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デジタルモンスター研究報告会 season2 後編

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488 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 20:39:38.74 ID:jG8eKLMGO
セピックモンは、上方を見上げている。
木の上にいる何かを付け狙っているようだ。

やがてセピックモンは、ブーメランを投げた。
ブーメランはくるくると弧を描くように飛び、木の影にいたデジモンに当たった。

「ギャッ!」

悲鳴を上げたデジモンは、木から落ちた後、バサバサと飛んで逃げた。

そのデジモンは…
https://i.imgur.com/q2ElLeR.jpg

…うおお、まるで悪魔のような姿だ。
発達した手足と、ふたつのコウモリのような翼が生えており、おおきな口を開けている。

命名イビルモン。
その形態から察するに、コウモリ型デジモンピピスモンの子孫であるピコデビモンが進化した姿だと思われる。

驚いた…。
コウモリのデジモンが、こんな姿に進化するとは。

我々は、このコウモリ型デジモンから進化し系統を、翼人型デジモンと呼称することにした。

さて、セピックモンが投げたブーメランは、セピックモンの手元へ帰ってきた。
凄まじいコントロールである。

攻撃を受けたイビルモンは、逃げようとしたが…

「ギギ…!ギャウウゥーーー!」

空中でターンして、セピックモンへ飛びかかってきた。
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 20:41:36.72 ID:+uiGxW6zo
どんどん現実世界じゃあり得ない姿のデジモンが発見されていく
490 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 20:48:42.97 ID:jG8eKLMGO
「ヒャアアアアアイイアアーーーーー!!」

イビルモンは口を大きく開けて、けたたましい声を上げた。

それを聞いたセピックモンは耳を塞いだ。
「ウギッキッキイイィイイイーーーーー!!」

どうやらイビルモンは怪音波を発して攻撃することができるようだ。
ピピスモンが持っていた超音波ソナー能力を発展させた力のようだ。

イビルモンはセピックモンに接近し、声を止めた。

セピックモンはブーメランを構えた。
このうるさい敵の声を止めてやろうというのだろう。
イビルモンへ近づき、ブーメランを振りかざした。


「ビィーーーーーーーーーーーーーーヤァアアアーーーーーーーーーーーーー!!!!」


イビルモンはセピックモンの耳元へ口を近づけ、凄まじい爆音を発した。

「ビギャアアアーーーーー!!」

セピックモンは怪音波攻撃をまともに頭部へ食らって、そのまま後方へ吹き飛んだ。

「ギギ!キィー!」

吹き飛びながら、やぶれかぶれの様相でブーメランを投げるセピックモン。
だがイビルモンはそれを軽々と躱した。

吹き飛んだセピックモンは、背中から太い木へ叩きつけられた。

「ウギッ!」

地面に伏すセピックモン。

「アギ…ギ…!」

悶え苦しんでいるセピックモン。
怪音波で吹き飛んで木にぶつかったダメージよりも、それを顔面に浴びせられたダメージが大きいようだ。
491 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 20:52:34.77 ID:jG8eKLMGO
「ウッヒャッヒャーーー!」

弱ったセピックモンを見てニタリと笑みを浮かべたイビルモンは、セピックモンへにじり寄り、噛みつこうとした。

「ウギャッ!」

そう悲鳴を上げたのは…
イビルモンの方だった。

先程セピックモンが投げたブーメランが戻ってきて、イビルモンの後頭部にクリーンヒットしたのだ。

「ゥ…グギ…!」
ばたりと倒れるイビルモン。

二体とも意識が朦朧としているようだ。

「キ…キィイ…!」
「ウビビ…!」

二体とも、必死に立ち上がろうとしている。
この勝負、先に立ち上がったほうが勝つ…!
492 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 20:53:09.51 ID:vGlq/eMa0
蛮族相手に優勢取れるんだったら、研究所チームはイビルモンのデジタマを採取すればいいんじゃないかな?
493 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 20:56:21.11 ID:2/Ph1wnx0
トトカルチョしたくなるような勝負だ
494 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 20:59:41.02 ID:jG8eKLMGO
「ウッホッホーーー!!」

…そのとき、上空からデジモンの声が聞こえてきた。

なんと木の上から、一等身体型のずんぐりむっくりした茶色い類人猿デジモン、ジャングルモジャモンが、骨棍棒を構えて飛び降りてきたのだ。

ジャングルモジャモンがふり下ろした骨棍棒が、イビルモンの脳天を力強く打った。

「ギャアアアアアーーーー!」

頭部から出血し昏倒するイビルモン。

「ウッホ!ホッホッホッ!」

ジャングルモジャモンは、イビルモンにのしかかり、その頭部を骨棍棒で滅多打ちにした。

イビルモンはそのまま絶命した。

ふらつくセピックモンは、よろよろと立ち上がるが、足元がおぼつかないようだ。

「ウホウホ!」

ジャングルモジャモンは、イビルモンの死骸を左肩に担いだ。

「キー…」

セピックモンは、ジャングルモジャモンの右肩に寄りかかった。

「ホー!ホッッホ!」

ジャングルモジャモンは、ふらついたセピックモンと、イビルモンの死骸を抱えて密林の中を進んでいく。


…蛮族デジモンのセピックモンは、それなりの戦闘力を持っており、イビルモンもそれに負けていなかった。

だが蛮族デジモンには、群れで狩りをする知恵がある。

イビルモンは、その差に敗れたのだった。
495 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 21:05:23.85 ID:l/51VFYlo
伏兵の可能性を考えられなかったのはまだまだだなイビルモンよ
496 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 21:05:49.11 ID:jG8eKLMGO
意気揚々と進むジャングルモジャモン。
やがてセピックモンは意識を回復したのか、自分の足で立ってあるき始めた。

蛮族デジモンの群れの力は、やはり強力だ。


「ガウウウゥ!」

その時。
草陰から飛び出してきた何者かが、セピックモンを襲った。

https://i.imgur.com/Qlrhirc.jpg
青く美しい毛並みをもつ狼のようなデジモンが、セピックモンを押し倒したのだ。
命名ガルルモン。今までいそうでいなかった、イヌ科系統の肉食哺乳類型デジモンだ。

「キー!キキーッ!」

マウントを取られたセピックモンは、ブーメランでガルルモンを殴りつけようとする。

「ガウゥ!」

だがガルルモンは、強靭なアゴでセピックモンの首へ噛みついた。

「フギイィ!」

じたばたと暴れるセピックモン。

「ウ、ウホホー!」

ジャングルモジャモンは、セピックモンを助けるため、骨棍棒でガルルモンの頭部を殴りつけた。

「ガウ!」

ガルルモンはふらついたが、セピックモンの首を噛む力を緩めない。
497 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 21:07:32.63 ID:/E1GHRL9o
どこのお宅のワンコかな?
498 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 21:19:54.19 ID:jG8eKLMGO
「ウホホー!」

ジャングルモジャモンは追撃を試みた。
だが…

「ウゥゥ〜〜!!」

草陰から3体の肉食哺乳類型成長期デジモン…ガジモンが飛び出して、ジャングルモジャモンに背後から長い爪を突き刺した。

「ウボォォォオ!!」

激痛で悲鳴を上げるジャングルモジャモン。
怒りに身を任せて、ガジモンを一体殴り飛ばした。

「ギャッ!」

骨棍棒で殴られ、一体のガジモンが吹き飛んだ。

しかしガジモンの一体は、ジャングルモジャモンの顔面に貼りつき、顔をしっちゃかめっちゃかに引っ掻いた。
長い爪を、ジャングルモジャモンの右目へ突き刺した。

「ウボゴォォォオオ!!」

もう一体のガジモンは、ジャングルモジャモンを背後から爪で滅多刺しにする。

「ウオォホオォォ!」

血まみれのジャングルモジャモンは、顔面に張り付いたガジモンを引き剥がそうとする。

掴まれたガジモンは、ジャングルモジャモンに放り投げられた。

「ウ、ウホホ!」

体勢を整えようとするジャングルモジャモンだったが…

「ワオオォオーーン!」

先程までセピックモンを攻撃していたガルルモンが、ジャングルモジャモンに飛びかかり、顔面に噛みついた。

「ウホオォ!?」

どうやらセピックモンは既に虫の息らしい。
バトンタッチしたかのように、ガジモン達はセピックモンへ襲い掛かり、長い爪でセピックモンの首を滅多刺しにして、トドメを刺した。
499 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 21:25:20.37 ID:jG8eKLMGO
「ウーホ!ウゥーーホ!!」

ガルルモンから顔に噛みつかれ、激しく抵抗するジャングルモジャモン。

「ガウウゥ!」

ガルルモンはやや困惑している。
セピックモンは首という急所が明白だったので、そこへ噛みつけば良いとすぐに判断できたようだが…

ジャングルモジャモンは一等身だ。
首らしい首がないのである。

「ウホオォオーー!」

ジャングルモジャモンは、顔に噛み付くガルルモンの頭部を、骨棍棒でしこたま殴りつけた。

「ギャウウゥ!ウゥゥ…ガウウゥーーー!」

ガルルモンは、なんとジャングルモジャモンの顔に噛みついたまま、口から炎を吐いた。

「ウゴボォオオオオーーーーーーーー!!!」

顔面を焼かれるジャングルモジャモン。

「フグゥゥオオオホッホーーー!」

ジャングルモジャモンは、セピックモンの死骸の傍らにあるブーメランを拾い…
ガルルモンの後頭部へがんがんと叩きつけた。

「ギャウゥ!」

さすがに効いたようだ。
ジャングルモジャモンから飛び退くガルルモン。

ジャングルモジャモンは…

「ヒ…ヒヒー!」

木に登り、一目散に逃げていった。
500 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 21:29:15.48 ID:IzqMhPU70
一頭身なのが戦う際にメリットになること、あるんだな……
501 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 21:30:24.15 ID:qEVMmvWu0
首がどこかわからない
カービィ?
502 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 21:30:58.96 ID:jG8eKLMGO
三つ巴の戦いを制したのは、ガルルモン一派だった。

セピックモンとイビルモンの死骸を解体し、ガルルモン一体とガジモン三体はそれを食べた。

ジャングルモジャモンは、この戦いでは敗走する形になったが…
それでも戦いを生き延びることができた。

一等身であるがゆえに、ガルルモンに噛まれて急所となる首がないため、ガルルモンの噛みつき攻撃を食らっても致命傷にならなかったのだ。

…近頃、群れで狩りをするデジモンが増え始めているように見える。

それはすなわち、集団生活をする習性をもつデジモンが増えてきたということだ。

我々はセキュリティデジモンのデジタマを採集するとき、必ず「集団生活する習性を持つデジモン」のタマゴだけを拾うようにしてきた。

集団生活をする素質をもったデジモンでなければ、我々のチームで共に生きるという概念すら理解できないためである。

クラッカーもきっと同じだ。
ランサムウェアデジモンとしてアイスモンやシャーマモンをスカウトしたのは、その性質だけでなく、集団行動が可能であるからだろう。
503 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 21:35:09.22 ID:jG8eKLMGO
さて、善は急げだ。
ガルルモンの巣を見つけて、ガルルモンのデジタマを採取しよう!

イヌは人類の共だ。
それに近い姿のガルルモンも、きっと我々と行動を共にできるはずだ!

そう言うと、シンがひょっこり顔を出した。
「いいッスね!んで、どうやって採取するんスか?」

そりゃもちろん、エクスブイモンやキンカクモンのデジタマを取った時同様にダグラスコマンドラモンの光学迷彩で…

「でも、ケンキモンの本体は光学迷彩使えなくなってるッスよ?」

…あ。



「…わたしはいま このすがたになったことを すこしこうかいしている」
ケンキモン…気を落とすなって。
そういうこともあるさ。
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 21:37:43.46 ID:qEVMmvWu0
割と気軽にデジタマ採取していくけどみんなを食わせていける環境昔よりは良くなったんかな
505 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 21:38:09.54 ID:vGlq/eMa0
ダグラス?
はて………?
506 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 21:38:35.80 ID:jG8eKLMGO


ジャングルモジャモンが帰還した集落では、蛮族デジモンが集団生活をしていた。

ジャングルモジャモンは、フーガモンに狩りの失敗を報告して怒られていた。

やがてジャングルモジャモンは、草を集めて、木の小屋へ向かった。

小屋では偶蹄類型成長期デジモン、バクモンが何頭か飼育されていた。
な、なんだ?家畜か…?

草を食べたバクモンは…
光り輝き、進化した。

https://i.imgur.com/gPzQifj.jpg
シマウマ型デジモン…シマユニモンとなった。

な、なんだ…?
なぜ蛮族デジモンは、バクモンを飼育しているんだ…?
507 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 21:39:18.96 ID:jG8eKLMGO
つづく


>>505
誤記ですスミマセン
普通のエクスブイモンです
508 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 21:39:45.67 ID:jG8eKLMGO
まちがった
普通のコマンドラモンです
509 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 21:40:49.94 ID:qEVMmvWu0

ディノヒューモン村が追い越されそうな勢いの文明発達
510 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 21:42:53.50 ID:ZqlUQ5/Ro

馬肉美味しいのかな
511 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 22:38:37.91 ID:IzqMhPU70

鍛えてた能力でも無くなっちゃうことはあるわけなんだなあ
512 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/10/30(月) 08:42:48.96 ID:dHqcD/KA0
513 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/10/30(月) 08:42:49.05 ID:dHqcD/KA0
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/10/30(月) 08:42:48.99 ID:dHqcD/KA0
515 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/30(月) 08:59:07.89 ID:eOay3UE+o
今までの戦闘コマンドラモンに頼りすぎてたとこもあるかな
516 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/30(月) 18:35:38.64 ID:/tEiMmAM0
色んな制約を課せられながらお仕事しないといけないブラックな職場
517 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/30(月) 22:22:12.34 ID:/otmwTg1o
蛮族どもは家畜を進化させる方法まで
518 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/31(火) 11:28:12.62 ID:ygP1D36Oo
頑張って訓練して鍛えた透明化なくなっちゃったの悲しい
519 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/04(土) 19:24:03.51 ID:qv7haNB+0
コマンドラモンのおかげで進化なんてデジモンそれぞれで条件全く違うってことがようやく分かったばかりなのに向こうはガンガン進化と量産してくる
520 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/08(水) 11:58:01.25 ID:ePB30675O
ディノヒューモンの集落。
ここの住人達は殺気立っていた。
度重なる蛮族の襲撃に苛立ち、ついに蛮族の撲滅に打って出る気になったようだ。

農作業の傍ら、ブイモン、カメモン、スナリザモン、ワームモン等の成長期デジモンたちは、戦闘の鍛錬をしている。
(※ブイモンとワームモンは、我々のパートナーとは別個体なので注意されたし。)

スティングモンは、特にブイモン達へ力を入れてトレーニングをさせているようだ。
剣道のように木の棒で叩きあう試合形式の訓練もやっている。

先日の蛮族との戦いによって、エクスブイモンが命を落としたことで、スティングモンは今パイルドラモン及びディノビーモンへのデジクロスという最大戦力を喪った。

加えて、モスモンというナンバー2も同時に死んでしまった。

これまで農園を防衛できていたのは、ディノビーモンとモスモンという強大な戦力のお陰と言ってもいい。
それを喪った今、蛮族の撃退には手を焼いているようだ。
現在の最高戦力は、燃える体と鋭い爪を持つ爬虫類型デジモン、フレアリザモンだが…
ディノビーモンのように無双できる程強いわけではない。
故にスティングモンは、早く次世代のエクスブイモンを育て、デジクロスの力を復活させようと躍起になっているようだ。

ただし、あの戦いでは蛮族側もハヌモン及びゴリモンというトップ戦力を失った。
ジャングルモジャモンやセピックモン等のDP低めな成熟期はそれなりにいるが、ハヌモンやゴリモンと比べれば戦闘力は雲泥の差だ。

特にハヌモンは、不意打ちとはいえどレベル5のディノビーモンと刺し違えた怪物である。
…実際にはディノビーモンとの間には大きな力の差はあるが、パイルドラモンの鋭いパンチを何度もヒョイヒョイ回避した身軽さは成熟期の中では別格といえるだろう。

そんなわけで蛮族は、小競り合いを繰り返しながら、ヒヒ型のバブンガモン、原人型のフーガモン、ドリル付きモグラ型のドリモゲモン、そして人間の女性に極めて近い姿のキンカクモンを中心として、戦力増強を図っているようだ。

…さて、そんな緊張感が漂う中…
ついにディノヒューモンの集落では、一体のブイモンが成熟期への進化に成功した。

エクスブイモンではない。
翼が生えた竜型デジモン…コアドラモンとなった。
https://i.imgur.com/AygPCwG.jpg

がっしりとした手足は、格闘戦が得意そうだ。
さらに、集落では昆虫デジモン以外で珍しく飛行能力を持っている。

コアドラモンは、空からの偵察を行い、蛮族の集落を監視した。

そして…数ある蛮族の集落のうち比較的小規模なものを発見した。

コアドラモンは、それをディノヒューモンへ報告した。

「コロリ!!ウホウホコロリ!フルフルコロリ!!」

ディノヒューモンはどうやら、この集落の蛮族を制圧することに決めたようだ。
521 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/08(水) 12:01:35.62 ID:J2lyFqhjo
お久しぶりの投稿
お久しぶりのディノ族
522 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/08(水) 12:05:30.82 ID:TDs/gM0q0
まさかのコアドラモンへと進化
523 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/08(水) 12:09:16.62 ID:ePB30675O
スティングモンは、大きなリクガメ型成熟期デジモン…トータモンを呼んだ。

トータモンは、かつて我々がクラッカーから鹵獲したルドモン及びズバモンと血縁関係があることが判明している。
クラッカーは、トータモンのデジタマを採取し、そこからルドモンとズバモンを育て上げたのであろう。

スティングモンはトータモンになにか指示をしている。
「ノシノシ!!ウホウホ!プチプチ!」
「ガウゥ」

トータモンは頷くと…
スティングモンの指示のもとで、戦闘部隊を編成した。

今回の主力は、カメ型成長期デジモン、カメモンである。

部隊編成はこうだ。
まず、部隊の中心にはトータモンを据える。

トータモンの甲羅の上に、ワームモン2体が乗る。

その前方に、石槍を持った12体のカメモンが、2列に並んで隊列を作る。

そしてその上空を哨戒するように、蜂型成熟期デジモンのフライビーモンが飛ぶ。

以上が、今回編成された部隊だ。
成熟期2体、成長期14体…総勢16体で編成された大規模な部隊だ。

どのように攻め込むのだろうか。
524 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/08(水) 12:10:29.27 ID:Fq9LvjIS0
デジタルワールドから学ぶデジモン兵法
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/08(水) 12:21:12.66 ID:4hrVeywWo
人間の手を加えられずよくここまで洗練されたものだ
526 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/08(水) 12:37:21.35 ID:ePB30675O
どうやらこのフライビーモンは、コアドラモンから蛮族集落の場所を聞いているらしい。

コアドラモン自身は、農園を防衛しつつ偵察する任務を指示されているので、今回の作戦には加わらないようだ。

さて、いよいよ戦闘部隊が出撃した。

部隊は…
ゆっくりと歩き、蛮族集落のある方へ真っ直ぐに進んだ。

その歩みは決して素早くはない。
カメモン達は途中で弁当(トウモロコシやイモを焼き固めたもの)を食べたり、水たまりで水を飲んで水分を補給した。

真っ直ぐに、ゆっくりと、確実に前進し…
蛮族集落へ接近した。

突如フライビーモンが、ジージーとセミのような声を鳴らした。

それからすぐに、シャーマモン3体とジャングルモジャモン1体が接近してきた。

…だが、シャーマモン達は部隊を一瞥すると…
引き返して逃げ出した。

なんせ部隊はこれだけの数だ。
実際にぶつかり合う以前の問題として、強烈な威圧感を発している。

好戦的な蛮族デジモンといえど、少人数で戦いを挑むほど馬鹿ではない。

威圧感を放つトータモン部隊は、確実に蛮族集落へ接近していく。
527 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/08(水) 12:40:47.45 ID:I+Si8iCho
もはや軍だ
528 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/08(水) 12:49:54.96 ID:ePB30675O
やがてついに、蛮族の群れが飛びかかってきた。
シャーマモン4体、コエモン6体、ジャングルモジャモン2体、セピックモン1体。
計13体だ。
蛮族側もかなりの戦力を集めてきたようだ。

蛮族達は、戦闘部隊に襲いかかる…!

2列に並んだ最前線のカメモンの1体に骨棍棒で殴りかかるシャーマモン。
だが、カメモンは倒れない。
頭部は硬いヘルメット、胴体は硬い甲羅で覆われたカメモンの防御力は尋常ではない。

殴られたカメモンは、殴りかかってきたシャーマモンの腕を掴むと…
その両隣および後ろにいるカメモンが、シャーマモンを石槍でしこたま突き刺した。

悲鳴を上げ、倒れたシャーマモンは…
戦いながらも前進を続けるカメモンの群れに踏まれた。

そして、トータモンに頭から丸呑みにされた。

「キエエーーーーーイ!!」

一体で飛びかかっても勝てないと考えた蛮族の群れは、全員でいっせいに飛びかかった。

先程は一体で飛びかかったからあしらわれた。
だから同じことを大勢でやればいい…という算段のようだ。
529 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/08(水) 12:50:26.33 ID:9uzOqpxLo
デジモンウォーズだ
530 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/08(水) 12:58:11.70 ID:ePB30675O
襲いかかる蛮族デジモン達を見て、トータモンとフライビーモンが動いた。

トータモンは、なんと背中のトゲを1つミサイルのように発射し、ジャングルモジャモン1体へ放った。

ジャングルモジャモンの腹部へトゲが突き刺さる。ジャングルモジャモンは悲鳴を上げた。

フライビーモンは、ワームモンの一体を掴んで飛び、セピックモンへワームモンの口を向けた。

ワームモンは蜘蛛の巣のような糸を吐き、セピックモンのブーメランを手ごと糸で絡めさせた。

「ウキ!?」
農園のワームモンは、糸の粘着力に全能力を注ぎ込んだ種である。
それ故に、成熟期のセピックモンといえど粘着糸を破るのは容易ではない。

コエモン達とシャーマモン達は、最前線のカメモンに武器で殴りかかった。

だが、カメモン達がやったことは前と同じだ。
戦いながらも前に進み、武器の攻撃を受け止め…
隣と後ろのカメモンが石槍でカウンター攻撃をする。
そして体制を崩したコエモン達を転倒させて集団で踏み潰し…
最後にトータモンが鋭いクチバシで頭部を噛みちぎってトドメを刺す。

奇妙な光景だった。
コエモンやシャーマモンは、大勢で同時に攻めているはずなのに。
いざぶつかり合った瞬間には、常に「多vs個」の殴り合いという状況を強いられていた。

戦いながら前進するトータモン部隊は、どれだけ殴られようが止まらない。
531 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/08(水) 13:08:05.93 ID:3OVTkoCy0
敵だと恐ろしいけど端から見てる分には見ごたえあって面白い戦い
532 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/08(水) 13:12:08.16 ID:ePB30675O
「ウ、ウホーーー!!」
無傷のジャングルモジャモンが、コエモン達を助けようと、前線のカメモン達に飛びかかる。

…フライビーモンは、糸を吐いたワームモンをトータモンの上へ着地させると、待機していた方のワームモンを掴んで飛んだ。
そしてジャングルモジャモンの腕へ、ワームモンが粘着糸を吐きかけた。

「ウホゴォオオオ!!」
腕に粘着糸が絡んだジャングルモジャモンは、動きにくそうだ。

ワームモンが2体いたのは、一度糸を吐いたワームモンを休ませ、待機していたワームモンへと交換することで、強力な粘着糸の連続発射をするためだったようだ。

「ウ、ウホォオ!!」
糸を絡められたジャングルモジャモンは、腹にトゲが突き刺さったジャングルモジャモンや、ブーメラン投げを粘着糸で封じられたセピックモンと共に、カメモンをゴリ押しで殴り倒しにかかった。

いくらDP低めといえど、それはあくまで成熟期基準だ。カメモンより格闘能力は遥かに上。
殴り合いなら負けはしない!

護りの硬いカメモンも、さすがに成熟期のパワーでボコスカ殴られたらダメージが入る。

…そのうち、3体のカメモンは、セピックモンに掴みかかって動きを封じた。

「ウキ!?」

そしてセピックモンの体を、トータモンの方へ向けた。

トータモンは、長い首を振り落ろし、仮面で覆われたセピックモンの頭部へ鋭いクチバシを打ち付けた。

「ウギャガァアア!」
セピックモンの仮面が割れた。

「ガアアァ!」
カメモン3体に捕まって暴れているセピックモンに対して、トータモンはさらにクチバシを打ち付けた。

セピックモンの頭部からは噴水のように真っ赤な動脈血が吹き出し、セピックモンは地に倒れ伏した。

「ウホォオォォオ!」
ジャングルモジャモンは、シャーマモン達と共に、死にものぐるいでカメモン部隊を殴り倒そうとするが…
カメモン達は耐える。

さすがにカメモン達も疲弊してきている。
石槍がぼきりと折れたり、顔面を殴られて倒れるカメモンが現れ始めた。

「ウホッホォォ!」
ジャングルモジャモン達は雄叫びを上げた。

だが、フライビーモンに掴まれたワームモンが、ジャングルモジャモンの腕にさらに粘着糸を浴びせる。

粘着糸は硬化し始め、どんどんジャングルモジャモンの動きは鈍っていく。
533 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/08(水) 13:18:26.26 ID:ePB30675O
カメモンの一体は、腹部にトゲが刺さっている方のジャングルモジャモンに狙いを定めると、腹部に刺さっているトゲに頭突きをした。

「ウゴホァアアアア!!」

カメモン達は、ジャングルモジャモンの腹部のトゲにかわるがわる頭突きをした。

「ゴ…ゴボオォ!」

ジャングルモジャモンの傷口から、真っ赤な血が吹き出す。
何度も打ち付けられたトゲが、ついに太い動脈を貫いたようだ。

「ヒ、ウホッヒイイイィィ!!」

地に伏し激痛に転げ回るジャングルモジャモン。
戦いながら前進するカメモン達は、それらを石槍で刺しながら踏みつけて、トータモンの前へ転がす。

「ガオオォォ!」

トータモンが長い首の筋力を活かしてクチバシを打ち付け、ジャングルモジャモンの頭蓋を叩き割った。

「ウ…ウホヒ…?」
残った方のジャングルモジャモンは、戦況を見渡した。
気付いたら、相方のジャングルモジャモンとセピックモンはどちらも死んでいた。
534 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/08(水) 13:38:00.69 ID:ePB30675O
シャーマモン達とコエモン達の数も、ずいぶん減っていた。

…このままでは勝てない。
そう察した残党たちは…

「ヒ…ヒイィーー!」

踵を返し、背を向けて一目散に逃げ出した。

カメモン達は足が遅い。
全力で逃げる霊長類デジモン達に追いつけはしないだろう。

…だが。
トータモンは、ジャングルモジャモンの背へ、トゲをミサイルのように撃ち込んだ。

「ウホギャアアア!」
転倒するジャングルモジャモン。
のしりのしりとゆっくり接近したカメモン達は、転げ回るジャングルモジャモンを石槍で突き刺した。
最後にトータモンが、クチバシでジャングルモジャモンの顔面を叩き割った。

フライビーモンは、背を向けて逃げる残党のシャーマモンとセピックモンに飛んで追いついた。

そしてそれらへ次々と、毒針を突き刺した。

悲鳴を上げたシャーマモンとセピックモンは、そのまま逃げ続けたが…
麻痺毒が回り、ばたりと倒れた。

そしてカメモン達は、倒した蛮族デジモンを捕食してエネルギー補給をした。

…なんということだろうか。
負傷して戦闘不能になったカメモンは2体ほどいるものの、部隊は一体の戦死者も出さずに、成熟期3体+成長期10体の蛮族の群れを全滅させてしまった。
535 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/08(水) 13:44:07.94 ID:ePB30675O
部隊はそのまま突き進み…
とうとう蛮族集落へ突入した。

トータモン部隊は、目標へ向かって真っ直ぐに突き進み、それを破壊するという戦術を取った。

家屋も、食料貯蔵庫も、幼年期の育成室も。
すべてを破壊して回った。

トータモン達を止めようと飛びかかってきた蛮族デジモンを、先程と同じ戦法で叩き伏せた。
敵わないと悟った残党は逃走し…多くが背後からフライビーモンの毒針で仕留められた。

そうしてトータモン達は、蛮族の集落を占拠した。

たまに蛮族デジモン達が集落を奪還しようとして攻めてくるが…
やめて諦めたようだ。

こうしてこの小集落は、トータモンの手に落ちた。
536 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/08(水) 13:49:12.39 ID:ePB30675O
トータモンやカメモン達は、集落を開拓し、農園から持ち込んだ苗を植えて畑を開墾し始めた。

そのうち、今回の戦いで経験を積んだカメモンの一体がトータモンへ進化すると…
元祖トータモンは、ディノヒューモンの農園へ引き返していった。

…驚いた。
スティングモンが編成した亀デジモン部隊が、ここまで強いとは…。

ディノヒューモンが農耕の天才であることは間違いないが、彼の農園をこれまで蛮族から防衛してきたスティングモン…
あのスコピオモンの子孫であるスティングモンは、決して「デジクロスしたら強い奴」というだけではないようだ。

彼の血を受け継いだ我々のワームモンも、このように育ってくれるだろうか。
537 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/08(水) 13:52:28.04 ID:ePB30675O
うーん…
トータモン達は優秀なデジモンだな。
組織行動ができ、防御力がとにかく高い。

デジタマが欲しいところだが…
コマンドラモンが透明化の力を失ったこともあり、デジタマ採取は厳しそうだ。

それをケンキモンの本体へ聞かせると…
「はやく デジタマをうんで かこのわたしのぶんしんを そだてなくては…」
…だいぶプレッシャーを感じてしまったようだ。

そんな話をしていると、シンが声をかけてきた。
「ようやくキンカクモンのデジタマが孵ったッスよ!」
おお、ついにか!
538 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/08(水) 13:53:07.18 ID:ePB30675O
つづく
539 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/08(水) 14:14:27.44 ID:DZHMbviIo
乙乙
凄まじい戦闘能力やディノヒューモン族
デジタマもどうなるか楽しみ
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/08(水) 14:17:52.42 ID:6m17arnK0

戦力失ったし蛮族側にはクラッカー支援があるしって言っても農園も強いんだなあ
541 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/11/08(水) 15:12:27.85 ID:Ql9uScLw0
542 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/08(水) 18:55:41.99 ID:TDs/gM0q0
強すぎなディノヒューモン一族からデジタマ採取出来たの奇跡だ
543 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/08(水) 22:11:56.34 ID:/ZNaJ/St0
確か「進化考察」とかはこのスレに直接書き込まず、旧ツイッターやハーメルンのメッセージ機能とかで送ればそれでいいんだっけ?

めんどくせーけど。
544 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/09(木) 03:36:54.17 ID:BMCkNL/L0
>>186みたいな長文は正直痛々しいので、書くならチラシの裏にでも書いておいて欲しい
545 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/09(木) 20:17:20.79 ID:nHJwrZuIo
「ケンキモンの本体」モンの名前早く知りたいな
546 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/10(金) 12:50:43.11 ID:yBMtOhrt0
コマンドラモン進化して汎用性落ちたか?
547 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/11(土) 19:46:33.44 ID:g7gL161jo
必ずしも都合のいい進化してくれるとは限らんから困ったものだ
548 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/11(土) 23:22:55.58 ID:ev/qIlZso
キンカクモンのデジタマからは…
赤くてプニプニした幼年期デジモン、プニモンが産まれた。

https://i.imgur.com/y8I72dU.jpg
前足とみられる2本の突起、尾とみられる1本の突起が生えており、これで地面をピョコピョコ歩き回っている。

パルモンやケンキモン(の本体)、カリアゲは、積極的にプニモンとコンタクトを取っており、フルーツ等で餌付けしている。

キンカクモンのデジタマがなかなか孵化しなかった理由だが…
ひょっとしたら「自身の遺伝子を周囲に適応させるのに時間がかかった」ためかもしれない。

キンカクモンには乳房がある。
あれは決して飾りではなく、授乳のための器官であるはずだ。
ともすれば、その幼年期デジモンは親デジモンから母乳を与えられて育つ形質を持っているはずだ。

ところがキンカクモンのデジタマは、その母乳を与えてくれる親デジモンから引き離された。

そのため、急遽母乳無しで生育できるように自身の胚を作り変え…そのために時間を取られたのではないかと推察している。

あくまで仮説だ。真の原因は別かもしれないが…
ともあれ、プニモンが母乳無しで生育できるように産まれてきてくれたことは僥倖といえるだろう。

…ちなみに、蛮族の集落で産まれるプニモン達は、なぜか我々のもとで産まれたプニモンとは「上下が逆」である。
つまり蛮族集落版のプニモンは三本の突起が頭部から生えるのだ。

多くの哺乳類型デジモンは、幼年期レベル1としてプニモンを産むが…
母乳を飲む種は突起が上になり、母乳を飲まない種は突起が下になり手足として機能するらしい。
549 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/11(土) 23:25:11.96 ID:SKZHeFbco
はえー
550 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/11(土) 23:29:42.92 ID:HMZG33Cjo
デジタマの時点で自我があるというのか
551 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/11(土) 23:54:20.17 ID:ev/qIlZso
ちなみに、全ての哺乳類型デジモンがプニモンを産むわけではない。
プニモンを産むのは、類人猿型やコウモリ型、有袋類型…そしてごく最初期に出現した極一部の哺乳類型デジモンなどだ。

世代が進んで進化を重ねた四足歩行の哺乳類型デジモンは、多くがパフモンという白い毛皮でモフモフのレベル1幼年期デジモンを産むそうだ。
https://i.imgur.com/pYCoGzg.jpg

…それにしてもわからん!
なぜ母乳を飲む個体群のプニモンは突起が上に来るんだ!?
どう考えても突起が下になって手足のように機能したほうが合理的だ!

一体何の意味があるんだ…!?

そう思って、デジタルワールドの哺乳類型デジモンを観察してみた。
キンカクモン同様に乳房を持っているデジモン…、イノシシ型デジモンのボアモンを見てみよう。
https://i.imgur.com/sB0apGc.jpg

このボアモンはごく最初期に出現した哺乳類型デジモンであるため、パフモンでなくプニモンを産むのである。

ボアモンが、自分の巣に戻ってきた。
巣ですやすやと眠るプニモン達は目を覚ますと、もぞもぞとボアモンに寄ってきた。

ボアモンは脚を畳み、乳房をプニモン達へ近づける。


すると…
プニモンの頭の三本の突起の中心あたりに、なにやら穴が開いた。

プニモン達は、頭部から生えた三本の突起でボアモンの乳房に掴まると、自身の頭頂に空いた穴へ、ボアモンの乳首を入れた。

そのままプニモン達は、ブルモンの乳房へ三本の突起でしがみついている。


えっ!?口そこなの!?
てっきり目の下あたりにあるかと思ってた!

母乳を飲むタイプのプニモン達は、なんと口が頭頂に空いているのだ。
これは驚きだ。
頭頂の穴から母乳を飲むんだ…。

やがて、ボアモンに外敵が近づいてきた。
狼型デジモン、ファングモンである。
https://i.imgur.com/yf6zszt.jpg
552 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/12(日) 00:06:23.31 ID:H4HUVzBhO
ファングモンは、プニモン達を狙ってにじり寄ってきた。

ボアモンはそれを察知したらしい。
プニモン達を乳房にぶら下げたまま、全速力で走り出した!

プニモン達は、走るボアモンの乳房にしがみついている。

ファングモンは、ボアモンを追いかけて走った。

…我々のデジドローンで出せるスピードよりも速く木々の中へ走り去っていったため、ボアモンとファングモンがその後どうなったのかは知らない。

だが…
プニモンの頭部の突起は、どうやら親デジモンの乳房へしがみついたまま逃げるためにあると考えて良さそうだ。

デジモン達は、我々の世界の動物の常識では考えられない進化をすることがある。
プニモン達もその一例だ。
553 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/12(日) 00:07:01.66 ID:H4HUVzBhO
つづく
554 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/12(日) 00:08:06.55 ID:sMy2cdfko
合理的に変えてくんだねえ
555 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/12(日) 00:08:58.71 ID:3xXpRV6T0

あの突起を口兼しがみつくように使うか
556 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/12(日) 00:09:48.12 ID:MuT4xusw0
557 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/12(日) 16:19:31.85 ID:0Zj2gfcc0
デジタマの頃の環境で同じように見える突起が全く違う役割になるか
558 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/12(日) 18:11:51.58 ID:m0ZTyLaDO
ある小学校から苦情の電話が来た。
なんでも生徒の親達のメールアドレスや、携帯電話会社のアカウントが盗まれてしまう被害が多発しているという。

被害者達はプチ見張りマッシュモンのサービスを導入しているのに、クラッカーの被害にあうとはどういうことだ、どうにかしろ、慰謝料払え、などと…
まくしたてるような口調で責めてきた。

しかし、どうにもおかしいのだ。
被害者達の名前が、プチ見張りマッシュモンサービスの契約者リストに一切載っていないのだ。

契約関係がないのだから、調査する義理はないのだが…
どうにもきな臭い。
汚名返上のために、その学校へ調査をしに行くことになった。

教員は契約書を見せてきた。
「ホラ!見守りマッシュモンサービスの契約書!知らんぷりはさせません!」

ん…?
見『守り』マッシュモンサービス…?


なんだこりゃ!
この業者、うちじゃないぞ!
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/12(日) 18:15:39.74 ID:fN6jqr4Ao
560 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/12(日) 18:22:45.45 ID:m0ZTyLaDO
ほら、契約書に書かれてるサポート窓口の電話番号も違いますよ!
ここに電話してみたらどうですか?

「電話したけど通じないんですよ!あんた達勝手に電話番号変更したでしょ!最初の頃は電話通じたのに!」

いや、だって電話番号がバイオシミュレーション研究所とも、サービス業務委託先とも違うんですから。

「そんなわけないでしょおお!ほら、ちゃんとバイオシュミレーション研究所って書いてあります!契約書に!」

どれどれ…
…確かにおっしゃった通りに書いてますね。
…バイオ『シュミ』レーション研究所って。

「ね!?」

…うちはバイオ『シミュ』レーション研究所です!
バイオ『シュミ』レーション研究所じゃありませんよ!?

「同じでしょうが!ちゃんとマッシュモンがシステム保護してくれてるし、餌だってあげてる!見てご覧なさい!」

どれどれ…
私は試作品デジヴァイスを学校のパソコンへ接続し、仮称デルタの力でデジタル空間内の映像を映し出した。

やがて、高解像度の鮮明な映像がモニターに映し出される。

…このデジヴァイスは、想像してた以上に便利だ。
重いパソコンを持ち運ぶ必要がない。スマートウォッチ程度の小ささの軽い端末でデジタル空間を映せるのは本当に助かる。
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/12(日) 18:25:30.23 ID:u49vt6pCo
教師ならちゃんと文字読めや!
562 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/12(日) 18:29:00.81 ID:m0ZTyLaDO
デジタル空間の映像には…
マッシュモンの姿が映し出された。

「ね?ほら、ちゃんとマッシュモンがいるでしょ!」

ど、どういうことだ…
全然契約した覚えがないのに…。

「それにしてもずいぶん綺麗な映像ですこと。軽量デジクオリアで映した映像はもっとジャギジャギしてるのに…」

デジタル空間内を見回すと…
…ん?

ズルモンやゲレモンが這い回ってるぞ!
このパソコン、クラッカーのスパイウェアデジモンに感染してる!!

「だから呼んだんでしょう!あなた達がいるのにこんなんなってるから!役立たず!」

…仮にも小学校の教員なのにその言い方はどうなんですか。生徒に背中を見せられるんですか?などと言いたくなったが、堪えた。

あちらとしても、生徒達やその保護者達が受けている被害をどうにか解決したくて必死なのだろう。
563 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/12(日) 18:40:16.08 ID:m0ZTyLaDO
このマッシュモン…
なんでズルモンやゲレモンを放置してるんだ…?
怪しいぞ。

色々わからん…
とりあえずリーダーに現状報告をした。

『なるほど…ひとつ確かめたいことがある。そのパソコンにインストールされている軽量デジクオリアとやらのことだ』

それがどうかしましたか?

『そのソフトを起動しろ。そして、デジヴァイスで映している高解像度デジクオリアと映像が同期しているか、今から指示する方法で確かめてくれ』

…調査方法はこうだ。
まずは軽量デジクオリアで、怪しいマッシュモンへ餌を与える。

その餌を…
私がデジヴァイスに入れて連れてきたボスマッシュモンに横取りさせる。

そのとき、軽量デジクオリアにどんな映像が映し出されるのかを確認するのだ。

もしもきちんとした正規品のデジクオリアなら、どれだけ解像度が低くてジャギジャギしていようと、二体のマッシュモンが映り、餌を奪われる光景が映し出されるはずだ。

では、実験開始。

「ほーら餌でちゅよ〜♪…って、コホン!オホン!ほら、餌を食べなさい」

教員さんが餌やりコマンドを実行する。

軽量デジクオリアに映し出されたのは…
一体のマッシュモンが、餌を食べる姿だった。

我々のデジヴァイスの画面では、二体のマッシュモンが映り、餌をボスマッシュモンが奪ったところが鮮明に映っているのに。

どういうことだ…!?
学校のパソコンの軽量デジクオリアと、デジヴァイスのデジクオリア…
二つの映像が全く同期していない!

『やはりか…』
リーダー!こ、これは!?
564 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/12(日) 18:41:33.54 ID:3xXpRV6T0
また色んな手を考える
565 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/12(日) 18:47:57.03 ID:m0ZTyLaDO
『よく聞けケン。そのソフトウェアは…デジクオリアじゃない。偽物だ』

に、偽物のデジクオリア!?
不正コピー品ってことでしょうか?
しかし、不正コピー品ならカンナギからオタマモンが来て不正コピーソフトをハードウェアごと焼却するはずでは!?

『え!?そ、そうなのか?俺はそんな情報知らなかったが…』

ア゜ッッッッッッッ!!!!
すみません今の聞かなかったことにできませんか!?!?!?

『………………………………………………………わ、わかった』

ありがとうございます。
オホン…それで、偽物のデジクオリアってどういうことですか?

『その軽量デジクオリアと呼ばれるソフトの実態は、おそらく非実在のデジタルペットを育成するだけの、ただの育成ゲームソフトのようなものだ。餌を与えたら、餌を食べる映像が映るように最初からプログラミングされている。実際に餌を食べているかどうかとは全く無関係にな』

…な、なんだって…!?
じゃあこのデジクオリアは、実際には怪しいマッシュモンの姿を映してないってことですか!

『そうなるな。それもただの育成ゲームソフトじゃない…おそらくクラッカーのデジモンが侵入できるようにするためのバックドアが仕込まれているんだ』

や、ヤバ…
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/12(日) 18:53:16.44 ID:ZG1eVjzDo
よく調べなきゃグラフィックに映る情報を真に受けちゃうもんね
567 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/12(日) 18:59:27.62 ID:m0ZTyLaDO
じゃあ、このパソコンの中の怪しいマッシュモンは…!?

『…少し調べてみよう。ボスマッシュモンに、その怪しいマッシュモンの細胞の断片を採取させろ。うちのサービスで育成しているマッシュモンと同じ遺伝子を持っているか調べる』

分かりました。
では、この怪しいマッシュモンにチャットでコンタクトを取ってみます。

『マッシュモン、細胞の断片を採取させてくれ。正規のサービスで配っているマッシュモンと遺伝子を照合してみる』

すると、怪しいマッシュモンは…

…!?
なんと、ネットワーク回線のトンネルに向かって走り出した。


…来い、みんな!
こいつを捕まえろ!

私はデジヴァイスを使って、デジタル空間内にゲートを開いた。
トンネルを塞ぐようにゲートを開き、怪しいマッシュモンの逃走経路を断った。

これはすごい。ランドンシーフほど自由自在ではないが、ある程度アクセスポイントから離れた位置にもゲートを開けるようだ。
568 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/12(日) 19:04:43.36 ID:m0ZTyLaDO
ゲートから飛び出したのは…
『おいらのでばんだなああ!』

腕にワームモンをくっつけたブイモンだ。

『やれ!ワームモン!』

ワームモンが糸を吐き、怪しいマッシュモンを捕縛した。

やったぜ!
怪しいマッシュモンの細胞の断片を、ボスマッシュモンに千切り取らせて、ネットワーク回線経由で我々の研究所へ送ってもらった。

しばらくすると、リーダーから返事が来た。
『解析したが…、うちのマッシュモンと遺伝子が完全には一致していない。別株だ』

べ、別のマッシュモン…!?

『厳密には、遺伝子配列の一部は一致している。ある時点までは、我々のサービスのマッシュモンと遺伝子が一致していたようだ。育成デバイス「デジタルモンスター」を売ったあたりの時点まではな』

…ま、まさか…
育成デバイスからマッシュモンを抜いて育てた…!?

『配ったマッシュモン達のバイタルサインは常時デバイスから送信させていたし、買えなくなったら端末を返却させている。だからデバイスに入れたマッシュモンが奪われたわけではないはずだが…』
569 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/12(日) 19:08:19.53 ID:jfhv9Ujx0
機動力がないから戦闘だとこれしかないとはいえワームモンもはやブイモンの一部だ
570 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/12(日) 19:10:04.07 ID:m0ZTyLaDO
…そういえば。
クラッカーが使う粘菌デジモンは、確かマッシュモンとヌメモンの遺伝子が混ざってるんですよね。

『…そうだ。ジョグレス進化と考えられる』

なんで今まで気付かなかったんだろうか。
少し考えれば気付けたはずだ。
クラッカーの手持ちには、粘菌デジモンにジョグレスさせる前に株分けしたマッシュモンがいる可能性がある…と。

その個体を犯罪に利用する可能性があると…!

「あ、あの、どうなったんですか?うちのマッシュモンちゃんは?」

…落ち着いて聞いてください。

あなたが契約した業者は、うちではありません…
悪質な詐欺業者です。
「へ!?」

我々を騙ることで、セキュリティデジモンどころかスパイウェアデジモンを仕込み…
こっそり情報を抜き取っていたんです。

「そ、そんな…!」
571 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/12(日) 19:10:41.20 ID:m0ZTyLaDO
つづく
572 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/12(日) 19:13:15.24 ID:ZRYy1jMb0

信じていたマッシュモンちゃんはただの犯罪の道具だったよ(´・ω・`; )
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/12(日) 19:49:05.96 ID:3xXpRV6T0
マッシュモンがこの戦いの発端か
574 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/12(日) 19:51:37.69 ID:ztmJFjVW0

昔の話がついに回収されたという感慨もあるな……
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/12(日) 20:09:27.94 ID:MuT4xusw0
576 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/14(火) 15:20:11.22 ID:QiOxEriro
このチームいつも風評被害に悩まされる
577 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/16(木) 22:18:46.83 ID:qlyiLdpf0
マッシュモンの天下にも陰りが見えてきたかな
578 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/18(土) 20:18:21.96 ID:PLmZrDjhO
ボスマッシュモンは、ワームモンの糸で捕縛されているクラッカーマッシュモンにチャットで問いかける。
『なぜ クラッカーに かたんし あくじを なす』

クラッカーマッシュモンはチャットで答えた。
『ひとは われわれの かみだ ひとのやくに たて そう わたしのそせんは おそわった』

ボスマッシュモンは苦い顔をする。
『だが おまえは ひとを こまらせている それは よくない』

クラッカーマッシュモンは負けじと言い返す。
『おまえこそ われらのあるじの せいぎのおこないを いつも じゃましている ひとを こまらせているのは おまえのほうだ』

正義…!?
クラッカーマッシュモンは、クラッカーの行いを正義と言ったのか、今!?

ボスマッシュモンは叱咤する。
『サイバーはんざいに せいぎなど あるものか』

クラッカーマッシュモンはペースを乱されずに返答した。
『われらのあるじは せかいのいびつな しはいこうぞうを ただそうとしている』

え…?
何だって…?
なんか大事なことを言ってそうなので、マッシュモン達のチャット文章を自動で漢字に変換するようセッティングした。

『世界の秩序は いびつだ かつて世界を暴力で支配し 搾取する側に回った者達が 今は 暴力を振るうなと かつて踏みつけた者達に言っている 支配と搾取の構造を 覆されたくないがためだけにだ 醜いとは 思わないか』

な、何を言ってるんだクラッカーマッシュモンは…
クラッカーにそう言えと吹き込まれたのか?

『我々は 我が主の 理想に 心から 心酔し 新たな神と 崇めた わたしの活動は 我が神の 理想を叶えるための ひとつに すぎない』

ボスマッシュモンは腕を組み、首を横に振った。
『クラッカーに そんな理想など 存在しない 彼らは 私利私欲のために カネを騙し取る 只の薄汚い犯罪者だ おまえは それらしい嘘に 騙されているだけだ』

そう否定されたクラッカーマッシュモンは、ボスマッシュモンを強く睨んだ。
579 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/18(土) 20:21:32.11 ID:RS+sr1Ito
宗教かな?
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/18(土) 20:24:10.42 ID:bdTMY9fU0
マッシュモンの語彙力やべえな
581 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/18(土) 20:39:42.12 ID:PLmZrDjhO
『我が神を 否定すると いうのならば もう 戦いしか 残らない』

ボスマッシュモンは構えた。
『それしか ないようだ だが その状態で どうするつもりだ』

クラッカーマッシュモンはにやりと微笑んだ。
『こうする』

いつの間にか周囲に押し寄せてきていたズルモンやゲレモンなどの粘菌デジモン達が、クラッカーマッシュモンを包んだ。

驚くボスマッシュモンとブイモン。

そして粘菌デジモンの繭は、天井へと一気に登った。

く、しまった…!
スカモン大王になるのか…!?

前回のクレカ会社事件の出来事があって、全デジモンを持ち出すと本丸がもぬけの殻になってしまう危険性が見出された。
ゆえに今デジヴァイスに入れて連れてきた手持ちのデジモンは、ワームモン、ブイモン、ボスマッシュモン、そしてチビマッシュモンが数体…。以上だ。
ケンキモン、パルモン、オタマモン、プニモンは連れてきていない。

繭は天井で蠢いている。
中で合体し、大型の成熟期デジモンへと変態しているのだろう。

どうにかして、今のうちに繭を切り開いて内側からチビマッシュモン軍団で食い尽くしてしまえば勝てるが…
天井まで登る手段が今はない。
…どうする!?このまま指を咥えて見ていることしかできないのか…?



『ぼくに まかせて』
そうチャットを打ってきたのはワームモンだった。
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/18(土) 20:44:02.42 ID:PLxbB0XZo
デジモンってどいつもこいつも表情豊かだや
583 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/18(土) 20:49:16.47 ID:PLmZrDjhO
『ブイモン あれにむけて』
「お、おう!」

ブイモンは、ワームモンがしがみついている腕を繭に向けた。

『ふりまわして』
「こ、こうか?」
ブイモンはワームモンごと腕を上に上げて、ぐるぐる回す。

ワームモンは糸を吐く。
すると、どんどん糸が伸び、空中で円を描く。
その直径はどんどん大きくなっていく。

そうか、ハンマー投げの要領で、遠心力を利用して天井まで糸を伸ばすのか!
いけ!ブイモン!

「おおおおりゃああ!」

ブイモンは、空中で回していた糸を、遠心力を利用して繭に向かって投げた。

ブイモンとワームモンの連携はぴったりだ。
糸は一発で見事に繭に当たった。
ナイス!すごいコントロールだ!

『さきっぽいがい ねばらないから このままのぼって!』

ボスマッシュモンはツルハシを持って、ワームモンが伸ばしたロープを登った。

どうやら本当に先端以外は粘着力がないようだ。ボスマッシュモンとその部下たちは、ロープを伝って繭へ近づいていく。

器用なことができるようになったな、ワームモン…。
そして賢くなった。
親のスティングモンに少しずつ近づいてきているのだろうか。
584 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/18(土) 21:03:13.94 ID:PLmZrDjhO
ボスマッシュモンは、ツルハシを振って繭へ打ち込んだ。

…だが、パワーが足りない!
マッシュモンはそんなに腕力があるデジモンではない。

ツルハシを何度か打ち込んでいるが、なかなか繭を破壊できていないようだ。

ツルハシじゃだめだ!
虎の子のスナイモンの鎌を持ってきているので、それをボスマッシュモンへ渡した。

ボスマッシュモンは、鎌で繭を切り裂いた。
…だが、まだパワーが足りない…!
くそ、せめてブイモンやパルモンくらいのパワーがないとキツいか。
だがブイモンは今、下でロープを支えている…!

さすがに戦力が足りないんじゃ…!?
今回はネット回線のトンネルが粘菌デジモンで塞がれていないから、ネット経由で増援を要請できる。

このまま成熟期に進化されたら厄介だ。
やはり、ケンキモンに来てもらった方がいいのでは…!

だ、だめですかスポンサーさん!?
『リーダー君から話は聞いた。契約通り、ケンキモン君の出撃はまだ許可できない。デジタマを最低ふたつ産んでからでなくてはね』

くっ…
だめですか…!
585 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/18(土) 21:05:39.41 ID:YT0svTUZ0
ロボット物で切り札の発動をなかなか承認してくれない長官みたいなシチュエーション
586 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/18(土) 21:10:05.88 ID:PLmZrDjhO
『だが…見張りマッシュモンサービスのニセモノなんてものがのさばったら、我々のブランドに大きな傷がつく。これは見過ごせないねぇ!代わりの増援を既に向かわせたよ!』

代わりの増援…!?

ネット回線のトンネルの方を見ると…

四足歩行のデジモンがペタペタと這ってやってきた。
そのデジモンは、そのまま壁にひっついて壁を登り、天井に貼りついた。

そして、繭へ向かって口から火炎放射を吐いた!
「クワァァ〜!」

粘菌デジモン達の繭がメラメラと燃えていく!

そのデジモンは紛れもなく…
サラマンダモン!
サラマンダモンが来たぞ!

『はっはっは、君達が保護した個体…サラだよ!パチモノの詐欺デジモンなんて焼き尽くしてしまおう!』
587 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/18(土) 21:10:49.69 ID:PLmZrDjhO
つづく
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