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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2

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7 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/14(日) 19:45:48.51 ID:kch9tJed0
◇登場人物:その他◇

【名前】メルル・マインドストーン
【種族】魔族と人間のハーフ
【性別】女
【年齢】14歳
【容姿】見た目はほぼ人間の女の子だが、額に第3の目があり、帽子で隠している。緑髪のセミショートへア。体格は年相応
【性格】好奇心旺盛だが、夢中になると回りが見えなくなる。
【魔法】地属性が得意だが、周囲の景色に溶け込める迷彩魔法も使用できる。
【備考】世界のあらゆるものを見たいとあてのない旅をしている
クロシュ一行とは少々の縁があり、時折行動を共にすることがある


【名前】サイン
【種族】人間
【性別】男
【年齢】享年22
【容姿】金髪碧眼。襟足長め。全体的に華奢で小柄。
【性格】何事にも揺れない(様に見えた)、冷静沈着で口数が極端に少ない
【魔法】光魔法。出力がおかしい。地形に影響があるくらいは朝飯前
【備考】故人。勇者と称された人物
魔族自治区が成立したあたりで突然血を吐いて斃れた。王国は彼の死を隠蔽している


【名前】セイン
【種族】人間?
【性別】男?
【年齢】10代前半程度?
【容姿】金髪碧眼。襟足短め。外見年齢相応に小柄。
【性格】冷静沈着で口数が少ない
【魔法】光魔法。出力がおかしい。地形に影響があるくらいは朝飯前
【備考】勇者サインに似た容姿の少年。勇者サイン同様、強力な光魔法を操る
王国の尖兵だったり、緑の国の革新派の護衛だったり、ロイエ教原理派幹部の仕事仲間だったりするが、彼の正体や目的は未だ闇に包まれている


【名前】レイン・フォール
【種族】エルダーサキュバス
【性別】女
【年齢】120
【容姿】金髪オッドアイで黄色いパーティードレスを着たナイスバディ美人。泣きぼくろがチャームポイント。
【性格】気が強く孤高の寂しがり屋
【魔法】心理支配が最も得意で催眠や読心などを行える。
攻撃系統だと闇魔法も得意。触れたら消滅する強力な闇の塊を生み出し操るが、心理魔法ほど練度は高くない
【備考】かつて勇者サインと恋に落ちたサキュバス。勇者に一目惚れしてつきまとうようになり、いつしか勇者も受け入れてくれた。何故魔物である自分を受け入れたのか、そんな勇者の心は魔法をもってしても最期まで見透かすことができなかった。今はもう愛した勇者はいない。たった一人になった彼女は、勇者に誘惑催眠をかけたサキュバスと人類社会から烈火の如く憎まれ、勇者と仲良くしている裏切り者と魔物社会からも侮蔑の限りを尽くされていた。それらに抵抗するうちにいつの間にか国際指名手配の極悪人。賞金稼ぎに狙われ、傷つけられ、既に心は世界への復讐心にとりつかれていた。そのため、今では自分を迫害してきた社会に対して、悲しみと怒りをぶつける手段としてテロに興じる。
彼女はただの一度だって勇者に催眠をかけたことはない。あの時感じた純粋な恋心を魔法なんかで汚したくはなかった。


【名前】ブラッド(冒険者ギルド命名)
【種族】スライム類の一種と推測される
【性別】♀
【年齢】不明
【容姿】血のように赤いスライム。人間に擬態する時は、真紅の髪を足元の辺りまで無造作に伸ばした幼子の姿を取る
【性格】わがまま。感情の起伏が激しく、気に入らないことがあるとすぐに癇癪を起こす
【魔法】詳細は不明だが、通常のスライムとは一線を画す卓越した擬態能力と同化能力を有する
【備考】幼い外見とは裏腹に異常な力を有しており、何人もの冒険者を血の海に沈めている
単純な戦闘能力も高いが、擬態能力を活かして不意打ちや騙し討ちをする等の狡猾さもあり、危険
過去に起きた災害級の事件に関与している疑いがあり、冒険者ギルドは調査を進めている
8 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/14(日) 19:50:11.72 ID:kch9tJed0
というわけで新スレです。亀更新ではございますが、新スレでもよろしくお願いいたします

>>前スレ995
この世界ではスリーサイズを計測する文化が浸透していないため厳密な数値はわかりませんが、目視による簡易的な概算であれば算出可能です

>>前スレ996
過去作について、見た感じの毛色はかなり違うように感じられるかもしれませんが、もしよろしければ楽しんでいただければ幸いです

>>前スレ997
あのシーンで男性キャラクターが選出された場合、場面が男湯に移ってローガン氏が絡まれたりすることになったかもしれません

>>前スレ998
フメイ&アリシラ組とセインくんについては、あのコンマ表にあったように、確率は低いですが一時的に道連れになってくれる可能性はあります
正式な仲間化については、現時点ではよほどの奇跡でも起きない限りは発生しないと思われますが、今後の展開次第で状況が変わる可能性はあります

>>前スレ999
メルル氏は以前旅の途中で出会った縁もあり、今回の再会で親交がそこそこ深まりました。彼女は自由人なので、今後の旅の途中でまた再会することもあるかもしれません

>>前スレ1000
空を飛ぶ魔法もいくつか存在していますが、どれも習得が難しい高度なものであり、かつ複数人をまとめて飛ばすとなるとさらに難易度が跳ね上がるため、あまり現実的ではありません
現在登場している人物の中では、妖精、フメイ、フラナ、ティセリア、セインは単独飛行が可能です


簡易的なものではありますが、登場済みの女性キャラクターの身体的特徴をまとめておきます。目視による概算のため、間違っている可能性もあります。ご了承ください

        身長    B    W    H
◯クロシュ   可変   可変   可変   可変
◯妖精     極小   平坦    並    小
◯イリス     並    並  やや細    並
◯ミスティ  やや高  やや平    細    小
◯フメイ     低   平坦    並    小
◯アリシラ  やや低  やや平    細    小
◯フラナ     低   平坦  やや細  やや小
◯マリー     並  やや平  やや細  やや小
◯聖女      並    大    並    大
◯ティセリア   並  やや大  やや細  やや大
◯サリー     低  やや平    細  やや小
◯森妖精の子  極小   平坦    並  やや小
◯メルル   やや低  やや平    並  やや小
◯レイン   やや高   特大  やや細   特大
◯ブラッド   可変   可変   可変   可変
◯僧侶      並  やや大  やや細    並
9 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/14(日) 19:51:52.41 ID:kch9tJed0
―港湾都市ウォーターポート 滞在2日目
 ◆パーティメンバー
 ◇クロシュ 武:鉄の小盾  防:旅人の服
 ◇妖精   武:なし    防:エルフのレオタード
 ◇イリス  武:精霊樹の杖 防:魔術師のローブ
 ◇ミスティ 武:魔銀の短剣 防:精霊のローブ
 ◇ローガン 武:鋼の剣   防:鎖帷子

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹×2
・運命賽×2
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印
・精霊樹の実のジャム
・鋼の回転ノコギリ
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・トコナツ火山島行きの船を探す

◯仲間の目標
・???(ミスティ)
……………………………………………………………………………………
□港湾都市ウォーターポート 主要施設
大通り:旅の船着場、武具店、雑貨店、魔法店、鮮魚店、食品店、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
裏通り:占い屋、怪しい露天商、暗黒商店、奴隷商店、他
沿岸部:港、造船所、魚河岸、灯台、他
隣接地:機械工業都市テンペスター
……………………………………………………………………………………


―冒険者ギルド ウォーターポート支部

 ワイワイ ガヤガヤ

イリス「情報収集と言ったらまずは冒険者ギルドだよね」

妖精「流石に賑わってるなあ……クロシュの中に隠れてようかな」スス

クロシュ「ん……」

ローガン「うむ。海賊や船についての情報を得たいところだ」

ミスティ「……せっかくなら、仲間も欲しいわね」

イリス「えっ、仲間も!?」

ミスティ「ええ……。この前の……ブラッドとの戦いで痛感したでしょう……。私たちだけでは……ああいう奴らには太刀打ちできないわ……。それに……」

イリス「……それに?」

ミスティ「…………なんでもないわ……」

妖精「……」

ローガン「……」

クロシュ「……?」

 *
10 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/14(日) 19:52:21.61 ID:kch9tJed0
受付嬢「いらっしゃいませ! 当ギルドのご利用は初めてですよね?」

イリス「はい! これ、冒険者証です!」

受付嬢「はい、確認しました!」

イリス「えっと、それでですね……海賊についてお聞きしたいんですけれど、良いですか?」

受付嬢「この近海で船を襲って回っているという例の海賊ですね。討伐依頼も出ていますが……今のところ、まだ討伐報告は挙がってきておりません」

イリス「あ、でもそれなら既に討伐に動いてる冒険者もいるってことですか?」

受付嬢「はい。しかし海賊の尻尾も未だ掴めず、討伐に向かおうにも居所がわからないのでどうしようもないのです。海賊をおびき寄せて討ち取ろうと海に出たパーティもいたのですが……」

ミスティ「……失敗したのね」

受付嬢「はい……。海上戦は海賊の独壇場です。陸地では一騎当千の実力を持つ冒険者でも、海の上では力を発揮できずにやられてしまうのです」

ローガン「ぬう……。やはり強行突破は難しいか……。一応、依頼書を見せていただいても?」

受付嬢「はい、こちらになります」スッ

 依頼書「港湾都市を脅かす海賊の捕縛または討伐 報酬:極高」

イリス「わあ……すっごく美味しい報酬額だけど……ランク3以上だ! 私じゃ受けられない……!」

ミスティ「もし受けるなら私かローガンさんが受ければ良いわ……」

受付嬢「もしこの依頼を受けて頂けるのであれば、有料とはなりますがギルドの方で討伐用の船の手配をすることも可能です。ただしその場合、詳細な討伐計画の提出は必須となります。こちらとしても、迂闊な自殺志願者を送り出したいわけではありませんから」

ローガン「うむ、当然の措置だな……」

イリス「ど、どうします? 受けてみます?」

ローガン「いや……慌てて受ける必要はないだろう。元より、我々の目的は海賊の討伐ではなくトコナツ島へ行くことだ。難しい道を選択をする必要はなかろう」

ミスティ「……私も同じ意見よ。もし討伐するにしても、何の策も用意していない今これを受けても仕方ないわ……」

受付嬢「はい。先ほども言いましたが、策のない方々に船はお貸しできませんので、もし受ける場合はしっかり討伐計画を練っていただきたく思います」

イリス「そうですね……。わかりました、いろいろ教えてくれてありがとうございます!」

受付嬢「いえいえ、こちらこそご利用ありがとうございます。海賊について何かわかったことがありましたら、是非こちらにも情報提供していただけると助かります!」

 ◇
11 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/14(日) 19:53:16.21 ID:kch9tJed0
―冒険者ギルド 酒場

 ワイワイ ガヤガヤ

イリス「やっぱりギルドの方でも困ってるんだね……」

ローガン「そのようだな……。未だ尻尾すら掴めていないとなると、検挙にはかなりの時間がかかるかもしれん……」

妖精「はあ、海上戦に慣れた傭兵か何かでもいないものかなあ……」

ミスティ「……パーティメンバー募集掲示板でも見てみましょうか……」

イリス「そだね。もしかしたら海上戦に慣れた傭兵がいたりするかもしれないし……!」

ローガン「そんなに都合の良い人材が簡単に見つかるだろうか……」

妖精「最低でも妖精とスライムに忌避感を抱かないやつが良いなあ」

クロシュ「うん……」


↓1海賊対策の傭兵探し
01-50 いなかった
51-65 黒髪の無愛想な青年
66-80 赤髪ロングポニテ冒険者女性
81-95 ボサボサ黒髪の若い傭兵
96-98 フメイ&アリシラ
99-00 セイン

↓2仲間(セインくん以外の男)探し
01-05 イケメン狐獣人
06-55 いなかった
56-75 黒髪の無愛想な青年
76-95 ボサボサ黒髪の若い傭兵
96-00 イケメン金髪エルフ
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/14(日) 19:53:56.45 ID:Qt5NKMBS0
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/14(日) 19:54:49.78 ID:ERx9BvMDO
はい
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/14(日) 19:55:10.91 ID:ya/ZArH/O
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/14(日) 20:25:13.81 ID:FVdsuRCt0
イリスさん大きい方だと思ったら普通なのね
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/14(日) 20:29:11.67 ID:pNXy7EMUo
特大…特大
これで勇者を堕としたのか
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/14(日) 20:55:34.62 ID:+EhXIajDo
立て乙

聖女さんに重大情報追記されてませんかね……胸じゃなくて、いや胸もだけど名前名前
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/14(日) 20:59:51.80 ID:GHMwnsYdO
狐獣人はこれ敵か
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/14(日) 21:16:59.88 ID:WWmnfTjDO
前スレの>>881
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/14(日) 21:40:03.34 ID:qCtPDfBOO
しれっとイケメン金髪汚職エルフいて草
21 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/14(日) 22:27:33.46 ID:kch9tJed0
 募集掲示板「」

ローガン「……やはりそんなに都合の良い人材はいないな」

イリス「そりゃそっかぁ……」

ミスティ「……」

妖精「まあ仕方ない。一旦宿に戻って対策を考えようよ」

イリス「そうだね――」

 ガタンッ!!
 ザワザワ…

クロシュ「!?」ビクッ

妖精「何の音? 全く、クロシュがびっくりしちゃったじゃん……迷惑だなあ」

イリス「あれは――」


黒髪の若い男「うぃ〜……ひっく……。くそったれめ……」

給仕の女性「ちょっとエバンス、また昼間っから飲んでるの?」

黒髪の若い男「うるせえ……お前に俺の気持ちがわかんのかよぉ……ひっく……」

給仕の女性「……そりゃ、傭兵団を降ろされてここに置いてかれたのは気の毒だけど……。仕方ないじゃない、だって馬車が崖から転落して大怪我してたんでしょ?」

黒髪の若い男「そうだよ……!! ちくしょう……俺は馬を失い、馬車を失い、あの集落も救えず……何も成せないまま、ここに置いてかれちまったんだ……!! ちくしょお、ちくしょおお……!!」グビグビ

給仕の女性「エバンス……! もうやめときなよ!」

黒髪の若い男「うるせぇぇぇ!! 俺は、俺は……!! 世話になったイーシャさんも救えず、こんなとこで無様に生き恥晒してんだよぉぉぉ!!!」グビグビ

給仕の女性「……お冷、持って来る」スタスタ


クロシュ「!」ガバッ

イリス「えっ、クロシュちゃんどうしたの!?」

クロシュ「あの人……イーシャさんって……!」

妖精「イーシャさん?」

クロシュ「うん……! えと……わたしのいた村の……まとめ役の……お医者さんの、魔族の人……!」

ローガン「何!?」

ミスティ「……確かに……集落を救えなかった、とか言ってるわね……。もしかしたら、本当に……」

クロシュ「……お話、してみる」スクッ

 *
22 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/14(日) 22:27:59.80 ID:kch9tJed0

クロシュ「えと……おじさん……」

黒髪の若い男「あぁん……? なんだァ、お嬢ちゃん……」

クロシュ「おじさんの言った、イーシャさんって……。人と、魔族の……集落の……?」

黒髪の若い男「……!! お嬢ちゃん、知ってんのか!!?」ガバッ

クロシュ「うん……。わたし……あの、集落の……」

黒髪の若い男「待て。別の場所で話そう――」スクッ

クロシュ「あ、うん」


妖精(男の雰囲気が変わった……)

ローガン(一気に酔いを覚ましたようだな……。あれはかなり鍛えた戦士かもしれん)

イリス(と、とにかく一緒に行かなきゃ!)

ミスティ(…………私の代わりに、なるかしら……)

 *
23 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/14(日) 22:28:29.35 ID:kch9tJed0
―ウォーターポート 路地裏

黒髪の若い男「……ここなら他人の目もないし大丈夫だろう。君の仲間も来たようだしな」

クロシュ「うん……」

黒髪の若い男「……何から話そうか。いや、まずは自己紹介からだな……」

クロシュ「……」コク

黒髪の若い男→エバンス「俺はエバンス。エバンス・ブレイカー。一応……傭兵をやっている」

クロシュ「……わたしは……クロシュ、です。えと……スライム、です」デロ―

エバンス「スライム……。君は……本当に、あの集落の生き残りなのか……?」

クロシュ「……うん。わたしと……フメイちゃんと、アリシラさん……三人だけ……」

エバンス「…………そう、か……。生き残りが……いたのか……」ガクッ

妖精「えっ、ちょっとどうしたの? いきなり膝をついて――」

エバンス「うっ、うっうっ……わかんねぇ……でも、涙が止まんねぇんだよぉ……」ボロボロ

妖精「そ、そう……。やっぱり、まだ酔ってるのかもね……」

クロシュ「……」スッ

 エバンスの背中「」サスサス

エバンス「う、うおぉぉぉ……!! イーシャさん……クロシュちゃん……俺は……俺はぁぁぁ……!!」


イリス「な、なかなか感情豊かな人みたいだね……」

ローガン「う、うむ……きっとまだ酒が抜けていないのだろうが……人柄は信用できそうだ」

ミスティ(……人柄は、確かに信用できそうだけれど……実力はどれほどのものか……)

 *
24 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/14(日) 22:29:05.91 ID:kch9tJed0

エバンス「すまん、取り乱した……。君があの集落の生き残りで、イーシャさんの教え子だってことはわかった……」

クロシュ「うん……。エバンスさんは……?」

エバンス「俺は……俺も、イーシャさんに世話んなったことがあるんだ。あれは俺がまだ傭兵見習いのガキだった頃……任務中に仲間とはぐれて死にかけたことがあってな……。大怪我を負い、水も飯も底をつきて、森の中で行き倒れちまったんだ……。万事休す、ここで終わんのか――そう思ってたら、いつの間にか知らんベッドの上で寝てたんだよ」

クロシュ「……!」

エバンス「体を起こしたら、イーシャさんがいてな。怪我が治るまで休んでろって言ったんだ。俺、その時まで魔族は怖いもんだと思ってたんだが……その集落にいた魔族の人たちは、全然怖いことなんてなかった。人も、魔族も……本当に優しくて良い人たちだったんだ……」

クロシュ「!!」

エバンス「だから俺は約束したんだ。もしこの集落に危機が訪れたら、すぐに駆けつけて助けるって……。それなのに……俺は……俺ってやつは……!!」ダンッ

クロシュ「エバンスさん……」

エバンス「…………今更……俺なんかがこんなこと言う資格、ないかもしれないが……。クロシュちゃん……俺を……雇ってくれないか……?」

クロシュ「!」

エバンス「金は取らない……。イーシャさんの……あの集落の優しさを継ぐ、君を……守らせて欲しいんだ……」

クロシュ「……」チラ


妖精「……まだ、あなたのことを完全に信用したわけじゃない。だから……」

ローガン「……うむ。仮加入という形で、しばらく様子見させていただいても構わないだろうか?」

クロシュ「!」パァァ

エバンス「……! もちろんだ……! よろしく頼む……!!」

クロシュ「うん……! えと……よろしくお願いします、エバンスさん……」ペコ

イリス「え、えと……よ、よろしくお願いします!」

ミスティ「……よろしく頼むわね」

 ☆傭兵のエバンス・ブレイカーがパーティに仮加入しました

 ◆
25 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/14(日) 22:32:39.27 ID:kch9tJed0
―港湾都市ウォーターポート 滞在3日目
 ◆パーティメンバー
 ◇クロシュ 武:鉄の小盾  防:旅人の服
 ◇妖精   武:なし    防:エルフのレオタード
 ◇イリス  武:精霊樹の杖 防:魔術師のローブ
 ◇ミスティ 武:魔銀の短剣 防:精霊のローブ
 ◇ローガン 武:鋼の剣   防:鎖帷子
 ◇エバンス 武:鉄の剣   防:革の鎧

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹×2
・運命賽×2
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印
・精霊樹の実のジャム
・鋼の回転ノコギリ
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・トコナツ火山島行きの船を探す

◯仲間の目標
・???(ミスティ)
……………………………………………………………………………………
□港湾都市ウォーターポート 主要施設
大通り:旅の船着場、武具店、雑貨店、魔法店、鮮魚店、食品店、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
裏通り:占い屋、怪しい露天商、暗黒商店、奴隷商店、他
沿岸部:港、造船所、魚河岸、灯台、他
隣接地:機械工業都市テンペスター
……………………………………………………………………………………


―朝
 旅の船着場 ロビー

ローガン「……♪」ウキウキ

妖精「……ど、どうしたの?」

ローガン「む? どうした、とは……」

妖精「いや……なんかやけに機嫌が良いみたいだから……」

ローガン「そ、そうだろうか? 普段通りのはずだが……」

妖精「いや明らかにウキウキしてたよ」

ローガン「なんだと……」

妖精「……男仲間が増えて嬉しかったり?」

ローガン「……そうかもしれん。男一人というのは何分肩身が狭いからな……」



妖精「……ところで、ミスティのことなんだけど」

ローガン「……うむ。私も……気が付いてはいる……」

妖精「……ねえ、もしミスティが早まるようなことがあったら――」

ローガン「……わかっている。ミスティくんを一人にするわけにはいかんのだろう?」

妖精「うん……。ローガンが付いていてあげれば……安心できるからさ」

ローガン「……妖精くんには成すべきことが。クロシュくんには追うべき友が。そしてイリスくんには――無謀なる復讐のお供は、重すぎる。であれば私が適任だろう。何の因果か、ミスティくんと同様魔の者に家族を殺された境遇でもあるしな」

妖精「悪いね、せっかく男仲間が増えるかもしれない時に……。でもそれも最悪のケースだからさ。踏みとどまってもらえたら、それが一番良いし」

ローガン「うむ……。なんとか心のケアをしてあげられたら良いのだが……」


ウォーターポート滞在3日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/14(日) 22:33:16.11 ID:Qt5NKMBS0
服を買いに行ったらメルルと遭遇
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/14(日) 22:34:41.34 ID:ERx9BvMDO
占い屋で今後のことを占ってみる
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/14(日) 22:35:15.99 ID:pNXy7EMUo
なんかこう海を渡るための手段を考案する
29 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/14(日) 23:17:27.00 ID:kch9tJed0
というわけで本日はここまでとなります。次回はメルルと買い物編、占い編、海渡り試行錯誤編となります

いろいろあって傭兵のエバンス氏が仮加入しました。ローガン氏と違って若い男の人なので、パーティの女性陣はちょっとドキドキしてしまうかもしれません(ミスティはそれどころではありません)
そして妖精とローガン氏も話していますが、ミスティ氏のメンタルがとても不安定です。もしミスティがパーティを抜けることになる場合、死に場所求めおじさんであるローガン氏もミスティと共に無謀な復讐のお供をする覚悟ができているため、一気に二人減ってしまう可能性があります。そうなるとクロシュとイリスのメンタルにも良くない影響があるので、回避したい場合は何らかの策を講じた方が良いでしょう
これはちょっとしたヒントなのですが、ミスティの離脱を阻止する方法として、実はとてもクリティカルなものがあります。もし阻止したい人はいろいろ読み返してみると良いかもしれません

イリスさんは特別大きいわけではありませんが、程よくバランスの良い大きさをしているのだと考えられます。それでも普段のクロシュや妖精やミスティと比べると大きいため、現パーティではイリスさんが最大サイズとなっております
エルダーサキュバスはエルダーなサキュバスなので、当然大きさも相応のものとなります。生まれながらに特大サイズが約束された種族とも言えるでしょう。勇者もその大きさに惹かれたのかどうかは……わかりません
聖女さんはシスターですが、男性の信徒やオーク男性の煩悩を増幅させてしまうことがあるようです。そして一線を越えようとした愚かなオークは竜人姉貴に焼かれています
自身の名前を捧げたことについて聖女さんがどう思っているかはわかりません。聖女呼ばわりについては、自分に相応しくないと思いつつも、呼ばれ方にこだわりはないためあまり気にしていないようです

狐獣人氏は、仰る通り前スレ881の方です。見てわかるとおりファンブルなので、もし引き当てていたらろくでもないことになっていたと思われます
イケメン金髪汚職エルフもまあまあ自由な人なので、鎖国中の今はまた見聞を広めるために国外を出歩いている可能性があります

それでは本日もありがとうございました。次回も土日かと思います。よろしくお願いいたします
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/14(日) 23:24:13.29 ID:pNXy7EMUo
乙乙
ミスティ対策ちゃんと講じないとな
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/15(月) 00:17:13.26 ID:Hz3LatIDO
乙です
ミスティ離脱阻止は森妖精の子が鍵になるのかな……?
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/15(月) 01:06:54.98 ID:o517aRKyo
乙でした
イーシャさんの遺志が確実に受け継がれていってる
いつか関係者皆でお墓参りしたい

ミスティは離脱させると永遠の別れになりそうで怖…
33 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/20(土) 21:07:36.08 ID:UcAVZarw0
>>2について、妖精の容姿欄が空白になっていたため、訂正いたします
【名前】妖精
【種族】妖精
【性別】女
【年齢】秘密
【容姿】銀髪セミショートの妖精。くすんだ光の翅を持つ
【性格】口は悪いが面倒見は良い
【魔法】自然魔法。そこにある自然の力を借りることができる。また、妖精類独自の魔法にも精通する
【備考】クロシュと共に旅をしている妖精。人間嫌いだが、人間以外も割と嫌っている
他の多くの妖精類と同様、固有の名を持たない
生命の在り方を悲観して苦しみのない世界を望んでいるが、それが叶うことのない望みだということもわかっている。それでも望まずにはいられず、諦めて朽ちることもできない
かつて緑の国フォレスティナを興した建国の太母という妖精と同一人物だったことが判明した


ミスティさんをパーティに留めたい場合は何らかの行動を起こした方が良いでしょう
森妖精の子は、実際ミスティさんにとっては決して小さくない存在と思われます。鍵となるかもしれません
ここでミスティさんが離脱した場合、コンマ次第では今生の別れとなってしまうかもしれません。気を付けましょう

イーシャ氏が何者なのか、なぜあのような共同体を築いたのかは、クロシュちゃんには知る由もありませんが、クロシュとフメイとアリシラが今も生きているのは彼とその集落の功績と言えるでしょう。そして彼が掲げていた相互扶助・相互尊重の理念は今もクロシュの心の中に息づき、時たま道を指し示してくれます
エバンス氏なら喜んでお墓参りに付き合ってくれるでしょう。フメイとアリシラもお墓参り自体には乗り気な旨の発言をしていたため、状況が変われば一緒にお墓参りしてくれるかもしれません
34 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/20(土) 21:08:04.25 ID:UcAVZarw0
―旅の船着場 ロビー

イリス「う〜ん……」

 擦り切れてきた魔術師のローブ「」ボロッ

妖精「随分年季が入ってるよね、そのローブ」

イリス「旅立ちの時からずっと着てるからなあ。流石に買い替え時かも……」

ローガン「トコナツへ行く方法を考えるのも大事だが、その前に消耗した装備を整えるか」

クロシュ「……」

イリス「でもクロシュちゃんの服は綺麗だね。雨風に晒されたり、この前ブラッドにズバズバ斬られたりしたのに――ええ!? なんで綺麗なの!?」

クロシュ「あ、えと……。足りないとことか……ほつれたとこ……わたしの体で、補ってるから……」

エバンス「ええ? そりゃまたどういう――」

クロシュ「ほんとは……こんな感じ……」デロデロ

 ボロボロの旅人の服「」ボロッ

エバンス「――!!?」

イリス「わ、わーっ! わかったから直して良いよ!!」

クロシュ「あ、う、うん……」モニョニョ

 ちゃんとした旅人の服「」ビシッ

妖精「もう、そんなにボロボロになってたならちゃんと言いなよ。新しいの買ってあげるからさ」

クロシュ「でも……この服……ミスティさんに、買ってもらった――」

ミスティ「……買い替えるべきよ、クロシュ。そのボロボロの服では、あなたの体を守り切れない。私としても……あなたが良い装備を身に付けてくれた方が、安心だもの……」

クロシュ「……わかった……」

ミスティ「それで良いのよ……。私のことなんか、気にしなくて……」

イリス「……」

 ◆
35 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/20(土) 21:14:25.57 ID:UcAVZarw0
―ブティック・ウォーターポート

 布の服「」
 旅人の服「」
 革の鎧「」
 硬質革鎧「」
 鉄の鎖帷子「」
 鋼の鎖帷子「」
 鉄の鎧「」
 鋼の鎧「」
 布のローブ「」
 魔術師のローブ「」
 防寒着「」
 耐火服「」
 踊り子の服「」
 忍装束「」
 巫女装束「」
 大きな巻貝「」
 カニの甲殻「」
 スモック「」
 ハイレグ競泳水着「」
 エプロンドレス「」

イリス「わあ……! 見たことない服がいっぱい……!」

エバンス「世界各地の服飾を扱ってる店なんだ、ここは。普段着から勝負服に戦装束までなんでもござれだぜ」

クロシュ「……」

ミスティ「クロシュは……クロシュの力を活かすには、どんな服が良いのかしら……」

ローガン「難しいな。クロシュくん自身が変幻自在ゆえ……」



メルル「およ? ソリ芸人の皆さんだ!」トコトコ

イリス「あなたは……メルルちゃん!」

ミスティ「よく会うわね……」

メルル「そりゃまあ同じ街にいれば会うでしょ! 芸人の皆さんも服を買いに?」

ローガン「うむ……旅をしていれば消耗するからな。あと我々は芸人ではない」

エバンス「この少女は?」

妖精「あー……なんか最近ちょっと縁がある子。どっちかと言えば友好的な知り合いかな」

メルル「どっちかと言わなくても友好的! ていうか新しいおじさんが増えてる!」

エバンス「……新しいおじさんって、俺のことか? 一応まだ23なんだが……」

メルル「20越えてたら半分おじさんみたいなもんだよねェ」

エバンス「半分おじさん……」

メルル「それで、皆さんはどんなのを買う予定なの?」

妖精「まだ全然決まってないよ。来たばっかりだし」

メルル「へェ〜じゃああたしと一緒に選ぼうよ!」

クロシュ「うん……」


買い替え時のイリスとクロシュの服を買います

↓1コンマ イリスが買う服
01-70 魔術師のローブ
71-90 賢者のローブ
91-00 星光のローブ

↓2自由安価 クロシュが買う服

↓3自由安価 その他、服以外の服飾品など買うものがあれば(なしでも可)
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/20(土) 21:15:04.23 ID:8oSI8okIo
こんま
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/20(土) 21:15:59.45 ID:rhKzE2YG0
ゴスロリエプロンドレス
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/20(土) 21:18:44.00 ID:uo4+SUBzO
メルルとお揃いの帽子
39 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/20(土) 22:58:49.85 ID:UcAVZarw0
イリス「いろいろあるけど……私はやっぱりこれ!」

 魔術師のローブ「」ポン!

妖精「まあ着慣れてるやつが一番だよね」

ローガン「新品に買い替えられるのが既製品の利点だな」

 *

クロシュ「……」キョロキョロ

ミスティ「クロシュには……何が良いかしら……」

メルル「あ、これとか良くない!?」バッ

 ゴスロリエプロンドレス「」ポンッ!

エバンス「お、おおう……まあ、かわいいとは思うが……」

イリス「私も、クロシュちゃんにはきっと似合うと思うけど……」

ミスティ「旅には不向きじゃないかしら……」

メルル「でもでもこれ見て! 各種耐性エンチャント済だって!」

ローガン「ほう……こう見えて実用的な戦闘服というわけか」

メルル「そそ! どうかな!?」

クロシュ「これが、良いの……?」

妖精「いや、クロシュが決めるんだよ。これが良いかどうか」

クロシュ「えと……じゃあ、これにする……」スッ

メルル「さっすがクロシュちゃん! わかってるねェ〜」

 *
40 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/20(土) 22:59:20.32 ID:UcAVZarw0

妖精「さて、とりあえず必要な服は買えたわけだけど、他に何か買うものある?」

ミスティ「私はないわ……。このローブが……良いもの……」

ローガン「私も、この鎖帷子は地力で補修できるゆえ困っていない」

エバンス「俺も問題ない。少し年季が入ってはいるが、この革鎧もまだまだ使えるぜ」

イリス「私とクロシュちゃんは新しいのを買えたから、大丈夫!」

クロシュ「うん」

妖精「じゃあ撤収――」


メルル「待って待って!」トタトタ

イリス「メルルちゃん! 姿が見えないからまたどこかに行ったのかと」

メルル「えっへへ〜ちょっと買いたいものがあったから買ってたの!」

妖精「そういえばあなたも買い物に来てたんだよね。何を買いにきたの?」

メルル「当初は冷やかしに来ただけだったんだけど、気が変わってねェ。はい、これ!」

 メルルがかぶっているのと同じ冒険帽「」ポン

妖精「んん? これ、今あなたがかぶってるのと同じ冒険帽?」

ミスティ「あなたの帽子、まだまだ使えそうだけれど……」

メルル「違うよォ! これ、あなたたちにあげるって言ってるの!」

妖精「へっ……?」

メルル「ソリ芸人の皆さんに、お近づきの印ってことで! はい、どうぞ!」

 メルルがかぶっているのと同じ冒険帽「」グイグイ

クロシュ「う、うん……ありがと……」

 ☆イリスが魔術師のローブを新調しました
 ☆クロシュがゴスロリエプロンドレスを身に付けました
 ☆メルルの帽子を手に入れました

 ◆
41 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/20(土) 23:02:59.91 ID:UcAVZarw0
―ウォーターポート 裏通り

ゴスロリエプロン装備クロシュ「……」フリフリ

イリス「おお……クロシュちゃん、良いとこのお嬢様みたいだよ……!」

クロシュ「フメイちゃんが、かわいいから……」

エバンス「ああ、確かその姿はフメイちゃんっていう友達の姿なんだよな」

クロシュ「うん……。だから……フメイちゃんが、お嬢様……」

イリス「フメイちゃんも……クロシュちゃんと同じ、かわいい女の子なんだよね」

クロシュ「うん……」


妖精「それで……その占い師ってのは、どこにいるの?」

エバンス「もう少しだぜ」

ローガン「占い師か……。信用はできるのだな?」

エバンス「おう。うちの傭兵団も困った時はここの占い師を頼ったりするんだ。ちゃんとできる占い師だから安心してくれ」

イリス「へぇ〜! 本物の占い師だとしたら凄いなあ……是非お話を聞いてみたい……!」

ミスティ「……まあ、普通に気になるのは確かね……」

エバンス「お、あれだ! あの建物!」

 ボロ看板『占い屋』

 ◇
42 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/20(土) 23:04:07.63 ID:UcAVZarw0
―占い屋

 ギイー…
 バタム…

イリス「く、暗い……どことなく、フラナ先生のお店を思い出すセンス……」

ミスティ「ここが……占い師の……?」


「おや……置いてきぼりを食らったエバンス坊やに……新顔が五つかい?」スタスタ


イリス「!」

ミスティ「……!」

エバンス「占い師さん!」

クロシュ(店の奥から現れたのは――真っ白な髪を無造作に伸ばした、綺麗な女の人だった。髪とは真逆の真っ黒いローブを身に付けていて、どこか不思議な雰囲気をまとっている……)


占い師「エバンス一人、子供二人、中年一人、妖精一人、そして……ほお、こりゃまたトンチンカンな生き物がいたもんだ……クックック……」

妖精「あなたが……ここの占い師?」

占い師「いかにも。お前さんは……建国の妖精かい。こりゃまたとんでもない大物が来たもんだ……ククク……」

妖精「……へえ」

イリス「ま、まさか……占いの魔法で……!?」

占い師「どうだろうねえ。建国の妖精なんて大が付くほどの有名人だ、ちょいと歴史が好きなら誰でも知ってるだろうさ」

妖精「私の顔が判別できる歴史書なんてほとんど現存してるもんか。あなた……本物だね」

占い師「フフ……それで、エバンス坊やと、緑の国の首長とその一派が、何の用だい?」

エバンス「ああ……ちょっと知りたいことがあってな」

占い師「いいとも。なんでも占ってあげよう。勿論、相応の対価はいただくがね」


↓1〜3 占い師に占って欲しいこと(内容によっては超高額になるため、お金が足りずに聞けない可能性があります)
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/20(土) 23:06:53.54 ID:WVQs+YuBo
ミスティの未来
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/20(土) 23:07:54.57 ID:8oSI8okIo
取りあえず海を渡るのにどのルートややり方ならベストなのか聞く
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/20(土) 23:08:36.33 ID:CIlNXVeDO
すれ違って別行動している友達(フメイ達)とまた一緒に暮らせる方法
46 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/20(土) 23:16:56.04 ID:UcAVZarw0
本日はここまでとなります。次回は占い結果からです

今回は服を新調し、メルル氏とさらに親交を深め、そして胡散臭い占い師にいろいろ占ってもらう運びとなりました
占い屋では、冒険のヒントから冒険に関係のないフレーバーまで、いろいろな情報を得ることができます。お金はかかりますがいろいろと役立ててみるのも良いでしょう
しかし運命は刻一刻と移り変わっていきます。占い師が垣間見るのは、無限に枝分かれする未来のたった一つでしかないのかもしれません。過信はしすぎないのが良いでしょう

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/21(日) 04:08:02.86 ID:AdpOZqpSo

占い師めっちゃ大物感
フメイちゃん、このままだとメイド姿での目撃情報が出回るぞ!
だから早く合流しよ?
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/21(日) 17:40:33.87 ID:0yhg1kaKo
お金って今どれくらい保有しているんだ
お金の力で海賊どうにかできないか
49 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/21(日) 21:36:31.32 ID:r3XQJlSW0
占い師は胡散臭い人物ですが、特に重要人物というわけではありません。知っていることは多いかもしれません

クロシュちゃんにゴスロリエプロンドレスが似合うように、フメイちゃんが着ても似合うかと思われます。なおフメイちゃんはファッションにはあまり頓着しない性格のため、ゴスロリエプロンでの目撃情報が増えても特に何とも思わない可能性が高いです……

旅の資金はけっこうあり、贅沢をしなければ数ヶ月は暮らせる程度の額はあります。ただし消耗品の補充や旅の支度など、描写されていないところでもけっこうお金は使っているため、大金持ちというわけではないようです
なお、お金の力では解決が難しいようです
50 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/21(日) 21:37:00.65 ID:r3XQJlSW0
―占い屋

エバンス「トコナツ島へ行きたいんだが、海賊が跋扈していて正規ルートじゃ通れないんだ。あんたの力でベストな道を占えないだろうか」

占い師「行くだけならここ以外から遠回りすれば行けるだろう。占うまでもない」

妖精「意地が悪いね。私たちが急がなきゃならない立場なのはわかってるでしょ」

占い師「ハハ、悪かったよ。そうだねえ……マフィアたちの船が、どうして海賊に襲われないかわかるかい?」

イリス「えっ……? えと……裏で繋がってるとか、マフィア自身が海賊だから、とか……?」

占い師「残念、はずれ。でもちょっと惜しいねえ……海賊はマフィアの船を標的にできない理由があるのさ」

エバンス「なんだ……? マフィアの報復を恐れている、とかか?」

占い師「いいや、もっと単純だよ。海賊は――マフィアの船を認識できない≠だ」

イリス「認識阻害魔法?」

占い師「いいや、魔導技術さ。道具さえ揃っていれば誰でも再現できる……ここまで言えば、お前さんたちが何をすれば良いかわかるだろう?」

ローガン「……その認識阻害の手段を得れば良い、というわけだな?」

占い師「そういうこと。ああそうそう、この認識阻害の手段ってのは例の海賊にしか通じない特殊なものだよ。他の船や海の生き物の目を欺く効果はないから注意しな」

イリス「……? 海賊にしか通じない……? その海賊って、特殊な種族の方々だったりするんですか?」

占い師「さあ。知ってるけど、個人的に教えたくない。どうしてもって言うならお前たちの全財産の三倍は欲しいねえ」

ミスティ「払えるわけないじゃない……」

占い師「だろうね。私も教えたくないから丁度良いだろう」

エバンス「……だが、その技術ってのは一体何なんだ? それも教えてくれないのか?」

占い師「それを教えちゃうと、海賊の正体を教えることにもなっちゃうからねえ……」

イリス「……マフィアの人と交渉する……?」

エバンス「いや、それは危険だろ。下手なことを言えば口封じに消されちまう」

占い師「マフィアとしても技術と情報の流出は痛手だろうからねえ」

イリス「でも、じゃあどうすれば……」

占い師「馬鹿正直に交渉する必要はない。末端を捕まえて質問≠キるなり、船に潜入して調べてみるなり、やりようはいくらでもあろう」

ローガン「う、うむ……まあ、方法は後で考えるとしよう……」
51 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/21(日) 21:37:32.98 ID:r3XQJlSW0
占い師「とりあえず海の渡り方についてはこんなとこかね。他に何か知りたいことはあるかい?」

クロシュ「あ……えと……。わたし……いい……?」

イリス「クロシュちゃん! もちろんいいよ!」

エバンス「おう。俺の手持ちで良いぜ、好きなことを聞いてくれ」

クロシュ「ありがと……。それじゃあ……。えと……フメイちゃん……あ、えと……わたしの……大切な、友達のことで……」

占い師「炎の子のことだろう? 大丈夫、知ってるよ」

クロシュ「う、うん……。その……フメイちゃんと……また、一緒に暮らしたくて……。どうすれば……いい……?」

占い師「う〜ん、それはまた難しい問だねえ……。運命神に愛されてるんだから嫌われてるんだか知らないが、お前さんたちの運命は複雑怪奇にこんがらがりすぎてるんだよ。悪いけれど、現時点じゃ正解なんてわからんとしか言えないねえ……」

クロシュ「……」ショボン

占い師「まあそう落ち込みなさんな。お前さんと炎の子の縁、運命は簡単にゃ途切れんよ。また一緒になりたけりゃ、諦めずに進み続けることだね」

クロシュ「……うん!」

占い師「大したことは言えなかったから金はいらんよ。さて、他には?」
52 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/21(日) 21:38:19.95 ID:r3XQJlSW0
ミスティ「……じゃあ、私……良いかしら?」

ローガン「……」

妖精「……うん。いいよ、ミスティ」

ミスティ「……私は……これから先、どうなるかわかる? 目的を……遂げられるの?」

占い師「へえ……お嬢さんは、どうやら運命の岐路に立っているようだ。ククク……どちらに進んでも、目的を遂げられるかどうかは運次第としか言えないねえ……」

ミスティ「答えになってないわ……。占い師なら、もっとはっきりわかるんじゃないの?」

占い師「運命は絶えず変化する。昨日見た運命が今日は丸っきり違うものになっていることもある。私が観測する未来は、無限に広がる可能性のたった一つでしかないんだよ」

ミスティ「……」

占い師「結局、あんた自身がどうしたいかってことさ。自分が本当に大切にしたいものをよく考えることだね」

ミスティ「私が……」

占い師「これもタダでいいよ。占いらしいことは何も言ってないからね」

妖精「まあ……安く済ませられるのは良いけど……」

 ☆マフィアの海賊対策方法についての情報を得ました

 ◆
53 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/21(日) 21:43:00.34 ID:r3XQJlSW0
―ウォーターポート 大通り

妖精「認識阻害の手段を調達しなきゃならないわけだけど……考えてみたら、海賊を欺く手段があっても船がなきゃ意味がない」

ローガン「確かに……。ギルドの船も海賊の討伐依頼を受けなければ借りられんし、少し困ったな……」

イリス「船かあ……。私の地魔法じゃ泥舟しか作れないし……」

エバンス「イリスちゃんも地属性なのか? 俺も地属性なんだ、奇遇だな!」

イリス「あいや、星属性です! 地属性も一応使えるってだけで、ですね……」

エバンス「星属性、だと……」

イリス「あはは……本職よりは全然な器用貧乏ですよ」


ローガン「……ところでミスティくんのソリは、水上移動とかはできないかね?」

ミスティ「できるわけないでしょ……。そんなことができたら本当にソリ芸人よ……」

ローガン「そ、そうか……」

妖精「……そうだ! クロシュ、帆船とかに擬態できない?」

クロシュ「ほえ……?」


↓1コンマ
01-40 カタツムリなら……
41-70 ヤドカリなら……
71-90 ウミガメなら……
91-00 海竜なら……
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/21(日) 21:43:26.16 ID:wUV16OwR0
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/21(日) 21:43:45.60 ID:0yhg1kaKo
海竜
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/21(日) 21:57:53.53 ID:G/7uXc4No
ムリムリムリの
57 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/21(日) 22:13:27.74 ID:r3XQJlSW0
クロシュ「えと……カタツムリ、なら……」

 デロデロ…ポン!

カタツムリクロシュ「」モゾモゾ

妖精「ええ……」

エバンス「で、でっけえカタツムリだ……」

イリス「でもかわいいかも! カタツムリクロシュちゃん!」

カタツムリクロシュ「」モゾモゾ

ローガン「……は! クロシュくん、そのカタツムリの殻に鉄の小盾を同化させたりはできるかね!?」

カタツムリクロシュ「!」ピコン!

 モゾモゾ ポン!

鉄殻カタツムリクロシュ「」キラン

ローガン「おお、思った通りだ……! クロシュくん、能力の使い方に磨きがかかってきたな……!」

妖精「いや、そもそも普段の姿がフメイに擬態してるんだから、擬態中に同化を使えるのは今更でしょ……」

ローガン「……言われてみればそうだったな。うむ……」

ミスティ「ま、まあ人型でもスライム型でもない姿でも同化が使えるのがわかったし、良いんじゃないかしら……」

ローガン「ミスティくん……!」

妖精「……まあそうだね。とりあえずクロシュの成長が見れたってことで良しとしよっか」

鉄殻カタツムリクロシュ「」モゾモゾ

 ☆擬態と同化を自由に組み合わせることができます
 ☆今後、海渡りの姿を獲得するための訓練を行うことができます(必要経験 0/3)

 ◆
58 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/21(日) 22:21:13.09 ID:r3XQJlSW0
―港湾都市ウォーターポート 滞在4日目
 ◆パーティメンバー
 ◇クロシュ 武:鉄の小盾  防:ゴスロリエプロン
 ◇妖精   武:なし    防:エルフのレオタード
 ◇イリス  武:精霊樹の杖 防:魔術師のローブ
 ◇ミスティ 武:魔銀の短剣 防:精霊のローブ
 ◇ローガン 武:鋼の剣   防:鎖帷子
 ◇エバンス 武:鉄の剣   防:革の鎧

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹×2
・運命賽×2
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印
・精霊樹の実のジャム
・鋼の回転ノコギリ
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・トコナツ火山島行きの船を探す
・海渡りの姿を獲得する[0/3]

◯仲間の目標
・???(ミスティ)
……………………………………………………………………………………
□港湾都市ウォーターポート 主要施設
大通り:旅の船着場、武具店、雑貨店、魔法店、鮮魚店、食品店、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
裏通り:占い屋、怪しい露天商、暗黒商店、奴隷商店、他
沿岸部:港、造船所、魚河岸、灯台、他
隣接地:機械工業都市テンペスター
……………………………………………………………………………………
59 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/21(日) 22:21:41.32 ID:r3XQJlSW0
―朝
 旅の船着場 客室

 チュンチュン

スライムクロシュ「……」zzz

妖精「すう、すう……」zzz


ミスティ(……私の……大切なもの……?)

ミスティ(…………全部、全部……あいつに、奪われてしまったじゃない……)

ミスティ(もう二度と……戻って、来ないのに……どうやって……大切にしろって、言うのよ……)

ミスティ(…………)


イリス「ふわあ……。あ、ミスティ……早いねえ……」ググッ

ミスティ「! イリス……」

イリス「……ミスティ、眠れてないの? クマ、ひどいよ……」

ミスティ「……気のせいでしょ。ちゃんと……休めているわ……」

イリス「そう……? それなら、いいけど……」

ミスティ「……」

イリス「えと……私、相談とか、何でも乗るからさ。あんまり、一人で苦しまないでね」

ミスティ「……ええ。ありがとう、イリス……」


ミスティ(……本当に、ありがとう。イリス……)

ミスティ(でも……だからこそ、そんな優しいあなたを巻き込むわけにはいかないでしょう……)

ミスティ(これは……私の問題だもの……)


ウォーターポート滞在4日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/21(日) 22:22:26.06 ID:wUV16OwR0
ミスティ、海賊の下っ端に絡まれてる子供を助ける
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/21(日) 22:24:15.75 ID:QtrjGSamO
クロシュ、海わたり変身の特訓
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/21(日) 22:28:37.13 ID:85vIrSdDO
イリス
ミスティの様子が心配で皆に相談(魔族国緑の国含む)
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/21(日) 22:29:02.59 ID:XdSqUOdT0
ミスティの悩みを聞き出す
64 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/21(日) 23:30:53.69 ID:r3XQJlSW0
―裏通り

ローガン「マフィアの末端を締め上げるとは言っても、そもそもどこの誰がマフィアの末端なのかわからんな……」

ミスティ「情報がないとどうにもならないわね……。私が囮になって、悪漢でも誘き寄せてみる?」

ローガン「………ミスティくんの実力なら大丈夫だとは思うが……しかしただのチンピラしか釣れないような気もするぞ……」

ミスティ「ただのチンピラでも、マフィアに繋がる情報を持っているかもしれないわ……」

ローガン「……うむ。このままでは埒が明かんのも確かだ、やるだけやってみよう。私は隠れているが、何かあればすぐに助けるぞ」ススッ

ミスティ「ええ、お願い……」

 *

ミスティ「さて……釣れるかしら……」スタスタ


 ダレニキョカトットンジャコラーッ!! ゴメンナサイゴメンナサイ!

ミスティ「!? 何かしら……!」タタッ


ローガン「み、ミスティくん待て! 私も行く!」タタッ

 *
65 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/21(日) 23:34:17.67 ID:r3XQJlSW0
―裏通り

悪漢「ここが俺たちのシマだってわかってんのかオオン!!?」

エプロンの少女「ごめんなさいごめんなさい! 知らなかったんです!」

悪漢「知らんで済みゃマフィアは要らねーんだよ!! どう落とし前付けてくれんじゃオオン!?」

エプロンの少女「ゆ、許してください……商品を差し上げますから……」

悪漢「オオン!? こんなもんいらんわ!! もっと出せるもんがあるよなァ!?」

エプロンの少女「えっ……こ、これ以外は……お金も、なく……」

悪漢「カマトトぶってんじゃねェーぞオオン!!? 体で払えってんだよボケがコラーッ!」

エプロンの少女「えっ……」

悪漢「ショバ代徴収だオラーッ!」ガシッ

エプロンの少女「あ……」ジワ

悪漢「まずはその安物の服を引き裂いてやるぞオラーッ!」グッ


「そこまでよ!」カッ


悪漢「オオン!?」

 氷塊「」ブンッ
 ゴッ

悪漢「オゴッ……」

 ドサッ


エプロンの少女「え、え……?」

ミスティ「……怪我はないかしら」

エプロンの少女「は、はい……」

ミスティ「……なら良かったわ。早く家に帰りなさい。ここは危ない……商売は大通りの方が良いわ……」

エプロンの少女「あ、は、はい……! あの……ありがとうございました! これ、差し上げます……!」

 焼きたてパンの入ったバスケット「」ポン

ミスティ「これは……」

エプロンの少女「あの……私の店で焼いたパンなんです。保存魔法がかかってるので、長持ちなので……都合の良い時に、お食べください……! それじゃあ……本当にありがとうございました……!」ペコッ タタッ

 ☆焼きたてパン入りバスケットを手に入れました

 *

ローガン「ミスティくん……!」タッタッタッ

ミスティ「ローガンさん」

ローガン「そのバスケット……善徳を積んだようだな」

ミスティ「……お礼が欲しくてやったわけじゃないわ。当初の目的通り、情報収集のために悪漢を締め上げたに過ぎない……」

ローガン「フッ……目的が何であれ、そのバスケットが全てだろう」

ミスティ「……それより、早速こいつを締め上げましょう……マフィアがどうとかショバ代がどうとか言ってたから、末端である可能性は高いわ……」

悪漢「」ピクピク

 *

↓1コンマ 締め上げた結果
01-30 マフィアぶったただのチンピラだった
31-60 末端(情報量:少)
61-90 中堅(情報量:中)
91-00 幹部(情報量:多)
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/21(日) 23:35:04.79 ID:85vIrSdDO
はい
67 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/21(日) 23:45:18.36 ID:r3XQJlSW0
マフィアの中堅構成員を締め上げたところで本日はここまでです。次回、ダークヒーローミスティの尋問編、クロシュの特訓編、イリスの相談編です

海を渡る手段へ着々と近づいています。なお海賊が跋扈しているこの状況で、通常価格で船を貸してくれるモノ好きはほとんどいません。安く済ませたい場合はクロシュちゃんに海渡りの仕方を覚えてもらうのが良いでしょう

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/22(月) 01:35:50.03 ID:+ZNJl/q7o
おつおつ
あくまで尋問だから、手加減するんだよ……ミスティさん思い切りが良過ぎるので
クロシュつむり人気で草
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/27(土) 12:02:19.33 ID:MV18Xz4AO
海竜クロシュになったらいよいよパーティ最強格になるんじゃ
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/27(土) 15:32:28.91 ID:0wTOpo8SO
海なら水着回は期待していいのだろうか?
いや、それ以前に皆泳げるのだろうか?
すべてはコンマ神のみぞ知る……はず。
71 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/27(土) 20:50:33.47 ID:G41wZLu70
ミスティ氏は割と喧嘩っ早い判断をしがちなようです。一人旅をしていた時は、暴力による解決が最短最速最適解となる場面が多かったのかもしれません
クロシュつむりは本物のカタツムリと違って寄生虫を持っていないため、素手で触っても安心です

ただの擬態では強さや能力までは再現できないため、海竜に擬態しても強くなれるわけではないようです(海竜の形にはなるので効率的に泳ぐことはできます)
海竜などの水生生物に擬態した状態で水属性のアイテムを同化に用いれば、より高い水適性を得られるでしょう

水着は……機会があれば着ることもあるでしょう。泳げるかどうかは実際コンマ次第です
ちなみにスライム形態のクロシュちゃんはほぼ全裸です
72 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/27(土) 20:51:07.22 ID:G41wZLu70
―薄暗い路地裏

悪漢「ハッ!?」

ミスティ「気が付いたようね……」

悪漢「め、目がッ……! 手足も……冷てェ……!?」

 悪漢の目元と手足を覆う氷「」カチコチ

ミスティ「騒がないで……。私たちは王国特務騎士……いくつか質問に答えてもらうわ……」

悪漢「王国特務騎士だとォ……!? テメッ俺様はウォーターポート最大のマフィア、港湾組の次期若頭補佐代理心得だざッ――」

 氷「」キンッ

悪漢「オゴッ……!」

ミスティ「騒ぐなと言ったはずよ……。喉も凍らせて欲しいのかしら……?」

悪漢「……ッ!」

ミスティ「時間が経てば経つほど、あなたの目と手足は壊死に向かうわ……。処置が遅れれば……わかるわね?」

悪漢「……ッッ!!」

ミスティ「そして私たち特務騎士は嘘を見抜くことができる……。もし嘘をつけば……壊死では済まないかもね……」

悪漢「……ッッッ!!!」

ミスティ「……正直に、迅速に答えなさい。いいわね……?」

ローガン「…………」

 ◆
73 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/27(土) 20:52:15.26 ID:G41wZLu70
悪漢「」ピクピク


ミスティ「尋問結果をまとめると……こんな感じね」

・マフィアは海賊の目を欺く手段を有している
・とある魔導機械装置を起動することで、海賊の目を欺く結界のようなものが展開される
・その装置の大きさは一般的な飯盒と同じくらい
・その装置を操作する権限を持つのは幹部以上の構成員のみ。当然持ち出し不可
・その装置には、テンペスターに拠を構える巨大企業「セイントレア・メカニクス」のロゴマークが入っている
・海賊の正体は知らない

ローガン「うむ。かなりの収穫だ」

ミスティ「みんなに報告しましょう……」


悪漢「」ピクピク


ミスティ「こいつは……口封じした方が良いかしら」

ローガン「いや。顔を見られたわけではないのだから命まで奪う必要はないだろう」

ミスティ「……それもそうね」

ローガン「うむ……。戦場以外の場所では殺人は極力避けよう。力による解決を是とする獣の論理に従い続ければ、人の世で生きられなくなる」

ミスティ「ふふ……こんなやり方で情報収集している時点で手遅れじゃない?」

ローガン「…………」

ミスティ「……冗談よ。気をつけるわ……」

 ◆
74 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/27(土) 20:53:16.53 ID:G41wZLu70
―海岸

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ」


エバンス「ええっ? 結局クロシュちゃんに船の代わりをやってもらうのか!?」

妖精「うん。船を出してくれるとこもないし」

エバンス「でも、ここからトコナツ島までけっこうあるぞ? かなりの負担になるっていうか……」

クロシュ「大丈夫……。わたし……体力、けっこう、ある……」

エバンス「いやそれにしたって限度がある! 普通の船旅で3日くらいかかるんだぞ!」

クロシュ「たぶん……大丈夫……」

妖精「地図を見た感じだと道中で休めそうな島もいくつかあったから、休憩はちゃんと取れるよ」

イリス「いざという時は私が泥舟を作ります!」

エバンス「そ、そうか……。まあ、クロシュちゃんが大丈夫だってんならいいが……でもクロシュちゃん一人に負担をかけんのはなあ……」

妖精「私たちにできることもあると思う。例えば私なら、海流の力を借りてクロシュの背中を押してあげられるし」

イリス「あ、そっか……! 私も水魔法で何かできることがあるかも……!」

エバンス「なるほどな……じゃあ俺も、クロシュちゃんが疲れた時に休めるよう、泥舟を作る練習でもしてみるか……」

クロシュ「みんな……ありがと、ございます……」ペコ


↓1 特訓の成果
01-60 イカダ(経験1/3)
61-90 小舟 (経験2/3)
91-95 大亀 (経験3/3)
96-00 海竜 (経験☆)
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/27(土) 20:54:32.23 ID:DqkPkmsy0
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/27(土) 20:54:47.16 ID:rCtM9byqo
77 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/27(土) 23:31:57.28 ID:G41wZLu70
 ザバァン―

イカダクロシュ「」プカプカ

妖精「お〜! イリスとエバンスが乗ってもちゃんと浮いてるよ!」

イリス「ご、ごめんねクロシュちゃん! 土足で乗っちゃって」

エバンス「す、すまん……」

イカダクロシュ「」モニョモニョ

妖精「大丈夫だってさ」

イリス「そっか……ありがと、クロシュちゃん。でもその姿だと、人間の言葉は喋れないんだね」

イカダクロシュ「」モニョニョ…

妖精「大丈夫大丈夫、私はわかるから。できないことを無理にやらないで、できることを一歩づつやろう」

イカダクロシュ「」モニョモニョ

エバンス「妖精はスライム語がわかるのか。凄いな」

妖精「まあ……無駄に長生きしてるからね……」

イリス「スライム語かあ……スライム語で書かれた古代の魔導書とかもあるらしいし、私も勉強してみようかなあ」


 ☆クロシュの海渡り経験が1/3になりました
 ☆イカダに擬態できるようになりました

 *

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ」


スライムクロシュ「……」デロロ

妖精「お疲れ様、クロシュ。今日はこのくらいにしとこうか」

クロシュ「ん……」モニョ

エバンス「しかし凄いな。イカダに化けられるスライムなんて聞いたことないぞ。体積や質量まで変化してないか?」

イリス「ですよねえ。クロシュちゃんって実は凄いスライムなんじゃ……?」

クロシュ「?」

妖精「まあクロシュはクロシュだよ」

 ◆
78 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/27(土) 23:32:26.73 ID:G41wZLu70
―夜
 旅の船着場 客室

ミスティ「――以上が、マフィアの構成員から聞いた話になるわ」

エバンス(どうやってマフィアの構成員から聞き出したのかは聞かないでおこう……)

イリス「それで、えっと……セイントレア・メカニクスって……?」

ローガン「王家直属の軍産企業だな。主に魔導機械を用いた物品の開発・生産を行っている」

イリス「えっ、じゃあもしかしてローガンさんが使ってる回転ノコギリも?」

ローガン「いや、あれはマーベル重工製のもののようだ」

妖精「マーベル重工……あいつそんなものもやってるのか……」

エバンス「しかしセイントレア・メカニクスだと? きな臭くなってきやがったな……」

ローガン「うむ……。テンペスターに行って調べてみるのも良いかもしれん」

妖精「うへぇ……」



ミスティ「ああそうそう。それと……いろいろあって、これをもらったわ」

 焼き立てパン入りバスケット「」ポン

エバンス「おお! 美味そうなパンだな! 焼き立てみたいだ!」

ミスティ「保存魔法がかかっているみたい。焼き立てホカホカの状態が維持されているわね」

イリス「え、すごい! 良いなあ、保存魔法……」

ミスティ「都合の良い時に食べて良いとのことだから、みんなも食べて」

クロシュ「ん……!」

妖精「せっかくだし塗るものとか欲しいなあ。何かあったっけ?」

 *
79 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/27(土) 23:35:06.84 ID:G41wZLu70
ミスティ「……さて、それじゃあ話もまとまりそうだし私は入浴を済ませてくるわね」スクッ スタスタ

イリス「あ、うん! いってらっしゃ〜い」

 パタム…

イリス「……」

妖精「どしたの、イリス」

イリス「……えと、みんなにちょっと相談があるんだけど……」

クロシュ「?」

妖精「え、相談?」

ローガン「うむ……聞こう」

エバンス「おう、何だ?」

イリス「うん……あのね、ミスティのことで……」

妖精「ああ……イリスも流石に気付くか……」

エバンス「え、どういうことだ……?」

妖精「この街に着く少し前のことなんだけど――」

 *

エバンス「故郷と家族の仇……。そんなことが……」

イリス「はい……。それで、ここ最近ちょっと思い詰めてるみたいで……」

妖精「私も気付いてはいるんだけど……。家族の仇ともなると、安易に復讐やめろとも言えないし、難しいんだよね……」

イリス「私は家族を殺されたわけじゃないから……下手な言葉をかけると、かえって嫌な気持ちにさせちゃいそうで……」

妖精「ローガンは近い境遇なんでしょ? 何か、良い案はない……?」

ローガン「確かに、私は彼女と似た境遇だが……。だからこそ、彼女の気持ちも痛いほどわかるのだ……。憎き仇が現れて、そいつがのうのうと生きている姿を見せつけられて……黙ってなど、いられるはずもない。私がミスティくんと同じ立場であれば……勝ち目などないとわかっていても、きっと無謀な戦いを挑まずにはいられないだろう」

妖精「……」

ローガン「すまん……私は、本心では復讐を肯定する愚か者なのだ。そんな私が復讐を止める言葉を吐いても、軽薄な戯言にしかならぬ……」

イリス「そんなことありません! ローガンさんもミスティも、家族が本当に大事だったんです!! だから、その想いが愚かだなんて……」

ローガン「イリスくん……」

妖精「イリスって本当に良い子だねえ。でもその考えだと復讐を肯定しちゃいそうじゃない?」

イリス「あっ……!! いや、でも……うう……」

ローガン「大事だからこそ、か……。フッ……家族の言葉なら、あるいはミスティくんに届いたのかもしれんな……」

妖精「その家族が殺されたんだから、届けようがない……」



エバンス「……なあ、ミスティちゃんの元々の旅の目的って何だったんだ?」

妖精「安住の地を探してたんだって。今は私の仕事に付き合ってもらってるけど……これが終わったら、また一人で旅に出るのかなあ」

ローガン「……魔族国……はまだ難しいだろうが、緑の国であれば十分に安住の地と言えそうな気がするな」

イリス「ティセリアさんたちなら喜んで迎えてくれるだろうし、あの森妖精の子もきっとすっごく喜びそう……!」

エバンス「いろいろあったんだな……。しかしこのパーティ以外からもしっかり愛されてるんじゃないか、ミスティちゃん。とんだ困ったちゃんだぞこりゃ……」

イリス「愛されて……。みんなが、ミスティを大事に思ってることを、上手く伝えられたら……」

ローガン「愛を伝える方法か……。指輪を渡す……のは違うな、すまん」

エバンス「はは、一瞬ビビったぜ……。でも、言葉だけでなく何かしら別の形で表現するのは実際良いかもな」

妖精「別の形かあ……。何か、ミスティへの愛を示せるものはあったかな……」


クロシュ「……」

↓1〜2自由安価 クロシュは何か良い案ある?
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/27(土) 23:38:06.75 ID:DqkPkmsy0
手料理を作ってあげる
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/27(土) 23:42:13.08 ID:uDpOWH0VO
皆お揃いのアクセサリーをプレゼント
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/27(土) 23:42:13.96 ID:ndeT0ahDO
精霊樹の鉢植えを一緒に育てようとかかな?
83 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 00:18:40.81 ID:aYYOgcBr0
クロシュ「……」

 メルルの帽子「」

クロシュ「!」ピコン

クロシュ「えと……帽子を……プレゼント……するのは……?」

妖精「へ? なんで帽子?」

クロシュ「あの……メルルさんが……お近づきの印に、って……」

 メルルの帽子「」

イリス「あ、そっか! 親愛の気持ちを示すのに、パーティみんなでお揃いのものをプレゼントしようってことだね!」

クロシュ「……? うん……」

ローガン「なるほど、お揃いの装備でこのパーティへの帰属意識を高めようというわけか。なかなか策士だなクロシュくん」

エバンス「そういう手もあるのか……! クロシュちゃん、やるな……!」

妖精(いや、絶対そこまで考えてないと思う……)

イリス「お揃いの装備は明日にでも買いにいこう!」

ローガン「そうだな。今夜はもう暗い……明日、通りを見てみよう」



妖精「でもせっかくだしもう一つくらい案が欲しいね。クロシュ、他に何か良い案ある?」

クロシュ「えと……ごはん……」

イリス「ご飯……そっか! 私たちでミスティに手料理を振る舞ってあげれば……!」

ローガン「なるほど……街に着いてからは外食ばかりだったからな」

エバンス「確かに食ほどストレートに愛を示せるものもない!」

イリス「ご飯ならここのキッチンを借りればすぐにでも取りかかれるよ!」スクッ

エバンス「よし、善は急げだ!」スクッ

 タッタッタッ

 ◇
84 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 00:19:16.43 ID:aYYOgcBr0
宿の看板娘「え、キッチンを使いたい? 今は誰も使っていないので構いませんが……」

イリス「ありがとうございます!」

エバンス「綺麗に使いますんで!」

宿の看板娘「必要な食材があればお申し付けくださいね。お店ほど豊富ではありませんけど、いろいろありますので」


↓1〜2 食材を1〜2つ選択
肉類:トリ肉、ケモノ肉
野菜:セイントレア草、王国キャベツ、海藻類
穀物:ウルティ米、ふっくらパン、港湾パスタ
魚介:カニ、海ザリガニ、異世エビ、アークサーモン、ホタテ
果実:リンゴ、ナシ
卵乳:トリの卵、ミルク、チーズ、バター
特殊:スライムゼラチン
所持:マジカルブラッドワイン、精霊樹の実のジャム、お宿の焼き菓子、焼きたてパン
※表にない調味料などが使われることもあります
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 00:29:43.76 ID:+5UrSjlyo
リンゴ バター
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 00:30:47.36 ID:mEzkS7jDO
ミスティを慕ってる森妖精の子から貰った精霊樹の実のジャム
ミスティが助けたエプロンの少女から貰った焼きたてパン
87 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 01:58:45.19 ID:aYYOgcBr0
 バスケット入り焼きたてパン「」

エバンス「せっかくだから、ミスティちゃんが貰ってきたっていうパンを持ってきたぞ」

イリス「いいですね! じゃあパンをベースにして……ここにある食材なら何が合うかなあ」

エバンス「無難なのはバターだが、ただのバタートーストじゃ少し物足りないな。他に何か……」

イリス「あ、リンゴ! この美味しそうなリンゴをスライスして焼いて、パンで挟めば……!」

エバンス「焼きリンゴバターサンド!」

イリス「よおし、じゃあこれで――」

 トテトテ
 ガチャッ

クロシュ「……」トテトテ

イリス「クロシュちゃん!」

エバンス「どうしたんだ?」

クロシュ「ん……」スッ

 精霊樹の実のジャム「」

エバンス「ん? これは……ジャム? ラベルも何も貼られていないが……」

イリス「あっ……これ……!!」

クロシュ「……ミスティさんを……大切に、想ってる……子の……ジャム、だから……」

イリス「……そうだね。勝手に使ったら……怒られちゃうかもだけど……。でも……今のミスティにこそ、食べさせてあげなきゃ……!」

クロシュ「ん……!」

 *
88 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 01:59:17.03 ID:aYYOgcBr0

ミスティ「ふう……。お風呂、上がったわ……。ん? 何か、とても良い香りが……」スタスタ

イリス「ミスティ! これ……どうぞ……!!」スッ

 焼きリンゴバター精霊サンド「」キラキラ

ミスティ「こ、これは……!」

妖精「私たちの、感謝と親愛の気持ちだよ。まあ……遠慮せず受け取って欲しいな」

エバンス「聞いたぜ……。ミスティちゃんを慕ってる、幼い妖精の子がいるんだってな……」

イリス「このサンドイッチには……あの子の精霊樹のジャムをふんだんに使いました。勝手に使っちゃってごめんね……。でも……今のミスティに、味わって欲しかったから」

ローガン「このパンも、君が助けた少女がその恩としてくれたものだ。ミスティくん……君は、君が思っている以上に……他者を想い、他者から想われているのだ」

ミスティ「……」

クロシュ「ミスティさん……」

ミスティ「……ありがとう……。いただくわ……」スッ

イリス「うん……!」

 *
89 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 01:59:45.12 ID:aYYOgcBr0
 サクッ モグ モグ …

ミスティ(うっすらと焼かれたパンに、焼きリンゴとバターがよく溶け合い――)

ミスティ(ふんだんに塗り込まれた精霊樹の実のジャムが……とても甘酸っぱく、染み渡る――)

ミスティ(……美味しい)

ミスティ(…………)

ミスティ(ジャムの中に……あの子の魔力を感じる……。あの子の……優しい想いが、伝わってくるかのよう……)

ミスティ(あの子は……元気かしら……)

ミスティ(私の来訪を……待ってくれて、いるのかしら……)

ミスティ(…………)ジワッ

ミスティ(…………私……馬鹿だわ……)

ミスティ(私が死ねば……あの子が……どんな顔をするか…………)

ミスティ(ううん……あの子だけじゃない……。イリスも……クロシュも……みんな……)

ミスティ(どうして……気付かなかったのかしら……。私……こんなにも……大切にされているのに……)

ミスティ(本当に……馬鹿よ……)ポロポロ


イリス「あ、な、なんか変だった!? 玉ねぎは切ってないはずなんだけど……!」アタフタ

ミスティ「ち、違うのよ……。これは……ぐすっ……自分に、呆れてるのよ……」ポロポロ

イリス「え、え?」

ミスティ「……ありがとう……。本当に……ありがとう……」ポロポロ

イリス「あ、う、うん……! こちらこそ……!」

クロシュ「ミスティさん……! あの時も……今も……わたしを、守ってくれて……わたしと一緒に、来てくれて……ありがと、ございます……」ペコリ

ミスティ「クロシュ……。ふふ……元はと言えば……あなたが発端だったのよね……。私が、ここにいるのは……」

クロシュ「え、えと……」

ミスティ「あなたのお陰で……このパーティの一員になって……みんなに、出会えた……」

クロシュ「……!」

ミスティ「ありがとう……。これからも、よろしくね……」

クロシュ「うん……! よろしく、お願いします……」ペコリ


ローガン「フッ……一件落着のようだ」

妖精「良かった……。復讐を否定する気はないけれど、仲間が無謀な挑戦をして死ぬなんて嫌だもの……」

ローガン「……うむ」

妖精「……ローガンは……もし旅の途中で仇を見つけたら……」

ローガン「……さあ。その時になってみなければわからないが……君たちを悲しませる結果にならぬよう努力する……と約束しよう」

妖精「……うん。してよね、努力」



エバンス「……復讐、か……。イーシャさん……集落のみんな……」グッ


 ☆ミスティ残留が確定しました
 ☆ミスティの目標が更新されました

 ◆
90 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 02:00:15.91 ID:aYYOgcBr0
というわけで本日はここまでです。ミスティ残留確定おめでとうございます

いくつかの会話中にミスティ残留のヒントをこそこそ出していたのですが、お気付きになられましたでしょうか?
何にせよミスティさんはパーティに残ってくれるようです。おめでとうございます。これにて、パーティの結束はより強くなったと言えるかもしれません。今後のミスティとクロシュ一行の活躍に是非ご期待くださいませ

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 08:24:13.85 ID:w1/nwXQro

助けた妖精さんに助けられた……!良かった!!
パーティの希望の光系クロシュちゃん
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 14:01:56.00 ID:Zxlm2POmo
乙です
ここでミスティ、ローガンが離脱した場合、復讐完遂→パーティ復帰出来れば二人の戦力が大幅アップしますが、運命賽×2でも安定しません。
だから、ミスティを引き止める必要があったんですね。(クロシュパーティ生存100%RTAチャートより)(嘘)
93 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 20:12:00.51 ID:aYYOgcBr0
はい、ミスティ残留の鍵は森妖精の子(のジャム)でした
あの時のミスティの善意が、巡り巡って愛となり――ミスティの心に届いたのです

クロシュちゃんは目立つ子ではありませんが、その小さな優しさや善意は、未来への道行きを照らす薄明かりとなるのかもしれません
やはりこの物語の主人公は、クロシュちゃんなのです

実際、ミスティが離脱した場合の生存率は絶望的なものでした(1%で勝利、4%で相打ち、10%で敗走、85%で死亡)。運命賽を使っても無駄になってしまう確率の方が高いです
ちなみにローガン氏はミスティ死亡ルートでも死ねません。ミスティが最後の力を振り絞ってローガン氏を逃がし、生き残ってしまうからです
そうしてローガン氏は、死にたくともミスティに救われた命を無駄にできず、後悔と自責を抱えたまま亡霊のように生きざるを得なくなってしまいます
94 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 20:13:34.44 ID:aYYOgcBr0

 フラナからの手紙『復讐はすべきよ。でもそれは今ではないわ』

 フラナからの手紙『特級危険生物は私でも五分の相手。今のあなたたちに勝ち目はない』

 フラナからの手紙『刺し違えてでも、などとは考えないこと。復讐は完全完璧に相手を下さなければ意味がない』

 フラナからの手紙『だからミスティにはこう伝えなさい。今は堪え、力を付けよ――と』


 聖女からの手紙『ミスティさんが前に進むためにどうしてもその復讐を遂げなければならないというのであれば、私に彼女を止める言葉はありません』

 聖女からの手紙『ですが、それでも私は、ミスティさんに御身を大切にして欲しいと思ってしまいます』

 聖女からの手紙『そしてこれは、できればなのですが。もし対話の機会があれば、相手の方とお話をしてみて欲しいのです』

 聖女からの手紙『わかり合え、などと言うつもりはありません。しかし私は――対話もなく、相手の真意も知らぬまま殺し合うなんて――悲しすぎると思うのです』

 *

 風の精霊『ティセリアと森妖精の子からの伝言だよ!』ヒュルヒュル

 ティセリアの声真似『復讐、ですか……。部外者である私に軽率なことは言えませんが……無茶はして欲しくない、というのが正直なところです』

 ティセリアの声真似『……もし特級危険生物に挑むのであれば、徹底的に相手を調べ、策を練り、万全の態勢で――」

 森妖精の子の声真似『えっ……ミスティさん……今、たいへんなの……?』

 ティセリアの声真似『……! 聞いていた、のですか……』

 森妖精の子の声真似『……ミスティさん……だいじょうぶ、なの……?』

 ティセリアの声真似『……はい。今は、何ともないはずです』

 森妖精の子の声真似『………また、ここに……きて、くれるよね……?』

 ティセリアの声真似『……………ええ。あなたの想いが、届けば……きっと――』

 森妖精の子の声真似『わたし、の………?』

 ティセリアの声真似『はい。だから……一緒に、ミスティさんの息災を祈りましょう――』

 森妖精の子の声真似『うん……。ミスティさんに……せいれいのかごが、ありますよう――』

 *

―旅の船着場 客室

 ミスティ「……」グッ

 イリス「……ふふ。ミスティ……みんな、あなたのことが大好きなんだよ」

 ミスティ「……ええ。思い知ったわ……」

 イリス「復讐はさ……。フラナ先生の言うように、力を付けてからでも遅くないよ。私たち……まだまだ、発展途上なんだから」

 ミスティ「……そうね。私……強くなるわ……。あいつに……負けないくらい……」

 イリス「そうだよ……! 私も手伝うからさ……! 一緒に、がんばっていこう?」

 ミスティ「ええ……! 不束者だけど、よろしく頼むわ……!」

 ◆
95 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 20:14:01.02 ID:aYYOgcBr0
―翌日 朝
 ウォーターポート 大通り

 ワイワイ ガヤガヤ

イリス「朝から賑わってるなあ……!」

エバンス「これでも普段よりは人がだいぶ少ないんだぜ。欠航の影響でな」

妖精「ええ、これで少ない方なの? うへぇ……」

ローガン「うむ……流石は王国の玄関口というわけだな」

ミスティ「……ところで、今はどこへ向かっているの?」

イリス「ふっふっふ、良くぞ聞いてくれました! クロシュちゃん、ミスティに教えてあげて!」

クロシュ「んえ……? あ、えと……ぼ、帽子……?」

妖精「もー、メルルに釣られすぎだよ。帽子に限らなくて良いの」

クロシュ「あっ……えと、みんなで……お揃いの、装備を……買いたくて……」

ミスティ「おそ、ろい……?」

イリス「そ! 私たちのパーティみんなで、お揃い装備!」

ミスティ「私たちのパーティの、お揃いの……」

ローガン「うむ。パーティ結束の象徴というわけだ」

ミスティ「……ふふっ! なあに、それ……すっごくクサいわ……」

ローガン「むっ……そ、そうだろうか」

ミスティ「ええ……。でも……全然、嫌いじゃないわ」


↓1〜3 お揃い装備候補 このあと多数決を行います
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 20:16:28.62 ID:rWfzya1aO
虹色に光るイヤリング
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 20:17:04.17 ID:+5UrSjlyo
守りのペンダント
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 20:21:29.26 ID:XqicVPwCO
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2024/04/28(日) 20:28:38.70 ID:aYYOgcBr0
それでは多数決を行いたいと思います。案を出していただいた人もご自由に投票してOKです(自分のも可)

↓1〜5 多数決
1.虹晶の耳飾り
2.守りのペンダント
3.槍
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 20:29:45.03 ID:T4zBGrvv0
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 20:32:33.03 ID:mEzkS7jDO
2
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 20:32:56.40 ID:+5UrSjlyo
2
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 20:33:01.48 ID:w1/nwXQro
1
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 20:34:38.85 ID:rWfzya1aO
1
105 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 22:49:33.95 ID:aYYOgcBr0
ターバンの褐色少女「おや? あんたたちは――」

イリス「あっ! 緑の国の大樹の宿で、紙と画材を売ってくれた商人さん!」

ターバンの褐色少女「復権派の皆さんじゃん! その節はお買い上げどうも!」

妖精「うげっ、ここで復権派の名前を聞くことになるなんて……。まあ、どうも……」

ターバンの褐色少女「あのビラ、うちで買った紙と画材で作ったんでしょ? あれだけ綺麗な絵が描いてもらえたんなら商人冥利に尽きるってもんよ」

クロシュ「んへへ……」

妖精「ふふん、凄い絵だったでしょ!」

ミスティ「描いたのはクロシュよ」

ターバンの褐色少女「それで捜し人は見つかったの?」

クロシュ「……」

妖精「いや……まだ捜し中」

ターバンの褐色少女「そか……。まあ元気出しなよ、安くしとくからさ!」

イリス「な、何か買う前提になってる……」

ターバンの褐色少女「そりゃあこんなとこに来てるなら買い物でしょ? 何をお探し?」

クロシュ「えと……。みんなで、お揃いの装備を……」

ターバンの褐色少女「お揃い? ははあ、なるほど! 復権派結束の印ってわけだ!」

ローガン「うむ。迅速な理解、感謝する」

ターバンの褐色少女「じゃあ最低でも6つは必要ってことだね?」

エバンス「おう。頼むぜ」

ターバンの褐色少女「新顔のお兄さんもよろしく! まあいろいろあるから見てみてよ」ガサゴソ

 *
106 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 22:51:25.13 ID:aYYOgcBr0
 守りのペンダント「」

エバンス「……お! この守りのペンダント、全員で付けるのに丁度良いんじゃないか!?」

ターバンの褐色少女「お目が高い! と言いたいとこなんだけど……それ2つしかないんだよね。ごめん!」

エバンス「そうなのか……」

ターバンの褐色少女「非力な後衛でもそこそこの防御力を得られる貴重な装備なんだけどさ、なかなか人気があって品薄なんだよ」



ローガン「ふむ……おっ」

 槍「」

ローガン「この槍は何という槍かね?」

ターバンの褐色少女「それは……槍だよ!」

ローガン「う、うむ……。それで、正式名称は……」

ターバンの褐色少女「槍!!」

ローガン「お、おお……や、槍か……」

ターバンの褐色少女「冗談だよ。その槍はねえ……持つ者の特性に合わせて形を変える不思議な槍さ」

ミスティ「えっ、そんな摩訶不思議な槍が存在するの?」

ターバンの褐色少女「試しに持ってごらん、ほい」スッ

ミスティ「え、ええ……はい」パシッ

 氷の槍「」キンッ

ミスティ「わっ!」

ターバンの褐色少女「おっ、お姉さん氷属性なんだねえ! ふふ、貴重な属性武器もこの槍ならこの通りってわけ!」

ローガン「おお……。つまり私が持つと鋼の槍だな……」

エバンス「俺が持つと土の槍か……」

ターバンの褐色少女「でも残念ながらこれは1本しかないレアアイテム! お値段もかなり張るから今回のお買い物には向かないと思うよ〜」

ミスティ「面白いけれど、今のところ武器には困っていないしね……」
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