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デジタルモンスター研究報告会 season2 後編
- 775 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 21:23:54.85 ID:uCjdMN4a0
- 感情は豊かなようだ
これでお喋り出来れば楽しい奴なんだけどな
- 776 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/17(日) 21:26:20.07 ID:QUG87C/oO
- ガッチモンは、デジタル空間地下の地図データを生成した。
『よっしゃ ケンキモン これを!』
ケンキモンは、地図データを見た。
地中のどこにドリモゲモンがいるか、はっきりと映し出されている!
蛮族デジモン達が、いっせいにケンキモンの方へ向かってきた。
モリシェルモンが倒れた今、倒すべき敵はケンキモンただ一体ということだ。
花粉のアレルギー症状が引いた個体から、飛びかかってくる…!
ドリモゲモンの居場所を示すマーカーが、ケンキモンの真下へ来る…!
「そこだ!」
ケンキモンは、マーカーの位置へ向かって、穴掘建柱ドリルを突き出した!
回転するドリルはデジタル空間の地面を突き破り、地中を抉る。
「ウウウゥゥウウギャアアアアアアアアア!!!」
血飛沫と共に、ドリモゲモンの悲鳴がこだました。
- 777 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/17(日) 21:27:13.93 ID:QUG87C/oO
- 続く
- 778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 21:29:07.11 ID:n0ifzAFQ0
- 乙
メガは有能なデジモン作ったな
- 779 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/17(日) 21:29:52.74 ID:QUG87C/oO
- >>774
間違えた
試作ロット第2号→第3号です
- 780 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 21:32:07.10 ID:OS5USrQ2o
- 戦局は膠着ってとこか
- 781 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 21:38:11.43 ID:sF9aBeuM0
- 乙
- 782 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 21:43:59.22 ID:NHUelWMX0
- 乙
手札を出しまくる戦いだ
- 783 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/18(月) 09:16:35.25 ID:UfnU4ilZ0
- 短いはずなのに長く感じる3分だ
- 784 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/18(月) 20:40:55.58 ID:bISmu9fZo
- 3分耐えれば勝てる保証があるわけでもないし辛い戦い
- 785 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 07:59:55.21 ID:ZRae2xG0o
- ケンキモンが地面からドリルを引っこ抜くと…
ドリルには、胴体を貫通されているドリモゲモンがついてきた。
ケンキモンはドリモゲモンからドリルを引き抜き、ドリモゲモンを地面へ投げ捨てた。
『なんだと…!?貴様、どうやってドリモゲモンの位置を…!?』
AAAは予想外だったらしく慌てている様子だ。
「ウゥ…ゥウウ…!」
致命傷を受けたドリモゲモンは…
最期の力を振り絞って、デジタマを産んだ。
ドリモゲモンのデジタマか…
確保しておこう。
デジモンキャプチャーを使い、そのデジタマを隔離チェンバーへ送った。
だが、相変わらず敵は多い。
花粉アレルギーが治まった蛮族デジモン達が、ケンキモンに押し寄せてくる。
ズルモンに支配されたガニモン達も、再び脚部を狙ってくる。
四面楚歌だ…!
だが、ガニモン達は…
彼らのすぐそばに突如開いたデジタルゲートから伸びてきた、植物のツタのようなものに捕まった。
そして、デジタルゲートへと引きずり込まれた。
そのデジタルゲートの向こう側は…
懐かしのビオトープだった。
オタマモンがかまどに火をつけており、かまどでは大きな土鍋の中で熱湯が湧いていた。
ガニモン達を捕らえたパルモンは…
そのままガニモン達を、土鍋へ叩き込んだ!
熱湯がバシャンと音を立てる。
この土鍋は、ガニモンを茹でて蟹鍋にするためにブイモンが作った逸品だ。
ガニモン達は熱湯から脱出しようとするが…
パルモンとオタマモンは、蓋を閉めて上から押さえつけた。
…まさか蟹鍋を武器として使うとは。
やがて、全力で暴れたガニモンが蓋を払い除けた。
空中で宙返りして、地面へ着地するパルモン。
ガニモン達は土鍋から脱出してしまった。
熱湯の中には…
グツグツに茹でられて動かなくなったズルモン3体の姿があった。
- 786 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 08:10:54.44 ID:ZRae2xG0o
- さて、ケンキモンとドリモゲモンが戦っていたとき…
同時並行で、マッシュモンとチビマッシュモンは別の作業をしていた。
モリシェルモンの巨大な死骸を、デジタル空間からどける作業だ。
メガ曰く、モリシェルモンの死骸はドーガモン作戦の妨げになるらしい。
モリシェルモンの直下に巨大なデジタルゲートが開いた。
その中からチビマッシュモン達が出てきて、モリシェルモンの死骸をゲートに引っ張り込もうとしている。
「マッシ!マッシ!マッシ!」
だが、チビマッシュモン達の小さな体では、モリシェルモンをデジタルゲートの中へ引きずり込むのが容易でないようだ…。
そこへ…
「オイラも…てつだう」
デジタルゲートの中からブイモンが現れた。
「こいつを…どかせば、いいんだろ!」
チビマッシュモンに、肉体労働が得意なブイモンが加わったことで、モリシェルモンの死骸をデジタルゲートを通してフローティア島へ放逐することに成功した。
よくやったブイモン!
偉いぞ!
「そ、そうかな…へへ…」
ブイモンは少し照れている。
「オイラ、これくらいしかできることないからよ…」
…自分を卑下するなよブイモン。
十分いい働きしてるんだから。
- 787 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 08:19:04.84 ID:ZRae2xG0o
- ガニモンの排除と、モリシェルモンの放逐に完了したとき…
「ウホオォォ!」
ジャングルモジャモン2体がケンキモンに飛びかかってきた。
ケンキモンは先程、ガニモン達と格闘していたが、だいぶ脚部を破壊されてしまった。
この場から移動することは難しいだろう。
「ウホォァ!」
ジャングルモジャモン達は、青銅の棍棒でケンキモンのボディを叩いた!
ガキィンとすさまじい金属音が鳴り響いた。
「ウホ?」
殴られたケンキモンのボディは凹んでいたが…
青銅の棍棒はそれ以上に凹んでいた。
ケンキモンのボディは鉄製だ。
そう簡単に青銅に負けはしない。
…それを鑑みると、薄い板金とはいえ、鉄のキャタピラー履帯を切断したガニモンのハサミは本当に自分恐ろしい武器だったんだなと実感させられる。
パルモンが不意をついてガニモン達の腹部に寄生したズルモン達を茹で殺すことには成功したものの…
統率された行動を取るガニモン達は、下手な成熟期より恐ろしい敵だった。
- 788 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 08:27:27.59 ID:RMabxayOo
- こちらは各自の判断でみんなベストを尽くしているな
- 789 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 08:29:36.14 ID:ZRae2xG0o
- ケンキモンは、クレーン鉄球をジャングルモジャモンへ振りかざす。
「ウホッ!」
だが、ジャングルモジャモン達はそれを軽快に回避した。
続いて、鉄骨カッターやドリルを繰り出すが…
「ウホハハハハ!」
ジャングルモジャモンはそれらの攻撃を、ひょいひょい飛び跳ねて回避する。
くっ…
スピードで完全に負けている…!
パルモンの花粉による弱体化が解けた蛮族デジモンが、こんなに手強いのか!
『金属のボディか…。フーガモン、やれ!』
AAAのデジドローンが指示を出した。
すると、フーガモンはシマユニモンの手綱を握って、シマユニモンに何かを指示した。
シマユニモンは、ケンキモンに角を向けると…
角から放電を放ち、ケンキモンへ電気ショックを浴びせた!
「ぐっ…があああああ!」
ケンキモンの中の本体が苦しそうな声を上げた。
電撃攻撃がケンキモンの金属ボディを伝い、中の本体にダメージを与えているのか!
や…やばい!
シマユニモンにそんな力があったなんて…!
このままではやられてしまう…!
「3分だ!いくぞ、ドーガモン!」
その時、メガの声がした。
- 790 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 08:32:58.50 ID:JqwF3fs00
- 長い3分だった
- 791 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 08:39:31.33 ID:ZRae2xG0o
- 空中にデジタルゲートが空いた。
その中から飛び出てきたのは…
ファンビーモンだ。
ファンビーモンが…
なんと、2体、3体…4体…!
次々と飛び出してくる!
合計16体のファンビーモンが、デジタルゲートから出現した!
『なに!?バカな…これだけの短期間でファンビーモンをここまで殖やしたのか!?』
「ヒイィィィ!」
敵のキャンドモン達は、ファンビーモンの群れの姿を見てビビった。
群れのうちの一体が、尾から毒針を飛ばした。
「ウホォオ!?」
毒針は、ジャングルモジャモンの一体に当たった。
「ウホギャアァア!」
毒針から電気ショックが発せられ、ジャングルモジャモンが感染した。
え!?
ファンビーモンの毒針って電気も出せるの!?
私が驚くと、カリアゲが解説してくれた。
「毒針の中に電源が入っているみたいだぞ。すぐに引っこ抜かれないように、少しの時間だけ感電させて、毒が回る時間を稼げるようにしてるみたいだな」
カリアゲ…
随分ファンビーモンに詳しいな。
「まあ…俺はファンビーモンと仲間になろうとして、ずっとコンタクトを取り続けてきたからな。ガニモン鍋の残りとかあげたら、喜んで食ってたぜ」
それが今、活きたということかな。
「いや、あんま活きてないな!シマユニモンを狙えって言ったけど、やっぱ言葉は分かってねえみてえだ!」
確かに。
今はジャングルモジャモンより優先して、シマユニモンを狙って欲しい場面だ…!
- 792 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 08:41:48.47 ID:C3Ln/pi0o
- あんな奴と仲良くなるのまだ諦めてなかったのかカリアゲ
- 793 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 08:46:57.86 ID:ZRae2xG0o
- そのままジャングルモジャモンは、麻痺毒で動かなくなった。
…成熟期相手をこんなあっけなく無力化するファンビーモンの猛毒。
やはり純粋な戦闘能力においては規格外だ。
ファンビーモンの毒針攻撃を見た蛮族デジモン達は、大層驚いている様子だ。
空中から即効性のある麻痺毒針を飛ばしてくる敵…
それが16体もいる。
その状況の恐ろしさに、蛮族デジモン達は気付いたようだ。
続いて、他のファンビーモン達も毒針を飛ばし始めた。
それらの毒針はすべて、命中するスレスレで外れてしまったが…
『自分に向かって毒針が飛んできた』というだけで、蛮族デジモン達はパニックになっているようだ。
「ウホオォォオオオ!!ホァアアア!!」
ケンキモンの取り囲んで青銅棍棒で叩いていた蛮族デジモン達は、一斉に逃げ惑う!
『くそ…戦え!逃げるな!』
AAAの言葉も、パニックの蛮族デジモン達には届いていないようだ。
- 794 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 08:50:51.16 ID:DW7YuOfCo
- 大局的にはまだ勝つ見込みあっても自分が死ぬ確率は高そうなら利害の一致しかない関係ならそら逃げる
- 795 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 08:54:56.41 ID:ZRae2xG0o
- シマユニモンに電撃攻撃をさせていたフーガモンは…
「イッタン キョリヲ トレ!」
シマユニモンの手綱を引いて、電撃攻撃を止めさせた。
ファンビーモンの群れをケンキモン以上の脅威と見なし、距離を取ることにしたようだ。
「ブルッヒ!」
放電を止めたシマユニモンは、だいぶ疲れているようだ。
あの放電攻撃はなかなか体力を消耗するらしいな…。
シマユニモンは、再び駆け出そうとした。
…その時。
どこからともなく、高速回転する手裏剣のようなものが飛んできて…
シマユニモンの首の横側を切り裂いた。
「ブルヒヒイィィ!」
斬撃を首に食らったシマユニモン。
首の切り傷からボタボタと出血した。
飛んできたのは…
https://i.imgur.com/2o5Ko8A.jpg
…ティンクルスターモンだ!
- 796 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 08:56:55.15 ID:JqwF3fs00
- 来てくれたか戦闘力だけなら信頼できるやつら
- 797 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 09:00:55.04 ID:ZRae2xG0o
- 『ふはははは!手遅れになる前に間に合ったようだな!』
この声は…パルタスさん!?
そういやリーダーから救援要請をしてたんだっけ。
ティンクルスターモン!久しぶり!
『ヒサシブリ? オハツニ オメニ カカリヤッス!』
あれ。
前にティンクルスターモンとは話したことなかったっけ。
『そいつは前に見せたときは幼年期のピックモンだった個体だな!あのとき会わせたティンクルスターモンは、今はスターモンへ進化したぞ!』
おお、そうなんですか!
『上からの許可が通ったのはティンクルスターモンだけだった!スターモンとシューティングスターモン、ジオグレイモンは出撃許可が通らなかった。仕方あるまい、こちらをもぬけの殻にはできないからな!』
十分助かります!
- 798 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 09:01:04.59 ID:HYI1xDmL0
- ティンクルスターモンの形状
八つ裂き光輪みたいに投げたり持って斬りかかったりしたくなる
- 799 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 09:01:51.15 ID:gxUz7AgNo
- …ジオ?
- 800 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 09:15:19.24 ID:ZRae2xG0o
- スポンサーさんから通信があった。
『諸君。今はあまり関係ない話だが…ローグ・ソフトウェアに連絡したところ、クラッカーデジモンの駆除に協力してくれるそうだ』
おお、なんと!?
で、ではそっちのセキュリティデジモンがここへ来てくれるんですか!?
『いや、ここには来ない。見守りマッシュモンとかいう詐偽は、学校だけでなく生徒の親達にも被害が拡大していたのを覚えているかね?』
あー、確かそうでしたね。
モリシェルモン乱入の有耶無耶で、そっちは放置して帰ってきちゃいましたけども。
『ローグ・ソフトウェアは、その親御さん達のとこにいるであろうクラッカーマッシュモンを駆除し、自分たちのところのセキュリティサービスの営業をかけるようだ』
それを聞いたカリアゲは前のめりになった。
「何だよそれ!?俺達が先に見つけた敵じゃねえか!横取りかよ!」
『君達が命がけで暴いた敵の手口だったが…。状況が状況なだけに、つい口を滑らせてしまった。すまないね』
「ずるいぞ畜生!」
いや…そうとも言えない。
一番大事なことは、セキュリティサービス同士での小競り合いに勝つことじゃない。
クラッカーデジモンの被害者が、一刻も早く被害から救われることだ。
今こうしてる間にも、生徒の親御さん達のパソコンやスマホから、クラッカーマッシュモンによって情報を抜き取られたりしているかもしれない。
それを…
『我々が行くまで待て』とは言えないよ。
ローグ・ソフトウェアがすぐ動いてクラッカーマッシュモン退治してくれるなら、それに越したことはない。
「おお、そりゃ…そっかぁ…。そうだな」
『…損な性格だね。だが、それが我々が君達を信頼している点でもある』
それはどうも。
『本当に今と関係ない話ですまないね!だが一応リアルタイムで伝えておくべきと思ったんだ』
…まあ、AAAがこちらへの攻撃に集中している間に、その手先を排除するのは悪くない判断です。
- 801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 09:18:03.72 ID:RzVVH3UDo
- デジモンシリーズの主人公やれそうなくらいバカのつくほど善性お人好しと知性だ
- 802 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 09:20:40.50 ID:ZRae2xG0o
- ファンビーモンの群れは、毒針を飛ばし続けている。
大体はハズレており、蛮族デジモンに命中しそうでしないギリギリのところのようだ。
しかし、中にはきちんと命中する毒針もある。
そんなカオスな状況で、ファンビーモンを注視して警戒している敵デジモンを…
ティンクルスターモンが、背後から回転手裏剣タックルで切り裂く!
「キャドオォォオオ!?」
キャンドモンの一体が、ティンクルスターモンに切り裂かれた。
この連携攻撃は、敵にとって相当厄介だろう。
「ウキッ!」
セピックモンの一体が、ブーメランを握りしめた。
「ウキャアアアア!」
セピックモンは、空中を飛ぶファンビーモンに向かってブーメランを投げ飛ばした。
- 803 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 09:22:46.89 ID:ZRae2xG0o
- つづく
- 804 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 09:23:14.90 ID:RzVVH3UDo
- 乙
- 805 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 09:24:40.76 ID:JqwF3fs00
- 乙
エスカレートする戦争
- 806 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 19:49:30.55 ID:ZRae2xG0o
- 投げられたブーメランは…
ファンビーモンの体をすり抜けた。
「ウキッ!?」
ブーメランがすり抜けるという異常な現象に驚くセピックモン。
「う、ウキー!」
攻撃が効かないと見ると、セピックモンもファンビーモンから逃げた。
16体のファンビーモンのうち15体は、ドーガモンがファンビーモンの姿を深層学習して、デジタル空間へ投影している「立体映像」である。
16体のうち1体だけが本物のファンビーモンだ。
作戦前にモリシェルモンを片付けたのは、そうしないとファンビーモンは敵へ攻撃せず、大きなモリシェルモンの死骸を貪って空腹を満たすだけになるためだ。
ドーガモンとファンビーモンの連携(?)によるこの作戦は、敵をパニックに陥れることには成功したが…
あいにく、決定力に欠ける状況だ。
まず、ファンビーモンの毒針は無限に飛び出るわけではない。
毒針が尽きるなり、食欲が満たされるなりすればファンビーモンは攻撃を止めるだろう。
そして、ファンビーモンが戦場にいる間、パルモンやブイモン、オタマモンはデジタル空間に出てこれない。
ファンビーモンは敵味方の区別なく、食えそうなデジモンを無差別に攻撃する。
そのため、食えなさそうなケンキモンとティンクルスターモン以外の味方デジモンは、この場に出てきたらファンビーモンのターゲットになりかねないのだ。
そういうわけで、今戦場で戦えるのはティンクルスターモン、ファンビーモン、ケンキモンだけだ。
だが、ケンキモンはガニモンの攻撃で脚部を破壊されており、満足に移動できない。
一方、敵の戦力は…
ドリモゲモン、ガニモン、プラチナスカモンは倒したが…
シマユニモンに乗ったフーガモンや、キンカクモン、キャンドモン…
あとはジャングルモジャモンやセピックモン、成長期の蛮族デジモンが何体か残っている。
ハゲオヤジデジモンは、相変わらず高いところで戦いを見物しながら、干物を食ったり酒を飲んだりしている。
なんなんだこいつは。
成熟期のデジモンは、(ハゲオヤジデジモンは分からないけど)どれも強敵だ。
この三体でどうにかできるのか…!?
…しかし、なにか妙な悪寒がする。
何かを、忘れているような…。
本来いるはずの敵が、その場に欠けているような…。
不思議な感覚だ。
- 807 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 19:52:13.74 ID:poizqX8Go
- 少数精鋭過ぎる…
- 808 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 19:57:44.61 ID:HMUIEPY50
- もう手札が残ってないのか
- 809 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 20:12:09.49 ID:ZRae2xG0o
- 現在戦闘可能なジャングルモジャモンは3体。
セピックモンも3体だ。
『フーガモン!ジャングルモジャモン!セピックモン!キンカクモン!あの蜂共を片付けろ!』
「う、ウホオォ!」
成長期の蛮族デジモン達やキャンドモンは、ファンビーモンの毒針が届かないところへ隠れているが…
今名指しで呼ばれた成熟期達は、腹を決めたらしく、空を飛ぶファンビーモン達へ攻撃を仕掛けるようだ。
ジャングルモジャモン達は、倒れ伏している蛮族デジモン達の手元から、青銅の武器をひったくり…
しこたま投げまくった。
セピックモンは、手持ちのブーメランを投げまくった。
キンカクモンとフーガモンは、打撃武器を構えてファンビーモン達をじっと観察している。
ファンビーモン達は、投げられた武器を回避する。
そして毒針を放って反撃するが…
その殆どは、蛮族デジモン達から命中寸前でハズレた。
それらは全て立体映像の偽物だが…
防御しないわけにはいかないのだ。
既に毒針で何体かの蛮族デジモンが仕留められているのだから。
シマユニモンは、再び角に放電攻撃のエネルギーをチャージしている。
今の敵の中で、最も厄介な相手は…
シマユニモンだ。
何故なら、電気は「通りやすいところへ流れる」性質を持っているからだ。
シマユニモンは、群れの中から、本物のファンビーモンを、電流が自動で探知して感電させることができる。
再び放電を放たれたら、本物のファンビーモンがやられる…!
そうなる前に、シマユニモンだけは仕留めなくてはいけない!
- 810 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 20:14:43.61 ID:JqwF3fs00
- 研究所は各所のデジモン関連の仕事の要だろうに力貸してくれる人少ないの悲しいな
- 811 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 20:21:13.99 ID:ZRae2xG0o
- ティンクルスターモンが、シマユニモンをめがけて回転しながら飛んできた。
シマユニモンは、それを素早い身のこなしで回避した。
シマユニモンはとんでもなくスピードに優れている。
「ウガーオゥ!」
フーガモンは、空中で青銅棍棒を振るってティンクルスターモンへ振りかざした。
ティンクルスターモンは、空中で青銅棍棒を回避する。
スピード自慢同士の戦い。
互いに攻撃を躱し続けている。
だが、シマユニモンのチャージが終わったら、その戦いも終わるだろう。
シマユニモンの放電攻撃は、回避が極めて困難。
ティンクルスターモンがいくら素早くても、電流はそれを追尾して感電させてしまう…!
やがて、シマユニモンの角に放電攻撃のチャージが溜った。
『フーガモン!その手裏剣デジモンを撃ち落とせ!』
シマユニモンは、角をティンクルスターモンへ向けて…
電撃攻撃を放った!
電撃攻撃は…
ティンクルスターモンの方ではなく、ファンビーモンの方でもなく。
シマユニモンの真上へと飛んだ。
『なに!?』
- 812 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 20:29:08.27 ID:ZRae2xG0o
- シマユニモンの直上には、巨大なデジタルゲートが開いており…
その中から、ケンキモンが落下してきたのだ。
電気は「流れやすい方向へ流れる」。
ゆえにティンクルスターモンの方でなく、巨大な鉄の塊であるケンキモンのボディへ流れるのは必然だ。
『よけろ!シマユニモン!』
シマユニモンは、自分の真上に落下してきたケンキモンを…
死物狂いで回避した。
ケンキモンは、大きな音を立てて地面に落下・衝突する。
脚部が大破し、パーツが飛び散った。
これだけのダメージを負ったら、ケンキモンはもう戦えないだろう。
『くっくっく…自爆覚悟の投身攻撃か!だが無駄に終わったなぁ!』
シマユニモンは放電を止めて、再びティンクルスターモンの方を向いた。
『セピックモン!いったん蜂共はいい!その手裏剣デジモンを全員で仕留めろ!』
ううっ、それはまずい!
セピックモンのブーメラン攻撃は、空中で予測不可能な軌道を描いて敵に当たりに行く。
その攻撃力も強力だ。
それを3つも投げられたら…
いくらティンクルスターモンでも躱しきれない!
- 813 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 20:31:14.62 ID:DS26LGM7o
- ケンキモンの命を懸けた最後の攻撃が…
- 814 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 20:38:42.77 ID:ZRae2xG0o
- 敵デジモンの意識がすべてティンクルスターモンに注がれた、その時…
ケンキモンのコックピットが開き…
中からケンキモンの本体が飛び出してきた。
ゴーグル付きの黄色いヘルメットをかぶり、右手がハンマー、左手がドリルになっているその姿は、まるでロボットのようだ。
https://i.imgur.com/SNibQvY.jpg
…今だ、やれ!
ケンキモン…
いや!
クラフトモン!
「うおおおぉ!」
クラフトモンは、シマユニモンの直上から襲い掛かり…
右手のドリルを回転させ、シマユニモンの脳天へ叩き込んだ。
「ブルッギャアアアアアアアアーーーーー!!!」
ドリルはシマユニモンの眉間を貫通した。
シマユニモンに乗っていたフーガモンは驚いた。
『そのデジモン…中に別のデジモンがいたのか!フーガモン!やれ!』
シマユニモンに乗っていたフーガモンは、青銅棍棒でクラフトモンの頭部を思いっきり殴打した。
クラフトモンのヘルメットがバラバラに飛び散った。
…だが、クラフトモンは飛び退いた。
このヘルメットは「壊れることで衝撃を受け止める」タイプだ。
頭部にもろに打撃を食らっていたら即死だったかもしれないが…
ヘルメットがたった一度だけ、その致命傷級のダメージを肩代わりしてくれたのだ。
- 815 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 20:41:49.22 ID:DS26LGM7o
- クラフトモン、お前だったのか!
- 816 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 20:52:36.80 ID:ZRae2xG0o
- シマユニモンは…
「ブ…ブルルヒ…」
横に倒れた。
乗っていたフーガモンは、地面に自身の脚で着地した。
『…シマユニモンが殺られたか…』
よし!
これで、ティンクルスターモンとファンビーモンを確実に倒せるシマユニモンを討ち倒した!
勝ち筋が見えてきたぞ!
ファンビーモン軍団が撹乱しつつ、ティンクルスターモンとクラフトモンがデジタルゲートを駆使してヒット・アンド・アウェイで攻撃を仕掛ければ…
キンカクモンとフーガモンに勝つ目が出てくる…!
『…くっくっく…ははははは…!ようやく手札を出し尽くしたようだな!』
そっちもだろうが!
『貴様達は不利な状況を、敵の戦力を観察・分析し、弱点を突く戦略で不利を覆す戦いをしていた。まるでパズルのピースを埋めるようになぁ…!』
な…なんだ。
その余裕は。
『くっくっくっく!そう、貴様達の最大の弱点は…!手繰り寄せた細い細い勝ち筋を…未知の情報で潰されることだ!はっはっは!』
な、なんだ…
何を言っている!
- 817 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 20:54:33.38 ID:UFU1+oXwo
- イレギュラーって大抵の人は弱いと思う…
- 818 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 20:56:45.44 ID:ZRae2xG0o
- ジャングルモジャモンのうち一体が、群れに紛れた本物のファンビーモンの毒針を食らった。
「ウホギャアア!」
ばたりと倒れるジャングルモジャモン。
ファンビーモン…まだいけるか?
その時…
ファンビーモンの群れの上から…
突如。
大量の溶けた蝋が落下してきた。
群れの中で、たった一体だけのファンビーモンは、その突然の攻撃を察知しきれずに、蝋に絡め取られた。
「ズビィ!?」
ファンビーモンを絡め取った蝋は、地面に落下してべちょっと貼り付いた。
ファンビーモンは、蝋から脱出しようとするが…
既に蝋は固まっている。
抜け出せない!
「ズ、ズビ、ズビィ!」
なんだ…
何が起こったんだ!
- 819 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 21:01:47.63 ID:ZRae2xG0o
- 『そういうからくりか。まとめて全員仕留める算段だったが…。どうやっているかは知らないが、1体を除けば全ては蜃気楼のようなものだったらしいな』
ば、バレた…!
ドーガモン作戦が!
『くっくっくっく!これで厄介な蜂の動きは封じた!お前達、もういいぞ、出てこい!』
AAAがそう言うと…
ファンビーモンに恐れをなして逃げていた、成長期の蛮族デジモン達やキャンドモン達が、物陰からぞろぞろと出てきた。
『はーっはっはっは!どんな気分だ!?セキュリティ共!切り札を潰された瞬間は!』
カリアゲは顔を真っ青にしている。
「何だよ…何だよあの蝋は!」
…そうだ。
なにか忘れていたと思ったが…
これだ!
確実に、存在することが分かっていたはずなのに…
今までここにいなかった存在。
それが今まで潜伏していた可能性に…
私達はなぜ気付けなかったのだろう。
そう…
キャンドモン達の親デジモンが…!
- 820 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 21:08:25.27 ID:ZRae2xG0o
- ファンビーモンを蝋で捕獲したデジモンは…
大きな翼を羽ばたかせながら、上空からゆっくりと降り立った。
https://i.imgur.com/Wrtk29D.jpg
真っ白な…
悪魔のような姿だった。
これが、今まで隠れていた…
キャンドモンの親か!
『真の切り札は、伏せておくものだ…そうだろう?くっくっく…!はーっはっはっは!』
ま、まずい…
ここに来て、わけのわからない性質のデジモンが出現するなんて…!
想像していなかった。
完全に虚を突かれた。
プラチナスカモンを、ドリモゲモンを、シマユニモンをも失ってまで…
奥の手を隠し続けていただんて。
そんなの、予想していなかった…!
『まとめて蝋人形にしてやれ!アイスデビモン!』
- 821 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 21:09:11.67 ID:ZRae2xG0o
- つづく
- 822 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 21:11:22.81 ID:UFU1+oXwo
- 乙
今度こそもうダメか…
- 823 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 21:15:52.32 ID:ZRae2xG0o
- ※調子がいいので今日はもうちょっとだけ書きます
- 824 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 21:17:09.34 ID:z0RROQHd0
- 気になるところだったから助かる
- 825 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 21:25:42.20 ID:ZRae2xG0o
- 「ズ…ズビ…!」
固まった蝋から、頭部だけが出ている状態のファンビーモン。
そこへ、キャンドモンが二体やってきた。
や…やめろ!
「ドキャーー!」
キャンドモン達は、口から火を吐いた。
キャンドモンやアイスデビモンの蝋は、特別に高温で燃えやすい性質のようだ。
火は蝋に燃え移り、ファンビーモンを焼いていく。
「ズビィイーーーッ!」
あああ…
ファンビーモンが燃やされていく…!
ファンビーモンの翅は溶けた蝋が絡み付いているため、羽ばたかせても飛べないようだ。
それだけじゃない。
ファンビーモンは昆虫型デジモン。腹部の気門で呼吸をするタイプだ。
その気門に溶けた蝋が流れ込んでいるようであり、呼吸器官を焼かれている!
し…
死んでしまう…ファンビーモンが…!
「ズビ、ズビィィ!」
めらめらと燃えていくファンビーモン。
シャーマモンやコエモン達は…
「ウガァアア!」
先程さんざんビビらせられたことで鬱憤が溜まっているのだろうか。
ファンビーモンを寄って集って、青銅棍棒で滅多打ちにし始めた。
- 826 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 21:28:56.07 ID:ZRae2xG0o
- そこへ…
「やめろよおおお!」
なんと、ブイモンが腕をブンブン回しながら走り込んできた。
「ウガ!?」
シャーマモンの一体を殴り飛ばしたブイモン。
溶けた蝋の中からファンビーモンを引っ張って救出した。
「うあっちいぃいいいいい!」
溶けて燃えた蝋はブイモンの手を灼いていく。
だが、ブイモンは構わずにファンビーモンを背負って、走った。
「ゲート!はやく!」
私は、デジタルゲートをブイモンの眼の前に開いた。
ブイモンは、ファンビーモンを抱えてゲートへ飛び込んだ。
- 827 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 21:29:57.98 ID:JqwF3fs00
- ろくに話したこともない言うことも聞かない蜂野郎のために…
- 828 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 21:31:13.17 ID:ZRae2xG0o
- 一旦ここまで
- 829 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 21:31:56.75 ID:z0RROQHd0
- 乙
続きがやはり気になるところだった
- 830 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 21:36:57.37 ID:1gcRJjUwo
- 乙
こういう判断できるブイモンは大きな可能性秘めてそうね
- 831 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 22:40:51.53 ID:ZRae2xG0o
- ブイモンを送り込んだ先はビオトープだ。
ここは飲み水をたくさん保存してある。
今のフローティア島は、井戸を作っている最中。
だから飲み水はこのビオトープに貯蔵しているものを使っているわけだ。
ブイモンは、燃えているファンビーモンを、自分の手ごと大きな水瓶に突っ込んだ。
水が蒸発するジュウ〜という音が鳴る。
「あっちちちち!」
しばらく水につけると、溶けた蝋がファンビーモンの体から剥がれて水面に浮かんできた。
火は鎮火したようだ。
ブイモンは、ファンビーモンを水瓶から出して、床へ寝かせた。
ブイモンの手は火傷しているようだ。
ぐったりしたファンビーモンは、ブイモンの方を見ている。
全身を焼かれ、呼吸器を灼かれ…
蛮族デジモン達に青銅の棍棒で叩きのめされたファンビーモンの外骨格はボロボロに割れていた。
せっかく助けはしたが…長くないかもしれない。
「ファンビーモン…おまえのこと、いまでもだいっキライだよ」
ブイモンは、ファンビーモンに向かって話しかけ始めた。
「ちいさいころ…おまえにおそわれて、ハリをめにさされて…しにそうになった。ワームモンがたすけてくれなきゃ、オイラはおまえにくいころされてた」
- 832 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 22:41:59.01 ID:XhrP/oAho
- 人間並みの感受性…
- 833 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 22:43:28.74 ID:I41UtgsYo
- 戦闘はよわっちいかもしれんがどんな育て方したのか他のデジモンに比べて異質だブイモン
- 834 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 22:47:12.72 ID:ZRae2xG0o
- ブイモンは静かに話しかけている。
「いまでも、おまえのこと、だいっきらいだ。ついさっきまで、いなくなってほしいって、ずっとおもってた。…でも、おまえは、あんなおっきなやつらと、ひとりでたたかってた」
「なあ、おまえはなんであんなつよくてこわいやつらとたたかえるんだ?つよいからか?」
ファンビーモンの体の傷を見ているブイモン。
「…ちがうよな。ファンビーモンも、オイラとおんなじチビッコなんだ。たたかれたらケガするし、よわいチビッコなんだ。それなのに…おまえは、デカいオトナとたたかって…なんたいもやっつけた」
ブイモンは目に涙を浮かべた。
「おまえのこと、キライだけど、でも…、カッコいいっておもっちまった。おまえみたいにカッコよくなりたいって…あこがれちまったんだ」
ファンビーモンの体を揺さぶっているブイモン。
「オイラがきらいでも…オイラがだいすきなひとたちにとって、おまえはたいせつなんだよ!だから…しんじゃだめだよ、ファンビーモン…!」
- 835 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 22:52:58.88 ID:qi+tozCO0
- 言うこと聞かないただの狂犬だったファンビーモンでもこんなこと言われると死ぬの悲しくなる(´;ω;`)
- 836 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 22:53:10.34 ID:ZRae2xG0o
- …
戦場では、ファンビーモンの立体映像が消えた。
もはや映していても意味がないので、ドーガモンが立体映像を消したのだ。
デジモンの体力は有限だ。あれだけの立体映像を個別に動かし続けていては疲弊してしまう。
ドーガモンはいったんビオトープに入り、特性栄養ドリンクで栄養補給をして休憩した。
リーダーが、ドーガモンに話しかけた。
「ドーガモン、休んでいるところ済まないが…新たな教師データで深層学習してほしい。頼めるか?」
『いいケド… なんだ』
「今までの戦いの録画データだ。ここから、ある情報を抜き取って、学習してほしい。できるだけ急ぎで」
『…クラフトモンがたたかってるもんナ おちおちネてもいられねーカ…』
- 837 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 22:55:49.48 ID:7ODOdQ1vo
- ブイモンの姿全国で放送したら世間泣いちゃいそう(´;ω;`)
- 838 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 23:33:54.10 ID:ZRae2xG0o
- 戦場の状況は、圧倒的に不利だ。
クラフトモンは、先程まで巨大でパワフルなケンキモンを自身の体内の貯蔵エネルギーで操作していたため、だいぶエネルギーを消耗している。
それにクラフトモン本体の腕力はそれほど強いわけではないのだ。
ドリルの殺傷力は高いが…。
ティンクルスターモンも、かなりエネルギーを消耗している。
成長期の小さな体で、あれほどの殺傷能力のある回転タックルを放ち、既に敵デジモンを何体も斬り殺している。
ティンクルスターモンの高速飛行は、物理的な推進機構がなく完全にエスパー能力だけで推進力を得ているので、エネルギー効率が悪いのだ。
さすがはジャスティファイアが鍛え上げた国防用デジモン。
成長期どころか並の成熟期より強いが…スタミナが低めの短期決戦デジモンであるらしい。
カリアゲがAAAのデジドローンに話しかけた。
「AAA…てめえなんで今までアイスデビモンを繰り出してこなかったんだ。はじめっからアイスデビモンを繰り出していれば、シマユニモンも、ドリモゲモンも、失わずに済んだかもしれないじゃねーか!大事な部下じゃねえのかよ!」
『ん?そいつらなど、所詮は野生デジモンだ、どれだけ失おうが勝手にデジタルワールドから生えてくるだろう。畑のキャベツより容易くなぁ』
「なんだって…!?」
- 839 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 23:36:31.01 ID:ThSwC4gTo
- ひ、人でなし…
- 840 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 23:38:50.16 ID:ZRae2xG0o
- 『てっきり貴様らはズバモンとルドモンを手懐けているとばかり思っていたが…その様子だと奴らを手懐けてはいないようだなぁ!くっくっく!』
「ふざけるな…お前…デジモンを何だと思ってやがる!」
『ん?その質問には前に答えたはずだぞ?同じことを何度も言わせるな… 道具だ!』
「んだとてめえ…」
リーダーがマイクを握った。
「…デジモン伝送路は遮断したはずだ。いつの間にアイスデビモンを送り込んだんだ」
『くくく、自分で考えてみたらどうだ?』
メガがサーバーの状況を確認している。
「うわ、そんな!デジモン伝送路が再び繋がってるよ!」
リーダーは驚いている。
「どういうことだ!」
メガが色々調べた。
「そうか…最初に伝送路を繋がれたときは、チビマッシュモンにマルウェアを仕込んでいた。でも今はファイヤウォールが破壊されてしまっているから…直にマルウェアを送り込んできて伝送路を繋げたんだ!」
クルエが驚いている。
「そんな…マルウェアはチビマッシュモン達が駆除したはずじゃ!?」
…ごめん。
戦場にモリシェルモンを放ったとき、チビマッシュモンにはいちど退却させたんだ。
あのまま戦場にいると、蛮族より優先してチビマッシュモンを食べるから。
…きっと、その僅かなチビマッシュモン不在期間を突かれたんだ。
『くっくっく…!勘付いたか!既に手遅れだがな…!』
こ…
こいつ…!
『さて、おしゃべりはもういいか?時間稼ぎにはもう付き合えん。終わらせよう、このゲームをな!』
カリアゲは怒りの表情を向けた。
「ゲームだと…ふざけんな!デジモンの命を、ゲーム感覚で…!」
『フーガモン、キンカクモン、アイスデビモン…そしてセピックモン!そいつらを片付けろ!』
- 841 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 23:39:37.46 ID:ZRae2xG0o
- つづく
- 842 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 23:42:06.52 ID:ThSwC4gTo
- 乙乙
何度手を尽くしても届かない
- 843 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 23:43:59.20 ID:JqwF3fs00
- 乙
何もかも負けてて勝てる気しないな
- 844 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 23:47:29.77 ID:LthkEqOP0
- 乙
重要拠点のはずなのに自前の防衛戦力も協力してくれる戦力もクラッカーに比べるとあまりにも力不足
- 845 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/21(木) 02:09:35.03 ID:6vR+Djtb0
- 乙
一日目を離した間に滅茶苦茶投稿されてて嬉しい
最初から最後まで面白いよ
- 846 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/21(木) 13:15:42.55 ID:NrndiDH80
- 乙
- 847 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/21(木) 15:17:29.40 ID:B8y79Dkao
- こっちは本拠地バレてて常に一方的に攻撃される危険性があるのに向こうはどれだけ攻撃しても捨て駒消耗するだけで本拠地バレなくて何の心配もなく攻撃出来るという不公平なウォーゲームだ
- 848 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/21(木) 19:52:27.25 ID:t8vgFj2I0
- 戦力差は歴然だからか引きはいつも大ピンチだ
- 849 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/22(金) 00:45:06.73 ID:JSboRWIv0
- デジモンは後悔が進化の鍵って仮説だけど後悔してももう遅いって言われそうなマジで死にそう数秒前って状況の連続
- 850 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/23(土) 12:23:50.33 ID:TlnrVhSsO
- 『かかれ!』
AAAの号令と同時に、成熟期蛮族とアイスデビモンだけでなく、シャーマモンやコエモン、キャンドモン達も、一斉に襲いかかってきた。
数が…
数の差がありすぎる!
どうする…!?
一旦クラフトモンとティンクルスターモンをビオトープへ引っ込めるか…?
だが、そうしたとしてどうなる…?
無抵抗で我々のサーバーを破壊されて、壊滅するだけだ。
何か…!
何か手はないのか!?
クルエさん!
ベーダモンの説得はできないか!?
「た、助けてぇベーダモン!」
『なんだ ここまでなのか? つまらん』
「だめだぁ、手を貸してくれない!」
ちくしょう、だめか!
その時。パルタス氏から通信がきた。
『貴様ら喜べ!上を必死にスターモンとジオグレイモンの出撃許可が出たぞ!』
おお、それは助かる!
すぐデジモンを送ってください!
『わかった!だから伝送路の接続を許可しろ!』
え…
め、メガ!できそう!?
『ダメだ!デジモン伝送路の接続切り替えシステムがAAAに乗っ取られてる!ジャスティファイアのサーバーに繋げない!』
そ、そんな…
ジャスティファイアからの救援は来れないのか!
つ…
詰んだか…ついに…!?
- 851 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/23(土) 12:43:48.03 ID:TlnrVhSsO
- デジタル空間の上空にデジタルゲートが開き…
パルモンが出現した!
「さいごののこり! ぜんぶ!」
パルモンは、花粉の備蓄ストックを、今自分自身の頭の花から出せる花粉とともにありったけ蛮族デジモン達の頭上からばら撒いた。
おお、いいぞパルモン!
花粉で目潰しをすれば、奴らの集団攻撃は封じられる!
花粉アレルギーによる催涙効果が効いている間に、クラフトモンのドリルやティンクルスターモンのカッターで攻撃すれば、ワンチャン…!
『ワンチャンあると思ったか?その手は二度通じん!キンカクモン、電撃バットへマントを巻き、空中へ放電しろ!』
キンカクモンは、言われたとおりに毛皮のマントを脱ぎ、バットへ巻いて空中へ掲げた。
そして、キンカクモンのバットから放電が放たれた。
キンカクモンも電気を使えたのか…!
すると…
ばら撒かれた花粉が、全てマントに吸い寄せられた。
「ゲホ!ゴホ!」
キンカクモンは花粉が効いているためか、苦しそうに涙と鼻水を出し始めたが…
他の蛮族デジモンや蝋燭デジモン達は平気そうだ!
か…花粉が…
対処された!
カリアゲが驚いた。
「なんだ!?何が起こったんだ!?」
リーダーは苦虫を噛み潰したような顔をしている。
「静電気だ…!ヤツはマントに強力な静電気を蓄電させることで、ばら撒かれた花粉をクーロン引力で吸い寄せたんだ!」
そ、そんな…!
『仕留めろ、セピックモン!』
セピックモン三体は、パルモン目掛けてブーメランを投擲した!
パルモンはデジタルゲートへ飛び込んで逃げようとしたが…
両足にブーメランが1つずつ命中した!
「ぎゃああっ!」
パルモンの両足はへし折れてしまった…!
どう見ても骨折している。
だが、パルモンはツルを伸ばしてデジタルゲートを掴み、どうにかビオトープへ戻ってきた。
- 852 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/23(土) 12:52:29.25 ID:PGVJP5TIo
- えっぐ…
- 853 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/23(土) 12:56:12.63 ID:TlnrVhSsO
- ビオトープに戻ってきたパルモン。
「あううぅぅ…!」
折れた両足がひどい内出血を起こしている。
「いたい…!」
カリアゲがパルモンに話しかける。
「パルモン…今できる中で一番の手は…!やっぱ進化だ!」
「しんか…!」
「このままじゃクラフトモンとティンクルスターモンはきっと蛮族たちに殺される…!他のみんなも!頭数に差がありすぎるんだ!」
「うぅ…!」
「パルモン…ブイモン…!そしてボスマッシュモン!きっとやれるはずだ!今こそ…進化だ!」
パルモンとブイモン、そして体をようやくいつものサイズにまで形成し終えたボスマッシュモン(真・ボスマッシュモンの分身)は、カリアゲの言葉に頷いた。
「パルモン…しんかぁーー!」
「ブイモン!しんかーーー!」
「マシュモ、ミシュマァーーー!!」
…
「「しんかできない…」」
「マシュマ〜…」
ううっ…
やっぱり進化は気合いを込めるだけですぐに反応が始まるものではないんだ…!
「スコピオモンやルカモンが戦闘中にレベル5へ進化したから、いけると思ったんだけどな…ちくしょう…!」
- 854 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/23(土) 12:56:47.25 ID:YTyJ/5g60
- セピックモンまだ3体もいるんだ……
トータルで成熟期の半分以上倒せてない状況なんだな
- 855 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/23(土) 13:03:43.78 ID:TlnrVhSsO
- やむを得ない!
ティンクルスターモン、クラフトモン!いったんゲートに入れ!
そう指示すると、ティンクルスターモンとクラフトモンは、私が開いたデジタルゲートへ入った。
二体はビオトープに入ってきた途端、地面に腰を下ろした。(ティンクルスターモンに腰はないが)
だいぶ疲労しているようだ。
とりあえず、特製栄養ドリンクを与えて栄養補給をさせた。
こ…
これからどうします!?リーダー!
「俺達の最後の切り札、それは…この自由自在にデジタルゲートを開けるランドンシーフだ。これを使って…粘れるだけ粘る!マッシュモン達は、伝送路を乗っ取っているマルウェアを探して駆除してくれ…できるか!?」
「シマッ!」
ボスマッシュモンとチビマッシュモン達は、敬礼のポーズをとった。
頑張ってくれ…!
- 856 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/23(土) 13:05:06.88 ID:PGVJP5TIo
- まだ足掻く
- 857 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/23(土) 13:35:20.19 ID:TlnrVhSsO
- しかし、これだけの数の蛮族デジモン…
戦力差を覆す方法はあるんですか!?
「…ドーガモン。深層学習は終わったか?」
『なんとか おわったゼ』
「よし…」
…何か秘策があるんですね。
- 858 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/23(土) 13:35:49.66 ID:TlnrVhSsO
- 『…デジタルゲートを開く技術がうっとうしいな。どこかにデジタルゲートを制御するシステムがあるはずだ、虱潰しに破壊しろ!』
蛮族デジモン達は、デジタル空間を次々と破壊していく。
メガは顔を青くしている。
「あああああ!サーバーのシステムが次々に破壊されていく!!」
『デジモン達だけに任せるのは非効率か。ファイヤウォールがない今、通常のマルウェアも送り付けてやるか…くっくっく…!』
すると…
AAAのデジドローンのすぐ近くに、デジタルゲートが開き…
ティンクルスターモンが出てきた。
ティンクルスターモンは、AAAのデジドローンを真っ二つに切り裂いて破壊した。
これでもう、AAAはデジモン達に指示は出せないし、デジクオリアでデジタル空間内を覗くこともできないはず…!
『くくく、ハズレだ』
そう言って、物陰からデジドローンが出てきた。
くそ、さっきのはダミーか…!
ティンクルスターモンは、今出てきた方のデジドローンに向かって飛んでいく。
『…軌道が決まったな!フーガモン、やれ!』
AAAがそう言うと、物陰からフーガモンが飛び出てきて…
青銅の棍棒を構えた。
しまった、罠だ!
戻れティンクルスターモン!
逃走用デジタルゲートを開こうとしたが、間に合わず…
フーガモンがフルスイングした棍棒が、ティンクルスターモンに当たった!
カキーンと甲高い音を立てて、勢いよく吹っ飛んでいったティンクルスターモンは、そのままデジタル空間の壁に突き刺さった。
だ…大丈夫かティンクルスターモン!
『ウゥ ダ ダメソウッス』
…致命傷を負っていないのが救いか…。
蛮族デジモンがトドメを刺しに来る前に、デジタルゲートを開いてビオトープにティンクルスターモンを回収した。
- 859 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/23(土) 13:39:18.43 ID:PGVJP5TIo
- も、もうダメだぁ…おしまいだぁ…
- 860 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/23(土) 13:43:45.61 ID:TlnrVhSsO
- てぃ、ティンクルスターモンまで…!
もうクラフトモンしか、成熟期相手にまともに戦えるデジモンがいない…!
クルエが席から立った。
「…確か、キノコ生成用のスパコンありましたよね。少し借りますね」
リーダーが答えた。
「い、いいが…何をする気だ?」
「あと、電話もちょっと借ります」
「いいが…だから何をする気だ!?」
「…リーダーには言えないことですが…今、私達に必要なことです」
「…そうか。信じよう」
「あざまっす」
クルエさん…
何か策があるんだろうか…?
- 861 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/23(土) 13:48:47.22 ID:TlnrVhSsO
- 『くっくっく!もう貴様達にできることはないぞセキュリティ!蛮族共、システムを徹底的に破壊し尽くせ!』
AAAのデジドローンがそう言い放つが…
『…?おい、シャーマモン共、コエモン共…どうした。聞こえていたら返事をしろ』
…成長期蛮族からの返答がないらしい。
『ん?おかしい…シャーマモン!コエモン!貴様らどこへ行った!?』
あれだけたくさんいたシャーマモンとコエモン達は…
いつの間にか
どこにもいなくなっていた。
『なんだ…何をした貴様ら…!?成長期蛮族どもをどこへやった!』
確かに…
どこへ行ったんだあいつら!?
私の隣で、リーダーが呟いた。
「戦えるデジモンは残り少ない。だが、まだ俺達には武器が残っているということだ。…思考という武器がな」
『何を言っている…!』
リーダー…
何をしたんだ…?
- 862 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/23(土) 13:49:14.06 ID:TlnrVhSsO
- つづく
- 863 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/23(土) 13:57:33.38 ID:PGVJP5TIo
- 乙
- 864 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/23(土) 14:02:01.50 ID:jHMWlyocO
- 乙
- 865 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/23(土) 14:10:17.12 ID:Hi/nyrvz0
- 乙
このチームスタンドプレー多いな…
- 866 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/23(土) 16:14:07.80 ID:jhD7Md8xo
- 乙
もがき足掻く事こそ生命の本質
- 867 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/23(土) 20:50:54.80 ID:SBfIyhan0
- 「何をした?」と問われてもその場にいる殆どの人は知らない
- 868 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/23(土) 23:32:12.62 ID:Tb+i1BnW0
- 中々の長丁場ね
- 869 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 19:32:16.79 ID:lgbTJ6wWo
- 人間もデジモンも結構独断行動多いのによく瓦解しないなこのチーム
- 870 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/25(月) 20:24:41.98 ID:aRWUSx6po
- 何したんですかリーダー?
リーダーは、マイクを切って少しだけ呟いた。
「…ドーガモン。投影。AAA。以上だ」
それだけ言った後、リーダーは再びマイクをONにした。
それだけ言われても…全然わからん…!
できればもっとちゃんと教えてほしい…!
あと、できれば何かするなら先に言ってほしい。
…だが、この状況では仕方ない。
もしも私達の会話の間に、敵が都合よく攻撃の手を止めてくれるのなら。
もしも話す時間が無限にあるのなら。
リーダーは事細かに、これから何をするか、今何をしたのか、丁寧に相談し、教えてくれるだろう。
チェスの駒を指し合うように、考える時間がいくらでも取れるのなら。
誰がどのデジモンに何をどう指示するか、チームのみんなでじっくり話し合って決めることができるだろう。
だが現実には、敵は我々が話し合っている間に攻撃を待ってくれなどしない。
一分一秒ごとに状況が変化する戦場だ。
攻撃のチャンスが一瞬で生まれては、一瞬で消えていく。
危機が一瞬で訪れ、パートナーデジモンに襲いかかってくる。
たとえ、その度に「待った」を宣言し、チームみんなでじっくり相談をしようとしたところで、ただ攻撃のチャンスが去っていき、新たな危機が訪れるだけだ。
もしかしたら、リーダーが成長期蛮族を消した手品は、事前に私にじっくり説明する時間をとっていたら、機を逃して間に合わずに失敗していたものだったのかもしれない。
…そう考えると。
たとえ軽率な行動で悪手を指し、大失敗するリスクを抱えてでも、今できることを、間に合ううちに、とにかくやり続けるしかない。
リーダーもクルエも、誰も彼も説明不足になるのは仕方ないといえるだろう。
説明する余裕がない状況なのだから。
- 871 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 20:26:15.48 ID:lXh+hupv0
- それでパズルのピースが噛み合うのは奇跡なのかチームワークの賜物なのか
- 872 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 20:29:18.84 ID:vDAwGCuA0
- 「我々の間には、チームプレーなどという都合のよい言い訳は存在せん。有るとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ。」とは正にこのことだ
- 873 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/25(月) 20:40:36.19 ID:aRWUSx6po
- しかし、とうとう攻撃できるのがクラフトモンだけになってしまった…
敵の蛮族デジモン達は、我々最後の武器であるランドンシーフのシステムを破壊して、デジタルゲートを自在に開く戦術を無効化しようとしている。
今、こうしている間にも、次々と蛮族デジモン達は我々のサーバーのシステムを破壊している。
じっと機を伺っていれば手遅れになるだけだ。
なんとかしないと…!
…でも、ここからどうしますか。
さっきの手品で、残りの成熟期達も消せませんか?
「AAAが見ている所では使えない手だ。それに、まだ戦力差を覆せる可能性はゼロじゃない」
どうするんですか…?
「チビマッシュモン達を繰り出して、デジタル空間内のマルウェアを駆除させて、デジモン伝送路のコントロールを取り戻せれば、ジャスティファイアからスターモンを呼べる…!」
…できますか?
この状態で。
「じゃあ他にどうする」
…やりましょう。
たとえ破れかぶれでも、本当の手遅れになる前に。
- 874 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 20:47:09.65 ID:yNnbHN/jo
- 詰み一歩手前、土俵際で長時間踏ん張ってるようだ
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