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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】

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87 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/06(土) 21:03:32.20 ID:rodgA4Rt0
バラけてしまったので決選投票。どれも絶妙に属性が異なっていて良いですね。クロシュちゃんはどういう方向に成長するのでしょうか

↓1〜5
1.野盗を許した方が良いと思う
2.何回でも返り討ちにすれば良いと思う
3.自分たちを襲わなければどうでも良いと思う
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/06(土) 21:05:01.33 ID:o5IzcO0Oo
2
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/06(土) 21:05:13.54 ID:An8XiKqio
1
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/06(土) 21:09:09.24 ID:JWa+MtrJ0
1
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/06(土) 21:10:09.12 ID:P1UtrKxDO
1
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/06(土) 21:17:34.69 ID:V1HmKl/00
一応1

まあ野盗返り討ちにしただけだし、クロシュちゃんやらイリスさんやらミスティさんがあえてここで命奪う責任と傷を追う必要ないとも言える
兵士とかならともかく一般人だしね
93 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/06(土) 22:15:01.29 ID:rodgA4Rt0
混沌クロシュ『来るなら何度でも返り討ちにしちゃえ。悪いやつは何度でも懲らしめてやる』

秩序クロシュ『返り討ちにできない人は殺されちゃうよ……』

混沌クロシュ『殺られるような弱い奴が悪いんだよ。弱肉強食だよ』

秩序クロシュ『村のみんなも……弱くて殺されたから、悪いって言うの……?』

混沌クロシュ『…………ちがうもん』

秩序クロシュ『そうだよね。弱いからって、殺されて良い理由にはならないよ。それに、一番弱いのはわたしだよ……。今回はイリスさんとミスティさんのお陰で返り討ちにできただけだよ……』

混沌クロシュ『…………むう』

中庸クロシュ『わたしたちをいじめないなら……誰が何をしようと、どうでもいい……』

秩序クロシュ『それは……』

中庸クロシュ『イーシャさんも言ってたでしょ、他者を尊重しろって。野盗の生き方も尊重すべきだよ』

秩序クロシュ『で、でもイーシャさんは、不当に他者を傷付けるなとも言ったよ……。野盗の生き方は、不当に誰かを傷付けるよ……』

中庸クロシュ『それは、そうだけど……』

秩序クロシュ『だから、やっぱりだめだよ……。野盗の人たちには……ちゃんと、反省してもらうのが一番だよ……』

混沌クロシュ『反省するの?』

中庸クロシュ『しないと思う』

秩序クロシュ『……するの!! してもらうの!!!』

 *

クロシュ「……反省、してもらうの!!!」

妖精「うわっびっくりした! な、何いきなり……」

クロシュ「あっ……ご、ごめんなさい……」

イリス「……クロシュちゃん、反省してもらうって言った? ねえ、言ったよね?」ズイッ

クロシュ「う、うん……。言った……」

イリス「ほらー!! クロシュちゃんもこう言ってるし、野盗の皆さんには反省してもらうのが一番だよ!! 命まで取る必要ないって!」

ミスティ(……それで良いと思うわ。命を奪うとなれば、その罪を私たちが背負うことになるし……何より、『命を奪う』ことに慣れてしまう危険性がある……。私はともかく、イリスとクロシュが道を踏み外したら気分が悪いしね……。妖精は……もう慣れてそうだけど……)

妖精「……はあ、まあいいけどさ。反省してもらうってんなら、何か考えはあるんでしょうね?」

 *
94 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/06(土) 22:15:59.14 ID:rodgA4Rt0

拘束されて木にくくりつけ野盗の群れ「」

イリス「これにて一件落着! 毎日誰かしらは通るだろうし、見つけた人がチカーバの騎士か領主様に引き渡してくれるでしょ!」

ミスティ「た、他力本願ね……。まあ、私たちにこいつらを街まで連れて行く余裕はないから仕方ないけど……」

クロシュ「……反省……して、ください……。もう、誰も……傷付けないって……」

野盗F「……それを言うなら、約束だろ?」

クロシュ「あっ……」

野盗F「……まあ、反省はする。だが約束はできねえ。俺たちだって今日のメシを食うのに必死なのさ。刑期が終わって牢から出た時に、まともな仕事にありつけなけりゃあ……俺たちは、また野盗に戻るだろうぜ。そんで次は、慈悲もクソもねえ騎士様にその場でぶち殺されて終わりかもな」

クロシュ「……」

野盗A「へっへっへ、なんか生きてるぜ俺たち!」

野盗B「命まで取らないでくれてありがとな、嬢ちゃんたち!」

野盗C「俺ァどうせならでっけえ姉ちゃんにシバかれたかったなァ」

野盗D「妖精さんが人間に厳しすぎて心臓がバクバクすんぜ……!」

野盗E「おれにも魔法って使えんのかなあ。シャバに出たら勉強してみてえなあ」

野盗F「ま、そんときゃそんときだ。生きてる間は死ぬまで生きる。それが俺たちの信念さ」

 ◇
95 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/06(土) 22:17:08.01 ID:rodgA4Rt0

 ソリ「」スイーッ

クロシュ「……」

イリス「……考えてるの? さっきの人たちのこと」

クロシュ「あっ……イリスさん」

イリス「……いくら苦しくても、それは誰かから物を奪ったり、傷付けたりして良い理由にはならないよ。わかっているとは思うけれど」

クロシュ「……うん」

イリス「なんて……恵まれてる私が、知ったような口で言うのは傲慢かもしれないけどね……。でもこれは、曲げちゃいけないことだと思うんだ」

クロシュ「……イーシャさん……あ、村にいた魔族のお医者さんなんだけど……。その人も、そんなようなこと、言ってた……」

イリス「そうなんだ……。やっぱり、魔族の人も私たち人間と変わらないんだよね」

クロシュ「うん……。きっと……変わらない、と思う……」


↓1
自由安価 移動中何をするか、または何が起きるか
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/06(土) 22:17:51.74 ID:/YhRovI+0
帽子を被った少女と遭遇
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/06(土) 22:19:02.77 ID:/e8n8exco
こういう時って募集した特定のキャラと遭遇するような安価OKなの?
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/06(土) 22:20:36.43 ID:8vvoTBik0
自分が応募したキャラ出るかどうかは運次第だと思ってたけどそういうのアリなのか…
99 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/06(土) 22:55:18.21 ID:rodgA4Rt0
自由安価で遭遇するのは可能ですが、その場合は仲間にはなりません。情報交換や交流程度に留まります。また、特定の非同行キャラと連続で交流することはできません
なお、ランダムイベントでクリティカル〈旅の仲間〉を引いた場合、誰かが確定で仲間入りします
100 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/06(土) 22:56:38.08 ID:rodgA4Rt0
―夕
 街道

 ソリ「」スイーッ

ミスティ「……?」

イリス「どうしたの、ミスティさん」

ミスティ「いえ……ソリが、少し重いような……」


妖精「……そこ!」ゲシッ

??「あいたっ!」ベシッ

クロシュ「!?」

イリス「えっ!?」

ミスティ「……なるほど」

妖精「隠れても無駄だよ。妖精の目からは逃れられない」

帽子を被った少女「ひえ〜……流石は妖精、目ざといなあ〜」スゥー

イリス「えっ誰!?」

 *

メルル「ってわけでちょっと乗り合わせてもらってただけだからさ〜。許してよ〜」

ミスティ「油断も隙もない……」

イリス「い、いつの間に乗り込んだんだろう……」

妖精「……何が目的? 密航なら他を当たって欲しいんだけど」

メルル「だからただの乗り合いだって〜。馬を買うお金なんてないからさァ。馬車より早いソリなんて乗らない理由がないじゃん?」

ミスティ「……」


妖精「……どう思う? 王国の間者の可能性は?(小声)」コソコソ

イリス「十分にあり得るよね……。どうししよう……(小声)」コソコソ

ミスティ(……口封じ……いえ、いたずらに罪を重ねるべきではないわね……)


クロシュ「えと……メルルさんは……どこに行く、の……?」

メルル「お、話の通じそうな子だね〜。まァ実は目的地とかはないんだけど。雪もないのにソリが走ってたからつい飛び乗っちゃっただけでさ」

クロシュ「そうなんだ……」

メルル「てか、このソリこそどこに向かってんの? まさか魔族自治区じゃないよね?」

クロシュ「え、魔族自治区、だよ……?」

メルル「へ……? ま、マジ?」サーッ

クロシュ(なんか、顔が青くなった)

メルル「ご、ごめーん!! お腹痛くなってきたから降りるね〜!! ばいばーい!!」パッ

イリス「へ?」

ミスティ「あ、ちょっと……!」

妖精「……逃げられたね」

 *
101 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/06(土) 22:57:18.33 ID:rodgA4Rt0
―街道沿い

メルル「はあ〜……。魔族自治区行きとか、危ない危ない……。半人半魔のあたしがそんなとこ行ったら問答無用で打首確定じゃんね」

メルル「まあでも、雪でもない道を走るソリに乗れたし良しとしますか!」

メルル「さ〜って今日は野宿野宿♪」

 ◆

↓1 ランダムイベント
01-05 野生の魔王が現れた!!!!
06-20 何もなし
21-35 食べられる野草(まずい)
36-50 自生する野菜(まあまあ)
51-65 自生する果物(おいしい)
65-80 良いものがあった(自由安価)
81-95 良いことがあった(自由安価)
96-00 旅の仲間
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/06(土) 22:58:47.72 ID:MT7wijopo
はい
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/06(土) 22:59:08.97 ID:nMRsxDAXo
自由安価で
「募集したキャラ遭遇(ランダム)」
って特定のキャラを選ばない場合でも仲間にはならない?
104 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/06(土) 23:07:12.34 ID:rodgA4Rt0
はい、自由安価でランダム遭遇とした場合でも仲間にはなりません。それをアリにしてしまうと、毎回それをすれば簡単に全員仲間にできてしまいますし、同行キャラが増えすぎると>>1の頭がパンクするので……

↓1 クロシュたちが見つけたいいもの
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/06(土) 23:08:35.15 ID:IzbN7+hWo
お鍋
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/06(土) 23:09:04.30 ID:+eGbvhQMO
何でも防ぐ魔法?傘
107 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/06(土) 23:43:59.27 ID:rodgA4Rt0
 ソリ「」スイーッ

ミスティ「……あら?」

 打ち捨てられた馬車「」

イリス「廃馬車だね……」

ミスティ「せっかくだし中を見ていきましょうか」

妖精「目ぼしいものは野盗とかがもう持ってっちゃってると思うけどねえ」

 *

―廃馬車

イリス「う〜……もう誰のものでもないとは言え、気が引けるなあ……」ガサゴソ

ミスティ「……大事な感覚だとは思うけれど、旅に不要な価値観の一つでもあるわ……。誰かが困るわけでもないのだから、貰えるものは遠慮なく貰ってしまいましょう……」ガサゴソ

クロシュ「……あ!」ガサ

妖精「何かあった?」

クロシュ「これ……!」スッ

 状態の良い鉄鍋「」キラキラ

イリス「わお! 綺麗な鉄鍋……!」

ミスティ「状態が良いわね……」

クロシュ「木箱に入ってた……!」

妖精「へえ……お風呂に使えそうね」

イリス「えっ」

妖精「冗談。それとも、私の出汁でも取ってみる?」

ミスティ「妖精の出汁……ちょっと需要がありそうなのがまた……」

 ◇
108 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/06(土) 23:44:43.47 ID:rodgA4Rt0

 鍋「」グツグツ

クロシュ「わあ……」

イリス「ふふふ、ちゃんとしたお鍋を使うのなんて久し振りだなあ〜」

ミスティ「……良い香り……胸が高鳴るわね……」

妖精「そういえば、初めて会った日に飲まされたスープはどうやって作ったの?」

イリス「ああ、あれは地魔法で作った即席土鍋で作ったの。あ、一応言っておくけど衛生管理はちゃんとしてるからね! 火魔法で殺菌、加熱ってわけ」

ミスティ「複数属性……ずるいわ……」

イリス「でもやっぱり、ちゃんとした鍋の方が火の通りも良いし美味しく作れるんだよね……!」

 *

 食べられる野草のスープ「」ホカホカ

イリス「……」ゴクン

イリス「……うん! 街に付いたら、まずは食料調達だね!!」

ミスティ「………」ズズ

ミスティ「…………そうね。食は……生命活動の要よ……」

妖精「……」ゴクゴク

妖精「ぷあ……。けっこういけるね。やるじゃん、イリス」

クロシュ「……」ゴクゴク

クロシュ「……おかわり、いい……?」

イリス「お、美味しいならいいけど……」

ミスティ(……やっぱり、人間とは味覚が異なるのかしら……)


↓1 自由安価 移動中何をするか、または何が起きるか
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/06(土) 23:45:28.09 ID:/YhRovI+0
雨が降って近くの廃屋で雨宿り
110 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/06(土) 23:56:23.21 ID:rodgA4Rt0
本日はここまでとなります
上の方にもありましたが、クロシュの人格形成に関わる選択が今後また出てくることもあるかと思います。今回は秩序クロシュが勝利を収めました。なお今のところ、秩序属性にはイリス、中庸属性にはミスティと妖精が該当しています。クロシュちゃんの人格がどのようなものになるかは皆さんの安価にかかっています。よろしくお願いいたします
それでは本日もありがとうございました
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/07(日) 00:01:36.62 ID:vp2bWUZ+o
乙でした
混沌でも内なるクロシュの隠せない良い子感

設定だと現パーティで1番年上は(妖精を除いて)イリス……けどお姉さん筆頭はミスティさんに見える見える
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/07(日) 00:10:19.95 ID:qQ1Q/8MFO
おつおつ

戦力的にも頼もしいけど、料理できて複数属性(仮)で土鍋作ったり殺菌も加熱もできて水も用意できる、旅のお供に重宝しそうなイリスさん

秩序側のイリスさんと中庸なミスティさんの二人がいるのは、いろんな意見を聞けることでクロシュちゃんの成長に良いかもしれない
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/07(日) 00:36:20.50 ID:jNxHCCry0

フメイサイドで気になるのは>>72でアリシラに?がついている事かな
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/07(日) 11:16:02.87 ID:4f7Y33hCo
投稿された設定そのままなら、一度死にかけてから両親を含めた周囲の人の魔翌力を奪って蘇生した際なにか変なものが混ざってしまったとか
結果的に大量殺人を犯してしまったことで人格に変調を来してしまった…とかかな?
重いな…
115 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/07(日) 21:48:57.49 ID:pBF5sxvE0
ミスティよりもイリスの方が年上なのですが、人生経験という意味では、幼い頃にいろいろあって旅立たざるを得なかったミスティの方がいろいろあるのかもしれません。実際、ミスティの方がお姉さんに見えます
しかしイリスは扱いの難しい複数属性(仮)の修練に人生の多くを費やしているので、その分魔法でできることが多いです。複数属性は少人数での旅においては圧倒的な利点と言えるでしょう

秩序の視点と中庸の視点があるのは人間らしく成長するには良い環境と言えるかもしれません。でもクロシュはスライムなので、もし魔物として生きる場合は混沌の視点が必要不可欠です

フメイちゃんが遭遇したアリシラさんが一体何なのか、今後の展開で明らかになったりならなかったりするかもしれません
116 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/07(日) 21:49:38.73 ID:pBF5sxvE0
―街道

 ソリ「」スイーッ

 雨「」ポツ ポツ…

クロシュ「!」

妖精「雨ね」

 雨「」サァァァァ

イリス「うわ、本当だ!」

ミスティ「丁度良く廃屋があるわね……。雨宿りしましょう」

 *

―廃屋

 キィ……

イリス「お邪魔しまーす……」

ミスティ「カウンターに捨て置かれた台帳があるわね……。宿屋かしら……」


妖精「げえ、埃っぽい……。私は外にいようかな……」

クロシュ「妖精さん……雨、大丈夫……?」

妖精「なに、気遣ってくれるの? 雨は平気だから気にしなくて良いよ」パタパタ

クロシュ「でも……一人じゃ危ない、よ……?」トコトコ

 *
117 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/07(日) 21:50:10.95 ID:pBF5sxvE0
―廃屋

 ボロボロのソファ「」ボフッ

ミスティ「当たり前だけど、目ぼしいものは何も残ってないわね」

イリス「……そういえば、ミスティって16歳なんだよね」

ミスティ「そういうイリスは17歳だっけ?」

イリス「うん。でもなんか、全然年下って感じがしない」

ミスティ「最初なんて敬語使ってたくらいだしね……私に……」

イリス「あ、あはは……年上だと思ってたから……」

ミスティ「……旅をしている期間で言えば、私の方があなたより先輩かもね……」

イリス「あ、やっぱりそうかな?」

ミスティ「ええ……。あなた……育ちの良さが、出すぎているから……」

イリス「……褒められているのか、馬鹿にされているのか……」

ミスティ「ふふ……どこにも辿り着けないまま、善意も道徳も見失って彷徨い続ける私みたい旅人になるよりずっと良いわ……」

イリス「……ミスティは善意も道徳も見失ってないよ。見失ってたら、あの場でクロシュちゃんを助けなかったはずだもの」

ミスティ「……魔が差したのよ。本当は、助ける気なんてなかったわ……」

イリス「でも助けた。魔が差して、善なる決意をしてくれたんだよ。ミスティは」

ミスティ「ふふ………。後輩の癖に、生意気ね……」

イリス「後輩だけど、年上だからね……!」

 ◇
118 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/07(日) 21:50:39.06 ID:pBF5sxvE0
―廃屋 玄関

 雨「」サァァァ

妖精「平気だって言ったのに」

クロシュ「でも、危ない生き物が潜んでるかも……」

妖精「はあ、私がどれだけの時間を一人で生きてきたと思っているの? あなたみたいな赤ちゃんに心配される謂れはないんだけど」

クロシュ「赤ちゃん……」

妖精「あなたの方がよっぽど危なっかしくて心配されるべき生き物なの。前に旅をしてたなんて言ってたけど、その様子じゃ戦いも探索も何もかもフメイに頼り切りだったんでしょ」

クロシュ「う……そ、そうかも……」

妖精「そこそこちゃんと自己認識できてることだけは及第点ね。イリスもミスティも底なしのお人好しみたいだし、赤ちゃんらしく遠慮なく頼るんだよ?」

クロシュ「う、うん……。でも……嫌われない……?」

妖精「あんまりにも我儘が酷すぎたら流石のお人好しも愛想を尽かす可能性はあると思うけど、あなたはそういうタイプでもないし大丈夫でしょ」

クロシュ「そうなの……?」

妖精「そうなの」

クロシュ「……そうなんだ」

 雨「」サァァァァ

妖精「……良い雨ね」

クロシュ「……好きなの? 雨」

妖精「まあね。綺麗な水と風と植物は大体好き」

クロシュ「……わたしも、好き。そういうの」

妖精「なかなか見所のあるスライムだね、あなた」

クロシュ「そ、そう?」

妖精「そう。ふふ、まあ私もあなたを軽率に見捨てたりはしないから安心していいよ」

クロシュ「……! う、うん……。ありがと……」

 ◆
119 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/07(日) 21:52:50.60 ID:pBF5sxvE0
―魔族自治区 検問所

兵士A「そこの……ソリ? とにかく止まりなさい!」

 ソリ「」キキッ

ミスティ「どうも……」スト

兵士B「入区を希望する者は身分証明書を提示しろ。大人も子供も例外なくだ」

ミスティ「これで良いですか……?」スッ

イリス「私も……」ガサゴソ

 ミスティの冒険者証「ランク3」

 イリスの冒険者証「ランク2」

兵士B「よし! それでは受付で手続きを――ん?」

イリスの後ろを歩く黒い犬「……」ヒョコヒョコ

兵士B「ほう。黒い毛並みの犬か……。よく躾されていると見える」

ミスティ「はい……。この子も……私たちの、旅の仲間なのです……」

兵士A「かわいいですね! 犬はとても良い動物です! 薄汚い魔物共はクソです! 奴らも犬のかわいさ、気高さを見習うべきです!! お手!!」スッ

黒い犬「……」


↓1コンマ
01-05 混沌クロシュ「噛みついちゃえ!」
06-50 無視する
51-95 心を無にしてお手に応じる
96-00 ??
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/07(日) 21:53:26.67 ID:jNxHCCry0
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/07(日) 21:53:29.29 ID:AKuruyE+0
122 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/07(日) 22:01:54.74 ID:pBF5sxvE0
黒い犬「……」ギギギ

 お手「」スッ

兵士A「わああ!! やっぱり犬は素晴らしいです!!!」キャッキャ

兵士B「いや、なんかすっげェぎこちなかったぞ……。お前嫌われてんじゃねえか」

兵士A「そんなことはありません! 犬は人類の友、私は犬の友です!!!」

兵士B「そうか……」

 *

黒い犬「……」グッタリ

イリス「クロシュちゃん……よくがんばったよ……!」

ミスティ「ええ……とても偉かったわ……」ナデナデ

ミスティの懐から顔を出した妖精「やるじゃん、クロシュ」

黒い犬「……」グッタリ

黒い犬(……頭がおかしくなりそうだった……。でも、我慢できて良かった……)

 ☆クロシュの我慢強さが向上しました

 ◇
123 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/07(日) 22:05:55.48 ID:pBF5sxvE0
―魔族自治区

 ワイワイ ヘラヘラ ギャハハハ…

クロシュ(ミスティさんたちの長い手続きが終わり、門を抜けて魔族自治区に入ると……)

クロシュ(この、魔族自治区がどういう場所なのか……一目で、理解できた……)



路上に座り込む魔族の老人「……」

やせ細った魔族の子供「……」フラフラ

高貴な身なりの女性「んま〜、小汚いところ! アテクシの美貌がバイ菌で汚れてしまいますわ!!」

高貴な身なりの男性「フッ……君の美しさはこの程度じゃビクともしないさ。おいガキ、誰の許可を得てその小汚ェ面を人間様の視界に入れてんだ? ああ!?」ゲシッ

やせ細った魔族の子供「ぎゃっ……」ドサッ

高貴な身なりの男性「ペッ! 王国の寄生虫が!」



豊満な淫魔の女性「……」ヨロヨロ

ガラの悪い冒険者A「淫魔の癖に白昼堂々と出歩きやがって! こっち来い!!」ガシッ

ガラの悪い冒険者B「公然猥褻の取締だオラッ!!」グイグイ

豊満な淫魔の女性「………」



クロシュ(人間の男性に蹴られた魔族の子供は……何も言い返さず、フラフラとどこかへ去っていった……)

クロシュ(淫魔の人は、がっくりと項垂れて……何もかもを、諦めた目で……路地裏へ引っ張られていった……)

クロシュ(わたしには……どうすることも、できなかった……)


イリス「………っ」

ミスティ「…………」

妖精「……チッ」

 ◇
124 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/07(日) 22:06:56.42 ID:pBF5sxvE0
―魔族自治区 宿

受付の女性「人間様が三名でお間違いはありませんか?」

ミスティ「ええ、合っているわ……」

受付の女性「部屋分けは如何なさいますか?」

ミスティ「三人部屋で良いわ……。一番安いのでお願い」

受付の女性「かしこまりました。食事は付属しておりませんので、各自でご用意をお願い致します。また、夜伽をご希望される場合は別途料金が――」

ミスティ「結構よ……」

受付の女性「失礼致しました。それでは、こちらが客室の鍵となります。ごゆっくりお過ごしくださいませ……」スッ

 *

―客室

妖精「はあああ〜〜〜……。だから来たくなかったんだよ、こんなとこ……」

イリス「……予想はしてたけど……予想以上だった……」ガックリ

ミスティ「……人間の私にとっても、あまり気分の良いところではないわね……。長居はしたくないわ……」

クロシュ「…………」

イリス「クロシュちゃん……大丈夫……?」

クロシュ「あ……うん……」

ミスティ「無理はしないで。ここは……想像以上に、あなたに毒があるように思えるわ……」

クロシュ「……」

妖精「……でも、この甘ちゃんな赤ちゃんに王国の悪性を教えるには丁度良いかもね」

イリス「刺激が強すぎるよお……!」


魔族自治区で何をする?
↓1〜3 自由安価
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/07(日) 22:08:37.22 ID:AKuruyE+0
とりあえずみんなでお風呂
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/07(日) 22:09:38.77 ID:F6Z1CmdIO
飯屋に行く
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/07(日) 22:11:30.15 ID:KvXax6pz0
外に出てお散歩
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/07(日) 22:12:09.60 ID:YpKgrbO8O
路銀は足りているだろうか?
金稼ぎ、またはそのためのネタ探し
129 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/07(日) 22:40:53.30 ID:pBF5sxvE0
イリス「……ひとまず、お風呂に入ろう!」

ミスティ「そうね……。浴場へ向かうとしましょう……」

 ◇

―魔族自治区 公衆浴場 脱衣所

 ヌギヌギ

妖精「ねえ、スライムって入浴が必要なの?」ヌギヌギ

クロシュ「あ、えっと……。ぽかぽかになるから……いる、と思う……」

イリス「入浴には体を洗う以外にも、血行を良くしたり筋肉をほぐして疲労回復させたりする効果があるんだって。スライムもきっと例外じゃないよ!」ヌギヌギ

妖精「いや、スライムの血行とか筋肉って人とは作りが全然違くない!?」

ミスティ「……まあ、良いじゃない……。ぽかぽかになるのは、気持ちが良いもの……」ヌギヌギ

 *

―浴場

 カポーン
 ワイワイ キャッキャ

クロシュ「ふにゃあ……」デロデロ

妖精「溶けてる溶けてる」ツンツン

ミスティ「ふう……良いお湯……」チャプン

イリス「……ミスティ、ちょっと痩せ気味じゃない? もうちょっとお肉を付けた方が……」チャプン

ミスティ「脂肪があった方が、いざという時に死ににくいのは知っているわ……。でも私、少食なのよね……」

イリス「……そ、そっか……。確かに、あんまりたくさんは食べてなかったもんね」

ミスティ「ええ……。でも、まあ、その……」

イリス「?」ポヨン

ミスティ「…………」

ミスティ「いえ……詮無きことね……」

イリス「え、もしかして私、太い……!?」

ミスティ「ふふ……適度な脂肪は生存率を上げるわ……」


妖精「……それにしても」


淫魔の幼女「――」キャッキャ

淫魔の女性「――」ニコニコ

ハーピィの少女「――」バシャバシャ

竜人の女性「――」ゴシゴシ


妖精「……ここは平和みたいね。まあ、こんなところで不快なものを見せられても困るけどさ」

クロシュ「うん……。ここは……良いところ、だね……」


↓1コンマ
01-90 良い湯でした
91-00 旅の仲間
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/07(日) 22:42:19.51 ID:LmfhQGEGo
なかーま
131 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/07(日) 23:16:22.12 ID:pBF5sxvE0
―魔族自治区

ミスティ「ふう……良いお湯でした……」ツヤツヤ

イリス「さっぱりしたね……! それじゃあ次はご飯いこ、ご飯!」

クロシュ「ごはん……!」

妖精「魔族食か……」

 *

―魔族自治区 大衆酒場

 ワイワイ ゲラゲラ

クロシュ「わ……」

妖精「……もうちょっと、他になかったの?」

イリス「……なかったの! 私だってできればもっと落ち着いたとこで食べたかったよ……!」

ミスティ「まあ……私たちは人間だし、クロシュも人間の姿だし……妖精は妖精だし、大丈夫でしょう……」

ウェイトレス「食材をお決めになりましたら、お手元のベルを鳴らしてくださいね」

イリス「……えっ!? 食材なの!?」

ウェイトレス「はい。当店では、お客様にお選びいただいた食材をシェフの独断で調理するシステムとなっております」

ミスティ「な、なんて店なの……」


↓1〜2選択
1.オーク肉
2.マンドラ大根
3.食べられる野草
4.カニ
5.オリハルガニ
6.ザリガニ
7.ウルティ米
8.海竜の大トロ
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/07(日) 23:17:10.49 ID:emVkqbj40
7
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/07(日) 23:17:12.06 ID:jNxHCCry0
7
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/07(日) 23:18:24.90 ID:T6NH3vSDO
4
135 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/07(日) 23:33:12.33 ID:pBF5sxvE0
イリス「それじゃあ、ウルティ米と――」
ミスティ「それじゃあウルティ米――」

イリス&ミスティ「あっ」

ウェイトレス「ウルティ米とウルティ米ですね! 少々お待ちくださいませ!」ピューン

イリス&ミスティ「……」

妖精「……」

クロシュ「え、えっと……。わたし……お米、好き、だよ……?」

イリス「……クロシュちゃんの気遣いが、逆に胸に突き刺さるよ……!」ブワッ

ミスティ「ごめんなさい……軽率だったわ……」

 *

 特大盛りウルティ米ごはん「」ドドン!

イリス「わあお……」

ミスティ「うっ……見ているだけで胸焼けしてきそう……」

妖精「言っておくけど、私は見た目通りの量しか食べらんないからね」

クロシュ「……」ジュルリ

イリス「と、とりあえず……食べよっか!」

「いただきます」

 *

イリス「ウルティの名を関するだけあって……究極って感じがする……」グルグル

ミスティ「も、もう無理……。お米だけで、この量を食べるのは……」

妖精「うーん……なんか、くどい甘みが口に残るな……。品種改良のし過ぎじゃないの」モグモグ

クロシュ「……食べきれない分は、わたしがもらってもいい……?」モグモグ

 ☆クロシュが全部美味しくいただきました

↓1
01-90 お腹いっぱいになった
91-00 旅の仲間
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/07(日) 23:33:53.17 ID:QOSnaFLj0
ナカーマ
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/07(日) 23:36:54.15 ID:vp2bWUZ+o
孤独な旅人「うーん、ライスとライスでライスがダブってしまった」
138 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/07(日) 23:41:19.66 ID:pBF5sxvE0
お腹いっぱいになったところで本日はここまでです
ウルティ米は王国の隣国である農業国で品種改良され、生産されている米の品種の一つです。糖度が高く、栄養効率が優れているのですが、妖精には不評だったようです。ちなみにうるち米とは何の関係もありません
それでは本日もありがとうございました
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/08(月) 00:02:27.81 ID:M/HD2b1DO
乙乙
スライムだから脚気にはならないだろうしセーフ?
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/08(月) 00:23:15.31 ID:L8AVAj+ao
おつ
姿形はかなり自由みたいだしクロシュ経験さえ積めばかなりの戦力になるのでは……と夢を見る
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/08(月) 11:18:58.18 ID:RtfsHAhLO

ギャグじゃないのはわかってるんだけど「公然猥褻の取締だオラッ!!」に笑ってしまった
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/08(月) 12:14:09.14 ID:o04pmV95O

食材に前作に出てきたモンスターがちらほら・・・
143 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/08(月) 17:13:10.56 ID:kY6YhsSH0
スライム種全般の特徴として、体が丈夫で病気や怪我に強く、食欲旺盛で何でもよく食べるというものがあります。その反面属性攻撃に弱いという弱点もあり、魔法の蔓延るこの世界では注意が必要です

これはネタバレなのですが、クロシュ氏のポテンシャルは実際かなり高いです。しかしクロシュちゃん自身が臆病で争い事が苦手という性格のため、放っておけば強くなるということは多分ありません(混沌クロシュが優勢になれば放っておいても化けます)

あの冒険者と淫魔さんがどうなったのかは今回の更新でちょっと出てくるかもしれません

世界観的な繋がりは多分ありませんが、前作要素が小ネタ程度には出てくることがあるかもしれません
144 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/08(月) 17:13:50.04 ID:kY6YhsSH0
――夜
  魔族自治区 表通り

 スタスタ…

クロシュ「おいしかった」

ミスティ「……まあ、お腹いっぱいにはなったわね……」

イリス「ウルティ米、糧食に良いかも」

妖精「私は普通のお米の方が良い……」


イリス「宿に帰る前にこの辺りを見て回ろうよ。まだ来たばっかりでどこに何があるかもわかんないしさ」

ミスティ「そうね……。一応、観光案内は貰ったけれど……実際に自分の目で見た方が把握はしやすいわ……」

 *

 看板「マジーア魔法店」

ミスティ「やっぱり魔法の店がけっこうあるわね……」スタスタ

妖精「魔族の国だからね」フヨフヨ

イリス「人類に初めて魔法を教えたのは魔族っていう説もあるんだって」スタスタ

妖精「それが真実だとしたらそいつは大戦犯だね。世界最悪の悪辣種に武器を与えちゃったんだもん」フヨフヨ

イリス「うう……悪い人しかいないわけじゃないのに……」

ミスティ「……妖精は、どうしてそんなに人間が嫌いなの?」

妖精「この街の惨状が全てだね。他に説明がいる?」

ミスティ「……返す言葉もないわね……」


クロシュ「魔法のお店って……どんなものがあるの……?」

イリス「そうだねえ。魔法に関するいろいろなもの……例えば魔法を学ぶための魔術書とか、魔力を回復させる薬物とか……」

ミスティ「イリスが使っている杖のような魔法の補助具なんかもあるわね」

イリス「えへへ、この杖はどこにも売ってないと思うけどね。そういえばミスティは杖は使わないの?」

ミスティ「私は短剣派よ……」スッ

 魔術用の短剣「」キラッ

イリス「か、かっこいい……。私は杖派だけど、短剣にもちょっと憧れるなあ」

ミスティ「懐にいれておくだけでもある程度は効果があるし……魔法以外にもいろいろ使えて便利なのよ……。魔法の補助機能は杖に劣るけどね……」

妖精「ふうん。私は無手派。ていうか魔法に補助具使うとか甘えでしょ」

イリス「私の出身国じゃそういう意見は老害扱いされるよ!」

妖精「」グサッ

ミスティ「有用なものは何でも使うべきよ……。生きる為ならね……」

イリス「クロシュちゃんには何が似合うかな?」

クロシュ「わたし……?」

ミスティ「反映魔法だと……他の例を知らないから、正直私には何が良いかわからないわ……」

イリス「杖も短剣も、スライムの形だと使いにくそうだし……」

クロシュ「……そうかも」

妖精「……スライム用の装備くらいあるでしょ、ここなら。そもそもここに来た理由の一つがそれなわけだし」

イリス「クロシュちゃんは無手じゃなくて良いの?」

妖精「クロシュは赤ちゃんだもん」

ミスティ「では、私たちも妖精から見れば赤ちゃんということでここは一つ……」

妖精「」グサッ

妖精「わ、私が悪かったから……。老害ババア扱いはやめてよお……」ジワワ
145 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/08(月) 17:14:48.93 ID:kY6YhsSH0
スティ「ところで……イリスの師匠の知人という魔法使いの居所は、わかっているの?」

イリス「うろ覚えだけど、裏通りの方だったと思う。多分……。今日はもう遅いし、行くのは明日にしよう」

↓1コンマ
01-90 宿に戻って寝ました
91-00 旅の仲間
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/08(月) 17:17:43.97 ID:LnYvuJK/o
なかーま
147 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/08(月) 17:30:04.42 ID:kY6YhsSH0
↓1コンマ
01-16 帽子をかぶった緑髪の少女
17-32 黒髪の無愛想な青年
33-48 赤髪ロングポニテの冒険者女性
49-64 銀髪ウェーブセミロングお嬢様
65-80 ボサボサ黒髪の若い傭兵
81-96 ボサボサ金髪の壮年放浪者
97-00 ??
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/08(月) 17:31:12.93 ID:+PSAE41U0
149 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/08(月) 20:03:53.11 ID:kY6YhsSH0

クロシュたち「――」キャッキャ

 スタスタ…
 ドッ

クロシュ「ひゃっ……」グニャッ

ガラの悪い冒険者C「いってえなあ、脛にヒビが入ったん……おい!? こいつスライムじゃねえか!!」

ガラの悪い冒険者D「おいおいおい……人に化けるスライムとか、ナメてんのか?」

クロシュ「あっ……ご、ごめんなさ――」

イリス「謝る必要ないよ、クロシュ。スライムが魔族自治区にいて何が悪いの?」ズイッ

ガラの悪い冒険者C「ああ!? クソッタレの魔物なんざ存在そのものが悪だろうが!!」

ガラの悪い冒険者D「嬢ちゃんさあ、何魔物の味方なんかしてんの? 魔物に優しい自分に酔ってるクチか?」

ミスティ「どうでもいいわ……。早くいきましょう……」

ガラの悪い冒険者C「おいおいおい、ぶつかってきといて何逃げようとしてんだよ? こっちゃ脛にヒビが入ったんだぞ?」

ガラの悪い冒険者D「治療費は払ってもらわねえとなあ? あとそのスライムは殺処分確定な」チャキ

クロシュ「……!」ビクッ

クロシュの懐に隠れた妖精「うんざりする……。吐きそう……」ゲンナリ

イリス「……やってみなよ。返り討ちにしてやるから」ブゥン―

ミスティ「はあ……本当に面倒……」キラッ…

ガラの悪い冒険者C「おいおい、ガキの癖に俺らに楯突く気か?」

ガラの悪い冒険者D「へへ、こりゃ教育が必要だなあ?」

ガラの悪い冒険者C「くっせぇ魔族ばっかで飽き飽きしてたとこだ! 楽しませてもら――」

 ガッ

ガラの悪い冒険者C「がッ!」ドサッ

ガラの悪い冒険者D「な、なんだ!?」


ボサボサ金髪の壮年男性「……」ヌッ

 ブンッ ガッ

ガラの悪い冒険者D「ゲアッ!」ドサッ


クロシュ「――」ポカーン

イリス「え、ええ……?」

ミスティ「い、一体――」


ボサボサ金髪の壮年男性「失せろ……。今の私は……虫の居所が悪い……」ギラッ

ガラの悪い冒険者C~D「ひ、ひええ〜〜〜!!」ドタドタドタ

 ◇
150 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/08(月) 20:05:02.10 ID:kY6YhsSH0
――宿 ロビー

ローガン(ボサボサ金髪の壮年男性>>14)「……先程はすまぬ。見苦しいところを見せた」

クロシュ「……」フルフル

イリス「そんなことありません! かっこよかったです!」

ミスティ「ええ……ありがとう……。助かったわ……」

ローガン「そうか……」

イリス「でも、同じ宿だったんですね。もしかして、一人旅を……?」

ローガン「うむ……。旅……と言うには、意義も目的もない……放浪のようなものだが」

クロシュの懐から顔を出した妖精「ふうん。じゃあ私たちと似たようなものね」ヒョコ

ローガン「なんと、妖精とは……。いや、しかし……君たちも、宛のない旅を……?」

ミスティ「ええ、まあ」

イリス「私は目的がないわけじゃないけどね!」

妖精「少し前までは全員他人で、それぞれ一人旅をしてたんだけどね」

ミスティ「……いろいろあって今は行動を共にしているのよ」

ローガン「その若さで……。いろいろ、苦労をしているのだな」

妖精「……そう! 私も若いけれどいろいろ苦労してるの!!」

イリス「よ、妖精さん……」

クロシュ「…………」

ローガン「……ところで。この魔族自治区は、魔物の出入りは制限されていたはずだが……。そのスライムの子は……」

妖精「あ」

イリス「え、えと……!」

ミスティ「…………」

ローガン「……すまぬ。聞いてはならぬことを聞いたようだ」

クロシュ「……!」

ミスティ「……悪いわね。恩人に、隠し事なんて……」

ローガン「恩を売るつもりだったわけではない。それに君たちなら、私が何もせずともあの者どもを返り討ちにしていただろう」

妖精「まあそうね。こいつら、年の割にはかなりやるし」

イリス「ま、まあそれほどでもある、かも……? えへへ」

ローガン「フッ……心配は不要のようだ。君たちの旅路が幸運に包まれていることを陰ながら祈らせていただこう……。それでは――」スクッ

 スタス―

クロシュ「まっ……待って……!」ガタ
151 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/08(月) 20:07:29.30 ID:kY6YhsSH0
イリス「クロシュちゃん?」

ローガン「……?」クルッ

クロシュ「あ、あの……。もし……宛がないなら……。わ、わたしたちと……一緒に……」

イリス「えっ!?」

ミスティ「!?」

妖精「ええ?」

ローガン「……!!?」

クロシュ「……」ウワメヅカイ

ローガン「い、いや……しかしだな……」

イリス「く、クロシュちゃん! いきなり何を……!」

クロシュ「あ……ご、ごめんなさい……」シュン

ミスティ「……いえ、クロシュが考えていることはわかるわ。現状、私たちは魔法使いばかりで接近戦に弱すぎるし……全員が若い女だから、さっきみたいに下劣な輩に舐められやすい……。彼のような歴戦の戦士がいれば、実際かなり安心できるのは確かよ……」

クロシュ「……?」

妖精(いや、そんなこと全然考えてないと思う……)

ミスティ「でも……彼自身も男性である以上、私たちの仲間となった場合にどのような変化が起きるか予測できないわ……。人柄はまあ……多分信用できると思うのだけれど……。突然魔が差す可能性だってある……」

クロシュ「うぅ……」

ミスティ「だから……彼を引き入れるという考えを否定はしないけれど……もう少し、慎重に考えたいわ……。私は……」

イリス「……うん。クロシュちゃんには悪いけれど、ミスティの言う通りだよ。ローガンさんのこと、もう少し知ってからでも遅くはないと思う」

妖精「まあ、この男は私たちと同じやらかしをしたわけじゃないしね。その辺りの非対称性も考えると、同じ道を行くのは難しいんじゃない?」

クロシュ「……」ジワ

イリス「あっあっ」アタフタ

ミスティ「……ざ、罪悪感が……。でも、みんなで生き残るためには、慎重にならざるを得ないのよ……ごめんね……」

妖精「よしよし、泣かない泣かない……。クロシュなりにいろいろ考えてくれてるのはわかってるから」



ローガン「……フッ。良いパーティだ。ますます安心した」

イリス「ふふ、そうでしょ?」

ローガン「ああ。今日会ったばかりの男を引き入れるような迂闊な娘たちであったら、逆に庇護欲が刺激されて全力で守る決意を固めていたかもしれん」

ミスティ「それは残念だったわね……。とりあえず、しばらくは様子見ということでも良いかしら……?」

ローガン「うむ。君たちの目で、私が信用に足る男であるかどうか見極めると良い。その結果がどのようなものであるにせよ、私は受け入れよう」

 ☆ローガンが仮加入しました(後日正式加入します)

 ◇
152 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/08(月) 20:09:01.46 ID:kY6YhsSH0
――翌朝
  魔族自治区 宿

  ワイワイ ガヤガヤ ナンダナンダ
 窓の外「号外、号外だよ〜〜!」バサッバサッ

クロシュ「ふみゅ……?」ノソ

妖精「……何? 朝っぱらから騒々しい……」グシグシ

ミスティ「……? ハーピィが飛びながら新聞をバラ撒いているわね……」

イリス「ふわあ……。何かあったのかな……?」

 窓「」ガラッ!
ハーピィ記者「旅人さんもどうぞ!」バサッ
 新聞「」バサッ

妖精「うわあ!! 急にこっちに来ないでよ!!」

イリス「び、びっくりした……。一体何があったんです?」

ハーピィ記者「ふっふっふ、それはだね――」

 「コラーッ!! 風説の流布は重罪であるぞーッ!!」

ハーピィ記者「おっと! 新聞を読めばわかるよ! それじゃあ私はこの辺で!」バサッバサッ

 窓「」バタン

ミスティ「……とりあえず、読んでみましょうか」

 *

風雪新聞:
〈強姦未遂冒険者、魔力枯渇死!!騎士による怨恨殺人か!?〉
 昨日昼過ぎのことだ。魔族自治区の路地裏で、ここに滞在していた冒険者の遺体が二つ発見された。
 目撃者の証言によると、彼らはある女性(プライバシーに配慮し詳細は省く)を路地裏に連れ込んて性的暴行を加えようとしていたところ、突然に白目をむき泡を噴いて倒れ、間もなく死亡したのだという。その症状は外的要因によって急激な魔力欠乏を起こした時のものと酷似しており、第三者による何らかの作為によって魔力を奪われて死亡した可能性が高い。なお遺体は駐屯騎士によって回収されてしまったため、詳細な死因の特定は断念した。
 件の冒険者は問題行動を起こす二人組として有名であり、騎士と衝突している姿も度々目撃されていた。今回の件は魔力操作に長けた騎士、あるいはそれに近しい人物による怨恨殺人である可能性がある。今後の動向を注視していきたい。(風雪のルフ)

 *

イリス「……これって」

ミスティ「もしかして、昨日見た奴らかしら……」

妖精「へえ〜、面白いこともあるもんだね」

クロシュ「……騎士の人、が……?」

イリス「冒険者が死んだのは本当のことみたいだけど、それを騎士がやったっていうのは根拠のない憶測じゃない?」

ミスティ「まさに風説の流布ね……。可能性がある、に留めて断定していないところに小賢しさを感じるわ……」

妖精「まあいいじゃん、悪辣騎士のせいにしとけば。日頃の行いが悪いせいでしょ」

ミスティ「それもそうだけど……。クロシュ、こういう新聞は鵜呑みにせず、自分の頭でちゃんと考えて判断するのよ……?」

クロシュ「う、うん……」

 *
153 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/08(月) 20:09:36.26 ID:kY6YhsSH0
――宿 ロビー

ローガン「おはよう。君たちは読んだか? あの号外を」

イリス「ってことはローガンさんの部屋にも?」

ローガン「うむ。恐らくは正当防衛の類かと思われるが、我々も用心すべきだろう」

ミスティ「そうね……。用心するに越したことはないわ……」


何をするか。この行動終了後、イリスの師匠の知人(新キャラ募集、仲間化率極低)に会いに行きます
↓1〜3自由安価

参考:魔族自治区主要施設
表通り:宿、武具店、雑貨店、装飾品店、魔法店、工芸品店、大衆酒場、公衆浴場、他
裏通り:妖しい商店、娼館、薄暗い路地裏、他
旧市街:廃図書館、廃神殿、貧民街、他
*上記にない施設でも、安価に書いていただければ実装します
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/08(月) 20:10:22.47 ID:ttV4Xj9/0
路銀稼ぎに冒険者ギルドで依頼を探す
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/08(月) 20:12:46.98 ID:az8ZAHlkO
女性陣、服屋で下着を見繕う
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/08(月) 20:13:33.21 ID:CPRCBXBA0
雑貨店で旅の道具を揃える、特にクロシュちゃん用に
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/08(月) 20:13:45.05 ID:h1qZtFKYo
工芸品店を見て回る
158 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/08(月) 20:58:39.77 ID:kY6YhsSH0
――魔族自治区 表通り

イリス「……はっ!」

クロシュ「?」

ミスティ「どうしたの?」

イリス「……手持ちが、あんまりないかも」

ミスティ「……そういえば、私も三人分の宿代を払ったからけっこう厳しいわね」

ローガン「……足りない分は私が……いや、私は仮加入中の身か。余計な貸し借りはなしにしておいた方が良いだろう」

妖精「はあ、仕方ないなあ。私がその辺のバカから盗って――」

イリス「そ、それはだめだよ! 窃盗は犯罪だよ!」

妖精「いや、今さら気にすることでもなくない……?」

イリス「そ、そうかもしれないけど……これは、私が私であるために必要なことなの!」

ローガン「……ほう。芯の通った人物であるようだ、君は」

イリス「え、えへへ……そんな、大層なものじゃないですけどね」

ミスティ「とりあえず、路銀を稼ぎに冒険者ギルドへいきましょう……」

イリス「単発かつ短時間で終わるものがあれば良いなあ……」

 ◇
159 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/08(月) 20:59:36.47 ID:kY6YhsSH0
――冒険者ギルド 魔族自治区支部

 閑古鳥「カンコーン」

クロシュ「……?」

イリス「なんかすっごい閑散としてる……」

ローガン「魔族自治区の冒険者ギルドにはあまり仕事が入って来ないそうだ」

イリス「え、それはまたどうして……?」

ローガン「自治区を訪れる冒険者がどのようなものかは君たちも知っているだろう? あれに仕事を依頼したがる魔族住民などいると思うかね?」

イリス「な、なるほど」

ミスティ「騎士団も駐屯してるしね。荒事は騎士団、困りごとは住民の互助、ってところなのかしら」

イリス「ってことは、ここに気てる冒険者は魔族に嫌がらせしに来てるだけってこと!? う〜ん……腹が立ってきた」

ローガン「いや……それもあるかもしれんが、魔族の技術ゆえかここは人間の街よりも質の良い武具や道具が多い。魔法の品などは特に。それらを買い求めに来る冒険者が多いのだろう」



受付嬢「……はっ!? い、いらっしゃいませ! 当ギルドのご利用は初めてですか!?」

イリス「あ、はい。一応冒険者証はあります」スッ

受付嬢「ありがとうございます!」

ミスティ「それで……できれば、単発でかつ短時間で終わりそうなものが良いのだけれど……」

受付嬢「かしこまりました。その条件で本日ご案内できる依頼は――」

↓1
01-30 駐屯地の便所掃除(報酬:低)
31-60 旧市街の廃屋解体(報酬:中)
61-90 菜園の草むしり (報酬:高)
96-00 実験の助手募集 (報酬:超)
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/08(月) 21:04:01.48 ID:ttV4Xj9/0
161 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/08(月) 23:10:10.37 ID:kY6YhsSH0
――魔族自治区 旧市街

入植者の男性「おお! こんなに若くてかわいい冒険者の方々が来てくれるなんて予想外だ!」

イリス(なるほど。数少ない依頼も、ここに入植した人からのものってことかあ)

ミスティ「解体する建物は?」

入植者の男性「こっちだ!」

 *

 朽ちた石造りの廃屋「」

入植者の男性「ここに入植者用の集合住宅を建てたくてね。更地にして欲しいんだ」

ミスティ「なるほど……。瓦礫はどこに?」

入植者の男性「んー、貧民街の辺りに捨ててくれば良いんじゃないかな? あそこなら魔族と魔物しか住んでないし」

クロシュ「……」

イリス「……」ギリ

クロシュの懐に隠れた妖精「……」イライラ

ミスティ「いえ……ここでは形骸化しているとしても、王国法違反となりますので……」

入植者の男性「はは、お嬢さん方は真面目だなあ。それじゃあ少し遠いけど、騎士団の駐屯地に瓦礫の廃棄場があるからそこまで持っていってもらってもいいかな?」

ミスティ「承知致しました……。それでは作業に取り掛かります……」

入植者の男性「ああ! 終わったら呼んでくれ!」

 *

イリス「うがあああ!!! 何なのあれはあああ!!!!」バリバリ

ミスティ「仕方ないでしょう。ここはそういうところなのよ……」

妖精「解体はあなたたちでやってよね。私はあんな下衆共の集合住宅作りに関わる気はないから」プイッ

クロシュ「…………」



ローガン「君たちは魔族や魔物に対して……いや、クロシュくんを見れば明らかなことだったな」

妖精「そういうあなたこそどうなの? 仮とは言え、私やクロシュと一緒にやっていける?」

ローガン「……魔物に対して、何も思うところがないと言えば大嘘になるだろう。だが……個別に当てるべき感情を安易に全体化するのが愚かなことだというのはわかっているつもりだ」

妖精「……そう」

 ◇

 ゴオン…ガギイン…ゴゴオン…

イリス「はあ。地属性も使えて良かったなあ、私……」

ミスティ「こういう作業では頼りになるわね」

ローガン「鉄材があれば私に言ってくれ。適切な大きさに解体する」

クロシュ「わ、わたしは……」キョロキョロ

妖精「クロシュは私と見学。どうせできることもないし」

 *
162 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/08(月) 23:12:01.04 ID:kY6YhsSH0
 ゴオン…ガギイン…ゴゴオン…

 ダダダダダッ

魔族の子供「やめろーっ!!!」ダダダッ

ミスティ「……? 魔族の子、かしら」

イリス「ど、どうしたの……!? そこにいると危ないよ!?」

魔族の子供「そ、その家は……!! ジョンと、ジョンのママが住んでた家なんだぞ!!!」

ミスティ「……!」

イリス「!!!!」

魔族の子供「勝手に……勝手に壊すなよお……!!」ポロポロ

イリス「……あ……あぁ……」グニャァ

ミスティ「…………っ」

ローガン「……ジョン君と、そのお母様は……今どこに?」

魔族の子供「死んだよ!! お前たち人間の、勇者とかいうバケモノに殺されたんだ!!」

ローガン「……そうか。なら今は、誰も住んでいない……誰のものでもない住居ということだな」

魔族の子供「え……?」

ローガン「我々は、この土地の現所有者から委託を受けて建造物の解体を行っている。権利者でもない赤の他人である君に、我々の行動を止める権限はない」

魔族の子供「ふざ、けるなよ……。なんで……なんでだよお……!!」ポロポロ

ローガン「ちなみに、彼女らは私がこき使っている奴隷だ。恨むなら私一人を恨め、少年」

魔族の子供「うわああ!!! ばかやろー! ばかやろー! 奴隷使いのクソジジイ!! 地獄に堕ちろーッ!!!」ダダッ



イリス「あ……」

ミスティ「…………ローガンさん……ごめんなさい……。あなた一人に……嫌われ役を……」

ローガン「気にしないで頂きたい。私はかつて、何人もの魔族と魔物を殺した男だ。既に地獄行きは決まっている」

ミスティ「……あなたが、そう言うなら」

 ◇
163 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/08(月) 23:13:21.04 ID:kY6YhsSH0
 更地「」

入植者の男性「おおー、綺麗にしてくれたね! これは約束の報酬だよ!」スッ

 硬貨の入った袋「」ジャラ…

ミスティ「確認しました……。どうも……」

入植者の男性「入植者が増えればこの街はもっと綺麗で住みやすくなるはずだ! 君たちには是非その一助となれたことの栄誉を感じて欲しい!!」

イリス「……」

クロシュ「……」

入植者の男性「さて、次は建築業者に連絡しないと! 今回はありがとう! さようなら!」ダダッ



 更地「」

イリス「…………」

イリス「ぐすっ……。私……魔族の人たちが……住んでたおうちを……」グスグス

クロシュ「……」サスサス

妖精「……」ナデナデ

ミスティ「お疲れ様、イリス……。あなた一人の責任ではないわ……。私たち全員が背負うべきものよ、それは……」

ローガン「…………ままならぬ。優しきゆえに……苦しまなければならぬなど……」

 ◆
164 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/08(月) 23:14:54.11 ID:kY6YhsSH0
本日はここまでです。次回は下着編と道具調達編です
ローガン氏の加入によってパーティの平均年齢が一気に上がりました(妖精は見た目年齢が幼女なので幼女です)。若いおなごばかりだったパーティにおじさんが入ったことで、いろいろとやれることの幅が広がったような気もします。頼りになりそうです
魔族自治区にいる限り今後も胸糞の悪い描写がけっこうあると思いますが、実際そういう環境なので何卒ご容赦ください。多分、きっと、滞在の最後の方に何らかの変化が起きると思うので……
それでは本日もありがとうございました。平日の更新は厳しいかもしれません。今後ともよろしくお願いします
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/09(火) 00:27:25.26 ID:+eK5R67tO

風雪のルフは草
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/09(火) 01:21:57.51 ID:Tb6Xs8pTo
おつおつ
魔物として生きる場合に必要な混沌視点ってこういうことかぁ……
クロシュ氏は実はもう一つ魅了的な得意魔法あるでしょ?フメイちゃんもやられてそう
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/09(火) 12:14:08.73 ID:F0RDXFrdO

ローガンさんはCV大塚明夫で脳内再生した。

どの依頼でも胸糞展開だったんだろうな・・・
168 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/13(土) 19:53:08.65 ID:/TIgNr4d0
突然ですがエラッタです。>>75で「十数年前」と書かれている箇所がありますが、正しくは「数年前」でした。脳内で訂正をお願いいたします

ハーピィ記者こと風雪のルフは、魔族自治区で活躍する反王国活動家記者です。事実と憶測と捏造を織り交ぜた飛ばし記事を乱発し、王国や騎士団のネガティブキャンペーンを繰り返しています。魔族自治区では彼女の書くネガキャン記事を楽しみにしている住民が多く、彼らの数少ない娯楽となっているようです。また、彼女の新聞を読んで反王国思想に目覚める入植者もおり、その影響力は意外とバカにできません。逃げ足も早く、騎士団の目の上のたんこぶとなっているようです

言われてみれば、何の力も技能も持たないかわいいだけの穀潰しであるクロシュちゃんが、何の疑問もなく守ってもらえているのは少し不思議かもしれませんね……。まあ、幼い生き物を愛らしく感じるのは人間の本能なので、クロシュは自己防衛として無意識に人間に好かれやすい振る舞いをしているのかもしれません。愛嬌がなければ殺される、そんな環境もあるのでしょう

ローガン氏の声は実際渋いかもしれません。ともあれおじさんキャラをちゃんと書けていたようで何よりです
どの依頼もまあ大概ろくでもないものでしたが、クリティカルのやつだけはまあまあ悪くないものだったかもしれません
169 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/13(土) 19:53:35.93 ID:/TIgNr4d0
―魔族自治区 表通り

イリス「……」トボトボ

ミスティ「……」スタスタ

ローガン「……」スタスタ

クロシュ「……」トコトコ

妖精「……」フヨフヨ


妖精(空気が重い……)

妖精(お金のためとは言え王国の悪逆に手を貸したも同然のことをしたのだから、人情派のイリスが落ち込むのは仕方がないと思う。割り切るの苦手そうだし)

妖精(でもミスティは流石にドライね。長年女一人で旅をしてきただけのことはある。いちいち心を乱されていたら身が持たないことを理解してるのかも)

妖精(ローガンはまだよくわからない。割り切っているのか、ハナから何も感じていないのか)

妖精(クロシュは……何やら考えている様子。落ち込んだり嘆いたりしてる様子はないけど、何考えてるんだろう。赤ちゃんスライムなりに思うところがあったのかな)

妖精(ともかく、空気が重い……)


妖精「……ねえ。稼いだお金、どう使うの?」

ミスティ「消耗品の補充・交換に、クロシュの旅支度ね。これだけあれば、高級品を求めない限りは足りるはずよ」

クロシュ「わたしのは……安物で、いいと思う」

ミスティ「だめよ。あなたは弱いのだから、流れ弾に当たっても死なないようにちゃんとしたものを装備する必要があるの」

妖精「こいつ、周囲が燃え盛っていてもそこそこ平気でいられる程度には頑丈だよ」

ミスティ「えっ、スライムなのに……? いや、でもだめよ。自身の耐久力にあぐらをかいた結果呆気なく死んでいった愚か者を何人も見たわ」

妖精「一理ある。まあお言葉に甘えて良いの買ってもらいなよ、クロシュ」

クロシュ「うん……」

妖精「そうと決まれば……いや、そういえばクロシュって人型になると服を着てるけど、スライムに戻ると服着てないよね? どうなってるの?」

ミスティ「……私も、それは少し気になっていたわ」

クロシュ「えっと……服も、作ったり、戻したり……」

妖精「ええ!? 作れるの!?」

クロシュ「うん……。形と肌触りを覚えれば、見た目と質感は大体再現できるよ……。わたしから離れると、黒いデロデロに戻っちゃうけど……」

ミスティ「犬になった時はフサフサモフモフだったわね、そういえば……。普通のスライムにあそこまで高度な擬態はできない気がするわ……」

妖精「反映魔法ってやつのなせるワザなの?」

クロシュ「え、えと……わかんない……。気がついたら、できたから……」

ミスティ「……気にはなるけど、今はとりあえず服屋を探しましょう。私もいろいろ買い替えたいし」

 ◇
170 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/13(土) 19:54:17.74 ID:/TIgNr4d0
―魔族自治区 表通り
 アラクネの服屋

 ワイワイ キャッキャ

旅行者の少女A「てかこのセンスめっちゃヤバくない!?」

旅行者の少女B「めっちゃわかる〜! 最先進って感じ〜!」

 キャピキャピ

アラクネ店主「ど、どうして人間がこんな寂れた店に……」ビクビク

 カランカラン

ミスティ「どうも」スタスタ

イリス「こ、こんにちは……」

クロシュ「……」ペコリ

ローガン「失礼する」スタスタ


アラクネ店主「また来た……。今日は厄日かしら……」
171 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/13(土) 19:54:50.79 ID:/TIgNr4d0
 *

 蜘蛛絹のハンカチ「」サラサラ

クロシュ「わあ……」

イリス「これ、肌触りがすっごい良い……!」

ミスティ「蜘蛛絹って書いてあるわね……。見た目は普通の絹にそっくりだけど……」

ローガン「蜘蛛絹とは、蜘蛛の糸を編んで作られた繊維のことだ。絹のように心地よい肌触りでありながら非常に高い靭性を持つ。特にアラクネのものは魔法に強い耐性があるらしく、ここ魔族自治区で人気の特産品の一つなのだが……」

妖精「王国に搾取されてるんでしょ、知ってる」

ローガン「御名答。ここで生産される蜘蛛絹製品のほとんどは王国に捨て値で輸出させられる。そしてそれらを低価格で仕入れた王国の業者は、自社ブランド品としてそれを高値で売り捌くというわけだ」

イリス「……」ギリリ

旅行者の少女A「それ聞いたことある! めっちゃナメてるよね!!」ズイッ

旅行者の少女B「王国のブティックで売ってる服めっちゃ高いもん! しかもセンスないし!!」ズズイッ

イリス「――」ポカーン

ミスティ「あ、あなたたちは……?」

旅行者の少女A「あ、ごめんね名乗りもせず! うちら、王国から旅行で来たただの学生!」

旅行者の少女B「王国民の癖に何言ってんだこいつって思うかもしんないけど、けっこういるんだよ。王国のやり方が良くないって思ってる人もさ。学生運動とかもけっこうやってるし」

イリス「……!」

ミスティ(学生か……。懐かしい響きね……)

旅行者の少女A「あたしたちも、あたしたちなりに何かできることはないかなって思ってね」

旅行者の少女B「直接買いに来たってわけ!」

旅行者の少女A「売りたい価格で売って欲しいよね〜、やっぱ」

ミスティ「なるほどね……」

妖精「……」



イリス「……ねえ、私たちも買おうよ!」

妖精「そのために来たんでしょ」

イリス「そ、そうだけど……下着とかもいろいろ! 蜘蛛絹のものなら、丈夫で旅にも向いてるだろうし……!!」

ミスティ「そうね……。一応言っておくけれど……ローガンさんもいるのよ……」

イリス「あっ……///」

ローガン「……私は外で待っていよう」スタスタ

旅行者の少女A「おじさんめっちゃ紳士〜!」

 *
172 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/13(土) 19:55:20.54 ID:/TIgNr4d0

 カランカラン

アラクネ店主「毎度ありがとうございました……」ペコリ

アラクネ店主「……」

アラクネ店主「…………」

アラクネ店主「………………」

アラクネ店主「……なによ……同情のつもりなの……」

アラクネ店主「………ふざけないでよ……」

 売上金「」ガッ

アラクネ店主「こんな金……人間なんかの、金なんて……!」グッ

 売上金「」プルプル

アラクネ店主「…………」グググ

アラクネ店主「……」ガクッ

 売上金「」カシャン…

アラクネ店主「う、ううぅ……うぐううぅぅ……」ポロポロ

アラクネ店主「これがなきゃ………あの子たちを食わせてやれない……」ポロポロ

アラクネ店主「……なんて……惨めなの………」ポロポロ

 売上金「」ポタッポタッ…

 ☆蜘蛛絹の下着・肌着を買いました
 ☆クロシュが蜘蛛絹繊維を覚えました

 ◆
173 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/13(土) 19:55:51.38 ID:/TIgNr4d0
―魔族自治区 表通り
 雑貨店

イリス「わあ! ここも良い品揃え……!」

ローガン「先程も言ったが、ここの道具は質が良い。良いものを揃えられるだろう」

ミスティ「不足しているのは緊急用のマナポーションと、日持ちする保存食と……。テントも大人数用のが欲しいわね……」ブツブツ

イリス「あ、それなら複数人キャンプ用に調理器具を買い足しても良い? 軽くて丈夫な鉄鍋が手に入っちゃったから、なんか欲が出てきちゃって」

ミスティ「良いんじゃないかしら……。ああ、でも貨物手段と移動手段は考えておいた方が良いかも……」

イリス「えっ」

ミスティ「私のソリ、そもそも二人用なのよ……。クロシュが小さいからなんとかなったけど、ここから人数が増えたり荷物が増えたりすれば多分限界を超えるわ……」

イリス「あっ……!」

ローガン「ふむ……。私が加入した場合のことであれば心配には及ばぬ。馬ほどの速さは出ないが、重装備での長距離走行は心得ている」

ミスティ「えっ……!?」

イリス「いやローガンさん一人だけ走らせるなんてできないですよ!?」

ローガン「だが、他に代案があるのか?」

クロシュ「えと……わたしも……犬になれば、走れるかも……」

イリス「どうして自分で走る方向に行くの!?」

 ☆旅の準備を整えました
 ☆クロシュ用の道具を揃えました。長距離移動が可能となります

 ◇
174 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/13(土) 19:56:38.17 ID:/TIgNr4d0

ミスティ「これで良し、と……。あとは……」

イリス「クロシュちゃん用の武器でも買っていく? ここ、武具店も併設されてるみたいだし」

ミスティ「……そうね。移動手段は一旦保留にして、クロシュ用の装備を整えましょうか」

イリス「うん……! 店員さん、すみません!」

人型スライム店員「はあ〜い。何かご入用かしらあ?」

イリス「あの、スライムの子に適した装備ってありますか?」

人型スライム店員「スライムの子に……? でも、あなたたちは人間の旅人さんじゃ――」

クロシュ「……」ペコリ

人型スライム店員「――なるほどねえ。そういうことならご案内するわあ〜」

 *

人型スライム店員「ふむふむ……反映魔法を使う擬態に秀でた黒いスライム……初めて聞くわねえ……」

妖精「擬態するスライムは他にもいるでしょ?」

人型スライム店員「反映魔法のことよお。擬態はあくまでスライムの生得能力だもの。う〜ん……まあ、とりあえずこれを持ってみて」ヒョイ

 鉄の小盾「」ポン

クロシュ「ん……」カチャ

人型スライム店員「スライム種全般が共通して秘める能力の一つに、体内に何らかの物質を取り込んで自己強化するっていうものがあるのお。例えばその子盾なら、体が少し頑丈になる、みたいなねえ。クロシュちゃんはできそお?」

クロシュ「……?」

人型スライム店員「食べて消化するんじゃなくて、自分自身の一部として体全体に行き渡らせるイメージよお。ちょっと難しいかしらあ……?」

クロシュ「んん……」

↓1コンマ
01-70 わかんない(経験1/3)
71-90 あと少し (経験2/3)
91-00 できた  (経験3/3)
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/13(土) 19:57:17.29 ID:P0mZsPq10
176 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/13(土) 20:08:30.08 ID:/TIgNr4d0
クロシュ「んん〜……」ムム

人型スライム店員「うふふ、難しいわよねえ。これ、優しい子ほど苦手なのよお」

妖精「そうなの? ていうか性格って関係あるの?」

人型スライム店員「そうねえ。性格っていうかあ、気性が荒くて闘争心の強い子ほど、力への渇望も強いでしょお? そういう子は、教えなくても勝手に覚えちゃったりするのよお」

妖精「なるほどね……。確かにクロシュは苦手そう」

クロシュ「む〜……」

イリス「あはは……クロシュちゃんはそれだけ優しくて良い子ってことなんですね!」

人型スライム店員「ええ。こういう子にこそ、平和で優しい世界を生きて欲しいのだけれどねえ……。そういうわけだから、その小盾はあげるわあ」

クロシュ「!」

イリス「い、いいんですか!?」

人型スライム店員「ええ。同じスライムのよしみよお。いろいろ世知辛いけれど、なんとか生き延びてねえ……」

クロシュ「……うん。ありがと、ございます……」ペコリ

 ☆小盾を手に入れました
 ☆今後、自由行動などで自己強化の練習を行うことができます

 ◆
177 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/13(土) 20:09:20.85 ID:/TIgNr4d0
―昼
 魔族自治区 裏通り

魔族の浮浪者「……」ジッ

魔族のストリートチルドレン「……」ジー


 スタスタ…

ミスティ「ねえ、本当にこっちなの……?」

イリス「う、うん。多分合ってるはず……。あの頃と同じなら……あ!」


妖しい商店「」ゴゴゴゴゴ…


イリス「こ、ここ! 記憶にある店と同じだもん!」

クロシュ「……?」

ローガン「……何の店なのだ、これは?」

イリス「え、ええと……魔法に関係する店、だと思います……」

妖精「ろくでもない気配がぷんぷんするんだけど……」

ミスティ「……イリスを信じて入ってみるしかないわ……」

 *

―妖しい商店 店内

 カランカラン…


 爬虫類の干物「」

 壁にかけられた謎の布袋「」

 謎の液体が詰まった小瓶「」

 何かの骨「」

 妖しい宝玉「」


クロシュ「わ……」

ローガン「こ、これは……」

ミスティ「……なるほど。魔法の店というのは間違いないわね……」

妖精「……」

イリス「ごめんください……! あの、誰かいますか……!?」


 店の奥「」ガタ…

 スタスタ…

クロシュ(あ……誰か、来た……)
178 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/13(土) 20:09:53.04 ID:/TIgNr4d0
イリスの師匠の知り合いの魔法使い
↓1
【名前】
【種族】
【性別】
【年齢】
【容姿】
【性格】
【魔法】
【備考】
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/13(土) 20:12:47.59 ID:P0mZsPq10
【名前】フラナ=バイオレット
【種族】吸血鬼
【性別】女
【年齢】439歳
【容姿】金髪ロングの幼女
【性格】ややわがままだが知識・経験は豊富
【魔法】血を操る魔法が得意だが闇魔法も使える
【備考】日の光はある程度平気なのでよく外に出て魔法役の材料を探している
180 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/13(土) 21:11:53.72 ID:/TIgNr4d0
フラナ「その声は……イリス?」スタスタ

イリス「フラナさん!」

ローガン(この娘……吸血鬼か……!)

ミスティ(小さい……でもこのプレッシャー……! 只者じゃない……!)


フラナ「大きくなったわね。あいつは一緒じゃないの?」

イリス「はい。私、修行の旅をしているんです……!」

フラナ「へえ。それでわざわざ、この腐った国へ物見遊山に来たってわけね」

イリス「ち、違います……! その、ここに来たのには理由があって――」

 *

フラナ「……なるほどね。王国に喧嘩を売っちゃったから、逃避行の支度をするついでにスライムの装備を整えにきた、と」

イリス「は、はい……! それで、その、あわよくばフラナさんにお力を貸していただければ、なんて……」

フラナ「……クックック。じゃあお前たちは、既に王国を敵に回した反逆者ってわけだ」ニヤァ

イリス「えっ……い、いやまあ、一応、そういうことになる……のかな……?」

フラナ「……逃げ回るより、もっと良い方法があると言ったら……どうする?」

イリス「えっ……?」

ミスティ「……先に言っておくわ。私たちは王国に投降する気はない。もしあなたが密告しようというのなら、全力で抵抗――」

フラナ「ああ、勘違いしないで。私はそんな冷たい提案をしようとしているわけじゃない」

ミスティ「では……?」

フラナ「――革命軍に加わりなさい。イリスとその朋友たちよ」

全員「――!!?」
181 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/13(土) 21:14:25.91 ID:/TIgNr4d0
フラナ「ここに来たなら既に見ていると思うが――私たち魔族は、完全に王国の奴隷だ」

フラナ「奴らに虐げられ、奉仕を強いられ、血と涙と魂を踏み躙られ続けている……」

フラナ「見たでしょう? 腐った貴族に蹴り飛ばされる魔族の子を」

妖精「……」

フラナ「見たでしょう? 腐った冒険者に拐かされる淫魔の女を」

ミスティ「……」

フラナ「見たでしょう? 友の家を壊され、慟哭を上げる少年の姿を」

イリス「……っ」

フラナ「――もう、道は二つしかないのよ。このまま奴らに、永久に殺され続けるか……」

フラナ「自由を勝ち取る為に、武器を手に立ち上がるか――」

イリス「……!!!」

フラナ「……それに、あなたたちにとっても悪い話ではないでしょう? 王国に追われるくらいなら、逆に奴らを追い出してしまえば良い。それで事足りるわ。そして平穏な時間は帰って来る」

クロシュ「…………」

フラナ「スライムの子よ。お前が受けた苦痛を私たちは知っている。お前が我々と共にあると言うのであれば、王国に勝利した暁には悠久の平和を約束するわ」

フラナ「そして……お前の友だというフメイという子の捜索も、全面的に協力する用意がある」

クロシュ「!!!」

フラナ「さあ、手を取りなさい。私たちと共に――」

ローガン「待たれよ!」ズイッ

フラナ「何。聞けば、あなたは王国の反逆者でもない部外者らしいじゃない。密告されても困るからここで闇に葬ってあげても良いのよ?」

ローガン「……話し合いの時間をいただいても良いだろうか。私たちは全員で一つのパーティだ、意思は統一しておきたい」

フラナ「仕方ないわね……。もし断る場合、申し訳ないけど忘却の魔法を受けてもらうからそのつもりで」

ローガン「……承知した」

フラナ「あと、全員一緒である必要はないわ。一人でも戦う意思のある者がいれば、私は歓迎する。それだけ覚えておいて」

 *

ローガン「……先に言っておく。私は断る」

ミスティ「……私も断るわ。この国の為に命を賭ける気はない」

妖精「私はどっちでもいい。どっちに転んでも死なない自信あるもん」

イリス「わ、私は……っ」

ミスティ「……イリス。気持ちはわかるけれど、やめておきましょう。あなたが深入りすべき問題ではないわ、これは……」

ローガン「うむ……。薄情かもしれんが……これは、魔族自治区と王国の問題だ。外様の我々に関与しなければならぬ理由はない」

クロシュ「……」

妖精「クロシュはどうしたいの? クロシュが行きたい方に付いてってあげるよ、私」

クロシュ「…………」


↓1〜5
1.断る
2.革命に加わる
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/13(土) 21:15:59.94 ID:vZW0b/0AO
2
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/13(土) 21:22:59.23 ID:R+uIJB5cO
1
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/13(土) 21:25:43.74 ID:tcPfQskko
2
185 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/01/13(土) 21:30:08.07 ID:/TIgNr4d0
21:44:59に締め切ります。同数だった場合、クロシュは決断できなかったという選択を取ります。このレスは安価に含まれません
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/13(土) 21:30:39.18 ID:ib0YRf5O0
2
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