【安価・コンマ】目が覚めるとそこは…

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99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/08/30(水) 21:23:00.52 ID:sKogJlnlo
お久しぶり
ずっとこのペースだとエタらないか心配だ
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/08/30(水) 21:41:31.67 ID:cnqShGdBo
はいよー
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/09/01(金) 19:37:23.39 ID:YWmeO82zo
>>99
見てくれる人がいる限りは続けていきたいと思います。
更新頻度も、一回の量は短くてもなんとか増やしていければなとは思ってます。


「シェイプシフターとの絆を強めると言ってましたが、それには何か特別な方法が必要なんですか?」

「…正直、分からないな。今の状態のシェイプシフターに意識があるのかどうかも定かではない。唯一言えることとしたら、月並みなことではあるが丁寧に使ってやることくらいか」

神父の言葉を聞くと不動は黙って頷いた。

「叔父さん、この杖は形を変えられるって言ってたけど、何か他に特別こととかはないの?」

「特性といえば、先程挙げたものくらいだな。あとは、その特性を活かして他の杖とは違う使い方ができるかもしれん。例えば相手の魔法をリスクなく防ぐ、とかな」

その言い方に不動は少し引っかかった。一方で椎名は神父が何を言わんとしているか分かったようだ。

「どういうことですか?」

「そうだな、君には1から説明しよう。通常、放たれた魔法を防ぐには2つの手段が存する。1つは魔力の障壁で防ぐことだ。この場合、基本的にはどの魔法にも幅広く対応できるが、自分の魔力よりも放たれた魔力のほうが高い場合は防ぐことはできない。また、魔力を消費するため同様に体力も消耗する」

「それじゃあ、もう一つは何ですか?」

「2つ目はよりシンプルだ、盾などの道具で物理的に防ぐ。こちらは体力や魔力の消費は無いが、魔法の性質そのものは防げない。例えば炎の魔法を放たれれば、自分の身は守れるが、盾そのものは熱されてしまい、そのうちガタがくる」

「なるほど。じゃあ、俺の杖でならリスクなく魔法を防げるというのは?」

「その杖はさっきも言ったが、形の変化と魔力の吸収という特徴を持っている。であれば盾の形状にし魔法を受ければ、魔力が吸収されるため魔法は無力化され、盾で自分の身も安全に守れるだろう」

「本当ですか!?それって…かなり強くないですか…?」

「ああ。過去の魔法使いには盾に自らの魔力を纏わせ、同様の事例を再現しようとした例もある」

神父はそこで言葉を止めると、しばし思案した。

「もっともあくまで推論に過ぎないがな。懸念点はいくつもある。生体細胞を使用していることによるイレギュラー、実際に運用するにあたってどこまでの魔法なら耐えられるのか、吸収された魔力は君にいかなる影響を与えるのか……」

「…流石にいい事づくしってわけじゃないんだね」

「まあ、魔法の素人が持つ分には十分だとは思うがな」

不動は今の話を反芻しながら周囲を見渡していたが、やがて口を真一文字に結んだ椎名の顔が目に入った。声をかけようとしたとき、彼女が口火を切った。

「叔父さん…私達、どうしたら良いかな…」

椎名は不安そうな顔をしながら、神父に問いかける。

「ふむ…」

「だって、あの魔法使いたちに私達の顔は見られちゃったし…。NPOに入るときに住所とかも教えちゃった…」

「そうだな──」

↓1 神父は二人になんと答えた?
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/01(金) 19:44:32.24 ID:nvLO0nogo
魔法の存在を知ってる公的な機関による証人保護プログラムを家族みんな受ける
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/09/01(金) 20:20:30.04 ID:YWmeO82zo
「最も安全なのは魔法自治局に証人保護プログラムを適用してもらうことだろうな」

「魔法…自治局?」

首を傾げる不動に向かって椎名が口を開く。

「えーと、簡単に言えば魔法界の警察、みたいなものかな」

「大雑把に言えばな。だが──」

神父によれば、魔法自治局は有史以来、次第に高まりつつある魔法界と非魔法界の対立を防ぐために設立された団体らしい。当初は魔法使いが非魔法界へ過剰な影響を与えないよう規制を行うだけの存在だったが、やがて非魔法界の諸機関と協力し、両者の間の均衡を保つようになっていったそうだ。

「──というわけだ。だがより細やかな点にまで言及するのなら──」

「叔父さん!講義はそれくらいにして、続きを話してよ」

「むう…」

神父はバツの悪そうな顔をして咳払いをすると、話を続けた。

「今の状況なら確実に保護を受けられるだろう。なんせ魔法生物の密猟に不正な杖の製造及び違法な取引、そして一般人への過大な干渉と殺害未遂。十分すぎるほどだ。証人保護プログラムを受ければ、二人と家族の安全も守られるだろう。かわりに自由な生活はなくなるだろうがな」

「…どうする、不動くん?」

「……」

↓1
1保護してもらう
2他の道を考える
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/01(金) 20:22:14.93 ID:C6bwkcUKo
1
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/09/01(金) 20:44:56.80 ID:YWmeO82zo
「保護してもらおう。俺は魔法の素人だし、何より椎名を危険な目に合わせたくない」

その言葉を聞いて、椎名はうっとりと不動を見つめた。

(……愛理沙のやつ、不動くんにベタ惚れだな)

「そういうことなら私から知り合いに連絡しよう」

そこからの流れは早かった。連絡して数時間で担当の捜査官が派遣され、不動たちを証人用の安全な隠れ家へと連れて行った。

二人の家族もすでに保護されており、両家族は安全のためにも、居住空間こそ違いながらも同じ建物で暮らすこととなった。

そうして二人は平穏を手に入れた、と思ったのも束の間、数週間後に担当の捜査官がとある知らせを持ってくるのだった…。

↓3まで 捜査官が来るまでに起こった出来事(コンマが奇数でイベント発生)
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/01(金) 20:46:37.93 ID:FTGJdfq30
愛理沙と魔法の勉強とかしつつ、イチャイチャ
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/01(金) 20:48:31.65 ID:zT0Bdpjmo
通う学校の話
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/01(金) 20:50:54.40 ID:2lc2cBgPo
例の杖の危険性が未知数のため自治局の監察の下定期的に訓練を行う
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/09/01(金) 22:07:23.16 ID:YWmeO82zo
「それじゃあ、いくけど…何かあったらすぐに言ってね?」

不安そうな顔で椎名は念を押す。

「うん。ほら」

二人は特に用途に決まっていなかった共用スペースの一つを、不動の訓練のための部屋として使用していた。

証人保護プログラムで守られているとはいえ、今後何があるかわからない。それと不動の魔法に対する純粋な興味も手伝って、二人は何日かおきに魔法の特訓を行うようにしていた。

椎名は目を瞑って息を整えると、杖の先を不動に向ける。

「レームング!」

椎名の杖の先から飛び出た黄色い光──相手を麻痺させる初歩的な魔法だ──は、盾に変形した不動の杖に吸い込まれて消えた。

「どう?大丈夫?」

「うん、なんともない」

「それじゃあ、続けていくね」

それから同じ魔法を十数発は受け止めた。そしてまた一つ、魔法を受け止めたその時、不動の手を痺れが襲った。

「っ…!」

「大丈夫!?」

駆け寄ろうとする椎名を不動が片手で制止した。

「大丈夫…少し、手に痺れが…」

「そっか。じゃあ限界はこのあたりなのかな?」

「かも。でも結構防げたんじゃないか?」

「うん。…でもこの魔法は魅力の消費も少ないから。もしかしたらもっと強大な魔法だと受け止められる回数は減るかもしれないね」

「…だな。じゃあ次は俺の番だな」

不動の意識が守備から攻めに移り変わるのと同時に、杖も元の形に戻る。椎名から教わったように杖を構え、意識を集中させる。

「レームング!」

不動の杖から黄色い光が飛び出すが、それは椎名のものよりも明るくなく、速度もあまりなかった。

「…椎名みたいにはいかないな」

「でも、今まで魔法と縁が無かったって事を考えたら十分だと思うよ!」

「ありがとう。じゃあ、どこまでやれるか試してみよう」

そうして同じ魔法を何回か放つ不動。だが二桁に到達する前に、魔法は放てなくなってしまった。
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/09/01(金) 22:08:00.37 ID:YWmeO82zo
「もう、限界みたいだ」

少し息切れを起こしながら、不動は椎名のもとへ向かって歩く。彼女の目前まで着いたとき、足が絡んで転んでしまう。

「痛ててて…」

ふと目を開けたとき、椎名の顔が目の前にあった。転んだ拍子で彼女を押し倒す形になってしまったようだ。

花のように甘く良い香り、大きなくりっとした瞳にきれいな肌、細やかな息遣い、全てが不動の感覚を刺激する。

「え…と…」

固まる不動を暫く見つめたあと、椎名は不意にキスをして、笑顔で彼を見つめる。唇に少し触れるだけの軽いものではあったが、不動をドギマギさせるには十分だった。

不動は慌てて椎名の上から退けると、心を落ち着けるために窓際へ行き、外の風景を眺めた。不動ももっと椎名と触れ合いたいとは思っていたが、なんせこの家には二人の家族まで居るのだ。あまり下手なことはできない。

椎名は起き上がって不動の横に立つと、同じく外の風景を眺めた。小高い丘にあるこの家からは、街の様子がそれなりによく見える。外は夕焼けで真っ赤に照らされていた。

「みんな、どうしてるかなぁ」

「お別れを言う時間もなかったからな」

「うん…」

「けど、新しい学校のみんなもいい奴ばっかだろ?」

「そうだね…。不動くんを見てもあまり怖がらないし」

椎名はクスリと笑いながら、窓にもたれかかる。

「それにやっぱり、今が安全なのも確かだと思う」

「なんでだ?」

「だって、多分だけど学校にも護衛の人がいるみたいだから」

「そうなのか?」

「うん。化学の先生は魔力の感じからして魔法使いで、私達のそばでよく見かけるもん。他にも何人が居るみたいだし」

「…全然気が付かなかった。というかあの先生、普通に教え方もわかりやすいけど、教師は本職なのか…?」

「さあ?…安全だけど……でもやっぱり、寂しいよ」

椎名は外の景色を眺めているが、実際にはその先にあるはずの元いた学校、知り合い、風景を思い描いているのだろう。

「なら、また会いに行こう。このゴタゴタが全部片付いたら」

「…うん!」
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/09/01(金) 22:11:08.81 ID:YWmeO82zo
二人の護衛を担当している捜査官を募集します。いつも通り名前、性別、年齢、性格、見た目をお願いします。なくてもいいですが、もしあれば簡単なバックストーリーもどうぞ。

↓1
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/01(金) 22:19:44.84 ID:zT0Bdpjmo
高木 巡(たかぎ じゅん)

26歳
真面目で優しいけどお人好しでおっちょこちょい、でもかっこいい時もたまにある
温和な容姿でめちゃくちゃイケメンというわけではないけどどちらかと強いて言えば良い男
一人称は僕 常に敬語
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/09/01(金) 23:06:58.47 ID:YWmeO82zo
「お二人共、お久しぶりです。元気にしてましたか?」

「はい!」

「…ええ」

「それは良かったです!僕もこのとおり元気ですよ」

二人の元を訪れたのは、彼らの証人保護プログラムの担当捜査官である高木巡だ。人に親しみを与える雰囲気を持つ人物で、不動と椎名も高木を信頼するようになっていた。

「今日は少し確かめたいことがあってきました。不動くん、ちょっと杖を出してくれますか?」

「…はい」

言われるがままに杖を取り出そうとしたその時、不動は異変に気づいた。自分の杖が微かに震えながら光を放っている。少し逡巡したものの杖を取り出して机の上に置く。

その様子を見て、高木はため息をつきながら同僚に命じて箱を持ってこさせた。白い、細長い箱だ。その箱が机に置かれると同時に杖はさらに光を増して震えも大きくなった。

「……はあ。では不動くん、少し外に出てきてください」

そうして不動は他の捜査官に案内されるがまま、家の外へと連れて行かれた。それと同時に杖の光は次第に薄れてゆき、振動もやがて止まった。

それを確認すると高木は不動を呼び戻した。不動が席につくと、今度は箱の蓋を開けて中からの一本の杖を取り出した。それを不動の杖に近づける。すると二本の杖が独りでに動き出し、やがて溶け合うようにして一つになった。

「……!?」

「ど、どういうことですか!?」

二人の反応を見ながら、高木は両手で頭を抱えて呟く。

「はぁ……。本当に予測通りになっちゃいましたか、嫌だったんですけどねぇ…。うちの研究班が優秀なのはいいですが、今ばかりは彼らのことを恨めしく思いますよ…」

ひとしきりブツブツ呟いたあと、高木は二人に向き直って口を開く。

「お二人にお伝えすることがあります。……もっとも、あまり歓迎できない話でしょうが」
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/09/01(金) 23:07:29.17 ID:YWmeO82zo
今日はここまで。
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/01(金) 23:08:02.06 ID:zT0Bdpjmo
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/01(金) 23:08:53.60 ID:1x9GiyBO0

時間かかっても完結までがんばれー
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/07(木) 20:03:43.38 ID:k4/Ny54t0
更新頻度ずっとこのままかな
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/09/09(土) 20:16:32.94 ID:Me/gvQj3o
>>117
できれば上げていきたいですけど、なかなか難しそうです…


「まずは今起きたことを説明しましょう。僕が持ってきたあの杖は不動くんのものと同じ、シェイプシフターを使用して作られた杖です」

「他にも杖があったんですか?」

不動の問いに高木は首肯する。

「君たちを襲った連中は、シェイプシフターを使用した杖を複数製造していたようで、そのうちの一つを先日確保したのです。そして私達の研究班の調査によって、いくつかの仮説が立てられました」

すると高木は指を三本立てた。

「一つ、シェイプシフターの細胞は互いに反応し合うこと。二つ、それらは融合することで元に戻ろうとしていること。三つ、反応と融合を行うためにはシェイプシフターの細胞が活性化する必要があるが、そのためにはその近くに杖の持ち主が居なければならない、ということです。そして今起きたことは、それらが全て事実であることを証明しました」

高木は続けて口を開こうとしたが、椎名の鋭い視線に気づいた。彼女は次に高木が何を言うか、おおよその検討がついていたのだ。

その視線に居た堪れない心地を覚えながらも、高木はため息をつきながら話を続ける。

「そこで、魔法自治局として不動くんに協力をお願いしたいのです」

「…何をすれば良いんですか?」

「我々の捜査チームと行動をともにして、他の杖を探し当ててほしいのです。簡単に言えばコンパスの役割を果たしてほしいのですよ」

「でもそれって、危ないですよね。魔法自治局ともあろう人達が、魔法使いでもない不動くんを危険に晒すなんて…!」

「僕もこんな提案はしたくないんです。ですが……これも仕事ですので」

そう言った高木の顔は苦悩の表情で満ちていた。生来の優しさと真面目さの間で板挟みになっているのだ。

「…場合によっては証人保護プログラムの打ち切りもある、と上司は示唆していました。脅迫紛いのことをしているのは分かります。ですが、あの杖を危険な人間の手に渡らせることはあってはならないのです。ですから、どうか協力してください。それがお二人のためでもあります」

高木は深く頭を下げる。不動はその様子を黙って見つめていた。

「不動くん…?」

↓1
1 協力する
2 協力しない
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/09(土) 20:18:01.86 ID:HuQ78OrhO
1
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/09/09(土) 20:45:30.27 ID:Me/gvQj3o
「…分かりました」

すると高木が顔を上げるよりも先に、椎名が不動の肩をつかんだ。

「そんなの駄目だよ!」

彼女は目に涙をためながら続ける。

「捜査員の人達がいたって、不動くんが……酷い目に遭う可能性はあるんだよ!?もしそんな事になったら…!」

実際、椎名が自分と同じ選択をしたら止めるだろうと不動は思った。それでも、今回は譲れない。

「もし保護が打ち切られたら…俺だけじゃなく、椎名やご両親だって危ない」

「だからって…!」

不動は椎名の手に優しく触れる。

「それに…いつまでもこんな生活は続けられない。椎名ともっと…普通に、幸せに過ごしたい。その為なら俺は、どんなこともしてみせる」

椎名はまだ何かを言おうとしたが、それをぐっと呑み込んだ。不動とは長い付き合いだからこそ、分かったのだ。こうなった彼は譲らない、と。

「…分かった。でも!私も絶対付いて行くから!」

「椎名……」

本当は彼女にはずっと安全な場所に居てほしかったが、同時にその言葉が不動には嬉しくもあった。自分の決意と同じく、彼女もまた譲らないであろうことも彼には分かっていた。

「わかった。絶対に守ってみせるから」

「…うん!」

二人の話が一通り終わったのを確認して、高木が頭を上げる。

「本当に、ありがとうございます。そして巻き込んでしまって申し訳ありません。ですが、その引き換えに必ずお二人をお守りし、元の生活に戻れるよう全力で取り組みます!」

再び頭を下げる高木に向かって、二人もまた頭を下げた。

その後、二人は家族を何とか説得し、本格的に捜査に協力することが決まった。早速、高木から全体についての説明が行われた。そこでの話によると、いくつかの手掛りがあるらしい。

↓3まで
杖の居所または密猟組織についての手掛り
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/09(土) 20:53:44.96 ID:SFikTBULo
杖の実験を行うと言う情報が
ただし全く同じ時間に行われるという情報のある場所が2ヵ所ある
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/09(土) 20:59:54.77 ID:0LFms8Cj0
自衛隊の保有する銃火器の中に変形した杖が潜り込んでる
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/09(土) 21:02:53.97 ID:DJub1mt50
警察組織に潜入してる敵の構成員がいる
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/09/09(土) 21:21:15.71 ID:Me/gvQj3o
高木によれば手掛りは全てで3つある。1つ目はシェイプシフターの細胞を利用した杖の実験を行うという情報だ。ただし厄介なことに同時刻に異なる2つの場所で実験が行われるらしい。どちらの情報が正しいかまでは分からないとのことだ。

2つ目に、自衛隊が保有している銃火器の中に不審な様子のものがあるとの情報が入っている。捜査チームはこれを銃火器に扮した杖だと睨んでいるそうだ。

3つ目は杖ではなく、密猟組織についてのものだ。組織と警察の間に何らかの繋がりがあるのではないかという疑惑が出ているのだ。というのも組織絡みと思われる事件が発生した際には、やけに警察の到着が早い上に、それが簡単な事故として処理されたり、中には半ば揉み消されたような事件もある。魔法で操っているのか、それとも組織の一員が潜入しているのかは分からないが、何らかの形で警察を操作している可能性が高いとのことだ。

これら3つの手がかりのうち、捜査チームが最初に手を付けたのは──

↓1
1杖の実験について
2自衛隊の銃火器について
3警察と組織について
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/09(土) 21:22:42.02 ID:SFikTBULo
2
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/09/09(土) 21:56:19.37 ID:Me/gvQj3o
捜査チームが最初に手を付けたのは自衛隊の件だった。杖の実験はその日時までまだ幾ばくかの余裕があった。警察と組織については決して看過できないが、自衛隊の件のほうが重要性が高いと判断したのだ。

「それにしても、自衛隊、ですか」

「意外だよね、銃器と魔法の組み合わせなんて。うーん…そもそも自衛隊と魔法の杖が一体どう繋がったんだろう?」

件の自衛隊基地に向かう車列の中で不動と椎名が疑問を口にする。

「正直言って僕も想像が及びません。とにかくまずはその火器を確認するのが先決です。杖を見つければ自ずとそれを自衛隊に持ち込んだ人物についても分かるはずです。繋がりはその人に聞けば分かります」

助手席に居る高木が後部座席を振り返って二人に話しかける。

「確かにそうですね!」

「…所で、1つ質問なんですが」

「何ですか、不動くん?」

「…どうやって自衛隊の基地の中に入るんですか?普通に入れてくれるんですか?」

「残念ながら、普通には入れません。僕たち魔法自治局は表の世界では存在しないことになっている機関なんです。だから、ただ行くだけなら門前払いです」

「それじゃあどうやって入るんですか?魔法、ですか?」

「安心してください。作戦ならあります。それは──」

↓1 作戦とは?


今日はここまで。
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/09(土) 22:04:24.18 ID:94F21eXuo
学校の社会科見学ってことにして基地に入り込む
先生役大勢の生徒役は自治局の人員から手配
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/09/14(木) 20:18:58.45 ID:eVdrJoq9o
「偽装作戦です。これから私達はとある高校の生徒と教師に扮し、社会科見学を装って内部に入ります。その後は案内に従いつつ、不動くんの杖の様子をうかがいながらおおよその場所を探し当てていきます」

「なるほど。その後はどうするんですか?」

「見当をつけたら、魔法を使って案内の目から逃れて杖を探します。ただし、魔法の効果時間やその他諸々も考慮すると、そこからは時間との勝負になります。素早く杖を見つけて何事もなく基地から立ち去ることができれば上出来です」

「質問があるんですけど、組織の人が居る可能性はあるんですか?」

椎名の疑問に高木は神妙な顔をして答える。

「何とも言えません。もしかすると彼らが何らかの目的のために持ち込んだのかもしれませんし、あるいは単に取引の結果かもしれません。何にせよ警戒だけは怠らないでください」

高木の言葉を受けて二人はしっかりと頷く。

「どうやら着いたみたいですね。それじゃあ基地に行く前にこちらに着替えてください」

そう言って高木が取り出したのは制服だった。

「着替えのスペースはあちらに用意してあります」

言われるがままに制服に着替えた二人は高木のもとへと合流する。彼はカラスと何かを話し合っていた。

「あれは?」

不動は横にいる椎名に尋ねる。

「使い魔だね。魔法を行使する際の補助をしてもらったり、雑用をこなしてもらったり、色々してくれるよ」

「…へえ。人によって違う…みたいだな」

「うん。私はうさぎの使い魔だよ」

「特に制限とかはないのか?」

「ないよ。よく魔女と黒猫とかがセットで想像されるけど、実際にはどんな生き物も魔力を持ってるからね」

そんな話をしている間に、捜査員達は自分たちの使い魔を学生の姿に変化させていた。

「凄いですね…」

目を見張りながら不動が呟く。使い魔達は姿形だけを見れば、どこからどう見てもただの学生だ。

「とはいえ、簡単な会話くらいしかできないのでサポートは必須ですけどね。では準備も整いましたので中に入りましょう」

そうして不動たちは高木の先導に従って自衛隊基地の入口まで移動した。守衛に要件を伝えてしばらくすると、今日の応接係と思われる隊員が出てきた。

「本日はよくお越しくださいました」

「こちらこそ貴重な見学の機会を頂くことができて感謝しております。ではまずは予定通り、簡単な講義からですかね?」

「はい。ではこちらへどうぞ。それと本日はこちらの一時立ち入り許可証をご携帯ください」

その後不動達は自衛隊の仕事や役割等の簡単な講義を受けたあと、基地内の見学を行うことになった。

「それでは施設内の見学を始めます。これからまわるのは兵舎、食堂、運動場、射撃演習場です。今日は折角なので皆さんの興味のある場所から回りましょう。どこか行きたいところはありますか?」

その言葉を受けて高木が不動に耳打ちする。

「調べたい場所はありますか?」

↓1
調べたい場所をどうぞ
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/14(木) 20:22:58.58 ID:uTt/IOIGo
射撃演習場
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/09/14(木) 20:34:10.53 ID:eVdrJoq9o
「やっぱり射撃演習場が良いんじゃないですか?」

その言葉を聞いて高木は頷くと、案内係に射撃演習場を見学したい旨を伝えた。

「では射撃演習場に参りましょう」

射撃演習場まで移動する間に椎名が不動に耳打ちする。

「どう?杖の反応はなさそう?」

椎名の問いに、首を横に振って不動は答える。杖は基地に入ってから反応してはいるが、それが強まりはしていない。

「ここが射撃演習場です。実際の射撃も見学していただきます」

案内に続いて射撃演習場の中に入ると、不動の杖の反応が強まった。すぐに不動は隣に居た高木に耳打ちする。

「…とりあえず様子を見ましょう」

そうこうしているうちに、隊員たちが準備を終え、射撃の見学が始まった。

↓1コンマ
偶数:異変に気づいた
奇数:異変に気づかなかった
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/14(木) 20:34:52.95 ID:JdDID3ea0
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/09/14(木) 21:16:46.49 ID:eVdrJoq9o
隊員たちが射撃を実演する中、異変がないか探したものの、特に何も見つけることはできなかった。そうこうしているうちに見学が終わろうとしている。

「どうしますか、高木さん?」

「…こっちに来てください」

すると捜査員たちが3人を取り囲む。自衛隊員たちから見えないようにした状態で高木が杖を取り出す。

「イルズィオン」

薄紫色の光が3人を包む。

「この魔法は?」

「幻惑の魔法だよ」

「はい。これで周りからは僕たちの姿が自衛隊に見えます。ただ、効果時間は長くありません。ですので素早く捜索しましょう」

すると捜査員たちが取り囲むのをやめて案内係の方へ移動した。案内係は3人を一瞥すると、そのまま他の捜査員たちを連れて射撃演習場から出ていった。

「…本当に自衛隊に見えてるみたいですね」

「はい。それではこのまま片付けをしている隊員に混じって杖を探しましょう」

↓1 コンマ
01〜65 見つけられなかった
66〜 見つけた
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/14(木) 21:18:10.60 ID:uTt/IOIGo
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/09/14(木) 21:55:47.96 ID:eVdrJoq9o
「見つけましたか?」

「高木さん、見つかりませんよ〜。不動くんは?」

不動は自分の杖に視線を移す。杖はまだ光り続けている。

「いや。でもここにあるはずなんだ」

気づけば片付けをしていた隊員たちももう演習場を後にしており、残っているのは3人だけだ。

「早く見つけましょう。でないと──」

すると一人の自衛隊員が演習場に入ってきた。その隊員は立ち止まると3人を1人ずつ眺めた。

「お疲れ様です。どうされ──」

高木が場を誤魔化そうと一歩を踏み出したが、それより早く隊員は懐から杖を取り出した。それを見て3人も咄嗟に杖を取り出す。

杖の先を相手に向けながら不動は考える。相手を倒すべきか?それとも2人を守るべきか?

↓1
1攻撃する
2守備に専念する


今日はここまで。
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/14(木) 21:56:56.01 ID:yXlVDHwDo
2

136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/09/25(月) 20:34:19.19 ID:y/mmYsJbo
麻痺の呪文が聞こえると同時に、高木が大声で叫ぶ。

「エントヴァフヌング!!」

武装解除の呪文だ。兵士が放った麻痺の呪文は分裂し、3人に向かって奔る。不動の意思によって盾に変化した杖が彼と椎名を守った。だが高木は2人と距離が少し離れていたため、不動の盾の範囲外に居た。しかし、高木に向かって飛んできた麻痺の呪文は、武装解除の呪文に弾かれて消滅した。

高木が次の呪文を繰り出そうとしたその時、3人の足元に何かが転がってきた。

「!!」

それを見た高木が二人に飛びかかってくる。3人を包むように変化した杖によって視界が遮られる寸前、不動は椎名が何らかの呪文を放ったのを見た。

激しい閃光と音が3人を襲う。耳を押さえ目を瞬かせながら、不動は慌てて自衛隊員の姿を探す。しかしすでにその場には居なかった。

「お二人共、無事ですか?」

高木の問いに2人は頷く。

「今のは?」

「分かりませんが、少なくともこの件の関係者には間違いありません」

「あっ!」

椎名の大声につられて2人が彼女の方を見ると、彼女は不動の杖を指さしていた。杖の光が先程よりも弱まっている。

「やられました!きっとヤツが杖を持ち去ったんです!椎名さん、追跡の呪文を放っていたようですが、どうですか?」

↓1 コンマ
奇数:当たった
偶数:外した


今日はこれだけです。
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/25(月) 20:35:11.80 ID:S5I4i0v3o

エタらんように願う
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