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デジタルモンスター研究報告会 season2 後編
- 75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/06(水) 22:51:21.80 ID:Q5wHwX3D0
- デジタマの段階でパルモン保育園に預けてればアグモンは良い子に育ってたかもしれない
- 76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/07(木) 18:09:47.62 ID:ZvZO7wYMo
- 暴れん坊アグモンVS無差別殺戮ドローンファンビーモン
タイマン張らせたらどっちが勝つかな
- 77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/08(金) 15:10:37.97 ID:qEEYWUqdo
- パッチ進化は対象がデジモンでも非デジモンでも可能なのならデジクロスも非デジモンと出来ないものか
- 78 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/08(金) 22:30:30.71 ID:u0lq/Itko
- …少し、話の順番が左右するが…
デジタルアソートのデモンストレーションを見るよりもしばらく前の話。
我々の研究チームが、ジュレイモン森林にて巨大化したジャガモンの盆栽城を目撃した直後の頃だ。
いったい何がきっかけで、この盆栽城ができるに至ったのか、我々は調査していた。
ジュレイモンの森の観察は、しばらくの間は他の研究員に任せていたので、彼が撮っていた映像記録を見ることができた。
ジュレイモンの森。
そこでは、相変わらず過酷な生存競争が繰り広げられていたが、3代目スターモンやゴツモン達、そしてテントモン達の生活にはある程度の秩序があった。
ごく初期の頃こそ、植物型デジモンと甲虫型デジモンは敵対していたが…
鳥類型デジモンや恐竜型デジモン、偶蹄類型デジモンの出現によって、森林の勢力図は一変した。
現在では、植物型デジモン、鉱物型デジモン、甲虫型デジモンはスターモンを最高戦力として手を組み、ビースト型デジモン達と争う構図になっている。
そうして生存競争が繰り広げられている中で…
突如、空に眩い光が輝いた。
やがて光の中から、何かが燃えながら地上に落下してきた。
よく観察すると…
https://i.imgur.com/LYTEpAA.jpg
…星型の弾頭にサングラスと口がついた、ミサイルのようなものが、ジェット噴射しながら森に突撃していたのである。
- 79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/08(金) 22:31:47.94 ID:qEEYWUqdo
- 勢力図に急展開の予感!
- 80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/08(金) 22:34:32.26 ID:stzaFQ4v0
- そっちも出るんだ!?
- 81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/08(金) 22:34:34.41 ID:TVOT05Nv0
- すげえ宇宙っぽいデジモンだ
- 82 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/08(金) 22:41:00.45 ID:u0lq/Itko
- そのミサイル型デジモンは、森林のど真ん中に着弾し…
凄まじい爆発と共に、巨大な衝撃波で森を揺るがした。
着弾地点では、木々は根こそぎ吹き飛び、宙を舞った。
そこに住んでいたデジモン達は、特大の衝撃派や、飛び散る土砂が直撃し、ズタズタに引き裂かれた。
砂埃が止んだとき…
中心には巨大なクレーターができた。
その威力は、これまで見てきた中で最大級だ。
スターモンが呼ぶ隕石よりも凄まじい。
パイルドラモンのパンチや、全盛期ジャガモンの攻撃ですら、これほどの威力は出ないだろう。
ミサイル型デジモンは、クレーターの中心に倒れたまま動かない。
やがて、最初に光ったあたりからデジタルゲートが開き、数体のデジモンが降り立った。
https://i.imgur.com/tGhQRcW.jpg
スターモンに似ているが…強靭な手足は生えていない。
ミサイル型デジモン同様に、サングラスのようなものが顔についている。
名称は不明だが、小型スターモンとでも呼んでおこう。
小型スターモン達は、吹き飛ばされた森林から、デジモンの死骸を集めて、クレーターの中心に寄ってきた。
ミサイル型デジモンは、小型スターモンから渡されたデジモンの死骸を、次から次へと、もりもり食べていく。
- 83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/08(金) 22:42:57.14 ID:tJkXspDto
- うわっえぐいなぁ
空中から一方的に大火力放たれちゃ手も足も出ないじゃん
- 84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/08(金) 22:47:11.56 ID:OwQLsi+h0
- これも人間の仕業がそれともデジモン自らゲートを開く能力があるのか
- 85 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/08(金) 22:49:26.48 ID:u0lq/Itko
- やがて、たくさんのデジモンの死骸を集めた後、ミサイル型デジモンを中心として、小型スターモン達は陣形を組んだ。
すると、ミサイル型デジモンと小型スターモン達の間に、何やら放電のようなバチバチとした光のワイヤーがつながった。
まるで網のようだ。
そして、ミサイル型デジモン達が浮き上がると…
その電磁網は、集めたデジモン達の死骸を包み込んで、持ち上った。
まるで海で漁網による漁をするかのように。
ミサイル型デジモン達は、そのままデジタルゲートの中へ入っていった。
…どうやらこのゲートは、レアモンや火口のズルモンのときのゲートとは異なる信号のようだ。
もしかしたら、ジャガモンが盆栽城になったのは、これがきっかけかもしれない。
- 86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/08(金) 22:50:08.15 ID:qEEYWUqdo
- AAAとは別件か
- 87 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/08(金) 22:56:46.02 ID:u0lq/Itko
- デジタルワールドには、未探索地域が未だにたくさんある。
むしろ我々が観察していない地域の方が多いかもしれない。
そこでは、驚くような生態系が発生しているかもしれない。
…かつて我々が全くのノーマークだった、蛮族と呼称される集団のように。
例のミサイル型デジモン落下事件の後、未探索地域をデジドローンで空撮していると…
同様のクレーターが見つかったことがあったそうだ。
つまりあのデジモン達は、あのやり方で何度か狩りをしているということだ。
効率がいいのか悪いのか分からないが…
とにかく大量に餌を獲得しているのは間違いない。
- 88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/08(金) 22:56:57.28 ID:stzaFQ4v0
- クラッカー側じゃない勢力の可能性もあるけれど、それにしても隕石漁というのはメチャクチャだなあ
- 89 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/08(金) 22:57:57.95 ID:u0lq/Itko
- つづく
- 90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/08(金) 22:58:43.59 ID:paRnC7Yko
- 人間の常識で見ると自然界に置いてはかなり反則染みた狩りだな
- 91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/08(金) 22:59:32.60 ID:Zi0bg8qe0
- 乙
こんなのグレイモンだって太刀打ちできねえ…
- 92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/08(金) 23:01:38.47 ID:qEEYWUqdo
- 乙
この攻撃見せてコマンドラモンさん達にどうすれば良いか考えさせてみたくなる
- 93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/08(金) 23:07:08.93 ID:stzaFQ4v0
- 乙
現実にもダイナマイト漁というのがあるならそれに近いのかね
- 94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/08(金) 23:09:09.66 ID:TJpUS6oZ0
- 乙
ハッカーがこいつらまで捕まえて隕石奇襲攻撃してきたら詰むぞ…
- 95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/09(土) 09:44:01.50 ID:1j/PBcTV0
- こんなの生態系一瞬で傾くぞ
- 96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/09/09(土) 20:45:27.19 ID:kydHDtNi0
- コイツらスターモンの派生種か…?それとも別のルートから進化したんだろうか?
- 97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/10(日) 00:19:56.18 ID:Qd5WyWSSo
- デジモン独自の進化か別の人間が手を加えたものか
- 98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/10(日) 19:34:10.83 ID:+i9Nagl80
- コマンドラモンが後何百匹いればこの隕石を撃ち落とせるライフル作れるのか
- 99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/12(火) 09:01:58.94 ID:UEZa2IbT0
- デジタルワールドの広大さに比べると基礎研究担当の人員やっぱ少ないのかねえ?
- 100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/13(水) 19:43:21.86 ID:g4DnGXcFo
- 人間達が頑張ってデジモンを使った武力を鍛えてもデジタルワールドはそれを嘲笑うかのような圧倒的なパワーを人間に見せつけてくるのは自然の強大さを思い知るね
- 101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/14(木) 08:51:23.45 ID:uTt/IOIGo
- 宇宙から一撃必殺の落下攻撃してくるのエヴァにいたな
- 102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/15(金) 08:30:03.12 ID:oPrM7zWSo
- 先週は忙しくなるから更新頻度控えめになると言ってたが今週はどうした?
- 103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/15(金) 14:20:27.81 ID:27k/m+HC0
- >>102
ハーメルン側で更新してるだけ。ツイッター見る限りでは生存中。
- 104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/15(金) 16:11:32.42 ID:IVvu1sT10
- 動きが少しでもあるだけでありがたい ゆっくり待つわ
- 105 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/15(金) 23:26:22.98 ID:bL6pcwm+O
- …
そして現在。
駐車場に停まった車から、二人の人物が降りてきた。どちらもミリタリー風の服を着ている。
一人は堂々とした雰囲気の、長い金髪の女性。
もう一人は、前髪が長く猫背の、細身な男性だ。
女性はリーダーの前に来て、口を開いた。
「私はジャスティファイアの代表者!ローグだ!キサマがバイオシミュレーション研究所のリーダーだな!?」
何だこの人!?
出会い頭に貴様って呼んだぞ!?
ローグ氏のそばで鞄持ちをしている細身の男性は、我々を見てペコペコ頭を下げている。
リーダーは頷く。
「そうだ。初めまして。ジャスティファイアは…軍と提携してデジモンを研究している組織か。アポイントメントが無かったが、何か急ぎの用事があるのか?」
リーダーは気にしてない!
あっこの人も敬語使わない勢だった。
「単刀直入に言う。今後のお互いのための話し合い…いや!取り引きがしたい!」
「取り引き…どんな?」
「要求は1つ。3体のデジモンを我々へ売却するがいい!」
上から目線ン!
「3体…どのデジモンだ?」
「お前らが鹵獲したという、ズバモン、ルドモン。そして…コマンドラモンだ!」
いきなり何いってんのこの人!?
- 106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/15(金) 23:27:53.65 ID:oPrM7zWSo
- アグモン一匹にも手を焼いてる奴等がなにを!
- 107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/09/15(金) 23:32:31.13 ID:BOo1TVIY0
- ジャスティファイアの代表者ってパルタスだよね?
- 108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/15(金) 23:32:44.27 ID:NM9uAEpno
- この世界のえらい人は意地でも敬語使わない
- 109 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/15(金) 23:34:11.24 ID:bL6pcwm+O
- 「そう言われて首を縦に振ると思うか?ローグ氏」
「ああ、振るだろうな!さあどうだ!売る気になったか!」
「理由を話せと言っているんだが?」
「理由か!ふむ!どこから話そうか!?」
すると、細身の男性が口を挟んだ。
「えーと、どうもリーダーさん。あっしはジャスティファイアの主任研究員、バンモチでやんす。この人ちょっとクチ悪いですけど、よろしくです」
「あ、ああ…よろしく。それで、我々への用件だが…まずは経緯をしっかり話してくれ」
「ですってローグの姉御。お願いしやすよ」
「いいだろう!まずは…」
ローグ氏が口を開こうとすると…
「その前にいいですか!」
クルエが遮った。
「なんだ!」
「…駐車場じゃなく応接室で話しません?」
「おお、そうだな!そうしよう!」
我々は応接室に行った。
シンが人数分コーヒーを持ってきてくれた。
- 110 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/15(金) 23:34:49.93 ID:bL6pcwm+O
- >>107
あっやべっそうでした
✕ローグ
○パルタス
以降気をつけます
- 111 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/15(金) 23:37:36.16 ID:bL6pcwm+O
- 読者の皆様、本当にすまない。
台詞でも地の文でも「ローグ」と書いていたが、車から降りてきた金髪の女性は「パルタス」氏である。
ちょっと修正が手遅れ気味な気もするが、どうか脳内補間でパルタスと名乗っていたことにしておいてほしい。
尚、猫背の男性の名はバンモチで間違いない。
- 112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/15(金) 23:48:15.10 ID:IVvu1sT10
- そもそも女性だったんだなあ
名前だけでケツアゴのオッサンのイメージになってた
- 113 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/15(金) 23:49:03.56 ID:bL6pcwm+O
- …
気を取り直して、と。
「私は独立行政法人ジャスティファイアの代表者、パルタスだ!こっちはバンモチ!主任研究員だ!」
「よろしくお願いしやす」
パルタスさんですね。
名前を間違えないようにしないと。
…それで、いきなり売れと言われて売れるわけがないでしょう、パルタスさん。
経緯を話してください。
「うむ、わかった!我々は元々国家防衛用セキュリティシステムの開発をしている。デジモン研究もその一環だ!」
元はシステム屋さんなんですね。
「そうだ!以前から国家防衛用デジモンの研究開発を進めている。海外のクラッカーの攻撃から国家のシステムを防衛したこともあるぞ!」
ええと、そちらの主力はマッシュモンとオタマモンでしたっけ。
「情報が古いな!まあ国家防衛システムを担うデジモンの情報をおおっぴらにはできない故致し方無しか!…それらは場繋ぎだ、我々の真打ちが完成するまでのな」
真打ち…?
そのデジモンが出来上がったんですか?
「そうだ!我々の最高傑作だ!見るか?」
いいんですか?見ても。
「これから腹を割って取り引きをしようというのに、隠し立てなどできるか!見ろ!」
そう言い、パルタス氏はタブレットPCを取り出して、画面を表示した。
遠くのサーバーで起動しているデジクオリアの映像をリモートで映しているらしい。
- 114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/15(金) 23:51:34.95 ID:8Sd+16Zko
- 気の強そうな女性ばかりだ
- 115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/15(金) 23:52:55.24 ID:oPrM7zWSo
- ただのペットならともかくコマンドラモン達は意志疎通可能だから彼らの意思も聞かないとねえ
- 116 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/15(金) 23:58:10.99 ID:bL6pcwm+O
- そこに映っていたのは…
https://i.imgur.com/tGhQRcW.jpg
手足がない小型スターモンと、それよりさらに小さな三角形のデジモン達。
https://i.imgur.com/LYTEpAA.jpg
そして…
以前森林に直撃した、ミサイル型デジモンだった。
えっ…?
これジャスティファイアさんとこのデジモンだったんですか!?
「おお、知っているのか?ピックモンズ、ティンクルスターモン、そしてシューティングスターモンを」
名前は知りませんが…
デジタルワールドで観察したことはあります。
森を爆撃して狩りをしていたところを。
「そうか。ならば、我々が育て上げたシューティングスターモンの実力は知っているだろう」
…ええ、知っていますとも。
そして、その残忍な狩りの手口も。
「残忍?はっ、そう見えるかもしれないな。だが必要なことだ」
必要なこと…?あれが?
「シューティングスターモンはとにかく腹が減りやすい!だからああやってたくさんエサを獲らねばならんのだ」
- 117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 00:00:31.99 ID:RpOaspr90
- もはや侵略用の兵器じゃねえか…
- 118 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/16(土) 00:11:21.35 ID:r6lEJ7IyO
- ちょっと待ってください。
「なんだ?」
…あんな狩りの仕方、無いんじゃないですか。
デジタルワールドの環境破壊、生態系破壊もいいとこですよ、あんなの。
「そうか?あの森には一度しか落としていないぞ。一度狩りをしたら、次はできるだけ遠いところで狩りをしている。何の問題がある?」
…。
「問題なかろう?」
パルタス氏に対して、リーダーが口を開いた。
「…その、シューティングスターモンで、何度かクラッカーと戦ったことがあると?」
「うむ。粘菌デジモンが来たことがあったな。負けたことは一度も無いぞ。威力の加減が難しく、護るべきデータを破損させたことはあったがな!」
パルタス氏がそう言うと、タブレット画面から合成音声ソフトの声がした。
『ワカッタカ オチビドモ オレサマガ ナンバーワンダ』
…今のはシューティングスターモンのチャットを音声にしたんですね。
…そのデジモン達は…
「そう、スターモンの子孫だ。本家スターモンより強く育てた自信があるぞ!」
…それで。
なんでうちのデジモン達を売れという話になるんですか?
ティンクルスターモンとピックモンズでしたっけ。
シューティングスターモンのデジタマから成長期や幼年期のセキュリティデジモンが産まれているなら、それを育てればいいんじゃないですか。
- 119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/09/16(土) 00:14:15.61 ID:5QnLP9WT0
- 火力高すぎ連発難しそうで防衛向きではなさそう
- 120 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/16(土) 00:20:45.81 ID:r6lEJ7IyO
- 「…」
どうしたんですかパルタスさん。
「…いや、シューティングスターモンを殖やすのは…無理だ!こんな大食らいを二体も三体も抱えてられるか!」
まあ、そうですよね。
『タリネーンダヨ モット タタカワセロ カリモ タイクツデ シカタネー』
「それにこいつは、さっき言った通り攻撃の威力調整があまり効かない!防衛すべきシステムを敵ごと破壊しかねないという危険性がある!」
じゃあ、そのティンクルスターモンとピックモンズは?
「こいつらは…まあ強いには強いが…。同じ戦力ばかりで構成されたチームは脆いものだ」
『イージャネーカヨ! アクトードモヲ ブッコロス チカラガ アレバ イーダロ』
…つまり。
器用なデジモンが欲しいと。
「そうだ」
自分で育てればいいんじゃないですか?
「そう思ってグレイモンのデジタマを拾って育ててみたが…、孵化して育ったアグモンは全く言うことを聞かない!」
…器用なデジモンが欲しくてグレイモンのデジタマ拾う判断は、どうかと思いますが。
- 121 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/16(土) 00:27:00.63 ID:r6lEJ7IyO
- スターモンの子供達を、器用なことができるように教育してみては?
「その結果がこのティンクルスターモンとピックモンズだ」
『パルタスノ アネキ! ツギハ イツ アクトードモヲ ブッコロセルンデスカイ!?』
「貴様ら…もっと器用に立ち回れるように勉強しろと、いつも言っているのがわからんのか!」
『ウェーーーイ オレラ コマカイコト ワカンネーッス! フゥーーーーー!!』
「フゥーじゃない!」
…器用な感じじゃないですね。
「どうにもスターモンの血がこういう感じらしい。誰かを護って戦うことに、本能的に飢えているようだ」
まあ、スターモンは小細工なしで、高いDPから来る純粋な強さで敵をねじ伏せるタイプですからね。
- 122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 00:29:37.81 ID:XtcuCIopo
- スターモンですらまともな手足はあったのにこいつら手足すらないんだから器用なことできないよね
- 123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 00:30:27.51 ID:Vu6BcLkf0
- 採取しようとしていたスターモンのデジタマだけど、
こうして育った結果を見ると大分ピーキーだな……
- 124 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/16(土) 00:33:41.57 ID:r6lEJ7IyO
- 「そういうわけでだ。我々ジャスティファイアは、新たにデジタルワールドから器用なデジモンの素質があるデジタマを拾って育てるよりも…貴様らが育て上げた優秀なセキュリティデジモンを量産する方がよいと判断したのだ!」
ズバモンとルドモンはクラッカーのデジモンを鹵獲したんであって、我々が育てたわけじゃないですけどね。
「なに!そうなのか!?」
はい。
まあ全然言うことを聞かないし、一向にこっちの仲間と打ち解けませんね。
優秀な力を持っているのに、宝の持ち腐れです。
「何もしなくてもエサを貰えるからだろう」
ええ、そりゃまあ…
餌付けを続ければ、いつかは感謝で心を開いてくれるかなと思って。
「甘い甘い!甘すぎる!メシ抜きにしろそんな奴ら!」
『ソウダゼェエーーーイ!フウゥーーー!』
ええ!そんな…
ネグレクトじゃないですか。
「ぬるすぎるわ!貴様らは可愛いペットでも飼っているつもりか!働かざる者食うべからず!だろうが!」
うーん…
それはどうかと思うけど…。
- 125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 00:35:47.47 ID:XtcuCIopo
- パルモン達はエサ関係なく言うこと聞くし言うこと以上のことするし…
- 126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 00:43:27.78 ID:AJ+NkJvz0
- うちのデジモン達はもはや研究員も同然なので
- 127 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/16(土) 00:43:40.58 ID:r6lEJ7IyO
- 「いいか!宝の持ち腐れというのはだな!ルドモンとズバモンの能力のことではない!貴様らにその剣と盾を預けていることの方だ!!我々に売れ!!」
…コマンドラモンもですか。
「そうだ!貴様らの活躍は見ている…が!コマンドラモンほど優秀なデジモンがたった一体しかいないというのはあまりにも勿体無いではないか!」
そりゃそうですけど…
「貴様らはこれからも、クラッカーのデジモンが出現する度に全国各地へヘリコプターで飛んでいくつもりか!?続くはずないだろうそんなセキュリティが!」
うっ正論だ!
痛いところをつく。
「貴様らのチームがどれだけ優秀でも、手数でキャパシティを上回られたら防衛しきれない!だからコマンドラモンを我々に売って殖やさせろと言っているのだ!」
カリアゲが眉間に皺を寄せる。
「ちょっと待てよ!殖やすのはいいけど、なんであんたらに売る必要があるんだ!うちで殖やせばいいじゃねーか!」
「それはいつになるんだ!?キサマらは今まで一体でも成長期を進化させて成熟期デジモンにしたことがあるのか!」
「い、いや、ねえけど…」
「我々にはある!このシューティングスターモンの実績がな!キサマ等に任せていてはいつまで経っても埒があかんわ!時間は有限だ、クラッカーはキサマらがもたもたしてるのを待ってはくれんぞ!」
「む、むむむ…!」
- 128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 00:50:12.34 ID:AJ+NkJvz0
- でもアグモン育児放棄してるしスターモン達も攻撃しか出来ないように育てたって実績だし…
- 129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 00:51:06.67 ID:sYz3jwgPo
- 当の本人達は勝手に売るかどうかの話されてどう思ってるのか
- 130 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/16(土) 00:53:13.28 ID:r6lEJ7IyO
- ところで、なぜコマンドラモンなんですか?
他のデジモンは?
…マッシュモン以外で。
「無論、殖やせるならみんな殖やしたいに決まっている!高い格闘能力とツタによる捕縛、粘菌デジモンの毒への耐性をもつパルモン!粘着糸で敵を拘束できる上に、野生の同種に比べて卓越した優秀な知能を持つワームモン!どちらも殖やしたいに決まっている!」
『…おれは?』
デジヴァイスからブイモンの声がした。
「ブイモンは…なあ…別に急いで殖やしたいものではない」
『…そうかよ』
…まあ、主張は分かりました。
どう思う、みんな。
私がそう聞くと、カリアゲがいの一番に口を開いた。
「…なめやがって…コマンドラモンはいつかうちで成熟期に進化するさ!仲間をそう簡単に売れねーよ!」
続いてメガが喋った。
「まずはアグモンを育ててみたらどうですか?」
シンも頷いた。
「コマンドラモンはうちらの仲間っすよ!売るとか何とか…ありえねーッス!」
クルエは悩み中のようだ。
- 131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 00:55:42.48 ID:Vu6BcLkf0
- ブ、ブイモン……
- 132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 00:56:28.49 ID:iqIBfYsLo
- ブイモンだって立派な脚と人間に近い指を持ってる腕とかあるのにねえ
- 133 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/16(土) 00:58:43.58 ID:r6lEJ7IyO
- デジヴァイスの中のデジモン達にも聞いてみた。
どう思う?コマンドラモン。
『…まずは いけんを ききたい』
まずはマッシュモンが画面に近付いてきた。
『かみよ コマンドラモンが いなくなるのは さみしい』
パルモンはマッシュモンの言葉に頷いている。
「こまんどは ともだち!なかま!いっしょにいたい!」
ズバモンとルドモンはこちらに興味を持っておらず、ゴロゴロしている。
ワームモンは悲しそうな顔をしている。
『ししょーから みならいたいこと まだまだ たくさんある』
ブイモンは何も言わない。
…みんな反対らしい。
まあ無理そうですね。
「く…何故だ、なぜ分かってくれない!」
あなたの言葉に説得力を感じないからじゃないでしょうか。
「ぬ、ぬぬ…」
- 134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 01:00:59.01 ID:j/dxtRXMo
- ゴロゴロってこいつら…
- 135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 01:01:32.09 ID:iqIBfYsLo
- ししょーなんだコマンドラモンさん
- 136 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/16(土) 01:02:11.11 ID:r6lEJ7IyO
- 最後に、リーダーが口を開いた。
「…俺は…。…パルタス氏の意見に…賛同だ…」
…え?
リーダー、今、なんて?
「…聞こえなかったか。賛同する、と言った」
は?
何言ってるんですかリーダー!?
私がリーダーの言葉に慌てていると、デジヴァイスの画面にチャットテキストが表示された。
コマンドラモンからだ。
『リーダーなら そういうと おもっていた』
こ…コマンドラモン…?
君まで何言ってるの…?
- 137 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/16(土) 01:02:38.75 ID:r6lEJ7IyO
- つづく
- 138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 01:02:55.60 ID:iqIBfYsLo
- 乙
気になるところで
- 139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 01:03:38.19 ID:xLLeXOdno
- 乙
そんなコマンドラモン…
- 140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 01:08:13.94 ID:Vu6BcLkf0
- 乙
雲行きが怪しく……
- 141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/09/16(土) 01:08:47.60 ID:5QnLP9WT0
- 乙
- 142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 01:14:14.37 ID:MvkfysOmo
- コマンドラモンいなくなったら単純な武力も色んな任務の汎用性も幼年期デジモン達への指導力諸々あらゆる総合力がガタ落ちしてしまう…
- 143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 01:25:42.26 ID:YMKxweZi0
- この取り引きが無事に成立できたとしても、コマンドラモンとジャスティファイア所属のデジモンたちとは反りが合わなさそうなんだが。
スターモン系列ってデータ種だ。そして最終的にはワクチン種のジャスティモンに進化するだろう。
ワクチン種って正々堂々の戦いを好む輩が多いって印象だ。
そんな奴等がウィルス種のコマンドラモンと連携取れるのかって話だ。
見たところ、相性良さそうなデジモンが同属性のマッシュモンだけ。
これでどうやってクラッカーたちを相手にできるのかって話なんだけど。
それで一番危惧してるのは、パルタスがコマンドラモンを死なせる可能性なんだよな。
どういう状況下でシューティングスターモンに進化させたのかは知らないけど、無茶やらかすととんでもねーことになるぞ?
- 144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 08:37:50.80 ID:MhXNYfEX0
- コマンドラモンがいなくなったら銃や爆弾も作れなくなってしまう…
何でも出来てまともに攻撃翌力あってまともに戦闘出来る唯一のデジモンなのに
- 145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 10:40:45.26 ID:iqIBfYsLo
- そういやスポンサーや神木さんどこ行った?
- 146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 10:49:59.40 ID:eNNQmczA0
- しかし最強の汎用性と最強の剣と最強の盾に見合うマネーは持ってきたんだろうね!
半端な額ではガール大人をからかっちゃいけないよ!って蹴飛ばすぞ
- 147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 11:27:19.80 ID:Ed8sct3W0
- ファンビーモンでいいじゃん…
アイツ的確に敵の目玉串刺しにして死体の山築く器用さあるぞ
- 148 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/16(土) 11:31:06.56 ID:Q+AQoDOUO
- どういうことですかリーダー。
パルタス氏の提案には乗り気になれませんが。
『それは彼女の営業が下手だからだなぁ!ハーッハッハッハ!』
今まで黙って聞いていたスポンサーさんの声が、端末から聞こえてきた。
「なっ…!なんだと!?侮辱か貴様!?」
『パルタス君!きみは前から思っていたが交渉がヘタすぎる!せっかくの提案がこれじゃ台無しだ!となりのバンモチ君に代わってはどうかね?』
「ぐ、ぐぬぬ…」
話を振られたバンモチ氏がなにか言おうとすると、リーダーが静かに口を開いた。
「…いや、いい。俺が説明する」
り、リーダーがですか。
「まず…先日のAAAとの戦い。お前らは勝ったと思うか?敗けたと思うか?」
え?
ああ、うちの本拠地を攻めに来たキャンドモンやシャーマモン達ですか。
ファンビーモンが片付けてくれましたよね。
我々の勝利じゃないですか?
「…みんなそう思っているのか?」
カリアゲ、シン、クルエはリーダーの問いに頷いたが…
当時、現場で対処に当たっていたメガは縦には振らなかった。
スポンサーさんはタブレット越しに、我々を観察しているようだ。
…尚、神木さんは「きみたち二人の商談に私が割り込むのは違う」と言って応接室には来ていない。
一通りの反応を確認した後、リーダーはメガの方を向いた。
「…メガ。お前だけ、勝ったと思ってないんだな」
んん…?
本丸を防衛できたから勝利じゃないの?メガ。
- 149 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/16(土) 11:51:51.46 ID:Q+AQoDOUO
- 「…あの戦いは、キャンドモンとシャーマモンを片付けて終わり、というものじゃなかった。最後にプラチナスカモンが潜んでいたのを覚えてる?」
ああ、うん。いたね。
何もせず帰っていったけど。
「…そこが重要なんだ」
え?プラチナスカモンが?どうして…
「ファンビーモンは、プラチナスカモンを一度攻撃した後…その場から飛び去ったんだ。プラチナスカモンを見て『食えそうにない』と思ったからだ。ファンビーモンにとって、餌にならない相手は威嚇対象ではあっても攻撃続行の対象じゃないんだ」
そ、そうなんだ。
「ここまでまだ分からないの?ケン…!ボスマッシュモンも肉体を構成できておらず、ファンビーモンも戦わない。本拠地が完全に無防備な状況で、プラチナスカモンを自由にさせていたんだ!もし、プラチナスカモンがキャンドモンみたいに火を吐くデジモンだったら、今頃ぼくらの拠点はどうなっていたと思う?」
…コマンドラモンやパルモン達を入れたランドンシーフと共に、私やリーダーがヘリで帰還するまでの間に…
システムを破壊されていた、か。
「…AAAがプラチナスカモンを帰らせたのは、どんな理由があったかは知らないけど…『敗北を認めて撤退した』からじゃない。『チェックメイトを指し終えたから』だと…僕は思う」
…チェックメイト。王手詰めか。
だけどチェックメイトを指し終えても、破壊活動をせずに彼らはそのまま帰ったのが事実でしょ。
戦力が足りなかったから帰ったんじゃないの?
「あちらの残存戦力がどれくらいいるか分からないけど…『キャンドモン達の親デジモン』がいるのは間違いない。やろうと思えば、それを引っ張ってくることはできたはずだ」
じゃあ、なぜそうしなかった?
「僕はあの時、もしも本当に詰んだら、せめてプラチナスカモンやキャンドモンの親などの戦力を監禁して道連れにするために、ネットワーク回線を切断してサーバーをスタンドアローンにするつもりだった。クラッカーからすれば、我々はそのリスクを負うまでもない相手だったから、撤退した…それだけの話だよ」
クラッカーはどんなデジモンでも道具扱いし使い捨てる奴かと思ってたけど、そうでもないのか。
「AAA自身は、貴重で価値ある道具を無駄にしないタイプらしい。もしAAAが、例のクレカ会社を襲った向こう見ずのバカみたいな奴だったら…どうなっていただろうか」
…。
「…これはあくまで、戦いを振り返った僕の解釈だ。ケンやカリアゲ達の解釈は違うかもしれない。それを踏まえた上で今尚、盤面を俯瞰して…胸を張って勝ったといえる?」
…生き延びるチャンスを得たことそれ自体は、敗北じゃないと思うけども…。
「現状認識が甘いんじゃない?ケン」
- 150 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/16(土) 12:16:30.60 ID:Q+AQoDOUO
- カリアゲがツッコミを入れる。
「そうだとしてもよ?コマンドラモンがいなくなったら、さらに防衛力が落ちるだろ」
「パルタスさん、仮にそちらでコマンドラモンが成熟期になった場合…産んだデジタマから産まれたデジモンを、我々は買えますか?」
「ん?当たり前だろう!むしろ一時的にとはいえ貴様らの戦力を手薄にしたのだから、サービスしてやるのが筋だろう」
いや、当たり前って…
そんなこと言ってなかったじゃないですか。
「なんだ、こんなこともいちいち言わんと伝わらんのか?」
パルタス氏の隣で、バンモチ氏が「伝わるわけないでしょ…」と呟いた。
『ハーッハッハッハ!きみは本当に交渉が下手なのが玉に瑕だなぁ!パルタス君の得意分野は明らかにこっちじゃないんだから、やはりバンモチ君に任せてはどうかね?』
「黙れクロッソ!!…おほん、話が脱線しているぞ、元に戻せ」
パルタス氏がそう言うと、リーダーが口を開いた。
「メガの言った通りだ。我々は現戦力の構造上の致命的な欠陥を突かれたんだ」
構造上の致命的な欠陥…ですか?
「ああ。この先もしも、クラッカーデジモンが沖縄と北海道に交互に出現したらどうする?我々研究チームが飛行機に乗って北へ南へ往復し続けるのか?」
それは…他のデジモン研究者にも頑張ってもらうしかないんじゃないでしょうか。
『ハッハッハ、君達は優秀だね。しかし優秀すぎるあまり、自分達に比べて周りがいかに遅れているか、いかに自分のレベルに遥か遠く追いついていないかを認識できていない!君達ほど優秀なセキュリティデジモンを揃えている組織はまだい無いよ!』
…じゃあ、我々が飛び回るしかないんでしょうか。
やだなあ、我々は研究が本分なのに。
パルタス氏が返事をした。
「今のままではそうなるだろうな!我々のティンクルスターモン達は軍事基地防衛用だ、ゆえに民間のパトロールへ向かわせることはできないからな!」
カリアゲが立ち上がった。
「なんだよ!軍のデジモンなんだろ、市民を守れよ!」
「陽動にすぐに食らいつくわけにはいかないだろう!」
…陽動?
- 151 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/16(土) 12:27:56.60 ID:Q+AQoDOUO
- 「そうだケン。俺達の戦力は、致命的といえるほど陽動に弱い。我々がコマンドラモン達を連れ出してる間に、我々の本拠地やクレカ会社のような本命を狙われたら、打つ手がなくなる。この致命的な弱点を、このまま放題するわけにはいかない」
でも、今まで相手はその欠陥をついてこなかった。
「いや、仕掛けてきたぞ。先日プチ見張りマッシュモン達が対処した、キーロガー型ゲレモンを覚えているだろう。奴らは見張りマッシュモンがいるユーザーのパソコンだろうと構わず侵入していた。これは情報を盗むことより、我々の戦力を撹乱するための陽動の意味合いが大きいだろうな。俺達はそれが陽動だと読んでいたからこそ、マッシュモンだけで対処することにしたんだ」
そ、そんな駆け引きが…
ちゃんと分かってなかった。
「幸いにも今はまだクラッカー側の戦力も育っていない。陽動用デジモンもマッシュモンで対処できるうちはいい。だがプチ見張りマッシュモンで対処できなるくらい敵の戦力が増したらどうする?見殺しにするか、本隊で出現するしかなくなるだろう」
う、うぅ…!
考えただけで頭が痛くなる!
我々以外にも誰か強いセキュリティデジモンを増やしてくれよ!
「…パルタス氏が今やろうとしていることが、まさにそれだ、ということだ」
あ…。
…そういうことだったんだ。
「だから最初からそう言っているだろう!何を聞いていたんだ貴様ら!」
カリアゲが立ち上がった。
「ちゃんと!!!!!!!順を追って!!!!!分かるように!!!!!!話せ!!!!!!」
ひぃぃ!
カリアゲがキレた!!
- 152 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/16(土) 12:30:02.41 ID:Q+AQoDOUO
- パルタス氏はカリアゲの気迫に気圧されていない。
「そんなことも言わなければ分からないのか!!!!それくらいの現状分析は済ませているものかと普通思うだろうが!!!!」
「思わねーーよ!!!」
ああうるさい!
二人共声を抑えてくれ!!
- 153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 12:31:57.95 ID:mN5C3JaRo
- ロックマンエグゼみたいにネットの中で駆け回ってどこにでもいけたりアンパンみたいに助けてーを聞いてどこへでも一瞬で駆けつけられるヒーローみたいにはいかないか
- 154 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/16(土) 12:42:18.73 ID:Q+AQoDOUO
- 『ハーッハッハッハ!リーダー君が日本語に翻訳してくれたおかげでやっとまともに交渉ができたねえ!流石はリーダー君だ!!』
「なんだクロッソ、その言い方は!私はずっと日本語を喋っていたぞ!?」
まあ、わかった…分かりましたよ…。
…コマンドラモン、どう思う。
『…わたしも おなじことで なやんでいた だが なかまのことも だいじだ ふたつにひとつなら わたしは なかまをえらぶしかなかった』
…え。
『なかまをいまいじょうに まもれるように ならなければ わたしはここを はなれられない』
コマンドラモン…。
そ、それはそうだ!
コマンドラモンの火力は貴重だ。それが欠けたら、正直スカモン大王に勝てないぞ。
「うむ!だから代わりに、我々のティンクルスターモンを貸してやろう!ついでにオタマモンもな!成長期だが強いぞ!それならどうだ!?」
『エェー!?アネキ、コイツラ キノコト ヤサイシカ クワネーッテ キーテマスゼ ネーワ!マジネーワ!ニククエネーノハ ゼッテーヤダゼ!』
…ティンクルスターモンは乗り気じゃないみたいですが。
「こらティンクルスターモン!反抗するな!飯抜きにするぞ!」
『ウヌヌ デモ コンヤノ バンメシ ヌイタホーガ マシッスワ! カンベンシテクダセーナアネキ!』
…乗り気じゃないみたいですよ。
バンモチさんが「甘えてるだけですよ、なんだかんだ言うことはききます」と呟いた。
- 155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 12:48:35.80 ID:Vu6BcLkf0
- 無理やり言うことを聞かせてるってわけでも、奔放な性格を野放しにしてるってわけでもないのは良い所だな
クラッカー側と明確に違ってはいる
- 156 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/16(土) 12:52:59.51 ID:Q+AQoDOUO
- 『ハーッハッハッハ!話し合いがグダグダだな!!論点があっち行ったりこっち行ったり!!なあパルタス君!』
「なぜそれを私に言う!?」
『…もういい。我々はあまり暇じゃないんだ。バンモチ君、パルタス君に代わって話を進めてくれたまえ』
「おい!?クロッソ、何を…」
「えー、それでは。改めまして、主任研究員のバンモチです。うちのパルタスが失礼な発言を繰り返してしまい、申し訳ありませんでした。アポも取っていないのにこのように応対していただき、深く感謝しています」
あ…いえいえ。
「まず、提案させていただく取引内容の説明をさせていただきます。その後、お互いにできるだけ損をせず、共に得ができるよう、摺り合わせをさせていただきたいと考えています」
ど、どうも…よろしくお願いします…?
頭を下げた私のそばで、クルエがひそひそと声をかけてきた。
「ケン君、こういう人が一番手強いって相場が決まってるんです。リーダーは大丈夫だと思うけど、ケン君はうっかりペースに乗せられて流されないようにしてくださいね」
あ、う、うん。ありがとう。
いかん!たしかになんか『取引することは決まってる前提』で話す気分になってた。
…気を引き締めないと。
- 157 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/16(土) 12:53:32.81 ID:Q+AQoDOUO
- つづく
- 158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 13:03:03.65 ID:+QKzw6izo
- 乙
相手には「コマンドラモン達」がいる研究所デジモンチームが将来どれだけ利益を生み出すかも想定した上でコマンドラモン達をスカウトする額を提示してほしいね
- 159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 13:04:25.19 ID:Vu6BcLkf0
- 乙
最初は隙のある話をしつつ別人に変わってから詰めてくるというのはカンナギを彷彿とさせる
こっちは流石に意図的にやって無さそうなのは大きな違いだが
- 160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 13:22:16.21 ID:Q5miqF44o
- 乙
デジモンが携帯の電波に乗れればどこにでもすぐいけるのに
- 161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 13:38:35.31 ID:CV+1PSmC0
- 乙
北海道から沖縄だろうがデータの送受信ならよっぽど重くないと時間かからないけどデジモンはクソ重いのかな?
コマンドラモン欲しい他の組織からしたらこの場で勝手に取引成立しちゃうの可哀想だな
- 162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/09/16(土) 14:46:05.43 ID:q5qMJIrkO
- 乙
- 163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 16:25:37.60 ID:iqIBfYsLo
- 大味な攻撃しか出来なくて大食らいのティンクルスターモンをもらっても使い道限られてる上に維持費かかって困るよなあ
- 164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/09/16(土) 16:30:41.26 ID:5QnLP9WT0
- ついでのオタマモンもスポンサーさんに言えばデジタマ売ってくれそうだしあんまりメリットないよね
- 165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/09/16(土) 16:31:16.92 ID:5QnLP9WT0
- それに研究的にも思い入れ的にもコマンドラモンは自分たちの手で進化させたいよね
- 166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 19:52:50.26 ID:VKGwhNVC0
- コマンドラモン+剣と盾セットをオークションに出したらいくらまで競り上がるかな
- 167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/16(土) 23:24:02.19 ID:iqIBfYsL0
- 人から交換でもらったポケモンはレベル高いと言うこと聞かないけどデジモンもありそう
- 168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/17(日) 16:46:59.97 ID:pWBymS6lo
- そんなにコマンドラモン欲しかったんならコロモンをコマンドラモンに進化させりゃ良いだろうに
- 169 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/17(日) 20:39:02.38 ID:7uDC+5JFO
- バンモチ氏は、先程までシューティングスターモン親子を映していたタブレットで、いろいろな統計データを映し始めた。
「まず、私達がきょう話したい内容は、今後のクラッカーによるデジモンサイバー攻撃への備えと対策について、お互いに協力できることはないか…と、相談しにきたんです」
ふむふむ。
「パルタスさんはコマンドラモン達を売って欲しいと言ってましたが、それはバンモチさんが推している提案であって、それにこだわって手段を限定する気はありません」
え、あ、ああ、そういうスタンスだったんですか。
まずそこから知りませんでした。
「なんだバンモチ?そんなこと最初から私が言ってるではないか」
「言ってませんパルタスさん。思いっきり省いてました」
「それは省くだろう!我々がコマンドラモンを売って欲しいと頼むのに、それ以外の道理など無いと、少し考えれば判るだろう?なあ?」
いえ…
何考えてるかわかんなくて怖かったです。
「えぇ!?なぜだ!?」
『ハッハッハ…バンモチ君、続けたまえ』
「まずはお互いに、昨今のデジモンサイバー攻撃の手口や規模、動向について情報交換しましょう」
わ、わかりました。
「なんだバンモチ?そんなまどろっこしいことしてないで早く本題に…」
『バンモチ君!パルタス君の茶々は気にせず続けたまえ』
「クロッソ!なんか急に私への当たりが強くなってないか!?」
- 170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/17(日) 20:53:21.66 ID:dpKcMPjs0
- 見れば見る程、頭の悪そうなミリタリー女ってイメージだ。容姿が艦〇れのビス〇ルクみたいで嫌なんだけど。
好きなデジモンは『タンクモン』の様な鋼の帝国(メタルエンパイア)所属のデジモンか?
- 171 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/17(日) 21:07:09.80 ID:AjFLhrNqo
- しかし、このバンモチさん…
始めて会ったときは「あっしはバンモチでやんす」とか言ってたけど、急に喋り方が変わったな。
まあいいけど。
「まずは我々から報告します」
要約するとこうだった。
政府がジャスティファイアにデジモンサイバー攻撃への対策研究を委託したのは、例の鉄鋼会社事件が起こって間もない頃だった。
スカモン大王を餌にして育ったマッシュモンのうち数体を、とりあえず警備につけながら、デジモン研究をしていた。
最初に採取したのが、グレイモンの産んだデジタマだった。
そこから産まれたデジタマをとりあえず育成してみたが、幼年期デジモンに言語教育をしようとしても全く興味を示さない。
そのまま成長期になったが、やはりいくら言語教育をしようとしても興味を持たない。
やがて財務省のサーバーに、スパイウェア型デジモンが来たので、アグモンに迎撃させようと試みたが…
周囲のマッシュモン達を攻撃し始めたので、引っ込めた。
それ以来、アグモンは飼い殺しみたいな状態になっているという。
「…私達はデジモンという生物の行動原理を全くわかっていなかったんです。クラッカーがデジモンを操っているのだから、私達もデジタマを拾えば言うこと聞いてくれるパートナーへと育つだろう…と考え、まずは最初のトライアルをしてみたんです」
その結果、アグモンは言うことを聞いてくれなかったと。
「私達は、デジモンの『戦う動機』とか『人に協力しようとする動機』を軽んじていたんです」
「デジモンは命じられれば戦うのが当たり前」…そんなわけがないんですよね。
デジモンはロボットでも奴隷でも、ましてや正義のヒーローでもないんですから。
「そうです。デジモン自身に、我々人間に対して協力する動機や、クラッカーと戦う動機がなければ、命令を聞くはずもないし、敵と戦ってくれるはずもない。そして、アグモンに今からそれを持ってもらうにはもう遅かった」
「…そうだなバンモチ。アグモンには悪いことをした。そもそもグレイモンは、野生において集団行動せずに単独で狩りをするデジモンだ。誰かと共生しようという本能が、遺伝子レベルで存在していなかったんだ」
そうですね。
我々の世界でも、スナネコやアライグマ等、もともと飼育に向いていない動物というのが存在します。
「どんな動物とでも、愛情を持って接すれば必ず心を通わせられる」なんてことはありえません。
我々がファンビーモンをパートナーにできなかったように。
『それに気づけただけでも君達の組織は優秀な上澄みだよ!バンモチ君、パルタス君!セキュリティデジモン研究をしている組織は零細やベンチャーなどそこそこ多いが、未だにそこに気付けない者達が大勢いるんだ!ハッハッハ!』
- 172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/17(日) 21:09:23.99 ID:pWBymS6lo
- デジモンの飼育法が未だに曖昧な故の悲劇
- 173 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/17(日) 21:15:06.90 ID:FpW47RzzO
- ちなみにそのスパイウェアデジモンというのは…
「その時来たのはゲレモンでした。今は海外から別のデジモンが攻めてきますが…その話はまた後で」
分かりました。
ただひとつ。
グレイモンが、集団行動をしないというのは違うと思いますよ。
我々が野生でグレイモンを目撃したときは、タスクモンやティラノモン、グラウモンと共に協力して狩りをしていました。
だから、遺伝子レベルで共生不可能ということはなく、条件次第では共に戦ってくれるように育つかもしれません。
「そういえば…。あれ?ではなぜ我々とは共に戦ってくれないんでしょうか…」
…グレイモン達には「上下関係」がないからじゃないでしょうか。
近い実力で、実際に一緒に戦場に立って戦う仲間とでなければ、協力しない、とか。
「その発想はなかった…」
- 174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/17(日) 21:16:33.73 ID:RQvRRbbRo
- アグモンと対等に拳と拳で殴り合えるような奴が必要とな
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