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【安価コンマ】オリウマ娘と共に

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624 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/10(月) 02:07:52.25 ID:oJ/bhrfl0
パピヨン「――お兄さん、もしかして寝不足?」

ミーティングの最中、【貴方】の担当ウマ娘シルヴァーパピヨンが突然そんなことを訊ねられ、心の中で「しまった」と呟いてしまう。

別にそんなことはない、と返すも彼女の眼はジトーっと疑いの視線を向けている。こういう時の彼女は勘が鋭いし、頑固だった。おそらく誤魔化すことはできないだろう。

パピヨン「目の下のくま、隠せてないよ〜?それになんか最近ウトウトしてる気がするし〜……ぷぷ、夜遅くまで熱心に何をやってるのかなぁ。アタシに言えないようなことですか〜?」

――事実、最近は夜更かしが、徹夜が多くなっている。パピヨンの為の新しいトレーニングメニューを考えたり、今後のレースで戦うことになるだろう相手のレースを研究したり、その他大量の書類作業。それらを全てこなそうとすると自然とこのような生活になってしまった。

トレーナー寮にはここ一週間帰れていない、もっぱらソファで横になって仮眠をとるくらいで。それも最近はしていない。若いうちからこんな生活はよろしくないと分かっていても、担当ウマ娘を思うとこれでも足りないくらいだと【貴方】は思う。

パピヨン「お兄さんいけないんだ〜。眠い時は寝ないといけないし、疲れたときは休まないといけないんだよ?お兄さん、アタシには自己の管理が〜とか言っておいて、自分の事全然出来てないじゃーん」

ニヤニヤニマニマぷぷぷと笑われながら、眉間のところを人差し指でグリグリ通される。止めなさい、と一言言うと彼女はや〜ん怒った、なんて言いながらその人差し指を引っ込めた。

パピヨン「ほらほら、今日のミーティングは終わり終わり。お兄さんは寮に帰って、あったか〜いお風呂に入って体ポカポカにしてぐっすり寝な〜?」

お兄さんはもーっとアタシに尽くさないといけないんだから、寝不足で倒れられても困るんですけど〜?と、【貴方】を心配するような言葉。彼女は我が儘で自分大好きで周りを誤解させるような言葉を沢山言うが――こういうところは、とても優しい子なのだ。

『――ああ、そうだな。今日は久しぶりに戻ってぐっすり寝ることにするよ。パピヨンもごめんな、心配させてしまって』

パピヨン「んも〜、お兄さんったらアタシに言われないと睡眠も取れないの〜?ぷぷぷ、ほんっとダメダメだねお兄さん!これからはアタシが命令してあげないといけないかな〜?」

それじゃ、また明日お兄さん!アタシからの命令、ちゃんと守るんだよ〜?【貴方】に釘を刺すようにそう言い残して、、彼女は勢いよくトレーナー室から出て行った。まだミーティングの途中だったんだが……まあ、明日話せばいいか。

……さて。

『ちゃっちゃと終わらせるか』

…………まだ仕事は終わっていない。今ある仕事を終わらせて、彼女の命令通り早く眠ることにしよう。

パピヨン「…………」
625 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/10(月) 02:08:23.57 ID:oJ/bhrfl0
パピヨン「ね〜お兄さん?ちょっとお耳貸してくれない?」

『……は?』

命令を聞いてから数日後、パピヨンから急にそんなお願いをされた。耳を貸してほしい?なにかこっそり話したいことでもあるのかと考えるが、どうもそんな雰囲気ではない。

パピヨン「実は最近、ヒト向けのお耳マッサージの道具を貰っちゃったんだ〜。折角貰ったんなら誰かに使ってみたいし、それならお兄さんが実験……じゃない、やらせてくれるかな〜って」

とても聞き慣れたおねだりをするときの声色で上目遣いで、パピヨンがその道具を見せてくる。

……耳かきに、綿棒。あと……白いふわふわ。それに何やらオイル?随分と沢山貰ったものだなと驚くが……まあ、大体何をするかは察しが付く。

『パピヨンのお願いなら聞いてあげたいが……悪い、今は少し忙しいんだ。また今度、時間に余裕があるときに――』

パピヨン「え〜!?ダメダメ!今、アタシがやりたいの!ねーねー!ちょっとだけちょっとだけだから〜!おーにーいーさーん−!」

両手をぎゅうっと握りしめられ、そのままゆさゆさと揺さぶられる。参ったな、これはいけない。パピヨンのお願いならできるだけ聞いてあげたいが……仕方がない。

『……ちょっとだけだぞ。それで、自分はどうすれば?』

パピヨン「!!!さっすがお兄さんやっさし〜!それじゃあ、そこのソファにアタシが座って……はい、どーぞお兄さん?」

嬉しそうに小走りでソファに向かって、彼女はぽんぽんとそのよく鍛えられた脚を、太腿を叩いた。ぺちぺちと肌を叩く音が聞こえてきて、なんだかそれも耳に心地よかった。

じーっと、綺麗な目がこちらを見ている。

『……いや、それは駄目だ。他の方法で頼む』

パピヨン「え〜?でもアタシ、この方法しか知らないんだけど?」

そんな目で見られても駄目なものは駄目だ。年頃の女の子がそうやすやすと大人の自分に肌の触れ合いを許すものじゃない。例えば自分がパピヨンの隣に座って耳をマッサージして貰うとか、せめてタオルを挟むとか――うわぁ!?

パピヨン「はいはい、お兄さんは女の子の生太腿の膝枕とか体験した事無いからドキドキしちゃったんだよね〜。はーい、もう逃げられませ〜ん。お兄さんはアタシの膝枕の虜で〜す」

……体を引っ張られて無理やり膝枕させられてしまった。日々のトレーニングでしっかりと鍛えられた脚。しかし硬いわけではなく、しっかりとした柔らかさも感じる。上からパピヨンに押さえつけられていて、自分の頬っぺたがむにゅうと押し付けられて……なんだか、より一層太腿の触感を感じてしまっている。

『分かった、分かったから。はぁ……すぐに終わらせてくれよ。こんなところ誰かに見られたら……』

パピヨン「他の色んな人にお兄さんが変態のロリコン脚フェチトレーナーってことがバレちゃうね〜?ぷぷ、じゃあ観念してアタシのお耳マッサージにお耳かきかきの実験台になってね〜?」

……もう隠さなくなったな。この子は。
626 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/10(月) 02:09:03.73 ID:oJ/bhrfl0
パピヨン「――それじゃあ、まずはお耳にオイルを塗り塗りしちゃうね〜」

なんでもヒトのお耳専用のオイルなんだって〜、ちょっとお高い奴だぞ?なんて呟きながらパピヨンは手の平にそのオイルを垂らし、にゅるにゅると馴染ませる。自分の耳の近くでそれをされると、なんだか音が気持ちいい。

……なんだか良い匂いもしてきた。これはなんだろうか……よく分からないけど、安心する良い匂いだ。

パピヨン「それじゃ、次はこのオイルたっぷりのお手々でお兄さんのお耳をぎゅううう〜……♪」

耳がパピヨンの手の平に覆い尽くされる。オイルの感触が耳全体にじんわりを広がっていき、それがなんだかとても心地いい。次第に耳が温かくなっていき、耳の色んなところが敏感になっていくようだった。

パピヨン「耳には色んなツボがあるんだって。だからこうやって適当にギュ〜ってしたり、もみもみするだけでとっても気持ちいんだよ?お兄さんのお目目もトロトロ、なっさけなーい顔担当ウマ娘に晒しちゃってはっずかし〜」

こんな顔、アタシ以外に晒したきも〜!って目で見られちゃうから止めといた方が良いよ〜。

……耳をマッサージする手は止まらない。耳の外側から、耳たぶまでを親指と人差し指で挟むように揉まれぎゅっぎゅっぎゅ〜と指圧される。

ひとしきり揉んだかと思えば次は耳を畳むように全体を押しつぶす。普段なら少し痛いかもしれない動きだが、ポカポカになって柔らかくなった耳と、オイルの効果で全く痛くない。むしろ気持ちが良い。

『うぁ……』

パピヨン「……!あ〜!お兄さんキモい声漏れた!ぷぷ、うぁ〜だって。うぁ〜……!」

『ちょっと、止めてくれよ……恥ずかしいから』

ぎゅ、ぎゅ、ぎゅ、ぎゅ。ぎゅぅぅぅぅ……。

もみ、もみ。もみもみもみ……たぱたぱたぱ、たぱたぱたぱ。

パピヨンの笑い声を聞きながら、耳を触る手はどんどん勢いに乗っていく。揉んで、潰して、揉んで、軽く指で叩かれて。

しかし、どれも痛くない。気持ちよくて仕方がない。普段の疲れと睡眠不足も相まって、すぐに眠ってしまいそうになってしまう。

パピヨン「……は〜い。じゃあ次は耳かきでお兄さんのお耳の中をきれいきれしちゃうよ〜」
627 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/10(月) 02:10:23.09 ID:oJ/bhrfl0
これも竹で出来た良いやつ?らしいよ。と半分閉じかけていた自分の視界にパピヨンはその耳かき棒を見せた。

……立派な耳かきだと思った。なんだか、耳かきと想像して最初に思い浮かべたら出てくる理想の耳かき。そんな感じだった。

パピヨン「じゃ、これからは敏感な部分をカリカリしちゃうからジッとしててね。ぷぷ、気持ちよくて気持ちよくてもぞもぞ〜って動いちゃうのも、必死に我慢だよ?」

『あ、ああ……』

……あのちょっと曲がった先端が、耳の中に入ってくる。別に信用していないわけじゃない、ただ……最後に他の人にやって貰ったのは、幼い頃母にやって貰ったっきり。

正直少し怖い。さっきまでのオイルマッサージの安心感が少し引いてくる、そう思うと体に力が入って、先ほどまでどうやってリラックスしていたか――。

パピヨン「……はい。いいこいいこ〜。よしよ〜し」

――するといきなり、パピヨンの手が自分の頭を撫でた。

『ぱぴ、よん?』

パピヨン「あ、ちゃんと手は拭いたよ?ほらほら、お兄さん落ち着いて落ち着いて、まずは深呼吸だよ……ぷぷ。手先の器用さなら誰にも負けない自信があるアタシを信じて〜、痛くしないから、落ち着いて……お兄さん、いいこいいこ〜」

……優しくパピヨンが自分の頭を撫でる。傍から見ればなんてみっともない姿、しかし。どうしようもなく安心してしまう。体の力がふんにゃりと抜けていく。

パピヨン「……♪はい、じゃあお耳かきかきスタート〜、ゆっくり入れるから安心してねお兄さん?」

……かさ。かさり。

パピヨンの優しい声と共に、耳かき棒の先が、耳の入り口に触れる。入り口部分をゆっくりとゆっくりと、くるくる円を描くようになぞりながら、中に入っていく。

パピヨン「くる、くる、くるくる〜♪」

『っ』

思わず声が出てしまいそうになる、マッサージで血流が良くなったんだろう。そのせいか一層敏感になった耳の中に耳かき棒が入ってきて……ぞわり、と。体も震えそうになる。

かさ、かさ……がさっ。かさ……かさり。

パピヨン「うわ、あんま確認してなかったけど結構汚いねお兄さん。んも〜、お兄さんは自分の身だしなみも整えられないんだから〜」

……その分、担当ウマ娘のアタシがお世話してあげないといけないんだから。困っちゃうよね〜。と、嬉しそうな声色で担当ウマ娘は耳かき棒を優しく動かしていく。
628 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/10(月) 02:11:51.99 ID:oJ/bhrfl0
がさ、がさっ……すっ、すーっ……。

かり、かり。がさり……すーっ。すっ、すー……。

耳の中でがさがさと音が鳴り、耳の中に溜まっている汚れが掻き出されていく。たまに酷くこびり付いたものもあるようで、そういったものを剥がすとき耳かき棒の先端に力が入るのを感じると、少し気持ちが良い。

パピヨン「かり、かり……かりかり。かりかりかり……」

……無意識だろうか。パピヨンの口からオノマトペが漏れている。実際にされている耳かきと連動するように聞こえるその優しいオノマトペが、どんどん自分を眠気に誘ってくる。

耳の中に溜まっている汚れを、引っ掻いては取る。削っては取る。ゆっくりゆっくり周りを削り、落とさないように慎重に取る。

パピヨン「お兄さん本当に汚いね〜……でも、まあ。こういうの楽しいかも」

かり、かり、かり……かりかりかり、かりかりかり……がさっ。がさ、ごぞ。

ごぞ、ごぞ……がさっ。すっ……すーっ、すーっ。

パピヨン「…………♪すり、すり。かりかりかり〜……かり、かり。ごそごそごそ〜」

――――まずい、寝てしまう。先ほど耳にはツボが沢山あって、それが刺激されて気持ちがいいとは言われたが……これは、想像以上だ。

汚れの下に隠れていた肌が空気に触れて、少し痒くなってきたところを見逃さないとばかりにかりかりと掻いてくれる。溜まっていた汚れが一気に外に出て行くのが、気持ち良い。

うとうとと、瞼が重い。眠くて眠くて、仕方がない。

パピヨン「……ぷぷ、お兄さんだらしないお顔してるね?そんなに気持ちが良いんだ、アタシの耳かき」

『…………あぁ。気持ち良い、とても』

パピヨン「…………じゃ、もーっと気持ちよくしてあげるね。梵天を用意しまーす」

はーい、ふわふわふわ〜……ふわっ、ふわっ、ふわふわわ〜。

――ああ、あの白いふわふわ。あれを梵天というのか。

ふわふわが耳の中全体を一気に撫でる。ずぽずぽと耳の中を出たり入ったりして、次に中でくるくると回転しだす。

くるくる、ふわふわ。くるくる、ふわふわ……耳の中をこんなに甘やかされて良いものなのかと、思わず思ってしまう。

パピヨン「……ふ〜」

『……うぁあ!?』

すると突然、梵天が抜かれたと思うと――ふーっと、息を吹きかけられる。

パピヨン「サプライズプレゼントで〜す。お兄さん?ほらほら反対側にごろーんして、ごろーん」
629 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/10(月) 02:12:38.49 ID:oJ/bhrfl0
……そうか、まだ片方しか終わってないなら反対側があるのか。ならお願いをするしかない。トロトロの脳みそでそう考えて、言われるがままにごろんと顔の向きを変える。

パピヨン「……!は、はーい。じゃあまずは、マッサージからね……ねえ、お兄さん」

『……ん』

パピヨン「眠かったらもう寝ちゃっていいからね。お兄さんなら特別に……アタシのむちむち膝枕で寝る権利をあげちゃいまーす」

――確かに、ここで眠れたらどれだけ幸せだろうか。しかし、それはいけない。

『いや、それは……遠慮しておくよ。担当ウマ娘の膝で眠ってしまうなんて良くないし。キミも嫌だろう――』

ぎゅぅううううう……。

『ぅぁあぁ』

パピヨン「…………じゃあ、カウントダウンしちゃうから。0になったらお兄さんは眠っちゃってね」

オイルに馴染んだ手で耳を潰されて、言葉を最後まで言わせてもらえなかった。しかし、なんだ。カウントダウン……?

パピヨン「10から数えて、0になったら……夢の中。ほらほら、お耳マッサージに、お耳かき。ちゃちゃっといくよ〜」
630 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/10(月) 02:13:28.40 ID:oJ/bhrfl0
――――10。

ぎゅっ、ぎゅっ、ぎゅっ……ぎゅぅぅう……。

パピヨン「ほら、お耳を沢山揉みくちゃにして〜……耳たぶふにふに。お耳ぎゅっぎゅ」

もみ、もみ、もみ……ぎゅっ。ぎゅぅうううううう……。

……9。

パピヨン「寝ちゃえ寝ちゃえ、アタシのお手々に負けちゃえ〜……♪」

むぎゅっ、ぎゅむっ……ぎゅっ。ぎゅう。たぱ、たぱたぱたぱたぱ〜……。

……8。

パピヨン「はーい、じゃあ耳かきいきま〜す」

……がさっ。さすっ、すり……すり、すり。

パピヨン「すり、すり……ゆっくりお耳の中に入っていくよ……すり、すり」

……7、6、5。

パピヨン「ぷぷ、一気にカウントダウン進んじゃったね。ほらほら、夢の国はすぐそこだよ〜」

かり、かり、かり……がさっ。かり、ごそ……。

かりかりかり、かり……すっ、すーっ……すっ。すっ。

パピヨン「かりかりかり、かりかりかり……すり、すり、すり……かきかき〜……」

……4。

パピヨン「ぷぷ、涎垂れちゃってるよお兄さん。ほんと、いい大人なのに赤ちゃんみたい……」

パピヨン「……どうちまちたか〜?お目目がうとうとで、ねむいねむいでちゅか〜……ぷぷ、かわい〜……」

がさっ……がり、がり、かり、かり……ごそっ。

すっ、すーっ……すり、すり、すり。

……3。

パピヨン「ほら、あと少し。赤ちゃんは眠いの我慢なんてしなくていいの」

パピヨン「ほらほら、負けろ負けろ。担当ウマ娘の大事な脚の上で眠っちゃえ〜」

……2。

パピヨン「…………あ、おっきいのある。取っちゃえ取っちゃえ」

かき、かき、かき。かり、かり、かり。

…………がさっ。がり、がり、かり、かり。ごそっ……ごそごそ、ずずっ……。

パピヨン「……ふふっ」

……1

パピヨン「……やっぱりもう駄目みたいだね、お兄さん。今日はぐっすり眠って、明日たーっくさんアタシのために頑張ってね?」

パピヨン「…………それに。お兄さんに倒れられたりしたら、アタシ……泣いちゃうからね?」

パピヨン「……かり、かり。かき、かき。ごそ、ごそごそごそ……かきかきかき〜…………」

――――0。


パピヨン「――――は〜い。おやすみなさい、お兄さん?」

631 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/10(月) 02:14:04.48 ID:oJ/bhrfl0
――――膝の上ですーすーと気持ちよさそうに眠っているお兄さんを見て、ほっと一息。あー疲れた、思ったより神経使ったな、耳かき。

パピヨン「……まあ、でも、ちょっと楽しかったけど」

切っ掛けはお兄さんをちょっと癒してあげたかったこと。尻尾の手入れで培われた手先の器用さで、何かできないか探していたところ――この耳かきを見つけた。

――効果はてきめんだった。あのお兄さんが、アタシの膝の上でこんなだらしない姿を見せるなんて……ちょっと、ゾクゾクする。

これは、ちょっとお高い道具を買って正解だったなと心の中でガッツポーズ。

パピヨン「おっとそうだそうだ。写真写真」

近くに置いていたスマホを取って、ぱしゃりと寝ているお兄さんの顔を撮る。

……ぷぷっ。ほんっと、なっさけな…………。

パピヨン「……♪」

尻尾の手入れの次は、こっちもちょっと極めてみようかな。なんて考えたりして。

アタシはお兄さんが目を覚ますその時まで。ニヤニヤと寝顔を見つめていることにした。

…………後でからかってやろ〜っと……ぷぷっ。
632 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/10(月) 02:15:13.48 ID:oJ/bhrfl0
これだけです。とても耳かき楽しかったです。

おやすみなさい。
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/10(月) 12:24:21.12 ID:kW1mSFlzO
いきなり超上質耳かきASMRが飛んできてうっとりしている
いや最高かよ
ありがとう…ありがとう…!
634 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2024/06/10(月) 18:09:20.55 ID:YxtqkZMcO
ちょっとおっきした
ウマシコ許可?
635 : ◆OX0aJKbZO.0H [sage]:2024/06/10(月) 20:45:41.62 ID:oJ/bhrflo
喜んでくれた人がいたみたいで嬉しいです。書きたいもの良い感じに書けたので。

本編もそろそろ再開します。よろしくお願いします。
636 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/10(月) 20:54:40.84 ID:84aKOJujo
まじで感謝しかない
637 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/11(火) 23:53:19.81 ID:bydBv2aR0
『あの、すみません。知り合ったばかりでいきなりこんな質問をするのも失礼かもしれませんが……』

マントレ「ええ、はい。全然気にしませんよ?」

こちらから気兼ねなく何でも、と話したのですから。貴方も遠慮しないでください。なんてマンティのトレーナーさんは言ってくれるが……ええい、ままよ!

『…………失礼ですが、おいくつなんですか?』

マントレ「……」

にこりと笑ったまま表情が何も変わらない。しまった、やはり年齢の話題はアウトだった――。

マントレ「いくつに見えますか?」

『!?』

――思わずぎょっとしてしまう。自分から訊いておいてこの反応は本当に失礼だが、これは流石に驚く。

まさかこんな合コンみたいな……いや、この人こういう訊き返しをしてくる人なのか――少し、意外だ。

『そう……ですね……ええっと』

……暫くどうしたものかと考えに考えて、絞り出すように、言った。

『……とてもお若いですから、20代……後半とか……』

マントレ「ほぉ、ほぉほぉ……成程」

うんうんと頷いて、にこにこと笑顔を止めない。ま、まずい。どうしよう、謝った方が良いか?いやしかし、年老いてるようにも見えないし――けど雰囲気は。

マントレ「ふふっ……すみません、少し意地悪をしたくなっただけです。すみませんね、こちらも困らせるようなことを言ってしまって」

『……へ?』

やはり私は少し幼いといいますか、童顔といいますか。そういう風に年齢を聞かれる機会も多いので……少しだけ恥ずかしそうにしながら言うマンティのトレーナーさん。

マントレ「年齢を聞かれたら誰にでもこういう話を振るんですよ、貴方の知っている方だと……ステラライムさんの
トレーナーさんや、グリーンシルフィーさんのトレーナーさんが新人の頃にも話して困らせた記憶がありますから」

『そ、そうだったんですか……』

――あれ、じゃあ。やっぱりこの人の年齢は……え?
638 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/11(火) 23:54:55.24 ID:bydBv2aR0
『あの、すみません。知り合ったばかりでいきなりこんな質問をするのも失礼かもしれませんが……』

マントレ「ええ、はい。全然気にしませんよ?」

こちらから気兼ねなく何でも、と話したのですから。貴方も遠慮しないでください。なんてマンティのトレーナーさんは言ってくれるが……ええい、ままよ!

『…………失礼ですが、おいくつなんですか?』

マントレ「……」

にこりと笑ったまま表情が何も変わらない。しまった、やはり年齢の話題はアウトだった――。

マントレ「いくつに見えますか?」

『!?』

――思わずぎょっとしてしまう。自分から訊いておいてこの反応は本当に失礼だが、これは流石に驚く。

まさかこんな合コンみたいな……いや、この人こういう訊き返しをしてくる人なのか――少し、意外だ。

『そう……ですね……ええっと』

……暫くどうしたものかと考えに考えて、絞り出すように、言った。

『……とてもお若いですから、20代……後半とか……』

マントレ「ほぉ、ほぉほぉ……成程」

うんうんと頷いて、にこにこと笑顔を止めない。ま、まずい。どうしよう、謝った方が良いか?いやしかし、年老いてるようにも見えないし――けど雰囲気は。

マントレ「ふふっ……すみません、少し意地悪をしたくなっただけです。すみませんね、こちらも困らせるようなことを言ってしまって」

『……へ?』

やはり私は少し幼いといいますか、童顔といいますか。そういう風に年齢を聞かれる機会も多いので……少しだけ恥ずかしそうにしながら言うマンティのトレーナーさん。

マントレ「年齢を聞かれたら誰にでもこういう話を振るんですよ、貴方の知っている方だと……ステラライムさんの
トレーナーさんや、グリーンシルフィーさんのトレーナーさんが新人の頃にも話して困らせた記憶がありますから」

『そ、そうだったんですか……』

――あれ、じゃあ。やっぱりこの人の年齢は……え?
639 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/11(火) 23:56:31.07 ID:bydBv2aR0
間違えて同じの2回貼っちゃいました。



マントレ「しかし暑いですねぇ。最近は五月六月の時期からも暑いですから、この夏のシーズンはより一層暑くなりますね」

『そうですね。蒸し暑くて蒸し暑くて、冷房無しではもう体調を崩してしまいそうですよね』

扇子をパタパタしながら暑い暑いと枝豆をぽりぽり食べているマンティのトレーナーさん。夏の暑さは過酷で、今の時期のトレーニングは肉体以上に精神の成長に繋がるだろう。

もっとも、やり過ぎはいけないが。熱中症なんてされては元も子もない。

『……あの、トレーニングについてお聞きしたいのですがよろしいでしょうか』

マントレ「はい?」

――効率の良いトレーニング方法とは、なんでしょうか。そう訊ねると、なんだか困ったような顔をされてしまう。

マントレ「……効率はとても大事ですよね。時間は有限で、期限は刻一刻と近づいてきますから。少ない時間でより最大のトレーニング効果を求めたいものです、勿論私もそうです」

しかし、だからと言って担当ウマ娘の意見を尊重しないトレーニングというのもかえって効率が悪くなるものです。

『……と、言いますと?』

マントレ「担当しているウマ娘によって効率のいいトレーニングは変わる、ということですよ。勿論、だからと言って本や資料のトレーニングが悪いという訳ではありませんが」

――パピヨンさんに合ったトレーニングをぜひ、ご自身の手で見つけてあげてください。それは担当トレーナーの貴方にしか出来ないことですから。

『……ありがとうございます。すみません、参考にさせてもらいます』

マントレ「ええ。お互い頑張りましょうね。こちらもこんなことを言っていますが、まだまだ勉強中ですので」

にこりと笑いながらそう言うが、あまりにもそんな風には思えなかった。

……本当に何歳なんだろうこの人。
640 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/12(水) 00:27:18.00 ID:q8ximHrP0
マンティ「あ、ぱ、パピヨンさん……」

ライム「パピヨンさーん!こっちですよこっち!」

四人で集まって花火をしよう!ということになり、夜の砂浜に集まるアタシたち。どうやらアタシが一番最後に来たみたい。

パピヨン「んー、ごめんごめん。それで、花火は用意できたの?」

シルフィー「はい。宿舎に余っている花火が沢山あるみたいで、お願いしたらいくつか貰えました!」

嬉しそうに耳をぴょこぴょこさせているシルフィーの手には大きなビニール袋。その中に沢山の花火。

えーっとなになに?線香花火に、火花みたいな花火が真上にブシャーって出る奴、手に持つ花火……あ、打ち上げ花火もあるじゃん!

ライム「ふふ、パピヨンさんはこちらが夏祭りの時北海道ですから。ここで私たちだけで夏祭りの花火を先取りしちゃいましょう!」

パピヨン「え、なになに。もしかしてあのいきなりの花火発言ってアタシのこと考えてしてくれたの?え〜やっさし〜!」

もしかして、皆アタシのこと大好きなの〜?

マンティ「あ、えっと、わたっ。わたしは……!パピヨンさんが……一人だけ遠征なので」

ライム「そうですよ、一人だけ夏祭り楽しめないなんて寂しいじゃないですか!」

シルフィー「はい、パピヨンさんの事を思って計画したんですよ?」

パピヨン「…………え、待って待って。思ってた反応とちょっと違う」

……うわ、ちょっと恥ずかしい。別に遠征なんて大したことじゃないのに……。
641 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/12(水) 00:54:17.55 ID:q8ximHrP0
――と、いう訳で早速四人の花火大会がスタートした!

パピヨン「すっご!今の市販の花火ってこんなカラフルなんだ、結構やるじゃーん」

市販で買える花火なんて久しぶりで、幼い頃にやったそれの記憶と比べるとだいぶ進化しているなぁ。やっぱ成長してるね〜どこも。

シルフィー「パピヨンさんパピヨンさん、そろそろ打ち上げ花火やっちゃいませんか?」

パピヨン「おっ、いいねいいね〜。じゃあどんどん火を付けちゃおう!」

付属のチャッカマンで打ち上げ花火に火をつけると、暫くしてから大きな音と共に花火が打ちあがり、パーンパーンと夏の夜空に綺麗な円を描いた。

マンティ「わっ……!び、びっくりしたぁ……け、結構凄いですねぇ」

シルフィー「ほんと、凄いですね……」

連続で花火が打ちあがる。ほんと、全然夏祭りで打ち上げられるようなものと比べても……いや、流石にそれは嘘かも。ちゃんとした奴の方が大きいし、綺麗だし、音もデカいし……。

……でも、こういうのも良いな。雰囲気あって。皆で見れるし。

ライム「パピヨンさん」

パピヨン「ん?」

打ち上げ花火がまだ続いている中、隣で座っているライムが話しかけてくる。

ライム「エルムステークス、応援していますよ。私応援していますから、テレビでもちゃんと観させて貰いますね!」

パピヨン「うげっ……別にいいでしょ、そんな応援とか。そっちはそっちで練習しなって」

ライム「いえいえ、ライバルの試合を確認するのも立派な練習ですよ。貴方ほどのウマ娘をマークしないなんて、怠慢ですよ怠慢」

……相変わらずこの子はアタシに対してこんなことばかり。そんな期待、アタシには荷が重いし背負いきれないんだけど……。

……でも。

ライム「じゃ、そんな期待に応えないとね。どう?優しいでしょアタシ」
642 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/12(水) 00:56:46.16 ID:q8ximHrP0
んもー間違えです。




――と、いう訳で早速四人の花火大会がスタートした!

パピヨン「すっご!今の市販の花火ってこんなカラフルなんだ、結構やるじゃーん」

市販で買える花火なんて久しぶりで、幼い頃にやったそれの記憶と比べるとだいぶ進化しているなぁ。やっぱ成長してるね〜どこも。

シルフィー「パピヨンさんパピヨンさん、そろそろ打ち上げ花火やっちゃいませんか?」

パピヨン「おっ、いいねいいね〜。じゃあどんどん火を付けちゃおう!」

付属のチャッカマンで打ち上げ花火に火をつけると、暫くしてから大きな音と共に花火が打ちあがり、パーンパーンと夏の夜空に綺麗な円を描いた。

マンティ「わっ……!び、びっくりしたぁ……け、結構凄いですねぇ」

シルフィー「ほんと、凄いですね……」

連続で花火が打ちあがる。ほんと、全然夏祭りで打ち上げられるようなものと比べても……いや、流石にそれは嘘かも。ちゃんとした奴の方が大きいし、綺麗だし、音もデカいし……。

……でも、こういうのも良いな。雰囲気あって。皆で見れるし。

ライム「パピヨンさん」

パピヨン「ん?」

打ち上げ花火がまだ続いている中、隣で座っているライムが話しかけてくる。

ライム「エルムステークス、応援していますよ。私応援していますから、テレビでもちゃんと観させて貰いますね!」

パピヨン「うげっ……別にいいでしょ、そんな応援とか。そっちはそっちで練習しなって」

ライム「いえいえ、ライバルの試合を確認するのも立派な練習ですよ。貴女ほどのウマ娘をマークしないなんて、怠慢ですよ怠慢」

……相変わらずこの子はアタシに対してこんなことばかり。そんな期待、アタシには荷が重いし背負いきれないんだけど……。

……でも。

パピヨン「じゃ、そんな期待に応えないとね。どう?優しいでしょアタシ」
643 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/12(水) 01:09:18.48 ID:q8ximHrP0
――アタシには夢がない。走りに対する思いとか、願いとか。そんな大層なものは存在しなかった。

けど、今のアタシには……それっぽいのがある。ステラライムのライバルになって――期待に応えて、そして。

…………勝つ。全員の期待に応えて、しっかり全部背負って、堂々の一着で。勝つ。

パピヨン「まずはエルムステークス。そこで勝って――ライムの場所まですぐに戻るよ」

ちょっと最近負け続きだったから、同世代最強さんの近くに早く戻ってこないと。

ライム「ふふっ、なんですかそれ。パピヨンさんはずっと、アタシと近いところに居たじゃないですか」

パピヨン「アタシにはアタシなりに思うところがあるの!はー、そんなんじゃ彼氏くんとの関係長続きしないんじゃないの?」

ライム「あっ!あ!あー!!!それはもうやらない約束じゃないですか!あー!しかも……は、はぁ!?彼氏じゃないですし、長続きしない……!?」

パピヨン「ぷははははは!」

――――こんなことを言っておいて負けるかもしれない。けど、もうアタシは――折れないよ。

未来がどうなるかなんて分からない、けど――だからと言って全部ダメにしちゃうのは良くないことだって。お兄さんに言われたから。

まだまだアタシは走り続ける。たとえどうなろうと――アタシは、応え続ける。

――もう二度と背負ったものを放り出したりしないから。

パピヨン「あーおもしろ〜……って、へ?な、なに?その怖い顔……あー!デコピンしようとしてる!ちょっとシルフィーにマンティ!この人暴力!暴力振ろうとして――あ"ー!」

アタシの叫びは丁度一番大きな花火の音と重なって、聞こえなかったみたいだった。

644 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/12(水) 01:14:58.49 ID:q8ximHrP0
それじゃあ今日はこれで、おやすみなさい。



コンマも安価もしないの申し訳ないので、適当になにかやります。こんな時間ですけど。

パピヨン→ライム感情:コンマ直下

コンマが高いほど激重、低いほどカラっとしてる。
645 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/12(水) 01:41:56.88 ID:2FsfIWYfo
おつおつー
646 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/12(水) 01:42:29.23 ID:2FsfIWYfo
(おっとこれは意外と……?)
647 : ◆OX0aJKbZO.0H [sage]:2024/06/12(水) 16:47:36.58 ID:q8ximHrP0
軽い気持ちでコンマしたらなんか凄いことになっちゃった
パピヨンが色々シットリしてきた
648 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/12(水) 22:37:15.05 ID:q8ximHrP0
――――夏合宿を途中で抜け、飛行機に乗り北海道へ。そしてレース場。

今日はエルムステークス当日。担当ウマ娘シルヴァーパピヨンの様子はというと……。

パピヨン「ねえねえ、今日のレースが終わったら何か美味しいご飯ご馳走してね〜お兄さん?」

――上目遣いでご飯をねだっていた。まあ、それくらいなら全然良いんだが――。

パピヨン「あとあと、北海道観光もしたいし夏祭りも行きたいし……あ!お土産も買わないとじゃん!」

『……キミ、レース前だけど随分と余裕だな』

パピヨン「やだなぁお兄さん、ガッチガチになって本調子出せないより全然良いでしょ?だからお兄さんが出来ることは、可愛い担当ウマ娘のアタシのおねだりをきちんと叶えてあげること!」

はー楽しみだなぁ北海道ご飯!と、わざとらしい大きな声。

『……ま、それもそうか。それじゃあ飛び切り美味しいお店探しておくから、キミは早く行ってこい」

パピヨン「お兄さんわかってる〜!んじゃ、行ってくるね〜!」

――そして、パピヨンはルンルン気分で控室から出ていった。

距離も場所も初めてのこのエルムステークス。短距離適正であるのにマイル距離に挑み続けるその姿、これまでのレース結果も踏まえると、パピヨンの人気は今までで一番低い。

『……でも、そのための練習を行って来たじゃないか』

自分に出来ることは、もう信じて待つだけだ。そう思いながら、【貴方】は観客席に向かって行く。
649 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/12(水) 22:41:36.13 ID:q8ximHrP0
エルムステークス、結果は:コンマ直下
1-2 余裕の勝利勝利
3-7 何とか勝利!
8 2着!
9 3着!
0 おおっと
650 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/12(水) 22:51:11.13 ID:XAdrcKZK0
651 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/12(水) 23:10:53.85 ID:q8ximHrP0
――さあ最終コーナー!4番シルヴァーパピヨン逃げる逃げる!外から7番!そして内から1番のウマ娘が追うも差が縮まらない!

パピヨン「っ……!やぁあああああああああ!!!!」

――シルヴァーパピヨン先頭シルヴァーパピヨン先頭!しかし最後の直線厳しいか!段々と後方との差が縮まっていく!7番が迫る!

――おおっと10番のウマ娘が後方から追い上げる!4番手、3番手!そして7番のウマ娘と並び先頭を狙う!

パピヨン「――ああああああああああああああああっっっ!!!!」

――――先頭は4番シルヴァーパピヨン!今一着でゴールイン!重賞初制覇!見事な逃げ切り勝ち!

――そして二着は10番、三着に7番――。
652 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/12(水) 23:24:00.91 ID:q8ximHrP0
パピヨン「はぁ、はぁ、はぁ……はぁ……?」

――レース版を駆け抜けて、ゆっくりと速度を落としていきながら止まる。夏の蒸し暑さでビショビショの汗で手の甲で拭い、観客席を見る。

わぁあああああ……!と、歓声。暫くアタシが浴びれてなかった、歓声。

――――あんなに、アタシには走り切れない見たいな雰囲気だったのに。勝ったら勝ったでこんな歓声。いや、ほんっと、ほんとー……に。

パピヨン「…………っぷ」

――さいっこー……!

パピヨン「ぷふ、ぷはははははははは!!!アタシには走り切れないとか、全然ダメ見たいなことばっかり言ってたくせに何この歓声!手の平クルクルでなっさけな!」

パピヨン「アタシが勝つのは当然なんだけど!なんで理解できてないのこの人たち!ぷぷぷぷぷ!」

――あ、お兄さんの悲鳴みたいな声が聞こえてきた。ぷぷっ……!きっも……!

パピヨン「はー……!」

久しぶりに、なんだかスッキリ走れた!気持ちよかったー!
653 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/12(水) 23:37:24.09 ID:q8ximHrP0
すみませんこれだけです。おやすみなさい。

北海道でちょっとご飯食べて夏祭りできそうならやって、次のレース安価いきます。
654 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/12(水) 23:55:32.47 ID:2FsfIWYfo
すーぐ調子に乗りやがってコイツ……
ライムにボコられてまたしっとり分からせられてくれーでもそのためにももっともっと勝て

あと北海道で美味しいもの食べてお土産も買っていってあげれ
おつ
655 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/13(木) 12:05:53.32 ID:+m04VO4cO
ライムが出会った当初からグイグイ来る光属性過ぎてパピヨンの脳が焼かれちまってるんだ。

日常生活でもやられてるしレースではもっと脳焼かれてるし、表には出してないし本人も自覚してないけどお兄さんと同じくらい大好きなのがライム。

だからもしライムが曇ったりしたら凄いことなる。凄い。
656 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/13(木) 22:10:20.86 ID:+m04VO4cO
『正座』

パピヨン「はーい、反省してまーす」

――レースが終わってすぐ控室に戻ってきた担当ウマ娘。褒めるでもなく、脚のチェックをするでもなく、最初にしたことはこれだった。

『……はぁ、キミなぁ。前にも言ったと思うが、そういう態度はだなぁ』

パピヨン「え〜?いやいやお兄さん、だって本当のことじゃん?」

――彼女のこういう言動を、自分は嫌われるためにわざとやっている物だと思っていた。が……初めてであった時とは良い意味でも悪い意味でも吹っ切れた彼女が、何故またあんなことを。

パピヨン「楽しかった楽しかった〜。ふんふーん」

……まあ、それはとりあえず後ででいいか。

『はぁ、重賞を勝って調子に乗るのは良いが、あまり乗りすぎると――いや、悪い』

あの態度は問題だが、それとこれは別問題。重賞初勝利、それで調子に乗らなければいつ乗るのか。今パピヨンはウッキウキの笑顔で、尻尾がフリフリ揺れていて。とにかくとてもとても嬉しそうで。

……それに水を差すのは。ダメだろう。

『こほん。パピヨン――重賞初勝利おめでとう。自分も、このレースを見ていてずっと興奮しっぱなしで、なんだか目頭が熱くなってきて――』

パピヨン「うわ、きも〜い!お兄さんなに?そんな自分の事みたいに喜んじゃって、泣きそうになっちゃったの〜?」

『そりゃあ自分の事みたいに喜ぶし感動もするだろ!キミは自分の担当ウマ娘なんだぞ!?』

パピヨン「……!」

ああ、パピヨンはそうやってすぐに茶化してくる。担当ウマ娘の勝利を自分のことのように喜べない奴なんてトレーナー失格だ。当然に決まっているだろう。

『――けどこれはまだ始まりだパピヨン!今後もっともっとレースに出て、勝って、そして――ステラライムに勝つ』

それが目標だもんな、と。パピヨンの両手をぎゅうっと握りしめて、言う。
657 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/13(木) 22:11:11.20 ID:+m04VO4cO
パピヨン「……ぷっ。ぷははは!ほんっとお兄さんって……ヤバいよね。キモすぎて」

全然嫌そうな顔をせず、パピヨンは笑う。握りしめた両手をほどいてパピヨンはまた部屋から出て行こうとする。

パピヨン「でも……うん、そのキモさが今は一番嬉しいかな。お兄さんキモくてさいこ〜!」

『う、うん?』

褒められているのか貶されているのか分からない一言に、どう反応したらいいのか分からない。

パピヨン「んじゃ、アタシはちょっと真ん中で踊ってくるから――応援しててね、特等席で」

『……ああ、踊ってこい。そして見せつけてこい』

勝者はアタシだと。精一杯アピールしてこい。その言葉を聞いて、パピヨンは当たり前じゃーん。と言って控室を後にした。

――ああ、その笑顔が見れただけで。自分がどれだけ嬉しいか……キミは分かっているのだろうか。

658 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/13(木) 22:19:36.49 ID:+m04VO4cO


ここで謝りたいことがあります。

すみません、>>519でライムの次走がジャパンダートダービーって書いてあるんですけどすっかり忘れていました。ジャパンダートダービーは7月の前半で夏合宿が始まってすぐなのでライムがその時期に楽しそうに恋バナしてることになっちゃいました。

なのでちょっと安価します。こういうスレやっていてこういうミスはほんと申し訳ないです。


1 描写してないだけでちゃんと出てたよ。(レース結果は後でコンマ)
2 なんか色々あってレース時期がずれてるよ(上と同文)
3 >>519をなかったことにして違うレースを次走にする。

安価下2まで
659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/13(木) 22:22:01.32 ID:HGOVvORDO
2
660 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/13(木) 22:33:45.12 ID:+m04VO4cO
40分になったら締め切ります

ほんとすみません
661 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/13(木) 22:54:34.28 ID:+m04VO4cO
それでは、ちょっと時期をずらして9月の初めにずらします。

ほんと気を付けます。申し訳ないです。
662 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/13(木) 23:09:33.00 ID:x0c/yB6lo
あまり気にしすぎなくていいのよ
とても楽しんでます
663 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/13(木) 23:24:23.42 ID:+m04VO4cO
――――ウイニングライブは無事に終わった。センターで踊る我が担当ウマ娘の姿をこの目とカメラにしっかりと収め、とても満足することが出来た。

レース観戦中に熱くなった目頭が崩壊し、ちょっと溢れ出たが視線とカメラだけはブレさせなかった。

……そして、その次の日。

パピヨン「よーし!じゃあお兄さん!ゴチになりま〜す!」

『……行っておくが食べ放題じゃないからな、申し訳ないけどこっちにも財布の事情があってな』

経費でなんでもかんでも降りるわけじゃない、ここはしっかり自腹だ。その旨はきちんとパピヨンにも説明しているんだが……まあ関係ないか、ああ。

パピヨン「ま、そこは安心してよお兄さん?アタシ、あんまり食べない方だし」

『……いや食べろ。キミはもっと沢山食べて身体を付けるべきだ』

パピヨン「言ってることが全く逆になってる気がするんですけどお兄さん」

それはそれとしてまだまだ食べ盛りだろう彼女には沢山食べてもらいたい。

『……なんでも塩ラーメンが美味しいらしいぞ。この前とある芦毛のウマ娘がそう言っていて』

パピヨン「それ滅茶苦茶有名な人じゃない?とあるって誤魔化す必要ある?」

まあしかし勝手に名前を出すのもあれだ、自分も殆ど名前が分かるがあちら側としては名前を出したくない理由とかもあるのかもしれないし。

『まあ適当にぶらつきながら美味しそうなお店に入ってみるのも良いな』

パピヨン「えーもしかしてノープラン?お兄さん、デートはちゃんと女の子をリードするものだよ〜?」

ま、彼女いない歴が年齢のお兄さんにはわからなかったか〜ぷぷぷ。と、にやにや笑うパピヨン。
664 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/13(木) 23:25:41.80 ID:+m04VO4cO
『キミ、いい加減起こるからな』

パピヨン「や〜んこわ〜い!お兄さんに乱暴されちゃ〜う!」

『……』

……デコピンしてやろうかと思った。


パピヨンと札幌デートだ:安価下2まで。

何かイベントとか、食べた食べ物とか。お好きなイチャつきを。



今日はこれでおしまいです。ありがとうございました。おやすみなさい
665 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/13(木) 23:58:05.59 ID:x0c/yB6lo
水族館でペンギンの散歩見よう
666 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/14(金) 08:03:06.13 ID:H9xbNrHUo
塩ラーメン食っとくか
そのあとラーメン屋はしごしようとか言い出すパピヨンにやっぱりウマ娘なんだなぁとしみじみ思うトレーナー(結構お腹いっぱい) 
667 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2024/06/15(土) 01:44:09.00 ID:pfLSbGEuO
そういやゾロ目ボーナスもうやんないの?
直近だと>>645がゾロ目だけど
668 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/15(土) 16:27:18.73 ID:oQQIirZho
ゾロ目ボーナスとかすっかり忘れていました、ありましたね

じゃあライムとのイベントでなにか色々と投げておいてください。ゾロ目だしなんか欲望にまみれてそうな無理そうな奴も良い感じに採用します。

ゾロ目忘れがちなので見つけたら教えてください。ただ無理なときは無理って言います
669 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/15(土) 19:17:05.44 ID:txRjnO+Lo
ライムの尻尾手入れ
ライムが尻尾弱点でくすぐったがるいい反応する
670 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/15(土) 23:06:55.00 ID:8kWKmcikO
欲望にまみれで良いならライムに押し倒されて近すぎる顔にドキドキしちゃうパピヨンがみたいですけどね
671 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/15(土) 23:40:53.45 ID:5bRNW6X70
欲望まみれでいいなら
ライムと幼馴染くんのキスシーンをパピヨンちゃんが目撃
ライムちゃん大人……っ!? ってなったパピヨンちゃんに尊敬の目で見られたり、なんか恋愛相談されるようになって困惑しちゃうライムちゃんとか見たい
672 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/16(日) 19:53:53.99 ID:sIH+KwNeO
欲望にまみれます
ライムがパピヨンに洋服選んで欲しいって言われるから一緒に出掛けて買いに行くんだけど、その理由が幼馴染みくんとのお出掛けに着ていくお洋服探しって最後に言われてドロドロした感情が溢れる奴
673 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2024/06/16(日) 21:02:37.81 ID:rnSFK8CSO
本当に何もかもが気持ち悪い
二度と書かないで欲しい他のウマスレの迷惑になるから
674 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2024/06/16(日) 23:33:20.10 ID:YpGK13sBO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1718365958/
このスレを見習って欲しい
オリキャラしか出さないウマ娘スレってもうただの[田島「チ○コ破裂するっ!」]だろなにが欲にまみれだ気持ち悪い
675 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/16(日) 23:44:46.83 ID:qkNkNrGN0
>>673-674
お前の方が気持ち悪い
676 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2024/06/17(月) 01:18:28.47 ID:TAqq9v26O
なんでこんなスレに信者がいるんだ
そりゃこんなに排他的じゃスレに人もいませんわ信者とキモいスレ主の相互[田島「チ○コ破裂するっ!」]なんてだれも興味ないし
早く別のところでやってくれ
677 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2024/06/17(月) 21:43:53.50 ID:f1W0t7g+O
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1718365958/
あの荒らさないでください
妬みは醜いですよ
678 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/17(月) 21:50:12.84 ID:wKVaBWg+o
末尾Oは全員NGで
679 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/18(火) 00:52:56.65 ID:zvonbBpj0
寝る前に確認したらなんかすっごいことなっててビビりました、どーしましょうねこれ。
取り合えず火曜日の今日は更新できます。よろしくお願いします。
680 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/18(火) 00:56:10.64 ID:zvonbBpj0
あとぞろ目コンマありがとうございました。結構来て驚いてます。
何採用するか決めてませんが、ぶっちゃけキスくらいならまあいいんじゃないのって気もします。
681 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/18(火) 01:00:51.68 ID:jIgS29OGo
了解
報告おつー
まってまーす
682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2024/06/18(火) 18:05:45.59 ID:5UVzG1b+O
C
683 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/18(火) 19:21:39.10 ID:OkqgFHvz0
おつ
684 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/18(火) 22:43:57.65 ID:zvonbBpj0
――札幌の街並みをパピヨンと二人でぶらぶらと歩いていると、途中で水族館を見つけた。

まあ折角ならと水族館に立ち寄り。二人で色々と観れたら面白いだろう――そう思ったのだが。

パピヨン「わぁあああああ……!か、かわいっ……!」

『ああ、そうだな』

――丁度ペンギンが散歩をしている時間帯だったらしく、パピヨンがそれに釘付けになってしまった。目をキラキラと輝かせ、ぺたぺたと歩くペンギンを目で追い、そのまま一緒に向かって行きそうな勢い。

……彼女が普通に可愛いものとか相応に好きなのは知っていたけれど、こんなにハマるとは。まあ自分も初めて生でペンギンを見たが、ここまで夢中に……夢中になる可愛さだな。うん。

パピヨン「ちょ、お、お兄さん!お兄さん!ついて行こついて行こ!」

『はいはい、ちゃんと周り見てぶつからないようにな』

分かってるに決まってるじゃん!そう言ってペンギンの散歩について行くことになった。

……うん。これだけで今日は来てよかったな、水族館。
685 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/18(火) 22:44:32.42 ID:zvonbBpj0
パピヨン「…………別にそんな夢中になんかなってないけど。ちょっと珍しいな〜って思っただけですけど」

『うんうん』

パピヨン「は〜!?何その反応!なっ、別に、アタシ好きじゃないけど!?」

……キミは攻められる立場になると一転して弱くなるなぁ。と思わざるを得ない。実際他の魚とかには目もくれずペンギンにだけ夢中になっていたじゃないか、とは……言わないでおこうか。

……ちょっと心配になるが、まあ問題ないか。

『……自分もペンギンにちょっと夢中になっちゃったな。可愛いよな、ペンギン』

パピヨン「!へ、へ〜!お兄さんペンギンに夢中になっちゃったんだ!まるで子供みた〜い!ぷぷっ、あー情けなーい!」

『ところで本当にペンギン可愛かったから、ここで売られてるペンギンのぬいぐるみを買おうと思ってるんだが、流石にパピヨンは要らないか――』

パピヨン「えっ!?欲しい!お兄さん買って!」

……ちょっと大きい奴を買ってあげようかな。


何かイベント:安価直下
1 レースを見てくれたファンが……
2 他の魚とかショーとか見ようか
3 その他(自由安価)
686 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/18(火) 23:06:58.95 ID:GHigvqfn0
1
687 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/19(水) 00:05:35.50 ID:lJQh5VuP0
ファン「――あ、あの!もしかしてシルヴァーパピヨンさんですか!?」

パピヨン「……うん?」

水族館のベンチに腰を掛けて休んでいるとき、突然一人の女性が声をかけてきた。

――一瞬身構えるが、どうやら大丈夫そうな雰囲気。もしかして、これは……。

ファン「せ、先日のエルムステークス見てました!い、一着おめでとうございます!」

パピヨン「…………ぇ。何、もしかして……アタシのファン?」

ファン「は、はい!」

……困ったようにパピヨンが視線をこちらに向けてくる。裏表もなさそうな純粋な応援、全く慣れていなさそうだ。

…………ぷいっと視線を外す。

パピヨン「うぇ!?…………ぷ、ぷぷ。アタシのファンとか、ちょっと逆張りしすぎじゃな〜い?ほら、ライ……ステラライムとか応援しなよあっちの方が――」

ファン「わ、私!貴女の懸命に前を走る姿が好きで……!レース中も、全然目を離せなくて……!」

――体力が無くなるその瞬間まで!必死に全力で先頭を往くシルヴァーパピヨンさんの姿に、元気を貰ってるんです!ほんと、今ここで会えるなんて思えませんでした……!

『……』

…………正直、驚いた。こんなに熱心なファンが、パピヨンにいるなんて。ほら、パピヨンも珍しく狼狽えてる。

ファン「す、すみません!その……あ、握手して貰っても良いですか!?」

パピヨン「へっ!?ど、どうぞ!?」

あ、あーもう声がひっくり返ってる。
688 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/19(水) 00:06:26.91 ID:lJQh5VuP0
パピヨン「…………お、お兄さぁん」

『……嬉しいなら、何かファンサでもしてあげたらどうだ?」

パピヨン「ふぁ、ふぁんさぁ!?」

――――ちょっと面白いから見ていよう。


ファンサしてあげましょう:自由安価直下




今日はこれだけです。おやすみなさい。
689 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/19(水) 12:25:08.62 ID:Skh/pvDTo
ツーショットチェキ(パピヨンからは言えなさそうなので相手のお願いを許容する形かなぁ)
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/19(水) 16:19:27.39 ID:vXwTf22dO
ペンギン
691 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/19(水) 23:15:22.27 ID:lJQh5VuP0
パピヨン「あー……えっと、ねぇ」

……パピヨンの珍しい姿だ。ここまで困っているのは自分でも他の友達でもなかなかお目にかかれないだろうな。

普段あんな言動をしているパピヨンにとって、ファンからの純粋な好意は慣れていないのかもしれない。

ファン「じゃ、じゃあ!あの、握手もして貰って申し訳ないんですけど……!」

ファンの女性はそう言うと、カバンからカメラを取り出した。ずっと持っていたんだろうか……?

ファン「ツーショットお願いできますか!?」

パピヨン「しゃ、写真?ま、まあ、写真くらいなら全然……」

相手のお願いとその勢いに負けて、パピヨンはとてもぎこちない笑顔をしながらピースする。それに合わせるようにファンの女性もピースをして……。

……パシャリ。と、音が鳴る。

ファン「あ、ありがとうございます!ほんと、ほんと嬉しいです!」

パピヨン「あ、あはは……そっか。うん、お姉さんも嬉しいならアタシも嬉しいかも」

ファン「……!こ、この写真は一生大事にします!あ、もちろんSNSにあげたりとかもしませんから!」

ほんと、本当にずっと応援してます!だからこれからもレース頑張ってください!

……そう言い残して、ファンの女性はぺこぺこと頭を下げて行ってしまった。
692 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/19(水) 23:16:16.84 ID:lJQh5VuP0
『…………出来るじゃないか。ふふ、でもなんだ。ちょっと慌て過ぎだな』

パピヨン「……ねえ、お兄さん」

『ん?』

ぺたりとベンチに腰かけて、パピヨンは【貴方】に話しかける。

パピヨン「……居るんだね、アタシに。あんな、ファンとか」

『……そこだけ言われると凄い困っちゃうな……まあ言いたいことは分かる』

パピヨン「アタシ、昨日もあんなこと言ってるのに。ファンとか観客バカにしたし、普段もわざとあんな――なのに、あんな応援って」

『キミの走りはそれだけ人を夢中にさせるってことだよ。普段の言動とか、そういうのを全部無視して……走りには全部表れてしまうんだ』

――懸命に前に走る姿が好き。必至に全力で先頭を往く姿に元気を貰う。それがきっと、パピヨンの走りが周りに与える影響なんだろう。

『……これからも頑張ろうな、パピヨン』

パピヨン「…………あったりまえじゃん、お兄さん」

――やはり彼女の走りは人を魅了させる。普段の言動では誤魔化しきれない彼女の走り、それを応援してくれているファンの為にも――もっともっと頑張ろう。

パピヨン「あー……こういうの、嫌だったはずなんだけどなぁ……ぷぷ、ま、いっか」
693 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/20(木) 00:03:37.14 ID:Kn5Lwoak0
――――水族館を出ると良い感じに日が暮れ、そろそろ晩御飯を食べなくてはいけない時間だった。

……と、いう訳で。

『……すみません、この塩ラーメンと……ウマ娘用のこっちの塩ラーメンを一つ』

折角なので塩ラーメンを食べることにした。普通のヒトが食べるサイズと、ウマ娘用のお値段そのままにボリュームがだいぶアップされたもの。

『ま、ちょっと遅いけどエルムステークスお疲れさま会だな』

パピヨン「え、お兄さんそれ本気で言ってる?アタシの初重賞勝利を、こんなラーメン屋さんで!?」

『……ダメか、やっぱり』

パピヨン「はぁ〜〜〜……ほんっとお兄さんって女の子のこと分かってないよね。もっとムードというか、女の子が喜ぶようなところでやらないと」

叱られてしまった。確かに晩御飯と一緒にお祝い、というのはダメだったか……いや、そういう話じゃないのか、今は。

パピヨン「……ま、今回は許してあげる。アタシも勝てて嬉しいし……今日はビックリなサプライズもあったしね〜」

……水族館でファンの方に出会ってから、妙にパピヨンの機嫌がいい。やはりパピヨンは――そういう応援されるとか、期待されるとかそういうのが……嬉しいんだな。やっぱり。

パピヨン「ちょっと、何その顔。ジロジロ見ないでよ――あ、来た来た!うわでっか!」

『はは、悪い悪い――うわ、すっごいなそれ』

自分の目の前に置かれた普通のサイズと比べて、ウマ娘用のそのサイズは倍近くあった。

――す、凄いな。いやこのサイズも余裕で平らげるのは分かるが――にしても圧巻だ。

パピヨン「…………ま、行ける行ける。それじゃいただきまーす!」

『いただきます』
694 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/20(木) 00:13:37.02 ID:Kn5Lwoak0
パピヨン「――ねえ、もう一軒行こ」

『は?』

――塩ラーメンを食べ終わると同時に、パピヨンは満足そうな顔をしながらそう言う。いやいや、今ラーメンを食べたばかりじゃないか。

パピヨン「塩ラーメンは食べたし、次は味噌がいいな。ねえこの辺りで味噌ラーメンが美味しいお店調べてよ」

『いや、今ラーメン食べたばかり……』

パピヨン「アタシがまだ食べたいからハシゴしようって言ってるの!何回も言わせないでよ恥ずかしい!ほら、アタシのお祝いなんだからこれくらいいいでしょ!」

……いや、まあ。それはまだいいんだが……もう自分は結構満足してるんだよな。これ以上食べれるかどうか……。

パピヨン「…………ぷぷ、食べれないんだったらお兄さんはアタシがおいしそうにラーメン食べてる姿を見てても良いよ?貴重だよ〜?」

『……はあ、分かったよ。じゃあ歩きながら調べようか』

パピヨン「お兄さんわかってる〜!じゃ、行こ行こ!」

――結果、味噌ラーメンもしっかりと平らげスープまで飲み干したパピヨン。

……。やっぱりウマ娘の胃袋は凄いと思い知らされた。
695 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/20(木) 00:19:07.54 ID:Kn5Lwoak0
それじゃあ今日はこれだけです。すみません安価無しで終わりそうなので、札幌から帰って夏合宿合流後、最後のイベント募集安価をやってしまおうと思います。

夏合宿終了後、次レース決め、そしてライムのダートダービーです。忘れないようにしましょう。

ありがとうございました。



夏合宿最後の:自由安価下2まで。
696 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/20(木) 01:03:33.49 ID:Kn5Lwoako
あとごめんなさい、ずっと気になってたんですけど聞けなかったこと聞かせてください。

>>16これがパピヨンの設定なんですけど、髪型のフォーテールってどんな髪型なんですかね……?ツインテールの倍ですか?

安価中にすみません、安価は下にずらして下さい。
697 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/20(木) 11:05:53.78 ID:LocH0Qd4o
トレーナーとどこまで進んだんですかっ!?とダート色名娘達(シルフィー、ライム、マンティ)に質問責めされるパピヨン
698 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/20(木) 14:14:50.83 ID:4CXh5bs4o
札幌やっぱりすずしかったんだねぇーと胸元パタパタさせてお兄さんの反応をからかいたいパピヨン

フォーテールはツインテみたいな結んでるの4つ作ってる感じじゃないですかね
699 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/20(木) 21:18:05.90 ID:Kn5Lwoak0
――札幌から帰ってすぐに夏合宿に合流。アタシとしてはもっとゆーっくりのんびりしてから行きたかったけど、お兄さんがどうしてもというので仕方なくすぐ戻ることにしてあげた。

あーあ、もう少し札幌っぽいところ見ていきたかったんだけどなぁ。もっと二人きりで、お兄さんとぶらぶら……。

パピヨン「皆久しぶり〜。元気にやってた?」

シルフィー「あ、パピヨンさん……!」

おお、三人ともいた。このダート三人娘、いっつも一緒にいるじゃん。

ライム「パピヨンさん!エルムステークスはおめでとうございます!重賞初勝利ですね!」

パピヨン「む、この二人のG1勝利組に言われるのはなんか変な気持ち。ね〜マンティ〜?この二人、ちょっと圧が強いし一人で囲まれて怖かったよね〜?」

マンティ「わっ、ひゃ!?パ、パピヨンしゃん……!?」

あー落ち着く……やっぱマンティだよね一番は。ライムもシルフィーもなんかテンション高めで疲れちゃうよ。

マンティ「わ、私も早く重賞に勝利して……み、皆さんに追いついて……み、見せますから……!」

パピヨン「ぷぷぷ。おー頑張れ頑張れ〜。マンティのレースならアタシ絶対応援しに行くからね〜?」

ライム「パピヨンさんが明らかに調子に乗っています……!しかし、どうにもレースに勝っただけの雰囲気じゃないような……」

シルフィー「も、もしかして……そ、そういうことなんでしょうか!」

……ん。なんかシルフィーがあわあわしながらこっちに来る、アタシはいまマンティにハグするので精一杯なんだけど。
700 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/20(木) 21:26:23.87 ID:Kn5Lwoak0
シルフィー「パ、パピヨンさん!そ、その……さ、札幌で……と、トレーナーさんとはどこまで進んだんですか!?」

マンティ「!?」

パピヨン「なっ……は、はぁ!?ちょっとシルフィー、何言って――」

――あ、ま、まずい!この流れ――ライムもマンティも……!

マンティ「ど、どこまで……っていうのは。え、その……パ、パピヨンさん……!?」

ライム「パピヨンさんの事ですから、ちょっとは攻めたんですよね!?」

パピヨン「ちょ、ちょっと待って!は、なに!?その、あ、アタシがお兄さんの事……意識してるみたいな言い方!なんでアタシがあんなお兄さんを!」

この色ボケ恋愛脳ウマ娘三人組!すぐに恋だのトキメキだのに持って行って……!はーやだやだ!そう言うのは好きな男の子にすればいいのに!

全員揃って好きな子がいるのに!なんで別に誰も好きじゃないアタシを!

パピヨン「別になんもないです〜。はー、お兄さんとかそういう対象じゃないんですけど」

シルフィー「て、手とか繋いだりしましたか!?」

マンティ「お、同じ屋根の下で何かトラブルとか……!」

ライム「もしかして安易に人には言えないような……!?」

あー!もう!同期の脳がこんなだとアタシが苦労する!

…………まあ、でも。いや……。


何かこの三人組にお話を:安価直下
1 …………キスとかしたよ〜(嘘)
2 ぷぷぷ、やんやんアタシの口からは言えないから……お兄さんに聞いてね?
3 自由安価(嘘でもほんとでも)
701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/20(木) 21:41:16.37 ID:fPOjn0Lno
2
702 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/20(木) 23:12:53.23 ID:Kn5Lwoak0
パピヨン「…………ぷぷ、どんなことしたと思う?」

「「「!!!」」」

パピヨン「えっとぉ……ちょっとアタシの口からは言えないかも。お兄さんも新米トレーナーで、緊張してたのもあったと思うけど、同じ部屋、同じベッド……やんやん」

――アタシの口からはちょっと恥ずかしくて言えないからぁ……お兄さんに聞いてね?

シルフィー「……ライムさん、マンティさん。こ、これは……」

マンティ「そ、そんな、ほ、本当に……!?パ、パピヨンさん……!」

パピヨン「でも、学校には秘密にしてね?アタシも……退学とか嫌だな」

ライム「パピヨンさん……!よし行きますよ二人とも!真偽を確かめに今!」

――ライムに引っ張られるようにシルフィーとマンティも行った。あの三人、やっぱりこういう話題になるとちょっとテンションおかしくなるよね。

パピヨン「ぷ、ぷぷっ……ぷはははは!」

あーおもしろ!お兄さんどうなっちゃうんだろ!
703 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/20(木) 23:16:23.51 ID:Kn5Lwoak0
ライム「失礼します!」

『んあぁ!?す、ステラライム……?』

――パピヨンのこれからのローテを考えようと資料とにらめっこしていると、突然ステラライムが勢いよく入ってくる。

……そして後ろからブラックマンティスに、グリーンシルフィー……パピヨンと仲良くしてくれているいつものメンバー。

『ど、どうしたんだ。パピヨンならキミたちに会いに――』

マンティ「と、とト、トレーナーさん!?あ、あのあのあの……!」

シルフィー「パ、パピヨンさんと何やったんですか……!?」

ライム「う、嘘だとは思います!けど……もし本当に何かしてたら――!」

『なになになに!?は!?は!?』

め、滅茶苦茶グイグイくる!?怖い怖い!何がどうなってこんな――!?

――――結局、三人に事情を聴いて全て彼女の嘘だと教えてあげた。そ、そうですよね〜……みたいな反応をしていたが、半分くらい本気だと思っていた気がする。

……後で呼び出して一回本気で怒らないといけないような気がする。まかり間違って本当にクビとかになったらどうしようか……。
704 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/20(木) 23:34:29.61 ID:Kn5Lwoak0
パピヨン「あ"〜……っつい!お兄さん暑い!」

『……練習でもすれば少しは暑さも紛れるんじゃないか』

パピヨン「だから今は休憩だって言ってるでしょ!メリハリが大事だってお兄さんそんなことも知らないの?」

……そう言ってもうだいぶここで休んでいるような気もするが、まあ……トレーニングメニューはしっかりこなしているようだし自分が何か言うことでもないか。

パピヨン「札幌も暑かったけど、それでもこっちに比べるとだいぶ涼しかったんだねぇ〜……はー、あっつ」

『……』

……暑そうにしながら胸元をパタパタと動かすパピヨン。取り合えず見ないように目線を逸らしておく。

パピヨン「……ん〜?どしたのお兄さん……あっ」

しまった、パピヨンに感づかれた。にやぁ……っと笑みを浮かべて、彼女はそこからとてとてとこちらに歩いてきて、空いている椅子に腰を掛け隣に座る。

パピヨン「いやぁ〜、ほんと〜に暑いねお兄さん?こうも暑いと、汗かいちゃって……は〜、困っちゃう困っちゃう」

『キミなぁ……はぁ、そういう事は止めた方が良いと何度も』

パピヨン「え〜?アタシは暑いからちょっと服をパタパタしてるだけなんですけど?むしろこんな当たり前なことをそんな風に言うお兄さんの方が……よーっぽどアレじゃない?ぷぷ」

より激しくぱたぱたぱたぱた動かすパピヨン。おそらくちょっとでも視線を戻せば色々と見えてしまうくらい近い場所で。本当にこの担当ウマ娘の活力は何処から来ているのか……少しでもトレーニングにそれを活かして欲しいと思わざるを得ない。

パピヨン「あ〜。暑すぎるし、いったん着替えちゃったりしようかなぁ〜……汗でビショビショだしぃ……」

『…………』

……どうしたものか。

【貴方】は……:コンマ直下。

1 そそくさと逃げる。逃げられるかは分からない。
2 ちゃんと叱ろう。彼女はまだまだ子供だしよろしくない。
3 ……ちょっと驚かすか。
4 自由安価
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/20(木) 23:49:38.40 ID:mwaZ3+EDO
2
706 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/20(木) 23:53:46.95 ID:Kn5Lwoako
今日もこれだけです、お疲れさまでした。

安価じゃないですが何て言って叱るか内容募集中です。中学生で誘惑してくる悪い子に色々言ってあげてください。
707 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/21(金) 16:43:36.10 ID:0BThiByBo
(自分は担当トレーナーなので多めに見るけど対外的にはやっぱり失礼なので)そういうのは俺にだけしろって強めに

なお()内を言わないので誤解パピヨン
708 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/21(金) 23:33:52.54 ID:LpGt2Um00
……やはりここは少し強めに言っておくべきだ。彼女のこういった態度も、人を驚かせてしまうような行為も、自分だから大目に見ているが他の人からしたら失礼で迷惑だ。

無論、レース後にやっているあの見てくれているファンへの態度――それもいずれはどうにかしなくてはいけない。

『パピヨン!』

パピヨン「ひゃっ!?」

肩をがっしりと掴んでパピヨンを逃げられないようにする、流石の行動に驚いたのかパピヨンは驚いたまま固まってしまったが――ハッキリと言ってあげよう。

『――そう言うのは俺だけにしろ!分かったな!』

パピヨン「――ふぇ!?」

……しまった、流石に言い過ぎたか。しかし何度言っても聞いてくれないのだから一度はこれくらい言っても……だがどうしよう。パピヨンが何も言えなくなってしまった。

パピヨン「ぁ、ぇ……?ちょ、いや、そ、ど、どういう……」

顔が真っ赤で、目がぐるぐると回っていて……ウマ耳もへたりと倒れてしまっている。む、ちょっと大声を出し過ぎたか……いや、どっちかというと思いっきり肩を掴んでしまっているのも……。

『わ、悪かったよパピヨン。ちょっと強く言い過ぎた……』

肩を離す、もっと優しく言ってあげるべきだったか……この辺りはマンティスのトレーナーさんとかに訊けば
いい方法を教えてくれたりするか――。

パピヨン「ご、ごめっ……ち、ちがっ……!バ、バカーっ!!!」

『!?』

考え事をした瞬間、パピヨンは大きな声でそう言って廊下に飛び出して行ってしまった。咄嗟の出来事に全く反応も出来ず、パピヨンの姿はもう一瞬で見えなくなってしまった。

『……ば、バカって』

……はぁ、後で謝っておかないとな。この辺りって何か美味しいスイーツとかって売ってたりするんだろうか……。
709 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/21(金) 23:36:24.47 ID:LpGt2Um00
パピヨン「……! っ!……!!!」

「――俺だけにしろ!分かったな!」その言葉がアタシの頭の中から離れない。

肩をがっしりと掴まれて、とても真剣な表情を真っすぐぶつけてきて――俺だけにしろ。

パピヨン「お、俺だけにって……なにぃ!」

お、お兄さんが俺とか言うの初めて聞いたんだけど!し、しかもあれ……アタシを独占したいってこと!?

アタシがぱたぱたしてお兄さんを煽って、それを俺だけにって……!?お、おに、お兄さん……!?

パピヨン「う、うう、うううぅうううう〜!!!」

――顔が熱い、全部熱い。お兄さんにちょっと言われただけで、頭が意味わかんなくなっちゃって、まともに考えられない。

違う、好きじゃない。絶対好きじゃない!あ、アタシがお兄さんの事好きとか……あの色ボケ恋愛脳ウマ娘三人組と同じみたいじゃん!

パピヨン「お兄さんのバカー!アホー!うわぁん!!!」

お兄さんが変なこと言わなければ意識もしなかったのに!あんな肌パタパタとか、お兄さん以外にするつもりもないのに、言われるから意識しちゃうじゃん!お兄さんばかばかばかばかばか!まぬけ!

――あ、明日からどうやってお兄さんと顔合わせればいいの!?絶対また顔合わせたら思い出しちゃう……!

「――俺だけのパピヨン」

パピヨン「っ!?」

ち、ちがっ!俺だけのパピヨンじゃない!いや、意味は、似た感じだけど!あ、あ〜!も〜……やだぁ!お兄さんのクソボケぇ!
710 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/21(金) 23:38:29.27 ID:LpGt2Um00
全然書けませんでした。暫くはこんな一安価とか安価無しが多くなりそうです。すみません。

おやすみなさい。
711 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/21(金) 23:47:45.37 ID:cupwrxQXo
乙乙
あぁ^〜防御よわよわパピヨンいいっすね〜
712 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/21(金) 23:52:03.65 ID:n9D+BWtH0
ゲレちゅう
713 : ◆OX0aJKbZO.0H [sage]:2024/06/22(土) 00:03:59.18 ID:PZMJ393ko
ゲレちゅうってなんすか…?
隠語?
714 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/22(土) 09:48:37.49 ID:YzqpgW3fO
get them ちゅー
キスさせろ、かもしれない
715 : ◆OX0aJKbZO.0H [sage]:2024/06/22(土) 16:11:15.45 ID:/bpKuO8PO
キスなのかなやっぱり
とても気になっちゃって調べたけどよく分からなかった……キスかな……

眼をギュッとつぶってプルプル唇をむっと前につきだすパピヨンですね。この子は弱いからそういう雰囲気になったらこんなことしか出来ないんだ……
716 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/22(土) 18:07:57.14 ID:w3zUljteo
ベストコンビだし意識せず色々飛び越える、けど意識したらクソ雑魚の部類だよなパピヨン
717 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/23(日) 01:34:52.22 ID:/6MaJ2q7O
この子弱すぎて攻めが全部自分に返ってきてるじゃんあまりにも雑魚
意識しなかったらトレーナー室でぐーたらしたり尻尾手入れもさせるのにもうこの調子じゃなんにもできなくなってそう
718 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/24(月) 00:53:25.53 ID:9zd8qTaz0
パピヨン「――はいっ、おーわり。どう?違和感とかない?」

シルフィー「いえ大丈夫です。すみませんパピヨンさん、今日もお願いしてしまって……」

パピヨン「良いの良いの、アタシがやりたいからやらせて〜って言ってるんだし。あ、今日使ったオイルは実は最近の新作なんだけど……大丈夫そうだね」

――シルフィーの緑色の尻尾がつやつやと輝いている。元からシルフィーは手入れも上手でアタシがわざわざやるほどでもないんだけど……それでもやっぱり、やりたくなってしまうのが性というもの。

だから時々、こうやってお風呂上りとか寝る前に尻尾の手入れをさせてもらっている。ん〜、ほんっとシルフィーの尻尾は綺麗で良いな〜。

シルフィー「自分でやるよりもパピヨンさんにやって貰うと気持ちが良いですね、手つきも凄い丁寧で、繊細で……今度改めて教えてもらえませんか?」

パピヨン「ん〜?でもシルフィーがアタシ並みに上手くなっちゃったらアタシがやれなくなっちゃいそうだし〜?ま、でも
オッケー。次の休みとかでしっかりとお手入れ教室開いちゃう」

アタシ先生が教えるウマ娘の尻尾手入れ教室〜……うん、中々いい響き。これは授業料でがっぽがっぽ!

シルフィー「……人はたくさん来ると思いますけど、あんまり悪いことは考えない方が良いですよ?たづなさんにも、トレーナーさんにも怒られちゃいますよ?」

パピヨン「むっ、別に考えてないけど〜?」

……なんでバレたんだろ。お兄さんはどうでもいいけど、たづなさんはちょっと嫌かも。めんどくさいし……あの人たまに凄い圧を感じるからな〜。

シルフィー「あ、そうだ。パピヨンさん、この間ライムさんが尻尾の手入れで悩んでいるって言っていましたよ。何でも、上手に出来ないんだとか」

パピヨン「むむむっ!?シルフィー、そういうのは早く言わないと〜!」

ほほう!ライムが尻尾の手入れで悩んでいる……!ライムめ、アタシが手入れ大好きなの分かっていてそういうの隠しちゃうんだ〜?こーれは、アタシがしっかり丁寧にお手入れしてあげなくては!

パピヨン「じゃあ明日早速やってあげないと〜。櫛とオイルとローションと……あ、折角ならお風呂上りに突撃して最高の状況で――」
719 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/24(月) 00:54:01.80 ID:9zd8qTaz0
と、いう訳でライムがお風呂から上がるのを監視――こほん。いいタイミングで発見したのでアタシの部屋に連行した。

……いやまあ、大体のウマ娘がお風呂に入る時間は同じ時間帯だし、監視とかしなくても大体予想は出来る。遅くまでトレーニングしてたとかなら、お風呂が遅くなったりもあるけど。

ライム「し、尻尾の手入れですか……?い、いえいえ、そんなパピヨンさんにして貰わなくても!わ、私は一人で出来ますから……!」

パピヨン「まあまあ遠慮しないでライム〜。それに聞いたよ?ライムって尻尾の手入れで悩んでるんでしょ?」

昨日シルフィーから聞いたんだ〜。というと、ライムは恥ずかしそうにぐぬぬ……みたいな顔をして、耳をぺたんと倒す。

……ぷぷっ。こういう表情、貴重かも。

ライム「し、シルフィーさん……!ぅ、も、もう……わ、分かりました。では……お、お願いします。出来れば、優しくお願いしますね……?」

パピヨン「待ってました〜!んもう、ライムももっと早く素直になればよかったのに、それじゃあ――あ、普段から使ってるオイルとかローションある?トリートメントとか……」

もしお気に入りとか、何かの成分で痒くなっちゃうとかそういうのがあるなら色々と考えなくちゃいけない。その辺りはちゃんと考えるべきだよね。。

ライム「い、いえ。そういうのは特にありませんし、お気に入りとかも……普通の市販の奴を使っていますから」

パピヨン「オッケー。じゃあアタシが持ってきた特製の奴を使っちゃうね。ほんと、なにか変な感じがしたら言ってね?すぐ拭いて別の奴を使うから」

――さて、それじゃあ早速始めちゃおう。お風呂上りなだけあってちゃんと尻尾はいい感じに湿っている。じゃあまずは櫛を入れて毛並みを……。

ライム「んっ……!」

パピヨン「んっ?」

櫛を軽く入れてスーッと撫でるように動かすと、ライムの口からそんな声が漏れて、体がビクンと震えた。

……もう一度、同じ場所からスーッと櫛で尻尾を撫でる。

ライム「んっ、ふっ、くっ……!ふはっ……!」

びくっ、びくっ……と、体が震える。びくびくと余韻でまだ身体が動いている。
720 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/24(月) 00:54:39.44 ID:9zd8qTaz0
パピヨン「――――なんだ、尻尾が弱いなら最初からそう言えばいいのに」

ライム「は、恥ずかしかったんですよ……!じ、自分でやろうとしても、くすぐったくて中々上手く出来なくて……!」

尻尾を触るとくすぐったくてまともに手入れが出来ない――成程、それは困る。アタシだったら悲しくてストレスが溜まっちゃう。

……それじゃあ人に頼むのも怖いはず。ちょっとミスしちゃったかも、そういう事情なら……もう少しやりようはあったかも?

パピヨン「ごめんごめん、それじゃあもう少し優しくやるから……くすぐったいって言うなら、細かい櫛よりも少し大きめの櫛でやった方が良いかも」

という訳で別の櫛に変えてチャレンジ。そして尻尾の根元にゆっくりと櫛を差し込んで……ゆっくりと、さっきよりも遅いスピードで、毛並みを整えていく。

パピヨン「はい、じゃあ今から行くよ〜。はい、すーっ……」

ライム「ふっ、ふふふふふ……っ!くっ、くふっ……ふはっ……!」

先ほどよりもマシだけど、やっぱりまだくすぐったそうで、笑い声が漏れている。

パピヨン「…………」

……どうしよう、ちょっと……ゾクゾクする。あのライムが、アタシの手で……体をビクビクさせて声を漏らしている。

…………ちょっとくらいなら。良いよね。

ライム「んっ……ふっ!くっ……ぁ!ひゃっ!?ちょ、ぱぴよんしゃん……!」

パピヨン「ごめんねライム。ちょっと念入りにやりたいから少しくすぐったくさせちゃうかも」

そう言って、櫛を尻尾に差し、ゆっくりと丁寧に撫でて毛並みを整えていく。すっ、すっ、すーっと、尻尾の表も裏も、一人じゃ上手く触ることのできない部分も念入りに櫛を入れていく。

ライム「……っ!ぁ、ふぁ……!くっ、ふふふっ……!ふはっ、あはははは……!そ、そこ、だめ……ですからぁ……!」

パピヨン「一人じゃできない部分だからね〜。少し我慢してね〜」
721 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/24(月) 00:55:32.83 ID:9zd8qTaz0
全体の毛並みを整えたので、次はオイルを広げていく。手で触ることになるから、櫛よりもくすぐったいし刺激も強いかもだけど……まあ、そこはアタシの手腕に任せて欲しい。

パピヨン「じゃ、根元から広げていくね。出来るだけ優しくするからね」

ライム「ほ、ほんと、ですか……?や、やさしくしてくださゃぁ!?」

ぬとぬとになった手で尻尾の根元に指を入れる、そして浸透させるために軽くわしゃわしゃと指を動かす。

ライム「あっ!ほ、ほんとっ、ぱ、ぱぴよんしゃ……!〜〜〜っ!」

……近くにあったアタシの枕に顔を埋め、へたりと上半身を倒す。必至にアタシの手入れの声を我慢しようとしているのか、より一層体がびくびくしている。

ま、アタシは続けていくだけだけど〜……ふふ。まさかこんな弱点があるなんて知らなかったな〜……でも安心してね?しっかり、尻尾の手入れはするしとっても気持ちよくしてあげるから……。

パピヨン「わしゃわしゃわしゃ〜……お痒いところはございませんか〜?」

ライム「ふっ、ふっ、ふぁ……!〜〜〜!〜〜〜!」

パピヨン「あ、ここかな?じゃあちょっとここをちょっと爪で引っ掻いて……かりかり」

ライム「〜〜〜〜〜!!!ふっ、ふーっ!ふぁ!?あっ、ひゃ……!も、いいかげんに……ひぅ!?」

パピヨン「じゃ、全体に広げちゃうね」

根元に入れた指を、尻尾の先までなぞるように動かしていく。尻尾の根元から先までを撫でて、終わったらもう一度根元から撫でる。尻尾全体にオイルが広がるように、光沢にムラが出ないように満遍なく撫でる。

ライム「ふぁ、ふはっ……!あっ、あはははは……っ!く、くふっ……!……っ!〜〜〜!」

パピヨン「ちょっと暴れないでよライム。危ないしムラが出来ちゃうから……ほらほら、あと少し、我慢我慢〜」

ライム「……ぁ〜〜〜〜っ!」
722 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/24(月) 00:56:06.83 ID:9zd8qTaz0
パピヨン「ごめんってライム〜!いや、結構絡まってたりしたから念入りにやりたくて……!」

ライム「あ、あれだけやっておいてなんですかそれは!」

――綺麗な毛並み、つやつやの青い光沢。とても満足のいく手入れだった――アタシにとっては。

しかしライムにとってはそうではなかったみたいで。顔を真っ赤にしながらアタシを睨み、プンプンと怒ってくる。こういうライムもまた珍しい。

ライム「も、もう二度と!二度とライムさんには頼みません!」

パピヨン「え〜!?そんな、もう今日みたいなことはしないってライム!優しくするから〜!でもほら!滅茶苦茶綺麗になったでしょ!?」

ライム「くっ……!ま、まあ、それはそうですけど……!」

パピヨン「次はもっと勉強して、滅茶苦茶気持ちよくしてあげるから!勿論くすぐったくはしない!ね、ね!?」

ライム「…………ほ、本当ですか?ま、まあ、私もこんなに綺麗にして貰ったのは、嬉しかったですし……こ、今回だけですからね」

――勝った!

と、いう訳で。アタシはこれから尻尾手入れをやらせてもらうことになった。あのライムがあんな、あんな声をあんな表情で……!

パピヨン(……アタシだけが独占しちゃってるんだよね、これを)

……罪悪感がないわけじゃない。でも、まあ……これもいいかなと思った。

取り合えずライムには後で尻尾手入れ教室に来てもらうことにしよう。自分で出来るようになった方が良いのはそうだしね。
723 : ◆OX0aJKbZO.0H [saga]:2024/06/24(月) 00:56:35.18 ID:9zd8qTaz0
お疲れさまです、00ボーナスの尻尾手入れです。

おやすみなさい。
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