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【シャニマス×ダンガンロンパ】シャイニーダンガンロンパv3 空を知らぬヒナたちよ【安価進行】Part.2
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1 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2023/09/14(木) 22:19:42.15 ID:3andVLbp0
-------------------------------------------------
※注意
・本作は「ダンガンロンパ」シリーズのコロシアイをシャニマスのアイドルで行うSSです。
その特性上アイドルがアイドルを殺害する描写などが登場します。苦手な方はブラウザバックを推奨します。
・キャラ崩壊・自己解釈要素が含まれます。
・ダンガンロンパシリーズのネタバレを一部含みます。
・舞台はニューダンガンロンパv3の才囚学園となっております。マップ・校則も原則共有しております。
・越境会話の呼称などにミスが含まれる場合は指摘いただけると助かります。修正いたします。
※前スレ
【シャニマス×ダンガンロンパ】シャイニーダンガンロンパv3 空を知らぬヒナたちよ【安価進行】Part.1
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1685189569/
※過去シリーズ
【シャニマス】灯織「それは違います!」【ダンガンロンパ】
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1613563407/
【シャニマス×ダンガンロンパ】灯織「その矛盾、撃ち抜きます!」【安価進行】
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1616846296/
【シャニマス×ダンガンロンパ】灯織「私はこの絆を諦めません」【安価進行】
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1622871300/
【シャニマス×ダンガンロンパ】灯織「これが私たちの答えです」【安価進行】
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1633427478/
【シャニマス×ダンガンロンパ】にちか「それは違くないですかー!?」【安価進行】
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1637235296/
【シャニマス×ダンロン】にちか「それは違くないですかー!?」【安価進行】 Part.2
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1642918605/
【シャニマス×ダンロン】にちか「それは違くないですかー!?」【安価進行】 Part.3
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1649764817/
【シャニマス×ダンロン】にちか「それは違くないですかー!?」【安価進行】 Part.4
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1655983861/
【シャニマス×ダンロン】にちか「それは違くないですかー!?」【安価進行】 Part.5
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1669646236/
以上のほどよろしくお願いいたします。
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SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1694697582
2 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2023/09/14(木) 22:27:11.53 ID:3andVLbp0
‣2章学級裁判終了時の通信簿
【超研究生級のブリーダー】櫻木真乃
【超研究生級の占い師】風野灯織
【超研究生級のスポタレ】八宮めぐる【DEAD】
【超研究生級の料理研究家】月岡恋鐘
【超研究生級のドクター】幽谷霧子
【超研究生級のギャル】大崎甘奈
【超研究生級のストリーマー】大崎甜花
【超研究生級の文武両道】有栖川夏葉【DEAD】
【超研究生級の大和撫子】杜野凛世
【超研究生級のサポーター】西城樹里
【超研究生級の博士ちゃん】芹沢あさひ
【超研究生級の書道家】和泉愛依
【超研究生級の映画通】浅倉透
【超研究生級のコメンテーター】樋口円香
【超研究生級のカリスマ】斑鳩ルカ【DEAD】
3 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2023/09/15(金) 21:05:42.67 ID:zl78yZoQ0
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CHAPTER 02
退紅色にこんがらがって
裁判終了
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4 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2023/09/15(金) 21:09:35.38 ID:zl78yZoQ0
裏庭の扉は頑丈な作りだから、ただでさえ開けようとするとかなりの力が必要だった。
甜花は他のみんなよりも力も弱いし、ここまでの犯行計画ですでにちょっと息も上がってる。
片手で口元にハンカチを当てて、心臓の鼓動がバクバク言っている今の甜花からすれば、その重みは何倍、何十倍にも感じられたんだよね。
でも、逃げ出すわけにはいかない。
なーちゃんは甜花のことを信じてくれて、もう……八宮さんのことを殺しちゃったから。
甜花たち姉妹にはもう逃げ道はなくて、一度走り出したからには最後の最後、タイマーストップのボタンを押すところまで突き抜けなくちゃいけないの。
だから甜花は……有栖川さんを殺さなくちゃ。
「せーの……!」
意を決して扉を開けた。
扉が開いた瞬間に気圧差でブワッと風が顔の横を突き抜けた。ハンカチが飛んじゃわないように必死に押さえ込む。
「……有栖川さん?」
返事がないことを理解した上で呼びかけた。
裏庭には雲海みたいに気化麻酔の薄靄がかかっていて、その中に有栖川さんは沈んでいる。
いつもの気高い姿とは対照的に、開いた口の隙間から涎が滴り落ちていた。
5 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2023/09/15(金) 21:10:38.57 ID:zl78yZoQ0
じりじりと少しずつ有栖川さんに近づいていく。
鉄板の床にローファーがぶつかるたびコツンコツンと音が響くのが嫌だった。
この音で目を覚ましたりしませんように、そうやってずっと祈りながら近づいていった。
「……ふぅ」
有栖川さんの真ん前に来て、近くに落ちていた鉄パイプを手に取る。
ひんやりとした感触に肌がひっつくのが心地悪い。喉に汗が伝うぐらい火照る体と真逆だから、余計にだったんだと思う。
鉄パイプの先端を、垂れ下がった有栖川さんの頭部に向けた。
有栖川さんの体の芯を捉えるように一直線になったパイプ、これを目一杯振り上げて、下ろせばそれで終わり。
それで終わり、なんだけど。
「う、うぅ……」
ドクンドクンと脈が打つ。体中に走る血液は熱く、激しく沸騰している。
頭からは早くやれと信号が絶えず流れているのに、体への伝達の過程でエラーが生じているようで甜花の体は仏像みたいに動かない。
早く、やらなくちゃ。
今こうしている時にも他のみんなが有栖川さんのことを見つけ出そうと血眼になっている。
中庭に向かった二人がいつこっちに踵を返してやってくるとも限らない。
6 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2023/09/15(金) 21:12:22.39 ID:zl78yZoQ0
猶予はない。
甜花がここでやらなくちゃ、なーちゃんも助からない。甜花はお姉ちゃんだから、守ってあげなくちゃいけないのに。
バクバク、ドキンドキン。
はぁ、はぁ。
鼓動と呼吸が交互に入り混じる爆音で耳鳴りがした。
耳鳴りがするほどだったから、多分煩すぎたんだと思う。
「へ……?」
ゆっくりと、目の前の頭が上がっていった。
「てん、か……?」
有栖川さんはゆっくりと甜花の顔を確かめたかと思うと、すぐに両目をかっ開いた。甜花の手に握られていた鉄パイプに気づいたんだと思う。
7 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2023/09/15(金) 21:14:08.20 ID:zl78yZoQ0
まずい、今からでもやらなきゃ。
咄嗟に覚悟を固めたけどもう遅い。
飢えた獣みたいに飛びついてきた有栖川さんに握っていた鉄パイプは鷲掴みにされてしまった。
「は、離して……!」
「甜花……あなた、私のことをその鉄パイプで殺すつもりだったの……?!」
有栖川さんはさっきまで意識を失っていたとは思えないぐらい力が強くて、甜花も両手で応戦しなくちゃすぐに引っ張られちゃうぐらいだった。
ハンカチで口元を抑えるのも忘れて、甜花は必死に抗った。
「悪いけれど……殺されるわけにはいかない……あなたのことをここで食い止めて、ほかのみんなにも伝えさせてもらうわね!」
ダメ、なんとしても有栖川さんを殺さなくちゃ。
甜花が失敗しちゃったせいでこの犯行計画が台無しになっちゃう。
なーちゃんが死んじゃう……!
切迫した状況の中、甜花は一生懸命火事場の馬鹿力を引き出そうとしたけど、甜花の力の底は思っていたよりも浅くて、せいぜい有栖川さんと拮抗する程度。
それもどんどん圧されていく一方。
いつのまにか殺しに来たのがどちらかも分からないほどの力関係で、甜花は有栖川さんのことを見上げるようにしていた。
「お願いだから……なーちゃんのために……死んでよ……!」
ガンッ
8 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2023/09/15(金) 21:15:44.13 ID:zl78yZoQ0
甜花が叫んだ瞬間、鈍い音が響いた。
スーパーで買って帰った卵を途中で落として割っちゃった時みたいな、全てが台無しになって力が抜けちゃう感じの音。
そんな音がしたかと思うと、みるみるうちに甜花の握る鉄パイプからは手応えがなくなっていって、やがてずるりと有栖川さんはその場に倒れ込んだ。
「へ……?」
じんわりと有栖川さんの綺麗な髪の間に赤い液体が滲んできた。
もう動かない頭からゆっくりと視点を上げていくと、そこで甜花は彼女の目があった。
「甜花ちゃん、大丈夫? 怪我はない?」
そこに立っていたのはなーちゃん。
握っていた鉄パイプからはポタポタと血の滴が伝っていた。
「な、なーちゃん?! どうして……どうしてここに……?!」
「えへへ、変な胸騒ぎがして甘奈も様子を見に来ちゃった。虫の知らせ……ってやつかな?」
なーちゃんは有栖川さんの体を起こしてから引きずって、壁にもたれかかるようにした。
力の入っていない有栖川さんの首はカクンと落ちた。
「でも、勘違いじゃなかったみたいだね。こっちに来て正解だった」
「ごめん……ごめんね、なーちゃん……甜花、有栖川さんのことを殺すのに失敗しちゃって……」
甜花の体にもやっと力が戻ってきた。
慌てて立ち上がって、なーちゃんの元に駆け寄る。
9 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2023/09/15(金) 21:16:56.86 ID:zl78yZoQ0
「ううん、大丈夫。人なんてそう簡単に殺せないもん。むしろ甘奈の方こそごめんね、甜花ちゃんに人殺しなんかお願いしちゃって……辛かったよね?」
首をふるふると横に振る。甜花に謝られるいわれなんかない。
約束を守れなかった甜花の方がずっと悪いに決まってる。
「甘奈……自首する。みんなに甘奈がやりましたって正直に話すことにするよ」
「え……な、なんで……?!」
「だって……甘奈が学級裁判で勝っちゃったら甜花ちゃんが死んじゃうんだよ? そんなの……甘奈は嬉しくない。甘奈だけが生き残ってもしょうがないじゃん」
それなのに、なーちゃんは自分自身のことを執拗に責めた。
辛くて苦しくて寂しい気持ちを抑え込んだ、嘘の笑顔で甜花に向かって語りかける。
その笑顔から発せられる言葉が傷ましくて、甜花はぎりりと奥歯を噛んだ。
「……ダメ、ダメだよなーちゃん」
「え……!」
甜花は、なんてことを言わせてしまっているんだろう。
こんなにも大好きでこんなにも愛おしくて、こんなにも大切な妹に、自分の死を望むような言葉を言わせるなんて、お姉ちゃん失格だ。
10 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2023/09/15(金) 21:19:10.74 ID:zl78yZoQ0
「甜花こそ、なーちゃんを犠牲にして生き延びたくなんかない……甜花は、甜花自身よりもなーちゃんに生き延びてほしい……!」
「そ、そんなの甘奈だって同じことを……!」
だから、今からでも取り戻したいと思った。
甜花が損なってしまったお姉ちゃんとしての威厳を、取り戻す。
「でも、甜花はなーちゃんのお姉ちゃんだから」
「甜花ちゃん……?」
それはきっと、最後まで戦い尽くすことで叶うと思った。
自分の命を代償にしてでも妹を守り抜くことができたなら、甜花はきっとまたお姉ちゃんになることを許される。
「甜花は、最後まで大切な妹を守ったお姉ちゃんとして……死にたい。大切な妹を守れなかったお姉ちゃんとして生きていきたくはないんだよ……」
『大崎甘奈のお姉ちゃん』に戻ることができるとそう思った。
「ねえ、甜花のわがままを聞いてもらっても……いい? 甜花に……なーちゃんを守らせてよ……!」
11 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2023/09/15(金) 21:20:27.69 ID:zl78yZoQ0
甜花の言葉にしばらくなーちゃんは考え込んでいた様子だった。
途中何度か言葉を返そうとしたのか、口を開いたり閉じたりして、その度に表情も晴れたり曇ったり。
なーちゃんは優しいから、甜花の言葉をやんわりと拒絶しようとしているんだろうなと思った。
でも、甜花もここは譲れないから、ずっとなーちゃんの瞳をまっすぐに見つめた。
甜花の想いを伝えるにはそれが一番だった。
次第になーちゃんの水晶玉みたいに綺麗な瞳は、小刻みに振動を始め、そこからうっすらと雫が溢れ出してきた。
それを瞼を下ろしてギュッと仕舞い込むと、なーちゃんは甜花に背を向けて走り出した。
「……ごめん、ごめんね甜花ちゃん!」
裏庭の扉がバタンと閉じて、残ったのは甜花ただ一人。
大きな深呼吸を一つしてから、手に持った鉄パイプを元の場所に戻し、なーちゃんが使った後の手のついた鉄パイプを近くに放った。
有栖川さんの亡骸に拝んでから、すくりと立ち上がる。
「……よし」
裏庭の扉に手をかけた。
なーちゃんは今頃食堂の裏口から校舎に戻ったかな。
「なんだか……ドキドキする、けど……」
さあ、ここからが甜花の本当の戦いだ。一度戦いから逃げ出してしまった甜花がなんとか漕ぎつけた延長戦。
なんとしてでもこの戦いには勝たなくちゃいけない。
12 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2023/09/15(金) 21:21:51.17 ID:zl78yZoQ0
「やるしか……ない……!」
……甜花も、行くね。
13 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2023/09/15(金) 21:23:23.61 ID:zl78yZoQ0
------------------------------------------------
モノクマ「こんぐらっちゅれーしょん! 超研究生級のスポタレ、八宮めぐるさんと超研究生級の文武両道、有栖川夏葉さんを殺害した犯人は……」
モノクマ「超研究生級のストリーマー、大崎甜花さん!」
モノクマ「……になりすましていたその妹さん、超研究生級のファッションモデルの大崎甘奈さんなのでしたー!」
モノタロウ「うぅ……正直事件が難しくてまだよくわかってないや」
モノタロウ「結局、有栖川さんが3人いたってことであってる?」
モノスケ「アホ! なんもかんも違うわ!」
モノタロウ「頭が沸騰しちゃいそうだよぉ〜……」
……自分でも驚くぐらい現実味がなかった。
それぐらい今回の事件は複雑で、ややこしくて、最後の真実に辿り着けたのがキセキみたいに思えた。
でも、このキセキって多分、ミラクルの方の奇跡じゃなくて……みんなと一緒にたどり着くことができた、その道のりを指す軌跡なんだろうなって思う。
私たちがここまで突き進んできてこれたことが実を結んで、今になるんだろうな。
甘奈「もぅ……甜花ちゃん、泣きすぎだよ」
甜花「ぐす……ぐす……」
だけど、それは彼女たちにとってはあってはならないキセキ。
ヒゲキの別れを招くことになる最悪のキセキ。
そのことから私たちも顔を背けちゃいけないんだ。
14 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2023/09/15(金) 21:24:28.83 ID:zl78yZoQ0
円香「……しかし、よくやったね。まさか二人がここまでのことをやってくるとは思わなかった」
樹里「完全に手のひらの上で踊らされてた……この裁判もあと一歩の危ないところだったな」
あさひ「うんうん、このゲームをこんなに面白くしてくれて二人にはありがとうが言いたいっすね!」
(……芹沢さんはこの裁判でどこまで見通していたんだろう)
(思えば、ずっと私たちを誘導するような言動を繰り返していたけど……この子は……)
甘奈「甘奈がここまで戦えたのは、甜花ちゃんのおかげだよ……甜花ちゃんが甘奈のことを心から想ってくれて、矢面に立って戦ってくれたから」
愛依「キョーダイ愛ってやつだよね……なんか、分かる気がする」
愛依「うちも……弟と妹がいるからさ」
灯織「……あの、二人に聞きたいことがあるんですがいいですか?」
甘奈「うん……何かな?」
灯織「今回の事件を引き起こした動機……それについて聞いておきたいんです」
にちか「あっ……!」
そうだ、事件の流れを追うのに一生懸命で完全に頭からすっぽ抜けていたけど、どうして二人はこんな事件を起こしたんだろう。
二人でそれぞれ別な事件を起こそうとしていたということは、二人ともにこの学園を出て行こうと望んだということ。
私たちにはそこに至るまでの経緯のイメージが持てずにいた。
15 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2023/09/15(金) 21:26:24.05 ID:zl78yZoQ0
甘奈「それはもちろん……モノクマーズたちに渡された動機だよ。あのビデオを見ちゃったから甘奈と甜花ちゃんは……」
甜花「この学園を絶対に出て行かなくちゃって、そう思ったんだ……」
恋鐘「あれ? それって変じゃなか?」
恋鐘「あん動機ビデオって……配られたのは自分のじゃない、別の人のビデオだったはずばい」
(……そうだ! 私も渡されたビデオは真乃ちゃんのものだったし、それに第一)
(動機ビデオの内容の共有は夏葉さんによって控えるように取り決められていた!)
(あの場にいた人なら中身の共有なんてしなかったんじゃ……)
甘奈「うん……甘奈がもらったビデオも甘奈向けのものじゃなかったよ」
甜花「甜花も、同じ……」
透「……あ、そういうこと」
円香「……浅倉?」
透「ここの【二人同士】だったんだ。姉妹で、それぞれの動機ビデオを取り違えられてたんだよ」
真乃「そ、そんなことって……!」
16 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2023/09/15(金) 21:27:12.33 ID:zl78yZoQ0
甘奈「透ちゃんのいう通りだよ。甘奈が見たのは、甜花ちゃんの動機ビデオ」
甜花「甜花が見たのはなーちゃんの動機ビデオ」
凛世「お二人は互いにそれぞれの動機を握り合う間柄だった……」
凛世「協力関係になったのも已むなし……で、ございましょうか……」
あさひ「ま、あんまりそれは関係ないと思うっすけどね」
霧子「え……? どうして……?」
あさひ「あの動機ビデオの中身って、その人にとって大切な人が不幸な目に遭う内容だったじゃないっすか」
あさひ「甘奈ちゃんと甜花ちゃんは元々姉妹っすよ? その大切な人ってのが同じでも何もおかしくないっす」
あさひ「姉妹のうち一方が自分たちの動機ビデオを持っちゃってたら自然と内容も共有しただろうし、これは自然な成り行きだったんじゃないっすかね」
甘奈「すごいなぁ……どこまでもお見通しなんだね」
甘奈「ねえ、甜花ちゃん……みんなにあのビデオを見せてもいいかな? それが一番、甘奈たちの気持ちをわかってもらえると思うから」
甜花「……うん」
そういうと、甘奈ちゃんは懐からモノクマーズパットを取り出して、私たちの方へ向けた。
指を画面にそわせ、やがてそれは始まった。
17 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2023/09/15(金) 21:28:16.72 ID:zl78yZoQ0
【☆大崎甜花の動機ビデオ☆】
『さーて、大好評につき復活した動機ビデオの時間だよ! オマエラにとって大切な存在は今、どんな生活をしているのかな? それでは始まり始まり……』
大崎母『甜花ちゃん、甘奈ちゃん見てる? そっちでも二人で仲良くしてるよね』
大崎父『二人とも頑張り屋さんだからな、ついつい無茶をしちゃったりしてないか?』
大崎母『ママの作る料理が恋しくて寂しくなったりしてない?』
大崎父『二人ならきっと向こうでも友達をいっぱい作っているだろうし大丈夫さ。それに……姉妹揃っていればどんな難局だって乗り越えられる』
大崎母『そうね、ママも二人以上に仲のいい双子ちゃんは知らないから』
『なんとなんと……大崎ファミリーはなんとも仲睦まじい! メッセージを見ているだけで親の愛を感じて胸が温かくなってきますね』
……ザザッ
『まあそんな大崎さんちのシャレオツなおうちも見ての通り今ではすっかり廃墟になってしまってるわけなんですが』
『ママさんとパパさんは一体どこに行ってしまったんでしょうかね? 見る限りでは、グッシャグシャのめっちゃめちゃなお家しかないですけど』
『ま、それが知りたきゃこの学園を出るしかないってわけだね。自分の目で確かめるのが一番だからね』
プツン
18 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2023/09/15(金) 21:29:31.00 ID:zl78yZoQ0
真乃「酷い……」
愛依「こんなん見せられて冷静でいられないっしょ……」
一度真乃ちゃんの動機ビデオを見て内容こそ大まかな見当はついていたけど、やっぱり辛い。
目を背けたくなる惨状に、裁判場にいる全員が思わず言葉を失った。
甘奈「甜花ちゃんにすぐにこの映像を見せて……正直パニックになってたよ」
甘奈「……でもね、この映像の中でもパパが言ってるでしょ?」
甘奈「姉妹二人が揃っていればどんな難局だって乗り切れるって」
甜花「だから甜花たちは二人で一緒にこの学園を出ようって……二人なら、絶対一緒に出られるって……そう思ったんだ……」
……もし私も、この場所にお姉ちゃんがいて、同じような状況だったのなら。
甘奈ちゃんたちと同じような行動に走らなかったとは断言できない。
近くに縋ることのできる存在がいるということはある意味では救いであり、ある意味では追い詰める最後の一手になりうる。
一人だけでは超えられない一線も、一緒なら超えられる。超えることができてしまうんだ。
私が真乃ちゃんと灯織ちゃん、そしてめぐるちゃんの存在があったおかげで臆すことなく真実に向き合うことができたのと、同じこと。
まさに表裏一体の結末だったんだと思った。
19 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2023/09/15(金) 21:30:42.83 ID:zl78yZoQ0
甘奈「でも、そんなのって……他のみんなのことを顧みない自分勝手な話なんだよね」
甜花「うん……甜花たちのために、他のみんなを巻き添えにしようとしたのは事実だから……」
樹里「……二人がやったことは到底許されることじゃない。それは間違いないよ」
樹里「でも……アンタらがここに至ったまでの気持ちはよく分かった。お互いを本気で思い合う気持ちがあったのも……分かったよ」
甘奈「……本当に、ごめんね」
甜花「ごめんなさい……」
樹里「だから……最後の時間くらい、二人で向き合う時間にしてくれていいから」
甜花「え……さ、西城さん……?」
霧子「甜花ちゃん……この裁判に挑む時、どんな気持ちだったのかな……」
霧子「甘奈ちゃんのことを守りたい……その気持ちは本当だと思うけど……」
霧子「甜花ちゃんの中に……甘奈ちゃんに送りたい言葉が……他にもあるんじゃないかな……」
甜花「なーちゃんに、送りたい……言葉……」
20 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2023/09/15(金) 21:31:55.82 ID:zl78yZoQ0
にちか「甘奈ちゃんも一緒だよ」
甘奈「えっ……」
にちか「甜花さんが自分のために戦ってくれるって、そう言ってくれた時にどう思ったの? その時の気持ちを伝えなくていいの?」
甘奈「……」
にちか「思ってることを伝えきれないまま終わるってきっと……すごく辛いと思うんだ」
にちか「ほら、私は……今も悩むことがあるから、ルカさんとのお別れがあれでよかったのか……って」
甘奈「み、みんな……」
モノスケ「なんやけったくそ悪いお涙頂戴劇が始まってしもうたな。お父やん、ここらでおしおきをぶちかましてこの雰囲気をぶち壊すのはどうや?」
モノスケ「やっぱりコロシアイはバイオレンス、アンド、トラジェディー! 無念の死こそがコロシアイの醍醐味やろ!」
モノクマ「うるさいなぁ、黙ってなよ」
モノスケ「え、お、お父やん……?」
モノクマ「今いいところなんだよ、邪魔すんなよ。今この光景こそが、みんなの見たがってたものなんだからさ」
モノダム「……」
私たちに促されて二人は向き合った。
こうしてみると本当にそっくりな二人。
生まれた時からずっと一緒だった二人が今分たれようとしている。
……もう誰も口を挟み込もうとはしなかった。
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