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【安価コンマ】オリウマ娘と共に
- 800 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/05(金) 01:03:01.61 ID:P9RwrKGDo
- なんかわからなくて惹かれる2で
おつおつ
ライバルに勝っていざ!海外!してぇ!
- 801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/05(金) 01:19:26.55 ID:O4fCA+7DO
- 3
- 802 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/05(金) 23:38:43.46 ID:WdAq/ul40
- ライム「――お願いしますパピヨンさん!わ、私の料理の感想を教えてください!」
ある日の放課後、アタシはライムにそうお願いされて食堂の席に座っていた。周りにはちらほら生徒がいるけど、ちょっとお喋りをしていたりとかが主で、ご飯を食べる!みたいな雰囲気の子は誰もいなかった。
パピヨン「ねえ、なんでアタシなわけ?シルフィーとか、マンティとか……あ、ほら。食べるの大好きな葦毛のウマ娘とか日本総大将とか呼んでさ」
ライム「それも考えましたけど、出来るなら私。食べて満足して貰いたいんです……そ、その人たちの胃袋を満足に満たすとか出来ません!」
何とも言えない責任感。こういうところがライムらしいなぁと思う、いやそれの被害を受けているのはアタシなんだけど。
パピヨン「というか、ライムなんでいきなりこんな?料理に目覚めたとか?」
ライム「あ、いや、えっと、そのぉ……」
――あれあれ急に顔が真っ赤になったぞ?おやおやおやぁ……?
ライム「……ら、来月はクリスマスじゃないですか?ですからその、あの。パピヨンさんにも話したとは思うんですけど、○○くんに……」
パピヨン「あ、なるほどね。彼氏君に料理作ってあげたいんだ、クリスマスの」
ライム「で、ですから!そういう関係じゃないですから!パピヨンさん!」
手をぶんぶん振って否定するその姿、怪しい。怪しいぞぉライム〜?ニヤニヤと笑ってからかってやる。
――成程、はいはい。つまりアタシを彼氏君に提供できる料理かの判断材料にしたいわけね?というか練習台と。
……………………。
パピヨン「………んま、別にいいけど。ほら、作ってきなよ料理。食べてあげるから」
ライム「――!す、すみません!ありがとうございます!で、ではある程度準備は出来ているのでちゃちゃっと作ってきますね!」
ぱぁっと、明るい笑みを浮かべてライムはキッチンへと走って行ってしまった。はぁ、嫌な笑顔。彼氏君にそんな美味しいものを作ってあげたいの?
ケーキとか作ってあーんとかするつもり?はぁ、アタシの方が今は長く付き合ってると思うけどなぁ。
…………ぽっと出の彼氏君め。いや、ぽっと出はアタシか。なーんて。思いながら頬杖をついて料理を待つ。
- 803 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/05(金) 23:39:27.91 ID:WdAq/ul40
- 照り焼きのチキン、クリスマスリースみたいなサラダ、ブッシュドノエル――その他にも結構な量の料理。というか全体的に……豪華。
パピヨン「……というか、あと茶色くない?お肉多いね――あ、いいから。理由はなんとなくわかるから」
まあ男の子ってお肉好きだもんね、アタシも好きだけどさ。チキンとか。
ライム「あ、あはは……す、すみません。でも、無理して全部食べて貰わなくても大丈夫ですから!ちょっと張り切って作ってしまったなぁと思いましたので――」
パピヨン「は?残す?冗談でしょライム」
――全部平らげるから、ありえないんですけど。
コンマ6以上で太り気味。
コンマ直下
- 804 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/05(金) 23:57:05.35 ID:O4fCA+7DO
- あ
- 805 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/06(土) 00:55:30.52 ID:ESpiw8sOo
- ちょいちょいしっとりしかけてるなw、一息つけるといいのですが
- 806 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/06(土) 18:13:58.87 ID:kNx0CHnD0
- ごめんなさい、寝落ちしてました。いつもより早い時間ですけどちょっとやります。
★
パピヨン「…………ふぅ、ご馳走様」
ライム「ほ、本当に全部食べちゃいましたね!?で、でも沢山食べてくれて、アタシ嬉しいです!あ、ありがとうございます!」
――苦しい。お腹がもうパンパン、ちょっと見栄貼っちゃったかも……。
ライム「そ、それで感想を教えてもらっても……」
パピヨン「……一応言っておくけどこんな量、絶対彼氏君食べきれないからね」
まあ作り過ぎちゃったって言ってるからそこは大丈夫だと思うけど。ライムって張り切りがちだしねぇ。
……全部美味しかったけど、料理で気になったところとかをいくつか教えてあげる。
ライム「なるほど……ありがとうございます!」
パピヨン「アタシの好みで結構言ってるから、彼氏君が好きな味付けになるかは分かんないけどね。……
というか、さっきの質問だけど」
ライム「はい?」
パピヨン「マンティとかシルフィーがいない理由!そっちは教えてくれてないでしょ?」
――まあ、別にどんな理由でも良いけど。アタシが暇そうだったとか、そんな感じ?
ライム「パ、パピヨンさんが……一番はっきり感想を教えてくれそうだったので」
パピヨン「……別にそんな事無いと思うけど」
ライム「パピヨンさんが美味しいって思う料理になれば、○○くんも美味しいって思ってくれるんじゃないかなって、なんとなくそう思ったので……なのでまずはパピヨンさんの為に料理を作りたくて」
パピヨン「…………」
ライム「あ、あはは、すみません。私もなんでパピヨンさんだけ呼んだのか、上手く言語化できなくて……
」
パピヨン「……ふ〜ん、ま。別に何でも……いいけど、まあ、また何か作ったら呼んでよ。お兄さんにも沢山食べて身体を作れって前言われたし、都合がいいから」
ライム「え、本当ですか!?あ、ありがとうございます!」
パピヨン「…………」
――まあ、今この瞬間だけはアタシがライムを独占してるし、ちょっと気分が良いかも。
- 807 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/06(土) 18:27:58.10 ID:kNx0CHnD0
- ――秋華賞が終わってトレーナーさんが言った事は、「暫くは休憩しましょう」でした。
桜花賞7着、オークス1着、秋華賞3着――かつての親友と約束したトリプルティアラ、結局は一つしか冠は取れませんでした。
弟くんも秋華賞が終わってすぐ電話で、お疲れさまと励ましてくれて。とても――嬉しかったはずなんです。けど、私にはどうにも――喜べなくて。
シルフィー「…………」
トレーナーさんもきっとそんな私の気持ちが分かるんでしょう。ですから、一旦レースからは離れて来年からまた再始動――そういうつもりで言ったんでしょう。暫くは休憩しましょうと。
――――本当にそれでいいのか、という気持ちが私の中に沸々と沸き上がります。
トリプルティアラはもう取れません。というか桜花賞に惨敗した時点でその夢は無くなってしまいました。では、今後のレースは?アタシはまだまだ走れます、選手としてこれからも走ると考えたとき――ふと、もう一つの選択肢が浮かび上がりました。
- 808 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/06(土) 18:28:29.57 ID:kNx0CHnD0
- シルトレ「――ダートですか?」
シルフィー「はい、芝からダートに転向して結果を残したウマ娘や、芝もダートも両方走れるウマ娘……その両方がいるのですから、可能性はあると思うんです」
シルトレ「…………そうですか」
きっと私のお友達にダートで走る子が多いから――その選択肢に気づけたのかもしれません。でも、だからと言ってダートを軽視しているわけではありません。
私でもダートなら輝けるかも――そんな考え、同室のパピヨンさんを見て言えるなら、とんでもないおバカさんです。
シルトレ「まあ、一度確認してみましょうか。トリプルティアラという夢を聴いて、私は芝での走りにばかり注目していましたが、可能性はあります」
シルフィー「は、はい!あ、ありがとうございます!」
結果は?:コンマ直下
1-5 芝を走ろう
6 まあ走れなくはないけど
8 普通に走れてはいます
9 両方いけます!
0 ――なんで芝を走って?
- 809 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/06(土) 18:41:00.43 ID:Q+P4YrvDO
- はい
- 810 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/06(土) 19:30:23.42 ID:kNx0CHnD0
- シルトレ「…………はい、お疲れさまです」
シルフィー「は、はぁ、はぁ……はぁ、はぁ」
全然走れませんでした。脚が思うように動かず、蹴っても蹴っても前に進まない。
――やはりそう現実は上手くいきません。ダートを走ってみると、パピヨンさんにライムさん、マンティさんの凄さが分かります。
シルトレ「ダートも芝も走れるという才能は稀有な物ですから、気を落とさないでくださいシルフィー」
シルフィー「はぅ」
……あ、頭を撫でられてしまいました。よしよしと優しい手つきで撫でられて……は、恥ずかしいです。
シルトレ「……焦らず行きましょうシルフィー。ゆっくりと準備をして――来年こそ勝負をしましょう。だって貴女は私が信じたウマ娘なんですから」
シルフィー「トレーナーさん……は、はぃ。あ、ありがとうございます……」
――本当は年明けから次走の話をしたい、という話でしたが。トレーナーさんと共にトレーナー室で次走の話をすることになりました。
目標を決め、しっかりと努力をして、またG1の大舞台で勝利を収めたら――きっとあの子も喜んでくれますよね?
- 811 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/06(土) 19:48:01.15 ID:ESpiw8sOo
- アグネスのやべーやつや産駒から見た余なり両刀はなかなか難しい
- 812 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/06(土) 19:55:14.21 ID:kNx0CHnD0
- ――JBCスプリント、大井で開催されるダート短距離G1。東京盃でパピヨンと戦い、勝利したらブラックマンティスも当然出走するレース。
『現地で見に行かなくてよかったのか?』
パピヨン「別にいいでしょ、テレビで見れるんだし。あ〜でも確かに、現地でボロボロに負けたマンティをちょっと煽れないのは寂しいかも?」
ぷーくすくす、と笑うパピヨン。しかし【貴方】はパピヨンがそんなことをするウマ娘ではないことをとてもよく知っている。
素直になれないのなら無理やりにでも連れて行くべきだったかもしれない。いや、まあ……それはそれで後が怖いか。
――本日の一番人気、3番ブラックマンティス。東京盃で見せたあの直線一気を見せることが出来るか。
パピヨン「うわ、しかも一番人気じゃん。これってアタシって超強いウマ娘に勝ったからってことだよね?」
『……ああ、そうだな』
あの末脚を見て、ファンになった人も多いだろうに――一番人気という圧があっても、テレビ越しに見るブラックマンティスは何も変わっていなかった。
――堂々としている。その視線はただただ己の勝利だけを見つめていた。
マンティ「く、くは、はははは――!この俺様の勝利の踏み台として、お前らを使ってやる、だから光栄に思え――はははははっ!」
パピヨン「うわ、絶好調……ほんっと、凄いなぁマンティ」
あのキャラ後でどうしてんだろ。絶対恥ずかしいよね。……【貴方】は話を振られても苦笑いをすることしか出来なかった。
――大井レース場にスピード自慢のウマ娘が揃いました、ダートレースのスピード決戦JBCスプリント。今宵はどのウマ娘がダートスプリンターの栄光を手にするか。
――さあ各ウマ娘ゲートイン完了。出走準備整いました。
――――スタートいたしました!
JBCスプリントが、始まった。
- 813 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/06(土) 19:56:59.59 ID:kNx0CHnD0
- ブラックマンティスは――:コンマ直下
1-4 一着!!!
5-6 二着!
7 三着
8-9 ダメだった……
0 おおっと
- 814 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/06(土) 20:45:22.20 ID:ESpiw8sOo
- !!!
- 815 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/06(土) 20:47:24.34 ID:ESpiw8sOo
- マンティごめん……
- 816 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/06(土) 21:25:03.50 ID:kNx0CHnD0
- はじめての「おおっと」です。こういうことをやります。
★
おおっと――:コンマ直下
1-3 掲示板には"レコード"の文字
4-5 誰も狩人には追い付けない
6-7 脚を挫いて……。
8-9 故障発生
0 ――
- 817 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/06(土) 21:46:59.88 ID:Q+P4YrvDO
- どうなるか
- 818 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/06(土) 22:55:02.30 ID:kNx0CHnD0
- ――各ウマ娘出遅れることなく進んでいきます。先頭には逃げ宣言6番、その後ろにすーっと並んで9番、2番のウマ娘が並び先行集団、そして最後方にはブラックマンティス。
ブラックマンティスの何時もの展開。最後方、殿から他のウマ娘の様子を伺い、最終コーナー最終直線で一気に大外からごぼう抜き――これが、ブラックマンティスの戦い方だ。
その戦いを二回経験したパピヨンにとって、それは異様なプレッシャーを感じる走りだった。後ろから「何か」が来る。何か恐ろしい存在がぐんぐんと迫ってくる――恐怖以外の何物でもない走り。
パピヨン「やっぱいつも通りの展開だよね、結局マンティが全部差し切るか、差し切らないかの展開」
『……随分とマンティに肩入れしているな。友達だからか?』
パピヨン「はぁ〜?なにお兄さんそれ、キモいんだけど〜?……そりゃ、友達ってのもあるけど」
アタシに勝ったんだし、他の短距離で負けて欲しくなんかないって思うくらい、普通でしょ。
【貴方】からぷいっとそっぽを向いて、パピヨンはまたテレビを見る。
マンティ「――――は!」
――さあ、最終コーナーを曲がり最後の直線!未だ先頭は6番!後続との差は3バ身ほど!しかしここで大外から迫るウマ娘!3番ブラックマンティスが先頭を狙っている!
パピヨン「お、いけいけ〜!」
『随分と気の抜けた応援だな……』
狩人が足にググっと、力を入れ一気に前を往く。スパートをかけた鋭い切れ味の末脚は、そのまま前方のウマ娘を差し切って――――。
- 819 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/06(土) 22:56:42.23 ID:kNx0CHnD0
-
マンティ「――――っ!」
パピヨン「ぁ……?」
『――――!』
その瞬間。マンティの顔が酷く歪み、二人の顔から――一気に血の気が引いた。
――ブラックマンティス来ない!スーッと後方に下がっていく!これは故障発生か!?
故障発生。その言葉がパピヨン頭の中で繰り返される。しかし中々意味が理解できない。理解が追い付かない。
故障。故障、故障――スパートの時に脚を挫いた?いやでも、あれくらいマンティなら別に――――え、こしょう?もう、レースが出来ないとか――マンティが。マンティが?
『――おいパピヨン、パピヨン!』
パピヨン「へっ!?ぁ、お、お兄さん――?」
『落ち着いて、今キミ顔が凄いことになってたぞ。まずは大きく鼻からゆっくり吸って、口から吐いて――』
アタマがまだ混乱してる、お兄さんに言われるがままに深呼吸をするけど、なんだか変わったのか変わらなかったのか、よく分からない。
――一着は見事に逃げ切りました6番!JBCスプリントを制し、栄冠を手に入れました!初のG1タイトル!
――しかし、心配なのはブラックマンティス。今救急車に運ばれていきました、何事も泣ければよいのですが――――。
パピヨン「――――」
テレビで逃げウマ娘が一番にゴールをした、実況が聴こえてくる。けど、そんなのは全然……どうでもよくて……。
――ぷるるるる。と鳴るスマホの音にも、気が付けないまま。JBCスプリントは幕を閉じた。
- 820 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/06(土) 23:28:50.53 ID:kNx0CHnD0
- マンティ「――――あ、パピヨンさんに、皆……」
ライム「マンティさん……!」
――後日、アタシといつもの仲間でマンティのお見舞いに行くことにした。病院のベッドの上で、患者衣を着ているマンティをみて……アタシは、また血の気が引いていく感じがした。
…………右足に巻かれたギプスから、目が離せない。
シルフィー「マンティさぁん……!うぅ、うぁあぁ……!」
マンティ「ひぁ!?ちょ、シルフィーさん……ライムさんも!?」
二人が涙目でマンティに抱き着きに行く、それを顔を赤くしながらマンティは抱き着かれている。
……ヘルプミー!な、目をこちらに向けられるけど、アタシには何も……はぁ。
パピヨン「……気持ちは分かるけど、マンティは怪我人だしそこまでにしておきなよ」
ライム「あっ、ごめっ、ごめんなさい……私、ちょっと、全然考えられてなくて……」
シルフィー「ぐすっ……ごめ、ごめんねマンティさん……だ、大丈夫?」
マンティ「だ、大丈夫。全然大丈夫ですからぁ……」
――へたっぴな笑顔で大丈夫というマンティ。けど全然大丈夫そうには――見えない。
マンティ「……全知半年の骨折、らしいです。スパートで力を入れ過ぎて折れちゃったのかもって、お医者さんが……」
――――半年?半年も、このままで……マンティは、走れないの?
マンティ「リハビリとかを頑張ればもっと早く治るかもしれない……けど、安静の為、半年は必要と」
- 821 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/06(土) 23:30:26.39 ID:kNx0CHnD0
- ライム「――」
シルフィー「は、半年、も……」
マンティ「だ、大丈夫です!半年頑張って休んで、リハビリもすれば――また走れるようになりますから!」
ぎゅっと拳を握って、大丈夫とアピールをするマンティ。さっきから、そんなアピールが多くて、主張が激しい。
――あーだめだ。ずっと頭が、ふわふわしてる。
パピヨン「……し、しっかり、休んでね。アタシ……待ってるから」
マンティ「――――はい。わ、私も、またパピヨンさんと走りたい、ですから――」
ライム「う、うぅぁあ……!わ、わたし、も、マンティと走りたいよ"ぉ……!」
ああまたライムが抱き着いて、服に涙とか鼻水が……。
シルフィー「…………ぐすっ、今はしっかり休養してくださいね。また今度お見舞いに来ますから……」
――――こうして、お見舞いが終わった。最後にギプスにメッセージでも書こう!ということで、早く治ってねみたいなメッセージを書いて……終わった。
- 822 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/06(土) 23:35:28.46 ID:kNx0CHnD0
- ――――:コンマ直下
コンマ3以上で。
- 823 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/06(土) 23:40:48.26 ID:xWxG7hcRo
- なに怖いよ……
- 824 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 00:03:35.48 ID:5wtNQhHU0
- パピヨン「――――忘れ物しちゃった、はぁやらかした」
帰り道の途中、マンティの病室に忘れ物したことに気がついてアタシ一人病院に戻ってきちゃった。
……忘れ物だけ取って、早く帰ろ。なんだか今、マンティの顔とかちゃんと見れない気がする。というかさっき会った時も……全然話せなかった。
病院に入って、受付のお姉さんに話して、マンティの病室に向かう。なんとなく静かで、病院の匂いって感じの匂いがする。
パピヨン「……あれ」
……マンティの病室に誰かいる、そっとドアの窓から顔を覗かせて……見るとそれはマンティのトレーナーさんだった。和服で、アタシくらい身長のちっちゃな、妙に威厳のあるトレーナーさん。
マンティ「――――!――!」
マントレ「――」
マンティ「――っ!……っ!」
……声は聞こえない、けど何か話していることは分かる。何か言い争ってる……?
…………マンティが泣いていることも、分かる。ぼろぼろ大粒の涙が零れ落ちて、患者衣に小さな水玉を作る。
パピヨン「……っ」
アタシたちが来た時、全然泣いてなかった。アタシたちが泣いてばかりで――きっと、マンティは我慢してたんだ。今にも泣いてしまいそうなのを、堪えて。アタシたちに心配させまいと――大丈夫なアピールまでして。
――――いけないものを見てしまった気分。トイレにでも行って少し時間を潰してから、また来よう。
- 825 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 00:32:22.80 ID:5wtNQhHU0
- マンティ「――あ、パ、パピヨンさん……!ど、どうかしましたか?」
パピヨン「実は忘れ物しちゃって取りに来たんだ〜ごめんね、いきなり来ちゃって」
病室にはもうマンティしかいなくて、トレーナーさんの姿はなかった。アタシ的には嬉しいけど、何処行っちゃったんだろ……。
……不思議そうな顔をしているマンティ。その眼もとは、隠せないくらい真っ赤だった。トレーナーさんが戻ってくるかどうかも分からない、ほんとさっさと帰らないと……。
パピヨン「ん、あったあった……」
マンティ「…………」
忘れ物は見つかった、だからもう帰った方が良い。アタシはただの……友達だ。ブラックマンティスの同期で、同じレースも走った、ただそれだけの。
さっきのアタシみたいに、トレーナーさんが外で待ってるかもしれない!本当は大事な話があるのにアタシがいるせいで話せない……そう、きっとそう!だから、早く帰らないと――。
マンティ「……じ、実は私。ずっと……パピヨンさんに、憧れてたんです」
パピヨン「へっ?」
いきなりマンティが話し始める。どしたの突然、と思わなくもないけど……え、アタシに憧れ?
マンティ「私がこの学園に来たのは……お家の期待に応えるためなんです。私がもし結果を出せば、それだけでお家の威厳に繋がりますから」
――――期待に応えるために走る。期待、という言葉はアタシには――とても聞き覚えのあるものだった。
マンティ「入学した時はもうすぐに走るのも辞めちゃいそうなほど、辛くて……でもそんなとき、パピヨンさんの走りを見たんです。最初の模擬レースで楽しそうに先頭を往く、貴女の走りを」
とても気持ちよさそうに走るその姿を見て、私は――思い出しました。初めて走り始めたときに感じた風の気持ちよさを。
――そうだ、私は、この風が好きで走り始めたんだって。
- 826 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 00:51:52.09 ID:5wtNQhHU0
- パピヨン「――――」
ねえ、待って。待ってよ。そんな――肩の荷が取れたみたいな顔で自分語りしないで。自分だけで気持ちよくならないでよ。
マンティ「だから、この前の東京盃でパピヨンさんに勝った時は凄い嬉しくて!あ、でも抜くときにちょっと……あ、あんなことを言ってしまって……!ほ、本当にごめんなさい!けど、憧れてたあの走りを間近に見れてとても嬉しかったんです!」
風を感じれました、初心を思い出せました。家族の期待じゃなくて、私が走りたいから走る――そのレースが、どれだけ楽しいのかを思い出せました。
待って、ストップ。止めて――そんな話、聞きたくない。口を閉じて、閉じてよ――!
マンティ「ですから、こんな風に脚がなっちゃう前にパピヨンさんと走れて私は――――
パピヨン「は――――?」
――こんな風に脚がなっちゃう前に?アタシと走れて――良かったって?
――ふざけんな、ふざけんなふざけんな!
パピヨン「――――ふざけないでよ!!!!!」
- 827 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 01:03:09.59 ID:5wtNQhHU0
- マンティ「ひゃぁ!?パ、パピヨンさん!?」
パピヨン「何その言い方、何その雰囲気!?まるで――もう走れないみたいな、もうアタシと走れないみたいな!何気持ちよく自分語りしてるの!」
――身を乗り出して叫ぶ。ああもうムカつく!全部全部、全部イライラする!
パピヨン「――これからもアタシとマンティは走るんだよ!?その話し方、勝ち逃げのつもり!?」
マンティ「ぇ、いや、ちがっ……!そ、そんなつもりじゃ……!」
パピヨン「そんなつもりだよ!なーにが、憧れのパピヨンさんだ!憧れ憧れって、そんなウマ娘じゃないしアタシは!」
――アタシはアンタのライバルなんだけど!?だから一抜けとか許さないから――骨折でちょっとメンタル落ち込んでるのかもしれないけど、そんなの許さないから!
思いっきり叫ぶ、思ってること全部言う。友達だけど、ライバル!だから、これからもずっとずっと走るの!
マンティ「――――で、でも半年、半年も走れないんですよ!?リハビリも、とても大変らしいですし、今まで見たいに走れるかどうかも、分からないんですよ!?」
パピヨン「はぁ!?なにそれ、意味わかんないんだけど!」
マンティ「私はもうトゥインクルシリーズで、貴女と――同じレースには出られないかもしれないんです!半年の怪我は、そういうものなんです!お医者さんも、トレーナーさんも……そう言ってるんですよ!?」
――全治半年、完全に治るまで半年かかる。そこからトレーニングも含めたらまともに走れるようになるのは一年前後くらい。それまで時間をかけても、今くらい走れるようになるか――もっと時間がかかるのかもしれない。
真っ赤な目から涙をぼろぼろこぼしながら、マンティも叫ぶ。なんだ、そんな大きな声出せるんじゃん……!
マンティ「わたっ、私だって……!走りたいですよ……!もっともっと、パピヨンさんとも、ライムさんとも……シルフィーさんとだって……!走りたいですよぉ……!」
パピヨン「じゃあそうすればいいじゃん!もっと我が儘になろうよ!お医者さんに言われたから、トレーナーさんに言われたから……!?関係ないじゃん!?」
- 828 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 01:08:34.14 ID:5wtNQhHU0
-
マンティ「う、うぁ、う"ぅ"ぅぁぁぁぅあぁ……!」
パピヨン「マンティは諦めないでリハビリ頑張る!アタシも頑張る!――マンティが勝負したくなるくらい、憧れなくなるくらいアタシが強くなって――一年後に立ちはだかるから!それに挑んで!」
――マンティにふさわしい相手になるために、走れないなんて思えなくなるくらい強くなって。待ち受ける。ゲームのラスボスみたいな、魔王みたいな、そんなウマ娘になる。
パピヨン「――絶対戻ってきてよ。待ってるから!アタシも滅茶苦茶頑張るからさ……!ぐすっ、期待して待っててよ!アタシもマンティに期待してるから!」
アタシもなんだかボロボロ涙が出てきて、溢れて止まらない。
――結局最後の方はお互いに何言ってるのか分かんなくなっちゃって。泣いて、怒って――最後にちょっと笑って、それは終わった。
頑張ろうね――なんて言い残して病室を飛び出し、病院から出る。ウマ娘専用の道路を、走って走って。スタミナが無くなっても走って走って――走りまくって。
- 829 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 01:16:33.50 ID:5wtNQhHU0
- パピヨン「お兄さん!!!」
『うわぁあ!?パ、パピヨン……?」
トレーナー室。バァンと勢いよく扉を開けると情けないお兄さんの姿が。こっちは色々やってきたばかりだというのに、呑気だと呆れてしまう。
パピヨン「――――ねえ、お願いがあるんだけど!」
――マンティにああ言ってしまった、期待させてしまっている。ならそれには全力でアタシが応えないといけない。
ラスボス?魔王?ようは――マンティが憧れてたアタシよりも圧倒的に強いアタシになって、最強のダートウマ娘になる。
その手段、その方法を――前に、聞いた気がする。
パピヨン「――――海外のダート!G1!獲るよ!」
思うのは簡単だ、これだって勢いだ。お兄さんには呆れられる、考え直せと言われるかもしれない。計画と違うとか――でもそんなの、アタシの我が儘で全部吹き飛ばしてあげる。
――――だって、アタシのトレーナーなんだよ。お兄さんは?これくらい、何も言わず受け入れて欲しいな。
- 830 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 01:20:02.37 ID:5wtNQhHU0
- 今日はこれで終わりです、時間がかかりましたがありがとうございました。
マンティが骨折して、あーだこーだと進めたらこうなりました。マンティが憧れられないくらい圧倒的に強いウマ娘になって、また戦いましょう。
カペラステークス、そしてチャンピオンズカップ。クリスマス、大晦日、くじ引き――海を越えて。イベントは盛りだくさんです。
- 831 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/07(日) 02:32:38.72 ID:f+39JrSoo
- おつ!
アオハルだなぁ……!
マンティのキャラ設定改めて確認したけどそうだね、これパピヨンに重矢印向いて然るべきやつやん
マジ勝たないといけんなあ!
- 832 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 21:56:37.28 ID:5wtNQhHU0
- ――――カペラステークス当日。中山レース場の控にでパピヨンと自分は居た。
レース展開や走り方、他出走者の最終確認と。レース後にむやみやたらと煽らないことの注意を数回して、体操着姿の彼女を送り出す。
『――行ってこいパピヨン。キミの走りを見せつけてこよう』
パピヨン「おっけーお兄さん。2番人気とか見る目がない人たちにアタシの走りでビビらせちゃう!」
『言っておくが、本当に煽ったりするなよ。なあ、何回も何回も言うが』
パピヨン「あー!はいはい分かってます分かってます!お兄さんほんっとーにしつこい!そんなんだからモテないんだよ?」
……それとこれとは話が違うように思う。けど、まあ……下手に言い返すつもりもない。
パピヨン「ぷぷぷ、もしかして図星〜?ちょっとは言い返してくれないと張り合いがないんですけど〜」
『ほら、早く行った行った。キミのファンが待ってるよ』
パピヨン「はいはーい」
――――「海外のダート!G1!獲るよ!」なんて、言葉を聞いた時は驚いた。が――正直嬉しいとも思った。
ライバルと戦うためにレースを選ぶのでもなく、自分の提案に乗っかるのでもなく。自分自身で考えてこのレースに出たいのだと言った。
真っすぐな瞳で、自分を見つめながら。海の向こうの大舞台で羽ばたきたいのだと、パピヨンが言った。
『……ならここでは負けられないよな』
- 833 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 21:58:48.62 ID:5wtNQhHU0
- カペラステークス、結果は:コンマ直下
1-3 余裕余裕!
4-7 勝利勝利!
8 2着2着!
9 3着3着……
0 おおっと
- 834 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/07(日) 22:18:03.26 ID:9ew0ffa9o
- はい
- 835 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 22:44:02.56 ID:5wtNQhHU0
- パピヨン「――っああぁああああああ!!!」
――十一番シルヴァーパピヨン逃げる逃げる!そしてそのまま一着でゴール!そして二着――三着には――。
少し危ないところもあったが無事に一番にゴールしたパピヨン。重賞二勝目ということもあり、ファンからの歓声も大きい。
パピヨン「――ぷぷ、当然なのに喜んじゃってはっずかし〜……あ、えーっと……いいやめんどくさ」
『ぱ、パピヨン……』
一瞬煽るのを止めようとした、その瞬間心の中でガッツポーズしてしまったが――はぁ。
いつも通り煽りに煽るシルヴァーパピヨン。それが他の走者に向けてではなく、観客に対してというのがまだ安心できるところか――いや、全然安心できない。
――後でまた叱ろう。
パピヨン「あー……でも最初から応援してくれた人は見る目あるじゃーん!ありがとねー!ぷはははは
!」
- 836 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 23:26:48.65 ID:5wtNQhHU0
- 『お疲れさまパピヨン、いい走りだったよ』
パピヨン「ふ〜……疲れた疲れた。えへ、でしょ〜お兄さん?」
控室に戻ってきたパピヨンはそれは良い笑顔だった。
……こういう時自分はますます情けなくなる。叱ろうと思っていたのに、なんだかその気が無くなってきてしまう。
パピヨン「あれあれ、何か言いたいことがありそうな顔してるけど……どしたの?」
『……別に何も。うちの担当はよくやってるなと褒めてあげたかったんだよ』
パピヨン「え〜?絶対違うでしょ〜!ぷぷ、ほんっとお兄さんチョロいよね〜、一応トレーナーなんだからそういうときはちゃんとしないとでしょ?」
『…………』
……この前の発言で、成長したなと思ったがそれも撤回しなくてはいけないかもしれないな、と。思った。
- 837 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 23:35:16.69 ID:5wtNQhHU0
- ――チャンピオンズカップ。ステラライムは:コンマ直下
1 圧倒的な――
2-4 一着一着!
5-6 二着
7-8 三着
9 掲示板
0 おおっと
- 838 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/07(日) 23:46:06.10 ID:vj+FUlTDO
- はい
- 839 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 23:52:14.53 ID:5wtNQhHU0
- 一気に0来てビビる
- 840 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/07(日) 23:53:07.16 ID:GMAujKw7o
- コンマ神はこういうことする
- 841 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 23:55:00.61 ID:5wtNQhHU0
- おおっと――:コンマ直下
1-3 掲示板には"レコード"の文字
4-5 ダートを流れる星の煌めき
6-7 脚を挫いて……。
8-9 故障発生
0 ――
- 842 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/08(月) 00:00:06.82 ID:p7PZF4lDO
- レコード
- 843 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/08(月) 00:05:26.34 ID:41is1SSw0
- うおおおおお疲れさまでした。今日はこれで終わりたいと思います、ありがとうございました。
チャンピオンズカップレコードのステラライム誕生の瞬間でした。
- 844 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/08(月) 00:45:46.54 ID:Vz/DNykWo
- うおおおおお!
やっぱりこの世代の実力では筆頭っぽいぜライム!
(メタ的にライムまで故障入るとパピヨンの目標が……となるのはコンマ神も空気読んで頂けたな
- 845 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/08(月) 09:09:01.44 ID:DidhZNq0O
- 乙
やっぱラスボスはライムなんじゃないかな…ちょっと仲良し組の中でも飛び抜けてるよね
- 846 : ◆OX0aJKbZO.0H :2024/07/08(月) 23:14:32.42 ID:41is1SSw0
- 現役ダートウマ娘最強格と言っても差し支えない実力になってきましたねステラライムは。
そんなステラライムに勝てたら、一気にダート最強名乗れるくらいにはなりそうですね。勝つことが出来たらですけど。
ちょっとまた期間空きそうです。全然進まなくて申し訳ないです。
なのでまたなんか書き溜めておこうと思います、耳かきの時みたいに。案が多かったものや自由安価で良いなぁって思ったもの書きます。
何か:安価下1~3まで。
1 パピヨンが【貴方】にウマ耳マッサージされる話。
2 パピヨンが抱き枕に嫉妬する話
3 煽りすぎてちょっと分からせられるパピヨンの話
4 自由安価(パピトレ限定)
- 847 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/09(火) 00:25:35.07 ID:OnbinuxZo
- そんな国内ダート最強格でも勝たねぇとこちとら海外行く約束あるんだ……!
安価は2
- 848 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/09(火) 00:40:59.51 ID:r21g0JSDO
- 3
- 849 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/09(火) 06:01:21.51 ID:qYojctqeo
- 1
- 850 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/09(火) 17:34:47.65 ID:TfnURFTbO
- 一番安価が多かったものを書く予定だったのですが書き方を間違えているせいで全部書くみたいになっちゃいましたね……
これは自分が悪いのでちょっと頑張ります。すぐに全部投下は出来ませんが……
- 851 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/09(火) 18:00:07.06 ID:2E3+o32uo
- おう無理しないで?
でも書いてくれるなら嬉しいので待ってます
- 852 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2024/07/10(水) 22:49:35.41 ID:idRbC2iy0
- b͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇
- 853 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/11(木) 23:13:26.11 ID:sn/Ab0NW0
- ――まるで"流星"のようだと誰かが言った。
青いポニーテールが流れる星の軌跡を表すように、風を切り裂き靡いてく。青い星が残した残滓が、彼女の流れる道を示していく。
――最終コーナー!さあここで外からステラライム!ステラライムが仕掛けてくる!他のウマ娘を一気に抜き去り先頭のウマ娘との差を縮めに行く!
見るものすべての視線を釘づけにして、その速さと煌めきをどんどん高めていく、ダートを流れるその青い星は――誰が見ても圧倒的だった。
――凄い!なんて速さだ!?あっという間に先頭に立ちどんどん後続との差を広げに行く!1バ身!2バ身!3バ身!?どんどん広がっていく!
その流星の名は――ステラライム。"青の流星"とも呼ばれるようになる彼女は、誰がどう見ても覚醒していて――誰しもにそう思わせた。
ああ、このウマ娘が――現役最強なのだと。
――ゴール!!!ステラライム後続と5バ身の差を付け一着でゴール!
――そしてなんとレコード!掲示板にはレコードの文字!ステラライムG1二勝目にしてチャンピオンズカップレコードタイム!
ライム「――――っ!」
眼に見える程の青色の煌めきを輝かせながら。今一着でゴールしたステラライムは。
ライム「――ありがとうございました……っ!ありがとうございましたっ……!!!!」
――大きく観客席に頭を下げ、そしてめいいっぱいの感謝の気持ちを伝えていた。
――――歓声が、一際大きくなった。
- 854 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/11(木) 23:15:33.43 ID:sn/Ab0NW0
-
翌日。
『…………』
――"チャンピオンズカップレコードウマ娘誕生!そのウマ娘の名はステラライム!"なんてタイトルで色んな雑誌や新聞でそのレースの事は特集されていた。
思えば全日本ジュニア優駿の時も彼女はこんな風に特集されていたな……流石G1二勝のウマ娘。
こちらは……特集組まれないなぁ。デビューしたばかりの頃に来たあの記者は今どこで何をしているのだろうか。
雑誌のページをめくる。現役ダート最強のウマ娘!……成程目を引くワードだ。最強なんて言葉を使われたら――どうにも意識せざるを得ない。
パピヨン「……みんなライムが最強だって?ぷぷぷ、まあ――分からなくもないけど」
ソファの隣でスマホを弄っていたパピヨンが、自分が見ていた雑誌を横から見てそう言う。あのレースを見た瞬間、自分もパピヨンも分からされたのだ、ステラライムが最強だという事実を。
――それくらい圧倒的だった。それくらいに、煌めいていた。
パピヨン「けど、それは――今だけの話でしょ?」
『ああ、今だけの話だ』
ステラライムは最強だ、そうこの瞬間だけは。
――最終的に最強のダートウマ娘になるのはシルヴァーパピヨンであると、このトレーナー室にいる一人のトレーナーと一人のウマ娘はそう確信していた。
パピヨン「――それじゃ、そろそろトレーニングに行こ?アタシ、今はやる気十分だから」
『ああ、勿論だ。キミがやる気なら――そのやる気に応えてあげるのがトレーナーの役割だからな』
――そしてキミを最強にするのが、自分の使命だ。
- 855 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/11(木) 23:21:47.87 ID:sn/Ab0NW0
- 2回目のクリスマス、イベント:安価直下
1 いつもの4人でクリスマスパーティーだ!
2 ――ブラックマンティスの病室へ。
3 クリスマスもトレーニングを頑張る彼女に、ご褒美を。
4 自由安価直下
- 856 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/11(木) 23:37:44.53 ID:FzGWQ4BDO
- 1
- 857 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/12(金) 00:09:47.48 ID:xGhK2rTh0
- ――トレセン学園に来てから2回目のクリスマス。去年はサンタさんになってお兄さんにたーっぷりプレゼントを用意してあげたっけ?いやぁ、アタシは良いウマ娘だなぁ。
でも今年のアタシはサンタさんじゃない。ただのクリスマスを楽しむウマ娘。たっぷりクリスマスの飾り付けがされたトレーナー室に。いつもの面子が揃っていた。
……で、そこでアタシが聞かなくちゃいけないことと言えば。
パピヨン「ライムさ、彼氏君とのクリスマスデートはどうしたの」
シルフィー「え、えええっ!?ク、クリスマスにデートの約束……してたんですか!?」
ライム「し、してない!してないしてないですって!?パ、パピヨンさん!?何を言ってるんですか!?」
――顔を真っ赤にして否定をするライム。うーんこれがダート最強と名高いウマ娘の姿……全然それっぽくない。
ライム「……クリスマスも普通にトレーニングでしたし、その。そういうのは帰省してからということになりまして……」
パピヨン「おー」
シルフィー「おー……」
ライム「止めてくださいその反応!」
いつも通りのやり取り、いつも通りの空気間。でもなんだか足りない、何時もいる一人のウマ娘が、その場にはいない。
――彼女の分まで、アタシたちが楽しまないと。
マンティ『あ、あのぉ……なんか、パピヨンさん……私がもういないウマ娘みたいな感じにしてません?』
- 858 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/12(金) 00:10:17.73 ID:xGhK2rTh0
- パピヨン「あ、バレちゃった?」
シルフィー「ちゃ、ちゃんといますから!マ、マンティさんは大丈夫ですか?電波の調子とか、機械トラブルとか!」
マンティ『ひゃ、ひゃい!だ、大丈夫です……!』
――タブレットには今病院の一室にいるマンティの顔が映ってる。そう、マンティだけリモートなんだよね。
脚がまだまだ出歩ける状態じゃないから病室でパーティー――なんてことが出来るはずもなく。ならせめて、ということでこういう形での参加となった。
ライム「それにしてもマンティさんは気合いが入ってますね。サンタさんの帽子、似合っていますよ!」
マンティ『あ。ぅ、こ、これは、ナースの人がプレゼントしてくれて……!は、恥ずかしぃ……』
……よく見るとマンティの背景にもクリスマスっぽい飾り付けがされている。なんだかナースさんにだいぶ可愛がられているような雰囲気。
…………マンティっぽいなとなんとなく思った。
パピヨン「さてさて早速ご飯食べちゃおう!ライムが彼氏にふるまう予定だった料理、全部平らげちゃおうねシルフィー?」
シルフィー「こ、これが彼氏くんに込められた愛情の味なんですね……!」
ライム「まあ、美味しく食べてくれるのは嬉しいんだけど……!パピヨンさん!」
――こうしてクリスマスパーティーが始まった!
さぁて食べるぞ食べるぞ!
- 859 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/12(金) 00:10:45.82 ID:xGhK2rTh0
- 誰に話しかけようかな……:安価直下
1 グリーンシルフィー
2 ステラライム
3 ブラックマンティ
- 860 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/12(金) 00:51:34.91 ID:bjZWga+DO
- 1
- 861 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/12(金) 01:15:19.27 ID:xGhK2rTho
- 今日はこれだけです。お疲れさまでしたおやすみなさい。
募集した奴はちまちま書いていきたいと思います。
- 862 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/12(金) 01:29:05.86 ID:xGhK2rTho
- 安価します。こんな時間ですけど。
パピヨンのウマお耳の大きさ。:安価直下
1 ちっちゃい
2 普通
3 おっきい
- 863 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/12(金) 02:14:32.76 ID:AZORHqT3o
- 3
- 864 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/13(土) 01:52:21.49 ID:dP0xf+K7O
- 時間が遅すぎて誰も参加できてないんでもう少し人がいそうな時間にやって欲しいです
日付変わると誰も参加できないです。そのせいか話の進みも遅いので。
- 865 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/13(土) 06:10:44.85 ID:m3StPNSz0
- あのねえ、イッチにも生活があるんだよ
何でお前の都合に合わせなきゃならんのだよ
- 866 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/13(土) 11:07:02.66 ID:vc862MbzO
- それは思うけど実際深夜帯だと人いないし進まなくない?
このままパピヨン終わらないままエタるとかあんまみたくないし…ちょっと考えて欲しいな
- 867 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/13(土) 12:04:12.69 ID:RlI+sFuvO
- ほならね
自分でオリウマ娘ものスレ建てて書けって話なんですよ
- 868 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/13(土) 19:36:54.75 ID:vc862MbzO
- >>866です。
なんでいきなりほならね理論展開されてんのかがわからない…
時間もう少し時間早い方がいろんな人参加しやすいのは事実でしょう。事実他のスレはちゃんと人がいるし。
- 869 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/13(土) 20:01:07.97 ID:sqe+NmJb0
- >>1の立場になって考えろよ
毎日夜遅くまで仕事で早い時間にやりたくてもできないのかもしれないだろ
そんなことぐらい想像できないのか
これだからニートは
- 870 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/14(日) 19:31:49.16 ID:K2AMoNZr0
- 更新時間はもう少し早い時間にしたいですけど、なかなか難しいですね〜。たまに早めの時間に出来たりもしますけど、まあ時期によります。
- 871 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/14(日) 19:33:21.85 ID:K2AMoNZr0
- シルフィー「もくもく……んっ、美味しい……!」
パピヨン「シルフィーって結構食べるタイプだよね」
シルフィーの手に持った紙のお皿にはこれでもかと盛られた料理。もくもくと食べては目をキラキラと輝かせている様は、なんだかおもしろい。
……もぐもぐ。やっぱりライムの料理は絶品だ、前に試食した時よりも美味しくなってる。
パピヨン「はーあー、クリスマスはもっとキラキラしてると思ったけど結局いつもの面子でご飯食べて……あんまいつもと変わらないじゃん」
シルフィー「ふふっ……私は楽しいですよ。パピヨンさんは、つまらないですか?」
……そういうことをアタシ言ってないんだけど。ズルい、つまらないとかそんなわけないでしょ。
ちょっと変化があると思っただけ!お兄さんも今仕事でいないし!てかお兄さんクリスマスに仕事!?かわいそ!
シルフィー「……クリスマスが終われば直ぐに年が明けて、そしてまたレースですね」
パピヨン「んね、レースレースレース、トレセン学園の生徒らしくそれくらいはしなくちゃね」
――走るのは好きだしそれは問題ない。好きだから走る、好きだから走り続けられる。
これが私の原点で、他にも色んな要素が付け加えられたけど――そこは変わらないと思う。ある意味で、お兄さんと出会ってから今に至るまでで、一番アタシが理解した部分かも。
勿論、誰かのために走るとか、期待を背負うとか、そう言うのもあるけどね。
シルフィー「ウマ娘は走るために生まれてきた……私も、パピヨンさんも、ライムさんもマンティさんも……誰しもが例外ではありませんよね」
語るシルフィーに頷く。そうでもなきゃ、アタシはきっとトレセン学園になんて来ていないからね。
- 872 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/14(日) 19:42:14.98 ID:K2AMoNZr0
- ちょっと自由安価します。
★
シルフィーと何かお話。:自由安価直下
- 873 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/14(日) 20:08:50.97 ID:rRSzngiE0
- 君のエネルギーって何だい?
- 874 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/14(日) 20:12:27.17 ID:O8hui2+To
- 中央トレーナーは激務、皆知ってるね!
- 875 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/14(日) 21:10:55.48 ID:K2AMoNZr0
- パピヨン「じゃあシルフィーが走る理由ってなによ」
シルフィー「走る理由、ですか?」
――ウマ娘は走るために生まれてきた。それはそうだと思うけど、走る理由や、走る為のエネルギーは千差万別。
自分自身の夢のため、憧れのため――アタシの場合は、期待に応えるため。そして、ライバルのため最強になるために、走る。
あ、もちろん走るのが好き!ってのは前提条件なので言わなかっただけだけど?
シルフィー「――最初は親友との約束を果たす為でした。トリプルティアラウマ娘になるのが、私が走る為のエネルギーになっていました」
けどそれは最初の冠の時点で果たせなくなってしまいました……あの時は、とても気分が落ち込んでいましたね。
パピヨン「ああ、そういえばそんなだったねあの時期」
言われてみると、確かに。桜花賞で負けてから暫くはシルフィーもう死にそうな表情だったっけ。心配になるくらいだったけど、何時の間にか立ち直ってたから特にアタシも何も言わなかったっけ。
シルフィー「トレーナーさんに言われました。夢破れても、最初で挫いてしまっても――走り続けるべきだと」
――親友との約束。今思えばウマ娘のアタシにずっとずっと走って欲しいために行った言葉――なんじゃないかなと、今ではなんとなく思います。と、クスっと笑う。
シルフィー「ですから私のエネルギーは親友との約束のため、というのは変わりませんけど。私が走り終えて――最後、親友に向かって無事に走り切った!と報告をするためかもしれませんね」
パピヨン「……大好きじゃん、その親友のこと」
シルフィー「――ええ、大好きです」
うわっ、やば……。
- 876 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/14(日) 21:13:14.79 ID:K2AMoNZr0
- 誰に話しかけようかな……(最後):安価直下
1 ステラライム
2 ブラックマンティ
- 877 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/14(日) 21:16:50.11 ID:zxJ0Q64Co
- 1
- 878 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/14(日) 21:30:50.00 ID:K2AMoNZr0
- ブラックマンティスの名前間違えてるのに気づいてたのに直し忘れてました……。
★
ライム「どうですかパピヨンさん!パピヨンさんのアドバイスを参考に料理したんですけど……!」
パピヨン「ん〜……ひゃくてんまんてーん」
ライム「!!!」
……分かりやすいくらいに満点の笑顔。嬉しそうだなぁ、ほんと。
このステラライムってウマ娘はずっと明るい。優しくて礼儀正しくて、前向きで――眩しい。
星のように明るくて、瞬いている。
パピヨン「…………」
そんなに輝いているから、アタシも――こんな風になっちゃった。暗いアタシを嫌になるくらい照らす一等星。それが――。
ライム「?パピヨンさん」
パピヨン「あ、いや。やっぱライムの料理はおいしいな〜って。やっぱり愛情かな?必要なのは」
ライム「も、もう!だからそうやって茶化すのは止めてください!」
パピヨン「ぷぷぷ!」
――だからずっと輝いていてほしい。曇らないで、陰らないで。アタシを照らしたその責任――取ってよね。
ライバルとか言いだしたのも悪い、あんなグイグイ来たのも悪い。ああ、ほんっと、出遭わなかったら――どうなってたんだろアタシ。
- 879 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/14(日) 21:31:19.46 ID:K2AMoNZr0
- ライムと何かお話。:自由安価直下
- 880 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/14(日) 21:53:56.59 ID:yrnkZmnU0
- レコード出した時の気持ちなど聞きたい
- 881 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/14(日) 22:38:28.23 ID:K2AMoNZr0
- パピヨン「そういえばレコードおめでと。テレビでちゃーんと見てたよ〜?」
ライム「あ、はい!ありがとうございます!」
――あのチャンピオンズカップ以来、テレビ番組でちょくちょくライムの事を見る機会が多くなった。そりゃあレコードを取るほどの実力で、明るくて真面目で良い子なんだから、うってつけだよね。
アナウンサーの人の質問にハキハキ答えてるのが好印象な感じ。変なこともあんまり言わないし。
パピヨン「レコード出した時の気持ちはどうですか〜?ステラライムさ〜ん?ほらほら、アタシにも教えてよ〜」
ライム「ちょ、ぱ、パピヨンさん止めてください……!んっ、脇腹突っつかないでくださいよぉ……!」
つんつんつんとライムの脇腹を攻撃。このこの、有名ウマ娘め。勝負服だったら背中をつんつんしてあげちゃうからね。
ライム「……正直な所、レコードを出した時の感動というのはあんまりないんです。それは勿論、嬉しい!みたいな気持ちはありましたけど……」
パピヨン「ふーん?」
――ああ、なんとなく分かったかも。
ライム「私としては、精一杯頑張った結果一着を取れてそれがレコードであってもなくても――それは同じ気持ちです」
どんな一着でもアタシは精一杯の感謝を伝えますし、同じくらい嬉しいです。
ライム「な、なんて。ちょっと傲慢ですかね。実はこれ、テレビでもあんまり言ってないんですよ……あはは」
パピヨン「うん、知ってる。聞いててちょっとモゴモゴしてるなって思ったもん
」
ライム「うぇ!?」
- 882 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/14(日) 23:06:14.65 ID:K2AMoNZr0
- パピヨン「ライムがレース系で結構傲慢なのバレてると思うけどね〜。だって話してる感じとか、オーラとか凄いよ?」
ライム「そ、そうですか……?あ、あんまり意識はしていないんですけど」
――まあ無意識だろうなとは思う。だって、狙ってあんなこと言えたら驚きだよ。天然物の発言じゃなきゃあり得ないよ。
「――――私はパピヨンさんをライバルだと思っています!」
こんなセリフ、押しつけがましいにもほどがある。勝手にライバル認定して、勝手に期待して、勝手にアタシにはライムに勝てる力があるみたいなことを、明るく言って――。
――だから、アタシは。
パピヨン「――でも、アタシそう言うの嫌いじゃないよ?ライムらしいじゃん」
ライム「……?は、はい!ありがとうございま、す……?」
パピヨン「褒めてるの!だから素直に受け取っておきな〜?」
なんだか納得がいっていないみたいで、うーんと首をかしげているけど。本当にそういうところは嫌いじゃないよ?アタシは。
- 883 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/14(日) 23:48:44.94 ID:K2AMoNZr0
- マンティ「――パピヨンさん、パピヨンさん」
パピヨン「ん?どしたのマンティ」
――タブレット越しにマンティに名前を呼ばれる。何時の間にかサンタさん帽子は取っていていつもと変わらない普段通りのマンディがそこにいた。
あーあ似合ってたのに、勿体ないなぁ。
マンティ「その、この前は……ありがとうございました」
パピヨン「……え、なんかやったっけアタシ」
マンティ「え、ええっ!?あ、あの、前に言ってくれたじゃないですか……!わ、我が儘になって良いって、リハビリ頑張れって……!」
パピヨン「ぷぷ、冗談だって冗談。覚えてる覚えてる」
いや、最初から覚えてはいた。マンティに改まってお礼を言われるようなことなんて、あれくらいしかない。けどアタシにとってあれはそんなお礼を言われるようなものじゃないと思う。
我が儘で良いなんて普通の女の子なら当たり前のことだと思うし。アタシはそれに付き合っただけ。むしろアタシの我が儘に突き合わせてる感じ。
――でも、それでマンティが元気になってくれたのなら、アタシも嬉しい。
マンティ「わ、私……頑張ります!だから、パピヨンさんも……頑張ってくださいね」
パピヨン「――うん。頑張る頑張る」
――――一年後、マンティが走れるようになったとき。最強のウマ娘として――立ちはだかる。その為にもまずは。
ライム「……?」
パピヨン「自分で作ったものだから全然良いと思うけど、そんなに食べると太るよ?」
ライム「ふぁ、ふぁい!?」
――あの青く輝く流星を、どうにかしなくちゃね。
- 884 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/15(月) 00:17:25.36 ID:EmETXnrh0
- 日付変わったので今日はこれだけ、お疲れさまでした。
次のレース決めしてからお正月です。
- 885 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/15(月) 01:27:47.77 ID:1cIZXyWDo
- おつおつ
持てる者特有というか爽やかに傲慢なライム、悪くない
そんなライムにちょくちょくしっとりしているパピヨンは、もし彼女いなかったら……おにーさん色々ヤバい
- 886 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/15(月) 07:35:02.89 ID:62QayciDO
- 乙
シルフィーやマンティスに対してもしっとりして
- 887 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/15(月) 21:22:29.70 ID:EmETXnrh0
- パピヨン「ぷぷぷ〜、クリスマス当日に一人ぼっちで寂しい夜を過ごしたおにいさーん!寂しいのは分かるけど、可愛い担当ウマ娘をトレーナー室に連れ込むのはアタシどうかと思うけどな〜?」
『キミなぁ……』
クリスマスが終わり、【貴方】はシルヴァーパピヨンをトレーナー室に呼び出す。いつもの調子でいつもの感じに煽られバカにされ、何とも言えない表情をする【貴方】
実際今年のクリスマスは仕事の消化だけで終わってしまった。一応の休日ではあるが、新米の【貴方】にそんな休日はあってないようなもので、それは他のトレーナーにとっても同じだった。
『……そういうことを言っていると、もし自分が一人で過ごすことになったときに返ってくるぞ』
パピヨン「え〜?アタシ、そんな寂しいクリスマスを過ごす予定とかないからな〜。あ、ごめんねお兄さん?アタシクリボッチとか経験したことないから気持ちが分かんなくて〜」
『……』
――クリスマスという特別な日だからこそ、彼女の煽りが苛烈だった。正直、あまり一人ぼっちということは気にしていなかったが、ここまで言われてしまうと……ちょっと気にしてしまう。
パピヨン「ほらほら、寂しいお兄さんは何の用でアタシを呼んだのかな〜?アタシも暇じゃないんだからさ〜」
『キミ本当に後で怒るからな……はぁ』
【貴方】はため息をついて、話を戻す。パピヨンする予定だった話というのは、次走のレースについてである。
年明けてから最初の戦い、ここは慎重に決めたいところだが――今回に限っていえば。分かりやすい目標がある。
『――ドバイゴールデンシャヒーン』
ドバイ首長国にあるメイダンレース場にて行われる、ダート1200mのG1レース。ドバイゴールデンシャーヒン。年明けてから海外のダート短距離G1に出るとしたら、まず候補に挙がるものだ。
世界からダートスプリンターが集まり己の脚を競い合う電撃戦。参加するなら今しかないと、二人は思う。
- 888 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/15(月) 21:23:57.93 ID:EmETXnrh0
- パピヨン「けど――アタシとしては、一発かまさなきゃいけない相手ももちろんいるんだよね」
仮に世界を獲ったとしよう、しかし。その世界ではまだ勝てていない相手がいる。
勿論それは、ステラライムである。
『ステラライムが次に出走するであろうレースはG1フェブラリーステークス。東京レース場で行われる1600mのマイル戦だ』
――東京、左回り、1600m。この条件は、ステラライムに大敗したあのユニコーンステークスと同条件だった。
シルヴァーパピヨンの眉間に皴が寄る。
『もしフェブラリーステークスに出るのであれば、前哨戦としてG3根岸ステークスに出走するという手もある。が――その場合出走間隔がな』
出るレースによってはドバイでのレースは諦めて、他のレースに向けるという手もある。ライバルとの約束は一年後――それまでに、一度でも海外に羽ばたくことが出来れば。
パピヨン「ま、どんな結果になろうとお兄さんがアタシのために頑張ってくれるんでしょ?トレーニングか、スケジュール調整と」
『ああ、当たり前だ』
――どうなったとしても、パピヨンが走れるように調整をする。我が儘を聞いてあげることがトレーナーの仕事であると【貴方】は考える。
海の向こうへ挑戦状を叩きつけるか、最強のライバルと決着を付けるか、レースを経て経験を積むか。
さあ、次走は――。
- 889 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/15(月) 21:25:24.87 ID:EmETXnrh0
-
次走:安価下3までで多いもの。多数決。※今回に限り、海外直行ありです。
1 3月後半、G1ドバイゴールデンシャヒーン
2 2月後半、G1フェブラリーステークス(VSステラライム)
3 1月後半、G3根岸ステークス
★
今日はこれだけです。おやすみなさい。
今回は多数決です。多かったものを採用します。そろそろ物語が大きく動き出しそうですが、どうなっても相手は最強レベルです。
- 890 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/15(月) 21:34:17.86 ID:1cIZXyWDo
- vsライムは個人的にクライマックス派
1で
- 891 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/15(月) 22:15:25.54 ID:W1WsUpGfo
- 1
- 892 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/15(月) 22:30:23.40 ID:jSeFZq//0
- 1
- 893 : ◆OX0aJKbZO.0H [sage]:2024/07/16(火) 06:15:49.91 ID:Fsggd0R8O
- おはようございます。
シルヴァーパピヨン海を越えて。いざ行かん。
- 894 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/16(火) 21:45:12.93 ID:wkLnhZtDo
- 海外の砂の方が適正ある……といいなぁ!
- 895 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/16(火) 22:58:40.11 ID:7jXHerMK0
- 記者「――――なるほどなるほど!ドバイゴールデンシャヒーンに挑戦ですか!」
トレーナー室のソファに腰を掛けるその男は【貴方】のそのセリフに目を輝かせ、テーブル越しに上半身をグイっと寄せ【貴方】に迫る。
――シルヴァーパピヨンに初めて取材をしたあの記者。今もなお取っておいた名刺から連絡して次の日にはもう来てくれた、あの日以来一度も取材には来なかったのでもう忘れられているのではないかとも思ったが、そうでもないようだった。
記者「いやぁすみませんね、わたくしとしてもパピヨンさんの取材に赴きたかったのですが、いかんせん下っ端なもので上からの命令で他のウマ娘ばかり……」
『いえいえ、気にしないでください。その上からの命令で取材をさせたくなるようなウマ娘に出来なかった、自分の責任ですから』
パピヨンの言動を差し引いても取材したくなるような、輝かしい成績のウマ娘であったら、きっと今頃取材陣に囲まれまくりである。それは流石に勘弁したいなと【貴方】はぼんやり考える。
記者「しかし海外初挑戦、しかもG1競争……少し無謀ではありませんか?パピヨンさんの戦績から考えますと、ジャイアントキリング狙いでしょうか」
それともパピヨンさんの本領は海外のダートであると?記者は問いを投げかける。
――確証はない。未だ海外で走ったことがないのだから、可能性は未知数であり、無限大だ。しかしいうなればそれは、パピヨンが海外の大舞台で惨敗するかもしれないという可能性もある。
無謀で、無鉄砲。考えなしで、勢い任せ。
『けどそれでも、自分は――パピヨンなら、やれると信じています』
自分はシルヴァーパピヨンのトレーナーですから。彼女の信じる、走りたい道を走らせてあげたいんです。
- 896 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/16(火) 22:59:17.96 ID:7jXHerMK0
- 記者「なるほどなるほど……はい、貴方のシルヴァーパピヨンさんへの熱い思いは伝わりました。では、そのように記事は書かせてもらいます」
少々脚色は加えるかもしれませんが、きちんと載せさせてもらいますよ。と、笑顔で言う男。その笑顔にどことなく不安を覚えるが、まあ、大丈夫だろう。
『すみません、よろしくお願いします』
記者「ところで、何故わたくしを?シルヴァーパピヨンさんの海外挑戦ならば、もっと大きな雑誌でも取り上げられそうなものですが。自分で言うのも何ですが、木っ端の雑誌ですよ」
――――確かに、最初に呼んだ記者はこの男だ。だが別に他の雑誌にも宣伝するつもりだし、テレビで小さなニュースくらいはなるかもしれない。
けど、なんとなく【貴方】がこの男を最初に海外挑戦を伝えたのには――あの日の彼女の言葉が理由だった。
『……パピヨン曰く、よっぽど見る眼があるそうですから。貴方は』
――パピヨンの事を見透かしたように語ったあの日の男。真っ先にパピヨンを取材した記者の男。それを、パピヨンは見る眼があると言った。
それだけの理由、それっぽっちの理由。
記者「――はは。成程、記者としてそう言って貰えると嬉しい限りです。では私の記者としての人脈や能力を使い出来るだけこのニュースを広げましょう!さあ、日本中に伝えるのです!シルヴァーパピヨンさんがドバイの地で世界一に輝くのだと!」
『ええ、よろしくお願いします!』
- 897 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/16(火) 23:00:13.25 ID:7jXHerMK0
-
雑誌の見本誌が送られてきたので確認をする。ぺらぺらと捲り大々的に書かれたその見出しを見る。
――――シルヴァーパピヨンは世界で羽ばたく!ドバイの地でその実力は覚醒!?
……まあ、いいか。ギリギリ、許容できるか……?
ああ、こら。そこの当事者ウマ娘。笑うな笑うな。ああくそ、なんで虹色でこんな見出し作るんだ……!
- 898 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/16(火) 23:03:38.84 ID:7jXHerMK0
-
――次走が3月後半、G1ドバイゴールデンシャヒーンに決まった!
- 899 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/16(火) 23:25:58.10 ID:7jXHerMK0
- パピヨン「あけおめことよろ〜」
『雑だな、色々と』
――新年早々、トレーナー室にやってきたパピヨンはそう一言だけ言ってソファに腰を掛けた。
パピヨン「ほらほら、どうせお兄さんの事だしお汁粉とか用意してくれてるでしょ?レンジでチンしてきて〜」
『……はいはい』
まあ、用意はしてるんだが……。コンビニで複数個買っておいたので、自分のと合わせてレンジでチンをする。
パピヨン「アタシの部屋ちょっと寒いんだよね、シルフィーも寒いって理由でトレーナーのお部屋に温まりに行ってるし」
『へぇ、結構そういうウマ娘は多いんだな……なら、あれだな。炬燵でも出しておけばよかったか』
パピヨン「えっ!?炬燵あるの!?なんで出してないの!?あり得ないんだけど!?」
『……』
滅茶苦茶怒られた。
『ほら、お汁粉。あっついからゆっくり食べるんだぞ』
パピヨン「ん、ありがと〜」
…………。
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