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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】

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461 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/08(木) 22:29:02.54 ID:6Urb/6UHO
【名前】マーベル・クライス
【種族】エルフ
【性別】男
【年齢】600
【容姿】フォレスティナの伝統衣装の上に今国際的に流行りのブランドマントを着けている。笑顔が特徴的な薄金髪のお兄さん。
【性格】脱田舎思考のシティボーイ。新しい物好き。気さくな時とシリアスの時のギャップがある。
【魔法】金属を生み出し操る
【備考】世界を渡り歩いた国際通として革新派から出馬。人当たりがよく選挙活動の一環で街に出没して色んな人に握手を求める。
森しかない祖国に多少のコンテンツを増やす目的で一部森林の開拓を主張する。レジャーやスポーツ、その他娯楽施設を開業することで国民の幸福度は上がるわ、業者から裏金が入ってくるわとWin-Win。彼の事務所には王国やその他の外国の者たちが出入りしてるが、いったい何なのだろうね。
祖国は歴史的に伝統派が強く、そのため進歩が止まっている事実に悲観し、森>進歩の現状を変えようと心から思っている。それはそれとして汚職はする。
462 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/08(木) 23:01:39.34 ID:foosXCaP0
皆さんありがとうございます。伝統派の現首長は>>458のティセリア氏、革新派は>>461のマーベル氏に決定いたしました。スタイル抜群伝統派エルフとイケメン汚職エルフです
惜しくも安価から外れてしまった>>460の幼女エルフのサリー氏も、ちょっとした役柄で登場することがあるかもしれません。よろしくお願いします


それでは本日はありがとうございました。土日(+祝日?)に本編更新をしたいと思いますので、よろしくお願いします
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/08(木) 23:02:35.50 ID:6Urb/6UHO
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/08(木) 23:27:20.42 ID:6es3rq5Do
おつおつ
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/08(木) 23:29:37.70 ID:mgkUIQhs0
乙でした
466 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/10(土) 21:17:42.74 ID:au/cfXdQ0
―緑の国フォレスティナ 滞在2日目
 ◆パーティメンバー
 ◇クロシュ 武:鉄の小盾  防:旅人の服
 ◇妖精   武:なし    防:蜘蛛絹のレオタード
 ◇イリス  武:精霊樹の杖 防:魔術師のローブ
 ◇ミスティ 武:魔銀の短剣 防:旅人のローブ
 ◇ローガン 武:鋼の剣   防:鎖帷子

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹×2
・運命賽
・雨乞い傘
・フメイちゃんの迷子ビラ

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す

◯仲間の目標
・星の魔力を読む[2/4](イリス)
……………………………………………………………………………………
―翌朝
 露店通り

 ワイワイ ガヤガヤ

ミスティ「朝からもう賑わっているわね……。流石は観光地といったところかしら……」

ローガン「しかももうすぐ首長選挙だ。国内外問わず見物客が首都に集まってきているのだろう」

妖精「うんざりするね。毎日毎日頭空っぽの奴らがお祭り騒ぎしててさ」

ミスティ「タイミング的に、私たちもお祭り騒ぎしに来た観光客と思われてるでしょうね……」

イリス「でも、人目が多い時期ならフメイちゃんの目撃情報もきっとあるはずだよ!」

妖精「言われてみればそうか。クロシュ、ビラ配りの準備は良い?」

クロシュ「ん」コク

 *
467 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/10(土) 21:18:43.53 ID:au/cfXdQ0

イリス「人を捜しています!」ピラッ

金髪爆乳エルフ「あら、迷子? 見かけたら連絡するわね」


ミスティ「この子を見たら、大樹の宿に連絡を……」ピラッ

エルフの吟遊詩人「ふむ……覚えておきましょう……」ポロロン


ローガン「失礼。この子に見覚えはないだろうか」ピラッ

馬頭の飛脚「オデ、見覚エナイ。見タラ教エル」


妖精「迷子を捜してま〜す。お見かけの方は大樹の宿まで〜」ピラッ

森妖精「わあ、かわいい絵! あなたが描いたの?」キャッキャ



クロシュ「え、えと……と、友達を……さがして……」オロオロ

 ガッ(つまづく音)

クロシュ「ひゃっ……」

 ドテッ
 バッサァ…(ビラが散らばる音)

クロシュ「あ、あ……」ジワワ

 ザワザワ ナンダァ?

クロシュ「ご、ごめ、なさ……」オロオロ


「――風の精霊よ、ビラを集めて―――」

 フワッ
 バササササッ!(ビラが綺麗に集まる音)

 フメイちゃんのビラ束「」ビシッ!

緑髪エルフの少女「……はい、どうぞ!」ニコッ

クロシュ「あ……ありがと、ございます……」スッ

緑髪エルフの少女「転んだところは……あら、もう治ってる。ふふ、流石はスライムの子です」

クロシュ「え……?」

緑髪エルフの少女「ああ、申し遅れちゃいましたね。私はティセリア。この緑の国の――」


「一枚忘れてますよ? ティセリア首長殿?」ヌッ

 フメイちゃんのビラ「」ピラッ

クロシュ「あ……」

薄金髪エルフの青年「もう落としちゃダメだぜ?」ニコッ
468 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/10(土) 21:20:07.20 ID:au/cfXdQ0
ティセリア(緑髪エルフの少女)「……マーベル」

マーベル(薄金髪エルフの青年)「おっと、そう睨まないでくださいよ。ビラを拾ってこの子に渡しただけでしょ?」

ティセリア「睨んでなどいませんが。ご協力、感謝致します」ペコ

マーベル「どういたしまして。ところで君……この子、迷子なのかい?」

クロシュ「あ、うん……」

マーベル「じゃあお兄さんも一枚もらっていいかな? 手伝うよ」

ティセリア「……! 私も手伝います、一枚もらっても良いですか?」

クロシュ「うん……」

 ピラッピラッ

マーベル「……フメイちゃんて言うのか。君にそっくりだけど、双子とか?」

クロシュ「あ、えと……わたし、フメイちゃんの姿に、化けてて……」

 デロデロ

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

マーベル「なるほど」

ティセリア「状況はわかりました」

 デロデロ

クロシュ「……よろしく、お願いします……」ペコリ


紫髪のエルフ幼女「……こんなところで何をしているんですか、ティセリア」スタスタ

ティセリア「あっ、ごめんなさい! それでは失礼します、お探ししますからね!」タタッ


マーベル「おー、流石首長殿はお忙しいねえ」

「……マーベル」スタスタ

マーベル「っと、俺にもお迎えか」


クロシュ「…………!!?」バッ

勇者サイン?「……? お前……あの時の……」スタスタ

マーベル「ん? 知り合いか? セイン」

セイン「……」

マーベル「なんだ、気になるな。もしかしてお前、こういう子が好みなのか?」ニヤニヤ

セイン「いや」

マーベル「はあ、相変わらず遊びのねえやつ。まあいい、行くぞ」ザッ

セイン「……ああ」

マーベル「んじゃまたな。俺も捜しとくけど見つかると良いな」ヒラヒラ スタスタ

セイン「……」ジッ

クロシュ「……」

セイン「……」クルッ スタスタ…


クロシュ「……」

 *
469 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/10(土) 21:22:20.86 ID:au/cfXdQ0
―緑の国
 郊外 農道

 ヒュオオオ…
 ヒラヒラ パシッ

 フメイちゃんの迷子ビラ「」パタパタ…

アリシラ?「わお、フメイちゃんフメイちゃん、これ見て!」

フメイ「……? え、クロシュ!?」バッ

アリシラ?「ううん、この紙に描かれてるのはフメイちゃんのことみたいだよ。捜しています、だって」

フメイ「捜し、て……?」

アリシラ?「クロシュちゃんだよぉ! このインク、クロシュちゃんの粘液がちょっとだけ混じってるもん!」

フメイ「あ……クロシュ……」

アリシラ?「うふふ……フメイちゃんも愛されてるんだねえ……」

フメイ「……」グッ

アリシラ?「どうする? 会ってあげる?」

フメイ「……だめ。今はまだ……クロシュに、会えない……」

アリシラ?「も〜、強情なんだからぁ」

フメイ「……」

アリシラ?「そうは言ってもねえ、実のところ選挙の日までやることないんだよねぇ」

フメイ「じゃあ……その辺で寝てれば良い……」

アリシラ?「寝てるだけじゃ暇で死んじゃうよぉ」

フメイ「……アリシラの顔してるなら、もっとアリシラらしく振る舞って」

アリシラ?「うふふ……私はアリシラだよ?」

 *
470 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/10(土) 21:23:06.99 ID:au/cfXdQ0

妖精「え、ええ!? あの勇者っぽいやつを見たって!?」

クロシュ「うん……」

ローガン「なんと……。この国に来ているのか……」

イリス「で、でもそれならクロシュちゃんが無事で良かったよ……!」

ミスティ「……流石に、この平和な国で事を起こそうなんて気はないってことかしら……」

ローガン「何にせよ、警戒は必要だな……。単独で人目の少ない場所に行くのはやめておいた方が良いかもしれん」

妖精「うへぇ……とんだ災難だよ全く……」


フォレスティナ滞在2日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?
471 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/10(土) 21:25:03.28 ID:X0Zzvddk0
精霊の泉に行ってみる
472 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/10(土) 21:25:37.35 ID:tYfygy3t0
冒険者ギルドを覗いてみる
473 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/10(土) 21:26:00.81 ID:64t3KZmJo
聖域侵入
474 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/10(土) 21:55:11.65 ID:au/cfXdQ0
―精霊の泉

 サラサラ…(水の流れる音)

イリス「おお〜、ここが精霊の泉……」

 泉「」サラサラ…

イリス「……」

妖精「……」

クロシュ「……」

イリス「……精霊、見えない」

妖精「精霊が物理的に目視できる姿を見せることなんて滅多にないもん。ほとんどは自然の中に同化してるだけだから、いないわけじゃない」

イリス「ここでならもしかしたら、って思ったんだけどなあ……」

クロシュ「えと……どうして、精霊に……会いたかったの……?」

イリス「私、いつも木の杖を使ってるでしょ? この木、精霊樹って言って精霊の力を授かりやすい性質があるの。だから日頃のお礼を言おうかなあって思って」

妖精「あー、何か親しみやすい杖だなあって思ってたけど、それ精霊樹だったんだ」

イリス「うん。なんでか知らないけど私の属性とも相性が良いみたいで、師匠から頂いた大事なものなんだあ」

妖精「自然の属性を感じ取ったりとか、なんかイリスの属性ってただの複数属性じゃないっぽいよね。もしかして私たち妖精の仲間なんじゃない?」

イリス「そ、そうなのかな? でも妖精さんの魔法は原理も術式も全然わかんないよ、私」

妖精「……じゃあ妖精じゃないか。……あそうだ、自然の属性を感知する感じで精霊の気配でも探ってみれば?」

イリス「……ど、どうかなあ。精霊は感じ取れたことさえないし……」

妖精「自然の属性を感じ取れるイリスなら、自然と同化してる精霊を見つけられるかもよ」

イリス「わ、わかったよ。やれるだけやってみる……!」


↓1
01-70 わかりませんでした
71-90 気配がある?
91-00 見つけた!
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/10(土) 21:55:40.09 ID:tYfygy3t0
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/10(土) 21:56:16.68 ID:X0Zzvddk0
見つけた!
477 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/10(土) 22:19:21.88 ID:au/cfXdQ0
イリス「むむむ……むむむむ……!」ムムム

イリス「…………だめだぁ!」バタッ

妖精「お疲れさま。まあそもそも普通の人間は精霊を感じ取れるようにできてないからね。自然を感じられるだけでも人間にしては十分凄いと思うよ」

イリス「うぐうう……『人間にしては』って枕詞が逆にすっごく悔しい……!!」

妖精「あっはは、褒めたつもりなんだけどなあ。まあ悔しさをバネに頑張りなよ」

イリス「うん……! ところでクロシュちゃんは?」

妖精「泉の……水の精霊と遊んでる」

イリス「え゛」


スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ キャッキャ

水の精霊『〜〜』キャッキャ


イリス「うぐううう!!! 私には見えないよおお!!」ジダンダ

 ◆
478 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/10(土) 22:21:47.15 ID:au/cfXdQ0
急用が入ってしまったため一旦休止いたします。本日中に再開できるかは未定です。あまり進んでいないのに申し訳ありません
479 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/10(土) 22:26:41.62 ID:64t3KZmJo
乙まってる
480 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/10(土) 22:29:30.97 ID:rBtjtE1lo
一旦乙
481 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/11(日) 16:41:00.35 ID:lCHmayLY0
昨日はすみませんでした。再開します
482 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/11(日) 16:41:28.79 ID:lCHmayLY0
―冒険者ギルド 緑の国支部

 ワイワイ ガヤガヤ

ミスティ「流石にここは賑わっているわね……酒場も併設されているし……」

ローガン「すまないな。わざわざ付き合ってもらって」

ミスティ「気にしないで。私もここのギルドの雰囲気を見ておきたかったし」

ローガン「では冒険者証の更新をしてくる。待っていてくれ」スタスタ

ミスティ「ええ……」


ミスティ「……」

ミスティ「……路銀にはまだまだ全然余裕があるけれど、せっかくだしどんな依頼があるか見ていきましょうか」スタスタ


 依頼書「常闇の樹海調査員募集 報酬:極高」
 依頼書「マンドラ大根の収穫手伝い募集 報酬:中」
 依頼書「おうちの木がよわってるの たすけて 報酬:時価」
 依頼書「選挙祭でのバックダンサー募集!! 報酬:中」
 依頼書「畑の害獣駆除 報酬:中」


ミスティ「……いろいろあるわね。常闇の樹海調査員とバックダンサー以外なら、やれないこともなさそうだけど……」

↓1選択
1.マンドラ大根の収穫を手伝う
2.おうちの木を助ける
3.害獣駆除をする
4.今回はやめておく
483 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/11(日) 16:42:39.00 ID:eFmSDMSH0
2
484 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/11(日) 17:50:08.30 ID:lCHmayLY0

 依頼書「おうちの木がよわってるの たすけて 報酬:時価」

ミスティ「……」

ミスティ(拙い字……。書き手の不安と、藁にも縋りたい想いが伝わってくるかのよう……)

ミスティ(どう見ても、ロクな報酬は望めない……。時価というのも、ギルドがお情けで付けてあげた表記ということくらい私にもわかる……)

ミスティ(他の冒険者たちも、見向きもしない……。確実に、時間と労力の無駄だもの……)

ミスティ(……当然、私も………)



――
――――
485 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/11(日) 17:51:15.89 ID:lCHmayLY0
―ある日
 雪の降る街

 キャハハハハ!!  ウワアアア!!!
   イヤアアアア!!! タスケテクダサイ!!
  シンジャエー!!!   キャハハハハ!!!
    キャハハハハハハ!!!  アバーッ!!

幼ミスティ「あ、あ……」ガクガク

ミスティ母「ごほっ……。ごめん、ね……。ミスティ……」

幼ミスティ「……マ、マ……」

ミスティ母「このソリに乗ったら……そのまま、じっとしていて……。それで……人のいるところに、着いたら…………助けてって……ごほっごほっ!」

幼ミスティ「やだ……やだ……! パパとママも、いっしょじゃなきゃ……!!」

ミスティ母「ごめんね……。ママは、もう……。パパも……」

 近くで斃れているミスティ父「」

幼ミスティ「やだあ……!!」

ミスティ母「わがまま……言わない、の……。ミスティは……強い子、なんだから……」キラキラ…

幼ミスティ「ふ、え……」

 トサッ…

ミスティ母「はあ、はあ……。ごめんね、ミスティ……。許してね……」グイッ


 ポフッ(幼ミスティがソリに乗せられる音)

 輝きと共に走り出すソリ「」キラキラ… スイーッ…


ミスティ母「……さようなら……ミスティ……」

ミスティ母「氷の精霊よ――どうかミスティを、お守りください――」

――――
――
486 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/11(日) 17:52:04.78 ID:lCHmayLY0

ミスティ「……」

ミスティ「……」パシッ

 依頼書「おうちの木がよわってるの たすけて 報酬:時価」ベリッ

ミスティ「……」スタスタ


ミスティ(馬鹿ね、私……。こんな依頼……受けたところで何の足しにもならないのに……)スタスタ

ミスティ(でも……この依頼主の不安が、恐怖が……私には、痛いほどにわかってしまうから……)スタスタ

ミスティ(ふふ……もう、イリスのことを馬鹿にできないわね……)スタスタ

 *

ローガン「おお、ミスティくん。丁度冒険者証の更新が終わったところだ……む? それは依頼書かね?」

ミスティ「……ええ。ひとまず、先に謝っておくわ……」

 依頼書「おうちの木がよわってるの たすけて 報酬:時価」ピラッ

ローガン「……ふむ。相わかった。君の意思でこの依頼書を持ってきたというのなら、謝る必要などない。同じパーティの一員として全力で取り組むのみだ」

ミスティ「ありがとう……」

 *
487 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/11(日) 17:52:35.23 ID:lCHmayLY0
―緑の国 露店通り

ミスティ「……というわけで突然で悪いのだけど……みんなにも手伝って欲しいわ……」

イリス「もちろん!! 改まって何事かと思ったら、まさかミスティがこんな依頼を持ってくるなんて……!」

妖精「確かに意外だなあ。ミスティってこういうのはけっこうドライだと思ってた」

ミスティ「……ガラじゃないのはわかってるわ……」

ローガン「フッ……私としては安心したがな。ミスティくんくらいの歳で感性を冷え切らせてしまうのはあまりに哀しいことだ」

ミスティ「そ、そういうものかしら……」


クロシュ「……」

ミスティ「ごめんね、クロシュ……。フメイ捜しも進んでないのに……」

クロシュ「ううん……。わたしも……この人の、つらさ……わかる、から……」フルフル

ミスティ「クロシュ……」

クロシュ「わたしも……助けて、あげたい……」

ミスティ「……ええ。助けてあげましょう……!」

 *
488 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/11(日) 18:02:13.25 ID:lCHmayLY0
―依頼主のおうち

 弱った木のおうち「」

クロシュ「……!」

イリス「こ、これは……」

ミスティ「植物には詳しくないけれど……私にも、この木の具合が悪いことはわかるわ……」

ローガン「ひとまず依頼主に会おう。ドアの呼び鈴は……」キョロキョロ

ミスティ「これね」スッ

 チリンチリン

ドアの向こう『だ、だあれ……?』

ミスティ「ギルドの依頼を見て来たミスティよ。連絡は来ているかしら」

ドアの向こう『あっ! い、いまあける……!』

 ガチャッ

森妖精の子「こ、こんにちは。よろしくおねがいします」ペコッ

 *

ミスティ「ふむふむ。症状が出始めたのは、大体一ヶ月くらい前……」

森妖精の子「う、うん……。さいしょは……木さんも、これくらいへーきへーきって言ってたんだけど……」

 弱った木のおうち『……』

森妖精の子「どんどん、くるしそうになってって……。いまはもう、声もきこえなくなっちゃって……」ジワワ

森妖精の子「いらい……出しても……だれも、来てくれなくて……」ポロポロ

ミスティ「……」


ミスティ(……妖精。この木は、助かりそうなの?)

妖精(……ごめん。最初は、私が見れば病気の原因なんて一発でしょとか思ってたんだけど……私の知らない病気だ、これ)

ミスティ(嘘でしょ……)

妖精(……軽率な約束はできないよ。最悪のケースも想定しておいて)

ミスティ(……っ)


森妖精の子「でも……ミスティさん、来てくれた……! えへへ……これで、たすかるんだよね……?」

ミスティ「…………」

森妖精の子「……?」

ミスティ「全力を……尽くすわ……!!」

 ■緊急クエスト発生「おうちの木を助けろ!」
  木の生命力:5/40(1日1減ります)

 ◆
489 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/11(日) 18:24:44.66 ID:lCHmayLY0
―露店通り

ミスティ「……」ウロウロ

イリス「お、落ち着いてミスティ。まだ時間はあるんだから、きっとなんとかなるよ」

ミスティ「落ち着いてなんかいられないわ……! 妖精の見立てだとあと5日くらいしか保たなそうなのよ……!」

ローガン「5日もあるのか、5日しかないのか……。いや、そんな言葉遊びに意味はないな……」

クロシュ「妖精さん……。原因は……やっぱり、わかんないの……?」

妖精「うん……。あんな症状、初めて見た……。虫や寄生植物にやられてるわけでもないし……呪いの魔力も感じられなかったし……。そもそも精霊樹は精霊の加護を受けやすい木なんだから他の植物よりも丈夫なはずなのに……」ブツブツ

イリス「あ、あの木って精霊樹なんだっけ。じゃあ精霊に聞いてみるっていうのは……?」

妖精「もう聞いた。精霊たちにもわかんないし、もう加護もかけてるって」

イリス「そんな……」

ミスティ「……」


ミスティ「……聖域に侵入してくるわ」

妖精「!?」
イリス「!?」
ローガン「!?」

クロシュ「?」

ミスティ「世界樹には、あらゆる生命の傷病を癒やす果実が実ると聞くわ。その果実を取ってきて、おうちの木に与えれば……」

妖精「いやいやいや!!! 無茶だよいくらなんでも!!!」

イリス「そ、そうだよ!! 聖域への侵入は最悪極刑なんだよ!!?」

ローガン「落ち着き給え……!! 昨日の今日来たばかりの旅人が容易く侵入できると本気で思っているのか……!?」

ミスティ「……もうそれくらいしかないじゃない……! 原因がわからないとなれば、こっちも強硬手段を取るしか……!!」

妖精「ま、まだ完全に調査し尽くしたとは全然言えないでしょ! 気が早すぎるって!」

イリス「そうだよ! いつもの冷静なミスティに戻って……!」

ミスティ「冷静になったら、侵入なんて絶対にできないじゃない……!!」

ローガン「そ、それはそうかもしれんが……」

クロシュ「……」


↓1〜3多数決
1.ミスティさんを止める
2.擬態と反映魔法を使った侵入のお手伝いを申し出る
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/11(日) 18:28:55.48 ID:/1n5IyJQ0
491 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/11(日) 18:30:14.32 ID:34dVM2fQO
1
492 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/11(日) 18:35:56.68 ID:7y2ITODZo
2
493 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/11(日) 19:02:22.32 ID:lCHmayLY0
クロシュ「……わたし……擬態、できる……」

妖精「……は?」

クロシュ「……だから……侵入……手伝える、かも……」

ミスティ「クロシュ……!!」

妖精「はあああ!!!?」

イリス「く、クロシュちゃんまで……」

ローガン「お、落ち着くんだ、クロシュくん……!」

クロシュ「……あの、森妖精さん……おうちの木も、家族だった……。だから……きっと……あのおうちの木が、死んじゃったら……」

イリス「……」

ローガン「ぬう……」

妖精「でも……だからって、そんなに慌てなくたって……」

クロシュ「……ごめんなさい。でも……わたしも……すぐにでも、助けたい……」

ミスティ「クロシュ……ありがとう……。でも極刑の危険があるから、あなたはサポートだけしてくれれば……」

クロシュ「ううん……。わたしの方が……スライムだし、擬態できるし、ちょっと隙間があれば隠れられるから……向いてると思う……」

ミスティ「…………じゃあ、こうしましょう。私が司令官で、あなたは私の命令に従って聖域に侵入しただけの何も知らないスライム……こういう筋書きでどう?」

クロシュ「……? よくわかんないけど……うん」

ミスティ「決まりね。絶対に成功させるわよ……!!」

クロシュ「ん……!」


妖精「ああもう……」

イリス「なんだか大変なことに……」

ローガン「せめて私たちにできることは……」

 *
494 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/11(日) 19:03:33.74 ID:lCHmayLY0
―深夜
 緑の国首都中央 聖域前

馬頭の警備「……」

エルフの警備「……」



ミスティ「……やっぱりいるわね、警備が……」

クロシュ「うん……」

ミスティ「作戦通りに行くわよ……」

妖精「ねえ、警備を突破しても世界樹の結界はどうするつもりなの?」

ミスティ「それは――」


↓1
01-40 無策
41-70 反映魔法で精霊の気配を纏う
71-90 ティセリアに擬態
91-00 精霊化
495 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/11(日) 19:04:02.46 ID:MAvJpvBDO
はい
496 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/11(日) 20:56:15.99 ID:lCHmayLY0
クロシュ「ん……!」フォン―

精霊装クロシュ「……」パァ…

妖精「! クロシュ、こんなこともできたの……!?」

ミスティ「……クロシュがいなかったら、どうにもならなかったわ」

精霊装クロシュ「ん……。でも……姿までは……精霊みたいに、消せない……」

ミスティ「十分よ。道は私が開くわ……」キラキラ…

 宙に浮く無数の氷の粒「」キラキラ

ミスティ「騒ぎを起こすから、その間に頼むわ!」シュバッ

精霊装クロシュ「ん!」

妖精「……クロシュ一人じゃ心配だから私も行くよ。懐に入れて」

精霊装クロシュ「! うん……!」

 *
497 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/11(日) 20:56:45.92 ID:lCHmayLY0

エルフの警備「ふわあ……。どうせ結界があんだから警備なんていらないと思うんだけどなあ」

馬頭の警備「眠イノカ?」

エルフの警備「そりゃ眠いさ。昼間起きて夜に寝るのが普通だからな」

馬頭の警備「ソウカ……ム?」

 ――バラララララッ

 降り注ぐ大粒の雹「」バララララララッ!!

エルフの警備「うおおおおおおお!!? いたたたたっ、なんだなんだ!?」

馬頭の警備「ムムッ!?」

 突然の落雷「」ドガアン!

 降り注ぐ鋼の槍の雨「」ビュンビュン!

エルフの警備「うおあああああああ!!! 異常気象だ、異常気象だ!!!」

馬頭の警備「敵襲! 敵襲!! 増援ヲ遅レ!!」

 *

―結界前

精霊装クロシュ「……」ヒョコヒョコ

妖精「ずさんな警備だったなあ……。さて、あとは結界を抜けられるか……」

 聖域の結界「」

精霊装クロシュ「……」スッ

 聖域の結界「」トプン…

妖精「本当にいけた……。やるなあクロシュ」

精霊装クロシュ「えへへ……。あ、でも妖精さんは……」

妖精「私? 私も通れるよ。ダメだったら私がクロシュも通してあげようと思ってたし」トプン

精霊装クロシュ「ほえ……」

妖精「私たち妖精も精霊の親戚みたいなもんだからね。とにかく早く行こ。あんまりのんびりしてたらバレちゃう」パタパタ

精霊装クロシュ「ん」トテトテ

 *
498 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/11(日) 20:57:43.87 ID:lCHmayLY0
―聖域
 世界樹の麓

 天に向かって聳える世界樹「」キラキラ…

クロシュ「わあ……!」

妖精「……さて」

クロシュ「えっと、くだものは……」キョロキョロ

妖精「……や、果実を採っていくのは流石にまずい。葉っぱにしとこう」

クロシュ「ふえ……?」

妖精「世界樹の果実には確かに癒やしの力があるけれど、あれの本来の役割は全然別だから。私たちが私的な目的で勝手に採って良いものじゃないの」

クロシュ「う、うん」

妖精「葉っぱを煎じればそれでも十分癒やしの力は得られるから、とりあえずはそれで――」


世界樹の精霊「…………」ジーッ


妖精「げっ!!」

クロシュ「!」


世界樹の精霊「……妖精と……スライム? 精霊の気配を纏っているけれど……」

クロシュ「あ、え、えと……」アタフタ

妖精「こ、こんばんは。ちょっと葉っぱの剪定をしに……」

世界樹の精霊「葉と言えど勝手に取らないで欲しい。それはみんなの生命でできているの」

妖精「そ、そこをなんとか……!」

クロシュ「なんとか……!」

世界樹の精霊「何に使うの?」

妖精「……友達の住んでる木が弱ってるんだ。それを癒やすために、葉が欲しい」

世界樹の精霊「……みんなの生命を、不公平に分けるの?」

妖精「それを言うなら、あの木はよくわからない病気で不公平に苦しんでるんだよ。帳尻を合わせるだけ」

世界樹の精霊「……」


↓1
01-05 妖精警備「そこで何してるの!」
06-30 だめ
31-95 いいよ
96-00 ??
499 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/11(日) 20:58:19.29 ID:je7B667bo
500 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/11(日) 21:40:40.19 ID:lCHmayLY0

世界樹の精霊「……だめ。不条理も含めて……循環は、公平」

妖精「ケチ!」

世界樹の精霊「……ケチ、なの?」

クロシュ「え? えと……」

妖精「ケチだよ! いっぱいあるんだからちょっとくらいいいじゃん!」

世界樹の精霊「…………」

世界樹の精霊「……落葉なら、持っていって構わない」

妖精「え! 本当!?」

世界樹の精霊「……本当は、落葉も大事な生命の欠片だけど……ケチと言われるのは……心外……」

妖精「……! ありがとうございます、世界樹の精霊様!」ペコッ

クロシュ「ありがと、ございます」ペコペコ

世界樹の精霊「……釈然としない」

 *

世界樹の精霊「……一つ、良い?」

クロシュ「?」

妖精「な、何? 今更返せなんて言わないでよ?」

世界樹の精霊「ケチじゃないもの……。そうじゃなくて……一つだけ、お願いを聞いて欲しい……」

クロシュ「おねがい…?」

世界樹の精霊「……緑の森の一部に、嫌な気が広がっている。その弱っている木も、多分それやられたのだと思う」

妖精「嫌な気……?」

世界樹の精霊「正体は……私にも、わからない……。だから……あなたたちに、その原因を突き止めて修正して欲しい」

妖精「……わかったよ。私も気になるしね。あ、でもそれって本来は私たちみたいな外様じゃなくて、この森に棲む者たちがすべきことじゃないの?」

世界樹の精霊「あなたは……ここの妖精じゃないの……?」

妖精「違います」

世界樹の精霊「そう……? 一応、ティセリアにも伝えてある。でもティセリアには……いろいろなしがらみがあって、難しいみたい……」

妖精「はぁ〜、そういうこと……。まあわかった。私たちも調べてみるよ」

世界樹の精霊「お願い……。スライムの、あなたも……」

クロシュ「あ、うん……!」

世界樹の精霊「ふふ……精霊の気を纏えるスライム、初めて見た……。また、いつでも遊びに来てね……」

クロシュ「うん……!」

妖精「いや、見つかったら極刑だからね!?」

 *
501 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/11(日) 21:41:58.84 ID:lCHmayLY0
―結界前

 バララララッ

ミスティ「くっ……! クロシュ、妖精……まだなの……!」

ローガン「このままでは我々が見つかってしまう!」

イリス「だ、大丈夫だよ! もうすぐ来る……ほら!」


精霊装スライムクロシュ「……」モニョモニョ

クロシュに取り込まれている妖精「……」モゴモゴ


ミスティ「クロシュ! 妖精!」

ローガン「来たか……! 退くぞ!」

イリス「よおし最後にもう一発!」

 落雷「」ドガアン!!

 ◆
502 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/11(日) 21:42:26.99 ID:lCHmayLY0
―明け方
 おうちの木

妖精「世界樹の落葉を煎じて作ったお茶を……」

ミスティ「根本に……かけるわ……!」


 世界樹のお茶「」トプトプトプ…


 弱っているおうちの木「……」

 少し元気になったおうちの木「……」ググ…


森妖精の子「……あ……まだ、くるしいの……?」

 少し元気になったおうちの木「……」

森妖精の子「うぅ……」



ミスティ「……だめ、だったの?」

妖精「ううん。だめだったわけじゃない。少しだけど、体力は回復したみたいだし。でも落葉程度の力じゃ、焼け石に水かも」

ミスティ「果実や、新鮮な葉は……」

妖精「流石に、多分無理……。世界樹の精霊に見つかっちゃってるし……」

ミスティ「……やはり、原因を排除しなければどうしようもないってことね」

妖精「うん。でも精霊からいろいろ聞いてきたから、やりようはあるよ」

ミスティ「……わかったわ。クロシュ、妖精……今回は……本当に、ありがとう……。私の我儘で、あなたたちを危険に晒してしまったわ……」

クロシュ「えと……ううん」

妖精「……まあ、結果的にいろいろ収穫はあったから良し」

クロシュ「うん。わたしも……自分で、行っただけだもん」

ミスティ「……本当に、ありがとう。恩は必ず返すから」

妖精「ふふっ、じゃあ楽しみにしてる」

クロシュ「ん……!」

 ☆木の生命力が2回復しました

 ◆
503 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/11(日) 21:43:59.04 ID:lCHmayLY0
―緑の国フォレスティナ 滞在3日目
 ◆パーティメンバー
 ◇クロシュ 武:鉄の小盾  防:旅人の服
 ◇妖精   武:なし    防:蜘蛛絹のレオタード
 ◇イリス  武:精霊樹の杖 防:魔術師のローブ
 ◇ミスティ 武:魔銀の短剣 防:旅人のローブ
 ◇ローガン 武:鋼の剣   防:鎖帷子

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹×2
・運命賽
・雨乞い傘

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・おうちの木を助ける(木の生命力[6/40])
・木の病気の原因を突き止める

◯仲間の目標
・星の魔力を読む[2/4](イリス)
……………………………………………………………………………………
□フォレスティナ首都 主要施設
郊外:緑の大森林、農園、果樹園、精霊の泉、おうちの木、他
首都:露店通り、大樹の宿、武具店、雑貨店、魔法店、工芸品店、八百屋、甘味処、食事処、冒険者ギルド、他
聖域:世界樹 ※許可なき者は聖域に入れません
……………………………………………………………………………………

―朝
 大樹の宿 ロビー

妖精「ふわぁ……。流石に、眠い……」

イリス「お疲れ様……。とりあえず上手くいって良かったよ」

ミスティ「ええ……。でも、まだ解決したわけじゃないわ……」

イリス「……嫌な気、だっけ。一体何なんだろう……」

ローガン「ううむ……。まだこの国で何が起きているのかもわからん。情勢を調べてみても良いかもしれんな」

妖精「ティセリア……っていう、現首長に話を聞きに行くのも良いかもね。まあ、忙しいから簡単には会えないかもしれないけど」

クロシュ「えと……弱ってる、木さんから……嫌な気を辿ってみるのは……?」

妖精「うーん……私にも他の妖精や精霊たちも、その気配にすら全然気付けてないんだよね……。普通の毒気や瘴気なら気付けると思うんだけど……」

イリス「一体、何なんだろ……」

ミスティ「……絶対、突き止めましょう」


フォレスティナ滞在3日目です
↓1〜3 自由安価 何をする?
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/11(日) 21:44:45.65 ID:/1n5IyJQ0
首長に会いに行ってみる
505 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/11(日) 21:45:26.98 ID:J8Z4iv+bo
妖精の昔の伝手を頼れないか聞いてみる
506 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/11(日) 21:45:55.87 ID:7y2ITODZo
選挙戦に飛び入り
507 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/11(日) 21:46:06.77 ID:34dVM2fQO
イリス、これまでのことをフラナに手紙報告
508 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/11(日) 21:55:29.49 ID:lCHmayLY0
安価が出揃ったところで本日はここまでです。次回は首長に会いに行く編と妖精の昔の伝手編と選挙飛び入り編です

緑の国編における役者も出揃ってきました。それぞれが様々な思惑で動いているようです。一体この国はどこへ向かうのでしょうか
なお実は>>1には政治とかの知識が全然ないので、今後の選挙描写で明らかにおかしかったり不自然だったりする箇所が出てくるかもしれません。ご容赦くださいませ

それでは本日もありがとうございました。明日もやれそうなので、よろしくお願いいたします
509 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/11(日) 22:04:27.87 ID:7y2ITODZo
510 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/11(日) 23:04:17.77 ID:eFmSDMSH0
乙です
511 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/11(日) 23:55:47.46 ID:ZIiiGEE6O

ミスティお姉さんドライ言われてるけど最初にクロシュちゃん助けた頃からずっとウェットにしか見えねえw
512 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/12(月) 02:16:00.18 ID:VR/JrcnGo
乙乙
油断していた所にお出しされたミスティさん過去……色々ヤバそうな存在の影が
妖精さんも確実にフォレスティナが故郷っぽいのに頑なに否定する所に闇ががが
513 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/12(月) 15:27:04.46 ID:Sa+yTSxq0
言われてみれば、ミスティ氏はクロシュちゃんたちをソリで送っていくのを提案した時から一貫してずっとお人好しですね……。ドライなのは表面上だけで、中身はぷるんぷるんに潤っているのかもしれません

ミスティ氏が住んでいた場所で何が起きたのかは、ミスティ本人にすらよくわかっていません。数少ない生き残りは、小さな子供のような笑い声を度々聞いたという証言をしていますが、今のところそれが何だったのか、犯人の声だったのかどうかさえもわかっていないようです。真相は闇に包まれています。なお似たような事件は大陸の各地で幾度か発生しており、冒険者ギルドを初めとした様々な国際組織が調査を続けています

妖精は緑の国の仕組みや情勢に少し詳しいように見えますが、当人は緑の国出身ではないと言い張っているようです。真相は闇に包まれています
514 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/12(月) 15:29:10.36 ID:Sa+yTSxq0
―緑の国
 首長官邸前

クロシュ「わあ……。でっかい木……」

イリス「というわけで首長さんのおうちに来てみました!」

ローガン「来てみたは良いが……アポなしで一介の旅人などに会ってくれるのだろうか……」

妖精「今は選挙前で忙しいだろうから、そもそも今ここにいるかどうかも……」

ミスティ「……悩む前に行動よ。呼び鈴を鳴らすわ!」ザッ

 チリンチリン

↓1
01-10 マーベル「首長は留守だぜ」ヌッ
11-36 紫髪のエルフ幼女「お引き取りください」
35-65 紫髪のエルフ幼女「御要件は? 聞くだけ聞いてあげます」
66-90 ティセリア「あ、昨日のスライムの子!」
91-00 ティセリア「あれ……? あなた……もしかして!」
515 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/12(月) 15:33:51.23 ID:jCDG94y10
516 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/12(月) 15:44:05.94 ID:Sa+yTSxq0

扉の向こう「どちら様でしょうか」

ミスティ「旅人のミスティよ。首長と話がしたいわ」

扉の向こう「首長は多忙の身です。お引き取りください」

ミスティ「……伝言だけでも」

扉の向こう「国民でもない旅人の陳情にまで耳を傾けていてはキリがありません。ご理解ください」

ミスティ「くっ……」

イリス「ど、どうするの……?」

クロシュ「……」


クロシュはどうする?
↓1
1.できることはなさそう
2.擬態してミスティの補助をする(誰に擬態するか要記載。成否はコンマ)
3.その他自由安価
517 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/12(月) 16:00:53.71 ID:+ByeLDcDO
3
駄目元で(因縁ありそうな?)妖精に交渉して欲しいと頼む
518 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/12(月) 16:19:46.57 ID:Sa+yTSxq0
クロシュ「……」チラッ

妖精「……?」

クロシュ「……」ジッ

妖精「……」

クロシュ「……」オロオロ

妖精「いやいや、言いたいことがあるならはっきり言え!」

クロシュ「え、えと……。妖精さん……ティセリアさんと……知り合いだったり、とか……しない……?」

妖精「しない」

クロシュ「あぅ……」

妖精「……まあ、言いたいことはわかった。ここの国民のフリくらいならできるし、やるだけやってあげる」

クロシュ「!」

ミスティ「……ごめんなさい、私からも頼むわ……。昨日から頼ってばかりで申し訳ないけど……」

妖精「いいよ。このままじゃ埒があかないのも事実だしね」


 コンコン

扉の向こう「まだいたのですか。お引き取りくださいと言ったはずですが」

妖精「私はこの国の妖精だよ。話っていうのも、緑の森や木々に関わる大事なこと。国民の声なら聞いてくれるんだよね?」

扉の向こう「……」

↓1
01-05 ??
06-70 紫髪のエルフ幼女「魔紋は……確かにこの国の妖精のものですね。良いでしょう、聞いてあげます」
71-95 ティセリア「あれ……? 妖精!?」バァン
96-00 ??
519 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/12(月) 16:23:15.56 ID:8e+IFkk3O
高く
520 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/12(月) 16:54:52.36 ID:VR/JrcnGo
(ほぼ確定してた気がするが)ここで妖精がフォレスティナ出身なのがほぼほぼ確定したか
521 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/12(月) 17:30:35.48 ID:Sa+yTSxq0
扉の向こう「魔紋は……確かにこの国の妖精のものですね。良いでしょう、お入りください」

 扉「」ギィ…

ミスティ「……!」

妖精「よし、じゃあ入ろっか」

 *

―首長官邸
 応接室

 ふかふかのソファ「」ボフッ

イリス「わぁ……。木の中だけど、大樹の宿とはまた違って気品のある内装……!」

紫髪のエルフ幼女「官邸は首長の住居であると同時に、執務を執り行う施設ですから。内装も相応しいものとなっています。それで、御要件は――」

妖精「……郊外の、ある精霊樹の家が不可解な病気にかかって死にかけてる。原因を知っていたら教えて欲しい」

紫髪のエルフ幼女「……その件ですか。同様の事例は既にいくつか報告を頂いております」

ミスティ「……! じゃあ……なぜ放置しているのかしら」

紫髪のエルフ幼女「放置しているわけではありません。しかしながら私共も正確な原因は未だ掴めておらず、解決の見通しが立っていないのです」

妖精「……正確じゃない原因は?」

紫髪のエルフ幼女「……お答えできかねます」

ローガン「……何か知っていることがあれば、教えて頂きたい。住む場所を失いかけている妖精もいるのだ」

紫髪のエルフ幼女「何も答えることはできません」

妖精「……緑の森と自然を一番大切にするのが伝統派でしょ。下らないしがらみなんかの為にその理念まで捨てるつもり?」

紫髪のエルフ幼女「……」

紫髪のエルフ幼女「お引き取りください」

妖精「かーっ! 何も変わってないどころか悪化してんじゃん!! もういいよこんな国!! 森が滅んだら次は世界樹、その次は世界そのものだよ!! バーカ!!!」パタパタ

イリス「ああっ、妖精さん!」

ミスティ「くっ……ありがとう、ございました」ペコッ

ローガン「……ご多忙のところ、時間を取って頂き感謝する。お互い後悔のないように生きたいものですな」

紫髪のエルフ幼女「……ええ。そうですね」

ローガン「それでは」

 ガチャ バタム…


紫髪のエルフ幼女「……」

紫髪のエルフ幼女「好き勝手言ってくれて……。何も知らない癖に……」グッ

 ◇
522 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/12(月) 17:31:02.46 ID:Sa+yTSxq0
―首長官邸前

妖精「あーやだやだ!! だから嫌いなんだよ、こんな国!」プンスコ

イリス「妖精さん、どうどう……。お水飲む? 水魔法で作ったやつだけど……」

 パシッ

妖精「飲む! んぐ、んぐ……」ゴクゴク


ミスティ「……お話を聞く作戦は失敗だけど……」

ローガン「うむ。次善の策を立てておいて正解だったな」

ミスティ「ええ……。噂をすれば……」


官邸の隙間から這い出てきたスライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

妖精「クロシュ!」

イリス「クロシュちゃん!」

ミスティ「首尾は……いえ、一旦宿に戻りましょう」

ローガン「うむ……!」

 ◆
523 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/12(月) 18:41:03.30 ID:Sa+yTSxq0
―大樹の宿 客室

クロシュ「……これで……いい?」

 クロシュが盗み見て版画印刷した伝統派内部資料「」ペラッ

妖精「こ、これは……」

ミスティ「……革新派の森林開発計画……!?」

イリス「ええ……!? なんで革新派の計画が伝統派の資料に……!?」

ローガン「ここを見てみろ……!」

ミスティ「革新派の大規模森林開発計画を秘密裏に支援……ですって!?」

妖精「……嘘でしょ。ティセリアの、血判まで……」ワナワナ

ローガン「計画によると開発に着手したのはおおよそ一ヶ月と少し前……。依頼主の家の木が弱り始めた時期と合致する……」

イリス「で、でも、革新派が選挙に勝ったわけでもないのに勝手に開発なんか始めちゃだめなんじゃないの!?」

ローガン「……現政権の首長が承認しているのだ。恐らく法的には問題のない行為だろう」

ミスティ「この分だと……選挙も、もしかしたら……」

ローガン「……票を偏らせる工作くらいはしていてもおかしくないだろうな」

イリス「ど、どうして……。伝統派と革新派って、水と油みたいな関係なんでしょ?」

妖精「……知らないよ。わかってるのは……伝統派も、もう既に内の内まで腐りきってたってことだけだ!!」

クロシュ「よ、妖精さん……」オロオロ

ローガン「落ち着き給え……! 革新派と伝統派の間に何らかの取引があったのは間違いないだろうが、この資料からは伝統派にとっての利点が一切読み取れん。伝統派が一方的に開発支援をするばかりで、その見返りなどについては何も書かれていないのだ」

ミスティ「それは、つまり……?」

ローガン「……どちらか片方に利点のない共同関係など通常は成立せん。個人ならともかく組織なら尚更だ。それが成立しているということは――」

イリス「……お金? 票?」

ローガン「いや、伝統派の組織理念からすると恐らくそのどちらでもない。これは――」

妖精「――脅迫」

ローガン「……根拠はないがな。しかしそうでもなければ、辻褄が合わん。それを一番わかっているのは、他ならぬ妖精くんだろう?」

妖精「……そうだね。ティセリアはぽやぽやしてるところはあるけれど……事情もなしに、こんな馬鹿なことをする奴じゃない。そうだったよ」

クロシュ「……!」

妖精「……でも……世界樹は文字通り、世界の樹だ。それを危険に晒さなきゃいけないほどの脅しって……何……?」

 ◆
524 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/12(月) 18:41:30.44 ID:Sa+yTSxq0
―大樹の宿 客室

イリス「……こ、これからどうしよう?」

ローガン「……ううむ。開発計画が原因とすると、相手は革新派で……しかも裏には現政権である伝統派まで付いていることになる……」

ミスティ「……」

ローガン「……変な気は起こさないでくれたまえよ。世界樹の侵入は上手くいったが、今後もあのような危ないことをし続けるのは御免被るぞ……」

ミスティ「わ、わかっているわよ……。テロなんて考えてないわ……」

イリス「テロ!? あ、いや考えてないってことか……。良かったあ……」ホッ

ローガン「いや、考えてないのならなぜそんな物騒な単語が真っ先に出てきたのだ……」

ミスティ「気のせいよ……。ねえ……妖精は、この国の出身なんでしょ?」

妖精「……もう隠しても仕方ないか。そうだよ。まあ、いろいろあって今は放浪してるけど」

ミスティ「……ティセリア首長とも知り合いっぽい雰囲気みたいだけど……何か手はない? 例えば、とても強い影響力を持つ第三者の知り合いがいるとか――」

妖精「……」

↓1
01-05 いるにはいるけど……
06-35 元首長(故人)
36-65 元首長(病気)
66-95 元首長(隠居)
96-00 元首長(私)
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/12(月) 18:42:26.99 ID:qC6Tec/h0
526 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/12(月) 18:46:17.30 ID:KBsE9u3Jo
これは大物妖精
527 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/12(月) 18:50:39.47 ID:VR/JrcnGo
凄え所きた!
528 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/12(月) 20:13:51.27 ID:Sa+yTSxq0

妖精「いないいない、影響力の強い知り合いなんているわけないじゃん」

ミスティ「誰でもいいのよ。例えば、元首長とか……」

イリス「ミスティ、誰でもいいで出す例えじゃないと思う。元首長は」

ミスティ「そ、そうかしら……。まあ、とにかく誰でも……」

妖精「……」

ミスティ「……妖精? もしかして、心当たりがあるの?」

妖精「あー……いや……。その可能性は……考えてなかった、というか……」ダラダラ

ミスティ「いるの!? いるなら――」

妖精「いや……でもお……」

ミスティ「あの子の木のおうちが……世界の危機なのよ! 苦手な人物だったら、交渉は私たちがするから……! お願い……!!」

妖精「こ、交渉は、大丈夫っていうかぁ……」

クロシュ「……?」

ローガン「……一体何が問題なのだ?」

妖精「えっと……その、ね……?」

イリス「うん……」



妖精「すっごい昔だけど……。私……首長、やってたこと……あったり……」

ミスティ「え――」

ローガン「な、に――」

イリス「えええええええええ!!!?」

クロシュ「わあ……!」キラキラ

 *
529 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/12(月) 20:15:32.00 ID:Sa+yTSxq0

妖精「と言っても、本当に昔のことだよ。もう覚えてる人もほとんどいないくらい、ずっと昔。長命種の中でも記憶力の良い奴が時々覚えてるかもって程度だと思うし……影響力に期待は……」

ミスティ「ロビーの本棚に歴代首長名鑑があったわ! これによると――」パラパラッ

妖精「や、やだ! 見ないで……!」


〈歴代首長名鑑〉パラッ
◇妖精
第1期から第250期まで連続で首長を務めた、初代にして歴代最長記録を持つ首長。建国の太母と呼ばれる。
各種族の調停、インフラ整備、規範・法の導入、教育の徹底等、1000年の時をかけて緑の国を強く美しく育てあげた。
他の妖精と同様に愛らしい幼子の姿をしていたが、その心奥には深い知性と慈愛を秘めていた。
彼女は最後の任期を終える瞬間まで、他の妖精たちと同様に自らの名は持たず、ただ『妖精』とだけ名乗り続けた。
最後の任期を終えた後、惜しまれる拍手喝采の中で一人静かに緑の森の奥へ姿を消したとされる。


ミスティ「挿絵に描かれてる人物とも特徴が完全に一致してる……!」

イリス「ええっ……!! 元首長どころか――」

ローガン「……建国の太母、だと――!?」

クロシュ「妖精さん……! すごい……!!」

妖精「……ま、まあ……そんなやつ、らしいよ……。私……」

ミスティ「影響力に期待どころじゃないでしょ!! あなたが立ち上がれば、緑の国はきっと――」

妖精「いや、だから誰も覚えてないって! 初代首長を名乗る精神異常妖精だと思われるだけだよ!」

ローガン「いや、他の妖精や精霊、エルフ、トレントなどの長命種であれば覚えている者もいるはずだ……!」

妖精「エルフとトレントはともかく、普通の妖精や精霊は記憶力が悪いから覚えてないと思う……。世界樹の精霊も私のこと覚えてなかったし……」

ミスティ「でも覚えている者がいることに変わりはないわ……!」

妖精「そ、そうかもしれないけどぉ……」

イリス「……初代首長、建国の太母の大いなる帰還だよ。腐った国を叩き直す為に、世界の果てから還ってきたんだ……!! 革命――ううん、これは――大政奉還の時だよ!!!」

妖精「ひ、ひええ……もうそれしか、ないの……?」グニャァ

 ◆
530 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/12(月) 20:18:50.89 ID:Sa+yTSxq0
―緑の国
 露店通り

 ワイワイ ガヤガヤ

ティセリア「緑の森を守り、世界樹を守り、全ての生命を守っていく所存です! どうか世界の為に伝統派へ清き一票を!」

 ワーワー ティセリアチャーン!!

マーベル「伝統なんて古い古い! これからは都市開発と娯楽の時代だ!! 外貨を稼いでもっと豊かに暮らすのが時代の流れだぜ!」

 キャー! マーベルサマー!!

マーベル「……」ニヤ

ティセリア「……っ」


「生命? 外貨? そんなものにこだわって何になるの。こんな、泡沫みたいな世界で――」


 ザワザワ エッダレ?

ティセリア「え――? その、声――」

マーベル「ああん――?」



妖精「どうせ全ては、終わりゆく運命。哀しみからも苦しみからも、決して逃れられない。だから――」ヒラヒラ

妖精「私が、導いてあげる。哀しみも、苦しみも乗り越えた先――最期の楽園へ―――」キラキラ…



クロシュ「わ、わー!! 行きたい! 楽園、行きたい!!!」

ミスティ「ね、ねえあれって建国の太母じゃない!!?」

イリス「ほ、ほんとうだー!!! どう見ても初代から千年もの間フォレスティナを支え続けた初代首長にして建国の太母の妖精さんだー!!!」

ローガン「建国の太母の帰還だあああああ!!!!」

 ザワザワ エッマジ!? タ、タシカニミオボエガ…


ティセリア「あ……あ、あ……」ジワッ

マーベル「ウッソだろ……」


↓1 選挙活動結果(99クリティカルのため超有利)
01-60 歓声
61-90 大歓声
91-00 ハーピィ記者「プロパガンダならお任せあれ!」
531 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/12(月) 20:20:27.80 ID:DFPLKeYQO
532 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/12(月) 20:51:13.17 ID:Sa+yTSxq0

 ワアアアアアア!!!

 キャーヨウセイチャーン!! オレモツレテイッテクレーッ!! タイボサマァァァァ!!!

妖精「みんな、ありがとう。きっと――導いてあげるから――」カリスマァ…

 *

―夜
 大樹の宿 客室

イリス「やったねえ!! 大歓声だったよ、大歓声!!」

ミスティ「初動はバッチリね……!! 凄いオーラだったわ、妖精……!!」

ローガン「これで復権派≠ヘ一気に知れ渡ったはずだ……!!」

クロシュ「うん……! 妖精さん……かっこよかった……!」

妖精「うへぇ……もうやだ……」ゲッソリ

 ◆
533 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/12(月) 23:24:26.45 ID:Sa+yTSxq0
―首長官邸
 首長の私室

ティセリア「……」

マーベル「……アレ、何ですか? 初代首長とか言われてますけど」

ティセリア「……知りません」

マーベル「伝統派ってのは初代首長の流れを汲んだ組織なんでしょ? なら知らないはずないじゃん」

ティセリア「ほ、本当に知らないんです」

マーベル「まあいいけどさ。でももし政権取れなかったら……王国にどう言い訳すんの?」

ティセリア「……」

 壁「」ドンッ

ティセリア「!」ビクッ

マーベル「……わかってるよな? 今回、俺たち革新派が政権を取れなかったら……この国は、終わる」

ティセリア「……」

マーベル「本来なら、もうとっくに侵略されて奴らの植民地にされててもおかしくない状況なんだ。それをなんとかギリギリ保ててるのは、俺たち革新派が必死に交渉を続けてるお陰なんだぜ?」

ティセリア「……はい。わかっています……」

マーベル「王国には勇者がいる。戦争になれば……いや、戦争にすらならねえ。勇者が一瞬で電撃的に侵攻して、首長の首を獲って終わりだ。その後は……かつての魔族自治区のような、屈辱に満ちた支配が待っているだろう」

ティセリア「……」

マーベル「だが必死の交渉の結果、俺たち親王国の革新派が政権を勝ち取れば侵略だけは免れられる。最低限の尊厳は保てんだよ」

ティセリア「……無理矢理従わせられるよりは、率先して媚びを売った方がまだ待遇が良いかもしれないということですね」

マーベル「そういうこと。哀しいことにウチは王国の隣国なんだ。逃げも隠れもできねえ。植民地になるくらいなら、王国の靴を舐めて子分の地位を確保した方がマシだろ?」

ティセリア「……結局……王国の言いなりという点は変わらないですけどね」

マーベル「いいんだよ、今は言いなりで。勇者は人間だ、その寿命は俺たちよりずっと短い。今は下手に楯突かず、無害な腰抜け平和主義国家のフリして……勇者の寿命が尽きるのを待つんだよ。その間に外貨を稼いで、力を蓄えて、牙を研いで――勇者が死んだら、後はこっちのもんだ」

ティセリア「……あなたのその計画は、合理的だと思う。でも――」

マーベル「なんだよ? もしかして森林開発のこと、まだ納得できてねえの? 外貨を稼ぐにゃアレが一番手っ取り早いし、それに森しかねえこの国を近代化して楽しく暮らしやすくすんのは王国関係なく良いことだろ。王国を出し抜いても国際競争は続くんだ、古臭い価値観に囚われてちゃ負けるぜ」

ティセリア「……しかし、日に日に苦しみを訴える声が大きくなっています。急進的な開発はやはり――」

マーベル「大丈夫だろ。星脈の流れはちゃんと調べた上で開発してんだ、世界樹への影響はないと断言できる。そりゃいくつかの地区や木に悪い影響は出るかもしれねえが、今後見込める外貨収入を考えれば必要な犠牲ってやつだろ」

ティセリア「……」

マーベル「大局的に見ろよ、おばさん。1500年も生きてりゃわかるだろ?」

ティセリア「……お黙りなさい。若造」

マーベル「おっ、反抗的だなあ。王国の犬である俺にそんな態度取って良いんですか?」スッ

 ティセリアの顎「」クイッ

ティセリア「くっ……自分から、犬などと……。あなたに、エルフの誇りはないのですか……?」

マーベル「誇りで国が守れるかよ」

ティセリア「……そう」

マーベル「…………王国の侵略を許せば、一番危ないのはあんたなんだ。わかってんのか」

ティセリア「だから何です……」

マーベル「……」

ティセリア「……?」

マーベル「別に。俺にも守りたいもんがあるってだけさ」スッ

 ◆
534 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/12(月) 23:36:36.95 ID:Sa+yTSxq0
投票日まであと――
↓1コンマ
01-50 4日
51-80 5日
81-00 6日
535 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/12(月) 23:36:53.69 ID:KBsE9u3Jo
こんま
536 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/12(月) 23:49:46.47 ID:Sa+yTSxq0
―緑の国フォレスティナ 滞在4日目
 ◆パーティメンバー
 ◇クロシュ 武:鉄の小盾  防:旅人の服
 ◇妖精   武:なし    防:蜘蛛絹のレオタード
 ◇イリス  武:精霊樹の杖 防:魔術師のローブ
 ◇ミスティ 武:魔銀の短剣 防:旅人のローブ
 ◇ローガン 武:鋼の剣   防:鎖帷子

◯所持アイテム
・鉄鍋+携帯調理器具
・蜘蛛絹の下着
・ザリガニのお守り
・魔術書「星の魔力」
・魔族国永久旅券
・マジカルブラッドワイン
・反魂丹×2
・運命賽
・雨乞い傘

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・おうちの木を助ける(木の生命力[4/40])
・木の病気の原因を突き止める
・選挙で勝つ

◯仲間の目標
・星の魔力を読む[2/4](イリス)
……………………………………………………………………………………
□フォレスティナ首都 主要施設
郊外:緑の大森林、農園、果樹園、精霊の泉、おうちの木、他
首都:露店通り、大樹の宿、武具店、雑貨店、魔法店、工芸品店、八百屋、甘味処、食事処、冒険者ギルド、他
聖域:世界樹 ※許可なき者は聖域に入れません
……………………………………………………………………………………

―朝
 大樹の宿 客室

妖精「はああ〜〜〜……。外に出たくない……。引きこもっていたい……」ゴロゴロ

スライムクロシュ「〜〜…」モニョモニョ

ミスティ「よ、妖精……なんとか……立ち上がってもらえないかしら……。無理を強いているのは、わかっているのだけれど……」

イリス「あ、あと5日しかないんだよ! もっと宣伝とかして知名度を上げていかないと! いくら伝説の太母でも、街頭宣伝一回だけじゃ……」

妖精「う〜ん……わかってるけどぉ……」ゴロゴロ


スライムクロシュ「!」ピコン!

 デロデロ…ポンッ!

妖精クロシュ「……」ヒラヒラ


イリス「わっ! クロシュちゃん……! その姿は妖精さんの……!」

ミスティ「これは……かなり再現度が高い気がするわ……!」

妖精「う、うわあ……。なんかすっごい変な気分……」

妖精クロシュ「これで……わたしが……妖精さんの、代わりに……!」

妖精「……ちょっと、昨日の私を真似て演説とかしてみて」

妖精クロシュ「ん!」


妖精クロシュ「……生命は……どうしようも……ない……」

妖精クロシュ「みんな……どうにも……ならない……」

妖精クロシュ「えと……。だから……わたしが、みんなを……えと……救って……」モニョモニョ

妖精スライムクロシュ「〜〜……」モニョモニョ…


妖精「だめだこりゃ……。やっぱ私が出るしかないみたいだね……」スッ


フォレスティナ滞在4日目です(投票日までの残り行動可能日数5)
↓1〜3 自由安価 何をする?
537 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/12(月) 23:50:42.56 ID:VR/JrcnGo
ティセリアに色々問い質す
538 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/12(月) 23:53:11.65 ID:KBsE9u3Jo
ついでにマーベルも締め上げる
539 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/12(月) 23:57:58.94 ID:1OdYU32RO
フラナに手紙を出す
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/12(月) 23:58:30.95 ID:zb2MEoQG0
露店通りで地道に演説&民の声を聞く
541 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/13(火) 00:07:21.33 ID:Wvgy9xDa0
というわけで安価が揃ったところで本日はここまでとなります

クロシュ一行、初代首長の妖精を立てて電撃参戦という急展開です。この流れは>>1の目をもってしても全く読めませんでした。実のところこの展開に一番うろたえているのは>>1かもしれません
何やら99クリティカルのせいで異常に設定の盛られた妖精さんですが、クロシュの保護者面をするお節介妖精というこれまでの姿勢は今後も変わらないのでごあんしんください。ただ、設定が盛られた分いろいろ融通がきくようにはなったかもしれません

それでは本日もありがとうございました。次回は多分また土日になるかと思います。よろしくお願いいたします
542 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/13(火) 00:12:17.28 ID:++/DdK8Xo

王国はラスボス枠かな
543 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/13(火) 00:41:02.08 ID:LOAAHgzvO

クロシュ氏が着々と有能になっていってるけどゆるい時はぼんやり赤ちゃんスライムのままで良き
544 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/13(火) 01:25:25.44 ID:P0hwC5hBo
おつ
超大物設定が生えてきた妖精さんの明日はどっちだ
イケメン金髪エルフもクズなだけじゃなく色々抱えてそうで……
とりあえず王国は縮小しろ
545 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/13(火) 12:15:01.63 ID:RJV9VfB9O

もうただの侵略兵器だな勇者
546 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/13(火) 18:08:05.92 ID:hNI9lfr0o

紫髪幼女エルフの妖精対応がどこまで変わるのか愉しみだぜ
547 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/17(土) 19:47:02.11 ID:UHyRCctI0
王国がラスボスかどうかはわかりませんが、大陸における影響力は宗教国家セクリエ・ロイエに次いで大きいと言えます。単純な軍事力で言えば世界最強です(勇者を抜きにしても実はかなり強いです)

クロシュちゃんも彼女なりに成長しているようです。穀潰しの誹りを受けることは多分もうないでしょう。中身はぼんやり赤ちゃんスライムなので、やや打たれ弱いところもあります

妖精さんは気楽な放浪生活の方が好きなようです。立候補にはあまり気乗りしていない様子ですが、一応建国者らしく緑の国に対する憂いはけっこうあるようです
イケメン金髪汚職エルフ氏はいろいろ考えていることもありそうに見えます。ところで彼は600歳ですが、1500歳のティセリア氏からすると若造のようです。フラナ氏があのやり取りを聞いていたら喜んでいたかもしれません

勇者は実際、兵士というよりは兵器のように考えられているかもしれません。こちらの世界で例えるならいろいろと融通が効く大量破壊兵器という感じだと思います。風雪新聞の過去の記事には勇者を「王国が保持する非人道的生物兵器」と揶揄し批判した記事があります

紫髪幼女エルフ氏は妖精のことを知らなかったようです。彼女が生まれた時代には妖精は既に緑の国を後にしていたと思われます。妖精が去った後の時代に生まれた世代に初代首長の威光が通じるかどうかは今後のがんばり次第でしょう(初回演説は好調だったため、割と上手くいくかもしれません)
548 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/17(土) 19:47:43.06 ID:UHyRCctI0
―大樹の宿 客室

妖精「……いや、その前にもう一度ティセリアのとこに行こう。復権派からの会談申込みなら無視はできないでしょ」

ミスティ「ただの旅人でも国民でもない今なら、確かに昨日のように門前払いされることもなさそうね」

妖精「そういうこと。いろいろ直接聞きたいこともあるしね」

 ◇

―首長官邸前

 チリンチリン

妖精「復権派の妖精だよ。ティセリアはいる?」

扉の向こう「……お入りください」

 ガチャッ…

 *
549 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/17(土) 19:50:02.94 ID:UHyRCctI0
―首長官邸 応接室

妖精「……」

ティセリア「……」

紫髪のエルフ幼女「……」

ミスティ「……」

イリス「……」

ローガン「……」

クロシュ「……」ソワソワ


妖精「……久しぶりだね、ティセリア」

ティセリア「……はい。お久しぶりです、初代首長」

妖精「なに、改まっちゃって。妖精って呼べば良いじゃん、昔みたいに」

ティセリア「……昔話をしに来たわけではないでしょう」

妖精「……そうだね。じゃあ単刀直入にいこう。なぜ革新派の事業に協力しているの?」

紫髪のエルフ幼女「!!?」

ティセリア「……」

妖精「確かな筋からの情報でね。あなたたち伝統派が、革新派の森林開拓計画に加担してるのは知ってるんだよ。票の操作にも手を染めるつもりだと」

ティセリア「…………隠しても無駄のようですね」

妖精「そうだよ。洗いざらい話しちゃいなさい」

ティセリア「……確かに私たち伝統派は、革新派の事業に協力しています。次の選挙でも、革新派を勝たせるつもりです」

妖精「理由は何?」

ティセリア「……緑の国を、終わらせない為です」

 *

妖精「……つまり、王国への白旗ってこと?」

ティセリア「……簡単に言えばそうです。私たち伝統派より、以前から王国と交渉を続けている革新派が政権を取った方がより安全で確実なので」


イリス(王国……!! こんなところでも……!!)ギリッ

ミスティ(……でも、これだと私たち復権派が勝ったら一番まずい展開になるんじゃ……?)


妖精「……大体わかった。抗おうともしないで奴隷の安息を選んだってわけだ」

ティセリア「……今更戻ってきた癖に、知ったようなことを言わないで。私たちの決断には、大勢のフォレスティナ国民の生命がかかっているのです」

妖精「……」

ティセリア「私たちのことを想うなら、参政を取りやめてください。突然のあなたの出現で国民は活気づいていますが、王国との緊張は高まりかねません」

妖精「…………森林開発も王国からの命令?」

ティセリア「……いえ。それは革新派の意向です。王国とは関係ありません」

妖精「……じゃあ、それはやめられるよね。現在進行系で民や木々を苦しませてどうするの」

ティセリア「…………それは……」

↓1
01-10 今更太母面しないで!
11-50 復権派が退くなら考えます 
51-90 もう一度革新派とよく話し合います
91-00 ??
550 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/17(土) 19:51:09.44 ID:KHNCXCim0
551 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/17(土) 20:30:33.51 ID:UHyRCctI0
ティセリア「……復権派が、今回の選挙から退くなら考えてあげます」

妖精「……今苦しんでる民より、不正選挙が滞りなく進むことの方が大事なの?」

ティセリア「……不正は不正でも、国が存続するための不正……必要悪です。それに革新派の事業も、今後の緑の国の国際競争力を培う意味では大きな価値のあるものだと私は考えています」

妖精「未来のためなら、不正を許容し今を苦しむ民も切り捨てるってことか」

ティセリア「……はい」

妖精「……成長したね。草木の一本一本を慈しみ、虫一匹殺せなかったあの精霊の申し子ティセリアちゃんが、こんな冷徹な判断を下せるようになっていたなんて」

ティセリア「……っ」

妖精「よくわかったよ。もうあなたは立派な為政者で――そして私の政敵だ。新参の立候補者として、全力で立ち向かわせて頂く」

ティセリア「……!? ま、待ってください! 話を聞いていなかったのですか!? 復権派が退くなら考えると――」

妖精「為政者の『考える』を信用してやれるほど耄碌したつもりはないから。私も昔よく言ったしね」

ティセリア「……!」

妖精「私が勝ったら民の苦痛も王国の侵略も全部平穏無事に解決してやるから、安心して首長の座を譲りなよ」

ティセリア「……」


妖精「じゃ、そういうことで。行くよ、みんな」フワッ

イリス「あ、うん!」

ミスティ「え、ええ……」ペコッ

ローガン「ありがとうございました……」ペコッ

 ガチャッ… バタン…

 *
552 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/17(土) 20:31:24.97 ID:UHyRCctI0

ティセリア「……」

ティセリア「…………」ジワワ

ティセリア「………………」ポロポロ

紫髪のエルフ幼女「ティセリア……」

ティセリア「……どうすれば……良かったの……。どうして……」ポロポロ

紫髪のエルフ幼女「…………マーベルも、妖精も……どいつもこいつも、自分勝手すぎるんです……!」

ティセリア「…………」ポロポロ



スライムクロシュ「……」モニョ

なんとなく気になってこっそり残っていたクロシュが、首長の涙を目撃してしまいました
何かしますか?
↓1
1.少しだけ謝っておく
2.そっとしておく
3.自由安価
553 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/17(土) 20:32:40.51 ID:3VKqVvoso
1
554 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/17(土) 21:50:45.23 ID:UHyRCctI0
スライムクロシュ「……」デロデロ

クロシュ「あの……」

ティセリア「!!?」

紫髪のエルフ幼女「曲者!!」バッ

クロシュ「ひゃっ!」

ティセリア「待って! あなたは……そういえば、ビラを配っていた――」

紫髪のエルフ幼女「……! あの時のスライム……妖精のお供だったの……?」

クロシュ「うん……。えっと……ごめんなさい」ペコリ

ティセリア「えっ。ど、どうして謝るのですか?」

クロシュ「えと……妖精さんが……ひどいこと、言ったから……」

ティセリア「……いいえ。妖精の言ったことは、間違っていません。私は……冷徹な、為政者なのです」

紫髪のエルフ幼女「違います! ティセリアは……誰よりも優しくて、民想いで……今回の決断だって、ティセリア自身がどれだけ苦しい気持ちを抑えてるか……!!」

ティセリア「サリー!」

紫髪のエルフ幼女「あっ……も、申し訳ありません……」

クロシュ「……本当は……ティセリアさんも……いやなの……?」

ティセリア「……嫌、では……」

クロシュ「……いやなら……やだって、言った方が……良いと思う……」

ティセリア「……」

クロシュ「えと……妖精さんも……ティセリアさんが、やだって言わないと……きっと、わかんないから……」

ティセリア「……」

クロシュ「……えと……それじゃあ……私も、帰るね……。お話……ありがと、ございました……」デロデロ


スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

 ズルズル…


ティセリア「……ぐすっ。ふふっ……かわいいお供を連れているのですね……妖精は……」

紫髪のエルフ幼女「……!」

ティセリア「嫌なことには、やだって言え、かあ……。首長の身でそれは……難しいなあ……」グスッ

紫髪のエルフ幼女「……。良いんじゃないですか。首長が、嫌なことにやだって言っても」

ティセリア「でも……」

紫髪のエルフ幼女「どうせ復権派の台頭で今回の選挙は大荒れです。国内世論もどこへ向かうかわからない。それなら好きにやりましょうよ」

ティセリア「……少しだけ、考えさせて」

 ◆
555 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/17(土) 21:52:04.15 ID:UHyRCctI0
―首長官邸前

妖精「う〜ん……言い過ぎたかなあ……。でも政敵である以上手加減するのは失礼だし……」フヨフヨ

イリス「お疲れ様、妖精さん……!」

ミスティ「政治のことはあまりわからないけれど、ティセリアさんの言い分も一理あると思ってしまったわ……」

ローガン「うむ……。これについてはどちらが正解というわけでもないからな。だが戦うと決めた以上は、我々も全力で票を取りにいかなければならん」

ミスティ「ええ……わかってるつもりよ……」


スライムクロシュ「〜〜」モニョニョ

妖精「あ、クロシュ! 遅いよ、何してたの!」

クロシュ「え、えと……。ティセリアさんと……ちょっとだけ、お話……」

ミスティ「えっ、ティセリアさんと……!?」

クロシュ「えと……ティセリアさん……泣いてた……。だから……妖精さんがひどいこと言ってごめんなさい、って……」

イリス「な、泣いて……」

ミスティ「……傷付いていたのね……」

ローガン「妖精くん……」

妖精「わ、悪かったよお……! でもティセリア……根っこは、昔のままなのかなあ……」

ミスティ「……彼女の心根がどれだけ優しいとしても……それで今を苦しむ民が救われるわけではないわ。それは違えないようにしないとね……」

 ◇
556 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/17(土) 21:53:32.91 ID:UHyRCctI0
―革新派事務所前

ミスティ「というわけで今度は革新派の事務所にやってきたわ……。この国どころか大陸中でも珍しい、鉄筋建築ね……」

イリス「首長への陳情がだめだったなら、革新派に直接文句を言おうってことだね!」

ミスティ「ま、まあそうね……。ちょっと短絡的かしら……」

妖精「聞いてくれるとは思いにくいけど、革新派の頭と話をしてみたいとは思ってたし丁度良いよ」

ローガン「しかし革新派は強引な森林開発や親王国路線など、やや不穏な姿が見え隠れしている。警戒はすべきだろう」

ミスティ「そうね……。荒事になることはないと思うけれど、最低限の警戒はしておきましょう……」

クロシュ「……」

ミスティ「それじゃあ、呼び鈴を鳴らしましょうか……」

 チリーン


↓1
01-30 セイン「……」ヌッ
31-90 マーベル&セイン
91-00 マーベル1人
557 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/17(土) 21:54:29.27 ID:GJRW3Cmk0
a
558 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/17(土) 21:54:35.05 ID:VKYrdVUdO
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/17(土) 22:14:42.56 ID:3VKqVvoso
げぇっ!勇者!
560 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2024/02/17(土) 22:21:17.46 ID:UHyRCctI0
 ガラッ

セイン「……」ヌッ

クロシュ一行「!!!?」

セイン「…………」


妖精(なんで勇者がこんなとこにいるの!!?)

イリス(し、知らないよお〜!!)

ミスティ(ま、まさか二日目辺りでクロシュが出くわしたのって――)

クロシュ(え、えと……)

ローガン(革新派に潜んでいたというのか!?)


セイン「……」

セイン「……マーベルは留守だ」

ミスティ「え、ええと……そ、そうなのね……」

セイン「ああ」

セイン「……」ジッ

クロシュ「……?」

セイン「……」

妖精「……クロシュに何か用?」

セイン「……クロシュと言うのか。その……影のスライムは」

クロシュ「……? うん」

セイン「……」

妖精「……ちょっと。相手の名前だけ知って、自分が名乗らないのは失礼じゃないの」

セイン「……失礼した。僕はセイン。革新派マーベルの……護衛だ」

ミスティ「……革新派の……護衛?」

イリス「……」

ローガン「……」

クロシュ「えと……魔族革命の時は……」

セイン「……何のことかわからないな」

クロシュ「……」


妖精(やめなさいクロシュ! 下手に突っ込んだら消されちゃうよ!)

クロシュ(う、うん……)


セイン「……茶でも飲んでいくか?」

イリス「えっ!」

ミスティ「お茶……」

ローガン「う、ううむ……」


↓1〜3多数決
1.飲んでいく
2.帰る
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