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デジタルモンスター研究報告会 season2

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363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/27(木) 23:25:40.12 ID:nPIMNH1io


夜。

集落で、エクスブイモンとモスモンが手当を施されていた。

だが、どちらもどんどん衰弱していく。


…そして、二体はその夜に死亡した。
ディノヒューモンとスティングモン、残りの四天王は悲しみ、二体のデジモンの葬儀を行った。


うぅ…こんなことになってしまうなんて。
我々は平和利用のために、ちょいとデジタマを貰おうとしたのだが…

偶然にも、蛮族が不意打ちをする絶好の機会を与えるきっかけとなってしまった。

さすがに罪悪感がある…。
こんなことを引き起こすつもりはなかったのだ。

作戦を主導したシンとメガも複雑そうな表情をしている。
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/27(木) 23:35:18.44 ID:nPIMNH1io
ディノヒューモンとスティングモン、四天王のうち3体は、何かを話し合っている。

スティングモンが、大げさな身振り手振りを交えながら、ディノヒューモンへなにか言っている。
『ウー!イーコロコロガッシ、グイグイ!』


な…何を言っているかわからん。
そう思っていると、メガが同時翻訳してくれた。
「スティングモンがディノヒューモンへ、『お前がタマゴを取り戻す邪魔をした』って言ってる」

凄いな。あいつらの言語が分かるのか。

「どうやら彼らの会話はボディランゲージが主で、口語はその補助らしい。ゲコモンやフレアリザモンが二足歩行になったのは、作業だけでなくボディランゲージが使えるようになるためだったみたいだよ」

なるほど…。

ディノヒューモンは、スティングモンへ言い返す。
『イーバブバブ、ウーコロコロシュパシュパ!イーバブバブシュパシュパ!』
「『スティングモンのデジタマを奪ったのは、俺の子供だった。俺の子供も盗まれた』…と言っているね」
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/27(木) 23:36:33.38 ID:t4YSVnNh0
最早言語まで獲得している
デジタルワールドの最先端だな……
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/27(木) 23:51:40.15 ID:nPIMNH1io
ディノヒューモンが怒りに震えながら話す。
『ウホウホ…ウホウホ、ゴロリ、ブイブイ!パタパタ!ウホウホワルワル!』

「『蛮族がエクスブイモンとモスモンを殺した。蛮族が悪い』と言ってる」


スティングモンは、少し考えたあと、頷いた。
『ウホウホ…シュパシュパ、ウーコロコロ、イーコロコロ…?』

「『蛮族が、お前や俺のタマゴを盗んだのか?』」



ディノヒューモンは地団駄を踏みながら頷いた。
『ンー!ウホウホ!ウホウホワルワル!』

「『そうだ、蛮族が悪い』だって」


そう聞いた一同は、一斉に同じことを繰り返した。
『ウホウホワルワル!ウホウホゴロリ!ウホウホワルワル!ウホウホゴロリ!』
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/27(木) 23:54:30.67 ID:2VIi0/Zco
蛮族とは別の勢力なんて発想にはそりゃ至らんわな
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/27(木) 23:55:24.82 ID:8Ofjq6ND0
息子が蛮族に洗脳されたと思ってるのか
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/27(木) 23:57:59.19 ID:nPIMNH1io
「…『蛮族が悪い、蛮族を[ピーーー]』って繰り返し言ってる」

つ、つまりだ、メガ…。
ディノヒューモンやエクスブイモン、スティングモンのデジタマを採取したのは全部蛮族の仕業ってことになったのか。

コマンドラモンは、蛮族に捕まって犯行に協力させられてる…みたいな?

「彼らの原始的な言語にそこまで細かい情報をやりとりできる語彙はまだないだろうけど…、おそらくそういう共通認識になったと思うよ」

まあ確かに…
ゲートの向こうの人間がどうこうした、なんて想像つかないだろうからな。

「言語を扱う集団の語彙力は、そのまま集団の思考力となる。彼らは農耕ができるほど文明を発達させてはいるが、細かい問題分析ができるステージには達していない。だから外敵に何かをされたら『目に付く外敵を排除する』以外の選択肢をまだ選べないんだ」

問題解決の基本スタンスが暴力による解決なんだね…。

「今のデジタルワールドでは、暴力で解決できないレベルの複雑な問題は発生しないからね」
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/28(金) 00:00:28.35 ID:AD7Lnqi90
初めに仲間になったフローラモンが高度な言語修得できる能力持ってたのはラッキーだったな
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/28(金) 00:11:41.68 ID:vgDh2uWLo
四天王のトータモンも叫んでいる。
『オオォォ!オオォォ!!』

…トータモンは喋らないのか?

「トータモンは他の四天王や2トップより、脳の言語野の進化が進んでいないようだ。言われた言葉は理解できるが、自分で話すことはできないよ」

話せないデジモンも集落にいるんだ。

「モスモンに至っては言語を理解してすらいない。周囲の動きを見て、なんとなく敵対者へ銃を向けているだけだ」

昆虫型デジモンはそんななんだ…。
スティングモンだけ例外的に話せるんだな。

「言語野は我々人類が長い時間をかけて進化させてきた脳の機能だ。そうそう簡単に真似できるものじゃない」

そう考えると、うちの3体は凄いんだな。

「ディノヒューモンの子供のコマンドラモンや、独自言語をもともと使ってたマッシュモンは分かるけど、フローラモンがなぜあんなに早く言語を習得できたのかは未だに分からない」

…ディノヒューモン、やっぱおかしいよな。
ベタモンがいきなりあれになったんだよな、確か。

「蛮族でさえ、長い長い進化を続けて最近やっとディノヒューモンのレベルに追いつき始めたんだ。ディノヒューモンはやはりどこか、進化が特別におかしい」

パッチ進化で…何かを取り込んだのかも。
何をかは知らないけど…。
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/28(金) 00:13:57.30 ID:E+sgqHs/o
確かに進化の速度が他と差がありすぎるな
373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/28(金) 00:21:15.65 ID:TI5Bs7of0
モスモン達みたいな昔は敵だったデジモンといつの間にか共生してるなそういえば
374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/28(金) 00:22:08.41 ID:vgDh2uWLo


コマンドラモンに、なぜあの時ディノビーモンへ爆弾を投げたのか聞いてみた。

『わけのわからない てきが たくさんあらわれた。 ぶじにかえるには やつらに ねらわれない ひつようがあった』

なるほど…
あの攻撃は、ディノビーモンへの追い討ちというより、蛮族側に巻き添えで攻撃されないためにやったのか。

『でぃのびーは つよい ばんぞくを けちらしてくると おもった だからすこしでも きずをあたえる ひつようがあった』

…そうだな。
確かにコマンドラモンが生き延びるには、それが最善策だった。


私は「何もディノビーモンを攻撃しなくても…」とか考えた自分を恥じた。

そう考えられるのは、私が安全な司令室で、デジモン達を駒として見て、後からあーだこーだ言える立場だからこその余裕なんだ。

現場で命を張って実際に任務に当たっているコマンドラモンとは、視点が異なっていたんだな。



…なあ、コマンドラモン…。
仮にディノヒューモン陣営に協力してたらどうなってたと思う?
『わたしが ばんぞくに ころされていた』

じゃあ、もし一緒に蛮族を退治できていたら?
『でぃのひゅーから やさいを もらえたかもしれない だが たまごは かえさなくてはならないだろう』

…そうだよな。
『助けたお礼にデジタマを貰える』なんて都合のいい話はないよな。

『たまごは いちばん たいせつなもの じぶんのいのちより それをわたす とりひきは ありえない』

だよな…。
私の仮に自分に子供が産まれたとして。
『100万円やるから子供をよこせ』なんて言われて、取引に応じるはずがない…。
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/28(金) 00:23:53.09 ID:rwGQUTOWo
下手なスーパーコンピュータより高度な頭脳だ
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/28(金) 00:26:00.74 ID:Fv8V3u27o
すげえな
任務達成のために最善選ぶだけじゃなくてあの時こうしてたらどうなってたかを相手の価値観を考えた上で自分で分析できてる
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/28(金) 00:26:39.91 ID:vgDh2uWLo
その大事なデジタマを…
我々は、奪った。

そのことの意味を、我々はしっかりと理解しなくてはならない。

我々にデジタマを奪われたスティングモンのことは、可哀想だとは思うが…
『だからやめよう』というわけにはいかない。

これは善と悪の戦いじゃない。
生存競争なのだ。
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/28(金) 00:31:32.41 ID:emm18lEc0
賢い、賢いな……
この対話のシーンが挟まってくれてよかった
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/28(金) 00:32:51.86 ID:vgDh2uWLo


コマンドラモンは、モスモンに撃たれた傷に包帯を巻いた。

幸いにも傷は深くない。
立って歩けるように十分回復できるだろう。

さて、今回採取したデジタマはあれか。
エクスブイモンのデジタマと、スティングモンのデジタマと…

…んん!?
なんかもう一個あるけど!?

シン、あれは!?
「あー、死神モスモンのデジタマっすよ。モスモンは死んじゃったんで、木の見張りがいないわけっすよね?だからパルモンに頼んで、木登りして取ってきてもらいました」

…棚からぼたもちだな…。
モスモンが死んだ原因は我々にもある。
せめて大事に育てよう。



「おーい!ケン!ちょっと来てくれ!」

ん?どうしたカリアゲ!

「なんか変なことやってるデジモンがいるんだけどさ…あれ何やってるんだと思う?」

どれどれ…?
私はカリアゲの席の画面を見た。
デジドローンで、デジモンの観察をしているようだ。
380 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/28(金) 00:34:01.66 ID:Fv8V3u27o
これから生まれてくる子達もパルモンみたいに声で喋れれば色々便利なんだけどな
381 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/28(金) 00:37:12.88 ID:vgDh2uWLo
デジドローンに映っていたのは…

燃える体の両生類デジモン。サラマンダモンだ。

あれ?サラマンダモンは死んだはずでは…?

「メガはそう言ってたけどな。子供がいたとか?でもこのサラマンダモン、なんかおかしいんだよ」

おかしいとは…?
画面に映っていたサラマンダモンは…

『クワー!クワァー!』


…何をやってるんだ、こいつは。


自分が産んだデジタマを…
自分で割って、火を吐いて燃やしている…!


デジモンにとって、あんなに大切なはずのデジタマを、何故…!?
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/28(金) 00:37:53.27 ID:vgDh2uWLo
つづく
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/28(金) 00:39:53.71 ID:Fv8V3u27o

コマンドラモンさーん!自分の命より大切なはずのたまご食べてるデジモンいます!
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/28(金) 00:42:46.95 ID:a8O/ftSW0

卵を目玉焼きにして食べるなんて人間に近い発想しやがる
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/28(金) 00:53:36.92 ID:emm18lEc0

これまで話に上がっていた個体だとすれば……
痛ましいな
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/28(金) 01:04:18.85 ID:AVyV7w9h0

サラマンダモンが自分のデジタマ平然と食べれる種族ならカンナギ社長はサラを捨てる必要はなかった?
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/28(金) 01:14:23.12 ID:Mu9e09mmo
研究チームのデジモンは合計6体になるのか
ストリートバスケとか色んなスポーツできるようになるな
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/28(金) 01:29:03.73 ID:vgDh2uWLo
※オマケ
>>359は「もしディノヒューモン農園メンバー(及びその周辺のデジモン)が、育成ギアになったら」という想定です
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/28(金) 08:15:24.37 ID:5DsQFTqWo
成長期6体飼育できるかな?
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/28(金) 08:20:57.23 ID:D+XjzoiU0
6匹にもなればデジタマ強奪ミッションの訓練にもなりそうなケイドロやれるな
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/28(金) 12:43:55.39 ID:/RXmtpNko
デジタマにも自我あったら親に食われるって恐怖だな
植物は話しかけたらなんか効果あるらしいけどデジタマも話しかけたら効果あるんだろうか?
392 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/28(金) 13:03:33.92 ID:emm18lEc0
育成ギアだったのか
タスクモンが何処から進化したのかは謎のはずだけどベタモン系列からだったのかね
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/28(金) 15:00:21.62 ID:HipKFte50
自分の子供食べちゃうってピクミンのクイーンチャッピーみたい
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/28(金) 15:48:29.48 ID:sarpQzyP0
この個体はサラですねぇ……
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/28(金) 18:07:04.97 ID:eqdN6jETO
リーダーは不思議そうにサラマンダモンを見ている。
「自分が産んだデジタマを燃やしている…?食べる気か…?」

シンがリーダーに問う。
「あれなんか意味あるんすか?デジタマからしか採れない栄養があるとか…?」

「いいや、エネルギーロスになるだけだろうな。デジタマを産むのには多大なカロリーを消費する。それを焼いて食ったところで、消費カロリーとは釣り合わないはずだ」

そのままサラマンダモンを観察する一同。
やがて割れたデジタマから火が消えた。

デジタマだったものは、黒焦げになっている。

カリアゲは訝しげに観ている。
「ど…どうするんだ、あそこから」


『クワーァ!』

なんとサラマンダモンは、自分のデジタマの燃えカスを食うわけでもなく、尻尾で薙ぎ払って破壊した。

『クワーァ!クォーー!!』

そして周囲に、何かを報せるかのような鳴き声を発している。


「え、ええ…食うわけじゃなく、ただ自分のデジタマを破壊するだけかよ!?何の意味があるんだ!?」

リーダーは引きつった表情をしている。
「理解できない…。非合理的だ。こんな行動になんの意味があるんだ」

シンはドン引きしている。
「気が狂ってるんじゃないですか…?」

『クワーァ!クワアアァァ〜〜!』

メガはサラマンダモンの動きを観察している。
「周囲をきょろきょろ眺めている…。なにかを探してるんだろうか」
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/28(金) 18:07:31.94 ID:eqdN6jETO
つづきは後程
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/28(金) 18:13:00.75 ID:Fv8V3u27o
こ、怖い…
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/28(金) 18:18:50.92 ID:k9bE1lCG0
ある意味一番不可解なデジモンだ
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/28(金) 19:38:55.54 ID:0XkMl7CVo
共食いする動物はいるけど食べすらせずただ子をぶっ[ピーーー]だけって…
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/28(金) 19:47:59.24 ID:/pooY4830
やっぱこの子って…
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/28(金) 20:53:57.93 ID:b4B9KB2DO
続きは明日です
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/28(金) 20:54:45.53 ID:yJEx0AIfo
残念
403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/28(金) 21:21:29.54 ID:emm18lEc0
ここまで毎日更新してくれてたのがありがたかったな
座して待つ
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/29(土) 23:49:56.30 ID:rTDdUZCao
夜勤か?
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/30(日) 00:02:13.38 ID:BL1FOTu7o
めちゃくちゃ気になるところで
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/30(日) 00:59:25.75 ID:j+VVYAlr0
やはりダメか?
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/30(日) 14:29:40.24 ID:HhcdvCavO
一同がドン引きしながら見ている中…
クルエが呟いた。

「…サラじゃないですか、あれ」

え?
サラって…

「ん?なんだ?サラって?」

うお!
カリアゲが反応した。
…クルエは、絶対他言無用だったはずの名前を口に出してしまった。

「知っているのか?あの個体について」
リーダーに問わてたクルエは口を押さえて慌てている。

あ、ああ…
実は前にですね、クルエさんと一緒に赤いオタマモンを見つけたんです。
それが育ってコレになったのかなーと思って…ね!

「ああ、はい、そ、そです」

「…なるほど。名前まで付けるとは、随分愛着があるんだな」

愛着というか…
他のオタマモンと区別して呼ぶためにですね。
レッドオタマモンとか勝手に名付けても良かったんですが、まあまだ保留ということで。

「…にしても、一体何をやってるんだこいつは」

画面の中のサラマンダモンは、デジドローンの方を向いた。

「気付かれた…!?攻撃されるかもしれん、離れるぞ」

デジドローンはサラマンダモンから遠ざかっていく。

『クワーァ!クワァ!クゥーーワァァ!』

サラマンダモンはペタペタと這ってデジドローンを追跡してくる。

「追ってくるぞ!農園のサラマンダモンから、デジドローンは敵だと聞いているのかもしれん。いちど撤収だ」

そう言いリーダーは、デジドローンを近隣のアクセスポイントまで移動すると…
デジタルゲートを開き、デジドローンを引っ込めた。

サラマンダモンの叫び声は、ずっとデジドローンに浴びせられていた。
408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/30(日) 14:40:57.90 ID:HhcdvCavO
一同は話し合っている。

「あの行動の理由は何だ?一体何があったら、あんな行動を取るようになるんだ?」

リーダーの問いかけに、頭を悩ませる研究員達。
私とクルエも悩んでるフリをする。

メガが何か思い浮かんだようだ。
「もしかして…子供にいちど殺されかけたことがあるんじゃ…?」

カリアゲは眉をしかめている。
「いや、子供デジモンが親を殺そうとするって…どういう状況だ?」

リーダーは腕組みしながら発言する。
「有り得なくはないが…生まれもしないうちからデジタマを破壊するようになるものだろうか。仮にそうだとして、次はもっとマシな子が産まれてほしいと望んで産まれてくるのを待つんじゃないか?」

メガは目をつぶる。
「うーーーん…。多分そうだよなぁ…デジモンが人間の言葉を理解できたら簡単だったのになぁ〜…」

リーダーはクルエの方を向く。
「クルエはどうだ、何か考えはないか?」

「ひゅい!?」
慌てるクルエ。

「え、えーと、なんででしょうね…わかんないです」
知らない振りをするクルエ。

「お前はどうだシン?」
リーダーは、新人のシンに意見をたずねる。

「…現時点の情報では分からないッスけど…もし、調べるとしたら。あのサラマンダモンのデジタマを採取して育成すれば、答えが分かるんじゃないッスか?」

おお…!
確信に迫ろうとしている…!
409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/30(日) 14:47:33.45 ID:5LOZFkrl0
来たか……!
サラのメンタルがどんどん心配な方向に向かいそうだ
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/30(日) 15:00:35.22 ID:HhcdvCavO
「よし!サラマンダモンのデジタマを採取して育成してみよう。ケンとクルエはサラマンダモンを観察して、デジタマを破壊する理由を推理する情報を集めてくれ。我々は捕獲作戦を計画しておく」

わかりました。
そっちはよろしくお願いしますリーダー。

「もしかしたら、極めて凶暴なデジモンが産まれるかもしれない。サラマンダモンのデジタマは、第二ビオトープへ隔離して育成することにしよう」

そうですね…。
準備お願いします。





私とクルエは、なんとなく察しがついている。
あの個体が、カンナギエンタープライズで育てられ、放逐されたサラならば…
デジタマを破壊するようになってしまった理由には心当たりがある。

だが、それは今このまま観察を続けたところで、決して自然には導き出せないだろう。

どうしようかな…
411 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/30(日) 15:14:19.75 ID:HhcdvCavO
リーダー達は採取作戦を考えている。
「サラマンダモンが警戒心が弱かったら、デジタマを簡単に採取できるんだが…ヤツは明確にデジドローンに反応し、追跡してきた。おそらくデジドローン自体を脅威として認識しているんだ」

メガは頷く。
「農園の初代サラマンダモンはすでに死んでるんだよね…あのサラマンダモンはその子供ってことかな。たしか、僕達がディノヒューモンのデジタマを採った後、スナリザモンと代わってデジタマ警備をしてたのが初代サラマンダモンだった」

よく覚えてるなそんなこと…。
メガの記憶力には驚かされる。
農園の言語を解析したときも驚いたけど、「あんなの日本語のオノマトペだけで構成されてるじゃないか。簡単だよ」と言ってたっけ。ぜんぜん簡単じゃないぞ。

リーダーは顎に手を当てる。
「では、サラマンダモンの子供も、デジドローン警備の任務を引き継いでいる可能性があるな。…だが、なぜあの仮称サラという個体は、農園から離れて暮らしているんだ?」

カリアゲはうーむと悩んでいる。
「そうだよな、なんでだろ…農園から追い出されたとか?デジタマを破壊するから?」

シンは、はっとした顔をした。
「なんか…分かったかもしれないッス」

「おお!?」
一同はシンへ期待の眼差しを向ける。

新人くん…まさか、サラの過去について気付いたのか!?
412 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/30(日) 15:21:57.24 ID:HhcdvCavO
シンは静かに語り始める。
「きっと…過去に一度、農園ではこんな事件があったんスよ」

カリアゲはごくりと喉を鳴らす。
「事件…?」

「蛮族っていたじゃないですか…猿型デジモンの。あの蛮族が、自分達のデジタマと、農園にあるサラマンダモンのデジタマを…、一個こっそり入れ替えたんッス」

「入れ替えた…?」

「そうッス。農園に潜り込ませるスパイを育成するために…。デジタマをひとつ持ち帰り、数合わせのために一個置いて帰ったんス」

「な、なるほど…」

「そしてサラマンダモンの目の前で、デジタマが孵化した。そこからはなんと、敵である蛮族の子供が産まれた!…驚いたサラマンダモンは、その場で蛮族の子供デジモンを焼き殺したんスよ!」

「ゴクリ…」

「そうして、農園デジモンの子供を焼き殺したと誤解されたサラマンダモンは、農園を追放された…!サラマンダモンは喋れないから、誤解を解けなかったんス!」

「な、なるほど…!」

「そうして追放されたサラマンダモンは…、自分のデジタマを破壊するようになった。どうッスかこの推理!」

「すげえよシン!筋が通ってる!きっとそうじゃねえか!?お前頭いいな!」

「えっへへーwwまあ、こんなもんスよ」


…ちがーーーーう!
違うんだシン!カリアゲ!そうじゃないんだ!
だが、私がそう言って否定できるだけの材料があるわけでもない。

くぅぅ…もどかしい!
訂正できないのがもどかしい!
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/30(日) 15:22:53.96 ID:HhcdvCavO
つづく
414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/30(日) 15:39:44.15 ID:5LOZFkrl0

デジタマが別で盗まれた件とも矛盾しない推理になってしまったか……?
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/30(日) 16:04:17.73 ID:COPnxCGMo
間違った推測で面倒なことになる前にもうカンナギの社長さんにこのこと話しちゃった方が良いんじゃ
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/30(日) 16:11:31.44 ID:3SC19RUao
間接的に迷惑かけやがって社長
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/30(日) 16:31:30.04 ID:YQvlxM9z0
サラのデジタマ調べたってサラがこうなった原因なんて絶対分からないから時間の無駄になるんだよなあ
ある意味社長のせいで研究が妨害されそうになっているとも言える
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/30(日) 16:44:18.23 ID:SwXJjNrg0
しかしシンよ、生まれたばかりのデジモンが蛮族のデジモンかどうかなんて分かるのは蛮族くらいじゃないか?
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/30(日) 22:32:58.00 ID:jjYd+NLH0
このままではサラは間違った事実のまま人間基準でもデジモン基準でも「狂った化物」と認識されて生涯を終えてしまう(´;ω;`)
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/31(月) 15:49:59.60 ID:jAc8KSXP0
ゲロっちゃった方がいいんでないの? 理想はカンナギ側にアポ取ってからだけど
421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/31(月) 21:02:06.12 ID:wLhI5SwO0
黙ってて研究で時間とられてもアレだからゲロっちまえよユーってなるな
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/31(月) 21:50:27.67 ID:x3HohwMoO
「ちょっと待てシン」

「なんっすかリーダー?」

「仮にそうだったとして…何故自分のデジタマを破壊するようになると?別に放っておけばいいんじゃないのか」

「えっとそれは、だから…自分のデジタマから蛮族デジモンの幼年期が産まれてこないように…と」

「それなら産まれるまで待って様子を見たほうが合理的ではないか?ちゃんと両生類系デジモンが産まれる可能性もあるだろう」

「そ、それは…そうッスけど…心ある生き物は常に合理的な判断ができるとは限らないッスよ」

「…それはそうだな。だが仮説としては弱い」

「じゃあ他にどういう理由があるんスか!?」

「…分からん」

わかんないよね…。
膠着状態だ。

「だが、今できることはある。デジタマ捕獲作戦の下調べだ」

「何するんッスか?」

「丁度いい。メガが作った試作品を試そう」

なんか作ったんですか?

「対クラッカー用撹乱兵器…ダミー・デジドローンだ」
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/31(月) 22:02:04.99 ID:QL2cyC/to
カンナギのやらかしのせいで余計な混乱が…
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/31(月) 22:13:30.48 ID:x3HohwMoO
ダミー・デジドローン…。

これはリーダーが、対クラッカー戦を想定してメガに作らせた秘密兵器だそうだ。

デジモンを従える者同士がデジタル空間で戦闘を行う場合、司令塔を破壊することが最も有効な戦術だ。

我々が操作しているデジドローンは、簡単に作れるものではない。

我々がデジタルワールドやデジタル空間を視認するのに使っているソフトウェアであるデジクオリアは、古の時代に実在したシャーマンの特殊な才覚と霊能力を人工知能によって再現するものだ。

そして、その視聴覚を担うデジドローンとは…
日本では昔「管狐」や「飯綱」と呼ばれ、海外では「使い魔」と呼ばれた霊能力技術を再現したものである。
ある意味では擬似的な人工デジタル生命体に近いかもしれない。

そのため、一度破壊されてしまうと、再構成するのには長い時間がかかってしまうのだ。

もしクラッカー戦でデジドローンが破壊された場合、我々はデジタル空間を一切視認できなくなってしまう。
デジタルゲートを安全な位置へ開いてデジモンを避難させることすらできなくなる。それは戦闘を大きく左右するだろう。

そこで、クラッカー戦でデジドローンを破壊されないために、簡単に作れるダミーのデジドローンを開発したのだ。


これを使い、サラマンダモンがどのようにしてデジドローンを攻撃するのか探るつもりらしい。
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/31(月) 22:23:54.80 ID:x3HohwMoO
我々は、ダミー・デジドローンを操作して、サラマンダモンへ近づけた。

どう来るか…!?

サラマンダモンは、デジドローンへ気づいた。
すると意外なことに、サラマンダモンは…

『クワー!クワーァ!クワアアァァ!』

なんと、デジドローンへ抱きついたのであった。
近接攻撃は苦手そうなのに。

『クワー!クワー!クワー!クゥーン!クゥーン…!』

サラマンダモンは、デジドローンへ頬ずりを繰り返したり、ひっくり返って腹を見せたりしている。

リーダーは驚いている。
「…?何をしてるんだ?敵対心がある反応とは思えないな」

シンは訝しげに見ている。
「ぜんぜん攻撃してこないッスね…燃えた体で頬ずりしてくるのが攻撃?いや、あんま温度高くないッスねあの炎…」

カリアゲは、その様子を見てははっと笑った。
「うちの実家の犬みてえだ。けっこうな老犬でさ、白内障なんだけどよ、俺が会いに行くとあんな声出して甘えてくるんだよ」

「甘えて…いる?まさか…?デジドローンに…?」

「ん?どうしたんすかリーダー?」

「…まさか、あのサラマンダモン…誰かに飼われていたのか?」

「飼われてた!?な、何に!?」

「他の研究者か…あるいは、クラッカーに、だ」

おおっ!すごい!
みんな凄いぞ!!
この調子なら、近いとこまで推理できそうか…!?
426 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/31(月) 22:25:51.86 ID:ohQV20xho
ここから誰が飼ってたかにはたどり着けないよなあ
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/31(月) 22:33:29.56 ID:x3HohwMoO
その様子を見たシンは、顎に手を添える。
「ははーん、分かりましたよ!こんどこそ!」

「おお、シン!次の推理を聞かせてくれ!頼むぜ!」

「任せてくださいッスカリアゲ先輩!…コホン。あのサラマンダモンは、クラッカーに飼われていたんです」

リーダーは頷く。
「ふむ…」

「サイバー攻撃翌用のデジモンとして育てられていたけど…、デジタマを産んだ結果、飼い主のサーバーにダメージを与えてしまったんス!」

「ダメージ?」

「炎のデジモンだから…火事とか」

「なるほど…?」

「それで怒った飼い主に棄てられたんッスよ。それ以来、ああやって罪滅ぼしのために自分のデジタマを焼くようになってしまい、また飼い主のところに戻りたがっている…!どうッスか!」

「ふむ…先程よりは無理がないな」

おお!だいぶ近いぞ!
飼い主はクラッカーではないが…
…いや悪質なサイバー攻撃による器物損壊をやるような連中だから善人ヅラしたクラッカーみたいなもんか。
合ってる合ってる!

「あとは、デジタマを採取して隔離チェンバーで育てれば、元飼い主のサーバーを燃やした幼年期デジモンが見れるはずッス!」

「なるほど…。やってみるか」

すごいぞシン!
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/31(月) 22:36:35.71 ID:YJndB10mo
確かに飼い主にダメージを与えそうにはなったか?
429 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/31(月) 22:47:01.62 ID:x3HohwMoO
そのとき。
スポンサーさんから通信が入った。

『御機嫌よう諸君!調子はどうだね?』

かくかくしかじかです。

『なるほど素晴らしい!農園からエクスブイモンとスティングモン、モスモンのデジタマを採取したと!映像で見せてもらったが、あれらの戦闘力は一級品だ!オペレーション・テイマーズがうまく進んでいるようで何よりだ!』

どうも。

『あー、もしもだケン君。私がモスモンのデジタマを欲しいと言ったら…譲ってくれるかね?』

勿論。
あなたにはとてもお世話になっています。
こっちだけでは手狭になりそうですし、お譲りしますよ。

『では…他の研究所でもセキュリティデジモンを研究しているため、そっちがサンプルとして譲ってほしいと言ってきたらどうだね?』

他の研究所ですか。
勿論、喜んで…

「ダメだ」

リーダー!?

「あんたになら譲れるが、どこの馬の骨とも知れない奴らには譲れない。これは我々のパートナーデジモンが命懸けで手に入れたものだ。相応の対価がなければ譲れない。最低でも300万円は払ってもらう」

そ、そんな、デジタマを売り物にするような…

『ハッハッハ!今のはリーダーが正しいよケン君!デジタマは金になる!優秀なデジモンのは特にな!』

し、しかし…

『コマンドラモン君の命懸けの成果とは、それほど安いものかね!?そんなことではカモにされるぞ、しっかりしたまえケン君!』

うぅ…。
その通りですね。
430 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/31(月) 22:49:06.79 ID:QL2cyC/to
利益の面でも情の面でもいつも正論だスポンサーさん
431 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/31(月) 22:59:45.43 ID:x3HohwMoO
ヒョイとカリアゲが顔を出した。
「それで、今日は俺達になんか用事があるんスか?」

『ああ、近況報告を聞きたくてね。そうだ、君達はランサムウェアの被害には遭っていないかね?』

「ランサムウェアぁ?なんだそれ?」

メガがヒョイと顔を出す。
「ランサムウェア…。マルウェアの一種だよ。感染したパソコンの…」

「マルウェアって?」

「あのさぁ…。…えっとね、コンピュータウイルスやトロイの木馬、ワームのような、悪質なソフトウェアの総称だよ。ランサムウェアは、感染したパソコンのデータを勝手に暗号化してしまうんだ」

「暗号化?嫌がらせのためにか?」

「それもあるが、暗号化解除ツールを売り付けるように要求するものもある。データを人質にとって身代金を振り込ませるような手口だよ」

「へぇー、こええな…」

『解説ありがとうメガ君!近年は、既存のウイルスセキュリティソフトでは防げないランサムウェアが流行っているらしくてね。君達も気を付けたまえ!』

怖いですね…忠告ありがとうございます。

『それで君達は、これからは例の3つのデジタマの育成に専念するのかね?』
432 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/31(月) 23:06:23.27 ID:x3HohwMoO
シンがひょいと顔を出す。
「これから、サラマンダモンのデジタマを拾おうと思ってるんス!人懐っこくて甘えてくるから、きっと前に誰かに飼われていて、棄てられたんスよ。だから、デジタマが安全なら、サラマンダモンも拾おうかと思ってるッス」

『…誰がそれを捨てたのかね?』

「クラッカーじゃないか、と思われてますね」

『…イカン!そのデジタマとデジモンを拾ってはならない!』

え!?

「な、なんでッスか?」

『もしもクラッカーが棄てたのなら…、そのデジモンにはマルウェアが仕込まれている可能性がある!拾ったら悪質なプログラムが起動し、データを盗まれるかもしれないぞ!』

「な…なんだってーーーーー!?」


あーーーーもう!!
一旦話がまとまりそうだったのに、かえってややこしくなった!!
433 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/31(月) 23:13:09.78 ID:YU09u4Bmo
事が大きくなりすぎてもうケンとクルエとカンナギだけの秘め事にするの無理だよぉ…
434 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/31(月) 23:14:05.77 ID:x3HohwMoO
「そんなことできるんスか!?」

『デジタルモンスターは情報生命体だ。パッチ進化というものがあるんだろう?もしクラッカーが、そのデジモンに任意のマルウェアを食わせてパッチ進化させていたら、そのマルウェアをばらまく感染源になる可能性があるだろう!』

「う…確かに…!で、でもクラッカーじゃなくて一般研究者が棄てたのだったら可哀想ッスよ…」

『同情を誘うブービートラップなんて古今東西どこにでもあるじゃあないか。戦場では、ぬいぐるみのテディベアや、赤ん坊の泣き声を録音したベビーカー等に、爆発物を設置する…。そんな罠なんて典型的な手口だ』

「うっわ、えげつないッスね…」

『そのサラマンダモンもその類ではないかね!?』

「あ、ありえる…!」


うおおぉぉ!違うんだよ!!
これ以上話をややこしくしないでくれスポンサーさん!頼むから!
…そう言いたいけど…言えない…!
435 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/31(月) 23:44:06.32 ID:x3HohwMoO
その時、クルエの声がした。
「このサラマンダモンさん、人の声やチャットに反応しますよー」

お、ほんとに?

「お腹すいた?って聞いたら首を縦に振ってました」

や、やはり…
人間に育てられたのは確定だ。

『あのスカモン同様、高い言語能力を持っているようだねぇ?んん?用心した方がいいのではないかな?』

お…お言葉ですがスポンサーさん!
私はこのサラマンダモンが、クラッカーの罠とは限らないと思います。

『ほほう!何故だね!』

理由は3つ。
1つ目ですが…、デジタマは金になると言いましたね。
これほどきちんと言うことを聞く母体デジモンなら、変な罠として使うより、殖やしてデジタマを仲間のクラッカーに売ったほうが儲かるのでは?

『それはケース・バイ・ケースではないかね?君達の研究設備をマルウェアで破壊することも彼らにとって後々利益を生むはずだ』

あっそれはそうですね。ハイ。

『それで2つ目は?』
2つ目ですが…
デジタマを焼くように仕込む意味がない!
デジタマを普通に放置するように育てた方が、金の匂いをちらつかせられるのでは?

『奇行で人目を引いて目立つためではないのかね?』

デジタマを焼くようにした場合、このサラマンダモンが野生デジモンに殺されたら計画は破綻します。
しかしデジタマを残すようにして、そこにもマルウェアが遺伝するようにしていたのなら、デジタマを産んだ数だけブービートラップデジモンが生き残って拾われる可能性が高くなるわけですよ。
そうした方が確実だったのでは?

『世代を重ねると、与えたマルウェアが遺伝子の中で変異して、元の想定どおりに機能しなくなる可能性があるのでは?』

うっ…たしかに…!
くそぅスポンサーさんつよい…どうする…!

『3つ目は何かなケン君』
436 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/31(月) 23:45:14.34 ID:PUo9hSm3o
こんだけ食らい付いてきたらスポンサーもケンが何か知ってること感づきそうだな
437 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/31(月) 23:48:19.67 ID:x3HohwMoO
このサラマンダモンは、人語を理解できます。

『そのようだね。幼年期からよく教育されているのだろう』

つまり!
このデジモンから、飼い主の情報が漏洩するリスクがあるわけです!

正体を隠しているクラッカーが、そんなのを野放しにすると思いますか!

『ムム!確かに…どれだけ喋れるかは知らないが、機密情報管理が余りにも杜撰といえるかもしれない』

それに、我々のランドンシーフにはマルウェアを封じ込めるための隔離チェンバーがあります。
そこで質問すれば、マルウェア感染を防ぎつつ、クラッカーの情報を聞き出せるかもしれませんよ!

『…それならやってみる価値はあるねぇ!たとえクラッカーの罠だとしてもだ!うむ、くれぐれも気を付けてやりたまえ!』

よっしゃあ!!
私はガッツポーズを取りそうになったけど堪えた。
438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/31(月) 23:51:13.30 ID:x3HohwMoO
そういうわけで。
我々はデジタルゲートを開き、サラマンダモンを隔離チェンバーへ招き入れた。

飼い主について聞き出す役割は…
私やクルエがやるるのは、ちょっと危ないからやめておこう。

誰に頼むべきだろうか…
439 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/31(月) 23:52:27.56 ID:x3HohwMoO
つづく
440 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/31(月) 23:56:31.55 ID:PUo9hSm3o

ケンやクルエがバラさずに真相分かっちゃう分には問題ないけどほぼノーヒントからカンナギ社長のせいだと導きだせる人は誰か
441 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/08/01(火) 00:09:52.46 ID:vIBYN3M90

デジタマ取られるでも放置されるでもサラには良くないよなあと思ってたけど
何だかんだで良い方向に向かってきたようなだ
442 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/08/01(火) 00:12:29.58 ID:xYBa+gyZ0
乙 でも飼い主じゃないって知ったらがっかりだろうなサラ
443 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/08/01(火) 10:06:01.37 ID:EbsKlV0s0
捨てられたデジモンを拾ってお話してまた捨てたら動物愛護団体にボロクソ言われるかな?
444 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/08/01(火) 17:18:30.45 ID:6jV2GDq8o
パルモンは人間とデジモンの通訳出来るくらい成長したかな?
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/08/02(水) 00:17:26.38 ID:izxxKQ/ro
今日はないかあ
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/08/02(水) 18:38:34.25 ID:g3SdE9W70
意志疎通まで出来てしまうともうペットとか番犬じゃなくてほぼ人間並みの情抱いちゃうよなあ
447 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/08/02(水) 23:04:30.56 ID:CVonZoJoO
「ケン、まずはお前がやってみろ」

リーダー直々に私が指名された。
断ったら怪しまれる。素直に従おう。

えーと、サラマンダモンくん。
こんにちは。

『クァ〜…』

…それにしても、このサラマンダモンというデジモン。
DPが低い成熟期デジモンらしいのだが、どうにも不思議だ。
全身がメラメラと燃えているように見えるのだが、いったい『何が』燃焼しているのだろうか。

炎とは、有機物が高温状態となって酸素と結合し、二酸化炭素が分離する際に熱と光を放つ連鎖現象のことを指す。
そうであれば、このサラマンダモンは、炎を維持するために常に燃料を出し続けているはずだ。
そうなると、体の熱量(カロリー)は凄まじい勢いで消耗されていくはずだ。
さらに、火だるまになっている肉体は当然、表面が常に1400℃の高温にさらされている。

そんな温度で加熱され続けたら、肉体はあっという間に焼き肉、ないし黒焦げになってしまうはずだ。

さらに、炎の放熱によって隔離チェンバー内の温度はどんどん高温になるだろう(空気を循環させているので酸欠にはならないはずだが)

だが、このサラマンダモンはそうはならない。
一体なぜなのか…?
興味が湧いた。調べてみよう。
448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/08/02(水) 23:05:56.94 ID:izxxKQ/ro
言われてみれば常に燃えてるなんて色々変な話だ
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/08/02(水) 23:11:41.47 ID:n9bL4yBG0
バレないようにしなければ……と言う思考を置いて知的好奇心がモリモリ芽生えるの、研究者の鑑すぎる
450 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/08/02(水) 23:19:49.39 ID:CVonZoJoO
まずはサラマンダモンの体表の温度を調べてみる。
…30℃。
両生類型デジモンとしてはやや高めだが、予想よりもずっと温度が低い。
メラメラと炎が燃えているように見えるのだが…!?


…これは本当に炎なのだろうか。
乾燥した枯れ草を拾ってきて、サラマンダモンの炎へ近づけた。

…燃えないな。
炎が燃え移らない。
加熱されてすらいない。

『クワァ〜』

…サラマンダモン君。
体の炎を熱くできる?

『クワッ!』

サラマンダモンが力むと、体表を包む炎の温度は一気に上がった。1500℃だ。
枯れ草はメラメラと燃える。

やがて、サラマンダモンは炎の温度を下げた。

『クワァ〜』

どうやら密室で炎を燃やし続けると、高温になり、酸欠になることを分かっているらしい。
空気を循環させているから心配ないが、賢いな。

…さて。
どうやら、サラマンダモンを常に包んでいるものは、どうやら炎ではないらしい。
意識すれば実際の炎を出せるようだが。

なんだこれは?
熱をほとんど伴わず、赤くゆらめく光だけが出ているようだ。

ウミホタルやカブトクラゲがやるような、ルシフェリン・ルシフェラーゼ反応による生物発光だろうか…?
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/08/02(水) 23:30:43.90 ID:CVonZoJoO
しかし、蛍光を発する物質を常に放出し続けているというわけでもないようだ。

なんというか、これは…
『オーラ』のような、不思議なエネルギー…としか言えない。

デジモンは時々、我々の世界の物理法則を完全に無視することがある。

スターモンは原理不明の推進力を得て空を飛ぶし、狙った場所へ隕石を落として攻撃できる。

ベーダモンは、光線銃の光の輪によって他のデジモンを操ることができる。

トゲモグモンやアイスモンは、水晶のような体から冷気を放ち、周囲の物体を凍らせることができる。
なんだ凍らせるって!?炎を放つなら分かるが、凍らせるのは流石に意味がわからない!液体窒素を放ってもああはならないはずだ。

そう、一部のデジモンは、超能力とでも呼ぶべき不思議な力を獲得しているのだ。

…サラマンダモンの見せかけの炎も、そういった超能力の一部…なのだろうか。
452 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/08/02(水) 23:42:54.27 ID:CVonZoJoO
だが、超能力を使うデジモンは、どうやら無限に使い続けることができるわけではないようだ。

スターモンは飛行に多くのエネルギーが必要らしく、あまり好んで飛ばない。

…エネルギーを消費するということは、デジモン世界には我々の世界とは異なる物理法則やエネルギーがあり、デジモン達はそれを利用しているといえるだろう。

サラマンダモンは、『超能力を使うデジモン』のサンプルとしても優秀かもしれない。


尚、先程サラマンダモンが背中の炎で枯れ草を焼いたときは、背中の皮膚の腺からジメチルエーテル水溶液が噴霧され、燃料として使われていた。

…超能力を使うにしても、100%を超能力頼りにするよりは、ある程度物理法則に則った現象を起こして超能力でエネルギーを補助する方が効率的なのかもしれない。
453 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/08/02(水) 23:49:56.68 ID:CVonZoJoO
「調子はどうだ?ケン。何やらいろいろ調べているようだな」

あ、リーダー!
サラマンダモンの体表を覆う炎の性質について調べていました。

「は?」

結露から言うと、サラマンダモンの体表の炎は「超能力によって、燃焼物に擬態する」ために存在しています。

動物やデジモンにとって、炎は脅威です。
できれば触れたくないものといえます。

サラマンダモンは、炎に見せかけた超能力光によって、自分の身を火だるまであるかのように見せかけることで、外敵に狙われるのを避けているんです。

さらに、怖がらずに触ってきた相手には、体表からジメチルエーテルを噴霧し、超能力で種火をつけることで、実際に燃やしてしまうこともできます。

そうやって自分の身を守っているんですね。
とても機能的な形質といえます。

「…で、そのサラマンダモンの飼い主の情報は聞けたか?」

飼い主?何の話でしたっけ。

「いや、お前には飼い主の情報を聞き出せと指示していたんだが、なぜ炎の解明などしているんだ?」

…はっ!そうだった!
炎が気になり過ぎてガチで忘れてた!

「なんだと…何をやっているんだケン!?」

『ハッハッハ!リーダー君、これがケン君の良いところだよ!とんだじゃじゃ馬だ、しっかり乗りこなしたまえ!』

うぅ…つい。
454 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/08/02(水) 23:57:01.96 ID:CVonZoJoO
「次は俺がやる」

頼みますリーダー。

「…サラマンダモン。君の飼い主について聞きたい」

『クワァ?』

「君の飼い主は、クラッカーか?」

『クワァ、クワァ!』

首を横に振っている。

「では、まともな研究者か?」

『クワァ〜!』

首を縦に振っている。

「だそうだ。サラマンダモン曰く、飼い主はまともな研究者だそうだ」

そ…そのようですね。

『リーダー君!君はクラッカーが、飼ってるデジモンに自分がクラッカーだと名乗ると思うのかね!?』

「うっ…」

『私には、今の証言は信用できないな』

「…ならばどうやって聞き出せばいいというんだ」

そうなんだよな…
サラマンダモンが嘘をついてる可能性や、嘘を信じ込まされてる可能性を否定できないだろうし…
それを見破れる方法など、正直思い当たらない。
455 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/08/02(水) 23:58:12.81 ID:n9bL4yBG0
素でやってるのが才能なんだよなあ
しかし物理法則に乗っかってる部分があるんなら解明したら色々活かせそうで有用な情報かも
456 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/08/03(木) 00:06:54.19 ID:WjBUwhWcO
「よう、調子どうだー」

おお…カリアゲ。
喋れない相手から情報を聞き出すのは、ちょっと無理そうだ。
飼い主がクラッカーじゃなくまともな研究者だとは言ってたけど、そもそもその言葉自体の信憑性が疑わしい。

「嘘付いてるってことか?」

そもそも、クラッカーとか研究者って言葉の定義をちゃんと理解しているのかも怪しい。

強敵だ…

「そうか…これからどうするんだ?」

どうしようかな…
逃がしてしまえば無害なんだけども。

「…なんか可哀想だな」

『カリアゲ君も話してみるかね』

「…少し話してみるかね」

頼んだぞカリアゲ。
457 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/08/03(木) 00:13:46.83 ID:WjBUwhWcO
「よ。サラマンダモン…でいいんだっけ?」

『クァ〜…』

「まずは…ごめんな。俺達は、お前の飼い主だった奴じゃない。別の人間だ」

『クァ!?クァ〜!クァ〜〜!クアアァァーーーー!!』

「…悲しいよな。飼い主さんのこと好きか?」

『クァ!クァ!』

サラマンダモンは首を縦に振っている。

「そうか。いい飼い主さんなんだな。俺達もお前の飼い主さんに会ってみたいぜ」

『クァ…』

「いつか会えるかな?」

『クァー!クァ!クァ!クァー!』

サラマンダモンは首を縦に振っている。

「そうかそうか!俺も会いてえな、お前をこんないい子に育てた優しい飼い主さんに」

『クァ〜!』

「でも…どうしてデジタルワールドにいたんだ?迷子になったのか?」

『クァ…』

「…わかんないよな」

『クァ!クァ!クァァ!』

サラマンダモンは首を横に振っている。

「理由が分かるのか。…さっきデジタマを壊して焼いてたのと関係あるのか?」

『クァァァ〜!』

首を縦に振っている。
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/08/03(木) 00:15:10.47 ID:Bysd4BgKo
ちゃんと人間の言葉を理解できておる…
これで人間の言葉を話せれば手っ取り早いのに
459 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/08/03(木) 00:22:33.81 ID:WjBUwhWcO
「自分のタマゴを壊すの…嫌じゃないのか?」

『ク…クァ!!クァァ!』
首を横に振っている。

「…ほんとか?タマゴを壊してるときのお前の声…すごく悲しそうだったぞ」

『クァ…』

「…ホントは壊したくないけど、壊さなきゃいけない理由があるんじゃないのか?」

『…クァ…クァ!!クァァー!クアァァー!』
サラマンダモンは何度も首を縦に振っている。

「辛いよな、悲しいよな。ずっと、嫌だったんだよな、ホントは」
『クァァァ!クァァァーーーーー!』

頷くサラマンダモンの声は…どこか泣いているかのような悲しい響きがあった。

「…でも、飼い主さんのことは好きなのか?ホントはどうなんだ?誰にも言わないから教えてくれ!」

『クァ!』
頷いている。

「…そっか。それでも飼い主さんが好きなんだな。それよりお前、腹空いてないか?飯あるけど、食うか?」

『クアァ!』

「キノコしかないけどごめんな。ほらよっと」
カリアゲはデジドローンできのこを与えた。

『クゥゥーン!クゥゥーーン!ハムハム!モグモグ!』

「おお、食いっぷりいいな。これ好きなのか?」

『クァ!クァ!』


…その後カリアゲは、サラマンダモンと2時間ほど話したり、ボールで遊んだりしていた。
460 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/08/03(木) 00:23:59.24 ID:WCTyoa1to
飼い主が誰か知ったらカリアゲ絶対ぶん殴りにいくぞ
461 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/08/03(木) 00:26:19.79 ID:WjBUwhWcO


サラマンダモンとカリアゲはすっかり打ち解けたようだ。

「ふぅ…。色々聞けたぞリーダー」

「ご苦労だったなカリアゲ。収穫はあったか?」

「ああ」

おお!凄いぞ!

「それでは、飼い主が誰かわかったのか?」

「いや。全然わからん」

分からんのかい!!
2時間も何話してたの!?
462 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/08/03(木) 00:27:31.55 ID:7cCRjvsC0
迷子の子供なら保護者の名前と連絡先分かるもの持たされてるもんだけど捨て子だもんなあ
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