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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】

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550 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/17(土) 19:51:09.44 ID:KHNCXCim0
551 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/17(土) 20:30:33.51 ID:UHyRCctI0
ティセリア「……復権派が、今回の選挙から退くなら考えてあげます」

妖精「……今苦しんでる民より、不正選挙が滞りなく進むことの方が大事なの?」

ティセリア「……不正は不正でも、国が存続するための不正……必要悪です。それに革新派の事業も、今後の緑の国の国際競争力を培う意味では大きな価値のあるものだと私は考えています」

妖精「未来のためなら、不正を許容し今を苦しむ民も切り捨てるってことか」

ティセリア「……はい」

妖精「……成長したね。草木の一本一本を慈しみ、虫一匹殺せなかったあの精霊の申し子ティセリアちゃんが、こんな冷徹な判断を下せるようになっていたなんて」

ティセリア「……っ」

妖精「よくわかったよ。もうあなたは立派な為政者で――そして私の政敵だ。新参の立候補者として、全力で立ち向かわせて頂く」

ティセリア「……!? ま、待ってください! 話を聞いていなかったのですか!? 復権派が退くなら考えると――」

妖精「為政者の『考える』を信用してやれるほど耄碌したつもりはないから。私も昔よく言ったしね」

ティセリア「……!」

妖精「私が勝ったら民の苦痛も王国の侵略も全部平穏無事に解決してやるから、安心して首長の座を譲りなよ」

ティセリア「……」


妖精「じゃ、そういうことで。行くよ、みんな」フワッ

イリス「あ、うん!」

ミスティ「え、ええ……」ペコッ

ローガン「ありがとうございました……」ペコッ

 ガチャッ… バタン…

 *
552 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/17(土) 20:31:24.97 ID:UHyRCctI0

ティセリア「……」

ティセリア「…………」ジワワ

ティセリア「………………」ポロポロ

紫髪のエルフ幼女「ティセリア……」

ティセリア「……どうすれば……良かったの……。どうして……」ポロポロ

紫髪のエルフ幼女「…………マーベルも、妖精も……どいつもこいつも、自分勝手すぎるんです……!」

ティセリア「…………」ポロポロ



スライムクロシュ「……」モニョ

なんとなく気になってこっそり残っていたクロシュが、首長の涙を目撃してしまいました
何かしますか?
↓1
1.少しだけ謝っておく
2.そっとしておく
3.自由安価
553 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/17(土) 20:32:40.51 ID:3VKqVvoso
1
554 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/17(土) 21:50:45.23 ID:UHyRCctI0
スライムクロシュ「……」デロデロ

クロシュ「あの……」

ティセリア「!!?」

紫髪のエルフ幼女「曲者!!」バッ

クロシュ「ひゃっ!」

ティセリア「待って! あなたは……そういえば、ビラを配っていた――」

紫髪のエルフ幼女「……! あの時のスライム……妖精のお供だったの……?」

クロシュ「うん……。えっと……ごめんなさい」ペコリ

ティセリア「えっ。ど、どうして謝るのですか?」

クロシュ「えと……妖精さんが……ひどいこと、言ったから……」

ティセリア「……いいえ。妖精の言ったことは、間違っていません。私は……冷徹な、為政者なのです」

紫髪のエルフ幼女「違います! ティセリアは……誰よりも優しくて、民想いで……今回の決断だって、ティセリア自身がどれだけ苦しい気持ちを抑えてるか……!!」

ティセリア「サリー!」

紫髪のエルフ幼女「あっ……も、申し訳ありません……」

クロシュ「……本当は……ティセリアさんも……いやなの……?」

ティセリア「……嫌、では……」

クロシュ「……いやなら……やだって、言った方が……良いと思う……」

ティセリア「……」

クロシュ「えと……妖精さんも……ティセリアさんが、やだって言わないと……きっと、わかんないから……」

ティセリア「……」

クロシュ「……えと……それじゃあ……私も、帰るね……。お話……ありがと、ございました……」デロデロ


スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

 ズルズル…


ティセリア「……ぐすっ。ふふっ……かわいいお供を連れているのですね……妖精は……」

紫髪のエルフ幼女「……!」

ティセリア「嫌なことには、やだって言え、かあ……。首長の身でそれは……難しいなあ……」グスッ

紫髪のエルフ幼女「……。良いんじゃないですか。首長が、嫌なことにやだって言っても」

ティセリア「でも……」

紫髪のエルフ幼女「どうせ復権派の台頭で今回の選挙は大荒れです。国内世論もどこへ向かうかわからない。それなら好きにやりましょうよ」

ティセリア「……少しだけ、考えさせて」

 ◆
555 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/17(土) 21:52:04.15 ID:UHyRCctI0
―首長官邸前

妖精「う〜ん……言い過ぎたかなあ……。でも政敵である以上手加減するのは失礼だし……」フヨフヨ

イリス「お疲れ様、妖精さん……!」

ミスティ「政治のことはあまりわからないけれど、ティセリアさんの言い分も一理あると思ってしまったわ……」

ローガン「うむ……。これについてはどちらが正解というわけでもないからな。だが戦うと決めた以上は、我々も全力で票を取りにいかなければならん」

ミスティ「ええ……わかってるつもりよ……」


スライムクロシュ「〜〜」モニョニョ

妖精「あ、クロシュ! 遅いよ、何してたの!」

クロシュ「え、えと……。ティセリアさんと……ちょっとだけ、お話……」

ミスティ「えっ、ティセリアさんと……!?」

クロシュ「えと……ティセリアさん……泣いてた……。だから……妖精さんがひどいこと言ってごめんなさい、って……」

イリス「な、泣いて……」

ミスティ「……傷付いていたのね……」

ローガン「妖精くん……」

妖精「わ、悪かったよお……! でもティセリア……根っこは、昔のままなのかなあ……」

ミスティ「……彼女の心根がどれだけ優しいとしても……それで今を苦しむ民が救われるわけではないわ。それは違えないようにしないとね……」

 ◇
556 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/17(土) 21:53:32.91 ID:UHyRCctI0
―革新派事務所前

ミスティ「というわけで今度は革新派の事務所にやってきたわ……。この国どころか大陸中でも珍しい、鉄筋建築ね……」

イリス「首長への陳情がだめだったなら、革新派に直接文句を言おうってことだね!」

ミスティ「ま、まあそうね……。ちょっと短絡的かしら……」

妖精「聞いてくれるとは思いにくいけど、革新派の頭と話をしてみたいとは思ってたし丁度良いよ」

ローガン「しかし革新派は強引な森林開発や親王国路線など、やや不穏な姿が見え隠れしている。警戒はすべきだろう」

ミスティ「そうね……。荒事になることはないと思うけれど、最低限の警戒はしておきましょう……」

クロシュ「……」

ミスティ「それじゃあ、呼び鈴を鳴らしましょうか……」

 チリーン


↓1
01-30 セイン「……」ヌッ
31-90 マーベル&セイン
91-00 マーベル1人
557 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/17(土) 21:54:29.27 ID:GJRW3Cmk0
a
558 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/17(土) 21:54:35.05 ID:VKYrdVUdO
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/17(土) 22:14:42.56 ID:3VKqVvoso
げぇっ!勇者!
560 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/17(土) 22:21:17.46 ID:UHyRCctI0
 ガラッ

セイン「……」ヌッ

クロシュ一行「!!!?」

セイン「…………」


妖精(なんで勇者がこんなとこにいるの!!?)

イリス(し、知らないよお〜!!)

ミスティ(ま、まさか二日目辺りでクロシュが出くわしたのって――)

クロシュ(え、えと……)

ローガン(革新派に潜んでいたというのか!?)


セイン「……」

セイン「……マーベルは留守だ」

ミスティ「え、ええと……そ、そうなのね……」

セイン「ああ」

セイン「……」ジッ

クロシュ「……?」

セイン「……」

妖精「……クロシュに何か用?」

セイン「……クロシュと言うのか。その……影のスライムは」

クロシュ「……? うん」

セイン「……」

妖精「……ちょっと。相手の名前だけ知って、自分が名乗らないのは失礼じゃないの」

セイン「……失礼した。僕はセイン。革新派マーベルの……護衛だ」

ミスティ「……革新派の……護衛?」

イリス「……」

ローガン「……」

クロシュ「えと……魔族革命の時は……」

セイン「……何のことかわからないな」

クロシュ「……」


妖精(やめなさいクロシュ! 下手に突っ込んだら消されちゃうよ!)

クロシュ(う、うん……)


セイン「……茶でも飲んでいくか?」

イリス「えっ!」

ミスティ「お茶……」

ローガン「う、ううむ……」


↓1〜3多数決
1.飲んでいく
2.帰る
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/17(土) 22:22:31.97 ID:X/Xj0hIko
1
562 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/17(土) 22:22:42.29 ID:KHNCXCim0
563 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/17(土) 22:23:31.66 ID:u/gfYZYDO
1
564 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/17(土) 22:41:59.16 ID:UHyRCctI0
クロシュ「……うん」コク

妖精「クロシュ!?」

 *

―革新派事務所
 応接室

 鉄瓶「」トプトプ

 湯呑み「」ホカホカ

セイン「どうぞ」スッ

イリス「け、けっこうなお点前で……」

ミスティ「珍しい形のティーポットね……」

セイン「……この鉄瓶か? これは……マーベルがオノゴロ諸島を旅した時の土産物……だそうだ」

ローガン「ほう、これがオノゴロ諸島の製鉄技術か……! 私もいつか行ってみたいものだ」

セイン「物品の良し悪しは僕にはわからないが……これは良いものなのか」

ローガン「ああ、良いものだ。鋼魔法の使い手たる私が言うのだから間違いない。マーベル氏もなかなかお目が高いと見受けられるな」

セイン「そうなのか」


クロシュ「んぐ、んぐ」ゴクゴク

クロシュ「……おかわり……いい……?」

セイン「どうぞ。茶菓子も出そう」スッ


↓1〜2 話題や聞きたいこと
565 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/17(土) 22:49:47.98 ID:GJRW3Cmk0
勇者サインとはどういう関係?
(前からセインになってるけど誤字じゃないよね?)
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/17(土) 22:49:55.60 ID:VKYrdVUdO
以前魔族自治区で会わなかったか
567 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/17(土) 23:15:16.66 ID:UHyRCctI0
イリス「……セインくんって、勇者サインとはどういう関係なの? とてもよく似ているけれど……」

セイン「赤の他人だ。少なくとも、僕は勇者サインについて何も知らない」

イリス「そ、そうなんだ……」

セイン「ああ」


クロシュ「……」

セイン「……」

クロシュ「……」モジモジ

セイン「……別に、取って食ったりなどしない。聞きたいことがあれば聞け」

クロシュ「あ、えと……。じゃあ……」

クロシュ「……魔族自治区で……どうして……あんなこと……したの……?」


妖精&イリス&ミスティ&ローガン「!!!!」


セイン「……やはり、お前はあの時のスライムか」

クロシュ「……うん」

セイン「……」


↓1
01-75
76-95
96-00
568 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/17(土) 23:16:32.68 ID:KHNCXCim0
569 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/17(土) 23:47:45.37 ID:UHyRCctI0
セイン「……茶会は終わりだ」ガタッ

クロシュ「あっ……」

セイン「今の僕はマーベルの護衛。それ以外のことは知らないし、する気もない」

クロシュ「……」

セイン「影のスライムクロシュが今日ここに来たことは、忘れておく。さあ、早く帰れ」

クロシュ「……」

妖精「……帰るよ、クロシュ」

クロシュ「う、うん……」

 *

―夕方
 露店通り

イリス「……なんか……不思議な時間だったね」

ミスティ「ええ……。あの時の苛烈な光魔法を使う姿しか見ていなかったから……」

ローガン「……時折、年相応な表情を見せていたような気もしたが……ううむ……」

妖精「……はあ。クロシュが変に突っ込むから死ぬかと思った……」

クロシュ「ご、ごめんなさい……」

イリス「でも……セインくん、意外と良い人かも。クロシュちゃんのこと、忘れておくって……」

ミスティ「……釘を刺したとも取れるわ……。これ以上こちらに深入りするな、という……」

ローガン「一欠片の温情もなければ、釘を刺すまでもなく目撃者である我々は始末したはずだ。私は、彼は人としての善性を持っていると思いたい」

クロシュ「……」

 *
570 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/17(土) 23:49:34.56 ID:UHyRCctI0
―革新派事務所

セイン「……」

セイン「クロシュ……」

セイン「……」

セイン「……」チラッ

 フメイちゃんの迷子ビラ「」

セイン「そういえば……マーベルが、言っていたな……」

セイン「……フメイって子を……捜している……女の子……」

セイン「…………」

セイン「………………???」

 ズキッ

セイン「う、ぐっ……」ガクッ

セイン「なん、だ……頭、が……」


「あらあらあら、ダメですよ? 勇者が余計なこと考えちゃあ……」

セイン「……おま、え……は……」

「勇者は何も考えず、ただ神の御心のままに、聖務を遂行していれば良いのです。わかりますね?」

セイン「……」

「さあ、心を真っ白にして……。穢い雑念は勇者に相応しくありません……」コオオオ…

セイン「う……ぁ……」

 バタッ…

「ふふ……」

 ◆
571 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/18(日) 00:03:58.45 ID:IU8TQFJE0
本日はここまでです。次回はフラナ氏へのお手紙編です

ティセリア氏を泣かせ、マーベル氏は留守で会えずお茶して帰っただけの復権派ですが、まあ残り日数はまだまだあるので多分大丈夫でしょう。一応将来のビジョンや王国対策なども考えておくと良いかもしれません
セイン氏は勇者サインと似ている容姿と似た名前ですが、その名前は誤字ではないようです。本人は赤の他人と言っていますが、その真相は闇に包まれています。今回のような交流を重ねればもしかしたら彼の口から何らかの真実を聞ける時もあるかもしれません

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします
572 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/18(日) 00:06:39.24 ID:2RZYpvep0
乙、紫髪ちゃんいじめられていたところをティセリアさんに助けられてからは忠誠を誓ってるのかな
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/18(日) 00:11:35.75 ID:qcdj26Fco

セインとグイグイ交流して推し切ればよいのだね
574 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/18(日) 11:52:25.87 ID:5Tz9o532o

デカい黒幕の影が…この黒幕は最後まで黒幕できるだろうか(前作を思い出しつつ)
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/18(日) 15:55:50.58 ID:Is4HdSZrO

セイン自身は異種族への悪感情なさそうね
576 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/18(日) 16:13:04.13 ID:Pj+er7pDO
現在のラスボスというか黒幕候補は宗教国家セクリエ・ロイエかな

王国はセクリエ・ロイエに利用されてるか、逆に利用してラスボスに上り詰めるか

アリシラ?は他の国の息がかかっているのか完全な第三勢力かは分からないけど、ラスボスにならないで本来の人格取り戻してフメイと一緒に仲間入りして欲しいな
577 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/18(日) 19:27:07.24 ID:IU8TQFJE0
紫髪のエルフ幼女さんがティセリア氏に仕えている理由は今のところ明らかになっていませんが、強い信頼関係で結ばれていることは確かなようです。一方を説得すればもう一方も傾きやすくなります

セイン氏は突然お茶に誘う程度にはクロシュちゃんのことが気になっているようです。不意打ちとは言え、臨戦態勢に入っている彼に体当たりを命中させてよろけさせた存在が珍しかったのかもしれません
人間以外の種に対してどう思っているかはよくわかりませんが、今のところは悪く思っているわけではなさそうに見えます

何か怪しい人物が見え隠れしているような気がしますが、彼または彼女が黒幕となるかどうかは今後の展開次第とも言えます。クロシュちゃんは真の敵の姿を見極めることができるでしょうか

セクリエ・ロイエは影響力こそ大陸一ですが、現在の教皇は穏健派のため、少なくとも表立ってその影響力が行使されることはあまりないようです。ロイエ教の教えに従い、平和的な宗教活動を行ってます
ただ、穏健派と対立を深める急進派の勢力も決して小さくはなく、いろいろときな臭い動きがあるようです

アリシラ?さんはアリシラちゃんが知らないはずのことを知っていたり等、明らかに不可解な言動を繰り返しています。彼女が何なのかは現時点ではよくわかりませんが、選挙の日にフメイちゃんと何らかの行動を起こそうとしているようです。フメイちゃんは彼女をアリシラちゃんではないと思っているようですが、真相は闇に包まれています
578 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/18(日) 19:33:05.07 ID:IU8TQFJE0
―夜
 大樹の宿 ロビー

イリス「はあ、今日はなんだか疲れたなあ……」

妖精「大したことはできてないんだけどねえ」

ローガン「うむ……だがまあ、収穫がなかったわけではない」

ミスティ「そうね……。ティセリアさんの意向もわかったし……セイン、という人のことも……少しわかったし……」


宿屋アルラウネ「お休みのところちょっと良い?」スッ

クロシュ「?」

イリス「はい、なんでしょうか?」

宿屋アルラウネ「お手紙が届いてるよ。イリス・プラネットさん宛」ピラッ

 手紙「イリス・プラネット様」

イリス「! ありがとうございます……!」

宿屋アルラウネ「旅中のお手紙って良いわよね。じゃごゆっくり〜」

 バタム…


妖精「手紙?」

イリス「うん。ここに来た時にフラナ師匠にお手紙を書いてね。その返事かも……!」

ミスティ「すっかりフラナさんの弟子ね」

イリス「えへへ……。ちょっと読んでくる!」パタパタ


ミスティ「……フラナさんは、亡くなったイリスの師匠の知人なのよね」

妖精「そう言ってたね。その師匠はイリスの育ての親でもあるみたいだし……やっぱり寂しいのかもね」

ミスティ「……」

クロシュ「……」

ローガン「……」

妖精「……あなたたちも……家族がいないのは、やっぱり寂しい?」

ミスティ「……そうね。でも今はあなたたちもいるし、平気よ……」

ローガン「……全く寂しくないと嘘になるが、時の流れは残酷なものでな……。家族のない寂しさにも、慣れてしまったよ」

妖精「そうなんだ……。クロシュは?」

クロシュ「…………わかんない……。でも……みんなのこと……思いだすと…………」

クロシュ「……」ジワワ

妖精「……そうだよね。まだ……」

ミスティ「……ハンカチよ」スッ

クロシュ「あり、がと……」グスッ


ローガン「……クロシュくんは、その集落を失ってまだ間もないのだったな……」

ミスティ「ええ……。フメイのこともあって心の整理を付ける暇もなかったろうし……」

クロシュ「……」

妖精「……フメイを説得したら、お墓を立てに行こうよ。きっと……まだ、あのままだろうし」

クロシュ「…………うん」

ミスティ「……ソリを走らせればすぐよ。だから……必ず、フメイを連れ戻しましょう……」

ローガン「フメイくんと共に、弔ってあげなさい。私もできる限りのことはする」

クロシュ「……うん。……ありがと……みんな……」

 *
579 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/18(日) 19:33:39.07 ID:IU8TQFJE0
―客室

イリス「フラナ師匠からのお手紙……! えへへ、何が書かれてるかな……」ピラッ


↓1
01-05 ??
06-50 近況報告
51-95 選挙支援
96-00 私も旅行に来たわ
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/18(日) 19:34:07.58 ID:2RZYpvep0
581 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/18(日) 20:10:41.28 ID:IU8TQFJE0
 ガチャッ

ミスティ「どんなことが書かれてたか聞いても良い?」スタスタ

イリス「あ、うん! 師匠、包帯取れたんだって!」

妖精「ああ、なんか凄いぐるぐる巻きだったねそういえば……。他には……うわっ、何これ? 魔法の術式?」

ミスティ「妖精、人の手紙を勝手に読んだりしちゃだめよ……」

イリス「あはは。別に良いよ、減るもんでもないし。私が考案した術式についてフラナ師匠に添削してもらったの」

ミスティ「そ、そういう使い方もあるのね……手紙って……」

イリス「個人的にはかなり良い感じだと思ってたんだけどなあ。まだまだ無駄が多かったみたい……てへへ」

妖精「へえ、確かに添削後の方はかなり洗練されてるね。流石は吸血鬼の魔法使い」

イリス「あ、それと風雪のルフさんがダークヒーローイリスの連載にちょっと行き詰まってるらしくて、何かネタが欲しいそうなんだけど……何か良い案ある……?」

ミスティ「いや、知らないわよそんなの……。ルフが勝手に始めた物語でしょうが……」

妖精「勝手に人の名前を使っておいて行き詰まったら本人に泣きつくとか凄い面の皮だなあ……」

クロシュ「……!」ピコン

イリス「お、クロシュちゃん何か思いついた?」

クロシュ「うん……。えと……ダークヒーローイリスが……建国の妖精さんと一緒に、緑の国のみんなを苦しめる悪い人たちをこらしめるお話、とか……」

妖精&イリス&ミスティ「!!」

イリス「それだ!! この際だから風雪新聞にも協力してもらおう!!」

妖精「冴えてるじゃんクロシュ!!」

ミスティ「今こそ偏向新聞の使い所だわ!! 早速返事を書きましょう!!」

イリス「よおし、じゃあ緑の国の現況も添えて――」

 ☆ダークヒーローイリス 緑の国の悪代官成敗編のプロット案を送りました

 ◆
582 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/18(日) 20:21:04.34 ID:IU8TQFJE0
―緑の国フォレスティナ 滞在5日目
 ◆パーティメンバー
 ◇クロシュ 武:鉄の小盾  防:旅人の服
 ◇妖精   武:なし    防:蜘蛛絹のレオタード
 ◇イリス  武:精霊樹の杖 防:魔術師のローブ
 ◇ミスティ 武:魔銀の短剣 防:旅人のローブ
 ◇ローガン 武:鋼の剣   防:鎖帷子

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹×2
・運命賽
・雨乞い傘

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・おうちの木を助ける(木の生命力[3/40])
・木の病気の原因を突き止める
・選挙で勝つ

◯仲間の目標
・星の魔力を読む[2/4](イリス)
……………………………………………………………………………………
□フォレスティナ首都 主要施設
郊外:緑の大森林、農園、果樹園、精霊の泉、おうちの木、他
首都:露店通り、大樹の宿、武具店、雑貨店、魔法店、工芸品店、八百屋、甘味処、食事処、冒険者ギルド、他
聖域:世界樹 ※許可なき者は聖域に入れません
……………………………………………………………………………………

―朝
 郊外 弱った木のおうち

 チュンチュン

 弱った木のおうち「」カサッ…

森妖精の子「うぅ……ミスティさん……まだ……?」グスグス


 ドドドドド…


森妖精の子「ふえっ!? な、なに……?」


ドワーフ開拓団「エッホエッホ」ドドドドド


森妖精「ど、ドワーフさん……? おおぜいで……どこに、むかってるの……?」

 *

フォレスティナ滞在5日目です(投票日までの残り行動可能日数4、おうちの木の残り生命力3)
↓1〜3 自由安価 何をする?
583 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/18(日) 20:21:36.98 ID:2RZYpvep0
紫髪ちゃんを食事に誘ってみる
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/18(日) 20:22:54.28 ID:NgwCUP0RO
公共温泉に行ったらティセリアと遭遇
585 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/18(日) 20:24:18.66 ID:ghhXgEBH0
森妖精がドワーフ開拓団についてクロシュたちに伝えて調査することに
586 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/18(日) 22:49:29.75 ID:IU8TQFJE0
―滞在5日目 朝
 露店通り

妖精「風が哭き、大地はひび割れ、枯れ落ちる木々――。今この国を襲う諸問題を放置すれば、終末への刻は限りなく加速していく。私は、それを止めたいだけ――」キラキラ

 ワーワー!! タイボサマ-!!

妖精「苦しみからは逃れられないけれど、それを最小限に抑えることはできる――。どうか――あなたの賢明な一票を――」カリスマァ

 ワーワーワー!! ヨウセイサンカワイイ

 *

クロシュの懐でぐったりしている妖精「」

クロシュ「えと……お疲れさま……妖精さん……」

ミスティ「本当にお疲れ様、妖精……。まだ朝ご飯前なのに、ありがとう……」

イリス「この国の朝は早いよねえ。もうこんなに賑わってるんだもの」

妖精「本当に疲れたよ……。何か美味しいものを食べたい……」

ローガン「ここは妖精殿を労い、朝食を頂きにいこうか」

ミスティ「そうね……ん?」


紫髪のエルフ幼女「……」

ミスティ「あ……」

イリス「わ、わあ……。おはようございます、奇遇ですね……!」

紫髪のエルフ幼女「奇遇ではありません。見ていましたから。妖精の演説を」

妖精「げっ……」

紫髪のエルフ幼女「……普段とは全く違うのですね。態度も、言動も」

妖精「そりゃまあ……人の上に立つんならのはそれなりの威厳が必要でしょ」

紫髪のエルフ幼女「ご尤もですが……あなたのそれは少々芝居がかりすぎでは」

妖精「う、うるさいなあ。首長をやってた頃のことなんて忘れてんだから仕方ないじゃん」

紫髪のエルフ幼女「…………初代首長にして、建国の太母……ですか」

妖精「そうだよ。初代首長がこの国の未来を憂いて悪い?」

紫髪のエルフ幼女「悪いなどとは言っていません。しかし国を憂う気持ちなら、長年この国を放ったらかしにしていたあなたよりもティセリアの方が万倍上です」

妖精「ぐぎぎ……。憂う気持ちだけじゃ国は治められないもん……!」

紫髪のエルフ幼女「あなたのような過去の者が今のこの国を治められるとは――」

イリス「は、はいはいそこまで!!」バッ

妖精「むうぅ……」

紫髪のエルフ幼女「ふん……」

ミスティ「……ねえ。一つ良い?」

紫髪のエルフ幼女「何ですか」

ミスティ「もし朝ご飯がまだなら……一緒にどうかしら」

紫髪のエルフ幼女「え」

妖精「ええ!?」

 ◆
587 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/18(日) 22:49:59.66 ID:IU8TQFJE0
―食事処 どんぐり食堂

 ワイワイ キャッキャ

イリス「わあ、ここも風情があって良いねえ」

紫髪のエルフ幼女「自然と調和した街作りこそ、伝統派の最も得意とするものですから」

妖精「ずっと伝統派一強らしいじゃん。せっかく投票制にしたのに、これじゃ独裁と変わんない。不健全だよ」

紫髪のエルフ幼女「千年もずっと独裁し続けた人が言うと説得力がありますね」

妖精「私は建国者だからいいの!」

クロシュ「」オロオロ

ミスティ「ああもう……」

ローガン「ううむ……とりあえず食事を頼むとするか……。お品書きは……」

食堂妖精「あ、お客さんたち初めて? ここはお客さんに選んでもらった食材をうちのシェフが独断で調理する仕組みになってるんだよ!」

イリス「な、なんか凄く聞き覚えのあるシステムのような……」

ミスティ「お米とお米にしないように気を付けましょう……」


↓1〜2 食材を1〜2つ選択
1.畑の肉
2.マンドラ大根
3.食べられる野草
4.ニワトリの卵
5.サワガニ
6.ザリガニ
7.パン
8.ウルティ米
9.淡水海竜の大トロ
10.森林木苺
11.どんぐり
12.ヤマイモ
13.マジカルトリュフ
14.森ニンジン
15.ゴボウの根っこ
16.精霊樹の実
17.アルラウネオイル
18.スライムゼラチン
19.エルフミルク
20.フェアリーシロップ
588 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/18(日) 22:52:16.55 ID:ghhXgEBH0
16 19
589 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/18(日) 22:55:19.45 ID:Pj+er7pDO
10 20
590 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/19(月) 00:01:20.96 ID:98tnZsAX0
イリス「……この、エルフミルクって……」

紫髪のエルフ幼女「……よく勘違いされる方がいますが、エルフが分泌したミルクのことではありませんよ。それはこの国のエルフと精霊が協力して育てた牛の出す高級ミルクの銘柄です」

イリス「わ、わあ〜そうなんだぁ〜。じゃあエルフミルクを一つ……!」

ミスティ「何を想像していたのよ、イリス……。そういえばこの国に来てから時々耳にする、このフェアリーシロップというのはどういうものなの?」

妖精「あー、それは……」

紫髪のエルフ幼女「企業秘密です。この国で最も人気のある特産品の一つなので、是非ご賞味ください」

ミスティ「そ、そう……。じゃあとりあえず、フェアリーシロップも一つ」

イリス「他のみんなは?」

ローガン「私は食せるものならなんでも好きだ。気にせず選ぶと良い」

紫髪のエルフ幼女「私もここの国民なので、この国のものならなんでも好きです。なので気にせずお選びください、旅人の妖精様」

妖精「はいはい、じゃあ私は精霊樹の実で」

クロシュ「……」

妖精「クロシュも遠慮しないで、選びな」

クロシュ「あ、えと……じゃあ……木苺……」

紫髪のエルフ幼女「森林木苺を選ぶとは、素晴らしい慧眼です。野生で育っているものも良いですが、ここで出されるものはアルラウネ農家が丁寧に育てた至高の一品。是非味わってください」

クロシュ「うん……」

食堂妖精「ご注文は、森林木苺と、精霊樹の実と、エルフミルクと、フェアリーシロップでよろしいですね!? それではお待ちください!」ピューッ


妖精「……それにしても……ふふ。あなた、本当にこの国が好きなんだね」

紫髪のエルフ幼女「当然です。あなたよりもずっとね」

 *
591 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/19(月) 00:01:46.20 ID:98tnZsAX0

食堂妖精「はい、お待ちどうさま!」

 木苺と精霊樹のフェアリーエルフアイスシェイク「」ポンッ

イリス「わぁ〜!」

ミスティ「素敵……!」

ローガン「ほう……!」

妖精「こ、これは……!」

紫髪のエルフ幼女「ふふふ……素晴らしいです。我が国の食材も、それを活かす優秀な料理人も。全てが、素晴らしい……!!」

クロシュ「いただきます……」モニョモニョ

 *

イリス「あま〜い!!」

ミスティ「こ、これ氷魔法で再現できないかしら……」

妖精「美味しい……。悔しいけど、これは凄い……」

ローガン(……。我が妻と、子に……これを食べさせてやれれば……)

スライムクロシュ「〜〜!」モニョモニョ

紫髪のエルフ幼女「……食材とシェフの腕も至高のものですが、あなた方の選び方が見事だったというのもあります。それは認めましょう」



妖精「……食事中にこんな話して悪いんだけどさ。本当のところ、ティセリアはどう考えてるの?」

紫髪のエルフ幼女「……そのスライムの子から聞いていないのですか?」

妖精「や、聞いてる。本心では苦しんでるって……。でも、そこはあなたから直接聞かないと筋が通らないと思って」

紫髪のエルフ幼女「……律儀ですね。まあ昨日私が口を滑らせた通り、ティセリアは……伝統と革新、抵抗と降伏の板挟みになって苦しんでいます」

妖精「……まあ、そりゃそうか。いくら為政者の仮面をかぶったところで、あの子の本質が変わるわけもないし」

紫髪のエルフ幼女「……あなたは……ティセリアの、何なのですか」

妖精「別に何でもないよ。ただ、幼い頃のあいつを知ってるってだけ」

紫髪のエルフ幼女「……」

妖精「ティセリアに言ってやってよ。自分の心を偽り続ければ――顔に張り付いて取れなくなった仮面ごと、何もかもが壊れちゃうよ――って」

紫髪のエルフ幼女「……あなたに言われるまでもありません」

妖精「そう。なら良いけど」

 ☆紫髪のエルフ幼女に意思を伝えました
  ティセリアにも影響があります

 ◆
592 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/19(月) 00:04:48.96 ID:98tnZsAX0
というわけで本日はここまでです。なかなか進まず申し訳ありません
次回は首長と裸の付き合い編とドワーフ開拓団とお話編からです

フェアリーシロップの正体については様々な噂がありますが、真相は闇に包まれています。緑の国が誇る人気の特産品なので、その製法は簡単には明かせないようです
そして今回の食材選びが功を奏し、紫髪のエルフ幼女さんに無事意思を伝えることができました。彼女もまた緑の国を愛する者の一人なので、地産地消はとても良かったと思います

それでは本日もありがとうございました。次回はまた土日になるかと思います。よろしくお願いいたします
593 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/19(月) 00:09:31.14 ID:aScWTVFko

選挙の戦略や木の生命力問題も安価で行動しなきゃ不味いやつかね
勝手に話が進むわけじゃなく
594 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/19(月) 00:17:04.76 ID:vnXXDQuA0
乙です
森妖精の子悲しませたくないから弱った木のおうち救いたいけど良い安価が思いつかない
595 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/19(月) 13:24:28.96 ID:G25TtgkqO

ミスティの故郷の襲撃者、セイン、アリシラ?に並ぶ闇に包まれた存在フェアリーシロップ…
弱った木のおうちはなんとかしたいけど、ドワーフ開拓団の調査がどうなるか
596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/21(水) 12:14:05.96 ID:kkJhqJZQO
フラナ氏今魔族自治区長なのかな
597 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/21(水) 16:07:23.39 ID:CpWyy8L7o
自力で回復できるまで木の寿命を持たせる必要もあるし
復権派が勝利したらどう王国と立ち向かうかも考えないとな
598 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/21(水) 21:38:22.82 ID:D5lt5kPd0
これクロシュ達率いる復権派を妨害する為に勇者セインが自ら邪魔したり、刺客を送り込むような展開とかあるのかな?
599 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/23(金) 19:44:37.94 ID:ZWqedsq80
安価で行動しなくともなるようにはなりますが、より良い結果を目指すのであれば安価で何らかの行動をさせてあげたほうが良いかもしれません

木のおうちについてはドワーフ開拓団を追っていただければ何か手がかりが掴めるかもしれません

フェアリーシロップは濃ゆい魔力と糖分とその他諸々を多分に含んだとても甘くて美味しい液体です。マナポーション代わりに魔力回復薬として使うこともできますが、糖分のとりすぎには注意が必要です

フラナ氏は現在新生魔族国の暫定的な指導者を務めています。しかし本人はあくまで暫定的なものと考えており、ゆくゆくは正当な指導者を選任するつもりでいるようです

これはネタバレなのですが、対王国については成り行きに任せてもなんとかなるかもしれません。もちろんしっかり対策を取っておけばより良い結果に繋がる可能性は高まります

前回の接触では特に復権派に対して敵対的な行動を取ってきたりはしなかったので、セインくん自身が何かをしてくる可能性は低いと思われます。セインくん以外が何かをしてくる可能性はあるかもしれません
600 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/23(金) 19:45:10.11 ID:ZWqedsq80
―緑の国 公共温泉

 カポーン…

妖精「あ〜……生き返るぅ……」グデッ

スライムクロシュ「〜〜」デロデロ

イリス「あはは、妖精さんまで溶けちゃいそう」

ミスティ「やっぱり溶けたくなるものなのよ……」

イリス「そ、そうなのかな? でもこの様子なら来て良かったねえ、温泉」

ミスティ「妖精が露骨に疲れたオーラを出していたものね……。まあ、午前中はこれで終わりにしましょう……」

イリス「そうだねえ……」


 ガラッ

ティセリア「ふぅ……」

ミスティ「あっ」

ティセリア「……あ」

イリス「てぃ、ティセリアさん!?」ザバッ

妖精「あんだって……?」

 *
601 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/23(金) 19:45:42.57 ID:ZWqedsq80
ティセリア「……おはようございます、復権派の皆さん」チャプン

ミスティ「え、ええ。おはようございます、ティセリア首長」

イリス「お、おはようございます」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

妖精「おはよ〜……あなたも朝風呂……?」

ティセリア「ええ、まあ……。たまに、利用するのです……」

イリス「そうなんですね……」

妖精「……さっき、あなたの秘書?の紫髪の子と朝ご飯食べてきたよ」

ティセリア「……はい、聞き及んでおります。朝食を共にしたと……」

ミスティ「ええ……。でもあれ、朝ご飯って言って良いのかしら……」

イリス「どちらかと言うとデザートだよね、木苺と精霊樹のフェアリーエルフアイスシェイク」

ティセリア「……ふふ。今の緑の国を満喫されているようで、何よりです」

妖精「観光に来たわけじゃないんだけどなあ」

ティセリア「……この国を是正しに来た、のですよね」

妖精「いや……実は当初はそういうつもりでもなかったりして……」

ティセリア「……ええ!? 首長選挙以上に重要な目標があるってことですか!?」

妖精「そ、そういう言い方はちょっと語弊がある。どっちもとても重要な目標なんだよ、優先順位は付けられない」

スライムクロシュ「〜〜…」モニョモニョ

妖精「そう。私たちは……この、クロシュの友達を捜しに来たんだ」

ティセリア「あ……。あの、ビラの……」

スライムクロシュ「〜」コク

妖精「フメイさえ見つかれば、私もこの国に干渉するつもりなんてなかった。もう首長なんて面倒なことやりたくなかったし。でも――」

ティセリア「……見過ごせないものを見つけてしまった、ということ……ですね……」

妖精「そういうこと。きっかけはそこのミスティが気まぐれに受けた冒険者ギルドの依頼だったんだけどね。木の家が弱ってるから助けて欲しいっていう」

ミスティ「……まあ、気まぐれと言えば気まぐれだけど……。でも、私にとってはあれも見過ごせないものだったわ……」

ティセリア「……そう、だったのですか……」

妖精「……ティセリア。やり方を変えてくれる気はないの?」

ティセリア「……」


↓1コンマ 紫髪のエルフ幼女との交流により補正+30
01-05 止まれません
06-50 もう少し考えさせてください
51-95 今夜革新派と話し合う予定です
96-00 ナシつけました
602 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/23(金) 19:52:23.85 ID:7QtoTavK0
ナシつけました
603 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/23(金) 21:08:22.85 ID:ZWqedsq80
ティセリア「……その件についてですが、つい先程革新派の長と話を付けて来たところです」

妖精「へっ!?」

 ◆

―少し前
 首長官邸

ティセリア「そうですか……。妖精が、そのようなことを……」

紫髪のエルフ幼女「はい。あのような老害の言葉を聞くのは癪ですが……どうか、ご決断ください。あなたが本当にしたいこと、すべきことを成すために――」

ティセリア「……」

ティセリア「サリー、来客準備を。マーベルの坊やと緊急会談します」

紫髪のエルフ幼女「……! はい……!」

 *
604 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/23(金) 21:08:50.16 ID:ZWqedsq80
マーベル「急な呼び出しはやめてくださいよ。頼み事があるならそっちから来るのが筋でしょ?」スタスタ

セイン「……」スタスタ

ティセリア「……マーベル」

マーベル「しかもこれまたけったいな格好ですねえ。一体全体どうしたって言うんです?」

紫髪のエルフ幼女「言葉を慎みなさい……」

マーベル「はいはい。それで何の用なんです? 俺、忙しいんですけど」

ティセリア「……森林開発計画についてお話があります」

マーベル「またその話か。もう決まったことに後からグダグダ言わないでくださいよ」

ティセリア「いいえ。木々や住民への被害が深刻なものとなっています。開発の一時停止を命じます」

マーベル「はあ!? 開発に関して口を出さない取り決めだろ!」

ティセリア「不正な契約に効力はありません。法廷で争いますか?」

マーベル「お前ら伝統派の不正も明るみに出るぞ……!」

ティセリア「承知の上です。元より、私が大切にしているのは伝統派ではなく民と木々そのもの。痛くも痒くもありません」

マーベル「ふざけやがって、愛国ババアが……!!」

紫髪のエルフ幼女「言葉を慎めと言った……!」シャキンッ

セイン「――」シャッ

ティセリア「納めなさい、サリー」

マーベル「チッ……セイン、お前も納めろ」

紫髪のエルフ幼女「……」スッ

セイン「……」スッ

ティセリア「……被害の現状把握と原因究明、被害者救済は我々が行います。革新派は開発の一時停止および開拓団への説明と謝罪を――」

マーベル「……はいはい、わかりましたよ」

ティセリア「……素直ですね」

マーベル「伝統派と心中する気はないんでね。被害が悪いってんなら被害がなくなりゃ再開しても良いってことだろ?」

ティセリア「はい」

マーベル「だったら原因究明には俺たち革新派も一枚噛ませてもらう」

ティセリア「……! もちろん構いませんが……良いのですか?」

マーベル「お前ら老害だけに任せてたら何年かかるかわかんねえだろうが……。一刻も早く再開させたいだけだっての」

ティセリア「……いえ、ありがとう。是非よろしくお願いします」

マーベル「ところで、選挙の件は別だよな? 開発は俺たち革新派の事業でしかないが、選挙は王国が絡んでんだ。しくじったら国が滅ぶ」

ティセリア「……」


↓1コンマ
01-90 民と木々の為です。王国はどうにもなりません
91-00 秘策があります。正々堂々戦いましょう
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/23(金) 21:10:28.39 ID:asip2/r/O
606 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/23(金) 21:49:57.88 ID:ZWqedsq80
ティセリア「……はい。王国はどうにもなりませんから」

マーベル「へっ、流石にそこまで耄碌したわけじゃねえか。開発は後でもできるが国は滅んだら終いだからな」

ティセリア「……」

 ◆

―現在
 公共温泉

ティセリア「……というわけで、間もなく開発の方は一旦停止します」

ミスティ「……!!」

スライムクロシュ「!!」モニョニョ

イリス「そ、それなら木のおうちも……!」

ティセリア「開発が止まるだけでは、恐らく木々を苦しめる毒気がすぐに消え去ることはないと考えられます……」

ミスティ「……まだ、安心はできないということね」

ティセリア「少しでも状況が良くなれば良いのですが……楽観視は危険でしょうね」

妖精「……ティセリア」

ティセリア「? 何でしょうか」

妖精「……ありがとう」

ティセリア「……! 首長として……いいえ、森に生きる者として当然の責務を果たしただけです」

 ☆森林開発が一時停止したことにより、木のおうちの生命力減少も停止しました
  毒気はまだ残留しているため、生命力は自然回復しません

 ◆
607 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/23(金) 21:50:53.98 ID:ZWqedsq80
―午後
 郊外 森妖精の子のおうち

 弱った木のおうち「」カサッ…

森妖精の子「えっ……? それじゃあ……これから、よくなるの……?」

ミスティ「……そうとは言い切れないみたい。でも、これ以上悪化することはないと思うわ……」

森妖精の子「……木さん、たすかる……?」

妖精「あなたが毎日しっかりお世話してあげれば、しばらくは大丈夫だと思う。でも現時点でとても弱ってるから、油断はできないよ」

森妖精の子「うん……おせわ、する……」

ミスティ「ええ、そうしてあげて……。私たちもこれから原因の調査に向かおうと思っているのだけれど……」

森妖精の子「……あ。そういえば……あさ、ドワーフさんたちが、えっほえっほ言いながら歩いてったの……。かんけい、あるかな……?」

ミスティ「ドワーフ……?」

ローガン「開拓と開発はドワーフの十八番だ。革新派に委託されて来た業者かもしれん」

イリス「現場に行ってみようよ……!」

 ◇

―郊外 森林開発現場

ドワーフの現場監督「一時停止だと? 応援が今朝到着してこれからって時にか」

マーベル「本当に申し訳ない。森への影響や被害が無視できない水準に達しましてね……」

ドワーフの現場監督「あんたの計画じゃ影響はほとんど出ないって話だったが」

マーベル「想定外に出すぎてしまったようです」

ドワーフの現場監督「……俺たちはどうなる。手ぶらで国に帰れってか」



イリス「な、なんか揉めてる?」

クロシュ「……! あの人……!」

ミスティ「……革新派のリーダー、マーベルね」

ローガン「急な計画の停止でゴタついているようだな……」

妖精「はあ。国の事業に他所の国の開拓団なんか招くからこんなことになるんだよ」


↓1 どうする?
1.その辺のドワーフ作業員に話を聞く
2.マーベルと現場監督の話に加わる
3.その他自由安価
608 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/23(金) 21:51:35.43 ID:e4VghjoiO
2
609 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/23(金) 22:41:05.16 ID:ZWqedsq80
妖精「失礼」パタパタ

ミスティ「ちょっといいかしら……」

マーベル「んん? あなたは方は……!」

ドワーフの現場監督「誰だ?」

妖精「新参の復権派だよ。地域住民の被害報告を受けて調査に来たの」

ドワーフの現場監督「……被害は深刻なのか?」

ミスティ「……ええ。一部の住民の住居……木の家が、死に瀕するほどには」

ドワーフの現場監督「……いつからだ」

ミスティ「話によると、約一ヶ月前から影響が出始めたみたい……」

ドワーフの現場監督「……お前は知っていたのか?」

マーベル「いえ、私もつい先日報告を受けたばかりなのです」

ドワーフの現場監督「……」

ドワーフの現場監督「……俺たちは開拓と開発が大好きだが、それで誰かを苦しめたいわけじゃない。それを知っていれば……お前にわざわざ言われずとも、こちらの判断で開発は一時停止していただろう」

マーベル「……」

ドワーフの現場監督「……再開の目処が立ったらまた呼べ」

マーベル「これまでの賃金と旅費、違約金は滞りなくお支払い致します」

ドワーフの現場監督「……未完の仕事で悪いが、ありがたくいただこう。こちらも生活がかかっている」

 ◆

撤収作業中のドワーフ開拓団「エッホエッホ」ガタンゴトン


マーベル「……ふう。見苦しいところをお見せしてしまいましたね。復権派の皆さん」

妖精「あなたの見苦しいところを見に来たわけではないんだけどね」

マーベル「こりゃ手厳しいなあ。そういえば昨日もウチに来たそうですけど、何の用だったんですか?」

ミスティ「……あなたへの用はもう済んだわ……」

マーベル「……なるほど。ティセリアおばさんをたぶらかしたのもあなた方ですか」

妖精「ティセリア自身が自分で考えて行動しただけだよ」

マーベル「はあ、まあそういうことにしておいて差し上げますよ。全く、とんだおばあちゃんが出張って来たもんだ」

妖精「ああ!? 今なんつった!!?」パタパタパタ

マーベル「貫禄もクソもないし……。なんなんだよあんたは……」

 ◆
610 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/23(金) 22:57:35.10 ID:ZWqedsq80
―緑の国フォレスティナ 滞在6日目
 ◆パーティメンバー
 ◇クロシュ 武:鉄の小盾  防:旅人の服
 ◇妖精   武:なし    防:蜘蛛絹のレオタード
 ◇イリス  武:精霊樹の杖 防:魔術師のローブ
 ◇ミスティ 武:魔銀の短剣 防:旅人のローブ
 ◇ローガン 武:鋼の剣   防:鎖帷子

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹×2
・運命賽
・雨乞い傘

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・おうちの木を助ける(木の生命力[3/40]、減少停止中)
・木の病気の原因を突き止める(開発が関係しているっぽい?)
・選挙で勝つ

◯仲間の目標
・星の魔力を読む[2/4](イリス)
……………………………………………………………………………………
□フォレスティナ首都 主要施設
郊外:緑の大森林、農園、果樹園、精霊の泉、おうちの木、森林開発現場、他
首都:露店通り、大樹の宿、武具店、雑貨店、魔法店、工芸品店、八百屋、甘味処、食事処、冒険者ギルド、他
聖域:世界樹 ※許可なき者は聖域に入れません
……………………………………………………………………………………

―朝
 郊外 森妖精の子のおうち

 チュンチュン

森妖精の子「〜〜」ブツブツ

 弱った木のおうち「」キラキラ…

森妖精の子「はあ、はあ……。木さん……しなないで……」

ミスティ「……今のは……癒やしの魔法……?」

森妖精の子「うん……。木さんをげんきにする、おまじない……。きのうより……ちょっとだけ、きいてるきがする……」


ミスティ(……私にも、癒やしの魔法が使えたら……)

ミスティ(いえ……ないものねだりをしても仕方ないわ。今は、この木を侵している病気を取り除くことを考えるのよ……。開発の停止と同時に病気の進行も止まったということは、開発が関係しているのは明らか……。開発の何が原因だったのか……それさえ突き止められれば……)


森妖精の子「えへへ……ミスティさんたちの、おかげなんだよね……。ありがと……」


ミスティ(この笑顔を……絶対に失わせないわ……)グッ


フォレスティナ滞在6日目です(投票日までの残り行動可能日数3)
↓1〜3 自由安価 何をする?
611 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/23(金) 22:59:03.98 ID:4B/CXLPZo
精霊の泉でセインとばったりはち合わせする
612 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/23(金) 23:00:03.53 ID:fPV8+qao0
フラナに植物に効く薬がないか連絡してみる
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/23(金) 23:01:49.16 ID:NWp+Cpvu0
森林開発現場に行って気になる事がないか調べてみる
614 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/23(金) 23:13:16.73 ID:ZWqedsq80
本日はここまでとなります。ただでさえ遅い筆がさらに遅くなっている気がします。申し訳ありません
次回は泉のセインくん編、薬師フラナの応援編、森林開発現場調査編です

自分で書いていて思うのですが、この程度のなんちゃって政治要素でさえかなり難航している模様です。ここ最近特に進行が遅くて申し訳ないですが、長い目で見ていただけると幸いです
ドワーフは地上だろうと地底だろうと整備開発を行うのが大好きな種族です。大陸の北の方にはとても長くて高い山脈が連なっており、そこの地下にはいにしえのドワーフ文明が築き上げた地底帝国の巨大遺跡が眠っています。今回来たドワーフ開拓団はその辺りの出身らしく、もしかしたら地底帝国の末裔かもしれません。なお山越えの難易度は登山ルートも地底ルートも同じくらい危険が危ないそうです。赤ちゃんスライムのクロシュちゃんは近づかないようにしましょう

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いします
615 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/24(土) 01:01:08.99 ID:SasbHdWYo

政治って難しいね……
妖精おばあちゃんが可愛すぎる
最悪でも王国の手先とドンパチはなさそうで良かった、より良い形に着陸することを祈るのみ
616 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/24(土) 02:28:07.23 ID:55d9Todfo

クロシュたちでは行けない入国難易度高いところが結構ありそうね世界には
617 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/24(土) 15:47:37.17 ID:yppByRpeO
対王国は勇者と正面で戦える人材を用意すればいいのでしょう
618 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/24(土) 18:56:26.52 ID:SIF3YeF40
妖精おばあちゃんは今でこそこんな感じですが、首長をやっていた頃はもう少し威厳とか貫禄があったのかもしれません。今はすっかり失われています

王国の手先とのバトルが今後あるかどうかはわかりませんが、安価次第で良い結末へ向かうことは可能です。是非目指してみてください

常闇の樹海などもそうですが、行き来の難しい危険地帯はけっこうあります。そういう場所に行く場合には専門のガイドを雇うか、頑張ってサバイバル技術や戦闘力を磨くのが良いでしょう

勇者と真正面から戦える人材を用意できれば戦いになりますが、今のところ勇者と真っ向から争える戦闘力を有するのは魔王化した者くらいしかいないようです……
619 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/24(土) 18:56:59.30 ID:SIF3YeF40
―朝
 精霊の泉

 チュンチュン

クロシュ「えと……木さんたちが病気になってること……知ってる……?」

水の精霊『……』コクリ

クロシュ「その……原因は……?」

水の精霊『……』フルフル

クロシュ「そうなんだ……。ありがと……」

水の精霊『……』コクリ

妖精「やっぱり原因まではわかんないか……。まあ、わかってたら精霊たちがなんとかしてるだろうしね」

水の精霊『……』ショボン

妖精「ああ、ごめん。責めてるわけじゃ――」


セイン「精霊と話せるのか」スタスタ

クロシュ「!」ピクッ

水の精霊『?』

妖精「……あなたは……セイン、だっけ」

セイン「ああ。スライムが精霊を認識できるのは知らなかった」

妖精「クロシュは珍しいスライムだからね。普通のスライムとはちょっと違うんだよ」

セイン「そうなのか」

クロシュ「……えと……セイン、さんも……見えるの……?」

セイン「ああ」

妖精「あなた、本当に人間?」

セイン「さあ」

妖精「まあなんでもいいけどさ。あなた革新派の護衛でしょ? こんなとこに何しに来たの?」

セイン「外出許可は得ている。少し水を汲みに来た」スッ

 空き瓶「」

妖精「……何に使うの? 確かにここの水は良識の範囲内で観光客も汲んでいって良いことになってるけど」

セイン「……」


↓1
01-60 教えてくれない
61-90 少し教えてくれる
91-00 ??
620 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/24(土) 18:57:59.20 ID:UCIARSvRO
621 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/24(土) 19:27:07.10 ID:SIF3YeF40
セイン「……答える義務はない」

妖精「いや、答えたくないなら別に良いけどさ……。精霊の祝福を受けた水、大事に使ってよね」

セイン「ああ」

クロシュ「……」

セイン「……見つかると良いな。友達」

クロシュ「!」

セイン「では失礼する」スタスタ


クロシュ「あ……えと……あ、ありがと……!」

妖精「……やっぱり、悪い奴じゃないのかも。よくわかんないけど」

 ◆
622 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/24(土) 19:27:51.00 ID:SIF3YeF40
―大樹の宿 ロビー

宿のアルラウネ「イリスさん、郵便が届いてるよ」

イリス「ありがとうございます!」

ミスティ「もう返事が来たの?」

イリス「や、実はいつもの手紙のやり取りとは別に植物に効く薬がないかっていう速達便もこの前送ったから、多分それの返事だと思う!」

ローガン「……そういえばフラナ氏は薬屋でもあったな。魔法使いや革命軍の指導者としての姿の方が印象に残ってしまっているが」

イリス「師匠の反魂丹には本当に助けられたもんね……。重さと厚みからして何か入ってるみたいだし、早速開けてみるよ……!」


↓1
01-35 樹木用活力剤(木の生命力+1)
36-65 疑似世界樹の葉(木の生命力+2)
66-95 疑似世界樹の雫(木の生命力+4)
96-00 植物用反魂丹(木の生命力全回復)
623 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/24(土) 19:28:34.23 ID:4GY18fvp0
いけ
624 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/24(土) 20:45:52.50 ID:SIF3YeF40
 樹木用活力剤「」ポン

手紙『ごめんなさい、植物の薬は専門外だからこんなものしか用意できなかったわ。効能も一時的なものだから、やはり木を弱らせている原因を取り除くのが最善よ』

手紙『あなたたちの活躍は風の便りで聞いています。私たち魔族の大人はもちろん、聖女や子供たちもあなたたちを応援しているわ』

手紙『選挙活動も森林保護活動も大変だと思うけれど、体に気を付けて頑張りなさいね』



イリス「師匠……!! 専門外にも関わらず薬を作ってくれたんですね……!」ウルウル

ミスティ「……初めて会った時は剣呑な人だと思ったけれど、今はもう全然人の良い吸血鬼にしか見えないわね……」

ローガン「あの時はまだ王国の支配下にあった上、革命を間近に控えて気が張っていたのだろう。こちらが本来の彼女なのかもしれんな」

 ◇

―郊外 森妖精の子のおうち

 樹木用活力剤「」トプトプ

 弱った木のおうち「」ググ…

森妖精の子「……! まだ、声はきこえないけど……すこし、いいみたい……!」

イリス「本当!? よおし!」

ミスティ「やったわね……!」

イリス「うん……! でもこれは一時的なものだから、原因を取り除かないとね……!」

ローガン「うむ。クロシュくんたちと合流したら森林開発現場に向かおう」

ミスティ「ええ……!」

 ☆おうちの木の生命力が1回復しました
  現在の生命力は[4/40]です

 ◆
625 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/24(土) 20:47:30.52 ID:SIF3YeF40
―郊外
 森林開発現場

 建築中の鉄筋造りの建造物群「」

ティセリア「ここの地質はどうですか?」

地質専門アルラウネ「う〜ん……ここも異常なしね」

ティセリア「むう、一体どこから木を痛めつける毒気が流れているのでしょう……」

マーベル「一応言っておくが、建材に毒性のあるものは使ってないからな。これほどの被害は想定外ってのは本当なんだぜ」

ティセリア「わかっていますよ。責は承認した私にあります。原因の究明を急ぎましょう」



妖精「お〜い」パタパタ

ティセリア「あなた方は……復権派の皆さん」

ミスティ「私たちも手伝うわ……」

マーベル「なんだ? 新参の余所者が調査の邪魔をしないでもらえるか?」

紫髪のエルフ幼女「革新派のあなたが余所者を排斥するのですか? まるで伝統派の老害のようですよ」

マーベル「なんだと……」

妖精「老害ってのは実は年齢じゃなくて精神性のことなんだよねえ……」ニヤニヤ

マーベル「このババア……!」

ティセリア「こら、喧嘩はやめなさい! 今は協力して調査を行うのが先決でしょう!」

紫髪のエルフ幼女「すみません」

マーベル「チッ……わかってるっての」

妖精「はいはい、もちろんそのつもりだよ」

クロシュ「う、うん……!」


イリス「なんだかティセリアさんってみんなのお母さんみたい。妖精さんまで素直になってるし」

ローガン「フフ、釣られてクロシュくんまで返事をしているな」

ミスティ「みんな私たち人間よりも遥かに歳上なのよね……。なんだか不思議な気分になるわ……」


↓1コンマ 本日の調査結果
01-60 毒気は地下の深いところから出てきているらしい……?
61-90 地下深くに何かある?
91-00 ??
626 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/24(土) 20:49:06.92 ID:Dm4W3pW+0
627 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/24(土) 21:27:48.25 ID:SasbHdWYo
お?!
628 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/24(土) 21:43:26.51 ID:SIF3YeF40
地質専門アルラウネ「……ん!? この直下……なんだかすっごく嫌な感じがする……!」

ティセリア「! マーベル、サリー!」

マーベル「金属反応はねえが……なんだ、こりゃ……」ジリ…

紫髪のエルフ幼女「地下深くに、何か……ひっ……!? なに……これ……!?」ガタガタ

ティセリア「サリー!?」


ローガン「私も鋼魔法で地下を探知してみたが……確かに何かある……。だが、これは一体……」

イリス「……これは……封印? でも解けかけてて……封印されている何かが……漏れ出てるの……?」

ミスティ「……氷よりも……永久凍土よりも冷たい……これは……」

クロシュ「――」

妖精「……」



妖精「――ねえ。みんな疲弊しているみたいだし、今日の調査はここまでにしようよ」

ティセリア「妖精……?」

妖精「藪を突いて蛇を出すこともないでしょ」

ティセリア「何か、知っているのなら――」

妖精「さあ。私は何も知らないけど、みんなの反応を見れば厄モノがあることくらいわかるよ。何の準備もなしに掘り起こすのは危ないでしょ」

ティセリア「そ、それはそうですが……」

妖精「何かするなら選挙が終わってからにしな。幸い開発の一時停止で毒気の漏出も多少収まったみたいだし、木々も保つでしょ」

ティセリア「……そう、ですね……」

妖精「そうと決まれば撤収撤収!」

 ◆
629 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/24(土) 22:10:22.89 ID:SIF3YeF40
―夜
 大樹の宿 客室

イリス「……」zzz

ミスティ「……」zzz

スライムクロシュ「……」


妖精「……」スッ


スライムクロシュ「…」モニョ

妖精「……起きてたの、クロシュ」

クロシュ「妖精さん……どこ、行くの……?」デロ

妖精「どこって……ちょっと夜の散歩だよ」

クロシュ「……」

妖精「すぐ戻るから。心配しないで」

クロシュ「……やだ」

妖精「なあに、片時も私と離れたくないの? 全くもう、かわいい赤ちゃんスライムなんだから……」

クロシュ「……」

妖精「……」

クロシュ「……」

妖精「……クロシュは……もう、大丈夫だよね」

クロシュ「えっ……?」

妖精「イリスと、ミスティと、ローガンがいて……魔族国のみんなも、きっといつでもクロシュを待ってくれてる。フメイもきっと、いつでもクロシュのことを案じてる」

クロシュ「……??」

妖精「……フメイを連れ戻せたら……平和なところで、幸せに暮らすんだよ。生きるのは苦しいことばかりだけど……クロシュならきっと、大丈夫だから」

クロシュ「……???」

妖精「――それじゃ、さよなら」

クロシュ「え――」

妖精「あなたに――あなたたちに、精霊の加護がありますよう――」フワッ

 ビュオッ

クロシュ「ふわっ……!」

 窓「」ガラン
 カーテン「」バタバタ

クロシュ「あっ……! よ、妖精さん……!!」

 ◆
630 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/24(土) 22:14:55.22 ID:SIF3YeF40
本日はここまでとさせていただきます

地下に眠っていたもの、それは一体何だったのか。妖精は何を知っているのか。夜分遅くに一人でどこへ向かったのか。赤ちゃんスライムのクロシュに何ができるのか――
次回「恩讐のフォレスティナ」編。お楽しみに

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願い致します
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/24(土) 22:42:04.25 ID:4lj+pIIkO

高コンマイベントで妖精に不穏なフラグが・・・?
フラナ氏の店薬以外も怪しいアイテム売ってそう
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/24(土) 22:50:35.00 ID:SasbHdWYo

あーヤバい!これ妖精さん離脱フラグに見えてしまう!
こんな時にあれだけど描写的に妖精さん何の属性かと言われたら多分、風だよね
633 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/25(日) 20:07:44.49 ID:D8JY08mz0
原因特定が迅速に進んだという意味での高コンマだったのですが、確かにこれではせっかく高コンマを引いたのにバッドイベントが起きたように見えるので、次の判定に良い感じの補正をかけるなどの好影響を出したいと思います。紛らわしくて申し訳ありません

フラナ氏は薬師もできる魔法使いなので、彼女の店は魔法に関するいろいろなものが売られています。人間に向いたものもいくらかはあるかもしれません

妖精さんがどのような運命を辿るのかはこの後の展開次第であります。よろしくお願いします

これはネタバレですが、妖精の得意属性は自然というものです。自然に働きかけることによって様々なことができますが、出力はそれほど高くないため戦闘向きではないようです(台風の中やマグマ地帯など、自然の脅威がある場所では逆に猛威を振るうことができます)。妖精種はこの属性を得意としていることが多いようです
634 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/25(日) 20:13:52.01 ID:D8JY08mz0
―とても昔
 緑の国フォレスティナ 郊外

魔王樹『――』ギギギギギ

妖精「……ごめんね。あなたは――ただ、生きたかっただけなのに――」

魔王樹『――』ギギギ

妖精「生命を奪わなければ――生命は、生きられない。そしてあなたは――奪う生命が、多くなりすぎてしまった」

魔王樹『――』ギギ

妖精「……ごめんね」キラキラ

 ヒュオッ…

 封印の要石「」ズン…


アルラウネ族長「お、終わった……の……?」

エルフ族長「おお……ついに、あの魔王樹を――!」

馬頭族長「バンザイ! 妖精サンバンザイ!」バンザイ!

 ワアアアア!! ヨウセイサンバンザイ!! バンザイ!!

妖精「……」

 ◆

幼ティセリア「えっ!? 妖精、首長辞めちゃうってほんと!!?」

妖精「うん……」

幼ティセリア「ど、どうして!? 妖精が辞めちゃったら誰がこの国を治めるの!?」

妖精「今いる子たちに任せるよ。いつまでも私がふんぞり返ってたら不健全でしょ」

幼ティセリア「……なにか、あったの?」

妖精「さあ。まあ、いろいろ疲れたってのもあるかな……」

 *

―聖域
 フォレスティナ建国千周年 戴冠式

妖精「みんな、千年間ありがとう。とても良い時間だった。後はよろしくね」

エルフ族長「妖精首長に託されたこの国を、必ずや強く美しく育て続けることを誓います……!!」

妖精「うん。それじゃあ……私はもう、行くよ」

エルフ族長「はい……!」

幼ティセリア「妖精……」ウルウル

妖精「後は頼んだよ、ティセリア。私は……世界を、見てくるから」

幼ティセリア「うん……!! 妖精の旅路に……精霊の加護がありますよう……!!」

妖精「ありがと。ティセリアとフォレスティナにも、精霊の加護がありますよう――」

 ワーワー! イカナイデー!! ヨウセイサーン!!

妖精「それじゃあ――さようなら――」フワッ

 ヒュオッ

幼ティセリア「あ――」

エルフ族長「……行ってしまったな」

幼ティセリア「うん……」ポロポロ

エルフ族長「いつか、妖精が帰ってくる時に……この国をもっともっと美しくして、驚かせて差し上げよう。ティセリア」

幼ティセリア「うん……!!」ポロポロ

 ◆
635 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/25(日) 20:14:43.28 ID:D8JY08mz0
―とても昔
 緑の国フォレスティナ 郊外

 封印の要石「」

妖精「……」

妖精「あなたのような哀しい存在を生み出してしまうこの世界が……本当に良いものなのかどうか……。見てくるよ……」

 封印の要石「」

妖精「……あなたの憎しみも、哀しみも……。きっと、永い時が癒やしてくれるから……。どうか、安らかに――」

 封印の要石「」

 ◆
636 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/25(日) 20:15:11.76 ID:D8JY08mz0
―現在 夜
 フォレスティナ郊外

妖精「……」パタパタ

妖精(あれから……本当に、永い時間が経った)

妖精(この世界が良いものだと無邪気に信じられなくなったのも……もうずっと昔のことだ)

妖精(そんな苦しみに満ちた世界に――私は、あの魔王樹を閉じ込め続けてしまった)

妖精(魔王樹は……あの暗い地下で、怒りと憎しみと哀しみを募らせながら……ずっと、ずっと……封印が綻ぶのを待ち続けていたんだろう)

妖精(当時の私の甘さが招いた……致命的失敗。死をもって終わらせるのが忍びないからと――安らぎの結界で心だけでも救われて欲しいなどと、個人的感傷を優先したから)

妖精(――今この国を脅かしている苦しみは、私のせいだったんだ)

妖精(今度こそ、終わらせてあげないと。死ぬことでしか解放されない――魔王という、哀しい存在を)

 ◇
637 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/25(日) 20:15:39.48 ID:D8JY08mz0
―大樹の宿 客室

クロシュ「い、イリスさん! ミスティさん!」モニョモニョ

イリス「んん……クロシュちゃん……?」

ミスティ「ど、どうしたのよ……? まだ真っ暗みたいだけど……」

クロシュ「よ、妖精さんが……出てっちゃった……!!」

イリス&ミスティ「!!」

 扉「」バンッ!

ローガン「どこに行ったかわかるか!?」

クロシュ「え、えと……多分――」

ミスティ「――開発現場」

クロシュ「う、うん!」

イリス「た、確かに帰ってきてから少し様子が変だったけど……」

ローガン「明らかに何かを知っている様子でもあったな。一人で何かしようとしているのかもしれん、急ぐぞ!」

 ◇
638 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/25(日) 20:16:09.75 ID:D8JY08mz0
―郊外
 森林開発現場

 要石の破片「」

妖精(どうして忘れていたのだろう。首長の退任を決意するほどの出来事だったはずなのに)

妖精(――忘却を促すのもまた……魔王の力……? そういえば、魔族国で勇者を呪ったとされる魔王も、多数の住民が目撃しているはずだし、時間もそれほど経っていないのに――覚えている者はあまり多くなかった)

妖精(……いや、今はそんな考察なんてどうでもいいか。自分自身の不始末を、付けにいかなきゃ)


妖精「――開け」


 結界口「」ヴォン…


妖精(……元々は私が作った結界。この中でなら、例え魔王樹が相手でもこちらが圧倒的に優位だ)

妖精(そして魔王と言えど樹木なら、私の自然を司る魔法で枯らせられる……)

妖精(……でも多分、それでも命がけ。というか、十中八九生きては帰れない……)

妖精(でも仕方ない。私の責任だし……私一人の命で被害を食い止められるなら安いもんでしょ)


妖精(ティセリアはすっかり成長したし、優秀な側近もいる。マーベルとかいう奴もまあそこまで悪い奴ではなさそう)

妖精(王国への恭順は嫌だけど、理屈はわかるし無闇に抵抗するよりはマシだとも思う。一応策もあるみたいだし、頭ごなしに否定するほどじゃない)

妖精(……こいつさえなんとかすれば……この国は多分、大丈夫……。あとは今の子たちがなんとかやってくれるはず)

妖精(気がかりなのは――)

 妖精の想像するクロシュ『〜〜』モニョモニョ

妖精(……)

妖精(イリスたちが見ていてくれるとは思うけど……でもやっぱり、心配なものは心配……)

妖精(そもそも、イリスとミスティだってまだまだ幼い子供みたいなもんだし……ローガンもローガンで時々危うさがちらついてる……)

妖精(……ああもう、何もかも私の楽観が招いた危機だ)


妖精「……そこの風の精霊。伝言頼める?」

風の精霊『?』ヒュオオ

妖精「ティセリアに、復権派のみんなをよろしくって伝えておいて」

風の精霊『!』ヒュイッ

 ビュオオッ

妖精「……これでまあ、悪いようにはならないはず。さて――」

 結界口「」ゴゴゴゴ…

妖精「……行こう」

 *
639 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/25(日) 20:16:37.17 ID:D8JY08mz0
―封印結界

 ゴゴゴゴゴ

魔王樹『――』

妖精「久しぶり。その様子……全然変わってないね……」

魔王樹『――』ギギ

妖精「……覚えてるか。そうだよ……あなたをここに閉じ込めた、妖精だよ」

魔王樹『――』ギギギ

妖精「……あなたの怒りも、憎しみも――受けて立つ覚悟はできて――」

 ゴゴゴゴ メキメキメキ

妖精「えっ――」

 妖精を取り囲む樹木の群れ『――』ギギギ

妖精「なんで――数が増えて――」

 蔓の触手「」ギュオッ
 ガシシッ

妖精「ひっ……! や、放し――」

 蔓の触手「」ギラッ
 ギュオンギュオン

妖精(い、命が――吸われ――)


妖精「みん、な……ごめ…………」

 カクン…

 ◆
640 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/25(日) 20:18:22.09 ID:D8JY08mz0
―森林開発現場

 結界口「」ゴゴゴゴゴ

クロシュ「!!」

ミスティ「あれは……!」

イリス「結界の……入口!」

ローガン「日中はなかったが!?」

イリス「きっと妖精さんが開けたんだ! でもこれ……一方通行だよ!」

ローガン「何!? なぜ――」

イリス「大抵は、中にいる何かを外に出さない為! でも術者なら関係なく出入りできるのが普通だから、妖精さんが術者だとしたら――」

クロシュ「――」シュバッ

 結界口「」トプン…

ミスティ「クロシュ! くっ、一方通行が何よ……!」バッ

 結界口「」トプン…

イリス「ああ、話は最後まで……ええい、私も!」タッ

 結界口「」トプン…

ローガン「クッ、私でも守りきれる相手なら良いが……!」ダッ

 結界口「」トプン…

 *
641 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/25(日) 20:19:35.06 ID:D8JY08mz0
―封印結界

 ゴゴゴゴ

魔王樹『――』ギギ

 捕らえられてぐったりしている妖精「」


クロシュ「!! 妖精さん!!」

ミスティ「妖精……!! くっ……なんて重いプレッシャーなの……!!」

イリス「……!! あれが……木々を弱らせてる、原因……!?」

ローガン「今助けるぞ……!」シャキン


 ゴゴゴゴ メキメキメキ


クロシュ「!!」

ミスティ「なっ――」

 クロシュたちを取り囲む樹木の群れ『――』ギギギ

ローガン「何っ!?」

イリス「えっ――」

 殺到する蔓の触手「」ギュオオオオッ


↓1コンマ 最速発見ボーナスにより補正+10
01-02 劣勢、ミスティ負傷
03-04 劣勢、イリス負傷
05-07 劣勢、ローガン負傷
08-10 劣勢、クロシュ負傷
11-70 劣勢、伝統派参戦
71-90 優勢、伝統派+マーベル参戦
91-00 優勢、伝統派+マーベル+???参戦
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/25(日) 20:20:11.15 ID:SI6QBs3E0
たのむ
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/25(日) 20:20:27.86 ID:kQbaZBIB0
644 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/25(日) 20:39:14.96 ID:D8JY08mz0
 殺到する蔓の触手「」ギュオオオオッ

ミスティ「ぼ、防御が間に合わな――」


「大地の壁!」
「風の精霊よ、哀しみの蔓を切り裂いて――!」

 大地の壁「」ゴゴゴゴ!!
 風の刃「」ヒュンヒュンッ

 壁に防がれて切り裂かれる蔓の触手「」スパスパッ
 ボトボトッ

ティセリア「大丈夫ですか! 復権派の皆さん!!」

紫髪のエルフ幼女「はあ、はあ……! 怪我はありませんか……!」

クロシュ「!」

ミスティ「伝統派……!!」

ローガン「あ、ありがたい……!」

イリス「助かりました……!!」

ティセリア「妖精は……あそこですね! 協力して助けますよ!」

紫髪のエルフ幼女「第二波が来る! 備えてください!」


↓1コンマ
01 劣勢、ミスティ負傷
02 劣勢、イリス負傷
03-04 劣勢、ローガン負傷
05-06 劣勢、クロシュ負傷
07-08 劣勢、ティセリア負傷
09-10 劣勢、紫髪のエルフ幼女負傷
11-50 劣勢
51-70 優勢
71-90 優勢、マーベル参戦
91-95 優勢、マーベル+???参戦
96-00 優勢、???+????参戦
645 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/25(日) 20:41:32.01 ID:NHwLEYG6o
こうこんま
646 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/25(日) 20:41:58.60 ID:kCdreLYfO
はい
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/25(日) 20:49:38.42 ID:9scI6R8No
ヒェ
648 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/25(日) 20:52:13.58 ID:D8JY08mz0
 蔓の触手「」ビュンビュン

ミスティ「数が多すぎるわ……!!」

盾クロシュ「うう……!!」ガギンガギンッ

ローガン「くっ、私とクロシュくんだけでは守りきれん……!!」ギンギンッ


イリス「炎よ!」ゴウッ

 蔓の触手「」メラメラ

ティセリア「……! 火の通りが良い……! 見かけは凶悪ですが、既に枯れかけているのかも――」

イリス「よおし、このまま――」

 火の付いた蔓の触手「」ググ ブンッ

イリス「えっ――」

ミスティ「イリス!!」バッ

 バシンッ!!!

ミスティ「う、ぐ……」フラッ

イリス「ミスティ!!!!」


↓1コンマ
01 敗北、ミスティ死亡
02-10 敗北
11-50 劣勢
51-60 優勢
61-90 優勢、マーベル参戦
91-95 優勢、マーベル+???参戦
96-00 優勢、???+????参戦
649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/25(日) 20:53:06.62 ID:97tZ+3lwO
いけ
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