l ////`ヽ丿 ∨/V〃\ / ! :::::::::: ∧:::::.:.:.:. . . . .
. . . : : :.:.:.::::::::l `Y/////ヽ }//{ ′ ! ::::::::::::: ∧:::::.:.:.:. . . . .
. . . : : :.:.:.::::::::l ノ//// ,///∧ _,彡′!:::::::::::::::::::∧:::::.:.:.:. . . . .
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ 郗超の進言に従わなかったというよりは、
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 進言を聞いて作戦を修正したといった方が実態に近いかもしれない。
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .簡単に退く気はないという決意表明とも受け取れる
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 191 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:25:12.43 ID:ZWtiMOHx0
-
/\___/ヽ
/ ,,,,,,,ノiヽ,,,,,,:::i|li:\
|(○), 、(○)、 :|
| ⌒,,ノ(、_, )ヽ⌒ u.::|
|u {,`ト===イ ,} ::::::| 大変です!
\ ヾニノ .::::/"''=-
/::ノ"''フ:ノ|゙ x ''|ヽ!:::_,,,L,,ノ,,ノ_ノ゙>i、 慕容部の軍勢が黄河を渡り始めています!!
. i/ヘ" ムノ:::::| i::::! |-''"::::/ ゙ヾノヽ
/(:::::::゙ソ"_;;;;;;ノ: :V: :ヽ ''"ヽi、 をノ
(::::ヽ,ノ"!,,_::;/: :i: :i: : :ヽ_;;:::::"ヽi、
^゙''" /::::;シ: : : : i , -ii !、\::;;ノ::::)
(::::ヽへ、: : : i i/ ゙''ヽ,/
{∨ こニ 〉⌒/ // | | \\
Λ \ )/ "´ >'" | | \ヽ
/ \ \__ _ -- 」 「>''~| | | | | \
. / ゙'〜 _ ニ=- ''"´ | | _|_ | | |
/ / ー ''"二,,__|___ | | | \
. / /八 \ ア癶芯fフア .八 A
来たか ノ / {/ \ \ ^''冖''^「 / 从
\ /八ト\ 、 \ | / /
`'<_ /八 /|/ .: | \
. /Τ"´ > '' 丶 イ 八 /: : . | \
/ 八 \\ > < / / : : : : |ト \
. / \ \>-} / / Λ:: : : . 八 \ \
/ / .|\ ト\ / /ニニ\:: : . ゙、 \\
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } しかし、前燕も桓温の北伐を黙って見ていたわけではない
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 192 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:26:38.79 ID:ZWtiMOHx0
- 【紀元369年7月 前燕 首都 鄴】
__
∫ι__________/丁了
丿;;;;;;;::::::::::::::::::::::::::. ,.,.,.,.,.,.,.,.,.,.ヾ.ヽ.
ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::::::::::: ,.,.,.,,.,.,.;; .ヾヽ
.ヘ. ..ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;;::;:::::::::::::::::::::::::::: ::::,.,.,.,.,.,. ヾ.ゝヘ
ゝ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::::::::: :::::::::,.,:::::::λヘ
ヘ ,,__ノヾ ~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~ゞ,ノヘ
ゞ;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;ノゞゞ
U/⌒ヽU/⌒ヽU/⌒ヽU/⌒...U/⌒ヽU/⌒ヽU/⌒..U三|
U三三,U,,三三U三三,U\ヽ人_从人__从_人__从_从人__从_人__从_从人_人/
_ ├┼┼┼┼┐___┌┼ .≧ <
‖ミミ│ /,,;;;;;;;; /]ミ-=ニ 慕容忠様が高陸で晋軍に捕縛されました! ≦
┌凹凹凹凹凹凹凹凹凹___.凹凹凹 ≧ ≦
ミミミミミミミミミミミミミミミミミミミ/,,;;;;;;;;;/]ミミミミミミミ/Y⌒YWW⌒W⌒Y⌒WW⌒W⌒Y⌒W⌒Y⌒WW⌒Y\
┌凹凹凹凹________凹凹凹凹凹凹凹凹凹凹________ 凹凹凹凹凹┐
. . 彳/三三三三三三彳/.|ミミミミミミミミミミミミミミミミミミ彳/三三三三三三彳./|ミミミミミミミミミミミ
. 彳/三三三三三三彳/.. |ミミミミミミミミミミミミミミミミ彳/三三三三三三彳/ |ミミミミミミミミミミミ
. 彳/三三三三三三彳/ .. |ミミミミミミミミミミミミミミ彳/三三三三三三彳/ . |ミミミミミミミミミミミ
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 少々時を遡る
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 193 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:28:38.24 ID:ZWtiMOHx0
-
, '´ ̄ ̄` ー-、
/ \
/ / {/ 〃 ヽ ヽl l|
,' .│. リ/八評 ハ\}.人
. ん | ! ○ V ○{ヘl 下邳王に歩兵と騎兵で八万の兵を与えるわ。
. // (| ⊂⊃ 、_,、_, ⊂!ハ
//. i⌒ヽ.\ ノゝ_/⌒) .どうにかして桓温を叩いて頂戴
{. { ヘ ∧ .} 、 __, イ \ヘ/
}. }. ∧`´ |.!:::::Y Y::::) / ヘ
//. /:::::ヾ_..ノ八:::::∨:::( 人/
-‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
/ \
|l l /〃 ヽ ヽ} | 、 ヽ
ljハ !イハ侍ク\j │ ',
l∧}● V ● ! |、 ハ
……やれるだけはやってみるわ ハ.ノ⊃ 、_,、_, ⊂⊃ .|ノ ヽ \
/⌒ヽ_.リ人 ゝ._) ./" ./⌒i ヽ ヽ
\ //" >,、 __ イ{. ヘ /! } }
. / \ (::::::::Y Y:::::.!| `´/ヘ { {
ヽ/ノ ):::::::∨:::::ノ. ヾ..ノ.::::::\\丶、
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー 『十六国春秋』『前燕録』に曰く。
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 皇帝慕容暐は下邳王慕容獅ノ歩騎八万を与えて迎撃させた。
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .王号を持つ事から慕容一族だったようで、
`ヘ:ゝ .' 小/ 対東晋戦や対胡人戦で活躍していた人物である
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 194 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:30:02.00 ID:ZWtiMOHx0
-
.,Å、
r-‐i'''''''''''i''-'‐-、
.o| o! .o i o !o
|\___|`‐´ `‐´|___/.|
|_____________|
/ / {/ 〃 ヽ ヽl l|
,' .│. リ/八暐 ハ\}.人
. ん | ! ● V ●{ヘl 本当に大丈夫なのかしら?
. // (| ⊂⊃ 、_,、_, ⊂!ハ
//. i⌒ヽ.\ ノゝ_/⌒)
{. { ヘ ∧ .} 、 __, イ \ヘ/
}. }. ∧`´ |.!:::::Y Y::::) / ヘ
//. /:::::ヾ_..ノ八:::::∨:::( 人/
-‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
/ \
|l l /〃 ヽ ヽ} | 、 ヽ
ljハ !イハ評从\j │ ',
秦の苻堅にも援軍を頼みましょう。 l∧}● V ● ! |、 ハ
ハ.ノ⊃ 、_,、_, ⊂⊃ .|ノ ヽ \
向こうにとっても他人事では済まないでしょうし /⌒ヽ_.リ人 ゝ._) ./" ./⌒i ヽ ヽ
\ //" >,、 __ イ{. ヘ /! } }
. / \ (::::::::Y Y:::::.!| `´/ヘ { {
ヽ/ノ ):::::::∨:::::ノ. ヾ..ノ.::::::\\丶、
- 195 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:31:28.04 ID:ZWtiMOHx0
-
\__人_人从_人_人从/
_) (__
) 楽嵩殿! (
 ̄ ̄) ( ̄ ̄
/⌒Y⌒Y⌒⌒Y⌒Y⌒Y⌒\
\ヽ人_从人__从_人__从_从人__从_人__从_从人_人/
≧ <
-=ニ 虎牢以西までは譲って構わないと苻堅へ!! ≦
≧ ≦
/Y⌒YWW⌒W⌒Y⌒WW⌒W⌒Y⌒W⌒Y⌒WW⌒Y\ _ -=ニニニニニ=- _
_ -ニニニニニニニニニニニニ-_
. /-ニニニニニニニニニニニニニニ-
|-ニニニニニニニニニニニニニニニニ-
|-ニニニニニニ二二ニニニニニニニ-}
∧-ニニニニニニニニニニニニニニニ-/
. ,:.:.:.ヽ-ニニニニニニニニニニニニニ-/
':.:.:.:./ `''<ニニニニニニニニ>''´:l
. |:.:.:./:.:.:.:.:./i:i:i:i:i:i{i:i:i}i:i:i:i:\:.: |
. |:.:.:l:.:.:.:.:.〈i:i:i:i:i:i:i:i:i|^|i:i:i:i:i:i:i:i〉.:|
. |:.:.:| :.:.:.:.:. \:i:i:i:i/|: |i:i:i:i:i:iア :.:.|
. |:.:.:| :.:.:.:.:.:.:.: /i:i:i:i:|: |i:i:i:i∧:.:.:. |
. ∧:.:|\w''⌒/i:i:i:i:i:|-|i:i:i:i:i:∧:.从
/ ∧:| / ̄ ^⌒寸 |/^ヽ~)/ノ
. ヽ_,.、'zzzzzzzzzzzzzzz'x,,_
_ -=ニニニニニニニニニニニニニニニニニ=- _
/ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニヽ
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ また、散騎常侍の楽嵩を前秦への使者に立て、
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 虎牢以西の地を譲渡する条件で援軍を求めている。
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .虎牢以西は、先年慕容恪が洛陽を陥落させた際に得た土地だ
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 196 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:32:36.46 ID:ZWtiMOHx0
- 【>>195修正】
\__人_人从_人_人从/
_) (__
) 楽嵩殿! (
 ̄ ̄) ( ̄ ̄
/⌒Y⌒Y⌒⌒Y⌒Y⌒Y⌒\
\ヽ人_从人__从_人__从_从人__从_人__从_从人_人/
≧ <
-=ニ 虎牢以西までは譲って構わないと苻堅へ!! ≦
≧ ≦
/Y⌒YWW⌒W⌒Y⌒WW⌒W⌒Y⌒W⌒Y⌒WW⌒Y\ _ -=ニニニニニ=- _
_ -ニニニニニニニニニニニニ-_
. /-ニニニニニニニニニニニニニニ-
|-ニニニニニニニニニニニニニニニニ-
|-ニニニニニニ二二ニニニニニニニ-}
∧-ニニニニニニニニニニニニニニニ-/
. ,:.:.:.ヽ-ニニニニニニニニニニニニニ-/
':.:.:.:./ `''<ニニニニニニニニ>''´:l
. |:.:.:./:.:.:.:.:./i:i:i:i:i:i{i:i:i}i:i:i:i:\:.: |
. |:.:.:l:.:.:.:.:.〈i:i:i:i:i:i:i:i:i|^|i:i:i:i:i:i:i:i〉.:|
. |:.:.:| :.:.:.:.:. \:i:i:i:i/|: |i:i:i:i:i:iア :.:.|
. |:.:.:| :.:.:.:.:.:.:.: /i:i:i:i:|: |i:i:i:i∧:.:.:. |
. ∧:.:|\w''⌒/i:i:i:i:i:|-|i:i:i:i:i:∧:.从
/ ∧:| / ̄ ^⌒寸 |/^ヽ~)/ノ
. ヽ_,.、'zzzzzzzzzzzzzzz'x,,_
_ -=ニニニニニニニニニニニニニニニニニ=- _
/ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニヽ
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/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ .また、散騎常侍の楽嵩を前秦への使者に立て、
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 虎牢以西の地を譲渡する条件で援軍を求めている。
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .虎牢以西は、先年慕容恪が洛陽を陥落させた際に得た土地だ
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
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- 197 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:33:20.48 ID:ZWtiMOHx0
-
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_ -=ニニニニニニニニニ=- _
/ニニニニニニニニニニニニニニニニ\
. /ニニニニニニニニニニニニニニニニニニ二}
. /ニニニニニニ>''´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : :`ヽ
/ニニニニニ>''´:.:.:.:.:.:. : :/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : :`、
. {ニニ>'´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:V
Vア:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. |:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. '/
. `|:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : :|:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:. : l
|:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|:./:.:.:.:へ:.:.:.:/:./斗:.:./:.:.:|
|:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|/ー〜┘―ヘ/.:/:.:./:. : :|
|:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|""芯笊` "芯フ.:.「^^
∧:.:.:.:.:.:.:.:.:. : |:.:.:.:.:.:| 、乂ソ ヒソ:.:.:.|
. ∧:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|" 丶 } :. | お手並み拝見といきましょうか
∧:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : :| (^ _┐ .イ:.:.:.|
\\.......ヘ:.:.:.: | 、 ー┘/: |:.:从
. _〕ヽヘ:ヘ:. : | > _ イ:. : :/:.:/
_ -=ニニニニ∧ \| /}h、 ^^7:.:/
/ニニニ`\.ニ二∧ /ヾ .√ニニh、 ):/
|ニニニニニニヽ.ニニニ∧∨ {∨ニニニニニ)h、
|ニニニニニニ∧二二∧ } |ニニニニニニニニ}
|ニニニニニニニ.∧ニ/ ̄ `ヽ{ /⌒Yニニニニ/
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/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } この時点では慕容垂の出番はなかった
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 198 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:34:45.98 ID:ZWtiMOHx0
- 【紀元369年7月 前燕 冀州 黎陽】
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄  ̄  ̄  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄  ̄ ̄ __rz __}_TTTTTTTTTTTTTTTT
==--= ─ -- __  ̄  ̄ ̄ _---===─ ── ___ └ =======================┘
── ==  ̄ ̄ -=─ --  ̄ -- == -- ___-- __ ̄_ -- == ─‐‐ - --
-- ─  ̄ ____--==- -- ─ ___  ̄ _== ==- --== = -- ─ ̄ -- == 。o≦
-- __ == --- ─ -- _ -- = ===─= = =-- ─ ̄ ___-- _ --。o≦  ̄
_ -- -- ─ ==== = ─ __ -= ニ = _ -==─ -- _____ 。o≦  ̄: :
- == --- _ ___-- ̄ --==- = _ ___  ̄ -- ニ -- ニ。o≦: : ̄ : :
_ -- = --= =二二 == ニ ニ ─ _  ̄ ニ =--- 。o≦: : ̄ : : :
___  ̄ === - -- _ -- = ニニニ --- ─ ニ ニ 。o≦: : ̄ : : : : . . . : : :
==─ ニ ニニ =--- ==--- = _ ニ ─ -- 。o≦´  ̄ : : : ' : : : . : :
-- __ ── __ _ = -- - -- 。o≦: : ̄ ; : : : . . . . : : : . : :
(~) (~)
,r'´⌒`γ .,r'´⌒`γ.
{:i:i:i:i:i:i:i:i} {:i:i:i:i:i:i:i:i}
∧,,∧(・ω・´) ∧,,∧(・ω・´)
・ ・. Oニ)< > ・ ・ Oニ)< >
./ ノ lミL, (ヾヾ ./ ノ lミL, (ヾヾ
(o_o,イ ヾ´|(__) ,)~⌒.(o_o,イ ヾ´|(__) ,)~⌒)彡
,) ヾ| | ̄ノl ,) ,) ヾ| | ̄ノl ,) ┣¨┣¨┣¨
./ /~ヾ ,)'''''''~ヾヾ\ヾ_ / /~ヾ ,)'''''''~ヾヾ\ヾ_ ;;⌒)
ヾニフ|_| (_/ ヾ,)ヾニフ|_| (_/ ヾ,). ;;⌒);;⌒)
(_ヾ (_ヾ
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l } 慕容似ヲいる八万の軍勢は黄河を渡って南下
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
───────────────────────────────────────────────
- 199 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:36:46.41 ID:ZWtiMOHx0
-
○壺関 ト、_ ◎鄴 〉
并 州 | ``ヽ、_ 【魏郡】 ,/
○長子 / ``ヽ、 内黄 _,/ 〇
`‐-、 _,,ノ′ 蕩陰× `, ○ _,,,-‐´ 東武陽
l 「 【汲郡】 ,' / ○ 【東平国】
,! 【上党郡】 l 枋頭 /黎陽/ 頓丘 【東郡】
( 〉 黄橋〇 ○ i´ ○/河 ○鄄城
`ヽ、 / ヽ/ ○ ○濮陽 〇廩丘 ●鉅野
`ヽ、 _,,,,,,-‐'′ 【河内郡】 / 白馬 【山陽郡】
`‐-‐´ ,-‐'´○東燕 昌邑 ○金郷
司 ○野王 隷 _,-‐'i´ ○延津 【済陰郡】 ○ ○
,_ 河橋 温 ○懐_,,,-‐'´黄 `-、 定陶
```‐-,, _○ ○ _,,,-一'´ ×官渡 ○封丘 兗 州
 ̄`゙~~~´ ○滎陽 石門○!倉垣 【陳留国】 ,-、
○洛陽 【滎陽郡】 .○ `○、 陳留 ●黄墟 / / _,,,_ ○湖陸
○ 【河南尹】 中牟 / ○ / (_,/\_人_人∧从_人_∧_人_从_//
河南 _,,..-‐- 、,_ ,,-一´ ○雍丘 ,,-‐′○蒙城 ) >
○ ('´ ○輪氏 `、 ,/ ヽ 【梁国】< 東方より晋軍が!! >
新城 ``'''‐-、,,_ `‐-‐'''´´ `~~`ヽ、 ,,_○圉_,,-‐′ < (
梁○ _,,) 〇陽翟 ×洧倉.--′`´○陽夏 /^Y ̄∨ ̄∨^Y^⌒Y^YY^^Y^
,,,_ ,ィ´【襄城郡】 ○許昌 【陳郡】 ○蕭
,/ `~´ ヽ ○ 【潁川郡】 譙
,/ 魯陽 ) 襄城 ○寧平 ○ 【沛国】
,,/ ○ ``'''i 豫 州 ○陳
ゝ,
荊 州 )
【南陽郡】 / 南頓
〇宛 ○ ○項
/.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li、:.:.∧:.:.:.::ヽ.
: :: !.:.:. ||/--l/ |ノ--l:.: .:.lヾ、
: ::(|:.:.:.:| ‐‐ ‐-│::.:/
Yヘ.:.:.:l _ _ /.:.ノ
\ヽ、 _ , イ!::/ 鉅野から西進してきた桓温軍と黄墟で激突した
/ ヽ{ ト、ヽ l:
∧\ マ三ソ| \
./: : \\ ヾ-〃 _ !_____
l; : : : : \\」リ/ /
i: : : :::\::\i../ /
- 200 :1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]:2024/07/07(日) 23:38:47.16 ID:ZWtiMOHx0
- 【紀元369年7月 前燕 兗州 黄墟】
ヽ, / ̄ヽ ィzztzzy'iミz
≧ / /7_ | _r'Yi|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i
で は. 朱 お l . 〈/7/ Wi|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i
す や . | | i 〈/ li|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|
| く 序 .| | | rっ,ィ7 li|i|i|il/`ヾ i|i|i/`
| も .| | ヽ <_/ッ/i|iイ i|l __ ̄ , -‐
| .敵 .将 .っ | rー\_ノ`il| i|_||li_zzy、`´ ,ィz
っ 軍 と ≧-─zュ、_.ィ<___ , ヾ爻yt升
!!.を .軍!! ///// 〈 ( ___ 〈__,:j.ィzt7l
撃 ///// y(___ ノi|{ー‐‖j
破 ! .////〈 { `ー-r' 、`  ̄ / ,
/////∧_, イl|ヽ 〈、 ヽ _/_/
/////////////l {⌒ }\⌒ヽr' -イ
_____ 、〈///////////// ヽ ノ . ->r_{r'¨ヽ
`ヽ////////////\イ < /小、>
, '´ ̄ ̄` ー-、
/ u. u. \
───────── / / u. {/ 〃 ヽ ヽl l|
,' .│. リ/八写\}.人
───────── ん | ! ◎ V ◎{ヘl
あわわわわ! . .// (| ⊂⊃ 、_,、_, ⊂!ハ
───────── //. i⌒ヽ.\u. u. ノゝ_/⌒)
. {. { ヘ ∧ .} 、 __, イ \ヘ/
───────── }. }. ∧`´ |.!:::::Y Y::::) / ヘ
. //. /:::::ヾ_..ノ八:::::∨:::( 人/
───────────────────────────────────────────────
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
./!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ 結果は前燕軍の大敗。
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l }
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j 慕容獅ヘ単騎で逃げ帰ってしまった
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ .
`ヘ:ゝ .' 小/
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
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