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やる夫が正史を書くようです６１

10 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:01:15.18 ID:ynnuQ/7i0: 　　　　　　　　　　.,Å､
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.　　／／（|　⊂⊃　､_,､_, ⊂!ハ　　　　　　　　あなたが周公になってくれるなら、私には何も憂いはないわ
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11 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:02:01.15 ID:ynnuQ/7i0: 【紀元３６０年１月　前燕　首都　鄴】

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Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/　　　　　　　　　皇帝慕容儁は四十二歳で死んだ
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:′
　∧＼　ﾏ三ｿ| .＼
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ｌ; : : : : ＼＼.り／: : :i
12 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:03:08.82 ID:ynnuQ/7i0: 【紀元３６０年１月　前燕　首都　鄴】

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　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
　　　',ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii,'　　　　　　　太原王殿下。
　　　';:.:.:.:.. ／　　　　　　＼　':,　
　　 ';::.:.:.:. .　●　　　　　　●　　;'　　　　　　　群臣は皆あんたが皇帝になるのを望んでいるぜ
　　　';:::.::.:.　　　（__人__）　　　;'
　　　　'':;,:.:.:.:.:. . 　　　　　　､:'
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`マ///／斗――::＼: : : :ヽ: : :ヽ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂__j/:..:l: : : ＼: ＼＿: :∨:..|: : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　|: 八ﾄ､＼:`く_jＬ斗ｲ| :..|: : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼l|::∨X:＼У┘代う儿..:|: :|.:.|
　　　　　　慕輿根殿。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　八: ::Y代う　　　　 | :|: :|.:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∨::∧ 　 ′　　　 |: |: :|.:.|＼
　　　　　　国には後継ぎがいて、私はその立場にいないのだけど　　　　　　∨:|: l>､　 - '　／|: |: :|.:.|＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∨..:|:| l＞--イ　/: :|:八: ＼: : :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ｖ:|:| |:_l＞/j　/: : |{　 `ー_､:＼::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V::|7/　/{　/|.:.:从　／:::::斗､＼::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,/.|:.:|/ 厂_У 从{ / /::::／. . . .＼＼∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/. .|从　| ／ ====' /::::::{. . . . . . . |＼〈∧

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/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　群臣は慕容恪を皇帝に立てようとしたとはっきり書いてある。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .前燕の将軍慕輿根などは面と向かって慕容恪に皇帝即位を勧めた
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13 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:05:33.15 ID:ynnuQ/7i0: 　　　　　 ,;:'';, ,;　 ;　　;　 ;　''':,
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　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',　　　　　　殿下には楊駿や諸葛恪の最期を考えてもらいたい。
　　　',ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii,'　
　　　';:.:.:.:.. ／　　　　　　＼　':,　　　　　天下を定めたのは殿下の功績であり、
　　 ';::.:.:.:. .　●　　　　　　●　　;'　　　　　.主上を廃して王にし、殿下が即位すれば大燕の慶びは無窮となるだろう
　　　';:::.::.:.　　　（__人__）　　　;'　
　　　　'':;,:.:.:.:.:. . 　　　　　　､:'
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　|: 八ﾄ､＼:`く_jＬ斗ｲ| :..|: : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼l|::∨X:＼У┘代う儿..:|: :|.:.|
　　　　　　お酒を飲み過ぎたのかしら？　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.八: ::Y代う　　　　 | :|: :|.:.|
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　　　　　　これは遺言で決まった事であって、　　　　　　　　　　　　　　　　　　∨:|: l>､　 - '　／|: |: :|.:.|＼＼
　　　　　　先帝の遺言を忘れたとは言わせないわよ？　　　　　　　　　　　　　∨..:|:| l＞--イ　/: :|:八: ＼: : :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ｖ:|:| |:_l＞/j　/: : |{　 `ー_､:＼::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V::|7/　/{　/|.:.:从　／:::::斗､＼::＼
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./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　慕容恪擁立論が根強かったのは、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　胡人社会ならば力のある者が上に立つのが当然なためだ。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .慕容儁もそれを薄々察していたから、あの遺言に繋がったのだろう
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14 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:07:11.33 ID:ynnuQ/7i0: 　　　　　 ,;:'';, ,;　 ;　　;　 ;　''':,
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　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
　　　',ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii,'
　　　';:.:.:.:.. ／　　　　　　＼　':,　　　　　　　　　　俺たちは鮮卑だぞ。
　　 ';::.:.:.:. .　●　　　　　　●　　;'
　　　';:::.::.:.　　　（__人__）　　　;'　　　　　　　　　　.青臭いガキになんぞ従えるか
　　　　'':;,:.:.:.:.:. . 　　　　　　､:'
　　　　 ,;:'':.:.:.　　　　　　　　　 '':,　　

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　　　　,;'':.:.　 ;　　;　　 ;　 ;　　'';,
　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',　　
　　　',ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii,'　　
　　　';:.:.:.:.. ／　　　　　　＼　':,　
　　 ';::.:.:.:. .　●　　　　　　●　　;'　　　　　　　　　　こうなったら俺にも考えがあるぞ
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　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　慕容儁の三男に当たる
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .中山王慕容暐を皇帝に立て、自身はあくまで甥を支える姿勢を貫いた
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
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　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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15 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:08:53.41 ID:ynnuQ/7i0: 　　　　　 ,;:'';, ,;　 ;　　;　 ;　''':,
　　　　,;'':.:.　 ;　　;　　 ;　 ;　　'';,
　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',　　
　　　',ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii,'　　
　　　';:.:.:.:.. ／　　　　　　＼　':,　　　　　　　慕容評と慕容恪の二人が乱を計画している。　　　　　　　　　　
　　 ';::.:.:.:. .　●　　　　　　●　　;'
　　　';:::.::.:.　　　（__人__）　　　;'　　　　　　　俺に禁中の兵を貸してくれたら、奴らを誅殺して社稷を安んじよう
　　　　'':;,:.:.:.:.:. . 　　　　　　､:'
　　　　 ,;:'':.:.:.　　　　　　　　　 '':,　　
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |l l　 /　可ヽヽ} | 　､　ヽ　　　　　　　　　 .|l l　/〃　ヽヽ} | 　､　ヽ …ﾋｿﾋｿ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ljﾊ　十ﾊ　从十j. 　│　',　　　　　　　　　 ljﾊ　ﾄkﾊ暐从斗j.　｜　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l∧}●　Ｖ　● !　　|、ハ　　　　　　　　　　 l∧}●　Ｖ　● !　　|、ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ.ﾉ⊃ ､_,､_,　⊂⊃ .|ﾉ　ヽ＼　　　　　　　　ﾊ.ﾉ⊃ ､_,､_,　⊂⊃ .|ﾉ　ヽ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ人　　　　 /" 　ﾄ、　　ヽヽ　　　 /⌒ヽ_.ﾘ人　　ゝ._）　./". /⌒i　　ヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／"./⌒l､ __　イ{.　　Ｖl　　 }　 }　　　　＼ /／"　＞,､ __　イ{.　ﾍ　 /!　　}　 }
　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　＼ / ￣/:::Y Y:::::!. 　　ヽﾍ　 { 　{　　　　 /　＼　 (::::::::Y Y:::::.!｜｀´/ﾍ　{ 　{
　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾎﾝﾄｳｶｼﾗ?　ノ |. 　 l::::::∨:::::ﾉ.　　　}::::＼.＼丶ｱﾔｼｲヽ／ﾉ　　):::::::∨:::::ﾉ. ヾ..ノ.::::::＼＼丶、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　前燕　皇太后　可足渾氏　　　　　　　　　　　　前燕　皇帝　慕容暐

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/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　生母の可足渾氏が皇太后、慕容恪が太宰・録尚書事、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　慕容評が太傅、慕輿根が太師として慕容暐を補佐する形となる
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
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16 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:10:02.45 ID:ynnuQ/7i0: 　　　　　　　　　　 ..:::::::::::::::::::::::::::::::::: ＼ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ-_
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　　　　　　　 .:::::::::::: /| :::::::::::: |::::::::::::::::::＼ﾆﾆﾆﾆ八
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　　　　　　　 |::::::::::/　八:::::::::::┼-ﾔ:::::::|::::::::::::|iI∨ /
　　　　　　八:::::灯ぅx　｀￣ ,ｨzzzx:::::::|::::::::::::|iI ∨　　　　　　　慕輿根がそう言ったの？
　　　　　　　　　|: ヽ〈乂ソ　　　ん_ﾉリ:::::::|:::::::::: 乂乂
　　　　　　　　　|:::::::::.　　　　　ゞ ''´| ::::√:::::::::::|　　　　　　　　　先帝の遺言に背くとか謀反じゃない
　　　　　　　乂|:::ﾊ　　 ′　　　　 |::::√ ::::::::::.
　　　　　　　 _ ┘::个　　つ　　　ｨi〔:::√::::::::::/
　　　　「二二二ﾆ=-_　}hs。　 s≦ ｧ:::/::::::::::／　　　　　　　　　　　　　　　　　V........メ: : : : : : : : ｀丶、
　　　 .| 二二二ﾆ=-_　Y {{]　　　〈::／ i{⌒~　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｨく:l`ｰ":.v: : : : : : : : : : : :.ヽ
　　　 .|二-／ ) 二=-_人乂 _ -=ﾆ二　乂　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: ＼|: : : : :l: : : : : : : : : : : : :∧
　　　 jI斗／／.／ )=-_　≧====≦　　　:7ﾆ=- _　　　　　　　　　　　　 ,': i: l:_人_: : : !: : : : : : : : : l: : : :ﾊ
　　 /　/　Y ／／ﾆ=-_　( )　　　　　 ///////=┐ｺﾛｿｳ　　　　　　　l: !:l: ｢ヽｨ´: : : !: : : : :i: : : : l: : : : :l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: l:⌒,:.!: : : : : :!: : : : :l: : : : l: : : : :l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 L:L｣ `l: : : : : :.l: : : : :|: : : : :!: : : : l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{灯',: : : : : :!: : : : |: : : : :l: : : : :l
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾑ、　 ,: : : : :|: : : : :|: : : : :.l: : : : :',
　　　　　　　　　　　　　　　そうよねえ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./-ﾐ,)　 l: : : : :!: : : : :!: : : : : ',: : : : ',
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./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　そして、遼東に駐屯していた慕容垂が呼び戻された。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　征南将軍・河南大都督・兗州牧に任命されている
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17 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:11:44.55 ID:ynnuQ/7i0: 【紀元３６０年２月　前燕　首都　鄴】

　　/＿ _/_,,.､丶´　 {　　　ヽ丶　 V
　＼_ _ _＿ _ _／　ｲ　　　ﾊ .ゝ　 V
　 {　　 _{　　∠~"''～　　　 |iﾍ .ﾍ. 　ﾑ
　 i　　 |i／／i/　　|i ヽ,　 _,,....,,ﾏ |i　　|i
　 |i　　 |　 |i-弓芍 ',　.',　/　/　.寸　}　　　　　太師慕輿根。
..∠､　　 {　 {　ヒツｱ　　V弓芍ｱ/|i 　 !
　　1　　 |i 圦　　　　　ヒツ /从　|i　　　　　.謀反の疑いにより誅殺するとの命令よ。
　./ 　　 1 λ,' 　　　　, 　　ﾑ/ / 　}
.∠斗彳八 .ﾍ　　r＿、　 /ﾄ /　　|i　　　　　　先帝の厚恩を受けたにも関わらず、国を乱すのは万死に値する
　　　　V .圦　|＼　　　.＜ .K 　　j|
　　＜:::::::::.|ﾑ .i 　｀ T ´:::::::∧ .|i 　./
　　|: : ￣≧ー＼ーi。｡*''ﾟ: : :》.!　./
　三~"''～､: : : : : : : : : : : : : / ｊ／

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,;:'';, ,;　 ;　　;　 ;　''':,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,;'':.:.　 ;　　;　　 ;　 ;　　'';,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　',ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii,'
　　　　　　　　胡人が胡人らしく生きて何がいけないんだ　　　　　　　　　　　　　　;　　　＼　　　　　／　　　::::;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;　　　●　　　　　●　　　:::;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;　　　　（__人__）　　　u　::,;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀: : 　　　　　　　　　　::::::､′

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　二月。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　太師の慕輿根が謀反の罪により、禁中で侍中皇甫真らに斬られた。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .彼は慕容皝の代から史書に名が見える将軍で、
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　慕輿氏は慕容氏の庶流、もしくは鮮卑の一部族が漢化した人々とされる
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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18 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:12:51.84 ID:ynnuQ/7i0: 　　　　　　　　　　.,Å､
　　　　　　　 r-‐i'''''''''''i''-'‐-､　
　　　　　　 .o|　ｏ!　.ｏ　 i ｏ　!o
　　　　　 |＼___|｀‐´ ｀‐´|___／.|
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　　　　　/　/ 　 {/ 〃　ヽヽl ｌ|　
　　　　 ,'　.│.　ﾘトk八暐.ﾊイ} 人.　　　　　　　母上は不安がられていたけれど、
. 　　　ん　 |　　! ●　Ｖ　●{ﾍｌ. 　　　　　　　叔父上と大叔父上が謀反を起こすわけないって信じていたわ
.　　／／（|　⊂⊃　､_,､_, ⊂!ハ　
　／／.　　i⌒ヽ.＼　　　　ﾉゝ_／⌒)
　{.　{　　　ﾍ　∧ .} ､ __,　イ　＼ﾍ／
　}.　}.　　 ∧｀´ ｜.!:::::Y Y::::) 　／ﾍ　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　｝　　　　｀ﾔ　　＼　　＼
／／.　／:::::ヾ_..ﾉ八:::::∨:::( 　人／　　　　　　　　　　＿ノ'"　⌒ｱ　／￣￣￣] ]｢∧　　　＼　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ⌒ヽ~ ¨¨"ｱ¨ ／￣￣　　￣￣~や^L
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　;' ／　　　　　　　　　.厶／　　　.　　　ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／^ｱ｀　| .　　　　ヽ　　　　 i　　　　|　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｛＼_｢　 | ｉ　　　　 | | ⌒ L　人　　 |　| 　　｛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ｧ|　　　|　　　＿| j抖斥ぅｔ] |　　　 |　|　 | |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ |　　　｢ L　　　　ｲ V)ツﾞ　|　　　|　|　 | |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 L八　　｣抖斥x　　　　　 |　　八 |　 |　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人｢八Vツ　　　　　　　 |　　｢'　|　　　八
　　　　　　　　　　　陛下は賢いわね　　　　　　　　　　　　　　　　　.V,ヽ　｀　　　　 |　　 |　 ∨　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　人　　、　ノ　　 |　　 |　　|/　　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | / 介　　｀　　　.ｲ|　　 |　　| i　　　＼　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　//|　i〕＞-t　　ｿ|　　 |　　人Ｌ　　　＞ｔ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　'　|　||　|　ﾄ,Ｙﾉ|　　 |八　＼ ¨¨ｱｱ厂　 ⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧ 　　 |Ｌ L　| |i ｢ | 　　｢´ ＼て　/ //　　　　　',

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　『晋書』『慕容暐載記』には、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　慕輿根が旧功を恃んで傲慢になったとあり、粛清の側面が強いだろう。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .蜀の李厳を思い出すような話である
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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19 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:14:07.90 ID:ynnuQ/7i0: 　　　　　　　 ,　'´￣￣｀ｰ-､　　　　　　　　　　　　 ,　'´￣￣｀ｰ-､
　　　　　／　　　　　　　　　＼　　　　　　　　／　　　　　　　　　＼
　　　　　/　/ 　　　　　　　　l ｌ|　　　　　　　　/　/ 　 {/ 〃　ヽヽl ｌ|
　　　 ,'　.│.　{/ 〃可ヽヽ人　　　　　　　 ,'　.│.　ﾘトk八評ﾊイ} 人.
.　　　ん　 |　　ﾘﾄk八　ﾊイ}ﾍｌ　　　 . 　　　ん　 |　　! ●　Ｖ　●{ﾍｌ.
.　　／／（| 　 ! ●　Ｖ　●!ハ　　　.　　／／（|　⊂⊃　､_,､_, ⊂!ハ
　／／　　,ｲ.⊂⊃　､_,､_, ⊂ﾉゝ　　　　／／.　　i⌒ヽ.＼　　　　ﾉゝ_／⌒)
　{.　{　　 lV　　　 .} ､ __,　イ　＼　　　{.　{　　　ﾍ　∧ .} ､ __,　イ　＼ﾍ／
　}.　}.　 //.＼　　!:::::Y Y::::)　／　　　}.　}.　　 ∧｀´ ｜.!:::::Y Y::::) 　／ﾍ
／／ .／::{( ⌒ ) 八::::::V:::::( ( ⌒ )　　／／.　／:::::ヾ_..ﾉ八:::::∨:::( 　人／

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　∥　　　　∥　　　　　　　　　　　　　＼三三
γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ　　 ii　　　　　　　　　　　　 ',　　　ヽ三
|　　ところで、国威発揚のために河南へ兵を出すつもりだけど……　　 |　　i i　　　 i　　i　　　　　 ',　　　 ∨
ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂　 i　i 　　 i　　i　　　　　 ',　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i| . ∥　　 ∥ i＿＿　　i　.i.　　　i ',　',ヽ　　　.i　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i| .∥　　　''´　',　　　｀''.　 i　　　i　´￣￣　　　.i 　 i　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧∥　　 ∥　　＿＿　┘　＼,,,,,,,i　ヽヽ　ヽ　　i 　..i　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∥∥　　 ∥,、-‐=‐- ｀ヽ　ヽ　　　 ''´,,ｨ＝=‐-、 i　　i　　.i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{i ∥ iヽ∨/ノi/ヽ:::::::::}｀ヽ　　　／f::::::::::::::i¨''ヽ　　i　　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ii∥　iJ .j/　∥-j""'''ー-　　　　　　乂;;;;;;;ノ _,,/ ｨ　.i　　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∨　 i　∥ .∥ ∥:::::,r、　　　　　　　　...:::::::￣:::// i　 i　 .i j}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {i 　 i ∥ .∥ ∥:::::/-.}　　　　　　　　:::::::::::::::ノ'':/ i　 i　 j∥
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞―-----', 　 i∥ .∥ ∥:::/　 /　　　　　　　　　　　:::::::::/　i　 i　,'∥
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/三三三三三＼ﾍ　 { 　 {:/　 /　　　　　　　　　　　　 /　 .j　j / /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./三三三三三三ﾐ＼ﾍ　 }　 {i　〈　　 "''‐-　　,,_ 　　　／　　∥∥ /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　../三∧三三三三三ミi　ﾍヽ　｀　＼　　　　　　　　　／ Ⅶ＼/ /　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/三三∧三三三三三i　{　ﾍ　　　　　＞、　　　 ,,｡s≦　　Ⅶ./　　./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　三三三∧三三三三ﾐi＼＼　ﾍ　　　　　　',"'''''"´　／　　　　/　　./
20 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:14:44.09 ID:ynnuQ/7i0: 　　　　　　　　　　　 |///// ＼ ,､丶`: : : : : : : : : : : ／//////,∥
　　　　　　　　　 v///////＼: : : : : : : : : : : : :<////////∥
　　　　　　　　　　　 ∨////////＞　￣￣￣￣｀`'＜/////∥:、
　　　　　　　　　　　　 ∨////／ ,､丶`￣/￣￣｀` ～､、丶//: : `、
　　　　　　　　　／⌒＼/／／: : : : : : /: : : :　: :│: : : :＼＼: : : :'，
　　　　　　　　 {⌒ヽ、_}/／: : :　:　|: : : : : : : : : :│: : : : : ∨∧: : :’
　　　　　　　　乂＿彡ｲ: : : : :　| : | :│: : : : : : :│: : : : : :＜　〉:　:’
　　　　　　　　　 ∥///|: :|: : :|: :　:| : |',: |: :　:　:| |_:」＿_: :　:│∨ : : :|
　　　　　　　　　∥/// |: :|: : :| : : ィ: TT ',: : : : :| |: :| '/: :｀ト:| | : : : : |
　　　　　　　〈__|__|: :|: : :|／:.:|∨ ヽﾊ:　:　:| |: :|__zzzzx:_| | : : : : |
　　　　　　　　　　　│: : 八 : |Ｌ::斗zzx､ └－┘彡ｲ/じﾊ＾》 √: : : :’
　　　　　　　　，: : : : ∨ｨ''”うJ/}ヽ　　　　　　ゞ辷ｿ､　√: : : ‘
.　　　　　　　　　 ‘ : : : : ∧ 、ゞ辷ｿ　　　　　　　　 √: :　:j|　　　　　　　　　　　……いいわね？
　　　　　　　　　　，: : : : ∧　　　　　　　丶　　　　　　　/:　:　:∥
　　　　　　　　　 ‘: : : : : :∧　　　　　　　　　　　　 /: : : : ∥|
　　　　　　　　　， : : : : ∧　　　　　　　　　 /: : :　:∥ |
　　　　　　　　　　　　　i’: : : : : :込、　　　ー　　´ 　　ｲ: : : : :∥: :，　　　　　γ￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　|:∧ : : : : : Ｖ＞_　　　　　　　　ｲ∥: : : :∥ : : ，　　　　 |　　　……はい　　　 |￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　| : ∧: : : : : : r┤ 　＞､､＜　 l∥: :　:∥ : : : :，　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿乂はひっ　　 .|
　　　　　　　　　　　　 │: : ∧: : : : : ∨￣ﾌ冖Y'冖'く￣||: : : :∥: : : : : '，　　　　　　　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿乂
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　　　　　　　　　＿､､ --――}: : : : :|　　}　　|| 　　{ 　|: : : √￣`` ―――　､､_
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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
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　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　慕容恪の胡人らしからぬ行動は、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　後世の彼への評価を決定付けたと言って良い
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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21 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:16:06.81 ID:ynnuQ/7i0: ／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/　　
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　　　　　　　　　　北魏の崔浩は慕容恪についてこう述べた
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:　
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼　
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿__
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ' 兮ヽ、
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒｐ――'´　　　　｀ー―‐p､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 ,. -　'゛￣￣゛ 'ヽ　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ　　　　　　　　　　　＼.　ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　/　　 !　 !　　　ヽ | ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　.:!　　| ./:　　ﾊ　 !　!　!　ﾚ　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈　　　:.::|斗ヤT ﾄ､　| 'T广ト､|　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∨　　:.:|V,斗=ﾐ ! ヽ:|　ｒ=ｒﾐ :!:|　!　.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼|　:.|ｲﾄ､:::|　　　!　ﾄ､::ｉ} >| :! :.::|
　　　　慕容恪が少主を補佐したのは、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .|＼|ﾍ弋_,ﾘ　　　　弋_ｿ　/ :! :.:.|
　　　　慕容暐にとっての霍光であったと言えるでしょう　　　　　　　　　　　 |　 :ﾊ. 　　　　'　　　　　/ .:.!:.:.:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　:.人　　Y　ﾌ　　 ,ｨ　.:..!:.:/|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿　 _ヽ:.:.|:.＞､｀　 , ィヽ:/:.:./.:/_ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　｀　ヾ.:ﾄ､_|`ｰﾆ-　'ﾄ､/ ::.／　＞＾ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　ﾒ!　＼,.⊥､／/ .／-､／　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣）ヽ､　　　　/　ヽ　/|じ}| /'´　　　|　　 _ -‐‐/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ｒ-く　　＼　　/　　　/:..:.ｰ':V　　　　 ! ／　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　｀¨　―: !　　 /:.:.:.::.:.!∧　　　　|　 ― ¨￣￣｝

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　北魏　司徒　崔浩
22 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:17:04.30 ID:ynnuQ/7i0: 【紀元３６０年２月　晋　荊州　江陵】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_.. ‐''广''''―-　､　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i'"ﾞ._.. -'|'''''―- .＿|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .|''″　　.!　　 / 三　l　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,,|∩　∩.!　　.lﾞ三三!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ 　l　　　　 !　　l ｀ﾞ^'''''￢ｰっ..,,..,,、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _./　　゛　　　　!　　| ﾞﾞ'''～　....,,_ ヽｌ　ﾞ'(￢ｰ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,./ '″从ﾘj"Wﾞﾘw;yﾉ　　│ 　　　　｀''､,!三ヽ　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　 ;ゞゞ; ;ゞ　　　　〉　　　　　 ,!゛三三ヽ　　.ヽ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　从ﾘj"Wﾞﾘw;yﾉ　　　　　　　ミ彡ミ彡　　 / 三三三 | WWwjjw､、
　　　　　　　　　　　　　　　　.／　　　　;"!" ヾ ;ゞ ;"ヾ"WWwjjwγ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ　
　　　　　　　　　　　　　 ._..-"　ゞ ;" "ゞゞ　WWwjjwv　　　 " ヾ|　　　慕容儁が病で死んだとの事　　　　 .|
　　　　　　　　　　　ｰ'''″　　　　　　　　 |ﾞ'.ｌ￣￣''ｰ　＿＿　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂
　　　　　　　　　　　　　　　　　|;;;;Wiwノノ;;::! llﾞ'-、三三 | .|____ﾞ“'''―---- ／　,／゛　　　　ij从
　　　　　　　　　　　 '",,iiゞ　　　ミ;;;;Wiwノノ;; !'､,　 ll｀'-､,三`'ミｰ..,´ﾞﾞ''''―----'"　　　　　WWiiiwWゞ
　　　　　　　　　　　　　　",,iiij从ミWﾘﾘWii-''l　＼　　ll　｀''ｰ､.ﾞ''-ﾐ～ ..,_　　　　　　　　,ii''"`
　　　　　　　　　　　　　　　　　ろ::::::....　　..k!　　 .｀'-､　　　||　｀'‐､,｀''ｰ..,,.｀ﾞ'''- ､,,iiゞ~ ;:_ヽゞ ;"　　;"!" ヾ ;ゞ ;"ヾ"
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　||｀'-､二 ''ｰ､　｀''-､ヾ ; ;:_ヽゞ ;" "
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　||＼二二｀''-､｀'-、,__,,wyyvヾ ;ゞゞ

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　『晋書』『慕容暐載記』はこんな話を載せている
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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23 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:19:31.32 ID:ynnuQ/7i0: 　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　／''''''　　　'''''':::::::＼
. 　 |（●）,　　　､（●）､.:|　
　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|
. 　 |　　｀-=ﾆ=- '　.:::::::|　　　　　　　　　都では北伐を行ってはどうかと声が出ています
　　＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／　
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-､
:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|
　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:`:.:::'´:.:.:.:.:.::.:.:.:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.'，
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.::.:.:.／{|^¨⌒~¨''¨￣ヾ.:.:.::.:.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　 ∠:.:.:.|:.:./::／　 |!　__,.．-‐　　　}.:.:.::.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {:/{:/{:/_,__〈ィ云斥心､＿＿_{.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |'Y////ﾉ"{///////}７￣￣ヽ.:.:.::.:.:.:.:.:.:.}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　{//／　　ヽ///少'　　　　　 }:Y⌒ヽ:.:.:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｰ{　　　〉￣　　　　　　　 .V ,ハ .}:.:.:|
　　　　　　　慕容恪がいるぞ。　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　ｒ､ {　`ｰ　　　　　　　　　　　　　ﾉ心 /:.:./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＼　　　　　　　　　　　　　　し' /:.:./
　　　　　　　むしろ、憂いは大きくなった　　　　　　　　　　　　　　　　{ ⌒"''ヽ､　　　　　　　　　ｒ''{¨:.:.:./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　 }　　　　　　　　　　　　　/　 |:.:.:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　 |　　　　　　　　　 /　　 !:.:{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　　　　　　　　　 _ -‐′　__|从__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､＿_,,.. ．-‐≦　_　，＜　　〉　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _}＿_　_ ，＜　　　　　 .／　　　 |`ｰ─
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／}ﾊ　ｒ､　　　　　　　　／　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ //{￣￣}　　　　　／. 　　　　 |

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　晋　太尉　桓温
24 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:20:07.96 ID:ynnuQ/7i0: 　　　　　　 /＼＿＿_／ヽ
　　　　　／ ,,,,,,,ﾉiヽ,,,,,,:::i|li:＼
　　　　　|（○）,　　　､（○）､ :|
　　　　　|　⌒,,ﾉ(､_, )ヽ⌒ u.::|
　　　　　|u　{,｀ﾄ===ｲ ,} 　::::::|　　　　　　　　　　　　申し上げます！
　　　　　＼　　ヾﾆノ　　.::::/"''=-
　　／::ノ"''ﾌ:ﾉ|ﾞ x ''|ヽ!:::_,,,L,,ﾉ,,ﾉ_ノﾞ>i、　　　　　　慕容部の軍勢が淮水の北に姿を見せているとの事！！
.　　i／ﾍ"　ﾑﾉ:::::| i::::! |-''"::::/　　　ﾞヾノヽ
　 /（:::::::ﾞソ"_;;;;;;ﾉ: :V: :ヽ　''"ヽi、　をノ
　（::::ヽ,ノ"!,,_::;／: :i: :i: : :ヽ_;;:::::"ヽi、
　 ^ﾞ''" ／::::;ｼ: : : : i , -ii !、＼::;;ノ::::）
　　　（::::ヽへ、: : : i　　　 i/　ﾞ''ヽ,/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::ミi::::::::::::::::::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . 　　 ′::::::::::::::::::::::::::::::::Y::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::::::::::::::::::::／::::::::::r=ぅ:::::::::::::_:::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_|:::::::::::::::::::::::::::_彡:/^7::::彡'　ミ:::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/r V::/:::::::::::::::::::::/j::j　""　　　　ﾐ::::ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　八{ﾊ.V {::/:::::::::::／/:/　　　　　　　}:/　′
　　　　　　　そら来た。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽｰi ﾚ __彡 ' _.／　　　　_,,,...=ぇ |i /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　込ト-r≧====x ＿r≦====x〃「
　　　　　　　まあ、渡っては来ないだろうが　　　　　　　　　　　　　　　　 ‘，　辷=-///￣ヽﾆ=-///j /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　，　`ー一'　i　　 `ー一'　′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　 ∧　　　 :..　　ﾉ　　　　 ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣｀7　iヽ　　＿　二....＿_　　/ ⌒ヽ￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　 /　 .＼へ　　こ二ヽ＼〃　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　｀ヽ＞　＿,　＼> 厂￣｀＞＼

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　桓温は慕容恪の存在を憂慮していた
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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25 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:21:46.25 ID:ynnuQ/7i0: 【紀元３６０年２月　晋　豫州　譙郡】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｨ彡
　　　　　　　　　　　　　 ,.,､　　　　　　　　　　 /;ｲ'二x
　　　　　　　　　　　　ｨ;fr二ｘ　　　　　,、　　,ﾊ　　　' ｲ､廴ﾊ　　　　　　　　　　　　 ,ﾊ
　　　　　　　　　　　　彡{_i､_ﾒ　　　　 .| ヽィ=xl 　,ィ:べ-;ｭﾊｰ､　　　　　　　　_,.ﾄ､､込ﾍ_,. -┐　　　へいへいw
　　　　　　　　　 ,. -ﾍ┘ｰﾄ､　　 ∧i;//,.斗､/: : /‐┴‐トヾ,　　　　　　_≧斗''"ヽ＼ _／
　　　　　　　　　　　 |:ヽ: /T二ヾ:､　ｨ;∧ ﾊヾ'　/: イv_,､_　」_iハ,.,.,. ､_ヾミ`ﾞ｀　　　　ヽ.Xﾍ　　　　.晋軍びびってるーwww
　　　　　　　　　　　 i : : 「　　 !L:斗'ｿ　 { !＼､ｰ-廴_/_,ｿ､ｴ7ﾞ　　ｨ彡ﾞ'　　 .:　　　/／'ヽヽ',
　　　　　　　　　　　 .!: : :┬-,-'-L,.,.ｲ;　　,. --=-､/;|-‐┤ｰヘ＼ィィ　　　　 .:.: 　／'　　ﾏ| ',
　　　　　　　　 , -=､.＞-廴ィ-/　／　＿{__,.ノﾞ｀/: :㌢:´;､:o: Y＼＼_　　　　.:.:　/　｀￢　_,ｲ　〉
　　　　　　　 _{　ﾉ_/i二才:o: :i_／,.　´　／ｲ .／:／; :／: : ヽ:{　ノ＼ｰ￣二　 ┴--‐'"＜_／
　　　　　／　人ゞ: : :fニ＞／ ,/ 　／／ﾐ　＼ : ´:/}: : :_:_:」ﾞ:´　　＼＼　￣i￣フ´
　　　　 /　／／}　ヽﾍニ//.,ｨ/　／／　　廴　ヽ'　 L:/ニ/ :.:.　　、＼＼i_.ﾉ"ﾞ´　　　　　　　ｨ､　　､　 ,.
　　　 ./／／　 {ヾ┬r -!ﾆ i/;';f／／i　　　　｀t‐ ┬f'' /ニ/　　ﾞ　　　ヽ　ヽ-/　　　　　　　　　　　 ,]:i:i､　 ,ﾉ:i:i:〈
　　　/ ／　　　＼_! l　.У/;';'ｲ''" 　 ! ヽ､　､＼_|　!こУﾑ　､　　　　', .:/ ｲ　　　　　　　　　　　/:i:i:i:iУ:i:i:i:i:i:ﾊ
　　 i´　　　　　 ! i¨ヾ''{;';';λ　　　＼ヽヽ `　 ‘，', ｀¨¨´　　ヽ、　　 i/'" !　　　　　　　　　　,.､_,.]:i:i:i/:i:i:.:...7ﾆi:i}
　　　|.　　　　　　ヽ＼ﾉ;';';八　　　　 `　､_　　　ヽ＼　　_＼　ヽ　　|　 /　　　　　　　　　　У:i:〈:i:i:∨:i:i:i:if／~
　　　.}　　　　 ./´￣￣.／ｲ／　,〉　　　　/イ:i:i:i:i:「￣　¨¨　￣｀ヽ、ﾞ　　レ'　　　　　　　　　__/:i:i:i:i:i:iﾍ:i:i:〉i:i:i:i:i!
　　　 i　　　　ハ　　／　r─'"　　　／ヾ;i:i:i:i:i/　　　　　　　 /:i:iﾍ. 　 |　　　　　　　　　/:i:i:ﾔ:i:i:i:i:i:...ﾍ〈　:.:.;iﾘ
　　　ﾉ　_,.／／　　／　ハ　辰¨￣〈.　/:i:i:i/ 　　　　　 /:i:i／‘，　Y　　　　　　　 /ｲ/´ ﾏ:i:i:i:i:}-- ､　ﾄ､＼
　　ノ　ﾉ　　ヽ　　{　　　｀ﾍ. ‘，＼　　r':i:i:i∧ 　　　　　 }:i:/　　.i:.:.:i′　　　　　　　　　　 jli!　ノ　　 !、i / /
　 .i　　|　　　 ‘，ヽ　　　　ﾊ　ヽ　{　　:i:i:i:{　ヽ　　　　　 /:i:i! 　 f:.:.ノ　　　　　　　　　　　 ilil'＼ヽ　　 | !ﾍ/
　 i　　.!　　　　　 ' 　 }　　　 .ﾉ　 /'┘　 :i:i:i:＼　〉　　　.／｀:i:i:'　_,ﾉ:i:i:|

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　この話の真偽はさておき、
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　史書の記述を見る限り、桓温は慕容恪に対しては後手を踏んでいる。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　当時、豫州の過半は前燕の手に落ちていたが、これの奪回もしていない。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　対前燕が北府軍の管轄だったのもあるかもしれない
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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26 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:24:59.46 ID:ynnuQ/7i0: 【紀元３６１年３月　晋　司隷　野王】
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　龍城○　○棘城　○襄平
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　盛楽　　　　　　　　凡城○　　　､-' ﾍ
　　　 ,r'｀ｰ-､_;＿,　　　○　　　　平城　　　薊令支○　　/´　　/
　　 r'´　　　　　　￣ヽ,　　　　　　○　　　　 ◎　　　 ,r'´　　　r'　 r‐
　　 }　　　　　　　　　　{　　　　　　　　　　　　　　 ,.､＿ﾉ　　　　_"7 /
　　/　　　　　　　　　 r'　　晋陽　　太　　　　　 /　　　　　　　 'ｰ'´
　 ./　　　　　　　　　ﾉ　　　　○　　　　　　　　　ヽ
　 '　　　　　　　　　　{　　　陽邑○行　　魯口　　　ｰ､　　　 r'‐-,_,_ｨ_
　　　　　　　　　　　 } 　　　　　　　　　　　　○　　　／ヽ＿r'　　　 _r'´
　　　　　　　　　　　 {　平陽　　　山鄴　○　r-'´　〇○広固　r' ' 　
　　　　　　｀ヽ　　　}　○　壺関○　○広宗ノ　　　臨淄　　}'ｰ'　
　　　　　　　　{　　 {　　　　　　　脈　　　　r○廩丘　　　　r'　
　 '´｀ー-,　　　ヽ　 /（河東）野王●　　　ノ　　　　　　　 r'　　
　　　　　＼　　 'ｴ＿,.-‐'｀ー―‐'―= ‐'　　　　　　　　　 .,　　　
　￣￣｀ー‐'―'´　　　　　○　石門○○倉垣　　　　〇　　>
　　　　　　　○長安　　洛陽　　　○許昌　　　　　下邳,_,　' ヽ　
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､　　　　　　　 .東晋の升平五年（三六一年）三月。
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　　　　　　　　　　先年前燕に降っていた野王の呂護が
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/　　　　　　　　　　 . 晋軍を引き入れて鄴襲撃を計画したのが露見。
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼　　　　　　　　　　　　慕容恪が五万の兵を率いて討伐に赴く事態となった
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿__　　
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/
27 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:25:50.78 ID:ynnuQ/7i0: 【紀元３６１年８月　晋　司隷　野王】

　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!
　　　 i　　/　　　　　　　,i! ﾊﾊ　　 ,!i　　　　　　　　,'
　　　 '､　{!,　i　　　　　 ,! l l l .l　 /! l　 ,ｨ　　　　/
　　　　`ヽ! ヽj､　　　　Ｈ,,!､! .l　/'! l　,!-ｊ/ｊノ　　i
　　　　　　　　 `'!,　　i !ｒ',.､＼l/　ｊノ∠ﾞ`'l i　　 '､　 )ヽ　　　　　ここの主の呂護は妻子を見捨てて逃亡した。
　　　　／（　　　ｊ　（i　i `''ﾟ`''` ｰ'''"ﾟ-" / ｌ）　　 `'''ﾞノ
　　　　（　　`''-'"　　 '! ﾊ　　　ｊ　　　 /ｌ .! 　　　　`ヽ　　　　　俺たちは大人しく降伏するから命だけは助けてくれ
　　　　　`＞　　　　　Ｖﾞ＼　ｰ -　,／　Ｖ　　　　　　 `ヽ
　　,ｒ''~￣　　　 /　,'　　　　| `''－ ''"　|　 _　ヽ　　`:､　　　!
　/,ｒ'７　　　　 ,'　ﾊ（ｰ'ﾞｒ`┘､__　　__,, ﾞくﾉヽ__i　　　!　　ﾊｊ
　'､!　!____ｒ''Ｔ"!､ !　`ｰ' ｌ----------／　　 ,/　 ,ｲﾄ:､ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　∨ >､　　＿
---''"　　i､　`:,､ﾞ`'' ＼　'!､　　　　,,-'' ／` ｰ'--'" ﾉ　 `ﾞヽ, 　　　　　　　　　　　　　　〉// >､: : : : ｀:..､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿　／:::∨//｣: : : ＼: ::＼
　　　　　　　　　　　晋　広平郡の人　梁琛　　　　　　　　　　　　　　　 `マ///／斗――::＼: : : :ヽ: : :ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 f⌒ﾏ/／: : : : : : : :. :.:☆:::|:..|: : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂__j/:..:l: : : ＼: ＼＿: :∨:..|: : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　|: 八ﾄ､＼:`く_jＬ斗ｲ| :..|: : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼l|::∨X:＼У┘代う儿..:|: :|.:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　八: ::Y代う　　　　 | :|: :|.:.|
　　　　ここに残った将兵をまとめているのはあなたみたいね。　　　　　　 .∨::∧ 　 ′　　　 |: |: :|.:.|＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨:|: l>､　 - '　／|: |: :|.:.|＼＼
　　　　我が国に仕える気はないかしら？　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .∨..:|:| l＞--イ　/: :|:八: ＼: : :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ｖ:|:| |:_l＞/j　/: : |{　 `ー_､:＼::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V::|7/　/{　/|.:.:从　／:::::斗､＼::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,/.|:.:|/ 厂_У 从{ / /::::／. . . .＼＼∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/. .|从　| ／ ====' /::::::{. . . . . . . |＼〈∧

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　八月。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　呂護は妻子を棄てて南へ逃走し、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　彼の配下は全て慕容恪に降伏している。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　『晋書』『哀帝紀』によると、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　呂護は野王から退いて滎陽を保ったとある
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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28 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:26:50.06 ID:ynnuQ/7i0: 　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　 ,,..-‐''´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　 .l::::::::.__:::::::::::::::::::::::/|::::::::/|:::::::::／｀ヽ:::::::::::::::::::::::::,'
　　　　　　ヽl'"／:::::::::::::::::::/. |:::::/　|::::::/　　　|:::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　./::::::::::::::::::::::::l　 |::::l　 .|::::/ 　　 .|:::::/|:::::::::::::|
　　　　　　　　　l:::::::::::::::::::::::::::|ニﾐ::|　　|:::l　　　　.|::/　|::::::::::::ヽ、
　　　　　　　 .l::::/|::::::::::::::从￣ヽミﾐ、ヽ|　 _,,≦ミﾐ　.|::::::::::::::::::ヽ、
　　　　　　　ヽ| |:::::::::::::::::', 　 ''" rヽﾞ　''"rヽ｀ヽ　.,':::::::::::::::::::lヽヽ
　　　　　　　　　　　ヽ::::::/ |:::',　｀￣´　　｀￣ ´　,'::lヽ:::::::::::::::', .',|　　　　慕容恪将軍の御眼鏡に適うとは嬉しいね。
　　　　　　　　　　　　 ',:::ヽ|::::',　　　　　〈　　　　　.,'::::|/:::::::::::::::::|　|
　　　　　 /:l　　　　 /::::::::::::::'.,　　　_,,.-''´/　　 ./:::::::::::::::::::::::::/　　　　　戦闘力は大した事ないけどよろしくな
　　　　　　 l::::ヽ、＿ノ::::::::::::::::::::ヽ、　｀''‐''´　　／|:::::::::::::::::::::::::l　　ﾄ、
　　　　　　 |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|｀''-.,,＿,,.-''´　 .|:::::::::::::::::::::::::｀''‐'':/
　　　　　　ヽ __::::::::::::::::::::::::,-、__ .|　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::::-''´
,--、　　　　 .／:::::::::::::::,-‐/　.|‐''´|　　　　　　　　｀￣/ヽrt＿:::::::｀ヽ、
|　 .l　　　　 l::::::::::::::::::::l　　　＼―-..,,_　 v　._,,..-―‐/　　/　./｀lヽ、:::',
| .r┴.、＿_　|::／ヽ、:::ヽ、　　　＼――――――／　__/ .／　.l　ヽ__l_
.',|　　| .,-、ヽ_　　　 .｀￣、　＼__　.＼.‐┐┌―.／　　｀￣／　/　　＿＿ヽ
　', 　.|/　 | r┐ヽl⌒l　　　｀''-..,,_ ｀_,,-‐.lγl-―‐.、--‐''"´　　,,..-''"||　　｀ヽ、
　｀　|　　| .|　|　.|　 |￣￣￣￣　/　／ヽ/｀ヽ　ヽ￣￣￣￣　　　 ||　　　　ヽ

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　梁琛、司隷広平郡の人。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　呂護の参軍を務めていた人物で、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　前燕に仕えて著作郎、黄門侍郎、大鴻臚を歴任した。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　後に前秦との外交を務めると共に、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　前燕の人材の層の薄さを象徴するような人物である
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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29 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:28:44.09 ID:ynnuQ/7i0: 【紀元３６１年９月　前燕　首都　鄴】

　　　　　　　　/―Ｙーヽ
　　　　　　　/:::::(○)(○)ヽ
　　　　　／::::::::::⌒｀´⌒::::＼
　　　　／:::::::::,-）＿＿＿（-、|　　　　　　　　　元趙の将軍の呂護でございますっていう。
　　　 |:::::::::::::l　　|-┬-|　　l |
　　　＼::::::::　　　`ー'´ 　／　　　　　　　　　恥を忍んで陛下に帰順するので、
　　　　ノ:::::::　　　　　　　　　＼　　　　　　　　これまでの諸々の罪はどうか御容赦をっていう
　.／:::::::::::::::::　　　　　　　ヽ
　|:::::::　　ｌ　　　　　　　　　　＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.,Å､　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r-‐i'''''''''''i''-'‐-､　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .o|　ｏ!　.ｏ　 i ｏ　!o
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＼___|｀‐´ ｀‐´|___／.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|____＿＿＿＿＿＿___|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |l l　/〃　ヽヽ} | 　､　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ljﾊ　ﾄkﾊ暐从斗j.　｜　',
　　　　　　　　　　　　誠意は言葉ではなく態度　　　　　.　　　　　　　　　　　　　　 l∧}●　Ｖ　● !　　|、ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ.ﾉ⊃ ､_,､_,　⊂⊃ .|ﾉ　ヽ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/⌒ヽ_.ﾘ人　　ゝ._）　./". /⌒i　　ヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ /／"　＞,､ __　イ{.　ﾍ　 /!　　}　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 /　＼　 (::::::::Y Y:::::.!｜｀´/ﾍ　{ 　{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ／ﾉ　　):::::::∨:::::ﾉ. ヾ..ノ.::::::＼＼丶

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　だが、九月に入ると、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　呂護は謀反して慕容暐の下へ逃げたと『晋書』『哀帝紀』は記す。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .『晋書』『慕容暐載記』には、ほどなく再び背いて帰順したとある
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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30 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:29:53.90 ID:ynnuQ/7i0: 　　　　　　　|////>､　　　　-‐...――-　_ ,ｲ/////|
　　　　　　　|//////`く: : : : : : : : : : : :..,.ｲ //////|
　　　　　　　V/////// 〉:,.斗―――-｀マ /////∧
　　　　　　　 ∨/////イ　　-―――-　 `く////:.∧
　　　　　／￣`く /／／: : : : :/ : : : : : :| : :＼`く: : : ∧
　　　　　lし'⌒ヽ Y ／. : : :..:| :. : : : :.|.:..:.| : : |: ＼}＼ : :|
　　　　　`く:::::::::ノl/.: .: :.|: :| |:..|: : :. :.|:..:..| : : |...:.:く厂〉..:|
　　　　　 /::厂|: :/ : :|.:.:.|: :| |:..|: : :. :.|ｌ..-|― ト: :|:l∨:..: |
　　　　　 l/|::| |: :|:| : |:.斗::f千l|: : :. :.|l..:.:| : : | : ｌ|:|: : : : |
　　　　　 └l┘ |:|:ィ|.:..:|: :| |:儿: ＿儿斗==气儿: |: : .:|
　　　　　　 |: l.:从: :|,.斗=f气ヽ　　ノ八rうｸ厶|/ : : :|
　　　　　　 | :|:{:..:V八 Vしｸ、　　　　　´"" ｀　 |: : : /l　　　　　　　　帰順を受け入れるし、
　　　　　　 |: |: : ::∧ ´"´｀　　　　　　　　　 ′ / :|　　　　　　　 .以前の通りに野王の支配も認めるわ。
　　　　　　　＼＼.:.:∧ 　　　　 ′　　　　 /: : /: ∧
　　　　　　　　 ∧. : :.:∧　　　　　　　　 , : : / : :|:.|　　　　　　　代わりに洛陽を攻めてもらえないかしら？
　　　　　　　　 |:∧ :＼/:>､　　　 `　　´　　,.ｲ: : /: : /|.:|
　　　　　　　　 | |:∧: : ＼: :＞　　　　　 .イ|:/ : : : ::∧|:.|
　　　　　　　　 | | :.∧＼::|: |У>､≧=千く ,仆 : /::∧/|.:|　　　　　　　　　　＼＿_人＿人从＿人＿人从／
　　　　　　　　 | l: :| ∧ :..|: |{ 　{ 　 l厂　// |: : |:∧//|:.|　　　　　　　　　　＿）　　　　　　　　　　　　（＿＿
　　　　＿＿_j_廴厶ｲ..: | :| ｝　｝　{{ 　 { {　|: : |:|/＼_j_廴＿＿_　　　　　　）　　　　ははッ！！　　　　（
　　　／　＿＿＿＿　|: : |: |＜〔＿ j}＿jl_jノ|: : |:|`ー――‐- ､　｀>､　　￣￣）　　　　　　　　　　　　　　(￣￣
　　/ヽ／二二ニﾆﾆﾆ|: : | :|　　￣A￣　　|: : |:|ﾏニニニニニ>/=∧　　　／⌒Y⌒Y⌒⌒Y⌒Y⌒Y⌒＼
　 /ニ∨ニニニニﾆﾆ|.|:..|: |　　　 [｣　　　八:..:|:| ∨ニﾏ〈ニニ/ニニ|
　 |ﾆニ∨ﾆﾆ/7ニ二/l.|.:.|: |　　　　{{　　 {　 Υ:|　ﾏニﾏニﾆ/ニニ=|
　 |ニﾆ=∨ /7ニニ/ 从..|: |　　　　{{　　　　 |: | ＿∨ﾆﾏﾆ/二二ニ|

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　そして、元の通りに待遇されたとあるため、野王に駐屯したと思われる。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　以後、再三寝返りを繰り返した呂護は
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　前燕の将として洛陽攻撃の先鋒に立たされた。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　当時、中原で戦っていた東晋と前燕の将はほとんど旧後趙の将である
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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31 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:31:16.19 ID:ynnuQ/7i0: 【紀元３６２年１月　晋　司隷　河陰】

　　　',　　　　　　　　　　　　　　　 /黄　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ､　　　　　　　 /　　　　　　　　
　　　 ',　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ､　　　 _,,,,,,-‐'′【河内郡】　　　
　　　 ',　　　○粟邑　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀‐-‐´　　　　　　　　　 ,-‐'´
　　　　　',　　　　　　　　　 / 河　　　　　〇安邑　　　○垣　　　　　　　　　　　　○野王　　　　_,-‐'i´
　　　　）　　　　　　　　 ,'　　　 ○解　　　　　　　　　　 ,,,..-‐- ､,,,_　　　　河橋　温　　　〇懐_,,,-‐'´　　｀-､
　　　 ,''´　　　【馮翊郡】　　 ,'　　　　　　　　　　　　 ,,／　　　邙山▲ -､,,_　○　○ ＿,,,-一'´　【滎陽郡】　 l　
　　　 '、　　　　　　　　　　　ｌ ○蒲阪　　　大陽○,,-‐'´　　　　【河南尹】　洛陽●河陰~´　　成皋　○滎陽　　　!
ヽ,　　）　　　　　　　　　　入　　　 _,,,,...-一'´〇陝　　　○十三里橋× ○　　〇偃師　　　○　　　　　 ○　○倉垣
　　｀~´　渭水_,,,,,...---‐‐''´×潼関 ‐'○湖○　　　　　　　新安　　　　　 ○　　〇緱氏　　　▲　　　　　　中牟
〇渭城 ,,,-‐'´´　　　　　 ○華陰　　　　弘農　　　 ○　　　　　○宜陽河南　＿,,..-‐- ､嵩山○轘轅　　【陳留国】
,--‐‐'^´　　　　　〇　　▲　　　　　　　　　　　澠池　　　　　 ○　　 (´ 　○輪氏　｀､　○密　 ,／
〇長安　〇隠盤　鄭　華山　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　新城　　｀`'''‐-､,,_　　　｀‐-‐'''´´　｀~~`ヽ､
　○覇上　　　　　　　　　　　　　　　　【弘農郡】　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ○梁　 _,) 　　〇陽翟　　　　　　
　【京兆郡】　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,,_　　 ,ィ´　【潁川郡】　　　 ○許昌

　　　　　　　　/＼Ｙ／ヽ
　　　　　　　/ （○) (○）ヽ
　　　　　／::::⌒｀　 ´⌒::::＼
　　　　　|　,-)　ヽ＿＿ノ（-、|　　　　　　 .jl　　　　　　　／/
　　　　 | 　l　　|r┬.l［］　　.|　　　　　 l ||　　ヽ　＼／
　　　　　＼　　 `ー|| |　／""'''ヽ　　　 | ||　　　ゝ　　　/　　　　　　　これからは慕容部の時代だっていう！
　　　　,,,-彡＿,r''"￣「/￣/￣/;二"二"二((二(（三三Ｃ≡＝─
　　_,-|　 r'"　二　=＝i　ﾆﾆ二/＼/ccccccc//＿ヽ　）　　　ヽ　　　　　どうせ晋の朝廷は、
　<､、ﾞl　　-￣￣C＝]　ﾉ;ヾ / ⊂ﾆﾆﾆ二二ソﾆﾆﾆｿﾉ／⌒ヽ＼　　　　洛陽の救援なんかに来ないっていう！！
　　 ,lﾞﾞ'l、　　」ﾆﾆ二二〈ｰ;;　＼/二L＿」┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
　／　 l　　/;:: /{￣`)ﾉ　ーーｰ＼　　/
/´　　　ゝ　;;::/　{　￣ｿ　　ヽ　　　　　/

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　東晋の隆和元年（三六二年）一月。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　呂護らが率いる前燕軍が
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .河陰を拠点に小塁を陥落させつつ洛陽へ迫った
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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32 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:32:04.93 ID:ynnuQ/7i0: 【紀元３６２年４月　晋　司隷　洛陽】

　　　　　　　,;-、 ,;-、 ,;-、　, ー､　 ;-、 ,;-、
　　　　　　　l'i;;l　l'i;;ｌ　l'i;;l 　i!;l⌒i|　l'i;;l　l'i;;l　　　　__
　　　　　　/l三三三三三三三三三三三三l`ー'";:;;|
　　　　　 //i;:'';':;'';:;:'';':;'';:;:'';'i/:;'';;i/';:;''i/:':;;''i/ ;:;:;: :; "|
　　　　　//;:!'';':;'' 　　';':;'';:;iコ';':;'';:　;:'';[l] ;:' : ;';' ;' :;'';'|
　　　　 //'' |;':;'　;':;'';:;:;':;'';:;:;':;'';:;:　';:;;':;'';:;　　;':;'';: :i!　|　　　 ,,;=‐=,,
　　　　 `i''　|　　　;':;'';　　:;:　';:;;':;'';:;　　;':;'';: ;;:;;' 　i!;:;;| 　　　|∩;:;:;|
　　　　　|;':; |;':;'';:;:　';:;;':;'';:;　[l];':;'';: ;';:;;':;'';:;　　;':; '';;;;: |　　　,|:! i ':;:;|_
　　　　　|;':; |　;':;　　'';:;:　';:;;':;'';:;　　;':;'';: ;:i!i　 ,;':; '';i!;: | 　　i'''"￣~`'i
　　　　　|;':; |;':;'';:;:　';:;;':;';':;'';:;　　;':;'';:;　　';:;　　;':;'';: ;'　|　　|':;'[];:;[]' ;|
　　　,＿,|;:_,,|:__: ＿＿;　'';':;'';:;　[l];':;';':;'';:;　　';:;:i!　';:;;: ;|　　!':;'';:':　;'';:|
　　　|:;'';:;:　'';;／| ;:;: ;:;|　;　　'';:;:　';:;;';'::;'';:;　　;':;'';: ;:i!;:;'l　　!':;'[];:;[]';::|
　　　|:;'';:;:;'／:;'' | ;:;':　|　;':;　　'';:;:　';:;;':;'';:;　　;':;'';: ;:i!i　|　._!':;'';:':　;'';:|
　　　|:;'':／:;'';:; .'|:;'';:;:;:'i,__;:;__;:;:'';:';:;　;:;:'';:'　;:;:'';:;:'';:';:':'' :'| _|;:|; ;[];:;[]';::|
,.,;:;､, |／:;'';:; ;:;;;.'|:;'';:;:'';:';:;:'';:'|;:;:'';:';:;　;:;:'';:'　;:;:'';:;:'';:';:':'' :'||;:|;`i,;:';:'';:'';; |
　　　　　　　"'` Y;:;:

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　───────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣￣￣￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　───────　　　ﾄ､　　　　　／　　　　　　　　　　　　＼　　　　 ,:ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.|　＼_＿＿/　　＿＿＿　,,),,) ＿＿＿　ヽ＿／　|
　　　　　　　　　守り切れるかこんなもん！　　　　　　　　　　　　　.|　　　　 ..:::ヾ::::::ヾ:::::::::::/　　　ヾ::::::::::/　　|　　　/　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　....::::;;;;ジ:::::::　ヾ;;;;;/　　　　ヾ;;;;;/　　 |;;::. シ　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　───────　　　　￣￣￣|:::::::::::::::::　　i￣i￣i￣i　　　　　|￣　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ:::::::::::::::::::￣￣￣￣￣　　　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　───────

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　四月。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　呂護の軍勢が洛陽を攻撃すると、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　桓温が洛陽守備に置いていた河南郡太守戴施は宛へ逃亡。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　同じく洛陽守備に駐屯していた冠軍将軍陳祐は桓温へ救援を求めている
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
33 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:33:32.05 ID:ynnuQ/7i0: 【紀元３６２年７月　晋　司隷　河陰】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　::::'''''ﾍ-..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　冫:::::::::::::::::`ｰ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　冫＿::::::::上,,⌒
　　　　　　＼＿_人＿人从＿人＿人从／　　　　　　　　　　/VﾆﾆﾆﾆﾆVl
　　　　　　＿）　　　　　　　　　　　　（＿＿　　　　　　　　ゝﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾉ_
　　　　　　　）　　呂護将軍討死ッ！　（　　　　　　　　　　　|ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ/　　　　　　＼_人＿人∧从＿人_∧_人_从_/／
　　　　　￣￣）　　　　　　　　　　　　　　(￣￣　　　　　　　　ヽ_ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ＼__　　　　　　)　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
　　　　　　　／⌒Y⌒Y⌒⌒Y⌒Y⌒Y⌒＼　　　　　　　　　　ノﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ｀'ｬ｡,__　＜　　　　撤退するぞ！！　　　　＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,｡ｬ'´ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆく　　　　<　　　　　　　　　　　　　　　　　(　　　　
　　　　　　　　　　　　 _　　上,,,,,,..-‐ノ'　　　　　　　〉ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ',　　　　／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^YY^^Y^
　　　　ｌ、」'、ノ`-'"ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ`ﾞ''ﾞ亡ｰ-L　　　, 'ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ',　　　.l|　　　　　　　　 l1
　　　　_..ﾉ宀'’ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ~~''‐ﾆ　　, 'ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ'.,　 │'‐‐　　　　　 .l|
　　　./=ｧﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ',　 l/l　　＼,,,,,,.　　│'‐‐
　　-/レ彡ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ-┘　l..|　　　　　 /　 .l/l　　＼,,,,,,.
　＼ニニlﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ_ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ',　　l:lj''ｰ----‐'´　　.|　　　　　 /
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　　,｡sニニニニﾆs｡,ﾆﾆﾆﾉ　',ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ　-､
　/ニニニニニニニﾆヽ´,｡ｬ'',ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆヽ＼

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　洛陽を巡る攻防は、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　桓温が派遣した水軍三千を交えて七月まで続いた。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .呂護が流れ矢に当たって戦死したため、残る前燕軍は野王へ撤退した
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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34 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:34:13.10 ID:ynnuQ/7i0: 【紀元３６２年頃　晋　荊州　江陵】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／.:.:.::.:.:.:.:.`ー､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／.:.:./:/./:/}}‐-ミ::.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.ｒ====ミ_ｒ====､}::.:.}
　　　　　　　　　　　　　　　／｀ヽつ {:.:./`ｰ─ 〈　〉､＿__〉::.:}
　　　　　　　　　 _／二＼ } .{ Y　,　　　　　　　　　}/
　　　　　　　　　　　　 /　＿　ヽ } | |　　{二二二二二}　ﾊ　　　　　　　　　　　　おう、遷都だ遷都！
　　　　　　　　　　 /　　/ ヽ _j　|_〉.　ヽ__＿＿＿_/　,'ｯ,'
＿,､＿／¨ヽ､＿＿ /　　/　 /　Yヽ .}ヽ　 `ｰ──‐′/ノ　　　　　　　　　　　　.会稽王へ上奏文出しといてくれよ！！
　　　　／　{　　　 {　　/＿/ .／ .ﾉ__j　＼　　　　　 ,ィ
　／／　　 |　　　｜　 |　　| ./イ　}　|　　　ー‐ ≦_　　　　　　　　　　　　　　　.どこへって洛陽に決まっているだろう！！
　／　　　　|　　　 |　　|＿_|// 八.| /|　　　　　 /}　＼　　　　　　＿
　　　　　　　|　「」　|ー''　　／　ﾏﾑj　}　　　＿_/｜　　（ー‐‐=≦　　} `ｰ　､＿,､＿＿
　　　　　　　}＿＿_|　　　　￣￣ﾏﾑ＿＿／ﾏ7ﾏ7|　／　　　　　 | 　／　 .／
＿＿＿＿／　　}　　　　　　　　　ⅥⅨⅣⅣ　　　ヽ'´　　　　　　　　　{ ／　 .／
　　　　　　　　　,' ｉ　　　　i　　　　 ⅥⅣ　　　　　　　　　　　　　　　　 }　 .／
　　　　　　　　 /　ｉ　　　　 i　　　 ∧Ⅳ　　　　　　　　　　　　　, -'"　　}／
_　　　　　　　 / 　 i　　　　 i　　∧//ﾊ　, -'"　　　　　　　　　　　　　/
　‐-　_　　　 /　　　i　　　　　　ｉ/////ｉ　　　　　　_,.．-'''"　　　　　/
　　　　＼ ./　ｉ　　 i　　　　　 |/////| 　 _,.．-'''"　　　　　　　　　{
　　　　　　/　　i　　　ｉ　　　　　 |/////|　　　　　　　　　　, -'"　　　}＿＿＿＿＿＿

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　ちなみに、桓温が洛陽還都を言い出したのはこの時期だ。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　洛陽の戦況を伝え聞いていれば、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .賛成する者などいないはずであり、土断導入の口実作りの疑いが残る
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
35 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:35:51.89 ID:ynnuQ/7i0: 【紀元３６３年頃　晋　司隷　滎陽郡】

　　　　　　　　　　　○壺関　　　ト､_　　　　 ◎鄴　　　　　　　　　　〉
　　并　　　　　州　　　　　　　　　| 　｀`ヽ､_　　　　　【魏郡】　　　　　,/
　　　　　　　　○長子　　　　 /　　　　　｀`ヽ､　内黄　　　　 _,/ 　〇
｀‐-､　　　　　　　　　 _,,ノ′　　蕩陰×　　｀, 　 ○　＿,,,-‐´　　東武陽
　　ｌ　　　　　　　　　　「　　【汲郡】　　　　　　,'　　／　○　　　　　　　　　【東平国】
　　 ,!　　　【上党郡】　　ｌ　　　　　　枋頭　 /黎陽/　頓丘　【東郡】
　（　　　　　　　　　　　　　〉　　黄橋〇　○　i´ ○／河　　　　　○鄄城
　　 `ヽ､　　　　　　　 /　　　　　　　　ヽ／ ○　　 ○濮陽　〇廩丘　　　【山陽郡】
　　　　 `ヽ､　　 _,,,,,,-‐'′　【河内郡】　　／　白馬
　　　　　 `‐-‐´　　　　　　　　　 ,-‐'´○東燕　　　　　　　　　　　　　昌邑
　　司　　　　　　　○野王　　　隷　_,-‐'i´ ○延津　　　　　　【済陰郡】　○　　　　　○
,_　　　河橋　温　　　○懐_,,,-‐'´黄　｀-､　　　　　　　　　　　　定陶
　｀｀`‐-,,　_○　○ ＿,,,-一'´ ×官渡　　　　　○封丘　　兗　　　　州
　　　　　￣｀ﾞ~~~´　　　　 ●滎陽　石門○!倉垣　　【陳留国】　　　　　 ,-､
　　　　　 ○洛陽　　　　【滎陽郡】　○ ｀○､　陳留　　○外黄　　　／　/　 _,,,_
　　 ○　　　　　　【河南尹】　　　　中牟　 /　●　　　　　　　／　（_,／　｀ヽ
　　河南　　＿,,..-‐- ､,＿　　　　　　　 ,,-一´ 　　　 ○雍丘　 ,,-‐′○蒙城
　　○　　('´ 　○輪氏　｀､　　　　 ,／　　　　　　　　　　ヽ　　　【梁国】
　新城　　｀`'''‐-､,,_　　　｀‐-‐'''´´　｀~~`ヽ､　　　 ,,_○圉＿,,-‐′
　　　　　梁○　　 _,,) 　　〇陽翟　　　　×洧倉.--′｀´○陽夏　　　　　　　　　　　　　蕭
　　　　 ,,,_　　 ,ィ´【襄城郡】　　　　　 ●許昌　　　　　　　　　【陳郡】　　　　　　　　　　　○
　　　 ,／　｀~´　ヽ　　　　　○　　【潁川郡】　　　　　　　　　　　　　　譙
　　,／　　　魯陽）　　　襄城　　　　　　　　　　　　　　　　 ○寧平　　　○　　【沛国】
,,／　　　　　　　○ ｀`'''i　　　　　　　豫　　　　　州　　○陳
　　　　　　　　　　　ゝ,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　荊　　　　　州　　　）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　【南陽郡】　/　　　　　　　　　　　　　　　南頓　　　　　　　
　　　　　〇宛　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○　　　　○項

／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、　　
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/　　　　　　　　　.翌興寧元年（三六三年）。
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/　　　　　　　　　　　前燕軍は滎陽・陳留・許昌を攻撃
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:　
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼　　
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿__　
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/
36 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:36:45.44 ID:ynnuQ/7i0: 【紀元３６４年４月　晋　豫州　許昌】

＼　　　　　 /＼＿＿_／ヽ　　
　＼　　／''''''　　　'''''':::::::＼
. 　　.＼ |（＞）,　　　､（＜）､.:|
　　　　 |　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|　　　　　　　　　　　　　　　　くそォ！
. 　　　 |　　｀-=ﾆ=- '　.:::::::|
　　　　　＼　　｀ﾆﾆ´　 .::::::: /⌒|　　　　　　　　　　　　　 .せっかく河北から戻ってきたのにまた拉致されるのか！！
　　　　　　 /　　　　　　　＿/　 /　　=====　
　　　　　　〈　　　　　　　　　_ノ　　====　　　　　　　　　　イテテち●こが擦れる！！！
　　　　　　＼　＼＿　　　　＼　　
　　　　　　　　＼＿__）　　　＼　　　======　　　(´⌒　
　　　　　　　　＼　　＿＿_ ＼＿＿　　(´⌒;;(´⌒;;　
　　　　　　　　　　＼＿＿＿）＿＿＿）(´;;⌒　 (´⌒　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -‐ '´￣￣｀ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |l l　/〃　ヽヽ} | 　､. ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼.　　　　　 ljﾊ　ﾄkﾊ評从斗j 　│ 　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　 l∧}●　Ｖ　● !　　|、ハ
　　　　　　　　豫州の民を冀州へ連行しなさい！　　　　　　　　　　　　　＼　　ﾊ.ﾉ⊃ ､_,､_,　⊂⊃ .|ﾉ　ヽ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /⌒ヽ_.ﾘ人　　ゝ._）　./". /⌒i　　ヽヽ
　　　　　　　　民に逃げられた分を取り戻すのよ！！　　　　　　　　　　　＼ /／"　＞,､ __　イ{.　ﾍ　 /!　　}　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　　 /　＼　 (::::::::Y Y:::::.!｜｀´/ﾍ　{ 　{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ／ﾉ　　):::::::∨:::::ﾉ. ヾ..ノ.::::::＼＼丶、

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　興寧二年（三六四年）四月。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　慕容評らの軍勢が許昌・陳を陥落させた。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .続いて汝南諸郡を攻略し、
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　一万余戸を幽州と冀州へ移したと『晋書』『慕容暐載記』は記す
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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37 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:37:35.22 ID:ynnuQ/7i0: 【紀元３６４年８月　晋　司隷　洛陽】

＼　　　　　　　 | └┴┬i::::|==========|: : ://__.　　　　　 rr┴' | |.:.::.[]:.:: : : :|
:::...>、　　　　　 |[]..::[]. 〈〈::::|::::::[]::::.:.:[]..r､]: :.[_[;;::::.}　　　　　　]:]:: : | | :.:: ::..::.::.:::.|. ┌::､　　 /〉
‐く.:〈　　　　　,、　 |. : : : :.: :＼:|:::::::::::::::::::::/. : : : : :〉〉　　　　　　 //:: : :| | : :.::.::.:::..::.:|-┘:::L、r‐//┐　,、
.: ::L└i 　 _　.||＿　| : : : : : :、〉〉/〉::::::;;:::〈 : : : : :〈〈　　　　　　ｒく〈:.;:..::..::.::_|:::/Tl::::;二/ﾑ、|　 ||　＿r─
::.: :└i:|　//＼| ::::ﾄ､＿_ : : :||＿'//､п∥::.:l| : : : : 〉〉　　　　　 |　:.|::|..::./rへ/ﾚYL;/:>┘/ﾄ┘.//::::.｀L「|-┘/:::ﾄyｨ
工エ::「 /〈. ::〈|-､_/::::::..＼r':.|.::[,/T>.:/ﾛ〃乢.: :: :〈〈　　　　　　￣└─匚|＿_| :| |:L:冂_| :|┐ .::::::ｉr==| |.:::.｢.:[]:}iｌ|{´
: :∠7ﾍlｺ:::|:.:..|-i_::_r√ソ＼>へ:| :|:ln| :]:|:П叮￣　　　　　　　　　　　　　　｡ｌ;_|_|ー|＿＿!｣====ｌ|＿<>‐┴─|i|l|
: :|ｪ| .:::::|:.:.|:::..|::::.|＼.::::》: :::L;:.::r| .L/∟ﾛ⊥!　　　　　　　　rｭ　　　　´　　　　　 '　　　　　　　　　　　　　　ﾙﾍ:
: :|ｪl:∩ ﾄi:.|::::.l＼|_;;||;;:|L:<)┴‐'''"~　　
: :|ｪ|_|::|/＜＞｡　
: :ﾚ|[:::《　　　'　　　　　、　　　　　　　　　　　　　／レ:ﾍ　　　　　　　＼_人＿人∧从＿人_∧_人_从_/／
_〈l〈V＼|コ　　　　　　　　　　　　　　　　　＿,‐|　.: : .:.| 7!＿　　　　　)　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
:ﾄ|ｪ|:|;;ﾚ'　rｭ　　　　　　´　　　　　 '　　　　 /　/　ﾞ'ｰ-‐''´//　 /|　　　＜　　　　大変ですッ！！！　　　＞
: :|ｪﾚ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　lニﾆﾆﾆﾆﾆl/　 // 　　　　<　　　　　　　　　　　　　　　　　(
／　　　　　　　'　　、　　　　　 `　　　　　 lニニニニニﾆﾆﾆﾆl/　　　　　／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^YY^^Y^

／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、　
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/　
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　　　　　　　　　　　そして、同じ年の八月
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/　　　
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:′
　∧＼　ﾏ三ｿ| .＼　
./: : ＼＼ヾ-〃 ..∧　
ｌ; : : : : ＼＼.り／: : :i
38 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:39:03.50 ID:ynnuQ/7i0: 　　　　　　　　　＿__　
　　　　/　　　 / ））））
　　　/　　　／＿ ⊂ﾉ
　　/　　　/|＼＿／￣￣＼_／|
　 /　／　＼＼＿|　 ▼　▼ |_／　　　　　　　　　また慕容部の連中が黄河を渡ってきました！
../ ／　　　　＼　　＼　皿／　　
　　　　　　　　　ヽ　　　　　 ⌒＼　　　　　　　　 .河陰の辺りに
　　　　　　　　　ﾉ　　　　　／>　>　　　　　　　　燕の太宰司馬の悦希の軍勢が駐屯しています！！
　　　　　　　/　　　　／　6三ﾉ　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┣¨┣¨┣¨┣¨

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /＼＿＿_／ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ ,,,,,,,ﾉiヽ,,,,,,:::i|li:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|（○）,　　　､（○）､ :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　⌒,,ﾉ(､_, )ヽ⌒ u.::|
　　　　　そっちもかよ！？　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.|u　{,｀ﾄ===ｲ ,} 　::::::|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　ヾﾆノ　　.::::/"''=-
　　　　　成皋にも燕の豫州刺史の孫興の軍勢が来てるぞ！！　　　　　　　.／::ノ"''ﾌ:ﾉ|ﾞ x ''|ヽ!:::_,,,L,,ﾉ,,ﾉ_ノﾞ>i、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　i／ﾍ"　ﾑﾉ:::::| i::::! |-''"::::/　　　ﾞヾノヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /（:::::::ﾞソ"_;;;;;;ﾉ: :V: :ヽ　''"ヽi、　をノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（::::ヽ,ノ"!,,_::;／: :i: :i: : :ヽ_;;:::::"ヽi、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ^ﾞ''" ／::::;ｼ: : : : i , -ii !、＼::;;ノ::::）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（::::ヽへ、: : : i　　　 i/　ﾞ''ヽ,/
39 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:39:52.56 ID:ynnuQ/7i0: 　　　　　　　　　　　 , --──-､
　　　　　　　　 , イ /　　　　　　ﾍ　ﾄ､
　　　　　　　　 i　!ー､〉　__ j　j __〉-ﾉ　i
　　　　　　ヾ＿,,;;》 `-"::: `-"l＿.ジ
　　　　　　　　 |　ヽ　' ＿ ` ｲ　　　
　　　　　　　　　l　l　　´＝｀　l　　　　　　　　　　　　　太宰司馬というと、
　　　　　　　　　　ﾉ　ヽ＿,､__ノ　　　　　　　　　　　　　あの慕容恪の配下ではないか。
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､　
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_　　　　　　　　　今度という今度は連中も本気なのか？
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､　
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!　
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : , :/: : : : : l :l: : : : : ∧: '，
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ﾉﾙ': /: i: : : : : : l: l: : l: : : :∧: ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣7: : :ﾇ‐､l: : : : : /l:人: l : : 八:∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{: : 〈芹ﾐ､≧=ｱ´⌒`Ⅵ: : /: :`ﾇ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ: :代リ　　ィf灯㍉/: :ノ: : /:l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_≧l""　, 　　ﾋり ,ノ: イーV: :ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　|　　　　　　ﾄ、　､　　 " 7: /__ノ: :/
　　慕容恪の手の者が　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　　　　|: :＞｡,__　　ノr7: /: : l／l
　　近隣の士民に帰順するよう声をかけているとも聞きます。　　　|_　　　　　 L_ｱ;;;;;;;/ 　　_l': ∧: : l: :/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, ―‐t、 ―　,|/;;;;;;;;/　／;;;l:/;;;;;＼:/
　　いよいよ、といった所ですね　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ _r＝='　　　　ｌ〉､;;;;;l ／;;;;;;;;;;;;;;;;;斗≧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..｢　　―┤　　　 l'　ヽ;;ﾙ;;;;;;;;;;;厶イ(＿__＼　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..l　　ニ)__テ‐t‐┤　/;;;√￣l´　　l |　　　￣　　 .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　L ´ ヽ〔　/　>｡,　/;;;/　　ｌ　人!　　　　　 .l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ　　ヽ / √ /;;;/　＿　ﾉｨ　　l 　　　　　 l

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　晋　冠軍長史　沈勁

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　洛陽には依然として冠軍将軍陳祐が駐屯していた。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　率いていた兵力は、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .自身の二千足らずと冠軍長史の沈勁が集めた千人余で三千前後だった
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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40 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:41:05.78 ID:ynnuQ/7i0: 【紀元３６４年８月　晋　司隷　河橋】

　　　　　　　　　　　　 : : : : : : ＼　　　　　 _ ,,.. 　}: : : : :`、.,, _
　　　　　　　　　　　　 : : : :＼: ＼　　 `｀: : : : :.}: : : : : :`、: : : : : .
　　　　　　　　　　　　　　∨::::::::}> : : : : : : : : : : : }: : : : : : :`、: : : : : : ＼
　　　　　　　　　　 /Λ_／^~￣￣￣~"'～く::::::::::::::.. }:.`、: : : : : : : 丶
　　　　　　　　　　　　　 {;;;／^~￣￣￣~^'''～　　＼::::::::: }: :ﾉ: : : : 　　　　 .
　　　　　　　　　　　／/　 : : : : : : : : : : : : : : :＼　|＼__,／
　　　　　　　　　　 <　/　　　 : : : : : : : : : : : : : : :.|:
　　　　　　　　　　　/: : 　　　　　　　　　　　　　 | Λ
　　　　　　　　　　 :|: : :|.　　　　　　 |　　　　＜─┼＞ : ｜
　　　　　　　　　 ||: : :|.: : : : : :.| : : |: : : . . . . . : :| ∨ : : : : | : : : :|: : : : : : : l
　　　　　　　　　 ||: : ｨ´ : : |: : | : : |: : : : : :|　|: ;′: : : : : : | : : : :|: : : : : : : l
　　　　　　　　　　　　＼八_____|Λ| ⌒ト : : : : |　|/ : : : : : : : :.| : : : :|: : : : :
　　　　　　　　　　　　 | : :］忖　　　　r-|＿＼Λ/.: .: .: : : : : : :| : : : :|:
　　　　　　　　　　　　 l: : : :Vj　　 ⌒］忖ｋ,_ 　/ : / : : : : : ｜:| : 　八　　　.: :l
　　　　　　　　　　　　 l: :┌　　　　　V_jﾂ　7./ : / : : 　　｜:| 　 /: : : : : : : : l　　　　　今なら洛陽を取れると聞いて
　　　　　　　　　　　　ｌ: 八　　　　　　　　｀/ : /　　 . . : : :| :　　′ : : : : : : : l
　　　　　　　　　　　　 l: : : }　　　　　　　 ;′/　/. : : : : : :;′: :.|: : : : : : : : ∨l
　　　　　　　　　　　　 l: : : :..ｔ　 _,　　　　　｜:.′/: : : : : : :/.: : : :.|::: : : : : : : : ::.
　　　　　　　　　　　　ｌ : : |人　　　　　　 | :| :/ : : : : : : : : : :|: : |:::::. : : : : : : : ::.
　　　　　　　　　　　　ｌ : : |.:八　　　　　 __ | :|/: : : : : : : : : : : | : :|::::::::. : : : : : : : ::.
.　　　　　　　　　　 : : : | .:.:.: Ｔ""|⌒:{Λ| : : : : : : : : /:. :. .:.|〉: |:::::::::::.: : : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　 : : | .:.:.:. |　 :| : :.{〈 :| : : : : : : : /|: : : : :|Λ|::::::::::::::.: : : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　 : : | .:.:.:. |　 :|..:.／　| : : : : : : / :|: : : : :|　 |⌒＼:::::::.: : : : : : : :::.
　　　　　　　　　　　　　　: | .:.:.:. |_,/ /　　　| : : : : : /　 |: : : : :|　　　　＼:::::.: : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　　　　: :.:.:.:.:. |/ /　　　 .| : : : : ∧／|: : : : :|　　　--=二＼::. : : : : : : :.

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　慕容恪は豫州刺史孫興の上奏を受けて洛陽攻撃に踏み切った。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　先に人を派遣して近隣の士民・諸塢に帰順する誘った上で、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .太宰司馬悦希の軍を河陰へ、豫州刺史孫興の軍を成皋へ駐屯させた
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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41 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:42:04.59 ID:ynnuQ/7i0: 【紀元３６４年８月　前秦　首都　長安】

　　　　　　,....――ﾐ::::::::::〉__
　　　　〃:::::::::::::::::::::::／.::::.＼
　　　 /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;::-ﾍ
　　 ./ヽ:＿＿_:::::::::-==ﾆ::､::::::::|
　　/.ｲ:::;':￣￣:;::::ﾊ:ﾊ::::Al‐:::::i:l
　　　 |::;':::i:::::::/_|厶';ﾊ:/ｨナiｲﾘ′　　　　　　　　　　慕容部の連中が洛陽に向かっているそうだ。
　　　 l::i::::|::::〈..ｰじ'　 '　　 |ｲ__
　　　 Ⅵ:::!ｉ::ハ　　　 ′ ,ｲ:..:.L、　　　　　　　　　　漁夫の利を得られるよう軍を出しておけ
　　　　`∨|∨∧､.....'_｀イ:..:..'´; -l､_
　　　　　.Ⅵ 〉ﾄ､ヽ-＜..:..:..:／　　 .＞､
　　　　　　　Ｎ:〈_:..:》:..:..:／　　　　 /:..:.:.:i
　　　　　　　|:.l//＞Уl′　　:.､　/.:.:.:.:.:.|
　　　　　　　|::∨//ﾊ ||　　　 :::∨.:.:.:.:.:.:.l、

　　　　　　　前秦　皇帝　苻堅　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , -‐ '´￣￣｀ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒ===========r‐、: : ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |.―‐――‐―丨‐l┤、 :ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ｌ二二二二二」.ﾆ|‐{ﾐi : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {/ /ゝ､ﾉｲﾉl/ ―　ﾄl!: : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |l:/|/● 　　　●　　ト、: :|
　　　　では、陝のあたりまで進軍しておきますと将軍Aは返事をします　　　　　　　|/!:ll⊃　､_,､_,　⊂⊃ﾉ: : ｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/⌒ヽ__|ﾍ　　　　　　 ..ｲ:i : :/⌒i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . ＼ /:ノ从ヽ,､　 __,　イﾄ:}ﾉ/　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　//ヾゝ八__／:.:.//ﾍ､__∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、.{ {:.:.:.|.|oi//:.:.:.:.{.{ ;_、_　,'

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　同じ八月。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　苻堅の別帥が河南郡に侵入したと『晋書』『哀帝紀』は記す。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .前秦からしても
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　晋軍の手薄な洛陽を抑えておきたかったのだろう
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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42 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:44:06.03 ID:ynnuQ/7i0: 【紀元３６４年９月　晋　司隷　洛陽】

　　　　　　　　　＿__　
　　　　/　　　 / ））））
　　　/　　　／＿ ⊂ﾉ
　　/　　　/|＼＿／￣￣＼_／|
　 /　／　＼＼＿|　 ▼　▼ |_／　　　　　　　申し上げます！
../ ／　　　　＼　　＼　皿／　　
　　　　　　　　　ヽ　　　　　 ⌒＼　　　　　　 .慕容部の軍勢が次々と近隣の塁壁を攻め落としています！！
　　　　　　　　　ﾉ　　　　　／>　>　　
　　　　　　　/　　　　／　6三ﾉ　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┣¨┣¨┣¨┣¨

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , --──-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , イ /　　　　　　ﾍ　ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　!ー､〉　__ j　j __〉-ﾉ　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ＿,,;;》 `-"::: `-"l＿.ジ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　ヽ　' ＿ ` ｲ　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　l　　´＝｀　l　
　　　　　前門の慕容部に後門の氐族か。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　ヽ＿,､__ノ　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､　　　
　　　　　援軍が来ない現状では我々は全員犬死にだ　　　　　　　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::　　

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　九月。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　悦希の前燕軍が河南郡の諸城を攻略している
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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43 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:45:56.94 ID:ynnuQ/7i0: 【この時点で許昌は陥落済みのはず】

　　　　　　　　　　　 , --──-､
　　　　　　　　 , イ /　　　　　　ﾍ　ﾄ､
　　　　　　　　 i　!ー､〉　__ j　j __〉-ﾉ　i
　　　　　　ヾ＿,,;;》 `-"::: `-"l＿.ジ
　　　　　　　　 |　ヽ　' ＿ ` ｲ
　　　　　　　　　l　l　　´＝｀　l　　　　　　　　　　　しかも、許昌も慕容部の攻勢に晒されている。
　　　　　　　　　　ﾉ　ヽ＿,､__ノ　
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､　　　　　　　　　許昌を落とされると退路を断たれるから、
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_　　　　　　　そちらの救援に向かった方がいいかもしれん
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､　
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: | :.:.:.:.:.:.: | :.:.:.:.:.:.:.:.: |:.:.:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.／ :.:.:.:.:.:.:.:∧ :.:.:.:.:.:.:.: |:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:.:.:.|:.:.:.:.:.／⌒ | :.:.:.:.: /⌒',:.:.:.:.:.:. ∧:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:.:./:.:.:.乂______ |:.:. /}/ _____彡:.:.:./:.:.:.:.|
　　　　　陳祐将軍は脱出して下さい。　　　　　　　　　　　　　　　　　 __|＿_／:.:| ´ ´ ´|／　　｀｀｀V:./:.:.:.:.: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人:.:.:.:.:.:.:.:.　　　　　,　　　　　〈:/ :.:.:.:.:/|
　　　　　私がここに留まって慕容部を迎え撃ちますので　　　　　　　(:.:.:}:.:.:.:.:.:.人　　　______　　　ｲ:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼___:.:.:.:.:.:.:.:ト..　｀　´ 　イ:.:|:.:| :.:.:.:.:.: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.ﾉ＞＜　　{　|:.:｢i:ト :.:.:ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r……ト-:.|:.:.:Ｋ　　　　　 {　|:.:|:i:i:i:i:i:i:〕ｉト，
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧:i:i:i:ｉ:|:.:.: |:.:.:|:.:）　　　　　　 |:.:|i:i:i:i:i:i:i:i:i:i;ハ

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　『晋書』『沈勁伝』によると、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　陳祐は兵糧の支援が途絶えたため、洛陽の保全は困難と判断した。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .ちょうど許昌へ賊が侵入したため、救援を名目に兵を率いて東へ向かった
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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44 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:48:27.56 ID:ynnuQ/7i0: 　　　　　　　　　　　 , --──-､
　　　　　　　　 , イ /　　　　　　ﾍ　ﾄ､
　　　　　　　　 i　!ー､〉　__ j　j __〉-ﾉ　i
　　　　　　ヾ＿,,;;》 `-"::: `-"l＿.ジ
　　　　　　　　 |　ヽ　' ＿ ` ｲ　　　
　　　　　　　　　l　l　　´＝｀　l　　　　　　　　　　　　　　　　　ほ、本当にいいのか？
　　　　　　　　　　ﾉ　ヽ＿,､__ノ　　　
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　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_　
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.: /:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.＼:.:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: | :.:.:.:.:.:.: | :.:.:.:.:.:.:.:.: |:.:.:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.／ :.:.:.:.:.:.:.:∧ :.:.:.:.:.:.:.: |:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:.:.:.|:.:.:.:.:.／⌒ | :.:.:.:.: /⌒',:.:.:.:.:.:. ∧:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:.:./:.:.:.乂______ |:.:. /}/ _____彡:.:.:./:.:.:.:.|
　　　　お気になさらず。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__|＿_／:.:| ´ ´ ´|／　　｀｀｀V:./:.:.:.:.: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人:.:.:.:.:.:.:.:.　　　　　,　　　　　〈:/ :.:.:.:.:/|
　　　　このような時のために、私はここへ来たのですから　　　　　　 (:.:.:}:.:.:.:.:.:.人　　　______　　　ｲ:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼___:.:.:.:.:.:.:.:ト..　｀　´ 　イ:.:|:.:| :.:.:.:.:.: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.ﾉ＞＜　　{　|:.:｢i:ト :.:.:ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r……ト-:.|:.:.:Ｋ　　　　　 {　|:.:|:i:i:i:i:i:i:〕ｉト，
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧:i:i:i:ｉ:|:.:.: |:.:.:|:.:）　　　　　　 |:.:|i:i:i:i:i:i:i:i:i:i;ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　}i:i:i:i:i:＼:.|:.:.:|ｲ___　　　 ____　|:.:|i:i:i:i:i:i:i:i:i/

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
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./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　長史の沈勁と五百の兵に洛陽を守らせて
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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45 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:49:03.08 ID:ynnuQ/7i0: 　　　',　　　　　　　　　　　　　　　 /黄　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ､　　　　　　　 /　　　　　　　　
　　　 ',　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ､　　　 _,,,,,,-‐'′【河内郡】　　　
　　　 ',　　　○粟邑　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀‐-‐´　　　　　　　　　 ,-‐'´
　　　　　',　　　　　　　　　 / 河　　　　　〇安邑　　　○垣　　　　　　　　　　　　○野王　　　　_,-‐'i´
　　　　）　　　　　　　　 ,'　　　 ○解　　　　　　　　　　 ,,,..-‐- ､,,,_　　　　河橋　温　　　〇懐_,,,-‐'´　　｀-､
　　　 ,''´　　　【馮翊郡】　　 ,'　　　　　　　　　　　　 ,,／　　　邙山▲ -､,,_　○　○ ＿,,,-一'´　【滎陽郡】　 l　
　　　 '、　　　　　　　　　　　ｌ ○蒲阪　　　大陽○,,-‐'´　　　　【河南郡】　洛陽〇河陰~´　　成皋　○滎陽　　　!
ヽ,　　）　　　　　　　　　　入　　　 _,,,,...-一'´〇陝　　　○十三里橋× ○　　〇偃師　　　○　　　　　 ○　○倉垣
　　｀~´　渭水_,,,,,...---‐‐''´×潼関 ‐'○湖○　　　　　　　新安　　　　　 ○　　〇緱氏　　　▲　　　　　　中牟
〇渭城 ,,,-‐'´´　　　　　 ○華陰　　　　弘農　　　 ○　　　　　○宜陽河南　＿,,..-‐- ､嵩山○轘轅　　【陳留国】
,--‐‐'^´　　　　　〇　　▲　　　　　　　　　　　澠池　　　　　 ●　　 (´ 　○輪氏　｀､　○密　 ,／
〇長安　〇隠盤　鄭　華山　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　新城　　｀`'''‐-､,,_　　　｀‐-‐'''´´　｀~~`ヽ､
　○覇上　　　　　　　　　　　　　　　　【弘農郡】　　　　　　　　　　　●陸渾　　 ○梁　 _,) 　　〇陽翟　　　　　　
　【京兆郡】　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,,_　　 ,ィ´　【潁川郡】　　　 ●許昌

／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､　
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/　　　　　　だが、許昌がすでに陥落していたため、
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　　　　　　　結局は洛陽南西の新城、陸渾へ逃走したと『晋書』『哀帝紀』は述べている。
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:　　　　　　　　　荊州方面へ脱出したと推測される
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼　
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿__　
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/
46 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:52:06.12 ID:ynnuQ/7i0: 【紀元３６４年９月　晋　司隷　洛陽】

　　　　　　　,;-、 ,;-、 ,;-、　, ー､　 ;-、 ,;-、
　　　　　　　l'i;;l　l'i;;ｌ　l'i;;l 　i!;l⌒i|　l'i;;l　l'i;;l　　　　__
　　　　　　/l三三三三三三三三三三三三l`ー'";:;;|
　　　　　 //i;:'';':;'';:;:'';':;'';:;:'';'i/:;'';;i/';:;''i/:':;;''i/ ;:;:;: :; "|
　　　　　//;:!'';':;'' 　　';':;'';:;iコ';':;'';:　;:'';[l] ;:' : ;';' ;' :;'';'|
　　　　 //'' |;':;'　;':;'';:;:;':;'';:;:;':;'';:;:　';:;;':;'';:;　　;':;'';: :i!　|　　　 ,,;=‐=,,
　　　　 `i''　|　　　;':;'';　　:;:　';:;;':;'';:;　　;':;'';: ;;:;;' 　i!;:;;| 　　　|∩;:;:;|　γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　|;':; |;':;'';:;:　';:;;':;'';:;　[l];':;'';: ;';:;;':;'';:;　　;':; '';;;;: |　　　,|:! i ':;:;|_ |　　残った兵は五百のみ　　|
　　　　　|;':; |　;':;　　'';:;:　';:;;':;'';:;　　;':;'';: ;:i!i　 ,;':; '';i!;: | 　　i'''"￣~`'i ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂
　　　　　|;':; |;':;'';:;:　';:;;':;';':;'';:;　　;':;'';:;　　';:;　　;':;'';: ;'　|　　|':;'[];:;[]' ;|
　　　,＿,|;:_,,|:__: ＿＿;　'';':;'';:;　[l];':;';':;'';:;　　';:;:i!　';:;;: ;|　　!':;'';:':　;'';:|
　　　|:;'';:;:　'';;／| ;:;: ;:;|　;　　'';:;:　';:;;';'::;'';:;　　;':;'';: ;:i!;:;'l　　!':;'[];:;[]';::|
　　　|:;'';:;:;'／:;'' | ;:;':　|　;':;　　'';:;:　';:;;':;'';:;　　;':;'';: ;:i!i　|　._!':;'';:':　;'';:|　　　γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　|:;'':／:;'';:; .'|:;'';:;:;:'i,__;:;__;:;:'';:';:;　;:;:'';:'　;:;:'';:;:'';:';:':'' :'| _|;:|; ;[];:;[]';::|　　　|　　敵は洛陽を残して攻撃を止めました　 |
,.,;:;､, |／:;'';:; ;:;;;.'|:;'';:;:'';:';:;:'';:'|;:;:'';:';:;　;:;:'';:'　;:;:'';:;:'';:';:':'' :'||;:|;`i,;:';:'';:'';; |　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂
；;:;:　；'''``､;"'"''､; 　　　　　:`;';___,.,._.,　;:;:'';:'　;:;:'';:;:'';:';: ': ',.,;:;､ ;:';:'';:'';;|
｡:;；.: ;:;:; ;;；'`､;::;；､;｡; ；.:`､, :. ;'';:;:'';:';|__　;:;:'';:'　;:;:'';:;:'' ,,；；､;｡; ;:
';: i!|''"ii''".;:|i'';:；:;:; ;;；'``､;::;；　;'';:;:'';:' ;`i,　　　　　　　"'` Y;:;:
　,i!|　;ii''".;:|i|''"　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i!

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　これでは沈勁たちが捨て駒にされたようなものだ。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　しかし、『晋書』『沈勁伝』は続けて述べる
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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47 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:52:45.14 ID:ynnuQ/7i0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　‐"::￣::::‘''＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::ﾊ:::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'::::::／:::::::::/:::::::::::ﾊ:::::::∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::/::::::::::::/l::::::::::::::::}::::::::ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 f:::::/:::::::::::/　V::::::::::::ﾊ:::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {::厶::::::::ノ__　 }::::::::::ﾉ }::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　<(＿乂::::::,ｨ芸ミx ,':::::／－|::::::::::::}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`ナ￢＜弋ソ厶イｨ示ﾐx::::::::::ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::乂::}　　　　　ﾋソﾉ::::::／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {:::::::V:::::::|、　、　 ′　＜:::イ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 Λ::::/:::::::::| ＼　￣　　ｲ:|::::|
　　　　　　　　　　　　　　＿／:::::∨:::: 彡ﾄ､　`≠≦ヾ_:::ﾉ:::ﾉ、
　　　　　　　　　　　　／:::::|::::::∠_＞'";;ﾉ==><===／／／;;;;＞、
　　　　　　　　　　　　_＿ム:::／:::ｱ　|;;;;;;;;;;;;;|_／= ﾊ／;;;;;ヽ(＞ﾞ´　　＼
　　　　　　　／::::::ｧ::::::::::::::/　　ﾏ;;;;;;;;;/==／;;;;;;;;;＞'ﾞ´ 　／　　＼
　　　　　　　＞─ｌ:::::／::::::＞─l／　マ＾‐ｭ∠。｡*''ﾟ　　　　/　　　　　　＼
　　　　／::::: ／＞─＜　／　@／;;;;;;/´　@／　　　　 /　　　　　　＼
　　　　Y:::::::::::/ 　　　　　　 /　　 /;;;;;;;;;;;|　　 |　　　　　 ∧　＿　　　　　　＼
　　　　从:::::::（　　　　　 |　　　i;;;;;;;;;;;;;;|　　 |　　　　 j　У　≧s｡　　　　　＼
　　　　乂::::＞　　　　　 Λ　　 l;;;;;;;;;;;;;;|　　 |　　　　　　ｲ　　　　 ≧s｡　　　￣｀''＜
　　　　　　　　　　　　　　 Λ @ l;;;;;;;;;;;;;;ﾄ､　@|　　　／　　∨　　　　　　　ヽ/　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　_〉'" ｀`～､;j　`　┬─　　　　　 ∨　　　　　　　＼　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　＞'ﾞ厶＿＿＿＿＿_ ∧＿＿＿＿＿_〉　　　　　　　　　＼　　　　　＞-

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　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　沈勁は命を尽くしたい志を持っており、死に場所を得られたと喜んでいた
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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48 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:53:54.97 ID:ynnuQ/7i0: ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__ｨ‐'￣｀ヽ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::ヽ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::＼
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::＼
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::f ＼::::::::}
|　　　　　『晋書』『沈勁伝』に曰く　　　　.|:::::::::::::|　　ゝ::::|
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::ヽ　　∨
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ー:､::::::::::ﾍ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::::ヘ＿
|________＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ |:::::::::::::::::::::::::::::::::｀丶、
　　　　　　　　＼::::| |:::::::::ィ !{　ﾊ T tｰr ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、
　　　　　　　　　` | |ー--ﾚﾘﾙ|rfiﾃヽl ｲﾃz rr----――― ' " ´
　　　　　　　　　　　 | |　　　ヾN ゞｿ　　ゞｿ//
　　　　　　　　　　　 | |　　　　＞:´|､　 -　　,|`:＜　　　　　　　　　　　　　　　　この沈勁とは何者なのか？
　　　　　　　　　　　 | | 　　　 |::::::::| ＞　イ |::::::::|
　　　　　　　　　　　 | |　　　＞-､＼!　 !／::,-＜
　　　　　　　　　　　 | |　　　＞-､＼!　 !／::,-＜
　　　　　　　　　　　 | |　　/´:::::::::::::{二{}二}´::::::::ゝ-､
　　　　　　　　　　　 | | 　ｌ:::::,:-:::::::://::|ヽヽ::::::::::::::::::!
　　　　　　　　　　　 | |　 /‐'´::::::::,::V:::::!::∨::::::::::::::::::|　
　　　　　　　　　　, ' ﾆ}く::／::::::::/:::::／|::::::::::::::::::::::::::|　
　　　　　　　　　　 |　ｰjヽ＼::::::'"::／ヾ !::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　ヽﾆj　} 　＼:／＼　|:::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　〈:| |Ｖ　　　 }>､___..>!:::j::::::::::::::::|:::::|
　　　　　　　　　　　|:!.|:＼　　ﾉ::L.. , __.!::::!::::::::::::::::!:::::|
　　　　　　　　　　　|:!.|::::::`ー':::/　 /　 |::::|:::::::::::::::::!:::::!
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49 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:54:38.63 ID:ynnuQ/7i0: 【紀元３２４年７月　晋　揚州　呉興郡】

　　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　　／''''''　　　'''''':::::::＼
.　　 |（●）,　　　､（●）､.:|
　　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|
.　　 |　　｀-=ﾆ=- '　.:::::::|　　　　　　　　　　　　　　三千戸侯だ
　　　＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／
　∧､.ノヽヽ、ﾆ__ ーノﾞ--､..
/⌒ヽ＼　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
|(●) | i ＼　　/ﾞ（__)＼,| 　i　|
ゝ＿ノ ^i　| 　　　ハ　　| 　 |｜
. |＿|,-''iつ
　[__|_|／
　　[ニニ〉　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　v∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣`￣＼キ＝
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　人　　lヽ| ヽ)Ｖ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠/(_(- (__/|__)|___＼|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　||　!●　　●　|| ﾉX|　 | |
　　　　あなた、私の故吏だった呉儒よね？　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 || 〈　　ワ　　 ||ﾉＸ|___廿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　j　 `ｰｩ　ｔ--'j__ |Ｘ|┐|
　　　　義によって立つ私を殺しちゃうと、族滅されちゃうけれど大丈夫？　　　　　　./^､∀ , ^ｰ〈_|Ｘ| | |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　〈　・　　 j 　＼」 |┌┬┬┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ―/ー､ { 　・ /┴､　　＼|￣￣￣|￣|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　晋　沈勁の父　沈充

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　沈勁、字を世堅。揚州呉興郡武康の人。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　父親の沈充は王敦の故吏として、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　王敦の乱に加担するも破れた末、部曲将の呉儒という人物に殺された。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　この時、沈勁は同郷の銭挙という人物に匿われて難を逃れている
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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50 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:56:12.70 ID:ynnuQ/7i0: 【紀元３３５年頃？　晋　揚州　呉興郡】

　　　　　　　|/|
　　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　ヽ／''''''　　　'''''':::::＼ノ
　　（ ;:;:;:;:;:;:;ﾉ　　､（ ;:;:;:;）
　　　|　　　　 )､_, )ヽ､,,.::::|
　　（;:;:;:;;;:; ｀-=ﾆ=- '　.:::::）
　　　＼＿__｀ﾆﾆ´|||＿::／　　　　　　　　　　即堕ち２レスとか。
　　　　　ここここここ)''..
　　　　／ヽ　＼∧ノヽ　　　　　　　　　　　　編集に悪意があるだろうJK
　　　　|::　|::..　　Y　　|
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　　　〈::　〉::　　 .|　./|　　
　　.　 |::　|::　　　.ｌ　　|　　
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　　　　　.|　　　|　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:.:.:.:.:.:.:.:j|-‐＼:.:.:.:./　j/斗===ミｘ:.:.}:.:.:.＼::::|
　　　　　.|　　 |　　 |三　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l.:.:.:.:.:.:.:八==ミ):.:./　〃んハ j/　/:.:.:.:j.:.:.X
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l:.:.:.:.:ﾊ:.ゞ、乂リ　　　　　　　　 |:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　ちっさ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:.:.:.ﾉ 1:.:.l_　　　　 '　　　　　　　ノイΥ:.:.:.:.:.:.:.:|_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__ﾉ:.メ　 |:.:.圦　　　　　 __　　　／/|:.:il.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:＼
　　　　　　　　　　　　　　故主だった父上を裏切るわけね　　　¨⌒　　i|:.:.i|込　　　　'ー～′ ／　|( |:.:.i|:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i|:.:.:i|.:.:.:.`'　.,,_　　　　　　 l　|:.:.:ｉ|:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ|:.:.:.ｉ|l.:.:.:.:.:.:.:＞'^寸抓　　　八 |:.:.:.ｉ|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ:.:.:.:ｉ|ー─ｧ'"＿⊥_＼　　　　　 j:.:.:.:.ｉ|…‐-:.:.:/:.:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:ノニニ7　　＿　　|/　_､-‐　 /:.:.:.:.:.ｉ|ﾆﾆ㌻''"⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .／:.:.:.:.／二ニﾆ|　　‐-ミ　Υ　　　　./:.:.:.:.:.:リニ7　　　　　}

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
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　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　後に沈勁は父親の仇の呉儒を殺した。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　このあたり、桓温の若い頃を彷彿とさせる
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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51 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:57:00.33 ID:ynnuQ/7i0: ／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､　　
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/　
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　　　　　　　　　　　ただし、沈勁は謀反人の息子である。
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:　　　　　　　　　　　　　故に齢三十を過ぎても仕官できなかった
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼　
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿__　
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : : /: : : ﾑ: : :寸: : : : : :ﾏ: :乂_ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / : : : : :/: : : : : ﾑ: : : :ﾏ: : : : : :ﾏ::ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {: : : : : :{: : : : : : :ﾑ: : : :ﾏ: : : : : ﾏ: :}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {: : : : : :{: : : : : : : :ﾄx--: ﾏ : : : : 乂}__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {: :ﾑ:-'才 : : : : : : }　ゝ､ : ﾏ: : : : :ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {: : : ,.ｲ |: : : : : :,.ｲ　,ｨぅ芯x〉: : ,ｲ: : :Y
　　　父上があのような最期を遂げたのです。　　　　　　　　　　　　　　,.ｲ: :.イ xﾔ示ﾐ,.イ　　　乂ソ /:イ:iヽ: : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∠,. イﾏ : ﾊ　ゝソ　　　　　７: : |,ｲ:Y:ハ
　　　勲功を立てて恥を雪ぎたい所なのですが上手くいきません　　　　　ﾑゝ: :ﾍ　　　　'　　　　 7: :∧:l: :ﾉ : }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ゝ lﾏ: へ　　　､　　,.イ_j: {{: :> ､: :人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾑ:ﾍ: ∧: {イ＞t　 _ ＜　7 :ﾑk': : : 〉: : :}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ : Ｙ: :〉ﾑ　 ,.ﾊ　　　　㌢:ｉ_　㌦〈: : ,.ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_､＜⌒ｱﾔ:}`｀　 ' , 　　,ｲi : ｉﾑ　㌔Y:_:_}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　/　ﾊ::}　　　　　　　 {: :i　ﾊ　,ｨ㌔　ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧ 　 ,.ｲﾍ {　ﾘ　＞､　　_.イﾍﾑ　ﾏ/^ヾゝ　ﾊ
52 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:58:47.13 ID:ynnuQ/7i0: ／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､　　
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/　　　　　　　転機が訪れたのは、桓温が洛陽入城を果たした時期だ。
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/　　　　　　　　 .洛陽が東晋の版図に加わった事で、
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:　　　　　　　　　　平北将軍・司州刺史として洛陽へ赴任する王胡が沈勁の起用を進言した
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼　
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿__　
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _　　　　　　 /＼＿＿_／ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　!　　　　　／''''''　　 '''''':::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜ !.　　　　 |（●）, 　　､（●）､.:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-, 　 |　　,,ﾉ(､_, ) ヽ､,,　.::::|
　　　　　　　平北将軍の王胡です。　　　　　　　　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/.　　 |　　｀-=ﾆ=- ' 　.:::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i...　　＼. 　｀ﾆﾆ´　 .::::::／
　　　　　　　沈勁とは同郡の出身でして、　　　　　　　　　　　　|　ー、〉 /　　　　 _｀,,ー　--´...／i＼,,,,_
　　　　　　　私を補佐してほしいと思う次第　　　　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }
53 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/04(火) 23:59:31.88 ID:ynnuQ/7i0: 　　　　　　　 ,. :-:.' ｰ ' ¨ :.ゝ.､
　　　　　 ,.:´: : : : : : : : : : : : : ヽ.
　　　　　,.': : : : : : : : : : : ',: : : : : : ヽ､
　　　　 ,':.:;':.:.:;'.:.:.;'.:./.:;'.:.:|i:';:.:.:.:.:.:.::`､｀ゝ
　　　 ,':.:.i:.:.:.i:.:/i:.:/i:.:ﾊ:.:l:i:.:.i:.:i:.:.:.';.:.:',
　　　 /ｲﾊ:!:.:.:l:/ i/ ﾉノﾉリﾘハﾘ:!:i:.:.!:.l
　　　　i/!:.:!:.:.;;;;;;;;;;;;;;;;　　 ;;;;;;;;;;;;;;l:.!:ﾊ!
　　　　　∨|:.:.!　　　　　　　　　ﾉ/i/ﾉ　　　　　　　　　　　この話には裏がある
　　　　　　ﾍ!:|　　　　　　　　　ﾉ!/′
　　　　　　　ヾ!＞ｰ- 　 -- ＜ｲﾘ　
　　　　　　（ﾍ:::::＼i＝/／:::::/)
　　　　　　｛;;＼::::::!n/:::::／;/　
　　　　　　　　ト､;;＼;;ii;;／;;;;ｲ
　　　　　　　 /;;;;ゝ;;;;∨;;;;;;ノ;ゝ、
　　　　　　　（;;;;;(⌒)∨/(⌒);;;;）
　　　　　　　　｀´￣｀￣￣´￣´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /＼＿＿_／｀-、_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／_,ノ　　ヽ､＿/　/ ,〉、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |（＝）,　　（＝/　´／ /)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　,ﾉ(､_,)ヽ./　　, ' ´,/
　　　私と共に西へ行く者たちは故郷の呉興郡の者が最も多いんです。　　　　 |　　｀-=ﾆ= 'V　__, ＜´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　｀ﾆﾆ´ 〈´／::::Λ
　　　彼らをまとめるには、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　ー--.ﾔ::::::::::::::Λ
　　　呉興郡で名を知られた沈勁がいてくれると心強い。　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ , -.／V:::::::::::::Λ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,. -／:/:::ﾊ ,/´..::/i:::::::::::::::::::Vﾍ
　　　謀反人の息子なのを気にする余裕などありません　　　　　　　　　　..／/.／.:::/:::l　y .::::::/::::ｉ::::::::::::::::::.∨}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 j ::::::::>.:::/:::::l ./ .::::::::::::::::ｉ::::::::::::::::::::ﾚ;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i :::r :〈 ::::i::::::::ﾚ .::::::::::::::::::::〉､:::::::::::::::::ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ :::| :::::'., :i::::::/.:::::::::::::::::::::::::::`::-==::イ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | :::| ::::::::', :i::/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
54 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:02:23.44 ID:IF86Ai/v0: 【紀元３５７年頃　晋　首都　建康】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _{::＼::::::ﾉ　 {:ゝ／_-=ミ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 γ:i:i乂:_｣L二L｣ﾑ::::〃::r=ミヾ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {i:i:＞`｀::::／::::::::::∨{l|:::込ｲ:)ii}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　У'"ﾟ~￣"ヽ::::::::::人込,,_ニ彡′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:/::::::::′::::::∨／:/:}:::}:::l:汽:｀'..､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′::::::::::|:::::::}::::} ヽ:'::/::::'::::}:'，ヽ:::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{:::|:::|::::::|:::l:::}ﾙ|　 ∨:::/::::/:::} 　 ,:::::::::'，
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　从{xzﾐ､:ﾄ､リzz|ミ　彡::／∥」_　 }::::::::::}
　　　　王胡の意見はよく分かりました。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .l 杙ﾂ　　　ヒ|ﾂ　√:}::::: 〈(⌒_,ﾉ::::::: ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ﾊ" '　　　""|　 .:{-ｲ:::∥:≧==-‐ ゛
　　　　沈勁の起用と随行を許可しましょう。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 沁､丶　　ﾉイ:_{／::/::::::::}＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　 /＞‐.rfvYV_Y ::::/:::/::∧､::＼
　　　　どうせ誰も行きたがらないのは目に見えています　　　　　　　　　　 {＿/:/ :::://|/|/|∧／／::/: ∧＼::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞‐…‐＜__///／｡s≦'/| ＞`｀::::´::／､: : ∧　＼::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′::‐:／　＼｀寸:|ﾏ￣∥／:::::::_｡s≦||/||:､: :∧　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ::'⌒/込_ ＼､＼}::|__ヽ／:, ィ升=^|/|/||/||: :＼∧　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::ｌ:_{_ﾆ=-＼)≧ｲｱ≧/:／_と¨ヽ./|/|/||/||: : : : :∧　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞::`｀: : -‐: : : _:＞`｀: :/:{:::{ へ`マ }./|/|/||/||: : : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｧ'´ : :／: _:-:＞:'':´:／: /: 乂と⌒＿､イ〉∥,ヾ_＼＼: : : : :∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞‐…‐-ミ.{: : : ﾞ : : ´ ｧ´/: :／: : / : : /: :|¨/:./:／/∥//| ﾏ∧∨, : : : :

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　晋　会稽王　司馬昱

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　王胡の求めは詔勅で許された。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　それもそのはずで、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　所謂勢族と言われるような士大夫は前線の洛陽へ赴任したがらない。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　対して王胡のような寒門層は赴任する意欲はあれど、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　補佐する属官を得る伝手が少なく、同郷の人間に頼らざるを得ないからだ
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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55 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:04:33.21 ID:IF86Ai/v0: 　　　　　　　　　　　/＼＿＿_／ヽ
.　　　　　　　／　 ''''''　　　'''''' ＼
　　　　　　　 |:::::: （●）,　　､（●）|
　　　　　　　 |::::　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,..|　　　　　　　　沈勁殿。
　　　　　　　 |:::: 　　｀-=ﾆ=-'　　|
.　　　　　　　＼　　　｀ﾆﾆ´　／　　　　　　　　私の求めに応じてくれて感謝している
　　　　　　　　　_.. ｨ＼＿　,＿／
　 , ─;;-ｰ=≦} : ヽ : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、
／ : : : : :ヽ : : : :ﾉ : : : : : v' l:::::l､ :l＞､、　
: : : : : : : : : : : : : : ＼ : : : ｀､ :::::l, :l : : : : :ヽ.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:/: : : : : : : : : : : : : : : : : : :ハ
: : : : : : : : :l : : : : : : : : :､ : :｀､::::::ｌ : : : : :l : :l　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ':/: : : : : : : : : : : : : : :}: : : : : : ::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l./: : : : : : : : : : : : : : :.ﾊ: : : : : : : ﾑ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:': : : : :_:_:／{: : : : :.:/　V: : }: : : : ﾑ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|: : : : : ／｀寸: : :.／≦⌒Vﾙ: : : : :ﾑ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : イイ斧ﾐ: イ　　ｨ苡㍉}: : : : 人ﾑ
　　　いえ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀才ｰ匕: ｲ: ﾊ乂ソ　　　　乂ソﾊ: :イ　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l:.八|: {　　　　　 |　　　　ノイ|_ﾉ
　　　私がここにいられるのは、王胡殿の力添えがあってこそ。　　　　　　 .人: : |:.ﾑ　　　　　　　　　　八l:.ﾑ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./: : :V:.|: :.ﾑ　　乂￣ﾉ　　ｲ: :.|: :.ﾑ
　　　共に帝都洛陽を守り抜きましょう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　V: : :.V{: : :{ |＞　　　　＜:.|: : |: : : }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /乂: : :V Vﾑ二7ﾆ｀¨´ T二.l: :.:|: : :ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./: : : :.才´　Vﾑﾆ{ﾆﾆ|ﾆﾆ|ﾆﾆ|: :.:|: : 〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞＜／　　　Vﾑ::{ﾆﾆlﾆﾆ|ﾆﾆ|: :.ﾑV
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧　　/　　　　　.Vﾑlｰｰ'ｰｰ' -イ:.:ﾉ寸＞､

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　そんな裏事情はあれど、このまたとない機会に沈勁は応じた
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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56 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:05:04.78 ID:IF86Ai/v0: 　　　　　　　 ,..::::´:::::::::::::: :｀:ヽ、
　　　　　　,ｒ´:::::::::::::::::::::::::: : : : :.
　　　　／::::::::::::::::::::::::::::::: : : : : :',
　　　　了::::::::::::::::::::::::::: : : : : : : : l
　　　 |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　ｌｨ::::lヘ:へ::|::::::::::::::::::::::::::::::「
　　　　　＼ﾄ､(ヽ::::|:::::::::::::::::::::::::::rﾉ　　　　　　しかし、間の悪い事に、
　　　　　　　ヽ´::::|::::::::::::::::_;､::ﾙ′　　　　　 .王胡は程なく病気によって平北将軍・司州刺史の任を解かれた
　　　　　　　　｀ ‐lイ::::::::::ヽ
　　　　　　　　 /⌒ヽ､::::ヽ
　　　　　　　　　　 |::::::::::::::｀¨´!
　　　　　　　　　　 |::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　 |::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　ヽ__;:---─ﾍ
　　　　　　　　　　　ヽ::::::::;､::::l´
　　　　　　　　　　 |:::::| |::::|
　　　　　　　　　　 |:::::| |::::|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __,冖__　,､　 __冖__　　 /　／/
　　　　　　　　　　　　｀ ´ ｀ ´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`,-.　-､'ヽ' └ｧ --'､　〔／　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ_'_ﾉ)_ﾉ　　 `r＝_ﾉ　　　 /　　　/＼＿＿_／＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __,冖__　,､　　　,へ　　 /　　／　ノ'　 'ヽ､　　::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`,-.　-､'ヽ' 　く <´　　　7_／/|　（○）,　､（○）。 :::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ_'_ﾉ)_ﾉ　　　　＼>　　　 /　|　　,,ノ(､_, )ヽ､, 　　 :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　n 　　　「 |　　　　 /　 .|　　 / ｒ＝‐､ヾ　　 ::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌｌ　　　　　|｜ .,ﾍ　　/　　.|　　l| |,ｒ- ｒ-|　|l 　 :::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　ｎ.　ｎ.　ｎ　　ヽ二ノ__　｛　　　＼. ヽ｀ニﾆ´ノﾉ.::::／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |!　 |! 　|!　　　　 _| ﾞっ　￣フ. ／｀ー‐--‐‐一''´＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 o　 o 　o　　　　 (,･_,ﾞ> 　／
57 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:07:15.86 ID:IF86Ai/v0: 【紀元３５８年頃　晋　司隷　洛陽】

　　　　　　　　　　　 , --──-､
　　　　　　　　 , イ /　　　　　　ﾍ　ﾄ､
　　　　　　　　 i　!ー､〉　__ j　j __〉-ﾉ　i
　　　　　　ヾ＿,,;;》 `-"::: `-"l＿.ジ　　　　　　　　沈勁殿、事情は聞いた。
　　　　　　　　 |　ヽ　' ＿ ` ｲ　　　
　　　　　　　　　l　l　　´＝｀　l　　　　　　　　　　　君さえよければ、我々と共に洛陽を守ってくれ。
　　　　　　　　　　ﾉ　ヽ＿,､__ノ　　　
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､　　　　　　　　　 .私の属官という扱いなら問題あるまい
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_　
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､　
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∨
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::| 　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::　　　　　　　　　　　　　　　　 ./:.:.:.:.:.:∧:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｰ=彡:.:.:.:.:./　l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∧.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:/⌒ |:.:.:.:.:.:.:／　1:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜.:.:.:.:.:.:.:ｲ炸㍉:.:.:.:／―‐ l:.:.:.|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣Τ:.:l　Vﾘ〉／　ィ炸斥Y∧:.:.:.:.:.:.:.:.'，:.:.:.:.:.:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:.:.:|　　　　　　　 Vソノﾉ:.:.:.:.:∧:.:.'，:.:.:.:.:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:.:.l|　　ヽ　　　　　／:.:.:.:.:ィ　|:h､'，:.:.:.:.|
　　　　　　　　　　　　　　　感謝します　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l:.:八　　　　　　　 ∠:.:.:.:.／:.:l_ノ.:l:.:.ヽ:.:.:.:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:.:.:| ＼　｀　―　　　　イ.:.:.:∧:.:.:.:!:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:.:.:|／＼_ 　　　＜　/:.:.:./__|:.:.:.:l.:.:.:.:.:.／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:.:.:|　／　 Τ　　r‐/:.:.:./　人:.:.:l:.:.:.:.∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:.:.:l／　　　│ 　 |,/:.:.:./／　＼:.:.:./:.:.〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|／　　ヽ　＿_　/:.:.:./´　　　　＼::.:.∧

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　その後、沈勁は冠軍長史となっているため、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　冠軍将軍陳祐の配下になって洛陽に留まり続けたと思われる。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .陳祐を助けて賊を討ち、何度も寡兵をもって人々を制したという
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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58 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:09:49.61 ID:IF86Ai/v0: 【紀元３６４年９月　晋　司隷　洛陽】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　‐"::￣::::‘''＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::ﾊ:::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'::::::／:::::::::/:::::::::::ﾊ:::::::∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::/::::::::::::/l::::::::::::::::}::::::::ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 f:::::/:::::::::::/　V::::::::::::ﾊ:::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {::厶::::::::ノ__　 }::::::::::ﾉ }::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　<(＿乂::::::,ｨ芸ミx ,':::::／－|::::::::::::}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`ナ￢＜弋ソ厶イｨ示ﾐx::::::::::ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::乂::}　　　　　ﾋソﾉ::::::／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {:::::::V:::::::|、　、　 ′　＜:::イ　　　　　　　　　死は人の完成よ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　 Λ::::/:::::::::| ＼　￣　　ｲ:|::::|
　　　　　　　　　　　　　　＿／:::::∨:::: 彡ﾄ､　`≠≦ヾ_:::ﾉ:::ﾉ、　　　　　　　　.いつでもかかっていらっしゃい
　　　　　　　　　　　　／:::::|::::::∠_＞'";;ﾉ==><===／／／;;;;＞、
　　　　　　　　　　　　_＿ム:::／:::ｱ　|;;;;;;;;;;;;;|_／= ﾊ／;;;;;ヽ(＞ﾞ´　　＼
　　　　　　　／::::::ｧ::::::::::::::/　　ﾏ;;;;;;;;;/==／;;;;;;;;;＞'ﾞ´ 　／　　＼
　　　　　　　＞─ｌ:::::／::::::＞─l／　マ＾‐ｭ∠。｡*''ﾟ　　　　/　　　　　　＼
　　　　／::::: ／＞─＜　／　@／;;;;;;/´　@／　　　　 /　　　　　　＼
　　　　Y:::::::::::/ 　　　　　　 /　　 /;;;;;;;;;;;|　　 |　　　　　 ∧　＿　　　　　　＼
　　　　从:::::::（　　　　　 |　　　i;;;;;;;;;;;;;;|　　 |　　　　 j　У　≧s｡　　　　　＼
　　　　乂::::＞　　　　　 Λ　　 l;;;;;;;;;;;;;;|　　 |　　　　　　ｲ　　　　 ≧s｡　　　￣｀''＜
　　　　　　　　　　　　　　 Λ @ l;;;;;;;;;;;;;;ﾄ､　@|　　　／　　∨　　　　　　　ヽ/　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　_〉'" ｀`～､;j　`　┬─　　　　　 ∨　　　　　　　＼　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　＞'ﾞ厶＿＿＿＿＿_ ∧＿＿＿＿＿_〉　　　　　　　　　＼　　　　　＞-

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　実際の所、陳祐が洛陽を脱出するにあたり、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　沈勁とどのようなやりとりをしたのかは記録に残っていない。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .ただ、沈勁が洛陽に残ったのは、ここが死に場所と定めたからだろう
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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59 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:11:31.62 ID:IF86Ai/v0: 【紀元３６５年２月　晋　司隷　洛陽】

　　　　　　　,;-、 ,;-、 ,;-、　, ー､　 ;-、 ,;-、
　　　　　　　l'i;;l　l'i;;ｌ　l'i;;l 　i!;l⌒i|　l'i;;l　l'i;;l　　　　__
　　　　　　/l三三三三三三三三三三三三l`ー'";:;;|
　　　　　 //i;:'';':;'';:;:'';':;'';:;:'';'i/:;'';;i/';:;''i/:':;;''i/ ;:;:;: :; "|　　　　　　　　＼＿_人＿人从＿人＿人从／
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　　　　 //'' |;':;'　;':;'';:;:;':;'';:;:;':;'';:;:　';:;;':;'';:;　　;':;'';: :i!　|　　　 ,,;=‐=,, 　　）　　慕容部だァッ！！　（
　　　　 `i''　|　　　;':;'';　　:;:　';:;;':;'';:;　　;':;'';: ;;:;;' 　i!;:;;| 　　　|∩;:;:;|￣￣）　　　　　　　　　　　　　　(￣￣　
　　　　　|;':; |;':;'';:;:　';:;;':;'';:;　[l];':;'';: ;';:;;':;'';:;　　;':; '';;;;: |　　　,|:! i ':;:;|　　／⌒Y⌒Y⌒⌒Y⌒Y⌒Y⌒＼_
　　　　　|;':; |　;':;　　'';:;:　';:;;':;'';:;　　;':;'';: ;:i!i　 ,;':; '';i!;: | 　　i'''"￣~`'i
　　　　　|;':; |;':;'';:;:　';:;;':;';':;'';:;　　;':;'';:;　　';:;　　;':;'';: ;'　|　　|':;'[];:;[]' ;|
　　　,＿,|;:_,,|:__: ＿＿;　'';':;'';:;　[l];':;';':;'';:;　　';:;:i!　';:;;: ;|　　!':;'';:':　;'';:|
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,.,;:;､, |／:;'';:; ;:;;;.'|:;'';:;:'';:';:;:'';:'|;:;:'';:';:;　;:;:'';:'　;:;:'';:;:'';:';:':'' :'||;:|;`i,;:';:'';:'';; |　　　　　|　　本当、兄上は慎重よねぇ　　.|
；;:;:　；'''``､;"'"''､; 　　　　　:`;';___,.,._.,　;:;:'';:'　;:;:'';:;:'';:';: ': ',.,;:;､ ;:';:'';:'';;|　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂
｡:;；.: ;:;:; ;;；'`､;::;；､;｡; ；.:`､, :. ;'';:;:'';:';|__　;:;:'';:'　;:;:'';:;:'' ,,；；､;｡; ;:
';: i!|''"ii''".;:|i'';:；:;:; ;;；'``､;::;；　;'';:;:'';:' ;`i,　　　　　　　"'` Y;:;:
　,i!|　;ii''".;:|i|''"　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i!

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　半年が過ぎた
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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60 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:12:26.98 ID:IF86Ai/v0: .　　　　／ﾆﾆﾆﾆﾆニ＞''´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : :｀ヽ
　　　 /ﾆﾆﾆﾆﾆ＞''´:.:.:.:.:.:. : :/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : :`､
.　　　 {ﾆニ＞'´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:V
　　　 Vア:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. |:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. '/
.　　　　｀|:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : :|:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:. : l
　　　　　|:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|:./:.:.:.:へ:.:.:.:/:./斗:.:./:.:.:|　　　　先に近隣の郡県を攻略して洛陽を丸裸にするとかさ。
　　　　　|:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|/ー～┘―ﾍ/.:/:.:./:. : :|
　　　　　|:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|""芯笊`　　 "芯ﾌ.:.｢^^　　　　.兄上なら普通に力攻めですぐ陥落させられるでしょうに
　　　　 ∧:.:.:.:.:.:.:.:.:. : |:.:.:.:.:.:| 、乂ソ　　　　ﾋｿ:.:.:.|
.　　　　 ∧:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|"　　　　丶　 } :. |　
　　　　　 ∧:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : :|　　　(＾　_┐　 .ｲ:.:.:.|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉// >､: : : : ｀:..､　
　　　　　　＼＼.......ﾍ:.:.:.: | ､　　　ー┘／: |:.:从　　　　　　　　　　　　＿＿＿　／:::∨//｣: : : ＼: ::＼　
.　　　　　　＿〕ヽﾍ:ﾍ:. : |　＞　 _ イ:. : :/:.:/　　　　　　　　　　　　　`マ///／斗――::＼: : : :ヽ: : :ヽ　
　　　 _　 -=ﾆﾆﾆニ∧　　＼| ／}h､　　＾＾7:.:/　　　　　　　　　　　　　　 f⌒ﾏ/／: : : : : : : :. :.:☆:::|:..|: : : |
　　 /ﾆﾆニ｀＼.ニ二∧　　/ヾ .√ﾆﾆｈ､　 ):/　　　　　　　　　　　　　　乂__j/:..:l: : : ＼: ＼＿: :∨:..|: : : |　
　　 |ﾆﾆﾆﾆﾆﾆヽ.ﾆﾆﾆ∧∨　{∨ニﾆﾆﾆﾆ)h､　　　　　　　　　　　　　　　　 /　|: 八ﾄ､＼:`く_jＬ斗ｲ| :..|: : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼l|::∨X:＼У┘代う儿..:|: :|.:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　八: ::Y代う　　　　 | :|: :|.:.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∨::∧ 　 ′　　　 |: |: :|.:.|＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨:|: l>､　 - '　／|: |: :|.:.|＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨..:|:| l＞--イ　/: :|:八: ＼: : :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.Ｖ:|:| |:_l＞/j　/: : |{　 `ー_､:＼::＼
　　　　　　　ああ、そういえば、みんなに言っておく事があるわ　　　　　　　　　　V::|7/　/{　/|.:.:从　／:::::斗､＼::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,/.|:.:|/ 厂_У 从{ / /::::／. . . .＼＼∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/. .|从　| ／ ====' /::::::{. . . . . . . |＼〈∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.:'. .|／_>､/,ィ二>､―':::::∨. .... . ..＼ﾄ､: Y: l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈. . ./ﾆﾆ[∩}ﾆﾆ三ﾉ :::::::::丿 . . . . . . .＼} |:八

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　東晋の興寧三年（三六五年）二月。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　太宰慕容恪・呉王慕容垂が
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .洛陽を攻めたと『十六国春秋』『前燕録』は記す
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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61 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:13:10.27 ID:IF86Ai/v0: 　　　　　　　|////>､　　　　-‐...――-　_ ,ｲ/////|
　　　　　　　|//////`く: : : : : : : : : : : :..,.ｲ //////|
　　　　　　　V/////// 〉:,.斗―――-｀マ /////∧
　　　　　　　 ∨/////イ　　-―――-　 `く////:.∧
　　　　　／￣`く /／／: : : : :/ : : : : : :| : :＼`く: : : ∧
　　　　　lし'⌒ヽ Y ／. : : :..:| :. : : : :.|.:..:.| : : |: ＼}＼ : :|
　　　　　`く:::::::::ノl/.: .: :.|: :| |:..|: : :. :.|:..:..| : : |...:.:く厂〉..:|
　　　　　 /::厂|: :/ : :|.:.:.|: :| |:..|: : :. :.|ｌ..-|― ト: :|:l∨:..: |
　　　　　 l/|::| |: :|:| : |:.斗::f千l|: : :. :.|l..:.:| : : | : ｌ|:|: : : : |
　　　　　 └l┘ |:|:ィ|.:..:|: :| |:儿: ＿儿斗==气儿: |: : .:|
　　　　　　 |: l.:从: :|,.斗=f气ヽ　　ノ八rうｸ厶|/ : : :|　　　　ここにいる誰も彼も、
　　　　　　 | :|:{:..:V八 Vしｸ、　　　　　´"" ｀　 |: : : /l　　　　私が積極的に攻撃しないのに文句を言っていたわよね。
　　　　　　 |: |: : ::∧ ´"´｀　　　　　　　　　 ′ / :|
　　　　　　　＼＼.:.:∧ 　　　　 ′　　　　 /: : /: ∧　　　もう洛陽は城壁は高くても兵は弱いから勝つのは簡単よ。
　　　　　　　　 ∧. : :.:∧　　　　　　　　 , : : / : :|:.|
　　　　　　　　 |:∧ :＼/:>､　　　 `　　´　　,.ｲ: : /: : /|.:|　　　今更、臆病風に吹かれないでね
　　　　　　　　 | |:∧: : ＼: :＞　　　　　 .イ|:/ : : : ::∧|:.|
　　　　　　　　 | | :.∧＼::|: |У>､≧=千く ,仆 : /::∧/|.:|
　　　　　　　　 | l: :| ∧ :..|: |{ 　{ 　 l厂　// |: : |:∧//|:.|
　　　　＿＿_j_廴厶ｲ..: | :| ｝　｝　{{ 　 { {　|: : |:|/＼_j_廴＿＿_　　　　　　　γ￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　／　＿＿＿＿　|: : |: |＜〔＿ j}＿jl_jノ|: : |:|`ー――‐- ､　｀>､　　　　　|　　　　…………　　　 |
　　/ヽ／二二ニﾆﾆﾆ|: : | :|　　￣A￣　　|: : |:|ﾏニニニニニ>/=∧　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿乂
　 /ニ∨ニニニニﾆﾆ|.|:..|: |　　　 [｣　　　八:..:|:| ∨ニﾏ〈ニニ/ニニ|
　 |ﾆニ∨ﾆﾆ/7ニ二/l.|.:.|: |　　　　{{　　 {　 Υ:|　ﾏニﾏニﾆ/ニニ=|
　 |ニﾆ=∨ /7ニニ/ 从..|: |　　　　{{　　　　 |: | ＿∨ﾆﾏﾆ/二二ニ|
　 |ニニﾆ∨7ニﾆ/　　|:l:.|八　　｛l　　　　 |: :〉]乃∨ﾆ}/二ニニﾆ|

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　慕容恪は洛陽を攻めるに当たり、諸将に向かってそう告げたという
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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62 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:14:04.49 ID:IF86Ai/v0: 　　　　　　＿＿＿
　　　　　／ﾆﾆﾆﾆニY
　　　／ﾆﾆ＞――┴＜
.　　　 /ニ／:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
　　　/ニ/:.:.:.:./:.:.:|:. |:.:.:.:.|...l.:.',
　　　{ﾆ/:.:.:. : |:.:.メ.:.｣:.:.:斗:｣:.:.l
.　　　/i|:.:.:.:.:.:.|　∩　￣∩|:.:.:|　　　　　　　　行くわよ！
.　　　〉i|:.:.:.:.:.:.|　∪　　 ∪{:.:.:|
　　ヾﾑ:.:.:.:.: |　／＾ｰ┐　）:.:|　　　　　　　　これ絶対失敗できないヤツ！！
.　　　 , -ヽ:.:.人_(:::::::::::ｿ.イ/:./
.　　　/ﾆ＼ﾆ=‐:＼∨￣|x/イ
　　 /ﾆﾆﾆ.|ﾆﾆ}￣:冂:￣}!ニl
　　 |-ﾆﾆﾆ|ﾆニ／|　|ヽ.ハﾆl
　　/ﾆﾆﾆﾆ|ニ<　ﾊ,ﾊ　 l-|ﾆl
.　 /ﾆﾆﾆﾆ/ニ〈　 l:::::::l　|ﾆ|ﾆl

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,;: '';..,　,..,'' :,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,;:'';, ,;　 ;　　;　 ;　''':,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,;'':.:.　 ;　　;　　 ;　 ;　　'';,
　　　　　　城内の晋軍に告ぐ！　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
　　　　　　艦むすだか天むすだか知らんが、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .',ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii,'
　　　　　　お前たちの時代はもうとっくに終わってんだ！！　　　　　　　　　　　 ';:.:.:.:.. 　＼　　　　　／　 ':,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ';::.:.:.:. .　●　　　　　　●　　;'　
　　　　　　さっさと降伏しろ！！　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　';:::.::.:.　　　（__人__）　　　;'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'':;,:.:.:.:.:. . 　　　　　　､:'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,;:'':.:.:.　　　　　　　　　 '':,

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　洛陽の防御力を削げるだけ削いだ上で、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　血気盛んな諸将に負けた場合の言い訳をさせない状況で攻略に挑ませる。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .いい性格をしているように思う
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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63 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:16:35.54 ID:IF86Ai/v0: 　　　　　＿_　　 _____　　＿______　
　　　　,´　_,, '-´￣￣｀-ゝ、_ イ、
　　　　'r ´　　　　　　 ..::::::::::::::.、ﾝ、
　　　　,'＝=─-　　　　 -─=＝',　i　　　　　　　　　　うるせぇ！
　　　　i　ｲ　iゝ、ｲ人レ／_ルヽｲ i　|　.|｀ヽ､
　　　　ﾚﾘｲi （◯）,　､（◯）::::| .|、i .||　|::::ヽl　　　　　　お前らの時代もすぐに終わるぞバカヤロー！！
　　　　　!Y!""　 ,rｪｪｪ､　".::::「 !ﾉ i　|　|:::::ｉ |
　　　　　L.',.　　|,ｒ-ｒ-| 　 .::::L」ﾉ| .|　.|:::::ｌ |　　　　　 .アニメ化されたら終わりの始まりなんだよ！！！
　　　　　| ||ヽ、　｀ﾆﾆ´　.::::,ｲ| ||ｲ| /ｒ-|:「￣　
　　　　　レル｀ー--─ ´ルﾚ　ﾚ　　Ｕ(ﾆ､)ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .(_(ﾆ､ﾉﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞`｀: : : : : : : : 〕iト .　Ⅵl //
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : : ヽ Ⅵ/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, : :／: : : : : : : : : : : ヽ : : : :∨Iﾔ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 f: :/ : : : / : : /: : : : : : :ヽ: : : :∨Iﾔ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ' : : : :/ : : /: : : : : : : : : ﾏ: : : :VIﾔ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ : : : :,ｲl: : :/: : : : :∧: : : : :乂: : :∨ﾔ＿__
　　　　舞台は帝都洛陽！　　　　　　　　　　 ,.イ: : : :_,.イ: ﾊ :/: : : : :/ ／､l : : ﾃ _ﾆ=-,´////∨__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂,: : : : : :,ノ　ﾏ: : : ／斗劣ミ: : ,ﾞl Y: : : Y三三三三｀ヽ
　　　　相手は名将慕容恪！！　　　　　　　　　｀￣天ｨ芹ミｘ- ´　　乂リj／:/ノ: : : 人三三三三三ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ry　　　／: :.∧弋ﾘ l　　　　 / : :八: : :斗＝ミ、三三三三ヽ
　　　　最高の死に場所だわ！！　　　　| | ,_　 /: : : :/ ∧.　　ヽ　　, ／: ／,ｨｧ''´　　　　 ∨三三三＞'"∨　,斗￣ミ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|／ﾉ　ｌ: : : kﾞ / : }h､　ー　 /: : / Vﾆ｢　　　　　　 ∨ /////////∨ , ' 三｀ヽ　∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ,ｲ　ヽ: : : ＼: j: : ,）＞　_l: : :l　/ニl　　　　＿l∨/////////ll　l 三三三l　 I
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠ /_l＿　　〕iト: : ヽﾃ==≦´人 : Ｘ=ﾆ=|　　　　／ｨ― ､｀ヽ //////∧ ヽ三三ノ　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,√r―､‐'"ｧ‐z　　_ヽ:ﾉニ/― ' 　 7､:_:＞ｆ|　　 ./ , ﾞ三三ヽＹ/////＞'≧s｡,__｡s≦二
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈、＼　~´ ∠-=ﾆ　〈ニ/／　　／ﾆﾆﾆﾆ人_｡s=l　l 三三三l　l/＞'"こ二∧二二二二
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾔ h､_>‐/´　　　　,―ﾏ´ニニУ-=＝≦,ｨi{ﾆニ圦ゝ三三ノ /V二二二こ∧二二二二
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ＿_乂＿_　-=/ 　/ﾆOﾆ=/　／　　〈㌢´　　∧ ≧― ＜二V二二二二∧二二二
64 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:17:22.16 ID:IF86Ai/v0: 　　　　　　　　 ,,　　　　　　　
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65 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:20:39.39 ID:IF86Ai/v0: 【紀元３６５年３月　晋　司隷　洛陽】

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　　　　　　　l'i;;l　l'i;;ｌ　l'i;;l 　i!;l⌒i|　l'i;;l　l'i;;l　　　　__
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66 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:21:14.92 ID:IF86Ai/v0: 　　　　　　　 |///,＼　　　　 _,,,,､､､､､､,,,,_ 　／/////j{
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　　　　　〈__|__|: :|: : :|／:.:|∨ ヽﾊ:　:　:| |: :|__zzzzx:_| | : : : : |
　　　　　　　│: : 八 : |Ｌ::斗zzx､ └－┘彡ｲ/じﾊ＾》 √: : : :’　　　　　 .沈勁殿。
　　　　　　，: : : : ∨ｨ''”うJ/}ヽ　　　　　　ゞ辷ｿ､　√: : : ‘
.　　　　　　　 ‘ : : : : ∧ 、ゞ辷ｿ　　　　　　　　 √: :　:j|　　　　　　よく洛陽に踏み止まって最後まで戦ったわね。
　　　　　　　，: : : : ∧　　　　　　　丶　　　　　　　/:　:　:∥
　　　　　　　 ‘: : : : : :∧　　　　　　　　　　　　 /: : : : ∥|　　　　　　我が国に仕える気はないかしら？
　　　　　　　， : : : : ∧　　　　　　　　　 /: : :　:∥ |
　　　　　　　　　i’: : : : : :込、　　　ー　　´ 　　ｲ: : : : :∥: :，
　　　　　　　　　|:∧ : : : : : Ｖ＞_　　　　　　　　ｲ∥: : : :∥ : : ，
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　　　　　　　　 │: : ∧: : : : : ∨￣ﾌ冖Y'冖'く￣||: : : :∥: : : : : '，
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67 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:22:04.74 ID:IF86Ai/v0: 　　　　　　 .／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
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　　　　　 |:.:./:.:.:.乂______ |:.:. /}/ _____彡:.:.:./:.:.:.:.|
　　　　　__|＿_／:.:| ´ ´ ´|／　　｀｀｀V:./:.:.:.:.: |　　　　　　　　　　家と国の事は重いのよ
　　　　人:.:.:.:.:.:.:.:.　　　　　,　　　　　〈:/ :.:.:.:.:/|
　　　　 (:.:.:}:.:.:.:.:.:.人　　　______　　　ｲ:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
　　　　　＼___:.:.:.:.:.:.:.:ト..　｀　´ 　イ:.:|:.:| :.:.:.:.:.: |
　　　　　　人:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.ﾉ＞＜　　{　|:.:｢i:ト :.:.:ﾉ
　　　　　r……ト-:.|:.:.:Ｋ　　　　　 {　|:.:|:i:i:i:i:i:i:〕ｉト，
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| .:.:.:.: 〈ｨ扞芍｀⌒　乂少 |.:.:.:.:.:.:.:.:「
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68 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:22:51.17 ID:IF86Ai/v0: 　　　　　 ,;:'';, ,;　 ;　　;　 ;　''':,
　　　　,;'':.:.　 ;　　;　　 ;　 ;　　'';,
　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',　　　　　　殿下。
　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',　
　　　',ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii,'　　　　　　沈勁は確かに奇士ですが、
　　　';:.:.:.:.. ／　　　　　　＼　':,　　　　　 .志を観るに、人に用いられるままでは終わらないでしょう。
　　 ';::.:.:.:. .　●　　　　　　●　　;'
　　　';:::.::.:.　　　（__人__）　　　;'　　　　　　今赦免すれば、必ず後患となると思われます
　　　　'':;,:.:.:.:.:. . 　　　　　　､:'
　　　　 ,;:'':.:.:.　　　　　　　　　 '':,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {'/` ､　　　_ . -: 乂//∧/}: `　､: : : : : ｀`ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　！///＼､丶｀ -‐…￣｀ヽ: : : : ＼: : : : : : : ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V///／／　　 _ .. -‐…‐-’,: : : : :’, : : : : : : : ’,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ＼/: /　,ｘ＜: : : : :＼: : : : :', ∧ : :‘,: : : : : : : : ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｛ﾆ=/: /／: : : : :`: .､ : : ヽ: : :＜　＞: :'/: : : : : : : :',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　乂/: /: :{: : : : : : 、: :＼: : ’,: : : ∨: : : : '/: : : : : : : :',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/:ｌ: √: Ⅳ: V/: : ＼:-‐ヽ‐- ､: :.}: : : : : :l: ! : : : : : : ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　くﾆ/ﾆ!:.ｌ{: : :{ ’, : ＼: _. -` ｰ二.,_￣}: : : : : :| |: : : : : : : :!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　L={: {:{: : :／丶:／　　ィi笊ハ㍉ : : : : : l |: : : : : : : :|
　　　　　　　　残念ね。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{: {:‘,: : :〉 __　　　　乂rソ　　|: : : : : | |: : : : : : : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {:{＼:V Y＾T心　　　　　　　 !: : : : : l | : : : : : : : ,
　　　　　　　　壮士ほど先に死んでいく　　　　　　　　　　　 .丶　｢: : : 乂ｿ　　　　　　　 : : : : : :| |: : : : : : : :′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l: : : :l　　′　　　　　　 |: : : : : | l: : : : : : : : ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: : :圦　　　ｰ　 ´　　　　　|: : : : :√! : : : : : : : ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | : : }　＼　　　　　　　　／|: : : : √:{､: : : : : : : :'/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | : : }　l : :}ｈ｡　　　ィ　　 | : : : √!:{ 丶: : : : : : :'/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l: : : !　! : : : : う7爪ヽ_.､-1: : : √ !:{-=ニ=- ､: : :'/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　 |: : :,ﾞ　 : : : : : : : : : :〈 }ﾆﾆ.ﾞ : : /ニﾍ:.､ニニニ心 : '/

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　『晋書』『沈勁伝』に曰く。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　沈勁は捕らえられたが、神気自若としていた。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .慕容恪はこれを奇として宥めたが、
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　中軍将軍の慕容虔が後難を恐れて沈勁の殺害を進言した
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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69 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:23:42.72 ID:IF86Ai/v0: 　　　　　　　　　　　　　　　 ..:＜: : :/: : : : :＞､ : : : : : 乂 : : : : : : ＞:..
　　　　　　　　　　　　　 /: : : : :/ : : : : : : : :ム: : : : : : ゝ､__,,.イ: : ハ
　　　　　　　　　　　　 ,': : : : :,': : : : : : ﾄ、: : : ﾊ: : : : : : `寸 : : : : : ﾊ
　　　　　　　　　　　　　ノ{ : : : : { : : : : : : |　ﾏ: : : ﾊ : : : : : : ﾊ: : : : : : :ﾊ
　　　　　　　　　 {　{ : : : : {: : : : :_,;ｲー‐ﾏ: : ハ : : : : : : }: : : : : : : :}
　　　　　　　　　 {　ﾊ: : : : {: : : _,;ｲ　　 }:ﾊﾘ　} : : : : : :ﾉ: : : : : : : :}
　　　　　　　　　　 {　　ﾏ: : ｲ: : イ　　,ｨ斧笊㍉Y: : : : ,.ｲ‐‐V : : : : :}
　　　　　　　　　＿　　∧　 }: 才l,,.ｲ　　ﾃん/ハ　ﾉﾙ : イ: :{ヽ　l: : : : : }
　　　　　　　ィ´:i:i:i＼　〉メ: .ハｨ=x　　　乂少 ´　　 }: : :{__,.ｲ: : : : ∧
　　　　　　　 `寸､i:i:i:i:メ､ー´ ,ｨfﾊVﾘ　　　　　　　ﾙ : }: : :l: : : :/: :ﾑ―― ､
　　　　　　　くi:i,.ヘｲ:i:i:i:ﾄ、 _イﾍ::ｌｿ　　　　　　　　 .,.ｲ:: : :ﾄ: :/: : : {: : : ﾑ: :: : : ﾑ
　　　　　__､＜　　乂,;ｲi:iﾑ´ 　 }:l　　　　　　　　　　　 {: : : }､:＞､ ∧: : : :ﾑ: : : : :ﾊ＿_　　　　　 .慕容恪殿。
　＞ `｀　　　　　　 _.イi:),.ｲ:i:)　ﾑ}h､　ｰ　'　　　　　　 { : : :}: ゝ､＞､: : : : :ﾊ : : : : }: :
´　　　　　　　 _､＜ー气i:,.ｲl　7 :,'　ﾐh､＿＿,.ィ　＿＿ﾔ: : :l＿__ゝ､: :＼: : :人: : : ﾑ :　　　　　　深く感謝します
　　　　　 ,.ィ升　　　　￣　 {: :{＿＿＿_／　| 入　　ﾔ: : {　　|: : ゝ､: : Y : : ヽ‐'--､
　　　　 _.イ_,ｨ-､＿＿＿＿_,､＜! :{　　　,.ｲ　 .__l/　}　 ,'　ﾏ: :{__,.ｲ: :_:_:_＞､l: : : :ﾊ: : : :
　―　￣ﾏ　ヽ　＼ー＞､　　 {: :Ν　/　}_／,.ｲ　 i ,ｲ　ﾇ:ﾊ　,ム : : : : : :ム: : :ﾑ: : :
　　　　　ﾏ　ヽヽ　＼　　＞､ {: :ﾑ ∠=ハ　`寸,　ﾚ__,.イ　ﾊﾑ＼＞､:_:_: : :ﾊ: ﾑ:^トｰ
　　　　 .ﾏ　ヽヽ　＼　　__ム: :〉_.イ　 }　　∨　'　　 ,ｲ }: ::} ∠＿_ ＞､: : :Ｙ: : : :
―　 -　 ..,,_`マ　　ゝﾊ　`寸: :/::ｱ´　　　 '　-‐ ﾏ　￣ 7　ﾑ: ﾘ　　/　　　ﾊ: : :＼: :〈
　　　　　 `寸＼　　　`ー＞-'´ 　　　　　　 V　　/　ム::ｱ　 /　　　　　}: : : : :X:ﾑ
　　　　　　乂_〉>―=イ´　　　　　　ｱ　　　 /》　ｲ　ﾑ::ア　/　　　　 }ー{: : : : :
　　　　　　　　＞ｧ＜´　　　　　　　　／　　　　　//}　,'　/:ア　 ,'　　　　　 .}　_≧ゝ､,
　　　　　　／ﾊ　　　　　　＞''"　　_ -ﾆﾆ-/〈_ }　i　{::ﾑ　　f　　　　　 }　`マ　ア
　　　　　＿/ﾆﾆﾆ-_　　　 > ゛　 _､＜ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ-_`寸　ﾚ: :ﾑ ,ﾞ_　　/　　　　 }　　　ﾏｱ
　　　　 }ゞ{ﾆﾆニﾆ- _ 　 , 　 _-ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆｧ　〉寸ﾄ､:_:_:_,ｨ´ ,'　　　　　l}　　　 {:
　　　　 }　`寸ﾆニﾆﾆﾆ_i{＜ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆｱ　 /,　ﾏ　 {　　 ,　　　　　 .}　　　 {:

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　慕容恪は遂に沈勁を殺害した。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　興寧三年（三六五年）三月の事である
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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70 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:25:31.31 ID:IF86Ai/v0: 【辟閭蔚は段龕の配下にいて戦死した人】

／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､　　
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/　
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　　　　　　　　　後に、慕容恪は君主の慕容暐へ感想を述べている
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:　
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼　
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿__　
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V.......＼　　　　|........∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V..........ヽ _,,Lﾕﾆ!..........∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　γ´.ヽ,＞''"二_'''～ﾐx＿＿}｀丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {.....／''"´: : : : ｀`～､｀.Y. . . . . . .＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.>": :./: :/: : : : : : : :,: ヽ|: : : ,: : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.+'.//: : /: : ,': : : :.,': : : :.l: : :!: : : !: : : : : :.∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ./:,': : :,1: :.,': : : :.,': :,: : :l: : :|: : : |: : : : : : :.∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .7:,1斗:┼ ､: : : :_l: :,1: : l!: : |: : : |: : : : : : : :.ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .└'ゝr┘L_:l!: : : :l:｀`ト:､'l: : :|: : : |: : : : :i: /}: : ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|: :.}了沁　￣｀ `' .L//ヽ: !: : : !: :.i: : }V..|!: : ,
　広固を平定した時は辟閭蔚を救えず、　　　　　　　　　　　　　　|: : |　込j　　　　 '''て斥ヽl: : : :!: :.lV:j..|...!l: : :,
　今を洛陽定めて沈勁を殺した事は四海に恥じるばかりだわ　 !: :.|　　 ,　　　　　辷ｿﾈ!: : : l: : l>ヽ.l...!.}: : :,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !: :.!　　　　　　　　　　　 j: : : j:／.........¨V: : : ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l: ∧ 　､　_　　　＿,.｡ｒ＜｀`く.............／: : : : :,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l: : :.ヽ＿_,,,,....イ- ､; ヽ; ;㌦; ;V...／: : : : : : : V
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,＞'" ￣￣￣; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;V; ﾍ; ;.}}; ;}ｲ､: : : : : : : : : :V
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;.}; ; l!; }}_ﾉ: : :＼: : : : : : : : :V
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 γ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;_,..斗-.r_ｵ;,.｡＜: : : : : : : ＼: : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;.,＞''"｢; ; ; ; ; ;ヽ¨´ 　　｀ヽ、: : : : :.`''＜: : : : :.ヽ
71 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:26:19.14 ID:IF86Ai/v0: 【紀元３６５年３月　晋　司隷　澠池】

　　　　／: : :.:|＼ﾆ=-＜: : : : : : : : ハ: :./ ./　 |: : :.:ハ: : : :ﾑ: : :..:| ＼: :.∨　　V: : :}::|
　　 /／(￣八　＼` ＜＼: : : : : -─/ ./ 　 .|ヽ: : : :}: :.:/　}: : :/ニ　Vハ＼　|:::::/ '
　　./(　　＼__.＼　＼　＼}イ : : : : :人.{＿彡':寸: : ﾉ: :/ｰ/: : :ハニニ.寸　|}l |::/:/
　　{　　＞才: : : : ＼　＼　.|＞────-＼＼:≧=ｰ-=彡:／　ﾉ￣ ∨:.}_//／: ' ＼
　　　./／: : : : : : : : :＞r≦l{-=ﾆ二￣￣二ﾆ∧: ＼: ｰ-=≦ｰ=彡 | ／: :厶イ／￣￣
　　　{/: : : : : : : :./　(　{/: : : : : : : : : : : : : ＜　＞: : : : :二ﾆ=ｰ=≦: :／: :／:.|　∧
　　 /: : : :／￣　乂　 /: : : : : : : : : : : : : : : : ∨:.∧: :.＼: : : : )V/: : :彡イ:/: /∨: :}
　 ,ｲ: :／{　　(二＞≦l: : : : : : : : : : : : :＼: : : : V: ∧＼: ＼:彡':∨ )V: : : :／}:/}: : '
　　|:/　八　　＼彡イ.|: : : : : :|乂: : : : : : :／, イlV:.∧: :＼:.:＼＿彡ﾉ:彡'　 ///: :/
　　|l　　　　　く　　　从: : : :八≧寸寸寸ｨ匁ﾂハ: ∧: : : ≧==≦辷ニ艾彡:.／)
　　乂　　　／: :＞ｰ: :乂:{＼{ 艾沁　　　　　 {::∧: :.＼ ≧==}∨: : : : :): : : /く:i:i7　　　　お隣さんに
　　　　／: : :斗≦　厶|＼个ｰ　　　 '　　　　乂:∧ ＼:＼　厶ｲ＿／厶イ　 .ハ　　　　引っ越しの御挨拶をしないと
　　　　　{ : :/　　　 ./　 ||　|:|: :个::.... 　-‐　／／　＼≧ﾆ=彡ｰ=ﾆ斗彡イ.＿_/:i∧
　　　　 .八:.乂　　./　　从乂: : : :＼::::≧彡〈　　／　＞ｰ--彳　 V|￣￣∨.∧:i:i〈
　　　　　＼(　／　　　　＼＼:／):.:＼　　 7~ー　　厶イ/:i:i:|二二|　　　 ∨.∧　＼_人＿人∧从＿人_∧_人_从_/／
　　　　　　　　 Y´O￣＼　　　／ﾆ二ﾉｰ=ﾆ_/_|≧≦彡／:i:i:i:i|:i:i:i:i/ー-　　 V 　　　)　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
　　　　　　　　/　O　　　＼./／二ﾉ|＼　 /:i:i:i二ﾆ=≦:i:i:i:i:i:i/:i:i:i:/　　　￣/寸　＜　　　　　慕容恪！！？　　　　＞
　　　　　　／／￣￣＼　厶イ才　|＼∨ｰ---=彡＼　寸:i:i:i:i:/　ｰ-　　 ./／:i:　　<　　　　　　　　　　　　　　　　　(　
　　　　　　(／　　　　 V.|　彡　　/　∨≧寸:i:i:i:i:i|:i:i:i＼/＼／　　　　／厶:i:i:i　　／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^YY^^Y^
　　　　／　　　＿＿＿ 'ﾑ　　　 /　　/　　 |∨:i:i:i:|:i:i:i／',　　＼　　　.///:i:i:i:i:∧
　　　.／　　./　　 ///≦　　　／─-/-　　 |　V:i:i:i:／　　V‐=ニ＼__///:i:i:i:i:i:i:i∧
　　 /＞─- |　　 | |.|　　　イ:八＿/　　 ≧l≦V／|ニニﾆ∨斗:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:}V￣￣
　 ./ 　　　 |　　　V∧寸:i|　|／l:i:i:i:≧=-=ﾆ|ﾆ=斗≦:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:{寸:i|￣￣
　　　　　　 .人　　　V∧＞'　　　＼:i:i:i:/＼:i:i:i:i:／＼:i:i:/∨＼／: : : :.'┣¨┣¨┣¨┣¨

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　話を戻す。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　『晋書』『苻堅載記』によれば、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .慕容恪は洛陽を攻めて抜くと、崤山・澠池を攻略した
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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72 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:26:49.07 ID:IF86Ai/v0: 【紀元３６５年３月　前秦　首都　長安】

　　　 i{＿}i　　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::､::'，
　　　　i{＿}i　　　　　　　　　　／:::::::::／:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::∧ヾ.
　　　　 i{＿}i　　　　　　　　／:::/:::／::::::/:::::::／::::／:::::::}::::'，::ヽ::::::'，
　　　　 i{＿}ｉ、　　　　　　　/::::::/:::/:::::::::/::::／::::／}::::::::::,'::::::}:::::::ヽ:::::'，
　　　　　{-‐.:'´￣｀Y´￣｀i　{／/{::::}::::::::/:／¨7:/ヽ､|::::::::ﾊ:::::::}::::::::::}＼}
　__,..-〈¨.:,z-‐.:'¨7⌒ヽフ´　　/::::};ｲ::::::/:'　灯芹ぅト.|:::::/,ｨ}::;ｲ::/::::}:}　｀
{.:.;z-‐.:{¨-‐二／.:.:.:.:.:}　　　 .}:::::ｲ |::::ﾊ{　　込rﾘ　|／ｲﾋﾊ}/:::::/ﾘ
ゞ-‐ ¨´}斗イ´.:.:Ｏ.:.;ｲ　　　ﾑｲ:ゝ|:/ゞ{　　｀"´ 　′ 〈:ｿ /}:::::/　　　　　　　慕容恪だと！？
　　　　 {ゞxz=ﾐ―‐'’了У　＿}_:::}/｀7ヽ.　　　　__　　 }:.　.ﾊ.}／　
　　　　＞'｢.:.:.:.ゞﾃｲ)､｢{‐:'´￣: : : :｀＞x、ヽ. 　(二ﾆゝ　人　　　　　　　　　俺が陝まで出る！！
　　　　ゝﾍヽ:.:.:{¨}´＼:ヾ、_:_:_:_: : : : : : : ｀ヽ.＼　　 .ｨ＜´　　
　　　　　　ﾏ:ゝ.}:::ゝ∠⌒ヽ::::＼ヽ: : : : : : : : :｀ヾﾆﾆイ/　　　　　　　　　　　　それまで絶対に仕掛けるなよ！！！
.　　　　　ﾏ.:.:}:〔r‐ミ::｀ヽ::::＼:ヽ.＼ : : : : : : : : } }: :/、　　
.　　　　　　ﾏ∠-―-x ヽ::＼::＼::ヽヽ: : : : : : :〈〈: /　＼
　　　　　　　　/: : : : : : : ヽ＼::ヽ::::ﾏﾑ｀ヽ_: : : :/ﾑ' 　　〉、　　＼＿_人＿人从＿人＿人从／
　　　　　　 /: : : : : : : : : :}i　ﾏﾑ:::::ﾏﾑ. j{ ｀¨77'}｢　　　/: :}　　　＿）　　　　　　　　　　　　（＿＿
.　　　　　　　{ : : : : : : : : : : }i 　ﾏﾑ::::ﾏﾑ/　　{{　}}.　　 / : :.}　　　　）　　　御意ッ！！！　　　（
　　　　　 _j{ : : : : : : : : : : :}}　;　ﾏﾑ::::ﾏﾑ　 {{　}}.　　/ : : :.}　￣￣）　　　　　　　　　　　　　　(￣￣
　　　　　　｢: {.: : : : : : : : : :〃 /: 　ﾏﾑ::::ﾏﾑ　{{　.}}　 / : : : :i{_　　　／⌒Y⌒Y⌒⌒Y⌒Y⌒Y⌒＼
　　　　　　|.: {.: : : : : : : : :// /　　　ﾏﾑ::::ﾏﾑ.{{　.}}　i{.: ;ｚ≦ : 〕

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　苻堅は懼れて潼関へ入り、親しく陝城に駐屯して慕容恪に備えた
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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73 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:27:27.19 ID:IF86Ai/v0: 【紀元３６５年３月　晋　司隷　澠池】

　　　',　　　　　　　　　　　　　　　 /黄　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ､　　　　　　　 /　　　　　　　　
　　　 ',　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ､　　　 _,,,,,,-‐'′【河内郡】　　　
　　　 ',　　　○粟邑　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀‐-‐´　　　　　　　　　 ,-‐'´
　　　　　',　　　　　　　　　 / 河　　　　　〇安邑　　　○垣　　　　　　　　　　　　○野王　　　　_,-‐'i´
　　　　）　　　　　　　　 ,'　　　 ○解　　　　　　　　　　 ,,,..-‐- ､,,,_　　　　河橋　温　　　〇懐_,,,-‐'´　　｀-､
　　　 ,''´　　　【馮翊郡】　　 ,'　　　　　　　　　　　　 ,,／　　　邙山▲ -､,,_　○　○ ＿,,,-一'´　【滎陽郡】　 l　
　　　 '、　　　　　　　　　　　ｌ ○蒲阪　　　大陽○,,-‐'´　　　　【河南郡】　洛陽〇河陰~´　　成皋　○滎陽　　　!
ヽ,　　）　　　　　　　　　　入　　　 _,,,,...-一'´●陝城　　○十三里橋× ○　　〇偃師　　　○　　　　　 ○　○倉垣
　　｀~´　渭水_,,,,,...---‐‐''´×潼関 ‐'○湖○　　　　　　　新安　　　　　 ○　　〇緱氏　　　▲　　　　　　中牟
〇渭城 ,,,-‐'´´　　　　　 ○華陰　　　　弘農　　▲ ●　　　　　○宜陽河南　＿,,..-‐- ､嵩山○轘轅　　【陳留国】
,--‐‐'^´　　　　　〇　　▲　　　　　　　　　崤山澠池　　　　　　　○　　　 (´ 　○輪氏　｀､　○密　 ,／
〇長安　〇隠盤　鄭　華山　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　新城　　｀`'''‐-､,,_　　　｀‐-‐'''´´　｀~~`ヽ､
　○覇上　　　　　　　　　　　　　　　　【弘農郡】　　　　　　　　　　　○陸渾　　 ○梁　 _,) 　　〇陽翟　　　　　　
　【京兆郡】　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,,_　　 ,ィ´　【潁川郡】　　　 ○許昌
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 L　＼　＿＿＿ /　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r ¨ハ_ﾉ:::::::::::::::::::::Ｌ＿人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　V（_ノ]_]　二二二 [ [_｝::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ノ~ア｢:::::::::/::::::::::::::::::::＜＞:::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ⌒ｱL ｣i:::::::::|::::::::::::|:::::::::::::|:::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::Ｌ ⌒｣L:::::::｣L⌒Li |:::::|::::ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::|xれ笊　　　笊うx.|:::::|::::|　　　ひとまず、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::|ﾄ ∨り　　　∨りﾉ|:::::|::::|　　　このあたりを国境にして鄴へ帰りましょう。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::ﾄ　　　　　　　　　　|:::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::|人　　ヽノ　　　ｲ|:::::|::::|　　　勿論、洛陽に軍勢を置いていくわよ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノう｢):::::V/＞　_＿_　＜" |:::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{ 二)}:::::::VL ノ L_／＼Ｌｉ__|:::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ´ ﾉ∧:::ﾔこう｣三Lこう[ |:::::|::::|

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　『晋書』『慕容暐載記』に曰く。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　左中郎将慕容築を征虜将軍・洛州刺史として金墉城に駐屯させた
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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74 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:28:52.37 ID:IF86Ai/v0: 　　　　 `ヽ､　　 _,,,,,,-‐'′　【河内郡】　　／　白馬
　　　　　 `‐-‐´　　　　　　　　　 ,-‐'´○東燕　　　　　　　　　　　　　昌邑
　　司　　　　　　　○野王　　　隷　_,-‐'i´ ○延津　　　　　　【済陰郡】　○　　　　　○
,_　　　河橋　温　　　○懐_,,,-‐'´黄　｀-､　　　　　　　　　　　　定陶
　｀｀`‐-,,　_○　○ ＿,,,-一'´ ×官渡　　　　　○封丘　　兗　　　　州
　　　　　￣｀ﾞ~~~´　　　　 ○滎陽　石門○!倉垣　　【陳留国】　　　　　 ,-､
　　　　　 ○洛陽　　　　【滎陽郡】　○ ｀○､　陳留　　○外黄　　　／　/　 _,,,_
　　 ○　　　　　　【河南尹】　　　　中牟　 /　○　　　　　　　／　（_,／　｀ヽ
　　河南　　＿,,..-‐- ､,＿　　　　　　　 ,,-一´ 　　　 ○雍丘　 ,,-‐′○蒙城
　　○　　('´ 　○輪氏　｀､　　　　 ,／　　　　　　　　　　ヽ　　　【梁国】
　新城　　｀`'''‐-､,,_　　　｀‐-‐'''´´　｀~~`ヽ､　　　 ,,_○圉＿,,-‐′
　　　　　梁○　　 _,,) 　　〇陽翟　　　　×洧倉.--′｀´○陽夏　　　　　　　　　　　　　蕭
　　　　 ,,,_　　 ,ィ´【襄城郡】　　　　　 ○許昌　　　　　　　　　【陳郡】　　　　　　　　　　　○
　　　 ,／　｀~´　ヽ　　　　　○　　【潁川郡】　　　　　　　　　　　　　　譙
　　,／　　　魯陽）　　　襄城　　　　　　　　　　　　　　　　 ○寧平　　　○　　【沛国】
,,／　　　　　　　● ｀`'''i　　　　　　　豫　　　　　州　　○陳
　　　　　　　　　　　ゝ,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　荊　　　　　州　　　）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　【南陽郡】　/　　　　　　　　　　　　　　　南頓　　　　　　　
　　　　　〇宛　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○　　　　○項

　　　　　／ﾆﾆﾆﾆニY
　　　／ﾆﾆ＞――┴＜
.　　　 /ニ／:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
　　　/ニ/:.:.:.:./:.:.:|:. |:.:.:.:.|...l.:.',
　　　{ﾆ/:.:.:. : |:.:.メ.:.｣:.:.:斗:｣:.:.l
.　　　/i|:.:.:.:.:.:.|　∩　￣∩|:.:.:|　　　　　　えーっと、魯陽魯陽……
.　　　〉i|:.:.:.:.:.:.|　∪　　 ∪{:.:.:|　
　　ヾﾑ:.:.:.:.: |　／＾ｰ┐　）:.:|　　　　　　洛陽から南へ進めばあるとかないとか
.　　　 , -ヽ:.:.人_(:::::::::::ｿ.イ/:./
.　　　/ﾆ＼ﾆ=‐:＼∨￣|x/イ
　　 /ﾆﾆﾆ.|ﾆﾆ}￣:冂:￣}!ニl
　　 |-ﾆﾆﾆ|ﾆニ／|　|ヽ.ハﾆl

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　慕容垂に兵一万を配し、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　荊・揚・洛・徐・兗・豫・雍・益・梁・秦州諸軍事・征南大将軍・荊州牧とした。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .こちらは洛陽から南へ進んだ魯陽に駐屯している
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
75 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:29:44.86 ID:IF86Ai/v0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_...._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,.-':::::::::::::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,..-':::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　＿＿　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::ﾍ
　　　　 l:::::::::::::::::::￣::::::ー...／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　ヽ::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;ｨ::ﾆ'::::l
　　　　　　ヽ:::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ ｀ヽ:::::::l
　　　　　　　＼::::::::::::::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:､　　';::::::|
　　　　　　　　 ,ﾝ､:::::::::::::::::::::｀:-..._:::::::::::::::::::::::/::::::＼　';:::|
　　　　　　 / | |｀ﾄ､_:::::::::::::::::::::｀:::ｰ-......__/::::::::::::::＼ヾl
　　　　　　　　　l ﾄﾄ. ﾄ､ヽ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　｀ﾊ_|ヾ弋弍f'ｰ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　 '´く.　　 'ーｲ　l j､7ァt､__:::::::::::::::::::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　 rヽ､　lー'-'ノ_ﾉ∠Lゝト弋ー--　　:::＿:ﾉ
　　　　　　　　　　ﾍヽ--j..-＜}::::::::::::〈.｀　　　　　　　　　　　　　もうすっかりやりたい放題の前燕だが、
　　　　　　　　　　　 ,ﾚ-'⌒:､　ヽ:::::::::::ヽ- 、　　　　　　　　　　何故東晋は洛陽陥落の危機にも動かなかったのか？
　　　　 ,. -‐､　　　ヽﾆ.:::::;r‐　'´ l::::::::::::::::::::ﾍ　
　　　,r'::::.,.-'　　ｒ'´ ::::ヽ　　 __'Jノヽ::::::::::::::::::ﾊ
　　 /:::::/　　　　|　　 l::: ｀ヽ､_　ヽ_,ｌ:::::::::::::::::::::l
. 　 |　:::|　　　 |　　 lヽ､__,. ､　';::::::::::::::::::::::::::::::l.、
.　　|　｜　　　 |　　 |:::::::::::::::ヽ. l::::::::::::::::::::::::::::::|:ヽ
　　 l.　 l　　　　ヽl.　..|::::／::::::::::´:::::::::::::::::::::::::::::::|::::l.
　　ヽ　ヽ．__ ノ |　::|:'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
　　　　｀ｰ-　一ﾍ　|::::ｰ-､.._:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::|ヽ
　　　　　　　　　　　7ﾊ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::|:::ヽ
　　　　　　　　　／::|::|:ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::|::::::ヽ
　　　　　　／::::::|:::|:::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::|:::::::::ヽ
　　　　　　　／::::::::::{:::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::|:::::::::::｀
76 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:33:05.03 ID:IF86Ai/v0: 【紀元３６４年冬　晋　揚州　洌洲】

　　　､:.＼:.:.:.:.:ヽ　ゝツ:.:_:ｊ　＿
　　　 ,＞:.:.ｙ::.:ミｊ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.､
　　 ,:.':/:〃ﾉ:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.::.∥:.:.:.:.:.､.:.:.､　
　　 :.:.:!:.i!,:y:.::ヽ:.:.:.:｀ヾﾐ:.:.::i:!:i:.:.:,:::.:!.:.:.:.;　
　　ヾ:ツ:./:.:.:＼::.:.｀ヽ:.:.:.:v:.!'!:.:l:!,:.:!:.:.:.:!
　　　　~´7:.:.:..,:.:.:.:.:.:.:.:.:.／!:iヾwj !:.!:.!:ﾉ!
　　　　　,:.:.:.:./:.:.:r　ヽ:,ﾞ　 i:.! -笹ﾞ ´Y!.!　　　　　　　　あなたでも慕容恪には勝てませんか？
　　　　 ,.:.:.:.:,:.:.:.:丶⌒ }!　 l.:!　 ~´　ヾ!　
　　　　,.:.:/:.:!:.:.:.:.:.ﾉｰ ''　　l:.!　　　　､′
　　　 .:.:./:.:.:!::.:.:l:.i!＿ , ､　i:.!　　　 ‐ｨ､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::｀ヽ
　　　..:./:.:.∧:.:.:､:!r‐ ､_ ー!:! _ iヽ／ｨ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／〃〃:::::::::::::::::::::::::::｀､
　　 .:.:/:.:.:/∧:.:.:.:.､ｌ‐!_|7zｊゞ:､ﾌ７､　 1　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::／.ｨ//:／"´｀`ヾ｀ヽ
　　,':/:..:.:.ｲj_｀ヾ:.:.:..､‐_i_!‐|_| ,〃/_/_>ﾑ　　　　　　　　　　　　　　　 i:::::::::: ///／ ///　　　　　ﾐ:::::::',
　,.:./:.:.:. ,'!‐!_/_!‐､.:.:＼_!ニ Y―‐/_/_ｲ　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ|::::::, /// 　 / ハ　　　　　ミ:::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　从:j// 乂､､,,,,,,ノ　_,,,,,､彡⌒　Ｙ:::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂:::{_仁三三三}⌒{三三三气_}::｛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /⌒ＹV三三三/ 　∨三三三ｊＹ'＾ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｛ {⌒j `ー─＜/　　､`ー─＜ } し'｝
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼｀ﾊ　　　　ヾ.:.::ノ　　　　　ﾊ. /
　　　　ウマ娘に人間が勝てるわけがないだろう。　　　　　　　　　　　 `ｰ:.　　　 __＿__ 　　　 /／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ヽ　　 ´　＿,, 　｀　　ｲﾘ
　　　　冗談はさておき、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣｀ヽ　　　　　　　／ﾍ:＼
　　　　中原へ大軍を送るのは簡単にはいかない　　　　　 .圭二二ニ＝─-､_）､_＿＿__／　　 ∨::＼、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／, ′／´￣￣｀ヽ八　　/　　　　 ',::::::∧｀:::...､、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ .． ´.::/　　 , -―- ､__ソ /二∧　　　　　 j!:::::: ∧:::::.:.:.:｀ . . 、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . : :.:.::::/　　／　, -―- ､__ソ'///∧　　　　ハ:::::::::∧:::::.:.:.:. . . . .
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . . : :.:.:.:::{　　　／　＿　｀ヽ∧////∧　　　/　 ! ::::::: ∧:::::.:.:.:. . . . .

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　実の所、陳祐が洛陽から逃走した時点で、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　桓温と会稽王司馬昱が直接会った旨が『晋書』『桓温伝』にある。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .前燕討伐について議論が交わされたらしい
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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77 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:33:54.81 ID:IF86Ai/v0: 【紀元３６４年冬　晋　揚州　姑孰】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣○ｰ､　　　 {　　　　　　　　　＿,.-‐'´　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　項　　｀}_　　 }　　　　＿_／　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　葛陂　　　　　　　｀ｰ-{ 　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　涂中
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○ 新蔡　　　　　　　｀ｰr‐'￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　○ ,.--
　　　　　　 ○宛　　　　　　　　　　　　　○安城　　○【新蔡国】　　r―'´○寿春　　　　　　　　　　　　　　　　　,「◎建康
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【汝南国】　　　　　　,.----'´￣　　　　　　　　　　　　　　○東城　　　　　 .／　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ○新息　 _/　【安豊郡】　　　　　　　　　　　　　　　　　歴陽　／●姑孰
　　　　　　　　｀ー――､＿＿/￣￣￣￣￣￣￣　　　○安豊　　　　　　　 ○合肥　　　　　　　○＿_{　
　　　　　　○新野　　　　　　　　　　　　　　　　○弋陽　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○六安　　　　　　　　　　横江○.|○牛渚
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【弋陽郡】　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.}￣ｰ'￣}　　　　　|
ヽ　　○樊城　　　　　　　　　　∧　　　　　　　　　 ∧∧∧∧　　　　　　　　　　　　　　｀ｰv'○東興　.／○于湖
　￣○}　　　　　　　　　i　　　　　　　　∧∧　　　∧∧∧∧∧∧　　　　　　　　　　　　　　｀ーr―'○"○蕪湖
　襄陽｀}　　　　　　　　｀ヽ　　　　　　　　　　　　　∧∧∧∧∧∧　　　　　　　　　濡須口○}　　赭圻
　　　　}　　　　　　　　'ｰ,　　　　　　　　　　　　　　∧∧∧∧　　　　　　　　　　　　　　　r'　
　　　　 }　　　　　　南新市ヽ_,_【江夏郡】　　　　　　　 ∧∧∧∧∧∧　　　　　　　　　　_ノ　
　　　　　|○石城　　　 .○ 　　ヽ○安陸　　　　　　　　　∧∧∧∧　　　　　　　　　r―'
　　　　　 .|＿_　　　　　　　石陽○ ｀ー-,　　　　　　　　　　　∧∧∧　皖城○　　 _,.-‐'
.長坂○　　　　|　　　　　　　＿＿＿＿＿＞-―‐､　　　　　　∧∧∧∧　　　　　 |
　　　　○当陽ヽ_　　　　　　|　　　　　 ○| 　　　○＼_　　　　　　　　　　　　　　 |　
.　　　　　　　　￣￣ヽ＿ﾉ　　　　夏口|　　　武昌　.￣|　　　　○尋陽　　＿r‐'´　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿_/　　　　　　ヽ　　　　　　　＿/　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.￣7　　　　　　　　　　　 'ｰ-､＿＿＿イ　　　　　　　
-― -―‐_ ○江陵　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
. ○楽郷__）　　_,.__　　　　　＿r‐'○陸口
　　　 ○'ー'´￣　 |　　　／　　　　　　
　　　公安　　　　｀ヽ　r'　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　＞'○巴丘　　　

／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､　　
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/　
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　　　　　　　　結局この席では、桓温の駐屯地を赭圻から姑孰へ移す事のみ決まった
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:　
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼　
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿__　
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/
78 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:34:40.18 ID:IF86Ai/v0: 【紀元３６５年２月　晋　首都　建康】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ叉7
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ⅲL_,, ,. _
　　　　　　　　　　　　　　 ,,､､-‐'''""´: .: .: .:::::::::.:.:.:. : :｀`ヾ､､､
　　　　　　　　　　,,． '"´. .:.: .:.: : .:r＝=.: :. :.: .:. :. :. :..: .: :. .::. :.｀ゞｰ-､､
　　　　　　,,． '"´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.`''ヽ､,,
　　　,r'"´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;;;;;:;:;:;:.;:.:.:.:;;;;;;;;;;;;;;:.:.:.:.:.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;:;:;:;;;;;;;;:;:;:;:;;;;;;;;;;:;:;:;:;;:＞
　　　｀`ヾ､;:;:;:;:;;:;:;:;;:;:;:;:;r＝=;:;:;r＝=､;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;;:;r＝=;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;:r''"´　.
　　　　　　｀`ヾ;:;:;;:;:::::;;;:;:;:;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;=＝=;;;;;;;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;.:.:.:.:.:.:.:.:,r'ﾞ
　　　　　　　　　　￣｀¨`ヾr＝=.: .: .: .: .:. :. :. ::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. :r＝z,;,;,;::／
　　　　　　　　　　　　　　　｀¨`ヾ.:.: .: .:.:::::::::;:;:;:;:::::::::;:;:.:.:.:.:､､-　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀＞;:;:,';: .,':;:;:; :;:; :＜´　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　,､r''"´. :.: .:. :. . :. :. :. :.: .: .:`ヽ､　　 -
　　　　　　　　　　　　,､r'"´.:.::;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;:.:.:.: .:. . .:.::::::｀'ヽ　
　　　　　　　　　　　　｀`ヾr＝=;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;::.:.:. :.: .: . :.: .: . ::.:,r'´　　　　　　γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 `ヾ::.:.:;;;;;;;;;;:.:.:.:.:.:. :. :.: ; :; :.: .:.:.::r'　　　　　　　　|　　　陛下千秋万歳です　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ､:;:;;;;;;;;:;:.:.:::＝=.:.::::::.:.:.:.:／　　　　　　　　　.ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヾ.:;;;;;;;＝=.::.::.:.:..:.::r'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,」;;:;:;:;;;:;::.:.:. :. :.:. j　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀`ヾ;:;:; :;::;;: ;r＝=.:.j　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi:;:;:.:. :.: .:. :.:.:.:,!　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l;:;: .:.: .: ..:;;;:;;;!　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'i;;;;;:.:.:.:.:;;;;;;;;;!　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 1;:;:;:;:r＝:.::{　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゞ;;;;;;:.:,r'´.:.:｀`;:ｰ-..､,,_

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　ところが、洛陽包囲中の興寧三年（三六五年）二月。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　建康で皇帝司馬丕が二十五歳で亡くなった。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .哀帝と諡号を贈られたが、
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　これで前燕討伐どころではなくなってしまった
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
79 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:35:57.49 ID:IF86Ai/v0: 【東晋司馬氏略系図（中期まで）】
┌─────────────────────────────────────────────┐
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　①司馬睿（元帝）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.│
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..│
│　 ┌───────────────────┤　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
│司馬昱（会稽王）　　　　　　　　　　　　　　　　　 ②司馬紹（明帝）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　......│
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..│
│　　　　　　　　　　　　　　 ┌──────────┴────────┐　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
│　　　　　　　　　　　 ④司馬岳（康帝）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　③司馬衍（成帝）　　　　　　　　　　　　　......│
│　　　　　　　　　　　　　　 │　　　　　　　　　　　　　　.　　　┌──────┴───────┐　　　　　　　　　│
│　　　　　　　　　　　 ⑤司馬聃（穆帝）　　　　　　　　 ⑦司馬奕（今上）　　　　　　　　　　　 ⑥司馬丕（哀帝）　　　..│
└─────────────────────────────────────────────┘

／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､　　
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　　　　　　　　　結果、まだ存命だった穆帝の生母褚太后の詔書という形で、
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/　　　　　　　　　 .哀帝の弟である琅邪王司馬奕が新しい皇帝として立てられている
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:　
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼　
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿__　
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/
80 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:38:03.15 ID:IF86Ai/v0: 【紀元３６５年７月　晋　首都　建康】

　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　／''''''　　　'''''':::::::＼
. 　 |（●）,　　　､（●）､.:|
　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|　　　　　　　　　琅邪王殿下。
. 　 |　　｀-=ﾆ=- '　.:::::::|
　　＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／　　　　　　　　　このような事態になった以上、
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-､　　　　　　　　沈勁の働きは忘れるべきではないと大司馬は仰せでした
:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|
　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _{::＼::::::ﾉ　 {:ゝ／_-=ミ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 γ:i:i乂:_｣L二L｣ﾑ::::〃::r=ミヾ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {i:i:＞`｀::::／::::::::::∨{l|:::込ｲ:)ii}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　У'"ﾟ~￣"ヽ::::::::::人込,,_ニ彡′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:/::::::::′::::::∨／:/:}:::}:::l:汽:｀'..､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′::::::::::|:::::::}::::} ヽ:'::/::::'::::}:'，ヽ:::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{:::|:::|::::::|:::l:::}ﾙ|　 ∨:::/::::/:::} 　 ,:::::::::'，
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　从{xzﾐ､:ﾄ､リzz|ミ　彡::／∥」_　 }::::::::::}
　　　　　　　そうですね。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l 杙ﾂ　　　ヒ|ﾂ　√:}::::: 〈(⌒_,ﾉ::::::: ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ﾊ" '　　　""|　 .:{-ｲ:::∥:≧==-‐ ゛
　　　　　　　これで褒賞がなければ、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 沁､丶　　ﾉイ:_{／::/::::::::}＼
　　　　　　　誰もこの国のために働こうとしなくなります　　　　　　　　　　 | 　 /＞‐.rfvYV_Y ::::/:::/::∧､::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {＿/:/ :::://|/|/|∧／／::/: ∧＼::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞‐…‐＜__///／｡s≦'/| ＞`｀::::´::／､: : ∧　＼::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′::‐:／　＼｀寸:|ﾏ￣∥／:::::::_｡s≦||/||:､: :∧　　＼:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ::'⌒/込_ ＼､＼}::|__ヽ／:, ィ升=^|/|/||/||: :＼∧　　＼:::＼

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　『晋書』『沈勁伝』に曰く。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　東晋の朝廷は沈勁の働きを称え、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　東陽郡太守の位を追贈し、息子の沈赤黔を大長秋に任命した。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　沈赤黔は東晋末期の義熙年間に益州刺史になっており、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　そういう意味では、沈勁が命を懸けて洛陽に残った事は報われた
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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81 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:39:00.78 ID:IF86Ai/v0: 【紀元３６５年１１月　晋　揚州　姑孰】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　．　　　　　　　　　 ,','
　　_　_　_　_　：_　：_　　　　_　_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,','
　　　　　　　_　_　_　_　：_　：_　　　　_　_　　　　　　　　　　　　　＼＿_人＿人从＿人＿人从／　
　　　　　_　_　_　_　：_　：_　　　　_　_　　　　　　　　　　　　　＿）　　　　　　　　　　　　（＿＿　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　）　　　益州より！　　　　（,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,､､-‐=＝‐- ,,　　　　　　,￣￣）　　　　　　　　　　　　　　(￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　 ,.　. :"´ .: .: .¨¨¨｀｀´.: .｀`ヽ､　　,','　　／⌒Y⌒Y⌒⌒Y⌒Y⌒Y⌒＼
　　　　　　　　　　　　,.　-'´　 .: .:. .:'´　.:｀`ヽ .: . .: ノ .: .｀`ヽ‐ ､　　
　　　　　　　　　,. .ィ´　.:.;:.:; 'ﾞ´ . :;;　　. . 　..:.｀`Y´ .: .:. : .:. :`ヽ｀`ヽ
　　　　　　 ,.ィ´.:, ｲ;:; :; :;;'′.:;:;:;;,'′.: ;:; :; .: .: .:. .: .'"´　　｀`ヾ .:.: :..｀ヽ
　　　　　,.ｲ.:.:;,'´. :.!;:.:.:.:.;'　.:;:;:;;:;j!;;:.::;;.:.:　. : .: .: .: .:...　　　...,,;:;; ji､;:;:;i!.:..',
　　　　｛{;;;:'.:′;;;:;{;;;:;:;,′.:.:;;:.:.j;;;:;:;:..:;:,;.:. . ..: .: .:. :. :. :. :.:.;;:.:.:;:､;.:.:.:.ji!;;:.:}
　　　　　ﾞ;.､;:; .:.;;:;:;'､;;:;',.　.:;;:;:;:i!;:;:.　.:.:..　. :. :. :. :. :. :. :;;::;:;;;:;:;:;:j!;;:.:.:j!;;:;;!............................................
　　　　　　 `ヽヾ;;:.:.;;;;;;;;;;;;;:;;;::;:;;;', .: .:;;:.: .: .: .: .: .: .;.:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;:;ﾉ;;;:;:;ﾉ;;:;ﾉﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ
　　　　　　　　　｀¨`ヽヾ;;:;:;:;;;;;;:;: ;　.:.:;　　　＼ヽ人_从人__从_人__从_从人__从_人__从_从人_人／
　　　：　．　　　　　,',　　｀¨''''ｰ-､.:;:;.:.:　　　≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜.
　　：　．　　　　 ,　′　　　　　　　　｀-=ニ　　　梁州の司馬勲が謀反を起こしました！！　　 ≦
　　　　　　　　　,　,′　　∴∵　　　　　　　≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≦　
　　　　　　　 ,　　,′　　　　　　　　　　　　／Y⌒YWW⌒W⌒Y⌒WW⌒W⌒Y⌒W⌒Y⌒WW⌒Y＼　
　　　　　 ,　　 ,′　　　　　　_ _ 　　：　．　　::　　　　　　　　　　　　　　　∴∵∴∵
　　　　 ,　　　　,′　　　　　　　　　　　　　　 ::　　　　　　‥∴
　　　,　　　　　,　　　　　　　　　　　　　　　 ::　　　　　　　　　　　：　　　　　：　　　　：　　　　_ _

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　他にも前燕にばかり構っていられない事情があった。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　この年の十一月には、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　長く梁州刺史として在任していた司馬勲が反乱し、成都王を自称している。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　桓温が蜀討伐後に残した
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　益州刺史周撫が病死したのを機に剣閣へ入ったという
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
82 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:40:11.66 ID:IF86Ai/v0: 【紀元３６５年１１月　晋　益州　剣閣】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.ｨミ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /彡巡}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｨ彡'　　Y　　ｲ　_,,...,_　／}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'"rX二〉!　　/ jⅥ彡ミﾐヾ〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,. ィベ _ィﾍ　入_!／'/'￣ﾏミヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　 /: Tﾍ: ヽ':`イｨ/;'/　／/￣､'ｲﾄﾏヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ: γfｧ┴-／ｲ'/　/　　､　.:! 　ﾔ｀　　　　　　巴蜀の王に俺はなる！
　　　　　　　　　　　　　　　　／; ィ´､_>=,ｲ// ﾙ! ∧ 込　ヽ:.:i:/　 }
　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ: {　ヽｨﾍｲ巛'{　 /!.'　ﾍ　 ∨, ┴-､f
　　　　　　　　　　　　　　　`ー,≦┤∧"{iﾘ　./:;:{、.　ﾍ /　,. -- ､}
　　　　　　　　　　　　　　 f:´ﾒ　／'"　‘，　 /　:;:;:;:ヽ、/／ !　　　!
　　　　　　　　　　　　　_r:'"〈／　　　　 ‘，/　 :;:;:;:;:;:;＞;ﾍ /　　　ﾄ
　　　　　　　　　　　_У⌒'　　　　　 ‘，　 :;／´ ／,ｲ' ､.,.,ヽ',.ｨ〉
　　　　　　　　　　　　 >　./　　　　 /　　/ ｀ｰ＝==イﾘヽ＼"｀` ノ　　　　　　　ト､　__ ／}
　　　　　　　　　　　 __}心{　　　: : : ﾍ　/　　 /　　　/　　ﾒ:廴￣　　　　　　ィ彡>∠《ヾ,x'
　　　　　　　　　　　}ﾆﾆ〈　＼　: : : ! ‘，　／　　　入_メ; : : :ヽ,　　　　　彡f:;:;ﾊ,. ,ｿヾﾊヽ
　　　　　　　　_　　,仁ﾆ/＼.　＼: : :　 }／　　　／　／ﾍ: : : : >　　　　　　ノ:;:;〉二ヾ’/.!i
　　　　　　　,ｨ‐'、 |ニ'/　　＼　｀ヽ､_, -､_,. ＜　／　　 ,'{ : : 〈　　　　／;:;:;:/　 :ヘ/ / !
　　　 xｨ_,.ォ}=ﾍ　lﾆ' {　　　　｀ヽ､ //¨､∨_＞"　 ,.　　 i i: : : :〉　　　fr￢こi:{ヽ／ﾚﾒ　ﾄ､
　　　ｲ'/ ヽﾔニ､ヽﾚハ　　　　　　 LT二fﾁ／二/　　　 }.ﾏ: :f　　　　ヾ´:;:;:;:;水才.: ＼ヾヽ)
　　 /二ヽﾊ∨　i.:ﾉ {ﾆ{ 　ヽ　　　　 | 　 !' ／　 /,.　　　 .! ﾏ;i;!　　　〈;:ﾒ'　/　､　　　 /ヾ´
　　 .{ ､r K'イ ∨/仁､ﾏ!　　　＼;';　　!　 .!/　　,:;:'　　　　 !ﾐﾏ;!　　　 ,.入;　/　　 ∨　 /　.!ヽ
　　　≧彡＼__,ゞ三≧.i　　　　　｀ヾ;.!　 .!　　 ,:;:　　　　 /∠ﾐヽ　　ｲ:;:;:;:イ'　i　　 ! ,ノ　 / .λ
　　 \圭' :.:.　| 　ﾔ: ヾﾆ! ./　　　　　 i 　 !　　 ;:;　　　　λ'ﾆﾆ∨ 　 {;:;:;:〉、＼i　　　 !　　／〉

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　この司馬勲という人物。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　『晋書』『宗室伝』には司馬懿の弟の司馬恂の玄孫、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　済南王司馬遂の曾孫とあるが、これは東晋に帰順した際の自己申告だ。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　永嘉の乱で長安が陥落した際に劉曜の将軍令狐泥の養子となり、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　前趙滅亡後に東晋に帰順し、以後梁州刺史として後趙・前秦と交戦した
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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83 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:42:13.38 ID:IF86Ai/v0: 【紀元３６６年５月　晋　益州　成都】

ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ(　　　　＼ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ{　　 )ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ｛　　　／
ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ｝　　　　＼ニニﾆﾆﾉ　　{ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ}　　／
ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆニﾉ　　　　　｀¨¨¨¨´　　 {ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ}　/　　貴　　一　 .こ
ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ{　　　　　　　　　　　 ∨ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾉ　|　　　様　年　　れ
ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ/⌒＼ﾆﾆﾆ{　　　　＼＼　　　　／　 }ﾆﾆﾆﾆニく　 |　　　の　　後　　が
二二ﾆﾆ/〈_/⌒`Vニﾆ／ニﾆ- _　＼　　／　　_-ﾆﾆﾆﾆﾆニ｝　.|　　　姿　　の
＼ﾆﾆニ{ 　　／) {ﾆニ{_/／⌒二- _　　　　／／ 7⌒ニ｢￣　｜　　　だ
　{ニニ八　く　(　{ﾆ/ 　　 {__　弋ソ>｣　 {_∠ツﾉ　{　}二ﾉ　　　　　！
　｀Tニニ＼＼_,{八　　　 ⌒"て""　　｛__""⌒　∨⌒　　　　　＼
　　　｀¨¨¨⌒＼　{二}　　　　　　 ⌒　　 {　　　　 }　　　　　　 /　　＿＿＿＿＿／
　　　　　　　　　 }ニ{ ＼　 -=ﾆ __Ｌ　　　>＿　／　　　　　　　　 /　／　　　　　　　　　　　　　司馬勲！
　　　　　　　　 {二} 　　 {ﾆﾆﾆﾆ=‐＞‐くﾆﾆﾆＶ　　　　　　　 /／
.　　　　　　 ____√⌒　　　{二/´￣　　　　｀}ﾆ}
　　　 ___／二二{　　　　 {-/　　 ⌒i⌒　　 }/＿＿　　　　　　＼人_人,_从人_人_人,_从,人／
__／二二二二厂{　　　　 {/　：．：： } ：．：/√ﾆニ}__　　　　　　）　　朱ー序ーッ！　　　（
二二二二／　 {　　　　 {　　∵ ：：} ∴：　/二二/ニ＼　　　／⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒ﾍ
二二二/／ / 　 {　　　　＼　： ∵ ∵ ∴∵/二二/ニニﾆ}＿_　　　　　　　　　　　＼人_人,_从人_人_人,_从,人／
ニニﾆ/ 　 / /　 { 　 { 　　＼ ∴ ∴ﾉ∴.／二二/二二二二二＼　　　　　　　　　　）　　朱ー序ーッ！！　（
二二/ 　 /{ { 　　　　{　　　 / ￣￣｀7二二二/ニニニニニニニ}┐　　　　　　　／⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒ﾍ

　　　　　　　　　　　　晋　江夏相　朱序

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　司馬勲の反乱は
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　翌太和元年（三六六年）になって、桓温に派遣された江夏相朱序が平定。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .司馬勲及び反乱に与した主だった者は桓温の下へ送られ斬首されている
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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84 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:44:20.19 ID:IF86Ai/v0: 【紀元３６６年２月　前燕　兗州　泰山郡】
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　龍城○　○棘城　○襄平
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　盛楽　　　　　　　　凡城○　　　､-' ﾍ
　　　 ,r'｀ｰ-､_;＿,　　　○　　　　平城　　　薊令支○　　/´　　/
　　 r'´　　　　　　￣ヽ,　　　　　　○　　　　 ○　　　 ,r'´　　　r'　 r‐
　　 }　　　　　　　　　　{　　　　　　　　　　　　　　 ,.､＿ﾉ　　　　_"7 /
　　/　　　　　　　　　 r'　　晋陽　　太　　　　　 /　　　　　　　 'ｰ'´
　 ./　　　　　　　　　ﾉ　　　　○　　　　　　　　　ヽ
　 '　　　　　　　　　　{　　　陽邑○行　　魯口　　　ｰ､　　　 r'‐-,_,_ｨ_
　　　　　　　　　　　 } 　　　　　　　　　　　　○　　　／ヽ＿r'　　　 _r'´
　　　　　　　　　　　 {　平陽　　　山鄴　○　r-'´　〇○広固　r' ' 　
　　　　　　｀ヽ　　　}　○　壺関○　◎広宗ノ　　　臨淄　　}'ｰ'　
　　　　　　　　{　　 {　　　　　　　脈　　　　 r　　　　　　　　r'　
　 '´｀ー-,　　　ヽ　 /（河東）野王○　　　ノ　【泰山郡】　r'　　
　　　　　＼　　 'ｴ＿,.-‐'｀ー―‐'―= ‐'　　　　　　　　　 .,　　　
　￣￣｀ー‐'―'´　　　　　○　石門○○倉垣　　　　〇　　>
　　　　　　　○長安　　洛陽　　　○許昌　　　　　下邳,_,　' ヽ　
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､　　　　　　前燕の進攻はなおも続く。
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　　　　　　　　　同じ太和元年（三六六年）二月には、
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/　　　　　　　　　 .前燕軍が泰山郡太守諸葛攸を攻撃し、これを敗走させた。
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:　　
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼　　　　　　　　　　.諸葛攸は淮南まで逃走したと『晋書』『慕容暐載記』は記している
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿__　
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/
85 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:45:27.95 ID:IF86Ai/v0: 【紀元３６６年２月　前燕　首都　鄴】

　　　l　　　,′　　　　　 l　 /　　／ /　i　　 ',
　　　| i　　　　　　　　　ー＝彡＜　 /　　ｉ l
　　　| !　　　　i　　　　　 :i　　　 /　　 X!　　 l!:|
　　　l:l 　 l　　|　　　　 r ､| !　　 ./ィィイ |　 i　从
　　从　 | 　 l　　　　 { ( l |　　仔"'ﾈ、:|　 |:./
　　/ｲl　　　　　　　　 ∧/.:l　i　 |　 jﾘ　∧ﾊﾄ′
　　八　 i 　 |　　　 / 厶ｲ ∧　|　　　 V　　　　　　　　　　これで、兗州の全ての郡県の役人を任命できるわ
　　　　ヾ }　 l|　ｉ　　／　ﾉｲ: : ヽ! 、　／
　　　　ﾉﾍ__」L⊥∠.,_　　 |:i　 |　　>　　
　　＞.:' :´: : : : : : : : : :｀ヽ,lﾊ　|_／ |　　
　Y: : : : : : : : : : : : : : : : : : :.`从!L」ﾊ!　　
..〈: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :: : :`ーｫ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.,Å､　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r-‐i'''''''''''i''-'‐-､　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .o|　ｏ!　.ｏ　 i ｏ　!o
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＼___|｀‐´ ｀‐´|___／.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|____＿＿＿＿＿＿___|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |l l　/〃　ヽヽ} | 　､　ヽ
　　　　　　皇甫真。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ljﾊ　ﾄkﾊ暐从斗j.　｜　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l∧}●　Ｖ　● !　　|、ハ
　　　　　　朝議で話題になっていた洪水と旱魃の件だけど　　　　　　　　　　　　ﾊ.ﾉ⊃ ､_,､_,　⊂⊃ .|ﾉ　ヽ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /⌒ヽ_.ﾘ人　　ゝ._）　./". /⌒i　　ヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ /／"　＞,､ __　イ{.　ﾍ　 /!　　}　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 /　＼　 (::::::::Y Y:::::.!｜｀´/ﾍ　{ 　{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ／ﾉ　　):::::::∨:::::ﾉ. ヾ..ノ.::::::＼＼丶

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　この年は中国の北と南で旱魃が記録されている。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　特に前燕領内では、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .洪水と旱魃が多く発生したと『晋書』『慕容暐載記』にある
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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86 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:45:58.60 ID:IF86Ai/v0: 　　　　　　　　　　.,Å､
　　　　　　　 r-‐i'''''''''''i''-'‐-､　
　　　　　　 .o|　ｏ!　.ｏ　 i ｏ　!o
　　　　　 |＼___|｀‐´ ｀‐´|___／.|
　　　　|____＿＿＿＿＿＿___|
　　　　　/　/ 　 {/ 〃　ヽヽl ｌ|　
　　　　 ,'　.│.　ﾘトk八暐.ﾊイ} 人.　　　
. 　　　ん　 |　　! ●　Ｖ　●{ﾍｌ. 　　　　　　　　　大叔父上と叔父上の辞任は認めないわよ
.　　／／（|　⊂⊃　､_,､_, ⊂!ハ　
　／／.　　i⌒ヽ.＼　　　　ﾉゝ_／⌒)
　{.　{　　　ﾍ　∧ .} ､ __,　イ　＼ﾍ／
　}.　}.　　 ∧｀´ ｜.!:::::Y Y::::) 　／ﾍ　
／／.　／:::::ヾ_..ﾉ八:::::∨:::( 　人／　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -‐ '´￣￣｀ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|l l　/〃　ヽヽ} | 　､　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　 ljﾊ　ﾄkﾊ.評从斗j 　│ 　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　　 l∧!●　Ｖ　● ! 　 |、ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿l　　　　ﾊ.ﾉ⊃ r─ｫ　⊂⊃ .|ﾉ　ヽ＼
　　　　　　　べ、別に嬉しくなんかないんだからね！　　　　　　　　　　＼　r‐‐-､＿ﾘ..人　'､_ノ　　/" 　ﾄ、. 　ヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜｛　(｀　!／" 　＞､ __ イ{.　　Ｖl.　　}　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　／　 "ヽ/ ＼　 (::::::::Y Y::::.! 　　ヽﾍ.　 { 　{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ／ﾉ　　):::::::∨:::::ﾉ.　　　}::::＼＼丶

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　太傅慕容評と太宰慕容恪は
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　官職を辞任して邸に帰ると申し出たが、皇帝慕容暐はこれを拒否した。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .西晋の司馬炎の時代にもあったが、天災の際の定番行事だ
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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87 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:49:04.43 ID:IF86Ai/v0: 　　　l　　　,′　　　　　 l　 /　　／ /　i　　 ',
　　　| i　　　　　　　　　ー＝彡＜　 /　　ｉ l
　　　| !　　　　i　　　　　 :i　　　 /　　 X!　　 l!:|
　　　l:l 　 l　　|　　　　 r ､| !　　 ./ィィイ |　 i　从　　　　ああ、それともうひとつ。
　　从　 | 　 l　　　　 { ( l |　　仔"'ﾈ、:|　 |:./
　　/ｲl　　　　　　　　 ∧/.:l　i　 |　 jﾘ　∧ﾊﾄ′　　　　　五行説に従い、
　　八　 i 　 |　　　 / 厶ｲ ∧　|　　　 V　　　　　　　　我が国では木徳を奉じるべきという意見があるわ。
　　　　ヾ }　 l|　ｉ　　／　ﾉｲ: : ヽ! 、　／
　　　　ﾉﾍ__」L⊥∠.,_　　 |:i　 |　　>　　　　　　　　　　　石虎は水徳だったからね
　　＞.:' :´: : : : : : : : : :｀ヽ,lﾊ　|_／ |　　
　Y: : : : : : : : : : : : : : : : : : :.`从!L」ﾊ!　　
..〈: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :: : :`ーｫ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.,Å､　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r-‐i'''''''''''i''-'‐-､　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .o|　ｏ!　.ｏ　 i ｏ　!o
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＼___|｀‐´ ｀‐´|___／.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|____＿＿＿＿＿＿___|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |l l　/〃　ヽヽ} | 　､　ヽ
　　　　難しい事はよく分からないけれど、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ljﾊ　ﾄkﾊ暐从斗j.　｜　',
　　　　我が国は晋の後を継いだ趙の後を継ぐ国家って事よね？　　　　　　　　 l∧}●　Ｖ　● !　　|、ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ.ﾉ⊃ ､_,､_,　⊂⊃ .|ﾉ　ヽ＼
　　　　そのまま進めて頂戴　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /⌒ヽ_.ﾘ人　　ゝ._）　./". /⌒i　　ヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ /／"　＞,､ __　イ{.　ﾍ　 /!　　}　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 /　＼　 (::::::::Y Y:::::.!｜｀´/ﾍ　{ 　{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ／ﾉ　　):::::::∨:::::ﾉ. ヾ..ノ.::::::＼＼丶

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　また、この頃に前燕は王朝の徳を木徳とした。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　これは『呂氏春秋』にある五行説を用いて王朝の徳を定め、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　木徳・火徳・土徳・金徳・水徳の巡りで王朝交代の正統性の根拠となった。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　後漢以降に用いられるようになり、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　漢が火徳、魏が土徳、晋が金徳、後趙が水徳、前燕が木徳というを称した
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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88 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:50:27.03 ID:IF86Ai/v0: 　　　　　　　　　　.,Å､
　　　　　　　 r-‐i'''''''''''i''-'‐-､　
　　　　　　 .o|　ｏ!　.ｏ　 i ｏ　!o
　　　　　 |＼___|｀‐´ ｀‐´|___／.|
　　　　|____＿＿＿＿＿＿___|
　　　　　/　/ 　 {/ 〃　ヽヽl ｌ|　
　　　　 ,'　.│.　ﾘトk八暐.ﾊイ} 人.
. 　　　ん　 |　　! ●　Ｖ　●{ﾍｌ. 　　　　　　　　　ところで、叔父上の調子はどうかしら？
.　　／／（|　⊂⊃　､_,､_, ⊂!ハ　　　　
　／／.　　i⌒ヽ.＼　　　　ﾉゝ_／⌒)　　　　　　あの人間を辞めた叔父上が病気とか悪い予感しかしないわ
　{.　{　　　ﾍ　∧ .} ､ __,　イ　＼ﾍ／
　}.　}.　　 ∧｀´ ｜.!:::::Y Y::::) 　／ﾍ　
／／.　／:::::ヾ_..ﾉ八:::::∨:::( 　人／　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -‐ '´￣￣｀ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　 U 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |l l　 /〃　ヽヽ} | 　､　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ljﾊ　十ﾊ.評从十j. 　│　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l∧}●　Ｖ　● !　　|、ハ
　　　　　　　　　　それが、あまり良くないみたいね　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ.ﾉ⊃ ､_,､_,　⊂⊃ .|ﾉ　ヽ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ人　　　　 /" 　ﾄ、　　ヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／"./⌒l､ __　イ{.　　Ｖl　　 }　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　＼ / ￣/:::Y Y:::::!. 　　ヽﾍ　 { 　{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ |. 　 l::::::∨:::::ﾉ.　　　}::::＼.＼丶、

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　中原進出から十数年して、前燕は中華王朝の態を整えつつあった
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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89 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:51:29.55 ID:IF86Ai/v0: 【紀元３６７年４月　前燕　首都　鄴】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _LL ,_γ⌒ヽ　 /...l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　7__,.+'".{⌒.､ﾉ厂.......}
　　　　　　　　　　　　　　_L_,.斗z ―,- ､　　　　　　　　　　　　　　　 ,＞'"/......./＞-＜`'＜/
　　　　　　　　　　　 ,＞'"; ／,.く....／:γ彡､　　　　　　　　　　　,.+'": : : :ア⌒: : : : ,: : ＼ヽヽ
　　　　　　　　　　Y; ,ア:ｘ/:,ｲ; ; ,`': :, '〃┐.ﾄ､　　　　　　　　　／: : : : :､／｀ヽ＼:／: ／: : ヽ.ヽ:V
　　　　　　　　 ,＞''"; ; ;./∧; ;,/: :./l〃.._/./...}Y　　　　　　 , ': : : : : :, ｲ｀㌧　 Y:ﾊ:'./: : : : : :.V.ﾊ:V
　　　　　　.,.+'"; ; ; ; ; ; 〃; jｨ/: :././'.ﾍ..{ﾚ'.../.∧　　　　　./:/: : : ://　ヾ炒}　 V /: : : : : : : :,!　l:.}
　　　　.／; ; ; ; ; ; ; ,ｨ〃ｰ' ./: :.// l! ,ｨし.Y.メ.}..}　　　　　,': ,': : : ,ｲ/　　　　 ′ 　 V: : : : ,: : /:l　.}:.ト､
　　　 Y; ; ; ; ; ; -=∠/',_ 　.,': :.,' ,'　l//､: :{｀　ゞ　　　　,ｨf: :.!: : / l:!　, 　　 '　　　V:.､:ｲ:,,ｨ: : } /:ﾑ.....`'＜　　あら？
　　　ゝ、; ; ; ; ; ; ;〃; ; ¨7: :.,'ｧ{'"//　 >ァ ''' ""ヽ　／: {: : l: :f{　l!　､　　　 r芯、 }ィ:}, /: : rオ:/......_,. イ
　　　　　 `''＜; ;／/; ; ; ; f: :,'　 | .{:{ .／'　,.斗 ''" ￣ｱ彡!: : lV:!'、|　　`　　　 V;灯レ'j/: : :.ケ'/｢￣　　　　　よく来たわね
　　　　　,＞:''":／＜; ; ; !: ,' 　 | j.ﾕz:≦-‐ｧ>二[予∠ -|: : :!ヾ; `|｡.,_　　　　　 "｣}　,.Y: : :／: ,.': |
　　　 .／r ''' "´　　　｀` j: ,' 　.,.|´/ﾆﾆﾆ,ィゞ.｢⌒V; ; ; ; ; ;!: : |; ;.ヾj斗‐≧x.. ｡ｒ_≦二:_|:.／: :,.ｲ!: :l
　　 , ': :/　　　　　　　　/:.ハ / .!.{ニ.／/　./ﾆﾆﾆV; ; ; ; ;}: : :|'"´/ヾ　　　｀ア._........./}｢.ﾏ＜: | V:.V
　 ./: : :{　　　　　　　　/: ,'　/　　アニ,'　/ﾆﾆﾆニ}V＞'/: : : |　/　 }:V　　 /.//ｱ／-jjィ}:.ﾊ.V!　V:.V
　/: : : :.!　　　　　　 /: :/ ./　Ozくﾆニ{　廴＿＿/　　./,ｨ: : :.| (　　j: :}. 　<Llﾉ' / }(,.ｲ; ;{: : |; ;V　.＼＼
　|: : : : :V　　　　　 /: :/ ./　　///｀ヽﾆ}　 {ﾆﾆﾆ>'￣￣ノ: : :/　　 /: :j　　　　 / ,.:く:/ィ'|: : ﾄ､;.|　　　＼＼
　|: : : ／　　　　 ,.': :./ ./　　///　　 }/　 ,ゝ--'‐ ''≦´＿／＿.∠: ィ　　　,L{.〃　.{;7; !: : l;|);j 　　　ヽ:Y
　|: ／　　　　／: : / ./ 　 ///　　　'　 ./　　　　. : : : ,.+'"´: : : : :}　　　／; _7＼;ヽ./; ;l: : :.`く　　　　　　}:}
　V　　　　　／: : :.:/　,'　O===O　　　 ./　　　 . : :,. '´: : : : :,: : : ∧ 　./;.／; {: :{｀l./; ; ;.V: : : : `''＜＿　 j:j

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　慕容恪が病になったのは、そんな頃合だった
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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90 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:52:40.42 ID:IF86Ai/v0: 　　　　　　　 ,　'´￣￣｀ｰ-､
　　　　　／　　u.　　　　　　＼
　　　　　/　/ 　 {/ 〃　ヽヽl ｌ|
　　　　 ,'　.│.　ﾘ／八臧ﾊ＼}.人
. 　　　ん　 |　　! ○　Ｖ　○{ﾍｌ　　　　　　　　　　太原王。
.　　／／（|　⊂⊃　､_,､_, ⊂!ハ
　／／.　　i⌒ヽ.＼　　　　ﾉゝ_／⌒)　　　　　　.具合が悪いと聞いたけれど
　{.　{　　　ﾍ　∧ .} ､ __,　イ　＼ﾍ／
　}.　}.　　 ∧｀´ ｜.!:::::Y Y::::) 　／ﾍ
／／.　／:::::ヾ_..ﾉ八:::::∨:::( 　人／

　　　　　前燕　楽安王　慕容臧

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 L　＼　＿＿＿ /　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r ¨ハ_ﾉ:::::::::::::::::::::Ｌ＿人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　V（_ノ]_]　二二二 [ [_｝::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ノ~ア｢:::::::::/::::::::::::::::::::＜＞:::::ヽ
　もうあまり長くはなさそうね。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒ｱL ｣i:::::::::|::::::::::::|:::::::::::::|:::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::::::Ｌ ⌒｣L:::::::｣L⌒Li |:::::|::::ｉ
　秦は跋扈して呉は客にならなくて、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .|:::::::|xれ笊　　　笊うx.|:::::|::::|
　私は凡才なりに先帝の遺命に応えたかったけれど、二賊の討伐は無理そう。　　|:::::::|ﾄ ∨り　　　∨りﾉ|:::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::::::ﾄ　　　　　　　　　　|:::::|::::|
　この志を遂げられないのは、死んでも恨む所だけど……　　　　　　　　　　　　　　|:::::::|人　　　つ　　　.ｲ|:::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノう｢):::::V/＞　_＿_　＜" |:::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { 二)}:::::::VL ノ L_／＼Ｌｉ__|:::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ´ ﾉ∧:::ﾔこう｣三Lこう[ |:::::|::::|

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　『晋書』『慕容暐載記』に曰く。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　慕容恪は己が不在になった後、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　慕容評が猜忌の多い人物なのを懸念し、甥の楽安王慕容臧へ言った。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　楽安王慕容臧は皇帝慕容暐の庶兄
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
91 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:54:00.49 ID:IF86Ai/v0: 　　　　 L　＼　＿＿＿ /　　}
　　　　r ¨ハ_ﾉ:::::::::::::::::::::Ｌ＿人
　　　　V（_ノ]_]　二二二 [ [_｝::::＼
　　_ノ~ア｢:::::::::/::::::::::::::::::::＜＞:::::ヽ
　　⌒ｱL ｣i:::::::::|::::::::::::|:::::::::::::|:::::::::::　　　　　　　 ……呉王は天性の英雄で、経略は時代を超えているわ。
　　　|:::::::Ｌ ⌒｣L:::::::｣L⌒Li |:::::|::::ｉ
　　　|:::::::|xれ笊　　　笊うx.|:::::|::::|　　　　　　　私が死んだ後、
　　　|:::::::|ﾄ ∨り　　　∨りﾉ|:::::|::::|　　　　　　　必ず大司馬の職を与えて兵権を統べさせなさい。
　　　|:::::::ﾄ　　　　　　　　　　|:::::|::::|　
　　　|:::::::|人　　　つ　　　.ｲ|:::::|::::|　　　　　　　もし、陛下の兄弟のあなたたちが任命されたら、
　ノう｢):::::V/＞　_＿_　＜" |:::::|::::|　　　　　　　とてもじゃないけれど、国家の多難に堪えられるとは思えないのよ
　 { 二)}:::::::VL ノ L_／＼Ｌｉ__|:::::|::::|
　ヽ´ ﾉ∧:::ﾔこう｣三Lこう[ |:::::|::::|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -‐ '´￣￣｀ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |l l　　　　　　　　　､　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ljﾊ　 /〃　ヽヽ} | 　│　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l∧!イﾊ臧从|＼j　　|、ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ..ﾉー　Ｖ　ー !　　|ﾉ　ヽ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　仰る通りです　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ ⊃ ､_,､_,⊂⊃　　.ﾄ、　　ヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／"./⌒l､ __　イ{.　　Ｖl　　 }　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　＼ / ￣/:::Y Y:::::!. 　　ヽﾍ　 { 　{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ |. 　 l::::::∨:::::ﾉ.　　　}::::＼.＼丶、

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　慕容恪は自身の事実上の後任に呉王慕容垂を推した
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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92 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:55:28.66 ID:IF86Ai/v0: 　　　　　　　 ,　'´￣￣｀ｰ-､
　　　　／　　Ｕ　　　　　　＼
　　　　　/　/ 　 {/ 〃　ヽヽl ｌ|
　　　　 ,'　.│.　ﾘ十八.評ﾊ十}.人
. 　　　ん　 |　　! ●　Ｖ　●{ﾍｌ
.　　／／（|　⊂⊃　､_,､_, ⊂!ハ　　　　　　　　　　　　呉王を大司馬にしたいですって？
　／／.　　i⌒ヽ.＼　　　　ﾉゝ_／⌒)
　{.　{　　　ﾍ　∧ .} ､ __,　イ　＼ﾍ／
　}.　}.　　 ∧｀´ ｜.!:::::Y Y::::) 　／ﾍ
／／.　／:::::ヾ_..ﾉ八:::::∨:::( 　人／

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 L　＼　＿＿＿ /　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r ¨ハ_ﾉ:::::::::::::::::::::Ｌ＿人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　V（_ノ]_]　二二二 [ [_｝::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ノ~ア｢:::::::::/::::::::::::::::::::＜＞:::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒ｱL ｣i:::::::::|::::::::::::|:::::::::::::|:::::::::::　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::Ｌ ⌒｣L:::::::｣L⌒Li |:::::|::::ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::|xれ笊　　　笊うx.|:::::|::::|　
　　　　　　　　　　　呉王は私の十倍強い天才武将よ　　　　　　　　　　　　　　　　.|:::::::|ﾄ ∨り　　　∨りﾉ|:::::|::::|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::ﾄ　　　　　　　　　　|:::::|::::|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::|人　　　つ　　　.ｲ|:::::|::::|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノう｢):::::V/＞　_＿_　＜" |:::::|::::|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { 二)}:::::::VL ノ L_／＼Ｌｉ__|:::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ´ ﾉ∧:::ﾔこう｣三Lこう[ |:::::|::::|

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　ちなみに、慕容評にも話を通している。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　慕容恪という人物は、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .国政を取り仕切るようになっても、何事も叔父に諮っていた
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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93 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:56:16.24 ID:IF86Ai/v0: 【紀元３６７年５月　前燕　首都　鄴】

　　　　　　　　　　.,Å､
　　　　　　　 r-‐i'''''''''''i''-'‐-､　
　　　　　　 .o|　ｏ!　.ｏ　 i ｏ　!o
　　　　　 |＼___|｀‐´ ｀‐´|___／.|
　　　　|____＿＿＿＿＿＿___|
　　　　　/　/ 　 {/ 〃　ヽヽl ｌ|
　　　　 ,'　.│.　ﾘ／八暐ﾊ＼}.人　　　　　　　　　　　　叔父上。
. 　　　ん　 |　　! ○　Ｖ　○{ﾍｌ
.　　／／（|　⊂⊃　､_,､_, ⊂!ハ　　　　　　　　　　　　何か言い残す事は？
　／／.　　i⌒ヽ.＼　　　　ﾉゝ_／⌒)
　{.　{　　　ﾍ　∧ .} ､ __,　イ　＼ﾍ／
　}.　}.　　 ∧｀´ ｜.!:::::Y Y::::) 　／ﾍ
／／.　／:::::ヾ_..ﾉ八:::::∨:::( 　人／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 L　＼　＿＿＿ /　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r ¨ハ_ﾉ:::::::::::::::::::::Ｌ＿人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　V（_ノ]_]　二二二 [ [_｝::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ノ~ア｢:::::::::/::::::::::::::::::::＜＞:::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒ｱL ｣i:::::::::|::::::::::::|:::::::::::::|:::::::::::　
　　　　呉王の将相の才は私の十倍よ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .|:::::::Ｌ ⌒｣L:::::::｣L⌒Li |:::::|::::ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::|xれ笊　　　笊うx.|:::::|::::|　
　　　　先帝は長幼の順で、私を先にしたに過ぎないんだから。　　　　　　　　　　|:::::::|ﾄ ∨り　　　∨りﾉ|:::::|::::|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::ﾄ　　　　　　　　　　|:::::|::::|　
　　　　私の死後は呉王に政を委ねて親族の賢才を抜擢してほしいわ　　　　　 .|:::::::|人　　　つ　　　.ｲ|:::::|::::|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノう｢):::::V/＞　_＿_　＜" |:::::|::::|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { 二)}:::::::VL ノ L_／＼Ｌｉ__|:::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ´ ﾉ∧:::ﾔこう｣三Lこう[ |:::::|::::|

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　『晋書』『慕容垂載記』に曰く。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　慕容恪は慕容垂を大変重んじており、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .常々慕容暐へ彼を用いるよう進言していた
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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94 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:57:10.41 ID:IF86Ai/v0: 　　　　　　　　　　.,Å､
　　　　　　　 r-‐i'''''''''''i''-'‐-､　
　　　　　　 .o|　ｏ!　.ｏ　 i ｏ　!o
　　　　　 |＼___|｀‐´ ｀‐´|___／.|
　　　　|____＿＿＿＿＿＿___|
　　　　　/　/ 　 {/ 〃　ヽヽl ｌ|
　　　　 ,'　.│.　ﾘ／八暐ﾊ＼}.人
. 　　　ん　 |　　! ○　Ｖ　○{ﾍｌ　　　　　　　　　　　　　母上は良い顔をしないでしょうね
.　　／／（|　⊂⊃　､_,､_, ⊂!ハ
　／／.　　i⌒ヽ.＼　　　　ﾉゝ_／⌒)
　{.　{　　　ﾍ　∧ .} ､ __,　イ　＼ﾍ／
　}.　}.　　 ∧｀´ ｜.!:::::Y Y::::) 　／ﾍ
／／.　／:::::ヾ_..ﾉ八:::::∨:::( 　人／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 L　＼　＿＿＿ /　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r ¨ハ_ﾉ:::::::::::::::::::::Ｌ＿人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　V（_ノ]_]　二二二 [ [_｝::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ノ~ア｢:::::::::/::::::::::::::::::::＜＞:::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒ｱL ｣i:::::::::|::::::::::::|:::::::::::::|:::::::::::　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::::::Ｌ ⌒｣L:::::::｣L⌒Li |:::::|::::ｉ
　　　　　呉王は文武の才を兼ね備えた管仲・蕭何に次ぐ者よ。　　　　　　　　　 .|:::::::|xれ笊　　　笊うx.|:::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::::::|ﾄ ∨り　　　∨りﾉ|:::::|::::|
　　　　　もし、政治を任せないなら、二賊は必ず我が国を狙ってくるわ　　　　　 .|:::::::ﾄ　　　　　　　　　　|:::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::::::|人　　　つ　　　.ｲ|:::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノう｢):::::V/＞　_＿_　＜" |:::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { 二)}:::::::VL ノ L_／＼Ｌｉ__|:::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ´ ﾉ∧:::ﾔこう｣三Lこう[ |:::::|::::|

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　『晋書』『慕容暐載記』に曰く。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　臨終の際、慕容恪は慕容暐へ慕容垂に政治を任せるよう求めた
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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95 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:57:46.92 ID:IF86Ai/v0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿
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　　　　　　　　　　　　　　　／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
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　　　　　　　　　　　 / /: : .:./ :--､__}.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:'^`丶､: : : :〉　γ⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　/ /.:.:.:.:.:./.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:‘,:ﾏ¨´　　乂__ノ
　　　　　　　　　　　　 | :|.:.:.:.:.:. |.:.:.:.|.:. : |.:.:.:.:.:.:.:.:.:|.: .: |.:.:.:.:い
　　　　　　　　　　　 |.:.|.:.:.:.:.:. |.:.:.:.|.:. : |.:.:.:.:.:.:.:.:.:|.: .: |.: :|.:|:.:|　　○ ┌く＼
　　　　　　　　　　　 |.::|.:.:.:.:.:. |.:.:.:.|.:. : |.:.:.:.:.:.:.:.:.:|.: .: |: ::|.:|:.:|　　　　/､__}￣＼
　　　　　　　　　　　 |:.:|.:.:.:.:.:. | ─|─┼ー.:..::. ┼─|--: |. |　o　 /　__|/￣　〉
　　　　　　　　　　　　 |:｜: : : 八＿|＿∧.:.:.:.:.:.:.:∧＿|::.:| :|_|　　　 {　　 |/￣　〉
　　　　　　　　　　　　　|::i|: : : : : :|辷ﾆﾆつ￣￣´に二づ￣ |　　　　ヽ　人__>　′
　　　　　　　　　 | i:|.:.:: : : ::|　　　　　 .:.:.:.:..　　 /:.:.:: |　　　　｝{　　　/
　　　　　　　　　　 |:i:ｉ|:.:: : : : |　　　　　　　'　　　/.: : : |　　　　 /＼　 ∧
　　　　　　　　　 |:ｉ:ｉ:|:.:.:. : :个: .　　 ┌‐┐　／.:.:.: :｜　　　　_|　　｀¨¨¨|　　　　　家と国の事は重いのよ
　　　　　　　　　　　　　|:::斗:.:.:: : : |　　＞　｀"´ イ.:.:.: : : : |＼　　 /´:、　　　 |
　　　　　　　　　　 _.､‐''゛　Ν:.:.:: : :|＿　　　「＿Ⅵ.:.:. : : : |　∧　｜　｀¨¨¨¨「
　　　　　　　　　 ,:'ﾞ　　　 ,N: : : : |　｀　　´ 　 ,j|.:.:.: : : :| /　‘,　|　　　　　 |
　　　　　　　　　,:＼　　 ∨　|: : :.:. |｀丶、___,　'´ |:.:.: : :.:.|/　　 ∨　　　　　　;
　　　　　　　　 ,′　＼　 |　 |￤: :.:|｀丶､＿_,,　'´N: : : :.:|　　　/　　　　　　 ,′
　　　　　　　ｉ　　　　 |　 |∧.:.: |　　　　　　　 |:|: : ::ハ／/　　　　　　 /
　　　　　　 |　　　　 |　　 |.:.:.:|　　.＞0＜　　N: : ::|　|　|　　　　　 /
　　　　　　 |　 |　　　 |　　　|: :.:|　　＞0＜　 | |.: : |　|　＼
　　　　　　 |　∧　　　:|　　　|从|　　　 :　　　 | |从:|　|＼　　　　／
　　　　　　 | / ∧　　｜　 |　|　:|　　　 |::.　　　|　| 　 /　　　─''’

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　太和二年（三六七年）五月。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　前燕の太原王慕容恪は死んだと『十六国春秋』『前燕録』は記す。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .桓王と諡され、
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　国中の人々が彼の死を痛惜した
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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96 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:59:10.01 ID:IF86Ai/v0: 【紀元３６８年２月　前燕　首都　鄴】

　　　　　　　 ,　'´￣￣｀ｰ-､
　　　　／　　Ｕ　　　　　　＼
　　　　　/　/ 　 {/ 〃　ヽヽl ｌ|
　　　　 ,'　.│.　ﾘ十八.沖ﾊ十}.人
. 　　　ん　 |　　! ●　Ｖ　●{ﾍｌ
.　　／／（|　⊂⊃　､_,､_, ⊂!ハ　　　　
　／／.　　i⌒ヽ.＼　　　　ﾉゝ_／⌒)　←慕容暐の弟・後の西燕皇帝
　{.　{　　　ﾍ　∧ .} ､ __,　イ　＼ﾍ／
　}.　}.　　 ∧｀´ ｜.!:::::Y Y::::) 　／ﾍ　　　　　:::::::::::::::::::::::::::／　　/:::/ 　　 /://::::::/:/:::::::::::::::::::::::::::::::::::　　　
／／.　／:::::ヾ_..ﾉ八:::::∨:::( 　人／　　　　　.:::::::::::::＞=''≦ミz､,/::/　　　/://:::::://i＼ｒx::::::::::::::::::::::::::::|　　　／|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::::::／　／,::-::､:', ´!/　 .ﾉ　{://:::::// .l::::::::::::＼:|＼__::::::::::|_＞￣　 |　
　　　　　前燕　大司馬　慕容沖　　　　　　　.ｲ/　　/://,:-:､',:i　ﾞi! （__ﾉ ∨:::::／　i:::::::::/ |::::|　　　｀　　　　　　 |　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l:::l:l:l::厄:}:}:l 　 i!　　　￣　　_,,〉:::ノ=ﾐ|::::|　　　　メヽ　　　│　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l:::l:i:ゞ-:ｲﾉ:!　　　　　　　　　/ ／ﾆヽ　.|::::|.　　　　 α　　　　|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾヾ:ﾆﾆ::ノ　　　　j　　　　　 /;//:ヾ:i!　|::::|　　　　 /　　　　|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　───　　　　ﾉ i　　　　 i!::i:厄:}:i:}　|:::::|.　　　 /へノ　　 |　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　( _ﾉ　　　 .i!::ゞ-':ノ　 i!:::::|　　　　‐┬ヽヽ　.|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 j 　　　　　　　　　　　　､｀==''´　 /:::/:| 　　　 └　　　|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∪　　 ..-== 　___　　　　i　　　｀ﾞ''-　　/::/:/|　　　　　├　　　|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::::::::::´:::::::＼　　　　　　　　　/／:/:::|　　　　匚lヽ　　|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./:::::::::::::::::::::::::::::::｀:::==::::::Y　　　／:::::/:/:|　　　　┃┃　　 |　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　.,'::::::::::::ﾆ===:::::::::::::::::::::::::::::l　／ｲ:::::/:/:i/　　　 .οο　　|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾆ＼　l::::／: : : : : : : ｀ヽ::::::::::::::::::/ /:/ /::::/:/::/ .／＼/⌒￣＼　|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::::＞〈　　　: : : : : : : : ヽ::::::::::/ /:/ノ:::::/:/!/／:l:::::l　　　　　　＼|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　::::::≧..._ 　　　　　　 ∨／_/:/ミ/:::/:/.l::::|i:|::l:::::l　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞=､._　:::::::::::≧...___　...,...イ≦ﾐl:::{ミ{l::::l!::l /:::l! l:::l!::::l　
　　　　　　　　　　　　　　車騎大将軍→　　　　　　　＞-,:::::::/ミミﾐﾐミミミミﾐ人{ミ{|:::l!::l/:::/ /:::l !:::l　

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　ところが、慕容恪の遺言は守られなかった
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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97 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/05(水) 00:59:46.20 ID:IF86Ai/v0: ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__ｨ‐'￣｀ヽ
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|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::f ＼::::::::}
|　　　　　　　　　　続く　　　　　　　　　　 .|:::::::::::::|　　ゝ::::|
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::ヽ　　∨
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ー:､::::::::::ﾍ
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　　　　　　　　＼::::| |:::::::::ィ !{　ﾊ T tｰr ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、
　　　　　　　　　` | |ー--ﾚﾘﾙ|rfiﾃヽl ｲﾃz rr----――― ' " ´
　　　　　　　　　　　 | |　　　ヾN ゞｿ　　ゞｿ//　　　　　　　　　　　　　　続きは日を改めて。
　　　　　　　　　　　 | |　　　　＞:´|､　 -　　,|`:＜
　　　　　　　　　　　 | | 　　　 |::::::::| ＞　イ |::::::::|　　　　　　　　　　　　　.お疲れ様
　　　　　　　　　　　 | |　　　＞-､＼!　 !／::,-＜　
　　　　　　　　　　　 | |　　/´:::::::::::::{二{}二}´::::::::ゝ-､
　　　　　　　　　　　 | | 　ｌ:::::,:-:::::::://::|ヽヽ::::::::::::::::::!
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　　　　　　　　　　, ' ﾆ}く::／::::::::/:::::／|::::::::::::::::::::::::::|　
　　　　　　　　　　 |　ｰjヽ＼::::::'"::／ヾ !::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　ヽﾆj　} 　＼:／＼　|:::::::::::::::::::::::::::|
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98 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/06/05(水) 01:16:57.94 ID:7n1L/Zwyo: 慕容評はここまではまともに見えるんだよなぁ
99 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/06/05(水) 01:19:12.27 ID:7n1L/Zwyo: あ、投下乙です
100 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/06/05(水) 01:22:35.64 ID:CW7JgF8QO: >>1さんへ

沈勁に触れてくれてありがとう。沈充伝と沈勁伝を現代語訳した身として、今日を心待ちにしていた。嬉しい限りだよ。
もしも機会があれば、沈郎銭と沈演之に言及してもらえると幸いこの上なし。これからも応援してるんで、頑張ってね。
101 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/06/05(水) 01:31:10.97 ID:I46guXRx0: 乙
遺言が守られない、よくあるよくある
102 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/06/05(水) 12:18:20.81 ID:YMQdfxgu0: >>1乙―。
東晋のスーパーヒーロー（マジで）の朱序さん登場かー。
103 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/06/05(水) 19:25:10.68 ID:1xbxGBHK0: 乙
桓温もここから段々冴えなくなってくるのが悲しい
104 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/06/05(水) 21:43:37.07 ID:kdZF3zBO0: 乙です
アレに向かってニョキニョキと登場人物が生えてきたー
105 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/06(木) 03:00:57.73 ID:MpOE6xTo0: 【>>87修正】

　　　l　　　,′　　　　　 l　 /　　／ /　i　　 ',
　　　| i　　　　　　　　　ー＝彡＜　 /　　ｉ l
　　　| !　　　　i　　　　　 :i　　　 /　　 X!　　 l!:|
　　　l:l 　 l　　|　　　　 r ､| !　　 ./ィィイ |　 i　从　　　　ああ、それともうひとつ。
　　从　 | 　 l　　　　 { ( l |　　仔"'ﾈ、:|　 |:./
　　/ｲl　　　　　　　　 ∧/.:l　i　 |　 jﾘ　∧ﾊﾄ′　　　　　五行説に従い、
　　八　 i 　 |　　　 / 厶ｲ ∧　|　　　 V　　　　　　　　我が国では木徳を奉じるべきという意見があるわ。
　　　　ヾ }　 l|　ｉ　　／　ﾉｲ: : ヽ! 、　／
　　　　ﾉﾍ__」L⊥∠.,_　　 |:i　 |　　>　　　　　　　　　　　石虎は水徳だったからね
　　＞.:' :´: : : : : : : : : :｀ヽ,lﾊ　|_／ |　　
　Y: : : : : : : : : : : : : : : : : : :.`从!L」ﾊ!　　
..〈: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :: : :`ーｫ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.,Å､　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r-‐i'''''''''''i''-'‐-､　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .o|　ｏ!　.ｏ　 i ｏ　!o
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＼___|｀‐´ ｀‐´|___／.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|____＿＿＿＿＿＿___|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |l l　/〃　ヽヽ} | 　､　ヽ
　　　　難しい事はよく分からないけれど、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ljﾊ　ﾄkﾊ暐从斗j.　｜　',
　　　　我が国は晋の後を継いだ趙の後を継ぐ国家って事よね？　　　　　　　　 l∧}●　Ｖ　● !　　|、ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ.ﾉ⊃ ､_,､_,　⊂⊃ .|ﾉ　ヽ＼
　　　　そのまま進めて頂戴　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /⌒ヽ_.ﾘ人　　ゝ._）　./". /⌒i　　ヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ /／"　＞,､ __　イ{.　ﾍ　 /!　　}　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 /　＼　 (::::::::Y Y:::::.!｜｀´/ﾍ　{ 　{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ／ﾉ　　):::::::∨:::::ﾉ. ヾ..ノ.::::::＼＼丶

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　また、この頃に前燕は王朝の徳を木徳とした。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　これは『呂氏春秋』にある五行説を用いて王朝の徳を定め、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　木徳・火徳・土徳・金徳・水徳の巡りで王朝交代の正統性の根拠となった。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　後漢以降に用いられるようになり、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　漢が火徳、魏が土徳、晋が金徳、後趙が水徳、前燕が木徳を称している
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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106 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/06/06(木) 22:04:51.70 ID:QBxXMbFC0: 桓温、慕容恪、慕容垂とそれぞれ一人でも物語の主役になれそうな人たちだよなー。
107 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2024/06/07(金) 19:31:50.70 ID:/+sC7t0R0: そして中国史上最大のVやねん！が来る・・・！
108 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/09(日) 01:05:38.16 ID:ZSwbqsQf0: 　　　　　　　　　　　　　- - ──ー - -､
　　／i　　　　 ,.-‐''"´ 　　　　　　　　　＼　　　　 i＼
　　l　＼＿／　　　＿,,　　　　 ,,＿　　　ヽ､＿／　 l　　　　　　>>100
　　l　　::::::/　　　　━━　　　　　━━ 　　　ヽ:::　　 l　　　　　　.恐縮ですー。
　　ヾ＿,;;;l　　　, , ,　　　　　　　　　　　　　　 l;;;__ジ　　　　
　　　　　 |　　　　　　i￣i￣i￣i　　"""　　　　 |　　　　　　　　　よろしければ、
　　　　　l　　　　　 .￣￣￣￣￣　　　　　　　 .l　　　　　　　　　.今後もお付き合い下さいませー
　　　　　 ` ､　　/⌒⌒i　　　/⌒ヽ　　　　　 /　　　　
　　　　　　　　`/　　　　| 　　| 　　　＼　　　／
109 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2024/06/09(日) 03:21:13.64 ID:ZSwbqsQf0: 【>>80修正】
【紀元３６５年７月　晋　首都　建康】

　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　／''''''　　　'''''':::::::＼
. 　 |（●）,　　　､（●）､.:|
　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|　　　　　　　　　会稽王殿下。
. 　 |　　｀-=ﾆ=- '　.:::::::|
　　＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／　　　　　　　　　このような事態になった以上、
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-､　　　　　　　　沈勁の働きは忘れるべきではないと大司馬は仰せでした
:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|
　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _{::＼::::::ﾉ　 {:ゝ／_-=ミ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 γ:i:i乂:_｣L二L｣ﾑ::::〃::r=ミヾ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {i:i:＞`｀::::／::::::::::∨{l|:::込ｲ:)ii}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　У'"ﾟ~￣"ヽ::::::::::人込,,_ニ彡′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:/::::::::′::::::∨／:/:}:::}:::l:汽:｀'..､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′::::::::::|:::::::}::::} ヽ:'::/::::'::::}:'，ヽ:::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{:::|:::|::::::|:::l:::}ﾙ|　 ∨:::/::::/:::} 　 ,:::::::::'，
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　从{xzﾐ､:ﾄ､リzz|ミ　彡::／∥」_　 }::::::::::}
　　　　　　　そうですね。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l 杙ﾂ　　　ヒ|ﾂ　√:}::::: 〈(⌒_,ﾉ::::::: ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ﾊ" '　　　""|　 .:{-ｲ:::∥:≧==-‐ ゛
　　　　　　　これで褒賞がなければ、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 沁､丶　　ﾉイ:_{／::/::::::::}＼
　　　　　　　誰もこの国のために働こうとしなくなります　　　　　　　　　　 | 　 /＞‐.rfvYV_Y ::::/:::/::∧､::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {＿/:/ :::://|/|/|∧／／::/: ∧＼::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞‐…‐＜__///／｡s≦'/| ＞`｀::::´::／､: : ∧　＼::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′::‐:／　＼｀寸:|ﾏ￣∥／:::::::_｡s≦||/||:､: :∧　　＼:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ::'⌒/込_ ＼､＼}::|__ヽ／:, ィ升=^|/|/||/||: :＼∧　　＼:::＼

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　『晋書』『沈勁伝』に曰く。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　東晋の朝廷は沈勁の働きを称え、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　東陽郡太守の位を追贈し、息子の沈赤黔を大長秋に任命した。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　沈赤黔は東晋末期の義熙年間に益州刺史になっており、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　そういう意味では、沈勁が命を懸けて洛陽に残った事は報われた
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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