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デジタルモンスター研究報告会 season2 後編

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442 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/13(金) 23:37:19.49 ID:y59Q/GSa0
悲しさや恐怖で涙を流せる
まるで人間だ
443 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/13(金) 23:43:32.09 ID:41iHC4kzo
『どうせなら パッチしんかを したい なにか いいデータは ないか』

ええっと…
なんかあるかな。

『なんでもいい』

そ、それじゃあ…
リーダー、なんかあります?

「俺が個人的に集めていた資料データだ。これを」

そう言い、リーダーはどっさりと何かの資料のデータを複製して私のアバターへ渡した。

コマンドラモンは、私のアバターの手からデータ。受け取り…食べた。

コマンドラモンの身体から放たれる光が強くなった。

『もう まよいは ない まようことに まよわない』

そう言い、コマンドラモンは両手を差し出してきた。

デジドローンVRは素晴らしい技術だ。
まるで、今私の目の前に、コマンドラモンが実際に居るかのようだ。

私はVRコントローラーを操作して、コマンドラモンをそっと抱き締める。

…デジドローンVRに、触覚のフィードバックはない。
視聴覚情報しか、私には伝わらない。

だが、今私は、確かに感じている。
コマンドラモンの体の温もりを感じる。


この温もりが、ただの錯覚なのだとしたら…


ヒトの脳というのは、なかなか粋(いき)な進化をしたものだ。
444 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/13(金) 23:46:25.17 ID:41iHC4kzo
『ありがとう ケン リーダー パルモン マッシュモン そして みんな』



『わたしは すべてに かんしゃしている』



『農園でなく クラッカーの下でもなく あなた達の下で産まれることができた』



『そのであいに かんしゃしている』






…コマンドラモンの体を包む光が、どんどん大きくなり…

シルエットが変貌した。
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/13(金) 23:46:58.34 ID:zO1yvGf/0
良い言葉だ
まようことにまよわない
446 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/13(金) 23:55:12.31 ID:41iHC4kzo
やがて光が消えると…
私の目の前には、黄色い塗装で覆われた鉄の塊があった。

上を見上げると…


そこに居たものを、一言で言い表すならば。
身長4mほどもある、大きなロボットだ。
https://i.imgur.com/ckeiBao.jpg

右腕はフォークリフトに、左腕はパワーショベルになっている。
肩からはクレーンが生えている。
下半身は三角形のキャタピラだ。


…こ、このロボットがコマンドラモンの進化形態なのか?

「いいや ケン こっちが わたしの ほんたいだ」

やや合成音声っぽい流暢な言葉が、ロボットの胸部のハッチの向こうから聞こえてきた。
447 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/13(金) 23:56:21.73 ID:TMgLuXlWo
すげえのがきたなあ
そして喋れてる
448 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/13(金) 23:57:13.01 ID:41iHC4kzo
ハッチが開くと、「本体」が姿を表した。

外身のでかいロボットに比べると、小回りがきいて活動しやすそうだ。

爬虫類型デジモンの面影は

…かっこよくなったね。

「さいしょから こうかいするような しんかなど しない わたしは いまのじぶんが ベストだとおもう しんかをした」

…ああ言っておいてなんだけど。
その「本体」の姿、きっと後悔することはないよ。

「わたしは よくばりだ」







外身のロボットには、ケンキモンと名付けた。
本体の方の名前を公表するのは…もう少し後にしておこう。
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/13(金) 23:59:49.57 ID:UylRv1qno
インパクトを与えて起きながら中々焦らしてくれる
450 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/14(土) 00:00:34.92 ID:Ie7JBe9lo
つづく
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/14(土) 00:01:17.37 ID:iXN6QGgYo

いつも想像超えてくるなぁ
そして結構合点もいく
452 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/10/14(土) 00:03:59.11 ID:zY+9FdMK0
453 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/14(土) 00:03:59.40 ID:Ie7JBe9lo
>>448

✕ 爬虫類型デジモンの面影は
◯ 爬虫類型デジモンの面影はまるで無くなったが…
454 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/14(土) 00:06:37.99 ID:h/RZvcpd0

スポンサーさんから連絡→突然のブイモンカニ鍋要請→サクッと完了鍋調達任務からのコマンドラモンのドラマ
怒涛の展開の連続だ
スポンサーさんこの一連の流れずっと見てた?途中で通信切った?
455 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/14(土) 16:29:05.21 ID:xrv7oK/A0
後悔しないように最善を尽くすのも一種の進化か
456 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/14(土) 18:54:05.35 ID:zm+uW+Jpo
ケンキモン確かにシチュエーションにぴったりなデジモンだな
457 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/19(木) 10:50:34.94 ID:VoqRuKCro
進化して武器付属するデジモンもいるなら重機ロボット付属するデジモンもありえるか
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/20(金) 18:56:19.08 ID:0h73YHSL0
早く見てえな本体の姿
459 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/21(土) 17:11:24.39 ID:XSsm0AWE0
仕事忙しいのか話作り行き詰まってるのか更新頻度落ちたな…
460 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/22(日) 07:40:30.84 ID:JzwYkYDh0
ハーメルンの方、やってるんやろ
461 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/22(日) 11:11:48.71 ID:hpCs/E81o
進化したコマンドラモンは、島の開拓に多大な貢献をしてくれている。
チーム内では、やはりその話題で持ち切りだった。

シンは働く重機ロボットを見て目を丸くしている。
「はぁ〜、しかしすごいッスね。爬虫類のデジモンが、あんなデカイロボットに進化するなんて…。ケンキモンでしたっけ?面影ぜんぜん無いっすね」

あのロボット…ケンキモンは、「本体に附属するアイテム」だよ。

「アイテム?…ああ、コマンドラモンの銃や爆弾、ガスマスクみたいなもんッスか?」

そうそう。
本当の本体はコクピットの中にいて、ケンキモンとは別の名前を与えている。
でもだいたいいつもロボットに乗っているから、便宜的にケンキモンと…外側のロボットの名前で呼んで管理することにしている。

「あれ動力源は何ッスか?」

たぶん…電気じゃないかな。
中に乗ってる本体が普通に食事をして、そのエネルギーを電気に変換してロボットにケーブルを接続して供給してるらしい。

「じゃあ別々には動けないんスね」

どうだろう…?
長いケーブルを繋げたままコクピットから降りて、ロボットと中身が一緒に作業してるとこもたまに見るよ。
ケーブルを切り離してるところはまだ見たことない。

「あのロボットは戦ったら強いんスかね?」

野生のガニモンが餌を狙ってきたときに応戦してるところを見たことがある。
あのパワーショベルを思い切り振り下ろしてガニモンをひっぱたくと、かなりダメージを与えることができるみたいだ。

「じゃあもう楽勝なんスね!蟹鍋食い放題じゃないッスか」

ところがガニモンは弱くない。
下半身のキャタピラーとか、機械の接合部をハサミで狙われると、さすがに損傷するみたいだ。

「デジモンの怪我みたいに自動で治るんスか?」

損傷箇所は、中の本体が頑張って修復してるよ。
あとは金属疲労とかに気を付けてるのか、メンテナンスもちょくちょくやってるみたい。

「ウーン、機械のロボットって硬い!強い!ってイメージありますけど、自動修復できずメンテナンスがめんどいってのは弱点ッスね。ロボットアニメだとその辺描かれないから盲点っすわ」

逆に言うと、ある程度の怪我を自分で治癒できるのが生物の肉体の強みとも言えるね。

だから、ガニモンみたいな「強い成長期」くらいなら相手にできるけど、成熟期デジモンと戦うとなると…
かなり損傷しそうだ。
462 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/22(日) 11:14:18.73 ID:BUqXjQ7Do
おひさしぶり
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/22(日) 11:14:35.58 ID:U7Mzx7a/0
ついに来たか
464 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/22(日) 11:51:06.93 ID:hpCs/E81o
そこへ、スポンサーさんから通信が来た。
『ハーッハッハ!おめでとう諸君!ついに念願のコマンドラモン進化に成功したねぇ!』

あ、どうも。
私が挨拶をすると、カリアゲもこっちに来た。

「おっすスポンサーさん。そうなんだよ!あの後蟹鍋を作るための器を拾いに行って、ガニモン鍋をコマンドラモン達が食べたんだけどよ、それがきっかけで進化したみてーだ!なんで蟹鍋食ったら進化したんだろうな?」

『フム?蟹鍋を?』

ガニモンのカニ味噌…いわゆる中腸線ですね。

「へー、カニ味噌ってそういうもんなんだ…脳味噌かと思ってたぜ」

肝臓とすい臓の機能を持った部位です。
それを食べた途端進化しました。

『ウーム、成熟期への進化の条件っていうのは分からないものだね』

それなんですが…
ひとつ仮説が立ちました。

『おや、なんだね?』

カリアゲは何だと思う?

「え、俺?そうだな…。コマンドラモンが進化できた理由か…。成長期のままでいた時間の長さ、戦闘経験の多さ、餌の質の良さあたりじゃねえか?」

おおっ、かなりいいとこをついている。
コマンドラモンの場合、そこに「住処の広さ」も関わってきそうだ。

「住処の広さ?関係有るのか?」

…ユニバース25という実験を知ってる?

「ん?なんだそれ?」
465 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/22(日) 12:11:03.79 ID:hpCs/E81o
「ネズミの楽園を作る実験だね、ケン」
そこへやって来たのは…メガだ。
こういう話題好きそうだもんね。

「まあうん、オタクはみんな好きだよ、こういうライトな哲学。何不自由のない楽園を作ったら、最終的に過度な少子高齢化が進んで破滅した…というものだね。それがデジモンの成熟期となにか関係有るの?」

さすがメガ。
だけどここで重要なのは、その前に行われた…『楽園を作るのに失敗した方』の実験だ。

「なんだっけそれ?」

狭い領土の中でネズミを殖やそうとしたけども、いくら餌をたくさん与えてもあまり殖えなかった…というものだよ。

「実験に失敗した例だね」

ただ失敗に終わっただけじゃない。
ネズミは「狭すぎる土地では無駄に子を産まない」ことが分かった、貴重な知見だよ。

『なるほど!さしずめ、個体数の密度が高くなりすぎることを避ける本能があるということだろうね!』

ところで、成熟期まで進化する系統のデジモンは、「女王蟻」や「女王蜂」に似た性質を持っている…という話はしたっけ。

「前に聞いたことがあるね。なぜ成長期デジモンはデジタマを産まないのか、なぜ成熟期は個体数が少なめなのか…。それは成熟期に産卵のタスクをすべて押し付けているからだ、と。それが女王蜂に似ているんだね」

そうそう。
同じ巣に女王蜂や女王蟻が2匹も3匹もいたって仕方ないからね。

『興味深い話だねぇ!それで住処の広さとは…?』

つまり、今まで我々がデジモンを飼育していたサーバー内のビオトープは、成熟期デジモンがデジタマを産む環境としては狭すぎたんだ。

『なるほど!フローティア島という十分広い土地に移り住んだおかげで、デジタマを産む役割になっても個体数密度が過剰に高くならずに済むわけだね!』
466 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/22(日) 12:27:34.99 ID:hpCs/E81o
そういうことです。
カンナギ・エンタープライズがサラマンダモンを育て上げた際に、環境負荷を与えたと言っていましたが…
逆に言うと、サーバー内のデジタル空間では成熟期にまで進化させることができず、異なる環境でなければ進化させられなかったということです。

『カンナギが…何?サラマンダモンを…?なんだって?』

え…
あ!!しまった!
クルエが頭を抱えてこちらを見ている。

『我々のところにもサラマンダモンはいるが…まさか…』

えっとあの、それは…!

「分かったぞケン!こういうことだろ!カンナギもスポンサーさんが羨ましくなって、ランサムウェアデジモン対策のために、サラマンダモンを育て上げた、と!…どうだ!」

…流石カリアゲ。ご明察だ。その通りだよ。
内緒の話だから、内密にね。

「っしゃあ!やったぜ!」
「流石っス!カリアゲパイセン!Foo〜!」

『…今のは聞かなかったことにしよう!ハーッハッハッハ!』

助かります。

『つまり、戦闘経験や住処の広さが、デジモンが成熟期に進化する条件…ということだね?』

…私はそう思っていました。
つい先日までは。

『ち、違うのかね?』

私はそういう固定観念を持っていました。
デジモンが成熟期になるのには、何か共通の条件があるのだと。

ですが私は、根本的な勘違いをしていたんです。

『根本的な勘違い…?何かね?』

そうです。即ち…
「成熟期に進化する共通の条件など無い」ということです。

『条件が…無い!?』
467 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/22(日) 12:29:22.38 ID:vDTXxqjJo
ケンは天才ではあるんだろうけどたまに抜けてるとこあるなあ
468 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/22(日) 13:02:03.53 ID:hpCs/E81o
デジモンが進化して姿や形、持っている形質が大きく変化するのなら…
生命の仕組み、それ自体もまた進化するんです。

我々のいるリアルワールドの生物でも、生命の仕組みそのものが極めて特異に発達した種がいます。

『生命の仕組み…。文脈的には、生殖や成長の仕方かな』

はい。
たとえばミツバチの女王ですが…
産まれたときには、女王蜂は他の働き蜂と同じ幼虫で何も差は無いんです。

しかし、ハチミツを食べて育った幼虫は生殖能力のない働き蜂へ成長し、さらに高栄養なローヤルゼリーを食べて育った幼虫は生殖だけが役割の女王蜂になります。

「へぇ…何を食べて育ったかで変わるんだ」
メガが頷いている。

もっと凄い例があるよ。
クマノミという魚は、産まれた当初は性別が決まっていないんだ。
だけど、ある程度成熟すると、群れの中で最も体が大きい個体がメスになり、二番目に大きい個体がオスになるんだ。

そのつがいが群れを去ると、残った個体同士でまた背比べ性転換が始まるんだ。

「えぇ…どんな生態してるの?信じられない…」

他にも、サルパっていうホヤの仲間も変な成長の仕方をするんだけど…複雑怪奇すぎて説明が長くなるので省きます。

とにかく、リアルワールドの生物達の中には、生命のサイクルそのものを進化させる種がいるということです。

ならばデジモンだって、様々な種が系統を発達させるにつれて、『何をすれば成熟期になるか』という条件設定そのものを進化させていると考えられるんです。

『なるほど…有り得る話だ』

だから、成長期デジモンを成熟期へ進化させたいと考えた場合…
全デジモン共通の条件を探すのでなく、その種の系統の野生デジモンを生態観察し、何をすれば成長期になるのか、個別に推測する必要があるということです。

『道理で、クラッカーもスカモン系統以外の成熟期を戦線に出してこないわけだね』
469 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/22(日) 13:18:44.06 ID:pl2eYuqgo
デジモンといってもみんな全くの別種族だしな
470 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/22(日) 13:26:59.87 ID:hpCs/E81o
『そういえば、キンカクモンのデジタマはまだ進化しないのかね?ここまで進化しないとなると、タマゴ自体がもう死んでるようにしか思えないのだが…』

どうなんでしょうね。
リアルワールドのダチョウとかは40日くらいで孵化しますが、昆虫の卵は冬を越すくらい長い間孵化しないこともザラですからね。

『コマンドラモンやブイモン達のデジタマは拾ってからもっと早く進化したはずだったが…』

コマンドラモンやブイモン達のデジタマは、デジタルワールドで産まれてしばらく経ったものを拾ってきました。
しかし、キンカクモンは産まれた直後のデジタマを持ってきた。
その違いのせいかもしれませんね。
471 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/22(日) 13:27:28.74 ID:hpCs/E81o
一旦ここまで
472 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/22(日) 13:40:04.17 ID:AuNRLdTS0
一旦乙
473 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/22(日) 13:41:32.72 ID:wvnbj8+Ko

キンカクモンのデジタマ確かに謎だ
474 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/22(日) 17:35:09.78 ID:MzdNnbujo
別の人が育てた別のデジモン見たって進化の参考にはなにもならないってことになるのか
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/10/22(日) 18:08:53.38 ID:CfAHjvMC0
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/25(水) 20:46:44.09 ID:mmfGoXluo
「産まれた直後のデジタマ」については全然データないなそういえば
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/27(金) 19:25:12.04 ID:V5uDfRYJo
ケンキモンwith中のデジモン分食費も苦しくなるかな
478 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 19:55:24.57 ID:jG8eKLMGO
『それで、新しい姿へ進化したケンキモンは、どんな様子かね?』

今はパートナー達と一緒に井戸を掘っていますね。

『おや、井戸か。いよいよ作るんだね』

今までは、遠くで汲んだ水をデジタルゲート経由で運んでいたのですが、毎回デジタルゲートを使っているとデジタルゲートのエネルギーが尽きますからね。
それに頼らずに水を確保する手段を用意したんです。

『しかし、随分井戸を後回しにしたものだね。まさか製鉄所を先に作るとは』

デジモンは我々の世界の動植物と異なり、必ずしも水を水として飲む必要があるわけではないようです。

原始的な代謝機能を退化させずに持ち続けているデジモンは、体内に吸収したデータを組み替えて、自分の肉体を作ることができます。
そこには当然「水」も含まれます。

だから、パルモンとマッシュモンは、データを食べればそれを変換して水を作れるから、水という形で水分を経口摂取する必要がないみたいですね。

ただし、データ変換をするためにエネルギーを消耗するので、水をそのまま摂取できるならそれに越したことはないようです。

『デジモンは皆乾燥に強いということかね?』

…オタマモンは乾燥に強くないので、水浴び場が必要になりますね。
479 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 19:57:41.36 ID:ZqlUQ5/Ro
おひさー
480 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 19:59:55.48 ID:jG8eKLMGO
『なるほど…。しかし、井戸を掘れるのか?パワーショベル、フォークリフト、クレーンだけでどうにかなるとは思えないがね』

ケンキモンの中身…本体は、左腕がドリルになっているので井戸を掘り進めるのが得意なようです。

しかも両腕は様々な工作機械に付け替え可能なので、井戸の内壁を固める作業や、ロープを設置する作業もお手の物です。
もっと技術を磨けば、ポンプですら作れるようになるかも。

『…随分欲張りなんだね?元コマンドラモンくんは』

彼には「後悔する覚悟を持って欲しい」と言いましたが、あれで後悔することはないと思います。

『すると、井戸作りはケンキモンの本体が一人で進めているのかね?』

井戸はそうですが…
農業用の水路を作るのは、他のデジモンは達もやってますよ。

ブイモンが前に作ったツルハシや、ケンキモンが新しく作った道具を使ってます。

『ツルハシ?ガニモンを倒したアレか…。ツルハシで水路が掘れるのかい?』

ブイモンが作ったツルハシは2本有るのですが…
ツルハシって先端が前後に飛び出してますよね。
片側は尖っていて、硬い地面を砕いたり敵の装甲を破壊できるわけですが…
もう片側の用途は少し違います。

一つは先端に鋤(すき)がついており、地面を掘れるようになってるんです。
農作業で畑を耕すのに使えるんです。

『へえ、便利だね。もう一つのツルハシも片側が鋤なのかね?』

いえ、もう一本は、片側が斧になってます。
木を切り倒すのには必需品ですね

『ハハハ、いい武器だね!ブイモン君もなかなかいいものを作るじゃないか!』

…それなんですけども。
ケンキモンがですね、ブイモンを遥かに上回る器用さで道具を作ってしまうものでして。

鍛冶作業もケンキモンがやるようになってますね。

『お、おぉ…』

…ブイモンは「オイラのいちばんがなくなっちゃった」と言ってました。

『…そうやって劣等感を抱いて悩めるのは、彼の長所だと思うがね』

私もそう思いますが…本人としてはそうでもないようで。

『ブイモン君の様子は?』

ワームモンと一緒に、デジクロスの練習に励んでますね。
「もうオイラにはこれしかない」と言っています。

『…あまり思い詰めないでもらいたいものだね』
481 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 20:02:16.06 ID:PewGg5kpo
ブイモンェ…
482 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 20:15:34.59 ID:jG8eKLMGO
もしも次にセキュリティデジモンが出撃する機会があったら、ケンキモンの戦闘力を試してみようと思ってます。

『…いいや、ダメだ』

え?

『最低2つ、デジタマを産ませてからだ。それが条件だ。それまでは、クラッカーデジモン討伐目的でのケンキモンの出撃は許可できない』

「な、なんでだよ?せっかく戦力が増したんだぞ!」
カリアゲがモニターへ詰め寄る。

『予期せぬ強敵の出現で、ケンキモン君が失われてしまうことは、我々出資者間の会議では容認できないリスクと判断されたんだ』

「そんなこと言ってたら勝てる相手にも勝てねえだろうが!今までの新たな敵との戦いで、コマンドラモンがどれだけ必須の立ち回りをしてたか知ってるだろ、スポンサーさん!」

『無論知っているよ』

「ならなんでだよ!」
483 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 20:18:01.41 ID:5RD8PcnQ0
コマンドラモン改めてケンキモンの遺伝子は貴重だからね
484 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 20:24:11.31 ID:jG8eKLMGO
『…我々出資者はね。無償でお金を配るおじさんじゃないんだ。出資した以上の利益を回収できる見込みがなければ、原理上出資ができない。それは分かるかね?』

「ま、まあ、分かるけどよ…」

『では君達の研究が今後事業として大きな利益を見込める可能性とは何か?それは君達のチームによるセキュリティ活動…では、ない。「セキュリティデジモンを開発すること」だ』

「…」

『ようやく今、コマンドラモンというマッシュモンに並ぶかそれ以上に強力な戦力を量産できる機会が整ったんだ。我々出資者としては、そのケンキモン君を前線に出し、デジタマを遺さずにロストしてしまう可能性は決して許容できない』

「…コマンドラモンがいなかったら…新しい敵との戦いで、敵わないかもしれねえぞ。全滅する前に退却はさせるけど…、クラッカーの被害にあった人を護れないかもしれねえだろ」

『そうだね』

「そうだねって…!」

『そのときは護れなくていい。そういうときもあるさ』

「それでいいのかよ…」

『いいとも!ケンキモンがコマンドラモンのデジタマを産めるようになるなら、たとえその一人を助けられなくても、のちのち数十、数百の人々を助けられるようになるだろう!ならば我々は後者をとるよ』

「…納得いかねえ…。また前みたいにクレカ会社とかが狙われたらどうすんだよ…」

『君達だけで抱え込まなくていい。ローグ・ソフトウェアだって君達のようにセキュリティデジモン開発をしているし、実績も出している。彼らが穴埋めをしてくれるだろう。…君達にくらべてか〜な〜り割高だがね』

あっちは割高なんだ…。

「…分かったよ。ケンキモンがデジタマ産むまで待てばいいんだろ。仕方ねえ…コマンドラモンの役割がなくても戦えるように、鍛錬あるのみだ!」

デジモン育成の方は任せたよ、カリアゲ。

「おうよ!」
485 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 20:27:51.67 ID:uIrVoNWdo
外見完全なロボットなデジモンからコマンドラモンみたいなトカゲさんは本当に産まれてくるのか
486 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 20:32:36.65 ID:jG8eKLMGO
『ケン君はこれからどうするのかね?』

私はここ最近はケンキモンの観察をしてデータを取っていましたが…
そろそろまた野生デジモンの観察に戻ろうと思います。

『そうか!基礎研究を頑張りたまえ』

さて…
久々に、デジタルワールドの野生デジモンを観察しよう。

この頃興味深いデジモンの出現が報告に上がっていた。
そちらを観察しに行こう。




私は、密林の方へデジドローンを飛ばした。
蛮族デジモンがいる地域だ。

あまりに木々の密集度が高い密林では、デジドローンがその間を掻い潜って読んだりできなくなるので、密集度が低い地域を観察している。

やがて、木々がガサガサと揺れ、一体のデジモンが飛び出してきた。
https://i.imgur.com/R5Ewc6d.jpg

大きな仮面と、ブーメランを携えた類人猿デジモン…セピックモンだ。
487 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 20:34:44.18 ID:ZqlUQ5/Ro
相変わらずやること多いなこのお仕事
488 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 20:39:38.74 ID:jG8eKLMGO
セピックモンは、上方を見上げている。
木の上にいる何かを付け狙っているようだ。

やがてセピックモンは、ブーメランを投げた。
ブーメランはくるくると弧を描くように飛び、木の影にいたデジモンに当たった。

「ギャッ!」

悲鳴を上げたデジモンは、木から落ちた後、バサバサと飛んで逃げた。

そのデジモンは…
https://i.imgur.com/q2ElLeR.jpg

…うおお、まるで悪魔のような姿だ。
発達した手足と、ふたつのコウモリのような翼が生えており、おおきな口を開けている。

命名イビルモン。
その形態から察するに、コウモリ型デジモンピピスモンの子孫であるピコデビモンが進化した姿だと思われる。

驚いた…。
コウモリのデジモンが、こんな姿に進化するとは。

我々は、このコウモリ型デジモンから進化し系統を、翼人型デジモンと呼称することにした。

さて、セピックモンが投げたブーメランは、セピックモンの手元へ帰ってきた。
凄まじいコントロールである。

攻撃を受けたイビルモンは、逃げようとしたが…

「ギギ…!ギャウウゥーーー!」

空中でターンして、セピックモンへ飛びかかってきた。
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 20:41:36.72 ID:+uiGxW6zo
どんどん現実世界じゃあり得ない姿のデジモンが発見されていく
490 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 20:48:42.97 ID:jG8eKLMGO
「ヒャアアアアアイイアアーーーーー!!」

イビルモンは口を大きく開けて、けたたましい声を上げた。

それを聞いたセピックモンは耳を塞いだ。
「ウギッキッキイイィイイイーーーーー!!」

どうやらイビルモンは怪音波を発して攻撃することができるようだ。
ピピスモンが持っていた超音波ソナー能力を発展させた力のようだ。

イビルモンはセピックモンに接近し、声を止めた。

セピックモンはブーメランを構えた。
このうるさい敵の声を止めてやろうというのだろう。
イビルモンへ近づき、ブーメランを振りかざした。


「ビィーーーーーーーーーーーーーーヤァアアアーーーーーーーーーーーーー!!!!」


イビルモンはセピックモンの耳元へ口を近づけ、凄まじい爆音を発した。

「ビギャアアアーーーーー!!」

セピックモンは怪音波攻撃をまともに頭部へ食らって、そのまま後方へ吹き飛んだ。

「ギギ!キィー!」

吹き飛びながら、やぶれかぶれの様相でブーメランを投げるセピックモン。
だがイビルモンはそれを軽々と躱した。

吹き飛んだセピックモンは、背中から太い木へ叩きつけられた。

「ウギッ!」

地面に伏すセピックモン。

「アギ…ギ…!」

悶え苦しんでいるセピックモン。
怪音波で吹き飛んで木にぶつかったダメージよりも、それを顔面に浴びせられたダメージが大きいようだ。
491 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 20:52:34.77 ID:jG8eKLMGO
「ウッヒャッヒャーーー!」

弱ったセピックモンを見てニタリと笑みを浮かべたイビルモンは、セピックモンへにじり寄り、噛みつこうとした。

「ウギャッ!」

そう悲鳴を上げたのは…
イビルモンの方だった。

先程セピックモンが投げたブーメランが戻ってきて、イビルモンの後頭部にクリーンヒットしたのだ。

「ゥ…グギ…!」
ばたりと倒れるイビルモン。

二体とも意識が朦朧としているようだ。

「キ…キィイ…!」
「ウビビ…!」

二体とも、必死に立ち上がろうとしている。
この勝負、先に立ち上がったほうが勝つ…!
492 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 20:53:09.51 ID:vGlq/eMa0
蛮族相手に優勢取れるんだったら、研究所チームはイビルモンのデジタマを採取すればいいんじゃないかな?
493 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 20:56:21.11 ID:2/Ph1wnx0
トトカルチョしたくなるような勝負だ
494 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 20:59:41.02 ID:jG8eKLMGO
「ウッホッホーーー!!」

…そのとき、上空からデジモンの声が聞こえてきた。

なんと木の上から、一等身体型のずんぐりむっくりした茶色い類人猿デジモン、ジャングルモジャモンが、骨棍棒を構えて飛び降りてきたのだ。

ジャングルモジャモンがふり下ろした骨棍棒が、イビルモンの脳天を力強く打った。

「ギャアアアアアーーーー!」

頭部から出血し昏倒するイビルモン。

「ウッホ!ホッホッホッ!」

ジャングルモジャモンは、イビルモンにのしかかり、その頭部を骨棍棒で滅多打ちにした。

イビルモンはそのまま絶命した。

ふらつくセピックモンは、よろよろと立ち上がるが、足元がおぼつかないようだ。

「ウホウホ!」

ジャングルモジャモンは、イビルモンの死骸を左肩に担いだ。

「キー…」

セピックモンは、ジャングルモジャモンの右肩に寄りかかった。

「ホー!ホッッホ!」

ジャングルモジャモンは、ふらついたセピックモンと、イビルモンの死骸を抱えて密林の中を進んでいく。


…蛮族デジモンのセピックモンは、それなりの戦闘力を持っており、イビルモンもそれに負けていなかった。

だが蛮族デジモンには、群れで狩りをする知恵がある。

イビルモンは、その差に敗れたのだった。
495 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 21:05:23.85 ID:l/51VFYlo
伏兵の可能性を考えられなかったのはまだまだだなイビルモンよ
496 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 21:05:49.11 ID:jG8eKLMGO
意気揚々と進むジャングルモジャモン。
やがてセピックモンは意識を回復したのか、自分の足で立ってあるき始めた。

蛮族デジモンの群れの力は、やはり強力だ。


「ガウウウゥ!」

その時。
草陰から飛び出してきた何者かが、セピックモンを襲った。

https://i.imgur.com/Qlrhirc.jpg
青く美しい毛並みをもつ狼のようなデジモンが、セピックモンを押し倒したのだ。
命名ガルルモン。今までいそうでいなかった、イヌ科系統の肉食哺乳類型デジモンだ。

「キー!キキーッ!」

マウントを取られたセピックモンは、ブーメランでガルルモンを殴りつけようとする。

「ガウゥ!」

だがガルルモンは、強靭なアゴでセピックモンの首へ噛みついた。

「フギイィ!」

じたばたと暴れるセピックモン。

「ウ、ウホホー!」

ジャングルモジャモンは、セピックモンを助けるため、骨棍棒でガルルモンの頭部を殴りつけた。

「ガウ!」

ガルルモンはふらついたが、セピックモンの首を噛む力を緩めない。
497 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 21:07:32.63 ID:/E1GHRL9o
どこのお宅のワンコかな?
498 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 21:19:54.19 ID:jG8eKLMGO
「ウホホー!」

ジャングルモジャモンは追撃を試みた。
だが…

「ウゥゥ〜〜!!」

草陰から3体の肉食哺乳類型成長期デジモン…ガジモンが飛び出して、ジャングルモジャモンに背後から長い爪を突き刺した。

「ウボォォォオ!!」

激痛で悲鳴を上げるジャングルモジャモン。
怒りに身を任せて、ガジモンを一体殴り飛ばした。

「ギャッ!」

骨棍棒で殴られ、一体のガジモンが吹き飛んだ。

しかしガジモンの一体は、ジャングルモジャモンの顔面に貼りつき、顔をしっちゃかめっちゃかに引っ掻いた。
長い爪を、ジャングルモジャモンの右目へ突き刺した。

「ウボゴォォォオオ!!」

もう一体のガジモンは、ジャングルモジャモンを背後から爪で滅多刺しにする。

「ウオォホオォォ!」

血まみれのジャングルモジャモンは、顔面に張り付いたガジモンを引き剥がそうとする。

掴まれたガジモンは、ジャングルモジャモンに放り投げられた。

「ウ、ウホホ!」

体勢を整えようとするジャングルモジャモンだったが…

「ワオオォオーーン!」

先程までセピックモンを攻撃していたガルルモンが、ジャングルモジャモンに飛びかかり、顔面に噛みついた。

「ウホオォ!?」

どうやらセピックモンは既に虫の息らしい。
バトンタッチしたかのように、ガジモン達はセピックモンへ襲い掛かり、長い爪でセピックモンの首を滅多刺しにして、トドメを刺した。
499 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 21:25:20.37 ID:jG8eKLMGO
「ウーホ!ウゥーーホ!!」

ガルルモンから顔に噛みつかれ、激しく抵抗するジャングルモジャモン。

「ガウウゥ!」

ガルルモンはやや困惑している。
セピックモンは首という急所が明白だったので、そこへ噛みつけば良いとすぐに判断できたようだが…

ジャングルモジャモンは一等身だ。
首らしい首がないのである。

「ウホオォオーー!」

ジャングルモジャモンは、顔に噛み付くガルルモンの頭部を、骨棍棒でしこたま殴りつけた。

「ギャウウゥ!ウゥゥ…ガウウゥーーー!」

ガルルモンは、なんとジャングルモジャモンの顔に噛みついたまま、口から炎を吐いた。

「ウゴボォオオオオーーーーーーーー!!!」

顔面を焼かれるジャングルモジャモン。

「フグゥゥオオオホッホーーー!」

ジャングルモジャモンは、セピックモンの死骸の傍らにあるブーメランを拾い…
ガルルモンの後頭部へがんがんと叩きつけた。

「ギャウゥ!」

さすがに効いたようだ。
ジャングルモジャモンから飛び退くガルルモン。

ジャングルモジャモンは…

「ヒ…ヒヒー!」

木に登り、一目散に逃げていった。
500 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 21:29:15.48 ID:IzqMhPU70
一頭身なのが戦う際にメリットになること、あるんだな……
501 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 21:30:24.15 ID:qEVMmvWu0
首がどこかわからない
カービィ?
502 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 21:30:58.96 ID:jG8eKLMGO
三つ巴の戦いを制したのは、ガルルモン一派だった。

セピックモンとイビルモンの死骸を解体し、ガルルモン一体とガジモン三体はそれを食べた。

ジャングルモジャモンは、この戦いでは敗走する形になったが…
それでも戦いを生き延びることができた。

一等身であるがゆえに、ガルルモンに噛まれて急所となる首がないため、ガルルモンの噛みつき攻撃を食らっても致命傷にならなかったのだ。

…近頃、群れで狩りをするデジモンが増え始めているように見える。

それはすなわち、集団生活をする習性をもつデジモンが増えてきたということだ。

我々はセキュリティデジモンのデジタマを採集するとき、必ず「集団生活する習性を持つデジモン」のタマゴだけを拾うようにしてきた。

集団生活をする素質をもったデジモンでなければ、我々のチームで共に生きるという概念すら理解できないためである。

クラッカーもきっと同じだ。
ランサムウェアデジモンとしてアイスモンやシャーマモンをスカウトしたのは、その性質だけでなく、集団行動が可能であるからだろう。
503 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 21:35:09.22 ID:jG8eKLMGO
さて、善は急げだ。
ガルルモンの巣を見つけて、ガルルモンのデジタマを採取しよう!

イヌは人類の共だ。
それに近い姿のガルルモンも、きっと我々と行動を共にできるはずだ!

そう言うと、シンがひょっこり顔を出した。
「いいッスね!んで、どうやって採取するんスか?」

そりゃもちろん、エクスブイモンやキンカクモンのデジタマを取った時同様にダグラスコマンドラモンの光学迷彩で…

「でも、ケンキモンの本体は光学迷彩使えなくなってるッスよ?」

…あ。



「…わたしはいま このすがたになったことを すこしこうかいしている」
ケンキモン…気を落とすなって。
そういうこともあるさ。
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 21:37:43.46 ID:qEVMmvWu0
割と気軽にデジタマ採取していくけどみんなを食わせていける環境昔よりは良くなったんかな
505 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 21:38:09.54 ID:vGlq/eMa0
ダグラス?
はて………?
506 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 21:38:35.80 ID:jG8eKLMGO


ジャングルモジャモンが帰還した集落では、蛮族デジモンが集団生活をしていた。

ジャングルモジャモンは、フーガモンに狩りの失敗を報告して怒られていた。

やがてジャングルモジャモンは、草を集めて、木の小屋へ向かった。

小屋では偶蹄類型成長期デジモン、バクモンが何頭か飼育されていた。
な、なんだ?家畜か…?

草を食べたバクモンは…
光り輝き、進化した。

https://i.imgur.com/gPzQifj.jpg
シマウマ型デジモン…シマユニモンとなった。

な、なんだ…?
なぜ蛮族デジモンは、バクモンを飼育しているんだ…?
507 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 21:39:18.96 ID:jG8eKLMGO
つづく


>>505
誤記ですスミマセン
普通のエクスブイモンです
508 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/29(日) 21:39:45.67 ID:jG8eKLMGO
まちがった
普通のコマンドラモンです
509 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 21:40:49.94 ID:qEVMmvWu0

ディノヒューモン村が追い越されそうな勢いの文明発達
510 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 21:42:53.50 ID:ZqlUQ5/Ro

馬肉美味しいのかな
511 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 22:38:37.91 ID:IzqMhPU70

鍛えてた能力でも無くなっちゃうことはあるわけなんだなあ
512 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/10/30(月) 08:42:48.96 ID:dHqcD/KA0
513 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/10/30(月) 08:42:49.05 ID:dHqcD/KA0
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/10/30(月) 08:42:48.99 ID:dHqcD/KA0
515 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/30(月) 08:59:07.89 ID:eOay3UE+o
今までの戦闘コマンドラモンに頼りすぎてたとこもあるかな
516 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/30(月) 18:35:38.64 ID:/tEiMmAM0
色んな制約を課せられながらお仕事しないといけないブラックな職場
517 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/30(月) 22:22:12.34 ID:/otmwTg1o
蛮族どもは家畜を進化させる方法まで
518 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/31(火) 11:28:12.62 ID:ygP1D36Oo
頑張って訓練して鍛えた透明化なくなっちゃったの悲しい
519 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/04(土) 19:24:03.51 ID:qv7haNB+0
コマンドラモンのおかげで進化なんてデジモンそれぞれで条件全く違うってことがようやく分かったばかりなのに向こうはガンガン進化と量産してくる
520 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/08(水) 11:58:01.25 ID:ePB30675O
ディノヒューモンの集落。
ここの住人達は殺気立っていた。
度重なる蛮族の襲撃に苛立ち、ついに蛮族の撲滅に打って出る気になったようだ。

農作業の傍ら、ブイモン、カメモン、スナリザモン、ワームモン等の成長期デジモンたちは、戦闘の鍛錬をしている。
(※ブイモンとワームモンは、我々のパートナーとは別個体なので注意されたし。)

スティングモンは、特にブイモン達へ力を入れてトレーニングをさせているようだ。
剣道のように木の棒で叩きあう試合形式の訓練もやっている。

先日の蛮族との戦いによって、エクスブイモンが命を落としたことで、スティングモンは今パイルドラモン及びディノビーモンへのデジクロスという最大戦力を喪った。

加えて、モスモンというナンバー2も同時に死んでしまった。

これまで農園を防衛できていたのは、ディノビーモンとモスモンという強大な戦力のお陰と言ってもいい。
それを喪った今、蛮族の撃退には手を焼いているようだ。
現在の最高戦力は、燃える体と鋭い爪を持つ爬虫類型デジモン、フレアリザモンだが…
ディノビーモンのように無双できる程強いわけではない。
故にスティングモンは、早く次世代のエクスブイモンを育て、デジクロスの力を復活させようと躍起になっているようだ。

ただし、あの戦いでは蛮族側もハヌモン及びゴリモンというトップ戦力を失った。
ジャングルモジャモンやセピックモン等のDP低めな成熟期はそれなりにいるが、ハヌモンやゴリモンと比べれば戦闘力は雲泥の差だ。

特にハヌモンは、不意打ちとはいえどレベル5のディノビーモンと刺し違えた怪物である。
…実際にはディノビーモンとの間には大きな力の差はあるが、パイルドラモンの鋭いパンチを何度もヒョイヒョイ回避した身軽さは成熟期の中では別格といえるだろう。

そんなわけで蛮族は、小競り合いを繰り返しながら、ヒヒ型のバブンガモン、原人型のフーガモン、ドリル付きモグラ型のドリモゲモン、そして人間の女性に極めて近い姿のキンカクモンを中心として、戦力増強を図っているようだ。

…さて、そんな緊張感が漂う中…
ついにディノヒューモンの集落では、一体のブイモンが成熟期への進化に成功した。

エクスブイモンではない。
翼が生えた竜型デジモン…コアドラモンとなった。
https://i.imgur.com/AygPCwG.jpg

がっしりとした手足は、格闘戦が得意そうだ。
さらに、集落では昆虫デジモン以外で珍しく飛行能力を持っている。

コアドラモンは、空からの偵察を行い、蛮族の集落を監視した。

そして…数ある蛮族の集落のうち比較的小規模なものを発見した。

コアドラモンは、それをディノヒューモンへ報告した。

「コロリ!!ウホウホコロリ!フルフルコロリ!!」

ディノヒューモンはどうやら、この集落の蛮族を制圧することに決めたようだ。
521 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/08(水) 12:01:35.62 ID:J2lyFqhjo
お久しぶりの投稿
お久しぶりのディノ族
522 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/08(水) 12:05:30.82 ID:TDs/gM0q0
まさかのコアドラモンへと進化
523 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/08(水) 12:09:16.62 ID:ePB30675O
スティングモンは、大きなリクガメ型成熟期デジモン…トータモンを呼んだ。

トータモンは、かつて我々がクラッカーから鹵獲したルドモン及びズバモンと血縁関係があることが判明している。
クラッカーは、トータモンのデジタマを採取し、そこからルドモンとズバモンを育て上げたのであろう。

スティングモンはトータモンになにか指示をしている。
「ノシノシ!!ウホウホ!プチプチ!」
「ガウゥ」

トータモンは頷くと…
スティングモンの指示のもとで、戦闘部隊を編成した。

今回の主力は、カメ型成長期デジモン、カメモンである。

部隊編成はこうだ。
まず、部隊の中心にはトータモンを据える。

トータモンの甲羅の上に、ワームモン2体が乗る。

その前方に、石槍を持った12体のカメモンが、2列に並んで隊列を作る。

そしてその上空を哨戒するように、蜂型成熟期デジモンのフライビーモンが飛ぶ。

以上が、今回編成された部隊だ。
成熟期2体、成長期14体…総勢16体で編成された大規模な部隊だ。

どのように攻め込むのだろうか。
524 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/08(水) 12:10:29.27 ID:Fq9LvjIS0
デジタルワールドから学ぶデジモン兵法
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/08(水) 12:21:12.66 ID:4hrVeywWo
人間の手を加えられずよくここまで洗練されたものだ
526 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/08(水) 12:37:21.35 ID:ePB30675O
どうやらこのフライビーモンは、コアドラモンから蛮族集落の場所を聞いているらしい。

コアドラモン自身は、農園を防衛しつつ偵察する任務を指示されているので、今回の作戦には加わらないようだ。

さて、いよいよ戦闘部隊が出撃した。

部隊は…
ゆっくりと歩き、蛮族集落のある方へ真っ直ぐに進んだ。

その歩みは決して素早くはない。
カメモン達は途中で弁当(トウモロコシやイモを焼き固めたもの)を食べたり、水たまりで水を飲んで水分を補給した。

真っ直ぐに、ゆっくりと、確実に前進し…
蛮族集落へ接近した。

突如フライビーモンが、ジージーとセミのような声を鳴らした。

それからすぐに、シャーマモン3体とジャングルモジャモン1体が接近してきた。

…だが、シャーマモン達は部隊を一瞥すると…
引き返して逃げ出した。

なんせ部隊はこれだけの数だ。
実際にぶつかり合う以前の問題として、強烈な威圧感を発している。

好戦的な蛮族デジモンといえど、少人数で戦いを挑むほど馬鹿ではない。

威圧感を放つトータモン部隊は、確実に蛮族集落へ接近していく。
527 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/08(水) 12:40:47.45 ID:I+Si8iCho
もはや軍だ
528 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/08(水) 12:49:54.96 ID:ePB30675O
やがてついに、蛮族の群れが飛びかかってきた。
シャーマモン4体、コエモン6体、ジャングルモジャモン2体、セピックモン1体。
計13体だ。
蛮族側もかなりの戦力を集めてきたようだ。

蛮族達は、戦闘部隊に襲いかかる…!

2列に並んだ最前線のカメモンの1体に骨棍棒で殴りかかるシャーマモン。
だが、カメモンは倒れない。
頭部は硬いヘルメット、胴体は硬い甲羅で覆われたカメモンの防御力は尋常ではない。

殴られたカメモンは、殴りかかってきたシャーマモンの腕を掴むと…
その両隣および後ろにいるカメモンが、シャーマモンを石槍でしこたま突き刺した。

悲鳴を上げ、倒れたシャーマモンは…
戦いながらも前進を続けるカメモンの群れに踏まれた。

そして、トータモンに頭から丸呑みにされた。

「キエエーーーーーイ!!」

一体で飛びかかっても勝てないと考えた蛮族の群れは、全員でいっせいに飛びかかった。

先程は一体で飛びかかったからあしらわれた。
だから同じことを大勢でやればいい…という算段のようだ。
529 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/08(水) 12:50:26.33 ID:9uzOqpxLo
デジモンウォーズだ
530 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/08(水) 12:58:11.70 ID:ePB30675O
襲いかかる蛮族デジモン達を見て、トータモンとフライビーモンが動いた。

トータモンは、なんと背中のトゲを1つミサイルのように発射し、ジャングルモジャモン1体へ放った。

ジャングルモジャモンの腹部へトゲが突き刺さる。ジャングルモジャモンは悲鳴を上げた。

フライビーモンは、ワームモンの一体を掴んで飛び、セピックモンへワームモンの口を向けた。

ワームモンは蜘蛛の巣のような糸を吐き、セピックモンのブーメランを手ごと糸で絡めさせた。

「ウキ!?」
農園のワームモンは、糸の粘着力に全能力を注ぎ込んだ種である。
それ故に、成熟期のセピックモンといえど粘着糸を破るのは容易ではない。

コエモン達とシャーマモン達は、最前線のカメモンに武器で殴りかかった。

だが、カメモン達がやったことは前と同じだ。
戦いながらも前に進み、武器の攻撃を受け止め…
隣と後ろのカメモンが石槍でカウンター攻撃をする。
そして体制を崩したコエモン達を転倒させて集団で踏み潰し…
最後にトータモンが鋭いクチバシで頭部を噛みちぎってトドメを刺す。

奇妙な光景だった。
コエモンやシャーマモンは、大勢で同時に攻めているはずなのに。
いざぶつかり合った瞬間には、常に「多vs個」の殴り合いという状況を強いられていた。

戦いながら前進するトータモン部隊は、どれだけ殴られようが止まらない。
531 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/08(水) 13:08:05.93 ID:3OVTkoCy0
敵だと恐ろしいけど端から見てる分には見ごたえあって面白い戦い
532 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/08(水) 13:12:08.16 ID:ePB30675O
「ウ、ウホーーー!!」
無傷のジャングルモジャモンが、コエモン達を助けようと、前線のカメモン達に飛びかかる。

…フライビーモンは、糸を吐いたワームモンをトータモンの上へ着地させると、待機していた方のワームモンを掴んで飛んだ。
そしてジャングルモジャモンの腕へ、ワームモンが粘着糸を吐きかけた。

「ウホゴォオオオ!!」
腕に粘着糸が絡んだジャングルモジャモンは、動きにくそうだ。

ワームモンが2体いたのは、一度糸を吐いたワームモンを休ませ、待機していたワームモンへと交換することで、強力な粘着糸の連続発射をするためだったようだ。

「ウ、ウホォオ!!」
糸を絡められたジャングルモジャモンは、腹にトゲが突き刺さったジャングルモジャモンや、ブーメラン投げを粘着糸で封じられたセピックモンと共に、カメモンをゴリ押しで殴り倒しにかかった。

いくらDP低めといえど、それはあくまで成熟期基準だ。カメモンより格闘能力は遥かに上。
殴り合いなら負けはしない!

護りの硬いカメモンも、さすがに成熟期のパワーでボコスカ殴られたらダメージが入る。

…そのうち、3体のカメモンは、セピックモンに掴みかかって動きを封じた。

「ウキ!?」

そしてセピックモンの体を、トータモンの方へ向けた。

トータモンは、長い首を振り落ろし、仮面で覆われたセピックモンの頭部へ鋭いクチバシを打ち付けた。

「ウギャガァアア!」
セピックモンの仮面が割れた。

「ガアアァ!」
カメモン3体に捕まって暴れているセピックモンに対して、トータモンはさらにクチバシを打ち付けた。

セピックモンの頭部からは噴水のように真っ赤な動脈血が吹き出し、セピックモンは地に倒れ伏した。

「ウホォオォォオ!」
ジャングルモジャモンは、シャーマモン達と共に、死にものぐるいでカメモン部隊を殴り倒そうとするが…
カメモン達は耐える。

さすがにカメモン達も疲弊してきている。
石槍がぼきりと折れたり、顔面を殴られて倒れるカメモンが現れ始めた。

「ウホッホォォ!」
ジャングルモジャモン達は雄叫びを上げた。

だが、フライビーモンに掴まれたワームモンが、ジャングルモジャモンの腕にさらに粘着糸を浴びせる。

粘着糸は硬化し始め、どんどんジャングルモジャモンの動きは鈍っていく。
533 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/08(水) 13:18:26.26 ID:ePB30675O
カメモンの一体は、腹部にトゲが刺さっている方のジャングルモジャモンに狙いを定めると、腹部に刺さっているトゲに頭突きをした。

「ウゴホァアアアア!!」

カメモン達は、ジャングルモジャモンの腹部のトゲにかわるがわる頭突きをした。

「ゴ…ゴボオォ!」

ジャングルモジャモンの傷口から、真っ赤な血が吹き出す。
何度も打ち付けられたトゲが、ついに太い動脈を貫いたようだ。

「ヒ、ウホッヒイイイィィ!!」

地に伏し激痛に転げ回るジャングルモジャモン。
戦いながら前進するカメモン達は、それらを石槍で刺しながら踏みつけて、トータモンの前へ転がす。

「ガオオォォ!」

トータモンが長い首の筋力を活かしてクチバシを打ち付け、ジャングルモジャモンの頭蓋を叩き割った。

「ウ…ウホヒ…?」
残った方のジャングルモジャモンは、戦況を見渡した。
気付いたら、相方のジャングルモジャモンとセピックモンはどちらも死んでいた。
534 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/08(水) 13:38:00.69 ID:ePB30675O
シャーマモン達とコエモン達の数も、ずいぶん減っていた。

…このままでは勝てない。
そう察した残党たちは…

「ヒ…ヒイィーー!」

踵を返し、背を向けて一目散に逃げ出した。

カメモン達は足が遅い。
全力で逃げる霊長類デジモン達に追いつけはしないだろう。

…だが。
トータモンは、ジャングルモジャモンの背へ、トゲをミサイルのように撃ち込んだ。

「ウホギャアアア!」
転倒するジャングルモジャモン。
のしりのしりとゆっくり接近したカメモン達は、転げ回るジャングルモジャモンを石槍で突き刺した。
最後にトータモンが、クチバシでジャングルモジャモンの顔面を叩き割った。

フライビーモンは、背を向けて逃げる残党のシャーマモンとセピックモンに飛んで追いついた。

そしてそれらへ次々と、毒針を突き刺した。

悲鳴を上げたシャーマモンとセピックモンは、そのまま逃げ続けたが…
麻痺毒が回り、ばたりと倒れた。

そしてカメモン達は、倒した蛮族デジモンを捕食してエネルギー補給をした。

…なんということだろうか。
負傷して戦闘不能になったカメモンは2体ほどいるものの、部隊は一体の戦死者も出さずに、成熟期3体+成長期10体の蛮族の群れを全滅させてしまった。
535 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/08(水) 13:44:07.94 ID:ePB30675O
部隊はそのまま突き進み…
とうとう蛮族集落へ突入した。

トータモン部隊は、目標へ向かって真っ直ぐに突き進み、それを破壊するという戦術を取った。

家屋も、食料貯蔵庫も、幼年期の育成室も。
すべてを破壊して回った。

トータモン達を止めようと飛びかかってきた蛮族デジモンを、先程と同じ戦法で叩き伏せた。
敵わないと悟った残党は逃走し…多くが背後からフライビーモンの毒針で仕留められた。

そうしてトータモン達は、蛮族の集落を占拠した。

たまに蛮族デジモン達が集落を奪還しようとして攻めてくるが…
やめて諦めたようだ。

こうしてこの小集落は、トータモンの手に落ちた。
536 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/08(水) 13:49:12.39 ID:ePB30675O
トータモンやカメモン達は、集落を開拓し、農園から持ち込んだ苗を植えて畑を開墾し始めた。

そのうち、今回の戦いで経験を積んだカメモンの一体がトータモンへ進化すると…
元祖トータモンは、ディノヒューモンの農園へ引き返していった。

…驚いた。
スティングモンが編成した亀デジモン部隊が、ここまで強いとは…。

ディノヒューモンが農耕の天才であることは間違いないが、彼の農園をこれまで蛮族から防衛してきたスティングモン…
あのスコピオモンの子孫であるスティングモンは、決して「デジクロスしたら強い奴」というだけではないようだ。

彼の血を受け継いだ我々のワームモンも、このように育ってくれるだろうか。
537 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/08(水) 13:52:28.04 ID:ePB30675O
うーん…
トータモン達は優秀なデジモンだな。
組織行動ができ、防御力がとにかく高い。

デジタマが欲しいところだが…
コマンドラモンが透明化の力を失ったこともあり、デジタマ採取は厳しそうだ。

それをケンキモンの本体へ聞かせると…
「はやく デジタマをうんで かこのわたしのぶんしんを そだてなくては…」
…だいぶプレッシャーを感じてしまったようだ。

そんな話をしていると、シンが声をかけてきた。
「ようやくキンカクモンのデジタマが孵ったッスよ!」
おお、ついにか!
538 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/11/08(水) 13:53:07.18 ID:ePB30675O
つづく
539 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/08(水) 14:14:27.44 ID:DZHMbviIo
乙乙
凄まじい戦闘能力やディノヒューモン族
デジタマもどうなるか楽しみ
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/08(水) 14:17:52.42 ID:6m17arnK0

戦力失ったし蛮族側にはクラッカー支援があるしって言っても農園も強いんだなあ
541 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/11/08(水) 15:12:27.85 ID:Ql9uScLw0
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