デジタルモンスター研究報告会 season2 エピローグ

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112 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/17(土) 22:35:14.68 ID:41ewblYPO
シュリモンから連絡が来た。
もうすぐ蛮族デジモン達の集会が始まりそう…らしい。

集会とはつまり、ニセシャッコウモンという端末を通したAAAによる演説である。

即座にジャスティファイアへその旨を伝達した。
パルタス氏からの返答は早かった。
『ふはははは!待ちわびたぞ!シューティングスターモン、デジタルワールドに出てエネルギーチャージの準備をしろ!』

パルタスさん。
蛮族の集会が始まり次第、集会のど真ん中にシューティングスターモンの突撃攻撃を撃ち込むということでいいですか?

『できれば集会が終わったタイミングで丁度良く撃ち込みたいところだな!シューティングスターモンは秘密兵器だ、AAAとやらに知らせたくない!』

集会が終わったタイミングで丁度良く撃ち込む…厳しくないですか?
終わり次第解散するかもしれませんし。

「それならうちのドーガモンが時間稼ぎをするよ、ケン」

メガ!

「ドーガモンの力でニセシャッコウモンの姿と声を投影して、『演説の続き』をやる。そこへシューティングスターモンを着弾させると同時にドーガモンを引っ込める。これで蛮族デジモン達を爆心地へ留まらせることができるはずだよ」

『はっはっは!メガよ、デジタルアソートは非戦闘用の平和利用デジモンの開発をしていると聞いたが、随分なキラーカードに化けたな!』

「いや?ドーガモンは何も手を下さないよ、ただちょっとイタズラをするだけ」

『ふはははは!では、共同作戦といこう!』

…そして、シューティングスターモン着弾と同時に、キウイモンの島にスターモンとジオグレイモンが攻め入るんですね。

キウイモンがいたら保護をお願いします。

『そうだな!』
113 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/17(土) 22:44:33.30 ID:41ewblYPO
リーダーが立ち上がった。
「この機会に便乗して…ひとつ、やっておきたいことがある。『ディノヒューモン農園に恩を売る』ことだ」

恩を売る…?

「そうだ。現在は蛮族と対立しているディノヒューモン農園だが、蛮族が潰れたらAAAが農園を味方に付けようとするかもしれない。だから先手を打ち、農園に恩を売って味方につける」

カリアゲが頷く。
「ベーダモンのときみたいにか?リーダー」

「そうだ」

でも、どうやって恩を売るんですか?

「簡単な話だ。シューティングスターモンの爆撃を、フレイドラモンの仕業ということにして、農園の者へ爆心地へ近付かないように事前通告すればいい」

手柄の横取りをするつもりですかリーダー!?
いいんですかパルタスさん!

『ふはははは面白い!シューティングスターモンは秘密兵器だ、他の誰かの仕業にできるならこちらとしても大助かりだ!加えてそれを貴様らセキュリティチームの仕業にできるなら、貴様らの抑止力としての実績アピールにもできるだろう。いいぞ!やるがいい!』

…でも交渉できるんですか?
ディノヒューモン農園の言葉ってまだまだ原始的でボキャブラリーが少ないじゃないですか。

「農園の言葉と我々の言葉の自動変換アプリはメガが開発済みだ。それを使って、どうにか意思疎通をする」

大丈夫なんですか…?

「問題ないはずだ。『暴力による解決を、誰がやるのか』を伝えるだけだ。彼らのボキャブラリーに十分収まる情報だろう?」

なるほど…確かに。
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/17(土) 22:46:02.31 ID:tkOTY8s4o
遂に本格的な接触か
115 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/17(土) 22:50:23.59 ID:41ewblYPO
フレイドラモンがやったことにするのはいいとして…
ブイモンは大丈夫なんでしょうか?
こないだの戦闘で、骨にヒビが入ったと聞いてますが。

ブイモン、調子はどう?
『いてて…まだなおってねーよ』

ほら、無理そうですよ。

「やれるな?ブイモン」

『ああ、やれるぜ!デジタマモンがついてるからな!まかせろ!』

リーダー!?
無理させるんですか!?ブイモンに!

「ブイモンはこれくらいの無理はやってくれる」

いいんですかそんな扱いで…。

『いいぞ!』

「いいんだ。別に実際に戦うわけじゃない、ちょっとディノヒューモンの前に姿を表すだけだ」

か、カリアゲ!
止めないのか!?

「…最近気付いたけど…ブイモンは逆境なほど燃えるとこあるんだよ。いや、いいとこなんだけどな?それに、『ブイモンの体を気遣って黙ってた』と言ったほうがブイモンには悪い」

カリアゲ…。

「過保護にしすぎるのは、仲間への信頼とは真逆だぞ。ケン」

ううっ、カリアゲに諭された…。
正論だ。
116 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/17(土) 22:51:14.34 ID:41ewblYPO
つづく
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/17(土) 22:52:03.06 ID:OcaLkWnDo
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/17(土) 23:00:11.67 ID:Bcrx3rF40

いつの間にか責任重大な役目だブイモン
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/17(土) 23:13:51.13 ID:Cgr6rNic0
120 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/18(日) 07:45:43.05 ID:9tGqR25xo
リーダーはデジドローンとブイモン、デジタマモンをデジタルワールドへ送り込み…
ディノヒューモン農園付近のアクセスポイントから出現させた。

よし…
それじゃブイモン、デジクロスを頼む。

『よっしゃ、やるぞデジタマモン!』
『ウミョォ〜ン!』

デジタマモンは、脚を引っ込めた。
卵殻に炎の紋様が浮き出て、ナイフのように鋭い角が生えた。

https://i.imgur.com/EQAt5Qw.png

カリアゲはデジタマモンのこの形態に「勇気のデジメンタル」と名付けて呼んでいるらしい。

勇気のデジメンタルは、いくつかの破片に分割され、ブイモンを囲った。

破片から放たれる光がブイモンを包み込むと、光の中のシルエットは徐々に大きくなっていく。

やがて、破片が頭部と胸部、手足に装着されて装甲と化し…
フレイドラモンへのデジクロスが完了した。

『できたぜ!』

デジクロスの成功を見届けたリーダーは、デジドローンから音声を発した。
「フレイドラモン、できるだけエネルギー消費を抑えて形態維持に務めることはできるか?」

『そういうのはシェイドラモンのほうが得意じゃねえかなぁ』

「シェイドラモンは喋れるのか?」

『チャットならできるけど…喋るのは厳しいな』

声帯の構造が、喋るのに適してないのか。

「では、シェイドラモンに代わってくれ。チャットの文章を読み上げソフトで機械音声にすれば擬似的な会話はできるな」

『よし!ワームモン、代わるぞ』

フレイドラモンはシェイドラモンへと形態変化した。

シェイドラモンのチャットを読み上げソフトに接続する。

どう?喋れる?

『あー あー きこえる?』

おお!聞こえた!
大丈夫そうだね。

「それでは、ディノヒューモン農園とコンタクトを取りに行くぞ」
リーダーが操作するデジドローンは、シェイドラモンと共に農園の入口へ向かった。
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/18(日) 08:06:16.52 ID:jbKC7HXgo
デジタマモン単独の戦闘力は想定されてない感じか
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/18(日) 08:18:16.21 ID:1VFc8Ueq0
いくらスポンサーさんでもフレイドラモンシェイドラモンへの変形合体も可能!DXブイモン&デジタマモンなんて玩具作れないよなあ
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/18(日) 08:18:28.12 ID:KqJkrjbd0
>>121
この作品だとデジクロスに特化してる設定っぽいし>デジタマモン
124 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/18(日) 08:42:59.92 ID:9tGqR25xo
農園の入口へ付いた。
リーダーは、ディノヒューモン語翻訳ソフトを駆使しながら、マイクに向かって発話する。
「モシモシー! キャクキャク!」

やがて、何者かがやってきた。
…スティングモンだ。

『ナゾナゾ!?』
スティングモンは問いかけてくる。
翻訳ソフトには「誰だ」と文字が出てくる。

リーダーは「私は味方だ、蛮族の敵だ」
「ワレワレ!トモトモ!ウホウホ、ボコボコ!」

それを聞いたスティングモンは…
『お前達、信徒の、仲間か?』

おお!?
日本語で発話して話しかけてきたぞ!?

シント…信徒。
我々が蛮族と呼んでる輩は、デジタルワールドではそう名乗っているのか。

リーダーも日本語で返答した。
「いいや違う。信徒達と戦っている者だ」

『なぜ、この言葉を、使える』

「これは元々我々が使っている言葉だ。信徒の親玉…AAAも、この言葉を使っている」

『トリプルエー?天使のことか』

スティングモンが発した「天使」という名称を聞き、リーダーは眉を潜めた。

「天使…?AAAは、あなた達にはそのように名乗っているのか。傲慢なものだな、天使とやらは」

『傲慢?知らない言葉だ。どういう意味だ』

「他人を見下してばかりいる奴のことだ」

『なるほど、傲慢。信徒共は確かに傲慢だ』

…スティングモンの態度がちょっと和らいだ気がする。
リーダーは今、『AAAの悪口』を交渉の手段として用いたのだ。

敵の敵は味方であることを、感情的・心情的に理解させるための手だ。
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/18(日) 08:45:59.12 ID:1VFc8Ueq0
誰かへの悪口で結束を固める…人間も日常的に使う手段だ…
126 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/18(日) 08:50:05.92 ID:9tGqR25xo
一旦ここまで
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/18(日) 08:50:54.33 ID:rn228+OFo
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/18(日) 08:51:39.10 ID:1VFc8Ueq0
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/18(日) 13:53:24.92 ID:PBKz+Nm80

スティングモン普通に日本語理解してるのすごいな
130 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/21(水) 21:55:13.89 ID:gvIQkeT90
『それで、お前達、何者だ。どこから来て、何をしに来た』
スティングモンが問いかけてくる。
リーダーはデジドローン越しに返事をする。
「我々はセキュリティチーム。ここから遠く離れた土地で、お前達のように社会を形成して生きている。お前達が天使と呼ぶ者、AAAはその社会をデジモンの力で破壊しようとしている悪党だ。それを退治しようとしているのが我々だ」

スティングモンは頷く。
『なるほど、とりあえず信じよう。それで、何の用だ』

「そうか、助かる。今日は話が…」

『また我々の元からタマゴを奪いに来たのか』

「…!?いや、違う!そうじゃない!」

『気づかないと思ったか、セキュリティチーム。そこにいるデジモンは、私の子供だな』

「…認めよう。確かにこのシェイドラモンは、お前の子供だ、スティングモン」

『スティングモン?なんだその呼び方は。私が盟友オサオサから貰った名は「グサグサ」だ。他の名前で呼ぶな』

「…そ、そうか。分かった。お前のことはグサグサと呼ぶ」

グサグサ…
スティングモンってディノヒューモンからそう呼ばれてるんだ。
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/21(水) 21:59:35.41 ID:jhAv3S6go
自分の血縁は分かるもんなのな
132 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/21(水) 22:22:28.45 ID:gvIQkeT90
『あの時、信徒達の襲撃で、ブイブイとブンブンが死んだ。お前達と共犯じゃないのか、セキュリティチーム』

ううっ、すごく睨まれている…!
ブイブイとモスモンが死んだことを怒っている。そりゃそうだ。

「…そう勘違いされるのも無理はない。あのとき我々は、AAAに部下がいることを…信徒達がいることを知らなかった」

『無理な言い訳だな』

「オレは真実を語っている、グサグサ。我々は今からAAAと信徒達を滅ぼしに行くつもりだ。今ここでお前に嘘をついても何の得もない」

『滅ぼしに行く?仲間をか?』

「…何度も言うが、オレたちはAAAの仲間じゃない、敵同士だ。ブイブイとグサグサのタマゴを奪ったことは謝罪する。だがそれは、お前達が優秀なデジモンであり、AAAを倒すためにはその力が必要だと考えたからだ」

『ブイブイの子供はどうした?』

ブイブイ…エクスブイモンの子供。
つまりブイモンのことだ。

「今ここにいるシェイドラモンは… ブイブイの子供ブイモンと、グサグサの子供ワームモンが合体している姿だ。お前がブイブイと合体したように」

『何…!?ガチャガチャができるのか!?さすが我が子、優秀に育ったものだ』

「あの時、我々がお前とブイブイのタマゴを奪ったせいで、グサグサとブンブンに隙ができて…結果、二人はAAAの部下、信徒達に殺されてしまった。どれだけ詫びても、二人の命を戻すことはできない」

『そうだろうな』

「だからせめて、罪滅ぼしに… 償いとして、オレ達が今からこの手で、信徒達を皆殺しにする。そしてこれ以上、信徒達にお前たちの村が襲われないようにする」

『信徒たちを滅ぼす?できるのか?お前たちに。あれらは我々が長い間戦い、未だに滅ぼせていない敵だ。お前たちにあれが滅ぼせるのか?』

「できるさ。シェイドラモンの力があればな」

『それほど強いのか、我が子は』
そう言うと…
スティングモンは構えた。

『シェイドラモン、私と戦え。力試しをしてやる』

スティングモンは、あのスコピオモンの子孫だ。
デジクロスしてパイルドラモンやディノビーモンにならずとも、単体でかなり強いと予想される。

「しかし、今体力を消耗しては、信徒達を滅ぼすための体力が…」
リーダーがそう言おうとしたが…
シェイドラモンは突如光り輝き、フレイドラモンに変形した。

『リーダー!オイラやるよ。見せてやるんだ、今のオイラの強さを、ワームモンの親に!』
構えるフレイドラモン。
…ブイモンは先日の戦いの怪我がまだ残っているのだが…
大丈夫なんだろうか。
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/21(水) 22:25:00.78 ID:JlW5ngTv0
戦うことで分かり合うという概念はデジモンにも存在するのか
134 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/21(水) 22:31:45.09 ID:gvIQkeT90
スティングモンが、フレイドラモンに飛び掛かる!
凄いスピードだ!

フレイドラモンは、スティングモンのパンチをいなす。
そして、スティングモンの顔にパンチを打ち込む!

スティングモンは素早い身のこなしで、フレイドラモンのパンチを躱し…
フレイドラモンの頭部へ右フックを決めようとした!
この軌道は回避できない…!

しかし、フレイドラモンはぴかっと光り、一瞬でシェイドラモンへ変形した。
シェイドラモンはフレイドラモンよりも身長差が低いため、スティングモンの右フックは空を切った。

態勢を崩したスティングモンに向かって、シェイドラモンは粘着糸を放った。
スティングモンの腕に粘着糸が絡まる!

スティングモンがもがいていると…
シェイドラモンは、フレイドラモンに変形し、スティングモンの顔面に蹴りを放つ!

…フレイドラモンは、スティングモンの顔に蹴りが当たる寸前で、脚を寸止めした。
『どうだ?オイラの実力は』

スティングモンは、ふぅと溜息をついた。
『中々やるな。だが、私とブイブイが合体した姿には及ばない』

『つえーもんな、パイルドラモン。オイラもあのくらい強くなりてーぜ!…で?まだやるのか、スティングモン?』

『グサグサと呼べ。…今のが全力か?シェイドラモン』
スティングモンは、フレイドラモンのことをシェイドラモンと呼んだ。
まあフレイドラモンという名前は教えてないから、仕方ないか。

『今はな』

『…私はもういい。貴様らはどうする?このまま私を殺せるチャンスだぞ?ん?』
スティングモンはまだ我々を疑っているようだ。まあ無理もないか…。

リーダーがマイクを握る。
「我々の社会には、『敵の敵は味方』という言葉がある。AAAを滅ぼそうとしている我々にとって、君たちは味方だ。グサグサ」

『…まあ今は信じてみようじゃないか』
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/21(水) 22:33:55.16 ID:CrDonzXso
完全体と成熟期相当のアーマー体では流石にね
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/21(水) 22:35:58.00 ID:NVV9lkz40
成熟期で上位のスティングモンにこれだからほんとに強いねえ
137 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/21(水) 22:42:24.08 ID:gvIQkeT90
「…デジタマを奪って悪かった、グサグサ。だがお前の子供は、これほど強く育ったぞ」

スティングモンは、ふふっと笑った。
『安心した。私の子供は既に信徒たちに食われていると思っていた…諦めていた。だが、生きていたんだな。これほど強くなって…』

「ああ。我々の大切な仲間だ」

『信徒たちに奪われるより、貴様らに奪われた方が、いくらか私の子供は幸せになったようだ』

「間違いない」

『それで、我々にその子を返す気はあるのか?』

「シェイドラモン本人に聞いてくれ」

『…我が子よ、村でオサオサと共に暮らさないか。美味いヤサイがたくさんあるぞ。最近は果物も採れるようになった』

フレイドラモンは、シェイドラモンへ変形し、チャットで返事をした。
『くらさない ぼくのかぞくは セキュリティチームだから』

『…フフ、そうか』
スティングモンは苦笑した。

『でも ぼくをうんでくれて ありがとう グサグサ。きみが ぼくを うんでくれた おかげで ぼくは セキュリティチームの みんなと しあわせに くらせてる』

『…』

『いのちを ありがとう』

『…これから信徒たちと戦うのか?我が子よ』

『そうだよ!』

『必ず生きて帰れ。どのように勝ったか、どのように活躍したか。私に聞かせるんだぞ。シェイドラモン』
スティングモンは、シェイドラモンの頭を優しく撫でた。

『うん!グサグサ!』

スティングモンはリーダーのデジドローンの方を向いた。
『…我が子を粗末に扱うなよ』

「ああ、もちろんだ。大切な家族を、粗末になんかしない」

『ならばよい。罪滅ぼしとやらをするのだろう、さっさとやってこい』
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/21(水) 22:45:38.63 ID:Rr6y42Zao
優しい
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/21(水) 22:46:38.78 ID:NVV9lkz40
スコピオモンの一代目と二代目の子孫なことも含めて感慨がある
140 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/21(水) 22:51:20.90 ID:gvIQkeT90
「いや、まだ話は終わっていない。そちらから聞きたい事と、こっちから伝えたいことがある」

『なんだ、セキュリティチーム』

「まずは聞きたい事だが… グサグサ、なぜお前は我々の言葉が話せる?これは我々やAAAの社会で使われている言葉だ」

『…奴に教わった。バブンガモンに』

バブンガモン…!?
バブンガモンって、蛮族側のデジモンじゃないか!ヒヒ型の!

「バブンガモンは信徒ではないのか?」

『奴は信徒が信徒になる前からいた信徒だ。だから信徒であって信徒ではない』

?????????????????????
141 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/21(水) 22:51:48.15 ID:gvIQkeT90
つづく
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/21(水) 22:53:32.76 ID:JlW5ngTv0

語彙力がまだ足りない!
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/21(水) 22:56:43.10 ID:NVV9lkz40

バブンガモンここで出てくるんだな……
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/21(水) 22:57:00.72 ID:95K34g0g0

元々バブンガモンの群れがいてAAAが接触して蛮族になってフーガモンとかが生まれたのかな
145 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/22(木) 23:06:54.21 ID:Vr+itFZ/0
リーダーは…
「何?バブンガモンが、信徒が信徒になる前からいた信徒で、だから信徒であって信徒ではない、と?」

『何を言っている?理解不能だ』

「いや、グサグサが今言ったことをそのまま復唱したんだが…」

『復唱とはなんだ、知らない言葉だ』

「相手が行ったことを、そのまま話すことだ」

『…私が言ったのか。自分で言ったが、わけがわからないな。あー、…つまり、だ。信徒が信徒になる前に、バブンガモンはすでに信徒だったのだ』

「…要するに…」

リーダーはスティングモンにいろいろと言葉を教えてから、言いなおさせた。

『言いなおそう。つまりバブンガモンは、類人猿デジモンの集団が、AAAに支配され信徒となる前から、既に類人猿デジモンのグループにいたのだ』

「よし!よく理解できた。言葉を覚えてくれてありがとう、グサグサ」

『セキュリティチームの…貴様はリーダーと言ったな。こちらこそ助かった。便利な言葉を教えてもらった』
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/22(木) 23:08:22.84 ID:yEFKwtK30
言語というものは便利だ
147 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/22(木) 23:34:03.42 ID:Vr+itFZ/0
話を要約すると…

我々が『蛮族』と呼んでいるデジモンは、AAAが一から生み出したわけではない。

元々、類人猿型のデジモンの集団がジャングルにいたのだが…
ある日そこにゲートが開き、ニセシャッコウモンが現れた。

そしてニセシャッコウモンは、類人猿型デジモン達に餌として「砂糖」という粉を与えた。

この「砂糖」の甘味に憑りつかれた類人猿型デジモン達は、ニセシャッコウモンの指示を聞くようになった。
ニセシャッコウモンは自身を神の遣い…「天使」と名乗り、天使に従う者を「信徒」と呼ぶようになった。

そうして信徒たちに言葉を学ばせ、青銅の精錬などの原始的な科学知識を教えた。
ニセシャッコウモンは、信徒達にカースト付けをするようになった。
よりよく言語を学んだ者、よりよく神や天使を信仰する者に、優先的に砂糖を与えた。

やがてニセシャッコウモンは信徒達を統率・支配し、狩りやディノヒューモン農園への略奪をさせるようになった。

最初期の信徒達は、「砂糖」によってコントロールされていたのだが…
そのうち信徒達は、砂糖がなくともニセシャッコウモンのいうことを聞くようになった。

信徒という集団そのものに、「ニセシャッコウモンに認められる者ほど身分が高く、支配的な立場をもらえる」という上下関係が出来上がったため、
信徒のデジモン達自身が砂糖という物質的報酬を必要とせずにニセシャッコウモンに認められる行動をとり始めたのだ。

そうしておかしくなっていく類人猿型デジモンの群れを…
バブンガモンは、快く思っていなかった。
だがここで反旗を翻しても結果は目に見えているため、信徒の集団の中では表立って目立った行動はしなかった。
戦うのが嫌いなバブンガモンは、略奪には参加せずに、他の仕事をしていたそうだ。
たとえ、かつて類人猿型デジモンのリーダーだった自分が、どれだけ低いカーストに落ちることになったとしても。

そうしてバブンガモンは、ニセシャッコウモンに従う振りをしつつ、密かにスティングモン及びディノヒューモンとコンタクトをとっていたのだ。
スティングモンとディノヒューモン… ザクザクとオサオサが日本語を学んだのはその機会によるものだそうだ。

スティングモンは日本語の語彙の多さに苦労したが…
先に習得したディノヒューモンから教わり、なんとか使えるようになった。

ディノヒューモン農園にもこの言葉を広めようとしたが…
群れの多くは『敵の言葉なんて使いたくない』と言い、頑なにこの便利な言語の習得を拒んだそうだ。
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/22(木) 23:35:38.14 ID:XEQ439Ddo
麻薬かよ…
149 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/22(木) 23:42:39.70 ID:Vr+itFZ/0
クルエはその話を聞いて、こそっと聞いてきた。
「AAAの奴、砂糖なんかどうやって調達したのかな…」

カリアゲが答えた。
「砂糖も塩も見つけてるよ。砂糖の方は草原に生えるイネ科っぽい植物『サットの実』を、塩はマングローブに生える『ジョッパの実』を収穫すると作れるぞ」

「えー!フローティア島では栽培しないの?」

「ジョッパの実は栽培するぞ。海水で育つからな。ただサットの実はだめだあれ。一度砂糖を作って、コマンドラモンに舐めてもらったことがあったんだよ」

「なんて言ってたの?」

「『これはいけない。こんなものを舐めていてはダメになる。…ところで、もう一回舐めていいか』って5回くらい繰り返し言ってたぜ」

「あー危険薬物ですわこれ。そんなのを蛮族に与えるなんて…やっぱAAAってとんでもない奴だ」

「でも砂糖だぞ?」

「砂糖ならいっか!」

よくない。
…まあクルエとカリアゲの話はいいや。
スティングモンの話の続きを聞こう。
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/22(木) 23:45:30.37 ID:Z0F81XMd0
砂糖を日常的に大量摂取してる我ら人間はダメになりまくっていた?
151 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/23(金) 00:02:09.48 ID:Jk9MsKze0
『つまり… 信徒という集団は今や我々の敵だが、唯一バブンガモンだけは信用できる』

「敵のスパイになっている可能性はないのか?」

『無い。一度それを疑ったこともあった。バブンガモンにニセの情報を本当らしく伝えて、信徒達の待ち伏せをしたが… 罠は不発だった。バブンガモンがAAA達に情報を漏らさなかったからだ』

「なるほど」

『そういうことだ。もし信徒を滅ぼすのなら、バブンガモンと…その親のプレイリモンだけは手を出さないでくれ』

「…」

『どうした』

「我々は、信徒達が集会をしているときに、そのど真ん中に大きな火球を落として一気に全滅させるつもりだ。一体一体倒していくわけではない」

『…!?そんなことができるのか!?シェイドラモンに!?』

「シェイドラモンだけでなく、オレ達セキュリティチームのデジモンの仲間の力を集めて行うんだ」

『…それでは…』

「…トータモンやカメモンが巻き込まれない範囲に落とすようにしてある。だが、そのバブンガモンという奴は、今更個別で攻撃範囲から助けることは難しい」

『トータモン?カメモン?誰だそれは』

「こいつらだ」
リーダーはそれら二種のデジモンの姿を、デジドローンのプロジェクターで投影した。

『…カチカチとノシノシか。こいつらはオサオサの大事な家族だ。助けてくれるのは助かる。だが…バブンガモンが…』

「…すまない。もう間に合わない。バブンガモン個人に伝えて『一人だけ逃げろ』と伝えたら、信徒全員に逃げろと言う可能性がある」

『…間違いなくそうするだろう。何に支配されようと、信徒たちはバブンガモンの家族だ。家族を皆殺しにすると伝えられて、怒らない者などいない』

「…」

『…』

「…許してくれるか、オレ達を」

『…バブンガモンは良い奴だった。狩ったニクをくれたこともあった。一緒に踊って歌ったこともあった』

「…」

『…だが、バブンガモン一人を助けるために、信徒全員を殺せるチャンスを捨てるわけにはいかない。やってくれ』

そう言うスティングモンの声は…
とても辛そうだった。
152 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/23(金) 00:03:02.79 ID:Jk9MsKze0
つづく
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/23(金) 00:05:47.55 ID:+NBiskQro
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/23(金) 00:08:03.71 ID:+cXy+MHj0
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/23(金) 00:12:35.31 ID:BM19BkAu0

うーん悲しい
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/23(金) 01:58:19.97 ID:nCbXQG1lo
バブンガモン…惜しい奴だった…
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/23(金) 21:00:03.98 ID:hKsgNtkLo
グサグサとオサオサ以外の村デジモンにとってはバブンガモンそこまで思い入れある奴じゃなさそうなのが救いか
158 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/23(金) 22:11:40.85 ID:BFJz8vNOO
…さて今、蛮族もとい信徒達の集落はどうなっているか。
草木に紛れて隠れているシュリモンが隠し持っているデジドローンからの映像を見てみよう。

広場に、シャーマモンやコエモン、ジャングルモジャモン、セピックモンが集まっている。

その中には、傷付いたキンカクモンの姿もあった。
腹部には大きな傷跡が残っている。糸で傷を縫っているようだ。
…あの糸はどうやって調達したんだろう。既に糸を紡ぐ技術がこの原始的な文明にはあるのだろうか。

キンカクモンはまだ立って歩けるほど癒えていないらしく、横たわっている。

そこへ…
一体のデジモンが、瓶のような土器を持って近付いてきた。
https://i.imgur.com/TbNo2V6.jpg

これは…!?
人間の少女か!?

どことなく修道女を思わせるような出で立ちの、甘ロリータ衣装を纏った、まるで人間の少女そのものであるかのようなデジモンだ。

信徒デジモンはここまで人間に近付いたのか…!?

『ミズデス キンカクモンサマ』
この修道女デジモンには、仮称としてノワールシスタモンという名を付けておいた。

シスタモンは水瓶をキンカクモンに渡す。

『ヨロシイ ワガコヨ』
キンカクモンはそう言って水瓶を受け取り、水を飲んだ。

なんということだ…。
キンカクモンの子供はああなるのか。
うちのフローティア島にいる第一子はまだトコモンなのに。あっちの方が成長が早いな。
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/23(金) 22:13:12.74 ID:O0TqS0wRo
こんなデジモンでも抹殺される映像をドキュメンタリー番組として世に出せるかどうか
160 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/23(金) 22:14:22.10 ID:BFJz8vNOO
キンカクモンのもとへ、トコモンが一体、ぴょいんぴょいんとやってくる。

口には袋を咥えている。

トコモンはキンカクモンへ、袋を差し出した。
中身は果物のようだ。

『タスカルゾ ワガコヨ』
キンカクモンは、果物をいくつか食べたあと…
『アトハ オマエガ オタベ』
残りはトコモンへ差し出した。
トコモンは、美味しそうに果物を食べ始めた。

161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/23(金) 22:19:40.38 ID:BM19BkAu0
これから爆撃するっていうのにやりづらくなりそうな絵面を
162 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/23(金) 22:25:29.19 ID:BFJz8vNOO
広場にはたくさんの信徒デジモンが集まっている。
バブンガモンの姿は見えない。

やがて、デジタルゲートからニセシャッコウモンが出てきた。

信徒デジモン達は一斉に平伏した。
『カミサマ!テンシサマアアーーー!』

ニセシャッコウモンのもとへシスタモンが駆け寄った。
『ミナノモノ!テンシサマの オイデだ!ソノミコトバを イチゴイック カミシめ アリガタく キクヨウに!』

シスタモンがそう言うと、信徒デジモン達は声を揃えてニセシャッコウモンを称えた。
『テンシサマ!シンセイナル テンシサマ! ワレラニ ヨゲンヲ サズケタマエ!』

やがて、ニセシャッコウモンが語り始めた。
『うむ。集まったな。…キンカクモン、これはお前の子か?』

声は異なるが…口調は間違いなくAAAだ。
ボイスチェンジャーを使っているのだろうか。

弱っているキンカクモンの代わりに、シスタモンが答える。
『ハイ!テンシサマ!ワタシは テンシサマのソンザイに チカヅクタメに キンカクモンサマカラ シンセイな ニクタイを サズカり ウマレて キマシた!』

『ふむ、よくやったキンカクモン!これほどまでに我々に近づくとはな!シスタモン、貴様がさらに進化すれば、ようやく我らの一員になれるやもしれんぞ』

『ハハー! アリガタき オコトバ!』
シスタモンはニセシャッコウモンに平伏す。

『第二子はいるのか?シスタモン』

『ワタシの キョウダイが コチラに!』
シスタモンがトコモンがぴょこぴょこと近寄ってきた。

『プワァ!』

『フム、幼年期の段階ではまだシスタモンの幼年期と同じか。貴様も我々に近付けるよう、修行に励むことだ』

そう言い、ニセシャッコウモンはトコモンを撫でた。 
『プワァ〜!』

…あいつもデジモンを撫でたりするのか。
163 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/23(金) 22:26:54.88 ID:BFJz8vNOO
一旦ここまで
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/23(金) 22:28:12.68 ID:O0TqS0wRo

可哀想だけど先に向こうが仕掛けてきたから仕方ないね…
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/23(金) 22:28:35.62 ID:+cXy+MHj0
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/23(金) 22:29:12.64 ID:BM19BkAu0

戦争は悲しい
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/23(金) 22:32:41.68 ID:rZOEGQtS0

AAAが出てきたら雰囲気変わるかと思ったら全然いい感じだ……
168 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/24(土) 12:16:02.79 ID:bLaIWLpwO
ジャングルモジャモンの一体が口を開いた。
『テンシサマ!バブンガモンノヤツ マタコナイ! レイハイ サボッテ コウセキサイクツ ヤッテル!バカ!ウホホ!』

『ああ…バブンガモンはまた居ないのか。無理もない、ヤツはお前達よりずっと頭が悪いのだ。礼拝だけでなく労働もサボっていたり、弱かったらヤツも制裁していたところだ』

信徒デジモン達は、それを聞いて大笑いした。

『笑えるだろう!アレがかつてお前達を導いていたのだ、あんな低能の出来損ないがな!バブンガモンを慕うんじゃないぞ。バカが伝染るからな!』

信徒デジモン達はさらに笑った。
シスタモンもクスクス笑っている。

クルエは不思議そうだ。
「…何が面白かったの?今の話の…」

リーダーが答えた。
「グサグサの話から察するに…AAAのヤツは、類人猿デジモンを品種改良して蛮族デジモンを作った。単為生殖のデジタルモンスターで品種改良を行うには…、方法はひとつ。不都合な形質を持った個体を『間引く』ことだ」

「間引き…」

優生学みたいですね。

「グサグサは信徒の中でカーストを作ったと言っていたが…、それはすなわち『被差別階級を作ること』を指す。ヤツらはAAAの命令に従い、高い知能を持つ個体を上位階級とし、AAAの命令に従わない個体を被差別階級にしたんだ」

…その結果、バブンガモンはカースト最底辺に貶められたということか。

労働力と戦闘力があるから残っているが…
それがない個体は『間引かれた』のだろう。
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/24(土) 12:31:17.30 ID:5e8KZLPM0
うわぁ…人間社会でもそれなりによく見かける光景…
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/24(土) 12:32:05.07 ID:mFddBl6No
相変わらずっすねえAAAさん
171 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/24(土) 12:35:38.22 ID:bLaIWLpwO
『さて…余談はそろそろいいだろう。先日、フーガモンやドリモゲモンをはじめとする勇敢な神官戦士達が、我々天使と共に、悪魔と戦って…命を落とした。勇敢な最期だった』

信徒デジモン達は哀しみの声をあげた。
『フーガモンサマ…ドリモゲモンサマ…』

…いや、誰が悪魔だよ。人聞きの悪い…。

『そこで寝込んでいるキンカクモンは、この戦いを生き延びた勇者だ。キンカクモンは悪魔を追い詰め、あと一歩まで追い込んだが…力及ばず倒れた』

『オォ、キンカクモンサマ…』

シスタモンは、親であるキンカクモンの痛々しい腹部の縫い後を心配そうに眺めている。

『いずれ悪魔達は、信徒のお前達を攻めにくるだろう。ブルースキン達がそうであるようにな!』

信徒デジモン達はざわめく。
『オォオォ…!アクマ!ブルースキン!コワイ!』
『テンシサマ!オタスケクダサイ!』

『ブルースキンはお前達信徒の文明を侵略し、滅ぼそうとしている!』

文脈的に、悪魔は我々を指すのか。
ブルースキンってなんだ?

リーダーが返事をした。
「…おそらくディノヒューモン農園の奴らを指す言葉だ。農園の爬虫類デジモンや昆虫デジモンは、皮膚が緑の色素や青の構造色をしていることが多い」

おお、確かに。
ブイモンもそうだ。青の構造色は、紫外線を反射するから日照りが強い屋外での長時間活動に向いている。

農作業に従事した勲章の青い肌を…
AAAは蔑称にしているのか。
172 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/24(土) 12:40:25.44 ID:bLaIWLpwO
カリアゲが眉を潜めた。
「いや、侵略してるのは蛮族だろ!なんで農園を侵略者呼ばわりしてんだ!」

「カリアゲ、おそらくAAAは…信徒たちが先に仕掛けたことを隠している」

「え?」

「信徒が先に仕掛け、それに対し農園が反撃したのを…『農園側からの一方的な侵略行為』として信徒デジモンへ教えているんだ」

「…は?」

「だから信徒にとって、農園への攻撃は略奪じゃない…復讐であり、制裁であり、誅罰なんだ」

「…分かり合えないのか?」

「無理だな。信徒達の言葉は農園の言葉とは違う。言葉が通じないから話し合えない。言語の壁を使って、AAAは意図的に対立構造を作っている」

「…バブンガモンとグサグサは通じあえてるんじゃ…」

「だからバブンガモンを貶めているんだろう。奴らと話せるから」

…。
私は言葉を失った。
173 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/24(土) 12:40:52.35 ID:bLaIWLpwO
一旦ここまで
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/24(土) 12:53:19.63 ID:d/pWe87G0

全部わかってやってるのがたち悪いねえ
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/24(土) 13:06:43.26 ID:zGHcRT3D0
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/24(土) 13:07:39.10 ID:ulIU/yEHo
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/24(土) 14:55:31.35 ID:G+IoiMeqo

現実は相手も人間だから面倒なんよ
178 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/24(土) 15:38:01.53 ID:HMJiXyN30
「それじゃあ…蛮族たちは…自分から農園を襲ったつもりじゃなくって…。『農園に攻撃されてるから、防衛のために戦ってるんだ』と勘違いしてるっていうのか…?リーダー…」

「そうなるな」

「…もしかしてよ、蛮族デジモン達って…そんなに悪い奴らじゃないんじゃねえか…?あいつ等はあいつ等なりに…仲間を護るために、命を懸けて、戦ってたってことじゃ…!」

「…そういうことだ、カリアゲ」

「な、なあ、どうにかして… シューティングスターモンを撃ち込む前に、あいつらを説得できねえかなリーダー…?あいつら日本語通じるんだろ?伝えるんだ、AAAに騙されてるって!」

「どうやってだ?奴らは我々が何を言おうと悪魔の誑言と決めつけるだろう。それに信徒の社会ではAAAの言いなりになることが地位を保証する。AAAの言葉を疑う者などいない」

「そんな…!」

「言葉が通じずとも意思疎通ができる相手もいる。ベーダモンのように。だが言葉が通じても意思疎通できない相手もいる。信徒達がそうだ」

「…助けられねえってことかよ…!」

その時、パルタス氏から通信が入った。

『こちらパルタス。シューティングスターモンのチャージは完了した。合図があればいつでも撃てるぞ!』 

「パルタス!聞いてくれ!予想外のことが起こったんだ!」

『な、なんだ!?そちらのデジモンに被害が出たか、あるいは蛮族共が散らばって逃げたのか!?』

「違う、そうじゃない…蛮族デジモン達は、騙されていたんだ!AAAに!」

『…?今更どうした』

「奴らが騙されていたとしてもだ、好き好んで農園を略奪したり、悪事をしてるんなら…滅ぼされても仕方ねえって思ってた。だけど違うんだ!農園を攻撃してたのも、俺たちを攻撃してきたのも!その動機は自己防衛のためだったんだ!自分たちが被害者側だと、AAAに嘘を吹き込まれていた!あいつらそんなに悪い奴らじゃないんだよ!」

『…はぁ。それで?』

「それでって…!だから!どうにか話し合いを…!」

『それでというのは。予想外のこととはなんだ?』

「え、だから…。俺たちが蛮族なんて呼んでいた類人猿デジモン達が、実はそんなに悪行三昧の悪い奴らじゃなかったってことで…」


『…?事前に予想していた通りではないか』

「…え?」

『典型的な宗教テロ組織の思想だな。まあそんなものだろう。シューティングスターモンを撃ち込む作戦の障害になる情報はまだ何もないが…』

「…何言ってんだ?あんた」

『貴様こそ何を言っている、カリアゲ。無駄話をしている余裕はないと思うが?』

「パルタス…てめぇ…!蛮族デジモン達が、こういう考えだと分かってたのか…?分かったうえで、シューティングスターモンを撃ち込むって提案してきたのか!!」

『何を今更。蛮族デジモン達は、戦いの最中に自分たちを信徒と、AAAを天使と呼んでいた。この手の支配をされていることは、それだけで容易に読み取れることだろう?それが分かったうえで貴様たちも私の提案を呑んだんじゃないのか?』
179 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/24(土) 15:49:18.04 ID:HMJiXyN30
カリアゲは、机を拳で叩いた。
「…俺だけが… 俺だけが何もわかってなかったのか…!」

震えるような声を絞り出すカリアゲに、クルエが声をかけた。
「…私も同じ気持ちだよ、カリアゲ」

「…クルエ」

「…気持ちは。分かるよ」

「…」

カリアゲ。私も気持ちは分かる。
同じことを思っていた。ただ黙っていただけだ。

「…ケン」

だけど…言葉にできなかったんじゃない。言葉に『しなかった』んだ。

「…そうだよな、そうだよな、ケン!クルエ…!」

『いい加減にしろカリアゲ!自分が正義のヒーローか何かだとでも思っているのか!』

「…!」

『貴様らは何者だ、セキュリティチーム!リーダーからは、コミックに登場するような正義の戦隊だとでも教わっているのか!?』

「…違うよ。俺たちは正義のヒーローじゃないと…。生存競争をしているんだと、聞いた…。あんたが言ってるようにだ、パルタス…」

『ならば必然!敵が勧善懲悪のコミックから出てきたようなヴィランでないことも分かるだろう!あんなフィクションは、後腐れなく制裁欲求を満たして脳内麻薬を刺激し快楽を得るためだけの低俗な娯楽にすぎない!現実にあんなサンドバッグなどいない!デジタルワールドにもだ!』

「…リーダー、悪い。俺、別の部屋で… フローティア島にいるパートナー達の面倒を見てるよ…」

「…カリアゲ」

「作戦がうまくいってさ、グサグサと仲良くなれたらよ… 俺の代わりに、ブイモンとデジタマモンを褒めてやってくれ…」

「…分かった。こっちでやっておく」

カリアゲは席を立とうとしたが…

『逃げるな!!カリアゲ!!!』

「っ…」

『己が背負う業から目を背けるな!!!それが責任というものだろうが!!』

「…わ、わかった…わかったよ…!見届ける…すべて…!」
カリアゲは震える声で、席に着いた。
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/24(土) 16:03:15.38 ID:ulIU/yEHo
カリアゲ…
181 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/24(土) 16:03:34.83 ID:HMJiXyN30
画面を見ると、ニセシャッコウモンはすでに演説を始めていた。
ん?あ、あれ?もう始まってたのか。
今の騒ぎで画面をぜんぜん観てなかった。

誰か、信徒達がどういう話をされてたか聞いてましたか?

「…しまった。聞いていなかった」
リーダーが苦い顔をしていた。
私もクルエもシンも聞いていなかった。

「僕は聞いてたよ」
メガは画面を見ながらそう答えた。

め、メガ…!
ニセシャッコウモンの演説を聞いてたのか。
ということは逆に、こっちの騒ぎは聞いてなったの!?

「?だってそんなの、僕たちがフローティア島で原住民のガニモンを殺戮したことの延長線上でしょ。人の姿に擬態しているからって何が違うわけでもない」

…すごいねメガは。私ですらそう割り切れない。
人に擬態してるから殺しにくいだけ、か。

「畑を荒らす猪を撃てて、猿は撃てないハンターがいるという。人に近い獣は同情心を誘うんだってさ。くだらない。どっちも同じだろうに」

…そう割り切れるメガがいて助かるよ。
それで、ニセシャッコウモンは何を話してたの?

「メモ取りながら聞いてる。サーバーに置いてあるから読んで」

私はメガがとったメモを読んだ。
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/24(土) 16:10:11.15 ID:ad+M93xCo
動物と違って人間並みの思考できて言語使えるってところが法整備のとき問題になりそう
183 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/24(土) 16:52:50.45 ID:HMJiXyN30
一旦ここまで
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/24(土) 16:56:10.88 ID:KGldbCyao
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/24(土) 17:00:18.91 ID:nGMQliz00
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2024/02/24(土) 17:11:17.21 ID:8MMIPl210

長だったバブンガモンを被差別階級に追いやって笑ってる奴らに話し合いは無理だろ
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/24(土) 17:13:28.66 ID:zGHcRT3D0
188 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/25(日) 16:34:08.95 ID:CVYwBtcb0
〜少し時間を遡り、メガ視点〜

ニセシャッコウモンが演説を始めた。
話を聞く限り、AAAはセキュリティチームのことを「悪魔」と、ディノヒューモン農園のことを「ブルースキン」と呼んでおり、
両者のことを信徒に襲い掛かる加害者、外敵であると教えているらしい。

それを聞いたカリアゲが、ショックを受けて騒ぎ始めた。蛮族デジモン達の価値基準が僕たち人間に似通っていることに気づいたらしい。
…まあ心配はいらないだろう。リーダーやケンなら、カリアゲをうまく落ち着かせられるはずだ。
その間、僕は僕がやるべきことをやる。
ニセシャッコウモンの演説内容を記録し、それを読み解けば、今後AAAがやろうとしている悪事について情報が得られるかもしれない。

あちらのことはあちらに任せて…
僕はニセシャッコウモンの演説内容を書き留めた。

『我々天使は、キンカクモンやフーガモンと共に悪魔と戦った。フーガモンやドリモゲモンは悪魔と刺し違えて倒れた…。だが敗北したわけではない!敵もまた大きな損害を負った!』

『オォ〜…!』

『だが信徒達よ!危機感を持て!このまま貴様達が今よりも強くならなければ!力を増した信徒達やブルースキン達が、貴様たちが蓄えた富を奪い、貴様達の家族を貪り食いに来る!』

『アクマコワイ…!』『ブルースキンコワイ…!』

『だが絶望はするな、希望を持て信徒達よ!神は敬虔な信徒のお前たちの信仰に応えて、天使の力の一端を授けた!キンカクモンを、そしてその子孫シスタモンを見よ!我々天使の姿にどんどん近づいている。これは大いなる天使の、悪を撃ち滅ぼす力が芽生えていることを意味する!』

『オォオーーー!!』
シスタモンがちょっと照れている。

『信徒達よ!フーガモンを、ドリモゲモンを超えて強くなれ!これまで以上に力を磨き、己を鍛え上げ!そして我々「天使」に近しい存在へと進化するのだ!そうして力を合わせれば、必ず悪魔を撃ち滅ぼせる!貴様達も、その家族も!子供も!皆救われる!戦うしかないのだ!』

『カミサマー!テンシサマァァ!!』

『さて…。目指すべき将来像を共有したところで。ここにいる者達の中には、これまで私から直に啓示を受けたことのない者も大勢いることだろう。私が出来損ないのバブンガモンに代わり、お前達信徒を統べるようになってから産まれた者達の中には特にな』

…そうか。
今の世代には、既にニセシャッコウモンが蛮族を統べるようになってから産まれた個体も多くいるんだ。
かつてバブンガモンが、類人猿デジモンのリーダーだったこと自体を知らない個体も…。

そういう個体から見れば、バブンガモンは生まれた時既に被差別階級だったということになる。
かつて祖先たちを導いた先代リーダーのバブンガモンに対して、敬意も何もあるはずがない。敬意を持てるはずがない。

きっとバブンガモン派もいたのだろうが…
そういう者達は間引かれてしまったのだろう。
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/25(日) 16:37:37.59 ID:tkdX+IUKo
人…というかデジモンを見下して貶すことを楽しむデジモン達はどのみちろくな奴じゃなさそうか
190 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/25(日) 16:41:47.83 ID:CVYwBtcb0
おそらく、初期の類人猿型デジモンは、猿やネズミに近い姿だったのだろう。
バブンガモンや、その親プレイリモン(プレーリードッグに似ているらしい)、ジャングルモジャモン、ゴリモンなど。

だが、ニセシャッコウモンは今の話から察するに、「人の姿に近づく進化をした個体」を、カースト上位に据えようとしているとうかがえる。
これは明らかに、人工的に進化を促しているアプローチだ。
人間の姿を提示し、それに近づくように進化をしろと促しているのだ。

そうして、猿型デジモンはどんどん人の姿へ近づいていったんだ。
シャーマモン、フーガモン、キンカクモン… そしてシスタモン。

いったい何の目的で、デジモンの姿を人間に近づけようとしているのかは…
まだ分からない。
191 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/25(日) 17:24:03.65 ID:CVYwBtcb0
『敬虔なる信徒のために、今一度!この世界の成り立ちを!そしてお前達の信仰に対する加護を!説明しよう!』

はてさて、どんな話が出てくるか…。

『考えたことはあるか?お前達が住むこの世界は…いったいいつ、どこで、どうやってできたのか。なぜデジタルモンスター達が住んでいるのか。なぜ朝があり、夜があり、火があり、水があり、土があるのか』

『ザワザワ…』

『なぜだと思う?シスタモン』

『ハイ!カミサマが!ツクッタノデス!』

『その通りだ!よく教育しているなキンカクモン。そう、この世界、デジタルワールドは神が作った。その大いなる存在に仕えるのが、我々天使だ』

AAAのやつ、自分のことを天使だという嘘を大真面目に言い張ってるのか。よくそんなことが言えたもんだ。

『神がこの世界を作ったのは、お前達信徒のためだ。水はお前たちが飲むために。土はお前達が踏みしめるために。太陽はお前達を暖めるために。夜はお前達が眠るために。そしてデジタルモンスター達は、お前達信徒が食べるために。信徒のために用意したのだ。お前たちは神の子なのだ!』

『オォ〜アリガタヤアァ〜!』

神の子…ねぇ。
リアルワールドで大きな勢力拡大に成功している様々な宗教の教義を切り貼りしているっぽいな。

『だが!お前達の遠い祖先は、神を裏切り、神の立場を乗っ取ろうと叛逆した。その結果、神はお前たちの祖先の罪を裁いた。だが慈悲によって、獣に似た姿に変えて生きることを許したのだ。罪を償うために』

『ソセンユルセネェェ!』『ソセンハフケイダー!』

『なぜお前達信徒は、天使の姿に近づいているのか?それはお前達が祖先から背負わされた原罪を、敬虔な信仰と働きによって、少しずつ浄化しているからだ。少しずつ罪が清められ、元の姿と知能を取り戻しているのだ』

『オォオーー!!』

『一方でブルースキン達…あれらは、お前たちの祖先から枝分かれした者の一部だ。獣の姿になっても尚、罪を清めるどころかさらに神に叛逆したため、罪を重ね… あのような醜い異形の姿になったのだ』

『ブルースキンユルセネエェ!』『ブルースキンハフケイダー!』

…類人猿型デジモンが、農園の爬虫類型デジモンと枝分かれしたのは、そんな理由じゃないと思うけど。

『信徒達よ!お前達の子孫が完全な天使の姿へと至った時!お前達の祖先が犯した罪は完全に清められるのだ!信徒達よ!それを目指し清く正しく努めよ!』

『オォー!キヨク!タダシクウウゥウ!!』

何が清く正しくだ。
サイバー犯罪者がどの口で言うんだか。
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/25(日) 17:25:52.43 ID:0LcQ/i4To
間違った知識を流布することは科学者が許しちゃいけないことの一つだな
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/25(日) 17:42:55.71 ID:Xpvd6LqD0
未知と可能性に満ちた存在が恣意的に歪められるのは無情だな……
194 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/25(日) 18:20:04.15 ID:CVYwBtcb0
しかし…なるほど。
いくらなんでも、自分たちの祖先を被差別階級に貶めるなんて、蛮族共は随分底意地が悪いんじゃないか?と思ったけど…
『原罪』という概念を利用していたのか。

蛮族デジモン達は、生まれつき祖先が犯した罪を背負っている…ということにして。
正しい行い(サイバー犯罪への加担や、農園への略奪行為)を繰り返すことで、その罪が清められ、人格的な正しさを得ていくのだと。

それに加担しないバブンガモンは、罪が清められていない咎人であるがゆえに…
『悪人』と見なされているんだ。

そんなのに騙されるか?くだらない…と、思いがちだけど、案外ばかにできない。
リアルワールドの人間達は、これら蛮族デジモン達と同様に、罪人とみなした者に対して集団で行う私刑を、「正義」と呼ぶことがある。
実際に罪を犯したかどうかにかかわらず。

2018年、メキシコ中部のアカトランである事件が起きた。
二名の男性が飲酒運転で捕まるという、なんということもない事件だった…。当初は。

しかし、インターネットのSNS上で、彼らは「幼児の連続誘拐犯だ」「車の中に酒があったのがその証拠だ」とデマを流された。
やがてSNSのユーザー達の中では「釈放されたら何人もの幼児が犠牲になる」「だから彼らに正義の裁きを下そう」という意見が膨らんだ。

結果、二名が釈放された後、150人ものインターネットユーザーが彼らを殴り、蹴り、ガソリンをかけて燃やし…死に至らしめた。
そういう事件が、実際にあったのだ。

このように、「罪人のレッテルを貼られた者」に対しては、現代人すらも狂気の残酷性を発揮するのだ。
人間ですら、マインドコントロールによって野蛮な正義感を発揮し、理屈の通らない私刑を行うのだ。
人に近い姿へ進化している類人猿型デジモンが、同じ理屈のマインドコントロールをされるのは、不自然なことじゃない。
195 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/25(日) 18:31:57.47 ID:CVYwBtcbo
と、このあたりでカリアゲやケン達の一悶着が終わったらしいので…
今までとっていたメモの置き場を教えた。
落ち着いたら読んでくれるだろう。

ニセシャッコウモンがそう話していると…
一体のシャーマモンが、ぷるぷると震えだした。

『ヨクモ…フーガモンサマヲ…!アクマ!ユルセネエエエ!』

シャーマモンは光り輝き…進化した!
https://i.imgur.com/oBEoNOm.jpg

人…というよりはなんだろう。
ファンタジー作品のゴブリンとかドワーフに近い姿になった。

『おお!いいぞ、獣からさらに天使に近づいたな!お前の名は…グロットモンと命名する!』

『ハハァー!』
…こうやって進化を促しているのか、AAAは。
196 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/25(日) 18:51:40.86 ID:CVYwBtcb0
それからは、演説でたいしたことは言っていなかった。
戒律についてちょっと触れた程度だった。

そろそろ演説が終わる…という雰囲気を察して、僕はパルタス氏に連絡をした。

パルタスさん!
演説が終わるよ!

『わかった!シューティングスターモン、発射スタート!』

『オーケーイ!!!!』
シューティングスターモンから通信が入る。
ウィンドウに、シューティングスターモンを映すデジドローンの映像が映し出された。
既にデジタルワールドに出て、準備をしていたらしい。
密林から少し離れた森林の中だ。

『ファアイブ… フォォー… スリィーー… ツゥーー… ワァン…!』
シューティングスターモンの下部から、凄まじい風圧の空気が噴射され始める。
周囲20mほどの地面に散らばっている枯れ葉や土砂、幼年期デジモンなどが、放射状に吹き飛ばされていく。
木々がざわめき、シューティングスターモンを中心にして木々が斜めに傾いている。

『シュウゥゥッ!!!!』
シューティングスターモンの下部から、爆発的なエネルギーが放出され…
シューティングスターモンは天高く飛び上がった。
197 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/25(日) 19:12:18.13 ID:CVYwBtcb0


〜ケン視点〜

ニセシャッコウモンの演説が終わった。
ニセシャッコウモンは、デジタルゲートから出ていこうとしている。

「ケンパイセン、この映像ってシュリモンが隠し持ってるデジドローンで撮影してるんっスよね?シュリモンであの土偶っぽいやつ倒せませんか?」
シンがそう言ってきた。

気持ちは分かる…シン。
だけどあの土偶は、おそらく中にAAAのデジドローンが入ってる。

「だからこそ!破壊しといてもいいんじゃないッスか!?」

…AAAのデジドローンに、ハックモンがマーカーを付着させてるのを覚えてる?シン。
今AAAのデジドローンを破壊すれば、デジドローンを再構築して復活させるまでしばらくの間活動不能にできるけども…
それは同時に、AAAの本拠地へデジモン伝送路を繋げる貴重な布石を失うことになる。

それを失ってまで、今ここでニセシャッコウモンを破壊するメリットはない。

「…そうなんスね。AAAのやつムカつくんで、一発おみまいしてやれないッすかね」

…今からそうするんだろう。
手駒を全滅させて。

「…なるほど」
198 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/25(日) 19:32:26.07 ID:CVYwBtcb0
ニセシャッコウモンがちょうどデジタルゲートから出ていったあたりで…
上空から飛行機のような音が近づいてきた。

…こちらの映像でも、シューティングスターモンの影が確認できたぞ!

信徒デジモン達はざわめいて、上空の機影を観察している。

やがて、パルタス氏が号令を出した。
『やれ!シューティングスターモン!出力100%!クラスターボムも同時に放て!!』

上空のシューティングスターモンは、自身の周囲に無数のエネルギー弾を展開した。

そして…
広場の中央に、ジェット噴射しながら勢いよく落下してきた!

シューティングスターモンが、広場のど真ん中に直撃する!
凄まじい衝撃音が鳴り響き、土砂が抉れ、衝撃波と熱波が広がり…
広場に残っていた数多くの信徒デジモン達が、吹き飛ばされ、こなみじんに砕け散った。

続いて、上空に浮いていた無数のエネルギー弾が、シューティングスターモン着弾地点から放射状に飛んできた。
これは…
まるでクラスター爆弾!

信徒デジモン達は逃げているが…
次々とエネルギー弾の空爆に巻き込まれて吹き飛んでいく。

『はぁっ、はぁっ…!』
シスタモンは、よろめくキンカクモンを肩に担いで逃げている。
足元にはトコモンもおり、一緒に逃げている。

空爆の範囲は、どんどんシスタモンたちへ近づいていく。

そして、シスタモンたちに空爆が命中しそうになったとき…
キンカクモンは、シスタモンとトコモンに後ろからとびかかり…
二体に覆いかぶさった。

…シュリモンはそのタイミングで、デジタルゲートから退避し、空爆から避難した。
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/25(日) 19:35:18.77 ID:tytsGkhto
悲しいけどこれ戦争なのよね
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/25(日) 19:36:05.12 ID:Xpvd6LqD0
派手だ……
演説の続きをやる案は無いぐらいタイミングドンピシャだったのかな
201 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/25(日) 19:46:44.72 ID:CVYwBtcb0
ゲートを潜ったシュリモンは、ビオトープで待機している。

そして1分が経過したころ、パルタス氏から通信が入った。

『シューティングスターモンによる空爆が完了した。続いて、ティンクルスターモン&ピックモンズによる残党狩り兼食料収集を開始する。シュリモン、お前も手伝え』

そう言われたので…
シュリモンはデジタルゲートから出てきた。

…信徒の住処だったジャングルは、辺り一面が焦土と化していた。
着弾地点の広場には深いクレーターができており、その周囲1kmほどが、ほぼ生物の痕跡がないほどにメチャクチャに破壊しつくされていた。

シューティングスターモンは、深さ10mほどのクレーターのど真ん中で、土砂に埋もれていた。
『アァーーーーーハラヘッタァーーーー… ブカドモヨ オレサマノタメニサッサトメシヲアツメロォーーーー…』

焼けこげた木々が根元から引っこ抜けて、散乱している。
バラバラになった信徒デジモン達の、焼けこげた肉片が散らばっている。
シューティングスターモンの激突、およびエネルギー弾は焼夷弾ではないため、直接炎を出して木々や信徒デジモン達を燃やしたわけではない。
放たれた熱エネルギーが凄まじいため、その熱波によって焼かれたのだ。

中には瀕死の状態で生き残っているデジモンもいる。
グロットモンが、全身に火傷を負いながら、地面に倒れている。
腹部に折れた木の枝が深々と突き刺さっており、飛んできた土砂で全身を貫かれているようだ。
『ヒィー… ヒィー… テンシ…サマ… ダズゲ、デ…』

そこへ、ティンクルスターモンが回転しながら飛んできて…
グロットモンの頸動脈を深々と切断した。
『ゴボッ!ガボボ… セッガグ… シンガシタ… ノニ… ゴポッ…』

ティンクルスターモンは、次々と瀕死の信徒デジモン達にとどめを刺していく。
苦痛にあえぐ絶叫や、命乞いの言葉が、ひとつひとつ消えていく。


クルエは震えながら画面を見ている。
「あ…あぁ…っ。私たちが…やったの…?これを…!う、うぷっ…!」
クルエは口を手で押さえ、駆け出すように部屋から出ていった。

シンはうつむいて何も言わない。

カリアゲは涙を流しながら、悲惨な光景を目に焼き付けている。
「くっ…うっ…!ごめんっ… ごめんっ…!」
202 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/25(日) 19:59:06.92 ID:CVYwBtcb0
メガはただただ驚いている。
「嘘でしょ…?単独の成熟期デジモンが、一度の攻撃行為でこんな広範囲を、ここまで徹底的に破壊しつくせるものなのか…?破壊力は間違いなく、これまで観察してしてきたレベル5を超えている…!」

リーダーは険しい表情で現場を観察している。
「攻撃力もすさまじいが、シューティングスターモン自身の耐久力も驚異的だ。あんな勢いで地面に衝突したら並のデジモンなら自身の攻撃力によって粉々に消し飛ぶだろう」

そして、信徒デジモンの住処の跡地へ…
スティングモンが飛んできた。

『シェイドラモンが、これを…。本当に滅ぼしたのか、信徒を…!素晴らしいぞ、我が子よ…』

スティングモンは、周囲をきょろきょろと見まわし、何かを探している。
シェイドラモンを探しているんだろうか…?

カリアゲが口を開いた。
「探してるのは、たぶん… バブンガモンの死体だよ」

…そうだったね。
ゴーサインを出したのはスティングモンだった。

せめて友の亡骸を葬ろうと、やってきたのだろうか。
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/25(日) 20:08:01.29 ID:pQhiR4DH0
核兵器かな?
204 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/25(日) 20:09:24.08 ID:CVYwBtcb0
やがて、スティングモンは何かを見つけた。

それは、地面にうつ伏せに倒れているキンカクモンだった。
焼けただれた背中に木片や、硬く尖った岩がいくつも深々と突き刺さっている。
どう見ても死んでいる。
…あれほどの破壊力の空爆を食らって、原型をとどめているあたり、キンカクモンはそうとう頑丈なデジモンだったといえるだろう。

だが、そのキンカクモンが…
ちょっと動いた。

警戒するスティングモン。

キンカクモンの下から声がした。
『ゲホ、ゲホッ…!あ、ああ… キンカクモンさま…!』
『プワァ…ッ!』

…シスタモンとトコモンだ。
親がかばったおかげで生き延びたのか。

それを見たスティングモンは、腕から鋭く長い針をシャキンと伸ばす。
『生き残りがいたか。詰めが甘いぞ、シェイドラモンよ』

スティングモンは、シスタモンにとどめを刺そうと詰め寄る。

…その時。
突如飛んできた火炎弾が、スティングモンの頭部に命中した。

『ぐあぁッ!…なんだ!』
スティングモンは、火炎弾が飛んできた方を振り向く。
205 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/25(日) 20:12:28.30 ID:CVYwBtcbo
そこにいたデジモンは2体だ。

一体は、シマユニモンに翼が生えたような姿をしている、天馬のようなデジモン。
https://i.imgur.com/CoZObnU.jpg

そして…
https://i.imgur.com/LRxSU4u.jpg

『スティングモン… ナンダ、コレハ…! オレノカゾクニ…ナニヲシタ!』

全身が岩のような甲殻で覆われたヒヒ型デジモン。
バブンガモンであった。
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/25(日) 20:13:06.65 ID:kGMa4gD0o
別動隊がいたかっ!
207 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/25(日) 20:13:19.27 ID:CVYwBtcbo
※誤記
✕→スティングモン
◯→グサグサ
208 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/25(日) 20:26:02.20 ID:CVYwBtcb0
『…生きていたか、バブンガモン』

『グサグサ、コレハナンダト…キイテイル!』

『セキュリティチームとやらがやったそうだ。そして、我が子がな』

『…オレノ!カゾクタチガ!!シンダノカ!!ミンナ!!!』

『生き残りもわずかにいるようだな。そいつ含めて』

スティングモンは、上半身を起こして震え、涙を流しているシスタモンと、トコモンの方へ視線を向ける。

『ひっ… ひぃぃっ…!』
『プワァ…!』

バブンガモンは激昂する。

『セキュリティチーム…ナンダ…ソイツハ!オマエノ…シリアイカ!?オマエノ!サシガネカ!グサグサ!!』

『そうだ。私と信徒達は、もともと殺しあう仲だった。お前も知っていたことだろう、バブンガモン』

『ワカッテハ…イタ!イタガ!コンナコトガ!アルカ!!!ウガァア!!』

『私は去る。そいつにとどめを刺してからだ』

スティングモンは、腕から出た長い針をシスタモンへ突き出そうとするが…
バブンガモンがそれを弾いた。

『ウガアァ!!オレノ!カゾク!!!コレイジョウ!!コロサセナイ!!!』

『バブンガモン…私は知っているぞ。信徒達はお前を見下し、虐げている。元リーダーのお前を。そんな奴ら、もう護らなくていいのではないか!』

『ドウッテコトナイ!!オレノカゾクガ!!ゲンキナラ!!オレハイインダ!!!』

『…バブンガモン。お前自身が我々の村に侵攻しなかったから目をつぶっていたが…。貴様の家族とやらに我々の村民は随分と命を奪われたぞ。私がその復讐をしたがる気持ちは分かるだろう』

『ワカッテル!!ダガ!!コレイジョウ!!!カゾク!!シナセナイ!!!』
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/25(日) 20:28:16.97 ID:kGMa4gD0o
日本語教えてくれたバブンガモンより日本語ペラペラだなグサグサ
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2024/02/25(日) 20:30:30.31 ID:TIq9gstv0
バブンガモンが良い奴過ぎる…
211 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/25(日) 20:33:55.78 ID:CVYwBtcb0
縞々が無く、翼が生えたシマユニモンの亜種… 仮称ユニモンは、シスタモンとトコモンを自身の背に乗せた。

『タスケテクレルの…?バブンガモン…。ワタシを…?』
『サッサトイケ!シソンヨ!』

『アリガトウ…!』
ユニモンは駆け出そうとする。

そこへ…。
『行かせねえよ!!』
何者かがやってきた。
…フレイドラモンだ!

『スティングモン!あいつはオイラがやっつける!』
フレイドラモンは、シスタモンとトコモンを背負ったユニモンを追跡しようとしているようだ。

『グサグサと呼べと言っている!我が子よ!わかった、頼むぞ』
スティングモンがフレイドラモンにそう返事をすると…

バブンガモンが、フレイドラモン&スティングモンとユニモンの間に割って入った。
『ウガアァァ!!!カゾク!!!イキノコリ!!!シナセナイ!!ゼッタイニ!!!』

ユニモンは、全速力で地を駆り、走り去っていく。

『そこをどけえぇ!!』
フレイドラモンは、バブンガモンを躱してユニモンを追いかけようとする。

バブンガモンがフレイドラモンを通せんぼしようとするが…
スティングモンが、腕の張りでバブンガモンを攻撃した!
それを受け止めるバブンガモン。

『我が子シェイドラモンよ!私がバブンガモンの相手をする!お前はあれを仕留めろ!』

『ああ、わかった!』
フレイドラモンは、スティングモンのおかげでバブンガモンの通せんぼをかいくぐり…
ユニモンの追跡を始めた。
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/25(日) 20:37:33.54 ID:pQhiR4DH0
ユニモンを馬刺しにしてやれー!
213 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/25(日) 20:46:03.25 ID:CVYwBtcb0
農園の二大リーダーの一人、スティングモン。
信徒の元リーダー、バブンガモン。
その二体が対峙する。

『イチドダケイウ、グサグサ。カエレ』

『断る』

『ソウカ。ナラバオワカレダ。オマエトウタッテ、オドッタコト…タノシカッタ』

『ああ。私も楽しかった。お前と酒を呑み交わす友になれたことを、私は後悔していない。さらばだ友よ!』

『オレモ、コウカイシテイナイ。イクゾ…コロシテヤル!トモヨ!』

スティングモンとバブンガモンは、激しく衝突した。

この映像をデジドローンで撮影しているシュリモンは…スティングモンとフレイドラモン、どちらのアシストをすべきだろうか?

リーダーが口を開いた。
「シュリモン!フレイドラモンと共にユニモンを追え!AAAは、人に似たデジモンを育てて何かをする気だ!その最先端であるシスタモンを、絶対に生かしてはおけない!」

『わかった!』
デジドローンの映像から察するところ、シュリモンは足をバネのようにしてびよーんと高くジャンプし、バブンガモンを飛び越えたようだ。
器用だな!パルモンが進化した成熟期のシュリモンは。

後ろで激しい衝突音が鳴るのを聞きながら…
デジドローンは、フレイドラモンと、その奥にいるユニモンの姿を捉えた。

ユニモンは、さすが走行に特化した馬の姿をしているだけあって…
スピードがとてつもなく早い!
どんどん差を離されていきそうだ。

単純なスピードでは、フレイドラモンやシュリモンを大きく超えている。
やみくもに追いかけていては追い付けないぞ…!
214 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/25(日) 20:46:30.98 ID:MoFKrw45O
続く
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/25(日) 20:47:08.26 ID:lOqhGweDO
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/25(日) 20:48:04.20 ID:kGMa4gD0o

これ以上敵側に好き放題されたらどんどん状況悪くなるー
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2024/02/25(日) 20:50:58.25 ID:TIq9gstv0
乙でした
バブンガモンはカッコイイ漢だった
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/25(日) 20:55:42.12 ID:Xpvd6LqD0

言葉が通じても友情を育んでも避けられない争いはあるものだな……
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/25(日) 20:59:41.61 ID:MPC/BBEco

情けかけたらオサオサ一族も人間社会も犯罪者一人に滅ぼされちゃうから仕方ないね
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/26(月) 16:41:36.91 ID:cCD+vczb0
スピードがあれば色々出来る
お馬さん並みに走れるデジモン欲しくなるな
221 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/26(月) 23:26:27.78 ID:DUSu9Hye0
いや、本当にスピードに差がありすぎる。
距離をどんどん離されていく。
シュリモンは手裏剣を投擲したが、射程範囲外のようだ。
フレイドラモンはシェイドラモンに変形し、粘着糸を飛ばすが、まったく届かない。

シュリモンに抱きかかえられているデジドローンの視界に映るユニモンの姿は、どんどん小さくなっていく。
このままじゃ逃げ切られる…!
どうすればいいんだ!

「あ…」
クルエが急に声を出した。
どうしたの!?

「いや…言っていいのかなコレ…」
言え!

「…ドーガモンで、AAAの声出せば止まってくれるんじゃない?」
おお!ナイスアイデア!
さすがクルエ!ろくでもないアイデアを出すことにおいてはチーム一だ!
「…あんま言いたくなかった…」

ドーガモン!頼む!
『出番ガ ネーノカト オモッタゼ イクゼ!』
ドーガモンは、AAAの声で叫んだ。

『止まれシスタモン!ユニモンを止まらせろ!そうすればこの追手共を倒せる!私を信じろ!』

さあどうなるか…!?
ユニモンは…
止まらない!!

デジドローンのスピーカー音量では小さすぎて、あの距離を蹄で地を鳴らして走っているユニモンや、それに乗っているシスタモンには聞こえてないんだ!
まさしく馬耳東風である。

くそ…もう追い付けないのか…!?

『オレたちの でばんは ねーのか?』
『ガッチモンどの 拙者たちは 平和利用デジモン 致し方ないことで ござる』

…!
ガッチモン、ナビモン!
そうか、こいつらがいた!
アプリンクしてくれるか!?

『どうしたんだ?いいけどよ』
『やるでござる!アプリンク!』
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/26(月) 23:30:19.90 ID:DErV4qdLo
土壇場で新しい策を生み出せて能力高いなケン
223 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/26(月) 23:41:27.19 ID:DUSu9Hye0
これで、現在研究室のサーバーで待機中のガッチモンとナビモンは、機能をリンクした。
「検索」と「ナビゲート」を組み合わせて、同時に行えるようになったのだ。

カリアゲが、訝しげな見ている。
「なあ…やっぱりそいつら合体しないの?アプ合体、みたいな感じでさ」

メガが無理だって言ってただろ!
こんなときにふざけたこと言ってんじゃないよ!

「うん…ん−…俺が間違ってるのか…まあいいや」

『それでどうするんでござるか?』

追い付けないなら…
待ち伏せをする!

ナビモン!
今までのユニモンの走行ルートから、これからの逃走ルートを予測してくれ!

そしてガッチモン!
ユニモンの予測逃走ルート付近から、デジタルゲートを開けそうなアクセスポイントを検索して!
『わかったでござる!フン!ルート予測!』

リーダーが頷く。
「なるほど。いくらユニモンが逃げようとも、逃げた先のアクセスポイントからデジタルゲートを開き、そこから新たな追手を出せば差を縮められる!それで誰を向かわせるんだ?」

そこなんですよ。
正直、今の我々の手持ちでは、ユニモンを止められるデジモンがいない。

力の弱いマッシュモンとチビマッシュモン達や、オタマモンでは、蹴りとばされてしまうし。
ケンキモンとその中身のクラフトモンは絶対安静の療養中だ。
トコモンにはもちろん無理。

…パルタスさん!スターモンを出せませんか!?
『スターモン!?今はキウイモン島をジオグレイモンと共に攻めている!無理だ!』

えぇ!?
前に聞いた話では、ジオグレイモン?が単体で作戦をやるんじゃないでしたっけ!?
『作戦前に予行演習で別の任務をさせたが… 戦いになると頭に血が上って無差別に破壊してしまう!単体での任務遂行は無理だ!ゆえにスターモンをつけた』

ほ、他に出せるデジモンはいませんか!?
『…いない』

出せないデジモンはいるんですか!?
『秘密だ』

…うぅ、ジャスティファイアからは戦力を呼べないか。
待ち伏せ作戦をしようにも、待ち伏せをするデジモンがいない…!
224 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/26(月) 23:51:52.86 ID:DUSu9Hye0
カリアゲが驚いた声を出している。
「ん!?あれ!?フローティア島を見たら…トコモンが進化してる!」

クルエがカリアゲの席のディスプレイを覗いて、いっしょに驚いた。
「ほんとだ!可愛い!」

トコモンが!?成長期に!いつの間に!!?
で、出れるか!?

「いや、ケン… 進化したトコモン、あんまフィジカル強くなさそうだから、ユニモンを止めるのは無理だと思うぞ…」
だめか!!

「んお!?ふぁ、ファンビーモンのデジタマが!?な、なんだ… トコモン!そいつをとりあえずデジタルゲートの前へ連れていけ!」

え!?何!?
今度は何が起こったの!?

「ファンビーモンのデジタマがひとりでに動いた!」
まさか…デジタマモンと同じ現象か!?

『ディープサーチ完了!もう十秒後に、ユニモンはこのアクセスポイントに来るぞ!どうする!?』

ええい、いちかばちかだ!
進化したトコモンと、ファンビーモンのデジタマを!ゲートから出してくれ!

「ケン!そういうのはやけくそっていうんじゃねえのか!?ええい、だけど他に方法がない!いけ!ええと、名前は…」
カリアゲが悩んでいる。

「悩んでる場合じゃないでしょカリアゲ!私が名前を付ける!」
「お、おお!頼むクルエ!」

225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/26(月) 23:53:43.57 ID:DErV4qdLo
デジタマにもやっぱ意識あるっぽいねえ
226 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/26(月) 23:58:46.12 ID:DUSu9Hye0
デジドローンからは遠くてよく見えないが…
デジタルゲートから、なにかデジモンが出てきた。
人型のシルエットをしているようだ。

「いっけー!ティンカーモン!」

ティンカーモン…それがトコモンが進化したデジモンの名前か。
遠くて姿が見えないが、頑張れ!

ティンカーモンは…
ファンビーモンのデジタマを抱えたまま、こっちに向かって飛んできた!

…うん、ごめん。
やっぱ成長期なりたててユニモンを止めるのは無理だよね。
しかし、ファンビーモンのデジタマを持ってきてどうするんだ?

やがて、バテかけながら全力疾走しているフレイドラモンのところへ…
デジタマを抱えたティンカーモンが来た。
https://imgur.com/fusILB5.jpg

おお、人間そっくり… というか、ほぼ人間みたいだ。さすがシスタモンの姉(?)。
それに蝶のような翅が背中から生えている。
人間というか… 妖精?に近いな。

『コレを!』
ティンカーモンが抱えたデジタマは…
飛び跳ねて、フレイドラモンにぶつかった!

おお、な、何をするんだ…!?
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/27(火) 00:01:25.19 ID:jpTQiIhQo
おぉ会話できるのか
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/27(火) 00:03:51.14 ID:6RdVeWjA0
トコモンからこんな人型になるってビビるな
人という概念を理解しているが故の進化かな?
229 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/27(火) 00:03:55.49 ID:9JkRu4Ts0
フレイドラモンと、ぶつかったデジタマは…
同時に光り輝いた。
そして、ふたつのシルエットが混ざり合った。

やがて、シルエットから何かが飛び出てきた。
…これは…
炎の紋様が刻まれた、デジタマのような形状の物体。
『勇気のデジメンタル』が小型化したような物体だ。

なんだ?
なんでフレイドラモンが、ファンビーモンのデジタマと混ざり合ってから…
小さい勇気のデジメンタルが飛び出たんだ!?

やがて、光が止むと…

そこには、フレイドラモンでもシェイドラモンでもない姿のデジモンがいた。

https://imgur.com/kMpb3T0.jpg

…四足歩行の獣型の体型になったブイモンが、全身に黒い装甲を纏ったような姿。
額からは、イナズマの形をした刃物のツノが生えている。

な、なんだ…
何が起こった!?
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/27(火) 00:04:54.74 ID:jpTQiIhQo
ティンカーモンはこれを予測していたと言うのか
231 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/27(火) 00:05:16.79 ID:9JkRu4Ts0
獣型の形態になったブイモンは…
突然叫んだ。

『うるっせえええ!!!ファンビーモン!!!すこししずかにしろ!!!!』 

ど、どうした!?
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/27(火) 00:05:49.07 ID:t4BD4Ebco
ブイモンすげえ活躍するじゃん
コマンドラモンに負けてない
233 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/27(火) 00:05:52.62 ID:9JkRu4Ts0
つづく
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/27(火) 00:06:14.11 ID:t4BD4Ebco
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/27(火) 00:09:52.23 ID:6RdVeWjA0

最近のブイモンの活躍を見ればあの時はブイモンは要らないと言ったパルタスさんの答えも変わってるかもしれない
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/27(火) 00:11:24.30 ID:LrxUz4Av0

オサオサ村産のデジモン有能多いな
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/27(火) 00:22:22.19 ID:R2rCTbhX0

ブイモンには無限の可能性があるな
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/27(火) 00:53:53.13 ID:h7rHSDXr0
乙でした
かっこいいよねライドラモン
239 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/27(火) 23:47:39.17 ID:6Dfaq9QS0
ど、どうしたブイモン!?

『ファンビーモンのやつ、あたまのなかでうるせえんだ!はやく狩れ、仕留めろ、殺せ、食わせろって!わかってるっつーの!』

そ、そうか。

『わーったって!今追い付くから黙ってろ!うおおおお!!』

四足歩行型形態のブイモンは、全速力で走りだす。
うおお速い!フレイドラモンよりもずっと早い。
ユニモンとの距離がちょっとずつ縮まっていく…か…?

…いや!縮まらない!!
これでもまだユニモンの方が速い!!

それでもまあ、今までよりずっと速くなったな。
四肢の獣の形質を、ファンビーモンと融合したドリモゲモンのデジタマから引き出したのだろうか。
『くらえええ!!おりゃああ!』

おおっ!?
獣型形態のブイモンは、頭部のツノから放電攻撃を繰り出し、ユニモンへ浴びせた!
『ヒヒィィン!?』

電気ショックを浴びたユニモンは、一瞬体が硬直した。
すごい…電撃攻撃までできるのか!
でもなんでだ?

リーダーが画面を見ながらつぶやく。
「ドリモゲモンの頭部のツノは…もともとは放電器官だったのかもしれない。その電気をドリルに供給して回転させ、地面を掘れるように進化したのがドリモゲモンなのではないだろうか」

な、なるほど…。
現在のドリモゲモンから退化している放電能力を、先祖返りによって獲得したということか。

なら、新しい形態のブイモンの姿を…
ライドラモンと名付けよう!

240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/27(火) 23:49:38.73 ID:m3lEDgcyo
誰かを乗せやすそうな見た目だし正に「ライド」ラモンだ
241 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/28(水) 00:13:35.14 ID:yoIcpPOF0
ライドラモンは、二撃目の放電を浴びせようとするが…

『ダメ!ユニモンは、ワタシが!マモる!』
そう言い、シスタモンは杖を構えると…
自身とユニモンを光の膜で覆った。

ってか、ほんとにユニモンって名前で合ってたんだ。
AAAとネーミングセンスが一致したみたいで気色悪いけどまあいいや。

『くらええ!』
ライドラモンは、再度放電攻撃を放つが…
シスタモンが張った光の膜が、電撃攻撃を弾いた。

ば…バリアか!
シスタモンのやつ、戦闘能力がなさそうだと思ってたら、防護に特化していたのか。

しかし、成熟期相当のデジクロス体の放電攻撃を弾くとは、かなりの耐久性能だ。
成長期にしてはかなりやるな、あいつ…。
ティンカーモンもああいうことはできるんだろうか。

そうしていると…
突如、デジドローンが映している映像がガタついた。
『ぜはっ、ぜはっ…も、もうだめ、はしれない…』
シュリモンの声だ。

デジドローンの映像が揺れ、ライドラモンたちからどんどん引き離されていく。
どうやら全力疾走し続けていたシュリモンの体力の限界が来てバテたようだ。
シュリモンは立ち止まって、ぜぇはぁと荒い呼吸をした。

…バテはしたが、シュリモンは決してフィジカルが弱いデジモンというわけではない。
我々のサーバーのシステムが、先日の侵攻で破壊されてしまい復旧中であるため、まだシュリモンの筋肉のデータを解析したりはできていないが…
おそらくシュリモンの筋肉は、ほとんどが『白筋』だと推測される。

筋肉には、赤筋と白筋の二種類がある。
赤筋は、ミオグロビンという酸素を蓄えるタンパク質を大量に含んでいるため、長時間力を発揮するスタミナがある。
しかし血中の栄養素を分解してエネルギーを得るのが若干遅いため、瞬発力やパワーは劣る。

一方で白筋は、ミオグロビンがほぼ無いが、パルブアルブミンというたんぱく質がある。
これは血中の糖分を分解することで、瞬時に大量のエネルギーを生成できる。
だから瞬発力やパワーはあるが、スタミナが劣る。

馬などの長時間走り続けることが得意な動物は、筋肉のほとんどが赤筋だという。


シュリモンがバテるのが早かったのは…
瞬発的な戦闘能力に特化しているが故のトレードオフといえるだろう。
242 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/28(水) 00:15:19.93 ID:yoIcpPOF0
『まてー!』
『ヒヒィイン!』
ユニモンとライドラモンは、そのままシュリモンが抱えるデジドローンが視認できないほど遠くまで走り去っていった。

『ぜーはー…ごめん、ケン…』
…気にしないで、シュリモン。
全速力で追い付こうとはしなくていいさ。
一息ついたら、シュリモンが無理のないペースで、まっすぐ進んでみよう。

きっとライドラモンは、うまくやってくれるはずだ。
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/28(水) 00:17:41.86 ID:LgJcaQF1o
仕方ない頑張った
244 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/28(水) 00:25:23.44 ID:yoIcpPOF0
…しばらくして、シュリモンが体力を取り戻してから。
ジョギングくらいのペースで進んでいると…

何かが見えてきた。

『はぁ、はぁ…』
ブイモンとデジタマモン。
そして、大きな黒いピーナッツのような形をした物体だ。

ブイモンは地面に座って、険しい表情をしている。
デジタマモンも、地面に座っている。


…ユニモンとシスタモンの姿は、そこになかった。

『…ケン…』
お疲れ、ブイモン。

『…ちくしょう…にげられちまった、ちくしょう…!』

何があったの?

『なんぱつか、デンキをくらわせて、バリアをやぶれたんだけど… ユニモンのやつ、そらとびやがった』

空を…!?

『うちおとそうとおもったけど…とどかなかった』

…追跡失敗か…?
いや、まだだ…
ガッチモン!かつて沼でシャコモンの殻を探したように、周囲からユニモンとシスタモンを検索してくれ!

『やってみる!』

ガッチモンは、一度さっきティンカーモンが出てきたアクセスポイントにデジタルゲートを開き、そこからデジタルワールドに出たらしい。
そして、検索を行った。

『…みつからねえ』

だ、ダメか…!?

『オレのけんさく、じめんから情報をとってくるから… そらとんでるやつはみつけられねえみてーだ』

…。
逃げられた。

『わりい、ケン…。オイラ、しっぱいしちまった…』

その時。
パルタス氏から連絡が来た。

『貴様ら喜べ!上を必死に説得した結果、我がジャスティファイアの最終撃滅部隊…「天地人」の一部に出撃許可が出たぞ!』
ぱ、パルタスさん…。

『さっきのデジタルゲートで待ち伏せすればいいんだな!?』

…その地点はもう過ぎました。
シスタモンには逃げられてしまいました。

『…逃げ延びさせてしまったか。確実に仕留めておきたかったな』

…。
我々は、できることを全てやったはずだ。
ベストを尽くしたはずだ。

二足歩行のフレイドラモンでは追い付けない猛スピードのユニモンに、引き離されそうになった時…
奇跡のような出来事が起きて、ブイモンはライドラモンとなった。

四足歩行になり、飛び道具を獲得した。
この状況で最も欲しい形質を手に入れた…それは間違いない。

だが、それでも尚。
我々が起こした奇跡を…
ユニモンとシスタモンが積み重ねてきた力が、上回ったのだ。


『ジョーカーたった一枚が舞い込んだだけでは、ゲームには勝てない』…。
AAAがかつて言った言葉が、身に染みて理解できた。
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/28(水) 00:27:43.47 ID:LgJcaQF1o
どうしても一手二手上回られて後手に回るしかなくなる
246 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/28(水) 00:30:33.15 ID:yoIcpPOFo
『どうしよう、ケン…』

悔やんでいても仕方がない。
スティングモンとバブンガモンが戦っているであろう地点へ戻ろう。

途中にあったアクセスポイントのとこまで戻れば、そこからデジタルゲートを開いて、集落跡地まで戻れる。

『…そっか』

我々は最後の詰めに失敗した。
だが…
失敗して終わり、じゃない。
戦犯探しをして誰かに責任を押し付けて責めたり、「次は頑張ろうね」と励まし合っても仕方が無い。

我々のチームの誰かに悪気があったわけじゃないし…
今回だって最大限頑張ったのだから。

我々は研究チームだ。
研究とは、いつも失敗し、振り返り、学んで進んでいくものだ。

事が済んだら、失敗を分析し…
どうすれば良かったか。次に成功するにはどうすればいいか。
それを考えていこう。
247 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/28(水) 00:33:30.37 ID:yoIcpPOFo
今回は敗けたとしても…
次こそは勝つために。




…ブイモンとデジタマモン、シュリモンが、デジタルゲートを通じて集落へ戻ると…

大きな衝突音が聞こえてきた。


何か大きなものが飛んできて、地面を転がった。

それは…
『ぐっ…うっ…!』
全身の甲殻が痛々しくヒビ割れ、右腕がへし折れた、血まみれのスティングモンだった。
248 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/28(水) 00:33:37.91 ID:deiywyfMO
つづく
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/28(水) 00:36:17.87 ID:TpqE4yWB0
乙でした
バブンガモン強いな
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/28(水) 00:38:00.98 ID:MxX5DUEy0

日頃から戦ってるスティングモンに戦闘嫌いなバブンガモンが勝つとは
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/28(水) 00:38:10.22 ID:LgJcaQF1o

グサグサ負けてたか
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/28(水) 09:41:30.91 ID:qmINGn2H0

やはり好きなリアリティライン
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/29(木) 22:26:29.29 ID:JKeF4keEo
こんな強いバブンガモンのデジタマも欲しいな
254 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/29(木) 22:34:38.89 ID:TNwSBUqw0
スティングモンが飛んできた方を見ると…

『フゥッ…フゥゥッ…!』

岩のような甲殻の隙間に、いくつもの刺し傷があるバブンガモンが立っていた。

す、スティングモン!負けたのか!?
ボロボロだぞ!大丈夫か!?

『グサグサと呼べと…言ったはずだ。私一人ならば、この結果は敗北だが…。お前達がいる。よって…私の、勝利だ』
どういうこと!?
スティングモンがそう言うと、バブンガモンは…

『オッ…ウグォォ…!』
がくっと膝をついた。
『シ、シビレル…ウゴケン…!』

こ、これは…!?
バブンガモンの動きが止まった!

『ぜぇ、ぜぇ…。私の針には、しびれさせる毒がある。信徒には、長く効かないが…』
スコピオモンから受け継いだ麻痺毒か!

『オマエ、タチ… シスタモンヲ、ドウシタ…』

…逃げられたよ。
ユニモンと一緒に飛び去って行った。

『…ソウカ。オレノヤクメ、ハタシタ。コロスナラ、コロセ』
バブンガモンは体の力を緩め…
地面に尻をついて座り込んだ。

スティングモンに殴り勝つほど強かったのか、バブンガモンは。
だが、体が麻痺しているのなら、仕留める方法はいくらでもある。
オタマモン(赤)で顔面に火炎放射を放ち、甲殻の隙間をシュリモンの手裏剣で突き刺す。
そうすれば確実に倒せる。

ど、どうする。

私がそう言うと、メガが口を開いた。
「どうするも何もないよ、ケン。とどめを刺さない理由がない」
メガ…。
「バブンガモン。君は僕たちを憎んでいるだろう、恨んでいるだろう」

『…ニクイ…。カゾクヲ、ミナゴロシニシタ、オマエタチガ。ニクイ、キライ、タオシタイ…』
バブンガモンは震えるような声で言う。

「この通りだよ、ケン。ここで見逃せば、きっとバブンガモンはAAAと共に僕らへ復讐をしようとするだろう。トドメを刺さないで放っておくメリットが何もない」
…。
「ただでさえシスタモンに逃げられたんだ。バブンガモンにまで逃げられたら不利になるだけだ。そうでしょ、ケン。とどめを刺そう」
255 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/29(木) 22:45:47.63 ID:TNwSBUqw0
その時。
「もう…いいだろ…」
カリアゲ…?
「もういいだろ!!!こんなこと!!!」
カリアゲが声を張り上げた。
「バブンガモン!!お前はAAA…じゃない、天使を!信奉していなかった!あいつに群れを乗っ取られて嫌だったんだろ!従いたくないんだろ!?」

『…テンシハ、ナカヨシダッタオレノカゾクタチニ、イジメヲツクッタ。アラソワセタ。ミンナ、アンマリ ナカヨシジャ、ナクナッタ』

「…なあ、みんな。シスタモンにはもう逃げられちまった…。もうバブンガモンを倒す意味なんてないだろ!?」

「…生かすメリットが何かあるの?カリアゲ」

「メリットとかそういうことじゃねえだろ!メガ!もうこんなの十分だろ!生き残ったバブンガモンまで殺して何になるんだよ!」

「ここで仕留めるメリットと、見逃すデメリットはさっき言ったはずだよ、メガ」
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/29(木) 22:47:57.89 ID:mF/gNQpc0
やはり何か言うかカリアゲ
257 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/29(木) 23:05:07.16 ID:TNwSBUqw0

「…バブンガモン。家族を殺されてつらいだろ」

『アタリマエノ、コト、キクナ…ツラスギルニ、キマッテル』

「だけど今まで、オサオサやグサグサの村の住人達も、信徒デジモン達に殺されてきたんだ。おんなじことを、お前の家族たちもやってたんだよ、バブンガモン」

『…ウ、ウゥ…!』

「バブンガモン、お前はどうなんだ。グサグサを殺したくないんだろ?」

『…ウン…』

「グサグサ、お前だってバブンガモンを殺したくないだろ!」

『…降りかかる火の粉は、払わなくてはならない』

「でもお前を殺したくないって言ってるぞ」

『…ならば殺す理由はないが…』

「…ならもういいじゃねえか、バブンガモン…」

『デモ、オレハ、ダイジナカゾクノ、カタキ、トラナキャ、イケナイ…。ニクイ、オマエタチガ…』

「っ…それは…」

その時。
リーダーがマイクをONにした。
「バブンガモン。お前の家族は生きている」

『エ…』

「前に我々は天使の軍と戦った。その時、天使は信徒を、お前の家族たちを、ある島へ置き去りにしたんだ」

…そういえば、そうだった。
リーダーはドーガモンの力でAAAのデジドローンの偽物を作り、成長期蛮族たちとケンタルモンを騙して、離島へ島流しにしたんだ。
あいつら今どうなってるんだろ。

「もしも、ここですべての戦いを終わりにして…、二度と天使と組まないと誓えるのなら、そいつらと合わせてやる。残った家族と暮らせばいい」

『…イキノコリ、イルノカ』

「そうだ。だが、我々に復讐するというのなら…お前を仕留め、島流しになった信徒達も見捨てる。どうする」

『オ、オレハ、オレハ…!』

バブンガモンは混乱している。

カリアゲがマイクを握った。
「バブンガモン、お前は家族を護りたいんだろ…。戦いたいわけじゃないんだろ?」

『…ウ、ウウゥ、ゥウウ〜〜…!タタカイタク、ナイ…!タタカイタク、ナカッタンダ…!』
バブンガモンは、ぽろぽろと涙を流した。
258 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/29(木) 23:12:03.37 ID:TNwSBUqw0
パルタス氏が我々に通信してきた。
『何をやっている、リーダー』

「…こいつらにもう戦意がないなら、殺す理由はない」

『だが生かす理由もない!たとえバブンガモンに戦意が無くとも!せっかく島流しにした蛮族共の集団が生き残れば、AAAは必ずそいつらを洗脳してまた手駒にする!』

「そうならないようにバブンガモンが御すればいいだろう」

『できるわけがなかろう!こんな猿にシビリアンコントロールなど!バブンガモンがどう言おうが、あの狡猾な男はまたバブンガモンの家族を乗っ取るぞ!』

「…っ」

『恨みの滴はたった一滴残っただけでもヘドロを生み、我々に復讐をしに来る。唯一の回避策は、すべてを根絶してしまうことだ!』
パルタス氏がそう言ったとき…
クルエが口を開いた。

「いや、ひとつだけあるよ。バブンガモンの家族が、AAAに操られずに暮らしていける方法」

『なんだ?そんなものがあるわけ…』

「グサグサやディノヒューモンの村の一員になればいいじゃん」

『な…!?』
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/29(木) 23:13:01.46 ID:aYeBUu/Bo
クルエの十八番 奇策
260 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/29(木) 23:13:01.52 ID:FgOQ77lFO
一旦ここまで
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/29(木) 23:13:14.17 ID:aYeBUu/Bo
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/29(木) 23:13:48.64 ID:mF/gNQpc0

急展開なところで引き
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/29(木) 23:17:27.53 ID:medEWl0l0

ディノヒューモン一族は元々敵対関係だった昆虫デジモンとも同じ村の一員になったし
バブンガモンと宴会したことあるし受け入れる下地はあるのか
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/29(木) 23:27:15.46 ID:imD6Vg3s0
乙でした
ティンカーモンを糸口に説得するかと思ったらびっくりだな
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/01(金) 00:45:28.74 ID:9tHAwMw00

あの島をここで拾ってくるんだ……
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/01(金) 19:36:15.68 ID:srcqN3Eto
意思疎通出来ない獣なら熊みたいな扱い出来るけど意思疎通出来ちゃうとなると難しいな
267 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/03/03(日) 19:31:29.10 ID:pGg+9bOKO
「バブンガモンだけで類人猿デジモンの群れを率いるなら、AAAに隙を狙われてまた支配されるかもしれませんけども…、でも、スティングモンやディノヒューモンみたいなしっかり者もいれば、きっと大丈夫じゃないですか?」

クルエの提案を聞いて、パルタス氏が答えた。
『クルエといったか。貴様の提案は、危険のない研究室で安全にくつろげる余所者だから言える絵空事だ。視点がマクロなままで理想だけを言い並べている。ミクロのレベルに視点が向いていない!』

「そうですか?」

『そうだ!ディノヒューモン村の民からすれば、蛮族共は兄弟や子を殺傷した集団だ。個人単位で晴れることのない恨みを抱いているに決まっている!そんな状況で和解できるのなんてマンガの中だけだ!』

「でも、バブンガモンとスティングモンは和解したがってるみたいですよ。きっと大丈夫ですよ」

『きっとだと?たとえ五分五分で和解に成功したとて、我々には何らメリットはない。だが和解に失敗すれば、せっかく滅ぼしかけたAAAの手駒が補充されかねない。得がなく損しかない賭けだ!そんなものなどやる意味がない!』

「うぅ…」

『バカな夢想などせず現実を見ろ。遊びではないんだ。失敗したときの被害は我々だけでなく守るべき市民に及ぶのだぞ。市民の安全を第一にするのが貴様らセキュリティチームではないのか!』
268 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/03/03(日) 19:52:02.76 ID:pGg+9bOKO
得なら…あります!
和解するメリットが!我々にも!

『なに…?』

今回、蛮族デジモンが集会をした直後にシューティングスターモンを撃ち込みましたが…
本当に、デジタルワールドの類人猿デジモンを、バブンガモンとシスタモン以外みな滅ぼせたとお思いですか。

『…全てではないかもしれないな』

そうです。
蛮族デジモンの集落には、被差別階級の身分のデジモン達がいた。

差別され虐げられた類人猿デジモンが、すべて虐げらながら集落に留まっていたとは考えにくい。
フーガモンのいる集落から離れたところに逃げ延び、AAAの支配から逃れた類人猿デジモンもいるはずです。

『…そうだな』

たとえ今一時、フーガモン集落を壊滅させたとしても。
AAAはそうしてフーガモン集落から散らばった類人猿デジモンを集めて、手駒を補充する可能性があります。

『ならばそいつらも滅ぼせばいいだろう!ガッチモンで探して、フレイドラモンで焼き尽くせばできるはずだ!』

暴力は恐怖を生みます。
溺れる者は藁をも掴む。
類人猿デジモンを探して虱潰しにしようとするなら、彼らは我々を恐れ、自らAAAに助けを求めるようになるのではないでしょうか。

そうすれば、AAAは生き残りの類人猿デジモンを今より容易に味方につけられるはずです。

『ならばどうするというのだ』

ガッチモンで類人猿デジモンを探すのは同じです。
しかし、生き残りの類人猿デジモンたちには、ジェノサイドの使者としてフレイドラモンを差し向けるのではなく。
対話の使者としてバブンガモンに出向いてもらいます。

そうして彼らをディノヒューモン農園の労働力として囲い込めれば、AAAの手駒が増えるのを防げます。

『…確実性がない。メリット足りえないな。やはり類人猿デジモンは滅ぼしてしまった方が安全だな』
269 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/03/03(日) 20:03:05.52 ID:pGg+9bOKO
メガが口を開く。
「パルタスさん、覚えてる?僕たちの社会には、デジモンを全て滅ぼしてしまえと言う人達がたくさんいる。クラッカーデジモンだけでなく、セキュリティデジモンや野生デジモンまでも」

『ふむ…そうだったなメガ』

「どう思う?パルタスさん」

『下らん。セキュリティデジモンはクラッカーデジモンだけでなく、一般のマルウェアの侵入を防ぐこともできる。それを滅ぼせなどと、まるで理解が足りていない』

「今のパルタスさんは、それと同じことを言ってますよ。あなたは、そして今までの僕は、無理解からくる恐怖に囚われて、怖がっていただけだ!」

『なんだと…』

メガ…!

「…どうして僕はこんな簡単なことに気付けなかったんだろう。僕は、デジタルアソートは…、元々デジモンの平和利用を目指し、人とデジモンが共存できる社会をつくっていこうとしていたのに」

『…怖がって何が悪い。市民がクラッカーの魔の手に脅かされる可能性を恐れない者に国防が務まるとでも?』
270 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/03/03(日) 20:05:37.68 ID:pGg+9bOKO
「もしも、バブンガモンとスティングモンが無事に共生できたら…、その映像を、僕達デジタルアソートのプロモーションとして利用させてもらうよ。デジタルモンスターは分かり会える存在だとアピールするためにね」

『…』

「世の中が平和で便利になることは!ジャスティファイアの望みじゃないのか!パルタス!」

『っ…』
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/03(日) 20:05:43.88 ID:5+eEa8w2o
目につくデジモンをみんな潰していくのも現実的ではないからなあ
272 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/03/03(日) 20:06:06.49 ID:pGg+9bOKO
つづく
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/03(日) 20:07:01.98 ID:Nh4Yq9REo

デジモンで利益得るのが本来の目的だったからね
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/03(日) 20:08:06.95 ID:ND5SOe3l0
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/03(日) 20:13:13.70 ID:FfCtJ/DD0

うーんどう転ぶかわからない
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/03(日) 20:18:57.87 ID:eyIuU/Gp0
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/03(日) 20:58:38.54 ID:swYQQ1tmo
危険なデジモンみんな滅ぼそうとすると行き着く先は倉田か
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/09(土) 22:00:08.13 ID:qYFcEzE40
スポンサーさんならバブンガモンからも金儲けのインスピレーションを得られるのだろうか
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/12(火) 22:15:57.52 ID:eMzAxSO80
島流し蛮族どもも懐柔してそいつらのデータやデジタマ大きな利益になるんだろうか
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/14(木) 20:04:48.65 ID:Zvw3uBqmO
まだかな
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/15(金) 23:15:04.36 ID:1NVVoZjXo
展開に困ってるのだろうか
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/17(日) 23:08:56.14 ID:AssGmYTco
最近来ないな
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/17(日) 23:57:48.11 ID:cB5Mc2ix0
更新ペース遅くなるって言われてたのにここまでまあまあ早かったからこれが正常かなあと思う
自分も気になるけど待つよ
284 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/03/21(木) 22:59:32.61 ID:6awLkqYo0
『…我々ジャスティファイアは功利主義だ。貴様ら研究チーム共が何を思い煩おうが知ったことではない。市民にとって得かどうか。それですべてを決める』

パ、パルタスさん…。それはつまり…。

『おいバブンガモン!聞こえるか!私はパルタスだ!』

『ナ、ナンダ』

『私は貴様たちに情けなどかけん!貴様らが我々の役に立つかどうか、それですべてを決める!役に立たないならばこのまま殺してやる!』

『…ドウシロト、イウンダ』

『貴様ら蛮族共は、天使を名乗る犯罪者、AAAに操られていた!だがその一味は死んだ!お前らはどうする、AAAの部下になっていいように使われるのか!?』

『バ、バンゾク?ハンザイシャ?シラナイコトバダ』

…蛮族は信徒と同じ意味。犯罪者は、盗んだり殺したりする悪い奴らって意味だよ。

『オ、オレハ、ソンナコト、シタクナイ…シタクナインダ』

『ならば!罪滅ぼしをしろ!禊だ!これから貴様と生き残りたちは、我々セキュリティ側の軍門に下れ!そしてともにAAAが差し向けてくる刺客と戦うのだ!』

『ミソギ?グンモンニクダレ?サシムケル?シカク?ワ、ワカラナイ、コトバガ』

パルタスさん、あまり難しい言葉を使わないで…。

『難しくないだろう!AAAのヤツ、言語教育がなっとらんな。我々のデジモン達はこのくらい難なく理解できるぞ』

…パルタスさんに代わって私が言うよ、バブンガモン。
つまり、我々と共に天使の部下たちと戦ってくれるなら、天使が置き去りにした生き残りの信徒デジモンを解放できるよ、って言ったんだ。

『ソレハ… シスタモンヤ、ユニモント、タタカエトイウノカ』

あ…。
そ、そうなっちゃいますよ、パルタスさん。

『そうだ。…そうだと言っている!』

『デ、デキナイ、ソンナコト!シスタモン、キンカクモンガノコシタ コドモ! タタカエナイ!』

『ならば十数体の貴様の家族たちを見殺しにするのか!』

『ウゥ…!』

リーダーは、パルタス氏の問いかけを聞いて青ざめている。
「パルタス氏…トロッコ問題を仕掛けてきたか。シスタモンを見捨てて十数体のシャーマモンたちをとるか。十数体のシャーマモンたちを見捨ててシスタモンをとるか…!」
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/21(木) 23:01:55.31 ID:kdeJO+Jio
あの星形軍団がそんな難しい言葉理解できるの!?
286 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/03/21(木) 23:26:45.33 ID:6awLkqYo0
短いけど今回はここまで
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/21(木) 23:28:15.04 ID:yALvUfZwo
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/21(木) 23:31:11.02 ID:s5ziRUPq0
つ、続きが来てる!
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/21(木) 23:40:15.89 ID:kdeJO+Jio

ハーメルンで投下された方はここではなかった話かな
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/22(金) 11:12:15.23 ID:xt0xRRWN0
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/26(火) 18:56:06.71 ID:VDdO2Ub2o
また前みたいに年単位でお休みになるかな?
292 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/03/31(日) 22:46:12.09 ID:ZsDi2GLI0
我々がそう話していると…
スティングモンがよろめきながらやってきた。

『貴様達、さっきから勝手なことを好き勝手に言いやがって…』

グサグサ、無事だったのか。

『バブンガモンとその家族を何に利用するだのと…貴様たちが、今決めることではない。天使の味方につかなければいいだけの話だろう』

それはそうだけど…

『バブンガモン。家族とともに、私の農園に来い。私の仲間たちは信徒デジモンをとても嫌っているが…、しっかり働けば受け入れるだろう』

『ウケイレテ…クレルノカ?』

『…私やブンブンも、最初はオサオサにとって敵だった。だがオサオサは、やがて我々を受け入れた。和解し、協力しあえた』

ブンブン…モスモンか。

『信徒デジモン達が働かずに盗み食いでもしようものなら容赦なく叩き伏せる。それでよければ、こちらに来い』

『…イイノカ、グサグサ』

『無意味な質問だ』

『…ヤッパリ、オレハ…オマエニデアエテ、ヨカッタ』

『同感だ』

どうやら話はまとまったようだ。
パルタス氏が慌てた声で通話してくる。

『お、おい!スティングモン!勝手に話を終わらせるんじゃない!バブンガモン達には、私が対クラッカー用のデジモンとして従軍するように言ってる最中だぞ!』

もういいじゃないですか。
土台無理な話です。家族同士で殺しあえだなんて。

『く…。スティングモン!バブンガモン共がまたAAAに加担したら、貴様らの農園も容赦なく叩きつぶすからな!』

『私のことはグサグサと呼べと言っている。…信徒共がまた天使に加担したら、私が処刑するから安心しろ』
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/31(日) 22:46:56.20 ID:nH3seRuqo
おひさしぶり
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/31(日) 23:03:37.32 ID:L1lim30Ao
中々日本語上手くなったグサグサ
295 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/03/31(日) 23:07:29.26 ID:ZsDi2GLI0
そうして戦いは終わった。
かつてのAAAとの戦いの最中にリーダーが島流しにしたシャーマモンやコエモンたちのいる孤島に、デジタルゲートを繋げてみた。
今どうなってるのかな…

孤島のシャーマモンやコエモン達は、まだ生き残っている個体もいたが、既に死んでいる個体や、危篤状態の個体もいた。

海に入って魚デジモンを捕えながら生き延びているようだが…
餌と飲料水が明らかに不足しているのは見て分かる。

海水を飲みすぎて体調を崩している個体が多いようだ。

なんだか、今にも共食いを始めそうな雰囲気だ。

…ケンタルモンの姿は見えないですね、リーダー。
「ケンタルモンは別の孤島に送った」

そうなんですね。
それじゃバブンガモン、この水と食料を持ってゲートを潜って。
スティングモンとディノヒューモンから預かった野菜だ。

『ワカッタ』

バブンガモンは、飲料水と食料を持って、孤島に出た。

『カゾクタチ!!天使ニウラギラレタ、カゾクタチ!タスケニキタゾ!!!』

『バ、バブンガモン!?ナンデ、ココニ!』
シャーマモンが驚いている。

『オマエタチハ、天使ニミステラレテ、オキザリニサレタ。コノママ見殺シニサレルトコロダッタ。ダガ、オサオサ農園ガ、オマエタチヲタスケタンダ』

『オサオサ農園…?』

『天使ガ「ブルースキン」ト呼ビ、オマエタチノ敵ダトフキコンダノガ、オサオサ農園ダ。オマエタチハダマサレテ戦ワサレテイタ!』

『ウ、ウソダ、ソンナ…!』

『嘘ナラナゼ天使ハ助ケニコナイ!』

『オ、オォ、ォオオォ…!』

『エラベ、オマエタチ!コノママ天使ノ言ッタコトヲ信ジツヅケルナラ、コノ島デ天使ヲ待チツヅケロ!ダガ!コレカラブルースキン達ト共ニ暮ラシテ働ク奴ハ、コレヲ食エ!』

だ、大丈夫かな…。
AAAの洗脳は大分強そうだけど。

『オ…』

シャーマモンたちの反応はいかに…!?

『…ォオオーーー!!天使ィーーー!クタバレェーーー!』
『オレタチヲミステタ天使ナンカ知ラネェーー!ブルースキント暮ラス!!』
『飯クレェェーーーー!!』

おお…。
意外なほどあっさりAAAを見限ったぞ。

「まあ、こうなるだろうな」
リーダー…
分かってたんですか?

「フーガモンや幹部たちは本気でAAAを信仰していたかもしれないが…こいつらは違う。周りがAAAを信仰していたからマネしていただけだ」

それじゃあ…
心から信仰してはいなかったと?

「結局、自分たちに飯を食わせてくれる者に従うだけだったんだ」

…そういうことだったんですね。
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/31(日) 23:14:38.19 ID:uNk+oSuno
ケンタルモンは一応見捨てられたといえば見捨てられたか
297 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/03/31(日) 23:20:27.41 ID:ZsDi2GLI0
シャーマモンやコエモン達は、バブンガモンが差し出した野菜にかぶりついた。
『ウメエエエエエーーーー!!!』
『ヤッパリサイコーニウメエエ!!』

無中で野菜を食べるシャーマモン達を見るバブンガモン。
『コレカラハ、盗ミハダメダゾ。働イテ、一緒ニ野菜ヲツクルンダ』

『バブンガモンサマーーーー!!ブルースキン!!!バンザーーーイ!!!』

…このシャーマモン達も、かつてはバブンガモンを被差別階級として見下していたんだろうに…。
それを許して、家族として救いの手を差し伸べるバブンガモンは、器が大きいな…。




その後。
バブンガモンおよび孤島から救出された類人猿型デジモン達は、スティングモン及びバブンガモンに連れられてディノヒューモン農園にやってきた。

農園のデジモン達は、類人猿型デジモン達を睨みつけ、殴り掛かろうとしたが…
土下座して謝る類人猿型デジモン達を見て、ひとまず振り上げた拳を下したようだ。

類人猿型デジモン達は当初、農作業に従事するように指示を受けていたが…
いきなり異文化の中に溶け込むのは難しいようだ。

農園のブイモンやカメモンたちは、農作業を楽しみながらやっているが…
類人猿型デジモン達は、この反復作業に飽きて、嫌気がさしてきているようだ。

無理もない。
デジモン達の脳や、そこに根付く本能は、自分の生活に適した特性に特化した進化をする。
狩猟と略奪を生存戦略としてずっと続け、それに特化した脳を獲得した類人猿型デジモン達には、農作業は土台向いていないのだった。

中には、収穫済みの農作物を盗み食いしたシャーマモンもいたが…
その個体には、バブンガモンが鉄拳制裁を下した。

…共生は無理なのかと思われていたが…
しばらくすると、類人猿型デジモン達は、畑を狙ってやってくる害獣デジモン達を狩ったり、あるいは農園の外へ狩りに出るようになった。

草食性になった農園のデジモン達は、類人猿型デジモン達が狩猟によって仕留めたデジモンの肉を食べなかったが…
骨器や革製品などを生活に取り入れることで、今までになかった文化がもたらされたようだ。

そんなわけで…
当初の理想通りとはいかず、苦労しているようだが、それでも共生の道を模索し続けているようだ。
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/31(日) 23:21:28.69 ID:uNk+oSuno
土下座って文化あるのか
299 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/03/31(日) 23:27:43.12 ID:ZsDi2GLI0
とりあえず、一件落着したようで何よりですねリーダー。

「ああ。シスタモンたちは取り逃がしたが…それでもAAAから蛮族という戦力は引きはがした。当分大規模な活動はできないだろう」

農園と類人猿型デジモン達の共生の様子は、メガが録画撮影を続けています。
ドキュメンタリー番組に使い、デジタルアソートのプロモーションに使うつもりなんだとか。

「俺も頼りになるチームの仲間を持ったものだな」

そういえば、何か忘れているような気がしますね。

「ん?なんだ?」

なんだっけ…
そう悩んでいると、パルタス氏から通話がかかってきた。

『貴様ら!我々にキウイモン島の蛮族掃討を任せておいて、その結果を聞こうともしないとは何事だ!』

ああ!それだ!
スターモンと…なんだっけ…なんかのデジモンを、キウイモン島の蛮族の掃討に出向いてもらってましたね。
どうなりましたか?

『ふむ。記録映像と共に伝えよう』
300 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/03/31(日) 23:28:12.49 ID:6ptIbc93O
続く
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/31(日) 23:28:32.33 ID:uNk+oSuno
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/31(日) 23:28:43.21 ID:ytwC00+mo
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/31(日) 23:29:18.71 ID:1PUa2QvU0

流石にいけるのか!?って思ってたけどいけるもんなんだなあ
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/31(日) 23:31:52.91 ID:TZsLmsEp0

可能な限り平和への努力は大切だ
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/01(月) 00:20:57.57 ID:G03mXO9z0
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/01(月) 11:06:44.03 ID:xVSsZU4no
農園と類人猿デジモン達はどこまで人間社会の利益に使えるか
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/04(木) 21:33:53.10 ID:osBykvP6o
ジオグレイモン誕生の経緯とかこの段階でも気になって見てみたい話いっぱいあるなあ
308 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/14(日) 20:01:06.76 ID:qtUdmRv9O
〜時は遡り、シューティングスターモン発射直後… パルタス視点〜

私の名は、コードネーム「パルタス」。
独立行政法人ジャスティファイアの所長だ。

現在はある任務の最中だ。
クラッカーAAAは、その悪質な手口と技術力の高さ、そして保有するデジタルモンスターの戦力の膨大さから、国家危機級の危険犯罪者とみなされた。
これだけ強大な戦力に本拠地を攻められたバイオシミュレーション研究所はよく奴らを撃退できたものだ。

AAAの配下は、デジタルワールドに巣食って増え続けている。
これらを排除しなければ国民達の命にすら危機が及びかねない。
よって国家防衛戦力である我々ジャスティファイアが動くことになった。

AAAの配下のうち蛮族と呼ばれる類人猿型デジモンが、集会をしていると報告を受けた。
そちらにはシューティング
スターモンと、ティンクルスターモン、ピックモンズを差し向けた。
シューティングスターモンの100%の火力を叩き込めば、集落の一つや二つなど造作もなく滅ぼせるだろう。

奴ら類人猿型デジモンは、高い知能と器用な手足を持った優秀なデジモンだ。
そのため、我々はずいぶんと前に、狩りの最中の蛮族デジモン…セピックモンを拉致して捕獲した。

現在そのセピックモンは、我々のサーバーの隔離チェンバーで、両脚と左腕を切断された状態で飼育されている。
強力なデジタマをコンスタントに確保し続けたいのなら、野生デジモンを拉致してこうやって産卵機能と最低限の生存機能を残して飼育し続けるのが1番効率がいい。

そうしてセピックモンから産まれた類人猿型デジモンは、極めて強力な戦力へ育ち…、最終撃滅部隊『天地人』の一角を担うまでに成長している。

その存在はもちろん秘匿している。
国家防衛組織が自らの戦力のすべてを堂々と晒す意味などないからだ。

…余談が過ぎた。
ようは、蛮族デジモンを滅ぼすことのデメリットは皆無ということだ。
せいぜいシューティングスターモンの餌として死骸を回収し、保存食になってもらうとしよう。
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/14(日) 20:04:05.86 ID:QE82hXgKo
お久
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/14(日) 20:05:24.96 ID:ryEoljEK0
バレたら面倒な法律とか世論云々で身動き取れなくなりそう
311 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/14(日) 20:16:48.66 ID:qtUdmRv9O
さて、シューティングスターモンの発射と同時に、我々はもうひとつのミッションに取り掛かった。
キウイモン島に巣食う蛮族デジモンの掃討である。

元々、キウイモン島に蛮族デジモンがいるという情報は、クロッソ・エレクトロニクスのクロッソ氏(バイオシミュレーション研究所のスポンサー)から聞いた情報だ。

作戦に前立って偵察のために、キウイモン島のアクセスポイントへデジドローンを送り込んだことがあったが…
デジドローンの視界は完全に闇に覆われていた。

バイオシミュレーション研究所と同様、AAAもまたアクセスポイントにセキュリティを施していたのだ。
おそらく青銅製の箱でアクセスポイントを密封し、合言葉を言うと待機しているシャーマモンあたりが箱を開けるという簡素な仕組みだろう。

これはごく単純だが、極めて有効なセキュリティ手段だ。
なぜならデジドローンが出てこれる最小限の空間を確保する小さな箱の中だ。それを破壊できるデジモンをその中に繰り出せないのである。
正直、我々のデジモンではこれを突破できない。
箱の中に出せるデジモンはせいぜいピックモン数体程度。その破壊力では青銅の箱は壊せない。

とにかく戦闘力を高めるためのスパルタトレーニングで、DPを極限まで高めるという我々の方針が逆手に取られたというわけだ。

もっとも、この路線が間違っているとはつゆ程も思わない。
なぜならデジモンによるサイバー犯罪は、とどのつまり暴力で反抗デジモンを排除してしまえば解決するからだ。
故にどれだけ膨大な維持コストがかかろうと、最上位の暴力装置となる最強デジモンを保有してさえいれば、最終的には解決できるということだ。
…そのコストを捻出できる我々だからこそ取れる手といえる。

さて…このセキュリティを突破するにはどうすればいいか?
312 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/14(日) 20:24:38.26 ID:qtUdmRv9O
それを解決する手段は、バイオシミュレーション研究所が提供してくれた。
つくづく心強い味方だ。

私はデジドローンを使い…
ある小さな物体を青銅の箱の中へ設置した。
そして一旦、デジドローンを回収した。

1分後に、再びデジドローンをアクセスポイントに送り込むと…
箱は見事に破壊されていた。
シャーマモンやコエモン達が、せわしなく喚き立てている。

簡単なことだ。
クラフトモンの進化前の姿であるコマンドラモンは、爆弾の備蓄を生産していた。
クラフトモンに進化した今でも、その備蓄が残っている。

その限りある備蓄のひとつを譲り受けて、箱の中へ放り込んだのだ。

やはりコマンドラモンは優秀なデジモンだ。
飼育二体目にしてこれを育て上げたバイオシミュレーション研究所には敬意を表する。

さて…これでデジモンを送り込み放題となった。
来い、スターモン!ジオグレイモン!


彼らを呼ぶと、アクセスポイントにゲートが開き…
二体のデジモンが現れた。

ボクシンググローブを装着した星型のデジモンはスターモン。
そして、親のグレイモンと叔父のグラウモンの特徴を併せ持った、大きな恐竜型デジモンであるジオグレイモンだ。

あの言うことをまるで聞かなかった制御不能のアグモンが、立派に育ったものだ。
もっとも、現在でも我々の命令を直接聞こうとはしない。
スターモンに懐いているようであり、スターモン経由でしか命令を聞いてくれないのだ。

ジオグレイモンはスターモンと違ってチャットの文字を覚えようとしないため、専らスターモンはボディランゲージでコンタクトを取っている。
だから単純な命令しかできない。

強い者の言うことしか聞かないということなのだろうか。
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/14(日) 20:26:13.52 ID:J5dJvR8Xo
ケンキモンクラフトモンは強力だけどやっぱりコマンドラモンの能力殆どなくなったの痛いな
314 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/14(日) 20:33:21.23 ID:qtUdmRv9O
スターモン、作戦は単純だ。
今やるべきことは、捕らえられている(かもしれない)キウイモンの確保と、蛮族デジモンの殲滅だ。

基本は現場判断に任せる。
好きに暴れろ!

『ウイイイイッス ヤルゼエエエ!ウリャアア!』

スターモンはそう言うと…
両手を上空にかざした。

すると上空から、まるで流星群のように大量の隕石が降り注ぎ…
島の各地へ次々と降り注いだ。

『マズハ アイサツガワリダゼ』
…バカ!初手で無差別攻撃をかましてどうする!
おかげで敵の警戒度が高まったぞ!あちこちで悲鳴と絶叫が聞こえてくる!
キウイモンが巻き込まれて死んだかもしれんぞ!

『エー ダッテ ヤッテミテージャネーッスカ』

…エネルギーを大量に消耗する切り札はもっと考えて使え!

『ヘーイ』

…現場判断に任せようと思ったが、先が思いやられる。
やはり私が指示を出すことにしよう。
315 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/14(日) 20:33:50.03 ID:qtUdmRv9O
つづく
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/14(日) 20:35:38.58 ID:xDB4YTlUo

ちゃんと頭良いデジモン育てるのは大変だ
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/14(日) 20:36:26.14 ID:J5dJvR8Xo

たまに暴走する核兵器だと思うと怖いな
318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/14(日) 22:20:56.77 ID:1UHlQGmv0
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/15(月) 11:03:52.42 ID:hrh8g3l+o
どうしてこうもデジモンの知能に差が出るのか…
頭良くなれない種族もいるのか
320 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/15(月) 21:52:13.18 ID:xzsU/RcJ0
スターモンの異様な戦闘力を見たシャーマモン達は、悲鳴を上げて逃げ出していく。
…逃がすと思うか?
ジオグレイモン!火炎放射だ!

『…』
…何をボケっとしているスターモン!おまえに言ったんだぞ!

『エ?オレッスカ?ア、ソッカ。イケェ!ジオグレイモン!!!ブッコロセエェ!!』

スターモンがそう指示を出すと…
ジオグレイモンは、口を大きく開けてシャーマモンを追いかけ…

『ヴオヴォオオオアオオオオオオオオオオオン!!!』
背筋が凍るような咆哮を上げるとともに、口から火炎放射を放った。
逃げまどうシャーマモンやコエモン達が火の海に包まれる。

『アギャアァァァアアアアアアア!!!!』
シャーマモン達は5秒ほど火の中で悶え、すぐに倒れた。
あまりの高熱を浴びたため、即死したのである。

やがて火が消えると…
『ガウゥゥ』
ジオグレイモンは、焼けたシャーマモン達を食べていった。
いいぞジオグレイモン。そうやってエネルギー補給と攻撃を同時にやるんだ。

『オレモクウゼ!ムシャムシャ…』
…野生種のスターモンはあまり肉を食べないが、我々が飼育しているスターモンは肉を好んで食うように育ててある。
エネルギー補給はその分早い。

よし!
それではローラー作戦を仕掛けるぞ。
最終撃滅部隊「天地人」が一体、天のサンダーバーモンにデジドローンを運ばせ、上空から島を監視する。
そして我々は上空映像をもとに、生き残っている島民を効率よく滅ぼしていくのだ。
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/15(月) 21:56:19.58 ID:2udEKpKno
頭はいまいちで戦闘力ヤバいデジモンばっかで扱い方難しそうだ
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/15(月) 21:57:34.00 ID:/xIlusPa0
強いけどアホの子
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/15(月) 21:58:58.60 ID:+SWkIDjco
しれっとサンダーバーモンおる…
324 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/15(月) 22:03:52.75 ID:xzsU/RcJ0
『ウワアアァァ!』
『タスケテクレエエェェ!!!』
『テンシサマアアア!!!』
二体の姿を見た島民デジモン達は逃げまどう。
スターモンは、高くジャンプすると、拳にエネルギーを纏わせて…
『スターナックルゥゥ!!!』
逃げるシャーマモン達めがけて、急降下しながら特大のパンチを放った。

『ウッギャアアアァァ!!!』
衝撃派で吹き飛んだシャーマモン達。
その破壊力は榴弾砲並みだ。

『次ィ!』
スターモンは、生き残りのシャーマモンめがけて飛び掛かる。
『コ、コウサン!降参ダ!!ミノガシテクレェ!!命ダケハァァ!!!』

残念だったな。命乞いをするには遅すぎた。
貴様たちは全員私刑だよ。地獄で罪を詫びるがいい!!

『スターパンチィィ!!』
スターモンの普通のパンチ。
『ゴプォオオオ!!』
バイクにはねられたかのように吹き飛んだシャーマモンは、首の骨が折れて息絶えた。

ふん…
どいつもこいつも逃げまどってばかりか。
かかってくる気概がある者はいないのか?

『キキィーーー!オレラノカゾク!マモル!テメェーーブッコローーース!!!』
おお?やっと成熟期がでてきたぞ。
セピックモンとジャングルモジャモン共か。

ジオグレイモン、やれ。

『ジオグレイモン!ヤッチマイナァーー!』

『ガオオゴォオオーーーッ!!』
ジオグレイモンは尻尾のスイングをセピックモン達に放った。

『キキィイーーー!!』
ふむ、素早いな。
ジャングルモジャモンやセピックモン達は、素早い身のこなしでジオグレイモンの尻尾スイングを躱した。

『コンドハコッチノバンダ!キキーー!!』
ジャングルモジャモン達はジオグレイモンに向かって、武器を掲げて走り出したが…

『ヴォオオオオオオオン!!!』
ジオグレイモンが放った火炎放射がジャングルモジャモン達を焼き尽くす。

『グオギャアアアア!!!テンシサマァーーー!!!』
そうしてジャングルモジャモンやセピックモン達は焼け死んだ。

…張り合いがないな。つまらん。
これでは一方的な虐殺だ。
まあ、無事に片付くのならそれでいいが。
325 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/15(月) 22:20:06.10 ID:xzsU/RcJ0
…む?なんだここは。
サンダーバーモンが映す上空映像に、何か牧場のようなものが見える。
策で囲われた小屋だ。…家畜小屋か?

スターモン、その小屋を調べろ!
『アイアイサー!』
スターモンは高くジャンプすると、流星のようにエネルギーを纏ったキックで小屋に突撃し…
粉々に破壊した。

バカ!!
調べろと言ったんだ!壊せとは言っていない!!

『デモブッコワシタホウガハエージャネエッスカ』
キウイモンを生きたまま確保しろと言っているだろうが!!
中にいたらどうする!

『ア、ソーッシタネ』
…同じことを何度も言わせるな!
それで?中には何がいる?キウイモンはいるか?

『ドレドレ…』
スターモンが瓦礫となった小屋を調べようとすると…
『ピピーー!!』
何か小さなデジモン達が、小屋から一目散に逃げだした。
なんだこいつらは…?

https://imgur.com/vTIaI9T.jpg

…鳥の雛のように見えるが…どこか異様だ。
まるで鶏のから揚げのような姿をしている。

昔ファストフード店にあったメニューの「とりからボール」のようだ。

…見たところ、小屋の中に成熟期デジモンの姿は(生死問わず)存在しない。
キウイモンはいないようだ、よかった。

『ピーピー!ピィピィ!』
ともあれ、この逃げまどう雛デジモン、とりからポールモン達は…
逃げ足が遅い。

親はいないのか?どこだ?
鳥型デジモンということは、キウイモンの子孫に見えるが…

『ピ…』
む?
一羽のとりからボールモンが、動きを止めた。

『ピィ!』
なんと。
とりからボールモンはデジタマを産んだ。

…このデジモン、あからさまに幼年期デジモンのようだが…
デジタマを産むのか。

なんということだ。
鳥類デジモンは元をたどれば、我々が飼育しているジオグレイモンの親、グレイモンの子孫なのだ。
あの強大無比な大恐竜の末裔が、こんなに弱弱しくなるとは。

…キウイモンではないが、まあいい。
バイオシミュレーションの要望としては、野禽デジモンが有益な家畜になりえるから捕獲しろという話だった。
キウイモンが見つからなくとも、とりからボールモン共を持ち帰れば奴らは喜ぶだろう。

スターモン!こいつらを網で捕獲しろ。
『アイアイサー!』

スターモンは、サンダーバーモンが投下した網をキャッチした。

『ツカマエテヤルゼ!ダイジョーブ トッテ食ヤシナイ トッテ食ヤシナイ』

スターモンがそうやって、そろりそろりととりからボールモンに忍び寄ると…

『オオ、ォオオ・・・!』
…ジオグレイモンの狼狽した声が聞こえた。
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/15(月) 22:27:00.16 ID:Z2QN5OwMo
グレイモン達から見たら尊厳破壊みたいなもんか
327 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/15(月) 22:27:52.89 ID:xzsU/RcJ0
ジオグレイモンは、とりからボールモン達を見て、明らかに動揺している。
その眼には、恐怖、憎悪、嫌悪、悲哀、憤怒…
様々な感情が伺える。

どうした!?
どうしたんだジオグレイモン!!!

『アンギャアアア!!オアアアア!!!』

これは…まさか。
ジオグレイモンはショックを受けているのか…!?

ジオグレイモンは単純なバカではない。こいつはこいつなりに物事を考えている。
アグモンだった時代に、親のグレイモンの映像を見せてみたところ、こいつなりに自分の親か親戚であることを察したのだろう、テンションが上がっていた。

勝手な想像だが…
ジオグレイモンは、目の前の弱弱しい家畜どもが、自分と血を分けた兄弟の末裔であることを本能的に察しているのだ。

誇り高き恐獣の、暴力と破壊を極めんとする血統が…
こんな無様な姿に貶められてしまったことを察してしまい、憐れみや嫌悪感などの大量の感情がごちゃまぜになっているのだ。

『アアアァ… アアァアーーーー!!!ゴアアアアア!!!』
ジオグレイモンは凄まじい怒号を発した。
地の底まで響き渡るような、恐ろしい声だ。

『ピ…ピピ…!』
とりからボールモンたちは、ぺたんと尻もちをつき、ぶるぶると震えながら泣いている。
あまりにも恐ろしすぎて、逃げまどうことすらできないようだ。

す…スターモン!
早く回収してやれ。さすがにそいつらが哀れだ。

『アイッサー』
スターモンがそう言ってとりからボールモン達へ駆け寄る前に…

『ガアアアアアウウウーーーーーーーーーーーッ!!!』
ジオグレイモンが、これまでにないほど凄まじいエネルギーを込めた、強大無比な猛火を口から放射した。
大地を薙ぎ払う火炎放射は、牧場を一瞬で火の海に変えた。

『ピイィィイーーーーーッ!!!』
とりからボールモン達は、一匹残らず炎の海に包まれた。
328 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/15(月) 22:28:25.03 ID:xzsU/RcJ0
つづく
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/15(月) 22:30:45.32 ID:2udEKpKno

このバーサーカー全然制御できてねえぞ!
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/15(月) 22:31:44.20 ID:Z2QN5OwMo

貴重な研究材料が…
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/15(月) 22:48:54.17 ID:x7nPteDB0

これじゃ焼きすぎで食べれる部分もなくなってしまう
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/15(月) 23:01:39.78 ID:6lhJ18wx0
333 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/17(水) 00:18:05.63 ID:X+29elmd0
家禽のとりからボールモン達は全滅してしまった。
別に滅ぼす必要性は全くなかったのだが…
覆水盆に返らず。まあとりからボールモン達を失ったところで、我々に損失は全くない。
なにか変なものを見た、という程度で流していいだろう。

だが、スターモン。
もしもジオグレイモンがキウイモンを見て同じことをしようとしたら、今度こそきちんと止めろよ。
『ウイーッス』

その後も、スターモンとジオグレイモンは派手に暴れまわり、島民デジモンを次々と仕留めていった。
だが派手に暴れまわるあまり、島民たちは大きな戦闘音が鳴っているところから距離を置いて逃げるようになった。
こうなると島民デジモンを滅ぼしきることは難しい。追い回しても逃げ隠れるのだから。

『ツカレテキタッス』
『フゥー…ッ フゥー…ッ』

スターモンとジオグレイモンは、だんだんと疲労が溜まってきている。
いかに戦いながら獲物を捕食しようとも、消化してエネルギーに変えるまでの間には時間がかかる。
筋肉に疲労も溜まってきていることだろう。
スターモン達は高いDPによって爆発的なエネルギー出力ができるものの、スタミナが長続きしないのが弱点だ。

だが、別にいい。
スターモン達のこういう特性も織り込み済みの作戦だ。
スターモン達に期待している真の任務は、島民を仕留めることそのものでなく、「キウイモン捜索」の方なのだから。

これほど派手に大きな音を立てて暴れまわれば、島民デジモン共は家禽のことなど構わずに逃げ隠れることだろう。
ゆえに、キウイモンを捜索するための障害が自分から去ってくれるのだ。

スターモン、島民デジモン共はすっかり怯えて逃げ回っているようだ。そいつらは今は追わなくていい。
隅々まで、島民以外のデジモン…キウイモンや、それ以外の家畜デジモンなどを探せ。

『ワカッタッス デモ 蛮族ドモ滅ボサナクテイーンスカ?』

それはシャンブルモンにやらせる。
貴様らが今やるべきことは、家畜デジモンがシャンブルモンの無差別攻撃の巻き添えにならないように捕獲して集めることだ。

『オッス』

その後、スターモンたちは島を隅々まで探し回った。
だがキウイモンはとうとう見つからなかった。
ここから既に移動させられていたか、既に食われていたのか、あるいは初手の隕石攻撃で押しつぶされて死んだのか。

その代わりに、別の収穫があった。
『パミ〜!』
バクに似た姿をした成長期デジモン、バクモンである。それも4体。
こいつらはおそらくシマユニモンの幼体だ。

こいつらを捕獲して持ち帰れば、あの素早い走行と放電攻撃ができる便利なシマユニモンを我々が手にすることができる。
是非とも持ち帰らない手はない。

グレイモンは、バクモンたちに尻尾のスイングを放って仕留めようとしたが…
それよりも先にスターモンがバクモンたちを網で捕獲した。

…キウイモンの代わりにこいつらを持ち帰れば収穫になるだろう。
ご苦労だった、スターモン、ジオグレイモン。アクセスポイントからこちらへ帰投せよ。

『テゴタエナクテツマンネー… モットツエーヤツトタタカイタカッタゼ』
そうしてスターモンとジオグレイモンは帰投した。
334 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/17(水) 00:19:26.40 ID:X+29elmd0
今回はここまで
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/17(水) 00:22:14.22 ID:7AYecDrIo
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/17(水) 00:30:44.21 ID:fRY0hbNFo

シャンブルモンなんてやべえ奴までいる…
ゴーストゲームで朝にお見せできるかギリギリなことやりおったデジモン…
337 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/17(水) 22:29:14.51 ID:yAGMQaFU0
二体を撤収させた。よし。これでもういい。
いけ、最終撃滅部隊「天地人」が一体、地のシャンブルモンよ!

『ハーイ』

デジタルゲートからシャンブルモンが出現した。
一見すると、頭部の模様が真っ白になったマッシュモンの色違いにしか見えない姿だ。
https://digimon.net/cimages/digimon/chamblemon.jpg

こいつはバイオシミュレーション研究所から貰ったマッシュモンを鍛え上げて成熟期へ進化させたデジモンだ。
マッシュモン時代の高かった知能は低下しているが、代わりに別の能力を与えている。

…というわけでシャンブルモン。
いつものようにやれ。

『ハーイ!キャハハハハハ!!アーッヒャッヒャッヒャッヒャ』
シャンブルモンは狂ったような笑い声をあげると…
周囲に胞子をぶちまけた。

しばらくすると、島中からうめき声が聞こえ始めた。
『アアアア!!イテエエエ!イテエエヨオオオオ!!!』
『ウギギッギ!ヒッコヌイテモ!ハエテクルウウ!!!ギャアアア!!!』
『トッテクレエエエエ!!キノコ!トッテクレエエエエ!!!テンシサマアアアア!!』

シャーマモン達の悲鳴だ。


338 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/17(水) 22:36:27.38 ID:yAGMQaFU0
そのうち、島の海岸からイカダに乗ったシャーマモン達が出てきた。

『モウイヤダ!!ウミカラニゲルゾオオ!!』
『キノコハエタクネエエエ!!!』
『ニゲロオオオオ!!!』

どうやらあのイカダを使って島から脱出するつもりのようだ。
イカダはどんどん海へ進んでいく。

…逃がすわけがなかろう。
サンダーバーモン、やれ。

『キョオォオオォオーーーン!!!』
島の上空30mの高度を飛んでいる鳥型デジモン、サンダーバーモンは、角に電気を溜めて…
イカダに向かって放った。

『ギャオオォォ!!』
シャーマモン達は電気ショックを浴びた。
この電撃攻撃には、敵を感電死させるほどのパワーはない。
せいぜい全身が痺れて十数秒間動けなくなる程度だ。

だが、それでいい。
イカダの上で麻痺したシャーマモン達は昏倒し…
海に落下した。

麻痺して泳げないシャーマモン達は、もがくこともできず海へ沈んでいく。
あのまま溺死するだろう。

『アイツダ!』
他のイカダに乗ったセピックモンが、サンダーバーモンに気づいたようだ。

『キキーー!』
セピックモンはサンダーバーモンに向かってブーメランを投げてきたが…
さすがにこの高度だ。届くはずもない。

『コロセエエエエ!!シズメラレルゾ!オトセーー!』
イカダに乗ったコエモンやシャーマモンは、手持ちの道具や武器を手当たり次第にサンダーバーモンに向かって投げるが…
当然届かない。

『キョオォーーン!』
再びサンダーバーモンは雷鳴を発射する。

『アギャアアアア!!!』
一方的な電撃攻撃により、セピックモン達は海に沈んでいった。

『』 
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/17(水) 22:37:50.55 ID:7AYecDrIo
絵面がダークサイドだ…
340 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/17(水) 22:49:51.04 ID:yAGMQaFU0
やがて数時間が経つと…
何かがシャンブルモンに近づいてきた。

『アァ〜…イタミ…ヤワラグ…』
『タスケテ…タスケテ…』
『イタクナクシテ…』

体中からキノコを生やしたシャーマモン達だ。

『ア゛ァ〜…』
シャーマモン達は、シャンブルモンの前で寝そべった。

シャンブルモンはそれを見て大喜びした。
『アヒャヒャヒャヒャヒャ!!!イタダキマス!!!アームッ!!』
シャンブルモンはシャーマモン達の体から生えたキノコを引きちぎり、それを食べた。

『ンマイ!!アヒャヒャヒャヤ!!ンマーイ!!モット!モット!!モグモグ!!』
夢中でキノコを食べているようだ。

『ア〜… イタクナクナッテク…トッテ、モットトッテ…』
シャーマモンの体から、次から次へとキノコが生えていく。

やがて、シャーマモンは…
骨と皮だけになった。

『モットイルネエ!モットオイデエエ!』
シャーマモンは周囲にそう呼びかける。

すると草むらがガサガサと揺れる。
『モゾモゾ…』
数体のデジモンが出てきた。
葉っぱに擬態している幼虫型デジモン、リーフモンが6体。
島に住みついて排泄物や生ごみを食べて生きていると思わしき、ヌメモンが4体。
シャーマモンやコエモンの進化前とみられる幼年期、トコモンが5体。

全員、全身からキノコが生えている。
『オイデオイデェ〜、キノコオイデェ〜!』
シャンブルモンはフェロモンを放出して、キノコが生えた苗床デジモン達をおびき寄せる。
そうして苗床デジモン達は、シャンブルモンの前で横たわった。

『キノコイッパーイ!オイシイネー!ムシャムシャ!』
苗床デジモン達からキノコをちぎる度に、新しいキノコが生えてくる。
苗床デジモン達の肉体を材料にして。 
341 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/17(水) 22:58:01.05 ID:yAGMQaFU0
そうして2日ほど経った。
シャンブルモン自身と、上空30mを飛んでいたサンダーバーモン以外は…
島にいたすべてのデジモン達が、みんなシャンブルモンの隣でキノコの苗床になっていた。

島に住みついていた野生デジモンたち含め、全てである。
それだけでなく、樹木にもキノコがびっしりと生え、枯れている。

これがシャンブルモンの能力。
撒いた胞子を吸い込んだデジモンから、キノコが生えてくる。
そのキノコからも、どんどん胞子がばら撒かれるのだ。

キノコが生えている部分は激痛を伴う。
そのため菌床となったデジモンは、キノコを千切って苦痛を和らげようとするのだが、
その千切られたキノコも胞子を撒き続けるのである。

そうして、キノコはデジモンからデジモンへと、どんどん感染して胞子をばらまいていく。

やがてキノコに全身をむしばまれた菌床デジモンは、シャンブルモンが発するフェロモンを感じ取るようになり、
そちらに行けば苦痛が和らぐような錯覚を覚える。

シャンブルモンのところへ到達した菌床デジモンは、その強烈なフェロモンに充てられて酩酊状態となり、自ら横たわる。
そしてシャンブルモンにキノコをとってもらうと、苦痛が取り除かれ、快感が生じる。

菌床は、次々と生えてくるキノコをシャンブルモンに取り除いてもらうことしか考えられなくなり…
やがて痩せこけ、衰弱死していくのだ。

尚、シャンブルモンのフェロモンが届かない範囲ではキノコは生えてこない。
フェロモンの有効範囲はおおよそ半径10kmである。

…そう。
シャンブルモンの周囲10km以内にいるデジモンは、すべてキノコに食いつくされて死ぬのだ。

342 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/17(水) 22:59:52.32 ID:yAGMQaFU0
これで任務完了だ。
島にいるデジモン全ては根絶した。
蛮族デジモンは駆除完了だ。

バイオシミュレーション研究所のやつらに映像で報告するときは、サンダーバーモンとシャンブルモンの映像は全てカットする。
これらは我々の最重要機密事項であり、何者にであろうとその正体を見せるつもりがないためだ。

適当に、スターモンとジオグレイモンが蛮族を滅ぼしたように見せかけて報告しておけばよいだろう。
343 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/17(水) 23:06:22.08 ID:yAGMQaFU0
我々のいるリアルワールドでは、生物兵器や毒ガス兵器の使用は禁止されている。
だがデジタルワールドは現在無法地帯だ。法整備が一切進んでいない。

いずれデジモンやデジタルワールドが、多くの人々にとって身近な存在になった場合…
そこには必ずルールが必要になる。
公共の福祉を護るためのルールや、あるいは戦争法に準ずる何かが。

では、それを決める主導権を握る者はだれか?

決まっている。
「その時点で、最も力を持つ者」が、自分に都合よくルールを決める。
これは人類史上一度も崩れたことのない絶対のルールだ。

戦争法も、国際法も。
全て「力を持つ者」が決めている。

我々ジャスティファイアが何に替えても力を求めるのは、このためだ。
来るべき時に、「ルールを決める側」に立つためだ。

どこぞの余所者が都合のいいようにルールを決めてしまっては、そいつらに手綱を握られてしまい、
我々の国民を守ることができなくなるかもしれない。

だからこそ、我々は常に最強の力を維持し続ける必要がある。
…市民たちを永久に護り続けていくために。
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/17(水) 23:06:27.48 ID:yDeVjFZ40
現実なら条約とかで規制されそうな戦略兵器ばかりだ…
345 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/17(水) 23:07:30.24 ID:yAGMQaFU0
つづく
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/17(水) 23:10:50.66 ID:7AYecDrIo
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/17(水) 23:11:34.25 ID:naYZCl1D0
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/17(水) 23:23:10.74 ID:RiQv5cGPo

怖い組織
349 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/18(木) 21:06:28.66 ID:lyflUIsr0


〜再び、ケン視点〜

『というわけだ。映像の通り、ジオグレイモンとスターモン達がキウイモン島を制覇したぞ』
パルタス氏から、キウイモン島での戦いのダイジェストが送られてきた。
キウイモンはいなかったけど、バクモンを鹵獲したわけですね。

映像を見たクルエがムンクの叫びのような顔をしている。
「な、なんでジオグレイモンはとりからボールモン達を倒しちゃったの…!?敵には見えなかったよ!?」

『知らん!腹が減ったのではないか?食わなかったがな』

リーダーが不思議そうに見ている。
「で、この島は蛮族共の何だったんだ?」

『畜産場、兼、武器工場だな。この孤島で家畜を育てれば逃げることはないだろうからな。あとは青銅の武器もここで作っていたようだ』

しかし、この島これからどうするんですか?
一度島を制圧したとしても、またアクセスポイントからいつでも敵は侵入してこれますよね。

『ならば我々のデジモンのトレーニング場にするのがいいだろうな!敵が侵入してこようとも、たまに戦闘訓練ができると考えれば一石二鳥だ!』

カリアゲは眉間にしわを寄せている。
「変なとこで機転が利くな〜この人…」


こうして、我々が観測している範囲での蛮族デジモンは、デジタルワールドから消え去った。
バブンガモン率いる生き残りの類人猿型デジモン達は、ディノヒューモン達と共に、時にうまくやり、時に喧嘩しながら、まあどうにか生きていくだろう。

だが、シスタモンとトコモンを逃がしたのが気がかりだ。
こちらの戦力が整い、デジタルアソートのハックモンが完成したならば…
可及的速やかにこちらからAAAの本拠地に出向き、敵本部壊滅を目指すべきかもしれない。
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/18(木) 21:09:12.36 ID:W9cyr1SGo
敵の規模が分からんと戦力はいくらあっても足りなく見えてくるな
351 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/18(木) 21:20:57.48 ID:lyflUIsr0
それからの様子だが…。

今回の一連の戦い…詐欺事件からAAAの侵攻、そして蛮族壊滅までを、一部脚色しつつまとめた特別番組が放送された。
人々からの反応は様々だ。
我々を称賛する声もある。
バブンガモンとスティングモンの共生を応援する声もある。
無論ポジティブな声だけではない。
「蛮族をミサイルで壊滅させたのはやりすぎだ」「蛮族がかわいそう」という非難の声もあり、研究所の電話にクレームの電話が鳴り続けることもあった。

一件向かい風のようだが、これはメガの計算のうちだ。
蛮族に対して同情心を抱く者が現れるということは、それすなわち、デジモン全体に対するマイナスイメージが払拭されたということなのだから。

人々がデジモンに対してプラスのイメージを持つことは…
デジモンの平和利用を目指すデジタルアソートにとって、何よりもの追い風だ。


パートナーデジモン達は、みんな元気にしている。
クラフトモンはしばらく寝込んだ後、無事に復活した。
サビかけているケンキモンを必死に修復し、なんとかケンキモンも動くようになった。
フルパワーが復活したケンキモンをフル稼働して、フローティア島に建築物を次々と建てている。
コマンドラモンが選んだ進化形態の姿は、当初こそ透明化や爆弾を失ったデメリットが目立ったが、今では長所をいかんなく発揮している。

クラフトモンが産んだデジタマからは、無事にボタモンが産まれ、コロモンにまで成長した。
このままコマンドラモンになるのか?あるいは異なるデジモンに育つのか。
我々は見守るばかりだ。

能力を失ったコマンドラモンの役割を補いあまるほど埋めているのがシュリモンだ。
シュリモンは草陰に隠れて隠密行動をするのがとても得意だ。
時代のセキュリティデジモンを育成するために、デジタマ採集に奔走している。

そのおかげで、前々から目を付けていたデジタマをいくつか採取することができた。
オオカミ型デジモンのガルルモンのタマゴ、フクロウ型デジモンのオウルモンのタマゴ、翼人型デジモンのイビルモンのタマゴ等だ。
どれもきっと優秀なデジモンに育つだろう。

マッシュモンは…いい意味で変わらない。
成長期のまま進化しないが、別にそれでいいと思う。これはこれで完成された性能を持っているともいえる。
世間ではキャラクターとしての人気がどんどん高まっており、着ぐるみに人が入ってショーをやったりもしている。
…つくづく変な奴がデジタルモンスターの代表格になったものだ。


352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/18(木) 21:23:38.73 ID:D/PHIvg/0
1スレ目でマッシュモンのテスターになってくれた人達今も大切に育ててくれてるかな…
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/18(木) 21:26:44.31 ID:dnFxvwMpo
めっちゃデジモン増えてきた
354 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/18(木) 21:33:08.80 ID:lyflUIsr0
ブイモンは「もっと強くなりたい」と申し出て、ジャスティファイアに行って鍛えてもらった。
毎晩「もうだめだ」「しんどい」「死ぬ」「帰りたい」と弱音を吐いている。
「もう帰ってくれば?」と何度も言ったが、その度に「でも強くなりたい」と何とか立ち直った。

やがてブイモンは成熟期のエクスブイモンになって帰ってきた。
非情に高い戦闘力をもっていて頼りになる。
デジタマモンが「もうデジクロスしないの?」という目で見てくるが…
きっとエクスブイモンの子供が生まれたら、ブイモン二世がデジタマモンとデジクロスをすることだろう。

ファンビーモンとドリモゲモンが融合してできたデジタマは、そのまま黒いピーナッツ型の物体「友情のデジメンタル」となった。
デジタマモンがこれを飲み込み、ブイモンとデジクロスすることでライドラモンになれるアイテムだ。
しかし、いかんせんライドラモンは今の我々にとってあまり活躍の場を与えられないデジモンといえる。
正直、あのまま融合デジタマから幼年期デジモンが産まれてくれた方がよかったな…と思うこともあったが。
まあ、そう言っても始まらない。うまく活かす道を模索しよう。

ティンカーモンは、見た目によらずなかなか好戦的だ。さすがは蛮族デジモンの系譜。
フローティア島のパートナーデジモン達と模擬戦をするのが好きなようだが…
今現在、成長期は格闘戦が苦手なオタマモン(赤)くらいだ。
毎回ティンカーモンに敗れるオタマモンを見ているとちょっと可哀そうになるな。

デジタルアソートも好調なようだ。
ナビゲーションの能力をもつナビモンは無事に量産化に成功した。
マッシュモン由来の分裂増殖能力によって、クローンを生成し、レンタルサービスを試験的に行っている。

ナビモンがオペレーティングシステムを務める地図アプリは、スマートフォンのバッテリー消費が非常に少ないことがユーザーに大好評だ。
加えて、ござる口調の気の利いたナビゲーションも好評である。

メガが目指した「デジタルモンスターの平和利用」のビジョンは、確実に実現しつつある。
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/18(木) 21:37:36.82 ID:dnFxvwMpo
デジメンタルは現状宝の持ち腐れか
356 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/18(木) 21:41:08.32 ID:lyflUIsr0
そうしてセキュリティデジモンを育成しながら…
今日も私は、デジタルワールドの観察を続ける。

やはり野生デジモンの観察はいい。
新しい知見を得られて、セキュリティデジモン育成のヒントを得られるし…
個人的な話だが、シンプルに生態観察は楽しいのだ。

今日はイビルモンの子孫が進化した新たな翼人型デジモン、デビドラモンの観察をするつもりだ。
最近の翼人型デジモンの隆盛はすさまじく、蛮族が消え去ったニッチを埋めるかのように、群れで行動し周囲を襲撃している。
ディノヒューモン集落も彼らの攻撃を受けたが…
待ってましたとばかりに類人猿型デジモン達が戦いに行くため、なんとか撃退できているようだ。


森林エリアでは、どんどん木々が成熟期タイプのジュレイモンに置き換わっている。
恐ろしいことに、ジュレイモンは普段甘くて栄養満点な果実を実らせているのだが…
気分次第でそれをすぐに猛毒の果実に変えてしまうことができるようだ。
森へ侵入してきた邪魔なデジモンに、毒の果実を食わせて死に至らしめて、養分にしてしまう。
ジャガモンとは違った意味で、非常に恐ろしい「森の守護者」といえるだろう。

他にも、いろいろ報告したいことがある。
だが、それはまたの機会にしよう。

私は、溜まりに溜まった研究成果をこれから公聴会で発表しに行く。
腕に巻いたデジヴァイスに、ティンカーモンを入れて。

いつかまた、我々の活動の続きを聞かせることができるときが来るだろう。
願わくば、クラッカーとの戦いではなく、平和な報告ができることを祈る。
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/18(木) 21:45:45.41 ID:UzNA2nzto
めっちゃ生態進化しとる
358 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/18(木) 21:48:31.80 ID:lyflUIsr0





〜AAA視点〜
何ということだ。
フーガモンの集落と同時に、キウイモンの島まで壊滅させられるとは。
私は多くの手駒を失った。

だが、別にいい。
あの群れから本当に欲しかったものはすでに得た。
キンカクモンの子供… シスタモンと、トコモンから進化した成長期、ルクスモン。
そして天馬のユニモン。
これだけ生き残れば、私の計画は問題なく遂行できる。

仲間を失い、復讐心に燃えるシスタモンとルクスモンは、きっと強く成長するだろう。
楽しみだ。こいつらがどのように成長するのかが。

それにしても…クソ!
私の最高傑作のひとつ、アイスデビモンを失うことになるとは!
幸いにしてプラチナスカモンは生き残ったが…アイスデビモンを失った損失は非常に大きい。
生き残りのキャンドモン達を、また苦労してアイスデビモンになるよう育てなくてはならないと考えると…
やってくれたセキュリティ共に対してハラワタが煮え食りかえるような思いがする。

それでも、私の計画に必要不可欠なパーツを失ったのが、アイスデビモン一体だけで済んだのは幸運と考えるべきだろう。
また必ず育ててやる…アイスデビモンを。


…ん?
レアモンの住む鉱山から物音がするようだ。
覗きに行ってみるか。


鉱山の様子を見ると…
レアモンの住む洞窟が、デジモンの襲撃を受けている。
あれはスターモンと… グレイモンの亜種か。
なんだあいつらは、何をしに来た?

…考えるまでもない。
スターモンの隕石攻撃のクレーターは、キウイモン島に空いたものと同じ。

バイオシミュレーション研究所ではないだろうし、当然ローグ・ソフトウェアでもない。
ならば消去法でジャスティファイアと推定できる。
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/18(木) 21:50:51.39 ID:dnFxvwMpo
セキュリティ側は色んなデジモン殺されながら勝ったのにそこまで打撃翌与えられてないのか
360 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/18(木) 21:54:24.71 ID:lyflUIsr0
どれ…
少しコンタクトをとってみるか。
私はデジドローンを起動し、声を出した。

「何をしに来た?ジャスティファイア」

すると、グレイモン亜種の隣のデジドローンから反応があった。
『ふん、やはりここにいたかAAA。蛮族共を滅ぼして貴様の手駒を全て葬ったつもりでいたが、忘れていたよ。レアモンとプラチナスカモンがこの鉱山にいると報告を受けたことをな』

「ほう…?それで、そいつらを滅ぼしにきたと」

『貴様も一緒に滅ぼしてやっていいぞ』

「バカが。消えるのは貴様のほうだ!」

くっくっく。
ジャスティファイアは、この鉱山が『何なのか』を分かっていないようだな。 
陣地にうかうかと二体で攻め込んできたことを後悔するがいい…!

「いけ!集中砲火だ!」
私は山に潜んでいるデジモン達に指示を出した。

すると私の指示に従い、潜伏デジモン達は、次々と熱線を発射し、スターモンとグレイモン亜種に浴びせた。
『グワァ!!』
『ウガオオォォ!!』

流石は高DPデジモン。
この程度で死にはしないようだが… 確実にダメージは入っているな。

『ナンナンダ テメーハ!ウゼーヨ!ダリャアアア!』
スターモンは流星群を呼び出して、熱線が発射された地点へ次々と隕石を落とし始めた。
ふむ…流石ジャスティファイア。バイオなんたらのなまっちょろいセキュリティデジモン共とは戦闘能力の格が違う。
361 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/18(木) 22:00:37.68 ID:lyflUIsr0
隕石を落とされた山の表面のカモフラージュが剥がれ…
内部が露になった。

『な…なんだ、これは…!?』
ジャスティファイアのデジドローンから驚いた声が聞こえる。

黒い壁に緑のワイヤーフレームが張られたような外観の建築物が、山の内部を埋め尽くしていた。
その中には、緑のワイヤーフレームでできた体の、ツチダルモンに似たシルエットのデジモン達…
私の傑作のひとつ、ワイヤーゴーレモン達がいた。

『なんだこの山は…。貴様の要塞か!AAA!』

くっくっく…知ってしまったな。
私の建設中の砦。ムゲンマウンテンの存在を。

知ったからには生かしてはおけない。
熱線照射を続けろ、ワイヤーゴーレモン!

ワイヤーゴーレモンは、スターモン達に熱線照射を浴びせ続ける。
『アヂイイイ!』『ガオオォォオ!!』

『ふん…思ったよりも強いな。少々本気を出すか。来い、最終撃滅部隊、天のサンダーバーモン…人のムシャモンよ!』

デジタルゲートが開くと…
青い鳥のデジモンと、鎧武者のようなデジモンが姿を現した。

青い鳥のデジモンは上空を飛び回り…
ワイヤーゴーレモン達に雷を落とした。

「ピガガーッ!?」
どうやらこの雷鳴に、感電死するほどのパワーはないようだ。

だが、そこへすかさず、鎧武者型デジモンが凄まじいスピードで駆け寄り…
二刀流の刀を振りかざし、ワイヤーゴーレモンの首を切断した。
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/18(木) 22:02:13.00 ID:UzNA2nzto
どいつもこいつもいったいどこからあんなでかい戦力用意するリソースが
363 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/18(木) 22:07:14.11 ID:lyflUIsr0
二体の連携はすさまじかった。
サンダーバーモンは上空で、ワイヤーゴーレモン達の熱線照射を躱しながら、雷鳴攻撃を落としてワイヤーゴーレモン達を痺れさせる。
その隙に怒涛の勢いでかけつけてくるムシャモンが、鬼神が如き太刀筋でワイヤーゴーレモン達を一刀両断していく。

ムシャモンだけではない。
スターモンは格闘戦で、グレイモン亜種は炎のブレスと尻尾の攻撃や嚙みつきで、ワイヤーゴーレモン達を倒していく。

…これがジャスティファイアの切り札か。なるほど、凄まじい戦闘能力だ。

『今まで随分いい気になっていたな?お山の大将のクラッカー如きが。徹底的につぶしてやる、再起不能になるまでな』

「…くっくっく。だが貴様らは、攻撃が単調な分、よほど手玉に取りやすいよ。あの軟弱なセキュリティ共以上にな」

『なんだと…?』

「お前たちの出番だ。来い、レアモン、プラチナスカモン。今こそ貴様らの力を見せるときだ」

私がそう言うと…
洞窟からレアモンとプラチナスカモンが出てきた。

「げっひゃっひゃっひゃ…!」
「オゴアアアア」

『なんだ?今更そんなザコごときで何ができる』
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/18(木) 22:09:06.25 ID:dnFxvwMpo
の、脳筋…
365 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/18(木) 22:13:44.45 ID:lyflUIsr0
「レアモンよ…いや…。哀れな姿になったティラノモンよ!よくぞ今日まで!私が貴様を助けたあの日から!よくぞ今日まで苦しみに耐え、生き延びてきた!」

レアモンは、私の声を聞き、ウゴォと声を返した。

「ようやく貴様の努力が報われるときだ…。鉱山の中からプラチナスカモンが掘り出したレアメタルを山ほど飲み込んだ貴様は!今日…新たな肉体を得て復活するのだ!」

私がそういうと、プラチナスカモンはレアモンの頭の上に乗った。

「げっひゃっひゃっひゃ…!あっしは準備オーケーですぜい!!」

「ふん…。ならば始めろ、プラチナスカモン!そしてティラノモン!今こそ見せる時だ!究極最強の力を!合体せよ!」

「ヒャーーーハハハハーーーー!!!合体ィィイイーーーー!!」
「オゴアアア!!」
プラチナスカモンとレアモンが吠えると…
二体の体は光り輝いた。

『何!?合体だと!?させるか…殺せ!スターモン、サンダーバーモン!!』

スターモンとサンダーバーモンは、隕石と雷鳴で、光を放つレアモン達を攻撃し続けた。
だが…無駄だ!もう遅いんだよ!!!

光が消えたそこには…
私の期待を超えて強靭になったデジモンの姿があった。

https://digimon.net/cimages/digimon/metaltyranomon.jpg

全身に機械が埋め込まれた巨大な恐竜型デジモンの姿だ。

『貴様…これは…まさかッ…!』

「そうだッ!!!到達したんだよッ!!!レベル5になぁ!!!蹴散らせ…すべてを殺せ!!!メタルティラノモン!!」
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/18(木) 22:14:46.59 ID:MB9emXYqo
遂に完全体を生み出してしまったか…
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/18(木) 22:18:09.70 ID:/DRcMMRY0
人の手で禁忌に踏み込んでしまった
368 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/18(木) 22:25:47.75 ID:lyflUIsr0
「ガオオオオァアアアアアッ!!!」

メタルティラノモンの腕に光が集まり…
スターモンに向かってレーザー光線が発射された。

レーザーは…
スターモンの頭部のど真ん中を瞬時に貫通。
スターモンは即死した。

『な…に…?貴様、この破壊力は…!スターモンッ!!』

「まずは一匹始末した。片付けてやるよ、順番にな!」

『…あれだけの出力のレーザー…冷却に時間が要るはずだ!一斉にかかれ!ジオグレイモン、ムシャモン、サンダーバーモン!!』

強力な3体のデジモン達が、一度にかかってきた。
雷鳴攻撃が、火炎のブレスが、二刀流の斬撃が、メタルティラノモンを襲う。
「ギャオオオオゥッ!!」

なるほど…流石レベル4でもトップクラスの戦闘力を持つデジモン達。
いかにこちらがレベル5と言えど無傷ではいられない。
攻撃を受けるたびに、確実にダメージが入る。

特に厄介なのがムシャモンだ。
斬撃によって、メタルティラノモンの脚のパーツを一つずつ破壊している。
このまま攻撃を受け続けたら脚をやられるな。

「だが…!甘い!レーザーだけが武器だと思ったか!やれ!」
「ガオオオオウッ!!」
メタルティラノモンは私の指示を聞き…
右腕からミサイルを放った。
標的はムシャモンだ!

「ヌウゥ!?」
ムシャモンはミサイルを躱そうとするが…
追尾式だよ!!逃げられると思うな!!

「チェエリャアア!」
いちかばちか、ムシャモンはミサイルに刀を振るった。
なんと、ミサイルは真っ二つに両断された。


…だからなんだ?
斬られようが関係ない。
ミサイルは即座に爆発した。

…爆煙の中から、ムシャモンの首が飛んでいくのが見えた。

『ムシャモン…ッ!』

「はーっはっはっは…!あとは木偶の棒と蚊トンボを落として終わりだよ!あっけなかったな!」

『…ムシャモン。貴様が作ってくれた時間…活きたぞッ!』

「なに?」

『シュウウウウーーーーティングスターーモォオーーーーンッ!!!!やれえェェーーーーーッ!!!』

「…!?」

上空を見ると…
ミサイルのような勢いで、スターモンの亜種が突っ込んできた。

『ヒィーーーーッハァーーーーーッ!!!』

シューティングスターモンと呼ばれたそのデジモンが…
メタルティラノモンに直撃し、大爆発を起こした。

極大の衝撃波が周囲を襲う。
ムゲンマウンテン表層のカモフラージュが全て一気に吹き飛んだ。
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/18(木) 22:27:26.47 ID:dnFxvwMpo
スターモンこんなあっけなく死んじゃったのか
悲しい…
370 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/18(木) 22:38:21.27 ID:lyflUIsr0
爆煙が晴れると…
深い深いクレーターの底で、メタルティラモンが倒れていた。

「ガ…グガ…!」
体のメタルパーツのいたるところが破損し、バチバチと火花をたてている。
生体部分からも大量出血が見られる。

『ゼー…ゼー…!ンダ、コイツ…!オレサマノ、100%ノ突撃ヲクラッテ…生キテ…ヤガル…!』

『ばかな…シューティングスターモンの突撃でも倒せないのか…!?』

…正直言うと、メタルティラノモンは戦闘不能だ。
信じられない。たかがレベル4デジモンの攻撃一発で、我が究極最強デジモンがねじ伏せられるなど。

だが、突撃してきたシューティングスターモンとやらもまた、エネルギーを使い果たして動けない状態にあるようだ。
どれ、こういうときは…

「ほう?少しはやるようだな。だが、甘いな…!我がメタルティラノモンが、何のために液体金属のプラチナスカモンを取り込んだか分かっていないようだな…!」

『なに!?』

「絶望を味わわせてやる…!自己再生しろ!メタルティラノモン!」

『バカな…自己再生だと!?こ、これがレベル5…!やばい、ジオグレイモン!サンダーバーモン!今のうちに撤退しろ!シューティングスターモンを連れて!』

ジャスティファイアのデジドローンがそう言うと、デジタルゲートが開いた。

だが、シューティングスターモンの爆撃の衝撃波をいくらか食らったらしいサンダーバーモンは、怪我を負って飛べないようだ。
必死になって地を這いずりながら、ゲートへ向かっていく。

ジオグレイモンとやらは、体が大きいせいか衝撃波のダメージをサンダーバーモン以上に大きく受けたようだ。

「哀れなものだな!主が指示した攻撃の巻き添えをくらうとは!」

『ジオグレイモン…頼む!逃げてくれ…!私の指示を聞いてくれ!』

「ガウ…」
ジオグレイモンは、ゆっくりと起き上がると…

「ゴオオォォオ!!」
メタルティラノモンに向かって、よたよたと歩み寄った。
く…まずい!奴にはブラフが効いていない!
ジオグレモンの攻撃力があれば…十分に、メタルティラノモンにトドメを刺される…ッ!
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/18(木) 22:41:30.47 ID:DfVdBoB10
この期に及んで自然にハッタリとはなんと悪辣
372 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/18(木) 22:47:08.36 ID:lyflUIsr0
その時。

「うああーーーーっ!!これイジョウ、ナカマを、ヤラセは、シマせん!」

ムゲンマウンテンから、シスタモンが飛び出てきた。
https://digimon.net/cimages/digimon/sistermonblanc.jpg

シスタモンの体は光り輝き…
レベル4へ進化した。
https://digimon.net/cimages/digimon/darcmon.jpg
その姿は、四枚の黄金の翼と剣を持った、女性型の天使であった。
「おお…素晴らしいぞシスタモン。ついに…ついに完成した!『天使のデジモン』が!ゆけ!シスタモン改め…ダルクモン!」

ダルクモンは光り輝く剣を振りかざし…
ジオグレイモンの右目を突き刺した。
「アギャオオオォオーーーッ!!!」
ジオグレイモンの悲鳴が響き渡る。

「くっくっく!いいぞ!次は左目をやってやれ!!」

ジオグレイモンは、ダルクモンを腕で払いのけた
そして、こちらに背を向け…
スターモンの亡骸を拾い、ゲートの中へ去っていった。

「逃げるな!」
ダルクモンはジオグレイモンを追おうとした。
「構うな。生かせてやれダルクモン」

「なぜですか天使様!弱った今なら、あれを倒せます!」
「恐竜型デジモンを侮るな。相打ちにでもなってみろ、死んでも許さん」
「…はっ」

ダルクモンは剣を収めた。

『…次こそ貴様を倒す、AAA』

「ふん…逃走を選ぶのか。天地人といったか。また地が出ていないが?」

『ワイヤーゴーレモン共の生き残りが熱線を向けてくる状況下ではヤツを出せん。この場は痛み分けだ』

「意外に利口じゃないか、ジャスティファイア」

そうして、ジャスティファイアの戦力は去っていった。
…ひとまず撃退成功だ。

クソ…私のメタルティラノモンをここまで痛めつけてくれおって。
自己再生は確かにできるが…この傷が癒えるまで5日はかかるぞ。
373 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/18(木) 22:49:34.78 ID:lyflUIsr0
…だが、とりあえず奴らは撃退した。
それだけでも良しとしよう。

できることならばシューティングスターモンとやらは消しておきたかったが。
あんな雑兵ごときとダルクモンが刺し違えでもしたら大問題だ。
別の機会に消すとしよう。

さて…
最優先でやるべきことは、アイスデビモンの新たな個体を造り上げることだ。

それが済み次第…いよいよ建造を進める。
ムゲンマウンテンに続く主要拠点、工場都市ファクトリアルタウンの建造を…!
374 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/18(木) 22:50:02.15 ID:lyflUIsr0
【デジタルモンスター研究報告会 season2  完】
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/18(木) 22:50:20.80 ID:u0t7zCyd0

遂に終わってしまったか…
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/18(木) 22:52:07.32 ID:lts+8bYZo

あのジャスティファイアがワイヤーゴーレモン数体くらいしか倒せず残存戦力はボロボロにされてスターモン失うとは
不安要素が残る区切りだ
377 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/18(木) 22:52:55.29 ID:lyflUIsr0
以上で、 デジタルモンスター研究報告会 season2は完結となります
長い間読んでいただき、ありがとうございました

よろしければ全体通しての感想や、好きなキャラ、好きなシーンなど、教えて貰えたら幸いです
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/18(木) 23:01:23.34 ID:lts+8bYZo
ブイモン君は人として好感が持てた
いじけはするけど努力は怠らないし他人を貶さずちゃんと良いところを見れる組織に必要な人材だ
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/18(木) 23:04:33.38 ID:dnFxvwMpo

次やる時はシーズン3か
コマンドラモン進化の話好き
思慮深いコマンドラモンの考え方への答えとか
380 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/18(木) 23:05:08.85 ID:ElGEwzEe0

コマンドラモンとブイモン主人公デジモンっぽかった
381 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/18(木) 23:20:50.92 ID:UTQk0mbUo

悪のイメージの強い違法の集団が善の象徴な天使を使う皮肉
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/18(木) 23:30:35.10 ID:HmtBgmHxo

1スレ目でデジタルモンスター購入してくれた人達どうなってるか気になる
デジタルワールドに行ってみたい超生物学者さんは今マッシュモンと何をしているのか
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/18(木) 23:33:49.91 ID:/nH6LKqe0
ハーメルンの方も終わり近そうか
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/18(木) 23:35:20.53 ID:A0PcCaEV0
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/19(金) 08:52:27.72 ID:v8Oxzt7io
成熟期相当のデジモン増えまくってデジタマ乱獲を行えるってことは食料事情だいぶ良くなってるかだいぶ儲かってるのか
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/19(金) 11:35:09.49 ID:6CWFAzJE0
セキュリティ側の新参デジモン達の成長じっくり見てみたいな
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/19(金) 19:04:31.17 ID:gBzVB83j0
今までたくさんクラッカーデジモンどもの死体作ってきたとは思うけどやっぱ食料くらいにしかならんかな
モンハンのごとく何かの道具の材料にはならんか
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/19(金) 21:03:04.67 ID:vRTb+7dm0

安定して成熟期と戦えるようになったと思えば次は完全体か
本当にAAAに追いつけないな
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/20(土) 11:39:07.20 ID:a3Di4OK+0

ワイヤーフレームのゴーレモンとか時々出てくる初代ネタ、やっぱり好き
人間デジモンの入り乱れる戦略は読み応えがあったし、作中での月日が経過してきてるからこそ出来る親子や血筋の話も嬉しかった
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/20(土) 17:56:35.58 ID:uS/xo25b0

「後悔」が進化とか強いデジタマ産むのに一番必要って仮説が完全に合ってるとすると思考力高かったり感情豊かだったり高度な知能感情持ってるやつが一番有利に見える
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/21(日) 16:26:36.38 ID:akKPsskdo
ライドラモンさんろくに戦果挙げられないまま友情のデジメンタル宝の持ち腐れになっちゃったのかわいそ…
392 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/21(日) 19:51:59.03 ID:aUnSJEhfo
研究所の今のデジモンとか装備とか保有戦力を一覧にして見せられると何か楽しそう
昔と比べるとすごい進化してそうで
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/22(月) 20:48:22.80 ID:vsulrurJo
燃費悪いデジクロスだとスピード使って撹乱とかしてる暇ないし強み活かせないなライドラモン
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/23(火) 20:16:08.26 ID:xYcKj8jto
AAA以外にもデジモン使った犯罪者いるんならそういう輩と普段どう戦うのか見てみたい
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/23(火) 23:37:04.48 ID:OlmbzkbA0
ジャスティファイヤのとこのジオグレイモンも幼年期の頃はコロモンだったのだろうか
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/24(水) 21:32:09.99 ID:fuljlH3l0
パルモンコマンドラモンマッシュモン以降の研究チーム所属デジモン達の幼年期時代生活もう少しじっくり見てみたかったな
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/26(金) 00:01:35.30 ID:Y5DUQvEoo
やっぱハーメルンの方だいぶ加筆されてるな
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/26(金) 00:51:08.99 ID:4V4mICJa0
もしseason3があれば新しいスレ建てるかな
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/26(金) 20:48:00.28 ID:qWjGrE2zo
season1終了からseason2スタートまで約1ヶ月だったからゴールデンウィーク中じゃまだseason3始まらないか
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/16(木) 21:25:06.96 ID:R80KFTuoo
まだかかるかな
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/21(火) 22:38:10.89 ID:ohSj5+FL0
前のシーズン以上に続き気になるところで区切られたから早く続き見たいものだ
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/31(金) 11:29:19.84 ID:yihM++i80
次はいつかねえ
403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/03(月) 13:14:47.75 ID:RdP9mb90o
人類の手で完全体作れるならデジタルワールドなら究極体生まれるのも時間の問題か
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/10(月) 10:39:29.79 ID:huNM9AA70
今回は長いな
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/20(木) 20:34:39.13 ID:bDDphPxKo
また年単位で待つことになるかな
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/25(火) 08:17:41.60 ID:gH1HMesZo
今回は時間かかるな
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/15(月) 00:13:51.58 ID:JDchqlZh0
復活祈る
408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/17(水) 00:19:18.08 ID:9XopxMF90
キリが良くないというか凄い先が気になるところで終わってしまうと次作待ち遠しくなる
409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/08/01(木) 20:47:23.79 ID:Hk0x62spo
良いなデジアドの記念PV
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/09/09(月) 23:34:43.35 ID:8J3bIwgN0
シーズン3まだかな
411 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/09/11(水) 21:38:16.30 ID:N0inG0QEo
そろそろ続編が恋しくなってきたな
412 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/09/13(金) 15:15:10.80 ID:G/cTz/8v0
多分、タマリリスはやる気失ってるよ
ノベコン落選してるし、ツイッター見る限りじゃケモフレの話ばかりだ

続き書く気力があるなら、ハーメルンのチラシ裏とかでやるんじゃね?
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