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デジタルモンスター研究報告会 season2 エピローグ
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5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/15(月) 19:07:07.38 ID:Fp3+AZVe0
乙
ゲームなら敵倒せば経験値とかお金とかドロップアイテムでリターン得られるけど実際は勝っても被害多いと損なだけだ…
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/15(月) 19:07:31.99 ID:qEjsiytB0
乙
戦争は虚しい
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/15(月) 19:11:48.57 ID:reLE3e+X0
乙
このリアリティのライン、好き
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/15(月) 19:13:08.64 ID:c46A9VEMo
乙
クラッカーに存在認知されてなくて何もない島にポイッされたケンタルモンがどうなってくのか気になる
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/15(月) 20:03:35.05 ID:qOgHC7ne0
乙
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/18(木) 20:47:18.24 ID:eq/wNU6Fo
どちらかが滅びるまで終わらない戦争
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/23(火) 23:50:05.80 ID:Hld+wseZo
最近来ないな
12 :
◆VLsOpQtFCs
:2024/01/24(水) 18:17:01.59 ID:5EIJPVxKO
ブイモンは、キンカクモンやアイスデビモンとの戦いで全身に打撲を負っている。
症状からすると、各部の骨にヒビも入っていそうだ。
…考えてみれば当たり前の話だ。
蛮族デジモン達は、青銅器の武器を手にする以前は狩ったデジモンの骨を武器にしていた。
しかし「骨器」というのは馬鹿にできない強さがある。なにせ生物の肉体の中で最も硬い部位を武器に加工して使うのだから、生物の肉体を損傷させるのには必要十分なのである。
打撃で敵の骨を折ることだってできる。骨に骨をぶつければ、破壊できるのは自明の理だ。
…その骨器よりもずっと硬い凶器を振るう筋骨隆々のキンカクモンに、フレイドラモンはしこたま殴られたのである。たとえデジクロスによって肉体が頑丈になっていようとも、骨や筋肉、血管に損傷を負うことは避けられない。
「めちゃ痛い」とのことだが、命に別状はなさそうなのが幸いだ。
パルモンは、両足を骨折している。
セピックモンのブーメランで足を折られたのだ。
…我々の世界の人間は、足の骨折の治癒に一ヶ月かかることもあるという。
パルモンはどうだろうか…。
クラフトモンは…ひどい重症だ。
蛮族の王フーガモンに頭部含む全身を滅多打ちにされたのである。
ただでさえ全身に酷い負傷をした状態なのに、無理をしてデジタルゲートシステムやファイヤウォールの修復をしたため、怪我がさらに悪化したようだ。
対応を間違えたら死に至る危険がある。
幸い、これまでに積み重ねてきた研究成果によって、傷の治りが早くなる薬効成分をもつ薬草がいくつか発見されている。
しばらくの間は絶対安静にして、この薬草を混ぜた食べやすい食事を与えて回復を待たねばならない。
クラフトモンの外装であるケンキモンは、脚部が大破している。
幸いにも上半身はダメージが少ないので、ケンキモン修復の目処は立ちそうだ。下半身は解体して一から作り直さなくてはいけないだろうが…。
もっとも、外装より先に中身の治療が最優先だ。
ティンクルスターモンは、フーガモンに青銅棍棒でぶっ飛ばされて気絶していたが、もう元気そうに動き回っている。
「痛ムガ平気ダ」とのこと。
とんでもないタフさだ…どんな頑丈さしてるんだ。成長期なのに。信じられない。
パルタス氏の地獄のシゴキで超耐久力を得たとみえる。
ファンビーモンは、一番重篤…危篤状態だ。
13 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/24(水) 18:18:45.25 ID:5EIJPVxKO
ファンビーモンは多数のシャーマモンにボコボコにされて、キャンドモンに燃やされた。重度の火傷は呼吸器の中まで達している。
傷口を塞いで体液流出を止めはしたが、どんどんバイタルが低下しており…
今の我々では手の施しようができない。
ビオトープにて、ブイモンは命の灯火が消えかかっているファンビーモンのそばに寄り添っていた。
「ファンビーモン…せっかくたすけたんだぞ…いきろよ。しぬなよ…」
「…」
ファンビーモンは弱々しい目でブイモンを見つめている。
「オイラのこと、まえにくいころそうとしたくせによ…!オイラはおまえよりつよくなって、おまえをみかえしてやるってきめてたのに…!かってにこんなとこでしぬなよ…!」
「…」
「みてたか?オイラがワームモンとがったいして、つよくなったとこ…!かっこよかっただろ!さっきテキをたくさんやっつけてたおまえにだって、もうカッコよさでまけねーぞ!」
「…」
「オイラ、いままでずっと、じぶんのいちばんがなくなるたびにおちこんでた…。やっとわかったんだ、それがなぜかって。オイラ…カッコよくなりたかったんだ、おまえみたいに…」
ファンビーモンは、目を瞑った。
「くそっ…!しんじまうのかよ…。さいごまできらいだったよ、おまえのこと…!ちくしょう…!」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/24(水) 18:21:40.57 ID:oNgaKxXbo
蜂さん…
15 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/24(水) 18:25:33.14 ID:5EIJPVxKO
…そこへ、パルタス氏が通話で入ってきた。
『む、ファンビーモンが死ぬのか!?それは大きな損失だな…。む?そこのビオトープにあるデジタマは何だ?ワームモンとサラマンダモンがどうこうしたものとは別だな』
これはドリモゲモンが死に際に遺したデジタマです。
『確保したのか』
ドリモゲモンは優秀なデジモンです。
蛮族に混じってAAAの指示通りに作戦をこなせる知能を持っているし、地面を掘り進んで敵の足元からドリル攻撃ができる。
あれだけ強力だったモリシェルモンを、DPに大きな差があったにもかかわらず、実質単騎で倒しました。
つまり、あまり動き回らずに戦う巨大なデジモンに対して、ドリモゲモンは強力な特効メタ性能を持っているといえます。
そのデジタマが育てば、間違いなく優秀なセキュリティデジモンが育ちますよ。
『なるほど!おいティンクルスターモン!そのデジタマを破壊しろ!』
は!?
『イエーーッサ!』
ティンクルスターモンは手裏剣のように突撃して、ドリモゲモンのデジタマに突き刺さった。
「な…何やってんだてめぇェーーーッ!!」
突然のパルタス氏の凶行に、カリアゲは混乱しながらブチギレた。
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/24(水) 18:26:52.91 ID:52Fzfx9s0
いつも急なお姉さんだ
17 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/24(水) 18:32:22.79 ID:5EIJPVxKO
『慌てるな、こうするんだ』
破損したデジタマは、ファンビーモンのもとへ転がった。
すると…
ファンビーモンに触れたデジタマが、光を放ち…
ファンビーモンを包みこんだ。
「んん!?」
カリアゲは目をひん剥いている。私も同じ表情だ。
やがて光が止むと…
少し大きくなった一個のデジタマがそこにあった。
「え?え?」
困惑するブイモン。
な…何やったんですかパルタスさん。
『ん?貴様達は死にかけのワームモンとサラマンダモンを、破損したデジタマへ吸収させたのだろう。同じことをファンビーモンでやったんだ』
ジョグレスを誘発させた…!?
な、何故!!?
『何故ってそれは貴様…ファンビーモンは優秀な遺伝子を持つ強力なデジモンだ。その遺伝情報が失われていくのを指を咥えて見てろと言うほうがおかしいだろう』
ええ…。
あ、あの。ドリモゲモンを育てたかったんですが…。
『強力だが制御がきかなかったファンビーモンの遺伝子と、知能が高く強いドリルを持ったドリモゲモンの遺伝子が混ざったら、さらに優秀になるはずだ。いい事ずくめではないか』
…。
そもそも孵化するかどうかも分からないですよ。デジタマのシステムがバグったかも。
『そうかもな!ハハハ!』
「そうかもなじゃねえ!!」
…もういいよ。過ぎたことは仕方ない。
ってか勝手なことしないでくださいパルタスさん!
『貴様らの判断が遅いからだ』
…この人、合理的なとこはあるんだけども。
感性が度し難い。
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/24(水) 18:33:13.13 ID:oNgaKxXbo
とにかくチャレンジャー過ぎる…
19 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/24(水) 18:33:31.33 ID:5EIJPVxKO
一旦ここまで
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/24(水) 18:36:11.78 ID:52Fzfx9s0
乙
土壇場での迷いがなさすぎる…
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/24(水) 18:51:58.29 ID:oNgaKxXbo
乙
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/24(水) 20:54:20.48 ID:ag87Fiow0
乙
23 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/24(水) 22:06:40.47 ID:gbTbxsOgo
デジタマといえば…
大きな問題がある。
ワームモンとサラマンダモンがデジタマと融合してできた、大きなデジタマだ。
これはブイモンとデジクロスしてフレイドラモンとなり、強大なパワーを与えた。
「はらへった〜…しにそうだぁ〜」
ブイモンはこの通り、餓死寸前までエネルギーを使い果たして飢餓状態となった。
だが、ブイモンは食事ができるため、減ったエネルギーを補給可能だ。
ブイモン。
ボスマッシュモンが、前にパルモンが釣ったプカモンの干物をお湯で煮込んでくれたよ。
食べるといい。
「いただきまーす!ハムッハムッ!もぐもぐ…」
だが、この大きなデジタマの方はどうか。
口がないからエネルギーの補給ができない。
…デジタルワールドにおいて、エネルギー保存則は絶対だ。
当然、この大きなデジタマもエネルギーを限界まで消耗しているはずだ。
…このままでは、ワームモンとサラマンダモンが融合したこのデジタマは、エネルギーが尽きて死んでしまうのではないだろうか。
「…ワームモン、おまえもはらへってねーか?おまえもサカナたべろよ、ワームモン…」
ブイモンは、大きなデジタマに煮魚を差し出しているが…。
24 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/24(水) 22:13:40.83 ID:gbTbxsOgo
まさかデジタマが口を開けて餌を食べることなんてできるわけが…。
「ウミョォ〜〜ン!」
ん!?
大きなデジタマがパカっと割れて、大きく口を開けた!
な、なんんん!?
「おお、口あるんだな!ほらくえ!」
ブイモンは煮魚をデジタマの口に放り込む。
「バクッ!モグモグムシャムシャ…。ウミョォ〜ン!」
なんてこった…
デジタマが、デジタマのまま食事したぞ!
どうなってんだ!?
「クワアァ〜!クワアァ〜!」
デジタマは2〜3回鳴くと…
下部がヒビ割れ始め、ズボっと脚が出てきた。
https://i.imgur.com/cAbKDEh.jpg
オ…
オーーーーマイゴッド!!!!!
デジタマというか…
そういうデジモンだったのか!?
レベルを計測したところ…
『4.3』といったところだ。
成熟期をやや超えている成長段階だが、レベル5には至らない、中途半端なところだ。
生命のシステムが少しバグっているのかもしれない。
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/24(水) 22:19:46.08 ID:bCCqNCsbo
やべえデジモン来ちゃった
26 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/24(水) 22:26:10.80 ID:gbTbxsOgo
「ウミョォ!」
歩くデジタマ…命名デジタマモンは、ビオトープから出たがっている。
とりあえず私はデジタルゲートを開いて、デジタマモンを、先程まで戦いが繰り広げられれていたデジタル空間へ出してやった。
先程までデジタル空間にいた赤いオタマモン8体は、既にそこには居なかった。
カンナギ・エンタープライズ・ジャパンへ帰還したのだろう。
デジタマモンは、蛮族デジモンの焼死体を貪り食っている。
…うーん、これならエネルギー補給は問題なさそうか。
少しデジタマモンを計測してみたが…
DPはかなり低い。成長期並だ。
しかし、『エネルギーの貯蔵限界量』はかなり凄まじい。
おそらくグレイモンが肝臓に貯蔵できるエネルギーと同等量のエネルギーを貯蔵することが可能とみえる。
DPとはデジモンの強さそのものを示す指標ではなく、「基礎代謝量の多さと、身体能力の高さ」を示す数値だ。
このデジタマモンはおそらく、平時はできるだけエネルギーを消耗せずにひたすら体内に蓄えておき、膨大な貯蔵エネルギーをデジクロスしたときに一気に使用する…という生態を持っているとみられる。
つまり、デジクロスすることに特化したデジモンといえるだろう。
『素晴らしいいいいいいいいいいいイィイイイイイイイーーーーーーーー!!』
うわっスポンサーさん!?
どうしたんですか!?
『君のデジタマモン君…成熟期デジモンだということは、タマゴを産める!すなわち!彼のデジタマを育てれば、デジクロスが可能なセキュリティデジモンを大量生産できることになるぞ!これは素晴らしいィィイイーーーーー!』
スポンサーさんがいつになくテンション高い。
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/24(水) 22:31:06.75 ID:bCCqNCsbo
タマゴがタマゴを産む…
28 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/24(水) 22:55:43.43 ID:gbTbxsOgo
その時。
『感動した』
音声読み上げソフトによって、チャット文章が読み上げられたような声がした。
な、なんだ?
声がしたのは…
デジドローンの視界を映しているデジクオリアの映像だった。
…デジタルワールドで、ベーダモンにAAAとの戦闘を生配信していたデジドローンだ。
今のメッセージを発したのは、ベーダモンだった。
あ、そういえば居ましたね。忘れてた…。
『適当に数が減ったら 汝らに手を貸してやってもいいかと思っていた だがまさか 余の力を借りることなく あの生意気な小僧を撃退するとは 天晴だ』
お、おお…
どうも。
『いい戦いを見せてもらった 面白かったぞ汝ら 愉快 痛快 爽快な逆転劇だ 汝らがたまに持ってくるゲームソフトより遥かに面白い』
なんかべた褒めされている。
『気に入ったぞ 汝ら 何か面白いことをするとき 余の力が借りたくなったら呼ぶがよい 興が乗ったら手を貸してくれよう』
それがどうも。
『ではな』
ベーダモンは去っていた。
シンがジト目でベーダモンを見て、ひそひそ話をしてきた。
「…今回の戦い、ベーダモンが力を貸してくれたらもっと被害を抑えられたんじゃ?」
まあ…いいよ。
あくまでカリアゲやクルエのミッションは『ベーダモンをクラッカー側につけないこと』だから。
「はあ…」
なんでも聞くところだと、AAAもベーダモンにコンタクトを取ってきたことがあるらしい。
だけど、利用する気マンマンだったのが「鼻について気に食わない、生意気でムカつく」とのことだったそうで、結局ベーダモンはAAA側につかなかったようだ。
「クルエさんとカリアゲパイセンは、ベーダモンを何かに利用はせず、ご機嫌取りに徹したから反感を買わなったんスね。はー、器用なもんスね」
…気難しいよねベーダモン。
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/24(水) 22:56:36.52 ID:52Fzfx9s0
まあ大きな収穫か
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/24(水) 23:12:10.74 ID:fFUGA556o
ギリギリまで がんばって
ギリギリまで ふんばって
ピンチの ピンチの
ピンチの連続 そんな時
ベーダモンがほしい!
31 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/24(水) 23:14:15.57 ID:gbTbxsOgo
カリアゲがため息をついている。
「しかし…結局AAAは今回もまんまと逃げ帰ったのか。こんなの何回もやられてたらもたねーよ…本拠地に攻め入れねーのな…」
ごもっともだ、カリアゲ。
正直、二度も三度も同じことを繰り返されたくない。
どうにかならないのか…
「なるよ、どうにか」
メガ?
どういうこと?
「敵は去った。出てきていいよ、ハックモン」
メガがそう言うと、デジタル空間の影からひょこっと何かが出てきた。
https://i.imgur.com/JMCmXys.png
あれは…
何のデジモン?
「うちのデジタルアソートで開発中のアプリモンスター、ハックモンだ。十分な能力が発現していない開発途中の状態で、ガッチモン達ほど十分な戦闘サポート能力がないから、今回の戦いには加えなかった」
そのハックモンがどうしたんだ?
「ハックモンは『ハッキングツール』の能力を持たせている。まだ未完成だけども…『食べたマルウェアをコピーして操る力』を限定的に獲得している。この力で、スパイのチビマッシュモンに仕込まれていた『デジモン伝送路を繋げるマルウェア』をコピーし…AAAのデジドローンにくっつけたんだ」
なんだって!?
それじゃあ…
「そう。ハックモンが完成すれば、AAAのデジドローンに仕込んだマルウェアを起動して、僕たちのところへデジモン伝送路を繋いでしまうことができる」
カリアゲが立ち上がった。
「それじゃあ…本丸に打って出られるってことか!」
「そうなるね。もっともそのためには、ハックモンの完成以外に必要不可欠な要素が2つある」
「ん?なんだ?」
「ひとつは戦力の充実。今の僕達の戦力はひどく損耗している。まずは怪我を治さなきゃ」
「それはそうだけど…もう一つは?」
「…今回AAAの下僕にいた…ナニモン。あれと同じ能力をもつアプリモンスターを育てなくてはいけない」
「なんでだ?」
「こちらが送り込んだデジモンが、もしも適当な端末に誘い込まれてかネットから隔離されたら、脱出できずに監禁されてしまうでしょ」
「お…そりゃそうか。せっかく攻め込んでも監禁されたらな…」
「だから脱出手段として、ネットから切断されてもデジタルワールドへ逃げれる力が必要だ。…AAAがナニモンを育て上げたのも同じ理由だろう」
「できるのか?」
「頑張ってるけどまだできてない。AAAにやつ…一体どうやってあんなデジモン育て上げたんだ…悔しいけどあいつやっぱ凄いよ」
…何か非人道的なことをして育て上げたのかもね。
32 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/24(水) 23:24:13.23 ID:gbTbxsOgo
それにしても…
戦場の死屍累々の蛮族デジモンたちの死骸、どうしよう。
寄生ズルモンを摘出したガニモン達も、あの後結局死んじゃったし…。
ブイモンが不思議そうにこちらを向いた。
「え?くわないのか」
そ…それは…
…そうか。
人っぽい姿をしてるから、あんまやりたくないんだけど…
糧にしてやるのが、こいつらの供養になるだろう。
「おう!」
これだけたくさんあるから、腐らないようにハムやソーセージにするといいよ。
「なんだそれ?」
煙で炙って燻製にしたものを塩漬けにすると、保存食になるんだ。
加工の仕方は、教えるから…
ボスマッシュモンやティンクルスターモンといっしょにやっておいてくれ。
「ケンはいっしょにみてカントクしてはくっれねーのか?」
…加工されてるところを見たくないから。
「ヘンなのー」
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/24(水) 23:29:24.20 ID:fFUGA556o
監督って言葉知っててえらい
34 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/24(水) 23:53:38.13 ID:gbTbxsOgo
とりあえず、腐る前に燻製に加工するといいよ。
ボスマッシュモン及びチビマッシュモン達が、フローティア島で燻製や塩漬けをする準備を始めた。
フローティア島の真ん中には、シェルモンの大きな死骸が倒れている。
参ったな…これもどうにか処理しないと。
「うぅ…あしいたいぃぃ…いたいよぉ」
パルモンは、折れた足を痛そうに庇っている。
これじゃ移動ができないよな…。
複雑骨折してるみたいだし、手術しないと元通りに歩けないかもしれない。
だけど手術をする設備なんで、うちにはない…。
と、とりあえず、飯を食べるといいよ。
ガニモンを茹でたから、ほら。
「いただきまーす…」
パルモンは、茹でられたガニモンの甲殻を鉄の武器でこじ開けた。
そして、もぐもぐと食べ始めた。
「んまーひ」
パルモンはガニモンのカニ味噌を食べた。
すると…
パルモンの体が…光り輝いた!
これは…まさか。
進化か!
https://i.imgur.com/VoroBRD.jpg
パルモンが進化した姿は、…植物の手足を持つ忍者のようだった。
背中には大きな手裏剣がある。
「脚!治った〜!」
進化したパルモンは、ぴょんぴょんと飛び跳ねて、脚が治ったことを喜んでいる。
シュリモンと名付けよう。
しかし、どうして今進化したんだ…?
「さっき『進化しろ』って言ったからじゃねえか?」
おお、カリアゲ?
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/24(水) 23:54:47.70 ID:52Fzfx9s0
どいつもこいつもカニ食って進化する
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/24(水) 23:56:11.59 ID:fFUGA556o
ホークモンからシュリモンに進化するよりはパルモンからシュリモンに進化する方が植物繋がりであり得るといえばありえるか?
37 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/25(木) 00:02:55.50 ID:YxmqBDVgo
「さっき俺達、パルモンに何度か『このピンチを乗り越えるために進化してくれ』って頼んだじゃん。で、パルモンも進化しようとして…できない〜ってなってた。それが今、遅れてやってきて、進化したってことじゃねえか?」
そ、そういうことか!?
さっきは「パルモンはもう成熟期に進化できそうなのに、なぜ進化できないんだろう」と思ってたけど…
そうじゃなかった。
成熟期への進化条件は満たしていたし、進化もできるんだけど…
「進化するぞ!フーン!」と気張ってすぐに進化が始まるようなものじゃなかった、ということか。
…なるほど。
やっぱり進化というのは、ピンチに陥った時に急にできるものじゃないんだな。
だからこそ、ブイモンがデジクロスという「その場で急に強くなる力」を得たのは僥倖といえるのかもしれない。
38 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/25(木) 00:15:57.62 ID:YxmqBDVgo
「それにしても…蛮族がまた力を取り戻したらやですね〜」
クルエがだるそうな声で言った。
それはそうだね…。
蛮族の残党はまだまだデジタルワールドにいる。
それが今回我々のところに攻めて来れなかったのは、クルエがデジクオリアの裏技を利用した奇策によってAAAからのデジモン伝送路を切断したおかげだ。
いやほんと、あの時はナイスプレイ。
「いえい」
きっとこれからAAAは、蛮族の残党をクラッカーデジモンとして利用するだろう。
一般人や企業を狙ったサイバー攻撃をデジモンで行い、それを止めにきた我々のセキュリティデジモンを、蛮族デジモンで迎撃する…という戦いになっていくのだろう。
骨が折れそうだな、それは…。
『ふむ?蛮族の生き残りがまだいるのか?』
そうですよパルタスさん。
キンカクモンは生き延びたようだし…
これからも蛮族デジモンは増えていくと思います。
『ふむ…蛮族は集会をすることはあるか?』
ニセシャッコウモンのありがたいお話を聞く集会があるっぽいですね。
『ふむ…、なるほど分かった!』
ど、どうしたんですか?
『シューティングスターモン!聞いているか!』
『ウィーッス ドウシタ パルタス』
『お前…腹が減ってないか?』
『サイキン狩リニイッタバカリデ ホゾンショクハ マダマダアルガ』
保存食…。
どこに保存してるんですか?
『野生デジモンがいない極寒地帯の永久凍土に蔵を掘って、そこに貯蔵している。天然の冷凍庫だ』
あ…なるほど。賢い。
デジタルゲートを寒い地域に繋げば、それだけで冷凍庫が出来上がるのか。
…パルタス氏、最初の第一印象がアレだから脳筋みたいなイメージあったけど、やっぱ普通に頭いい人なんだな。
39 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/25(木) 00:17:11.14 ID:YxmqBDVgo
『デジタル?ハラヘッテタラ ナンダ』
『…これから一狩り、行かないか?シューティングスターモン』
『…ナルホド、オモシレー ヤッチマウカ』
え…え?
一体何を…パルタスさん?
40 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/25(木) 00:17:43.41 ID:YxmqBDVgo
つづく
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/25(木) 00:20:48.81 ID:chcUkHT10
乙
一狩りいこうぜ!的なノリ
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/25(木) 00:21:47.84 ID:oPdAVaCwo
乙
組織は違えど頼れる人ではある
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/25(木) 00:22:56.81 ID:OVlj2E4g0
乙
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/25(木) 19:34:28.26 ID:gwDef4D2o
蔦を伸ばすのがメインウェポンなパルモンが手足伸ばせるシュリモンに進化するのはある意味自然な進化というわけか
45 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/30(火) 19:39:00.57 ID:xpExcDBGo
は、話の流れからすると…
『一狩り』というのは。
集会中の蛮族達に、シューティングスターモンのミサイル攻撃を撃ちこむってことですか!?
「そうだ!奴ら蛮族デジモンを野放しにしていては国家防衛上の危機と判断した。よってシューティングスターモンの100%のパワーでまとめて粉砕殲滅する!」
し、しかし。
まだ罪を犯していない蛮族デジモンもいるんじゃ…
「罪?私はシューティングスターモンの餌を狩るだけだ。罪がどうとか関係ないだろう。貴様達は川で釣りをする時、罪を犯した魚デジモンだけを釣り上げるのか?」
…そういうスタンスですか。
ならまあ…口出しはできないか。
人形だからとか、知能が高く文化があるからだとか…そういう理由で特別扱いするのも違うしな。
あ!でも、ディノヒューモン農園は餌にしないでもらえませんか?
「なぜだ?」
…我々のパートナーデジモンは、4体ほどがあの農園の出身です。
いや、赤オタマモンもルーツを辿れば農園出身か。
我々セキュリティデジモンのさらなる進化の可能性を模索する上で、あの農園は研究観察対象として非常に有用なんです。
「いいだろう…今はな。だが、奴らがクラッカーと手を組むようになったら潰す」
…それは…仕方ないか。
分かりました。
46 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/30(火) 19:49:12.37 ID:xpExcDBGo
蕃族の殲滅を企てるなら、集会をするタイミングを見図る必要がありますね。
『うむ!集会はいつやるんだ?』
…分かりません。
監視するしか…。
しかし、ずっとデジドローンで見張っていたらバレるかもしれませんね。
どうにかして、バレずに見張る方法はないか…?
そう話していると、パルモン改めシュリモンが話しかけてきた。
「みてみて!」
シュリモンは、全身を覆う布の服を脱ぎ去ると…
ほぼ100%植物って感じの生身が現れた。
「こうしたらどう?」
そしてシュリモンは、植物に擬態した。
…うーん。これはすごい。デジモンだと気付かないかも。完全に植物にしか見えない。
蛮族の拠点はジャングルにある。
この姿でジャングルの植物に紛れ込めばバレなさそうだ。
潜入するときは、シュリモンにデジドローンを持ってもらい、一緒に擬態してもらうことにしよう。
『しかし、シューティングスターモンがフルパワーで攻撃する場合、5分ほどエネルギーをチャージする必要がある!集会が始まった瞬間に発射、というわけにはいかないぞ』
わかりました。
うまくシューティングスターモンの準備ができてるときに、集会が始まるのを狙いましょう。
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/30(火) 19:56:43.69 ID:2cAkRGZeo
「服」って概念を持つ動物
48 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/30(火) 20:03:40.86 ID:xpExcDBGo
『オホン!諸君、蛮族の拠点なら他にもひとつあるぞ!キウイモンの島だ!』
ああ、スポンサーさん…そういえば言ってましたねそんなこと。
『何、本当かクロッソ!ならばそちらも殲滅する!シューティングスターモンが発射したと同時に、キウイモンの島へジオグレイモンを送り込む!スターモン抜きで我々の言うことを聞くか怪しいが…こういう機会も必要だろう!』
…もしもキウイモンがいたら保護してもらえませんか?
『なぜだ』
…蛮族が肉にせずに飼育しているとしたら、それは生かしたまま利用する価値があるということです。
うまく鹵獲できたら役に立つと思いますよ。ズバモンやルドモンのように。
『ふむ…それはもっともか。検討しよう』
そういえば、ルドモンとズバモンはどうなったんですか!
『ルドモンは成熟期に進化したぞ!ティアルドモンと名付けた。これからきっとデジタマを生むだろう』
おお、それはよかった。
ズバモンは?
『ズバモンか!死んだぞ!』
し…死んだ!?
どうして!?
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/30(火) 20:08:52.47 ID:9rrHYI520
ブイモンが聞いたら落ち込むぞ
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/30(火) 20:09:21.52 ID:+0GCkIY5o
もったいねえ…
51 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/30(火) 20:16:33.03 ID:xpExcDBGo
『ヤツらをデジタルワールドで強敵と戦わせて武者修行させていたらな…二体とも成熟期に進化したんだ』
ふむふむ。
『だが、二体ともその場で脱走をしたんだ!』
脱走ですか…「まあそうなるだろうな」って感じですが、それで?
『お仕置きがてらに、シューティングスターモンに20%の出力で突撃させてから捕獲しようとしたんだが…力の調整を誤って70%の出力が出てしまった!』
…どうなりました。
『ティアルドモンは瀕死ながらも生き延びたが…ズバイガーモンは粉々に消し飛んで死んだ!やりすぎたな、ふはははは!』
やりすぎたなじゃないですよ!
安くないお金を払ってもらって売ったんですよ!
そっちが大損じゃないですか!
『まあそういうこともあるだろう!幸い、飛び散ったズバイガーモンの肉片や剣は回収できた。次に何かのデジモンを育てる時に与えたらパッチ進化するかもな!』
…流石にどうかと思いますよ。
『仕方がないだろう!成長期の段階ですら超強力な剣と盾だった奴らだ。それが成熟期になったのだぞ、スターモンやジオグレイモンで連れ戻そうとしたら腕の一本や二本切り落とされかねない!』
それは…
…致し方ないか。そのままほっといて脱走させたらAAAに回収されるだろうし…。
とても惜しい。
52 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/30(火) 20:19:07.54 ID:dS5Sy2fy0
クラッカーと方向が違うだけでそれなりのマッド…
53 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/30(火) 20:29:33.54 ID:xpExcDBGo
さて…
負傷したデジモン達への応急処置が済んだことだし、戦場の死屍累々を片付けるとしよう…。
マッシュモン達、シュリモン。頼んだよ。
「マシーーーー!」
「まかせて!」
マッシュモン達とシュリモンは…
死亡した蛮族デジモン達を解体して、燻製ハムに加工した。
残骸はププモン達に与えた。
蛮族デジモンは、自発的に我々を襲ってきたわけではない。
彼らもまた、クラッカーに利用された存在なのだ。
せめて糧にすることが、弔いになるだろう。
54 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/30(火) 20:42:04.47 ID:xpExcDBGo
つづく
55 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/30(火) 20:45:40.02 ID:9rrHYI520
乙
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/30(火) 20:45:54.35 ID:dS5Sy2fy0
乙
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/30(火) 21:37:57.69 ID:rGYnhNqwO
乙
58 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 20:33:05.07 ID:v/XkhZoNo
私とクルエは、デジタマモンをデジヴァイスへ入れてカンナギ・エンタープライズ・ジャパンへ足を運んだ。
神木さんに、救援に来てくれたお礼と報告をするためだ。
秘書の岸部エリカ氏が、我々を案内してくれた。
岸部氏は、最近よく名前を「リエ」と間違われて困る…等、いろいろ喋っていた。
そうして、私とクルエは神木氏の部屋に来た。
「まずは、クラッカーの襲撃を無事に退けられたようで良かった」
ありがとうございます。
クルエが随分な無茶振りをしたようですが、助けてくれてありがとうございます。
「いいや、助けていない。君達がデジクオリアを不正コピーしたから、執行者オタマモンを送り込んでデジタル空間に放火をして私刑に処しただけだ。そこにたまたまクラッカーのデジモンがいたようだが… とにかく、我々は君達に加担したわけではない。履き違えないように」
ああっそういうスタンスでしたね。
…大丈夫、あのオタマモン達がどこから来たのかは、誰にも教えていません。
「それは何よりだ」
それと、サラマンダモンのサラですが…
モリシェルモンに殺されかけたときに、ワームモンと融合し…
このデジタマモンになりました。
そう言い、私はデジヴァイスをプロジェクターへ接続し、スクリーンにデジタマモンの姿を映す。
『クワァ〜!クワァ〜!ウミョォ〜ン!』
「…これが、サラの進化した姿か。レベル5に到達したのか?」
死にかけの状態で、レベル3の成長期デジモンおよび、レベル0のデジタマとジョグレスしたせいか…
レベル5には到達しておらず、4.3…くらいになっています。
「成熟期を超越してはいるが、レベル5には到達していない、か。不思議な状態だ」
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/31(水) 20:36:27.01 ID:dWlrFQ1z0
そりゃまあ会社の名前も合わせると間違われる…
60 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 20:49:57.79 ID:v/XkhZoNo
せっかくなので、デジヴァイスのカメラをオンにしてみます。
「…わかった」
デジヴァイスのカメラをオンにすると…
デジタマモンの前にウィンドウが現れ、そこに神木さんの顔が映った。
『…!?ク、クワァ〜!クワァー!クワァー!クワァァァ!!』
デジタマモンは、神木さんの顔が映ったウィンドウの方へ駆け寄りの夢中で頬ずりをした。
「…サラ。覚えているんだな。私のことを」
『クワァ〜〜〜〜!!クワァ〜〜〜〜!!』
「…君をデジタルワールドへ放逐して済まなかった、サラ。セキュリティチームに高カロリーな餌の獲得手段と、広い生育環境、そして成熟期デジモンが産んだデジタマを活用する手段ができた今だからこそ、君は自身の力を十全に活かせるが…、あのときの我々には、それがなかったんだ」
『クワ…』
「だから、我々は君を飼育放棄し…棄ててしまった」
『…』
「だが、君は生きてセキュリティチームのところへ戻ってきて、クロッソ・エンジニアリングへ来てくれた。そうして今、我々のところにいる君の子供達と…、そして君がデジクロスしたフレイドラモンが、セキュリティチームを救ったんだ」
『…』
「我々は、育ての親として最低なことをしてしまった…。だが、君が生まれてきてくれて、立派に育ってくれて…、本当に感謝している。どの面下げて、と思うかもしれないが…、君を誇りに思うよ」
『クワァ、クワァ〜〜!!』
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/31(水) 20:51:28.17 ID:xXEetq5ho
おぉ…感動の再会
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/31(水) 20:55:53.18 ID:/5i59+LBo
サラはこれまでも大量にデジタマ産んできたのに死ぬ間際のデジタマにだけ記憶の連続性あるの不思議だ
しかもワームモンも混じってるし
63 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 21:04:41.41 ID:v/XkhZoNo
サラマンダモンだった頃のサラは、人間の言葉を理解することはできるが、自ら文章を考えてチャットで意思表示をすることはできなかった。
脳の言語野の発達が、自ら文章を生成できるほどまでに発達していなかったからだ。
だが、チャットで対話できるワームモンとジョグレスしたことで、二体の人格と知能が混ざり合い、デジタマモンはチャットを使えるようになったようだ。
…デジタマモンは、チャットで文章を打ち出した。
『かみき いっしょに いたい』
「…ケン、クルエ。デジタマモンはこう言っているが…」
神木さんがそう言うと、クルエは頷いた。
「…いいよ、デジタマモン。ここのオタマモン達…あなたの子供達と、そして神木さんと。しばらく一緒にいていいよ」
『ありがとう クルエ ブイモンや カリアゲのとこに またもどるよ あとで』
…今ここにいるデジタマモンは、サラであり…
そして同時に、我々の拠点フローティア島でブイモンやカリアゲとデジクロスの特訓をし続けたワームモンでもあるのだ。
デジタマモンは、カンナギ・エンタープライズ・ジャパンのビオトープへと入り込んだ。
そして、サラの子供達である赤オタマモン達とともに、温泉を模した風呂に入った。
『なつかしい おちつく』
「…温泉卵みたいだね」
言っちゃったよ!
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/31(水) 21:06:35.75 ID:dWlrFQ1z0
デジタマモン進化ー!
おんせんデジタマモン!
65 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 21:17:16.02 ID:v/XkhZoNo
そして私は、これからやろうとしていることを話そうとしたが…。
「待て、私にジャスティファイアとの共同作戦の話をしようとしているのか?重要機密事項だろうそれは。聞くわけにはいかない、君達の研究グループとは協力関係だが、君達のセキュリティ事業に表立って加担しているわけではないのだから」
あっ、そ、そうでしたね。
「…君達にはサラの件の恩がある。クラッカーとの抗争関係と直接関わらないところで、個人的に礼がしたい」
お礼ですか…
何かありますクルエさん?
「…お礼って言っても、サラが頑張ってくれてるだけだから、私はなんともですね」
「欲がないね…」
欲を言っていいなら…
一つ聞きたいことがあります。
「何かな」
66 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 21:24:16.98 ID:v/XkhZoNo
前に教えてくれましたよね。
デジクオリアをそもそも何故作ったのか。
デジクオリアがどういう原理でデジモンやデジタルワールドを観測しているのか。
「…ああ」
元々、古の時代には本物の霊媒師…シャーマン達が世界中にいて、霊視や冥界の観測をするロストテクノロジーを持っているらしかった。
そこで神木さんは、それら霊媒師たちの特殊な脳の状態を人工知能によって再現し、コンピューターに霊視をさせることに成功した。
そうして出来上がったのがデジクオリアであり…
デジクオリアで観測した冥界こそがデジタルワールド。
そして、冥界を漂う幽霊のようなものが、情報生命体デジタルモンスターだったよ。
「そうだ」
…その『実在した霊媒師』とやらの存在を、あまり触れていませんでしたが…
それについて詳しく教えてくれませんか。
「…いいだろう。他言無用でな」
はい、分かりました。
67 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 21:29:31.06 ID:v/XkhZoNo
「…この研究を行うにあたって、実際の霊媒師の存在は不可欠だった。デジクオリアの観測した世界が、実際の霊媒師の視界に近いものが再現されいるかどうかテストするためにな」
そうですね…頑張って集めたんでしたっけ。
「そうだが…幸いにも、ごく身近に霊媒師が一人いたんだ」
誰ですか?
「…私だよ」
えぇ!?
神木さんが!?
「…とはいっても、私は古の時代のシャーマン達ほどちゃんと修行を積んだわけじゃない。祖先から受け継いだ霊感が残っていて、多少目が利く程度だ」
…びっくりした。
マンガの世界みたいですね。
「デジタルモンスターだって怪異だろう」
それはまあ…そうですが。
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/31(水) 21:32:27.95 ID:KEbWuXoWo
デジモンなんてもんがいる時点で幽霊とか霊媒士とかいても不思議ではないか
69 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 21:42:15.62 ID:v/XkhZoNo
そういえば、カンナギ・エンタープライズって社名…
日本語ですよね。
『巫(かんなぎ)』…
神の依代。神と交信する者。
「そうだ。カンナギ・エンタープライズは、人間の脳をAIで再現し、人工知能を開発する事業をしている多国籍企業であり、収入源もその関連事業だが…、裏の顔がある」
裏の顔…?
「世界各地で、オカルトと揶揄されながらも今も細々と活動している本物の霊媒師達。その人脈を繋ぎ、その秘術の原理を科学で解き明かすことだ。デジクオリア開発にあたって霊媒師を集めることができたのは、その人脈のおかげであり、会社の金をデジクオリア研究に使えたのも元々そういうスタンスだったからだ」
株主からさんざんこっぴどく叱られ、世間から後ろ指をさされ…
そうしてしんどい状況の中で頑張って完成させたんでしたね。
「そうだ。これで霊能力の原理が、オカルトではなく科学によって解明されたということだ。だが、そういう背景は世間に一切公表していない」
…霊媒とか幽霊とか冥界に、フィクションの中で過剰なパブリック・イメージが植え付けられてるから、でしたね。
「そうだ」
…それでですね。
私が知りたいのは…
パブリックイメージ抜きで、実際に古の時代に活動してた霊媒師やら何やらって、結局何者なんですか?ということです。
「…墓場まで持っていくつもりだったが。ケン、君になら話してもいいだろう」
お願いします。
70 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 21:54:22.76 ID:v/XkhZoNo
「現代人は、自分達が百年前や千年前の人々よりも知的な存在だと考えがちだ。だが実際はそうではない。『考える』というタスクを電子計算機に丸投げし、その恩恵を受けることができるようになっただけに過ぎない。現代の一般人が、星の動きを観察してコンピューター無しで自転周期や公転周期を計算できるか?六分儀を使うことができるか?…どう思う?」
…難しいでしょうね。
「そうだ。電子計算機に思考のタスクを丸投げする技術を持たなかった時代の人間の方が、現代人より遥かに生活の中で頭を使っていたといえるだろう」
…まあ、言ってることはなんとなく分かります。
「すなわち、その時代においては、人間の脳こそが電子計算機の役割を果たしていた。つまり古代では、人間の脳が生体コンピューターとして日夜使われていたんだ。科学水準が低い時代とて、そこで日々を考え抜いて生きてきた人間たちの思考そのものは侮れないものだ」
ふ、ふむ…?
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/31(水) 21:55:23.72 ID:UnkGStO0o
便利になったから人の能力は退化したって考えることもできるか
72 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 22:20:58.11 ID:v/XkhZoNo
「さて、現代において、電子計算機が電気信号によって相互接続することで形成されるコンピューター・ネットワーク上で、は度々デジモンの出現が確認されている。君達の研究施設にマッシュモンが湧いたようにね」
デジタルワールドから、偶発的に開いたゲートを通じてやってくるんでしたっけ。
「そうだ。古代の時代にも、ヒトの脳という生体コンピューターは、音声や視界という信号によって接続されていた」
人間関係…ですか。
「それもそうだが…、古代の時代に自身の脳を生体コンピューターとして酷使し、研鑽を重ねた人間の中には、特殊な能力を身に着けた者達がいた。『自身の思考や感覚を、他人と共有する力』を得た者達だ」
テレパシーというやつですか?
「そうだ。現代の携帯端末が電波で繋がるように、第六感のようなもので他人の脳と繋がれる者達がいたんだ」
…本当にいたんですか?そんな超能力者みたいなの。って、霊媒師本人の前で言うのもなんですが…
「世界一有名な霊媒師の名を挙げよう。モーセ、ムハンマド…そして、イエス。彼らがそうだ」
…預言者ですか。
「そう。彼らは人間の脳だけでなく、それよりさらに上の領域にまで思考バイパスを接続できた。それは即ち、当時は天界や天国と呼ばれていた場所…」
…それが、デジタルワールドですか!
「そうだ。ブッダが説いたとされる六道、天上界というものも、彼がデジタルワールドを断片的に観測し、それを独自に解釈したものではないかという説もある」
え、じゃあデジタルワールドにいる何者かが、旧約聖書やら何やらを預言者へ伝えたってことですか?
「それは分からない。我々が観測しているのと同じデジタルワールドから預言を受けたのかもしれないし、全く別の世界から交信を受けたのかもしれない。あるいは…まあ、中途半端な邪推は止めておこう。どのみち数千年前の者達が実際に何をしたのかなど、今更考えても仕方がない」
は、はぁ…。
「ともかく、現代の人間にはオカルトと切り捨てられることだろうが、古代の人間には脳という生体コンピューターを使い、他人の脳と繋がったり、デジタルワールドに繋がったりできる者がいたということだ」
それで、彼らは何をしたんですか?
「…現代と変わらないさ」
…まさか。
「そう。脳という生体コンピューターに不正アクセスを仕掛ける、『クラッカー』に相当する者が、当時も存在していたんだよ」
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/31(水) 22:25:42.24 ID:pHjlDLtC0
時代違ってもやること大差ないのね
74 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 22:30:40.00 ID:v/XkhZoNo
脳に不正アクセスするクラッカー…!?
それをやってどうするんですか?
「何をするのかも現代と同じだ。他人の脳から個人情報を抜き取る者もいれば、サイバー攻撃を仕掛けて脳を破壊する者もいただろう」
い、一体どうやって。
人間にそんなマネができるんですか?
「まさか。いくらテレパシーを会得した人間といえど、そこまでの芸当を自力で行うことはできない」
では、どうやって…
…まさか…、『何かの力を利用した』んですか。
「そうだ。世界中によく転がっている逸話があるだろう?黒魔術によって悪魔を召喚し、他人に呪いをかけるとか。丑の刻参りによって妖を呼んで呪詛を仕掛けるとか。陰陽師が式神を操るとか…」
それは、つまり…
「そう。自身の脳をデジタルワールドへ接続し、デジモンを呼び寄せ…、他人の脳へと送りつける。それが世界中に伝わるすべての『呪詛』の基本原理だ」
75 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 22:35:24.88 ID:v/XkhZoNo
…そんな昔から…
人間はデジモンと関わっていたんですか。
「もっとも、その当時は現代に比べて世界中を行き来するデータ量がはるかに少ない。故に当時のデジタルワールドは現代に比べてずっと低栄養状態だっただろう。だから呼び寄せられたとしても、せいぜい幼年期程度…ズルモンやモクモン、ポヨモンなどだっただろうな」
あんまり強くないデジモンですね。
「現代基準ではな。だが当時は違った。データを食らうデジタルモンスターを脳の中へ送り込まれたとなったら、どうなる?」
…脳内のデータ…
記憶が、食い尽くされる。
「そうだ。幼年期程度で十分なんだ、人間を殺すのにはな」
76 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 22:43:15.59 ID:v/XkhZoNo
「そして、クラッカーがいれば当然セキュリティもいる。呪詛に対して、飼育したデジモンの力で立ち向かう者もいただろう」
…デジモンを飼育…。
餌はどうしたんですか?
「君達がデジドローンでデジタルワールドからデジモンの餌を拾ってくるように、彼らもまた自身の術でデジタルワールドから餌を調達していたかもしれないな。あるいは、ビオトープのようなものを作って、そこでデジモンを飼育していたのかもしれない」
ビオトープを…?
どうやって。
「霊媒師は他人の脳と繋がれる。では、霊媒師が宗教の司祭をやったらどうなる?」
…大勢の信仰者と繋がれますね。
「そう。多くの人間の脳とつながれば、そこにはデジタル空間ができる。ならばその中でデジモンを飼育できるはずだ。それが宗教の力だったのかもしれないな。大勢の信仰者と繋がり、広いビオトープを用意することで、幼年期デジモンを進化させてより強力なデジモンを飼育し、強力な呪詛を仕掛けるという力が…」
…雲を掴むような話です。
「君達が今やっていることと同じだろう?」
それは確かに。
77 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 22:53:17.59 ID:v/XkhZoNo
「しかし、そうなると…なんだか『デジタル』モンスターって感じが薄れますね〜」
おお。
クルエが私の意見を代弁してくれた。
「そうか?…ひとつ質問だ。ソロバンはアナログとデジタル、どちらに括られると思う?クルエ」
「ソロバンですか?なーんか一見アナログぽいですよね。電気使わないし。でも話の流れからすると…」
ソロバンは…
現代人か使う用語では、電気を使わないという意味で『アナログ』と誤解されがちですが…
実際は『デジタル』です。
「そうだ。連続的な量を、段階的に区切って数字で表すこと…それこそが『デジタル』の定義だ。電子計算機を使うか否かは本質的には全く関係ない」
なるほど…。
「人間の脳はニューラルネットワークという仕組みで動いている。シナプスの重み付けを行い、ニューロンが発火し、ナトリウムイオンチャネルで通信をする。その仕組みは、十分に『デジタル』側だよ」
…不思議な感覚だ
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/31(水) 22:57:08.33 ID:YuEoK2YM0
電気使わないものは大体アナログみたいな雰囲気
79 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 23:02:05.99 ID:v/XkhZoNo
そんな霊媒師が、なぜ今は廃れたんですか?
「霊媒師の人口が少なすぎるからだな。科学を発達させた人間達は、極少数の彼らに頼り権力を握られるよりも、万人が利用できる科学によって文明を発達させることを選んだ」
どういうことですか?
「一人の霊媒師に敵を呪ってもらうより、十人の凡人が銃を持って敵を撃ち殺した方がよほど強いだろう?」
そうか…
霊媒師がいくらデジモンをけしかけることができたとしても、情報生命体デジタルモンスターである以上、物理的な干渉力は持ちませんからね。
「そうだ。さらに人間は、『非科学的』という言葉を『否定』のために利用するようになった。…それがロストテクノロジーとなって廃れた理由だ」
インチキ扱いされたわけですね。
「だが、土着信仰とか、儀礼が形だけ残るケースもある。霊媒師でもなんでもない人間が、古代の霊媒師が残した儀礼を形だけ真似ていることはよくあることだ」
なるほど…。
…もしかして。
神木さんが、この話を公表しない理由は…。
パブリックイメージどうこうでなく…
『デジモンによる呪詛という可能性に辿り着く者が出ないようにするため』ですか?
「…察しの通りだ。デジタルワールドには、我々の世界から消えた情報が流れ着き、太陽から栄養データとして降り注ぐ。ゆえに現代のデジタルワールドは、霊媒師全盛期よりもはるかに強力なデジモン達で溢れている」
80 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 23:08:55.17 ID:v/XkhZoNo
もしも。
クラッカーが、デジタルワールドのデジモン達を人間の脳へ送り込むことを画策し始めたら…。
「…霊媒師のロストテクノロジーを、IT技術と組み合わせた場合、古代より遥かに強力な『呪い』が可能になるだろうな」
それは…危険すぎる。
「可能性に気付いたら、やってみたくなるのが人間のサガだ」
間違いないですね。
「…君達だから話した。万が一、そういう手口をする輩が現れても…セキュリティ側として人々を護るために尽力してくれる君達だから。…ローグ・ソフトウェアのようにセキュリティ活動をビジネスとして割り切っている奴らには決して話せない」
…信用してくれてるんですね。
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/31(水) 23:18:05.36 ID:MlpP8+Qto
デジモンサヴァイブみたいな話だ
82 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 23:19:20.22 ID:v/XkhZoNo
「そういえば、例の詐欺事件はどうなった?学校のセキュリティとして詐欺業者のクラッカーマッシュモンが忍ばされていた件は」
スポンサーさんから聞いた話だと…
親御さん達のスマホ等に侵入していたクラッカーマッシュモンは、ローグ・ソフトウェアが全て倒したそうです。
ついでに、自分達が提供するサービスにその場で乗り換えさせたそうです。
横取りされた気分ですが…
まあ仕方ないでしょう。
「マジでむかつきますよねー」
クルエは苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「犯人は捕まったのか?AAAの差し金なのだろう、あのクラッカーマッシュモン達は」
それがですね…
真犯人にたどり着けなかったそうです。
詐欺業者の実際の犯行をやってた実働部隊は、警察が追っているところですが…
闇バイトか何かの可能性が高いみたいで。指示した者には辿り着けるか怪しいそうな。
「デジモンだけではなく人間にまで闇バイトをさせるのか、奴らは…」
厄介ですよね。
「電子計算機が人間の脳の代わりに『考える』というタスクを担うようになった現代では、クラッカーがデジモンを使って行うサイバー攻撃こそが、古の時代の『脳への呪詛』そのものなのかもしれないな」
…そうとも言えるかも知れない。
83 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/01/31(水) 23:20:32.51 ID:v/XkhZoNo
続く
これからシーズン2の最終章が始まりますが、更新ペースが今までよりもっと遅くなるかもしれません
ご了承ください
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/31(水) 23:22:49.92 ID:dWlrFQ1z0
乙
楽しみにしてる
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/31(水) 23:23:11.57 ID:MlpP8+Qt0
乙
大変そうだ
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/31(水) 23:24:58.52 ID:WeLfLSx6o
乙
87 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/31(水) 23:25:05.49 ID:5z1RH9LZ0
乙
88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/01/31(水) 23:55:44.56 ID:BJXvjJy/0
乙
もしかしたらエピローグが始まってすぐ終わっちゃうのか……?と思ってたから
そうでないなら喜んで待つよ
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/03(土) 21:09:54.09 ID:9gB6n6JTo
色々気になる要素は最終章で回収されるかseason3まで持ち越されるものもあるのか
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/09(金) 19:46:15.34 ID:veO1fhae0
究極体やその先まで研究するとこ見れれば良いな
91 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/11(日) 21:41:52.60 ID:sQ1O3fn5O
メガ、教えて欲しい。
デジタルアソートのアプリモンスターズ達は、一体どうやって作ったんだ?
「うーん…本来は機密事項なんだけども…」
今回の戦い、我々バイオシミュレーション研究所の実力だけでは太刀打ちできなかった。
アプモン達が助けてくれたおかげで、対抗できたんだ。
我々も、あれくらい多彩な能力を持つデジモンを育て上げないと、これからの戦いに勝てないかもしれない。
「…分かった。セキュリティデジモンを飼育するノウハウが強化されることは、デジタルアソートにとっても大事なことだ。技術協力していこう」
ありがとう。
「アプリモンスターズ達は、マッシュモンをベースにして作ったんだ」
マッシュモンを…!?
みんな姿がマッシュモンとは似ても似つかないけども。
ガッチモンなんて哺乳類ぽい姿してるぞ。
「マッシュモンは近接格闘能力こそ低いけど、自身を構成する菌糸をアップグレードしたり、同じ記憶を持った個体を複製することができる」
ふむふむ。
「その性質が、僕達の平和利用デジモン計画には非常によく適しているんだ。マッシュモンをベースにして、全身を構成する菌糸に必要な機能のソフトウェアを餌として与えることで、そのソフトウェア・アプリケーションの力を学習・獲得させていったんだ」
なんと…。
ガッチモンもナビモンもドーガモンも、元はマッシュモンだったのか。
「厳密には…マッシュモンを高度に進化させて、全てのアプモンのベースとなる『素体』を作った。それのソフトウェアを学習させたのがアプモンたちだ」
なるほど…。
92 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/11(日) 21:43:02.70 ID:/utMINz5o
遂に来たか
マッシュモンあらゆることに使われる
93 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/11(日) 21:51:12.25 ID:sQ1O3fn5O
どうやって収益化するの?
「マッシュモンは、自身の分身を生み出す力を持っている。アプモン達も、分身を作る力を受け継いでいる。さすがに身体を構成するデータが高度化しすぎたせいか、マッシュモンより複製スピードはずっと遅いけどね」
すると…
アプモン達のコピーを販売することで、収益を得るってこと?
「販売というよりは…見張りマッシュモン同様に、レンタルサービスのサブスクになるね。あまりたくさん殖やすことができないんだ。用が済んだときに勝手に廃棄されちゃかなわない」
それはそうか。
「先日の戦闘に出したアプモン達は、実験中のプロトタイプ。つまり…やがて分身体のオリジナルとなる個体だ」
ということは…
その個体がクラッカーとの戦いで死亡したら。
「バックアップもあるにはあるけど…だいぶ後退することになっていた」
…リスクが高い危険な賭けだったんだね。
「安いものさ。ネットをクラッカーに支配されてしまうのに比べればずっとマシだよ」
…そうだ。
我々の使命は、クラッカーを倒すことそれ自体じゃない。
ネットの治安を維持し、人々の暮らしを護ることだ。
戦闘はその一手段にすぎない。
94 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/11(日) 21:52:15.42 ID:/utMINz5o
やること多いお仕事だ
95 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/11(日) 21:59:50.10 ID:sQ1O3fn5O
そういえば、クラッカーが利用してる粘菌デジモン…
ズルモンやゲレモン、スカモン等も元はマッシュモンだった。
「そう。…今なら分かる。あれらは膨大な失敗作の上にできた一握りの成功だってね」
失敗作…?
「うん。アプモンの研究開発は、毎回トントン拍子で成功するわけじゃない。時に失敗することもある。望まない進化をした個体もいたよ」
…その個体はどうしたの?
「…成功は失敗の積み重ねという。だけど失敗は失敗だ。たくさん出現する失敗個体の飼育に不必要なコストを割いていては、さらに進歩した個体の飼育にコストが回らない」
…処分したのか。
「そうだよ。失敗作は処分した。たくさんのアプモン達が、研究途中で消えていった」
…。
「僕がデジタルアソートを立ち上げて、このバイオシミュレーション研究所と別組織として切り離した理由がこれだ。君達は眩しすぎる…僕達デジタルアソートの研究の路線とは相容れない。誰一人切り捨てないのが君たちの強みだから」
…カリアゲが心配してたよ、メガのことを。
昔とずいぶん、考え方が変わったって。
その理由がそれか。
「僕デジモンが将来平和利用されるために…クラッカーとの抗争の武器以外の役割を持ち、人々の暮らしにプラスの影響を与えられるようにする…。そのために必要なことだったんだ。『失敗作を切り捨てる』ことは」
96 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/11(日) 22:01:47.21 ID:ml2e1sKe0
アニメや漫画なら闇落ちする予定のキャラっぽいメガネ
97 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/11(日) 22:09:39.49 ID:gaLh2Ya/0
マッシュモンがここまで重宝されるデジモン見たことないや
98 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/11(日) 22:17:53.85 ID:sQ1O3fn5O
「君達バイオシミュレーション研究所のセキュリティチームは、デジモンを失敗作として切り捨てない。たとえ弱いデジモンや、指示を聞かないデジモンであっても…、その長所を見出し、それらを組み合わせて敵に立ち向かった。だから君達はAAAに勝てた。そうだね?ケン」
…。
うん。私もそう思うよ、メガ。
コマンドラモンやパルモンのように、それ単体で優秀なデジモンだけを画一的に増やしていては、クラッカーに太刀打ちできなかった。
味方デジモンが誰一人欠けても、勝てなかった。
だけどその味方デジモン達は、どんな姿にするかを設計して、指向性を持たせたわけじゃない。
デジモン達自身に、どう進化するかを任せた。
デジモン達が本来持っている進化の力に…。
未知を探求し、予測不可能な進化をするという混沌が生み出す可能性に賭けたんだ。
「そう。だから君達は圧倒的な数の不利を覆せた。だけどそれは…とどのつまり、セキュリティチームの為すべきタスクが『敵性デジモンを暴力で排除すること』だから、そのアプローチが使えるんだ」
…。
「AAAは言った。デジモンは道具だと。…どう思う?」
そんなだから敗けたんだあいつは。
「…そうかもね、そうかもしれない。クラッカーは、ただ暴力で敵を倒すだけのデジモンを育てればいいというわけじゃない。デジモンに情報窃盗をさせたいなら、それができるような能力を持ったデジモンへと進化の指向性を持たせなくちゃいけなかった。それはつまり、望まない形式を持ったデジモンを切り捨てることを意味する」
…スパイウェアデジモンの粘菌デジモン達や、ランサムウェアデジモンのキャンドモンやアイスデビモンを作り上げるためにも、膨大な失敗作を犠牲としてきたってわけか。
「意外かもしれないけど…AAAはね。自分のデジモンを愛しているよ」
ええ!?
そうは思えないぞ。簡単にあっさりとデジモンを切り捨てるし。
蛮族デジモンを捨て駒にしていた。
「蛮族デジモンはあくまで野生デジモンを利用しているだけ…。彼の中では『自分のデジモン』ではないだろう。ズバモンとルドモンに対する彼の執着はどうだった?」
…是が非でも取り返そうとしていた。
使い捨ての蛮族とは真逆だ。
「そう。スカモンもそうだった。最初にスカモンと戦った時は、トドメを刺される前にチューモンに脳を回収させていた」
そういえばそうだっけな。
99 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/11(日) 22:29:54.94 ID:sQ1O3fn5O
「二度目の戦いもそうだった。クレカ事件の後、クラッカーが僕達のサーバーへ攻めてきたとき、最後に戦場に残っていたのはプラチナスカモンだった。だけどAAAはプラチナスカモンへ破壊命令を出さずに、退却命令を出した。何故だと思う?」
…なぜ?
「おそらく…価値を比べたからだよ、ケン。僕達のサーバーを破壊して、プラチナスカモンを道連れにされて失うことよりも。僕達にトドメを刺せる絶好の機会を手放してでも、プラチナスカモンを生還させることをAAAは選んだんだ」
…それほどプラチナスカモンは大切なのか、AAAにとって。
「きっとそういうことだ。AAAのドリモゲモンが、ケンキモンより先にモリシェルモンを倒したのもそれが理由だ。ケンキモンを不意打ちできるチャンスを手放してでも、プラチナスカモンがモリシェルモンの胃酸で溶かされる前に救出する必要があったんだ」
…。
考えてもみなかった。
AAAにとって、デジモンに優先順位があったなんて。
「プラチナスカモンは戦いの道具やサイバー犯罪の道具というだけじゃない。AAAはプラチナスカモンに…なにか特別な使命を与えているとみえる」
そういえば、鉱山でプラチナスカモンが口からズルモンを出し、チョロモンになって帰ってきたのをレアモンに食わせてたね。
あれはなんだったんだ?
「まだわからない…けど、AAAの企みはきっと、小手先のサイバー犯罪で小銭を稼ぐことだけじゃない。まだなにかある」
嫌だな…。
「先日の戦いで、アイスデビモンだけ扱いが違っていたのに気付いた?」
扱いが違う?
どういうこと?
「アイスデビモンが戦いに投入されたタイミングは、僕達がすべての手札を出し切った後だった。シマユニモンとドリモゲモン、ガニモン寄生型のズルモン…優秀な手駒を数多く失った後で、アイスデビモンを投入してきたんだ。最初から投入していれば、それらを失わずに済んだかもしれないのに」
確かにそうだ。
でも、なぜ…?
「あいつは『失ってもいいデジモン』と『失いたくないデジモン』を明確に分けている。後者を生還させるためなら、前者をいくら犠牲にしてもいいと考えているんだ」
そ…そうか。
最初からアイスデビモンを投入していたら、パルモンの花粉でアイスデビモンが視界を塞がれている間に、モリシェルモンやケンキモンがアイスデビモンを倒していた可能性もあった
「そういうことだね。アイスデビモンを倒されたときのAAAの狼狽ぶりを見た?きっとアイスデビモンもプラチナスカモン同様に、『他の何を犠牲にしてでも生還させなきゃいけない、失ってはいけないデジモン』だったんだ」
…
そんなに大事だったのか。
「だって、ガラスやセメントやワックスを自在に操れるデジモンだよ?その価値を想像してみてよ」
…欲しすぎる!
「そうなるよね。いくらでも活用できる力だ。悪用もね」
100 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/11(日) 22:31:33.10 ID:gaLh2Ya/0
一番必要だから一番愛するか
101 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/11(日) 22:39:19.31 ID:sQ1O3fn5O
「だから、そう。AAAは…、野生デジモンを利用しているんじゃなく、自分で作り上げたデジモンに対しては、『道具として』明確に愛情を持っている、はずだ」
道具として愛情を…?
「そうさ。自作のパソコンを愛機と呼んだり、自慢の車を愛車と呼んだりすることがあるでしょ。人間は道具を、道具として愛せるんだよ。だからデジモンを道具扱いすることは、愛情を持っていないということじゃないんだ」
…その割には、キャンドモンとか粘菌デジモンは使い捨てているように見えたけど。
「消耗品として利用することまで含めて道具…ということだろうね。ケンにも『お気に入りの消耗品』はあるはずだ」
あー。
シャンプーとか洗剤とか食糧品とかね。
そういう感覚なんだ。
「だからあいつは、デジモンを道具とみなしていることを批難されても平然としてるけど…ヘボエンジニアと言われると根に持つくらい怒る。見えっ張りなんだよあいつ」
…随分AAAのパーソナリティーを詳しく分析してるね。
「…僕達デジタルアソートも、デジモンを道具として扱う側だからね。分かるんだ、少し」
メガ…。
「僕達はケンやセキュリティチームとは違う。デジタルモンスターを、僕達が望む姿へ進化させなくちゃいけない。そのためには、デジモンを道具として割り切らなきゃいけないんだ」
…デジタルアソートの研究内容を、カリアゲが知ったら怒るかもな。
「その気持ちがカリアゲのいいとこだ。だからブイモンはカリアゲの気持ちに応えて土壇場でデジクロスに成功した。僕にはできないことだ」
…持ちつ持たれつだね。
102 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/11(日) 22:45:16.20 ID:sQ1O3fn5O
「軽蔑したかな?僕達のこと、デジタルアソートのことを」
…正直に言う。
私は、デジタルアソートのようにはなりたくない。
「…」
だけどそれは、私自身がそうなりたくないってだけの話だ。それ以上でも以下でもない。
君達デジタルアソートは、社会に必要なことを、そしてデジタルモンスターが人々に受け入れられるために必要な事をやっている。
私がなりたくない姿になってでも。
そのことに、私は敬意を評すよ。
「…ありがとう、ケン」
私だって清廉潔白じゃない。
ディノヒューモンの集落から奪ってきたデジモンの子供を戦わせている。
まるで海外の紛争地帯の少年兵みたいにね。
「うおっ…ケン、言うゥ〜。僕はずっとそれ言わずに黙ってたのに…」
自分達が何をしているかくらい分かってるさ。
この世界に神様がいて、善を救い悪に裁きを下すとしたら…
人間のためにデジモンを利用し戦わせている私達は、裁かれる側かもしれない。
「…綺麗事ばかり言ってられないね」
そうだね。
いつかしっぺ返しを食らうかもしれない。
「その時は、僕も共に裁かれるよ」
103 :
◆VLsOpQtFCs
[saga]:2024/02/11(日) 22:46:03.08 ID:sQ1O3fn5O
続く
104 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/11(日) 22:46:42.12 ID:ml2e1sKe0
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