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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】
- 660 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/25(日) 22:59:41.47 ID:D8JY08mz0
- ―朝
大樹の宿 客室
チュンチュン
ミスティ「……」パチ
イリス「ミスティ!」
クロシュ「ミスティさん!」
ミスティ「イリス……クロシュ……」
ローガン「ミスティくん。体の調子はどうだろうか」
ミスティ「ローガンさんも……。私、あれからまた気を失ったのね……。体は……まだ痛むけど、動きに支障はなさそうかしら……」ググッ
イリス「良かった! 一時はどうなることかと思ったけど、みんな無事で……」
ミスティ「……ということは、妖精も無事なのね?」
妖精「無事だよ。迷惑かけたね……」ヌッ
ミスティ「わっ……本当に無事みたいね……」
妖精「あなたたちのお陰でね……。本当に、ありがとう……」ペコッ
ミスティ「まあ……何かする前に相談くらいはして欲しかったわね……。パーティなのだし……」
妖精「返す言葉もない……」
イリス「……ねえ、どういうことだったのか聞いても良い?」
妖精「うん……話すよ。まずあの黒い木だけど……あれは、大昔に私と当時の族長たちが封印した樹の魔王なんだ」
イリス「ま、魔王……!? あの木、魔王だったの……!?」
ローガン「なんとなくそんなような気はしていたが……まさか本当に魔王だったとは」
妖精「当時は魔王樹って呼ばれてた。地中深くに根を張り巡らして、フォレスティナ中の命を吸い上げる困ったちゃんだったの」
ミスティ「困ったちゃんという次元ではない気がするわ……」
妖精「うん……。実は当時にトドメを刺すこともできたんだけど、その……かわいそうに思っちゃってさ……。私の主導で安らぎの封印結界に閉じ込めたんだよ。でもその結果はご覧の通り……全く安らげなかったみたいだし、今になってこの国に被害を出させた始末。本当、とんだ失策だったよ……」
ミスティ「そう……だったのね……」
妖精「……ずっと永い間……独りぼっちで、ひもじい思いをさせちゃったんだ。あの魔王樹も、元はこのフォレスティナの樹の一つだったはずなのに……。私……なんて仕打ちを……」
イリス「……それは……妖精さんが、悪いわけじゃないと思う……」
妖精「……そう、かもね」
クロシュ「……」
◆
- 661 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/25(日) 23:00:21.38 ID:D8JY08mz0
- ―郊外 森妖精の子のおうち
ミスティ「おはよう……」スタスタ
妖精「おはよ…」パタパタ
森妖精の子「あ、ミスティさんと太母さん! おはよ!」
ミスティ「その後、おうちの具合はどうかしら……?」
森妖精の子「えっとね、木さんね……!」
少し元気になってきたおうちの木「」ググッ!
妖精「少し元気になってきたね」
森妖精の子「うん……! ミスティさんたちが、なにかやってくれたの……!?」
ミスティ「……まあ、そうね。恐らく病気の原因と思われるものをなんとかしたわ……」
森妖精の子「わあ……! やっぱりミスティさんたちがやってくれたんだ……!」パァ
ミスティ「ええ……」
妖精「でも、病み上がりだからしばらくはしっかり見てあげてね」
森妖精の子「うん……! しっかりみる……!」
ミスティ「ええ、是非そうして……。あなたがおうちの木を大事に思っているように……きっとおうちの木も、共に暮らすあなたのことを大事に思っているから……」
森妖精の子「うん……!! ずっといっしょだもん……!! だいじに、する……!」
ミスティ「ふふ、約束よ……」
森妖精の子「うん、やくそく! えへへ……ミスティさん、ほんとに、ほんとに……ありがと……!!」
☆緊急クエスト「おうちの木を助けろ!」を無事にクリアしました
報酬に「精霊樹の種」をいただきました
復権派の名声が大きく上がりました
◆
- 662 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/25(日) 23:01:56.69 ID:D8JY08mz0
- ―緑の国フォレスティナ 滞在7日目
◆パーティメンバー
◇クロシュ 武:鉄の小盾 防:旅人の服
◇妖精 武:なし 防:蜘蛛絹のレオタード
◇イリス 武:精霊樹の杖 防:魔術師のローブ
◇ミスティ 武:魔銀の短剣 防:旅人のローブ
◇ローガン 武:鋼の剣 防:鎖帷子
◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹×2
・運命賽
・雨乞い傘
・精霊樹の種
◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・選挙で勝つ
◯仲間の目標
・星の魔力を読む[2/4](イリス)
……………………………………………………………………………………
□フォレスティナ首都 主要施設
郊外:緑の大森林、農園、果樹園、精霊の泉、おうちの木、森林開発現場、他
首都:露店通り、大樹の宿、武具店、雑貨店、魔法店、工芸品店、八百屋、甘味処、食事処、冒険者ギルド、他
聖域:世界樹 ※許可なき者は聖域に入れません
……………………………………………………………………………………
―朝
大樹の宿 客室
イリス「すっごく喜んでくれてたね……!」
クロシュ「うん……!」
ミスティ「ええ……。ふふ……本当に良かったわ……」
イリス「うん、本当に良かった! 後は、選挙に向けて一直線だね!」
妖精「うへぇ……。考えたくない……」
「号外だよー! 号外ー!」バサッバサッ
イリス「ん? この声は……」
ミスティ「まさか……」
窓「」バサッ
風雪新聞「ダークヒーローイリス、建国の太母と共に緑の国の闇に抗う!!!!」バササッ
イリス「やっぱり!!!」
フォレスティナ滞在7日目です(投票日までの残り行動可能日数2)
↓1〜3 自由安価 何をする?
- 663 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/25(日) 23:02:45.58 ID:SI6QBs3E0
- 紫髪ちゃんの依頼で魔物退治に同行
- 664 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/25(日) 23:03:58.79 ID:NHwLEYG6o
- フメイちゃんのこと知らないって伝統派と革新派の面々に舐めるように聞いて回る
- 665 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/25(日) 23:04:37.66 ID:97tZ+3lwO
- 三派閥で食事会
- 666 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/25(日) 23:17:58.14 ID:D8JY08mz0
- というわけで本日はここまでです。次回は紫髪ちゃんと一緒に害獣退治編、伝統派と革新派にフメイちゃんのことを聞いて回る編、その後お食事会編です
突然発生したイベント戦闘でしたが、無事に勝利できたようで何よりです。伝統派と革新派と復権派が夢の共闘を果たしたことにより、いろいろとお話しやすくなったかもしれません。選挙に向けて頑張っていきましょう
なお魔王樹さんは、眷属を増やすという新技を見せて妖精を追い詰めましたが、実のところ永い封印と栄養の枯渇、無理な眷属の生成により戦闘開始時点で枯死寸前の状態だったようです。妖精さんはとても迂闊だったようですが、無事に勝利したことでかなしいお別れをすることもなくパーティに復帰することができました。おめでとうございます
それでは本日はありがとうございました。次回は例のごとく土日になるかと思います。よろしくお願いします
- 667 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/25(日) 23:28:15.42 ID:NHwLEYG6o
- 乙乙
これで懸念事項は対王国だけか
- 668 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/26(月) 00:25:24.90 ID:d5X025kao
- おつ
妖精さん…触手…ってそれどころじゃなくなってて樹枯れる
ミスティさんの巻き込まれ(不幸)属性とイリスのダークヒーロー属性確立したっぽい
三派手を取り合えるといいなぁ!
- 669 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/26(月) 12:49:10.05 ID:R7N4eWVIO
- 乙
おうちの木は助かったけど、魔王樹はかなしいね…
- 670 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/26(月) 16:11:38.94 ID:xGtNi7WDO
- 乙です
少し悲しい勝利だったけど、ファンタジー系の話だと報酬の精霊樹の種は浄化された魔王樹の生まれ変わりとかありそうだから、精霊樹の種は植木鉢に植えて育てながら一緒に旅したい
- 671 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/02(土) 18:51:11.90 ID:8/Urd9QA0
- 革新派以外が選挙で勝利した場合、王国への対策は必須となります。なお現状、伝統派は依然として革新派を勝たせるつもりのようです
常闇の樹海には、精霊や妖精を好んで捕食する触手生物の存在が確認されたことがあります。気を付けましょう
>>1も01を引き当ててミスティさんが怪我をすることになったのには驚きました。コンマはコンマなので仕方がありませんが、ままならないものです
最近は魔族国以外でもダークヒーローイリスの知名度が上がってきているため、トンチンカンなプロパガンダであっても意外と効果が出てしまうかもしれません
おうちの木は無事に助かり、これから少しづつその生命力を回復させていくことになるかと思われます
そして魔王樹はようやくその生を終え、フォレスティナの大地に還りました。その跡地に残されていた小さな種が魔王樹の生まれ変わりかどうかはわかりませんが、緑の国ではあらゆる生命の誕生は祝福するのが良いと考えられています。きっとその種もまた、精霊の加護に包まれていることでしょう
- 672 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/02(土) 18:52:03.21 ID:8/Urd9QA0
- ―郊外
クロシュ「今日は、こっちでやるの?」キョロキョロ
妖精「うん。例え人が少ないとしても、国民一人一人に声を届けることが大事なんだよ」
ミスティ「へえ。なんかそれっぽいわね」
イリス「私も、自分の足でしっかり地域を回ってくれる人は良いなあって思うよ」
ローガン「ううむ、しかし選挙というのは大変だな……。票を獲得するためにこうも奔走する必要があるとは……」
妖精「ほとんどの国は君主制だからねえ。多分大陸内でもフォレスティナくらいじゃないかな、選挙で国の長を決めてる国」
イリス「けっこう変わった制度って言われてるよね。妖精さんはどうしてこんな制度にしたの?」
妖精「フォレスティナっていろんな種族がいるでしょ? そんな国で特定の誰かがずっと王様をやるのはあんまり良くないと思ってさ。まあ実際には、千年間も首長をさせられ続けた奴がいたりもするんだけど……」
ミスティ「ふふ……ちゃんとした首長であれば、種族を気にする人もあまりいなかったということね……」
◇
ー郊外 道端
ピーヒョロロロ…
ア、フッケンハダ ヨウセイサンカワイイ タイボサマー!
妖精「いにしえより続く緑の大森林を守り……激化していく国際競争にも勝ち続ける……。どちらか一方だけに傾倒する必要なんてない……。私たち復権派は、全てを目指すの……」
妖精「大丈夫……。この建国の太母が、この国の過去も、未来も―――ん?」
ドドドドド…
紫髪のエルフ幼女「待ちなさい! 待て!!」タッタッタッ
イリス「あ、あれは……!?」
↓1
01-05 ??
06-35 狂い咲きアルラウネ
36-65 マノシシの群れ
66-95 脱走マンドラ大根
96-00 フォレスティナミドリガニ
- 673 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/02(土) 18:53:30.36 ID:C91FZY3DO
- はい
- 674 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/02(土) 19:22:03.70 ID:8/Urd9QA0
- マノシシの群れ「ブヒーッ!!」ドドドドド
ミスティ「黒い……イノシシ!?」ザッ
イリス「図鑑で見たことある! あれマノシシってやつだ! でも生息地は常闇の樹海浅層のはずなのに……」
紫髪のエルフ幼女「復権派!? 丁度良い、そいつらを止めて!!」タッタッタッ
ローガン「言われずともそのつもりだ! 皆、構えろ!」シャキン
盾クロシュ「!」シャキン
妖精「民よ、私の後ろへ。次期首長として、責務を果たしましょう……」キラキラ
――戦闘開始
↓1
01-05 痛恨
06-15 劣勢
16-95 優勢
96-00 会心
- 675 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/02(土) 19:22:53.70 ID:hbOE93DQ0
- あ
- 676 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/02(土) 19:36:01.57 ID:8/Urd9QA0
- マノシシの群れ「ブヒーッ!!」ドドドドド
ドゴンッ!!
盾クロシュ「んんーっ!!」ズザザザッ
ローガン「踏ん張れ、クロシュくん……!!」ズザザッ
妖精「クロシュ、あなたに精霊の加護を授けましょう――」キラキラ
イリス「私たちは突破してきたマノシシを迎え撃とう!」
ミスティ「ええ!」
マノシシ「ブヒーッ!!」ドドド
イリス「来た!」
ミスティ「これで!!」ヒュオオ―
氷の壁「」ガギン!!
激突するマノシシ「ブヒウーッ!!!」ドゴン!!
イリス「大人しくして! 水よ!」
泡「」ポワン
マノシシ「ブヒッ…」ジタバタ
紫髪のエルフ幼女「はあ、はあ……! 助かります……!!」タッタッタッ
↓1
01-05 痛恨
06-15 劣勢
16-95 勝利
96-00 勝利+??
- 677 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/02(土) 19:37:13.91 ID:DQxUkGF8O
- や
- 678 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/02(土) 19:37:30.35 ID:MiqS3FRL0
- どっせい
- 679 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/02(土) 21:03:09.61 ID:8/Urd9QA0
- ガギンッ! ドガッ! バキャッ!!
制圧されたマノシシの群れ「ブヒ…」
妖精「哀れなマノシシたち……。なぜここに姿を現したのか……言葉を持たぬあなたたちに問うても、仕方のないことね……」
ワーワー!! タイボサマー!! フッケンハスゴイ!
*
紫髪のエルフ幼女「ふう……本当に助かりました。街中では不用意に地属性魔法を使うわけにもいかず……」
イリス「ええと、でもどうしてマノシシがここに? 確かに常闇の樹海と緑の森は隣接していますけれど……」
紫髪のエルフ幼女「……原因は不明です。腹をすかせてこちらまで餌を探しに来たのか……」
クロシュ「えと……マノシシさん、おなかすいてたの……?」
紫髪のエルフ幼女「仮説の一つです。実際の原因は現地に行って調べなければわからないでしょう」
ミスティ「そういえば冒険者ギルドにも常闇の樹海の調査員募集があったわね……」
紫髪のエルフ幼女「ああ、あの依頼は私たちと冒険者ギルドが共同で貼り出したものですね。冒険者ギルドは周辺各国と連携して樹海の闇を解き明かそうとしているようです。私たちももちろんそれに協力を惜しまないつもりなのですが――」
ローガン「……その様子では、調査は遅々として進んでいないようだな」
紫髪のエルフ幼女「……ええ。仰る通り、樹海の調査は順調とはとても言い難い状況が続いています。深層に進んだまま帰らない調査員は数知れず……。樹海と地続きの緑の森に住む私たちにとっては全く気の休まらない状況なのです。しかも最近は人間至上主義を掲げるセイントレア王国も台頭してきて……」
イリス「うわあ、王国と常闇の樹海に若干挟まれてるんだ、この国……」
妖精「常闇の樹海は昔っからあんな感じだからどうしようもないっちゃどうしようもないんだよね。森が地続きだから魔族国みたいに防壁を建造するわけにもいかないし」
紫髪のエルフ幼女「ええ……。まあ王国と違い、悪意をもって侵略してくることはないのでそこまで急を要する問題ではないのが救いですが」
*
- 680 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/02(土) 21:03:40.76 ID:8/Urd9QA0
- ―首長官邸
ティセリア「お疲れ様、サリー。そしてご助力感謝致します、復権派の皆さん」
ミスティ「……当然のことをしただけよ。感謝する必要はないわ……」
ティセリア「まあそう言わず。あなたがたの活躍で多くの被害を未然に防ぐことができたのです。いち緑の国の民として、是非お礼をさせてください」
クロシュ「おれい……」
ティセリア「はい。何か、私たちにして欲しいことはありますか?」
妖精「……じゃあ選挙で復権派を――」
ティセリア「それ以外で!」
妖精「ケチ!」
ティセリア「私たちの不正を糾弾した口で不正を持ちかけるのはどういう了見ですか!!」
妖精「ま、まだ選挙で復権派をとしか言ってないし……」アセアセ
ティセリア「まだということはその後言うつもりだったのでしょう!! 勝たせろ、と!!!」
妖精「う、うぐぐ……」
イリス「よ、妖精さん……。それは筋が通らないよ……」
ミスティ「はあ、もう……。でもお礼か……。ローガンさんは何かある……?」
ローガン「君たちに任せよう。私の欲するものは、既に持っているか、あるいは二度と届かぬものしかない」
ミスティ「それはそれで難しい話ね……。うーん……私も今すぐ欲しいものは特にないかしら……」
イリス「私も特には。自分の魔法については自分で解き明かしたいし。ということで……クロシュちゃん!」
クロシュ「?」
イリス「フメイちゃんのこと、もっといっぱい探してって頼んじゃおうよ!」
クロシュ「!」
ミスティ「……ごめんなさい、私がこの国の問題に首を突っ込んだからあまり探せていないのよね……」
クロシュ「んーん……。ミスティさんのやりたいことも……この国のことも……大事、だから……」
ミスティ「クロシュ……ありがとう……」
ローガン「うむ……! 私もそれが良いと思う。せっかくお国の人に頼めるチャンスなのだ、生かさぬ手はない」
妖精「まあそうだね。選挙活動ばっかりで後回しにしちゃってて悪かったよ。ティセリアたちにも探してもらおう」
クロシュ「うん……!」
ティセリア「クロシュちゃんのお友達、フメイちゃんの捜索ですね。彼女のビラはこちらでも一枚預かっております。そして現在集まっている目撃情報ですが――」
↓1
01-60 郊外の方で黒髪の幼女が薄茶髪の少女と一緒にいた
61-90 露店通りで食べ歩いていた
91-00 聖域付近をうろついていた
- 681 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/02(土) 21:05:54.63 ID:hbOE93DQ0
- どうだ
- 682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/02(土) 22:04:09.22 ID:ZbHHMC1Fo
- 隠れる気なさそうで草
- 683 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/02(土) 22:06:04.49 ID:8/Urd9QA0
- ―ある日
露店通り
アリシラ?「あれ美味しそうじゃない? 食べてみようよぉ」グイグイ
ヤマイモ餅屋台の森妖精「ヤマイモ餅あるよ〜。焼き立てホヤホヤのヤマイモ餅だよ〜」
フメイ「ヤマイモ餅……? 美味しそうだけど……お金、もうあんまりないんじゃないの」
アリシラ?「フッフッフ、実はあるんだよねえ」スッ
金貨袋「」ジャラッ
フメイ「!? ど、どこで拾ってきたの?」
アリシラ?「妖精の密猟者っぽい奴らがいたから、ちょっと永眠してもらってぇ……そしたら誰の持ち物でもないお金を見つけたの!!」
フメイ「……いつの間に追い剥ぎなんてしてたの?」
アリシラ?「フメイちゃんがおねんねしてる間かな? でも追い剥ぎなんて人聞き悪いなあ。私はあの人たちが現世でこれ以上罪を重ねないよう、終わらせてあげただけだよ?」
フメイ「……そういう考え方もあるんだ」
アリシラ?「生きとし生けるものは、生まれながらに罪を背負い……生きている限り、さらなる罪を重ね続けるの……。だからそれを終わらせてあげるのもまた、救いの一つなんだよ」
フメイ「わかるような、わからないような……」
アリシラ?「うふふ……フメイちゃんはクロシュちゃんのことだけを考えていれば良いと思うよ。でも今はヤマイモ餅のことも考えよう!」
*
ヤマイモ餅屋台の森妖精「ありがと〜。熱いうちに食べてね〜」
ヤマイモ餅「」ホカホカ
フメイ「……」ジュルリ
アリシラ?「じゃあいただきま〜す! はむっ、はふはふ、あふい!」アチチ
フメイ「いただきます。はむ……もぐもぐ……」モグモグ
アリシラ?「わあ、流石炎のフメイちゃん! 熱いのも平気なんだねえ」
フメイ「ごくん……。あなたが猫舌なだけでしょ……」
アリシラ?「そうかなあ? ふふ、でも私って体が弱いみたいだし熱さにも弱いのかもねえ」
フメイ「……はむ。もぐもぐ……」モグモグ
フメイ(ヤマイモ餅は、とても美味しかった)
フメイ(……クロシュと一緒に……食べたいな……)
フメイ(…………アリシラ、ずっとこのままなのかな……)
◆
- 684 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/02(土) 22:07:22.63 ID:8/Urd9QA0
- ―首長官邸
ティセリア「――露店通りで、クロシュちゃんと同じ姿の黒髪の女の子が、薄茶髪の少女と一緒にヤマイモ餅を食べている姿が目撃されたようです」
クロシュ「!!」ガタッ
妖精「本当にここに来てたんだ! フラナたちの情報を疑ってたわけじゃないけど――」
イリス「でもこれは大きな前進だよ! フメイちゃんたちもこの国に滞在してて、しかもけっこう私たちの知くにいるかもしれないってことでしょ!?」
ミスティ「露店通りと言えば、本当に近い可能性があるわね……。ニアミスしてるかも……」
ローガン「その時の様子や、どんな話をしていたかもなどもわかるだろうか」
ティセリア「熱いのが平気とか、猫舌がどうとか……だそうです」
イリス「……な、なんか普通の会話だね」
ミスティ「意外と満喫しているのかしら……」
クロシュ「……フメイちゃん、熱いの平気で……アリシラさん、猫舌だった……」
ローガン「うむ……二人の特徴とは一致しているわけだな……」
ミスティ「……もっと目撃情報が欲しいわね。たまたま露店通りを通っただけで、いつもは全然別の場所にいるかもしれないし……」
イリス「そうだね……。ティセリアさん、他に目撃情報はないですか?」
ティセリア「ごめんなさい、私たちが掴んでいるのはこれくらいで……。元々人通りの多い時期ですから、人混みに紛れてしまうとなかなか難しいのです……」
妖精「まあそればかりは仕方ないか……。そうだクロシュ、あなた革新派の奴らにもビラを渡したんでしょ? あいつらにも聞いてみようよ」
クロシュ「!」
ティセリア「なるほど、革新派ですか……。あの若造が皆さんに失礼なことを言わないか心配なので、私も同行しましょう……」スッ
◆
- 685 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/02(土) 22:22:27.96 ID:8/Urd9QA0
- ―森林開発現場
マーベル「……ここの地質も問題なし。やはりあの魔王樹が異常の原因だったと考えて――」
ティセリア「マーベル。ここにいたのですね」スタスタ
マーベル「あなたがたは……伝統派のおばさま方と復権派の大老ではありませんか」
妖精「うるさいよ若年老害」
紫髪のエルフ幼女「躾のなってないガキは嫌いですね」
ティセリア「ああもう、やめなさい! マーベルは煽らないで、妖精とサリーも乗らないで! 私たちはこんな煽り合いをしに来たわけではありません!」
マーベル「何だ、用があったのなら先に言ってくださいよ」
ティセリア「何か言う前にあなたが煽ってきたのでしょう……」ゲンナリ
*
マーベル「ああ、あのビラの子の件か! もちろん俺たち革新派でも目撃情報を集めてはいるが――」
↓1
01-60 郊外の方で黒髪の幼女が薄茶髪の少女と一緒にいた
61-90 露店通りで食べ歩いていた
91-00 聖域付近をうろついていた
- 686 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/02(土) 22:22:53.21 ID:98lh4wjI0
- あ
- 687 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/02(土) 23:46:43.39 ID:8/Urd9QA0
- ―ある日
郊外
焚き火「」パチパチ
アリシラ?「ねえフメイちゃん……」
フメイ「なに」
アリシラ?「……テント……買わない?」
フメイ「……」
アリシラ?「いや、フメイちゃんが野宿が平気な女の子だっていうのはもうわかったから……。温室育ちのアリシラちゃんは、もうちょっとマシな環境で寝泊まりしたいなあって……」
フメイ「……そういうとこは、元のアリシラと同じなんだ」
アリシラ?「テントどころか寝袋もなしに地面で熟睡できるフメイちゃんがおかしいだけだと思うんだけどなあ……」
フメイ「クロシュも地面で熟睡できてたけど……」
アリシラ?「クロシュちゃんはスライムだから、お布団を使う必要があんまりないだけだと思うなあ」
フメイ「……」
アリシラ?「フメイちゃんもさ、炎の魔力が体の内側でぽかぽかしてるから、お布団いらなかったりするんじゃない?」
フメイ「……フメイだって、固い地面で寝るのが好きなわけじゃない。まあ、暑さとか寒さには確かに他の人より強いような気もするけど……」
アリシラ?「でしょお? でもか弱いアリシラちゃんは、か弱いからお布団がいっぱい必要なの。わかるよね?」
フメイ「まあ……」
アリシラ?「というわけでちょっくら買ってくるから! テントと寝袋! フメイちゃんの分もね!」
フメイ「あ、うん」
*
不格好なテント「」
アリシラ?「……テントを張るのって難しいんだね」
フメイ「……うん。こんなに難しいなんて知らなかった……」
アリシラ?「まあでも、これで私たちも一国一城の主! 雨風を凌げる場所で存分に寝よう!」
フメイ「うん」
*
- 688 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/02(土) 23:47:50.17 ID:8/Urd9QA0
- ―不格好なテント内
ランプ「」ユラユラ
アリシラ「それじゃあ灯り消すよ〜」
フメイ「うん」
ランプ「」フッ
アリシラ「おやすみ〜」
フメイ「うん……」
フメイ「……」
アリシラ「……」zzz
フメイ「……」
フメイ(テントの外から、そよ風の音と虫の声が聞こえる)
フメイ(でもこのテントの中は真っ暗で、何も見えない。まるでここだけ、外から切り離されてしまったかのよう)
フメイ(……もしここが、あの集落だったら……)
フメイ(クロシュと、みんなと、こうやって……テントのお泊りを楽んでいるのだったら……)
フメイ(どれだけ………)ジワ…
ポロポロ グスッ スンッ ポロポロ
アリシラ?(……)
アリシラ?(フメイちゃんも……まだ、赤ちゃんみたいなものだもんねえ……)
アリシラ?(ああ――どうして世界は、この無垢なる子供たちに、かくも残酷な運命を強いるのでしょう――)
アリシラ?(――ごめんね。でも、だからこそ……利用させてもらうよ。あなたの、炎を)
アリシラ?(この最悪の世界を――焼き尽くして、終わらせる為に――)
◆
- 689 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/02(土) 23:48:41.16 ID:8/Urd9QA0
- ―森林開発現場
マーベル「郊外の空き地で、そこのクロシュちゃんと同じ容姿の女の子と薄茶髪の少女がテントを設営していたらしい」
クロシュ「!!」
マーベル「だがその情報を聞いたのは実際に目撃した翌日でな……。俺たちは急いで現地に向かったんだが、そこには焚き火の跡が残っているくらいで既に誰もいなかった」
イリス「フメイちゃんともう一人の人は、テントで寝泊まりしながら郊外を転々としている……ということ!?」
マーベル「まあその可能性は高いだろうな。だが郊外と一口に言ってもかなり広い。毎日寝床を変えているとなると見つけるのは簡単じゃないぜ。ただでさえ今の時期は他にもテントを張って寝泊まりしてる観光客や冒険者が大勢いるからな」
ミスティ「でもこれも大きな前進よ……! 寝泊まりは郊外で、日中は首都にやってきて何かをしているということなのかも……!」
ティセリア「しかし、一体どういう状況なのでしょう? この国へ来ているのなら、どこかであのビラを見ることもあるでしょうし、それならクロシュちゃんに直接会いに来てもおかしくなさそうなものですが……」
妖精「あー、それはまあ、ちょっと込み入った事情があってね……」
マーベル「家出とかか?」
妖精「家出……言われてみれば、家出みたいなものなのかも」
クロシュ「……」
ティセリア「……私たちも目を増やしましょう。マノシシの件のみならず、魔王樹の討伐などについても、あなたたち復権派には大きな恩がありますから」
マーベル「まあ、俺もできる範囲で探しといてやる。元はと言えばあの魔王樹のせいで開発に支障が出たわけだからな。借りっぱなしは性に合わねえ」
クロシュ「えと……ありがと、ございます」ペコリ
ティセリア「いえいえ、恩を返すだけですから!」
マーベル「おう。借りを返すだけだ。礼はいらねえぜ」
妖精「だってさ。何にしても良い感じに進みそうだね、クロシュ」
クロシュ「うん……!」
ティセリア「ところで皆さん、本日は一緒にお夕飯などいかがですか?」
マーベル「は?」
妖精「いいよ」
イリス「え、ええと」
ミスティ「いいのかしら……?」
ティセリア「はい。昨晩の戦は急だったので、終わった後はそのままへとへとで解散してしまいましたが、祝勝会をやっていなかったなあと思いまして」
ローガン「なるほど……。確かに、魔王を倒したのであれば祝杯くらいは上げたいものですな」
マーベル「いや、だがこのタイミングで祝勝会って……。もう選挙まで日も少ないのに呑気すぎるだろ……」
紫髪のエルフ幼女「これが伝統派のやり方です。で、あなたは来るんですか?」
マーベル「……行くが。伝統派と復権派だけで食事会なんてどんな談合が行われるかわかったもんじゃねえ」
ティセリア「決まりですね! では突発的ですが、三派閥で食事会です!」
◇
- 690 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/02(土) 23:49:20.43 ID:8/Urd9QA0
- 本日はここまでです。次回は食事会編からとなります
フメイちゃんとアリシラ?さんは隠れる気があるんだかないんだかわからない行動をしているようです。ばったり街中でクロシュちゃんと会ってしまったらどうするつもりなのでしょう。多分、どうするつもりでもないのでしょう。実際のところ、フメイちゃんはばったりクロシュちゃんと会いたいとすら思っているかもしれません。偶然なら仕方ないよね、くらいの甘えがあっても良いと思います
それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします
- 691 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/03(日) 01:08:08.61 ID:J8snD3daO
- 乙
アリシラ?さんラスボス説
- 692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/03(日) 01:57:19.19 ID:fUICvygXo
- 乙
今ならフメイに会いに行くとかコンマだけど通りそうな感出てきたなw
そしてアリシラ?さんの中味やべー奴だこいつ
- 693 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/03(日) 13:41:37.47 ID:i4Lm5S3eO
- 王国だけだと敵が足りないからねアリシラさんには頑張って貰いたいね光堕ちしそうだけど
- 694 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/03(日) 15:03:55.66 ID:T98ojF2DO
- 乙です
個人的にはアリシラ?さんは>>67の時の頃のアリシラの人格を取り戻してまたクロシュやフメイと一緒に仲良くやって欲しいから、当時の人格はまだいきていて欲しいな
- 695 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/03(日) 18:13:33.39 ID:sMwqW2700
- アリシラ?さんが今後クロシュちゃんたちの前に立ちふさがるかどうかは今のところわかりませんが、彼女は少々変わった価値観を持ち、世界を破壊しようとしているようです
また、以前のアリシラ氏であれば知り得ないはずのことを知っていたり独特の価値観を披露したりなど人格が異なっているかのような言動を繰り返していますが、野宿や熱いものが苦手だったりなど、以前のアリシラ氏と共通する面も有しているようです。完全に何者かに成り代わられてしまったわけではないのかもしれません。真相は闇に包まれています
自由行動でフメイちゃんを捜すことももちろん可能です。成否はコンマ次第ではありますが、ビラ配り効果や目撃情報なども集まってきているため、全く手がかりなしで捜すよりは成功率が高くなっているかと思います
- 696 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/03(日) 18:14:46.20 ID:sMwqW2700
- ―夕方
どんぐり食堂
ワイワイ キャッキャ
ミスティ「祝勝会もここなのね」
紫髪のエルフ幼女「見かけこそ庶民的ですが、ここは食材も料理人も最高水準です。他の国の三ツ星店にも引けを取りません」
ティセリア「産地直送でお値段も抑え、誰でも気軽にご利用いただけるようにあえて庶民的な雰囲気にしているそうですよ」
食堂妖精「そうそう! いかにも高級って感じの雰囲気だと気後れしちゃうからね〜」
イリス「へ〜そうなんですね。でも確かにこっちの方が親しみやすいと思います!」
セイン「……」
クロシュ「……」
妖精「あら、あなたもいたんだ」
セイン「ああ。魔王樹との戦には参加できなかったが」
マーベル「護衛なのに護衛してくれねえんだよ、こいつ。いつもふらっとどっか行っちまうし」
セイン「逆だ。何も言わずどこかに行くのはマーベルの方だろう」
マーベル「そうだっけか? 悪いな、護衛を連れるってのがどうも慣れなくてな」
ローガン「セインくんもなかなか苦労をしているようだな……」
食堂妖精「それで、今日の食材はどうするの?」
↓1〜2 食材を1〜2つ選択
肉類:畑の肉、マノシシ肉(期間限定)
野菜:食べられる野草、マンドラ大根、マジカルトリュフ、森ニンジン、ゴボウの根っこ
穀物:ウルティ米、パン、ヤマイモ
魚介:サワガニ、ザリガニ、淡水海竜の大トロ
果実:森林木苺、どんぐり、精霊樹の果実
卵乳:ニワトリの卵、エルフミルク、エルフチーズ、エルフバター
特殊:アルラウネオイル、スライムゼラチン、フェアリーシロップ
※表にない調味料などが使われることもあります
- 697 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/03(日) 18:23:20.04 ID:Q8BUp91CO
- 海竜の大トロ、マノシシ肉
- 698 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/03(日) 18:23:46.61 ID:hOJrVWiLo
- マンドラ大根
スライムゼラチン
- 699 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/03(日) 21:28:39.31 ID:sMwqW2700
- ミスティ「前回はデザートみたいな感じだったけど、今回はどうする……?」
イリス「せっかくだから今回はがっつりいきたいかも!」
紫髪のエルフ幼女「がっつりいくのなら、本日最適の食材があります」スッ
メニュー表「マノシシ肉(期間限定)」
ローガン「これは……もしや!」
ティセリア「はい。あなたがたに制圧していただいたマノシシたちの肉を加工し、このどんぐり食堂に納入しました」
ミスティ「マノシシって食べられるのね……」
紫髪のエルフ幼女「常闇の樹海出身の生物は全体的に黒みがかっているため敬遠されがちですが、マノシシの肉に毒性はなく、味もイノシシ肉とさほど変わらないものです」
マーベル「ちょっとクセは強いけどな。俺は嫌いじゃない」
イリス「じゃあ一つはマノシシ肉にしようよ! 私たちのお手柄でもあるんだしさ」
ミスティ「そうね……。そういえば前も気になったのだけど……淡水海竜って、矛盾してないかしら……。海竜なのに、淡水って……」
紫髪のエルフ幼女「ああ……きっと、初めて海竜が発見されたのは海だったんでしょうね。だから当時の発見者たちはその竜を海竜と名付けてしまい……」
イリス「そっか……! 後になって、淡水域に生息する海竜の仲間が発見されちゃったんだ……!」
紫髪のエルフ幼女「恐らくはそういうことなのだと考えられます」
ミスティ「なるほどね……。合点がいったわ……」
妖精「そういえば大トロって生で食べるんだっけ……?」
紫髪のエルフ幼女「はい。このフォレスティナでも、魚類を生で食べる文化が浸透してきたのはごく最近のことですが」
マーベル「大陸より東の文化圏じゃ昔から生で食ってたらしいがな」
妖精「う〜ん……でも魚を生で食べたりして大丈夫なの? なんか気持ち悪くなりそう……」
マーベル「なんだい、おばあちゃん大トロ食ったことねえの? じゃあせっかくだから頼もうぜ、大トロ!」
妖精「ええっ!? い、いらないよ! ていうかおばあちゃん言うな!」
マーベル「一度食ってみろって! 絶対美味いから!」
妖精「うへぇ……」
ティセリア「妖精ほど長く生きていても、食べたことのない食材があるのですね……。さて、あと二品は……」
- 700 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/03(日) 21:29:09.53 ID:sMwqW2700
- マーベル「セイン、お前は何か食いたい食材とかないのか?」
セイン「特にない。だが出されたものはなんでも食べるつもりだ」
イリス「あ、ローガンさんも似たようなこと言ってましたよね」
ローガン「そうだったろうか……。まあ、私も出されたものはなんでも食そう。皆で好きに選ぶと良い」
紫髪のエルフ幼女「セインさんとローガンさんは紳士的で奥ゆかしい方なのですね。私も普段からこの食堂を利用しているので……ティセリアはどうしますか?」
ティセリア「私もいつも美味しいものを食べさせてもらっていますから、復権派の皆さんに選んでいただきたく思います」
ミスティ「……それじゃあ、肉と魚でこってりしているから……野菜も入れたいわ……。マンドラ大根、良いかしら……?」
イリス「た、確かにお肉とお魚じゃ重いよね……! 良いと思う! それじゃあ、あと一品だけど……クロシュちゃん、どれが良いとかある?」
クロシュ「……えと……この、スライムゼラチン、っていうのは……?」
紫髪のエルフ幼女「これは森スライムの皆さんから分けていただいているスライム性ゼラチンです。美容と健康にとても良いと多くの種族の女性から好評をいただいている人気食材の一つなんですよ」
クロシュ「……わたしからも、出せる……? ゼラチン……」
紫髪のエルフ幼女「それは……わかりません。私たちが契約しているのは他種族が食しても問題のない種の森スライムの方々なので……黒いスライムであるクロシュさんの体から採れるゼラチンを他種族が摂取しても問題ないかは、一度調べてみないとわからないかと」
クロシュ「そうなんだ……」
妖精「なあに、もしかして自分から採れたゼラチンをみんなに食べさせたいの?」
クロシュ「え、えと……体に、良いなら……。非常食代わりにも、なるかも……」
イリス「いやいやいや! クロシュちゃんを非常食代わりになんてしないよ!?」
ミスティ「何を言っているのよ、もう……。クロシュを食べたりなんてしないわよ……」
妖精「ほんとにもう、この赤ちゃんスライムは……」
ローガン「フッ……他のメンバーはともかく、クロシュくんはやはり放っておけんな……」
紫髪のエルフ幼女「復権派の皆さんが、クロシュさんのお友達を一緒に捜してあげている理由が少しわかる気がします」
ティセリア「ふふ、ええ……。クロシュちゃんは優しい子なのですね」
マーベル「危うい優しさだがな。俺もそこのおっさんと同意見だ、もしパーティメンバーだったら放っておけん」
ローガン「私はマーベル氏よりも遥かに年下なのだが……」
セイン「……」
◇
- 701 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/03(日) 21:30:54.65 ID:sMwqW2700
-
薄切り大根と角煮マノシシ肉のスライムあんかけ大トロカルパッチョ「」ジャン!
ミスティ「こ、これは……初めて見る料理だわ……。カルパッチョ、と言うの……?」
食堂妖精「うん! 見た目はちょっと独創的だけど、味はしっかり美味しいから安心してよ!」
イリス「盛り付けの仕方も勉強になるなあ……」
ティセリア「それでは料理も揃ったので、皆さん祝杯の準備を」
マーベル「はいよ」スッ
セイン「……」スッ
ミスティ「祝杯なんて、いつぶりかしら……」スッ
イリス「私もすっごい久し振りかも……。魔族国では復興最優先でそんな余裕なかったもんねえ」スッ
ローガン「次に魔族国に立ち寄ることがあれば、改めて上げたいものだな」スッ
妖精「ほらクロシュも、グラスを持って」クイクイ
クロシュ「えと……こ、こう……?」
紫髪のエルフ幼女「お願いします、ティセリア」
ティセリア「はい! それでは――今回の勝利を祝い、この国の輝かしい未来を祈って――」
「乾杯!」カチャン!
*
- 702 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/03(日) 21:32:09.96 ID:sMwqW2700
-
イリス「もぐもぐ……ごくん。これ美味しいかも……!」
ミスティ「ええ……! 実をいうと私もスライムあんかけと大トロは初めてだったんだけど、美味しく感じるわ……!」
ローガン「これは……! 柔らかく煮込まれたマノシシの角煮と冷たくも濃厚な大トロの二つがスライムあんかけによって絶妙な味を作り出している……! そして大根の薄切りがアクセントとなってそれを引き立てているのも見逃せん……!」
紫髪のエルフ幼女「ふふふ、流石はどんぐり食堂です。やはりここに来て正解でしたね、ティセリア」
ティセリア「ええ。こうやって、食材を選んで出てきた予想外の料理を楽しむのもこの店の楽しさですよね」
マーベル「で、どうよおばあちゃん。美味いだろ? ちょっと俺が想像してた大トロとは違ったけどな!」
妖精「もぐもぐ……。なんか……不思議な味と食感……。まあ、悪くはないけど……。あとおばあちゃん言うな」モグモグ
クロシュ「もぐもぐ」モグモグ
妖精「クロシュ、スライムの姿で食べても良いよ。緑の国ならスライムの姿を気にする人はいないから」
クロシュ「! う、うん……ありがと」デロデロ
スライムクロシュ「〜〜♪」モニョモニョ モグモグ
セイン「……」モグモグ
☆各派閥の親交が深まりました
◆
- 703 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/03(日) 22:36:49.74 ID:sMwqW2700
- ―緑の国フォレスティナ 滞在8日目
◆パーティメンバー
◇クロシュ 武:鉄の小盾 防:旅人の服
◇妖精 武:なし 防:蜘蛛絹のレオタード
◇イリス 武:精霊樹の杖 防:魔術師のローブ
◇ミスティ 武:魔銀の短剣 防:旅人のローブ
◇ローガン 武:鋼の剣 防:鎖帷子
◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹×2
・運命賽
・雨乞い傘
・精霊樹の種
◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・選挙で勝つ
◯仲間の目標
・星の魔力を読む[2/4](イリス)
……………………………………………………………………………………
□フォレスティナ首都 主要施設
郊外:緑の大森林、農園、果樹園、精霊の泉、おうちの木、森林開発現場、他
首都:露店通り、大樹の宿、武具店、雑貨店、魔法店、工芸品店、八百屋、甘味処、食事処、冒険者ギルド、他
聖域:世界樹 ※許可なき者は聖域に入れません
- 704 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/03(日) 22:37:51.47 ID:sMwqW2700
- ―朝
大樹の宿 ロビー
チュンチュン
イリス「昨日は楽しかったなあ……!」
スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ
ローガン「うむ……! 私も久し振りに羽目を外せた気分だ」
ミスティ「ええ……。伝統派と革新派の人たちのことを……少しだけ知れたような気がするわ……」
妖精「明日には票を巡って争う相手だけどね……」
イリス「はっ……! も、もう明日だっけ!? 投票日!!」
ローガン「明日だな……」
妖精「まあやれるだけのことはやってきたと思うし、後はなるようになるよ」
イリス「で、でも勝てるかなあ……。もし私たちが負けちゃったら、この国は王国の靴を舐めることになるんでしょ……?」
ミスティ「私たちが勝ったら、靴を舐めるどころじゃ済まなくなる可能性もあるけどね……。でも対策はあるんでしょ? 妖精」
妖精「……まあ、ないわけじゃないよ。でもマーベルは絶対に反対するだろうし……ティセリアは……どうだろう」
イリス「え、ええ……? それ、どういう対策なの……?」
妖精「聖域の範囲を緑の国全域まで広げて、フォレスティナを完全に鎖国する」
イリス&ミスティ&ローガン「!!?」
妖精「自由な往来は妖精と精霊と、あとは一部の認められた者だけしか行えなくなる。聖域を広げる際に適切な選別を行えば観光客や冒険者も聖域外に追い出せるし、あのセインってやつもそれは例外じゃない。だからフォレスティナの安全は確実に保てるようになるよ」
イリス「そ、それはそうかもしれないけど……!」
妖精「王国に滅ぼされるか、王国の靴を舐めるか、閉じた楽園にみんなで引きこもかの三択なんだよ。その中なら一番マシでしょ」
ミスティ「……私たちは、どうなるの?」
妖精「確実に外患とならないことがわかっている者には、聖域の通行許可を与える。まあ、最初はあなたたちくらいだけどね」
スライムクロシュ「〜」モニョ…
妖精「大丈夫。フメイも聖域の中にいれたままにしてあげるから。聖域を閉じた後、みんなで捜せばきっと見つかるよ」
ローガン「……しかし、国民は納得するだろうか? 彼らの理解を得られないまま強行するのは危険だと思うのだが……」
妖精「世界樹の意思ってことにすれば良い。私の意図で行えば反対も出るだろうけど、世界樹が気まぐれに聖域を広げたのなら受け入れざるを得ないよ。世界樹は、この国の根幹なんだもん」
イリス「……そもそも、妖精さんの手で聖域を広げることなんて可能なの? それこそ、世界樹自身でもないのに」
妖精「私を誰だと思っているの? 千年間も世界樹の近くにいて、この国を支え続けた建国の太母だよ? 聖域の結界はとっくの昔に解析済みだし、範囲を変更する手法も確立してる……ていうか今の聖域も実は範囲を変更した後なんだよね」
イリス「え、ええ!? そうだったの!?」
妖精「うん。元々、世界樹の結界は緑の森を覆うくらい広かったんだよ。でもそれじゃ往来に不便だったから、建国の時に私が手を加えたの。だからまあ、厳密に言えば聖域を広げるっていうよりは元の広さに戻すって感じかな」
ミスティ「元に戻すだけ……確かに、それなら仕方ないような気もするわ……」
イリス「う〜ん……それしかないのかな……」
ローガン「……気持ち的には納得し難いところだが……これより良い作戦も思いつかん……」
妖精「まあ、納得できない気持ちはわかるよ……。でも国際競争なんかに挑んだって、その行く末はきっと慈悲も仁義もない弱肉強食だもん。だったら閉じた聖域の中で、食うのも食われるのも最小限に留めて穏やかに暮らした方が良いと私は思う」
イリス「……そうなの、かも……?」
ミスティ「……そうね。異議はないわ……。あの森妖精の子も……きっとその方が、穏やかに暮らせるだろうし……」
ローガン「……奪うことも奪われることもなく、穏やかに暮らせるのなら……それに越したことはない、か……」
スライムクロシュ「……」
妖精「……すぐに納得してくれとは言わないよ。でも、生きることの痛みを知っているあなたたちなら……きっと、わかってくれると思う。いや、無理にわかれとも言わないけども……」
スライムクロシュ「〜〜」モニョニョ
妖精「クロシュ……ありがと」ニコ
フォレスティナ滞在8日目です(投票日までの残り行動可能日数1、選挙前最終行動です)
↓1〜3 自由安価 何をする?
- 705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/03(日) 22:39:33.20 ID:rrqZ4NBU0
- ミスティ、個人で魔法の特訓
- 706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/03(日) 22:42:46.09 ID:T98ojF2DO
- フメイとアリシラ?を目撃された所を中心に探してみる
- 707 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/03(日) 22:50:11.10 ID:hOJrVWiLo
- セインくんに王国ファッキューと喧嘩でも売る
- 708 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/03(日) 23:04:33.54 ID:sMwqW2700
- あまり進まずに申し訳ありませんが、本日はここまでとさせていただきます
次回はミスティの特訓編、フメイちゃんとアリシラ?さんを捜す編、セインくんの真意を探る編となります
突然の鎖国宣言ですが、果たして上手くいくでしょうか。それは実際にやってみなければわかりません。そもそも選挙で復権派が勝てるかどうかもわからないので、あまり気にする必要もないかと思います
そしてもう選挙の前日です。当初は険悪だった三派閥ですが、いろいろあってお食事会を楽しめる程度には仲良くなれたようです。これが実際の投票日にどのような影響を及ぼすかはわかりませんが、恐らく悪い方には傾かないことでしょう。緑の国の平和を願う気持ちは、概ねみんな共通しています
それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします
- 709 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/04(月) 01:11:03.98 ID:+Eup+wAsO
- 乙
妖精おばあちゃんかわいい
クロシュちゃんの末っ子感も良き
- 710 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/04(月) 01:22:19.08 ID:Q0tCnD3No
- おつ
またクロシュ殿が庇護欲チャームを発動しておられるぞ!
クロシュゼラチンはなんか苦そう(暴言)
- 711 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/09(土) 19:49:08.57 ID:5xNdH34H0
- 妖精おばあちゃんは国の運営に関してはともかく、個人的な趣味嗜好については割と保守的なため、生魚を食べたことがなかったようです。ちなみに緑の国のエルフは肉も魚も食べるので、細身ではない人も多く見られます
クロシュちゃんは実際、パーティの末っ子のような感じなのかもしれません。もう穀潰しではありませんが、その立ち位置はあまり変わっていないようです
クロシュゼラチンがどんな味かは、実際に食べてみないとわかりません。また、スライムゼラチンは種によって毒性があったりもするので、摂取には注意が必要です。どんぐり食堂で提供されている森スライムのゼラチンは、おおよそほとんどの生物が食しても毒性を示すことがない安心安全なゼラチンです
- 712 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/09(土) 19:49:37.70 ID:5xNdH34H0
- ―朝
大樹の宿 ロビー
ミスティ「それで……今日はどこで活動するの?」
妖精「それなんだけど、今日は各自自由行動にしない?」
イリス「えっ!? 明日選挙だよ!?」
妖精「知名度は十分上がったし、やれることも大体やったもん。あとはなるようになるよ」
ローガン「妖精くんが言うならそうなのだろう。私には未だに選挙のせの字もわからんしな……」
ミスティ「それはその通りね……。妖精がもう十分だと思ったのなら、私たちはそれを信じるしかないわ……」
妖精「まあそういうわけで私はちょっとやることあるから、みんな今日は自由に好きなことやっててね」
クロシュ「……? 妖精さん……」ジッ
妖精「この前みたいに一人で危ないことしに行くわけじゃないから大丈夫だよ。ちょっとティセリアたちと話をしてくるだけ」
ミスティ「……さっき言った作戦を話してくるのね」
妖精「そういうこと。あなたたちがいても、その……できることがないと思うからさ……」
イリス「遠回しに戦力外通告されちゃった! 事実だけど!」
ローガン「う、うむ……。実際、妖精くん以外はつい先日ここに来たばかりの部外者だからな、我々は……」
妖精「今更だけど悪かったね、この国のゴタゴタに巻き込んじゃってさ……」
ミスティ「いいえ、首を突っ込んだのは私自身の意思よ。巻き込まれたつもりはないわ」
イリス「右に同じく!」
ローガン「うむ。微力ではあろうが、建国の太母に力添えできて光栄だ」
クロシュ「ん……」コクリ
妖精「ありがと! それじゃ行ってくるよ」フワッ パタパタ
- 713 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/09(土) 19:50:17.96 ID:5xNdH34H0
- *
ミスティ「……それじゃあ、私も一人でやりたいことがあるから出るわね」スクッ
イリス「えっ? 一人で?」
ミスティ「ええ」
ローガン「相わかった。しかしいくらこの国の治安が良いと言えど……いや、君には言うまでもないか」
ミスティ「ええ、心得ているわ。元より一人で放浪してきた身だもの、警戒は怠らない」
ローガン「ならば良し」
イリス「さ、流石だなあ……」
ミスティ「日が暮れるまでには帰るわ。それじゃあ行ってくる」スタスタ
クロシュ「いってらっしゃい……」
*
クロシュ「……」
イリス「……それじゃあ私たちは、フメイちゃんを捜しに行こっか!」
クロシュ「!」
ローガン「うむ。目撃された場所を中心に捜してみるとしよう」
イリス「はい!」
クロシュ「えと……ありがと、ございます」ペコ
*
- 714 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/09(土) 19:50:46.21 ID:5xNdH34H0
- ―郊外
精霊の泉
ホーホケキョ
ポッポーホーホー
ミスティ「……」
ミスティ(先日の戦いで……私だけ、無様に攻撃を食らって気を失ってしまったわ……)
ミスティ(イリスを庇う為だった……なんてのは言い訳にしかならない……。わざわざ体を張らずとも、氷の壁を張るとか他に手はあったはずだもの……)
ミスティ(……歴戦の戦士であるローガンさん、複数属性扱えるイリス、最近戦えるようになってきたクロシュ、実は凄い人物だった妖精……。みんな、凄い人……)
ミスティ(それに比べて……私は……。かき氷が作れて、ソリを動かせるだけの女……。このままでは……みんなに、申し訳が立たないわ……)
ミスティ(強く……ならないと……)グッ
*
宙に浮く氷柱「」キラキラ
ミスティ(私の作る氷柱……相手が人や獣であればある程度は有効だけど……樹木にはまるで刃が立たなかったわ……)
ミスティ(……樹木だけじゃない。強固な装甲を纏っている相手には、同様に通じないはず……)
ミスティ(今までは自分が生き残ることさえできれば、必ずしも戦いに勝つ必要はなかったけれど……。この前みたいに、仲間の誰かが敵対者に捕まったりしたら、そうも言ってられないわね……)
ミスティ(でも、勝つ為にはどうすれば良いのかしら……。イリスみたいにしっかり魔法を学んで来たわけじゃないのが災いしたわ……。我流以外のやり方がわからない……)
ミスティ(イリスも氷属性は使えないらしいし……。ここはやはり、魔力の限り氷柱を重く鋭くしていくしか……)
↓1コンマ
01-60 燃費の悪い新技を開発
61-90 燃費の良い新技を開発
91-00 負属性への理解
- 715 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/09(土) 19:54:14.82 ID:P/dEHdxMO
- 過負荷
- 716 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/09(土) 20:31:16.07 ID:5xNdH34H0
- 宙に浮く巨大な氷柱「」グググ
バリンッ
砕け散った氷柱「」シュウウ…
ミスティ「っ、だめね……。魔力量に見合わない真似をしても、燃費が悪すぎる上に不安定……。実戦じゃとても使えないわ……」
ミスティ「……それにしても……」
砕け散った氷柱「」
ミスティ「この無理矢理大きくしようとして砕けた氷柱の破片……やけに白っぽいわね……。なんでかしら……」スッ
ミスティ「……そもそも普段から私の作る氷は妙に白みがかっているけれど……。この氷柱は特に白っぽいというか……」
ミスティ「昔、ママが作った魔法の氷はもっと透明で澄んでいたわ……。一体何が違うのかしら……」
砕け散った氷柱「」パキン…
ミスティ「……! ……これ、空気なんだわ! 製氷の精度が甘いせいで空気が混ざり込むから……!」
ミスティ「この大きくしすぎた氷柱がいつもよりさらに白っぽいのは、無理矢理大きくしたせいで普段よりさらに精度が失われていたから……!」
ミスティ「それなら空気が混ざらないように――ママの魔法みたいに、氷を作ることができれば――」グッ
◇
澄んだ透明な氷柱「」キラン…
ミスティ「……コツを掴めば意外と簡単にやれたわ。あとはこれを――」
ヒュンッ
ドスッ
大岩に深々と突き刺さった透明な氷柱「」
ミスティ「よし……。これなら岩のゴーレムが相手でも有効打を与えられるわね……」
ミスティ「ついでに、氷柱ばかりだと刺突に強い相手には不利だから――」ヒュオオ
宙に浮く氷の刃「」シャキン
宙に浮く氷塊「」ゴゴゴ
ミスティ「これで斬撃も打撃もカバーできるわ……」
ミスティ「……それにしても……コツを掴んだお陰かしら。製氷の燃費が良くなった気がするわ……。空気という不純物のせいで余計な消耗を強いられていたかも……」
ミスティ「ふう……。とりあえずまだやれそうね……私も……」
☆ミスティの製氷技術が上がりました
◆
- 717 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/09(土) 20:32:28.52 ID:5xNdH34H0
- ―露店通り
イリス「まずはここだね。ヤマイモ餅を食べてたってことは――」
ヤマイモ餅屋台の森妖精「ヤマイモ餅が食べたい? 焼き立てホヤホヤだよ〜、どうぞどうぞ〜」
イリス「ヤマイモ餅屋さん、何日か前にここへ来た二人組について知らない? 一人は――」
クロシュ「……えと……わたしに、似てる……黒髪の、女の子……」
ヤマイモ餅屋台の森妖精「あっ、この前買ってってくれたお客さん! ……に似てる子……?」
イリス「うん……。なんていうのかな……まあ、双子みたいなものなんだけど、私たちはその子を捜してるの」
ヤマイモ餅屋台の森妖精「双子ちゃんかあ〜! 迷子なの? 大変だねえ」
クロシュ「えと……薄茶色の、お姉さんも……一緒だった……?」
ヤマイモ餅屋台の森妖精「うん、一緒だったよ〜。なんだか面白い二人組だったから印象に残ってるかも〜」
ローガン「その二人組がどこへ向かったか、知らないだろうか」
ヤマイモ餅屋台の森妖精「それはわかんないな〜。私はヤマイモ餅を買って食べた後は、人混みに紛れてどっか行っちゃったと思うよ〜」
イリス「うーん、そう簡単には見つからないか……。でもありがとう! ヤマイモ餅買うね! 三本!」
ヤマイモ餅屋台の森妖精「えへへ、ありがと〜。熱いうちに食べてね〜」
*
ヤマイモ餅「」ホカホカ
イリス「いただきまーす! あむっ……あふいっ!」
ローガン「熱いうちに、と言うがこれは熱いうちは食べられん熱さだな……」
クロシュ「あむ……もぐ、もぐ……」モグモグ
イリス「わあ、クロシュちゃん凄いな! こんなに熱いのに食べれるんだ……!」
クロシュ「ごっくん……。うん……」
◇
- 718 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/09(土) 20:35:14.62 ID:5xNdH34H0
- ―郊外 空き地
焚き火跡「」
ローガン「ここだな。次の目撃現場は」
イリス「微かに、あの時食らった炎の魔力の残滓を感じる……。フメイちゃんがここにいたのは間違いないと思う」
クロシュ「フメイちゃん……」
ローガン「だがやはりここにはいないようだな……。せめて足跡が見つかれば良いのだが……」キョロキョロ
イリス「私ももっと魔力探知してみる……!」
クロシュ「……」
探索度合計100%以上でフメイちゃんを見つけます
イリスの魔力探知
↓1コンマ(目撃情報により+10)
01-05 空振り
06-35 探索度+10%
36-65 探索度+20%
66-95 探索度+40%
96-00 イリス「近くにいる!」
ローガンの斥候術
↓2コンマ(目撃情報により+10)
01-05 空振り
06-35 探索度+10%
36-65 探索度+20%
66-95 探索度+40%
96-00 ローガン「この足跡は新しいぞ!」
クロシュの発想
↓3コンマ(目撃情報により+10)
01-05 空振り
06-35 探索度+10%
36-65 探索度+20%
66-95 探索度+40%
96-00 クロシュ「フメイちゃん!」
- 719 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/09(土) 20:35:46.82 ID:3oRZ2lMwo
- 高
- 720 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/09(土) 20:35:53.65 ID:PL2k9n3S0
- あ
- 721 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/09(土) 20:38:01.97 ID:Nkdw7v6GO
- を
- 722 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/09(土) 20:38:10.31 ID:DdwxTlTuO
- あ
- 723 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/09(土) 20:38:29.29 ID:JW0mXv2k0
- えい
- 724 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/09(土) 20:46:52.35 ID:YaELrgGqo
- やるぅ!
- 725 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/09(土) 22:49:09.97 ID:5xNdH34H0
- イリス「魔力反応は……微かだけど、こっちに続いてる」
ローガン「私も足跡を発見した。方向は……イリスくんの示すものと同様だな」
イリス「本当ですか! それなら間違いなさそうです……!」
犬クロシュ「……」クンクン
イリス「わっ、クロシュちゃんいつの間に犬の姿に……!?」
犬クロシュ「……!」
犬クロシュ「」シュバッ
イリス「急に走り出さないでよぉ!」ダッ
ローガン「くっ、なんという速さだ……! しかしあの様子は、まさか――」ダッ
*
- 726 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/09(土) 22:50:11.48 ID:5xNdH34H0
- ―郊外 森の境
犬クロシュ「」シュタタタッ
デロッポンッ
クロシュ「フメイちゃん!!」トタトタ
フメイ「え……? クロ、シュ……?」
クロシュ「フメイちゃん!」
フメイ「クロシュ……どうして……」
クロシュ「…………かえろ……? 一緒に……」
フメイ「…………」
アリシラ?「あ〜クロシュちゃんだ〜! お久しぶり〜!」ヌッ
クロシュ「!」ビクッ
フメイ「……」
アリシラ?「あれぇ? 私のこと忘れちゃったの? アリシラちゃんだよぉ、お隣さんの〜」
クロシュ「え、えと……」オロオロ
フメイ「……アリシラは、少し変になってるの。放っておいてあげて」
アリシラ?「も〜、変になんてなってないよ〜」
フメイ「……」
クロシュ「……あ、アリシラさんも……。かえろ……?」
アリシラ?「ん〜? どこに?」
クロシュ「あ……」
アリシラ?「うふふ……。帰るとこなんて、ないよ。私たちの住んでたとこがどうなったか、覚えてるでしょ? お母さんもお父さんも、村のみんなも……私たち以外、みーんな死んじゃったもの」
フメイ「……」
アリシラ?「だからごめんね? クロシュちゃんと一緒には帰れないかな〜」
クロシュ「えと……でも……お墓、だけでも……」
アリシラ?「お墓かあ……。それも悪くないけど……うふふ……むしろクロシュちゃんこそ、私たちと一緒に行こうよ。この最悪の世界を、私たちと一緒に綺麗にしよう?」
クロシュ「えっ……?」
フメイ「……」
アリシラ?「クロシュちゃんも見たでしょ? 惨たらしくいたぶられ、辱められ、殺される人間たちと……人間の赤ちゃんを惨たらしくいたぶって殺しながら、哄笑を上げる魔族たちの姿を……。かつて虐げられた魔族が、立場が変わった途端に同じことをし返すの。あれはあの魔族たちが特別悪い奴らだったというわけではないんだよ? 誰だってああなるの。誰もが魔王≠ノなる可能性を秘めているの」
クロシュ「……」
アリシラ?「うふふ……怖いねぇ。でも大丈夫。クロシュちゃんを傷付けようとする者は全てこの世から追い出してあげるから。ね、フメイちゃん?」
フメイ「……うん。フメイが……みんな、焼き払う。私たちをいじめる奴らは……全員……」
クロシュ「フメイちゃん……」
アリシラ?「そういうわけだから、私たちはまだ帰れないの。お墓はいつか作ってあげたいけどね。それで……どう? クロシュちゃんも一緒に来ない?」
フメイ「……クロシュを巻き込まないで。これは、私とあなたが始めたことでしょ」
アリシラ?「クロシュちゃんに聞いてるの〜。フメイちゃんは黙っててよぉ」
クロシュ「……」
- 727 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/09(土) 22:50:52.09 ID:5xNdH34H0
-
クロシュ(アリシラ?さんの言うことも……ちょっと、わかる……)
クロシュ(まさにその時、妖精さんが言っていたように……命には、どうにもならない面がある……)
クロシュ(フメイちゃんとアリシラ?さんは……そのどうにもならないものを、どうにかしようとしているのかもしれない……)
クロシュ(でも口ぶりからすると……そのやり方もまた、きっとどうにもならないくらい悲惨なものだ……)
クロシュ(どっちに転がっても……どうにもならないことに変わりはない……)
クロシュ(わたしは……)
↓1〜3多数決
1.やっぱりどうにもならないと思う。一緒には行けない
2.やっぱりどうにかしたいけど、悲惨なやり方はだめ。一緒には行けない
- 728 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/09(土) 22:52:10.25 ID:YaELrgGqo
- 2
- 729 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/09(土) 22:52:11.02 ID:PL2k9n3S0
- 2
- 730 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/09(土) 22:52:44.56 ID:5biNd+1DO
- 2
- 731 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/09(土) 23:20:41.31 ID:5xNdH34H0
- クロシュ(……)
クロシュ(聖女さんは……あの光景を目の当たりにしながら……それでも、命は苦しめ合うだけじゃないって……魔族国でがんばってる……)
クロシュ(妖精さんも……どうにもならないと口では諦めたようなことを言いながら……今この国で、必死に奔走してる……)
クロシュ(……それに……森妖精の子のおうちだって……)
クロシュ(わたし一人じゃ、何もできなかったかもしれないけれど……みんなで諦めずにがんばったから……助けられたんだ……)
クロシュ(……)
クロシュ(どうにもならないことは、やっぱりどうにもならないかもしれないけれど……)
クロシュ(それでも……やっぱり、わたしも……)
クロシュ(諦めたくない……!)
クロシュ「……一緒に……行けない」
フメイ「……うん。クロシュは、安全なところに……」
クロシュ「んーん……。フメイちゃんも……アリシラさんも……危ないことは、やめて……やっぱり、一緒にかえろ……?」
フメイ「え……」
アリシラ?「……」
クロシュ「えと……ひどいやり方は……だめ……。それじゃあ、本当に……どうにも、ならなくなっちゃう……」
フメイ「……」
アリシラ?「まあ、優しいクロシュちゃんには向いてないとも思ってたし仕方ないかな。やっぱり私とフメイちゃんの二人でやるしかないねぇ」
フメイ「……」
アリシラ?「うふふ……もしかしてフメイちゃん、帰りたくなっちゃった?」
↓1コンマ
01-95 それでも……
96-00 帰りたくなっちゃった
- 732 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/09(土) 23:21:44.31 ID:bwRLZh0o0
- あ
- 733 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/09(土) 23:22:00.20 ID:5biNd+1DO
- はい
- 734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/09(土) 23:22:00.20 ID:JW0mXv2k0
- もうやだおうちかえるぅ!
- 735 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/10(日) 00:07:09.14 ID:R0Lzpolx0
- ―
――
――――
―燃える集落
ゴオオオ……
メラメラ… パチパチ…
燃える大人の死体「」メラメラ
燃える子供の死体「」メラメラ
燃えるスライムの死骸「」ジュクジュク…
◆
―焼け落ちた集落跡
雨「」ザァァァァ…
大人の焼死体「」
子供の焼死体「」
スライムの焼死骸「」
- 736 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/10(日) 00:08:04.45 ID:R0Lzpolx0
- ――――
――
―
フメイ「……」グッ
クロシュ「フメイちゃん……」
フメイ「……クロシュ……。ごめん……。フメイ……一緒に、帰れない……」
クロシュ「あ……」
フメイ「……みんなを焼いたの……フメイの炎、だから……。フメイに……帰る資格なんて……ない……」
クロシュ「そんな……こと……。だって、フメイちゃんは……仕方なかったもん……」
フメイ「仕方なく、ない……。フメイのせいで……みんな、死んじゃった……」
アリシラ?「……」
フメイ「だから……あの村のみんなが夢見てた……差別も暴力もない、平和な世界を……フメイが、作る……。あんなこと……二度と、起こさせないために……」
クロシュ「……フメイ、ちゃん……」
アリシラ?「ごめんねぇ。フメイちゃんも本音ではクロシュちゃんと一緒にいたいんだけどね? それ以上に、やらなっきゃならないことがあるの……」
クロシュ「……」
フメイ「……クロシュは……安全なとこで、待ってて……」
クロシュ「…………」ジワ
フメイ「……ごめんね、クロシュ。本当に……ごめんね……」
アリシラ?「うふふ……つらいねぇ……。待つ身も、待たせる身も……」
イリス「クロシュちゃーん!」タッタッタッ
ローガン「クロシュくん!」タッタッタッ
アリシラ?「あらら、クロシュちゃんの新しいお友達? 鉢合わせるのも面倒だしお暇しよっか、フメイちゃん」
フメイ「あっ……。クロシュ……! これ……!」ビリッ
スッ
フメイの服の切れ端「」
クロシュ「ふえ……?」
フメイ「涙、拭いて……。毎日熱殺菌してるから、清潔だから……」
クロシュ「あ……」
フメイ「それじゃあ、またね……!」
ボンッ!
アリシラ?「それじゃあまたねぇ、クロシュちゃん。あそうそう、選挙の日はあんまり世界樹に近付かない方が良いかもよ? じゃ!」タッタッタッ
クロシュ「あ、うん……」
*
- 737 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/10(日) 00:21:15.63 ID:R0Lzpolx0
- 本日はここまでとなります。クロシュちゃんのメンタリティにまた少し変化があったようです
今回はミスティさんが魔法のコツを掴み、フメイちゃんとの接触に成功しました
コンマ表にちらっとありましたが、ミスティさんの魔法はさらにもう一段上の可能性を秘めています。もし機会があれば、今回のようにパーティメンバーの成長を促すような行動をするのも良いかもしれません
そしてフメイちゃんを説得するのはとても難しそうに見えますが、アリシラ?さんを説得するよりは易しいかもしれません。今回ある程度のコミュニケーションが取れたのは、クロシュちゃんにとってもフメイちゃんにとっても良いことだったと思います
それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします
- 738 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/10(日) 02:49:18.41 ID:xAbX2HRfo
- 乙
なんか世界樹にやるつもりなんかフメイちゃんたち……
修行はやればいい事ある、前作でもそうだった
- 739 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/10(日) 10:11:45.95 ID:W+ELYYdDo
- 乙乙
なんかフォレスティナ編でフメイちゃん問題解決できそうな勢い
- 740 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/10(日) 15:40:15.82 ID:YjytK3sl0
- 乙
何だかんだパーティに愛着わいてるミスティさん
- 741 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/10(日) 20:24:31.25 ID:R0Lzpolx0
- フメイちゃんとアリシラ?さんが何をしようとしているかはわかりませんが、アリシラ?氏がろくでもないことを考えているのは確かだと思われます。気を付けましょう
フメイちゃんは心情的にはクロシュちゃんと一緒にいたいようなのですが、村を焼いた罪悪感やら、王国や人間等への憎しみやら、平穏な世界を作りたい願いやら、様々な感情が絡まり、折り合いが付かなくなってしまっているようです。クロシュちゃんはフメイちゃんと一緒に帰りたいだけなのに、なかなか上手くいかないようです
ミスティさんの氷魔法は、一人で旅をする中ほぼ独学で身に付けたもののため、実は意外と荒削りだったりします。そういう点では、自分の属性を正しく理解できていない状態で複数属性を使っているイリスと良い勝負かもしれません。二人ともちゃんと自分の属性を理解すればもっと凄いことができるようになります。クロシュちゃんやローガンさんも、修行をすれば良い発見があるかもしれません
実はミスティさんはこのパーティに愛着が湧いています。今まで誰も信用せずに一人で旅をしてきた彼女にとって、警戒せず一緒にいられる仲間というのはとても新鮮で心地良いものだったのかもしれません。それゆえに、パーティの仲間に迷惑をかけかねない自らの不甲斐なさが許せなかったのでしょう
- 742 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/10(日) 20:25:20.23 ID:R0Lzpolx0
- ―郊外 森の境
イリス「そっか……。説得、できなかったんだね……」
クロシュ「うん……」
イリス「……でも、フメイちゃんはクロシュちゃんのことを今でも大切に思ってくれてるんでしょ? だったら……きっと、まだ手はあるよ……!」
ローガン「うむ。しかしアリシラという子の性格が以前と大きく異なっているとのことだが、もしかするとフメイくんよりもアリシラくんの奇妙な変化について調べた方が良いかもしれんな」
イリス「そうですね……私もそれは思いました。もしかしたらフメイちゃんは、変になったアリシラちゃんに引っ張られてるのかもしれませんし……」
クロシュ「うん……。アリシラさん……前はもっと、静かで優しい人だったのに……」
ローガン「謎は深まるばかりだな……」
イリス「とりあえず今日はもう帰りましょう。そろそろミスティも戻ってるかもしれない」
クロシュ「うん……」
*
- 743 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/10(日) 20:27:12.49 ID:R0Lzpolx0
- ―夕方
郊外 街道
カァー カァー
スタスタスタ…
イリス「……」スタスタ
ローガン「……」スタスタ
クロシュ「……」ヨタヨタ
セイン「……」スタスタ
イリス「セインくん!」
ローガン「なんと」
クロシュ「……!」
セイン「……お前たちか」
イリス「うん! セインくんも帰るとこなの?」
セイン「いや、マーベルを探している」
ローガン「……やはり大変なのだな。彼の護衛というのは」
セイン「もう慣れた。お前たちはマーベルを見ていないか?」
イリス「見てないなあ……。ごめんね、役に立てなくて」
セイン「いや、いい。護衛でありながら奴を見失った僕の責任だ」
イリス「真面目!」
ローガン「勤め人の辛いところだな……。旅人は気楽で良いぞ。セインくんも旅人にならないか?」
セイン「僕にはやらなければならないことがある。気楽に旅をしている暇などない」
ローガン「ふむ……。彼の護衛もその一環なのか?」
セイン「……お喋りが過ぎたな。僕はもう行く」スタスタ
イリス「あっ……!」
ローガン(……これ以上は無理か。前に釘を刺されたばかりだし、深追いは禁物――)
クロシュ「……なんで……王国なんかのために、動いてたの……?」
イリス&ローガン「!!?」
セイン「……」ピタ
- 744 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/10(日) 20:28:19.06 ID:R0Lzpolx0
- クロシュ「みんな……王国のせいで、ひどい目にあって……苦しんでる……。セインさんは……悪い人じゃ、なさそうなのに……どうして……?」
セイン「……」
ローガン「く、クロシュくん! もうやめておけ! それ以上はまずい!!(小声)」
イリス「そ、そうだよクロシュくん! セインくんは怒らせない方が……!(小声)」
クロシュ「あっ……ご、ごめんなさ……(小声)」
セイン「……」
↓1
01-50 無視
51-90 僕は悪人だ
91-00 ??
- 745 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/10(日) 20:29:05.96 ID:YjytK3sl0
- あ
- 746 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/10(日) 22:16:10.17 ID:R0Lzpolx0
- セイン「……僕は……守るべきものを、守りたいだけだ」
クロシュ「え……?」
セイン「その結果、王国の悪しき陰謀の走狗となり――罪のない者たちを手にかける、悪そのものに堕ちるとしても――構わない」
イリス「……!」
ローガン「セインくん、君は――」
セイン「僕の邪魔をする者は、誰であろうと――」クルッ
クロシュ「――」
セイン「……!」ズキッ
セイン「う、ぐ……」グラッ
クロシュ「あっ……! せ、セインさん……!」トテトテ
ポフッ(クロシュがセインを支える音)
セイン「はあ、はあ……! まさか……お前は……お前、たちは……!!」
クロシュ「??」
セイン「う、ぐ、ああああっ……!!」
「はいそこまで」フォン
クロシュ&イリス&ローガン「!?」
僧侶「困るんですよね。私たちのセインくんに勝手なことされると」スタスタ
イリス「あ、あなたは……?」
僧侶「私ですか? セインくんの仕事仲間……ってとこですかね」
ローガン「では、あなたも革新派の護衛を?」
僧侶「革新派の護衛ィ?? ぷっ……あっはははは!! なんで神の僕たるこの私が、こんな土臭い国の泥臭い奴らの護衛なんかしなきゃならないんです??」
イリス「……セインくんは、その土臭くて泥臭い革新派の護衛やってるみたいですけど」イラッ
僧侶「あーはいはいそういえばそういうことになってましたね。私としたことが、ロールをすっかり忘れていました。反省反省」
ローガン「……貴様、何者だ」
僧侶「……まあ、いいでしょう。教えて差し上げます。私は――」
僧侶「ロイエ教原理派幹部――名前は、神に捧げたのでもうありません。ただの僧侶とお呼びくださいませ」カーテシー
- 747 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/10(日) 22:19:16.50 ID:R0Lzpolx0
- イリス「ろっ……ロイエ教原理派幹部!!? な、なんでそんな人がここに――」
僧侶「さあ、なんでだと思います?」
ローガン「明日の選挙へ向けた内政干渉……いや、工作か?」
イリス「そ、それって条約違反じゃ――」
僧侶「神の代行者である私たちが、人間同士の取り決めに従う必要なんてあります?」
イリス「滅茶苦茶だ……!」
ローガン「……何を企んでいる? セインくんの仕事仲間とはどういう意味だ?」
僧侶「いきなり質問攻めとかやめてくれません? デリカシーのないおじさんとか最悪なんですけど」
クロシュ「……」ギュッ
セイン「…うっ……」
クロシュ「セインさん……。あの人は……だめ……」
セイン「………やはり……お前、は……」
僧侶「うわっ、よく見たらそれスライムじゃないですか。穢いなあ、セインくんから離れてよ」シッシッ
クロシュ「……」キッ
僧侶「は? 何ですかその目つき。スライムの分際で生意気ですね」
クロシュ「……」
僧侶「うざ……。もういいです、浄化して差し上げます。来世では馬頭くらいになれると良いですね」コオオ…
イリス「あ、ああっ! だめっ!!」
ローガン「クロシュくん!!」
セイン「や……めろ……!」ザッ
クロシュ「セインさん……!」
僧侶「んん? ちょっとセインくん、何のつもりですか?」
セイン「……こいつを殺したら……僕は、お前たちと手を切る……」
僧侶「は?」
セイン「……」
僧侶「あなた自分が何を言っているかわかっているのですか? あなたが手を切ったら、あの子たちは――」
セイン「だが、お前たちは……僕という戦力を失う……」
僧侶「……チッ。交渉ごっこですか? 悪知恵を付けましたね」
セイン「……」
僧侶「はあ、わかりましたよ。セインくんに機嫌を損ねられると困るのは私たちですからね」
セイン「……」
僧侶「そういうわけですから、本日は見逃して差し上げます。帰りますよ、セインくん」
セイン「いや……僕は、マーベルを探さなければ……」
僧侶「それはもういいです!!」
*
- 748 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/10(日) 22:19:59.49 ID:R0Lzpolx0
- イリス「……何だったんでしょうか。あの人」
ローガン「……いろいろ、聞いてはいけないことを聞いてしまったような気がするな」
イリス「正直、生きた心地がしませんでした。消されなかったのは奇跡じゃないですか、これ……」
ローガン「うむ……。恐らくセインくんのお陰だろうが……。しかしロイエ教原理派、か……。王国と言い、良からぬ企みが渦巻いているな。この大陸には……」
イリス「明日の選挙……心配ですね……」
ローガン「妖精くんには報告しておいた方が良いだろうな」
クロシュ「セインさん……」
イリス「セインくんも……心配だね……」
ローガン「彼は……不本意に利用されているのかもしれんな」
◆
- 749 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/10(日) 22:50:10.72 ID:R0Lzpolx0
- ―首相官邸 応接室
ティセリア「今日は一人なのですね」
妖精「あの子たちがこの場にいても仕方ないからね。フメイ捜しとか他にもいろいろやりたいことがあるだろうから、今日は選挙活動はお休みだよ」
紫髪のエルフ幼女「前日だというのに余裕ですね。建国の太母だからって甘く見ていると足元を掬われますよ」
妖精「その時はその時だよ。大体、不正を働くあなたたちには正攻法じゃ勝ちようがないでしょ?」
紫髪のエルフ幼女「……」
ティセリア「……では、正攻法ではないやり方があるのですか?」
妖精「そういうこと。今日は交渉に来たの。不正をやめさせるためのね」
紫髪のエルフ幼女「交渉……? この国の未来を天秤にかけるほどの交渉材料があるとは思えませんが」
妖精「それがあるんだよね。それも、王国の干渉を完全に遮断することのできる名案が――」
ティセリア&紫髪のエルフ幼女「!?」
妖精「簡単に言うと――聖域で、フォレスティナを鎖国するの」
*
ティセリア「た、確かにそれは、王国の干渉を完全に遮断することができますが……」
紫髪のエルフ幼女「しかし他のあらゆる国や地域との国交もほとんど断絶してしまいます! この国がこれまでに築き上げ、諸外国からも人気を博してきた数多の観光産業はどうなるんです!! 鎖国なんて簡単に言いますが、妖精のお宿のように外貨で生計を立てている者たちもいるんですよ!? 国外資源の輸入もできなくなれば、生活水準も……!!」
妖精「でも、王国を排除できる」
ティセリア&紫髪のエルフ幼女「……!!!」
妖精「鎖国によって収入が減ったり失業したりした事業者や労働者には手厚い補償を与える。衣食住に関する自給率はどれも余裕で十割を越えてるんだから、みんなが生きるのに困らない程度に資源を分配しても問題はないでしょ?」
ティセリア「それは、まあその通りですが……。国外へ輸出する分を国内へ回せば、むしろ供給過多なくらいですし……」
妖精「国外資源についてはまあ……私たち妖精とか認められた者は聖域を自由に通行できるから、国外との交流が完全に絶たれるわけじゃないし、なんとかできるでしょ。完全に信頼できる相手としか取引はできないから難しくはなるけれど、不可能ってわけじゃない。まあ私としては、王国以外とも完全に国交を絶って昔ながらの森と共に生きる生活に戻っても良いと思うんだけど……これは流石に老害意見すぎるかな……」
ティセリア「…………」
妖精「……どう? 王国の奴隷になるのと、多少の痛みを我慢してこの国の秩序と尊厳を守るのは……どっちが良い?」
☆太母の威光、復権派の名声、伝統派との親交により判定は自動成功となります
- 750 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/10(日) 22:51:53.20 ID:R0Lzpolx0
-
紫髪のエルフ幼女「……例え、手厚い補償を与えられても……これまでに築き上げてきたものが崩れ去る苦しみは、簡単には癒えません……」
妖精「……わかってるよ。でも……あったかいご飯と、あったかい寝床と……家族や友達と穏やかに過ごせる時間があれば……それもいつか、癒やされると思う……」
紫髪のエルフ幼女「そんなの……ただの、根拠のない楽観でしょう……。そうやって楽観視した結果が、あの魔王樹だったのではありませんか」
妖精「……でも、今度は……誰にもお腹を空かさせないし、寂しい思いもさせない」
紫髪のエルフ幼女「口だけなら、なんとでも……」
ティセリア「サリー。もう良いでしょう……」
紫髪のエルフ幼女「……!」
ティセリア「あなただって……わかっているはずです。王国に隷属すれば……鎖国するどころではない痛みと苦しみが、この国に吹き荒れることを……」
紫髪のエルフ幼女「……」
ティセリア「滅亡でも、降伏でもない……私たちが夢にまで見た、第三の選択肢なのです……。それが完全に理想的なものではなかったとしても……十分すぎるではありませんか」
紫髪のエルフ幼女「…………はい……。私も……わかって、いるのです……。申し訳、ありません……」
ティセリア「……妖精。私たち伝統派はあなたの提案を支持し、公正公平な選挙を執り行うことを約束します」
妖精「ありがとう。当日は正々堂々戦おう」
ティセリア「はい。もし私たち伝統派が勝った時は、鎖国の施行を手伝ってもらいますからね」
妖精「当然。あなたたちこそ、もし私たちが勝ったらいろいろ手伝ってもらうからね」
ティセリア「ええ、もちろんです」
◆
- 751 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/10(日) 22:54:30.15 ID:R0Lzpolx0
- ―森林開拓現場
マーベル「よし、もう十分だな。地質良し、星脈良し、リスク無し! ドワーフたちを呼び戻して開発再開を――」
妖精「やっぱりここにいたね、マーベル」フヨフヨ
マーベル「復権派の妖精に――伝統派のおばさんたちか。なんだ、また食事のお誘いか? 若いイケメンが恋しいのか?」
ティセリア「……この国の未来を左右する、大事なお話をしに来たのです」
マーベル「なんだ? 明日の選挙のことか? それならもうやることは決まってるだろ、王国を敵に回さないように――」
妖精「私から提案がある。その王国に降伏も隷属もしないで済む方法を、伝えに来たの」
マーベル「なんだと……?」
*
マーベル「さ……鎖国だと!!?」
妖精「うん。この国を守るためには、もうそれ以外の選択肢はない。先んじて王国の靴を舐めるという革新派の路線は、国家滅亡という最悪こそ避けられるかもしれないけれど……結局その先は、かつての魔族自治区のような、王国からの苛烈な差別と搾取がまかり通る生き地獄にしかならないよ」
マーベル「ぐっ……それは、そうかもしれねえが……。しかし、鎖国なんてしちまったら――」
妖精「……革新派が目指していた、外貨を獲得して国全体を豊かにしていく方針は……多分、達成できなくなるね」
マーベル「そうだよ! 鎖国なんてしちまったら、この国は今より更に土いじりしか脳のない土人国家になっちまう!! 俺たちの森林開発だけじゃねえ、他の連中の観光業もようやく軌道に乗ってきたとこなんだぞ!? それをお前……お前!! 鎖国なんて……!!!」
紫髪のエルフ幼女「……しかし王国を受け入れれば……この国の観光業は、破壊と搾取の限りを尽くされます。私たちが大切に育て上げた観光業を……王国に踏み躙られるか、私たち自身の手で終わらせるか……そのどちらかなのです……」
ティセリア「マーベル……どうか、賢明な判断を……」
マーベル「……」
↓1コンマ(復権派の名声、革新派との親交により+40)
01-50 認めねえ!!!
51-90 仕方ねえか……
91-00 待てよ?
- 752 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/10(日) 22:55:24.21 ID:xAbX2HRfo
- マーベルわかってくれ
- 753 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/10(日) 22:56:26.94 ID:W+ELYYdDo
- 待てよ?
- 754 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/11(月) 00:04:44.47 ID:U5ZzJzPU0
- マーベル「……チクショウ。わかってんだよ……。王国なんぞの軍門に下るくらいなら、鎖国しちまった方が遥かにマシだってことくらい……」
ティセリア「マーベル……!」
マーベル「俺一人の我儘で、王国のカス共をこの国に入れさしたら……国民も、産業も、何もかもが王国の慰み者になっちまう……。んなことくらい……わかってんだよ……」
紫髪のエルフ幼女「マーベル……」
マーベル「俺はさ……。この国をもっと、盛り上げたかったんだ。諸外国の新しい文化を取り入れたり、開発や観光で外貨をもっと稼いだりして……この国をより豊かに、より楽しい国にしたかったんだ。いつも元気に飛び回る妖精たちも、意外と順応性の高いアルラウネの奴らも、言葉足らずながら気の優しい馬頭の連中も、頭の固い老害ばかりのエルフも……誰もが豊かに楽しく暮らせるようにしてえって、本気で思ってたんだぜ」
妖精「うん……」
マーベル「だがまあ……潮時だったのかもな。目先の開発に固執して、聞こえているはずの声を、見えていたはずの涙を無視しちまった……。上に立つ者として、やっちゃいけないことをしちまったんだ。しかもそれで魔王樹っつー脅威を見落としていたんだぜ? 笑い話にもならねえよ」
ティセリア「……」
マーベル「……まあ、そういうわけだ。革新派は……復権派の提案を受け入れる」
妖精「……ありがとう」
マーベル「この国のことを考えりゃ当然の判断だろ。しかしこうなると……選挙は普通にやるってことか?」
ティセリア「はい。どうやら、私たちの誰が勝っても鎖国する方針は確定のようですから」
紫髪のエルフ幼女「私たち以外の候補者が勝った場合は……どうしますか」
ティセリア「その時は改めて、新首長へこの提案をしましょう。私の知る限り、どの候補者もこの国の現状をしっかり理解している方々ですから、きっと受け入れてくれるかと……」
マーベル「俺が受け入れたんだから大丈夫だろ。はっきり言って俺以外は全員伝統派よりの考え方だしな」
紫髪のエルフ幼女「それもそうですね……。革新派はそういう意味では貴重な存在です」
マーベル「フッ……。さっきは潮時と言ったが、革新を求める支持者がいる限り革新派は不滅だ。まあ、今後の活動は少々慎重になるかもしれんが……」
妖精「鎖国って言っても、完全に国交を断絶するわけじゃないからさ。妖精と精霊と、認められた者には通行の許可を与えることができる。だから、規模は縮小しちゃうかもしれないけど……」
マーベル「おう。やれることを模索していくぜ」
☆伝統派と革新派の説得に成功しました
◆
- 755 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/03/11(月) 00:19:19.49 ID:U5ZzJzPU0
- 三派閥の合意を得られたところで、本日はここまでです。次回はついに、フォレスティナ首長選挙編開始です
ついに姿を現した、セインくんを裏で操る巨悪の影――ロイエ教原理派。セクリエ・ロイエで急進派と呼ばれているのは何を隠そうこの原理派のことでもあり、その実態は闇に包まれています。大陸の闇に蠢くその悪意を前に、クロシュちゃんはどうすれば良いのでしょう。一介の赤ちゃんスライムにできることなどあるのでしょうか
そして今回は三派閥がついに手を取り合いました。これで選挙は、誰が勝っても鎖国する方向で統一されることでしょう。しかし暗躍する王国や原理派、そしてアリシラ?さんの世界樹に近づくなという不可解な発言など、不確定要素も少なくないようです。選挙は無事に始まり、そして無事に終わることができるのか――
それでは本日はありがとうございました。次回も恐らく土日です。よろしくお願いたします
- 756 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/11(月) 00:47:31.87 ID:t7DOiXMDO
- 乙です
- 757 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/11(月) 18:06:17.33 ID:HN+yNsOmO
- 乙
三派閥団結できたけど不穏だな
- 758 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/11(月) 20:28:28.57 ID:5Sy/Dn7a0
- 乙
中々の胸糞野郎出てきましたね・・・
セイン君上司への忠誠心は一応本物なのかな。
- 759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/11(月) 22:14:32.51 ID:V7bwC0nPo
- おつ
セインくんも色々抱えてるなぁ
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