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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2
- 59 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/21(日) 22:21:41.32 ID:r3XQJlSW0
- ―朝
旅の船着場 客室
チュンチュン
スライムクロシュ「……」zzz
妖精「すう、すう……」zzz
ミスティ(……私の……大切なもの……?)
ミスティ(…………全部、全部……あいつに、奪われてしまったじゃない……)
ミスティ(もう二度と……戻って、来ないのに……どうやって……大切にしろって、言うのよ……)
ミスティ(…………)
イリス「ふわあ……。あ、ミスティ……早いねえ……」ググッ
ミスティ「! イリス……」
イリス「……ミスティ、眠れてないの? クマ、ひどいよ……」
ミスティ「……気のせいでしょ。ちゃんと……休めているわ……」
イリス「そう……? それなら、いいけど……」
ミスティ「……」
イリス「えと……私、相談とか、何でも乗るからさ。あんまり、一人で苦しまないでね」
ミスティ「……ええ。ありがとう、イリス……」
ミスティ(……本当に、ありがとう。イリス……)
ミスティ(でも……だからこそ、そんな優しいあなたを巻き込むわけにはいかないでしょう……)
ミスティ(これは……私の問題だもの……)
ウォーターポート滞在4日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?
- 60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/21(日) 22:22:26.06 ID:wUV16OwR0
- ミスティ、海賊の下っ端に絡まれてる子供を助ける
- 61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/21(日) 22:24:15.75 ID:QtrjGSamO
- クロシュ、海わたり変身の特訓
- 62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/21(日) 22:28:37.13 ID:85vIrSdDO
- イリス
ミスティの様子が心配で皆に相談(魔族国緑の国含む)
- 63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/21(日) 22:29:02.59 ID:XdSqUOdT0
- ミスティの悩みを聞き出す
- 64 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/21(日) 23:30:53.69 ID:r3XQJlSW0
- ―裏通り
ローガン「マフィアの末端を締め上げるとは言っても、そもそもどこの誰がマフィアの末端なのかわからんな……」
ミスティ「情報がないとどうにもならないわね……。私が囮になって、悪漢でも誘き寄せてみる?」
ローガン「………ミスティくんの実力なら大丈夫だとは思うが……しかしただのチンピラしか釣れないような気もするぞ……」
ミスティ「ただのチンピラでも、マフィアに繋がる情報を持っているかもしれないわ……」
ローガン「……うむ。このままでは埒が明かんのも確かだ、やるだけやってみよう。私は隠れているが、何かあればすぐに助けるぞ」ススッ
ミスティ「ええ、お願い……」
*
ミスティ「さて……釣れるかしら……」スタスタ
ダレニキョカトットンジャコラーッ!! ゴメンナサイゴメンナサイ!
ミスティ「!? 何かしら……!」タタッ
ローガン「み、ミスティくん待て! 私も行く!」タタッ
*
- 65 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/21(日) 23:34:17.67 ID:r3XQJlSW0
- ―裏通り
悪漢「ここが俺たちのシマだってわかってんのかオオン!!?」
エプロンの少女「ごめんなさいごめんなさい! 知らなかったんです!」
悪漢「知らんで済みゃマフィアは要らねーんだよ!! どう落とし前付けてくれんじゃオオン!?」
エプロンの少女「ゆ、許してください……商品を差し上げますから……」
悪漢「オオン!? こんなもんいらんわ!! もっと出せるもんがあるよなァ!?」
エプロンの少女「えっ……こ、これ以外は……お金も、なく……」
悪漢「カマトトぶってんじゃねェーぞオオン!!? 体で払えってんだよボケがコラーッ!」
エプロンの少女「えっ……」
悪漢「ショバ代徴収だオラーッ!」ガシッ
エプロンの少女「あ……」ジワ
悪漢「まずはその安物の服を引き裂いてやるぞオラーッ!」グッ
「そこまでよ!」カッ
悪漢「オオン!?」
氷塊「」ブンッ
ゴッ
悪漢「オゴッ……」
ドサッ
エプロンの少女「え、え……?」
ミスティ「……怪我はないかしら」
エプロンの少女「は、はい……」
ミスティ「……なら良かったわ。早く家に帰りなさい。ここは危ない……商売は大通りの方が良いわ……」
エプロンの少女「あ、は、はい……! あの……ありがとうございました! これ、差し上げます……!」
焼きたてパンの入ったバスケット「」ポン
ミスティ「これは……」
エプロンの少女「あの……私の店で焼いたパンなんです。保存魔法がかかってるので、長持ちなので……都合の良い時に、お食べください……! それじゃあ……本当にありがとうございました……!」ペコッ タタッ
☆焼きたてパン入りバスケットを手に入れました
*
ローガン「ミスティくん……!」タッタッタッ
ミスティ「ローガンさん」
ローガン「そのバスケット……善徳を積んだようだな」
ミスティ「……お礼が欲しくてやったわけじゃないわ。当初の目的通り、情報収集のために悪漢を締め上げたに過ぎない……」
ローガン「フッ……目的が何であれ、そのバスケットが全てだろう」
ミスティ「……それより、早速こいつを締め上げましょう……マフィアがどうとかショバ代がどうとか言ってたから、末端である可能性は高いわ……」
悪漢「」ピクピク
*
↓1コンマ 締め上げた結果
01-30 マフィアぶったただのチンピラだった
31-60 末端(情報量:少)
61-90 中堅(情報量:中)
91-00 幹部(情報量:多)
- 66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/21(日) 23:35:04.79 ID:85vIrSdDO
- はい
- 67 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/21(日) 23:45:18.36 ID:r3XQJlSW0
- マフィアの中堅構成員を締め上げたところで本日はここまでです。次回、ダークヒーローミスティの尋問編、クロシュの特訓編、イリスの相談編です
海を渡る手段へ着々と近づいています。なお海賊が跋扈しているこの状況で、通常価格で船を貸してくれるモノ好きはほとんどいません。安く済ませたい場合はクロシュちゃんに海渡りの仕方を覚えてもらうのが良いでしょう
それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします
- 68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/22(月) 01:35:50.03 ID:+ZNJl/q7o
- おつおつ
あくまで尋問だから、手加減するんだよ……ミスティさん思い切りが良過ぎるので
クロシュつむり人気で草
- 69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/27(土) 12:02:19.33 ID:MV18Xz4AO
- 海竜クロシュになったらいよいよパーティ最強格になるんじゃ
- 70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/27(土) 15:32:28.91 ID:0wTOpo8SO
- 海なら水着回は期待していいのだろうか?
いや、それ以前に皆泳げるのだろうか?
すべてはコンマ神のみぞ知る……はず。
- 71 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/27(土) 20:50:33.47 ID:G41wZLu70
- ミスティ氏は割と喧嘩っ早い判断をしがちなようです。一人旅をしていた時は、暴力による解決が最短最速最適解となる場面が多かったのかもしれません
クロシュつむりは本物のカタツムリと違って寄生虫を持っていないため、素手で触っても安心です
ただの擬態では強さや能力までは再現できないため、海竜に擬態しても強くなれるわけではないようです(海竜の形にはなるので効率的に泳ぐことはできます)
海竜などの水生生物に擬態した状態で水属性のアイテムを同化に用いれば、より高い水適性を得られるでしょう
水着は……機会があれば着ることもあるでしょう。泳げるかどうかは実際コンマ次第です
ちなみにスライム形態のクロシュちゃんはほぼ全裸です
- 72 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/27(土) 20:51:07.22 ID:G41wZLu70
- ―薄暗い路地裏
悪漢「ハッ!?」
ミスティ「気が付いたようね……」
悪漢「め、目がッ……! 手足も……冷てェ……!?」
悪漢の目元と手足を覆う氷「」カチコチ
ミスティ「騒がないで……。私たちは王国特務騎士……いくつか質問に答えてもらうわ……」
悪漢「王国特務騎士だとォ……!? テメッ俺様はウォーターポート最大のマフィア、港湾組の次期若頭補佐代理心得だざッ――」
氷「」キンッ
悪漢「オゴッ……!」
ミスティ「騒ぐなと言ったはずよ……。喉も凍らせて欲しいのかしら……?」
悪漢「……ッ!」
ミスティ「時間が経てば経つほど、あなたの目と手足は壊死に向かうわ……。処置が遅れれば……わかるわね?」
悪漢「……ッッ!!」
ミスティ「そして私たち特務騎士は嘘を見抜くことができる……。もし嘘をつけば……壊死では済まないかもね……」
悪漢「……ッッッ!!!」
ミスティ「……正直に、迅速に答えなさい。いいわね……?」
ローガン「…………」
◆
- 73 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/27(土) 20:52:15.26 ID:G41wZLu70
- 悪漢「」ピクピク
ミスティ「尋問結果をまとめると……こんな感じね」
・マフィアは海賊の目を欺く手段を有している
・とある魔導機械装置を起動することで、海賊の目を欺く結界のようなものが展開される
・その装置の大きさは一般的な飯盒と同じくらい
・その装置を操作する権限を持つのは幹部以上の構成員のみ。当然持ち出し不可
・その装置には、テンペスターに拠を構える巨大企業「セイントレア・メカニクス」のロゴマークが入っている
・海賊の正体は知らない
ローガン「うむ。かなりの収穫だ」
ミスティ「みんなに報告しましょう……」
悪漢「」ピクピク
ミスティ「こいつは……口封じした方が良いかしら」
ローガン「いや。顔を見られたわけではないのだから命まで奪う必要はないだろう」
ミスティ「……それもそうね」
ローガン「うむ……。戦場以外の場所では殺人は極力避けよう。力による解決を是とする獣の論理に従い続ければ、人の世で生きられなくなる」
ミスティ「ふふ……こんなやり方で情報収集している時点で手遅れじゃない?」
ローガン「…………」
ミスティ「……冗談よ。気をつけるわ……」
◆
- 74 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/27(土) 20:53:16.53 ID:G41wZLu70
- ―海岸
カモメ「クゥー、クゥー」
カニ「チョキチョキ」
エバンス「ええっ? 結局クロシュちゃんに船の代わりをやってもらうのか!?」
妖精「うん。船を出してくれるとこもないし」
エバンス「でも、ここからトコナツ島までけっこうあるぞ? かなりの負担になるっていうか……」
クロシュ「大丈夫……。わたし……体力、けっこう、ある……」
エバンス「いやそれにしたって限度がある! 普通の船旅で3日くらいかかるんだぞ!」
クロシュ「たぶん……大丈夫……」
妖精「地図を見た感じだと道中で休めそうな島もいくつかあったから、休憩はちゃんと取れるよ」
イリス「いざという時は私が泥舟を作ります!」
エバンス「そ、そうか……。まあ、クロシュちゃんが大丈夫だってんならいいが……でもクロシュちゃん一人に負担をかけんのはなあ……」
妖精「私たちにできることもあると思う。例えば私なら、海流の力を借りてクロシュの背中を押してあげられるし」
イリス「あ、そっか……! 私も水魔法で何かできることがあるかも……!」
エバンス「なるほどな……じゃあ俺も、クロシュちゃんが疲れた時に休めるよう、泥舟を作る練習でもしてみるか……」
クロシュ「みんな……ありがと、ございます……」ペコ
↓1 特訓の成果
01-60 イカダ(経験1/3)
61-90 小舟 (経験2/3)
91-95 大亀 (経験3/3)
96-00 海竜 (経験☆)
- 75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/27(土) 20:54:32.23 ID:DqkPkmsy0
- あ
- 76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/27(土) 20:54:47.16 ID:rCtM9byqo
- あ
- 77 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/27(土) 23:31:57.28 ID:G41wZLu70
- ザバァン―
イカダクロシュ「」プカプカ
妖精「お〜! イリスとエバンスが乗ってもちゃんと浮いてるよ!」
イリス「ご、ごめんねクロシュちゃん! 土足で乗っちゃって」
エバンス「す、すまん……」
イカダクロシュ「」モニョモニョ
妖精「大丈夫だってさ」
イリス「そっか……ありがと、クロシュちゃん。でもその姿だと、人間の言葉は喋れないんだね」
イカダクロシュ「」モニョニョ…
妖精「大丈夫大丈夫、私はわかるから。できないことを無理にやらないで、できることを一歩づつやろう」
イカダクロシュ「」モニョモニョ
エバンス「妖精はスライム語がわかるのか。凄いな」
妖精「まあ……無駄に長生きしてるからね……」
イリス「スライム語かあ……スライム語で書かれた古代の魔導書とかもあるらしいし、私も勉強してみようかなあ」
☆クロシュの海渡り経験が1/3になりました
☆イカダに擬態できるようになりました
*
カモメ「クゥー、クゥー」
カニ「チョキチョキ」
スライムクロシュ「……」デロロ
妖精「お疲れ様、クロシュ。今日はこのくらいにしとこうか」
クロシュ「ん……」モニョ
エバンス「しかし凄いな。イカダに化けられるスライムなんて聞いたことないぞ。体積や質量まで変化してないか?」
イリス「ですよねえ。クロシュちゃんって実は凄いスライムなんじゃ……?」
クロシュ「?」
妖精「まあクロシュはクロシュだよ」
◆
- 78 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/27(土) 23:32:26.73 ID:G41wZLu70
- ―夜
旅の船着場 客室
ミスティ「――以上が、マフィアの構成員から聞いた話になるわ」
エバンス(どうやってマフィアの構成員から聞き出したのかは聞かないでおこう……)
イリス「それで、えっと……セイントレア・メカニクスって……?」
ローガン「王家直属の軍産企業だな。主に魔導機械を用いた物品の開発・生産を行っている」
イリス「えっ、じゃあもしかしてローガンさんが使ってる回転ノコギリも?」
ローガン「いや、あれはマーベル重工製のもののようだ」
妖精「マーベル重工……あいつそんなものもやってるのか……」
エバンス「しかしセイントレア・メカニクスだと? きな臭くなってきやがったな……」
ローガン「うむ……。テンペスターに行って調べてみるのも良いかもしれん」
妖精「うへぇ……」
ミスティ「ああそうそう。それと……いろいろあって、これをもらったわ」
焼き立てパン入りバスケット「」ポン
エバンス「おお! 美味そうなパンだな! 焼き立てみたいだ!」
ミスティ「保存魔法がかかっているみたい。焼き立てホカホカの状態が維持されているわね」
イリス「え、すごい! 良いなあ、保存魔法……」
ミスティ「都合の良い時に食べて良いとのことだから、みんなも食べて」
クロシュ「ん……!」
妖精「せっかくだし塗るものとか欲しいなあ。何かあったっけ?」
*
- 79 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/27(土) 23:35:06.84 ID:G41wZLu70
- ミスティ「……さて、それじゃあ話もまとまりそうだし私は入浴を済ませてくるわね」スクッ スタスタ
イリス「あ、うん! いってらっしゃ〜い」
パタム…
イリス「……」
妖精「どしたの、イリス」
イリス「……えと、みんなにちょっと相談があるんだけど……」
クロシュ「?」
妖精「え、相談?」
ローガン「うむ……聞こう」
エバンス「おう、何だ?」
イリス「うん……あのね、ミスティのことで……」
妖精「ああ……イリスも流石に気付くか……」
エバンス「え、どういうことだ……?」
妖精「この街に着く少し前のことなんだけど――」
*
エバンス「故郷と家族の仇……。そんなことが……」
イリス「はい……。それで、ここ最近ちょっと思い詰めてるみたいで……」
妖精「私も気付いてはいるんだけど……。家族の仇ともなると、安易に復讐やめろとも言えないし、難しいんだよね……」
イリス「私は家族を殺されたわけじゃないから……下手な言葉をかけると、かえって嫌な気持ちにさせちゃいそうで……」
妖精「ローガンは近い境遇なんでしょ? 何か、良い案はない……?」
ローガン「確かに、私は彼女と似た境遇だが……。だからこそ、彼女の気持ちも痛いほどわかるのだ……。憎き仇が現れて、そいつがのうのうと生きている姿を見せつけられて……黙ってなど、いられるはずもない。私がミスティくんと同じ立場であれば……勝ち目などないとわかっていても、きっと無謀な戦いを挑まずにはいられないだろう」
妖精「……」
ローガン「すまん……私は、本心では復讐を肯定する愚か者なのだ。そんな私が復讐を止める言葉を吐いても、軽薄な戯言にしかならぬ……」
イリス「そんなことありません! ローガンさんもミスティも、家族が本当に大事だったんです!! だから、その想いが愚かだなんて……」
ローガン「イリスくん……」
妖精「イリスって本当に良い子だねえ。でもその考えだと復讐を肯定しちゃいそうじゃない?」
イリス「あっ……!! いや、でも……うう……」
ローガン「大事だからこそ、か……。フッ……家族の言葉なら、あるいはミスティくんに届いたのかもしれんな……」
妖精「その家族が殺されたんだから、届けようがない……」
エバンス「……なあ、ミスティちゃんの元々の旅の目的って何だったんだ?」
妖精「安住の地を探してたんだって。今は私の仕事に付き合ってもらってるけど……これが終わったら、また一人で旅に出るのかなあ」
ローガン「……魔族国……はまだ難しいだろうが、緑の国であれば十分に安住の地と言えそうな気がするな」
イリス「ティセリアさんたちなら喜んで迎えてくれるだろうし、あの森妖精の子もきっとすっごく喜びそう……!」
エバンス「いろいろあったんだな……。しかしこのパーティ以外からもしっかり愛されてるんじゃないか、ミスティちゃん。とんだ困ったちゃんだぞこりゃ……」
イリス「愛されて……。みんなが、ミスティを大事に思ってることを、上手く伝えられたら……」
ローガン「愛を伝える方法か……。指輪を渡す……のは違うな、すまん」
エバンス「はは、一瞬ビビったぜ……。でも、言葉だけでなく何かしら別の形で表現するのは実際良いかもな」
妖精「別の形かあ……。何か、ミスティへの愛を示せるものはあったかな……」
クロシュ「……」
↓1〜2自由安価 クロシュは何か良い案ある?
- 80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/27(土) 23:38:06.75 ID:DqkPkmsy0
- 手料理を作ってあげる
- 81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/27(土) 23:42:13.08 ID:uDpOWH0VO
- 皆お揃いのアクセサリーをプレゼント
- 82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/27(土) 23:42:13.96 ID:ndeT0ahDO
- 精霊樹の鉢植えを一緒に育てようとかかな?
- 83 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 00:18:40.81 ID:aYYOgcBr0
- クロシュ「……」
メルルの帽子「」
クロシュ「!」ピコン
クロシュ「えと……帽子を……プレゼント……するのは……?」
妖精「へ? なんで帽子?」
クロシュ「あの……メルルさんが……お近づきの印に、って……」
メルルの帽子「」
イリス「あ、そっか! 親愛の気持ちを示すのに、パーティみんなでお揃いのものをプレゼントしようってことだね!」
クロシュ「……? うん……」
ローガン「なるほど、お揃いの装備でこのパーティへの帰属意識を高めようというわけか。なかなか策士だなクロシュくん」
エバンス「そういう手もあるのか……! クロシュちゃん、やるな……!」
妖精(いや、絶対そこまで考えてないと思う……)
イリス「お揃いの装備は明日にでも買いにいこう!」
ローガン「そうだな。今夜はもう暗い……明日、通りを見てみよう」
妖精「でもせっかくだしもう一つくらい案が欲しいね。クロシュ、他に何か良い案ある?」
クロシュ「えと……ごはん……」
イリス「ご飯……そっか! 私たちでミスティに手料理を振る舞ってあげれば……!」
ローガン「なるほど……街に着いてからは外食ばかりだったからな」
エバンス「確かに食ほどストレートに愛を示せるものもない!」
イリス「ご飯ならここのキッチンを借りればすぐにでも取りかかれるよ!」スクッ
エバンス「よし、善は急げだ!」スクッ
タッタッタッ
◇
- 84 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 00:19:16.43 ID:aYYOgcBr0
- 宿の看板娘「え、キッチンを使いたい? 今は誰も使っていないので構いませんが……」
イリス「ありがとうございます!」
エバンス「綺麗に使いますんで!」
宿の看板娘「必要な食材があればお申し付けくださいね。お店ほど豊富ではありませんけど、いろいろありますので」
↓1〜2 食材を1〜2つ選択
肉類:トリ肉、ケモノ肉
野菜:セイントレア草、王国キャベツ、海藻類
穀物:ウルティ米、ふっくらパン、港湾パスタ
魚介:カニ、海ザリガニ、異世エビ、アークサーモン、ホタテ
果実:リンゴ、ナシ
卵乳:トリの卵、ミルク、チーズ、バター
特殊:スライムゼラチン
所持:マジカルブラッドワイン、精霊樹の実のジャム、お宿の焼き菓子、焼きたてパン
※表にない調味料などが使われることもあります
- 85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 00:29:43.76 ID:+5UrSjlyo
- リンゴ バター
- 86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 00:30:47.36 ID:mEzkS7jDO
- ミスティを慕ってる森妖精の子から貰った精霊樹の実のジャム
ミスティが助けたエプロンの少女から貰った焼きたてパン
- 87 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 01:58:45.19 ID:aYYOgcBr0
- バスケット入り焼きたてパン「」
エバンス「せっかくだから、ミスティちゃんが貰ってきたっていうパンを持ってきたぞ」
イリス「いいですね! じゃあパンをベースにして……ここにある食材なら何が合うかなあ」
エバンス「無難なのはバターだが、ただのバタートーストじゃ少し物足りないな。他に何か……」
イリス「あ、リンゴ! この美味しそうなリンゴをスライスして焼いて、パンで挟めば……!」
エバンス「焼きリンゴバターサンド!」
イリス「よおし、じゃあこれで――」
トテトテ
ガチャッ
クロシュ「……」トテトテ
イリス「クロシュちゃん!」
エバンス「どうしたんだ?」
クロシュ「ん……」スッ
精霊樹の実のジャム「」
エバンス「ん? これは……ジャム? ラベルも何も貼られていないが……」
イリス「あっ……これ……!!」
クロシュ「……ミスティさんを……大切に、想ってる……子の……ジャム、だから……」
イリス「……そうだね。勝手に使ったら……怒られちゃうかもだけど……。でも……今のミスティにこそ、食べさせてあげなきゃ……!」
クロシュ「ん……!」
*
- 88 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 01:59:17.03 ID:aYYOgcBr0
-
ミスティ「ふう……。お風呂、上がったわ……。ん? 何か、とても良い香りが……」スタスタ
イリス「ミスティ! これ……どうぞ……!!」スッ
焼きリンゴバター精霊サンド「」キラキラ
ミスティ「こ、これは……!」
妖精「私たちの、感謝と親愛の気持ちだよ。まあ……遠慮せず受け取って欲しいな」
エバンス「聞いたぜ……。ミスティちゃんを慕ってる、幼い妖精の子がいるんだってな……」
イリス「このサンドイッチには……あの子の精霊樹のジャムをふんだんに使いました。勝手に使っちゃってごめんね……。でも……今のミスティに、味わって欲しかったから」
ローガン「このパンも、君が助けた少女がその恩としてくれたものだ。ミスティくん……君は、君が思っている以上に……他者を想い、他者から想われているのだ」
ミスティ「……」
クロシュ「ミスティさん……」
ミスティ「……ありがとう……。いただくわ……」スッ
イリス「うん……!」
*
- 89 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 01:59:45.12 ID:aYYOgcBr0
- サクッ モグ モグ …
ミスティ(うっすらと焼かれたパンに、焼きリンゴとバターがよく溶け合い――)
ミスティ(ふんだんに塗り込まれた精霊樹の実のジャムが……とても甘酸っぱく、染み渡る――)
ミスティ(……美味しい)
ミスティ(…………)
ミスティ(ジャムの中に……あの子の魔力を感じる……。あの子の……優しい想いが、伝わってくるかのよう……)
ミスティ(あの子は……元気かしら……)
ミスティ(私の来訪を……待ってくれて、いるのかしら……)
ミスティ(…………)ジワッ
ミスティ(…………私……馬鹿だわ……)
ミスティ(私が死ねば……あの子が……どんな顔をするか…………)
ミスティ(ううん……あの子だけじゃない……。イリスも……クロシュも……みんな……)
ミスティ(どうして……気付かなかったのかしら……。私……こんなにも……大切にされているのに……)
ミスティ(本当に……馬鹿よ……)ポロポロ
イリス「あ、な、なんか変だった!? 玉ねぎは切ってないはずなんだけど……!」アタフタ
ミスティ「ち、違うのよ……。これは……ぐすっ……自分に、呆れてるのよ……」ポロポロ
イリス「え、え?」
ミスティ「……ありがとう……。本当に……ありがとう……」ポロポロ
イリス「あ、う、うん……! こちらこそ……!」
クロシュ「ミスティさん……! あの時も……今も……わたしを、守ってくれて……わたしと一緒に、来てくれて……ありがと、ございます……」ペコリ
ミスティ「クロシュ……。ふふ……元はと言えば……あなたが発端だったのよね……。私が、ここにいるのは……」
クロシュ「え、えと……」
ミスティ「あなたのお陰で……このパーティの一員になって……みんなに、出会えた……」
クロシュ「……!」
ミスティ「ありがとう……。これからも、よろしくね……」
クロシュ「うん……! よろしく、お願いします……」ペコリ
ローガン「フッ……一件落着のようだ」
妖精「良かった……。復讐を否定する気はないけれど、仲間が無謀な挑戦をして死ぬなんて嫌だもの……」
ローガン「……うむ」
妖精「……ローガンは……もし旅の途中で仇を見つけたら……」
ローガン「……さあ。その時になってみなければわからないが……君たちを悲しませる結果にならぬよう努力する……と約束しよう」
妖精「……うん。してよね、努力」
エバンス「……復讐、か……。イーシャさん……集落のみんな……」グッ
☆ミスティ残留が確定しました
☆ミスティの目標が更新されました
◆
- 90 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 02:00:15.91 ID:aYYOgcBr0
- というわけで本日はここまでです。ミスティ残留確定おめでとうございます
いくつかの会話中にミスティ残留のヒントをこそこそ出していたのですが、お気付きになられましたでしょうか?
何にせよミスティさんはパーティに残ってくれるようです。おめでとうございます。これにて、パーティの結束はより強くなったと言えるかもしれません。今後のミスティとクロシュ一行の活躍に是非ご期待くださいませ
それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします
- 91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 08:24:13.85 ID:w1/nwXQro
- 乙
助けた妖精さんに助けられた……!良かった!!
パーティの希望の光系クロシュちゃん
- 92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 14:01:56.00 ID:Zxlm2POmo
- 乙です
ここでミスティ、ローガンが離脱した場合、復讐完遂→パーティ復帰出来れば二人の戦力が大幅アップしますが、運命賽×2でも安定しません。
だから、ミスティを引き止める必要があったんですね。(クロシュパーティ生存100%RTAチャートより)(嘘)
- 93 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 20:12:00.51 ID:aYYOgcBr0
- はい、ミスティ残留の鍵は森妖精の子(のジャム)でした
あの時のミスティの善意が、巡り巡って愛となり――ミスティの心に届いたのです
クロシュちゃんは目立つ子ではありませんが、その小さな優しさや善意は、未来への道行きを照らす薄明かりとなるのかもしれません
やはりこの物語の主人公は、クロシュちゃんなのです
実際、ミスティが離脱した場合の生存率は絶望的なものでした(1%で勝利、4%で相打ち、10%で敗走、85%で死亡)。運命賽を使っても無駄になってしまう確率の方が高いです
ちなみにローガン氏はミスティ死亡ルートでも死ねません。ミスティが最後の力を振り絞ってローガン氏を逃がし、生き残ってしまうからです
そうしてローガン氏は、死にたくともミスティに救われた命を無駄にできず、後悔と自責を抱えたまま亡霊のように生きざるを得なくなってしまいます
- 94 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 20:13:34.44 ID:aYYOgcBr0
-
フラナからの手紙『復讐はすべきよ。でもそれは今ではないわ』
フラナからの手紙『特級危険生物は私でも五分の相手。今のあなたたちに勝ち目はない』
フラナからの手紙『刺し違えてでも、などとは考えないこと。復讐は完全完璧に相手を下さなければ意味がない』
フラナからの手紙『だからミスティにはこう伝えなさい。今は堪え、力を付けよ――と』
聖女からの手紙『ミスティさんが前に進むためにどうしてもその復讐を遂げなければならないというのであれば、私に彼女を止める言葉はありません』
聖女からの手紙『ですが、それでも私は、ミスティさんに御身を大切にして欲しいと思ってしまいます』
聖女からの手紙『そしてこれは、できればなのですが。もし対話の機会があれば、相手の方とお話をしてみて欲しいのです』
聖女からの手紙『わかり合え、などと言うつもりはありません。しかし私は――対話もなく、相手の真意も知らぬまま殺し合うなんて――悲しすぎると思うのです』
*
風の精霊『ティセリアと森妖精の子からの伝言だよ!』ヒュルヒュル
ティセリアの声真似『復讐、ですか……。部外者である私に軽率なことは言えませんが……無茶はして欲しくない、というのが正直なところです』
ティセリアの声真似『……もし特級危険生物に挑むのであれば、徹底的に相手を調べ、策を練り、万全の態勢で――」
森妖精の子の声真似『えっ……ミスティさん……今、たいへんなの……?』
ティセリアの声真似『……! 聞いていた、のですか……』
森妖精の子の声真似『……ミスティさん……だいじょうぶ、なの……?』
ティセリアの声真似『……はい。今は、何ともないはずです』
森妖精の子の声真似『………また、ここに……きて、くれるよね……?』
ティセリアの声真似『……………ええ。あなたの想いが、届けば……きっと――』
森妖精の子の声真似『わたし、の………?』
ティセリアの声真似『はい。だから……一緒に、ミスティさんの息災を祈りましょう――』
森妖精の子の声真似『うん……。ミスティさんに……せいれいのかごが、ありますよう――』
*
―旅の船着場 客室
ミスティ「……」グッ
イリス「……ふふ。ミスティ……みんな、あなたのことが大好きなんだよ」
ミスティ「……ええ。思い知ったわ……」
イリス「復讐はさ……。フラナ先生の言うように、力を付けてからでも遅くないよ。私たち……まだまだ、発展途上なんだから」
ミスティ「……そうね。私……強くなるわ……。あいつに……負けないくらい……」
イリス「そうだよ……! 私も手伝うからさ……! 一緒に、がんばっていこう?」
ミスティ「ええ……! 不束者だけど、よろしく頼むわ……!」
◆
- 95 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 20:14:01.02 ID:aYYOgcBr0
- ―翌日 朝
ウォーターポート 大通り
ワイワイ ガヤガヤ
イリス「朝から賑わってるなあ……!」
エバンス「これでも普段よりは人がだいぶ少ないんだぜ。欠航の影響でな」
妖精「ええ、これで少ない方なの? うへぇ……」
ローガン「うむ……流石は王国の玄関口というわけだな」
ミスティ「……ところで、今はどこへ向かっているの?」
イリス「ふっふっふ、良くぞ聞いてくれました! クロシュちゃん、ミスティに教えてあげて!」
クロシュ「んえ……? あ、えと……ぼ、帽子……?」
妖精「もー、メルルに釣られすぎだよ。帽子に限らなくて良いの」
クロシュ「あっ……えと、みんなで……お揃いの、装備を……買いたくて……」
ミスティ「おそ、ろい……?」
イリス「そ! 私たちのパーティみんなで、お揃い装備!」
ミスティ「私たちのパーティの、お揃いの……」
ローガン「うむ。パーティ結束の象徴というわけだ」
ミスティ「……ふふっ! なあに、それ……すっごくクサいわ……」
ローガン「むっ……そ、そうだろうか」
ミスティ「ええ……。でも……全然、嫌いじゃないわ」
↓1〜3 お揃い装備候補 このあと多数決を行います
- 96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 20:16:28.62 ID:rWfzya1aO
- 虹色に光るイヤリング
- 97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 20:17:04.17 ID:+5UrSjlyo
- 守りのペンダント
- 98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 20:21:29.26 ID:XqicVPwCO
- 槍
- 99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2024/04/28(日) 20:28:38.70 ID:aYYOgcBr0
- それでは多数決を行いたいと思います。案を出していただいた人もご自由に投票してOKです(自分のも可)
↓1〜5 多数決
1.虹晶の耳飾り
2.守りのペンダント
3.槍
- 100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 20:29:45.03 ID:T4zBGrvv0
- 1
- 101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 20:32:33.03 ID:mEzkS7jDO
- 2
- 102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 20:32:56.40 ID:+5UrSjlyo
- 2
- 103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 20:33:01.48 ID:w1/nwXQro
- 1
- 104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 20:34:38.85 ID:rWfzya1aO
- 1
- 105 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 22:49:33.95 ID:aYYOgcBr0
- ターバンの褐色少女「おや? あんたたちは――」
イリス「あっ! 緑の国の大樹の宿で、紙と画材を売ってくれた商人さん!」
ターバンの褐色少女「復権派の皆さんじゃん! その節はお買い上げどうも!」
妖精「うげっ、ここで復権派の名前を聞くことになるなんて……。まあ、どうも……」
ターバンの褐色少女「あのビラ、うちで買った紙と画材で作ったんでしょ? あれだけ綺麗な絵が描いてもらえたんなら商人冥利に尽きるってもんよ」
クロシュ「んへへ……」
妖精「ふふん、凄い絵だったでしょ!」
ミスティ「描いたのはクロシュよ」
ターバンの褐色少女「それで捜し人は見つかったの?」
クロシュ「……」
妖精「いや……まだ捜し中」
ターバンの褐色少女「そか……。まあ元気出しなよ、安くしとくからさ!」
イリス「な、何か買う前提になってる……」
ターバンの褐色少女「そりゃあこんなとこに来てるなら買い物でしょ? 何をお探し?」
クロシュ「えと……。みんなで、お揃いの装備を……」
ターバンの褐色少女「お揃い? ははあ、なるほど! 復権派結束の印ってわけだ!」
ローガン「うむ。迅速な理解、感謝する」
ターバンの褐色少女「じゃあ最低でも6つは必要ってことだね?」
エバンス「おう。頼むぜ」
ターバンの褐色少女「新顔のお兄さんもよろしく! まあいろいろあるから見てみてよ」ガサゴソ
*
- 106 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 22:51:25.13 ID:aYYOgcBr0
- 守りのペンダント「」
エバンス「……お! この守りのペンダント、全員で付けるのに丁度良いんじゃないか!?」
ターバンの褐色少女「お目が高い! と言いたいとこなんだけど……それ2つしかないんだよね。ごめん!」
エバンス「そうなのか……」
ターバンの褐色少女「非力な後衛でもそこそこの防御力を得られる貴重な装備なんだけどさ、なかなか人気があって品薄なんだよ」
ローガン「ふむ……おっ」
槍「」
ローガン「この槍は何という槍かね?」
ターバンの褐色少女「それは……槍だよ!」
ローガン「う、うむ……。それで、正式名称は……」
ターバンの褐色少女「槍!!」
ローガン「お、おお……や、槍か……」
ターバンの褐色少女「冗談だよ。その槍はねえ……持つ者の特性に合わせて形を変える不思議な槍さ」
ミスティ「えっ、そんな摩訶不思議な槍が存在するの?」
ターバンの褐色少女「試しに持ってごらん、ほい」スッ
ミスティ「え、ええ……はい」パシッ
氷の槍「」キンッ
ミスティ「わっ!」
ターバンの褐色少女「おっ、お姉さん氷属性なんだねえ! ふふ、貴重な属性武器もこの槍ならこの通りってわけ!」
ローガン「おお……。つまり私が持つと鋼の槍だな……」
エバンス「俺が持つと土の槍か……」
ターバンの褐色少女「でも残念ながらこれは1本しかないレアアイテム! お値段もかなり張るから今回のお買い物には向かないと思うよ〜」
ミスティ「面白いけれど、今のところ武器には困っていないしね……」
- 107 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 22:54:23.01 ID:aYYOgcBr0
- イリス「……ん? この耳飾りは……」
くすんだ耳飾り『』
ターバンの褐色少女「あー……それ、ほんとは虹晶石なんだよ」
イリス「……えっ!? これが、あの虹晶石!? だって虹晶石は、触媒としても宝飾品としても最高級の、七色に輝く宝石のはずで……」
ターバンの褐色少女「前はその通りだったんだけどねえ。あの世界樹から光が飛んだ日……あれからすっかりくすんじゃってさあ……」
イリス「!! それって――」
妖精「……だろうね。虹晶石は、星の奥深く圧縮されて形作られる物質。多くの魔力に適合する性質を持ち……特に星の魔力の影響を受けやすい」
イリス「やっぱり……! あの本にも、書かれてた……!」
ターバンの褐色少女「やっぱり復権派の皆さんは何かご存知なの?」
妖精「うん、まあ……。この旅の目的も、あの世界樹の光を追って、元に戻すことなんだ」
ターバンの褐色少女「ははあ、なるほどね……。それ、戻ったらこの虹晶も元に戻る?」
妖精「うん、多分……。いや、断定はできないけど」
ターバンの褐色少女「断定はできないんだ……」
イリス「あの、ちょっとお借りしても良いですか? これ……」
くすんだ耳飾り「」
ターバンの褐色少女「ん、いいよ。はい、落とさないでね」
イリス「はい! 星の魔力なら――」グッ
コォォォォ―
カッ
七色に輝く耳飾り「」キラキラ
クロシュ「わあ……!」
ミスティ「これが……虹晶石……!」
エバンス「すげェ……!」
ローガン「美しいな……」
ターバンの褐色少女「今何やったの!?」
イリス「この虹晶石に、星の魔力を込めました! でも、長続きはしないと思います。根本の原因を解決しないと……」
ターバンの褐色少女「あ、そうなんだ……。はあ、結局不良在庫かあ……。うーん……よし、決めた! これ、あんたたちにあげる!!」
イリス「え、ええっ!? こんな貴重品を!?」
ターバンの褐色少女「うん! でも条件がある!」
ミスティ「条件……?」
ターバンの褐色少女「世界樹から飛んでった光とか、それによって起きてる異変とか、絶対解決してよ! いろんなとこで大変なことになってるし、あたしの故郷のテラヌス・ウルスも今めっちゃやばいみたいだから!」
妖精「……!」
ターバンの褐色少女「数も丁度6つ。世界を救う依頼料としちゃ安いくらいかもしんないけどさ」
妖精「ううん……凄く助かるよ。ありがとう……!」
ターバンの褐色少女「期待してっからね……!」
☆くすんだ耳飾りを6つ手に入れました
☆装備者の魔力回復と魔力出力が僅かに向上します
◆
- 108 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 22:56:26.47 ID:aYYOgcBr0
- ―港湾都市ウォーターポート 滞在5日目
◆パーティメンバー
◇クロシュ 武:鉄の小盾 防:ゴスロリエプロン
◇妖精 武:なし 防:エルフのレオタード
◇イリス 武:精霊樹の杖 防:魔術師のローブ
◇ミスティ 武:魔銀の短剣 防:精霊のローブ
◇ローガン 武:鋼の剣 防:鎖帷子
◇エバンス 武:鉄の剣 防:革の鎧
・共通 飾:くすんだ耳飾り
◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*2
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・鋼の回転ノコギリ
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・トコナツ火山島行きの船を探す
・海渡りの姿を獲得する[1/3]
◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
……………………………………………………………………………………
□港湾都市ウォーターポート 主要施設
大通り:旅の船着場、武具店、雑貨店、魔法店、鮮魚店、食品店、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
裏通り:占い屋、怪しい露天商、暗黒商店、奴隷商店、他
沿岸部:港、造船所、魚河岸、灯台、他
隣接地:機械工業都市テンペスター
……………………………………………………………………………………
イリス「虹晶の耳飾りをもらっちゃうなんて……!」
ミスティ「……ふふ……私たちのパーティにはぴったりじゃない?」
ローガン「うむ……! 星の光を追うこのパーティの象徴として、これほど適したものもないだろう」
エバンス「光を取り戻す度、この耳飾りも色を取り戻していくってことか……! へへ、面白い……!」
妖精「本当に私たちにはぴったりかも……。気が引き締まるなあ……!」
クロシュ「ん……!」
くすんだ耳飾り「」キラッ
ウォーターポート滞在5日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?
- 109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 22:57:04.72 ID:T4zBGrvv0
- 一息つくために海で遊ぶ
- 110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 23:00:08.93 ID:jJ4DQoxq0
- みんなで食事する。ついでにエバンスの事について色々聞いてみる(使える魔法とかどこに住んでいるのかなど)
- 111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 23:01:33.23 ID:rWfzya1aO
- メカニクスについての情報集め
- 112 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/28(日) 23:15:15.82 ID:aYYOgcBr0
- 妖精「セイントメカなんとかについての情報収集は午後にして、午前中は少しゆっくりしようよ。最近みんな動きっぱなしだったしさ」
イリス「そだね。せっかく海に来てるんだし、ちょっと海で遊びたいかも!」
ローガン「海か……。そういえば、皆水泳はどれくらいできるのだ?」
ミスティ「水泳……」
エバンス「あー……確かに、海に出るなら最悪の事態に備える必要はあるもんな」
ローガン「うむ。各々の水泳能力は把握しておきたい。せっかく海で遊ぶわけだしな!」
クロシュ「……」
コンマ数値が大きいほど水泳が得意(0が最大)
↓1 1桁目クロシュ(人型) 2桁目妖精
↓2 1桁目イリス 2桁目ミスティ
↓3 1桁目ローガン 2桁目エバンス
- 113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 23:22:07.11 ID:mEzkS7jDO
- はい
- 114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 23:27:22.18 ID:DSe7guRp0
- 高く
- 115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 23:31:53.19 ID:w1/nwXQro
- あ
- 116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/28(日) 23:32:51.88 ID:w1/nwXQro
- クソ極端なの笑っちゃうんですよね
- 117 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/29(月) 00:16:15.93 ID:AHGoEKSW0
- ―海岸
ザァーン ザザァーン…
カモメ「クゥー、クゥー」
カニ「チョキチョキ」
イリス「とりゃっ!」ザブン!
ローガン「むんっ!」ザバァン!
スイスイ
イリス「むむっ……! ローガンさんやりますね……!」
ローガン「イリスくんもその若さで、かなり、やる……!」
イリス「えへへ、水泳は昔からけっこう得意だったんです! 水魔法も併用すれば――それっ!」
バシュウウウン!!!
ローガン「うおっ……! フッ、技術では私に分があるが、魔法を使えばイリスくんの方が上手か……。しかし他の皆は……?」
クロシュ「」ブクブク
ミスティ「く、クロシュ……!!」タッ ザブンッ
エバンス「い、今助ける!!」タッ ザバァン!
ミスティ「」ブクブクブク
エバンス「」ブクブクブク
妖精「わあああ! う、海よ! 三人を助けて!!」ポウ
ザバァァアン――…
*
- 118 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/29(月) 00:17:00.11 ID:AHGoEKSW0
- スライムクロシュ「」グニャァ…
ミスティ「ごめんなさい……」グッタリ
エバンス「面目ねえ……」グッタリ
ローガン「すまん、私も迂闊だった……」
イリス「ご、ごめんね……私も浮かれてた……」
妖精「ま、まさか……イリスとローガン以外、だめだめだったなんて……」
イリス「よ、妖精さんは……?」
妖精「私も全然だめ……。飛べるから、泳ぐ必要なんてなかったし……」
ローガン「ううむ……。これは……大丈夫だろうか……」
妖精「クロシュ……水が苦手なら、無理しなくて良いよ……? 海上移動は、別の方法も探せるからさ……」
スライムクロシュ「……」
デロデロ…ポン!
イカダクロシュ「」モニョニョ!
妖精「だ、大丈夫……? でも、クロシュが溺れたらみんなも危ないしさあ……」
イカダクロシュ「」モニョモニョ!
イリス「な、なんか張り切ってるのは伝わるけど……。なんて言ってるの?」
妖精「フメイちゃんの姿だから泳げなかっただけで、別の姿なら全然平気! だって……」
ローガン「そ、そうなのか……。まあ、フメイくんは炎属性だしな……」
☆イリスの水泳能力が判明しました(8:とても上手)
☆ローガンの水泳能力が判明しました(9:達人)
☆クロシュ、妖精、ミスティ、エバンスの水泳能力が判明しました(1:カナヅチ)
◆
- 119 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/29(月) 00:19:08.94 ID:AHGoEKSW0
- というわけで本日はここまでです。次回はお昼ご飯を食べながらエバンスのお話編、セイントレアメカニクスの情報編です
いろいろあって高級品の虹晶の耳飾りをもらったり、皆さんの水泳能力が判明したりといった午前中でした
虹晶の耳飾りは光を取り戻す度に本来の輝きを取り戻していくかもしれません。今は効果の微妙な装飾品ですが、最終的にはそのレアリティに見合った素晴らしい効果を発揮してくれることでしょう
そして、イリスさんとローガン氏以外はカナヅチ級という衝撃の事実が発覚してしまいました
一応、クロシュさんがモニョモニョ言っていたように、クロシュさんはちゃんと水に適した姿を取っていれば水泳に支障はありません。フメイちゃんの姿が絶望的に水に適していなかったのでしょう。ちゃんと海渡りの練習をすれば海を渡れるだけの実力を身に付けることはできますので、ご安心くださいませ
それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします
- 120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/29(月) 11:22:09.82 ID:08mggUUNo
- 乙です
フメイちゃんもカナヅチっぽくなって流れ弾被弾草
- 121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/29(月) 12:23:51.81 ID:s9AQb98cO
- 乙
女性陣はどんな水着だったのか
- 122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/29(月) 16:38:15.83 ID:qgTNJpnzO
- フメイちゃんの弱点わかったな!
- 123 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/29(月) 18:42:56.64 ID:AHGoEKSW0
- クロシュ氏曰く、フメイちゃんは水が苦手なようです。それが炎属性の影響によるものなのかどうかはわかりません
なおフメイちゃんは炎魔法で飛行することができるため、基本的には水に入る必要がないようです
この大陸では水中に入る際に専用の水着を着用する文化は浸透していないため、今回は全員下着で水に入ったようです。蜘蛛絹の下着は丈夫で水にも強いのでしょう
なおトコナツ島では水着を着る文化があり、若い女性やファッション業界人を中心に密かな注目を集めています
- 124 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/29(月) 18:44:20.39 ID:AHGoEKSW0
- ―昼
冒険者ギルド 酒場
ワイワイ ガヤガヤ
ミスティ「うぅ……水泳なんてしたことなかったのよ……。水上は凍らせれば歩けるし……」
妖精「私は飛べるし……」
イリス「ミスティと妖精さんは水に入る必要がなかったんだね……」
エバンス「……俺は特に理由なく泳げん。昔から苦手なんだ、水が……」
クロシュ「……わたし……イカダに、なれる……!」
ローガン「……私とイリスくんは水中で救助活動が行えるくらいには泳げるし、水に入る必要のない妖精くんも自然魔法で救助できる……。ミスティくんは氷を張れるし、クロシュくんは水に適した姿になれば問題ない……まあ、意外となんとかなるか?」
エバンス「俺以外のカナヅチ民は地力でなんとかできる、だと……」
イリス「ど、どんまいですエバンスさん! 泥舟を作りましょう……!」
エバンス「やっぱ作るしかねえか、泥舟……!!」
- 125 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/29(月) 18:44:54.93 ID:AHGoEKSW0
-
ローガン「ところでエバンスくんは急遽このパーティに入ったわけだが、傭兵団のことは大丈夫なのか?」
エバンス「ああ。個人依頼を請けたから団にはしばらく戻れんと伝えてある」
ローガン「ほう……柔軟で融通の効く良い職場なのだな」
エバンス「おう。というかまあ、傭兵団とは言ってもバラけていることの方が多いからな。全員集まるのはよっぽどの大仕事くらいで、普段は小規模な依頼を数人単位で回してることの方が多いんだ」
イリス「へえ〜。あれ、普段はどこにお住まいなんです? ここ?」
エバンス「あー……一応、拠点はチカーバの街にあるんだが……戻ることはあまりないな。今も全員出払ってるはずだから、多分もぬけの殻だ」
ミスティ「ああ、だからここで飲んだくれていたのね……。大怪我をしているあなたを誰もいない拠点に置いていくわけにはいかなかったから……」
エバンス「恥ずかしながらそういうことだ」
給仕の女性「いらっしゃいませ! ご注文がお決まりになりましたら――エバンス! どこ行ってたの!?」
エバンス「おわっ! あんたか……。どこって、仕事だよ。いろいろあってこのパーティに雇われることになったんだ」
給仕の女性「えっ……!? そ、そうなんだ……。良かったじゃない、仕事が見つかって」
エバンス「無職だったみたいな言い方はやめてくれよ。怪我で休職中だっただけだ」
給仕の女性「ご、ごめん……。でも……ほんとに良かったよ。もう……飲んだくれないでよ」
エバンス「……おう」
ローガン(……これは……)
妖精(人間の乙女心ってやつは複雑なんだよねえ……)
↓1〜2 食材を1〜2つ選択
肉類:トリ肉、ケモノ肉、オーク肉、触手肉
野菜:セイントレア草、王国キャベツ、ユーシリアカボチャ、海藻類
穀物:ウルティ米、ヤマイモ、ふっくらパン、港湾パスタ、甘もろこし、ナッツ
魚介:カニ、海ザリガニ、異世エビ、アークサーモン、イクラ、ホタテ、ウニ
果実:リンゴ、モモ
卵乳:トリの卵、ミルク、チーズ
特殊:スライムゼラチン
※表にない調味料などが使われることもあります
- 126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/29(月) 18:48:38.70 ID:UHVuSmC0O
- トリ肉、セイントレア草
- 127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/29(月) 18:48:41.36 ID:08mggUUNo
- 触手肉
- 128 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/29(月) 21:37:48.16 ID:AHGoEKSW0
- お品書き『セイントレア草』
ミスティ「ねえ……このセイントレア草というのは、どういう野菜なの?」
エバンス「ああ、セイントレア草はここセイントレア王国に自生しているハーブの一種だ。薬効もあって香りも良いし、何より手軽に採れるからウチの傭兵団でも重宝してた」
妖精「いろんなとこに自生してるから昔から旅人の心強い味方だったんだよね。以前はチユ草って呼ばれてたんだよ、こんな忌々しい名前じゃなくて」
ミスティ「え、王国が勝手に名前を変えたってこと……?」
妖精「そう。まあ人間が付けた名前なんて植物たち自身にとってはどうでも良いことだから、別に良いんだけどさ」
エバンス「そうだったのか……。いや、しかしいろいろ強権的で問題があるよな、王国のやり方は」
妖精「まあ今更気にしても仕方ないけどね。せっかくだし頼んでみよっか、セイントレア草」
*
王国風トリ肉と触手肉の香草焼き「」ポン!
クロシュ「〜♪」モグモグ
ミスティ「美味しいわね……」モグモグ
ローガン「うむ、美味いな」モグモグ
エバンス「やっぱりセイントレア草は万能だな!」モグモグ
イリス「今度見かけたら採っていきましょう!」モグモグ
妖精「うへぇ……触手肉って本当に美味しいの……?」
ミスティ「あら……妖精は食べたことなかったの……?」
妖精「ない……触手は妖精の天敵だし……。いや、これが常闇の触手とは全くの別種なのはわかってるけど……」
イリス「あー……確か常闇の樹海に生息するやつだよね。妖精や精霊を好んで捕食するっていう……」
妖精「うん。触手って言えば私にはその印象が強いからさあ……」
イリス「食べるだけ食べてみるのも良いんじゃないかな? 口に合わなかったら残せば良いし」
クロシュ「……残り物、わたし、食べる……!」
妖精「まあ……食べてみるよ、うん……」スッ
モグモグ…
◆
- 129 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/29(月) 21:38:22.83 ID:AHGoEKSW0
- ―機械工業都市テンペスター
ガゴン ドドドド ガゴン―
自動貨物馬車『』ドドド
作業ゴーレム『エッサホイサ』ガションガション
警備ゴーレム『ピピ……ヨオコソ、テムペスターへ。歓迎イタシマス』ウィーン ペコリ
イリス「わあ……! ここが、機械都市テンペスター……!」
ミスティ「勝手に馬車が走ってる……どうなっているの……!?」
エバンス「最先端の魔導機械技術ってやつだ。ああいう自立稼働する魔導機械が登場したのもここ近年のことらしい」
ローガン「テンペスターの技術競争は凄まじいと聞くが、まさかこれほどとは……! 全く想像も付かぬ世界だ……!」
妖精「うへぇ……。ここにいると目が回りそうだよぉ……」グルグル
クロシュ「妖精さん……。わたしの中で、休んでる……?」
妖精「そうする……」モゾモゾ
↓1コンマ セイントレア・メカニクスについての情報収集
01-40 最近の動向
41-80 関係者の証言
81-00 ??
- 130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/29(月) 21:39:20.40 ID:2a+MeGuq0
- あ
- 131 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/29(月) 22:32:36.37 ID:AHGoEKSW0
- 案内メイド人形「テンペスターへようこそ、旅人の皆様。歓迎致します」ペコリ
クロシュ「……?」
イリス「メイドさんだ!」
エバンス「ところがどっこい、これは本物のメイドじゃなくてメイド型の魔導ゴーレムなんだぜ」
イリス「えっ、ええっ!? この人が……ゴーレム!?」
案内メイド人形「はい。私はテンペスターのご案内をする為に配置された魔導人形でございます。ご用命がありましたら何なりとお申し付けくださいませ」
イリス「……! た、確かに……魔力の波長が、生き物とは全然違う……本当に、ゴーレムなんだ……」
ミスティ「こ、こんな技術まで……。恐ろしいわね……」
ローガン「う、うむ……。だが案内してくれるというのなら、せっかくだし彼女にいろいろ聞いてみよう」
*
案内メイド人形「――以上が、ここ最近のセイントレア・メカニクス社様のご動向になります。お役に立てましたでしょうか?」
イリス「あ、うん! 丁寧に教えてくれてありがとう!」
案内メイド人形「人間の皆様にお仕えすることが、私たち魔導人形にとっての至上の喜びです。また何かありましたら遠慮なくお申し付けくださいませ」ペコリ
ミスティ「彼女に教えてもらった内容をまとめると、大体こんな感じね」
・セイント社は数年前に驚異的な技術革新を起こし、世界一の魔導機械開発企業に成長した
・近年登場した自立稼働する馬車やゴーレム、魔導人形は技術革新によって生み出されたもの
・近年の王国内では人権意識が高まっており、奴隷の代わりに魔導人形を活用しようという運動が広がっている
・その運動を受けてセイント社も魔導人形の増産に力を入れ、新時代の奴隷として打ち出し始めている
・しかし大量生産・大量消費による廃棄問題や、人間に加害行動を取る魔導人形『バグ』の出現等、新たな問題も生じている
・セイント社は現在、バグへの対応策となる製品を開発中
イリス「う〜ん……海賊の手がかりにはならなそうかなあ」
ローガン「ううむ、やはり表に出ている情報だけではわからんな……」
エバンス「そうだな。しかしなんというか、ちょっと胸糞悪いっつーか……」
イリス「……私も。なんだか……モヤモヤします」
ミスティ「……そうね。奴隷を解放する代わりに……彼女たち魔導人形を新たな奴隷にしようというのは……」
妖精「でも、魔導人形は心も感情も持たない機械なんでしょ? ならどんな扱いをしても苦しまないし良いんじゃないの?」
イリス「むう……。確かに……苦しくなければ、いいのかなあ……」
ローガン「……奴隷を手放しで是とする王国のこれまでの在り方と比べれば、これはこれで大きな前進と言えるかもしれんな」
クロシュ「……」
↓1〜3多数決 クロシュはどう思う?
1.心がなくても、かわいそう
2.心がなければ、いいのかな
- 132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/29(月) 22:34:09.44 ID:o3rdANIq0
- 1
- 133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/29(月) 22:39:36.41 ID:f8kl2wC+o
- 2
- 134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/29(月) 22:43:06.69 ID:8OM1+03DO
- 1
- 135 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/29(月) 23:17:40.72 ID:AHGoEKSW0
- クロシュ「えと……。でも……かわいそう、だと思う……」
イリス「クロシュちゃん……!」
妖精「クロシュはそう思うの?」
クロシュ「うん……。心が……なくても……。酷いこと……するのは……だめ、だと思う……」
妖精「ふふ……そういえばクロシュは、勇者の銅像もほったらかしはかわいそうって言って掃除したくらいだもんね」
クロシュ「うん……」
妖精「うん、クロシュはそれで良いよ。そのまま、優しいスライムでいるのが良い」
クロシュ「ほえ……? うん……」
☆クロシュの考え方は特に変わりませんでした
◆
- 136 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/29(月) 23:18:45.45 ID:AHGoEKSW0
- ―港湾都市ウォーターポート 滞在6日目
◆パーティメンバー
◇クロシュ 武:鉄の小盾 防:ゴスロリエプロン
◇妖精 武:なし 防:エルフのレオタード
◇イリス 武:精霊樹の杖 防:魔術師のローブ
◇ミスティ 武:魔銀の短剣 防:精霊のローブ
◇ローガン 武:鋼の剣 防:鎖帷子
◇エバンス 武:鉄の剣 防:革の鎧
・共通 飾:くすんだ耳飾り
◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券*5
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹*2
・運命賽*2
・雨乞い傘
・フメイの服の切れ端
・精霊の印*5
・精霊樹の実のジャム
・鋼の回転ノコギリ
・精霊樹の鉢植え
・フメイとアリシラの人形
・お宿の焼き菓子
・お宿の妖精の織物
・メルルの帽子
◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[0/5]
・トコナツ火山島行きの船を探す
・海渡りの姿を獲得する[1/3]
◯仲間の目標
・ブラッドを倒す(ミスティ)
……………………………………………………………………………………
□港湾都市ウォーターポート 主要施設
大通り:旅の船着場、武具店、雑貨店、魔法店、鮮魚店、食品店、食事処、酒場、浴場、冒険者ギルド、他
裏通り:占い屋、怪しい露天商、暗黒商店、奴隷商店、他
沿岸部:港、造船所、魚河岸、灯台、他
……………………………………………………………………………………
□機械工業都市テンペスター 主要施設
大通り:武具店、雑貨店、機械店、無人食事処、自販機通り、冒険者ギルド、他
裏通り:闇市、薄暗い路地裏、他
沿岸部:港、造船所、コンテナ港、工場地帯、灯台、他
……………………………………………………………………………………
―朝
旅の船着場 ロビー
イリス「セイント社の認識阻害装置……うーん……」ウロウロ
エバンス「情報が足りないな……。もう一度テンペスターへ出向くか、別の調べ方を考えるか……」
ミスティ「……マフィアとこれ以上接触するのは……危険よね」
ローガン「うむ……。顔は見られていないとは言え、あれだけの暴力を働けば彼らも犯人を探すだろう。今は避けた方が良い」
妖精「クロシュの海渡り練習もしなきゃね」
クロシュ「ん」
ウォーターポート滞在6日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?
- 137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/29(月) 23:20:24.81 ID:2a+MeGuq0
- テンペスターの闇市を探ってみる
- 138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/29(月) 23:26:10.27 ID:8OM1+03DO
- クロシュの海渡りの練習をする
- 139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/29(月) 23:26:41.17 ID:s9AQb98cO
- 魔法店で禁術の魔道書(フラナ作)を発見
- 140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/29(月) 23:27:03.63 ID:ampOse7dO
- エバンス氏の実力を知りたいので模擬戦やるよ
- 141 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/04/29(月) 23:47:24.48 ID:AHGoEKSW0
- 本日はここまでとなります。次回は闇市編、海渡り練習編、魔導書編です
クロシュたちは少しづつ近づいています、海賊の正体へ。イリスちゃんたちは空振りだと思っているようですが、しっかり前進しておりますのでご安心ください
かの技術革新がもたらしたのは、奴隷解放の光か――。それとも――。
それでは、本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします
なお大型連休中の予定が少々はっきりしておりませんので、突然更新したり休日なのに更新できなかったりするかもしれません。ご容赦くださいませ。
- 142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/30(火) 00:16:42.67 ID:cyj+KLoGO
- おつ。
次はエバンス氏の模擬戦とれるといいな
- 143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/30(火) 01:16:53.49 ID:ndTKmKGro
- 乙です
道具だとしてもあえてひどい扱いする理由にはならんと思いますよええ
金髪エルフはテンペスター一日居れそう
- 144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/30(火) 04:20:00.28 ID:5+60g+qn0
- 乙です
話しが進んでしまったけど>>106で特性に合わせて変わる槍について質問なんですが、ミスティは氷、ローガンは鋼、エバンスは土に変わる事が分かったけど、イリスや妖精のような複数の特性がある者(イリスは星、妖精は自然)やクロシュが持つとどうなるのでしょうか?
- 145 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/02(木) 18:25:47.96 ID:63N8f+CG0
- 突然ですが本日は少しだけ更新したいと思います。よろしくお願いします
エバンス氏はローガン氏ほどの経験はありませんが、軽装で若さがあるため瞬発力や速度に秀でているようです
そしてやや魔法寄りだったパーティが彼の加入によって物魔のバランスが取れたものとなりました。今後の活躍に期待できましょう
道具は大切に使えば実際長持ちします。クロシュがそこまで考えているかはわかりませんが、現時点のクロシュとしては道具であっても大切にしたいようです
金髪イケメン汚職エルフは実際テンペスターのことを気に入っています。マーベル社製の回転ノコギリにも、テンペスターでの競争によって培われた技術がふんだんに使われているようです
あの槍についてですが、妖精が持った場合は妖精サイズの小さな槍になり、さらにその場の環境によって性質が変化する槍となります(水中では水の槍、吹雪の中では吹雪の槍、雷雲の中では雷の槍、等)。イリスが持った場合は星の槍(星属性)となります。クロシュが持つと、クロシュの擬態や変身に合わせて様々な形状に変化する槍となります
- 146 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/02(木) 18:27:25.39 ID:63N8f+CG0
- ―機械工業都市テンペスター
闇市
ゾワゾワ… ヒソヒソ…
闇の武器商人「毎度。約束のブツだ、持っていきな」コソコソ
怪しい客「助かるぜ」ヒソヒソ
仮面の男「ほう、これが……」
違法パーツ屋「ええ、それを組み込めばあなたの奴隷人形も――」ヒソヒソ
暗黒行商少女「これをアンタの義手に組み込めば性能が数倍に跳ね上がるわよ?」ニヤニヤ
魔導義手の男「数倍だと……」ゴクッ
イリス「こ、ここが闇市……!」
ミスティ「白昼堂々とやばそうな取引が行われているじゃない……。ここの治安はどうなっているのよ……」
エバンス「ああ、それなら――」
憲兵ゴーレム「……」ガションガション
怪しい商人「――」ヘラヘラ
怪しい客「――」チラッ
違法パーツ屋「――」ニコニコ
仮面の男「――」ニヤニヤ
憲兵ゴーレム「ピピッ……登録外ノ事業者ヲ確認。強制連行モードニ移行シマス」ガショショ
暗黒行商少女「おわっ! チッ、今月はまだ払ってなかったか。払えば良いんでしょ、払えば」ガサゴソ
チャリンチャリン ガチャチャチーン!
憲兵ゴーレム「ピピッ……登録ヲ確認。強制連行モード解除。巡回モードニ移行シマス」ガションガション
暗黒行商少女「ペッ……金の亡者が……」
イリス「ええ……」
エバンス「見ての通り、みかじめ料さえ払えば見逃してもらえんだ。あの女の子は今月分をまだ払ってなかったみたいだな」
ミスティ「白昼堂々と汚職が……いえ、もういいわ……。それにしてもあの商人、私やイリスと同じくらいかしら……」
ローガン「虹晶の耳飾りを譲渡してくれた商人の少女も君たちと同じくらいだったな」
妖精「同性同職同年代と言っても生き方は自由だからねえ」
イリス「それはそうかもしれないど……。なんだかなあ……」
エバンス「クロシュちゃんは一人でこんなとこ来ちゃダメだぞ。危ないからな」
クロシュ「うん……」
↓2 闇市です。どうしますか?
1.闇の武器商人に聞いてみる
2.違法パーツ屋に聞いてみる
3.暗黒行商少女に聞いてみる
4.他の客に聞いてみる
5.聞き込みはせず商品を見ていく
6.その他(自由安価)
- 147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/02(木) 18:33:51.21 ID:+V1/nCw90
- 3
- 148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/02(木) 18:35:12.88 ID:UI6JFlozo
- 3
- 149 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/02(木) 19:47:53.33 ID:63N8f+CG0
- イリス「せっかくだしあの子に聞いてみよう! 歳が近いから話しやすそうだし!」ズンズン
エバンス「お、おい! 同年代っつってもこんなとこで商売してる奴だぞ……!」
*
イリス「こんにちは……!」
暗黒行商少女「いらっしゃい。何をお求めかしら?」
イリス「ちょっと聞きたいことがあって。ここって、セイントレア社の製品とかって扱ってますか?」
暗黒行商少女「もちろん! それも市場に出回ってない試作品とか、商品化を見送られたヤバイ奴とかね。フフ……何が欲しいの?」
イリス「実は――」
*
暗黒行商少女「海賊の認識を阻害する装置ィ?」
イリス「うん。私たち、どうしても海を渡りたくて」
暗黒行商少女「ふうん……」
エバンス(一応後ろから見てはいるが……今のところは大丈夫か……?)
↓1コンマ
01-20 これのことね!
21-40 さっぱりわかんないわ
41-60 憶測(有料)
61-80 情報(有料)
81-95 これのことかしら
96-00 これのことね
- 150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/02(木) 19:48:30.05 ID:jiWFlBDDO
- はい
- 151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/02(木) 19:48:43.19 ID:+V1/nCw90
- あ
- 152 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/02(木) 21:48:36.53 ID:63N8f+CG0
-
ローガン「エバンスくん! ちょっと来てもらっていいか!?」
エバンス「えっ、何だ!? 今行く!」タタッ
イリス(あっ、エバンスさん……! あっちで何かトラブルがあったのかな……と、とにかく私一人でもお話を聞こう!)
暗黒行商少女「飯盒と同じくらいの大きさ……これのことね!」
飯盒くらいの大きさの装置「」ドン!
イリス「こ、これは……?」
暗黒行商少女「ここ最近世間を騒がせている海賊ってのは、私の情報網が間違っていなければ――バグよ」
イリス「えっ……バグって、おかしくなった自立型魔導機械の……?」
暗黒行商少女「そう。そしてバグに限らず、自立型の魔導機械は特定周波数の魔力波長を正しく認識できない欠陥があんのよ」
イリス「え、ええ!? そうなんですか!?」
暗黒行商少女「ほとんど知られてないけどね。そんな欠陥が知られたら家庭用はともかく軍用のは使い物にならなくなるでしょ、簡単に対策できちゃうんだから」
イリス「た、確かに……」
暗黒行商少女「そしてこれこそが、その周波数の魔力波長を出せるセイントレア社のバグ対策製品ってわけ。さっき言ったような理由でリリースは見送られたけどね」
イリス「そ、そうなんだ……あれ、でもそれならどうしてマフィアは、そんな市場に出回ってない機械を持っているの?」
暗黒行商少女「出回ってるじゃない。ほら、ここにも」
飯盒くらいの大きさの装置「」ドン!
イリス「あ、確かに……!」
暗黒行商少女「試作品とか試験品の横流しなんてここテンペスターじゃ茶飯事よ。それにセイントレア社なんて裏じゃ何やってるかわからない真っ黒企業、マフィアと繋がってマッチポンプ体制を築いていても何も不思議じゃないわ」
イリス「そ、そうかも……」
暗黒行商少女「まあそういうわけだから、これ売ってあげるわ。適正価格でね。私、優良業者だから」
イリス(……そう言って彼女が提示した金額は、少々お高いものではあったけれど出せない額ではなかった)
イリス(でも……本当に信用して大丈夫なのかな……?)
暗黒行商少女「ああそうそう、私この話が終わったらテンペスターを出るから、買うなら今のうちよ」
イリス「えっ!?」
暗黒行商少女「私も旅の行商人だから、仕入れたものは別のとこで売りたいのよね。今回は特別だけど」
イリス「え、ええと、ええと……!」
暗黒行商少女「ふふ……今買わなきゃ二度と手に入らないかもね! 私以外にこれを扱ってる闇商人は見たことないし!」
イリス「〜〜!!」グニャグニャ
イリス(どどど、どうしよおおお!!!)
※ファンブルにより、イリスは冷静な判断ができなくなってしまいました……
☆飯盒くらいの大きさの装置を買ってしまった
◇
- 153 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/02(木) 21:49:36.00 ID:63N8f+CG0
-
イリス「……み、みんな」ヨタヨタ
クロシュ「イリスさん……!」
妖精「こんなとこで一人で動いちゃ危ないよ!」
エバンス「すまん! 俺が付いてたんだが……」
ローガン「む……すまぬ。どうやら状況を考えずにエバンスくんを呼んでしまったようだ」
ミスティ「……? イリス、その荷物は?」
イリス「あ……え、えへへ……認識阻害装置……かも……」
妖精「えっ……」
ミスティ「ええっ!?」
ローガン「なに!?」
クロシュ「わあ……」
エバンス「……」ダラダラ
*
- 154 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/02(木) 21:51:21.06 ID:63N8f+CG0
-
案内メイド人形「……」
イリス「よ、ようし……それじゃあ早速、あのメイド人形さんで試してみよう……! 認識が阻害されるだけだから、具合が悪くなったりとかはないはず……!」
飯盒くらいの大きさの装置「」ドンッ!
ミスティ「でもこれ、どうやって動かすの……?」
イリス「魔力を充填して、このスイッチを押せば起動するんだって。もう魔力は充填済みだから、あとはスイッチを押すだけ……!」
ローガン「その商人の言葉が真であれば、自立型魔導機械の認識に異常が発生するというわけだな」
イリス「はい……! で、では……いきます!」
ポチッ
飯盒くらいの大きさの装置「」ウォーン―
イリス「わっ、なんか暖かくなった……!」
ミスティ「変な音もするわね……。これがその特定周波数の魔力波長ってやつが出す音なのかしら……」
妖精「……これで、魔導機械は私たちを認識できなくなったの?」
イリス「そ、そのはずです! 試しに……これを持ってメイド人形さんに近づいてみます!」
スタスタスタスタ…
イリス「こんにちは、メイドさん!」ヌッ
案内メイド人形「こんにちは、旅人のお嬢様。昨日振りでございます」ペコリ
イリス「!!?!!?!???」ババッ
妖精「だめじゃん!!!!」
イリス「なな、なんで!?」
案内メイド人形「おや。それはセイントレア・メカニクス社様の『どこでも炊きたて魔導飯盒SRMX-140』ですね。リリースは一世代前ですが、優れたデザインに実用性・使いやすさを兼ね備え、今なお多くのご家庭や旅人の方々に愛用されている人気商品でございます。良いものをお買い上げになられましたね」
イリス「ま……魔導……飯盒……?」
イリス「あ、ああ……まさか……私……」グニャァ
ミスティ「い、イリス! 気をしっかり……!!」
◆
- 155 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/02(木) 21:52:16.30 ID:63N8f+CG0
- ―昼
旅の船着場 客室
どこでも炊きたて魔導飯盒「」パカッ
炊きたてごはん「」ホカホカ
イリス「」ズーン…
クロシュ「イリスさん……」サスサス
ミスティ「……そう気を落とさないで。ほら、美味しいごはんが炊けたわ……」
イリス「うぅ……。ごめんなさい……みんなから預かった、大事なお金を……」
ローガン「う、うむ……。だが君に預けたのは旅の資金のほんの極一部でしかないのだ。そこまで大きな損失ではない……」
エバンス「おう……。それにこいつは、君を一人にしちまった俺の責任でもあるんだ」
妖精「そうだよ、もう。イリスはしっかりしてるけどまだ子供なんだから、おじさん二人が目を離したのが悪い!」
ローガン「うむ……」
エバンス「め、面目ねェ」
妖精「……まあ、目を離したのは私もだけど。ごめん」
◆
- 156 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/02(木) 21:53:25.53 ID:63N8f+CG0
- ―海岸
ザァーン ザザァーン…
カモメ「クゥー、クゥー」
カニ「チョキチョキ」
イカダクロシュ「」プカプカ
ローガン「おお、安定しているな」
妖精「よし、イカダへの擬態はバッチリだね。じゃあ今日はもうちょっと複雑な形に挑戦してみよう」
イカダクロシュ「」モニョニョ?
妖精「イカダで3日間も航海なんて無理だからね」
イカダクロシュ「」モニョ
エバンス「おし、俺も泥舟作りの練習だ!」
ローガン「……私も、鋼魔法で船を作ってみよう」
↓1 特訓の成果
01-60 小舟(経験2/3)
61-95 大亀(経験3/3)
96-00 海竜(経験☆)
- 157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/02(木) 21:53:43.12 ID:+V1/nCw90
- あ
- 158 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/05/02(木) 23:37:19.78 ID:63N8f+CG0
-
小舟クロシュ「」プカプカ
泥舟「」ドロドロ
鋼船モドキ「」ブクブク
妖精「舟作りの腕前はクロシュが一番みたい」
エバンス「くっ、どう作っても溶けちまう……どうすりゃ溶けない泥舟が作れるんだ……!」
ローガン「ううむ……空洞があれば理論上は鋼でも水に浮くはずなのだが……。浮いた状態で安定した形を作るのが難しいな……」
小舟クロシュ「」プカプカ
妖精「……クロシュの造形能力って実はかなり凄いのかも。絵も上手いし……」
エバンス「確かに、イカダも小舟も全然転覆せず安定してるもんな。しかし絵も上手いのか……!」
ローガン「鋼魔法や地魔法が使えれば、絵だけなく精巧な鉄像や石像をも作れるようになれたかもしれんな、クロシュくんは」
小舟クロシュ「」プカプカ モニョモニョ
☆クロシュの海渡り経験が2/3になりました
☆小舟に擬態できるようになりました
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