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デジタルモンスター研究報告会 season2 後編

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241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/24(日) 23:51:12.91 ID:PiqIGgTfo

ううむ…理屈は間違ってもいないが自然の力を侮りすぎてるような…
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/09/24(日) 23:51:14.92 ID:NKjwjmcP0
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/24(日) 23:52:34.76 ID:dw8WHvUEo

どいつもこいつもおっかねえ女ばっか
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/24(日) 23:59:54.30 ID:Kfx3BKjL0

SNSまで見て文句言ってくる奴がいるのはプレッシャーだろうが好きにやって欲しい
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/25(月) 00:51:42.36 ID:S5I4i0v3o

デジモンの数減ったら研究対象減ってこっちの将来的な利益奪われちゃうじゃん…
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/25(月) 00:58:03.16 ID:WALjFLnko
各勢力の仕事とか目的とか見えてるものの違いによる考え方の違いよく出てるわ
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/25(月) 09:06:44.13 ID:09WxmBRc0
デジモンというものを利益にする人達、デジモンというものをしょせんは国防の手段の一つや殲滅対象と思ってる人達
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/25(月) 14:45:43.93 ID:fLrgVDp10
デジモン達がどんな島作ってくのか楽しみだな
249 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/25(月) 19:55:30.66 ID:El172G6RO
デジタルワールドの自然環境は、おおむね我々の世界…リアルワールドに似ている。

だが、デジタルワールドの物理法則は、リアルワールドとは多少異なっているらしく、その差異が環境の違いにも表れている。

最も顕著なのはジャングル…熱帯雨林である。

リアルワールドの熱帯雨林は、赤道上に位置している。
強い日照りゆえに気温が高く、それによって生じる上昇気流の影響で一年中雨が振り続けるのが特徴だ。


雨が多く日差しが強いため、植物が育ちやすく、木が高く伸びるのだが…
あまりの雨の多さゆえに、枯れ葉などが分解されても養分が地面から流れてしまう。
ゆえに土壌は非常に薄く、酸化鉄や酸化アルミニウムを含むラトソルという赤い土が露出している。

そのため、「植物が生い茂っているのに土壌が貧弱」なのがリアルワールドの熱帯雨林の特徴である。

その一方で、デジタルワールドの熱帯雨林は、リアルワールドに比べて肥沃な土壌となっている。

浅いジャングルの地面を見ると…
リアルワールドでは見かけることのない、キラキラした美しい透明な粒が地面を覆っている。

…これは、太陽から太陽光とともに降り注がれる「データ粒」である。

デジタルワールドの太陽は、熱と光だけでなく、デジタル生命体の栄養分となる「データ粒」を撒き散らすことがある。

これが雲に混ざり、やがて雨とともに地表へ降り注ぐ。

熱帯雨林では、粒が大きい「データ粒」は、雨に流されずに留まるのだ。

このデータ粒は、そのままデジタル植物たちの肥料となるのである。
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/25(月) 19:58:12.17 ID:S5I4i0v3o
来たか
251 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/25(月) 20:05:34.40 ID:El172G6RO
それ故か、デジタルワールドのジャングルはリアルワールドよりさらに植物が密集しているのである。

深層になると、あまりに植物がめちゃくちゃに生えすぎていて、我々のデジドローンでは物理的に入っていけないのだ。

そのため、ジャングルの深層は「未探索領域」となっている。

…蛮族デジモン達のルーツは、ジャングル深層だとも考えられている。

このように、デジタルワールドには我々のデジドローンの性能では探索不可能な領域がいくつか存在するのだ。

たとえば深海。
あまりに深い深海だと、デジドローンが水圧に耐えきれず潰れてしまうことがある。

それ故に、深海の海底にどのようなデジモンが潜んでいるのか、今の我々には観察できない。

レベル5の元祖ホエーモンが「姿を消した」のはこのためだ。
レベル5ホエーモンの死骸は未だ見つかっていない。故に、まだ「深海で生きている」のかもしれない。



他には「大空」もある。
我々のデジドローンは、最大20mほどの高さしか飛行できない。

故に、それより遥か上を飛び交うデジモン達がいたとしても、地表から見上げることしかできないのだ。

そんな大空へ常に滞空し続けているようなデジモンがいるのかどうかは知らないが…
いたとしても、観測することはできない。
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/25(月) 20:10:55.52 ID:1uzUDgv9o
見てみたいところがまだまだ溢れてるな
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/25(月) 20:12:53.27 ID:4fq62e0E0
これが人類の限界なのか
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/09/25(月) 20:15:38.86 ID:0sjj4Gam0
鳥系デジモンにデジドローン持たせて飛んでもらいたいな
255 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/25(月) 20:16:59.93 ID:El172G6RO
他には「地下」もある。
もしかしたらデジタルワールドの地下には、巨大な空洞があり、地下文明みたいなものが存在している可能性があるかもしれない。

しかし、デジドローンで地面を掘ってそれらを見ることができるわけではないのだ。

また、デジタルワールドは地球によく似た惑星上に広がっていることが分かっているのだが…
デジドローンを出現させられるアクセスポイントが全く存在しない領域がいくつかある。

砂漠などは、アクセスポイントがほとんどない。ど真ん中へ辿り着くまでに充電が切れてしまうだろう。
故に砂漠にどんなデジモンが住んでいるのかはよく分かっていない。


…明らかに何かがありそうな領域なのに、そこまでデジドローンを飛ばそうとしても充電がもたない…
そういった土地は、今の技術では観測できないのだ。
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/25(月) 20:18:54.13 ID:4fq62e0E0
デジドローン強化に関してはカンナギのとこが頑張るしかないか
257 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/25(月) 20:24:22.08 ID:El172G6RO
いちおう、オポッサモンの風船の原理を模倣した「空撮用デジドローン」というのもある。

我々がエクスブイモンとスティングモンのデジタマを捕獲する作戦の時に使ったやつだ。

50mほどの高さにデジドローンを固定し、そのまま地上を撮影するためのものだ。

だが、それは自在に飛び回ったりすることはできず、その位置へ固定することしかできない。

…ままならないものだ。



そして、我々が最近断念した未探索領域に…
「シーホモンの砦」というものがある。

これは海中にあるものなのだが…
何故これを観察しようとしたか、そしてなぜ断念したかは、いずれ聞かせることができるだろう。
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/25(月) 20:27:41.30 ID:S5I4i0v3o
確かデジドローンはあんま簡単に代えを用意出来ないから壊されるリスク覚悟のギャンブル突撃もできないし困ったもんだ
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/25(月) 20:50:56.98 ID:k9JrEzRG0
デジタルワールドの偉大さに人類の科学は敗北するしかないのか
260 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/25(月) 20:54:39.62 ID:El172G6RO
このように、デジタルワールドには技術的に探索が難しい領域がある。

しかし逆に、直接観察できない情報を、間接的に知る方法もある。

たとえば、空の動き。
デジドローンで、夜空を毎日同じ位置で撮り続け、星の動きを観察する。

すると、日に日に太陽が上る高さや、星の位置が少しずつ変わっていくのだ。

天体望遠鏡はないが…
デジドローンの感度で観測できる情報だけでも、デジタルワールドの星空がどのようになっているのか、少しずつ理解を深めることができる。

どうやらデジタルワールドにおいても、太陽のまわりを地球が自転しながら公転しているらしい。

だが、リアルワールドの夜空と比べると少し奇妙な点がある。
ここ数ヶ月観察し続けてたところ、全く同じ軌道を回り続けている星がいくつかあるのだ。

ふつうの恒星なら、時期によって見える位置が異なるはずなのだが…。

ここから言えることは…
『デジタルワールドの地球には、恒星のように光る衛星がいくつか回っている』ということだ。

この衛星は何なのか?
なぜ光っているのか?
…それは不明だ。
261 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/25(月) 21:03:11.92 ID:El172G6RO
他にも…
『地層』もまた重要な手掛かりになる。

最近、我々は非常に興味深い地層を発見した。
それは「石炭層」と、その上にある土砂の堆積層である。

デジタルワールドの地層から、分厚い石炭層が発見された…
これは、我々の研究所内では大発見だった。

「石炭を採掘してエネルギー源にできる」とか、そういう話ではない。

結論から言うと…
「デジタルワールドでは過去に、樹木が二酸化炭素を吸いすぎたことが原因で、氷河期が訪れた」と言えるのだ。

…我々のデジドローンでは、地層を掘って化石を発掘することはできないので、なんとも言えないのだが…
氷河期より更に前の地層を掘ることができたり、永久凍土層を掘ることができたら、何らかの古代デジモンの化石が見つかるかもしれない。
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/25(月) 21:05:10.70 ID:k9JrEzRG0
今の人類がデジモンの化石採取して何ができるか楽しみだな
263 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/25(月) 21:10:58.81 ID:El172G6RO
さて…
なんだか中途半端に話を終わっても味気がないので、「シーホモンの砦」の話をしよう。

フローティア島に我々のパートナーデジモン達を上陸させ、ビオトープ作りの要領で居住区を作ってもらった。

例の有機肥料作りの木箱は、マッシュモンの手を借りて、デジタルゲート越しにフローティア島へ数個を並べて設置した。

この木箱には、ジャスティファイアへ協力を依頼し、シューティングスターモン達のトイレの転送先座標に指定してもらった。

…おかげで、毎日凄い量の「有機肥料の材料」が木箱へ送られてくる。
やっぱ食う量が凄いと、出す量も凄いんだな。

さて…
この木箱では、有機肥料の副産物として、あるものが生産される。

それは…
丸々と太ったププモンそのものである。
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/25(月) 21:12:58.59 ID:S5I4i0v3o
デジモンも太るんだな
265 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/25(月) 21:20:15.22 ID:El172G6RO
スカベンジャー型のププモンの生活環だが…

まず、羽つきのププモン(成体タイプ)が、排泄物や死骸に小さなデジタマをたくさん産み付ける。

やがて、翅のない状態の小さなププモンが孵化し…
死骸や排泄物の中の有機物を食べて肥え太る。

そうしてある程度の大きさになると、死骸や排泄物から離れて湿り気のない場所へ移動する。

そこで、翅を生やすのである。

翅を生やしたあとのププモンは、やはり排泄物や死骸を食べたりもするが…
それは主食ではなく副食だ。メインは花の蜜や花粉を食べるようになる。

その中で、大きくなったものは幼年期第二形態の小蜂型デジモン、プロロモンへ進化することもある。

そうして、翅の生えたププモンやプロロモンは、再び糞や死骸へデジタマを産み付けるのだ。

さて…
ここで重要なのは、「肥え太った翅無しププモンは、乾いた場所へ移動する」という性質だ。

これを利用すると、木箱から這い出たププモン達が、そのまま落下することで、有機肥料からププモン達を分離して貯めておけるのだ。

このププモン達を、タンパク源として利用することが可能なのである。

さすがにそのまま食わせるのはどうかと思うので…
釣り餌として利用しようと考えたのだ。
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/25(月) 21:23:51.37 ID:k9JrEzRG0
見た目は可愛いのにひえっ…となる生態
267 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/25(月) 21:25:36.35 ID:El172G6RO
しかし、私はその試みに「待った」をかけた。

私は寒冷地帯での出来事を思い出したのだ。
トゲモグモンとゴマモン達、そしてアイスモン親子が、寒冷地帯でプカモンを獲って暮らしていると…

シーホモンというタツノオトシゴ型成熟期デジモンに見つかり、捕捉された。

それ以来、トゲモグモンやアイスモン親子は、シーホモンに見張られ、シードラモンから狩られるようになってしまったのだ。

この離島で釣りをするようになったら、例の事件のように、シーホモンから目をつけられるのではないかと危惧したのだ。

いちかばちか見つからないことに賭けた結果、フローティア島の沖がシードラモンに襲撃されるようになった…となっては大変だ。

故に、海釣りには「ちょっと待った」をかけたのだ。
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/25(月) 21:29:46.57 ID:k9JrEzRG0
こわいこわい
269 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/25(月) 21:33:25.77 ID:El172G6RO
そこで私は、囮作戦を提案した。

ププモン達の生えかけの翅をむしり取った後、フローティア島から数キロ離れた小さな島へ搬送し、そこでパルモンに釣りをしてもらったのだ。

ププモンを餌にしたプカモン釣りは、とても順調だった。
たまに成長期のスイムモンが釣れたこともあったが、そういうときはコマンドラモンが倒した。


…ある日。
島のまわりを見張っていたチビマッシュモンが、とうとうシーホモンがこちらを見ているのを発見したのである。


…翌日、我々はその小さな島から撤退した。
島の周囲には、しばらくシードラモン達がたむろしていた。

危なかった…。
もしフローティア島でいきなり釣りをしていたら、開拓開始早々シードラモンから氷のミサイルを飛ばされる毎日を送ることになっていただろう。
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/25(月) 21:33:53.97 ID:EpGMyudWo
シードラモン1体だけなら大物のエサだけど毎日何十体ともなると全滅避けられんよな
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/25(月) 21:35:34.71 ID:S5I4i0v3o
釣り場にだけなら使える小さな島は割とあるのね
272 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/25(月) 21:38:55.51 ID:El172G6RO
まあそれ以来、釣りをするときはププモンを入れた箱をデジタルゲート経由で搬送し、フローティア島から離れたところで釣るようにした。

おかげでプカモンやスイムモンというタンパク源を得られるようになった。

まあ、それはさておき…。

シーホモンの情報収集能力、指揮能力は凄まじい。
DPは低いが、実質的な脅威度は下手にDP高めのデジモンよりはるかに高いだろう。

そこで、シンが提案したのだ。
「シーホモンのデジタマを採取してみないか」と。

もし陸地に適応したら…
コミュニケーション能力が高い、高知能のデジモンが育つ可能性がある。

そうして我々は、フローティア島近海でシーホモンの産卵場所を探したのだ。
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/25(月) 21:40:44.04 ID:5Q2bCV40o
シーホモンはコミュ力高いって考え方もあるかなるほど
274 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/25(月) 21:43:47.89 ID:4DCz7r+PO
そうして見つけたのが「シーホモンの砦」だ。

そこはまるで、竜宮城のようだった。
頭から手足とサンゴが生えた姿の成長期デジモン、サンゴモン達が、蟻塚のような大きな砦を作っていた。

シーホモンは、その砦に空いた穴から入り、中を棲み家にしているようだ。
弱い割に良いご身分である。

…デジドローンで中に入れないか、試そうとしたのだが…
サンゴモンの見張りはなかなか厳しい。

結局、シーホモンのデジタマを採集することはできなかった。

このように…
『警備が固すぎて侵入できない場所』もまた、我々にとっては未界域…もとい未開域なのである。
275 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/25(月) 21:45:09.74 ID:4DCz7r+PO
まあ、何はともあれ…

複数箇所をランダムに転々と移動しながら釣りをする分には、シーホモンから目をつけられることはなかった。

我々のデジタルゲートとパートナーデジモンの勝利だ!
どんなもんだシーホモン!




つづく
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/09/25(月) 21:47:26.09 ID:0sjj4Gam0
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/25(月) 21:48:40.49 ID:5Q2bCV40o

シーホモンのデジタマも興味あるけどまだ何もかもレベルが足りないか
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/25(月) 21:51:05.80 ID:S5I4i0v3o
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/25(月) 22:05:13.79 ID:1hNgXDYZ0

攻め込めないけど捕捉されもしないぐらいのパワーバランスだ
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/26(火) 06:59:24.57 ID:0jhaUIYMo
釣りをするだけでスリリングな思いしなくちゃならないのは可哀想なのか良い経験なのか
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/26(火) 07:57:29.54 ID:Eh6BvNzM0
本来大物釣れたら喜ぶべきだけど現状のパルモン釣りは大物釣れたらアウトかな
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/26(火) 16:03:39.57 ID:Pz1qnMJQ0
釣れるデジモンって美味しいのかな?
283 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/26(火) 20:41:05.88 ID:IqTFZ/Aro
「これから本格的にフローティア島の開拓を始める…。それに伴い、あるデジモンを味方に引き入れたい」

おおっリーダー。
あるデジモンとは…

「まあ大体分かるだろう。クロッソ・エレクトロニクスへ電話してみる」

リーダーはスポンサーさんへ電話した。

『やあリーダー君!何やら面白そうなことをしているようだね!』

「ああ。拠点を作っている。そこで助っ人が欲しい。オタマモンがいたら売ってくれないか?」

『ふむ…そうしたいのはやまやまだが、需要が多すぎて在庫がいない!まあオタマモン自体はいるにはいるんだが、教育中だったり群れのリーダーだったりで、売りに出せない個体ばかりだ!』

「それは仕方ない…」

『ところでだリーダー君!君たちの島開拓、テレビ映えしそうだね!是非取材させてはくれないか?』

「すまないがクロッソさん…それはできない。フローティア島は我々の軍事拠点だ。クラッカーに座標がバレたら、アクセスポイントからありったけの戦力を送り込まれて破壊されかねないのでな。秘密にさせてもらう」

『そうか、残念だ…。あー、厳しいことを言うようだがね。投資というのは、リターンを期待できるからこそできるものだ。我々はボランティアお金配りおじさんではない…それは分かるね?』

「…ああ」

『君達への投資が打ち切られないようにするためには、その分君達が稼いでリターンを出してくれなくてはならない。それをわかったうえで、賢く立ち回ってくれることを願うよ!ハーッハッハッハ!』

「もちろん…セキュリティデジモンで稼ぐには、今以上に戦力と頭数が要る。そのために、広い土地と食糧増産が必要だ。そのためのフローティア島開拓だ。エンタメ番組の取材がしたいなら、本拠地の整備がしっかり終わってから遊び用にやるさ」

『む、その方が伸び伸びと制約なしにやれてよさそうだね!その時を期待しているよ!ハーッハッハッハ!』

…電話が終わった。

「まずいな…もっと早くオタマモンを押さえておくべきだった」

…あー、火を起こせるデジモンですか。
文明開化には必須ですね。
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/26(火) 20:45:15.12 ID:tElzgwKao
銃火器作れるコマンドラモンでもダメなのか
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/26(火) 20:53:27.82 ID:vtg2AUZZ0
デジタルワールドでも手が出せないデジタマが増えていくのに、現実でまで増えてくのは大変だなあ
286 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/26(火) 20:53:39.66 ID:IqTFZ/Aro
あれ?
そういえばこないだジャスティファイアが凸ってきた時、コマンドラモンを売ればオタマモンくれるって言ってませんでしたっけ。

ダメもとで当たってみますか?

「…最近あの連中と縁があるな。電話してみるか…」

リーダーはジャスティファイアへ電話した。

『うむ!こちらパルタスだ』

「こちらはバイオシミュレーション研究所のリーダー…リーだ。かくかくしかじかで、島開拓のために炎を使えるデジモンを売って欲しい」

『ふむ…アグモンか?ダメだぞ、あいつは今我々の貴重な戦力に育とうとしている』

えっ、手懐けられたんですか?

『我々の命令を直接聞くわけじゃないし、言語を理解してもいないがな。貴様達から貰った助言にインスピレーションを受けて、再教育してみたのだ』

「再教育?どんな?」

『ふふふ、ティンクルスターモンと同じ部屋に入れてみたんだ』

仲良くなったんですか?

『アグモンがティンクルスターモンに攻撃を仕掛けてきたので…返り討ちにしてしこたまボコってやった!ティンクルスターモンは力加減が苦手でな、うっかり殺しかねなかったぞ!』

ええ…
なんて事を。

『骨折して自力でろくに動けなくなったアグモンを、看病して餌付けしてしてたらな…、なんとティンクルスターモンに懐いたんだ!』

!?

『はっはっは!どうやら自分より強い者には従うようだ!だからアグモンは今、ティンクルスターモンの部下というわけだ!言語は理解してないがな!』

…おっかねー。
絶対真似できない教育方針だ。

287 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/26(火) 21:01:35.81 ID:IqTFZ/Aro
「アグモンはいい、手懐けられそうにない…そっちじゃなく、オタマモンを売って欲しい」

『オタマモンか!いいぞ!』

たすかる。




…そんなわけで。
オタマモン(赤)が届いた。

サーバー内のビオトープで、オタマモンを見つめているパートナーデジモン達。

『タマー!』

オタマモンは、コマンドラモン達をじっと見ている。

そこへ、カリアゲがデジドローンVRで姿を投影して出現した。

『よ!オタマモンだな!俺はカリアゲ。今日からお前の仲間だ!』

『タマ…』

『よろしくな!まずはフローティア島でメシ食おうぜ!』

『タマー!』

そうして一同は、デジタルゲートでフローティア島へ向かった。
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/26(火) 21:03:04.56 ID:vtg2AUZZ0
ティンクルスターモンって言うと成長期の方だよね
アグモンに勝つって強いな……
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/26(火) 21:03:54.64 ID:bYvHLNKso
金銭のやり取りする以上一応極秘扱いなカンナギのオタマモンには頼れないか
290 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/26(火) 21:10:00.66 ID:IqTFZ/Aro
フローティア島へ移動すると、カリアゲはデジドローンVRのマシンアームで餌を持ってきた。

「プカモンの串焼きだ。塩を振ってあるからウマいぞ」

「タマ…」

オタマモンは、遠くに気になるものがあるようだ。

「なんだ、串焼きより気になるものがあるのか?どこだ、行ってみようぜ」

「タマ、タマ!」

オタマモンが向かった先は…
有機肥料作りの木箱だった。

「お、おおう…そっちはくせえぞ?大丈夫か?」

「タマ〜!」

オタマモンの視線の先には…
有機肥料から這い出してきた、丸々と太ったププモン達がいた。

「く、食いたいのか?これ?」

「タマ〜…」

「……………いいぞ、食え!」

「タマアァ〜〜!!」

カリアゲは、マシンアームでププモンをつまんで差し出した。

「アム、アム!ゴクン!」

オタマモンはそれを美味しそうに食べた。
…アレ直接食うのか。すごいな。
291 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/26(火) 21:16:22.21 ID:IqTFZ/Aro
「…タマァ〜」
オタマモンはすっかりご満悦だ。

「フゥ〜、あれをそんな美味しそうに食うとは。お前すげーな」

カリアゲはオタマモンの頭を撫でている。

「ムフフフ〜w」

オタマモンは嬉しそうだ。



…それで、リーダー。
オタマモンをゲットしましたが、何をするんでしょうか。

「…フローティア島を我々のアジトとして利用するにあたり、最も重要なものは何だと思う?」

えーと、何でしょう。
飲水の確保ですか?

「それも大事だが…最も大事なのは。セキュリティだ!」
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/26(火) 21:20:00.39 ID:QTVha+kro
実質ウン○が食料で良いしオタマモンはコスパ良さそう
293 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/26(火) 21:26:40.05 ID:IqTFZ/Aro
セキュリティですか。

「そうだ。ここフローティア島は、広すぎず狭すぎない丁度いい広さと、豊かな自然環境、そしてたった一箇所のアクセスポイント…という理想的な条件が揃った島だ。そして、このアクセスポイントには他のデジドローンも来れることだろう」

クラッカーに見つかったら嫌ですね。

「だから…アクセスポイントを扉で物理的に塞ぐ。フローティア島にはマッシュモンの分身を滞在させておき、合言葉がなければ開かないようにするんだ」

な、なるほど…
物理的な認証キーですか。

扉は何で作るんですか?

「鉄だ」

鉄…!?

「パートナーデジモン達には、今まで川などで砂鉄集めをさせてきたんだ。たっぷり蓄えてきた砂鉄を使い…鉄の扉を作る!」

お、おお…!
製鉄ですか!
なるほど、そのためのオタマモンか。

「善は急げだ!井戸も欲しいところだが…まずは!フローティア島に製鉄所を作るぞ!」

いろいろすっ飛ばしてきた!
…でも、確かに製鉄所があれば、鉄の武器が手に入る。
セキュリティデジモン達の戦力強化ができるだろう。
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/26(火) 21:28:41.52 ID:QTVha+kro
デジファームみたい
295 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/26(火) 21:41:52.78 ID:IqTFZ/Aro
我々は「たたら製鉄」の原理で鉄を作ることにした。

それまでの飲み水の確保だが…
デジドローンのパワーは弱いので、川から汲んできた水を搬送するのは何往復も必要となる。

それはそれで仕方ないのだが…ことのついでだ。
製鉄の予熱を利用して海水を蒸発させ、蒸留水を得られる仕組みで炉を設計しよう。

そして早速、デジモン達はたたら製鉄所の建造に取り掛かってくれた。


ブイモンはやる気熱心だ。DIYが好きなのかもしれない。

パルモンは蔓を長く伸ばし、器用な手先と強い腕力で、上手に施工をした。

マッシュモンは、あまり手先が器用ではないが、分身による人海戦術で施工をした。

コマンドラモンは、オタマモンとともに木炭の製造を進めた。

ワームモンは、糸で砂鉄をたくさん採集した。

各々が長所を活かしたおかげで、無事にたたら製鉄所の建設は完了。

そして、砂鉄と木炭を800℃近い高温で加熱した。
296 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/26(火) 21:45:05.03 ID:IqTFZ/Aro
そうしてついに我々は、デジタルワールドで鉄器を製造することに成功した。

そうして、アクセスポイントを大きな鉄の部屋で囲った。

ひとまず、セキュリティはこれでいいだろう。
あとは、製鉄所を使って鉄製の農具や工具、武器や道具を作っていけば…
開拓はだいぶラクになるぞ!


しかし…キンカクモンのデジタマは孵化に時間がかかるな。
蛮族デジモンの子孫が成長期に育ってくれれば、こういう作業がもっとはかどるんだけど…。
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/26(火) 21:46:04.53 ID:bYvHLNKso
デジタマの段階だと何にもしてやれることないからデジタマ期間長くても特はないか
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/26(火) 21:48:59.92 ID:i/6tIx8o0
こんな良い島によく原住民がいなかったもんだ
299 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/26(火) 21:51:08.55 ID:IqTFZ/Aro
さて。
そろそろププモンが溜まってきたころだろう。

オタマモンの餌に使うだけでなく、釣り餌にもなるププモン達。
パルモン、また離島に行って釣りを頼むよ。

「わかった!」


しばらくすると…

「わあぁ!?」

パルモンの叫び声が聞こえてきた。
な、なんだ!?
我々はデジドローンを飛ばして、パルモンの様子を見に行った。


怯えるパルモンの視線の先には…
ププモンの飼育小屋があった。

ただし、有機肥料から這い出たププモンを溜めている箱は…

https://i.imgur.com/Yw7lwxU.jpg

…4体のカニ型成長期デジモン、ガニモンに破壊され、中のププモンを食い荒らされていた。
300 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/09/26(火) 21:51:42.32 ID:IqTFZ/Aro
つづく
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/26(火) 21:53:07.68 ID:bYvHLNKso

早くも楽園崩壊の危機か
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/26(火) 21:54:47.73 ID:N+uAMXxS0

海から上陸してきたか?
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/09/26(火) 21:58:56.78 ID:jMqChlyE0
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/26(火) 21:59:21.41 ID:vtg2AUZZ0

あくまでも危険な害獣デジモンがいないってだけで成長期クラスは普通に来ちゃうか
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/26(火) 23:28:49.10 ID:3lqSljM4o
どっから嗅ぎ付けて来やがったカニ野郎
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/27(水) 10:27:40.58 ID:wEyDgvJHo
リアルの蟹はそんなに口大きくないけどガニモンはよく見ると口でかいな
ププモンくらい丸のみできそうだ
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/28(木) 18:48:58.62 ID:IDDWelk/0
ガニモン四天王をどう対処するのか
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/28(木) 21:23:08.89 ID:NScV8n40O
ゴリ押しだ
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/29(金) 19:06:13.93 ID:cJ18Dm0Bo
害虫でも害獣でもなく害蟹か…
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/02(月) 18:23:45.84 ID:xIcDU/Rro
1スレ目は安価使ってたけどやっぱ安価使わない方がこの作者は描きやすいのかな?
311 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/02(月) 19:55:16.47 ID:OAPP8a4hO
ど…どうしますリーダー!?
ププモン飼育箱は、我々が目指す「持続可能性のあるデジモン飼料確保」の要ですよ!

あれを占拠されてたら、野菜を生産できないし、釣り餌も手に入らない!
またキノコと採集生活に逆戻りですよ。

「ああ。生活インフラは早急に取り戻さなくては…」

私の隣でカリアゲも驚いている。
「あいつらどっから来たんだ!?前に見たときはあんな奴ら住んでなかったぞ!」

おそらく…
海底を歩いて、島を登ってきたんだな。

「完全に想定外だぜ…まさかデカい蟹の化け物が来るなんて思ってもみなかった…」

リーダーはカリアゲの肩をぽんと叩く。

「逆に考えるんだ、カリアゲ。我々は、シューティングスターモンの排泄物を使って、ガニモン4体をおびき寄せることに成功した、と」

…ピンチをチャンスに変えるつもりですか。
しかしどうやって?

「それは…まずは奴らの観察をしてから考えるぞ。ケン、頼んだ」

分かりました。

…私は、ガニモン達の観察を開始した。
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/02(月) 20:01:37.32 ID:0n9oMbUwo
ガニモンを退治するんじゃなくて研究のために観察始める研究者の鑑
313 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/02(月) 20:04:23.91 ID:OAPP8a4hO
ガニモンは木箱を破壊している。
直径10cm程もある太い木材を、左手のハサミでいともたやすくバチンと切断した。

ウエッ!なんだあの切断力!
うちのパートナー達はあの木材を切るのにだいぶ苦労したんだぞ。

さすがにスカモンが握っていたズバモン剣ほどの威力ではないが…
あれに挟まれたら、成長期デジモンの手足は即座に切断されるだろう。
成熟期デジモンとて油断したら指の一本や二本を簡単に持っていかれるに違いない。

くそ…苦手なタイプだな。
「弱点らしい弱点がなく、インファイトが強いデジモン」。

それにしても、あのハサミの威力。
いくらなんでも尋常ではない。
あのデカいハサミの中に筋肉がぎっしり詰まっていたとしても、あんな切断力を出すのは用意ではないだろう。

一体どんな原理で、あの破壊力を出しているのか…?

…強いデジモンを倒すための、最も有効なアプローチ。
それは「強さの正体」を解き明かすことだ。

そして、それを突き崩す決め手を手札から選び…
そのサポートをすること。

それができれば、我々のチームはスカモン大王のような格上すらノーダメージで勝てるんだ。

そのためにも…しっかりと、ガニモンの強さの正体を突き止めなくてはならない。

強さには、必ず理屈があるから。
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/02(月) 20:07:01.19 ID:xIcDU/Rro
虫が人間サイズになったら恐ろしい能力になるとはよく言うが蟹さんもその類いか
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/02(月) 20:10:30.55 ID:Ql23Iw530
アニメでもゲームでも強いとこあまり見せないけど冷静に考えるとクソ強いよねガニモン
316 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/02(月) 20:16:15.64 ID:OAPP8a4hO
ガニモンの右腕は小さく、左腕は大きい。

よく見ると、でかい左腕は本当に破壊のためだけに使っているようだ。

左のハサミでバチンバチンと木材を切断し…
そして小さい右のハサミで、ププモンをつまんで食べている。

左手のでかいハサミでは、ププモンをつまもうとしない。

なるほど…なんとなく、見えてきた。
ガニモンは、左右の腕の役割が異なるのだ。

でかい左腕は、完全に武器としてのみ利用しており、右腕は餌をつまむなど、物を掴んで動かす役割を持っているようだ。

その右のハサミの握力も相当強いらしい。

私はさらに観察を続けた。
ププモンはどんどん減っていく。

すると、だんだん左ハサミの仕組みがわかってきた。
短時間に連続で物体を切断できるわけではなく…
力を「溜める」必要があるようだ。


…そうか。分かった。
左のハサミは、根本的に蟹のハサミとは内部構造が異なっているんだ。

あえて例えるなら…
「アギトアリ」という蟻のアゴの構造が、最もそれに近い。
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/02(月) 20:20:00.92 ID:baVcpCes0
Ready to Go!Count ZERO〜!
318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/02(月) 20:23:50.46 ID:5xGrntATo
分析完了まで耐えろププモン
319 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/02(月) 20:25:03.38 ID:OAPP8a4hO
アギトアリ。
体長1cmの大型の蟻だ。

最大の特徴は、その巨大なアゴ。
常にアゴを開いており、獲物が近付くと、秒速64メートルという凄まじいスピードで顎を閉じて捕らえる。
そのスピードは、地球上のあらゆる生物が発生させる運動のスピードで最速といわれている。

アギトアリのアゴが、なぜそんなに速いのか。
それは、アゴの構造が「トラバサミ」の仕組みになっているからだ。

アゴを「閉じる」方向に力を入れているのではなく…
アゴを「開く」方向に力を入れ、強靭な腱をバネのように伸ばし、腱へ運動エネルギーを蓄える。

そして、そのままの状態で顎をロックし…
獲物が近付いたらロックを解除する。
するとアギトアリの顎は、腱に蓄積した運動エネルギーを使って物凄いスピードで閉じるのだ。

おそらくガニモンのハサミも同じだ。
ガニモンはふだん、ハサミを開いた状態にしている。
これは、「閉じる」方向に縮む強靭な腱を、「開く」方向の筋肉で伸ばして、それをロックしているからだ。

物体を切断するときは、物を挟んでからそのロックを解除することで、腱に蓄えた凄まじいエネルギーを開放し、物体を切断するのだ。
320 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/02(月) 20:34:08.05 ID:OAPP8a4hO
武器の仕組みはわかったが…
では奴らを倒せるかというと、そうでもないように思える。

私はコマンドラモンへ指示し…
透明化したまま、ガニモンへ銃撃をさせた。

銃弾はガニモンの甲殻に弾かれてしまった。
ゲッ、うちの主力火力がノーダメージだと!?

撃たれたガニモンは驚き、ハサミを掲げて周囲を威嚇している。

…ガニモンの甲殻はトゲトゲしており、平らな部分がない。
そこへ銃弾を放っても、真っ直ぐに胴体へ突き刺さらずに、表面で滑って軌道がずれてしまうのだ。

では、コマンドラモンの爆弾なら効くかというと…
正直、望み薄だ。

それはまあ、ガニモンの甲羅の真上で爆発させられればダメージは入るだろうが…
ちょっとでも離れられたらダメージは入らない。

なぜなら…
ガニモンは常に「地面に伏せている」状態だからだ。

コマンドラモンの爆弾は、爆風で撒き散らした破片でダメージを与えるのだが…
こんなに地面に伏せていると、爆発四散した破片がぜんぜん当たらないのだ。

くそ…
つええぞこいつら。
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/02(月) 20:38:15.59 ID:KYd/XJES0
成長期のカニ畜生がなんてずるい性能してやがる
322 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/02(月) 20:42:56.17 ID:OAPP8a4hO
「蟹は甲殻類の完成体」とよく言われる。

リアルワールドには、「カニと名がつくがカニでない甲殻類」が夥しい種類存在する。

タラバガニ、ヤシガニ、ハナサキガニ…等は、蟹に似ているがすべてヤドカリの仲間だ。
収斂進化によってカニそっくりになったのだ。

なぜそんなにカニに似た甲殻類が多いのかというと…
「甲殻類が自然淘汰によって最適化されると、最終的にカニの姿になる」からだ。
これをカーシニゼーション(カニ化)という。

それほどカニの姿は、攻防に秀でているのである。

そして、デジタルワールドでカーシニゼーションをしてカニの姿に収斂進化した、ガニモン達もまた、隙のない強さを持っているようだ。


…分析したが、「ガニモンはとにかく強い」らしいことが分かった。
弱点どこだよこいつら!
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/02(月) 20:45:06.61 ID:xIcDU/Rro
カーシニゼーションなんて言葉初めて知った…
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/02(月) 20:48:20.48 ID:fQTTpq/p0
死んで食われるだけになった時ですらしぶといからな蟹さん
無駄に堅くて剥くの面倒でだんだん食べるの飽きてきて
325 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/02(月) 20:48:30.17 ID:OAPP8a4hO
隣でカリアゲが呟いた。
「なあ、そんなに強いならさ…こいつらのデジタマゲットできねーかな?」

うーん…
ファンビーモンみたいなのがまた増えそうな気がしないでもないけど。

だが、恐れていては何事も始まらない。
ガニモンのデジタマを見つけたら、ゲットしてみるのもいいかもしれない。

我々がそう話していると、クルエが後ろを向きながらなにか言っていた。
「ケン君どうなの?ガニモン達追っ払えそうなんですかー?」

…なんで後ろを向いてるんですか

「私ププモン無理なんです」

…気持ちは分かる。
羽と目がついてるだけで、見た目はどう見ても…
「言わんでいい!」
はいスミマセン。

さて…どうするみんな?
カリアゲ…なんか思いついた?

「オタマモンで火をつけたらどうなるかな…」

海に逃げ込んで火を消すんじゃないかな。

「だよなぁ…」
326 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/02(月) 20:56:42.38 ID:OAPP8a4hO
リーダーはどうですか。
「ワームモンの糸…パルモンのツタ…は、切断されそうだな」
ですね…。

「マッシュモンの毒はどうだ?」

毒を飲ませるわけですか。
耐性がなければ、それでいけるかもしれませんね。

マッシュモン、できるだけ強い毒を持たせたチビマッシュモンを突撃させてみてくれ。

『わかった』

…少数のチビマッシュモン達が、ガニモンへ突撃していく。

「マシーーー!!!」

ガニモンはそれらをハサミでバラバラに解体した。
そのまま飲み込め!


…ガニモンは、マッシュモンの死骸をペロッと舐めたが…
すぐにオエッと吐いた。

ああ、咀嚼されたププモンがちょっと流れ出た。

「イ゛ヤ゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!実況すんな!」

いてっ!
クルエに殴られた!
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/02(月) 20:59:10.60 ID:y6e3Ex20o
最近効果なかったマッシュモンの毒だー!
328 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/02(月) 21:02:11.55 ID:OAPP8a4hO
シン、なんかアイデアある?

「シューティングスターモン呼べませんかね?」

島が無くなるわ!

「じゃあティンクルスターモンはどうすか?」

国防用デジモンをこんなことに呼べないでしょ…。
だいたい、いちいちティンクルスターモンに頼ってたらうちのパートナーが強くならないぞ。

「うーん…サラマンダモンもだめそうすね」

…他力本願だな。
もうちょっとうちの戦力を使ってあげて?

メガはどう?なんか…役に立つデジモンいない?
ニューとデルタだっけ。

「彼らは戦闘向きじゃないってば」

うーん…難しいな。

クルエが手をポンと叩いた。
「あ…そうだ!ファンビーモンはどうですか?」

「「「絶対ダメ!!」」」

私とメガとリーダーは声を揃えて言った。

「えー、なんでですか?」

なんでって…勝ったほうが厄介な敵になるだけだから。

「あー」
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/02(月) 21:03:26.55 ID:lOzUIRd0o
万策尽きたか?
330 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/02(月) 21:15:47.95 ID:OAPP8a4hO
「ん?待てよ…武器じゃねえけど、あれはどうだ?」

カリアゲが何かを思い付いたようだ。
あれって?

「最近、製鉄やってたじゃん?溶けた鉄をブッかけるんだ」


いや、それはちょっと用意するのに時間がかかりすぎる。
ププモンが食い尽くされるぞ。

「やっぱし?」

しかしすげーこと思い付くな…
やったとしてどうにかなるもんじゃないと思うけど。

「そっか…まあそうだよな」

八方塞がりか…?



「オイラがやる!」



その時、ブイモンの声がした。

ぶ、ブイモン!?
どうした!?なんか手があるのか!?

「かまがあるだろ!あれをつかう!」

鎌…スナイモンの鎌か…。
うーん、成熟期最強クラスのスナイモンの鎌なら、確かにガニモンの装甲を貫ける可能性はあるけどさ…

「まかせろ!ぶったおしてやる!」

だ、だが待て。
相手は四体まとまってるんだ、近接格闘では分が悪いぞ。

「このひのために…とっくんしてきたんだ!やるぞワームモン!」

ブイモンの言葉に、ワームモンが反応した。

「せいこうさせるんだ!デジクロスを!」

な、なに…!?
お前らデジクロスできるようになってたのか!?

「まだなってない!」

なってないんだ。
331 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/02(月) 21:18:20.92 ID:OAPP8a4hO
と、とにかく…
スナイモンの鎌で戦うなら、ひとまずデジクロスを成功させてくれ!
じゃないとガチで手足もがれかねないぞ!

「やってやるぞ、ワームモン!デジ…クロース!はああーーー!」

ブイモンが力むと、隣でワームモンも力んで、ギチギチと顎を鳴らした。

「うおおおおおおーー!」

ど、どうだ…?

「…だめだぁ、やっぱできねえ…」

…ナイストライ。
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/02(月) 21:20:26.06 ID:1ela9Ktgo
人間みたいな子ブイモン
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/02(月) 21:22:09.31 ID:5hYAyogX0
願望だけあってもやりたいことできないのは人間と同じだ
334 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/02(月) 21:27:54.13 ID:OAPP8a4hO
くそ、もう手札がない。
もう壊されるのを見ているしかないのか…?

「へっくし!」

ど、どうしたカリアゲ。

「んー、もう季節が季節だから、涼しくなってきてな…。ズズッ。スギ花粉の時期よりマシだけどな」

花粉症あるんだ。

「あーもうあれだけはシンドいよ…地元で畑仕事してるときに飛んでくると最悪でさあ…!」

人類が未だに克服できてない敵だよね。
ってこんな事喋ってる場合じゃない。
手札がもうないぞ…

「ああ…ぁ…ぁああああ!?」

ど、どうしたカリアゲ!

「ある!まだ一つだけ!」

お、おお!?
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/02(月) 21:29:17.43 ID:TEKdraFR0
実家は農家なのかよカリアゲ
336 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/02(月) 21:35:24.37 ID:OAPP8a4hO


ガニモン達が晩餐会をしていると…
パルモンがそこへ走り込んできた。

追撃しようとハサミを向けるガニモン達。

そんなガニモン達へ…
パルモンは、大量の花粉を浴びせた。

ガニモン達の眼球は複眼でなくカメラ眼だ。
大量の花粉がベットリとガニモン達の目にくっついた。

「ギシシシシィィィイイィィ!!??」

ガニモン達は悶え苦しんでいる。
おお…効いてる!
ゲレモン達にはぜんぜん効果なかったから忘れてたけど、パルモンには前世フローラモンから引き継いた花粉攻撃があった。

「ギシイイィィ!」

どうだ!痒いだろう!
そのハサミじゃ顔を擦れまい!

ガニモン達は、海の中へ潜っていった。
だが海水をかけたとて花粉は簡単には取れないぞ。

花粉はペクチンというタンパク質を分泌してまとわりつくんだ。
だから熱湯ならともかく水程度じゃすぐには取れない!


そのまましばらく待ったが…
ガニモンは上陸してこなかった。
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/02(月) 21:37:32.38 ID:xIcDU/Rro
忘れかけてた能力が活用される
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/02(月) 21:42:50.87 ID:4Ts+Jl2Po
普通のお手手を持ってない相手にはこういうやり方もあるか
339 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/10/02(月) 21:43:11.68 ID:OAPP8a4hO
マッシュモンが子分を連れてきて、パルモンを胴上げした。
コマンドラモンとワームモンも拍手を送っている。

…うーむ…
若干危なかったが、ギリギリ瞬膜を閉じられる前に花粉を眼に浴びせることに成功したな。

「瞬膜?なんだそれ?」
カリアゲが聞いてきた。

瞬膜というのは、鳥やラクダ、ワニなど一部の動物が持っている透明な眼球プロテクターだ。

ワニが泥の中で眼が傷つかないように。
鳥が高速飛行中に目が傷付かないように。
ラクダが砂埃で眼が傷付かないように。
まぶたの下に、透明な第二の瞼みたいなのを持ってるんだよ。

ガニモンがもしかしたらそれを持ってる可能性があったけど…
先手を取れたからなんとかなった。

「パルモンやるなー…お手柄だ!」





どれだけ硬い防御力を持った敵だろうと…
どれだけ強靭な武器を持った敵だろうと。

しっかり観察して、弱点を探し…
多様な戦力を揃え、それをうまく運用すれば。

ときにパワーの差をひっくり返せる事があるのだ。
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/02(月) 21:44:12.26 ID:qvjBcMT3o
これがRPGならパルモンに経験知いっぱい入ってそう
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