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【安価コンマ】オリウマ娘と共に

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759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2024/06/30(日) 18:43:24.95 ID:xnEb7ibt0
ด้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้้็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็็
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2024/06/30(日) 18:44:10.89 ID:xnEb7ibt0
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761 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2024/06/30(日) 18:44:37.45 ID:xnEb7ibt0
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762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2024/06/30(日) 18:45:17.71 ID:xnEb7ibt0
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763 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2024/06/30(日) 18:45:45.85 ID:xnEb7ibt0
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764 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/30(日) 23:47:58.64 ID:1nrOjH1Z0
マンティ「――――」

和室に置かれたテレビにはレースが流れています。先頭を往くのは銀色の髪をなびかせ、思うがままに逃げるウマ娘。それを追うのは栗毛のウマ娘と芦毛のウマ娘。

――叫び声と共にゴールした逃げウマ娘が、ゆっくりとスピードを落としながら息を整える。そして何度も聞いた口調で観客席に――。

マントレ「……どうですか。イメージは付きましたか?」

マンティ「ふぇぇ!?あ、と、とれーなーしゃん!?お、おつかれさまです!?」

マントレ「ほらほら落ち着いてください。今冷たいお茶を入れますから」

和室の奥からとれーなーしゃん……ち、違います!トレーナーさんがにこにこと笑いながら、お茶の準備をしてこちらに向かってきます。

……冷たい。美味しいです。

マントレ「今日は一段と暑いですから、熱中症には気を付けませんと。ゆっくり飲んでくださいね、お茶菓子に羊羹もありますよ」

マンティ「あ、ありがとうございます……」

――この和室は私のトレーナーさんのトレーナー室です。ちょっと学校とか寮からは離れた場所にあって、なんだか……そう。雰囲気のある所に、このトレーナー室はあります。

ちりんちりんと風鈴が鳴って、風情を感じます?その辺は、まだまだ分からないことばかりですけど……落ち着く場所で、気に入っています。

マントレ「――エルムステークス、標的は勿論シルヴァーパピヨンさんですか」

マンティ「は、はい。それ以外にも沢山……ユニコーンステークスも、全日本ジュニア優駿も。た、沢山、見ました」

パピヨンさんだけじゃありません、それ以外の出走者の今までのレースも何度も何度も繰り返しリピート。その走りを頭に刻みつける行為。目を瞑るだけで、その走りがイメージできるように、ただひたすらに観察をしました。

マントレ「貴女には実力がある、しかし中々差し切れない。それは単に――他を知らなかった為です」

他の走者の走りを知れば、どのような動きをしてくるかが分かる。どのタイミングでスパートをかけるか、仕掛けてくるかが分かる。勿論それは完璧じゃないし、当然トレーニングによって強くもなっている。

マントレ「獲物を知れば狩りやすくなります。ですから、しっかりと頭に刻み付けて――自信にしましょう。自分はこの自慢の末脚で絶対に刈り取れる――ハッキリとそう思えれば、もう貴女の独壇場です」

マンティ「ふぁ、ふぁぃ……が、がんばり、ます!」

ええ、その意気ですよ。と、優しく私のトレーナーさんは微笑んでくれました。背丈は私と同じ……いえ、ちょっと小さいくらい?なのに、まるでおじいちゃんみたいな安心感を与えてくれます。

……何歳なんでしょうか?
765 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/30(日) 23:49:36.11 ID:1nrOjH1Z0
マンティ「そ、それで。あの、と、トレーナーさん!その、お、お願いがあるんです!」

マントレ「はい?」

マンティ「も、もし私が東京盃を勝てたら――ご、ご、ご褒美を下さぁい!」

――は、はぅう。か、顔が熱いです!こ、こんなご褒美だなんて……わ、私らしくない。ひ、ひぁ。だ、ダメでしょうか……?

マントレ「……ふふ。はは、珍しいですねマンティスさんがそんなおねだりだなんて」

マンティ「ご、ごめっ!ごめんなしゃい!わ、わたし、と、とんだご迷惑を!」

マントレ「いえいえ構いませんよ、それじゃあもし一着で勝てたら――ご褒美をあげましょう。何かして貰いたいことなどはありますか?私に出来る範囲内ならいくらでも」

マンティ「へぇぁ!?あ、ぁ、ありがとうございます!ま、まだ考えてないんですけど……よ、よろしくお願いします!」

――――東京盃まであと少し!が、がんばり、ます!
766 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/30(日) 23:58:15.26 ID:1nrOjH1Z0
ブラックマンティス 5戦2勝
メイクデビュー 3着
ジュニア級未勝利戦 1着
Pre-OP_昇竜ステークス 1着
Pre-OP_端午ステークス 2着
Pre-OP_天保山ステークス 4着



ブラックマンティス成績になります。本編と食い違う部分があったら優しく見逃して下さい。

更新もう少しだけ続きます。
767 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/01(月) 00:20:17.80 ID:3YoYuToa0
――G2東京盃。JBCスプリントのトライアル競争に位置するそのレースには、自信のあるダートのスプリンターが集結していた。

ま、アタシもその一人なんだけど。一番人気らしく堂々とパドックに登場すると……おお、そこそこの歓声。

パピヨン「んま、よろしくね〜」

マンティ「――よぉ、パピヨン」

観客に向かってヒラヒラ手を振っていると、背後から声が。聞いたことのある声が、久しぶりの口調で。

パピヨン「お、マンティ。ぷぷ、もうやる気満々じゃん」

マンティ「前回の屈辱、敗北――きっちりと返させてもらうぜ。ヒラヒラ呑気に飛んでたら――俺様が刈り取るからな」

――いいかテメェら!この俺様の走り!その目ん玉に刻み込んでもらうぜぇ!

わぁあああああああああ……!!!と、アタシよりもデカい歓声。マンティってコアなファンが沢山居るんだよね。走りもハデだし、キャラも濃いし。

パピヨン「ま、そんなこと言って前にアタシに負けたのはマンティだけどね〜?ぷはは!そんな恥ずかしい事言わない方が良いよ?後で後悔しちゃうから〜?」

マンティ「言ってろ!」

――さぁて、初めての公式短距離レース。今までマイルでばっかり頑張ってたけど――一番気持ちよく走って、勝っちゃうから。

――――あー、楽しみ!
768 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/01(月) 00:26:35.25 ID:3YoYuToa0
G2東京盃、VSブラックマンティス――結果は:コンマ直下

1 余裕余裕!
2-5 何とか……でもそれでも!
6-7 ――瞬間、首を何かに斬られた
8 背後のプレッシャーにやられて
9 二人してダメじゃん!?
0 おおっと
769 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/01(月) 00:37:53.47 ID:VXx9k2PEo
勝て!
770 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/01(月) 00:55:03.31 ID:3YoYuToao
お疲れさまでした。今日はこれで終わりです。

自由安価不評のようなのでより一層減らしていきたいと思います。ただやりたいときにはやるのでよろしくお願いします。

マンティ、強い。
771 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/01(月) 02:12:37.12 ID:hDVBvzEKo

マンティご褒美やったぜ。
そして分からせ食らうパピヨンはもはや様式美、コイツ新聞読めるタイプだ
772 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/01(月) 22:06:00.85 ID:3YoYuToa0
――さあ各ウマ娘一斉にスタートいたしました。まずは一番人気シルヴァーパピヨンが先頭を取る。その後ろにピッタリとくっ付いて8番、そこから2バ身ほど離れて先行集団、その後ろにぽつぽつと並び最高峰ブラックマンティス。

パピヨン「――」

アタシの後ろにピッタリとくっ付いたもう一人の逃げウマ娘――今までは自分が先頭の立場だったけど今回はアタシに譲る感じ?ふぅん……別にいいけど。

パピヨン「最初から一番前が一番気持ちいと思うけどなぁ……!」

しかし先頭を争いがないならそれはそれで、アタシはどんどん前へと進んでいく。

最初から最後まで全力全速で、スタミナ切れも考えないで一心不乱に前へ。逃げる逃げる逃げる。

――第3コーナーを曲がり最終コーナー。依然として先頭は10番シルヴァーパピヨン!最後まで逃げ切ることはできるか!

そんなの当然――!そう思った瞬間。


マンティ「――――は、はは、はっ――ははは!!!」


嫌な笑い声、そして世界が揺れたように錯覚する足音が、アタシの世界にズカズカと入り込んできた。
773 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/01(月) 22:08:06.57 ID:3YoYuToa0
パピヨン「――――っ!」

――最終直線、8番はもう苦しいか……!?大外!大外から一気にブラックマンティス!ブラックマンティスがシルヴァーパピヨンに迫ってくる!?

マンティ「ぅおらぁあああああああああああああ!!!!!」

パピヨン「ふざけんっなぁ!!!」

脚を回す、腕を回す。大外から迫るそいつから逃げるために、必死に体を動かす。

まだまだ身体は動く。まだまだアタシは走れる。もっと、もっと早く――!もっともっともっと早く早く早く――!ここで負けたら、アタシだって――!

――残り200!シルヴァーパピヨン先頭シルヴァーパピヨン先頭!しかしブラックマンティスがもうすぐそこ!2バ身!1バ身!


パピヨン「ぁああああああああああああ!!!――っ!?」


マンティ「――並ばねぇよ、じゃあな」


――並ばない!ブラックマンティス大外から一気に先頭!そしてゴール!一着には2番ブラックマンティス!ブラックマンティス重賞初勝利!

――――一瞬で、アタシを抜かして背中を見せつけたマンティは。アタシを見て愉快そうに、笑った。

まるで、首をその鋭利な鎌で斬り落とされたみたいに。アタシは――負けた。速さで、負けた。

マンティ「は、はは、ははは――はははははははははっ!!!!見たかお前ら!これが俺様の走り!目に焼き付けたかぁ!」

――っわぁあああああああああああ!と、爆発みたいな歓声が、レース場に鳴り響く。
774 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/01(月) 22:12:18.69 ID:3YoYuToa0
パピヨン:コンマ直下

コンマが高いほど別に落ち込んでないですけど〜?低いととても落ち込んでる。
775 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/01(月) 22:20:38.13 ID:UXBpLJ2G0
はい
776 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/01(月) 22:27:06.46 ID:3YoYuToa0
しょうがないけどちょっと笑っちゃった
777 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/01(月) 22:48:43.06 ID:spf5m6fdo
防御力に全く振ってないウマ娘
778 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/01(月) 23:37:11.11 ID:3YoYuToa0
パピヨン「うっ……ぐっ、ず……!ぅあ……!」

『……ぱ、パピヨン』

――控室に戻ってきたパピヨンの様子はそれはそれは相当なものだった。

眼が真っ赤に腫れ、鼻水をずぴずぴとすすり、今はまだ我慢出来ているのかもしれないが――一瞬で崩壊してしまいそうなそんな危うさ。

『……お疲れさま。いい走りだった』

パピヨン「う"っ……も、もう少しだったのに、もう少しだったのにぃ……!うぁ、ぐす、ずび……!」

あと少しの所で、大外から一気に伸びてくる黒い影。観客席から見ていても今回のブラックマンティスの走りは――圧巻としか言いようがなかった。

よっぽど悔しかったんだろう。短距離で、しかも速さで――真正面から叩きのめされる。しかもその相手がブラックマンティスなのだからよっぽどだ。

パピヨン「次は……次は絶対に負けない……!次、あんな、絶対差せないくらい、早く逃げ切ってやる……ぅ、ぐすっ」

――。

どうしてあげよう:安価直下
1 ああ、次は頑張ろう。と言葉を投げかける。
2 ……頭を撫でてあげる。
3 自由安価
779 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/01(月) 23:54:08.73 ID:3YoYuToa0
寝ます、おやすみなさい。

安価は下にずらして下さい。
780 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/02(火) 00:01:00.59 ID:Q+3pFzhSo
2おつおつ
781 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/02(火) 10:42:37.58 ID:uKWR5BpTO
この子良い子なのは分かるんだけどやっぱクソガキだよな…
782 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/02(火) 23:38:09.79 ID:HroUrREj0
『…………よく頑張ったな』

パピヨン「ぁぅ」

ゆっくりと手をパピヨンの頭に持っていき、優しく撫でる。サラサラと青みがかった銀色の髪が流れ、指の間を通り、撫でている自分も心地いい。

いい走りだった、次も頑張ろう――なんて言葉、ただの自己満足かもしれない。

パピヨン「……ぐすっ。ほん、と、お兄さん……バカ。バカ、撫でないでよ、頭……セクハラなんですけど……」

――けど、パピヨンの表情はとても嫌そうには見えない。そのセリフも全然嫌がっているようには聞こえない。だからきっと、これは間違いじゃない。

パピヨン「…………もっと撫でて、撫でて、慰めて。アタシ、すっごい悔しいから」

『……ああ、そうだな。キミが落ち着くまでこうさせてもらうよ』

パピヨン「……〜♪」

彼女は嬉しそうに尻尾をゆさゆさと振って。結局ライブギリギリの時間まで頭を撫でる行為は続いた。

――負けた。しかし今までの努力がある。ゆっくりと積み重ねて、糧にして――勝ちにつなげる。

まだまだ先は長い、頑張ろう――【貴方】もシルヴァーパピヨンも。
783 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/02(火) 23:39:42.95 ID:HroUrREj0
マンティ「――す、すみ、すみません。トレーナーさん……えっと、その、あの」

マントレ「はは、忘れていませんよマンティスさん。ご褒美、ですよね」

――東京盃から数日。私の初の重賞勝利に、トレーナーさんはとても喜んでくれました。あんまり表情とか、仕草には現れませんけど……分かります。とてもとても、喜んでくれました。

その様子に、私はなんだか恩返しができたような。今までのお礼が言えたようなそんな気持ちになって、当日はちょっとはしゃいじゃいました……は、恥ずかしい……。

マントレ「では、何でもおっしゃってください。マンティスさんのお願いですから、出来る限り応えさせて頂きますよ」

マンティ「そ、そんな、わ、私は別に……!あ、あぅあぅぁ……」

こ、この日の為に色々と考えてきました……!け、けど本当に大丈夫でしょうか……?こ、こわい、けど、これはご褒美で……!

え、ええぃ、ま、ままよ!


マンティス渾身のご褒美:安価直下
1 な、なで、撫でて欲しいです……
2 こ、今度、い、一緒に……お出かけとか……
3 自由安価
784 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/02(火) 23:43:32.67 ID:4wJGWFyDO
2
785 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/03(水) 00:09:13.89 ID:c79P/Ug50
マンティ「こ、ここ!今度、い、一緒に……お、お出かけ……とか……」

マントレ「……はい?お出かけですか?」

マンティ「は、はい。す、すみませぇん!と、トレーナーさんと、二人で……お、お休みの日に……」

マントレ「…………構いませんが私とですか?面白くもないと思いますが」

マンティ「お、おお、お願いします……」

――トレーナーさんとはあんまりお休みの日に会ったりはしません。ですから、ずっと……のんびりお買い物とか、ご飯食べたりとかしてみたかったんです。

わ、私から言い出すのはなんだか迷惑かなとも思って……でも、今回。ご褒美という形なら――だ、大丈夫、ですよね?こ、これくらい……。

マントレ「はは、変わった人ですね。でも、分かりました。それではスケジュールを合わせますので、お出かけしたい日がありましたら事前に教えてくださいね?」

マンティ「よ、よろしくおねがいしまぁす……!」

や、やった。やった……!と、私は、小さくガッツポーズなんかしてしまった。
786 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/03(水) 00:18:02.20 ID:c79P/Ug50
ちょっと時を遡り、グリーンシルフィーの紫苑ステークス。

秋華賞トライアル、紫苑ステークス。シルフィーの結果は:コンマ直下
1-3 一着
4-5 二着
6 三着
7-8掲示板!
9 掲示板すら……
0 おおっと
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/03(水) 00:24:21.57 ID:d7y17p23o
ぬん
788 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/03(水) 00:30:16.31 ID:uDWw985So
勝敗コンマほんとリアル志向やんな
まあ重賞掲示板って上澄みだからシルフィーもようやっとる
789 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/03(水) 00:31:34.37 ID:c79P/Ug50
前哨戦は掲示板、それでは秋華賞本番は――:コンマ直下

1-2 ダブルティアラ!
3-5 二着!惜しい!
6-7 三着!
8 また掲示板……
9 掲示板も……
0 おおっと
790 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/03(水) 00:57:01.77 ID:uDWw985So
うりゃ
791 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/03(水) 01:06:22.05 ID:c79P/Ug50
秋華賞3着!

それじゃあ今日はこれで終わりです。お疲れさまでした。

シルフィーもオークスウマ娘だしようやっとる。もう少し全体的に1着確率上げても良いかなぁとも思いますが、まあこれはこれで。
792 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/03(水) 11:28:20.50 ID:0fWRpTN7O
ラッキーセブンゾロで1位とか…次のレースで補正とか…ダメ?
793 : ◆OX0aJKbZO.0H [sage]:2024/07/04(木) 00:12:01.30 ID:rb19XgCK0
>>792
1位は無理ですけど何か次のレースでシルフィーに補正上げますね……
ダートに挑戦するのか芝で頑張るのか分かりませんが、詳しいこと内容はきっとシルフィー担当トレーナーが頑張ってくれてます。
794 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/04(木) 22:56:13.19 ID:rb19XgCK0
――が1着でゴール!2着には――3着にはグリーンシルフィー……。

パピヨン「……シルフィー」

秋華賞。トリプルティアラ最後の冠――それを取ったのはグリーンシルフィーではなかった。

――悪くない展開だった。しかし最後の直線で中々伸びず終わってしまった。

『……惜しかったな。シルフィー』

パピヨン「うん、でも一着のあのウマ娘――強かったよね。着差はそんな離れてるわけじゃないけど、でも――」

『ああ、あの青鹿毛のウマ娘――今日に向けてだいぶ仕上げていた様子だった。しかしそれは一番シルフィーが、他の走者が分かっているだろう』

眼に見えて分かるほどのギラギラとしたオーラ、実際に肌で感じていた彼女たちはそのプレッシャーをより深く受けているだろう。感覚としてはそう――ブラックマンティスのあの追込みに近い。

パピヨン「ま、シルフィーなら大丈夫か。案外、もう次のレースのこと考えてたりして」

『そうか?』

パピヨン「アタシの周りのウマ娘はみーんなメンタル強めだからね〜。ほんっと、嫌になっちゃうくらい」

やれやれ怖い怖い〜、とポーズをとる。

『……キミも負けてられないな。さて、次のレースについて話そうか』

パピヨン「はいはーい」
795 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/04(木) 22:57:55.84 ID:rb19XgCK0
パピヨンの次走について考えているレース。

一つ目は数週間後に開かれる短距離G1「JBCスプリント」、二つ目は来月前半に開かれるマイルG1「チャンピオンズカップ」

三つ目にチャンピオンズカップと同じ時期に開かれるに開かれる短距離G3「カペラステークス」……この三つか、今のところは。

『JBCスプリントにはブラックマンティスが、チャンピオンズカップの方には――おそらくステラライムが来る』

パピヨン「……ライム、まだ次走の表明とかしてないよね?もしかしたら東京大賞典とかに行っちゃうかもだよね」

『そこはステラライム陣営の判断にもよるが――まあ想定しておくには越したことがない。他にも出走したいレースの案があるなら、自分はキミの意見を尊重させてもらうが――次のレースが、クラシック最後のレースのつもりだ』

まあ、日程的にも詰められないしな。と、言うとパピヨンはそりゃそうでしょ。みたいな顔をした。

『……』

そして――これはまだ考えているだけのことだが。一つの案として考えているレースがある。

――ドバイゴールデンシャヒーン。BCスプリント。メトロポリタンハンディキャップ――短距離、マイルの海外ダートレース。

パピヨンが本領を発揮できるのが――海外だったら?日本の砂ではなく、海外の土でこそパピヨンは羽ばたけるんじゃないか――そう、考えてしまう。

もし、パピヨンに今以上に地力がついて"――ライバルに。ライバルに、勝てた時には――。"

(まあ、まだそれは考えることじゃないか)

取り合えず今は目の前を考えよう、未来のレースより今のレース。そもそもパピヨンに意思確認もしないでこんなことを考えている暇なんてない。
796 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/04(木) 23:05:18.27 ID:rb19XgCK0
次走:安価直下
1 JBCスプリント(ブラックマンティス:リベンジ)
2 チャンピオンズカップ(ステラライム:リベンジ)
3 カペラステークス(地道な実績作り)
4 その他ダートレース(年内で良い感じのものがあれば)
797 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/04(木) 23:19:42.60 ID:lnbljYMDO
3
798 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/05(金) 00:30:54.20 ID:WdAq/ul40
『――カペラステークスに行くか』

パピヨン「えっ!?JBCスプリントとチャンピオンズカップは!?』

勿論リベンジの為にその二つのG1に出走するのも良い。パピヨンが出走したいというのなら勿論出走登録をする――しかし。

『ただ闇雲に、ライバルと同じレースを出ているだけではきっと……ダメだと思うんだ』

沢山レースに出て、レースに慣れる。そしてどんどん実力を付けて――それでようやく、リベンジに挑める。

『だから次はキミが力を付けるために走る。そして来年――分からせてやろう。キミというウマ娘の真価って奴を』

ステラライムにも、ブラックマンティスにも、他のウマ娘にも。キミを応援してくれているファンにも、キミに期待していない観客にも――度肝を抜いてやろう。

『……そういうの、大好きだろ』

パピヨン「――――ぷ、ぷは、ぷはは!お兄さんってそういうこと言うんだ!?ぷふはははは!ちょっと意外かも、お兄さんもそう言う年相応っぽいところあるんだ!?」

『……年早々って、別にいいだろう。普通だ普通』

パピヨン「だってお兄さん、いっつもムスっとしてるし〜?――でも、うん。良いね、お兄さん。それ、サイコー」

ぷはは、と笑いながらパピヨンは【貴方】に向けてサムズアップ。

パピヨン「アタシの走りを見た全ての人間に――期待させちゃうような、そんなレース。期待してない人間に、不意打ちで度肝を抜いて分からせる。うん、それっぽい。良い目標かもね?」

『ああ、その意気だパピヨン!やってやろう!

――ということで、次の目標はカペラステークス。着実に経験を積んでいこう。
799 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/05(金) 00:55:18.23 ID:WdAq/ul40
カペラステークス前イベント:安価下2まで
1 パピヨンのヒミツ
2 パピヨン、ライムと彼氏の為に――食べる。
3 グリーンシルフィー、ダートの可能性
4 自由安価



これだけです。お疲れさまでした、おやすみなさい。

海外に行く条件として、「ステラライム、ブラックマンティス、グリーンシルフィーの誰かにレースで勝つ」を設定させてもらいます。

もし勝てて海外旅行行きたいなってなったら、考えてみてください。勝てるかはコンマ次第で。
800 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/05(金) 01:03:01.61 ID:P9RwrKGDo
なんかわからなくて惹かれる2で
おつおつ
ライバルに勝っていざ!海外!してぇ!
801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/05(金) 01:19:26.55 ID:O4fCA+7DO
3
802 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/05(金) 23:38:43.46 ID:WdAq/ul40
ライム「――お願いしますパピヨンさん!わ、私の料理の感想を教えてください!」

ある日の放課後、アタシはライムにそうお願いされて食堂の席に座っていた。周りにはちらほら生徒がいるけど、ちょっとお喋りをしていたりとかが主で、ご飯を食べる!みたいな雰囲気の子は誰もいなかった。

パピヨン「ねえ、なんでアタシなわけ?シルフィーとか、マンティとか……あ、ほら。食べるの大好きな葦毛のウマ娘とか日本総大将とか呼んでさ」

ライム「それも考えましたけど、出来るなら私。食べて満足して貰いたいんです……そ、その人たちの胃袋を満足に満たすとか出来ません!」

何とも言えない責任感。こういうところがライムらしいなぁと思う、いやそれの被害を受けているのはアタシなんだけど。

パピヨン「というか、ライムなんでいきなりこんな?料理に目覚めたとか?」

ライム「あ、いや、えっと、そのぉ……」

――あれあれ急に顔が真っ赤になったぞ?おやおやおやぁ……?

ライム「……ら、来月はクリスマスじゃないですか?ですからその、あの。パピヨンさんにも話したとは思うんですけど、○○くんに……」

パピヨン「あ、なるほどね。彼氏君に料理作ってあげたいんだ、クリスマスの」

ライム「で、ですから!そういう関係じゃないですから!パピヨンさん!」

手をぶんぶん振って否定するその姿、怪しい。怪しいぞぉライム〜?ニヤニヤと笑ってからかってやる。

――成程、はいはい。つまりアタシを彼氏君に提供できる料理かの判断材料にしたいわけね?というか練習台と。

……………………。

パピヨン「………んま、別にいいけど。ほら、作ってきなよ料理。食べてあげるから」

ライム「――!す、すみません!ありがとうございます!で、ではある程度準備は出来ているのでちゃちゃっと作ってきますね!」

ぱぁっと、明るい笑みを浮かべてライムはキッチンへと走って行ってしまった。はぁ、嫌な笑顔。彼氏君にそんな美味しいものを作ってあげたいの?

ケーキとか作ってあーんとかするつもり?はぁ、アタシの方が今は長く付き合ってると思うけどなぁ。

…………ぽっと出の彼氏君め。いや、ぽっと出はアタシか。なーんて。思いながら頬杖をついて料理を待つ。
803 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/05(金) 23:39:27.91 ID:WdAq/ul40
照り焼きのチキン、クリスマスリースみたいなサラダ、ブッシュドノエル――その他にも結構な量の料理。というか全体的に……豪華。

パピヨン「……というか、あと茶色くない?お肉多いね――あ、いいから。理由はなんとなくわかるから」

まあ男の子ってお肉好きだもんね、アタシも好きだけどさ。チキンとか。

ライム「あ、あはは……す、すみません。でも、無理して全部食べて貰わなくても大丈夫ですから!ちょっと張り切って作ってしまったなぁと思いましたので――」

パピヨン「は?残す?冗談でしょライム」

――全部平らげるから、ありえないんですけど。

コンマ6以上で太り気味。

コンマ直下
804 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/05(金) 23:57:05.35 ID:O4fCA+7DO
805 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/06(土) 00:55:30.52 ID:ESpiw8sOo
ちょいちょいしっとりしかけてるなw、一息つけるといいのですが
806 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/06(土) 18:13:58.87 ID:kNx0CHnD0
ごめんなさい、寝落ちしてました。いつもより早い時間ですけどちょっとやります。



パピヨン「…………ふぅ、ご馳走様」

ライム「ほ、本当に全部食べちゃいましたね!?で、でも沢山食べてくれて、アタシ嬉しいです!あ、ありがとうございます!」

――苦しい。お腹がもうパンパン、ちょっと見栄貼っちゃったかも……。

ライム「そ、それで感想を教えてもらっても……」

パピヨン「……一応言っておくけどこんな量、絶対彼氏君食べきれないからね」

まあ作り過ぎちゃったって言ってるからそこは大丈夫だと思うけど。ライムって張り切りがちだしねぇ。

……全部美味しかったけど、料理で気になったところとかをいくつか教えてあげる。

ライム「なるほど……ありがとうございます!」

パピヨン「アタシの好みで結構言ってるから、彼氏君が好きな味付けになるかは分かんないけどね。……
というか、さっきの質問だけど」

ライム「はい?」

パピヨン「マンティとかシルフィーがいない理由!そっちは教えてくれてないでしょ?」

――まあ、別にどんな理由でも良いけど。アタシが暇そうだったとか、そんな感じ?

ライム「パ、パピヨンさんが……一番はっきり感想を教えてくれそうだったので」

パピヨン「……別にそんな事無いと思うけど」

ライム「パピヨンさんが美味しいって思う料理になれば、○○くんも美味しいって思ってくれるんじゃないかなって、なんとなくそう思ったので……なのでまずはパピヨンさんの為に料理を作りたくて」

パピヨン「…………」

ライム「あ、あはは、すみません。私もなんでパピヨンさんだけ呼んだのか、上手く言語化できなくて……


パピヨン「……ふ〜ん、ま。別に何でも……いいけど、まあ、また何か作ったら呼んでよ。お兄さんにも沢山食べて身体を作れって前言われたし、都合がいいから」

ライム「え、本当ですか!?あ、ありがとうございます!」

パピヨン「…………」

――まあ、今この瞬間だけはアタシがライムを独占してるし、ちょっと気分が良いかも。
807 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/06(土) 18:27:58.10 ID:kNx0CHnD0
――秋華賞が終わってトレーナーさんが言った事は、「暫くは休憩しましょう」でした。

桜花賞7着、オークス1着、秋華賞3着――かつての親友と約束したトリプルティアラ、結局は一つしか冠は取れませんでした。

弟くんも秋華賞が終わってすぐ電話で、お疲れさまと励ましてくれて。とても――嬉しかったはずなんです。けど、私にはどうにも――喜べなくて。

シルフィー「…………」

トレーナーさんもきっとそんな私の気持ちが分かるんでしょう。ですから、一旦レースからは離れて来年からまた再始動――そういうつもりで言ったんでしょう。暫くは休憩しましょうと。

――――本当にそれでいいのか、という気持ちが私の中に沸々と沸き上がります。

トリプルティアラはもう取れません。というか桜花賞に惨敗した時点でその夢は無くなってしまいました。では、今後のレースは?アタシはまだまだ走れます、選手としてこれからも走ると考えたとき――ふと、もう一つの選択肢が浮かび上がりました。
808 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/06(土) 18:28:29.57 ID:kNx0CHnD0
シルトレ「――ダートですか?」

シルフィー「はい、芝からダートに転向して結果を残したウマ娘や、芝もダートも両方走れるウマ娘……その両方がいるのですから、可能性はあると思うんです」

シルトレ「…………そうですか」

きっと私のお友達にダートで走る子が多いから――その選択肢に気づけたのかもしれません。でも、だからと言ってダートを軽視しているわけではありません。

私でもダートなら輝けるかも――そんな考え、同室のパピヨンさんを見て言えるなら、とんでもないおバカさんです。

シルトレ「まあ、一度確認してみましょうか。トリプルティアラという夢を聴いて、私は芝での走りにばかり注目していましたが、可能性はあります」

シルフィー「は、はい!あ、ありがとうございます!」


結果は?:コンマ直下
1-5 芝を走ろう
6 まあ走れなくはないけど
8 普通に走れてはいます
9 両方いけます!
0 ――なんで芝を走って?
809 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/06(土) 18:41:00.43 ID:Q+P4YrvDO
はい
810 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/06(土) 19:30:23.42 ID:kNx0CHnD0
シルトレ「…………はい、お疲れさまです」

シルフィー「は、はぁ、はぁ……はぁ、はぁ」

全然走れませんでした。脚が思うように動かず、蹴っても蹴っても前に進まない。

――やはりそう現実は上手くいきません。ダートを走ってみると、パピヨンさんにライムさん、マンティさんの凄さが分かります。

シルトレ「ダートも芝も走れるという才能は稀有な物ですから、気を落とさないでくださいシルフィー」

シルフィー「はぅ」

……あ、頭を撫でられてしまいました。よしよしと優しい手つきで撫でられて……は、恥ずかしいです。

シルトレ「……焦らず行きましょうシルフィー。ゆっくりと準備をして――来年こそ勝負をしましょう。だって貴女は私が信じたウマ娘なんですから」

シルフィー「トレーナーさん……は、はぃ。あ、ありがとうございます……」

――本当は年明けから次走の話をしたい、という話でしたが。トレーナーさんと共にトレーナー室で次走の話をすることになりました。

目標を決め、しっかりと努力をして、またG1の大舞台で勝利を収めたら――きっとあの子も喜んでくれますよね?
811 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/06(土) 19:48:01.15 ID:ESpiw8sOo
アグネスのやべーやつや産駒から見た余なり両刀はなかなか難しい
812 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/06(土) 19:55:14.21 ID:kNx0CHnD0
――JBCスプリント、大井で開催されるダート短距離G1。東京盃でパピヨンと戦い、勝利したらブラックマンティスも当然出走するレース。

『現地で見に行かなくてよかったのか?』

パピヨン「別にいいでしょ、テレビで見れるんだし。あ〜でも確かに、現地でボロボロに負けたマンティをちょっと煽れないのは寂しいかも?」

ぷーくすくす、と笑うパピヨン。しかし【貴方】はパピヨンがそんなことをするウマ娘ではないことをとてもよく知っている。

素直になれないのなら無理やりにでも連れて行くべきだったかもしれない。いや、まあ……それはそれで後が怖いか。

――本日の一番人気、3番ブラックマンティス。東京盃で見せたあの直線一気を見せることが出来るか。

パピヨン「うわ、しかも一番人気じゃん。これってアタシって超強いウマ娘に勝ったからってことだよね?」

『……ああ、そうだな』

あの末脚を見て、ファンになった人も多いだろうに――一番人気という圧があっても、テレビ越しに見るブラックマンティスは何も変わっていなかった。

――堂々としている。その視線はただただ己の勝利だけを見つめていた。

マンティ「く、くは、はははは――!この俺様の勝利の踏み台として、お前らを使ってやる、だから光栄に思え――はははははっ!」

パピヨン「うわ、絶好調……ほんっと、凄いなぁマンティ」

あのキャラ後でどうしてんだろ。絶対恥ずかしいよね。……【貴方】は話を振られても苦笑いをすることしか出来なかった。

――大井レース場にスピード自慢のウマ娘が揃いました、ダートレースのスピード決戦JBCスプリント。今宵はどのウマ娘がダートスプリンターの栄光を手にするか。

――さあ各ウマ娘ゲートイン完了。出走準備整いました。

――――スタートいたしました!

JBCスプリントが、始まった。

813 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/06(土) 19:56:59.59 ID:kNx0CHnD0
ブラックマンティスは――:コンマ直下
1-4 一着!!!
5-6 二着!
7 三着
8-9 ダメだった……
0 おおっと
814 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/06(土) 20:45:22.20 ID:ESpiw8sOo
!!!
815 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/06(土) 20:47:24.34 ID:ESpiw8sOo
マンティごめん……
816 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/06(土) 21:25:03.50 ID:kNx0CHnD0
はじめての「おおっと」です。こういうことをやります。



おおっと――:コンマ直下
1-3 掲示板には"レコード"の文字
4-5 誰も狩人には追い付けない
6-7 脚を挫いて……。
8-9 故障発生
0 ――
817 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/06(土) 21:46:59.88 ID:Q+P4YrvDO
どうなるか
818 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/06(土) 22:55:02.30 ID:kNx0CHnD0
――各ウマ娘出遅れることなく進んでいきます。先頭には逃げ宣言6番、その後ろにすーっと並んで9番、2番のウマ娘が並び先行集団、そして最後方にはブラックマンティス。

ブラックマンティスの何時もの展開。最後方、殿から他のウマ娘の様子を伺い、最終コーナー最終直線で一気に大外からごぼう抜き――これが、ブラックマンティスの戦い方だ。

その戦いを二回経験したパピヨンにとって、それは異様なプレッシャーを感じる走りだった。後ろから「何か」が来る。何か恐ろしい存在がぐんぐんと迫ってくる――恐怖以外の何物でもない走り。

パピヨン「やっぱいつも通りの展開だよね、結局マンティが全部差し切るか、差し切らないかの展開」

『……随分とマンティに肩入れしているな。友達だからか?』

パピヨン「はぁ〜?なにお兄さんそれ、キモいんだけど〜?……そりゃ、友達ってのもあるけど」

アタシに勝ったんだし、他の短距離で負けて欲しくなんかないって思うくらい、普通でしょ。

【貴方】からぷいっとそっぽを向いて、パピヨンはまたテレビを見る。

マンティ「――――は!」

――さあ、最終コーナーを曲がり最後の直線!未だ先頭は6番!後続との差は3バ身ほど!しかしここで大外から迫るウマ娘!3番ブラックマンティスが先頭を狙っている!

パピヨン「お、いけいけ〜!」

『随分と気の抜けた応援だな……』

狩人が足にググっと、力を入れ一気に前を往く。スパートをかけた鋭い切れ味の末脚は、そのまま前方のウマ娘を差し切って――――。
819 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/06(土) 22:56:42.23 ID:kNx0CHnD0


マンティ「――――っ!」


パピヨン「ぁ……?」

『――――!』

その瞬間。マンティの顔が酷く歪み、二人の顔から――一気に血の気が引いた。

――ブラックマンティス来ない!スーッと後方に下がっていく!これは故障発生か!?

故障発生。その言葉がパピヨン頭の中で繰り返される。しかし中々意味が理解できない。理解が追い付かない。

故障。故障、故障――スパートの時に脚を挫いた?いやでも、あれくらいマンティなら別に――――え、こしょう?もう、レースが出来ないとか――マンティが。マンティが?

『――おいパピヨン、パピヨン!』

パピヨン「へっ!?ぁ、お、お兄さん――?」

『落ち着いて、今キミ顔が凄いことになってたぞ。まずは大きく鼻からゆっくり吸って、口から吐いて――』

アタマがまだ混乱してる、お兄さんに言われるがままに深呼吸をするけど、なんだか変わったのか変わらなかったのか、よく分からない。

――一着は見事に逃げ切りました6番!JBCスプリントを制し、栄冠を手に入れました!初のG1タイトル!

――しかし、心配なのはブラックマンティス。今救急車に運ばれていきました、何事も泣ければよいのですが――――。

パピヨン「――――」

テレビで逃げウマ娘が一番にゴールをした、実況が聴こえてくる。けど、そんなのは全然……どうでもよくて……。

――ぷるるるる。と鳴るスマホの音にも、気が付けないまま。JBCスプリントは幕を閉じた。
820 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/06(土) 23:28:50.53 ID:kNx0CHnD0
マンティ「――――あ、パピヨンさんに、皆……」

ライム「マンティさん……!」

――後日、アタシといつもの仲間でマンティのお見舞いに行くことにした。病院のベッドの上で、患者衣を着ているマンティをみて……アタシは、また血の気が引いていく感じがした。

…………右足に巻かれたギプスから、目が離せない。

シルフィー「マンティさぁん……!うぅ、うぁあぁ……!」

マンティ「ひぁ!?ちょ、シルフィーさん……ライムさんも!?」

二人が涙目でマンティに抱き着きに行く、それを顔を赤くしながらマンティは抱き着かれている。

……ヘルプミー!な、目をこちらに向けられるけど、アタシには何も……はぁ。

パピヨン「……気持ちは分かるけど、マンティは怪我人だしそこまでにしておきなよ」

ライム「あっ、ごめっ、ごめんなさい……私、ちょっと、全然考えられてなくて……」

シルフィー「ぐすっ……ごめ、ごめんねマンティさん……だ、大丈夫?」

マンティ「だ、大丈夫。全然大丈夫ですからぁ……」

――へたっぴな笑顔で大丈夫というマンティ。けど全然大丈夫そうには――見えない。

マンティ「……全知半年の骨折、らしいです。スパートで力を入れ過ぎて折れちゃったのかもって、お医者さんが……」

――――半年?半年も、このままで……マンティは、走れないの?

マンティ「リハビリとかを頑張ればもっと早く治るかもしれない……けど、安静の為、半年は必要と」
821 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/06(土) 23:30:26.39 ID:kNx0CHnD0
ライム「――」

シルフィー「は、半年、も……」

マンティ「だ、大丈夫です!半年頑張って休んで、リハビリもすれば――また走れるようになりますから!」

ぎゅっと拳を握って、大丈夫とアピールをするマンティ。さっきから、そんなアピールが多くて、主張が激しい。

――あーだめだ。ずっと頭が、ふわふわしてる。

パピヨン「……し、しっかり、休んでね。アタシ……待ってるから」

マンティ「――――はい。わ、私も、またパピヨンさんと走りたい、ですから――」

ライム「う、うぅぁあ……!わ、わたし、も、マンティと走りたいよ"ぉ……!」

ああまたライムが抱き着いて、服に涙とか鼻水が……。

シルフィー「…………ぐすっ、今はしっかり休養してくださいね。また今度お見舞いに来ますから……」

――――こうして、お見舞いが終わった。最後にギプスにメッセージでも書こう!ということで、早く治ってねみたいなメッセージを書いて……終わった。
822 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/06(土) 23:35:28.46 ID:kNx0CHnD0
――――:コンマ直下

コンマ3以上で。
823 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/06(土) 23:40:48.26 ID:xWxG7hcRo
なに怖いよ……
824 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 00:03:35.48 ID:5wtNQhHU0
パピヨン「――――忘れ物しちゃった、はぁやらかした」

帰り道の途中、マンティの病室に忘れ物したことに気がついてアタシ一人病院に戻ってきちゃった。

……忘れ物だけ取って、早く帰ろ。なんだか今、マンティの顔とかちゃんと見れない気がする。というかさっき会った時も……全然話せなかった。

病院に入って、受付のお姉さんに話して、マンティの病室に向かう。なんとなく静かで、病院の匂いって感じの匂いがする。

パピヨン「……あれ」

……マンティの病室に誰かいる、そっとドアの窓から顔を覗かせて……見るとそれはマンティのトレーナーさんだった。和服で、アタシくらい身長のちっちゃな、妙に威厳のあるトレーナーさん。

マンティ「――――!――!」

マントレ「――」

マンティ「――っ!……っ!」

……声は聞こえない、けど何か話していることは分かる。何か言い争ってる……?

…………マンティが泣いていることも、分かる。ぼろぼろ大粒の涙が零れ落ちて、患者衣に小さな水玉を作る。

パピヨン「……っ」

アタシたちが来た時、全然泣いてなかった。アタシたちが泣いてばかりで――きっと、マンティは我慢してたんだ。今にも泣いてしまいそうなのを、堪えて。アタシたちに心配させまいと――大丈夫なアピールまでして。

――――いけないものを見てしまった気分。トイレにでも行って少し時間を潰してから、また来よう。
825 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 00:32:22.80 ID:5wtNQhHU0
マンティ「――あ、パ、パピヨンさん……!ど、どうかしましたか?」

パピヨン「実は忘れ物しちゃって取りに来たんだ〜ごめんね、いきなり来ちゃって」

病室にはもうマンティしかいなくて、トレーナーさんの姿はなかった。アタシ的には嬉しいけど、何処行っちゃったんだろ……。

……不思議そうな顔をしているマンティ。その眼もとは、隠せないくらい真っ赤だった。トレーナーさんが戻ってくるかどうかも分からない、ほんとさっさと帰らないと……。

パピヨン「ん、あったあった……」

マンティ「…………」

忘れ物は見つかった、だからもう帰った方が良い。アタシはただの……友達だ。ブラックマンティスの同期で、同じレースも走った、ただそれだけの。

さっきのアタシみたいに、トレーナーさんが外で待ってるかもしれない!本当は大事な話があるのにアタシがいるせいで話せない……そう、きっとそう!だから、早く帰らないと――。

マンティ「……じ、実は私。ずっと……パピヨンさんに、憧れてたんです」

パピヨン「へっ?」

いきなりマンティが話し始める。どしたの突然、と思わなくもないけど……え、アタシに憧れ?

マンティ「私がこの学園に来たのは……お家の期待に応えるためなんです。私がもし結果を出せば、それだけでお家の威厳に繋がりますから」

――――期待に応えるために走る。期待、という言葉はアタシには――とても聞き覚えのあるものだった。

マンティ「入学した時はもうすぐに走るのも辞めちゃいそうなほど、辛くて……でもそんなとき、パピヨンさんの走りを見たんです。最初の模擬レースで楽しそうに先頭を往く、貴女の走りを」

とても気持ちよさそうに走るその姿を見て、私は――思い出しました。初めて走り始めたときに感じた風の気持ちよさを。

――そうだ、私は、この風が好きで走り始めたんだって。
826 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 00:51:52.09 ID:5wtNQhHU0
パピヨン「――――」

ねえ、待って。待ってよ。そんな――肩の荷が取れたみたいな顔で自分語りしないで。自分だけで気持ちよくならないでよ。

マンティ「だから、この前の東京盃でパピヨンさんに勝った時は凄い嬉しくて!あ、でも抜くときにちょっと……あ、あんなことを言ってしまって……!ほ、本当にごめんなさい!けど、憧れてたあの走りを間近に見れてとても嬉しかったんです!」

風を感じれました、初心を思い出せました。家族の期待じゃなくて、私が走りたいから走る――そのレースが、どれだけ楽しいのかを思い出せました。

待って、ストップ。止めて――そんな話、聞きたくない。口を閉じて、閉じてよ――!

マンティ「ですから、こんな風に脚がなっちゃう前にパピヨンさんと走れて私は――――

パピヨン「は――――?」

――こんな風に脚がなっちゃう前に?アタシと走れて――良かったって?

――ふざけんな、ふざけんなふざけんな!



パピヨン「――――ふざけないでよ!!!!!」


827 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 01:03:09.59 ID:5wtNQhHU0
マンティ「ひゃぁ!?パ、パピヨンさん!?」

パピヨン「何その言い方、何その雰囲気!?まるで――もう走れないみたいな、もうアタシと走れないみたいな!何気持ちよく自分語りしてるの!」

――身を乗り出して叫ぶ。ああもうムカつく!全部全部、全部イライラする!

パピヨン「――これからもアタシとマンティは走るんだよ!?その話し方、勝ち逃げのつもり!?」

マンティ「ぇ、いや、ちがっ……!そ、そんなつもりじゃ……!」

パピヨン「そんなつもりだよ!なーにが、憧れのパピヨンさんだ!憧れ憧れって、そんなウマ娘じゃないしアタシは!」

――アタシはアンタのライバルなんだけど!?だから一抜けとか許さないから――骨折でちょっとメンタル落ち込んでるのかもしれないけど、そんなの許さないから!

思いっきり叫ぶ、思ってること全部言う。友達だけど、ライバル!だから、これからもずっとずっと走るの!

マンティ「――――で、でも半年、半年も走れないんですよ!?リハビリも、とても大変らしいですし、今まで見たいに走れるかどうかも、分からないんですよ!?」

パピヨン「はぁ!?なにそれ、意味わかんないんだけど!」

マンティ「私はもうトゥインクルシリーズで、貴女と――同じレースには出られないかもしれないんです!半年の怪我は、そういうものなんです!お医者さんも、トレーナーさんも……そう言ってるんですよ!?」

――全治半年、完全に治るまで半年かかる。そこからトレーニングも含めたらまともに走れるようになるのは一年前後くらい。それまで時間をかけても、今くらい走れるようになるか――もっと時間がかかるのかもしれない。

真っ赤な目から涙をぼろぼろこぼしながら、マンティも叫ぶ。なんだ、そんな大きな声出せるんじゃん……!

マンティ「わたっ、私だって……!走りたいですよ……!もっともっと、パピヨンさんとも、ライムさんとも……シルフィーさんとだって……!走りたいですよぉ……!」

パピヨン「じゃあそうすればいいじゃん!もっと我が儘になろうよ!お医者さんに言われたから、トレーナーさんに言われたから……!?関係ないじゃん!?」
828 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 01:08:34.14 ID:5wtNQhHU0

マンティ「う、うぁ、う"ぅ"ぅぁぁぁぅあぁ……!」

パピヨン「マンティは諦めないでリハビリ頑張る!アタシも頑張る!――マンティが勝負したくなるくらい、憧れなくなるくらいアタシが強くなって――一年後に立ちはだかるから!それに挑んで!」

――マンティにふさわしい相手になるために、走れないなんて思えなくなるくらい強くなって。待ち受ける。ゲームのラスボスみたいな、魔王みたいな、そんなウマ娘になる。

パピヨン「――絶対戻ってきてよ。待ってるから!アタシも滅茶苦茶頑張るからさ……!ぐすっ、期待して待っててよ!アタシもマンティに期待してるから!」

アタシもなんだかボロボロ涙が出てきて、溢れて止まらない。

――結局最後の方はお互いに何言ってるのか分かんなくなっちゃって。泣いて、怒って――最後にちょっと笑って、それは終わった。

頑張ろうね――なんて言い残して病室を飛び出し、病院から出る。ウマ娘専用の道路を、走って走って。スタミナが無くなっても走って走って――走りまくって。
829 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 01:16:33.50 ID:5wtNQhHU0
パピヨン「お兄さん!!!」

『うわぁあ!?パ、パピヨン……?」

トレーナー室。バァンと勢いよく扉を開けると情けないお兄さんの姿が。こっちは色々やってきたばかりだというのに、呑気だと呆れてしまう。

パピヨン「――――ねえ、お願いがあるんだけど!」

――マンティにああ言ってしまった、期待させてしまっている。ならそれには全力でアタシが応えないといけない。

ラスボス?魔王?ようは――マンティが憧れてたアタシよりも圧倒的に強いアタシになって、最強のダートウマ娘になる。

その手段、その方法を――前に、聞いた気がする。



パピヨン「――――海外のダート!G1!獲るよ!」



思うのは簡単だ、これだって勢いだ。お兄さんには呆れられる、考え直せと言われるかもしれない。計画と違うとか――でもそんなの、アタシの我が儘で全部吹き飛ばしてあげる。

――――だって、アタシのトレーナーなんだよ。お兄さんは?これくらい、何も言わず受け入れて欲しいな。
830 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 01:20:02.37 ID:5wtNQhHU0
今日はこれで終わりです、時間がかかりましたがありがとうございました。

マンティが骨折して、あーだこーだと進めたらこうなりました。マンティが憧れられないくらい圧倒的に強いウマ娘になって、また戦いましょう。

カペラステークス、そしてチャンピオンズカップ。クリスマス、大晦日、くじ引き――海を越えて。イベントは盛りだくさんです。
831 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/07(日) 02:32:38.72 ID:f+39JrSoo
おつ!
アオハルだなぁ……!
マンティのキャラ設定改めて確認したけどそうだね、これパピヨンに重矢印向いて然るべきやつやん
マジ勝たないといけんなあ!
832 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 21:56:37.28 ID:5wtNQhHU0
――――カペラステークス当日。中山レース場の控にでパピヨンと自分は居た。

レース展開や走り方、他出走者の最終確認と。レース後にむやみやたらと煽らないことの注意を数回して、体操着姿の彼女を送り出す。

『――行ってこいパピヨン。キミの走りを見せつけてこよう』

パピヨン「おっけーお兄さん。2番人気とか見る目がない人たちにアタシの走りでビビらせちゃう!」

『言っておくが、本当に煽ったりするなよ。なあ、何回も何回も言うが』

パピヨン「あー!はいはい分かってます分かってます!お兄さんほんっとーにしつこい!そんなんだからモテないんだよ?」

……それとこれとは話が違うように思う。けど、まあ……下手に言い返すつもりもない。

パピヨン「ぷぷぷ、もしかして図星〜?ちょっとは言い返してくれないと張り合いがないんですけど〜」

『ほら、早く行った行った。キミのファンが待ってるよ』

パピヨン「はいはーい」

――――「海外のダート!G1!獲るよ!」なんて、言葉を聞いた時は驚いた。が――正直嬉しいとも思った。

ライバルと戦うためにレースを選ぶのでもなく、自分の提案に乗っかるのでもなく。自分自身で考えてこのレースに出たいのだと言った。

真っすぐな瞳で、自分を見つめながら。海の向こうの大舞台で羽ばたきたいのだと、パピヨンが言った。

『……ならここでは負けられないよな』
833 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 21:58:48.62 ID:5wtNQhHU0
カペラステークス、結果は:コンマ直下
1-3 余裕余裕!
4-7 勝利勝利!
8 2着2着!
9 3着3着……
0 おおっと
834 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/07(日) 22:18:03.26 ID:9ew0ffa9o
はい
835 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 22:44:02.56 ID:5wtNQhHU0
パピヨン「――っああぁああああああ!!!」

――十一番シルヴァーパピヨン逃げる逃げる!そしてそのまま一着でゴール!そして二着――三着には――。

少し危ないところもあったが無事に一番にゴールしたパピヨン。重賞二勝目ということもあり、ファンからの歓声も大きい。

パピヨン「――ぷぷ、当然なのに喜んじゃってはっずかし〜……あ、えーっと……いいやめんどくさ」

『ぱ、パピヨン……』

一瞬煽るのを止めようとした、その瞬間心の中でガッツポーズしてしまったが――はぁ。

いつも通り煽りに煽るシルヴァーパピヨン。それが他の走者に向けてではなく、観客に対してというのがまだ安心できるところか――いや、全然安心できない。

――後でまた叱ろう。

パピヨン「あー……でも最初から応援してくれた人は見る目あるじゃーん!ありがとねー!ぷはははは
!」
836 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 23:26:48.65 ID:5wtNQhHU0
『お疲れさまパピヨン、いい走りだったよ』

パピヨン「ふ〜……疲れた疲れた。えへ、でしょ〜お兄さん?」

控室に戻ってきたパピヨンはそれは良い笑顔だった。

……こういう時自分はますます情けなくなる。叱ろうと思っていたのに、なんだかその気が無くなってきてしまう。

パピヨン「あれあれ、何か言いたいことがありそうな顔してるけど……どしたの?」

『……別に何も。うちの担当はよくやってるなと褒めてあげたかったんだよ』

パピヨン「え〜?絶対違うでしょ〜!ぷぷ、ほんっとお兄さんチョロいよね〜、一応トレーナーなんだからそういうときはちゃんとしないとでしょ?」

『…………』

……この前の発言で、成長したなと思ったがそれも撤回しなくてはいけないかもしれないな、と。思った。
837 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 23:35:16.69 ID:5wtNQhHU0
――チャンピオンズカップ。ステラライムは:コンマ直下

1 圧倒的な――
2-4 一着一着!
5-6 二着
7-8 三着
9 掲示板
0 おおっと
838 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/07(日) 23:46:06.10 ID:vj+FUlTDO
はい
839 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 23:52:14.53 ID:5wtNQhHU0
一気に0来てビビる
840 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/07(日) 23:53:07.16 ID:GMAujKw7o
コンマ神はこういうことする
841 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/07(日) 23:55:00.61 ID:5wtNQhHU0
おおっと――:コンマ直下
1-3 掲示板には"レコード"の文字
4-5 ダートを流れる星の煌めき
6-7 脚を挫いて……。
8-9 故障発生
0 ――
842 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/08(月) 00:00:06.82 ID:p7PZF4lDO
レコード
843 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/08(月) 00:05:26.34 ID:41is1SSw0
うおおおおお疲れさまでした。今日はこれで終わりたいと思います、ありがとうございました。

チャンピオンズカップレコードのステラライム誕生の瞬間でした。
844 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/08(月) 00:45:46.54 ID:Vz/DNykWo
うおおおおお!
やっぱりこの世代の実力では筆頭っぽいぜライム!

(メタ的にライムまで故障入るとパピヨンの目標が……となるのはコンマ神も空気読んで頂けたな
845 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/08(月) 09:09:01.44 ID:DidhZNq0O

やっぱラスボスはライムなんじゃないかな…ちょっと仲良し組の中でも飛び抜けてるよね
846 : ◆OX0aJKbZO.0H :2024/07/08(月) 23:14:32.42 ID:41is1SSw0
現役ダートウマ娘最強格と言っても差し支えない実力になってきましたねステラライムは。

そんなステラライムに勝てたら、一気にダート最強名乗れるくらいにはなりそうですね。勝つことが出来たらですけど。


ちょっとまた期間空きそうです。全然進まなくて申し訳ないです。

なのでまたなんか書き溜めておこうと思います、耳かきの時みたいに。案が多かったものや自由安価で良いなぁって思ったもの書きます。

何か:安価下1~3まで。
1 パピヨンが【貴方】にウマ耳マッサージされる話。
2 パピヨンが抱き枕に嫉妬する話
3 煽りすぎてちょっと分からせられるパピヨンの話
4 自由安価(パピトレ限定)
847 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/09(火) 00:25:35.07 ID:OnbinuxZo
そんな国内ダート最強格でも勝たねぇとこちとら海外行く約束あるんだ……!
安価は2
848 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/09(火) 00:40:59.51 ID:r21g0JSDO
3
849 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/09(火) 06:01:21.51 ID:qYojctqeo
1
850 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/09(火) 17:34:47.65 ID:TfnURFTbO
一番安価が多かったものを書く予定だったのですが書き方を間違えているせいで全部書くみたいになっちゃいましたね……

これは自分が悪いのでちょっと頑張ります。すぐに全部投下は出来ませんが……
851 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/09(火) 18:00:07.06 ID:2E3+o32uo
おう無理しないで?
でも書いてくれるなら嬉しいので待ってます
852 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2024/07/10(水) 22:49:35.41 ID:idRbC2iy0
    b͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇͇
853 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/11(木) 23:13:26.11 ID:sn/Ab0NW0
――まるで"流星"のようだと誰かが言った。

青いポニーテールが流れる星の軌跡を表すように、風を切り裂き靡いてく。青い星が残した残滓が、彼女の流れる道を示していく。


――最終コーナー!さあここで外からステラライム!ステラライムが仕掛けてくる!他のウマ娘を一気に抜き去り先頭のウマ娘との差を縮めに行く!


見るものすべての視線を釘づけにして、その速さと煌めきをどんどん高めていく、ダートを流れるその青い星は――誰が見ても圧倒的だった。


――凄い!なんて速さだ!?あっという間に先頭に立ちどんどん後続との差を広げに行く!1バ身!2バ身!3バ身!?どんどん広がっていく!


その流星の名は――ステラライム。"青の流星"とも呼ばれるようになる彼女は、誰がどう見ても覚醒していて――誰しもにそう思わせた。

ああ、このウマ娘が――現役最強なのだと。


――ゴール!!!ステラライム後続と5バ身の差を付け一着でゴール!

――そしてなんとレコード!掲示板にはレコードの文字!ステラライムG1二勝目にしてチャンピオンズカップレコードタイム!


ライム「――――っ!」


眼に見える程の青色の煌めきを輝かせながら。今一着でゴールしたステラライムは。


ライム「――ありがとうございました……っ!ありがとうございましたっ……!!!!」

――大きく観客席に頭を下げ、そしてめいいっぱいの感謝の気持ちを伝えていた。

――――歓声が、一際大きくなった。

854 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/11(木) 23:15:33.43 ID:sn/Ab0NW0

翌日。

『…………』

――"チャンピオンズカップレコードウマ娘誕生!そのウマ娘の名はステラライム!"なんてタイトルで色んな雑誌や新聞でそのレースの事は特集されていた。

思えば全日本ジュニア優駿の時も彼女はこんな風に特集されていたな……流石G1二勝のウマ娘。

こちらは……特集組まれないなぁ。デビューしたばかりの頃に来たあの記者は今どこで何をしているのだろうか。

雑誌のページをめくる。現役ダート最強のウマ娘!……成程目を引くワードだ。最強なんて言葉を使われたら――どうにも意識せざるを得ない。

パピヨン「……みんなライムが最強だって?ぷぷぷ、まあ――分からなくもないけど」

ソファの隣でスマホを弄っていたパピヨンが、自分が見ていた雑誌を横から見てそう言う。あのレースを見た瞬間、自分もパピヨンも分からされたのだ、ステラライムが最強だという事実を。

――それくらい圧倒的だった。それくらいに、煌めいていた。

パピヨン「けど、それは――今だけの話でしょ?」

『ああ、今だけの話だ』

ステラライムは最強だ、そうこの瞬間だけは。

――最終的に最強のダートウマ娘になるのはシルヴァーパピヨンであると、このトレーナー室にいる一人のトレーナーと一人のウマ娘はそう確信していた。

パピヨン「――それじゃ、そろそろトレーニングに行こ?アタシ、今はやる気十分だから」

『ああ、勿論だ。キミがやる気なら――そのやる気に応えてあげるのがトレーナーの役割だからな』

――そしてキミを最強にするのが、自分の使命だ。
855 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/11(木) 23:21:47.87 ID:sn/Ab0NW0
2回目のクリスマス、イベント:安価直下
1 いつもの4人でクリスマスパーティーだ!
2 ――ブラックマンティスの病室へ。
3 クリスマスもトレーニングを頑張る彼女に、ご褒美を。
4 自由安価直下
856 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/11(木) 23:37:44.53 ID:FzGWQ4BDO
1
857 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/12(金) 00:09:47.48 ID:xGhK2rTh0
――トレセン学園に来てから2回目のクリスマス。去年はサンタさんになってお兄さんにたーっぷりプレゼントを用意してあげたっけ?いやぁ、アタシは良いウマ娘だなぁ。

でも今年のアタシはサンタさんじゃない。ただのクリスマスを楽しむウマ娘。たっぷりクリスマスの飾り付けがされたトレーナー室に。いつもの面子が揃っていた。

……で、そこでアタシが聞かなくちゃいけないことと言えば。

パピヨン「ライムさ、彼氏君とのクリスマスデートはどうしたの」

シルフィー「え、えええっ!?ク、クリスマスにデートの約束……してたんですか!?」

ライム「し、してない!してないしてないですって!?パ、パピヨンさん!?何を言ってるんですか!?」

――顔を真っ赤にして否定をするライム。うーんこれがダート最強と名高いウマ娘の姿……全然それっぽくない。

ライム「……クリスマスも普通にトレーニングでしたし、その。そういうのは帰省してからということになりまして……」

パピヨン「おー」

シルフィー「おー……」

ライム「止めてくださいその反応!」

いつも通りのやり取り、いつも通りの空気間。でもなんだか足りない、何時もいる一人のウマ娘が、その場にはいない。

――彼女の分まで、アタシたちが楽しまないと。

マンティ『あ、あのぉ……なんか、パピヨンさん……私がもういないウマ娘みたいな感じにしてません?』
858 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/07/12(金) 00:10:17.73 ID:xGhK2rTh0
パピヨン「あ、バレちゃった?」

シルフィー「ちゃ、ちゃんといますから!マ、マンティさんは大丈夫ですか?電波の調子とか、機械トラブルとか!」

マンティ『ひゃ、ひゃい!だ、大丈夫です……!』

――タブレットには今病院の一室にいるマンティの顔が映ってる。そう、マンティだけリモートなんだよね。

脚がまだまだ出歩ける状態じゃないから病室でパーティー――なんてことが出来るはずもなく。ならせめて、ということでこういう形での参加となった。

ライム「それにしてもマンティさんは気合いが入ってますね。サンタさんの帽子、似合っていますよ!」

マンティ『あ。ぅ、こ、これは、ナースの人がプレゼントしてくれて……!は、恥ずかしぃ……』

……よく見るとマンティの背景にもクリスマスっぽい飾り付けがされている。なんだかナースさんにだいぶ可愛がられているような雰囲気。

…………マンティっぽいなとなんとなく思った。

パピヨン「さてさて早速ご飯食べちゃおう!ライムが彼氏にふるまう予定だった料理、全部平らげちゃおうねシルフィー?」

シルフィー「こ、これが彼氏くんに込められた愛情の味なんですね……!」

ライム「まあ、美味しく食べてくれるのは嬉しいんだけど……!パピヨンさん!」

――こうしてクリスマスパーティーが始まった!

さぁて食べるぞ食べるぞ!
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