プリキュア作るぞ part3【安価有】

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298 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/08(金) 01:55:02.37 ID:m8glC2c1o
ここまで

以上でカサイ戦終了です

これだけ言わせてほしいんですが、ゆきにゃはずっと優等生でした
困った時は頼れば大抵なんとかしてくれるし、どこぞのロリコンみたいに派手な暴走しないし、動きが固くなったら霰ちゃん投入で解消できるしで、とにかく扱いやすいキャラでした
しかし反面、ずっと作者の手のひらの上というか、私が動かしたいように動きすぎる気がするなと思っていました
しかし今回最後の最後で、私の手を離れてくれたような気がします
ゆきにゃを描き始めた頃は、「仲間と一緒なら怖いものなんてなにもない」みたいなところに着地すると思っていたんですが、結果ほぼ真逆でした
私はそれがとても嬉しい

正直ゆきにゃ関連は語りたいことありすぎて収拾つかないのでこのへんで
次回からクリアvsライガ戦です ここは今までの2人よりは軽めになると思います 書いてみないと分かりませんが
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/08(金) 01:56:16.14 ID:K8eh5hRgo

次は因縁のセクハラおじさん戦か
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/08(金) 01:58:26.07 ID:4Pbvrwr60

まともなメンタルになったクリアの力は如何程か
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/08(金) 10:51:23.04 ID:qOWi+A7E0
次のプリキュアはキャラの名前や能力のモチーフとか属性とか統一しなくていいかもなあ
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/08(金) 11:46:41.34 ID:lzi2B2PE0
能力に冬っぽい要素あったのゆきにゃだけだったなあ
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/08(金) 12:04:53.68 ID:PPu3YEuu0
各キャラで季節分けてるんだからそら他キャラにはないでしょ
バーサク肉弾戦ばかりのサクラは春っぽく、そもそもクリアって名前からしてクリアは夏っぽくないなとは思うけど
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/08(金) 12:12:40.53 ID:VSrJAquDo
サクラは日常的に家で全身から赤い桜を飛び散らせてるから春要素回収してる
クリアとブーケは夏と秋要素多分ないな
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/08(金) 12:37:08.89 ID:YuZPEvlr0
もう少し余裕あったら「安心せえ。俺がちゃんとレッドを引き継いだる」的なイベントでゆきにゃのピースで霰変身とかゆきにゃ戦意喪失→再起あったかな?
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/09(土) 21:30:39.16 ID:+1mdZlR30
クリアさんいつもボコられたり一番弱いとか散々な扱いだったけど汚名返上となるか
307 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/10(日) 01:53:31.94 ID:19R9QDHlo
バリバリバリッ
ドガァァァンッ!!!
バヂヂヂッ

ライガ「………………」シュウウウ

ライガ「……ふむ」

ライガ「こうなるか。なかなかどうして悪くない」グッパッ

ライガ「だが、やはりというかなんというか……」

ライガ「好奇心は猫をも殺すとは言ったものだな……」サラサラ…

ライガ「……まあいい」ギュ

ライガ「遅かれ早かれこうなる運命。サイカ様の手を煩わせるまでもあるまい」

ライガ「そんなことよりもだ……」

ガラガラ…
ドサッ

ライガ「いい格好だな、キュアクリア」ニヤッ

クリア「うくっ……」ボロッ
308 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/10(日) 02:00:51.78 ID:19R9QDHlo
迷走中

使ってほしい技安価とらせてください 下3まで
リスト(>>196, >>197, >>198)

正直自分でも採用基準がわからん でもがっつり攻撃系の技の方が動かしやすい気がします いやわからんけど
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/10(日) 02:03:59.44 ID:zt1oAdkso
ライトニングフィッシュアロー
(>>196)
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/10(日) 05:39:27.98 ID:o/7Ovga3o
シアロッド
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/10(日) 05:43:28.05 ID:o7ppKr3r0
リモートコネクト
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/10(日) 22:51:38.88 ID:3ggw54hZo
クリアではやはりダメか
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/12(火) 01:10:15.44 ID:r4FeTMSG0
最終章とは言ってもクリアVSライガ サクラさんの話 ラスボス戦とかまだまだやらなきゃならない話多くて終わりは見えないな
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/13(水) 01:14:37.49 ID:1zFapIG8o
どう足掻いても弱いんだなクリアさん…
315 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/13(水) 09:47:43.20 ID:gjCpmcQso
厳正なる審査の結果、シキとシアさんは離れたところで戦いを見守ってることになりました
316 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/13(水) 10:03:55.96 ID:gjCpmcQso
クリア「はぁはぁ……」ヨロヨロ

ライガ「ほぅ、立ち上がるか」

クリア「こんな……ところで……!」

ライガ「もう分かっているんだろう? お前では私に勝てない」

クリア「あなたにだけはっ……負けられないのっ……!」

ライガ「何を言う。自分ひとりの力では私に勝てないと、そういったのはお前自身じゃないか」

クリア「もうあの時の私じゃないっ……! プリキュア!!」バッ

クリアの掛け声とともにマントがはためいた。
マントは光を零しながら細く、長く形を変えていく。
クリアは弓状になったそれを構え、強く引き絞った。

クリア「ライトニングフィッシュアロー!!!」バシュウウウッ!!!

ギュルルルッ!!!

高速で回転する1匹の魚は、音すらも置き去りにして一直線に飛ぶ。
直撃すればどんなものでも容易く貫通するほどの威力だろう。
しかしそれも、当たればの話。

ライガ「どうだかな」サッ

ライガはその攻撃を完全に見切っていた。
矢の軌道を見極め、上体を少しだけ逸らし、最小限の動きで攻撃を躱した。
ライガの胸元を抉るはずだった魚は空を貫く。

クリア「リモートコネクト!」バッ

ライガ「ん?」

バシュウウウ…
シュンッ

しかしクリアはそれを見越していた。
攻撃の向かう先、ライガの背後に予めマントの切れ端を忍ばせていた。
光の如き速度にまで到達した魚の矢は、マントに吸い込まれるようにして姿を消す。

クリア「くらえっ……!」

そしてその出口は、ライガの頭上。

シュンッ
ギュルルルッ!!!

ライガ「!」

一切威力の衰えない矢はまばたきすら許さい速度で、今にもライガを貫こうとしていた。
317 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/13(水) 10:26:40.41 ID:gjCpmcQso
ズダァァァンッ!!!

高速回転する魚の矢が、土煙を巻き起こしながら地面に深く突き刺さった。

クリア「はぁはぁ……これならっ……!」

クリアは舞い上がる土埃を睨め付ける。
全力の攻撃だった。躱されることも想定していた。それを見越して虚をつく作戦も立てた。手応えもあった。

バチッ

クリア「っ!!」

ライガ「この程度か……」バリリリッ

それでもなお、届かなかった。

ライガ「笑わせるな!」バヂッ!!

ライガが消えた。
それを認識した時にはすでに、雷速の蹴りがクリアの腹部を捉えていた。

ズガガガァンッ!!!

受け身も取れずに吹っ飛ばされた。
何度も地面に身体を打ち付けた。
全身が引き裂かれるような痛みを味わいながらも為す術などなかった。
ただその痛みを受け入れるほかなかった。

クリア「っっ……がふっ……!」

やっと勢いが止まった時、クリアは立ち上がることができなかった。
肺の空気が飛び出たまま戻ってこない。うまく呼吸ができず、視界が白に黒にと点滅を繰り返す。
ひどい酩酊感に襲われ、もはや上下も分からない。

ライガ「無様だな」

いつの間にかそばまで来ていたライガの声もどこか歪んで聞こえる。

クリア「ふぅっ……うううっ……!」

それでもクリアは力を振り絞る。
どこに力を入れれば立ち上がれるのかすら分からない。それでも

ライガ「まだやる気か?」

クリア「あっ……うああ゛っ……!」ググッ

ライガ「お前ごときが、まさか本気で私に勝つつもりなのか?」

クリア「そのためにっ……! ここまで来た!」

ライガ「……」

クリア「シーズンランドのみんなが……紡いでくれた希望があるっ……遺してくれた想いがあるっ……! だから私は今ここにいるっ……!!」

ライガ「……」

クリア「今日こそっ、絶対……! ぜんぶ取り戻す……!!」

ライガ「はぁ……」
318 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/13(水) 10:48:12.21 ID:gjCpmcQso
ライガ「……くだらないな」ガッ

クリア「!?」

クリアの決意を冷ややかに一蹴したライガは、クリアの頭を片手で鷲掴みにした。

ライガ「そんなに妖精どもに会いたいなら……」グイッ

クリア「はなっ……!」

うまく力が入らないながらも必死に抵抗するクリアを易々と持ち上げる。
そして……

ライガ「同じ場所に送ってやる」バヂッ

クリア「っ!!?」

それは一瞬のようにも、永遠のようにも感じられた。
クリアの全身に雷撃が駆け抜けた。
脳天からつま先まで、全身の隅々を突き刺すような痛みが襲う。迸る雷がぶつかり合い火花と大きな音が散る。
しかし耳をつんざくような絶叫が、それすらも掻き消していく。喉が潰れるほど叫んでも何も変わらない。それが分かっていても悲鳴は枯れない。
身をよじろうにも身体が弓なりに張ったまま動かせない。あまりの痛みに意識が遠のいても、電撃に無理やり叩き起された。

ライガ「……」パッ

クリア「ぁ゛……」ドサッ

ライガがクリアの頭を離した時、クリアの身体からは煙と焼け焦げたようなニオイが上っていた。
319 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/13(水) 11:16:47.21 ID:gjCpmcQso
朦朧とする意識、だらりと垂れ下がる四肢。クリアは白目を剥きながら力なく倒れた。
全身が、クリアの意思とは関係なしに痙攣を繰り返す。

クリア「あ゛……ぁ゛……」ビクッビクッ

ライガ「さらばだ、キュアクリア……」スッ

ライガがトドメを刺そうとしたその時だった。

クリア「は、ぁ゛……ぃう゛……!」グッ

ライガ「!」

クリアが声にならない声を上げ、地面を握りしめるように手をついた。

ライガ「驚いたな。まだ意識があるのか」

クリア「ま゛……だっ……!!」

ライガ「だがそんなザマでなにが出来る?」

クリア「う、う゛ぅ……!」

ライガ「何も出来やしないさ。結局お前は何も守れず、誰も救えず、惨めに死んでいくだけだ」

クリア「はぁっ……くっ……! あぁっ……っ!」グググッ

ライガ「それともまた助けを求めるか? お前だけの、何でもしてくれる都合のいいヒーローが助けに来てくれるのを待つのか?」

クリア「ちっ……がう……!」

ライガ「これまでずっとそうしてきたんだろう? だったらこれからも、そうやって無様に縋っていればいい」

クリア「もうっ……! そんなこと……しないっ……!」ヨロッ

クリアが足を震わせながらなんとか立ち上がる。
そんな姿を、ライガは冷ややかに睨んだ。

ライガ「……もうたくさんだよ、キュアクリア」

クリア「だって、だってそんなことしたら……!」

ライガ「終わらせよう」スッ

クリア「…………あの子、本当に助けに来ちゃうから」

ライガ「は?」

クリア「だあっ!」ダッ

ライガ「!」
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/13(水) 11:24:09.81 ID:VgyBHCa3o
ライガはカサイツナミより強いんだろうか?
321 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/13(水) 11:36:02.95 ID:gjCpmcQso
>>320
設定上は1番
でもキュアサクラさんとタイマン生き残りレースしたら1番長持ちするのはツナミさんだと思う
適材適所
322 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/13(水) 11:42:37.87 ID:gjCpmcQso
クリアは満身創痍の身体で、倒れ込むように拳を放つ。

クリア「私っ、勘違いしてたっ……っ!」

ライガ「今更なにをっ……」

クリア「ずっと……うぐっ……! ずっとあの子は強くて優しいんだって……だからいつも笑顔でいられるんだって思ってたっ……!!」

しかしそんな攻撃が通用するはずもなく、あっさりいなされ反撃を食らってしまう。

クリア「ぁが、ぅ……で、でも、違った……! 誰かのためっ、みんなのためっ……あの子にはそれしかなかったっ……!!」

ライガ「諦めろ……!」

クリア「私が助けてって言ったら……! あの子きっと、本当に助けに来るっ……! また自分が傷つくことなんてお構い無しにっ、ボロボロのまま笑うっ……!!」

ライガ「鬱陶しい!」バシッ

クリア「あぐっ……!」ドサッ

ライガ「もう分かっただろう!?」

クリア「うぅ、く……でもっ……!!!」ダッ

ライガ「チィッ……!」

それでもクリアは1歩も退かず攻撃を繰り返す。

クリア「でもそれじゃダメなのっ……! あの子にはもっとっ、大切にしなきゃいけないものがあるのっ……!」

ライガ「小癪な……!」

その度に精彩を欠いていた攻撃が徐々に鋭さを増していく。

クリア「私はこれからもあの子と一緒にいたいからっ……! 隣に立って支え合える存在でありたいからっ……!」

ライガ「くっ……ぅ……!」

もう戦う力は残っていないと思っていたクリアの攻撃が捌ききれなくなり、ライガは次第に焦り始める。

クリア「だからいつまでも支えてもらうだけじゃいけないのっ……! 甘えてるだけじゃいけないのっ……! 寄りかかってるだけじゃいけないのっ……!!」

ライガ(こいつ……! だんだん早く……!!)

ライガ「く、ぉぉお……っ!」バチチッ!

そしてついに……

クリア「今度は私が迎えに行かなきゃいけないのっ! 誰より早く飛んでいって、もう大丈夫だよって伝えてあげなきゃいけないのっ!!」

クリアの拳がライガの懐を捉えた。

ライガ「あぐっ……!?」グラッ

クリア「あの子の1番大切なものが……あの子自身であるためにっ……!!」

ライガ「っ!!」バリバリッ

クリア「私はあなたにっ……!!」ググッ

ライガ「うおあっ……!」

クリア「ひとりで勝たなきゃいけないのっ!!!!!」ギュオオッ!!

ライガ「っ!?」

ドガァァァンッ!!!
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/13(水) 11:44:45.04 ID:VgyBHCa3o
ぼく一人の力で君に勝たないと、[たぬき]が安心して未来に帰れないんだ!的なシチュエーション?
324 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/13(水) 11:47:22.06 ID:gjCpmcQso
安心して…帰れないんだ!
四次元ポケットに引っ張られたわけじゃないです本当です


トドメの技色々考えたんですけど、前スレ>>464でちょっと話した、水生生物てんこ盛りのなんちゃらアクアリウムみたいな技にしようかなと
で、その名前を安価で募集しようかなと思います 下3までで
一応イメージとしてはスプラッシュウェイヴのお魚色々verみたいな感じを想像してます もし違う感じの案があればそのへんも是非
よろしくお願いします
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/13(水) 11:56:32.46 ID:2pGrsXNQo
フレンズビートアップ
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/13(水) 12:00:25.60 ID:i9roLmcu0
ストームアクアリウム
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/13(水) 12:03:52.20 ID:TS3ro18a0
モンスターバンケット
328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/13(水) 12:06:15.02 ID:+yltBcL70
じゃあその時にも出したカレイドアクアリウムで
329 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/13(水) 22:12:48.85 ID:gjCpmcQso
ご協力感謝
>>327にしようかなと思います
ただバンケットってワードがちょっと強い アクアリウム蹴っ飛ばすくらいに強い
なのでアクアリウムにこだわらずバンケットに比重を置いて、モンスターの部分にお魚要素を盛る感じで再構築しようと思います ご容赦

アクアリウムは>>328に任せよう せっかくの合体技だし、技名的にも使うキャラ的にも収まりがとてもいいと思うので、個人技にしちゃうのもったいない気がします
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/13(水) 22:15:13.81 ID:jSW4ClOdo
クリアさんのマントの中のお友達って何匹かお魚さんなんて可愛いもんじゃなくてモンスターいるよなあ
331 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/13(水) 22:30:05.25 ID:gjCpmcQso
ライガ「ぅ! がふっ……!!」ガクッ

クリアの攻撃を対処しきれず、ライガがついに膝を着いた。

クリア「プリキュア!!」バサッ

そのチャンスを見逃さず、クリアがマントを大きく広げる。

ライガ「!」ゾッ

その瞬間、ライガの目に映ったのは無数の影。
マントの内側に湛える水の中、今宵の招待客が目を光らせていた。

クリア「アクアフェアリオ・バンケット!!!」

グググググッ!
ブワアアアアアッ!!!!!

それは水精の宴。
クリアの声を合図に、その時を待ちわびていた者たちがマントの中から溢れ出す。

ライガ「なっ……!」

ある者には鋭い歯があった。またある者には大きなヒレがあった。別のある者には吻が、吸盤が、甲羅が、鋏が、嘴が……
数多の水精がまるで1つの生き物のようにうねり、そして……

クリア「いっっっ……けぇぇ!!!!!」バッ

ドワアアアアアッ!!!!!

波涛となってライガへと押し寄せた。

ライガ「っ……!」バリリッ!

ライガは咄嗟に全身に雷を纏った。
しかし同時に理解していた。もはや逃げ場など、どこにも存在しない。

ライガ「うおおおあっ!!!」バヂヂヂヂッ!!!!!

残った力の全てを両腕に注ぎ込み、殺到する激浪へ突き出した。
それが最後の抵抗だった。
しかしその雷鳴は……

ライガ「っ!!!」

バヅンッ!

刹那の後、濤声に消えた。
332 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/13(水) 22:31:37.94 ID:gjCpmcQso
プリキュア・アクアフェアリオ・バンケット になりました
水精の宴。お魚いっぱい。相手は死ぬ。
せめて名前くらいは可愛げというかプリキュア感を残したかった。効果は可愛くない。
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/13(水) 22:33:21.89 ID:bJvJ5medo
朱さんがロリコン拗らせて突撃してきたらこのかわいくない技を使って分からせてやればいいのだ
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/13(水) 22:40:42.24 ID:RVnQgnXYo
オーバーキル!!
335 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/13(水) 22:47:09.04 ID:gjCpmcQso
シュパァァンッ

透「うっ……っ……!」ガクッ

透「はぁっはぁっ……」プルプル

透「………………やっ、た」

透「やった、やった……やっと……! 私……!」ギュッ

シア「透!!」フヨフヨ-

透「シア!!」

シキ「とおるうううううううううっ!!!!!!」パヒュ-ンッ

透「シキ……ぃぃい!? へぶっ!!?」ゴンッ

シキ「とおるっとおるうううっ!! よがっだのでずううううううぅぅっ!!!」ギュウウウッ

透「わがっ……! いきっ……!!」ワタワタ

シア「ほらシキ、透が苦しんでますわよ」ヒッペガシ-

シキ「ぁああ……!」ベリ-

透「んばっ……すぅぅぅはぁぁ……!」

シア「大丈夫ですか?」

透「し、死ぬかと……」

シキ「ごめんなのでずううううう!!」ギュウウウウッ

透「わかったから……」ナデナデ

透「それより……シキ、シア……!!」

シキ「う゛ん゛っ゛……!」

シア「ついに……ついにやりましたわね透……!」

透「うんっ……!」

シキ「これでっ……! ライガにやられちゃったみんなが戻ってくるはずなのですっ……!!!」

透「みんなにまた会えるんだね……!」

シア「はいっ……!」

シキ「すんすんっ、ずびっ……透っ、ありがとっ……! ほんとにありがとなのですっ……!!」ボロボロ

透「私もっ……ほんとに嬉しいよ……!」ギュッ

シキ「どおるうううっ!!」ギュ-

透「シキ……!」ギュ-

シア「ふふっ」ニコニコ

透「…………でもねシキ、ありがとうはまだ受け取れないの」

シキ「どう、して……?」

透「だってまだサイカが残ってるし、朱と雪菜がどうしてるかも分からない。それになにより……」

シキ「!」

透「桜野が待ってるから」ニコッ

シキ「うんっ……!」
336 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/13(水) 23:02:26.79 ID:gjCpmcQso
シア「となると、まずは朱たちと合流ですわね」

透「まだ戦ってるなら加勢しないと」

シキ「け、怪我だいじょぶなのです? さっきの戦いだって、すごく激しかったのです……」

透「確かにちょっと疲れちゃったけど、桜野を助け出すまで休んでられない。ここが踏ん張りどころ!」

シキ「……うん!」



ライガ「くは、ははは……は……」



シキ「!」ビクッ

透「……まだ消えてなかったんだ」

ライガ「勝ち誇った顔を見てやろうと思ってな……」

透「あなたはもう終わり」

ライガ「だろうな……」サラサラ…

ライガ「だが私ひとり倒したところで、何も変わりはしない……」

ライガ「キュアサクラもウィッシュスターもこちら側にある……そして何よりサイカ様がいる……お前たちに未来は無い……」

透「桜野もウィッシュスターも返してもらうし、サイカも倒す。何ひとつ、あなたたちの好きにはさせない」

ライガ「くくくっ、やってみろ……そして絶望するがいい……」

透「……もうあなたと話すことは何も無い。行こ」クルッ

シキ「う、うん」

シア「ええ」

ライガ「……最後にひとつ、いいことを教えてやる」

透「いいこと……?」

ライガ「お前はさっき、キュアサクラが助けに来るとか言っていたが……安心しろ、それは有り得ない……」

透「あなたなんかに何が分か……」

ライガ「ヤツが絶対に勝てない相手を用意した」

透「!!!」

ライガ「くははっ……はははは……ははははははは!」サラサラ…

サラサラサラサラ…
フワァァ…

透「……」
337 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/13(水) 23:10:58.81 ID:gjCpmcQso
透「ライガ……」

シア「気になることを言っていましたわね」

透「うん。桜野が絶対勝てない相手を用意したって、どういうことなんだろ」

シア「確かに今の桜野はかなり危険な状態かもしれません。ですが……」

シキ「それでもやっぱり桜野は強いのです……だからこんな状況になってるのです……」

透「だよね。その桜野が勝てない相手なんて、それも絶対なんて……」

シア「一体どんな……」

シキ「桜野が……絶対……」

シキ「………………」

シキ「!」ハッ

透「シキ?」

シア「何か分かったんですの……!?」

シキ「まさかっ……!」
338 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/13(水) 23:18:13.54 ID:gjCpmcQso
ドガッバキッ
ドガガガッ
ドカァァンッ!

サクラ「ぐっ……! あがっ……!」ドサッ

サクラ「う、ぅ……!」ヨロッ

サクラ「んくっ……なんっ、なのっ……!」

ヒュンッ
ドゴォンッ!

サクラ「くぅっ……! な、なんでっ……!」

サクラ「あなたっ……! なんでっ!!」ダッ

ガッ!
グググッ…

サクラ「なんでわたしと同じ姿をしてるのっ!!?」

シャドウサクラ「あは♪」
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/13(水) 23:19:34.13 ID:O686q7Kko
本家でたまによくあるやつ!
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/13(水) 23:20:39.06 ID:eMGtnKSq0
えらい高性能な結界だ
341 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/13(水) 23:20:46.31 ID:gjCpmcQso
ここまで
以上、クリアvsライガ終了
続きましてvsもう1人の自分、です。桜野さんには特攻です。
こういうのってプリキュア恒例な気がしてたけどイメージの7割はプリキュア5でした。というかダークドリームでした。

シャドウサクラだと長いので次回からシャドウに統一します
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/13(水) 23:21:18.19 ID:O686q7Kko
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/13(水) 23:22:44.79 ID:eMGtnKSq0

脱出も破壊も不可能で内部にコピー作り出すってずいぶん贅沢な合体技だ
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/13(水) 23:50:37.40 ID:RVnQgnXYo
おつおつ
シャドウクリア/ブーケ/クリスタルの幻覚が発生するやーつ!
345 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/15(金) 01:19:53.28 ID:fcSS7p2Fo
透「じゃあ桜野は今……!」

シキ「たぶん桜野自身と戦ってるのです……」

透「勝てない、の……?」

シキ「……」

透「……と、とにかく急いで桜野のところに!」

シキ「う、うん!」

透「シアも!」

シア「はい……あら?」

シキ「シア?」

シア「2人とも、ちょっとこっちに」

透「?」テテテッ

シア「これを見て……」

シキ「んー? なんか赤いの落ちてるのです」

透「なにこれ? 半透明な……石?」

シキ「きれーな石なのです。宝石です?」

シア「それは分かりませんが、問題は……」

透「ここ、ライガが消えた場所だよね?」

シア「ええ」

シキ「……」ジ-

透「そこに宝石みたいな石……ライガが持ってたのかな?」

シア「少し気になりますわね。なにか意味があるものなのでしょうか……」

透「うーん……」

シキ「……」スッ

透「シキ!? 不用意に触っちゃ……!」

シキ「多分だいじょぶなのです」
346 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/15(金) 01:30:08.95 ID:fcSS7p2Fo
シキ「……」カタッ

シア「……何も起こりませんわね。どうですか、なにか分かりそうですか?」

シキ「……うん。やっぱりなにか感じるのです」

透「なにかって? 危ないもの……?」

シキ「ううん。確かに激しさはあるけど、悪い感じはしないのです」

シア「では一体……」

シキ「なにか、強い……感情? 意志? みたいな……」

透「強い意志……? なんでそんなものが……」





雪菜「こんなところに?」

雪菜「うーん、きれない琥珀色だけど……あれ?」

雪菜「この面だけなんか……割れてる?」

雪菜「あ、もしかして、ひびが入ったってこれのことなんじゃ……!」

雪菜「もしそうなら近くに欠片が……!」キョロキョロ





朱「……あった」

朱「エメラルドみたいな石の欠片がふたつ……」

朱「断面の感じからすると……」

朱「ぴったり」カチャッ

朱「この形……これがあの時言ってた……」





「「「はーと……?」」」
347 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/15(金) 01:43:11.11 ID:fcSS7p2Fo
タンッ

サクラ「!」

シャドウ「たぁぁ!!」ヒュンッ

ドカァンッ!

サクラ「くっ……!」

シャドウ「ふふっ」ニヤッ

何も無い、からっぽの世界。
そこでサクラは今も、自分と全く同じ姿、同じ顔をした存在と戦っていた。

サクラ「どういうことっ……!? なんでわたしがもう1人……!」

シャドウ「ここはそういう場所だから」

サクラ「場所……!?」

シャドウ「ここはあなたの心の中。ここはあなたの夢の世界」

サクラ「なにっ……言って……!」

シャドウ「あなたは今ね、眠ってるの。そして……勝った方が目を覚ます」

サクラ「!!」

シャドウ「わたしはあなたになる。わたしになる」ヒュッ

サクラ「あぐっ……!」

動揺するサクラに、シャドウは躊躇いなく攻撃を繰り出す。

サクラ「あなたっ……! いったい何者なのっ……!!」

シャドウ「見ての通り、あなただよ。あなたが目を逸らし続けていた、あなた自身だよ!」

サクラ「っ!? わたし自身……?」

シャドウ「はぁ!!」

サクラ「!」

ダァァンッ!

サクラ「げふっ……うくっ……!」ズサッ

シャドウ「あははっ♪」

サクラ「あなたが……わたし……?」ヨロッ

シャドウ「うん、そうだよ」

シャドウ「わたしはあなた。あなたはわたし」

シャドウ「見て見ぬふりはもうおわり」ニコッ
348 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/15(金) 01:57:47.01 ID:fcSS7p2Fo
シュパァァンッ

雪菜「はぁはぁ……やっぱりダメですね……」

朱「ほんの少しの手応えすら感じない……これじゃあ透ちゃんと合流できても壊すのは難しそうね……」

雪菜「はい……」

サクラ(in結界)「」

雪菜「桜野さん、ちっとも目を覚ましません……」

朱「そうね……」

雪菜「中で何が起こっているんでしょう……」

朱「はやく干渉する方法を探さなきゃね……」



透「朱、雪菜!!」タタタッ



雪菜「あ!」パッ

朱「透ちゃん!!」

透「よかった! 2人とも無事で!」

雪菜「はい、なんとか」

朱「透ちゃんたちも無事でよかったわ……!」

透「ツナミとカサイは……」

雪菜「……」コクッ

透「……そっか」

雪菜「じゃあライガも……?」

透「うん」グッ

朱「やったのね……!」

透「うん。でも……」チラッ

サクラ(in結界)「」

透「……」

朱「……いったん情報交換しましょうか」
349 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/15(金) 02:11:18.71 ID:fcSS7p2Fo
シア「とにかく、あの3人は倒せたということですわね」

透「うん」

シア「ですが桜野は……」

サクラ(in結界)「」

朱「目も覚まさないし、結界も変化なしね」

雪菜「壊せないか色々試したんですけど、ダメそうでした……」

シキ「桜野ぉ……」

透「そうなると結界を壊すには、サイカを倒すか桜野が目を覚ますかのどっちか……」

シア「それはカサイが言っていたんですのよね? 信じて良いのでしょうか……」

雪菜「私は……信じます」

透「……まあ、わざわざそんな嘘をつくタイプでもないか」

朱「でも桜野ちゃんが次に目を覚ました時は、もうあたしたちの知ってる桜野ちゃんじゃないって」

雪菜「それは私も言われました」

シア「桜野を手駒にする計画なんですわよね」

朱「それでそのために、あの中では桜野ちゃんが自分自身と戦ってる……」

透「うん。シキの予想が正しければだけど」

シキ「それが最悪のパターンなのです。もし予想が正しかったら、桜野はきっと本当に勝てない……」

朱「……」

雪菜「どうにもならないんでしょうか……」

シア「現状では難しそうですわね……」

透「やっぱりサイカをなんとかするしかないのかな……」

朱「それも桜野ちゃんが目を覚ます前に……」

雪菜「簡単じゃ……ないですよね……」

シア「そもそもサイカがどこにいるのかすら掴めません。むやみに探して見つかるものでもないでしょうし……」

シキ「あぅぅ……」

透「桜野……」

サクラ(in結界)「」

透「……」

透「ねぇ、桜野……私の声、本当に聞こえないの……?」

透「私、ここまで来たよ……桜野のこと、迎えに来たんだよ……?」

透「それ、なのに……」

透「こんなに近くにいるのに届かないなんて……!」

透「桜野ぉ……!!」ギュッ
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/15(金) 03:51:12.08 ID:290FsLOoo
ペルソナ4?
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/15(金) 07:32:48.81 ID:LgNNe7ZV0
桜野ちゃんが2人もいるなんて朱さんよだれ垂らして2人ともお持ち帰りしたくならない?
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/15(金) 07:53:55.74 ID:R5Kpjw430
この結界をお持ち帰りしてちょっと弄れば霰ちゃんも雪菜ちゃんも透ちゃんもみんな無限に増やせる?
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/15(金) 08:44:00.13 ID:eaZFd80z0
おうなんで朱さんだけいないのか説明してもらおうか
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/15(金) 20:11:06.89 ID:fEREzZiDo
朱さんは増えると全ての少女を独り占めしようとして戦争が起こります
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/16(土) 00:20:32.05 ID:+J/HUEPG0
結界の中でも酸欠で死なないってことは外から酸素が入るだけの僅かな隙間はあるのかしら?
356 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/17(日) 00:15:08.62 ID:3a/Q+oRzo
さ、酸素とかはほら……ファンタジーだから……
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 00:30:31.82 ID:SoT4cvMd0
くっ!例え目に見えないくらい小さくても穴があるのなら超小さくしたセパレートマント侵入させて中でユナイトさせてロケーションムーブで侵入できるのにな
358 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/17(日) 00:36:22.78 ID:3a/Q+oRzo
サクラ「はぁっはぁっ……!」ボロッ

シャドウ「あっはは♪ がんばるねぇ。でもわたしに勝つのは難しいと思うなぁ」

サクラ「絶対……勝つ……! 勝って目を覚ます……!」

サクラ「いつまでも眠っているわけにはいかないの……倒さなきゃいけない相手がいるの……!」

サクラ「これ以上、誰も傷つかないようにする……! そのためならわたしはっ……!!」

シャドウ「うそつき」

サクラ「っ!! あなたなんかに何がわかるって言うの!? 知った口聞かないで!!」

シャドウ「また見て見ぬふりするんだ」

サクラ「うるさいっ!」ダンッ

サクラが全力で踏み込み、一気にシャドウへ肉薄する。

サクラ「はぁぁああ!!」ドガガガッ

シャドウ「これでもまだ向き合ってくれないんだ」

しかしその猛攻も、シャドウは涼しい顔で受け流す。

シャドウ「ダメだよ、ダメ。そんなの許さない……」

シャドウ「わたしはあなた。あなたがひた隠しにしてきた痛み。あなたが零さなかった涙」

シャドウ「押し込められて、ひたすら募って……ほら見てわたし、こんなに大きくなったよ」ニコッ

サクラ「っ……!」

シャドウ「だからぜんぶ分かる。あなたの悲しみも苦しみも、ぜーんぶ知ってるよ」

サクラ「うるっ……さいっ……!!」

シャドウ「ねぇ、覚えてる? 覚えてるよね?」

サクラ「うるさいって言ってるの!!!」ギュオッ

シャドウ「8さいの誕生日だったよね」

サクラ「っ!」ピタッ

シャドウ「たあっ!」ブンッ

サクラ「!?」

バキィッ!

一瞬の動揺を突かれたサクラが宙を舞った。
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 00:38:26.74 ID:RMjSbHMIo
大きくなった?
おっぱい?
360 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/17(日) 00:55:37.59 ID:3a/Q+oRzo
サクラ「あぐっ!」ドサッ

シャドウ「あの日……パパが帰ってくることになってたんだよね」

サクラ「はぁ、うくっ……!」ズキズキ

シャドウ「ほとんど帰ってこないパパ……誕生日に家族3人そろうなんて初めてで、とっても楽しみだったよね」

サクラ「や、め……!」

シャドウ「道草もしないでまっすぐおうちに帰って、わくわく気分のそのままにドアを開けて……」

サクラ「やめて……!」

シャドウ「ただいまって言おうとしたんだよね?」

サクラ「っ……!」

桜野(そう。あの日のわたしは、ただいまって言おうとした。でも言えなかった)

シャドウ「だってドアを開けたらさ、急に聞こえてきたんだもんね」

サクラ「だまれぇ……!」

桜野(わたしのただいまを遮ったのは、ママの叫び声だった)

シャドウ「『捨てないで』、『ひとりにしないで』」

桜野(必死に懇願するように泣き叫んでいた)

シャドウ「なにがなんだか分からなかったよね」

桜野(わたしは玄関で立ち尽くしたまま動けなかった)

シャドウ「何が起きてるか分からずにいたら、リビングのドアが開いてパパが出てきたよね」

桜野(久しぶりにパパに会えた。それなのに、震えが止まらなかった)

シャドウ「パパの足元にはママもいて……縋りつくママを、パパは鬱陶しそうに蹴っ飛ばしてたね」

桜野(それでもママは、何度もパパに縋りついた。足を掴んで、服を掴んで、その度に突き飛ばされた)

シャドウ「震えながら立ち尽くしていたら、パパがこっちに気づいたね」

桜野(パパと目が合った。いつも優しくてあったかいパパからは想像もつかない、氷みたいに冷たい目だった)

シャドウ「パパはあなたに気づいた途端、呆れた声でこう言ったよね……」

サクラ「やめっ……」



パパ『だから産まなきゃよかったんだ』



サクラ「うぅぅ……っ!」ギリッ

シャドウ「ふふっ」ニコッ
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 00:57:31.20 ID:Syc+WkxBo
なぜ桜野さんの周囲の人間だけ民度最悪なのか
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 01:10:53.09 ID:n0ifzAFQ0
生まれた時から不幸すぎる
精神からねじ曲げられてるし人生に関しては帝国とか全く関係ないんだから救いようがないというか分岐点どこにもないというか
363 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/17(日) 01:16:31.12 ID:3a/Q+oRzo
シャドウ「何を言ってるの? どうしてそんなことを言うの? なんにも分からなかったよね」

サクラ「はあっはあっ……!」

シャドウ「でもそれだけで終わりじゃなかった」

サクラ「っ! もうなにもしゃべるなっ……!」

シャドウ「止めてみれば?」ニヤッ

サクラ「っ……!!」ピキッ

サクラは力任せにシャドウを攻撃した。
しかしシャドウは、そんな攻撃をあっさりいなして話を続ける。

シャドウ「ふぅ……さっきの、ママも聞いてたんだよね」

サクラ「う、けふっ……!」

桜野(『産まなきゃよかった』。その言葉を聞いたのは、わたしだけじゃなかった)

シャドウ「ママもあなたに気づいた」

桜野(わたしを見つけた時、ママはハッとした表情を浮かべた)

シャドウ「それですぐまたパパに縋りついて言った。覚えてる? 忘れるわけないよね? ママ、こう言ってた……」

サクラ「も……やめ……」



ママ『捨てる、捨てるからっ! その子捨てるから!! 孤児院でも養護施設でもゴミ箱でも!! どこにだって捨ててくるからっ!! だからわたしを……!!』



シャドウ「置いてかないで……って」

サクラ「う、ぅぅあ……!」

シャドウ「ママにとって、あなたはただの鎖みたいなものだもんね」

桜野(そう。わたしが産まれたのはママのワガママのため)

シャドウ「子供を産めば、パパは自分から離れていかない。ずっと繋ぎとめておける」

桜野(そう考えたから、無理やりにでもわたしを産んだ)

シャドウ「ママのもとからパパがいなくならないようにする。あなたの存在理由はそれだけなの」

桜野(わたし自身は望まれたわけでも、愛されたわけでもない)

シャドウ「そしてママにとって、パパを繋ぎとめておけないあなたには何の価値も無いの」

桜野(だからママは、わたしを捨てるって言ったんだ。無価値なゴミを捨てれば、パパと一緒にいられるって思ったんだ)

サクラ「っ……!」ギュウウッ
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 01:19:37.53 ID:e9WD8a5d0
こんなプリキュア放送したらスタッフ人の心ないと思われちゃう
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 01:22:50.78 ID:n0ifzAFQ0
玩具売る気一切ないプリキュア
366 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/17(日) 01:36:47.48 ID:3a/Q+oRzo
サクラ「ふぅっ……ふぅっ……!」

シャドウ「でもパパにとってはママにも価値なんてなかった」

桜野(パパがママを強く突き飛ばした。壁にぶつかって大きい音がした。糸が切れたみたいにママが倒れて、そのまま動かなくなった)

シャドウ「それからパパがあなたのところまでゆっくり歩いてきた」テクテク

サクラ「!」ビクッ

桜野(パパが近づいてくるのが恐ろしかったのは初めてだった)

シャドウ「目の前でしゃがんで頭を撫でてくれたよね」ポンッ

サクラ「やっ……!」カタカタ

桜野(その手から温もりを感じなかったのは初めてだった)

シャドウ「それで、状況がさっぱり理解できなかったあなたに、丁寧に説明してくれたよね」

桜野(パパはママのこと、好きじゃなかったんだって。ママが一方的にパパのことが好きで、パパはそれをずっと鬱陶しいって思ってたんだって)

桜野(突き放そうとするとヒステリックを起こして暴れるから、面倒くさいけど仕方なくかまってたんだって)

桜野(それなのに、ママは嘘をついて子供を……わたしを産んだんだって)

桜野(パパ、すごく嫌だったんだって。わたしのこと、嫌いだったんだって。ずっとずっと嫌いで嫌いで嫌いで、大っ嫌いだったんだって)

サクラ「……っ」ガタガタ

シャドウ「それにパパ、こうも言ってたよね……本物の家族がいるって。あなたやママとは違うって。ちゃんと結婚して、ちゃんと家族なんだって」

シャドウ「それに娘もいるんだって。あなたとは違う、本当に愛する、本物の娘なんだって」

シャドウ「だからパパ、最後に笑顔でこう言った……」

桜野(何度も見たことあるはずなのに、見たことない笑顔で言った)

シャドウ「お前はね……」ニコッ

サクラ「……っっっ!」



パパ『いらない子なんだよ』



桜野(その日、わたしはパパに捨てられた)
367 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/17(日) 01:55:29.89 ID:3a/Q+oRzo
サクラ「ふぅーっ、ふぅーっ……!」

シャドウ「どおどお? 分かってくれた??」

サクラ「っっ! うるっ、さいっ……! わたしは……!!」

シャドウ「うん、分かるよ。これで全部じゃないもんね?」

サクラ「っ……!」

シャドウ「でもまあその後どうなったかは、正直あんまり覚えてないよね」

桜野(そう……気づいたら、ママとの2人暮らしに戻っていた)

シャドウ「でもまるっきり前と同じってわけでもなかったよね」

桜野(毎日、知らない男の人が家にいた。毎日違う人だった)

シャドウ「ママのお客さんなんだってね」

サクラ「っは……っは……」カタカタ

桜野(わたしはその人たちが怖くて怖くてたまらなかった。だから朝は誰より早く学校に行って、誰より遅く帰るようになった。休みの日もできるだけ外で過ごして、家にいる時は部屋に籠って布団を被って小さく丸まっていた)

シャドウ「その間、あなたはずっと現実逃避を続けてた」

サクラ「そ、そんなことっ……!」

シャドウ「あれ以来、ママはどこかおかしくなってた。でもそれはパパがママを突き飛ばした時、頭を強くぶつけたからだ。そうに違いない。きっとそうに違いないんだ。パパだって、ちょっと機嫌が悪かっただけだ。自分にだってそういう日はある。たまたまだ。偶然だ。これは何かの間違いだ……って」

サクラ「っ……っっ……!」

シャドウ「そんな生活が1年くらい続いたね」

サクラ「……!」

シャドウ「あの日のこと、覚えてるよね?」

サクラ「ぁ……」

桜野(9さいの誕生日だった)
368 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/17(日) 02:01:14.70 ID:3a/Q+oRzo
余談でもなんでもないんですけど
非公式というか、>>1が勝手に言ってるだけというか、>>1の脳内設定みたいな話なんで本当に聞き流してもらって構わないんですけど
桜野さん処女喪失はこのくらいの時期(8さい)、出入りしてた男につまみ食い感覚で……
みたいな感じだと思ってる
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 02:03:50.92 ID:n5Y8oHeNo
スナック感覚で悲劇が盛られていく
370 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/17(日) 02:14:50.44 ID:3a/Q+oRzo
桜野(学校からの帰路、わたしの足取りは1年前のように軽くはなかった)

シャドウ「それでもあなたはまっすぐおうちに帰った。それまでは出来るだけ遅くなるように帰ってたのに、あの日だけはそうしなかった」

サクラ「……っ」

シャドウ「もしかしたら何か起きるんじゃないかって思ってたんだよね。あの日の出来事はぜんぶ夢で幻で、帰ったら幸せな誕生日をお祝いできるんじゃないか、なんて……そう思わずにはいられなかったんだよね」

サクラ「ち、が……っ!」

シャドウ「でもその期待はちょっとだけ叶った」

サクラ「っ……」

桜野(そう。ちょっとだけ叶った。あの日、意を決して家に帰ったら、玄関にママがいた)

シャドウ「ママが、おかえりって言ってくれたんだよね」

桜野(ママの顔をまっすぐ見るのは久しぶりだった。本当に、本当に久しぶりだった)

サクラ「……」

桜野(久しぶりのママはすごく疲れていて、やつれていて、ボロボロで……でも穏やかに笑ってた)

シャドウ「ママ、いっぱい謝ってくれたね。今までごめんね、ほったらかしてごめんね、ちゃんとお母さんできなくてごめんねって何度も……」

サクラ「………………やめて」

シャドウ「誕生日もちゃんと覚えててくれたね。バースデーケーキも用意してくれて、ナイフで切り分けてあなたの前に飾り付けてくれたね」

サクラ「…………やめてよ」

シャドウ「それでママ、あなたに聞いたよね」

サクラ「やめてって言ってるでしょ……!」

シャドウ「誕生日プレゼントは何がいい?」

サクラ「やめろっ!!!」ダッ
371 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/17(日) 02:30:17.20 ID:3a/Q+oRzo
サクラ「うああっ!」ガバッ

シャドウ「ふふっ」クルッ

サクラ「あぅっ……」ドサッ

シャドウは余裕の笑みを浮かべながら、飛びかかったサクラを易々と躱す。

シャドウ「ねぇ、あなたはなんて答えたんだっけ?」ドカッ

サクラ「あぐっ……!?」

そして倒れたサクラの脇腹を容赦なく蹴り飛ばす。

シャドウ「ねぇっ……てばっ……!」ドガガッ

サクラ「はっ……げふっ……!」

シャドウ「忘れちゃったの? ねぇ、ねぇ??」ドガッドガガッ

サクラ「うがっ、ぁ……がっ……!」

シャドウ「ほら、覚えてるでしょ? わたしが言ってあげよっか? ねぇ??」ゲシゲシッ

サクラ「う、ぐ……!」

シャドウ「ほら言ってみてよ! あなたはママに! 何をお願いしたんだっけ!!」ドガッ!

サクラ「う、ぁ……!」ゴロゴロッ

サクラ「っ……」グタッ

サクラ「ふー……ふー……」



『誕生日プレゼントは何がいい?』

『ぷれぜんと?』



桜野(とっても嬉しかった。プレゼントなんて初めてだったし、何よりママが優しかった)



『うん。今までいっぱい酷いことしてきちゃったから、どんなものでもいいよ』

『ほんとに? どんなものでも?』



桜野(大好きなママが戻ってきてくれたって思った。また前みたいに、家族になれるんじゃないかって思った)

サクラ「ふっ、ふっ……うくっ……」

桜野(だから……わたしは……)

サクラ「………………っ」ギュウウウッ

『じゃあね……』



サクラ「………………ぱ……ぱ」



シャドウ「あは♪」
372 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/17(日) 02:31:29.66 ID:3a/Q+oRzo
なんかしんどくなってきたのでここまで


実は>>363のママのセリフは本作でも五指に入るくらいには気に入ってます
373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 02:32:00.91 ID:n5Y8oHeNo
親に愛情なんて全然向けられてなくても親のこと好きになっちゃうんだな子供って
374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 02:33:12.90 ID:n5Y8oHeNo

次作のプリキュアもエグい境遇枠いそう
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 02:35:17.02 ID:n0ifzAFQ0

よくもまあ残酷なことを容易く思い付く…
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 02:36:08.17 ID:b/6LDhDho

もう手遅れだろ桜野さん
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 02:42:19.50 ID:l1DmV1U5o

身内系ラスボスじゃん……
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 07:50:53.69 ID:+hdtjjv80

うーんこの吐き気を催す邪悪
こんな場所に桜野を連れ戻そうとしてる3人ももう桜野に○ねって言ってるようなものだろ
全員悪の蟲毒の世界にしか見えん
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 10:14:27.20 ID:3jPK7YJE0
「パパ」はコスモスに殺されてまあよかったけどコスモスの方のママはとばっちりでかわいそ
380 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 16:35:50.46 ID:FyiDfEtio
パパが闇そのものなドクズとはいえ両親ともに一般人なはずのコスモスさんはどうやってカラミティ帝国に就職したのか
まさか書類選考筆記試験面接があるわけでもないし
381 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 16:42:12.59 ID:FyiDfEtio
>>378
このまま戦い続けたら寿命で死ぬんですが…

未だにプリキュアがなんなのか分からない
伝説の戦士と言われても「ふーん伝説って?」と問い返すレベル
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 17:25:24.57 ID:+hdtjjv80
>>378
連れ戻しても親に○されるんだよなぁ…
プリキュアというファンタジーで戦って死ぬか、親という現実で無惨に○されるかの違いでしかない
何が酷いって、プリキュアという本来あり得ないもう一つの道すらも死につながってるということよ、桜野視点に立った時の絶望感ヤバいで
383 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/18(月) 01:40:03.63 ID:OkKiMh/No
コスモスさんの就職に関してはちゃんと決めてるわけではありませんが、コスモスさんが両親殺害した直後にスカウトされた感じかなと思ってます
そして闇の力で死体処理てきな コスモスさん死亡によるリセットで死体出てきたりするかもてきな



プリキュアの根幹設定は正直そんなに詰めてないです むしろそこをフワッとするために「プリキュア」ってタイトルを借りてると言っても過言ではない
考えるならウィッシュスターとどう関連するかが重要になりそうです
そもそもどっちが先か分かりませんが、例えばウィッシュスターの防衛機能として同時に作られたとか、過去にウィッシュスターに戦う力を願った奴がいてその結果生まれたとか
384 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/18(月) 02:06:04.18 ID:OkKiMh/No
サクラ「…………」

シャドウ「そう、そうだったよね。せっかくママ、忘れようとしてたのに、乗り越えようとしてたのに……」

桜野(わたしのせいで思い出してしまった)

シャドウ「だからママがあんなことをしたのも……」

桜野(ぜんぶわたしが悪いんだ)

サクラ「…………」

シャドウ「あなたの言葉を聞いた途端、ママの顔から血の気が引いたのが分かったよね」

桜野(青くなって、白くなって……)

シャドウ「それで……」

桜野(赤くなった)

シャドウ「たっ!」バキッ

サクラ「あぐっ!??」ドサッ

桜野(ママはわたしを殴り飛ばした)

サクラ「う、く……げふ……!」ズキズキ

シャドウ「ふふふっ」ノシッ

サクラ「っ……!?」

桜野(そして倒れたわたしに馬乗りになって……)

シャドウ「♪」スッ

サクラ「っ!!!」

桜野(わたしの首に両手をかけた)

サクラ「あ、が……!? はっ、ああ゛っ……っ!!?」ビクンッ

シャドウ「ほらほら! 覚えてるでしょ!?」ギリギリ

サクラ「かひゅ、ひゅー……う゛あ゛っ……!!」

シャドウ「ママはこうやって! 思いっきり体重かけてさ!!」ギギギギッ

サクラ「っっ! あ゛……が、ひゅっ! え゛ぁ……!!」ジタバタッ

桜野(ママの顔が近くにあった。見たこともないくらい怖い顔だった)

シャドウ「力いっぱいあなたの首を絞めた!!!」ギギギギッ

サクラ「っえ゛……ぅぇあ゛……あ゛……!」

桜野(それでその顔のまま……)

シャドウ「それでっ……! あなたに向かって!!」

桜野(ママは叫んだ)

シャドウ「あんたさえっ!」



ママ『あんたさえ産まれてこなければっ!!!』



サクラ「っっ……っう、ぅぅぅあああああ!!!!!」ドガッ

シャドウ「う? うぁったっ!?」ゴロンッ
385 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/18(月) 02:34:00.89 ID:OkKiMh/No
サクラが無理やり腰を浮かせ、バランスを崩したシャドウの背中に蹴りを入れた。

サクラ「はぁっはぁっ……!」

シャドウ「あっはははははっ♪」

サクラ「っ!?」

サクラはすぐさま立ち上がったが、シャドウは仰向けに転げたまま笑い声を上げる。

シャドウ「あの時も、そんな感じでいっぱい暴れたよねぇ」

桜野(そう。ママに首を絞められている時もたくさん暴れた)

サクラ「……」

桜野(あの時のわたしじゃ、どれだけ暴れても無意味だったけど……それでも怖くて、苦しくて、必死に抵抗した)

シャドウがゆっくりと立ち上がる。

シャドウ「あなたがあんまり大きい音をたてるものだから、お隣さんとかが気づいてさぁ……」

サクラ「…………やめろ」

桜野(ドアがドンドンって鳴って、声が聞こえて、警察にって……)

シャドウ「そしたらママ、あなたの上から退いてくれたね」

サクラ「言うなっ!!!」ギュンッ

シャドウ「やぁだっ♪」

サクラはシャドウにそれ以上しゃべらせまいと、矢継ぎ早に攻撃する。
しかしシャドウはものともせず話し続ける。

サクラ「うあああっ!」ガガガガッ

シャドウ「ねぇねぇ! ママ、あの時どんなこと考えてたのかなぁ!」

サクラ「うるさいっ……!」

桜野(ママは立ち上がるとゆっくり歩いて、テーブルにあるナイフに手を伸ばした)

シャドウ「聞きたいねぇ、知りたいねぇ! でももう分かんないねぇ!」

サクラ「だまれっ……!!」ドガガッ

桜野(わたしのバースデーケーキを切り分けたナイフ。まだクリームがついていた。ママはそのナイフを……)

シャドウ「だってママは、あなたの目の前で……」

サクラ「だまれぇっ!!!」ギュオッ

シャドウ「死んじゃったもんね」ニコッ

桜野(自分の喉に突き刺した)

ドガァァァンッ!!!
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/18(月) 02:39:26.33 ID:f6LjMYvso
どんな形であれ一度は警察の目が届いてもなお結局環境が変わってもなお虐待され続けるのか
387 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/18(月) 02:43:20.62 ID:OkKiMh/No
サクラ「う、が……っ! かふっ……」

シャドウ「ねぇねぇ」

サクラ「……っ」

シャドウは、倒れるサクラのすぐそばでしゃがみこみ、サクラの顔を覗きながら煽るように笑む。

シャドウ「その色、とってもよく似合ってるよ」

サクラ「っ!!」

シャドウ「ママの血とケーキのクリームが混ざりあった色……」

サクラ「……っ!」

シャドウ「あなたの大っ嫌いなピンク色♪」ニコッ
388 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/18(月) 02:44:09.10 ID:OkKiMh/No
桜野さんの怖いもの:1スレ目>>353
389 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/18(月) 03:04:12.03 ID:OkKiMh/No
サクラ「……っはぁ……っはぁ……!」カタカタ

シャドウ「そうやってパパもママも失ったあなたは、叔母さんたちに引き取られた」

桜野(9さいになってすぐ……誕生日からほんの数日後だった)

シャドウ「叔母さんたちにいっぱいひどいことされたね」

サクラ「……っ」

桜野(そんな中で、考えるのはパパとママのことだった)

シャドウ「パパ言ってたね、お前はいらない子だって」

シャドウ「ママ言ってたね、産まれてこなければって」

シャドウ「なんで生きてるのか分からなかったよね」

サクラ「………………」

シャドウ「でもあの子との出会いがあなたを救ってくれた……」

桜野(まいごのおんなのこ)

シャドウ「あの日のコスモスが」

サクラ「……っ」

シャドウ「あなたはついに、生きる意味を見つけた」

桜野(誰かの役に立つこと、それがわたしの存在理由になった)

シャドウ「プリキュアにこだわったのだって、それが極致だと思ったからだもんね」

桜野(迷う理由はなかった)

シャドウ「それにコスモスとも再会できた」

シャドウ「コスモスと仲良くなって、あの子が両親を亡くしていることを知って、その境遇を自分に重ねて……」

シャドウ「ほっとけなくなって、もっと仲良くなって、あなたの中であの子の存在がどんどん大きくなって……」

桜野(そしてわたしは知ることになる)

シャドウ「そんな時だったね、あのロケットの中身を見たのは」

サクラ「……」

シャドウ「なにが入ってたんだっけ?」

桜野(ロケットには1枚の写真が収められていた。家族の写真だ。中睦まじそうな3人家族)

サクラ「……左側には母親らしき女性。右にはパパ。そして真ん中には今よりもほんの少しだけ幼いコスモスがいた」

シャドウ「ふふふっ、そう。コスモスと一緒にパパが写ってた」

サクラ「……」

シャドウ「あなたのパパが」

サクラ「…………っ」

シャドウ「あなたとコスモスは異母姉妹だった」
390 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/18(月) 03:05:46.86 ID:OkKiMh/No
桜野さんとコスモスさん、どっちが姉でどっちが妹かは設定上は決まってないです
がしかし、桜野さんは誕生日聞いてる(2スレ目>>83)ので知ってます
391 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/18(月) 03:22:21.22 ID:OkKiMh/No
シャドウ「それってつまりさ、コスモスこそパパが言ってた『本物の娘』なわけだよね?」

サクラ「……」

シャドウ「恨むことだってできたはず。でもあなたはそうしなかった」

サクラ「…………だって、あの子はなんにも悪くないから」

シャドウ「わたしには分かるよ。あなたは本当に、あの子を大切に想ってた。本気であの子を幸せにしようとしてた」

サクラ「…………だって、あの子は幸せじゃなきゃいけないから」

シャドウ「どうして?」

サクラ「だってあの子は『本物』だから……わたしがなれなかった『本物』だから……!」

サクラ「わたしが手に入れられなかった幸せをぜんぶ持ってるはずだからっ……!!」

サクラ「わたしが不幸であればあるだけっ、あの子は幸せじゃなきゃいけなかったのっ!!!」

シャドウ「……」

サクラ「はぁっはぁっ……! でもっ……!」

サクラ「でもあの子は不幸だった……家族を、両親を失ってひとりぼっちだった……」

サクラ「そんなのダメなの……あの子は幸せにならなきゃいけない……!」

シャドウ「だから『わたしが幸せにする』なんて言ったんだぁ」

サクラ「あの子はわたしが助けてあげなきゃ! 迷子のままひとりぼっちで泣いていることしか出来ない可哀想な女の子だった!!!」

シャドウ「そう思ってたのにねぇ」

サクラ「……っ!」
392 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/18(月) 03:42:55.71 ID:OkKiMh/No
シャドウ「あの子が自分で両親を手にかけたって知った時、どう思った?」

サクラ「………………」

サクラ「……バチが当たったんだって思った」

サクラ「コスモスと再会してからのわたしは、きっと人生で1番悪い子だった」

サクラ「ワガママで、欲張りで……だからバチが当たったんだ」

サクラ「きっとどこかで神様が見てて……悪い子のわたしから、ぜんぶ奪っていくんだって思った」

サクラ「だからわたしは、良い子に戻ることにした」

シャドウ「だから殺したんだ」

サクラ「……っっっ!!!」ギュウウウッ

サクラ「みんながあの子の死を望んでたっ!!! きっとあの子自身でさえそうだった……!!」

シャドウ「あなたは?」

サクラ「わたしのことなんかどうでもいい!!」

シャドウ「そうやって目を逸らすから、わたしが生まれたんだよ?」

サクラ「うるさいっ!!」

シャドウ「コスモスが死んでも、あなたは1度も泣かなかった。どうしてあんなに必死にこらえたの?」

サクラ「こらえてなんかない!! わたしは良いことをしたんだ……! みんなが喜ぶことをして……役に立てたんだもん……!! こらえてなんか……」

シャドウ「うそつき」

サクラ「うそじゃない!!!」

シャドウ「ううん、うそだよ。わたしには分かる。あなたが泣けなかったのは……」

サクラ「もうだまって……!」

シャドウ「あの妖精のせいでしょ?」

サクラ「………………え?」
393 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/18(月) 04:12:02.88 ID:OkKiMh/No
サクラ「え、え……?」

サクラ「よう……せい……?」

サクラ「ちが……う。シキは……ちがうよ……」

シャドウ「違わない。あの妖精がいたから泣けなかった」

サクラ「ち、がう……ちがう……ちがう、違う違う違うっ!! シキは関係ないっ!!」

シャドウ「関係あるよ。だってあの妖精、ずっとあなたのそばにいた」

サクラ「たしかにずっと一緒だったけど……! でもそんなの……!」

シャドウ「外ではいつもニコニコ笑ってなきゃいけないあなたにとって、あの小さなクッションは唯一あなたがあなたのままでいられる場所だった」

サクラ「っ……違うっ……!」フルフル

シャドウ「なのにあの妖精は、そんな場所にまで踏み込んだ」

サクラ「わたしが受け入れたのっ!!」

シャドウ「でもそのせいであなたは、隠れて泣くことすら出来なくなった!!!」

サクラ「っ!」

シャドウ「ほんの少し気を抜くことすら許されなくなって! ずっと笑顔のままいるしかなくて! そうやって抑え続けなきゃいけなくなった!!」

サクラ「ち、がうっ……!!」

シャドウ「あの妖精のせいで、わたしはここまで大きくなったんだ!!」

サクラ「!」

サクラ「……っ!」ギリッ

サクラ「あの子はわたしより苦しんでた!!!」

サクラ「故郷も家族も友だちも喪って! 行くあても無くなって!!」

サクラ「わたしがなんだって言うの!? あの子に比べればわたしの痛みなんてなんでもない!! あの子の方がわたしなんかよりずっと大きな悲しみを抱えてたの!!!」

シャドウ「他の誰かがあなたより悲しんでることが、あなたが泣いちゃいけない理由になるのっ!!?」

サクラ「なるよっ!!!!!」

シャドウ「!」

サクラ「はぁっはぁっ……! だって、わたし……約束したもん……」

サクラ「戦うって……ぜんぶ取り戻すって……絶対助けるって言ったんだもん……!」

サクラ「それなのに、助ける方が泣いてたら……助けられる方は不安になっちゃう……」

サクラ「……それじゃダメなの」

サクラ「大丈夫って言わなくちゃ……いつでも笑顔でいなくちゃ……ちゃんと約束守らなくちゃ……」

サクラ「泣いたって……なんにもならない……」

シャドウ「……っ」ゾワッ

サクラ「そう、そうだよ。なんにもならないんだよ……」

サクラ「わたしが泣いたからなんだっていうの? それで誰かを助けられるの? わたしの涙で誰を救えるの?」

サクラ「なんにもならない……」

サクラ「なんの意味も……価値もない……」

サクラ「そんな、なんの役にも立たないもの」

サクラ「はじめから」

サクラ「枯らしてしまえばよかったんだ」
394 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/12/18(月) 04:12:45.31 ID:OkKiMh/No
ここまで
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/18(月) 05:15:57.63 ID:Rsbr/UdOo

なんでシャドウにまでドン引きされてるんだ…
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/18(月) 05:21:27.46 ID:zl+xI/Ni0

その顔は何だ!?その目は何だ!?その涙は何だ!?
お前がやらずに誰がやる!?お前の涙で、奴が倒せるか!?この地球が救えるか!?
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/18(月) 05:38:37.03 ID:DQ1jw2uy0
コスモスよりサイコパス?
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